説明

ターボ圧縮機及びターボ冷凍機

【課題】流量調整部と動力伝達軸との組立の作業性を向上させ、製造の手間及びコストを削減できるターボ圧縮機及びターボ冷凍機を提供する。
【解決手段】本発明に係るターボ圧縮機は、インペラ21aに導入される気体の流量を調整する流量調整部42と、流量調整部42を駆動する駆動部43と、駆動部43が発生する動力を流量調整部42に伝達する動力伝達軸44とを備えるターボ圧縮機であって、流量調整部42を囲んで設けられるフレーム45を備え、フレーム45は、インペラ21aに導入される気体の吸入口45aと、動力伝達軸44が貫通して設けられる孔部45bとを具備する、という構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ圧縮機及びターボ冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水等の冷却対象物を冷却あるいは冷凍する冷凍機として、冷媒ガスを圧縮して排出するターボ圧縮機を備えるターボ冷凍機が知られている。このようなターボ冷凍機が備えるターボ圧縮機には、例えば特許文献1に示すように、回転するインペラに導入される冷媒ガスの流量を調整する流量調整ユニットが設けられる場合がある。流量調整ユニットが冷媒ガスの流量を調整することで、ターボ圧縮機の圧縮性能及びターボ冷凍機の冷却・冷凍性能等を調整することができる。流量調整ユニットは、複数のベーン(翼)を具備する流量調整部と、該流量調整部を駆動するモータ等の駆動部と、該駆動部が発生する動力を流量調整部に伝達する動力伝達軸とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−177695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、動力伝達軸は、ターボ圧縮機のケーシングに形成される孔部を貫通して設けられ、ケーシングの内外にそれぞれ設けられる流量調整部と駆動部とを連結している。流量調整部と動力伝達軸との組立においては、まずケーシングの内側に流量調整部を設置し、次に動力伝達軸を上記孔部に貫通させて流量調整部に連結する必要があった。
しかしながら、ケーシングの内側に設置された流量調整部と動力伝達軸との連結箇所を外部から確認できないために、流量調整部と動力伝達軸との組立の作業は難しく、組立の作業性が低下していた。結果として、このような流量調整部及び動力伝達軸を備えるターボ圧縮機及びターボ冷凍機の製造の手間及びコストが増加するという課題があった。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、流量調整部と動力伝達軸との組立の作業性を向上させ、製造の手間及びコストを削減できるターボ圧縮機及びターボ冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明に係るターボ圧縮機は、インペラに導入される気体の流量を調整する流量調整部と、該流量調整部を駆動する駆動部と、該駆動部が発生する動力を流量調整部に伝達する動力伝達軸とを備えるターボ圧縮機であって、流量調整部を囲んで設けられるフレームを備え、該フレームは、インペラに導入される気体の吸入口と、動力伝達軸が貫通して設けられる孔部とを具備する、という構成を採用する。
本発明によれば、動力伝達軸は、フレームに形成される孔部を貫通して設けられ、フレームの内外にそれぞれ設けられる流量調整部と駆動部とを連結している。流量調整部と動力伝達軸との組立においては、フレームをターボ圧縮機のケーシングに固定する前に、動力伝達軸をフレームの孔部に貫通させて流量調整部に連結することが可能となる。すなわち、流量調整部と動力伝達軸との連結箇所を外部から確認しながら組立を行うことができ、流量調整部と動力伝達軸との組立の作業性が向上する。
【0007】
また、本発明に係るターボ圧縮機は、フレームは、流量調整部を囲んで環状に設けられるとともに、インペラから離間するに従って縮小する外径を有する、という構成を採用する。
【0008】
また、本発明に係るターボ圧縮機は、駆動部の動力を出力する出力軸と、動力伝達軸とを連結する連結部を備える、という構成を採用する。
【0009】
また、本発明に係るターボ圧縮機は、動力伝達軸が貫通して設けられる孔部を気密に保つシール部材を備える、という構成を採用する。
【0010】
また、本発明に係るターボ冷凍機は、圧縮された冷媒を冷却液化させる凝縮器と、液化した冷媒を蒸発させ冷却対象物から気化熱を奪うことによって冷却対象物を冷却する蒸発器と、該蒸発器にて蒸発した冷媒を圧縮して凝縮器に供給する圧縮機とを備えるターボ冷凍機であって、圧縮機として請求項1から4のいずれか一項に記載のターボ圧縮機を備える、という構成を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
本発明によれば、流量調整部と動力伝達軸との連結箇所を外部から確認しながら組立を行うことができ、流量調整部と動力伝達軸との組立の作業性が向上する。よって、このような流量調整部及び動力伝達軸を備えるターボ圧縮機及びターボ冷凍機における製造の手間及びコストを削減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態におけるターボ冷凍機の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態におけるターボ圧縮機の水平断面図である。
【図3】本発明の実施形態における流量調整ユニットの水平断面図である。
【図4】図3のA矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、図1から図4を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0014】
図1は、本実施形態におけるターボ冷凍機S1の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態におけるターボ冷凍機S1は、例えば空調用の冷却水を生成するためにビルや工場等に設置されるものであり、図1に示すように、凝縮器1と、エコノマイザ2と、蒸発器3と、ターボ圧縮機4とを備えている。
【0015】
凝縮器1は、圧縮された気体状態の冷媒である圧縮冷媒ガスX1が供給され、この圧縮冷媒ガスX1を冷却液化することによって冷媒液X2とするものである。この凝縮器1は、図1に示すように、圧縮冷媒ガスX1が流れる流路R1を介してターボ圧縮機4と接続されており、冷媒液X2が流れる流路R2を介してエコノマイザ2と接続されている。なお、流路R2には、冷媒液X2を減圧するための膨張弁5が設置されている。
【0016】
エコノマイザ2は、膨張弁5にて減圧された冷媒液X2を一時的に貯留するものである。このエコノマイザ2は、冷媒液X2が流れる流路R3を介して蒸発器3と接続されており、エコノマイザ2にて生じた冷媒の気相成分X3が流れる流路R4を介してターボ圧縮機4と接続されている。なお、流路R3には、冷媒液X2をさらに減圧するための膨張弁6が設置されている。また、流路R4は、ターボ圧縮機4が備える後述の第2圧縮段22に対して気相成分X3を供給するようにターボ圧縮機4と接続されている。
【0017】
蒸発器3は、冷媒液X2を蒸発させて水等の冷却対象物から気化熱を奪うことによって冷却対象物を冷却するものである。この蒸発器3は、冷媒液X2が蒸発することによって生じる冷媒ガスX4が流れる流路R5を介してターボ圧縮機4と接続されている。なお、流路R5は、ターボ圧縮機4が備える後述の第1圧縮段21と接続されている。
【0018】
ターボ圧縮機4は、冷媒ガスX4を圧縮して圧縮冷媒ガスX1とするものである。このターボ圧縮機4は、上述のように圧縮冷媒ガスX1が流れる流路R1を介して凝縮器1と接続されており、冷媒ガスX4が流れる流路R5を介して蒸発器3と接続されている。
【0019】
このように構成されたターボ冷凍機S1においては、流路R1を介して凝縮器1に供給された圧縮冷媒ガスX1は、凝縮器1によって液化冷却されて冷媒液X2となる。
冷媒液X2は、流路R2を介してエコノマイザ2に供給される際に膨張弁5によって減圧され、減圧された状態にてエコノマイザ2において一時的に貯留された後、流路R3を介して蒸発器3に供給される際に膨張弁6によってさらに減圧され、さらに減圧された状態で蒸発器3に供給される。
蒸発器3に供給された冷媒液X2は、蒸発器3によって蒸発して冷媒ガスX4となり、流路R5を介してターボ圧縮機4に供給される。
ターボ圧縮機4に供給された冷媒ガスX4は、ターボ圧縮機4によって圧縮されて圧縮冷媒ガスX1とされ、再び流路R1を介して凝縮器1に供給される。
なお、冷媒液X2がエコノマイザ2に貯留されている際に発生した冷媒の気相成分X3は、流路R4を介してターボ圧縮機4に供給され、冷媒ガスX4と共に圧縮されて圧縮冷媒ガスX1として流路R1を介して凝縮器1に供給される。
そして、このようなターボ冷凍機S1では、蒸発器3にて冷媒液X2が蒸発する際に、冷却対象物から気化熱を奪うことによって、冷却対象物の冷却あるいは冷凍を行う。
【0020】
続いて、本実施形態の特徴部分を備えるターボ圧縮機4について、より詳細に説明する。図2は、本実施形態におけるターボ圧縮機4の水平断面図である。
図2に示すように、本実施形態におけるターボ圧縮機4は、モータユニット10と、圧縮機ユニット20と、ギアユニット30とを備えている。
【0021】
モータユニット10は、出力軸11を有するとともに圧縮機ユニット20を駆動させるための駆動源となるモータ12と、該モータ12を囲むとともに上記モータ12が設置されるモータケーシング13とを備えている。なお、圧縮機ユニット20を駆動させる駆動源としてはモータ12に限定されず、例えば内燃機関であってもよい。
モータ12の出力軸11は、モータケーシング13に固定される第1軸受14と第2軸受15とによって回転自在に支持されている。
【0022】
圧縮機ユニット20は、冷媒ガスX4(図1参照)を吸入して圧縮する第1圧縮段21と、第1圧縮段21にて圧縮された冷媒ガスX4をさらに圧縮して圧縮冷媒ガスX1(図1参照)として排出する第2圧縮段22と、第1圧縮段21と第2圧縮段22とに亘って延在する回転軸23とを備えている。
【0023】
第1圧縮段21は、スラスト方向から供給される冷媒ガスX4に速度エネルギを付与してラジアル方向に排出する第1インペラ21a(インペラ)と、第1インペラ21aによって冷媒ガスX4に付与された速度エネルギを圧力エネルギに変換することによって圧縮する第1ディフューザ21bと、第1ディフューザ21bによって圧縮された冷媒ガスX4を第1圧縮段21の外部に導出する第1スクロール室21cとを備えている。第1ディフューザ21b及び第1スクロール室21cは、第1インペラ21aを囲う第1インペラケーシング21eによって形成されている。
第1インペラ21aは、回転軸23に固定され、回転軸23に対してモータ12の回転動力が伝達されることによって回転駆動される。
【0024】
また、第1圧縮段21は、第1インペラ21aに導入される冷媒ガスX4の流量を調整する流量調整ユニット40を備えている。流量調整ユニット40は、第1インペラケーシング21eに気密に固定されている。また、流量調整ユニット40は、冷媒ガスX4の吸入口41を備えている。吸入口41は、回転軸23の軸線方向に向かって貫通している。
【0025】
ここで、本実施形態の特徴部分である流量調整ユニット40について、より詳細に説明する。図3は、本実施形態における流量調整ユニット40の水平断面図である。また、図4は、図3のA矢視図である。なお、説明のため、図3では第1インペラ21a及び回転軸23を仮想線で表している。
図3及び図4に示すように、流量調整ユニット40は、流量調整部42と、駆動部43と、動力伝達軸44と、吸入フレーム45(フレーム)とを備えている。
【0026】
流量調整部42は、第1インペラ21aに導入される冷媒ガスX4(図1参照)の流量を調整するものであって、翼部材である複数のベーン42aを備えている。複数のベーン42aは、略円形状に成形されたベーンフレーム42bに回転自在に設けられ、ベーンフレーム42bの内周面側で周方向に並んで配置されている。ベーンフレーム42bの内周面側は、吸入口41の一部を形成している。そのため、複数のベーン42aが同期して回転することで、吸入口41の上流側からの見かけ上の面積が調整される。なお、ベーンフレーム42bは、複数のネジ部材42cによって吸入フレーム45に固定されている。
【0027】
複数のベーン42aのうちの1つには、駆動側クランクアーム42dが固定されている。駆動側クランクアーム42dは、ベーンフレーム42bの外周面側に設けられ、動力伝達軸44に連結されている。また、駆動側クランクアーム42dは、駆動側ロッド42eを介して駆動リング42fに連結されている。駆動側クランクアーム42dはその回転軸線と交差する方向に突出するアーム部を備え、駆動側ロッド42eは該アーム部に連結されている。
【0028】
駆動リング42fは、複数のベーン42aを同期して回転させるものであって、円環状に成形され、ベーンフレーム42bを囲んで設けられている。駆動リング42fは、複数の転動体42gを介してベーンフレーム42bの外周面側に回転自在に設置されている。
また、駆動リング42fは、複数の従動側ロッド42hを介して複数の従動側クランクアーム42iにそれぞれ連結されている。従動側クランクアーム42iはその回転軸線と交差する方向に突出するアーム部を備え、従動側ロッド42hは該アーム部に連結されている。複数の従動側クランクアーム42iには、複数のベーン42aがそれぞれ固定されている。
【0029】
駆動部43は、流量調整部42を駆動するための動力を発生するモータである。駆動部43は、ブラケット46を介して吸入フレーム45に固定されている。駆動部43には、その動力を出力する第2出力軸43a(出力軸)が突出して設けられている。なお、駆動部43はモータに限定されるものではなく、例えば油圧や空圧を用いた駆動部であってもよい。
【0030】
動力伝達軸44は、駆動部43が発生する動力を流量調整部42に伝達するための軸部材である。動力伝達軸44の駆動部43側の端部は、ブラケット46内に設けられる連結プレート46a(連結部)を介して、駆動部43の第2出力軸43aに連結されている。一方、動力伝達軸44の流量調整部42側の端部は、上述したように駆動側クランクアーム42dに連結されている。なお、駆動側クランクアーム42dには連結用孔部が形成され、該連結用孔部には動力伝達軸44が挿入して連結されている。また、動力伝達軸44をその軸線周りで駆動側クランクアーム42dと係合するために、動力伝達軸44の流量調整部42側の端部にはキー部材44aが固定され、駆動側クランクアーム42dの上記連結用孔部にはキー部材44aに対応する溝部が形成されている。
【0031】
吸入フレーム45は、流量調整部42を囲んで設けられ、流量調整部42や駆動部43を第1インペラケーシング21e(図2参照)に固定するための部材である。吸入フレーム45には、吸入口41の一部を形成する開口部45a(吸入口)が形成されている。また、吸入フレーム45は、流量調整部42を囲んで環状に設けられるとともに、第1インペラ21aから離間するに従って縮小する外径を有している。そのため、吸入フレーム45を、例えば円筒状に成形した場合に比べて小型化でき、また軽量化することができる。
【0032】
吸入フレーム45には、動力伝達軸44が貫通して設けられる孔部45bが形成されている。すなわち、動力伝達軸44は孔部45bを貫通して設けられ、吸入フレーム45の内外にそれぞれ設けられる流量調整部42と駆動部43とを連結している。
【0033】
流量調整部42と動力伝達軸44との組立においては、流量調整部42が設置された吸入フレーム45を第1インペラケーシング21eに固定する前に、動力伝達軸44を孔部45bに貫通させて流量調整部42に連結することができる。すなわち、流量調整部42の駆動側クランクアーム42dと動力伝達軸44との連結箇所を外部から確認しながら組立を行うことができ、キー部材44aが固定された動力伝達軸44を駆動側クランクアーム42dの連結用孔部に容易に挿入できる。よって、流量調整部42と動力伝達軸44との組立の作業性が向上する。
【0034】
なお、動力伝達軸44と第2出力軸43aとは連結プレート46aによって連結され、駆動部43はブラケット46を介して吸入フレーム45に固定されている。これらの連結及び固定は容易に行うことができることから、駆動部43を吸入フレーム45に固定するのは、吸入フレーム45を第1インペラケーシング21eに固定する前後のいずれであってもよい。
【0035】
冷媒ガスX4が孔部45bを介して外部に流出することを防ぐために、流量調整ユニット40は、動力伝達軸44が貫通して設けられる孔部45bを気密に保つパッキン45c(シール部材)を備えている。パッキン45cには、例えばVパッキンが用いられる。
【0036】
吸入フレーム45はフランジ部45dを備えており、フランジ部45dを貫通して設けられる不図示のネジ部材によって、第1インペラケーシング21eに固定される。また、フランジ部45dと第1インペラケーシング21eとの連結部を気密に保つため、フランジ部45dには、環状のフランジパッキン45eが設けられている。
【0037】
なお、流量調整ユニット40には油切板47が設けられ、油切板47は流量調整部42のベーンフレーム42bに固定されている。油切板47は、吸入フレーム45と後述する油タンク34(図2参照)とを連結する不図示の均圧管を介して吸入フレーム45の内部に流入するミスト状の潤滑油が、第1インペラ21a側に流動することを防ぐためのものである。
【0038】
図2に戻り、第2圧縮段22は、第1圧縮段21にて圧縮された後にスラスト方向から供給される冷媒ガスX4に速度エネルギを付与してラジアル方向に排出する第2インペラ22aと、第2インペラ22aによって冷媒ガスX4に付与された速度エネルギを圧力エネルギに変換することによって圧縮して圧縮冷媒ガスX1として排出する第2ディフューザ22bと、第2ディフューザ22bから排出された圧縮冷媒ガスX1を第2圧縮段22の外部に導出する第2スクロール室22cと、第1圧縮段21にて圧縮された冷媒ガスX4を第2インペラ22aに導く導入スクロール室22dとを備えている。
なお、第2ディフューザ22b、第2スクロール室22c及び導入スクロール室22dは、第2インペラ22aを囲う第2インペラケーシング22eによって形成されている。
【0039】
第2インペラ22aは、回転軸23に第1インペラ21aと背面合わせとなるように固定され、回転軸23に対してモータ12の回転動力が伝達されることによって回転駆動される。
第2スクロール室22cは、圧縮冷媒ガスX1を凝縮器1に供給するための流路R1(図1参照)と接続されており、第2圧縮段22から導出した圧縮冷媒ガスX1を流路R1に供給する。
【0040】
なお、第1圧縮段21の第1スクロール室21cと、第2圧縮段22の導入スクロール室22dとは、第1圧縮段21及び第2圧縮段22とは別体で設けられる外部配管(図示せず)を介して接続されており、該外部配管を介して第1圧縮段21にて圧縮された冷媒ガスX4が第2圧縮段22に供給される。この外部配管には、上述の流路R4(図1参照)が接続されており、エコノマイザ2にて発生した冷媒の気相成分X3が外部配管を介して第2圧縮段22に供給される構成となっている。
【0041】
回転軸23は、第1圧縮段21と第2圧縮段22との間の空間25において第2インペラケーシング22eに固定される第3軸受26と、第2インペラケーシング22eのギアユニット30側に固定される第4軸受27とによって、回転自在に支持されている。
【0042】
ギアユニット30は、モータ12の回転動力を回転軸23に伝達するためのものであり、出力軸11に固定される平ギア31と、回転軸23に固定されるとともに平ギア31と噛合するピニオンギア32と、平ギア31及びピニオンギア32を収容するギアケーシング33とを備えている。
【0043】
平ギア31は、ピニオンギア32よりも大きな外径を備えており、平ギア31及びピニオンギア32が協働することで出力軸11の回転数に対して回転軸23の回転数が増加するようにモータ12の回転動力を回転軸23に伝達する。なお、このような伝達方法に限定されるものではなく、出力軸11の回転数に対して回転軸23の回転数が同数又は減少するように複数のギアの径を設定してもよい。
【0044】
ギアケーシング33は、モータケーシング13及び第2インペラケーシング22eと別体に成形されるとともに、それぞれを連結するものである。ギアケーシング33の内部には、平ギア31及びピニオンギア32収容するための収容空間33aが形成されている。また、ギアケーシング33には、ターボ圧縮機4の摺動部に供給される潤滑油が回収され貯留される油タンク34が設けられている。
【0045】
続いて、本実施形態におけるターボ圧縮機4の動作を説明する。
まず、モータ12の回転動力が平ギア31及びピニオンギア32を介して回転軸23に伝達され、これによって圧縮機ユニット20の第1インペラ21aと第2インペラ22aとが回転駆動される。
【0046】
第1インペラ21aが回転駆動されると、流量調整ユニット40の吸入口41が負圧状態となり、流路R5から冷媒ガスX4が吸入口41を介して第1圧縮段21に流入する。
このとき、流量調整ユニット40が冷媒ガスX4の流量を調整することで、ターボ圧縮機4の圧縮性能及びターボ冷凍機S1の冷却・冷凍性能等を調整できる。より詳細には、まず駆動部43が作動して、第2出力軸43a及び動力伝達軸44が回転する。動力伝達軸44が回転することで、駆動側クランクアーム42dが回転し、駆動側クランクアーム42dに固定されている1つのベーン42aが回転する。また、駆動側クランクアーム42dが回転することで、駆動側ロッド42eを介して連結される駆動リング42fが回転する。駆動リング42fが回転することで、複数の従動側ロッド42hを介して連結される複数の従動側クランクアーム42iが回転し、従動側クランクアーム42iにそれぞれ固定されているベーン42aも回転する。以上より、駆動部43の作動により複数のベーン42aが同期して回転し、吸入口41の上流側からの見かけ上の面積を調整することができる。よって、駆動部43の作動により吸入口41を通過する冷媒ガスX4の流量を調整できる。
【0047】
吸入口41を通過して第1圧縮段21の内部に流入した冷媒ガスX4は、第1インペラ21aにスラスト方向から流入し、第1インペラ21aによって速度エネルギを付与されてラジアル方向に排出される。
第1インペラ21aから排出された冷媒ガスX4は、第1ディフューザ21bによって速度エネルギを圧力エネルギに変換されることで圧縮される。
第1ディフューザ21bから排出された冷媒ガスX4は、第1スクロール室21cを介して第1圧縮段21の外部に導出される。
そして、第1圧縮段21の外部に導出された冷媒ガスX4は、不図示の外部配管を介して第2圧縮段22に供給される。
【0048】
第2圧縮段22に供給された冷媒ガスX4は、導入スクロール室22dを介してスラスト方向から第2インペラ22aに流入し、第2インペラ22aによって速度エネルギを付与されたラジアル方向に排出される。
第2インペラ22aから排出された冷媒ガスX4は、第2ディフューザ22bによって速度エネルギを圧力エネルギに変換されることでさらに圧縮されて圧縮冷媒ガスX1とされる。
第2ディフューザ22bから排出された圧縮冷媒ガスX1は、第2スクロール室22cを介して第2圧縮段22の外部に導出される。
そして、第2圧縮段22の外部に導出された圧縮冷媒ガスX1は、流路R1を介して凝縮器1に供給される。
以上で、ターボ圧縮機4の動作が終了する。
【0049】
本実施形態によれば、流量調整部42の駆動側クランクアーム42dと動力伝達軸44との連結箇所を外部から確認しながら組立を行うことができ、流量調整部42と動力伝達軸44との組立の作業性が向上する。よって、このような流量調整部42及び動力伝達軸44を備えるターボ圧縮機4及びターボ冷凍機S1における製造の手間及びコストを削減できるという効果がある。
【0050】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態における吸入フレーム45は、第1インペラ21aから離間するに従い縮小する外径を有しているが、これに限定されるものではなく、吸入フレーム45が例えば円筒状に成形されていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態におけるターボ圧縮機4は、ターボ冷凍機S1において用いられているが、例えば内燃機関に圧縮した空気を供給する過給機として用いられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…凝縮器、3…蒸発器、4…ターボ圧縮機、21a…第1インペラ(インペラ)、42…流量調整部、43…駆動部、43a…第2出力軸(出力軸)、44…動力伝達軸、45…吸入フレーム(フレーム)、45a…開口部(吸入口)、45b…孔部、46a…連結プレート(連結部)、45c…パッキン(シール部材)、S1…ターボ冷凍機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラに導入される気体の流量を調整する流量調整部と、該流量調整部を駆動する駆動部と、該駆動部が発生する動力を前記流量調整部に伝達する動力伝達軸とを備えるターボ圧縮機であって、
前記流量調整部を囲んで設けられるフレームを備え、
前記フレームは、前記インペラに導入される気体の吸入口と、前記動力伝達軸が貫通して設けられる孔部とを具備することを特徴とするターボ圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載のターボ圧縮機において、
前記フレームは、前記流量調整部を囲んで環状に設けられるとともに、前記インペラから離間するに従って縮小する外径を有することを特徴とするターボ圧縮機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のターボ圧縮機において、
前記駆動部の動力を出力する出力軸と、前記動力伝達軸とを連結する連結部を備えることを特徴とするターボ圧縮機。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のターボ圧縮機において、
前記動力伝達軸が貫通して設けられる前記孔部を気密に保つシール部材を備えることを特徴とするターボ圧縮機。
【請求項5】
圧縮された冷媒を冷却液化させる凝縮器と、液化した前記冷媒を蒸発させ冷却対象物から気化熱を奪うことによって前記冷却対象物を冷却する蒸発器と、該蒸発器にて蒸発した前記冷媒を圧縮して前記凝縮器に供給する圧縮機とを備えるターボ冷凍機であって、
前記圧縮機として、請求項1から4のいずれか一項に記載のターボ圧縮機を備えることを特徴とするターボ冷凍機。


【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−185221(P2011−185221A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53737(P2010−53737)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】