説明

チップタービンファンシステム

【課題】エンジンやコンプレッサなどの供給装置に過度の負担をかけることなく、タービン出力の大幅な低下を防止することができるチップタービンファンシステムを提供する。
【解決手段】作動流体Fの流量を検出する流量検出部3と、流量検出部3によって検出された流量に基づき、動翼列12の一部について、作動流体Fが通過することを遮断する作動流体遮断装置4A〜4Cを備えることによって、流量検出部3が作動流体Fの減少を検出した場合は、その減少量に応じ、作動流体遮断装置4A〜4Cで動翼列12の一部について、作動流体Fが通過することを遮断する。そして、遮断された分の作動流体Fを動翼列12の他の部分に分配させることによって、動翼列12の動翼11一枚当たりに作用する作動流体Fの流量を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動翼列に作動流体を通過させて、ファンを回転させるチップタービンファンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チップタービンファンシステムとして、例えば特開2003−293702号公報に記載されるように、ファンの径方向外側に設けられた動翼列に対して、供給ダクトから供給された作動流体を通過させ、動翼列が回転するのに伴ってファンを回転させ、通過させた作動流体を排出側ダクトから排出するものが知られている。
【特許文献1】特開2003−293702号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなチップタービンファンシステムにあっては、例えば、エンジンやコンプレッサなどの供給装置からの供給流量が何らかの理由によって減少して、供給ダクトからの作動流体の流量が減少した場合は、タービン出力が大幅に低下してしまうという問題があった。また、必要なタービン出力を確保するために作動流体を増加させようとした場合は、エンジンやコンプレッサの温度を過剰に上げるなどの対応が必要となり、作動流体の供給装置側に過度の負担がかかってしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、エンジンやコンプレッサなどの供給装置に過度の負担をかけることなく、タービン出力の大幅な低下を防止することができるチップタービンファンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るチップタービンファンシステムは、回転軸線周りに複数の動翼を並設することにより形成された動翼列に作動流体を通過させ、動翼列を回転させることによってファンを回転させるチップタービンファンと、作動流体の流量を検出する流量検出手段と、流量検出手段によって検出された流量に基づき、動翼列の一部について、作動流体が通過することを遮断する作動流体遮断手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
供給される作動流体が減少してしまった場合は、動翼列の動翼一枚当たりに作用する作動流体の流量が減少してしまい、タービン出力が大幅に減少してしまう。しかし、このチップタービンファンシステムでは、作動流体の流量を検出する流量検出手段と、流量検出手段によって検出された流量に基づき、動翼列の一部について、作動流体が通過することを遮断する作動流体遮断手段を備えている。従って、流量検出手段が作動流体の減少を検出した場合は、その減少量に応じ、作動流体遮断手段で、動翼列の一部について、作動流体が通過することを遮断し、遮断された分の作動流体を動翼列の他の部分に分配させることによって、動翼列の動翼一枚当たりに作用する作動流体の流量を確保することができる。これによって、エンジンやコンプレッサなどの供給装置に過度の負担をかけることなく、タービン出力の大幅な低下を防止することができる。
【0007】
本発明に係るチップタービンファンシステムにおいて、動翼列は、作動流体を流入させる流入口を複数有するケーシングに収容され、作動流体遮断手段は、ケーシングの流入口の少なくとも一つを遮断する流入口遮断手段を有することが好ましい。作動流体を流入させる流入口を流入口遮断手段で遮断することによって、遮断した流入口付近の動翼列に作動流体が作用することを抑制し、遮断された分の作動流体を他の流入口付近の動翼列に分配させることができる。
【0008】
本発明に係るチップタービンファンシステムにおいて、作動流体の通過流路における動翼列の上流側には、動翼列に向けて作動流体をガイドする静翼列が配置され、作動流体遮断手段は、通過流路における静翼列の上流側で作動流体を遮断する静翼列遮断手段を有することが好ましい。静翼列の上流側で静翼列遮断手段により作動流体を遮断することによって、当該静翼列に対応する部分の動翼列に作動流体が作用することを抑制し、遮断された分の作動流体を他の静翼列に対応する動翼列に分配させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、エンジンやコンプレッサなどの供給装置に過度の負担をかけることなく、タービン出力の大幅な低下を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係るチップタービンファンシステムの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係るチップタービンファンシステムのブロック構成を示した図、図2は、チップタービンファンを径方向から見た拡大図、図3は、チップタービンファンを周方向から見た拡大断面図である。
【0012】
図1に示すように、チップタービンファンシステム1は、チップタービンファン2と、流量検出部(流量検出手段)3と、第一作動流体遮断装置(作動流体遮断手段)4A、第二作動流体遮断装置(作動流体遮断手段)4B、第三作動流体遮断装置(作動流体遮断手段)4Cと、制御部6とを備えて構成されている。
【0013】
チップタービンファン2は、例えば、エンジンやコンプレッサなどの供給装置(不図示)から供給された作動流体Fによってファンを回転させるものであり、回転の中心となる出力軸7と、出力軸の周りに設けられた複数のファン8と、ファン8の径方向外側の端部に設けられたリング状の動翼シュラウド9と、動翼シュラウド9の外周面に複数の動翼11を並設することによって形成された動翼列12と、リング状の静翼シュラウド13の外周面に複数の静翼14を並設することによって形成された静翼列16と、動翼列12を収容するケーシング17とを備えて構成されている。このチップタービンファン2は、供給装置からの作動流体Fを供給するための供給口20を有するケーシング(不図示)に収容されている。なお、供給口20は、チップタービンファン2の径方向から作動流体Fを供給してもよく、回転軸線の延在方向から作動流体Fを供給してもよい。
【0014】
動翼列12は、図1〜3に示すように、動翼シュラウド9の外周面に、出力軸7の回転軸線周りに所定の間隔で流線形の動翼11を並設させることによって形成されている。この動翼列12は、動翼11同士の間に形成された流路12aに作動流体Fを通過させ、それぞれの動翼11に作動流体Fを作用させて回転力を得ることによって、動翼シュラウド9を介してファン8を回転させる機能を有している。
【0015】
作動流体Fの通過流路における動翼シュラウド9の上流側(図1における紙面手前側で、図2及び図3における上側)には、動翼シュラウド9と同径の静翼シュラウド13が配置されている。静翼列16は、その静翼シュラウド13の外周面に、出力軸7の回転軸線周りに所定の間隔で流線形の静翼14を並設させることによって形成されている。この静翼列16は、作動流体Fの通過流路における動翼列12の上流側に配置される非回転の翼列であり、静翼14同士の間に形成された流路16aに作動流体Fを通過させることによって動翼列12に向けてその作動流体Fをガイドする機能を有している。なお、静翼列16の外周側の端部には、繰り返し動翼列12を通過するように作動流体Fを旋回させるためのリング状の隔壁18が設けられている。
【0016】
ケーシング17は、動翼列12、静翼列16及び隔壁18を内部に収容するものであり、作動流体Fが、図3における反時計回りに、隔壁18の周りを旋回するような旋回流路19を形成するものである。また、ケーシング17は、作動流体Fを旋回流路19内に流入させるための第一流入口17a、第二流入口17b、第三流入口17c、第四流入口17dを回転軸線周りに均等な間隔で備えている。
【0017】
このように構成されたチップタービンファン2は、供給口20から供給された作動流体Fを流入口17a〜17dのそれぞれから流入させ、各流入口17a〜17d付近の静翼列16の流路16aで作動流体Fを動翼列12へ向けてガイドする。ガイドされた作動流体Fは、各流入口17a〜17d付近の動翼列12における流路12aを通過し、当該部分における動翼11に作用することによって、動翼列12を周方向に回転させ、この回転に伴ってファン8を回転させる。動翼列12を通過した作動流体Fは、動翼列12の後方でケーシング17の旋回流路19に案内されて、隔壁18の周りを旋回すると共に、再び他の位置の静翼列16及び動翼列12へ供給される。以上によって、ファン8が回転し続け、出力軸7からタービン出力を得ることができる。
【0018】
流量検出部3は、供給口20から供給される作動流体Fの流量を検出する機能を有し、例えば、供給口20の内壁に設けられた圧力センサなどによって構成されている。流量検出部3は、制御部6と接続されており、流量を検出したら、その検出情報を制御部6へ出力する。
【0019】
作動流体遮断装置4A,4B,4Cは、流量検出部3によって検出された流量に基づき、動翼列12の一部について、作動流体Fが通過することを遮断する機能を有しており、第一流入口17a、第二流入口17b、第三流入口17cに対してそれぞれ設けられている。また、作動流体遮断装置4A,4B,4Cは、流入口遮断部(流入口遮断手段)21,22,23と、静翼列遮断部(静翼列遮断手段)24,25,26とをそれぞれ備えて構成されている。
【0020】
流入口遮断部21は、ケーシング17の第一流入口17aを遮断する機能を有しており、具体的には、第一流入口17aを封鎖するための封鎖板21aと、封鎖板21aを移動させるための流入口遮断アクチュエータ21bとを備えている。この流入口遮断アクチュエータ21bは、制御部6と接続されており、制御部6からの制御信号に基づいて封鎖板21aを移動させて第一流入口17aの封鎖又は開放を行う機能を有する(図4参照)。また、流入口遮断部22,23は、第二流入口17b、第三流入口17cの封鎖又は開放を行うものであり、封鎖板22a,23a及び流入口遮断アクチュエータ22b,23bをそれぞれ備えている。
【0021】
静翼列遮断部24は、通過流路における静翼列16の上流側で作動流体Fを遮断する機能を有しており、具体的には、第一流入口17a付近の静翼列16の上流側で流路16aを遮断するための略円弧状の遮断板24aと、遮断板24aを移動させるための静翼列遮断アクチュエータ24bとを備えている。この静翼列遮断アクチュエータ24bは、制御部6と接続されており、制御部6からの制御信号に基づいて遮断板24aを移動させることにより静翼列16の流路16aの遮断又は開放を行う機能を有する(図2(b)及び図4参照)。また、静翼列遮断部25,26は、第二流入口17b,第三流入口17c付近の静翼列16の流路の遮断又は開放を行うものであり、遮断板25a,26a及び静翼列遮断アクチュエータ25b,26bをそれぞれ備えている。
【0022】
制御部6は、システム全体の制御を行う電子制御ユニットであり、例えばCPUを主体として構成され、ROM、RAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などを備えている。この制御部6は、流量検出部3から入力された検出情報に基づいて、流入口遮断アクチュエータ21b〜23b及び静翼列遮断アクチュエータ24b〜26bに制御信号を送信する機能を有する。
【0023】
次に、図5及び図6を参照して、本実施形態に係るチップタービンファンシステム1の動作について説明する。
【0024】
図5は、本実施形態に係るチップタービンファンシステムにおける作動流体遮断処理を示すフローチャートである。この処理は、制御部6において、チップタービンファン2の運転中に、所定のタイミングで繰り返し実行される。
【0025】
図4に示すように、チップタービンファンシステム1は、流量取得処理から処理を開始する(S10)。S10の処理は、流量検出部3の検出情報に基づいて、供給口20から供給される作動流体Fの流量を取得する処理である。S10の処理が終了すると、流量判定処理へ移行する(S12)。
【0026】
ここで、図6は、作動流体の遮断を行った場合の作動流体Fの流量とタービン出力の関係を示す線図であり、横軸が作動流体Fの流量で、縦軸がタービン出力である。また、図中のP1は全ての流入口から作動流体Fを流入させた場合、P2は第一作動流体遮断装置4Aで作動流体Fを遮断した場合、P3は更に第二作動流体遮断装置4Bで作動流体を遮断した場合、P4は更に第三作動流体遮断装置4Cで作動流体Fを遮断した場合の流量とタービン出力の関係を示す。
【0027】
タービン出力は、作動流体Fの流量の1.5乗にほぼ比例するため、流量が減少した場合はタービン出力が大幅に低減してしまう。そこで、図6に示すように、作動流体Fの流量が閾値Q1以下となると、全ての流入口から作動流体Fを流入させ、動翼列12の全ての部分に作動流体Fを作用させるよりも、第一作動流体遮断装置4Aを作動させて、第一流入口17a付近の動翼列12について作動流体Fが通過することを遮断し、動翼11一枚当たりに作用する作動流体Fの流量が確保されるように、動翼列12の他の部分に作動流体Fを分配させた方が大きなタービン出力を得ることができる。また、作動流体の流量が閾値Q2以下となると、更に、第二作動流体遮断装置4Bを作動させて、第二流入口17b付近の動翼列12について作動流体Fが通過することを遮断して、動翼列12の他の部分に作用させた方が大きなタービン出力を得ることができる。また、作動流体Fの流量が閾値Q3以下となると、更に、第三作動流体遮断装置4Cを作動させて、第三流入口17c付近の動翼列12について作動流体Fが通過することを遮断して、動翼列12の他の部分に作用させた方が大きなタービン出力を得ることができる。
【0028】
従って、S12の処理においては、S10で取得した作動流体Fの流量が所定の閾値Q1以下であるか否かを判定する。S12の処理において、流量が閾値Q1よりも大きいと判定された場合は、流入口開放処理へ移行する(S24)。
【0029】
S24の処理は、S12における判定結果に基づいて作動流体遮断装置4A〜4Cによる作動流体Fの遮断を開放し、全ての流入口が開放された状態とする処理である。具体的には、それぞれのアクチュエータを制御して封鎖板21a,22a,23aによる流入口17a〜17cの封鎖を開放すると共に、遮断板24a,25a,26aによる流入口17a〜17c付近の静翼列16の流路16aの遮断を開放し、動翼列12の全ての部分に作動流体Fを作用させる。この状態は、図6の閾値Q1より大きい範囲における状態である。なお、既に開放されている作動流体遮断装置に対しては特に制御を行わない。S24の処理が終了したら、図5の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。
【0030】
一方、S12の処理で作動流体Fの流量が閾値Q1以下であると判定された場合は、流入口遮断処理へ移行する(S14)。S14の処理は、S12における判定結果に基づいて第一作動流体遮断装置4Aを作動させる処理である。具体的には、封鎖板21aで第一流入口17aを封鎖すると共に、遮断板24aで第一流入口17a付近の静翼列16の流路16aを遮断する(図2(b)及び図4参照)。なお、既に作動して遮断を行っている第一作動流体遮断装置4Aに対しては特に制御を行わない。S14の処理が終了すると、流量判定処理へ移行する(S16)。
【0031】
S16の処理は、S10で取得した作動流体Fの流量が所定の閾値Q2以下であるか否かを判定する処理である。S16の処理において、流量が閾値Q2よりも大きいと判定された場合は、流入口開放処理へ移行する(S26)。
【0032】
S26の処理は、S16における判定結果に基づいて作動流体遮断装置4B,4Cによる作動流体Fの遮断を開放し、第一流入口17aのみが封鎖された状態とする処理である。具体的には、それぞれのアクチュエータを制御して封鎖板22a,23aによる流入口17b,17cの封鎖を開放すると共に、遮断板25a,26aによる流入口17b,17c付近の静翼列16の流路16aの遮断を開放し、第一流入口17a付近の動翼列12以外の部分に作動流体Fを作用させる。この状態は図6の閾値Q2〜Q1の範囲における状態である。なお、既に開放されている作動流体遮断装置に対しては特に制御を行わない。S26の処理が終了したら、図5の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。
【0033】
一方、S16の処理で作動流体Fの流量が閾値Q2以下であると判定された場合は、流入口遮断処理へ移行する(S18)。S18の処理は、S16における判定結果に基づいて第二作動流体遮断装置4Bを作動させる処理である。具体的には、封鎖板22aで第二流入口17bを封鎖すると共に、遮断板25aで第二流入口17b付近の静翼列16の流路16aを遮断する。なお、既に作動して遮断を行っている第二作動流体遮断装置4Bに対しては特に制御を行わない。S18の処理が終了すると、流量判定処理へ移行する(S20)。
【0034】
S20の処理は、S10で取得した作動流体Fの流量が所定の閾値Q3以下であるか否かを判定する処理である。S20の処理において、流量が閾値Q3よりも大きいと判定された場合は、流入口開放処理へ移行する(S28)。
【0035】
S28の処理は、S20における判定結果に基づいて第三作動流体遮断装置4Cによる作動流体Fの遮断を開放し、第一流入口17a及び第二流入口17bが封鎖された状態とする処理である。具体的には、アクチュエータを制御して封鎖板23aによる第三流入口17cの封鎖を開放すると共に、遮断板26aによる第三流入口17c付近の静翼列16の流路16aの遮断を開放し、流入口17a,17b付近の動翼列12以外の部分に作動流体Fを作用させる。この状態は図6の閾値Q3〜Q2の範囲における状態である。なお、既に開放されている作動流体遮断装置に対しては特に制御を行わない。S28の処理が終了したら、図5の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。
【0036】
一方、S20の処理で作動流体Fの流量が閾値Q3以下であると判定された場合は、流入口遮断処理へ移行する(S22)。S22の処理は、S20における判定結果に基づいて第三作動流体遮断装置4Cを作動させ、第四流入口17dのみから作動流体Fを流入させる状態とする処理である。具体的には、封鎖板23aで第三流入口17cを封鎖すると共に、遮断板26aで第三流入口17c付近の静翼列16の流路16aを遮断し、第四流入口17d付近の動翼列12のみに作動流体Fを作用させる。この状態は図6の閾値Q3以下の範囲における状態である。なお、既に作動して遮断を行っている第三作動流体遮断装置4Cに対しては特に制御を行わない。S22の処理が終了したら、図5の処理は終了し、再びS10の処理へ戻る。
【0037】
以上のように、供給される作動流体Fが減少してしまった場合は、動翼列12の動翼11一枚当たりに作用する作動流体Fの流量が減少してしまい、タービン出力が大幅に減少してしまうが、本実施形態に係るチップタービンファンシステム1においては、作動流体Fの流量を検出する流量検出部3と、流量検出部3によって検出された流量に基づき、動翼列12の一部について、作動流体Fが通過することを遮断する作動流体遮断装置4A〜4Cを備えている。従って、流量検出部3が作動流体Fの減少を検出した場合は、その減少量に応じ、作動流体遮断装置4A〜4Cで動翼列12の一部について、作動流体Fが通過することを遮断する。そして、遮断された分の作動流体Fを動翼列12の他の部分に分配させることによって、動翼列12の動翼11一枚当たりに作用する作動流体Fの流量を確保することができ、これによって、タービン出力が大幅に減少してしまうことを防止することができる。
【0038】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0039】
例えば、本実施形態に係るチップタービンファンシステム1では、作動流体遮断装置が、流入口を封鎖する封鎖板と静翼列16の流路16aを遮断する遮断板とを有しているが、何れか一方のみによって作動流体Fを遮断してもよい。また、封鎖板と遮断板とで同時に遮断しているが、何れか一方を先に作動させて、その後、他方を作動させてもよい。
【0040】
また、流入口は4つに限らず、4つより多くてもよい。更に、図7に示すように、遮断板を細分化してもよい。このように流入口の数を増やすと共に遮断板を細分化することにより、作動流体Fの流量に合わせて、動翼列12の遮断を細かく制御することが可能となり、理想的には、流量とタービン出力との関係を略正比例の関係とすることができる(図6のP5参照)。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係るチップタービンファンシステムのブロック構成を示した図である。
【図2】図1に示すチップタービンファンを径方向から見た拡大図である。
【図3】図1に示すチップタービンファンを周方向から見た拡大断面図である。
【図4】作動流体遮断装置を作動させた図であり、図1に対応する図である。
【図5】本実施形態に係るチップタービンファンシステムにおける作動流体遮断処理を示すフローチャートである。
【図6】作動流体の遮断を行った場合の作動流体の流量とタービン出力の関係を示す線図である。
【図7】他の実施形態に係るチップタービンファンシステムを示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…チップタービンファンシステム、2…チップタービンファン、3…流量検出部(流量検出手段)、8…ファン、11…動翼、12…動翼列、16…静翼列、17…ケーシング、17a,17b,17c,17d…流入口、4A,4B,4C…作動流量遮断装置(作動流量遮断手段)、21,22,23…流入口遮断部(流入口遮断手段)、24,25,26…静翼列遮断部(静翼列遮断手段)、F…作動流体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線周りに複数の動翼を並設することにより形成された動翼列に作動流体を通過させ、前記動翼列が回転するのに伴ってファンを回転させるチップタービンファンと、
前記作動流体の流量を検出する流量検出手段と、
前記流量検出手段によって検出された前記流量に基づき、前記動翼列の一部について、前記作動流体が通過することを遮断する作動流体遮断手段と、
を備えることを特徴とするチップタービンファンシステム。
【請求項2】
前記動翼列は、前記作動流体を流入させる流入口を複数有するケーシングに収容され、
前記作動流体遮断手段は、前記ケーシングの前記流入口の少なくとも一つを遮断する流入口遮断手段を有することを特徴とする請求項1記載のチップタービンファンシステム。
【請求項3】
前記作動流体の通過経路における前記動翼列の上流側には、前記動翼列に向けて前記作動流体をガイドする静翼列が配置され、
前記作動流体遮断手段は、前記通過流路における前記静翼列の上流側で前記作動流体を遮断する静翼列遮断手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載のチップタービンファンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−264185(P2009−264185A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−112823(P2008−112823)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】