説明

タッチパッドを有するスマートカード

本発明は、標準フォーマットによって割り振られていない少なくとも1つのゾーンに置かれたキー(201)と、機能モジュール(203)と、正しいコードがキー(201)によって入力された時に機能モジュール(203)をアクティブ化するように設計されたアクティブ化モジュール(202)とを含む標準化されたフォーマットの電源内蔵式カードに関する。
本発明は、そのようなカードの使用を保護する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標準化されたフォーマットを有するスマートカードに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなカード、特にISO 7810標準規格および/またはISO 7816標準規格によって標準化されたスマートカードは、一般に、ユーザ識別を必要とする動作を実行するように設計された装置とインターフェースするのに使用されている。この識別は、通常、カードと装置との間の接点リンクまたは無接点リンクをセットアップすることによって入手される。次に、カードが、そのカードに存在するデータが読み取られる形で、電気信号または磁気信号を受ける。このデータの読取は、たとえば、ユーザの識別を可能にする。
【0003】
そのようなカードには、一般に、カード内のデータを読み取ることを可能にする複数の識別要素が含まれる。これらの識別要素は、たとえば、特に、秘密コードに関するデータを含むカード番号、磁気トラック、半導体構成要素、または「チップ」である。チップが使用される場合には、信号が、カードを貫通し、チップが、応答を与える。それ自体の電源を有しないカードは、動作を実行するように設計された装置と共にのみ働き、そのような装置がない場合には受動的である。
【0004】
識別に使用されるそのようなカードの弱点は、その受動性のおかげで、それに保管されたデータを明らかにする形で尋問できることである。したがって、これらのカードは、たとえば電子的なまたは磁気的流れの形のさまざまな質問をチップに向かって送ることを介して、海賊行為を行われることが周知である。これらの流れは、チップによって分析され、応答が供給される。チップの内容、たとえば秘密コードを、チップからの応答に従うものとすることができる。現在の状況では、秘密コードの使用は、ユーザにある意味のセキュリティを与えるが、詐欺的行為に対する十分な保護を提供しない。
【0005】
そのようなカード内の磁気ストリップの海賊行為は、たとえばインターネットでの、カード番号の詐欺的使用と同様に広まってもいる。
【0006】
これらのさまざまな形の海賊行為が、そのようなカードに対するユーザの信頼を低下させ、したがって、特に支払い動作に関するそのようなカードの普及を妨げる。
【0007】
そのような支払いカードのセキュリティを高めるために、タッチパッドを設けられたカードの使用の既知の形があり、このタッチパッドは、カードをアクティブ化するために秘密コードを入力するのに使用される。しかし、そのようなカード上にタッチパッドを有することは、次の2つの衝突する問題を提起する。第1に、カードが、人間工学的な理由から十分に大きいことが必要であり、第2に、カードが支払いカードのフォーマットに関する国際標準規格と互換になる形でタッチパッドを配置しなければならない場合に、そのサイズは不便である。標準規格によるフリーゾーン(free zone)と称するゾーンは、ほんの少数であり、その表面積は限られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上で提示したように、カードによる標準規格の遵守を保証するタッチパッドを設けられたカードの高められたセキュリティを可能にすることによって、上で述べた短所に対する救済策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、キーと、機能モジュールと、決定されたコードがキーによって入力される時に機能モジュールをアクティブ化するように設計されたアクティブ化モジュールとを含む標準化されたフォーマットのカードであって、キーが、標準規格の下で空いたままに残されているゾーン内にキーがある形で縁の近くに置かれた単一の行内に置かれる、カードに関する。
【0010】
一実施形態によれば、このカードは、多くとも6つのキーを含む。
【0011】
もう1つの実施形態によれば、各キーは、ドーム形の形状を有し、キーを接触によって区別することがよりたやすくなっている。
【0012】
一実施形態によれば、キーは、接触によって扱うのを容易にするのに十分な直径、たとえば6mmと8mmとの間の直径を有する。
【0013】
一実施形態では、入力される決定されたコードは、5文字のシーケンスである。
もう1つの実施形態によれば、コードは、文字のシーケンスであり、各キーは、1つまたは複数の文字に対応する。
【0014】
一実施形態では、このカードは、アクティブ化モジュールをディスエーブルするモジュールを有し、前記アクティブ化モジュールは、所定の個数、たとえば3個の不正なコードが連続して入力された後、または所与のサイズ、たとえば15文字のシーケンスであって、このシーケンスが正しいコードを含まない、シーケンスの入力の後のいずれかに、たとえば5分の値を有する、所定のディスエーブル期間の間にディスエーブルされる。
【0015】
もう1つの実施形態では、所定のディスエーブル期間は、不正なコードの各新しい入力の時または正しいコードを含まない完全に新しいシーケンスの入力の時に、たとえば増分によって、増やされる。
【0016】
一実施形態では、所定のディスエーブル期間は、たとえば30分と等しい、境界値を有する。
【0017】
一実施形態では、ディスエーブル期間は、正しいコードの入力の際にその初期値に戻る。
【0018】
もう1つの実施形態によれば、このカードは、キーへの圧力の特徴を示す第1サウンドを発する手段ならびに正しいコードの入力の特徴を示す第2サウンドを発する手段を有し、この2つのサウンドが区別される。
【0019】
一実施形態では、このカードは、コードを変更する手段を含む。
【0020】
もう1つの実施形態では、機能モジュールは、音響シグネチャを発する音響モジュールを含む。
【0021】
一実施形態によれば、このカードは、ISO 78 10標準規格および/またはISO 7816標準規格の仕様を満足するようになっている。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、図面を参照して、説明的であって非網羅的な基礎で行われる次の説明から明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1によれば、本発明によるカード100に、ある個数の標準化されたゾーン104から109が含まれる。そのようなゾーンには、特に、エンボス加工されたゾーン104、反対側に置かれた磁気トラック用のゾーン105、チップ用のゾーン106、そのカードを配布した組織を識別するゾーン107、前記組織の顧客用のゾーン108、ホログラム用のゾーン109が含まれる。
【0024】
キー101が、標準規格によって割り振られてはいないゾーン110上に存在する。これらのキー101は、コードを入力するのに使用される。これらのキーは、カードの大きい辺の近くに置かれた単一の行内に配置される。したがって、キーによって占められるゾーンは、標準規格によって空いたまま残されている。
【0025】
図2に示されているように、キー201は、正しいコードがキー201によって入力された時に機能モジュール203をアクティブ化するように設計されたアクティブ化モジュール202に接続される。
【0026】
このアクティブ化モジュール202は、正しいコードがキーを用いて入力された時に機能モジュール203をアクティブ化する。この機能モジュール203は、有利に、音響シグネチャを発する音響モジュールである。このシグネチャは、ユーザの識別を補償する。音響モジュールの使用は、多数の利点を有する。音響シグネチャは、簡単に変更することができる。音響シグネチャは、一般に、特定の機械に常駐するのではなく、可動である。さらに、音響シグネチャは、コピーするのがむずかしい。実際に、コンピュータ内すなわち、本発明を有利に実施できる最も一般的なデバイス内で、最も普及した音響リーダーである音響マイクロホンには、一時に1つのソフトウェアプログラムだけが聞き入ることができる。したがって、海賊プログラムが音響シグネチャをコピーすることは不可能である。
【0027】
このカードの機能モジュール203は、GPS機能も含むことができ、あるいは、カードがリーダーに挿入された時にアクティブになるアクセス許可モジュールとすることなどができる。
【0028】
図1で提案された実施形態によるカード100は、6つのボタンを有する。実際に、この個数のボタンは、通常は6から7mmの直径を有するボタンのアクセス可能性および人間工学を損なうことなく、ISOカードの標準化されていないゾーン110におさまる。コードを入力するための6つのキーの使用に付随する問題は、コードの可能性が減ることである。したがって、一実施形態によれば、入力されるコードは、5つの文字を有する。この形で、確率は、テンキー数字パッドで4文字コードを用いて得られるものに近い。可能性の数は、6^5=7776であり、数字パッドでは10^4=10000である。
【0029】
6個のキー101のそれぞれが、たとえば、図1に示されているように4つの文字の組に対応する。この特性は、単語であり、したがって覚えやすいコードを提案することを可能にする。
【0030】
図1では、キーが、カードの左上部分で上縁に沿って置かれている。これは、カードを右に90度回転した時に、ユーザが親指でコードを入力することを簡単にする。したがって、入力の人間工学が保証される。
【0031】
このカードは、特にキーが押された時および正しいコードが入力された時に、サウンドを発するサウンド要素を有利に有する。この後者の場合は、有利に、異なるサウンドを生じさせることができる。
【0032】
このカードは、タイムアウトモジュール210を有利に有する。このモジュール210を、たとえば、正しいコードを含む文字の正しいシーケンスの入力なしでの、ある回数、たとえば5回または40回のキータップ動作の後にアクティブ化することができる。このカード内では、この特徴が、トリガ閾値を有するキー押下げアクションのカウンタの存在の実用的な形をとる。そのような閾値を超えると、カウンタが、ディスエーブルモジュール211をトリガし、このディスエーブルモジュール211が、所定の期間の間にアクティブ化モジュール202の動作をディスエーブルする。所定の期間は、たとえば、5分間続くものとすることができる。このディスエーブル期間中に、キーへの圧力は、考慮されず、キーへの圧力がサウンドを全くアクティブ化しないことが、有利である。
【0033】
タイムアウトモジュール210は、ディスエーブル期間が対応して増加する持続時間を有し、その結果、100回の不成功のコードの試みを実行するのに1時間が費やされるようにすることもできる。これは、詐欺的行為を遅らせることを可能にする。ディスエーブル期間は、不正なコードの新たな入力のたびに、たとえば5分の値の増分で増やすことができる。ディスエーブル期間は、たとえば30分と等しい境界値を有利に有し、その境界値の後には、不正なコードの新しい入力がある時であってももはや増加しない。逆に、正しいコードの入力は、所定のディスエーブル期間の値をリセットし、したがって、ディスエーブル期間は、その初期値を回復する。
【0034】
タイムアウトモジュール210は、偶然のものであっても、キー201のすべてのアクティブ化を考慮に入れる。
【0035】
このカードに、コードに対応する正しいシーケンスが3回の試行の同等物について入力されない時、特にさらに上で与えた例で15回のキータップ動作の後にアクティブ化されるディスエーブルモジュール211を含めることもできる。この種類のディスエーブルモジュール211は、ユーザが彼のカードを一時的に中立化することを望む場合に、ユーザによって制御可能とすることもできる。これは、前に提示したタイムアウトモジュール210と組み合わせて実施することができる。その場合に、このディスエーブルモジュール211は、多数のタイムアウト動作の後に、過度に多数のキーが押された後にアクティブ化される。
【0036】
有利なことに、コードを変更することができる。コードを変更するためには、ユーザが、現在のコードを入力しなければならない。次に、2つの可能性を実施することができる。第1の可能性は、新しいコードを2回連続して入力することにある。第2の可能性は、コマンド、たとえばCH(「change(変更)」の)と、それに続いて、新しいコードを2回連続して入力することにある。5文字のシーケンスより長いパスワードを、本発明に従って使用することもできる。
【0037】
本発明のカードに、本発明と組み合わせて、このタイプのカードを用いて一般に提案される通常の機能、たとえば端末に入力される識別コードの使用を満足する手段を含めることができる。
【0038】
本発明によるカードのモジュールは、ハードウェア手段もしくはソフトウェア手段あるいはそのような手段の組合せを実施することができる。実施態様がソフトウェア手段によって実行される場合に、本発明は、本発明によるモジュールを入手するための命令を含むコンピュータプログラム製品を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明によるカードを示す図である。
【図2】本発明によるカードの動作を示すカードの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーと、機能モジュールと、決定されたコードが前記キーによって入力される時に前記機能モジュールをアクティブ化するように設計されたアクティブ化モジュールとを含む標準化されたフォーマットのカードであって、前記キーが、前記キーが標準規格の下で空いたままに残されているゾーン内にある形で縁の近くに置かれた単一の行内に置かれる、カード。
【請求項2】
多くとも6つのキーを含む、請求項1に記載のカード。
【請求項3】
各キーが、ドーム形の形状を有し、前記キーを接触によって区別することがよりたやすくなっている、請求項1に記載のカード。
【請求項4】
前記キーが、接触によって扱うのを容易にするのに十分な直径、たとえば6mmと8mmとの間の直径を有する、前記請求項のいずれか一項に記載のカード。
【請求項5】
入力される前記決定されたコードが、5文字のシーケンスである、請求項1に記載のカード。
【請求項6】
前記コードが、文字のシーケンスであり、各キーが、1つまたは複数の文字に対応する、請求項5に記載のカード。
【請求項7】
前記アクティブ化モジュールをディスエーブルするモジュールを含み、このアクティブ化モジュールが、所定の個数、たとえば3個の不正なコードが連続して入力された後、または所与のサイズ、たとえば15文字のシーケンスであって、このシーケンスが正しいコードを含まない、シーケンスの入力の後のいずれかに、たとえば5分の値を有する、所定のディスエーブル期間の間にディスエーブルされる、請求項1に記載のカード。
【請求項8】
前記所定のディスエーブル期間が、不正なコードの各新しい入力の時または正しいコードを含まない完全に新しいシーケンスの入力の時に、たとえば増分によって、増やされる、請求項7に記載のカード。
【請求項9】
前記所定のディスエーブル期間が、たとえば30分と等しい、境界値を有する、請求項8に記載のカード。
【請求項10】
前記ディスエーブル期間が、正しいコードの入力の際にその初期値に戻る、請求項8および9のいずれか一項に記載のカード。
【請求項11】
キーへの圧力の特徴を示す第1サウンドを発する手段ならびに正しいコードの入力の特徴を示す第2サウンドを発する手段、この2つのサウンドが区別される、請求項1に記載のカード。
【請求項12】
前記コードを変更する手段を含む、請求項1に記載のカード。
【請求項13】
前記機能モジュールが、音響シグネチャを発する音響モジュールを含む、請求項1に記載のカード。
【請求項14】
ISO 78 10標準規格および/またはISO 7816標準規格の仕様を満足するようになっている、請求項1に記載のカード。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−504619(P2008−504619A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−518659(P2007−518659)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050482
【国際公開番号】WO2006/087435
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(506344767)オーディオスマートカード インターナショナル エスエー (2)
【Fターム(参考)】