説明

ターボ機械用の複合型表面冷却器及び音響吸収器

【課題】ターボ機械用の表面冷却器(44、45)を提供する。
【解決手段】本表面冷却器(44、45)は、内側層(52)と、内側層(52)に隣接して配置されかつ金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含む外側層(54)とを含み、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せは、熱伝達を増大させかつ音響吸収を強化するように構成される。さらに、外側層(54)は、複数のフィン(80)を含み、複数のフィン(80)は、熱伝達を増大させかつ音響吸収を強化するように構成され、また複数のフィン(80)は、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的にはターボ機械に関し、より具体的には、ターボ機械内で使用するための強化型表面冷却器の設計に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機ガスタービンエンジン製造業者は、騒音を効果的に低減する新たな方法を開発している。よく知られているように、ジェットエンジンのナセルは、現在ではライナ又は音響パネルを利用して、ターボファン内のブレード及びベーン又はその他のターボ機械要素が発生した音を吸収している。これらのパネルは一般的に、ナセル壁上に設置される。加えて、同じ部位には、オイル、水及びその他の冷却媒体から熱を除去するためのヒートシンクを配置することが望ましい。都合の悪いことに、これらのヒートシンクは、そうでなければ更なる音響吸収のための音響パネル又はその他の材料を収容するために使用することができる空間を占有することになる。
【0003】
現在使用可能な方法は一般的に、別個の熱交換器及び音響吸収器を使用して、ターボ機械の冷却及び騒音低減要求に対処している。例えば、ブリック型熱交換器を使用して、エンジンからの熱除去を可能にしている。しかしながら、これらのブリック型熱交換器は、熱負荷が高い場合には有効でない可能性がある。さらに、より最新の方法は、エンジンの全周にわたって延びた状態でバイパスダクトの外側壁内に埋め込まれた表面冷却器を採用し、それによって音響ライナのために使用できる表面積の量を減少させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,116,613 A号公報
【特許文献2】米国特許第5,782,082 A号公報
【特許文献3】米国特許第7,105,127 B2号公報
【特許文献4】国際特許出願第2001/053023号 A1公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】WASSIM ELIAS AZZI; "A SYSTEMATIC STUDY ON THE MECHANICAL AND THERMAL PROPERTIES OF OPEN CELL METAL FOAMS FOR AEROSPACE APPLICATIONS"; A thesis submitted to the Graduate Faculty of North Carolina State University in partial fulfillment of the requirements for the Degree of Master of Science; 125pages
【非特許文献2】PONTUS NORDIN, SOHAN L. SARIN AND EDWARD R. RADEMAKER; "Development of New Liner Technology for Application in Hot Stream Areas of Aero-Engines", 2004 by Saab AB. Published by the American Institute of Aeronautics and Astronautics, Inc., with permission; 13pages.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、音響吸収と同時に熱交換のために使用することができる表面冷却器を開発することが望ましいことになる。より具体的には、音響吸収を強化しながら有効な冷却をも可能にするように構成された堅牢な表面冷却器を開発することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
簡潔に言えば、本技術の1つの態様によると、表面冷却器を提供する。本表面冷却器は、内側層と、内側層に隣接して配置されかつ金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含む外側層とを含み、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せは、熱伝達を増大させかつ音響吸収を強化するように構成される。
【0008】
本技術の別の態様によると、表面冷却器を提供する。本表面冷却器は、内側層と、内側層に隣接して配置されかつ複数のフィンを含む外側層とを含み、複数のフィンは、熱伝達を増大させかつ音響吸収を強化するように構成され、また複数のフィンは、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含む。
【0009】
本技術のさらに別の態様によると、表面冷却器を形成する方法を提供する。本方法は、内側層を形成するステップと、内側層に隣接して外側層を形成するステップとを備え、この外側層を形成するステップにおいて、外側層は、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含み、また金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せは、熱伝達を増大させかつ音響吸収を強化するように構成される。
【0010】
本技術のさらに別の態様によると、エンジンを提供する。本エンジンは、コアエンジンと、表面冷却器とを含み、表面冷却器は、内側層と、内側層に隣接して配置されかつ金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含む外側層とを含み、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せは、熱伝達を増大させかつ音響吸収を強化するように構成される。
【0011】
本発明のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点は、図面全体を通して同じ参照符号が同様な部分を表している添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことにより一層よく理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本技術の態様によるエンジンの概略図。
【図2】本技術の態様による例示的な表面冷却器の円周方向断面の概略図。
【図3】本技術の態様による図2の表面冷却器の軸方向断面図。
【図4】本技術の態様による別の表面冷却器の円周方向断面の概略図。
【図5】本技術の態様による図4の表面冷却器の軸方向断面図。
【図6】本技術の態様によるさらに別の表面冷却器の円周方向断面の概略図。
【図7】本技術の態様による図6の表面冷却器の軸方向断面図。
【図8】本技術の態様による図7の表面冷却器の一部分の概略図。
【図9】本技術の態様による別の例示的な表面冷却器の一部分を示す概略図。
【図10】本技術の態様によるフィンを示す表面冷却器の一部分の斜視図。
【図11】本技術の態様による例示的なフィンの概略平面図。
【図12】本技術の態様による別の例示的なフィンの概略図。
【図13】本技術の態様による別の例示的なフィンの概略平面図。
【図14】本技術の態様による前縁部を示す例示的なフィンの平面図。
【図15】本技術の態様による後縁部を示す例示的なフィンの平面図。
【図16】本技術の態様による前縁部及び後縁部を示す例示的なフィンの平面図。
【図17】本技術の態様による前縁部を示す例示的なフィンの平面図。
【図18】本技術の態様による後縁部を示す例示的なフィンの平面図。
【図19】本技術の態様による前縁部及び後縁部を示す例示的なフィンの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、表面冷却器に関し、より具体的には、航空機エンジンのようなエンジンのナセル内で使用するための強化型表面冷却器に関する。この例示的な表面冷却器はまた、有効な冷却を行うと同時に音響吸収にも利用することができる。さらに、本明細書で使用する場合における「表面冷却器」という用語は、「熱交換器」という用語と互換可能に使用することができる。本明細書で使用するように、表面冷却器は、それに限定されないが、ターボジェット、ターボファン、ターボ推進エンジン、航空機エンジン、ガスタービン、蒸気タービン、風力タービン及び水力タービンのような様々なタイプのターボ機械装置に適用可能である。
【0014】
図1は、本発明による例示的な航空機エンジン組立体10の概略図である。参照符号12により、中心軸線を表すことができる。この例示的な実施形態では、エンジン組立体10は、ファン組立体13、ブースタ圧縮機14、コアガスタービンエンジン16及び低圧タービン26を含み、低圧タービン26は、ファン組立体13及びブースタ圧縮機14に結合することができる。ファン組立体13は、ファンロータディスク15からほぼ半径方向外向きに延びる複数のロータファンブレード11、並びにファンブレード11の下流に配置することができる複数の出口案内ベーン21を含む。コアガスタービンエンジン16は、高圧圧縮機22、燃焼器24及び高圧タービン18を含む。ブースタ圧縮機14は、第1の駆動シャフト42に結合された圧縮機ロータディスク20からほぼ半径方向外向きに延びる複数のロータブレード40を含む。圧縮機22と高圧タービン18とは、第2の駆動シャフト29によって互いに結合される。エンジン組立体10はまた、吸気側28、コアエンジン排気側30及びファン排気側31を含む。
【0015】
運転時に、ファン組立体13は、吸気側28を通ってエンジン10に流入した空気を加圧する。ファン組立体13から流出した空気流は、分割されて、空気流の一部分35がブースタ圧縮機14内に送られ、また空気流の残りの部分36がブースタ圧縮機14及びコアタービンエンジン16を迂回してファン排気側31を通ってエンジン10から流出するようになる。このバイパス空気36は、出口案内ベーン21を通過して流れかつ該出口案内ベーン21と相互作用して、音(響)波として放射される非定常圧力をステータ表面上に並びに周囲の空気流内に発生させる。音響ライナ46は、ブレード及びベーン21によってエンジン10内で発生した音を吸収するように構成することができる。複数のロータブレード40は、空気流を加圧しかつ加圧空気流35をコアガスタービンエンジン16に向けて送給する。さらに、空気流35は、高圧圧縮機22によってさらに加圧されかつ燃焼器24に送給される。さらに、燃焼器24からの加圧空気流35は、回転タービン18及び26を駆動し、かつ排気側30を通ってエンジン10から流出する。
【0016】
前述したように、一部の現在入手可能な民間用エンジンでは、別個の熱交換器及び音響吸収器が採用されている。さらに、高熱負荷により、一部の熱交換器の性能が最適以下になる可能性がある。加えて、一部のその他の熱交換器の使用は、音響吸収器のために使用可能な表面積を著しく減少させる。本技術の例示的な態様によると、表面冷却器及び音響吸収器として機能するように構成した複合型装置44を提示する。より具体的には、この例示的な複合型装置44は、例えば航空機エンジンのようなターボ機械の熱交換要件と音響吸収要求とに同時に対処するように構成することができる。以下において、「表面冷却器」という用語は、冷却及び音響吸収を可能にするように構成された複合型装置44を意味するために使用することができる。
【0017】
本技術の態様によると、この例示的な表面冷却器44は、金属発泡体を含むことができる。別の実施形態では、表面冷却器は、炭素発泡体を含むことができる。一部のその他の実施形態では、例示的な表面冷却器は、高い熱伝導率を有する発泡体を含むことができることに留意されたい。一例として、発泡体は、約150W/m*K〜約390W/m*Kの範囲内の熱伝導率を有する炭素発泡体を含むことができる。別の実施形態では、金属発泡体は、約189W/m*Kの熱伝導率を有するアルミニウム発泡体を含むことができる。理解されるように、金属発泡体は、大きな体積分率がガス入り細孔を含んでいる固体金属から成る細胞状(セル状)構造体である。細孔は、密封状(クローズドセル発泡体)にすることができ、或いはそれら細孔は、相互連結網目状(オープンセル発泡体)を形成することができる。一般的に、これらの金属発泡体は、非常に高い空隙率を有する。言い換えると、一般的には、体積の75〜95%が、空隙スペースから成る。金属発泡体の熱伝導率は、空隙率に応じてのみならず発泡体内で様々なセルを相互連結するウェブの完全性のより微細な細部にも応じて大きく変化する可能性があることに留意されたい。
【0018】
本技術の実施形態によると、この例示的な表面冷却器44は、ナセル壁つまり外側壁48に沿って設置して、本発明の実施形態に従って熱伝達を可能にすると共に音響吸収を行うことができ、このことは、以下において一層詳細に説明する。
【0019】
別の実施形態では、図1はまた、出口案内ベーン21の底部を連結しているバイパス流36の内側壁23に沿って設置することができる表面冷却器45及び音響ライナ47を示している。
【0020】
次に図2を参照すると、本発明の1つの態様による例示的な表面冷却器50の軸方向断面の概略図を示している。図2に示すように、表面冷却器50は、内側層52と外側層54とを含む。本技術の態様によると、内側層52は、金属プレートで形成することができる。本技術の態様によると、内側層52は、ナセル壁つまり外側壁48(図1参照)に沿って設置することができることに留意されたい。さらに、外側層54は、それに限定されないが、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せのような材料を含むことができる。それに代えて、内側層52は、高い熱伝導率を有する金属発泡体を含むことができる。前述したように、金属発泡体は、大きな体積分率がガス入り細孔を含む固体金属から成る細胞状構造体である。一例として、内側層52の厚さは、約0.5インチ〜約0.75インチの範囲内で変化させることができる。さらに、外側層54の厚さは、約0.5インチ〜約1.0インチの範囲内で変化させることができる。
【0021】
本技術の態様によると、金属発泡体は、騒音低減を行うことに加えて熱伝達を増大させるために使用される。具体的には、金属発泡体は、該金属発泡体が熱伝導の強化と対流のための大きな表面積との良好な組合せをもたらすと同時にさらに比較的小さい質量を有するので、熱伝達/冷却を増大させるために使用することができる。加えて、多孔性金属発泡体はまた、エンジン10内の様々な部品によって発生される騒音を吸収するように構成することができる。言い換えると、内側層52の金属発泡体は、エンジン10内の騒音を吸収することによって該エンジン10内の騒音の低減を可能にするように構成することができる。その結果、金属発泡体は、1つの低質量パッケージ内で熱交換及び音響減衰を可能にする手段を提供するように構成することができる。
【0022】
さらに、図示するように、この例示的な表面冷却器50の内側層52内には、少なくとも1つの、また一般的には複数のチューブ56を配置することができる。1つの実施形態では、複数のチューブ56を内側層52内に埋込むことができる。複数のチューブ56は、エンジンの様々な部品によって加熱される可能性がある流体を冷却するのを助けるように構成することができる。理解されるように、オイルのような流体は、軸受のようなエンジンの部品によって加熱される可能性がある。この加熱流体(オイル)は、チューブ56を介して表面冷却器50を通して送ることができる。流体からの熱は、チューブ56の壁から伝達させかつ表面冷却器50を介して空気流内に放散させることができる。この流体は次に、エンジン10内の部品に運んで戻すことができる。1つの実施形態では、チューブの寸法は、その直径を約0.5インチとすることができる。より具体的には、チューブの寸法は一般的に、内側層52の厚さよりも小さくすることができる。複数のチューブ56は、それに限定されないが、アルミニウムのような材料で作ることができる。1つの実施形態では、流体としては、オイル又は水を含むことができる。
【0023】
引続き図2を参照すると、参照符号57は、ほぼx方向を表しており、他方、y方向は、参照符号58で表している。また、参照符号59は、z方向を表している。空気流は、z方向59であることに留意されたい。
【0024】
上述したような金属発泡体を含む例示的な表面冷却器50を実施することによって、表面冷却器50の単位質量当りの除去熱を増大させることができる。加えて、表面冷却器50内における金属発泡体の使用はまた、バイパス流れターボ機械要素からの騒音の低減を可能にすることができる。
【0025】
図3は、図2の例示的な表面冷却器50の円周方向断面60を示している。上述したように、表面冷却器50は、内側層52と外側層54とを含む。表面冷却器50の内側層52は、ターボエンジン10(図1参照)のナセル壁つまり外側壁48(図1参照)に沿って配置される。空気流は、z方向59であることに留意されたい。
【0026】
次に図4を参照すると、本発明による表面冷却器62の別の実施形態の軸方向断面を示している。表面冷却器62は、内側層66と外側層68とを含む。本実施形態では、内側層66及び外側層68は、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含むことができる。1つの実施形態では、内側層66及び外側層68の両方は、ほぼ同様な材料を含むことができる。言い換えると、内側及び外側層66、68は、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含むことができる。それに代えて、内側層66及び外側層68は、異なる密度及び/又は空隙率を有する金属発泡体を含むことができる。一例として、内側層66は、第1の密度を有する金属発泡体を含むことができ、他方、外側層68は、第1の密度とは異なる第2の密度を有する金属発泡体を含むことができる。このことは、表面冷却器62の熱伝達能力を増大させるのを助けることができる。さらに、内側及び外側層66、68内で異なる空隙率及び/又は密度を有する金属発泡体を使用することにより、表面冷却器62の騒音吸収能力を高めることができる。本技術のさらに別の態様によると、金属発泡体の空隙率は変化させることができる。より具体的には、金属発泡体の空隙率は、異なる長さスケールを得るように意図的に変化させて、異なる音響波長の吸収を可能にすることができる。さらに、図4に示すように、内側層66内には、複数のチューブ70を配置することができ、その場合には、複数のチューブ70が、エンジン10の様々な部品によって加熱される可能性がある流体を冷却するのを助けるように構成することができる。空気流は、z方向59であることに留意されたい。
【0027】
図5は、図4の例示的な表面冷却器62の円周方向断面72を示している。前述したように、表面冷却器の内側層66は、エンジン10(図1参照)のナセル壁つまり外側壁48(図1参照)に沿って配置することができる。この場合にもまた、空気流はz方向59である。
【0028】
さらに、図6は、本技術の態様による表面冷却器76のさらに別の実施形態の軸方向断面を示している。図6に示すように、表面冷却器76は、内側層78を含む。本技術の態様によると、内側層78は、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含むことができる。さらに、1つの態様では、内側層78は、中実材料を含むことができる。さらに、内側層78に隣接して、複数のフィン80を配置することができる。1つの態様では、複数のフィン80はまた、金属発泡体を含むことができる。より具体的には、金属発泡体は、複数の別個のフィン80へと成形及び/又は機械加工することができる。1つの態様では、これらのフィン80は、空気流36(図1参照)のような主空気流と平行に配向することができる。それに代えて、フィン80は、主空気流とほぼ平行に配向されることに留意されたい。空気流は、z方向59であることに留意されたい。
【0029】
主空気流内に突出する発泡体フィン80を実施することによって、熱伝達の面積を増大させ、それによって熱伝達を増大させることができる。さらに、フィン80の表面積の増大は、音響吸収を強化するのを助けることができる。複数の発泡体フィン80を形成することに加えて、金属発泡体はまた、熱伝達を効率的に増大させるように構成されたピン及び/又はその他の構造体へと機械加工及び/又は成形することができる。加えて、内側層78内には、複数のチューブ82を配置することができ、その場合には、チューブ82が、表面冷却器に流体を送り、それによってエンジン10の様々な部品によって加熱された流体を冷却するのを助けることを可能にするように構成される。
【0030】
図7は、図6の例示的な表面冷却器76の円周方向断面84を示している。前述したように、表面冷却器の内側層78は、エンジン10(図1参照)の外側壁48(図1参照)に沿って配置することができる。この場合にもまた、空気流の方向は。z方向59である。
【0031】
次に図8を参照すると、図6の例示的な表面冷却器76の一部分86を示している。参照符号88は、内側層を表している。内側層88に隣接して、複数のフィン90が配置される。さらに、内側層88及びフィン90は、金属発泡体又は炭素発泡体92で形成することができる。さらに、内側層88はまた、中実材料で形成することができる。
【0032】
図9は、本発明の別の実施形態を示しており、この図では、複数のフィン96を含む表面冷却器94の一部分を示している。この図示した実施形態では、例示的な表面冷却器94の内側層98は、中実金属を含むことができる。さらに、複数のフィン96はまた、それに限定されないが、中実金属のような材料で形成することができる。この図示した実施形態では、複数のフィン96は、内側層98の基部から突出し、かつ内側層98を形成するために使用した材料を含むことができる。それに代えて、別の実施形態では、それに限定されないが、アルミニウムのような材料を使用して、内側層98と複数のフィン96とを形成することができる。本実施形態によると、複数のフィン96間の空間は、炭素発泡体又は金属発泡体100で充填することができる。炭素発泡体又は金属発泡体100は、複数のフィン96の周りに鋳型又は射出することができる。より具体的には、炭素又は金属発泡体100は、フィン96が炭素発泡体又は金属発泡体100を越えて突出するように、該フィン96の周りに鋳型又は射出することができる。1つの実施形態では、複数のフィン96は、内側層98に対して約70°の角度で傾斜させることができる。本技術の幾つかの実施形態によると、フィン96の上面に対して炭素又は金属発泡体100を射出することができる深さは、それに限定されないが、金属及び発泡体の熱伝導率、発泡体の音響特性、フィン96の間隔等々のような幾つかの要因に応じて決めることができる。本技術のさらに別の態様によると、金属発泡体の空隙率は、変化させることができる。より具体的には、金属発泡体の空隙率は、異なる長さスケール間で意図的に変化させて、異なる音響波長の吸収を可能にすることができる。さらに、フィンは、主要音を音響相殺させることによってターボ機械の相互作用騒音を最小にするような方法で構成することができる。
【0033】
図10は、内側層106上に配置された複数のフィン108を備えた例示的な表面冷却器104の斜視図102を示している。第1の端部112及び第2の端部114を備えたフィン108の分解図110を示している。本明細書で使用する場合に、「第1の端部」という用語は、そこに空気流が衝突するフィン108の面であり、他方、「第2の端部」という用語は、空気流から離れる方向に向いたフィン108の面である。前述したように、フィン80(図6参照)、90(図8参照)は、音響吸収の強化をもたらすことに加えて、熱伝達を強化するのを可能にするように構成される。本技術のさらに別の態様によると、フィンの熱伝達能力は、さらに強化させることができ、それらについては、図11〜図13を参照しながら一層詳細に説明する。
【0034】
次に図11に移ると、本技術の態様による例示的なフィン116の平面図を示している。フィン116は、金属発泡体117で形成することができる。さらに、中実熱伝導性材料又は中実金属ブレード118をフィン116内に配置して有効な熱伝導経路を形成し、それによって例示的な表面冷却器の内側層からフィン116の表面への熱の伝達を可能にすることができる。1つの実施形態では、中実金属ブレード118は、フィン116の中央部に配置することができる。また、1つの実施形態では、中実金属ブレード118は、それに限定されないが、熱分解黒鉛のような材料を含むことができる。さらに、参照符号120は、空気流を表している。本実施例では、空気流120は、フィン116と平行であることに留意されたい。
【0035】
別の実施形態では、図11の中実金属ブレード118は、図12に示すように空気流に対して垂直に配置することができる。より具体的には、図12は、空気流130に対してほぼ垂直になるようにフィン124内に配置された中実金属ブレード126を含む別の例示的なフィン124の平面図を示している。中実金属ブレード126の垂直な配向は、空気流130が強制的にフィン124の炭素発泡体又は金属発泡体128の周りを流れるようにする。
【0036】
図13は、例示的なフィン132のさらに別の実施形態の平面図を示している。本実施形態では、複数の中実金属ブレード134は、それら中実金属ブレード134が空気流136に対して垂直になるように、例示的なフィン132内に配置することができる。参照符号138は、炭素又は金属発泡体を表している。複数のブレード134を含むことによって、フィン132は、複数の区域に分割することができる。空気流136は、図に示すように強制的に金属発泡体の周りを流れて、フィンの熱伝達並びに空気力学的性能を最適にする。
【0037】
図6に関連して前述したように、フィン80は、金属発泡体を使用して形成される。一部の状況では、フィン80は、発泡体の多孔性の性質のために空気力学的性能の低下を生じる可能性がある。従って、これらのフィンの空気力学的性能を強化することもまた、望ましいことになる。
【0038】
次に図14〜図19を参照すると、複数のフィン108(図10参照)の別の構造の平面図を示している。本技術の例示的な態様によると、複数のフィン108を通過する流れの空気力学的性能は、該フィン108の第1の端部112(図10参照)及び第2の端部114(図10参照)上に前縁部、後縁部又はそれらの組合せを形成することによって強化することができる。本技術の実施形態によると、後縁部及び/又は前縁部は、中実金属を使用して形成することができる。これらの中実金属端縁部は、過度な圧力低下を防止し、それによってフィン108の空気力学的性能を増大させるのを助けることができる。従って、フィン108の別の実施形態を提示している。これらの別の実施形態は、エンジンの空気力学的性能をさらに強化するように構成することができ、それらについては、図14〜図19に関して一層詳細に説明する。図14は、空気力学的性能を強化するように構成されたフィン140の例示的な実施形態を示している。前述したように、フィン140は、金属発泡体を含むことができる。また、前述したように、参照符号112は、フィン140の第1の端部を表し、他方、参照符号114は、第2の端部を表している。本明細書で使用する場合に、「第1の端部」という用語は、そこにエンジン内の空気流が衝突するフィン140の端部を表し、他方、「第2の端部」という用語は、空気流から離れる方向に向いたフィン140の端部を表している。図14に示すように、前縁部142は、第1の端部112上に形成することができる。それに代えて、図15に示すように、後縁部144は、フィン146の第2の端部114上に形成することができる。前縁部、後縁部又はそれら両方は、中実金属を含むことができる。図16は、さらに別の実施形態を示しており、この実施形態では、フィン148は、それぞれ第1の端部112及び第2の端部114上に配置された前縁部142及び後縁部144の両方を含む。
【0039】
同様に、図17は、第1の端部112を前縁部152によって部分的に覆うことができるフィン150を示している。別の実施形態では、フィン156(図18参照)の第2の端部114は、後縁部154によって部分的に覆うことができる。図19は、さらに別の実施形態を示しており、この実施形態は、第1の端部112及び第2の端部114の両方がそれぞれ前縁部152及び後縁部154によって部分的に覆われた状態になったフィン158の平面図を示している。
【0040】
上述した例示的な表面冷却器の様々な実施形態では、熱伝達の増大及び音響吸収の向上が得られる。加えて、これらの例示的な表面冷却器は、ターボ機械の質量を低下させる。さらに、これらの例示的な表面冷却器はまた、バイパス流の損失に対する影響を減少させ、従ってより良好な燃料消費量を可能にする。
【0041】
本明細書では、本発明の一部の特徴のみを図示しかつ説明してきたが、当業者には多くの修正及び変形が想到されるであろう。従って、提出した特許請求の範囲は、全てのそのような修正及び変形を本発明の技術思想の範囲内に属するものとして保護することを意図していることを理解されたい。
【符号の説明】
【0042】
10 エンジン組立体
11 ロータファンブレード
12 中心軸線
13 ファン組立体
14 ブースタ圧縮機
15 ファンロータディスク
16 コアガスタービンエンジン
18 高圧タービン
20 圧縮機ロータディスク
21 出口案内ベーン
22 高圧圧縮機
23 内側壁
24 燃焼器
26 低圧タービン
28 吸気側
29 第2の駆動シャフト
30 コアエンジン排気側
31 ファン排気側
35 空気流の一部分、加圧空気流
36 空気流の残りの部分、バイパス空気
40 ロータブレード
42 第1の駆動シャフト
44 複合型装置、表面冷却器
45 表面冷却器
46 音響ライナ
47 音響ライナ
48 外側壁
50 表面冷却器
52 内側層
54 外側層
56 チューブ
57 x方向
58 y方向
59 z方向
60 表面冷却器50の円周方向断面
62 表面冷却器
66 内側層
68 外側層
70 チューブ
72 表面冷却器62の円周方向断面
76 表面冷却器
78 内側層
80 フィン
82 チューブ
84 表面冷却器76の円周方向断面
86 表面冷却器76の一部分
88 内側層
90 フィン
92 金属発泡体又は炭素発泡体
94 表面冷却器
96 フィン
98 内側層
100 炭素発泡体又は金属発泡体
102 表面冷却器104の斜視図
104 表面冷却器
106 内側層
108 フィン
110 フィン108の分解図
112 第1の端部
114 第2の端部
116 フィン
117 金属発泡体
118 中実金属ブレード
120 空気流
124 フィン
126 中実金属ブレード
128 炭素発泡体又は金属発泡体
130 空気流
132 フィン
134 中実金属ブレード
136 空気流
138 炭素又は金属発泡体
140 フィン
142 前縁部
144 後縁部
146 フィン
148 フィン
150 フィン
152 前縁部
154 後縁部
156 フィン
158 フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側層(52)と、
前記内側層(52)に隣接して配置されかつ金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含む外側層(54)と、を含み、
前記金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せが、熱伝達を増大させかつ音響吸収を強化するように構成される、
表面冷却器(44、45)。
【請求項2】
前記内側層(52)内に配置された複数のチューブ(56)をさらに含み、
前記複数のチューブ(56)が、冷却されることになる流体を運ぶように構成される、
請求項1記載の表面冷却器(44、45)。
【請求項3】
前記内側層(52)が、中実金属を含む、請求項1または2記載の表面冷却器(44、45)。
【請求項4】
前記内側層(52)が、金属発泡体、炭素発泡体体はそれらの組合せを含む、請求項1または2記載の表面冷却器(44、45)。
【請求項5】
内側層(52)と、
前記内側層(52)に隣接して配置されかつ複数のフィン(80)を含む外側層(54)と、を含み、
前記複数のフィン(80)が、熱伝達を増大させかつ音響吸収を強化するように構成され、
前記複数のフィン(80)が、金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含む、
表面冷却器(44、45)。
【請求項6】
前記複数のフィン(80、96)の1つ又はそれ以上の端部上に配置された後縁部(144)、前縁部(142)又はそれらの組合せをさらに含み、
前記後縁部(144)、前縁部(142)又はそれらの組合せが、前記複数のフィンの端縁部の少なくとも一部分を覆うように構成され、
前記後縁部(144)、前縁部(142)又はそれらの組合せが、熱伝達を増大させかつ音響吸収を強化するように構成される、
請求項5記載の表面冷却器(44、45)。
【請求項7】
前記複数のフィン(80、96)が、前記金属発泡体内に配置された少なくとも1つの中実ブレード(118)をさらに含み、
前記中実ブレード(118)が、前記フィンの長さ全体にわたる熱伝達を増大させるように構成される、
請求項5または6記載の表面冷却器(44、45)。
【請求項8】
コアエンジン(16)と、
表面冷却器(44、45)と、
を含み、前記表面冷却器(44、45)が、
内側層(52)と、
前記内側層(52)に隣接して配置されかつ金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せを含む外側層(54)と、を含み、
前記金属発泡体、炭素発泡体又はそれらの組合せが、熱伝達を増大させかつ音響吸収を強化するように構成される、
エンジン(10)。
【請求項9】
前記表面冷却器(44)が、前記エンジンのナセル壁(48)に隣接して配置される、請求項8記載のエンジン(10)。
【請求項10】
前記表面冷却器(45)が、前記エンジンの内側壁(23)に隣接して配置される、請求項8記載のエンジン(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−151131(P2010−151131A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288556(P2009−288556)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】