説明

ターボチャージャ

【課題】リンク機構を確実に支持することができ、かつリンク機構の小型化が可能で、リンク機構を保護することができるターボチャージャを提供する。
【解決手段】排気ノズル8は、タービンインペラ2の周囲に支持軸9によって回動可能に支持された複数のノズルベーン10と、支持軸9を回動させるリンク機構20と、を備え、リンク機構20の内周側に保護部材16が配置されて、リンク機構20の内周側が保護部材16に当接するように設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ターボチャージャに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、タービンインペラを回転可能に支持する軸受けハウジングと、タービンインペラに排気ガスを供給するスクロール流路が形成されたタービンハウジングと、スクロール流路内からタービンインペラ側に供給される排気ガスの圧力を調整する排気ノズルと、を備えた可変容量型のターボチャージャが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−125588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のターボチャージャでは、排気ノズルの開閉を行うリンク機構を小型化させると、リンク機構を安定的に支持することができないという課題がある。
図4に示すように、特許文献1のターボチャージャ801では、アクチュエータ等の駆動源に連結され、排気ノズル808のノズルベーン810の支持軸809を回動させるリンク機構820が、タービンハウジング805の外周側の壁面Wと当接するように設けられている。これにより、リンク機構820を壁面Wによって支持し、リンク機構820を安定した状態で駆動させることができるようになっている。そのため、例えばリンク機構820を径方向に小型化させて、タービンハウジング805の壁面Wとリンク機構820との間に空間が形成されると、リンク機構820を安定的に支持することが困難になる。したがって、リンク機構820の小型化が困難であり、ターボチャージャ801が大型化してしまうという問題がある。
【0004】
また、図5に示すように、リンク機構920を排気ノズル908に対してベアリングハウジング903と反対側に設け、リンク機構920の内周側をシュラウド912に当接させて支持するターボチャージャ901が知られている。シュラウド912は、例えばステンレス鋼等により形成されている。リンク機構920は排気ガスによる高温に耐えるように耐熱性のステンレス鋼等により形成される。そのため、リンク機構920の内周側をシュラウド912に当接させた場合でも、リンク機構920に悪影響が及ぶことはない。しかし、リンク機構920をベアリングハウジング903と反対側に設けると、リンク機構920の設計の自由度が低下する場合がある。
【0005】
そこで、図5に示すターボチャージャ901において、図4に示すターボチャージャ801のリンク機構820と同様に、リンク機構920を排気ノズル908に対してベアリングハウジング903側に移動させることが考えられる。この場合には、図4に示すターボチャージャ801のリンク機構820と同様に、リンク機構920の内周側をベアリングハウジング903に当接させて支持することになる。通常、ベアリングハウジング903は鋳鉄等の材料により形成され、リンク機構920は排気ガスによる高温に耐えるように耐熱性のステンレス鋼等により形成される。そのため、リンク機構920の内周側とベアリングハウジング903とが当接すると、錆等がリンク機構920に移ることがあり、リンク機構920の保護の観点から好ましくない。
【0006】
そこで、この発明は、リンク機構を確実に支持することができ、かつリンク機構の小型化が可能で、リンク機構を保護することができるターボチャージャを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のターボチャージャは、タービンインペラを回転可能に支持する軸受けハウジングと、前記タービンインペラに排気ガスを供給するスクロール流路が形成されたタービンハウジングと、前記スクロール流路内から前記タービンインペラ側に供給される前記排気ガスの圧力を調整する排気ノズルと、を備えた可変容量型のターボチャージャにおいて、前記排気ノズルは、前記タービンインペラの周囲に支持軸によって回動可能に支持された複数のノズルベーンと、前記支持軸を回動させるリンク機構と、を備え、前記リンク機構の内周側に保護部材が配置されて、前記リンク機構の内周側が前記保護部材に当接するように設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のターボチャージャは、前記保護部材と前記リンク機構とが同じ材料で形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のターボチャージャは、前記保護部材は、前記リンク機構の内周側と前記軸受けハウジングとの間に配置され、前記軸受けハウジングには、前記リンク機構が前記タービンインペラの軸と平行な方向へ移動することを防止する係止部が設けられ、
前記保護部材には前記リンク機構の内周側から外周側へ屈曲された屈曲部が設けられ、
前記屈曲部は、前記係止部と前記リンク機構との間に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のターボチャージャは、前記リンク機構は前記ノズルベーンの前記ベアリングハウジング側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のターボチャージャは、前記保護部材は、前記タービンインペラと前記ベアリングハウジングとの間に設けられた遮熱板と一体的に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のターボチャージャは、前記リンク機構は、周方向に回動可能に設けられた駆動リングと、前記駆動リングの前記周方向に配置された複数のリンク板と、を備え、
前記リンク板の各々は、一端部が前記駆動リングに回動可能に連結され、他端部が前記ノズルベーンの各々の前記支持軸にそれぞれ連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保護部材がリンク機構の内周側に配置されてリンク機構の内周側に当接するように設けられている。そのため、リンク機構の駆動時に、保護部材によってリンク機構を確実に支持することができる。また、リンク機構の内周側を支持することで、リンク機構の径方向の寸法を縮小してリンク機構を小型化することが可能となる。また、リンク機構の内周側とベアリングハウジングとの間に保護部材を設け、リンク機構の内周側と保護部材とを当接させることで、リンク機構とその内周側に配置された他の部材とが直接摺動することを防止して、リンク機構を保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態のターボチャージャは、例えば自動車のエンジンの回転数の増減に基づいてタービンインペラに供給する排気ガスの圧力を調整可能な可変容量型のターボチャージャである。図1は、本実施形態のターボチャージャの断面図である。図2は、図1の部分拡大図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のターボチャージャ1は、タービンインペラ2を回転可能に支持するベアリングハウジング(軸受けハウジング)3を備えている。ベアリングハウジング3の片側には、複数のボルト4によりタービンハウジング5が一体的に取り付けられている。また、ベアリングハウジング3のタービンハウジング5と反対側には、複数のボルト6によりコンプレッサハウジング7が一体的に取り付けられている。
【0016】
図1及び図2に示すように、タービンハウジング5は、タービンインペラ2に排気ガスを供給するスクロール流路5aと、スクロール流路5a内からタービンインペラ2側に供給される排気ガスの圧力を調整する排気ノズル8と、を備えている。スクロール流路5aには、例えばエンジンのシリンダ等に接続された排気ガス取入口(図示略)が設けられている。
【0017】
排気ノズル8は、タービンインペラ2の周囲にタービンインペラ2の軸2aと略平行に設けられた支持軸9によって回動可能に支持された複数のノズルベーン10を備えている。また、排気ノズル8は、排気ガスの流路を形成する一対の排気導入壁12a,12bを備えている。
【0018】
ノズルベーン10は、流線型の翼状の板材により形成され、支持軸9が固定されて支持軸9と一体的に設けられている。
支持軸9は、アクチュエータの動力を支持軸9に伝達して回動させるリンク機構20に連結されている。
【0019】
対向する一対の排気導入壁12a,12bは、連結ピン13により一体的に連結されている。
ベアリングハウジング3側に配置された排気導入壁12aには、ノズルベーン10の支持軸9を回動可能に支持する支持穴11が形成されている。
タービンハウジング5側に設けられた排気導入壁12bは、同様の支持穴が形成され、取付ボルト14a及びナット14bにより、タービンハウジング5に固定されている。
【0020】
リンク機構20は、ノズルベーン10のベアリングハウジング3側に配置され、周方向に回動可能に設けられた駆動リング21を備えている。駆動リング21の周方向には、複数のリンク板22が配置されている。駆動リング21及びリンク板22を含むリンク機構20は、例えばステンレス鋼等により形成されている。
【0021】
駆動リング21はリング状の形状に形成され、中央部の貫通孔21aに面する内壁21bが、タービンインペラ2の軸2aと平行な方向に沿って排気導入壁12a側に延びるように形成されている。これにより、駆動リング21は、断面視で略L字型の形状に形成されている。内壁21bの端部は、排気導入壁12aに当接している。駆動リング21の周方向には、複数のリンク板22に対応して複数のリンクピン24が配置されている。
【0022】
リンクピン24は、駆動リング21を貫通して突出した端部を塑性変形させてかしめることで、駆動リング21に固定されている。また、リンクピン24は、筒状に形成されたスライド部材25に挿通され、リンクピン24にスライド部材25が回転自在に装着されている。また、リンクピン24は、鍔状に形成された頭部24aと駆動リング21との間にスライド部材25を回転自在に保持している。
【0023】
リンク板22は、平面視で一方の端部が二股に分かれたフォーク状の形状を有し、二股の爪の間には略U字型のスライド溝22aが中央部から先端部へ向けて形成されている。リンク板22のスライド溝22aが形成された側と反対側の端部には、ノズルベーン10の支持軸9が貫通している。リンク板22を貫通した支持軸9の端部はかしめられて、リンク板22と支持軸9とは一体的に連結されて固定されている。
【0024】
スライド部材25は、平面視で矩形の筒状に形成され、各々がリンク板22の各々のスライド溝22aにスライド可能に嵌合している。
リンク板22の各々は、スライド溝22aがスライド部材25とスライド可能に嵌合することで、駆動リング21に回動可能に連結されている。
【0025】
図1に示すように、駆動リング21には径方向外側に延出された延出部21cが設けられている。延出部21cには、駆動リンクピン26が貫通して固定されている。
駆動リンクピン26は、延出部21cを貫通した端部をかしめることで駆動リング21に固定されている。駆動リンクピン26には、リンクピン24と同様に頭部26aが形成されている。駆動リンクピン26は、スライド部材25と同様の矩形筒状に形成された駆動スライド部材27に挿通され、頭部26aと延出部21cとの間に駆動スライド部材27を回動自在に保持している。
【0026】
駆動スライド部材27は、リンク板22のスライド溝22aと同様の駆動スライド溝28aを備えた駆動リンク板28にスライド可能に嵌合している。
駆動リンク板28の駆動スライド溝28aが形成された端部と反対側の端部には、例えばアクチュエータ等の動力源により軸回りに回転する駆動軸29が固定されている。これにより、駆動リンク板28は、駆動軸29の回転によって駆動軸29を中心として回動するようになっている。
【0027】
本実施形態のターボチャージャ1では、駆動リング21、リンク板22、リンクピン24、スライド部材25等からなるリンク機構20が、タービンインペラ2の軸2aと平行な方向へずれたり振動したりすることを防止するために、ベアリングハウジング3に係止面(係止部)3aが設けられている。係止面3aは、タービンインペラ2の軸2aと略垂直に設けられている。
【0028】
リンク機構20の内周側で、リンク機構20とベアリングハウジング3との間には、駆動リング21の内壁21bと当接して摺動する保護部材16が設けられている。
保護部材16は、タービンインペラ2の軸2aと垂直な方向で駆動リング21の内周側から径方向外側に向けて屈曲された屈曲部16aを有している。また、保護部材16は、タービンインペラ2とタービンハウジング5との間に設けられた遮熱板17と一体的に形成されている。保護部材16及び遮熱板17は、例えばステンレス鋼等、駆動リング21と同じ材料により形成されている。
屈曲部16aは、ベアリングハウジング3の係止面3aに沿って屈曲されて係止面3aとリンク機構20との間に設けられ、駆動リング21のベアリングハウジング3側の面と当接して摺動するようになっている。
【0029】
図1に示すように、タービンインペラ2の軸2aのコンプレッサハウジング7側には、コンプレッサインペラ15が軸2aに一体的に連結されている。
コンプレッサハウジング7は、コンプレッサインペラ15へ供給する空気を取り入れる空気取入口7aを備えている。コンプレッサハウジング7とベアリングハウジング3との間で、コンプレッサインペラ15の周囲には、コンプレッサインペラ15側から供給された空気を昇圧する環状のディフューザ流路7bが形成されている。
【0030】
ディフューザ流路7bの周囲には、ディフューザ流路7bの外周部に連通するコンプレッサスクロール流路7cが形成されている。コンプレッサスクロール流路7cには、コンプレッサスクロール流路7c内の空気を、例えばエンジンのシリンダに供給するための空気排出口(図示略)が設けられている。
【0031】
以上の構成により、本実施形態のターボチャージャ1は、例えばエンジンのシリンダから排出された排気ガスをタービンハウジング5のスクロール流路5aに取り込んで、排気ノズル8を介してタービンインペラ2に供給する。これにより、タービンインペラ2が回転して、軸2aを回転させ、コンプレッサインペラ15が回転する。
【0032】
空気取入口7aから取り入れられ、コンプレッサインペラ15の回転により圧縮された空気は、ディフューザ流路7bを通過する過程で昇圧され、コンプレッサスクロール流路7cに供給される。そして、コンプレッサスクロール流路7c内の昇圧された空気は、空気排出口から、例えばエンジンのシリンダに供給される。
【0033】
ここで、本実施形態のターボチャージャ1は、例えばエンジンの回転数等に基づいて、タービンインペラ2に供給する排気ガスの圧力を調整する排気ノズル8を備えている。排気ノズル8により排気ガスの圧力を調整する際には、まず、アクチュエータ等の動力源により、駆動軸29を所定の角度、軸回りに回転させる。これにより、駆動リンク板28が駆動軸29を中心として回動する。
【0034】
駆動リンク板28が回動すると、駆動リンク板28の駆動スライド溝28aに、駆動スライド部材27を介して嵌合した駆動リンクピン26が、駆動スライド溝28aの延在方向にスライドしつつ駆動リング21の周方向に回動する。これにより、駆動リング21は周方向に回動する。すると、駆動リング21に固定されたリンクピン24が駆動リング21の周方向に回動する。
【0035】
リンクピン24が駆動リング21の周方向に回動すると、リンクピン24の各々にスライド部材25を介して連結されたリンク板22の各々が、ノズルベーン10の支持軸9を中心として同期して回動する。これにより、支持軸9が各々回転してノズルベーン10の各々が開閉するようになっている。
そして、ノズルベーン10の開度を調整することで、タービンインペラ2に供給する排気ガスの圧力を調整することができる。
【0036】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のターボチャージャ1では、保護部材16がリンク機構20の内周側に駆動リング21の内壁21bに沿って設けられている。そして、保護部材16は、内壁21bと当接して駆動リング21の回動時に内壁21bと摺動するように設けられている。そのため、リンク機構20の駆動時に、保護部材16によってリンク機構20をの内周側を確実に支持することができる。
【0037】
また、リンク機構20の内周側を支持することで、リンク機構20の径方向の寸法を縮小してリンク機構20を小型化することが可能となる。また、駆動リング21の内壁21b(リンク機構20の内周側)とベアリングハウジング3との間に保護部材16を設け、内壁21bと保護部材16とを当接させることで、内壁21bとベアリングハウジング3とが直接摺動することを防止して、リンク機構20を保護することができる。
【0038】
また、保護部材16と、保護部材16と当接して摺動するリンク機構20の駆動リング21とが同じ材料で形成されているので、駆動リング21に錆が移ること等を防止して、駆動リング21の耐久性を向上させることができる。
また、ベアリングハウジング3には、リンク機構20がタービンインペラ2の軸2aと平行な方向への移動や振動を防止する係止面3aが設けられている。また、保護部材16の屈曲部16aが係止面3aとリンク機構20との間に設けられている。そのため、屈曲部16aと排気導入壁12aとにより、駆動リング21の内壁21bを挟持することができる。そして、駆動リング21を周方向に回動可能な状態で保持し、かつ駆動リングがタービンインペラ2の軸2aと平行な方向へ移動したり振動したりすることを防止できる。
【0039】
また、リンク機構20がノズルベーン10のベアリングハウジング3側に配置されている。そのため、リンク機構20を径方向に拡大させた場合であっても、タービンハウジング5のスクロール流路5aの断面積を犠牲にする必要が無い。また、例えば駆動リング21の貫通孔21aを縮小して内壁21bをよりタービンインペラ2の軸2a側に設けるなど、リンク機構20の設計の自由度を拡大させることができる。
【0040】
また、保護部材16は、遮熱板17と一体的に設けられているので、部品点数を増加させることなく駆動リング21の内周側の摺動面を確保して、駆動リング21の半径方向の支持を効率的に行うことができる。また、部品点数が増加することがないので、組立工数が増加することもない。したがって、部品コストや組立コストを抑制することができる。
【0041】
また、リンク機構20は、駆動リング21、リンク板22等により構成されているので、駆動リング21やリンク板22等の寸法を調整することで、リンク機構20のリンク比を調整することができる。これにより、ノズルベーン10の開度を調整することが可能となる。
【0042】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図3を用いて説明する。本実施形態のターボチャージャは、第一実施形態のターボチャージャと同様の可変容量型のターボチャージャである。
【0043】
図3は、第一実施形態のターボチャージャ1の図2に相当する本実施形態のターボチャージャ101の部分断面拡大図である。本実施形態のターボチャージャ101では、リンク機構120がノズルベーン110のベアリングハウジング103と反対側に設けられ、シュラウド(排気導入壁)112bが駆動リング121と異なる材料で形成されている点で、上述の第一実施形態で説明したターボチャージャと異なっている。その他の点は第一実施形態と同様であるので、同様の部分には、第一実施形態の符号に100を加えた符号を付して、説明は省略する。
【0044】
図3に示すように、本実施形態のターボチャージャ101は、タービンインペラ102を回転可能に支持するベアリングハウジング103を備えている。ベアリングハウジング103の片側には、複数のボルト104によりタービンハウジング105が一体的に取り付けられている。また、ベアリングハウジング103のタービンハウジング105と反対側には、複数のボルトによりコンプレッサハウジング(図示略)が一体的に取り付けられている。
【0045】
ターボチャージャ101は、第一実施形態のターボチャージャ1と同様に、スクロール流路105a内からタービンインペラ102側に供給される排気ガスの圧力を調整する排気ノズル108を備えている。排気ノズル108は、第一実施形態と同様に支持軸109により支持されたノズルベーン110を備えている。
支持軸109は、第一実施形態と同様に、リンク機構120により回動可能に設けられている。
【0046】
リンク機構120は、第一実施形態と同様に、周方向に回動可能に設けられた駆動リング121と、駆動リング121の周方向に配置された複数のリンク板122と、を備えている。
リンク板122は、一端部が支持軸109に固定され、他端部がリンクピン124により駆動リング121に回動可能に連結されている。
駆動リング121には、第一実施形態の駆動リンク板28と同様に、第1駆動リンク板128aが駆動リンクピン126を介して回動可能に連結されている。
【0047】
第1駆動リンク板128aには、駆動連結ピン128bを介して第2駆動リンク板128cが回動可能に連結されている。
第2駆動リンク板128cは、アクチュエータ等の駆動源により軸回りに回転する駆動軸129に固定され、駆動軸129を中心として回動するようになっている。
【0048】
本実施形態では、リンク機構120を構成する駆動リング121が例えばステンレス鋼等により形成され、排気導入壁として機能するシュラウド112bが、例えば鋳鉄等、駆動リング121と異なる材料により形成されている。
また、駆動リング121の内周側に保護部材116が配置されて、駆動リング121の内周側が保護部材116に当接するように設けられている。
【0049】
以上の構成により、本実施形態のターボチャージャ101は、第一実施形態と同様に、排気ガスをタービンハウジング105のスクロール流路105aに取り込んで、タービンインペラ102を回転させ、コンプレッサインペラ(図示略)を回転させる。そして、コンプレッサインペラの回転により圧縮された空気を、例えばエンジンのシリンダに供給する。
【0050】
このとき、例えばエンジンの回転数等に基づいて駆動軸129を所定の角度回転させると、第2駆動リンク板128c及び第1駆動リンク板128aが回動して、駆動リング121が周方向に回動する。これにより、複数のリンク板122が連動して回動し、ノズルベーン110の支持軸109を回動させる。これにより、ノズルベーン110の開度が調整され、排気ノズル108により、タービンインペラ102に供給される排気ガスの圧力が調整される。
【0051】
次に、この実施の形態の作用について説明する。
図3に示すように、本実施形態では、リンク機構120を構成する駆動リング121の内周側に保護部材116が配置され、保護部材116が駆動リング121の内周側に当接するように設けられている。そのため、駆動リング121が周方向に回動すると、駆動リング121の内周側は、保護部材116と摺動し、材質の異なるシュラウド112bと直接摺動することが防止される。
したがって、本実施形態のターボチャージャ101によれば、第一実施形態のターボチャージャ1と同様の効果を得ることができる。
【0052】
尚、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、リンク機構と保護部材とは同じ材料でなくてもよい。この場合には、保護部材をリンク機構と同等の材料か、またはリンク機構よりも錆びにくい材料により形成することで、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第一実施形態におけるターボチャージャの断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】本発明の第二実施形態におけるターボチャージャの部分拡大断面図である。
【図4】従来のターボチャージャの部分拡大断面図である。
【図5】従来のターボチャージャの部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ターボチャージャ、2 タービンインペラ、2a 軸、3 ベアリングハウジング(軸受けハウジング)、3a 係止面(係止部)、5 タービンハウジング、5a スクロール流路、8 排気ノズル、9 支持軸、10 ノズルベーン、16 保護部材、16a 屈曲部、17 遮熱板、20 リンク機構、21 駆動リング、22 リンク板、101 ターボチャージャ、102 タービンインペラ、103 ベアリングハウジング(軸受けハウジング)、105 タービンハウジング、105a スクロール流路、108 排気ノズル、109 支持軸、110 ノズルベーン、116 保護部材、120 リンク機構、121 駆動リング、122 リンク板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンインペラを回転可能に支持する軸受けハウジングと、前記タービンインペラに排気ガスを供給するスクロール流路が形成されたタービンハウジングと、前記スクロール流路内から前記タービンインペラ側に供給される前記排気ガスの圧力を調整する排気ノズルと、を備えた可変容量型のターボチャージャにおいて、
前記排気ノズルは、前記タービンインペラの周囲に支持軸によって回動可能に支持された複数のノズルベーンと、前記支持軸を回動させるリンク機構と、を備え、
前記リンク機構の内周側に保護部材が配置されて、前記リンク機構の内周側が前記保護部材に当接するように設けられていることを特徴とするターボチャージャ。
【請求項2】
前記保護部材と前記リンク機構とが同じ材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載のターボチャージャ。
【請求項3】
前記保護部材は、前記リンク機構の内周側と前記軸受けハウジングとの間に配置され、
前記軸受けハウジングには、前記リンク機構が前記タービンインペラの軸と平行な方向へ移動することを防止する係止部が設けられ、
前記保護部材には前記リンク機構の内周側から外周側へ屈曲された屈曲部が設けられ、
前記屈曲部は、前記係止部と前記リンク機構との間に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のターボチャージャ。
【請求項4】
前記リンク機構は前記ノズルベーンの前記ベアリングハウジング側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のターボチャージャ。
【請求項5】
前記保護部材は、前記タービンインペラと前記ベアリングハウジングとの間に設けられた遮熱板と一体的に設けられていることを特徴とする請求項4記載のターボチャージャ。
【請求項6】
前記リンク機構は、周方向に回動可能に設けられた駆動リングと、前記駆動リングの前記周方向に配置された複数のリンク板と、を備え、
前記リンク板の各々は、一端部が前記駆動リングに回動可能に連結され、他端部が前記ノズルベーンの各々の前記支持軸にそれぞれ連結されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のターボチャージャ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−71142(P2010−71142A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237993(P2008−237993)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】