説明

ダイピックアップ装置

【課題】ダイ突き上げ部材を用いてもダイを破損させることがなく、ダイを確実にピックアップさせることができる。
【解決手段】吸着ステージ10内には、ピックアップ用のダイ突き上げ部材21よりダイ送り側にダイを突き上げるダイ剥離用のダイ突き上げ部材22が上下動可能に設けられ、ダイ突き上げ部材22が下降した状態で、ピックアップされるダイ1Aの送り方向側のダイ端部をダイ突き上げ部材22の上方に位置させた後、ダイ突き上げ部材22を上昇させてダイ1Aの送り方向側のダイ端部をウェーハシート2より剥がし、その後、ダイ突き上げ部材22は上昇したままダイ1Aをピックアップセンター5に送ってコレット4とダイ突き上げ部材21によりピックアップさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハシートに貼り付けられたダイをコレットで前記ウェーハシートから剥離してピックアップするダイピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハシートに貼り付けられたダイのピックアップ装置として、特許文献1に示す突き上げ部材方式が一般的に行われている。しかし、この装置は、ダイの厚みが約100μm以下と薄い場合には、ダイが破損するという問題があった。
【0003】
この改善策として、突き上げ部材を用いないでダイをウェーハシートよりピックアップする方法として、例えば特許文献2が挙げられる。この装置は、ダイをコレットで保持した状態で、ダイが貼り付けられたウェーハシート(粘着シート)を吸着ステージで吸引しながら吸着ステージを水平面上で移動した後、前記コレットは前記ウェーハシートから前記ダイをピックアップする。
【0004】
【特許文献1】特開平3−229441号公報
【特許文献2】特開2001−118862号公報(特許第3209736号公報)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、ダイを破損させるという問題はあるが、ダイのピックアップミスが殆ど生じないという利点を有する。特許文献2は、ダイの破損は生じない。しかし、貼り付けられたウェーハシートとダイをそれぞれ吸着ステージとコレットの真空吸着によって保持し、吸着ステージを水平移動させてることにより両者を剥がすので、吸引力を強くする必要があり、ダイに悪影響を与えるという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、ダイ突き上げ部材を用いてもダイを破損させることがなく、ダイを確実にピックアップさせることができるダイピックアップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の請求項1は、ダイが貼り付けられたウェーハシートを吸着保持する吸着ステージと、この吸着ステージ内に配設され、ダイを突き上げるピックアップ用のダイ突き上げ部材と、このピックアップ用のダイ突き上げ部材で突き上げされたダイを吸着保持して搬送するコレットとを備えたダイピックアップ装置において、
前記吸着ステージ内には、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材よりダイ送り側にダイを突き上げるダイ剥離用のダイ突き上げ部材が上下動可能に設けられ、このダイ剥離用のダイ突き上げ部材が下降した状態で、ピックアップされるダイの送り方向側のダイ端部を前記ダイ剥離用のダイ突き上げ部材の上方に位置させた後、該ダイ剥離用のダイ突き上げ部材を上昇させてダイの送り方向側のダイ端部を前記ウェーハシートより剥がし、その後、前記ダイ剥離用のダイ突き上げ部材は上昇したままダイを送って、ダイを部分的或いは全面的に剥離させた後、ピックアップさせることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の請求項2は、ダイが貼り付けられたウェーハシートを吸着保持する吸着ステージと、この吸着ステージ内に配設され、ダイを突き上げるピックアップ用のダイ突き上げ部材と、このピックアップ用のダイ突き上げ部材で突き上げされたダイを吸着保持して搬送するコレットとを備えたダイピックアップ装置において、
前記吸着ステージ内には、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材よりダイ送り側にダイを突き上げるダイ剥離用のダイ突き上げ部材が上下動可能に設けられ、このダイ剥離用のダイ突き上げ部材が下降した状態で、ピックアップされるダイの送り方向側のダイ端部を前記ダイ剥離用のダイ突き上げ部材の上方に位置させた後、該ダイ剥離用のダイ突き上げ部材を上昇させてダイの送り方向側のダイ端部を前記ウェーハシートより剥がし、その後、前記ダイ剥離用のダイ突き上げ部材を下降させた後にダイを送って、ダイを部分的或いは全面的に剥離させた後、ピックアップさせることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の請求項3は、ダイが貼り付けられたウェーハシートを吸着保持する吸着ステージと、この吸着ステージ内のピックアップセンターに配設され、ダイを突き上げるピックアップ用のダイ突き上げ部材と、このピックアップ用のダイ突き上げ部材で突き上げされたダイを吸着保持して搬送するコレットとを備えたダイピックアップ装置において、
前記吸着ステージの上面には、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材よりダイ送り側に吸引穴が形成され、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材が下降した状態でピックアップされるダイの送り方向側のダイ端部を前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材の上方に位置させた後、該ピックアップ用のダイ突き上げ部材を上昇させてダイの送り方向側のダイ端部をウェーハシートより剥がし、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材は上昇したままでダイを該ピックアップ用のダイ突き上げ部材を乗り越えて移動させた後、前記ダイをピックアップセンターに送ってピックアップさせることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の請求項4は、ダイが貼り付けられたウェーハシートを吸着保持する吸着ステージと、この吸着ステージ内のピックアップセンターに配設され、ダイを突き上げるピックアップ用のダイ突き上げ部材と、このピックアップ用のダイ突き上げ部材で突き上げされたダイを吸着保持して搬送するコレットとを備えたダイピックアップ装置において、
前記吸着ステージの上面には、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材よりダイ送り側に吸引穴が形成され、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材が下降した状態でピックアップされるダイの送り方向側のダイ端部を前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材の上方に位置させた後、該ピックアップ用のダイ突き上げ部材を上昇させてダイの送り方向側のダイ端部をウェーハシートより剥がし、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材を下降させると共に、ダイの送り方向側のダイ端部を前記吸引穴の上方に位置させた後、前記ダイをピックアップセンターに送ってピックアップさせることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の請求項5は、ダイが貼り付けられたウェーハシートを吸着保持する吸着ステージと、この吸着ステージ内のピックアップセンターに配設され、ダイを突き上げるピックアップ用のダイ突き上げ部材と、このピックアップ用のダイ突き上げ部材で突き上げされたダイを吸着保持して搬送するコレットとを備えたダイピックアップ装置において、
前記吸着ステージの上面には、ピックアップ用のダイ突き上げ部材よりダイ送り側に吸引穴が形成され、ピックアップされるダイの送り方向側のダイ端部を前記吸引穴の上方に位置させた後、前記吸着ステージを真空吸引させて前記ダイの送り方向側のダイ端部を前記ウェーハシートより剥がし、その後、ダイをピックアップセンターに送ってピックアップさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
ピックアップセンターに送られたダイとウェーハシートの粘着力は低下しているので、ダイ突き上げ部材で薄型のダイを突き上げても、該ダイが破損することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のダイピックアップ装置の第1の実施の形態を図1及び図2により説明する。図1に示すように、ダイ1A、1B、1C・・・が貼り付けられたウェーハシート2の外周は、図示しないウェーハリングに固定されている。ウェーハリングは、平面方向のXY軸方向に駆動される図示しないウェーハ支持枠に固定される。ダイ1A、1B、1C・・・は、吸着穴3が形成されたコレット4によって真空吸着されてピックアップされる。ピックアップセンター5の下方には、ウェーハシート2を真空吸着する吸着ステージ10が配設されている。以上は周知の技術である。
【0014】
吸着ステージ10内のピックアップセンター5部には、ピックアップ用のダイ突き上げ部材21が上下動可能に設けられ、このダイ突き上げ部材21の両側には、ダイ剥離用のダイ突き上げ部材22、23上下動可能に設けられており、これらのダイ突き上げ部材21、22、23は、平板形状よりなり、それぞれ単独に図示しない上下駆動手段で上下駆動させられるようになっている。図2に示すように、ダイ突き上げ部材21、22、23は、ウェーハシート送り方向Aに直角な方向の長さがダイ1A、1B、1Cの隅部より内側になるように、即ちダイ1A、1B、1Cの辺の長さより若干短く形成されている。吸着ステージ10には、ダイ突き上げ部材21、22、23の貫通穴及びウェーハシート2の吸引穴を兼ねた吸引穴11、12、13が形成されている。
【0015】
次にダイピックアップ方法について説明する。図1(a)に示すように、吸着ステージ10の真空をオンにし、ピックアップするダイ1Aの送り方向側のダイ端部がダイ突き上げ部材22の上方に位置するように、ウェーハシート2が固定された図示しないウェーハリングを移動させる。次に図1(b)に示すように、ダイ突き上げ部材22を上昇させ、ウェーハシート2を介してダイ1Aの送り方向側のダイ端部を突き上げる。これにより、ダイ1Aの送り方向側のダイ端部はウェーハシート2から剥がされる。
【0016】
次に図1(c)に示すように、ダイ突き上げ部材22は上昇したままダイ1Aがピックアップセンター5に位置するようにウェーハシート2を移動させる。ダイ1Aは、ダイ突き上げ部材22の上方を通過する時、ダイ突き上げ部材22で押し上げられた山部を乗り越えて送られるので、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力が低下する。次に図1(d)に示すように、ダイ突き上げ部材22は下降してウェーハシート2から離れ、またコレット4はダイ1Aを吸着する位置まで下降する。続いて図1(e)に示すように、ダイ突き上げ部材21が上昇してダイ1Aを突き上げ、コレット4はダイ1Aを真空吸着する。この場合、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力は低下しているので、ダイ突き上げ部材21の上昇によりダイ1Aは破損されることなく容易にウェーハシート2より剥がされる。
【0017】
ダイ1Aを真空吸着してピックアップしたコレット4は、図示しない移送手段により上昇及びXY軸方向に移動させられ、次工程、例えばダイボンディング、ダイ詰め等の工程を行う。ダイ1Aがピックアップされると、図1(f)に示すように、ダイ突き上げ部材21が下降し、また次にピックアップされるダイ1Bの送り方向側のダイ端部が前記したようにダイ突き上げ部材22の上方に位置するようにウェーハシート2が移動させられる。
【0018】
このように、ピックアップセンター5に送られたダイ1Aとウェーハシート2の粘着力は低下しているので、ダイ突き上げ部材21で薄型のダイ1Aを突き上げても、該ダイ1Aが破損することがない。
【0019】
なお、上記実施の形態では、ダイ突き上げ部材23は何ら作用していない。これは、ダイを左側からピックアップセンター5に送った場合について説明したためである。ダイを右側からピックアップセンター5に送る場合には、ダイ突き上げ部材23が前記説明したダイ突き上げ部材22と同様に作用し、ダイ突き上げ部材22は何ら作用しない。
【0020】
本発明のダイピックアップ装置の第2の実施の形態を図3により説明する。本実施の形態は、前記第1の実施の形態の変形例であり、図1(c)(d)の工程を図3(a)(b)に変えたものである。その他は図1の工程と同じであるので、異なる工程について説明する。
【0021】
図1(a)の工程後、図1(b)に示すように、ダイ突き上げ部材22でダイ1Aの送り方向側のダイ端部を突き上げ、ダイ1Aの送り方向側のダイ端部をウェーハシート2から剥がした後、図3(a)に示すように、ダイ突き上げ部材22が下降する。その後、図3(b)に示すように、ダイ1Aがピックアップセンター5に位置するようにウェーハシート2を移動させる。前記したように、ダイ1Aの送り方向側のダイ端部はウェーハシート2より剥がされているので、図3(a)から図3(b)のようにダイ1Aが移動させられる時、吸引穴12の真空吸引力によりダイ1Aはウェーハシート2より剥がされ、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力は低下する。その後は、図1(e)(f)の工程が行われる。
【0022】
本実施の形態も前記実施の形態と同様に、ピックアップセンター5に送られたダイ1Aとウェーハシート2の粘着力は低下しているので、ダイ突き上げ部材21で薄型のダイ1Aを突き上げても、該ダイ1Aが破損することがない。
【0023】
本発明のダイピックアップ装置の第3の実施の形態を図4により説明する。以下、図1乃至図3と同じ又は相当部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施の形態は、ピックアップセンター5にダイ突き上げ部材21があり、このダイ突き上げ部材21の吸引穴11の両側には、吸引穴12、13のみがあり、吸引穴12、13にはダイ突き上げ部材22、23は配設されていない。
【0024】
次にダイピックアップ方法について説明する。図4(a)に示すように、吸着ステージ10の真空をオンにし、ピックアップするダイ1Aの送り方向側のダイ端部がダイ突き上げ部材21の上方に位置するように、ウェーハシート2を移動させる。次に図4(b)に示すように、ダイ突き上げ部材21を上昇させ、ウェーハシート2を介してダイ1Aの送り方向側のダイ端部を突き上げる。これにより、ダイ1Aの送り方向側のダイ端部はウェーハシート2から剥がされる。
【0025】
次に図4(c)に示すように、ダイ突き上げ部材21は上昇したままダイ1Aがダイ突き上げ部材21乗り越えるようにウェーハシート2を移動させる。ダイ1Aは、ダイ突き上げ部材21の上方を通過する時、ダイ突き上げ部材21で押し上げられた山部を乗り越えて送られるので、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力が低下する。その後、図4(d)に示すように、ダイ突き上げ部材21が下降した後、ダイ1Aがピックアップセンター5に位置するようにウェーハシート2を移動させる。続いて図4(e)に示すように、ダイ突き上げ部材21が上昇してダイ1Aを突き上げ、コレット4はダイ1Aを真空吸着する。この場合、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力は低下しているので、ダイ突き上げ部材21の上昇によりダイ1Aは破損されることなく容易にウェーハシート2より剥がされる。
【0026】
ダイ1Aを真空吸着してピックアップしたコレット4は、図示しない移送手段により上昇及びXY軸方向に移動させられ、次工程、例えばダイボンディング、ダイ詰め等の工程を行う。ダイ1Aがピックアップされると、図4(f)に示すように、ダイ突き上げ部材21が下降し、また次にピックアップされるダイ1Bの送り方向側のダイ端部が前記したようにダイ突き上げ部材21の上方に位置するように(図4(a)参照)ウェーハシート2が移動させられる。
【0027】
このように、ピックアップセンター5に送られたダイ1Aとウェーハシート2の粘着力は低下しているので、ダイ突き上げ部材21で薄型のダイ1Aを突き上げても、該ダイ1Aが破損することがない。
【0028】
本発明のダイピックアップ装置の第4の実施の形態を図5により説明する。本実施の形態は、前記第3の実施の形態の変形例であり、図4(c)(d)の工程を図5(a)(b)に変えたものである。その他は図4の工程と同じであるので、異なる工程について説明する。
【0029】
図4(a)の工程後、図4(b)に示すように、ダイ突き上げ部材21でダイ1Aの送り方向側のダイ端部を突き上げ、ダイ1Aの送り方向側のダイ端部をウェーハシート2から剥がした後、図5(a)に示すように、ダイ突き上げ部材21が下降すると共に、ダイ1Aが送り方向に送られ該ダイ1Aの全面又は一部が吸引穴11の負圧によりウェーハシート2から剥がされる。その後、図5(b)に示すように、ダイ1Aが送り方向Aと反対側方向のピックアップセンター5に位置するようにウェーハシート2を移動させる。前記したように、ダイ1Aの送り方向側のダイ端部はウェーハシート2より剥がされているので、図5(a)から図5(b)のようにダイ1Aが移動させられる時、吸引穴12の真空吸引力によりダイ1Aはウェーハシート2より剥がされ、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力は低下する。その後は、図4(e)(f)の工程が行われる。
【0030】
本実施の形態も前記各実施の形態と同様に、ピックアップセンター5に送られたダイ1Aとウェーハシート2の粘着力は低下しているので、ダイ突き上げ部材21で薄型のダイ1Aを突き上げても、該ダイ1Aが破損することがない。
【0031】
本発明のダイピックアップ装置の第5の実施の形態を図6により説明する。本実施の形態は、前記第3及び第4の実施の形態と同様に、ピックアップセンター5にはダイ突き上げ部材21があり、このダイ突き上げ部材21の吸引穴11の両側には、吸引穴12、13のみがあり、吸引穴12、13にはダイ突き上げ部材22、23は配設されていない。しかし、ダイ突き上げ部材21の作用が前記第3及び第4の実施の形態と異なる。
【0032】
次にダイピックアップ方法について説明する。図6(a)に示すように、ピックアップするダイ1Aの送り方向側のダイ端部が吸引穴12の上方に位置するように、ウェーハシート2を移動させ、吸着ステージ10の真空をオンにする。これにより、図6(b)に示すように、吸着ステージ10の真空吸引によってダイ1Aの送り方向側のダイ端部のウェーハシート2は下方に引かれ、ダイ1Aの送り方向側のダイ端部はウェーハシート2から剥がされる。
【0033】
次に図6(c)に示すように、ダイ1Aがピックアップセンター5に位置するようにウェーハシート2を移動させる。前記したように、ダイ1Aの送り方向側のダイ端部はウェーハシート2より剥がされているので、図6(b)から図6(c)のようにダイ1Aが移動させられる時、吸引穴12の真空吸引力によりダイ1Aはウェーハシート2より剥がされ、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力は低下する。その後は、図6(d)(e)の工程が行われる。この工程は図4(e)(f)の工程と同じであるので、その説明は省略する。
【0034】
本実施の形態も前記各実施の形態と同様に、ピックアップセンター5に送られたダイ1Aとウェーハシート2の粘着力は低下しているので、ダイ突き上げ部材21で薄型のダイ1Aを突き上げても、該ダイ1Aが破損することがない。
【0035】
前記各実施の形態は、ピックアップ用のダイ突き上げ部材21は1個であった。図7、図8及び図9に示す第6、第7及び第8の実施の形態は、3個のピックアップ用のダイ突き上げ部材24、25、26を用いた場合を示す。図7は図1の第1の実施の形態に適用した例、図8は図4の第3の実施の形態に適用した例、図9は図6の第5の実施の形態に適用した例をそれぞれ示す。ダイ突き上げ部材24、25、26は、図示しない上下駆動手段で上下駆動されるホルダ30に固定されており、中央のダイ突き上げ部材24は両側のダイ突き上げ部材25、26より高さh(約100〜150μm)高く形成されている。吸着ステージ10には、ダイ突き上げ部材24、25、26に対応して吸引穴14、15、16が形成されている。その他の構成は前記適用した図と同じであるので、同じ又は相当部材には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0036】
本発明のダイピックアップ装置の第6の実施の形態を図7により説明する。本実施の形態は、図1の第1の実施の形態に適用したものであり、作用は図1と殆ど同じであるので、同じ作用の詳細な説明は省略する。即ち、図7(a)(b)(c)(d)は、図1(a)(b)(c)(d)に対応し、ダイ突き上げ部材22のみが上下動し、またダイ1Aが図1で説明したように送られ、図7(d)の状態では、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力は低下している。
【0037】
次に図7(e)に示すように、ホルダ30が上昇してダイ突き上げ部材24、25、26でダイ1Aを突き上げ、コレット4はダイ1Aを真空吸着する。この場合、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力は低下しているので、図1の場合と同様に、ダイ突き上げ部材24、25、26の上昇によりダイ1Aは破損されることなく容易にウェーハシート2より剥がされる。また本実施の形態は、3個のダイ突き上げ部材24、25、26でダイ1Aを突き上げるので、ダイ1Aに無理な力が加わらなく、また中央のダイ突き上げ部材24で突き上げられてダイ1Aが傾いても、一方のダイ突き上げ部材25又は26で支持され、コレット4の吸着穴3による真空吸引によってコレット4に吸着保持される。
【0038】
その後は図7(f)に示すように、ホルダ30の下降によってダイ突き上げ部材24、25、26が下降し、ダイ1Aを吸着保持したコレット4は従来と同様の動作を行い、また図1の場合と同様に次にピックアップされるダイ1Bの送り方向側のダイ端部が前記したようにダイ突き上げ部材22の上方に位置するようにウェーハシート2が移動させられる。
【0039】
本発明のダイピックアップ装置の第7の実施の形態を図8により説明する。本実施の形態は、図4の第3の実施の形態に適用したものである。図8(a)に示すように、吸着ステージ10の真空をオンにし、ピックアップするダイ1Aの送り方向側のダイ端部が中央のダイ突き上げ部材24の上方に位置するように、ウェーハシート2を移動させる。次に図8(b)に示すように、ホルダ30を上昇させると、ダイ突き上げ部材24はウェーハシート2を介してダイ1Aの送り方向側のダイ端部を突き上げる。これにより、ダイ1Aの送り方向側のダイ端部はウェーハシート2から剥がされる。
【0040】
次に図8(c)に示すように、ホルダ30、即ちダイ突き上げ部材24は上昇したままダイ1Aがダイ突き上げ部材24乗り越えるようにウェーハシート2を移動させる。ダイ1Aは、ダイ突き上げ部材24の上方を通過する時、ダイ突き上げ部材24で押し上げられた山部を乗り越えて送られるので、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力が低下する。その後、図8(d)に示すように、ホルダ30が下降した後、ダイ1Aがピックアップセンター5に位置するようにウェーハシート2を移動させる。続いて図8(e)に示すように、ホルダ30が上昇してダイ突き上げ部材24、25、26でダイ1Aを突き上げ、コレット4はダイ1Aを真空吸着する。この場合、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力は低下しているので、図4の場合と同様に、ダイ突き上げ部材24、25、26の上昇によりダイ1Aは破損されることなく容易にウェーハシート2より剥がされる。また本実施の形態は、3個のダイ突き上げ部材24、25、26でダイ1Aを突き上げるので、ダイ1Aに無理な力が加わらなく、また中央のダイ突き上げ部材24で突き上げられてダイ1Aが傾いても、一方のダイ突き上げ部材25又は26で支持され、コレット4の吸着穴3による真空吸引によってコレット4に吸着保持される。
【0041】
その後は図8(f)に示すように、ホルダ30の下降によってダイ突き上げ部材24、25、26が下降し、ダイ1Aを吸着保持したコレット4は従来と同様の動作を行い、また図1の場合と同様に次にピックアップされるダイ1Bの送り方向側のダイ端部が前記したようにダイ突き上げ部材22の上方に位置するようにウェーハシート2が移動させられる。
【0042】
本発明のダイピックアップ装置の第8の実施の形態を図9により説明する。本実施の形態は、図6の第5の実施の形態に適用したものであり、作用は図6と殆ど同じであるので、同じ作用の詳細な説明は省略する。即ち、図9(a)(b)(c)は、図6(a)(b)(c)に対応し、図9(c)の状態では、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力は低下している。次に図9(d)に示すように、ホルダ30が上昇してダイ突き上げ部材24、25、26でダイ1Aを突き上げ、コレット4はダイ1Aを真空吸着する。この場合、ウェーハシート2とダイ1Aの粘着力は低下しているので、図6の場合と同様に、ダイ突き上げ部材24、25、26の上昇によりダイ1Aは破損されることなく容易にウェーハシート2より剥がされる。また本実施の形態は、3個のダイ突き上げ部材24、25、26でダイ1Aを突き上げるので、ダイ1Aに無理な力が加わらなく、また中央のダイ突き上げ部材24で突き上げられてダイ1Aが傾いても、一方のダイ突き上げ部材25又は26で支持され、コレット4の吸着穴3による真空吸引によってコレット4に吸着保持される。
【0043】
その後は図9(e)に示すように、ホルダ30の下降によってダイ突き上げ部材24、25、26が下降し、ダイ1Aを吸着保持したコレット4は従来と同様の動作を行い、また図6の場合と同様に次にピックアップされるダイ1Bの送り方向側のダイ端部が吸引穴12の上方に位置するように、ウェーハシート2を移動させる。
【0044】
上記図1及び図7に示す第1及び第6の実施の形態において、図1(b)及び(c)、図7(b)及び(c)に示すように、ダイ突き上げ部材22を上昇させた状態でダイ1Aの全面を剥離させると、ウェーハシート2からダイ1Aが外れてしまうことがある。これを防止するには、ダイ1Aの後端部がウェーハシート2から剥離される前にダイ突き上げ部材22を下降させるようにする。これは図4に示す第3の実施の形態においても同様である。即ち、図4(b)に示すように、ダイ突き上げ部材21を上昇させた状態でウェーハシート2、即ちダイ1Aを移動させて該ダイ1Aが完全に剥離される前にダイ突き上げ部材21を下降させる。
【0045】
また図1(b)、図7(b)に示すように、ダイ突き上げ部材22でダイ1Aの送り方向側のダイ端部を突き上げた後、ウェーハシート2の移動を100〜200msec停止させると、ウェーハシート2からのダイ1Aの剥離が良くなる。
【0046】
また図1(b)、図7(b)に示すように、ダイ突き上げ部材22でダイ1Aの送り方向側のダイ端部を突き上げる場合、ダイ突き上げ部材22の吸着ステージ10の上面からの突き出し量を大きくした方がダイ1Aの送り方向側のダイ端部は剥離し易い。例えば前記突き出し量を250μmとする。しかし、このように大きな突き出し量でウェーハシート2、即ちダイ1Aを移動させると該ダイ1Aにダメージを与える虞がある。これを避けるには、図1(b)、図7(b)の後にダイ突き上げ部材22を少し下げるとよい。例えば吸着ステージ10の上面からの突き出し量を100μmとする。これは、図4の場合も同様である。即ち、図4(b)に示すように、ダイ突き上げ部材21の吸着ステージ10の上面からの突き出し量を大きくし、その後にダイ突き上げ部材21を少し下げる。
【0047】
なお、図7及び図9の実施の形態におけるピックアップ用のダイ突き上げ部材24、25、26は、既にウェーハシート2に対して粘着力が低下しているダイ1Aを突き上げてコレット4に吸着させる作用のみであるので、ダイ突き上げ部材24、25、26は全て同じ高さでもよい。しかし、図8の実施の形態の場合には、中央のダイ突き上げ部材24はウェーハシート2に対して粘着力を低下させる作用を行うので、本実施の形態の場合には、ダイ突き上げ部材24は少なくともダイ突き上げ部材25より高く形成する必要がある。
【0048】
また図7乃至図9の実施の形態においては、3個のピックアップ用用のダイ突き上げ部材24、25、26について説明したが、ピックアップ用のダイ突き上げ部材は2個又は4個以上でもよい。また図示しないが、図7の実施の形態は図3の実施の形態にも適用でき、図8の実施の形態は図5の実施の形態にも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明のダイピックアップ装置の第1の実施の形態を示す正面断面図である。
【図2】図1の吸着ステージの平面図である。
【図3】本発明のダイピックアップ装置の第2の実施の形態を示す正面断面図である。
【図4】本発明のダイピックアップ装置の第3の実施の形態を示す正面断面図である。
【図5】本発明のダイピックアップ装置の第4の実施の形態を示す正面断面図である。
【図6】本発明のダイピックアップ装置の第5の実施の形態を示す正面断面図である。
【図7】本発明のダイピックアップ装置の第6の実施の形態を示す正面断面図である。
【図8】本発明のダイピックアップ装置の第7の実施の形態を示す正面断面図である。
【図9】本発明のダイピックアップ装置の第8の実施の形態を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1A、1B、1C・・・ ダイ
2 ウェーハシート
3 吸着穴
4 コレット
5 ピックアップセンター
10 吸着ステージ
11、12、13、14、15、16 吸引穴
21、22、23、24、25、26 ダイ突き上げ部材
30 ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイが貼り付けられたウェーハシートを吸着保持する吸着ステージと、この吸着ステージ内に配設され、ダイを突き上げるピックアップ用のダイ突き上げ部材と、このピックアップ用のダイ突き上げ部材で突き上げされたダイを吸着保持して搬送するコレットとを備えたダイピックアップ装置において、
前記吸着ステージ内には、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材よりダイ送り側にダイを突き上げるダイ剥離用のダイ突き上げ部材が上下動可能に設けられ、このダイ剥離用のダイ突き上げ部材が下降した状態で、ピックアップされるダイの送り方向側のダイ端部を前記ダイ剥離用のダイ突き上げ部材の上方に位置させた後、該ダイ剥離用のダイ突き上げ部材を上昇させてダイの送り方向側のダイ端部を前記ウェーハシートより剥がし、その後、前記ダイ剥離用のダイ突き上げ部材は上昇したままダイを送って、ダイを部分的或いは全面的に剥離させた後、ピックアップさせることを特徴とするダイピックアップ装置。
【請求項2】
ダイが貼り付けられたウェーハシートを吸着保持する吸着ステージと、この吸着ステージ内に配設され、ダイを突き上げるピックアップ用のダイ突き上げ部材と、このピックアップ用のダイ突き上げ部材で突き上げされたダイを吸着保持して搬送するコレットとを備えたダイピックアップ装置において、
前記吸着ステージ内には、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材よりダイ送り側にダイを突き上げるダイ剥離用のダイ突き上げ部材が上下動可能に設けられ、このダイ剥離用のダイ突き上げ部材が下降した状態で、ピックアップされるダイの送り方向側のダイ端部を前記ダイ剥離用のダイ突き上げ部材の上方に位置させた後、該ダイ剥離用のダイ突き上げ部材を上昇させてダイの送り方向側のダイ端部を前記ウェーハシートより剥がし、その後、前記ダイ剥離用のダイ突き上げ部材を下降させた後にダイを送って、ダイを部分的或いは全面的に剥離させた後、ピックアップさせることを特徴とするダイピックアップ装置。
【請求項3】
ダイが貼り付けられたウェーハシートを吸着保持する吸着ステージと、この吸着ステージ内のピックアップセンターに配設され、ダイを突き上げるピックアップ用のダイ突き上げ部材と、このピックアップ用のダイ突き上げ部材で突き上げされたダイを吸着保持して搬送するコレットとを備えたダイピックアップ装置において、
前記吸着ステージの上面には、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材よりダイ送り側に吸引穴が形成され、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材が下降した状態でピックアップされるダイの送り方向側のダイ端部を前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材の上方に位置させた後、該ピックアップ用のダイ突き上げ部材を上昇させてダイの送り方向側のダイ端部をウェーハシートより剥がし、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材は上昇したままでダイを該ピックアップ用のダイ突き上げ部材を乗り越えて移動させた後、前記ダイをピックアップセンターに送ってピックアップさせることを特徴とするダイピックアップ装置。
【請求項4】
ダイが貼り付けられたウェーハシートを吸着保持する吸着ステージと、この吸着ステージ内のピックアップセンターに配設され、ダイを突き上げるピックアップ用のダイ突き上げ部材と、このピックアップ用のダイ突き上げ部材で突き上げされたダイを吸着保持して搬送するコレットとを備えたダイピックアップ装置において、
前記吸着ステージの上面には、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材よりダイ送り側に吸引穴が形成され、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材が下降した状態でピックアップされるダイの送り方向側のダイ端部を前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材の上方に位置させた後、該ピックアップ用のダイ突き上げ部材を上昇させてダイの送り方向側のダイ端部をウェーハシートより剥がし、前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材を下降させると共に、ダイの送り方向側のダイ端部を前記吸引穴の上方に位置させた後、前記ダイをピックアップセンターに送ってピックアップさせることを特徴とするダイピックアップ装置。
【請求項5】
ダイが貼り付けられたウェーハシートを吸着保持する吸着ステージと、この吸着ステージ内のピックアップセンターに配設され、ダイを突き上げるピックアップ用のダイ突き上げ部材と、このピックアップ用のダイ突き上げ部材で突き上げされたダイを吸着保持して搬送するコレットとを備えたダイピックアップ装置において、
前記吸着ステージの上面には、ピックアップ用のダイ突き上げ部材よりダイ送り側に吸引穴が形成され、ピックアップされるダイの送り方向側のダイ端部を前記吸引穴の上方に位置させた後、前記吸着ステージを真空吸引させて前記ダイの送り方向側のダイ端部を前記ウェーハシートより剥がし、その後、ダイをピックアップセンターに送ってピックアップさせることを特徴とするダイピックアップ装置。
【請求項6】
前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材は、複数本よりなることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載のダイピックアップ装置。
【請求項7】
前記ピックアップ用のダイ突き上げ部材は3本以上よりなり、中央のダイ突き上げ部材は、両側のダイ突き上げ部材より高く形成されていることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載のダイピックアップ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−4956(P2006−4956A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−160407(P2004−160407)
【出願日】平成16年5月31日(2004.5.31)
【出願人】(000146722)株式会社新川 (128)
【Fターム(参考)】