説明

チャック付二重袋の製造方法

【課題】外袋の内部に更に内袋が収納され、チャックによって各袋を夫々封止するチャック付二重袋を連続形成することが可能なチャック付二重袋を提供する。
【解決手段】上部の外袋用フィルム1Aを仕切り用フィルム2から上方に持ち上げて加工空間を形成する。該加工空間と下部の外袋用フィルム1Bとに熱シール用の一対の内チャック用熱板30を配置する。該内チャック用熱板30で上下の外袋用フィルム1のいずれか一方と仕切り用フィルム2との間に配した内袋用チャックテープ3を接着する。接着された内袋用チャックテープ3を分離して仕切り用フィルム2と下部の外袋用フィルム1Bとの間に加工空間を形成する。該加工空間と上部の外袋用フィルム1Aの上方とに一対の内チャック用熱板40を配置する。該内チャック用熱板40で仕切り用フィルム2と上部の外袋用フィルム1Aとの間に配した外袋用チャックテープ4を接着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャック付二重袋及びその製造方法に係り、外袋の内部に更に仕切り片が収納されて内袋が構成され、各袋に備えられたチャックによって各袋を封止することができるチャック付二重袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二重袋の開口部にチャックを設けたものとして、例えば特許文献1に記載の二重袋が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の二重袋は、チャック(ジッパー)付きの主収容部の上面側にチャック付きの副収容部を形成したもので、主収容部と、主収容部の外側に配置された副収容部とにそれぞれ物品を収納し、各収容部の開口部を各チャックで開閉する構成である。
【0004】
この二重袋を製造するには、主収容部を形成する前面フィルムと背面フィルムとの間に、ジッパーテープを挟み込み、このジッパーテープをそれぞれヒートシールする。このとき、副収容部を形成する3枚目のフィルムは、前面フィルムと背面フィルムとの下辺(ボトム)側の位置に合わせて3枚同時に繰り出し、この底辺に沿ってボトムシールが行われる。その後、袋の幅となるピッチにより、サイドシールの2倍のシール幅となるようにヒートシールが行われ、次の工程で、ヒートシールの中間にカッターが入れられて一袋ごとに分離され、製品となるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008‐230672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の如く、チャック付きの主収容部の上面側にチャック付きの副収容部を形成する前述の製造方法では、主収容部と副収容部を形成する3枚目のフィルムを同時に繰り出す必要がある。そのため、3枚のフィルムの間に挟みこんだジッパーテープをそれぞれヒートシールしようとすると、ヒートシールしない3枚目のフィルムがヒートシールの妨げになる。
【0007】
すなわち、特許文献1には、主収容部を形成するフィルムに予めチャックを別々にヒートシールしておく手段や、ヒートシールの際に、ヒートシールしない3枚目のフィルムとの間にセパレーターを配置して3枚目のフィルムがヒートシールされないようにする手段、あるいは、3枚のフィルムの溶着温度差を変えて余分なフィルムが溶着しないようにする手段などが記載されている。
【0008】
ところが、主収容部を形成するフィルムに予めチャックを別々にヒートシールしておく製造方法では、3枚のフィルムを同時に繰り出す際に、予めヒートシールしていたチャックの位置がずれるおそれがある。そのため、製造時の歩止まりが悪くなり易く、製造装置を正確に稼動させるために多くの準備やメンテナンスも必要になる。
【0009】
一方、セパレーターを配置する製造方法で二重袋を形成すると、セパレーターを配置するための工程や、ヒートシール後にセパレーターを取り出すために多くの工程を要するものになる。しかも、二重袋の形状によっては、セパレーターの配置や撤去が困難になるおそれもあり、二重袋の形状が制限される不都合もある。
【0010】
更に、重ねるフィルムの溶着温度差を変える製造方法では、使用可能なフィルムが制限されることになる。したがって、一般に使用されているフィルムを利用して二重袋を製造することは困難になり、特殊なフィルムを使用することで、製造コストが跳ね上がるおそれもある。
【0011】
このように、従来の二重袋の製造方法では、通常流通しているフィルムを利用して各種形状の二重袋を効率的に連続形成することは困難であった。
【0012】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、どのような形状の二重袋でも通常のフィルムを利用して連続形成が可能となるチャック付二重袋の製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、合成樹脂製のフィルムにて形成され、外袋10の内部に仕切り片20Aを収納して内袋20が構成され、外袋10と仕切り片20Aとに備えられたチャックによって外袋10と内袋20との開口部を夫々封止するチャック付二重袋の製造方法であって、
外袋10を形成する帯状の外袋用フィルム1を略水平状態で上下に配すると共に、該外袋用フィルム1の間に、仕切り片20Aを形成する帯状の仕切り用フィルム2を配するフィルム設置工程100と、
上部の外袋用フィルム1Aの一部を上方に持ち上げて上部の外袋用フィルム1Aと仕切り用フィルム2との間に加工空間を形成し、該加工空間と下部の外袋用フィルム1Bの下方とに一対の内チャック用熱板30を配し、該内チャック用熱板30で仕切り用フィルム2と下部の外袋用フィルム1Bとの間に配した内袋用チャックテープ3を接着する内袋チャック加工工程200と、
接着された内袋用チャックテープ3を分離して仕切り用フィルム2と下部の外袋用フィルム1Bとの間に加工空間を形成し、該加工空間と上部の外袋用フィルム1Aの上方とに一対の内チャック用熱板40を配し、該内チャック用熱板40で仕切り用フィルム2と上部の外袋用フィルム1Aとの間に配した外袋用チャックテープ4を接着する外袋チャック加工工程300と、
加工空間を閉じて仕切り用フィルム2を下部の外袋用フィルム1B上に戻し、内袋用チャックテープ3を再嵌合した後、上下の外袋用フィルム1及び仕切り用フィルム2を切断し、切断端部を溶着して二重袋を形成する切断工程400と、を備えた製造方法にある。
【0014】
第2の手段は、前記外袋チャック加工工程300後に、前記上下の外袋用フィルム1の開口部側にヘッダー用熱板50を配し、該ヘッダー用熱板50にて二重袋用のヘッダー部11を形成するヘッダー加工工程350を備えている。
【0015】
第3の手段は、前記外袋チャック加工工程300後に、前記上下の外袋用フィルム1の底部12がわに底部用熱板60を配し、該底部用熱板60にて二重袋用の底部12を形成する底部加工工程360を備えたことにある。
【0016】
第4の手段は、前記底部加工工程360において、前記上下の外袋用フィルム1の底部側に底部用フィルム5を挿入し、前記外袋10又は前記内袋20の底部に底マチ部13を形成する底マチ部形成工程340を備えている。
【0017】
第5の手段は、前記フィルム設置工程100において、上下に配する外袋用フィルム1と、該外袋用フィルム1の間に配する帯状の仕切り用フィルム2とを二重袋2列分の幅で設定し、これら外袋用フィルム1と仕切り用フィルム2との長手方向に沿った両側縁に沿って前記内袋チャック加工工程200と、前記外袋チャック加工工程300と、夫々を備えて二重袋を2列同時に加工した後、2列の二重袋を分離する2丁取り用切断工程500を備えたものである。
【0018】
第6の手段は、合成樹脂製のフィルムにて形成された外袋10の内部に仕切り片20Aを収納して内袋20が構成され、外袋10及び仕切り片20Aに備えられたチャックによって外袋10と内袋20との開口部を夫々封止するチャック付二重袋において、底部が開放する二重袋にヘッダー部11が形成され、外袋10と内袋20との内部に収納物を収納後、底部を封止するように設けたことを課題解消のための手段とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の製造方法によると、上部の外袋用フィルム1Aの一部を上方に持ち上げて上部の外袋用フィルム1Aと仕切り用フィルム2との間に加工空間を形成し、該加工空間と下部の外袋用フィルム1Bの下方とに一対の内チャック用熱板30を配し、該内チャック用熱板30で仕切り用フィルム2と下部の外袋用フィルム1Bとの間に配した内袋用チャックテープ3を接着する内袋チャック加工工程200と、接着された内袋用チャックテープ3を分離して仕切り用フィルム2と下部の外袋用フィルム1Bとの間に加工空間を形成し、該加工空間と上部の外袋用フィルム1Aの上方とに一対の内チャック用熱板40を配し、該内チャック用熱板40で仕切り用フィルム2と上部の外袋用フィルム1Aとの間に配した外袋用チャックテープ4を接着する外袋チャック加工工程300と、を備えたことで、どのような形状のチャック付二重袋でも通常のフィルムを利用して連続形成することに成功した。
【0020】
しかも、外袋チャック加工工程300において、一旦接着された内袋用チャックテープ3を分離して仕切り用フィルム2と下部の外袋用フィルム1Bとの間に加工空間を形成するから、従来の製造方法のごとく、予め別々に接着したチャックの位置を合わせて成形する難しい工程や、セパレーターの配置や撤去などの多くの工程も必要がなくなり、どのような形状のチャック付二重袋でも、一般のフィルムで効率良く製造することができる。この結果、従来では極めて困難とされていたチャック付二重袋を効率良く、しかも安価に提供することができる。
【0021】
請求項2のごとく、外袋チャック加工工程300後に、前記上下の外袋用フィルム1の開口部側にヘッダー用熱板50を配し、該ヘッダー用熱板50にて二重袋用のヘッダー部11を形成するヘッダー加工工程350を備えたことで、展示兼用の収納袋として最も多く使用されている合成樹脂製吊下げ袋を二重袋に形成することが可能になった。この場合、底部12が開口しているので、収納物は底部から収納した後に、この底部12をシールするタイプの二重袋を提供することができる。
【0022】
また、請求項3のごとく、外袋チャック加工工程300後に、前記上下の外袋用フィルム1の底部12側に底部用熱板60を配し、該底部用熱板60にて二重袋用の底部12を形成する底部加工工程360を備えたことにより、内袋用チャックテープ3や外袋用チャックテープ4を接合した外袋10や内袋20の各開口部から、二重袋の内部に収納する構造の二重袋を形成することができる。
【0023】
更に、請求項4のように、底部加工工程360において、前記上下の外袋用フィルム1の底部側に断面V字状に屈曲された底部用フィルム5を挿入し、前記外袋10又は前記内袋20の底部に底マチ部13を形成する底マチ部形成工程370を備えているので、収納量の多い二重袋を提供することができる。
【0024】
請求項5のごとく、上下に配する外袋用フィルム1と、該外袋用フィルム1の間に配する帯状の仕切り用フィルム2とを二重袋2列分の幅で設定し、二重袋を2列同時に加工した後、2列の二重袋を分離する2丁取り用切断工程500を備えたことで、本発明二重袋の二丁取りが可能になった。したがって、チャック付二重袋を効率良く、しかも安価に提供することができる。
【0025】
請求項6によると、底部が開放する二重袋にヘッダー部11が形成され、外袋10と内袋20との内部に収納物を収納後、底部を封止するように設けたことにより、展示兼用の収納袋として最も多く使用されている合成樹脂製吊下げ袋をチャック付二重袋として提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明製造方法のフィルム設置工程を示す概略図である。
【図2】本発明の実施例1を示し、内袋チャック加工工程、外袋チャック加工工程、ヘッダー加工工程を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例1を示し、ヘッダー部を備えた二重袋の(イ)は正面図、(ロ)は側断面図である。
【図4】本発明の実施例1の製造工程を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施例2を示し、底部加工工程を示す概略図である。
【図6】本発明の実施例2を示し、底部加工工程で成形された二重袋の(イ)は正面図、(ロ)は側断面図である。
【図7】本発明の実施例2の製造工程を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施例3を示し、底マチ部形成工程を示す概略図である。
【図9】本発明の実施例3を示し、底マチ部形成工程で成形された二重袋の(イ)は正面図、(ロ)は側断面図である。
【図10】本発明の実施例3の製造工程を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施例4を示し、2丁取り用のフィルム設置工程を示す概略図である。
【図12】本発明の実施例4を示し、2丁取り用の内袋チャック加工工程、外袋チャック加工工程、ヘッダー加工工程を示す概略図である。
【図13】本発明の実施例4を示し、2丁取り用切断工程を示す概略図である。
【図14】本発明の実施例4の製造工程を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明チャック付二重袋は、合成樹脂製のフィルムにて形成されるもので、外袋10の内部に仕切り片20Aを収納して内袋20が構成され、各袋に備えられたチャックテープ3、4によって各袋の夫々の開口部を封止するように設けられている(図3(ロ)参照)。図示例では、底部が開放され、収納物を収納後、この底部を封止するタイプが示されているが、本発明チャック付二重袋の形態は任意に変更することができる。
【0028】
フィルム1を形成する合成樹脂材は、例えば、ポリプロピレンフィルムにナイロンフィルムがラミネートされたフィルム材や、LDPEフィルム、HDPEフィルム、PETフィルム、アルミ蒸着フィルムなど任意の合成樹脂材を使用することが可能である。
【0029】
本発明製造方法は基本的に、フィルム設置工程100、内袋チャック加工工程200、外袋チャック加工工程300、切断工程400にて行われる。
【0030】
フィルム設置工程100は、外袋10を形成する帯状の外袋用フィルム1を上下に配置すると共に、該外袋用フィルム1の間に仕切り片20Aを形成する仕切り用フィルム2を配置する工程である(図1参照)。図示例では、幅の広い1枚の外袋用フィルム1を長手方向に沿って2枚に折曲し、該折曲部分から切断して上部の外袋用フィルム1Aと下部の外袋用フィルム1Bとを形成している。更に、これらの間に仕切り用フィルム2を配して三層のフィルムを重ねている。
【0031】
内袋チャック加工工程200は、内チャック用熱板30を使用して仕切り用フィルム2と上下いずれかの外袋用フィルム1との間に内袋用チャックテープ3を接合する工程である(図2参照)。図示例では、まず、上部の外袋用フィルム1Aを仕切り用フィルム2から上方に持ち上げて加工空間を形成する。一方、仕切り用フィルム2と下部の外袋用フィルム1Bとの間に内袋用チャックテープ3を配置する。そして、仕切り用フィルム2上の加工空間と、下部の外袋用フィルム1Bの下方とに内チャック用熱板30を配設し、これら内チャック用熱板30で内袋用チャックテープ3を接合する。図示例では、上部の外袋用フィルム1Aを上方に持ち上げて加工空間を形成しているが、下部の外袋用フィルム1Bを下方に押し下げて加工空間を形成し、上部の外袋用フィルム1Aと仕切り用フィルム2との間に内袋用チャックテープ3を接合することも可能である。
【0032】
この内袋用チャックテープ3は、嵌合自在なチャック部が一対のテープの間に接合されたものを使用する。仕切り用フィルム2と上下いずれかの外袋用フィルム1との間に内袋用チャックテープ3を接合する場合、このチャック部を嵌合した状態で使用し(図2参照)、内袋20が形成された後に内袋用チャックテープ3を開くと内袋20の開口部が形成されるものである(図3(ロ)参照)。
【0033】
外袋チャック加工工程300は、仕切り用フィルム2と、下部の外袋用フィルム1Bとに接着された内袋用チャックテープ3を分離し、仕切り用フィルム2と下部の外袋用フィルム1Bとの間に加工空間を形成した後に行う工程である(図2参照)。図示例では、分離ローラー6によって内袋用チャックテープ3を分離している。そして、該加工空間と上部の外袋用フィルム1Aの上方とに一対の内チャック用熱板40を配し、該内チャック用熱板40で仕切り用フィルム2と上部の外袋用フィルム1Aとの間に配した外袋用チャックテープ4を接着する。このとき使用する外袋用チャックテープ4は、前記内袋用チャックテープ3と同じ構成のものを使用しており(図2参照)、外袋10が形成された後に外袋用チャックテープ4を開くと外袋10の開口部が形成されるものである(図3(ロ)参照)。
【0034】
切断工程400は、外袋チャック加工工程300時の加工空間を閉じた後に行われる。そして、仕切り用フィルム2を下部の外袋用フィルム1B上に戻し、内袋用チャックテープ3を再嵌合した後、上下の外袋用フィルム1及び仕切り用フィルム2を切断して二重袋を形成する工程である(図2参照)。図示の切断工程400では、上下の外袋用フィルム1を挟む位置に焼切り熱シール70を配設し、この焼切り熱シール70を使用して各フィルムを切断すると同時に切断端部を熱シールするものである。したがって、切断工程400は切断工程と二重袋を形成する工程とを同時に行うことができるものである。
【実施例1】
【0035】
図1及び図4は、本発明製造方法の第1の実施例を示している(図4参照)。すなわち、外袋チャック加工工程300後にヘッダー加工工程350を行い、二重袋の上端部にヘッダー部11を形成する工程が追加されている(図2参照)。このヘッダー加工工程350は、上下の外袋用フィルム1の開口部側にヘッダー用熱板50を配し、該ヘッダー用熱板50にて上下の外袋用フィルム1を熱圧着してヘッダー部11を形成するものである(図3参照)。図示例の二重袋は、底部が開放され、収納物を収納後、この底部を封止するタイプである(図3(ロ)参照)。このヘッダー部11により、小物商品販売用として一般的に使用される吊下げ袋が形成され、展示販売に好適な吊下げ袋を二重袋で提供することができる(図3(イ)参照)。
【実施例2】
【0036】
図5乃至図7は、本発明製造方法の第2の実施例を示している(図7参照)。この実施例は、外袋チャック加工工程300後に、二重袋用の底部12を形成する底部加工工程360が追加されている(図5参照)。図示例では、上部の外袋用フィルム1Aの底部12がわ上方に底部用熱板60を配設し、該底部用熱板60にて上下の外袋用フィルム1と仕切り用フィルム2とを熱溶着して一体化した底部12を形成している(図6(イ)参照)。また、二重袋の内袋用チャックテープ3や外袋用チャックテープ4を開くと、外袋10や内袋20が開口するものである(図6(ロ)参照)。
【実施例3】
【0037】
図8乃至図10は、本発明製造方法の第3の実施例を示している(図10参照)。この実施例では、前記外袋10又は前記内袋20の底部に底マチ部13を形成する底マチ部形成工程340を追加している(図8参照)。図示例では、上下の外袋用フィルム1の底部側に断面V字状に屈曲された底部用フィルム5を挿入した後に、底部用熱板60にて上下の外袋用フィルム1と仕切り用フィルム2と底部用フィルム5とを熱溶着して一体化した底部12を形成する(図9(イ)参照)。そして、外袋10の底部に底マチ部13を形成している(図9(ロ)参照)。この底マチ部13は、内袋20の底部に形成することも可能である。また、二重袋の内袋用チャックテープ3や外袋用チャックテープ4を開くと、外袋10や内袋20が開口するものである。
【実施例4】
【0038】
図11及び図14は、本発明製造方法の第4の実施例を示している(図14参照)。この実施例では、一度の工程で2個の二重袋を形成するように設定した、所謂、二丁取りの製造方法である。すなわち、フィルム設置工程100において、上下に配する外袋用フィルム1と、該外袋用フィルム1の間に配する帯状の仕切り用フィルム2とを二重袋2列分の幅で設定する(図11参照)。そして、これら外袋用フィルム1と仕切り用フィルム2との長手方向に沿った両側縁に沿って前記内袋チャック加工工程200と、前記外袋チャック加工工程300と、夫々を備えて二重袋を2列同時に加工するものである。更に、2列同時に加工した2列の二重袋を2丁取り用切断工程500にて分離する。
【0039】
図示例では、センタースリット90を使用して、仕切り用フィルム2を予め左右に分断しておき、上下の外袋用フィルム1と、仕切り用フィルム2との位置を合わせておく(図11参照)。そして、2列の二重袋の左右を切断すると同時に切断端部を熱シールする焼切り熱シール80を設け、この焼切り熱シール80にて2列の二重袋を成形後、上部の外袋用フィルム1Aと下部の外袋用フィルム1Bとをセンタースリット90にて分離している(図13参照)。
【0040】
尚、本発明における二重袋は、便宜上、図示の一方を外袋10、他方を内袋20と表現しているが、図示の一方を内袋20とするならば他方は外袋10となる、いった相対的なものである。したがって、二重袋の実施例は図示例に限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で自由な設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、合成樹脂材で形成される二重袋として利用される。このとき、外袋10や内袋20は図示例の二重袋に限定されものではなく、例えば開口部に、スライド自在なファスナーを備えたトラベルポーチ等を外袋10として使用することも可能である。更に、外袋10や内袋20の用途、形状やサイズ、あるいはチャックの位置や底マチ部1Aなどの変更も自由である。
【符号の説明】
【0042】
1 外袋用フィルム
1A 上部の外袋用フィルム
1B 下部の外袋用フィルム
2 仕切り用フィルム
3 内袋用チャックテープ
4 外袋用チャックテープ
5 底部用フィルム
6 分離ローラー
10 外袋
11 ヘッダー部
12 底部
13 底マチ部
14 横ヘッダー部
20 内袋
20A 仕切り片
30 内チャック用熱板
40 外チャック用熱板
50 ヘッダー用熱板
60 底部用熱板
70 焼切り熱シール
80 焼切り熱シール
90 センタースリット
100 フィルム設置工程
200 内袋チャック加工工程
300 外袋チャック加工工程
340 底マチ部形成工程
350 ヘッダー加工工程
360 底部加工工程
400 切断工程
500 2丁取り用切断工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製のフィルムにて形成され、外袋の内部に仕切り片を収納して内袋が構成され、外袋及び仕切り片に備えられたチャックによって外袋と内袋との開口部を夫々封止するチャック付二重袋の製造方法であって、
外袋を形成する帯状の外袋用フィルムを略水平状態で上下に配すると共に、該外袋用フィルムの間に、仕切り片を形成する帯状の仕切り用フィルムを配するフィルム設置工程と、
上部の外袋用フィルムの一部を上方に持ち上げて上部の外袋用フィルムと仕切り用フィルムとの間に加工空間を形成し、該加工空間と下部の外袋用フィルムの下方とに一対の内チャック用熱板を配し、該内チャック用熱板で仕切り用フィルムと下部の外袋用フィルムとの間に配した内袋用チャックテープを接着する内袋チャック加工工程と、
接着された内袋用チャックテープを分離して仕切り用フィルムと下部の外袋用フィルムとの間に加工空間を形成し、該加工空間と上部の外袋用フィルムの上方とに一対の内チャック用熱板を配し、該内チャック用熱板で仕切り用フィルムと上部の外袋用フィルムとの間に配した外袋用チャックテープを接着する外袋チャック加工工程と、
加工空間を閉じて仕切り用フィルムを下部の外袋用フィルム上に戻し、内袋用チャックテープを再嵌合した後、上下の外袋用フィルム及び仕切り用フィルムを切断し、切断端部を溶着して二重袋を形成する切断工程と、
を備えたことを特徴とするチャック付二重袋の製造方法。
【請求項2】
前記外袋チャック加工工程後に、前記上下の外袋用フィルムの開口部側にヘッダー用熱板を配し、該ヘッダー用熱板にて二重袋用のヘッダー部を形成するヘッダー加工工程を備えた請求項1記載のチャック付二重袋の製造方法。
【請求項3】
前記外袋チャック加工工程後に、前記上下の外袋用フィルムの底部がわに底部用熱板を配し、該底部用熱板にて二重袋用の底部を形成する底部加工工程を備えた請求項1記載のチャック付二重袋の製造方法。
【請求項4】
前記底部加工工程において、前記上下の外袋用フィルムの底部側に底部用フィルムを挿入し、前記外袋又は前記内袋の底部に底マチ部を形成する底マチ部形成工程を備えた請求項3記載のチャック付二重袋の製造方法。
【請求項5】
前記フィルム設置工程において、上下に配する外袋用フィルムと、該外袋用フィルムの間に配する帯状の仕切り用フィルムとを二重袋2列分の幅で設定し、これら外袋用フィルムと仕切り用フィルムとの長手方向に沿った両側縁に沿って前記内袋チャック加工工程と、前記外袋チャック加工工程と、夫々を備えて二重袋を2列同時に加工した後、2列の二重袋を分離する2丁取り用切断工程を備えた請求項1記載のチャック付二重袋の製造方法。
【請求項6】
合成樹脂製のフィルムにて形成された外袋の内部に仕切り片を収納して内袋が構成され、外袋及び仕切り片に備えられたチャックによって外袋と内袋との開口部を夫々封止するチャック付二重袋において、底部が開放する二重袋にヘッダー部が形成され、外袋と内袋との内部に収納物を収納後、底部を封止するように設けたことを特徴とするチャック付二重袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−240384(P2012−240384A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115346(P2011−115346)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【特許番号】特許第4968613号(P4968613)
【特許公報発行日】平成24年7月4日(2012.7.4)
【出願人】(000139115)株式会社リングストン (10)
【Fターム(参考)】