説明

チオクト酸含有組成物

【課題】 チオクト酸は水に対しては通常そのままでは極めて溶解しにくい化合物であるため、飲食品へ適用するには水に均一に安定分散させることが不可欠である。これに対して、チオクト酸を予めエタノールなどの溶解可能な溶媒、乳化剤、多価アルコールとともに製剤化しておき、水に添加したとき容易に分散するような製剤を調製しておく方法があるが、この製剤自体の安定性が悪く、チオクト酸の飲食品への適用を困難にしている。
【解決手段】 チオクト酸とHLBが9以上である乳化剤を含有してなるチオクト酸含有組成物を提供することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水に添加するとき容易に可溶化分散し、かつ高い保存安定性を有するチオクト酸含有組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チオクト酸はα−リポ酸、Lipoic acid、6,8−Thioctic acidなどとも呼ばれ、それ自身が持つ特異的な生理作用によりII型糖尿病治療薬をはじめとして様々な医薬品に利用されている。国内においては、食薬区分の見直しに伴い食品用途への利用が可能となり、飲食品分野での応用が期待されている。また、チオクト酸は国内外を問わず様々な研究がなされており、チオクト酸自身の持つ抗酸化性をはじめとして、抗酸化物質として一般に広く知られているビタミンCやビタミンEなどの再生機能、免疫や解毒等に関与が知られているグルタチオンの細胞内増加能など様々な機能性に優れた化合物であること等が報告されており、これらの点からも飲食品の付加価値を向上させる有用な素材であると期待されている。しかしながら、チオクト酸は有機溶媒には容易に溶解するが、水に対しては通常そのままでは極めて溶解しにくい化合物であるため、食品用途での利用において汎用性が極めて低く、特に飲料への応用には大きな制限を受けるという欠点があった。
【0003】
したがって、上記のように様々な機能性や性状を有するチオクト酸を飲食品に適用するにあたり、チオクト酸の粉末をそのまま飲食品に添加するのは合一や不均一分散などの現象が認められ、加工飲食品の価値を消失するようになることから、チオクト酸を水に均一に分散させることが不可欠である。
【0004】
最も普通に行われる方法は乳化剤を添加し、乳化機等の物理的作用によりチオクト酸を乳化状態にするものであると考えられる。しかし、この方法には制約があり、必ずしも汎用的な方法とはいえない。乳化機という特殊な装置を必要とする以上、分散媒の粘度が高い場合には乳化機の使用自体が不可能となる。さらには得られた乳化液中のチオクト酸の粒子径が大きい場合や粒子径の大きさの分布が不均一であると、チオクト酸は合一を引き起こして分散媒から分離し、加工飲食品の価値を消失するようになる。
【0005】
また、α−リポ酸の水性化のこころみとして、亜硫酸塩を用いた製剤が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)しかしながら、この方法では食品への応用は、困難であった。
【0006】
このような現状に対し、溶解可能な溶媒にチオクト酸を溶解させたものと乳化剤を予め混合しておき、水に添加したときに容易に分散するような製剤を予め調製しておく方法等が考えられる。
【0007】
しかしながら、これらの方法でもチオクト酸と乳化剤を混合した製剤自体が不安定であるため保存中にチオクト酸が分離してしまい、水に添加しても可溶化状態にならないことも問題点として指摘されている。そのため、使用時にチオクト酸の製剤を調製しなければならず、利用上の大きな制限となっている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−2096
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、水または親水性素材中にチオクト酸を簡単に可溶化でき、かつ長期保存してもチオクト酸の析出や分離が認められない高い安定性を有するチオクト酸含有組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、チオクト酸とHLBが9以上である乳化剤を含有してなるチオクト酸含有組成物が水に容易に可溶化分散し、かつ保存安定性に優れていることを見出した。
【0011】
以下に本発明を詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明でいうチオクト酸含有組成物とは、チオクト酸を含みかつ水に可溶化状態で均一に分散し、かつ高い保存安定性を有するものである。可溶化とは水に分散する粒子径が通常300nm以下、好ましくは100nm以下で、ほとんど透明に見える状態である。
【0013】
本発明に使用されるチオクト酸としては、一般的に用いられている工業的合成品、天然成分由来の抽出品が挙げられ、それぞれ単独で若しくは混合して使用することができる。純度としては、特に限定するものではないが、本発明を達成するには純度50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上であることが望ましい。
【0014】
本発明に使用される乳化剤は、同一分子内に親水基と親油基を有する化合物の総称であり、親水性のものであることが望まれる。乳化剤の親水性、親油性の度合いはHLB(Hydrophilic Lipophilic Balance)で表わされるが、本発明の目的を達成するためにはHLB9以上、好ましくは12以上、さらに好ましくは14以上であることが望ましい。HLBが9より小さいと、チオクト酸を水に微細に分散させることができず安定性が劣るものとなる。HLBの求め方は特に限定されるものではなく、既存の種々の手法が利用できる。例えばエステル型の乳化剤の場合、ケン化価と構成脂肪酸の酸価から次式によって算出できる。
【0015】
HLB=20×(1−S/A)
S:ケン化価、A:構成脂肪酸の酸価
【0016】
HLBが9以上の一般的な乳化剤としてはポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、ポリオキシエチレン誘導体、脂肪酸塩といった合成乳化剤の他、酵素分解レシチン、水素添加酵素分解レシチン、ヒドロキシレシチン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、アセチル化レシチンといった天然由来のレシチン類を化学的あるいは酵素処理することで得られたレシチンの誘導体、ダイズサポニンやキラヤサポニン等の天然由来のサポニン類等が挙げられる。なお、レシチン類の起源としてはダイズ、コメ、ナタネ、サフラワーといった植物由来のものや、卵黄、脳といった動物由来のものが利用できる。
【0017】
特にポリグリセリン脂肪酸エステルはポリグリセリンの縮合度、脂肪酸の種類、エステル化度を変化させることで、目的達成に適する性質をもつものが得られるため、好適に本発明に利用される。
【0018】
本発明に使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、ポリグリセリンは特に限定されるものではないが、好ましくはそのポリグリセリン組成において、グリセリンの縮合度がトリ,テトラ,ペンタ,ヘキサ,ヘプタ,オクタ,ノナ,デカから選ばれる1種のポリグリセリンの含量が35%以上であることが望ましく、より好ましくは45%以上がよい。この組成分布はガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーにより分析でき、特にポリグリセリンをトリメチルシリル化誘導体とした後、ガスクロマトグラフィーに付すことにより簡便に分析することができる。
【0019】
本発明に使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、脂肪酸は天然の動植物より抽出した油脂を加水分解し、分離してあるいは分離せずに精製して得られるカルボン酸を官能基として含む物質であれば特に限定するものではない。あるいは石油などを原料にして化学的に合成して得られる脂肪酸であってもよい。あるいはまた、これら脂肪酸を水素添加などして還元したものや、水酸基を含む脂肪酸を縮重合して得られる縮合脂肪酸や、不飽和結合を有する脂肪酸を加熱重合して得られる重合脂肪酸であってもよい。これら脂肪酸の選択に当たっては所望の効果を勘案して適宜決めればよい。本発明に使用される脂肪酸の具体例としては、炭素数6〜22の飽和あるいは不飽和の脂肪酸、すなわちベヘニン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、カプリン酸、カプリル酸、カプロン酸、縮合リシノール酸、縮合1、2−ヒドロキシステアリン酸、エルカ酸、パルミトオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、オクチル酸、オクタン酸の他、分子中に水酸基を有するリシノール酸、1、2−ヒドロキシステアリン酸およびこれらの縮合物などが挙げられる。中でも乳化安定性の面から炭素数16〜18の脂肪酸が特に推奨される。
【0020】
また、チオクト酸含有組成物に使用される乳化剤は、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのみに限らず、これらの併用、さらには他の乳化剤の1種または2種以上を併用してもよい。そのような乳化剤としてモノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、モノグリセリド誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、レシチン、キラヤ抽出物等が例示でき、特に可溶化能力に優れたポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン誘導体が好適に、ポリグリセリン脂肪酸エステルが最も好適に利用できる。
【0021】
本発明に使用されるショ糖脂肪酸エステルは、親油基である脂肪酸と親水基であるショ糖が結合した構造を有する化合物である。ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、炭素数8〜22の直鎖ないし分岐の飽和ないし不飽和脂肪酸であり、単品又は混合したものでも良い。エステル化度については特に限定するものではないが、低エステル化度の、モノエステル含量の高いものが良い。好ましくはモノエステル含量が85%以上のものが望ましく、さらに好ましくは90%以上のものがよい。モノエステル含量が85%未満では透明や酸性の飲食品に使用した場合、長期保存において沈殿や濁りを生じることがある。
【0022】
本発明に使用されるレシチン誘導体は、ダイズ、コメ、ナタネ、サフラワー、卵黄といった天然由来または化学的に合成されたレシチン類を化学的または酵素処理することで得られたものである。レシチンとはグリセリン骨格に脂肪酸残基とリン酸残基、およびこれにコリン、エタノールアミン、イノシトール、セリン等が結合した構造を有する化合物単品またはこれらの混合物である。レシチン誘導体を例示するならば、酵素分解レシチン、水素添加酵素分解レシチン、ヒドロキシレシチン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、アセチル化レシチンといったものが挙げられる。
【0023】
本発明のチオクト酸含有組成物の調製法は特に限定するものではないが、ハンドリング性の向上、水分散時の安定性向上、組成物自身の保存安定性向上などを目的としてエチルアルコール及び/又はプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを添加することが好ましい。
【0024】
チオクト酸含有組成物の配合比はそれぞれの種類が変わると最適な比率が変化するため、範囲を限定することはできないが、チオクト酸の上限は30%、好ましくは15%、下限は1%、より好ましくは10%、HLBが9以上の乳化剤の上限は30%、好ましくは10%、下限は5%、より好ましくは15%、アルコール類の上限は90%、好ましくは80%、下限は50%、より好ましくは60%、多価アルコールの上限は30%、好ましくは15%、下限は5%、好ましくは10%である。この範囲を外れてもチオクト酸含有組成物の調製は可能であるが、保存時の安定性が著しく悪化するため、好ましくない。
【0025】
本発明のチオクト酸含有組成物は、水に添加するとき容易に可溶化分散することが望まれる飲食品や化粧品に利用できる。飲食品では、例えば無果汁飲料、果汁入り飲料、野菜飲料、乳酸菌飲料、茶飲料、炭酸飲料、コーヒー飲料、スープ飲料、アルコール飲料、ミネラル含有飲料、ビタミン含有飲料、機能性食品素材の含有飲料等の飲料類、乳飲料、乳酸菌飲料、はっ酵乳、練乳、濃縮乳、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳及び、乳を主原料とする製品、ゼリー、ババロア、プリン等のデザート食品類、チョコレート、キャラメル、キャンディー、スナック食品等の菓子類、つゆ、たれ、ドレッシング等の調味料、レトルト食品などの調理済み食品、およびその他のインスタント食品などが挙げられる。
【0026】
化粧品では、例えば石鹸、クレンジング、シャンプー、リンス等の洗浄料、化粧水、乳液、クリーム、パック剤、ヘアトニック、ヘアクリーム等の基礎化粧料、セットローション、整髪料等の仕上げ化粧料、香水、ローション等の芳香剤、歯磨等の口中使用化粧品等が挙げられる。
【0027】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみ限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
実施例1
HLBが9以上の乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルであるトリグリセリンモノステアレート(太陽化学(株)製、HLB値10、ポリグリセリン組成中トリグリセリン45%)20gに、エチルアルコール(日本アルコール販売(株)製、エチルアルコール含量99%以上)60gと多価アルコールとしてグリセリン(日本油脂(株)製)10gを添加し、攪拌操作により溶解した。これにチオクト酸(商品名:Lipoec、コグニスジャパン(株)製、含量99%以上)10gを添加し、攪拌操作により可溶化させて、チオクト酸含有組成物を得た。このチオクト酸含有組成物を0.2g取り、水99.8gを加えて0.2%水分散液を調製した。
【0029】
実施例2
HLBが9以上の乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)20gに、エチルアルコール(日本アルコール販売(株)製、エチルアルコール含量99%以上)60gと多価アルコールとしてグリセリン(日本油脂(株)製)10gを添加し、攪拌操作により溶解した。これにチオクト酸(商品名:Lipoec、コグニスジャパン(株)製、含量99%以上)10gを添加し、攪拌操作により可溶化させて、チオクト酸含有組成物を得た。このチオクト酸含有組成物を0.2g取り、水99.8gを加えて0.2%水分散液を調製した。
【0030】
実施例3
HLBが9以上の乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)19.8gとショ糖脂肪酸エステルであるDKエステルSS(第一工業製薬(株)製、HLB値19.0、モノエステル含量95%)0.2gに、エチルアルコール(日本アルコール販売(株)製、エチルアルコール含量99%以上)60gと多価アルコールとしてグリセリン(日本油脂(株)製)10gを添加し、攪拌操作により溶解した。これにチオクト酸(商品名:Lipoec、コグニスジャパン(株)製、含量99%以上)10gを添加し、攪拌操作により可溶化させて、チオクト酸含有組成物を得た。このチオクト酸含有組成物を0.2g取り、水99.8gを加えて0.2%水分散液を調製した。
【0031】
実施例4
HLBが9以上の乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルであるペンタグリセリンモノミリステート(太陽化学(株)製、HLB値14、ポリグリセリン組成中ペンタグリセリン45%)19.5gと酵素分解レシチン(商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)製、HLB値12.0)0.5gに、エチルアルコール(日本アルコール販売(株)製、エチルアルコール含量99%以上)60gと多価アルコールとしてグリセリン(日本油脂(株)製)10gを添加し、攪拌操作により溶解した。これにチオクト酸(商品名:Lipoec、コグニスジャパン(株)製、含量99%以上)10gを添加し、攪拌操作により可溶化させて、チオクト酸含有組成物を得た。このチオクト酸含有組成物を0.2g取り、水99.8gを加えて0.2%水分散液を調製した。
【0032】
比較例1
HLBが9未満の乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルであるジグリセリンモノステアレート(太陽化学(株)製、HLB値7、ポリグリセリン組成中ジグリセリン45%)20gに、エチルアルコール(日本アルコール販売(株)製、エチルアルコール含量99%以上)60gと多価アルコールとしてグリセリン(日本油脂(株)製)10gを添加し、攪拌操作により溶解した。これにチオクト酸(商品名:Lipoec、コグニスジャパン(株)製、含量99%以上)10gを添加し、攪拌操作により可溶化させて、チオクト酸含有組成物を得た。このチオクト酸含有組成物を0.2g取り、水99.8gを加えて0.2%水分散液を調製した。
【0033】
比較例2
HLBが9未満の乳化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルであるジグリセリンモノステアレート(太陽化学(株)製、HLB値7、ポリグリセリン組成中ジグリセリン45%)19.8gとショ糖脂肪酸エステルであるDKエステルF−50(第一工業製薬(株)製、HLB値6.0、モノエステル含量30%)0.2gに、エチルアルコール(日本アルコール販売(株)製、エチルアルコール含量99%以上)60gと多価アルコールとしてグリセリン(日本油脂(株)製)10gを添加し、攪拌操作により溶解した。これにチオクト酸(商品名:Lipoec、コグニスジャパン(株)製、含量99%以上)10gを添加し、攪拌操作により可溶化させて、チオクト酸含有組成物を得た。このチオクト酸含有組成物を0.2g取り、水99.8gを加えて0.2%水分散液を調製した。
【0034】
試験例1
実施例1〜4及び比較例1、2で得られたチオクト酸含有組成物の0.2%水分散液の状態を目視にて確認した。また、各組成物を37℃、30日間保存した後、組成物の状態を保存前と比較した。
結果を表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
上記結果より、本発明のチオクト酸含有組成物は、水に分散させた場合均一に可溶化分散し、また組成物の保存安定性も優れていた。
【0037】
試験例2
グラニュー糖8%、クエン酸0.12%およびクエン酸三ナトリウム0.03%を水91.65%に溶解してBx.8.2、pH:3.1の酸糖液を調製した。この酸糖液に実施例1及び比較例1で得られたチオクト酸含有組成物をそれぞれ0.2%添加し、93℃達温にて加熱殺菌後、ペットボトルにホットパック充填後、冷却しチオクト酸含有飲料を得た。実施例1のチオクト酸含有組成物を添加したものは均一に可溶化分散したのに対し、比較例1のチオクト酸含有組成物を添加したものは白濁し、沈殿が認められた。
【0038】
上記結果より、本発明のチオクト酸含有組成物は飲料に均一に可溶化分散し、もって安定性の高い飲料が調製できることが明らかとなった。
【0039】
試験例3
エチルアルコール25%、グリセリン2%、水酸化カリウム0.3%、香料適量、水72.5%を混合し、化粧水を調製した。この化粧水に実施例1及び比較例1で得られたチオクト酸含有組成物をそれぞれ0.2%添加混合後、瓶容器に充填しチオクト酸含有化粧水を得た。実施例1のチオクト酸含有組成物を添加したものは均一に可溶化分散したのに対し、比較例1のチオクト酸含有組成物を添加したものは白濁し、沈殿が認められた。
【0040】
上記結果より、本発明のチオクト酸含有組成物は化粧水に均一に可溶化分散し、もって安定性の高い化粧水が調製できることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明により、保存安定性に優れかつ水に均一に可溶化分散させることができるチオクト酸含有組成物の調製が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チオクト酸とHLBが9以上である乳化剤を含有してなるチオクト酸含有組成物。
【請求項2】
HLBが9以上である乳化剤がポリグリセリン脂肪酸エステルである請求項1記載のチオクト酸含有組成物。
【請求項3】
ポリグリセリン脂肪酸エステルがポリグリセリン組成中、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ、ノナ、デカグリセリンから選ばれる1種類のポリグリセリンの含量が35%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルである請求項1、または請求項2記載のチオクト酸含有組成物。
【請求項4】
エチルアルコールを含む請求項1から3いずれか記載のチオクト酸含有組成物。
【請求項5】
多価アルコールを含む請求項1から4いずれか記載のチオクト酸含有組成物。
【請求項6】
請求項1から5いずれか記載のチオクト酸含有組成物を含む飲食品。
【請求項7】
請求項1から5いずれか記載のチオクト酸含有組成物を含む化粧品。

【公開番号】特開2007−16000(P2007−16000A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201328(P2005−201328)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【Fターム(参考)】