説明

チェンジレバーのシフト位置検出装置およびこれを用いたシフト位置の処理制御装置

【課題】チェンジレバーのシフト位置の本来の処理制御を容易に特化することができ、しかも電子制御装置のメンテナンス不良を低減する。
【解決手段】チェンジレバーのシフト位置が変化したとき、記憶部4に記憶されているシフトパターンに基づいてシフト位置判定部3で次の第1のシフト位置が判定されることなく通過して更に次の第2のシフト位置が判定されたときは、通過シフト位置判定部5は第2のシフト位置のシフト位置検出信号を出力する。しかし、チェンジレバーのシフト位置の変化直前のシフト位置が記憶部4に記憶されている特定のシフト位置であるときは、通過シフト位置判定部5は第2のシフト位置のシフト位置検出信号に換えて第1のシフト位置のシフト位置検出信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機の変速制御を行うために操作されるチェンジレバーのシフト位置を検出するシフト位置検出装置、およびこのシフト位置検出装置で検出されたシフト位置の処理制御を実施するシフト位置の処理制御装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、大型自動車等の大型車両には、変速機の変速操作を行うために、チェンジレバーが用いられている。その場合、チェンジレバーが所望のシフト位置に操作され、操作されたシフト位置に対応して変速機の変速制御が行われる。そこで、チェンジレバーのシフト位置を検出するために、このシフト位置を検出するセンサを有するチェンジレバーのシフト位置検出装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のチェンジレバーのシフト位置検出装置では、チェンジレバーの現在のシフト位置をスイッチにより検出して、その位置検出信号を車両の電子制御装置(ECU)に送出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−228807号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、変速機の変速制御を行うためのシフトパターンは種々提案されている。例えば、従来のシフトパターンとして、図2(a)示すようなシフトパターンが提案されている。このシフトパターンでは、後進(R)、ニュートラル(N)、およびドライブ(D)の各シフト位置がこれらの順に配置された第1シフト列と、シフトアップ(UP)、保持(HOLD)、およびシフトダウン(DOWN)の各シフト位置がこれらの順に配置された第2シフト列と、第1シフト列のドライブ(D)のシフト位置と第2シフト列の保持(HOLD)のシフト位置とを接続するセレクト位置とを有するシフトパターンである。
【0006】
ところで、このシフトパターンにおいては、例えばドライバーがチェンジレバーをN→D→HOLDにシフト操作した場合、チェンジレバーのシフト位置検出装置は、ECUに対して各シフト位置信号を出力する。その場合、ECUでは、ノイズなどによる誤動作を防止するため、きわめて速い信号の変化を除くようになっている。このため、チェンジレバーのシフト操作そのものがきわめて速い場合、チェンジレバーはD位置を通過したにもかかわらず、シフト位置検出装置のD位置検出信号がECUに認識されなく、HOLD位置を認識してしまう場合が考えられる。すると、ECUはD位置の処理(例えば、適切な前進ギヤ段の選択と変速指示など)を行えず、N位置の処理からHOLD位置の処理(例えば、現状のシフト位置の保持つまり現状のギヤの保持など)へ移行してしまい、ギヤ位置の選択をしないままになる。
【0007】
このため、ECUのHOLD位置の処理のロジックに、レバー位置がスキップしたと判定する処理のロジックと、D位置と同じギヤ段の選択処理のロジックといった複数のロジックを盛り込む必要があり、チェンジレバーのシフト位置の本来の処理制御を特化することが難しくなってしまう。しかも、ECUのメンテナンス不良が増加する可能性が考えら
れる。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、チェンジレバーのシフト位置の本来の処理制御を容易に特化することができ、しかも電子制御装置のメンテナンス不良を低減することができるチェンジレバーのシフト位置検出装置、およびこれを用いたシフト位置の処理制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するために、本発明に係るチェンジレバーのシフト位置検出装置は、チェンジレバーのシフト位置を検出するシフト位置検出部と、前記シフト位置検出部で検出されたシフト位置でチェンジレバーのシフト位置を判定するシフト位置判定部と、予めシフトパターンを記憶するとともに、予め特定された特定のシフト位置を記憶する記憶部と、前記チェンジレバーのシフト位置が変化したとき、前記記憶部に記憶されている前記シフトパターンに基づいて前記シフト位置判定部で次の第1のシフト位置が判定されることなく通過して更に次の第2のシフト位置が判定されたときは前記第2のシフト位置のシフト位置検出信号を出力するとともに、前記第1のシフト位置が判定されたときは前記第1のシフト位置のシフト位置検出信号を出力する通過シフト位置判定部と、前記通過シフト位置判定部から出力された前記シフト位置検出信号に基づいてシフト位置信号を出力するシフト位置出力部とを備え、前記通過シフト位置判定部が、前記チェンジレバーのシフト位置の変化直前のシフト位置が前記記憶部に記憶されている前記特定のシフト位置であるときは、前記第1のシフト位置のシフト位置検出信号に換えて前記第1のシフト位置のシフト位置検出信号を出力することを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係るチェンジレバーのシフト位置検出装置は、前記通過シフト位置判定部が、前記チェンジレバーのシフト位置が変化したとき、前記記憶部に記憶されている前記シフトパターンに基づいて前記シフト位置判定部で前記第1のシフト位置が判定されたときは前記第1のシフト位置のシフト位置検出信号を出力することを特徴としている。
【0011】
更に、本発明に係るチェンジレバーのシフト位置検出装置は、前記通過シフト位置判定部が、前記チェンジレバーのシフト位置の変化直前のシフト位置が前記記憶部に記憶されている前記特定のシフト位置であるときに前記第1のシフト位置のシフト位置検出信号を出力した後に、前記第2のシフト位置のシフト位置検出信号を出力することを特徴としている。
【0012】
一方、本発明に係るシフト位置の処理制御装置は、前述の本発明のチェンジレバーのシフト位置検出装置のうちのいずれかのチェンジレバーのシフト位置検出装置と、前記チェンジレバーのシフト位置検出装置から出力されるシフト位置信号に基づいて前記シフト位置の処理を行うシフト位置の処理制御信号を出力するシフト位置の処理制御信号出力部とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された本発明のチェンジレバーのシフト位置検出装置およびシフト位置の処理制御装置によれば、チェンジレバーのシフト位置が変化した際、チェンジレバーがシフトパターン上に本来存在するはずのシフト位置を検出されることなく通過したと判断されたときで、シフト位置の変化直前のシフト位置が予め特定した特定のシフト位置であるときには、チェンジレバーが通過した第1のシフト位置をシフト位置として出力し、判定されたシフト位置の変化直後の第2のシフト位置を出力しないようにしている。これにより、通過した第1のシフト位置の処理制御が実施され、判定された第2のシフト位置の変化直後のシフト位置の処理制御は実施しないようにしている。したがって、チェンジレバーの本来の第1のシフト位置の制御に特化することが可能となる。これにより、チェン
ジレバーの位置飛びが生じても、多くのロジックを必要としないで、本来の第1のシフト位置の処理を実施することができる。しかも、多くのロジックが不要となることから、ECUへの負担が軽減することができるので、ECUの制御ボリュームを低減することができる。その結果、ECUの応答性が向上できるとともに、メンテナンス不良の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るチェンジレバーのシフト位置検出装置の実施の形態の一例を模式的に示すブロック図である。
【図2】(a)は図1に示す例のチェンジレバーのシフト位置検出装置が用いられる変速機のシフトパターンおよびチェンジレバーのシフト位置を検出するシフト位置センサを示す図、(b)はチェンジレバーのシフト位置とシフト位置センサの出力との関係を示す図である。
【図3】チェンジレバーのシフト位置検出方法を実施するためのフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明に係るチェンジレバーのシフト位置検出装置の実施の形態の一例を模式的に示すブロック図であり、図2(a)は図1に示す例のチェンジレバーのシフト位置検出装置が用いられる変速機のシフトパターンおよびチェンジレバーのシフト位置を検出するシフト位置センサを示す図、図2(b)はチェンジレバーのシフト位置とシフト位置センサの出力との関係を示す図である。
【0016】
図1に示すように、この例のチェンジレバーのシフト位置検出装置1は、チェンジレバー(不図示)のシフト位置を検出するシフト位置検出部2、シフト位置判定部3、記憶部4、通過シフト位置判定部5、およびシフト位置出力部6を有している。その場合、シフト位置判定部3、記憶部4、通過シフト位置判定部5、およびシフト位置出力部6は、車両の電子制御装置(ECU)7に配設される。
【0017】
図2(a)に示すように、この例の変速機のシフトパターンは、前述の従来のシフトパターンと同様に、2つの第1および第2シフト列と、1つのセレクト列とを有している。第1シフト列には、後進(R)、ニュートラル(N)、およびドライブ(D)の各シフト位置がこれらの順に配置されている。また、第2シフト列には、シフトアップ(UP)、保持(HOLD)、およびシフトダウン(DOWN)の各シフト位置がこれらの順に配置されている。その場合、第1シフト列のニュートラル(N)と第2シフト列のシフトアップ(UP)の各シフト位置がシフト方向のチェンジレバーの操作角が同じまたはほぼ同じとなるように設定されている。同様に、第1シフト列のドライブ(D)と第2シフト列の保持(HOLD)の各シフト位置がシフト方向のチェンジレバーの操作角が同じまたはほぼ同じとなるように設定されている。
【0018】
更に、セレクト列には、ドライブ(D)および保持(HOLD)の各シフト位置が配置されている。その場合、第1シフト列のドライブ(D)とセレクト列のドライブ(D)とが同じであるとともに、第2シフト列の保持(HOLD)とセレクト列の保持(HOLD)とが同じである。
【0019】
シフト位置検出部2は、後進(R)のシフト方向のシフト位置を検出するシフト位置センサSiA、ニュートラル(N)およびシフトアップ(UP)のシフト方向の各シフト位置を検出するシフト位置センサSiB、ドライブ(D)および保持(HOLD)のシフト方向の各シフト位置を検出するシフト位置センサSiC、シフトダウン(DOWN)のシ
フト方向のシフト位置を検出するシフト位置センサSiD、第1シフト列のセレクト方向の各シフト位置を検出するシフト位置センサSeA、および第2シフト列のセレクト方向の各シフト位置を検出するシフト位置センサSeBを有している。これらのシフト位置センサには、例えばホール素子等の従来公知の位置センサが用いられる。
【0020】
そして、図2(b)に示すように各シフト位置センサは、チェンジレバーがシフトされたシフト位置に対応するシフト位置センサがオン(例えば、図2(b)に○で示す)することで、チェンジレバーのシフト位置が検出される。その場合、この例のチェンジレバーのシフト位置検出装置1では、チェンジレバーのシフト位置検出は、所定の検出サイクル(例えば、10msec〜20msec)で実施される。
【0021】
シフト位置判定部3は、各シフト位置センサSiA,SiB,SiC,SiD,SeA,S
eBからのシフト位置検出信号に基づいてチェンジレバーのシフト位置を判定する。また、記憶部4はシフトパターンを予め記憶しているとともに、前述の特定のシフト位置を記憶している。
【0022】
更に、通過シフト位置判定部5は、シフト位置判定部3で判定されたシフト位置に基づいてチェンジレバーのシフト位置が変化したと判断したとき、チェンジレバーがシフト位置判定部3で判定されたシフト位置変化直前のシフト位置からシフト位置判定部3で判定されたシフト位置変化直後のシフト位置にシフトされる際、本来、シフトパターン上に存在しかつシフト位置判定部3で判定されなかったシフト位置を通過したか否かを、記憶部4からのシフトパターンに基づいて判断する。その場合、通過シフト位置判定部5は、シフトパターン上に存在しかつシフト位置判定部3で判定されなかったシフト位置を通過したと判断するとともに、判定されたシフト位置変化直前のシフト位置が記憶部4に記憶されている特定のシフト位置であると判断したときは、通過したと判断した第1のシフト位置のシフト位置検出信号を出力する。また、通過シフト位置判定部5は、シフトパターン上に存在しかつシフト位置判定部3で判定されなかったシフト位置を通過したと判断したが、判定されたシフト位置変化直前のシフト位置が記憶部4に記憶されている特定のシフト位置でないと判断したとき、および、シフトパターン上に存在しかつシフト位置判定部3で判定されなかったシフト位置を通過していないと判断したときは、シフト位置判定部3で判定されたシフト位置変化直後の第2のシフト位置のシフト位置判定信号を出力する。
【0023】
更に、シフト位置出力部6は、通過シフト位置判定部5からのシフト位置判定信号に基づいてシフト位置信号を出力する。
なお、ECU7は、シフト位置の処理制御信号出力部8を有している。このシフト位置の処理制御信号出力部8は、チェンジレバーが位置するシフト位置の処理を行うためのシフト位置の処理制御信号を図示しない変速機制御装置に出力する。変速機制御装置は処理制御信号出力部8からのシフト位置の処理制御信号に基づいて、そのシフト位置の変速処理制御を行う。したがって、処理制御信号出力部8および変速機制御装置により、本発明のチェンジレバーのシフト位置検出装置を用いたシフト位置の処理制御装置が構成される。
【0024】
ところで、この例のチェンジレバーのシフト位置検出装置1によるチェンジレバーのシフト位置検出方法について説明する。すなわち、チェンジレバーのシフト位置検出装置1は、チェンジレバーのシフト位置が変化したとき、検出されたシフト位置変化直前のシフト位置から検出されたシフト位置変化直後のシフト位置にチェンジレバーがシフトされる際、このチェンジレバーが、本来、シフトパターン上に存在するはずのシフト位置を検出されることなく通過したか否か、つまりチェンジレバーの位置飛びが生じたか否かを判断する。そして、シフト位置検出装置1は、チェンジレバーが、シフトパターン上に存在す
るはずのシフト位置を検出されることなく通過したと判断したときは、シフト位置の処理制御装置により、通過したと判断された第1のシフト位置に対応する処理制御が行われる。その場合、検出されたシフト位置変化直前のシフト位置が予め特定された特定のシフト位置であるときのみ、この処理制御が行われるとともに、1回の位置検出サイクルだけこの処理制御が実施される。また、チェンジレバーが、シフトパターン上に存在するはずの第1のシフト位置を検出されることなく通過したと判断されたが、検出されたシフト位置変化直前のシフト位置が予め特定されたシフト位置でないとき、および、チェンジレバーがシフトパターン上に存在するはずの第1のシフト位置を通過していないと判断されたときは、同様にして、検出されたシフト位置変化直後の第2のシフト位置に対応する変速処理が行われる。
【0025】
図3は、チェンジレバーのシフト位置検出方法を実施するためのフローを示す図である。
図3に示すように、まずステップS1でチェンジレバーのシフト位置がシフト位置検出部2で検出されるとともに、シフト位置検出部2からのシフト位置検出信号に基づいて、シフト位置判定部3によりチェンジレバーのシフト位置が判定される。次にステップS2でシフト位置判定部3によりチェンジレバーのシフト位置が変化したか否かが判断される。チェンジレバーのシフト位置が変化したと判断されると、ステップS3で通過シフト位置判定部5により、チェンジレバーが、本来シフトパターン上に存在するシフト位置を判定(検出)されることなく通過した第1のシフト位置があるか否かが判断される。この第1のシフト位置がないと判断されると、ステップS4で、判定されたシフト位置信号がシフト位置出力部6からシフト位置の処理制御信号出力部8に出力される。そして、処理制御信号出力部8からシフト位置の処理制御信号が変速機制御装置に出力され、変速機制御装置によりそのシフト位置(つまり、第2のシフト位置)の処理制御が変速機に対して実施される。ステップS2でチェンジレバーのシフト位置が変化していないと判断されると、ステップS4に移行し、ステップS4の処理が行われる。
【0026】
ステップS3でチェンジレバーが前述の通過した第1のシフト位置があると判断されると、ステップS5で、シフト位置変化直前のシフト位置が予め特定された特定のシフト位置であるか否かが判断される。シフト位置変化直前のシフト位置が特定のシフト位置であると判断されると、ステップS6で、シフト位置出力部6から通過したシフト位置信号が出力され、前述と同様にして、通過した第1のシフト位置の処理制御が実施される。次いで、ステップS1に移行し、ステップS1以降の処理が行われる。このとき、ステップS1でシフト位置変化直後の第2のシフト位置が検出されるとともに、ステップS2でシフト位置が変化しないと判断され、更にステップS3で通過したシフト位置がないと判断されるので、結局ステップS4の処理が行われる。したがって、通過した第1のシフト位置の処理制御が実施された後、次のシフト位置検出サイクルで、先に判定された第2のシフト位置の信号が出力される。これにより、シフト位置変化直後に判定された第2のシフト位置の処理制御が行われることになる。
【0027】
例えば、チェンジレバーがシフト位置変化直前のシフト位置であるニュートラル(N)から、ドライブ(D)の位置(つまり、第1のシフト位置)がシフト位置判定部3で判定されることなく、シフト位置変化直後のシフト位置である保持(HOLD)の位置(つまり、第2のシフト位置)がシフト位置判定部3で判定されたとする。そして、通過シフト位置判定部5はニュートラル(N)が予め特定された特定のシフト位置であると判断すると、ドライブ(D)のシフト位置判定信号をシフト位置出力部6に出力する。すると、シフト位置出力部6はドライブ(D)のシフト位置信号をシフト位置の処理制御信号出力部8に出力し、シフト位置の処理制御信号出力部8はドライブ(D)のシフト位置の処理制御信号を変速機制御装置に出力する。これにより、このドライブ(D)の特有の処理(例えば、自動変速機の操作に関わるアクチュエータの制御など)が行われる。その後、次の
シフト位置検出サイクルでシフト位置変化直後に判定されたシフト位置である保持(HOLD)の特有の処理(例えば、現状のシフト位置の保持つまり現状のギヤの保持など)が同様にして行われる。
【0028】
ステップS5で、シフト位置変化直前のシフト位置が予め特定された特定のシフト位置でないと判断されると、ステップS4に移行し、このステップS4の処理が実施された後、チェンジレバーのシフト位置の変化が検出されたときの位置検出サイクルが終了する。
【0029】
この例のチェンジレバーのシフト位置検出装置およびシフト位置の処理制御装置によれば、チェンジレバーのシフト位置が変化した際、チェンジレバーがシフトパターン上に本来存在するはずのシフト位置を検出されることなく通過したと判断されたときで、シフト位置の変化直前のシフト位置が予め特定した特定のシフト位置であるときには、チェンジレバーが通過したシフト位置をシフト位置として出力し、判定されたシフト位置の変化直後のシフト位置を出力しないようにしている。これにより、通過したシフト位置の処理制御が実施され、判定されたシフト位置の変化直後のシフト位置の処理制御は実施しないようにしている。したがって、チェンジレバーの本来のシフト位置の制御に特化することが可能となる。これにより、チェンジレバーの位置飛びが生じても、多くのロジックを必要としないで、本来のシフト位置の処理を実施することができる。しかも、多くのロジックが不要となることから、ECU7への負担が軽減することができるので、ECU7の制御ボリュームを低減することができる。その結果、ECU7の応答性が向上できるとともに、メンテナンス不良の発生を低減することができる。
【0030】
なお、本発明は前述の実施の形態の例に限定されることはなく、種々設計変更が可能である。例えば、シフトパターンは前述の例に限定されることはなく、他の種々のシフトパターンが可能である。要は、本発明は前述の例に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載されている技術的事項の範囲で種々の設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る変速機のシフト位置判断確定装置は、チェンジレバーで変速機のシフト位置を変更した際、制御手段により、変更されたシフト位置の検出信号に基づいてそのシフト位置の変速段に設定される変速機に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…チェンジレバーのシフト位置検出装置、2…シフト位置検出部、3…シフト位置判定部、4…記憶部、5…通過シフト位置判定部、6…シフト位置出力部、7…電子制御装置(ECU)、8…シフト位置の処理制御信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェンジレバーのシフト位置を検出するシフト位置検出部と、
前記シフト位置検出部で検出されたシフト位置でチェンジレバーのシフト位置を判定するシフト位置判定部と、
予めシフトパターンを記憶するとともに、予め特定された特定のシフト位置を記憶する記憶部と、
前記チェンジレバーのシフト位置が変化したとき、前記記憶部に記憶されている前記シフトパターンに基づいて前記シフト位置判定部で次の第1のシフト位置が判定されることなく通過して更に次の第2のシフト位置が判定されたときは前記第2のシフト位置のシフト位置検出信号を出力するとともに、前記第1のシフト位置が判定されたときは前記第1のシフト位置のシフト位置検出信号を出力する通過シフト位置判定部と、
前記通過シフト位置判定部から出力された前記シフト位置検出信号に基づいてシフト位置信号を出力するシフト位置出力部とを備え、
前記通過シフト位置判定部は、前記チェンジレバーのシフト位置の変化直前のシフト位置が前記記憶部に記憶されている前記特定のシフト位置であるときは、前記第2のシフト位置のシフト位置検出信号に換えて前記第1のシフト位置のシフト位置検出信号を出力することを特徴とするチェンジレバーのシフト位置検出装置。
【請求項2】
前記通過シフト位置判定部は、前記チェンジレバーのシフト位置が変化したとき、前記記憶部に記憶されている前記シフトパターンに基づいて前記シフト位置判定部で前記第1のシフト位置が判定されたときは前記第1のシフト位置のシフト位置検出信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のチェンジレバーのシフト位置検出装置。
【請求項3】
前記通過シフト位置判定部は、前記チェンジレバーのシフト位置の変化直前のシフト位置が前記記憶部に記憶されている前記特定のシフト位置であるときに前記第1のシフト位置のシフト位置検出信号を出力した後に、前記第2のシフト位置のシフト位置検出信号を出力することを特徴とする請求項1または2に記載のチェンジレバーのシフト位置検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1に記載のチェンジレバーのシフト位置検出装置と、前記チェンジレバーのシフト位置検出装置から出力されるシフト位置信号に基づいて前記シフト位置の処理を行うシフト位置の処理制御信号を出力するシフト位置の処理制御信号出力部とを備えることを特徴とするシフト位置の処理制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−112450(P2012−112450A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261916(P2010−261916)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】