タービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次元形状測定方法及び3次元形状測定装置用冶具
【課題】 レーザ非接触式3次元形状測定装置と多関節接触式3次元形状測定装置を併用することで、表面形状を容易に高精度に測定することにある。
【解決手段】 タービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状を測定するに際して、レーザ非接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第1のステップ(S11)と、エンコーダが内蔵された関節により複数本のアームを連結してなる多関節接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第2のステップ(S12〜S14)と、前記第1の測定ステップで測定された3次元形状データと前記第2の測定ステップで測定された3次元形状データ及び手計測による局所的な部位の形状測定データを総合的に合成して最終的にステータコイル接続組立の設計図を起こす第3のステップ(S17,S18)とを備えている。
【解決手段】 タービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状を測定するに際して、レーザ非接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第1のステップ(S11)と、エンコーダが内蔵された関節により複数本のアームを連結してなる多関節接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第2のステップ(S12〜S14)と、前記第1の測定ステップで測定された3次元形状データと前記第2の測定ステップで測定された3次元形状データ及び手計測による局所的な部位の形状測定データを総合的に合成して最終的にステータコイル接続組立の設計図を起こす第3のステップ(S17,S18)とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状を計測し、その計測情報に基づいてステータコイルの接続組立を行う際に使用されるCADデータを作成する3次元形状測定方法及び3次元形状測定装置用冶具に関する。
【背景技術】
【0002】
タービン発電機におけるステータコイルは、その電気絶縁等が経年劣化するため、現地で定期的にステータコイルの巻き替え工事が行われる。
【0003】
このような工事を行うに際しては、ステータコイルの接続組立図面が必要であるが、自社製以外にはステータコイルの接続組立図面がないことから、受注するのは自社製の場合に限られていた。しかし、図面のない他社製の場合でも、現品の形状測定データから逆に設計図を起こすこと(リバースエンジニアリング)ができれば、ステータコイルの巻き替え工事が可能である。
【0004】
ところで、リバースエンジニアリングを行うための3次元形状測定方法及び3次元形状測定装置としては、タービン発電機ロータを対象としたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−278995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この3次元形状測定方法及び3次元形状測定装置は、形状が比較的シンプルな発電機ロータに適用することはできるが、タービン発電機におけるステータコイルの接続組立を対象とする場合にはそのまま適用することができない。
【0007】
特にタービン側及びコレクタ側の両コイルエンド部においては、構造が複雑で、かつ測定に適した機械加工面の少ないステータコイル接続組立に対して、現品の表面形状測定を実施する場合には、一般的にノギスやマイクロメータ等を用いた手計測手法が採用されている。
【0008】
しかし、この手法は局所的な部位の測定には適するが、その他の部位によっては、大径部やスペース等の制約で、そもそも物理的に測定することが困難であり、ピッチ円上の部品やボルト配置等の相対寸法に対しては、測定点数が多くなり、測定精度が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は上記のような事情に鑑みなされたもので、ステータコイル接続組立の表面形状の座標情報がCADデータ形式で取得可能なレーザ非接触式3次元形状測定装置と多関節接触式3次元形状測定装置を併用することで、表面形状を容易に高精度に測定することができるタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法及び3次元形状測定装置用冶具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の目的を達成するため、ステータ鉄心に設けられた軸方向に貫通するスロットにステータコイルが収納され、このステータコイルのコイルエンド部に対応させてターミナルボックスが設けられると共に、該ターミナルボックスを構成するステータフレームの外周板に、コイルエンド部に接続されるヘッダーケーシングパイプ、防風板を取付けるための取付板及びベアリングブラケットを取付けるための端板がそれぞれ取付けられたタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法において、レーザ非接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第1のステップと、回転位置を検出するエンコーダが内蔵された関節により複数本のアームを連結してなる多関節接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第2のステップと、前記第1の測定ステップで測定された3次元形状データと前記第2の測定ステップで測定された3次元形状データ及び手計測による局所的な部位の形状測定データを総合的に合成して最終的にステータコイル接続組立の設計図を起こす第3のステップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ステータコイル接続組立の表面形状の座標情報をCADデータ形式で取得可能なレーザ非接触式3次元形状測定装置と多関節接触式3次元形状測定装置を併用することで、表面形状を容易に高精度に測定することができるタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法及びこの方法で使用される3次元形状測定装置用冶具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が測定対象として適用されるタービン発電機におけるステータコイル接続組立図。
【図2】(a)〜(c)は本発明で使用される多関節接触式3次元形状測定装置用マグネット式冶具を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図。
【図3】(a)〜(c)は本発明で使用される多関節接触式3次元形状測定装置用クランプ式冶具を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)のA−A線に沿う矢視断面図。
【図4】本発明のステータコイル接続組立の3次元形状測定方法によるステータコイル接続組立に対する3次元形状測定装置の測定範囲の一例を示す図。
【図5】本発明によるタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法の実施形態を説明するためのフローチャート図。
【図6】同実施形態のレーザ非接触式3次元形状測定装置による第1の測定例を示す図。
【図7】同実施形態のレーザ非接触式3次元形状測定装置による第2の測定例を示す図。
【図8】同実施形態において、マグネット式治具を用いて外周板内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第1の測定例を示す図。
【図9】同実施形態において、マグネット式治具を用いて外周板内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第2の測定例を示す図。
【図10】同実施形態において、クランプ式治具を用いて防風板取付板の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第1の測定例を示す図。
【図11】同実施形態において、クランプ式治具を用いて防風板取付板の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第2の測定例を示す図。
【図12】同実施形態において、クランプ式治具を用いて防風板取付板の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第3の測定例を示す図。
【図13】同実施形態において、マグネット式治具を用いてステータ鉄心内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第1の測定例を示す図。
【図14】同実施形態において、マグネット式治具を用いてステータ鉄心内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第2の測定例を示す図。
【図15】同実施形態において、マグネット式治具を用いてステータ鉄心内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第3の測定例を示す図。
【図16】同実施形態において、多関節接触式3次元形状測定装置によるコイルスロット配置の形状測定データ例を示す図。
【図17】同実施形態において、多関節接触式3次元形状測定装置によるバインド帯支え及びバインド帯支え取付ボルト配置の形状測定データ例を示す図。
【図18】同実施形態において、クランプ式治具を用いてターミナルボックス底部補強部に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第2の測定例を示す図。
【図19】同実施形態において、3次元形状測定を行う際の基準座標系や共通要素の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明によるタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法を説明するための実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
まず、タービン発電機におけるステータコイルの接続組立について説明する。
【0015】
図1はステータコイル接続組立図を示すもので、211はロータ201を中心にその外周を包囲するように適宜の間隙を存して配置されたステータ鉄心であり、このステータ鉄心211の内周側に軸方向に貫通する複数のスロットが等間隔を存してそれぞれ設けられ、これら各スロットには上コイル213と下コイル214とが2層にしてそれぞれ収められている。
【0016】
また、ステータ鉄心211の両端面側に外側間隔片212を介してステータ押え板227が配置されると共に、これらはボルト締めにより固定されている。
【0017】
さらに、ステータ鉄心211の両端面側(図では片方の端面側を示す)より外側間隔片212を介して外部に導出された上コイル213及び下コイル214のコイルエンド下部構造物はバインド帯支え221により支持され、このバインド帯支え221はバインド帯支え取付座222,223及びシールド板226を介してステータ押え板227にバインド帯支え取付ボルト224,225により固定されて組立てられる。
【0018】
一方、208はコイルエンド部に対応させて設けられ、ステータ鉄心フレームに取付けられたターミナルボックスで、このターミナルボックス208の側面には常時は蓋体により閉塞される装置類の出し入れ作業を行うためのマンホール210が設けられ、ターミナルボックス208内には上コイル213及び下コイル214のコイルエンドに接続された接続銅帯217が配置され、この接続銅帯217はターミナルボックス208の底板209を貫通させて取付けられた高圧ブッシング219の内端に有するブッシングコネクタ218に接続されている。
【0019】
また、ターミナルボックス208を構成するステータフレームの外周板204には、上コイル213及び下コイル214のコイルエンド部に絶縁接続管215を介して接続された冷却水通流用のヘッダーケーシングパイプ216が取付けられ、さらに防風板205を取付けるための防風板取付板206が取付けられると共に、ベアリングブラケット202を取付けるための端板203が取付けられている。
【0020】
本発明では、このように構成されたタービン発電機のステータコイル接続組立に対して、その測定部位に応じてレーザ非接触式3次元形状測定装置による測定、多関節接触式3次元形状測定装置による測定に適した測定範囲を設定し、さらにこれらの3次元形状測定装置による測定が困難な測定部位に対しては手計測による表面形状測定を行い、これら各測定範囲の測定データを総合的に合成して全体のステータコイル接続組立の設計図を作成するものである。
【0021】
ここで、レーザ非接触式3次元形状測定装置は、測定範囲がステータコイル接続組立外部から直接見える部位の表面形状及び内面形状をレーザ測定するものである。
【0022】
また、多関節接触式3次元形状測定装置は、複数本のアームをエンコーダ(回転位置検出センサ)が内蔵された関節(軸)により屈曲可能に連結すると共に、先端に有するボールを中心に三次元座標を取得するプローブを備え、プローブ先端に有するボールを測定対象物に接触させながら移動させたときの変化量と関節間のアーム長さから三次元座標情報を求めるようにしたものであり、円、線、平面、円筒、円錐等の各要素の測定が可能である。
【0023】
この場合、プローブ先端には必要に応じ、プローブエクステンションをつなぎ足したり、直線状のプローブに代えて屈曲プローブを装着したりすることが可能である。また、プローブエクステンションをつけた場合のプローブ先端長さは測定開始時の校正により認識することが可能になっている。
【0024】
ところで、このような多関節接触式3次元形状測定装置において、ステータコイル接続組立内部からコイルエンド下部等の物理的に直接アクセスしにくい部位を測定する場合、座標原点がずれないように必要がある。
【0025】
このため、本発明では多関節接触式3次元形状測定装置にマグネット式やクランプ式の専用冶具を装着して座標原点がずれないように固定し、直接アクセスしにくい部位の測定を可能にしたものである。
【0026】
マグネット式冶具は、アーム先端に自在に外周板内径面やステータ鉄心内径面といったステータコイル接続組立内部に固定する場合に好適であり、クランプ式冶具は防風板取付板内径面やターミナルボックス底板上部補強といったステータコイル接続組立内部に固定する場合に好適である。
【0027】
図2(a)〜(c)は多関節接触式3次元形状測定装置用マグネット式冶具61を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【0028】
図2(a)〜(c)に示すように、円板状の台座62の上面中央部に外径がネジ加工されたマウントリング63が設けられ、このマウントリング63に多関節接触式3次元形状測定装置がその固定端に形成されたネジ部を螺合させて装着される。
【0029】
また、台座62の下面周囲部に複数個(図では3個)のマグネットベース64が可動ボール関節66を介してそれぞれ等間隔に取付けられている。この場合、マグネットベース64は固定箇所が内径面等の曲面部にも安定して設置が可能なように可動ボール関節66を調整した状態を保持するための止めネジ67と、マグネットベース64に内蔵されたマグネットによる吸着力をオン、オフするつまみ65とを備えている。
【0030】
図3(a)〜(c)は多関節接触式3次元形状測定装置用クランプ式冶具71を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)のA−A線に沿う矢視断面図である。
【0031】
図3(a)〜(c)に示すように、断面が逆L字状の本体72の上面中央部に外径がネジ加工されたマウントリング63が設けられ、このマウントリング63に多関節接触式3次元形状測定装置がその固定端に形成されたネジ部を螺合させて装着される。
【0032】
また、逆L字状の本体72の前面板と対向する後方空間部に背板75が設けられ、この背板75の上部を貫通させて設けられた孔に圧入されたメネジ74に向けて本体72の前面板を貫通させて挿入された締付けネジ73を螺挿し、この締付けネジ73を締付け方向またはこれとは逆方向に回すことにより背板75が前面板に接近または離れる方向に平行移動可能になっている。
【0033】
したがって、本体72の前面板と背板75との間に例えば防風板取付板206を挟み込み、締付けネジ73を締付けることで防風板取付板206をクランプして固定される。この場合、防風板取付板206のネジ孔などに挿入される落下防止用の抜け止めピン機構76を備えている。
【0034】
かかるクランプ式冶具71は鉛直真下付近だけでなく、左右水平付近への固定もできるので、前述したマグネット式冶具よりも広い範囲で使用できる。
【0035】
次に前述したレーザ非接触式3次元形状測定装置及びマグネット式冶具またはクランプ式冶具を装着した多関節接触式3次元形状測定装置を用いてステータコイル接続組立の3次元形状測定方法について説明するに、まず、ステータコイル接続組立に対する各3次元形状測定装置による測定範囲について述べる。
【0036】
図4はステータコイル接続組立に対する3次元形状測定装置による各々の測定範囲A〜Dを示すものである。
【0037】
図4において、測定範囲Aはレーザ非接触式3次元形状測定装置によりステータコイル接続組立外部から直接見える部位を測定する範囲であり、測定範囲Bは多関節接触式3次元形状測定装置によりステータコイル接続組立の主に端板からコイルエンド下部までの部位を測定する範囲であり、測定範囲Cは多関節接触式3次元形状測定装置によりステータコイル接続組立の主にステータ鉄心からコイルエンド下部までの部位を測定する範囲であり、測定範囲Dは多関節接触式3次元形状測定装置によりステータコイル接続組立の主にターミナルボックスからコイルエンド下部までの部位を測定する範囲である。
【0038】
また、測定の実施にあたっては、図2に二点鎖線で示すロータ201やベアリングブラケット202、防風板205は測定前に予め分解しておく必要がある。
【0039】
以下、図5に示すフロー図に従ってステータコイル接続組立の3次元形状測定方法を説明する。
【0040】
図5において、S11はレーザ非接触式3次元形状測定装置による測定ステップで、この測定ステップS11では、具体的には次のようにして行われる。
【0041】
図6及び図7はレーザ非接触式3次元形状測定装置による測定範囲Aの測定例を示すものである。
【0042】
図6及び図7において、レーザ非接触式3次元形状測定装置41はステータコイル接続組立外部のフロア−面に三脚等で固定され、この位置から直接見える部分、主にコイル鉄心端部42からコイルシリーズ部44までのコイルインボリュート部43やコイル角度45,46、絶縁接続管215及びヘッダーケーシングパイプ216の配置、接続銅帯217の配置等を測定し、これらの測定データは点群データとして図示しないメモリに記憶される。
【0043】
図5において、S12〜S14は多関節接触式3次元形状測定装置による測定ステップで、ステップS12は外周板内径面または防風板取付板内径面からの測定ステップで、具体的には次のようにして行われる。
【0044】
図8及び図9はマグネット式冶具(図2に示す)61を装着して外周板204の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置81による測定範囲Bの測定例を示すものである。
【0045】
図8及び図9において、多関節接触式3次元形状測定装置81はコイルエンド下部のバインド帯支え221やバインド帯支え取付けボルト224,225、接続銅帯217、各種コイルエンド下部構造物等の部位を中心に測定し、これらの測定データは図示しないメモリに記憶される。
【0046】
この場合、基準座標系や共通要素は、図19中のS12に対応する図に示すように、例えば端板203や防風板取付板206における所定の部位を中心に、バインド帯支え221、シールド板226、隔板207等における所定の部位を3次元軸として取っている。
【0047】
上記では外周板内径面からの測定であるが、防風板取付板内径面からの測定を行う場合にはクランプ式冶具(図3に示す)71を装着して防風板取付板206の内径面に固定することにより多関節接触式3次元形状測定装置81による測定範囲Bの測定が可能である。
【0048】
図10、図11、図12はクランプ式冶具(図3に示す)71を装着して防風板取付板206の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置81による測定範囲Bの測定例を示すものである。
【0049】
図10乃至図12において、多関節接触式3次元形状測定装置81はコイルエンド下部のバインド帯支え221やバインド帯支え取付けボルト224,225、接続銅帯217、各種コイルエンド下部構造物等の部位を中心に測定し、これらの測定データは図示しないメモリに記憶される。
【0050】
この場合、基準座標系や共通要素は、図19中のS12に対応する図に示すように、例えば端板203や防風板取付板206における所定の部位を中心に、バインド帯支え221、シールド板226、隔板207等における所定の部位を3次元軸として取っている。
【0051】
なお、クランプ式冶具による固定箇所は、防風板取付板206以外の板であってもよいことは云うまでもない。
【0052】
また、ステップS13は、ステータ鉄心内径面からの測定ステップで、具体的には次のようにして行われる。
【0053】
図13、図14、図15はマグネット式冶具(図2に示す)61を装着してステータ鉄心211の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置81による測定範囲Cの測定例を示すものである。
【0054】
図13乃至図15において、多関節接触式3次元形状測定装置81はコイル鉄心端部42におけるコイルスロットの配置(上コイル213の両側面の測定)やバインド帯支え取付ボルト(内側)224の配置、上コイル角度等の部位を中心に測定し、これらの測定データは図示しないメモリに記憶される。図15はその中のバインド帯支え取付ボルト(内側)224の測定例である。
【0055】
この場合、基準座標系や共通要素は、図19中のS13に対応する図に示すように、ステータ鉄心211における所定の部位を中心に、外側間隔片212、バインド帯支え221、シールド板226等における所定の部位を3次元軸として取っている。
【0056】
ここで、図16は上述した図13の測定によるコイルスロット配置の形状測定データ例を示すものであり、コイル鉄心端部の上コイル213の両側面などを測定することで得られる。
【0057】
また、図17は上述した図13の測定によるバインド帯支え221及びバインド帯支え取付ボルト(内側)224配置の形状測定データ例を示すものであり、バインド帯支え221の両側面やバインド帯支え取付ボルト(内側)224の六角頭部の2側面以上を測定することで得られる。
【0058】
さらに、ステップS14は、ターミナルボックス底板(非磁性体)の上部補強からの測定ステップで、具体的には次のようにして行われる。
【0059】
図18はクランプ式冶具(図3に示す)71を装着した多関節接触式3次元形状測定装置81をマンホール210からターミナルボックス208内に入れ、該多関節接触式3次元形状測定装置81をターミナルボックス底板(非磁性体)209の上部補強に固定した測定範囲Dの測定例を示すものである。
【0060】
図18において、多関節接触式3次元形状測定装置81は接続銅帯217、ブッシングコネクタ218、高圧ブッシング219の配置等の部位を中心に測定し、これらの測定データは図示しないメモリに記憶される。
【0061】
この場合、基準座標系や共通要素は、図19中のS14に対応する図に示すように、外周板204における所定の部位を中心に、隔板207、ターミナルボックス底板209等における所定の部位を3次元軸として取っている。
【0062】
図5において、S15は前述したようにステップS12〜ステップS14で測定されたステータコイル接続組立の測定範囲B〜Dの各形状測定データを座標情報として取り込んで、基準座標系や共通要素によりCAD上で合成し、多関節接触式3次元形状測定装置として一つの形状データにまとめる合成ステップである。すなわち、図19中のS15=S12+S13+S14に対応する図に示すように、多関節接触式3次元形状測定装置により得られたステータコイル接続組立の主に端板からコイルエンド下部までの部位の測定範囲Bの各形状測定データ(ステップS12)、ステータコイル接続組立の主にステータ鉄心からコイルエンド下部までの部位の測定範囲Cの各形状測定データ(ステップS13)、及びステータコイル接続組立の主にターミナルボックスからコイルエンド下部までの部位の測定範囲Dの各形状測定データ(ステップS14)をそれぞれ座標情報として取得し、これらの各座標情報をステップS15により基準座標系や共通要素によりCAD上で合成し、多関節接触式3次元形状測定装置として一つの形状データにまとめる。
【0063】
また、S16は測定ステップS11により測定されたレーザ非接触式3次元形状測定装置による測定範囲Aの点群データを変換した3次元CADデータと合成ステップS15で合成された多関節接触式3次元形状測定装置による測定範囲B〜Dの各形状測定データの3次元CADデータとをステップS17による手計測による局所的な部位の形状データも加えて、総合的に合成するステップである。
【0064】
そして、ステップS18では、この合成ステップS16で合成されたCADデータからステータコイル接続組立全体の設計図が作成される。
【0065】
このように本発明の実施形態では、ステータ鉄心211に設けられた軸方向に貫通するスロットに上コイル213及び下コイル214からなるステータコイルが収納され、このステータコイルのコイルエンド部に対応させてターミナルボックス208が設けられると共に、該ターミナルボックスを構成するステータフレームの外周板204に、コイルエンド部に接続されるヘッダーケーシングパイプ216、防風板を取付けるための防風板取付板206及びベアリングブラケット202を取付けるための端板203がそれぞれ取付られたタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状を測定するに際して、レーザ非接触式3次元形状測定装置41により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立外部から直接見える部位の3次元形状を測定するステップS11と、複数本のアームを回転位置を検出するエンコーダが内蔵された関節により連結された多関節接触式3次元形状測定装置81を外周板204の内径面にマグネット式冶具61または防風板取付板206にクランプ式冶具71により固定して主に端板203からコイルエンド下部までの範囲の3次元形状を測定するステップS12と、多関節接触式3次元形状測定装置81をステータ鉄心211の内径面にマグネット式冶具61により固定して主にステータ鉄心211からコイルエンド下部までの範囲の3次元形状を測定するステップS13と、多関節接触式3次元形状測定装置81をターミナルボックス底板209の上部補強部にクランプ式冶具71により固定して主にターミナルボックス208からコイルエンド下部までの範囲の3次元形状を測定するステップS14と、これらステップS12乃至ステップS14でそれぞれ測定されたステータコイル接続組立の各形状測定データを基準座標系や共通要素で一つの形状測定データとしてCAD上で合成するステップS15と、ステップS11で測定された3次元形状データとステップS15で合成された3次元形状データ及び手計測による局所的な部位の形状測定データを総合的に合成するステップS17と、このステップS17で総合的に合成されたデータをもとにステータコイル接続組立全体の設計図を起こすステップS18とを備えたものである。
【0066】
したがって、このようなタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法によれば、レーザ非接触式3次元形状測定装置41においては、測定範囲がステータコイル接続外部から直接見える部分に限られるが、やや粗い精度で全体の構造を把握することができ、また、多関節接触式3次元形状測定装置81においては、マグネット式やクランプ式といった専用治具61,71を装着し、測定中に座標原点がずれないように確りと固定することができるので、ステータコイル接続組立内部からコイルエンド下部等の物理的にアクセスしにくい部位の表面形状を容易に且つ高精度に測定することが可能である。さらに、測定装置の固定位置を変えることで、外周板204の内径面(防風板取付板206の内径面)やステータ鉄心211の内径面、ターミナルボックス底板209の上部補強部といった内部の種々の場所からの測定が可能となり、後からそれらの形状測定データを基準座標系や共通要素によりCAD上で合成することもできる。そして、これら用途に応じて取得した形状測定データを総合的に合成することで、現品から設計図を起こすことができる。
【0067】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
201…ロータ、202…ベアリングブラケット、203…端板、204…外周板、205…防風板、206…防風板取付板、207…隔板、208…ターミナルボックス、209…ターミナルボックス底板、210…マンホール、211ステータ鉄心、212…外側間隔片、213…上コイル、214…下コイル、215…絶縁接続管、216…ヘッダーケーシングパイプ、217…接続銅帯、218…ブッシングコネクタ、219…高圧ブッシング、221…バインド帯支え、222…バインド帯支え取付座、223…バインド帯支え取付座、224…バインド帯支え取付ボルト、225…バインド帯支え取付ボルト、226…シールド板、227…ステータ押え板、41…レーザ非接触式3次元形状測定装置、42…コイル鉄心端部、43…コイルインボリュート部、44…コイルシリーズ部、45…上コイル角度、46…下コイル角度、47…コイルエンド部、61…多関節接触式3次元形状測定装置用マグネット式治具、62…台座、63…マウントリング、64…マグネットベース、65…つまみ、66…可動ボール関節、71…多関節接触式3次元形状測定装置用クランプ式治具、72…本体、73…締付ネジ、74…メネジ、75…背板、76…抜け止めピン機構、81…多関節接触式3次元形状測定装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、タービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状を計測し、その計測情報に基づいてステータコイルの接続組立を行う際に使用されるCADデータを作成する3次元形状測定方法及び3次元形状測定装置用冶具に関する。
【背景技術】
【0002】
タービン発電機におけるステータコイルは、その電気絶縁等が経年劣化するため、現地で定期的にステータコイルの巻き替え工事が行われる。
【0003】
このような工事を行うに際しては、ステータコイルの接続組立図面が必要であるが、自社製以外にはステータコイルの接続組立図面がないことから、受注するのは自社製の場合に限られていた。しかし、図面のない他社製の場合でも、現品の形状測定データから逆に設計図を起こすこと(リバースエンジニアリング)ができれば、ステータコイルの巻き替え工事が可能である。
【0004】
ところで、リバースエンジニアリングを行うための3次元形状測定方法及び3次元形状測定装置としては、タービン発電機ロータを対象としたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−278995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この3次元形状測定方法及び3次元形状測定装置は、形状が比較的シンプルな発電機ロータに適用することはできるが、タービン発電機におけるステータコイルの接続組立を対象とする場合にはそのまま適用することができない。
【0007】
特にタービン側及びコレクタ側の両コイルエンド部においては、構造が複雑で、かつ測定に適した機械加工面の少ないステータコイル接続組立に対して、現品の表面形状測定を実施する場合には、一般的にノギスやマイクロメータ等を用いた手計測手法が採用されている。
【0008】
しかし、この手法は局所的な部位の測定には適するが、その他の部位によっては、大径部やスペース等の制約で、そもそも物理的に測定することが困難であり、ピッチ円上の部品やボルト配置等の相対寸法に対しては、測定点数が多くなり、測定精度が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は上記のような事情に鑑みなされたもので、ステータコイル接続組立の表面形状の座標情報がCADデータ形式で取得可能なレーザ非接触式3次元形状測定装置と多関節接触式3次元形状測定装置を併用することで、表面形状を容易に高精度に測定することができるタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法及び3次元形状測定装置用冶具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の目的を達成するため、ステータ鉄心に設けられた軸方向に貫通するスロットにステータコイルが収納され、このステータコイルのコイルエンド部に対応させてターミナルボックスが設けられると共に、該ターミナルボックスを構成するステータフレームの外周板に、コイルエンド部に接続されるヘッダーケーシングパイプ、防風板を取付けるための取付板及びベアリングブラケットを取付けるための端板がそれぞれ取付けられたタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法において、レーザ非接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第1のステップと、回転位置を検出するエンコーダが内蔵された関節により複数本のアームを連結してなる多関節接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第2のステップと、前記第1の測定ステップで測定された3次元形状データと前記第2の測定ステップで測定された3次元形状データ及び手計測による局所的な部位の形状測定データを総合的に合成して最終的にステータコイル接続組立の設計図を起こす第3のステップとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ステータコイル接続組立の表面形状の座標情報をCADデータ形式で取得可能なレーザ非接触式3次元形状測定装置と多関節接触式3次元形状測定装置を併用することで、表面形状を容易に高精度に測定することができるタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法及びこの方法で使用される3次元形状測定装置用冶具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明が測定対象として適用されるタービン発電機におけるステータコイル接続組立図。
【図2】(a)〜(c)は本発明で使用される多関節接触式3次元形状測定装置用マグネット式冶具を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図。
【図3】(a)〜(c)は本発明で使用される多関節接触式3次元形状測定装置用クランプ式冶具を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)のA−A線に沿う矢視断面図。
【図4】本発明のステータコイル接続組立の3次元形状測定方法によるステータコイル接続組立に対する3次元形状測定装置の測定範囲の一例を示す図。
【図5】本発明によるタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法の実施形態を説明するためのフローチャート図。
【図6】同実施形態のレーザ非接触式3次元形状測定装置による第1の測定例を示す図。
【図7】同実施形態のレーザ非接触式3次元形状測定装置による第2の測定例を示す図。
【図8】同実施形態において、マグネット式治具を用いて外周板内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第1の測定例を示す図。
【図9】同実施形態において、マグネット式治具を用いて外周板内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第2の測定例を示す図。
【図10】同実施形態において、クランプ式治具を用いて防風板取付板の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第1の測定例を示す図。
【図11】同実施形態において、クランプ式治具を用いて防風板取付板の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第2の測定例を示す図。
【図12】同実施形態において、クランプ式治具を用いて防風板取付板の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第3の測定例を示す図。
【図13】同実施形態において、マグネット式治具を用いてステータ鉄心内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第1の測定例を示す図。
【図14】同実施形態において、マグネット式治具を用いてステータ鉄心内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第2の測定例を示す図。
【図15】同実施形態において、マグネット式治具を用いてステータ鉄心内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第3の測定例を示す図。
【図16】同実施形態において、多関節接触式3次元形状測定装置によるコイルスロット配置の形状測定データ例を示す図。
【図17】同実施形態において、多関節接触式3次元形状測定装置によるバインド帯支え及びバインド帯支え取付ボルト配置の形状測定データ例を示す図。
【図18】同実施形態において、クランプ式治具を用いてターミナルボックス底部補強部に固定した多関節接触式3次元形状測定装置による第2の測定例を示す図。
【図19】同実施形態において、3次元形状測定を行う際の基準座標系や共通要素の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明によるタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法を説明するための実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
まず、タービン発電機におけるステータコイルの接続組立について説明する。
【0015】
図1はステータコイル接続組立図を示すもので、211はロータ201を中心にその外周を包囲するように適宜の間隙を存して配置されたステータ鉄心であり、このステータ鉄心211の内周側に軸方向に貫通する複数のスロットが等間隔を存してそれぞれ設けられ、これら各スロットには上コイル213と下コイル214とが2層にしてそれぞれ収められている。
【0016】
また、ステータ鉄心211の両端面側に外側間隔片212を介してステータ押え板227が配置されると共に、これらはボルト締めにより固定されている。
【0017】
さらに、ステータ鉄心211の両端面側(図では片方の端面側を示す)より外側間隔片212を介して外部に導出された上コイル213及び下コイル214のコイルエンド下部構造物はバインド帯支え221により支持され、このバインド帯支え221はバインド帯支え取付座222,223及びシールド板226を介してステータ押え板227にバインド帯支え取付ボルト224,225により固定されて組立てられる。
【0018】
一方、208はコイルエンド部に対応させて設けられ、ステータ鉄心フレームに取付けられたターミナルボックスで、このターミナルボックス208の側面には常時は蓋体により閉塞される装置類の出し入れ作業を行うためのマンホール210が設けられ、ターミナルボックス208内には上コイル213及び下コイル214のコイルエンドに接続された接続銅帯217が配置され、この接続銅帯217はターミナルボックス208の底板209を貫通させて取付けられた高圧ブッシング219の内端に有するブッシングコネクタ218に接続されている。
【0019】
また、ターミナルボックス208を構成するステータフレームの外周板204には、上コイル213及び下コイル214のコイルエンド部に絶縁接続管215を介して接続された冷却水通流用のヘッダーケーシングパイプ216が取付けられ、さらに防風板205を取付けるための防風板取付板206が取付けられると共に、ベアリングブラケット202を取付けるための端板203が取付けられている。
【0020】
本発明では、このように構成されたタービン発電機のステータコイル接続組立に対して、その測定部位に応じてレーザ非接触式3次元形状測定装置による測定、多関節接触式3次元形状測定装置による測定に適した測定範囲を設定し、さらにこれらの3次元形状測定装置による測定が困難な測定部位に対しては手計測による表面形状測定を行い、これら各測定範囲の測定データを総合的に合成して全体のステータコイル接続組立の設計図を作成するものである。
【0021】
ここで、レーザ非接触式3次元形状測定装置は、測定範囲がステータコイル接続組立外部から直接見える部位の表面形状及び内面形状をレーザ測定するものである。
【0022】
また、多関節接触式3次元形状測定装置は、複数本のアームをエンコーダ(回転位置検出センサ)が内蔵された関節(軸)により屈曲可能に連結すると共に、先端に有するボールを中心に三次元座標を取得するプローブを備え、プローブ先端に有するボールを測定対象物に接触させながら移動させたときの変化量と関節間のアーム長さから三次元座標情報を求めるようにしたものであり、円、線、平面、円筒、円錐等の各要素の測定が可能である。
【0023】
この場合、プローブ先端には必要に応じ、プローブエクステンションをつなぎ足したり、直線状のプローブに代えて屈曲プローブを装着したりすることが可能である。また、プローブエクステンションをつけた場合のプローブ先端長さは測定開始時の校正により認識することが可能になっている。
【0024】
ところで、このような多関節接触式3次元形状測定装置において、ステータコイル接続組立内部からコイルエンド下部等の物理的に直接アクセスしにくい部位を測定する場合、座標原点がずれないように必要がある。
【0025】
このため、本発明では多関節接触式3次元形状測定装置にマグネット式やクランプ式の専用冶具を装着して座標原点がずれないように固定し、直接アクセスしにくい部位の測定を可能にしたものである。
【0026】
マグネット式冶具は、アーム先端に自在に外周板内径面やステータ鉄心内径面といったステータコイル接続組立内部に固定する場合に好適であり、クランプ式冶具は防風板取付板内径面やターミナルボックス底板上部補強といったステータコイル接続組立内部に固定する場合に好適である。
【0027】
図2(a)〜(c)は多関節接触式3次元形状測定装置用マグネット式冶具61を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【0028】
図2(a)〜(c)に示すように、円板状の台座62の上面中央部に外径がネジ加工されたマウントリング63が設けられ、このマウントリング63に多関節接触式3次元形状測定装置がその固定端に形成されたネジ部を螺合させて装着される。
【0029】
また、台座62の下面周囲部に複数個(図では3個)のマグネットベース64が可動ボール関節66を介してそれぞれ等間隔に取付けられている。この場合、マグネットベース64は固定箇所が内径面等の曲面部にも安定して設置が可能なように可動ボール関節66を調整した状態を保持するための止めネジ67と、マグネットベース64に内蔵されたマグネットによる吸着力をオン、オフするつまみ65とを備えている。
【0030】
図3(a)〜(c)は多関節接触式3次元形状測定装置用クランプ式冶具71を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(b)のA−A線に沿う矢視断面図である。
【0031】
図3(a)〜(c)に示すように、断面が逆L字状の本体72の上面中央部に外径がネジ加工されたマウントリング63が設けられ、このマウントリング63に多関節接触式3次元形状測定装置がその固定端に形成されたネジ部を螺合させて装着される。
【0032】
また、逆L字状の本体72の前面板と対向する後方空間部に背板75が設けられ、この背板75の上部を貫通させて設けられた孔に圧入されたメネジ74に向けて本体72の前面板を貫通させて挿入された締付けネジ73を螺挿し、この締付けネジ73を締付け方向またはこれとは逆方向に回すことにより背板75が前面板に接近または離れる方向に平行移動可能になっている。
【0033】
したがって、本体72の前面板と背板75との間に例えば防風板取付板206を挟み込み、締付けネジ73を締付けることで防風板取付板206をクランプして固定される。この場合、防風板取付板206のネジ孔などに挿入される落下防止用の抜け止めピン機構76を備えている。
【0034】
かかるクランプ式冶具71は鉛直真下付近だけでなく、左右水平付近への固定もできるので、前述したマグネット式冶具よりも広い範囲で使用できる。
【0035】
次に前述したレーザ非接触式3次元形状測定装置及びマグネット式冶具またはクランプ式冶具を装着した多関節接触式3次元形状測定装置を用いてステータコイル接続組立の3次元形状測定方法について説明するに、まず、ステータコイル接続組立に対する各3次元形状測定装置による測定範囲について述べる。
【0036】
図4はステータコイル接続組立に対する3次元形状測定装置による各々の測定範囲A〜Dを示すものである。
【0037】
図4において、測定範囲Aはレーザ非接触式3次元形状測定装置によりステータコイル接続組立外部から直接見える部位を測定する範囲であり、測定範囲Bは多関節接触式3次元形状測定装置によりステータコイル接続組立の主に端板からコイルエンド下部までの部位を測定する範囲であり、測定範囲Cは多関節接触式3次元形状測定装置によりステータコイル接続組立の主にステータ鉄心からコイルエンド下部までの部位を測定する範囲であり、測定範囲Dは多関節接触式3次元形状測定装置によりステータコイル接続組立の主にターミナルボックスからコイルエンド下部までの部位を測定する範囲である。
【0038】
また、測定の実施にあたっては、図2に二点鎖線で示すロータ201やベアリングブラケット202、防風板205は測定前に予め分解しておく必要がある。
【0039】
以下、図5に示すフロー図に従ってステータコイル接続組立の3次元形状測定方法を説明する。
【0040】
図5において、S11はレーザ非接触式3次元形状測定装置による測定ステップで、この測定ステップS11では、具体的には次のようにして行われる。
【0041】
図6及び図7はレーザ非接触式3次元形状測定装置による測定範囲Aの測定例を示すものである。
【0042】
図6及び図7において、レーザ非接触式3次元形状測定装置41はステータコイル接続組立外部のフロア−面に三脚等で固定され、この位置から直接見える部分、主にコイル鉄心端部42からコイルシリーズ部44までのコイルインボリュート部43やコイル角度45,46、絶縁接続管215及びヘッダーケーシングパイプ216の配置、接続銅帯217の配置等を測定し、これらの測定データは点群データとして図示しないメモリに記憶される。
【0043】
図5において、S12〜S14は多関節接触式3次元形状測定装置による測定ステップで、ステップS12は外周板内径面または防風板取付板内径面からの測定ステップで、具体的には次のようにして行われる。
【0044】
図8及び図9はマグネット式冶具(図2に示す)61を装着して外周板204の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置81による測定範囲Bの測定例を示すものである。
【0045】
図8及び図9において、多関節接触式3次元形状測定装置81はコイルエンド下部のバインド帯支え221やバインド帯支え取付けボルト224,225、接続銅帯217、各種コイルエンド下部構造物等の部位を中心に測定し、これらの測定データは図示しないメモリに記憶される。
【0046】
この場合、基準座標系や共通要素は、図19中のS12に対応する図に示すように、例えば端板203や防風板取付板206における所定の部位を中心に、バインド帯支え221、シールド板226、隔板207等における所定の部位を3次元軸として取っている。
【0047】
上記では外周板内径面からの測定であるが、防風板取付板内径面からの測定を行う場合にはクランプ式冶具(図3に示す)71を装着して防風板取付板206の内径面に固定することにより多関節接触式3次元形状測定装置81による測定範囲Bの測定が可能である。
【0048】
図10、図11、図12はクランプ式冶具(図3に示す)71を装着して防風板取付板206の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置81による測定範囲Bの測定例を示すものである。
【0049】
図10乃至図12において、多関節接触式3次元形状測定装置81はコイルエンド下部のバインド帯支え221やバインド帯支え取付けボルト224,225、接続銅帯217、各種コイルエンド下部構造物等の部位を中心に測定し、これらの測定データは図示しないメモリに記憶される。
【0050】
この場合、基準座標系や共通要素は、図19中のS12に対応する図に示すように、例えば端板203や防風板取付板206における所定の部位を中心に、バインド帯支え221、シールド板226、隔板207等における所定の部位を3次元軸として取っている。
【0051】
なお、クランプ式冶具による固定箇所は、防風板取付板206以外の板であってもよいことは云うまでもない。
【0052】
また、ステップS13は、ステータ鉄心内径面からの測定ステップで、具体的には次のようにして行われる。
【0053】
図13、図14、図15はマグネット式冶具(図2に示す)61を装着してステータ鉄心211の内径面に固定した多関節接触式3次元形状測定装置81による測定範囲Cの測定例を示すものである。
【0054】
図13乃至図15において、多関節接触式3次元形状測定装置81はコイル鉄心端部42におけるコイルスロットの配置(上コイル213の両側面の測定)やバインド帯支え取付ボルト(内側)224の配置、上コイル角度等の部位を中心に測定し、これらの測定データは図示しないメモリに記憶される。図15はその中のバインド帯支え取付ボルト(内側)224の測定例である。
【0055】
この場合、基準座標系や共通要素は、図19中のS13に対応する図に示すように、ステータ鉄心211における所定の部位を中心に、外側間隔片212、バインド帯支え221、シールド板226等における所定の部位を3次元軸として取っている。
【0056】
ここで、図16は上述した図13の測定によるコイルスロット配置の形状測定データ例を示すものであり、コイル鉄心端部の上コイル213の両側面などを測定することで得られる。
【0057】
また、図17は上述した図13の測定によるバインド帯支え221及びバインド帯支え取付ボルト(内側)224配置の形状測定データ例を示すものであり、バインド帯支え221の両側面やバインド帯支え取付ボルト(内側)224の六角頭部の2側面以上を測定することで得られる。
【0058】
さらに、ステップS14は、ターミナルボックス底板(非磁性体)の上部補強からの測定ステップで、具体的には次のようにして行われる。
【0059】
図18はクランプ式冶具(図3に示す)71を装着した多関節接触式3次元形状測定装置81をマンホール210からターミナルボックス208内に入れ、該多関節接触式3次元形状測定装置81をターミナルボックス底板(非磁性体)209の上部補強に固定した測定範囲Dの測定例を示すものである。
【0060】
図18において、多関節接触式3次元形状測定装置81は接続銅帯217、ブッシングコネクタ218、高圧ブッシング219の配置等の部位を中心に測定し、これらの測定データは図示しないメモリに記憶される。
【0061】
この場合、基準座標系や共通要素は、図19中のS14に対応する図に示すように、外周板204における所定の部位を中心に、隔板207、ターミナルボックス底板209等における所定の部位を3次元軸として取っている。
【0062】
図5において、S15は前述したようにステップS12〜ステップS14で測定されたステータコイル接続組立の測定範囲B〜Dの各形状測定データを座標情報として取り込んで、基準座標系や共通要素によりCAD上で合成し、多関節接触式3次元形状測定装置として一つの形状データにまとめる合成ステップである。すなわち、図19中のS15=S12+S13+S14に対応する図に示すように、多関節接触式3次元形状測定装置により得られたステータコイル接続組立の主に端板からコイルエンド下部までの部位の測定範囲Bの各形状測定データ(ステップS12)、ステータコイル接続組立の主にステータ鉄心からコイルエンド下部までの部位の測定範囲Cの各形状測定データ(ステップS13)、及びステータコイル接続組立の主にターミナルボックスからコイルエンド下部までの部位の測定範囲Dの各形状測定データ(ステップS14)をそれぞれ座標情報として取得し、これらの各座標情報をステップS15により基準座標系や共通要素によりCAD上で合成し、多関節接触式3次元形状測定装置として一つの形状データにまとめる。
【0063】
また、S16は測定ステップS11により測定されたレーザ非接触式3次元形状測定装置による測定範囲Aの点群データを変換した3次元CADデータと合成ステップS15で合成された多関節接触式3次元形状測定装置による測定範囲B〜Dの各形状測定データの3次元CADデータとをステップS17による手計測による局所的な部位の形状データも加えて、総合的に合成するステップである。
【0064】
そして、ステップS18では、この合成ステップS16で合成されたCADデータからステータコイル接続組立全体の設計図が作成される。
【0065】
このように本発明の実施形態では、ステータ鉄心211に設けられた軸方向に貫通するスロットに上コイル213及び下コイル214からなるステータコイルが収納され、このステータコイルのコイルエンド部に対応させてターミナルボックス208が設けられると共に、該ターミナルボックスを構成するステータフレームの外周板204に、コイルエンド部に接続されるヘッダーケーシングパイプ216、防風板を取付けるための防風板取付板206及びベアリングブラケット202を取付けるための端板203がそれぞれ取付られたタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状を測定するに際して、レーザ非接触式3次元形状測定装置41により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立外部から直接見える部位の3次元形状を測定するステップS11と、複数本のアームを回転位置を検出するエンコーダが内蔵された関節により連結された多関節接触式3次元形状測定装置81を外周板204の内径面にマグネット式冶具61または防風板取付板206にクランプ式冶具71により固定して主に端板203からコイルエンド下部までの範囲の3次元形状を測定するステップS12と、多関節接触式3次元形状測定装置81をステータ鉄心211の内径面にマグネット式冶具61により固定して主にステータ鉄心211からコイルエンド下部までの範囲の3次元形状を測定するステップS13と、多関節接触式3次元形状測定装置81をターミナルボックス底板209の上部補強部にクランプ式冶具71により固定して主にターミナルボックス208からコイルエンド下部までの範囲の3次元形状を測定するステップS14と、これらステップS12乃至ステップS14でそれぞれ測定されたステータコイル接続組立の各形状測定データを基準座標系や共通要素で一つの形状測定データとしてCAD上で合成するステップS15と、ステップS11で測定された3次元形状データとステップS15で合成された3次元形状データ及び手計測による局所的な部位の形状測定データを総合的に合成するステップS17と、このステップS17で総合的に合成されたデータをもとにステータコイル接続組立全体の設計図を起こすステップS18とを備えたものである。
【0066】
したがって、このようなタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法によれば、レーザ非接触式3次元形状測定装置41においては、測定範囲がステータコイル接続外部から直接見える部分に限られるが、やや粗い精度で全体の構造を把握することができ、また、多関節接触式3次元形状測定装置81においては、マグネット式やクランプ式といった専用治具61,71を装着し、測定中に座標原点がずれないように確りと固定することができるので、ステータコイル接続組立内部からコイルエンド下部等の物理的にアクセスしにくい部位の表面形状を容易に且つ高精度に測定することが可能である。さらに、測定装置の固定位置を変えることで、外周板204の内径面(防風板取付板206の内径面)やステータ鉄心211の内径面、ターミナルボックス底板209の上部補強部といった内部の種々の場所からの測定が可能となり、後からそれらの形状測定データを基準座標系や共通要素によりCAD上で合成することもできる。そして、これら用途に応じて取得した形状測定データを総合的に合成することで、現品から設計図を起こすことができる。
【0067】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
201…ロータ、202…ベアリングブラケット、203…端板、204…外周板、205…防風板、206…防風板取付板、207…隔板、208…ターミナルボックス、209…ターミナルボックス底板、210…マンホール、211ステータ鉄心、212…外側間隔片、213…上コイル、214…下コイル、215…絶縁接続管、216…ヘッダーケーシングパイプ、217…接続銅帯、218…ブッシングコネクタ、219…高圧ブッシング、221…バインド帯支え、222…バインド帯支え取付座、223…バインド帯支え取付座、224…バインド帯支え取付ボルト、225…バインド帯支え取付ボルト、226…シールド板、227…ステータ押え板、41…レーザ非接触式3次元形状測定装置、42…コイル鉄心端部、43…コイルインボリュート部、44…コイルシリーズ部、45…上コイル角度、46…下コイル角度、47…コイルエンド部、61…多関節接触式3次元形状測定装置用マグネット式治具、62…台座、63…マウントリング、64…マグネットベース、65…つまみ、66…可動ボール関節、71…多関節接触式3次元形状測定装置用クランプ式治具、72…本体、73…締付ネジ、74…メネジ、75…背板、76…抜け止めピン機構、81…多関節接触式3次元形状測定装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ鉄心に設けられた軸方向に貫通するスロットにステータコイルが収納され、このステータコイルのコイルエンド部に対応させてターミナルボックスが設けられると共に、該ターミナルボックスを構成するステータフレームの外周板に、コイルエンド部に接続されるヘッダーケーシングパイプ、防風板を取付けるための取付板及びベアリングブラケットを取付けるための端板がそれぞれ取付けられたタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法において、
レーザ非接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第1のステップと、
エンコーダが内蔵された関節により複数本のアームを連結してなる多関節接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第2のステップと、
前記第1の測定ステップで測定された3次元形状データと前記第2の測定ステップで測定された3次元形状データ及び手計測による局所的な部位の形状測定データを総合的に合成して最終的にステータコイル接続組立の設計図を起こす第3のステップと、
を備えたことを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項2】
請求項1記載のタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法において、
前記第1のステップで測定されるレーザ非接触式3次元形状測定装置による測定範囲は、ステータコイル接続組立外部から直接見える部位であることを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項3】
請求項1記載のタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法において、
前記第2のステップで測定される多関節接触式3次元形状測定装置による測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定は、多関節接触式3次元形状測定装置を前記外周板の内径面にマグネット式冶具または前記防風板取付板にクランプ式冶具により固定して主に端板からコイルエンド下部までの範囲の測定であることを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項4】
請求項1記載のタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法において、
前記第2のステップで測定される多関節接触式3次元形状測定装置による測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定は、多関節接触式3次元形状測定装置を前記ステータ鉄心内径面にマグネット式冶具により固定して主にステータ鉄心からコイルエンド下部までの範囲の測定であることを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項5】
請求項1記載のタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法において、
前記第2のステップで測定される多関節接触式3次元形状測定装置による測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定は、多関節接触式3次元形状測定装置を前記ターミナルボックス底板上部補強部にクランプ式冶具により固定して主にターミナルボックスからコイルエンド下部までの範囲の測定であることを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載のタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法において、
前記第2のステップで測定される多関節接触式3次元形状測定装置による測定範囲におけるステータコイル接続組立の各形状測定データを基準座標系や共通要素で一つの形状測定データとしてまとめて前記第3のステップに与える合成ステップを備えたことを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項7】
請求項3又は4に記載のステータコイルの接続組立の3次形状測定方法で使用されるマグネット式冶具は、台座の上面に多関節接触式3次元形状測定装置の固定端のネジ部に螺着されるマウントリングが設けられ、前記台座の下面に前記外周板の内径面またはステータ鉄心内径面に吸着させる複数個のマグネットベースが可動ボール関節を介してそれぞれ適宜の間隔を存して取付けられて構成されたことを特徴とする多関節接触式3次元形状測定装置用マグネット式冶具。
【請求項8】
請求項3又は5に記載のステータコイルの接続組立の3次形状測定方法で使用されるクランプ式治具は、前面板と上面板からなる本体の前記上面板に多関節接触式3次元形状測定装置の固定端のネジ部に螺着されるマウントリングが設けられ、前記本体の前面板と対向する後方空間部に設けられた背板の上部に設けられたネジ孔に前記前面板を貫通させて挿入された締付けネジを螺挿し、この締付けネジにより前記背板を前記前面板に接近または離れる方向に平行移動させてこれら背板及び前面板により前記防風板取付板またはターミナルボックス底板上部補強部をクランプするように構成されたことを特徴とする多関節接触式3次元形状測定装置用クランプ式治具。
【請求項1】
ステータ鉄心に設けられた軸方向に貫通するスロットにステータコイルが収納され、このステータコイルのコイルエンド部に対応させてターミナルボックスが設けられると共に、該ターミナルボックスを構成するステータフレームの外周板に、コイルエンド部に接続されるヘッダーケーシングパイプ、防風板を取付けるための取付板及びベアリングブラケットを取付けるための端板がそれぞれ取付けられたタービン発電機におけるステータコイル接続組立の3次元形状測定方法において、
レーザ非接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第1のステップと、
エンコーダが内蔵された関節により複数本のアームを連結してなる多関節接触式3次元形状測定装置により予め設定された測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定部位の3次元形状を測定する第2のステップと、
前記第1の測定ステップで測定された3次元形状データと前記第2の測定ステップで測定された3次元形状データ及び手計測による局所的な部位の形状測定データを総合的に合成して最終的にステータコイル接続組立の設計図を起こす第3のステップと、
を備えたことを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項2】
請求項1記載のタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法において、
前記第1のステップで測定されるレーザ非接触式3次元形状測定装置による測定範囲は、ステータコイル接続組立外部から直接見える部位であることを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項3】
請求項1記載のタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法において、
前記第2のステップで測定される多関節接触式3次元形状測定装置による測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定は、多関節接触式3次元形状測定装置を前記外周板の内径面にマグネット式冶具または前記防風板取付板にクランプ式冶具により固定して主に端板からコイルエンド下部までの範囲の測定であることを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項4】
請求項1記載のタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法において、
前記第2のステップで測定される多関節接触式3次元形状測定装置による測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定は、多関節接触式3次元形状測定装置を前記ステータ鉄心内径面にマグネット式冶具により固定して主にステータ鉄心からコイルエンド下部までの範囲の測定であることを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項5】
請求項1記載のタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法において、
前記第2のステップで測定される多関節接触式3次元形状測定装置による測定範囲におけるステータコイル接続組立の測定は、多関節接触式3次元形状測定装置を前記ターミナルボックス底板上部補強部にクランプ式冶具により固定して主にターミナルボックスからコイルエンド下部までの範囲の測定であることを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項6】
請求項3乃至5のいずれか1項に記載のタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法において、
前記第2のステップで測定される多関節接触式3次元形状測定装置による測定範囲におけるステータコイル接続組立の各形状測定データを基準座標系や共通要素で一つの形状測定データとしてまとめて前記第3のステップに与える合成ステップを備えたことを特徴とするタービン発電機におけるステータコイルの接続組立の3次形状測定方法。
【請求項7】
請求項3又は4に記載のステータコイルの接続組立の3次形状測定方法で使用されるマグネット式冶具は、台座の上面に多関節接触式3次元形状測定装置の固定端のネジ部に螺着されるマウントリングが設けられ、前記台座の下面に前記外周板の内径面またはステータ鉄心内径面に吸着させる複数個のマグネットベースが可動ボール関節を介してそれぞれ適宜の間隔を存して取付けられて構成されたことを特徴とする多関節接触式3次元形状測定装置用マグネット式冶具。
【請求項8】
請求項3又は5に記載のステータコイルの接続組立の3次形状測定方法で使用されるクランプ式治具は、前面板と上面板からなる本体の前記上面板に多関節接触式3次元形状測定装置の固定端のネジ部に螺着されるマウントリングが設けられ、前記本体の前面板と対向する後方空間部に設けられた背板の上部に設けられたネジ孔に前記前面板を貫通させて挿入された締付けネジを螺挿し、この締付けネジにより前記背板を前記前面板に接近または離れる方向に平行移動させてこれら背板及び前面板により前記防風板取付板またはターミナルボックス底板上部補強部をクランプするように構成されたことを特徴とする多関節接触式3次元形状測定装置用クランプ式治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−160135(P2010−160135A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240598(P2009−240598)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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