説明

テトラヒドロナフチリジン誘導体

本発明は、6−[2−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−7,8−ジヒドロ−5H−[1,6]ナフチリジン−6−イル]−ニコチンアミド
【化1】


並びにその化合物の製造方法、その化合物を含んでなる組成物及びその化合物の使用に関する。化合物はH3リガンドであり、そして多くの疾患、障害及び状態、特に炎症性、アレルギー性及び呼吸器の疾患、障害及び状態に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テトラヒドロナフチリジン誘導体及び誘導体の製造方法、誘導体の製造に使用する中間体、誘導体を含んでなる組成物及び誘導体の使用に関する。
【0002】
本発明のテトラヒドロナフチリジン誘導体は、ヒスタミンH3受容体リガンドであり、そして多くの治療用途、特にアレルギー性鼻炎の治療における用途を有する。
【0003】
ヒスタミンH3受容体は、とりわけ末梢神経のシナプス前終末上に見出され、ここで自律神経伝達を調節し、そして自律神経系の制御下で種々の終末器官の応答を調節する。また、それはヘテロ受容体であり、多くの他の神経伝達物質、例えばドーパミン、グルタミン酸、ノルアドレナリン、セロトニン、GABA、アセチルコリン、いくつかのペプチド及び共存伝達物質(co−transmitters)の放出を調節する。
【背景技術】
【0004】
最近、多くのヒスタミンH3受容体リガンドが開発されている。H3リガンド研究及び特許取得における現在の進歩の概要は、Expert Opin. Ther. Patents (2003) 13(6)に記載されている。ヒスタミンH3受容体リガンドの例は、WO02/76925、WO00/06254、WO02/12190、WO02/12214及びWO02/06223に見出すことができる。
【0005】
H3受容体リガンドは、中枢神経系の障害及び炎症性障害の両方を含む種々の疾患の治療に適していると考えられる。H3リガンドによる治療が有用であると考えられる疾患の例は、炎症性大腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、睡眠障害、片頭痛、ジスキネジア、ストレス誘発性の不安、精神病性の障害、てんかん、認知欠損性疾患(Cognition deficiency diseases)例えばアルツハイマー病又は軽度認知障害、うつ病、気分障害、統合失調症、不安障害、注意欠如多動性障害(ADHD)、精神病性の障害、肥満、めまい感、てんかん、動揺病、眩暈、女性及び男性性機能障害、呼吸器疾患、例えば成人呼吸促進症候群、急性呼吸不全症候群、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、喘息、気腫、鼻炎、慢性副鼻腔炎、アレルギー、アレルギー誘発性気道応答、アレルギー性鼻炎、ウイルス性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、通年性及び季節性鼻炎、鼻うっ血、アレルギー性のうっ血である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
H3リガンドは知られているが、なお、良好な候補薬である新しいH3リガンドを提供する必要がある。特に、好ましい化合物は、強力にヒスタミンH3受容体と結合するが、他の受容体にはほとんど親和性を示してはならない。それは、胃腸管から十分に吸収され、代謝的に安定であり、良好な薬物動態学的性質を有しなくてはならない。それは非毒性であり、ほとんど副作用を示してはならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、6−[2−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−7,8−ジヒドロ−5H−[1,6]ナフチリジン−6−イル]−ニコチンアミド
【化1】

である化合物及びその医薬上及び/又は獣医学上許容しうる誘導体を提供する。
【0008】
特に、本発明は、生体内で形成される場合とは異なる上記の化合物を提供する。
【0009】
この化合物は、高められたH3効力と、心臓血管副作用を減らす可能性とを併せ持つことができる。H3効力及び心臓血管副作用を測定するアッセイを以下の実験セクションに示す(それぞれ、H3細胞をベースとする機能性アッセイ及びhERG生成物をベースとする機能性アッセイ)。また、この化合物は、より強力であり、より長い作用持続時間を有し、より広い範囲の活性を有し、より安定であり、副作用がより少なく又はより選択的であり、又は先行技術の化合物より他のより有用な性質を有するといった利点を有する。
【0010】
医薬上及び/又は獣医学上許容しうる誘導体は、化合物のすべての医薬上若しくは獣医学上許容しうる塩、溶媒和物、エステル若しくはアミド、若しくはこのようなエステル若しくはアミドの塩若しくは溶媒和物、又はレシピエントに投与すると化合物若しくは活性代謝物若しくは残留物を(直接又は間接的に)供給することができる他のいずれかの化合物を意味する。
【0011】
化合物の医薬上許容しうる塩には、その酸付加塩が含まれる。
【0012】
適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例としては、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カムシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、六フッ化リン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸、コハク酸塩、酒石酸、トルエンスルホン酸塩及びトリフルオロ酢酸塩の塩が含まれる。
【0013】
また、酸のヘミ塩(hemisalts)、例えばヘミ硫酸塩を形成することができる。
【0014】
適切な塩の総説については、Stahl及びWermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts:Properties, Selection, and Use (Wiley−VCH, Weinheim, Germany, 2002)を参照のこと。
【0015】
化合物の医薬上許容しうる塩は、3つの方法:
(i) 化合物を所望の酸と反応させることによる;
(ii) 化合物の適切な前駆体から酸若しくは塩基に不安定な保護基を除去するか又は所望の酸若しくは塩基を用いて適切な環式前駆体、例えばラクトン若しくはラクタムを開環することによる;又は
(iii) 適当な酸若しくは塩基との反応によって又は適切なイオン交換カラムによって化合物の一つの塩を別のものに転化することによる:
1つ又はそれ以上によって製造することができる。
【0016】
典型的に、3つの反応は、全て溶液中で実施される。生成した塩は、沈殿させて濾過により集めることができるか又は溶媒の蒸発によって回収することができる。生成した塩中のイオン化度は、完全にイオン化されたものからほとんどイオン化されてないものまで多様でありうる。
【0017】
本発明の化合物は、非溶媒和及び溶媒和形態の両方で存在することができる。用語「溶媒和物」は、本明細書において、本発明の化合物及び化学量論量の1つ又はそれ以上の医薬上許容しうる溶媒分子、例えばエタノールを含んでなる分子複合体を説明するために使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に使用される。
【0018】
クラスレート、薬物−ホスト包接複合体といったような複合体は、本発明の範囲内に含まれ、その際、上記の溶媒和物と対照的に、薬物及びホストは化学量論量又は非化学量論量で存在する。また、化学量論量又は非化学量論量でありうる二つ又はそれ以上の有機及び/又は無機成分を含む薬物の複合体が含まれる。生成した複合体は、イオン化されるか、部分的にイオン化されるか、又はイオン化されていなくてもよい。このような複合体の総説については、HaleblianによるJ Pharm Sci, 64 (8), 1269−1288(1975年8月)を参照のこと。
【0019】
以下、本発明の化合物に対する全て言及は、その塩、溶媒和物及び複合体並びにその塩の溶媒和物及び複合体への言及を含む。
【0020】
本発明の化合物は、以下に定義されるような全てのその多形体及び結晶形態、そのプロドラッグ及び異性体(光学、幾何及び互変異性体を含む)、並びに同位体的に標識化された化合物を含む。
【0021】
また、記載されている通り、化合物のいわゆる「プロドラッグ」は、本発明の範囲内にある。従って、それ自体はほとんど又は全く薬理活性を有することができない化合物のある種の誘導体は、体内又は体表に投与された時に、例えば加水分解によって化合物に転化されうる。このような誘導体を「プロドラッグ」と称する。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、Pro−drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, ACS Symposium Series (T. Higuchi and W. Stella)及びBioreversible Carriers in Drug Design, Pergamon Press, 1987 (ed. E. B. Roche, American Pharmaceutical Association)に見出すことができる。
【0022】
本発明によるプロドラッグは、例えば、本発明の化合物中に存在する適当な官能基を、例えばH. BundgaardによってDesign of Prodrugs(Elsevier, 1985)中に記載されたような「プロ成分」として当業者に知られているある種の部分と置き換えることによって製造される。
【0023】
複数の異性タイプを示す化合物を含む、化合物の全ての立体異性体、幾何異性体及び互変異性形態並びにそれらの1つ又はそれ以上の混合物は、本発明の範囲内に含まれる。また、対イオンが光学活性である酸付加塩、例えばd−乳酸塩又はl−リシン塩又はラセミ体、例えばdl−酒石酸塩又はdl−アルギニン塩が含まれる。
【0024】
立体異性体のコングロメラート(conglomerates)は、当業者に知られている慣用の技術によって分離することができる−例えばE. L. Eliel及びS. H. WilenによるStereochemistry of Organic Compounds (Wiley, New York, 1994)参照。
【0025】
本発明は、1つ又はそれ以上の原子が、同じ原子番号であるが自然界で優位を占める原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられた、化合物の全ての医薬上許容しうる同位体的に標識化された誘導体を含む。
【0026】
本発明の化合物に含めるのに適した同位体の例としては、水素の同位体、例えば2H及び3H、炭素、例えば11C、13C及び14C、窒素、例えば13N及び15N、並びに酸素、例えば15O、17O及び18Oが含まれる。
【0027】
本発明のある種の同位体的に標識化された化合物、例えば放射性同位体を組み込んだものは、薬物及び/又は基質の組織分布研究に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち3H及び炭素−14、すなわち14Cは、組み込みの容易さと検出し易さのためこの目的に特に有用である。
【0028】
より重い同位体、例えば重水素、すなわち2Hで置換すると、より大きい代謝安定性から生じるある種の治療上の利点を得ることができ、例えば生体内の半減期が増加し又は投与量の必要性が低下し、そのため状況によっては好ましいことがある。
【0029】
陽電子を放射する同位体、例えば11C、15O及び13Nで置換すると、基質受容体占有率を試験するための陽電子放射断層撮影(PET)研究に有用でありうる。
【0030】
本発明の同位体的に標識化された化合物は、一般に当業者に知られている慣用の技術によって又は以前に使用された標識化されてない試薬の代わりに適当な同位体的に標識化された試薬を用いて、添付の実施例及び製造例に記載されたものと類似の方法によって製造することができる。
【0031】
本発明の医薬上許容しうる溶媒和物には、結晶化の溶媒が同位体的に置換されうるもの、例えばD2O、d6−アセトン、d6−DMSOが含まれる。
【0032】
本発明の化合物は、以下に示す実施例セクション及び製造例セクションに記載された具体的な方法によって又はその通例の変法によって製造することができる。
【0033】
医薬としての使用を意図する本発明の化合物は、結晶質又は非晶質生成物として投与することができる。例えば、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥又は蒸発乾燥といったような方法によって固形プラグ(solid plug)、粉末、又はフィルムとして得ることができる。この目的では、マイクロ波又は高周波乾燥を使用することができる。
【0034】
それは、単独で又は1つ若しくはそれ以上の他の活性薬物と組み合わせて投与することができる。一般に、1つ又はそれ以上の医薬上許容しうる賦形剤と合わせて製剤として投与される。用語「賦形剤」は、本明細書において、本発明の化合物以外のすべての成分を記載するために使用される。賦形剤の選択は、特定の投与方式、溶解度及び安定性における賦形剤の効果並びに剤形の性質といったような要因に大いに左右される。
【0035】
本発明の化合物を送達するのに適した医薬組成物及びその製造方法は、当業者に容易に明らかである。このような組成物及びその製造方法は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)に見出すことができる。
【0036】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与には化合物が胃腸管に入るような嚥下を含めることができ、又は化合物が口から直接血流に入る口腔内若しくは舌下投与を使用することができる。
【0037】
経口投与に適した製剤には、固形製剤、例えば錠剤、微粒子、液体もしくは粉末を含んでなるカプセル剤、トローチ剤(液体充填されたものを含む)、咀嚼剤、多粒子及びナノ粒子(multi− and nano−particulates)、ゲル、固溶体、リポソーム、フィルム、腔坐剤、スプレー剤及び液体製剤が含まれる。
【0038】
液体製剤には、懸濁剤、液剤、シロップ剤及びエリキシル剤が含まれる。このような製剤は、軟質又は硬質カプセル剤中の充填剤として使用することができ、そして典型的には、担体、例えば水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、又は適切な油、及び1つ若しくはそれ以上の乳化剤及び/又は懸濁化剤を含む。また、液体製剤は、固形物、例えばサシェから再構成することによって製造することもできる。
【0039】
また、本発明の化合物は、例えばLiang及びChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents, 11 (6), 981−986(2001)に記載されたもののような急速に溶解する、急速に崩壊する剤形で使用することができる。
【0040】
錠剤の剤形については、用量に応じて、薬物は、剤形の1質量%〜80質量%、より典型的には剤形の5質量%〜60質量%を構成することができる。錠剤は、薬物に加えて、一般に崩壊剤を含む。崩壊剤の例としては、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロールカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプン(pregelatinised starch)及びアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般に、崩壊剤は、剤形の1質量%〜25質量%、好ましくは5質量%〜20質量%を構成する。
【0041】
結合剤は、一般に錠剤製剤に凝集性を与えるために使用される。適切な結合剤としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然及び合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。また、錠剤は、希釈剤、例えばラクトース(一水和物、噴霧乾燥された一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプン及びリン酸水素カルシウム二水和物を含むことができる。
【0042】
また、錠剤は、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80、及び滑剤、例えば二酸化ケイ素及びタルクを場合により含むことができる。界面活性剤が存在する場合、錠剤の0.2質量%〜5質量%を構成することができ、そして滑剤は錠剤の0.2質量%〜1質量%を構成することができる。
【0043】
また、錠剤には、一般に滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物が含まれる、潤滑剤は、一般に錠剤の0.25質量%〜10質量%、好ましくは0.5質量%〜3質量%を構成する。
【0044】
他の可能な成分としては、抗酸化剤、着色剤、着香剤、保存剤及び矯味剤が含まれる。
【0045】
典型的な錠剤は、薬物約80%まで、結合剤約10質量%〜約90質量%、希釈剤約0質量%〜約85質量%、崩壊剤約2質量%〜約10質量%、及び滑沢剤約0.25質量%〜約10質量%を含んでなる。
【0046】
錠剤のブレンドを直接又はローラーによって圧縮して錠剤を成形することができる。別法として、錠剤のブレンド又はブレンドの一部を、錠剤化の前に湿式、乾式若しくは溶融−造粒、溶融凝固、又は押出成形することができる。最終的な製剤は、1つ又はそれ以上の層を含むことができ、そしてコーティングされていてもよいし又はコーティングされてなくてもよく;さらにカプセル化されていてもよい。
【0047】
錠剤の処方は、H. Lieberman及びL. LachmanによるPharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1 (Marcel Dekker, New York, 1980)に議論されている。
【0048】
ヒト又は家畜に使用するための消耗品経口フィルムは、典型的に柔軟な水溶性又は水膨潤性の薄いフィルム剤形であり、これは急速溶解性又は粘膜付着性であることができ、典型的には、本発明の化合物、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤又は乳化剤、粘度調整剤及び溶媒を含んでなる。製剤のいくつかの成分は、複数の機能を遂行しうる。
【0049】
本発明の化合物は、水溶性又は不溶性であることができる。水溶性化合物は、典型的に溶質1質量%〜80質量%、より典型的に20質量%〜50質量%を含む。あまり可溶性でない化合物は、組成物のより大きい比率、典型的に溶質88質量%までを占めることがある。別法として、本発明の化合物が、多粒子性ビーズ形態であることができる。
【0050】
フィルム形成ポリマーは、天然多糖類、タンパク質又は合成親水コロイドから選択することができ、そして典型的に0.01〜99質量%の範囲、より典型的に30〜80質量%の範囲で存在する。
【0051】
他の可能な成分としては、抗酸化剤、着色剤、着香剤及び香味増強剤(flavour enhancers)、保存剤、唾液刺激剤、冷却剤、共溶媒(油を含む)、皮膚軟化剤、増量剤、消泡剤、界面活性剤及び矯味剤が含まれる。
【0052】
本発明のフィルムは、典型的に剥離できる裏張り支持体又は紙上へコーティングされた薄い水性の被膜を蒸発乾燥することによって製造される。これは、乾燥オーブン若しくはトンネル、典型的に一体型のコーター乾燥機中で、又は凍結乾燥若しくは真空処理によって行うことができる。
【0053】
経口投与のための固形製剤は、即時放出及び/又は調節放出するように処方することができる。調節放出製剤には、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的設定及びプログラム放出が含まれる。
【0054】
本発明の目的に適した調節放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギーディスパージョン(high energy dispersions)並びに浸透性の及びコーティングされた粒子といったような他の適切な放出技術の詳細は、Verma等によって、Pharmaceutical Technology On−line, 25(2), 1−14(2001)に見出される。制御放出を達成するチューインガムの使用は、WO 00/35298に記載されている。
【0055】
また、本発明の化合物は、血流、筋肉、又は内臓に直接投与することができる。非経口投与に適した手段には、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内及び皮下が含まれる。非経口投与に適した装置としては、針付(極微針を含む)注射器、無針注射器及び輸液技術が含まれる。
【0056】
非経口製剤は、典型的に賦形剤、例えば塩、炭水化物及び緩衝剤(好ましくはpH3〜9に)を含むことができる水溶液であるが、いくつかの用途では、滅菌非水性溶液として又は適切なビヒクル、例えば発熱物質なしの滅菌水と併せて使用される乾燥形態として、より適切に処方することができる。
【0057】
滅菌条件下の、例えば、凍結乾燥による非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準医薬技術を用いて容易に実施することができる。
【0058】
非経口液剤の調製で用いる本発明の化合物の溶解度は、溶解促進剤を配合するといったような適当な製剤技術を用いて高められる。
【0059】
非経口投与のための製剤は、即時放出及び/又は調節放出するように処方することができる。調節放出製剤には、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的設定及びプログラム放出が含まれる。従って、本発明の化合物は、活性化合物の放出を改良する移植されたデポ製剤として投与するための固体、半固体又はチキソトロープ液(thixotropic liquid)として処方することができる。このような製剤の例としては、薬物コーティングされたステント及びポリ(dl−乳酸−コグリコール)酸(poly(dl−lactic−coglycolic)acid)(PGLA)ミクロスフェアが含まれる。
【0060】
また、本発明の化合物は、皮膚又は粘膜にすなわち皮膚に又は経皮的に局所的に投与することができる。この目的に典型的な製剤としては、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、泡剤、フィルム剤、皮膚貼付剤、ウエハー、インプラント、スポンジ、ファイバー、バンデージ及びミクロエマルジョンが含まれる。また、リポソームも使用されうる。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコールが含まれる。透過増強剤を組み込むことができる−Finnin及びMorganによるJ Pharm Sci, 88 (10), 955−958(1999年10月)参照。
【0061】
局所投与の他の手段としては、エレクトロポレーション、イオントフォレシス、フォノフォレシス、ソノオフォレシス及び極微針又は無針(例えばPowderjectTM、BiojectTM、など)注射による送達が含まれる。
【0062】
局所投与のための製剤は、即時放出及び/又は調節放出するように処方することができる。調節放出製剤には、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的設定及びプログラム放出が含まれる。
【0063】
また、本発明の化合物は、乾燥粉末吸入器から典型的に乾燥粉末形態で(単独、混合物としてのいずれかで、例えばラクトースとのドライブレンド中、又は混合成分粒子として、例えばホスファチジルコリンのようなリン脂質と混合して)又は加圧容器(例えば定量吸入器)、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは電気流体力学を用いて細かいミストを生成するアトマイザー)、若しくは1,1,1,2−テトラフルオロエタン若しくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンのような適切な噴射剤を用いるか又は用いないネブライザーからのエアゾールスプレーとして鼻腔内に又は吸入によって投与することができる。鼻腔内使用の際、粉末は、生体付着剤、例えばキトサン又はシクロデキストリンを含むことができる。
【0064】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー又はネブライザーは、例えば溶媒としてエタノール、水性エタノール又は活性物質の分散、可溶化若しくは延長放出に適した別の薬剤、噴射剤、及び場合により界面活性剤、例えばソルビタントリオレエート、オレイン酸又はオリゴ乳酸を含んでなる本発明の化合物の溶液又は懸濁液を含む。
【0065】
乾燥粉末又は懸濁製剤に使用する前に、薬物製品は、吸入による送達に適したサイズ(典型的に5ミクロン未満)に超微粉砕される。これは、スパイラルジェットミル処理、流動床ジェットミル処理、ナノ粒子を形成するための超臨界流体処理、高圧均質化又は噴霧乾燥といったようないずれかの適当な粉砕方法によって実施することができる。
【0066】
吸入器又は注入器に使用するためのカプセル剤(例えば、ゼラチン又はヒドロキシプロピルメチルセルロースから作られる)、ブリスター及びカートリッジは、本発明の化合物、適切な粉末基剤、例えばラクトース又はデンプン及び性能調節剤、例えばl−ロイシン、マンニトール又はステアリン酸マグネシウムの粉末混合物を含めて処方することができる。ラクトースは、無水又は一水和物の形態であることができ、好ましくは後者である。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース及びトレハロースが含まれる。
【0067】
細かいミストを生成するために電気流体力学を用いるアトマイザーに使用するのに適した溶液製剤(solution formulation)は、1作動当たり本発明の化合物1μg〜20mgを含むことができ、そして作動容積は1μlから100μlまで変化しうる。典型的な製剤は、本発明の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール及び塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに使用できる代替溶媒としては、グリセロール及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0068】
適切な着香剤、例えばメントール及びレボメントール、又は甘味剤、例えばサッカリン若しくはサッカリンナトリウムは、吸入/鼻腔内投与を意図する本発明のそれらの製剤に加えることができる。 吸入/鼻腔内投与するための製剤は、例えばPGLAを使用して、即時放出及び/又は調節放出するように処方することができる。調節放出製剤には、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的設定及びプログラム放出が含まれる。
【0069】
乾燥粉末吸入器及びエアゾル剤の場合、投薬単位は、計量された量を送達するバルブによって測定するか、又は薬物生成物は、吸入装置に使用するための個別の一用量単位として包装される。吸入装置は、典型的に計量された用量又は本発明の化合物1μg〜4000μgを含んでなる「パフ」を投与するように準備される。全体の日用量は、典型的に1μg〜20mgの範囲であり、これは一用量で、又はより一般的には一日を通して用量を分割して投与することができる。
【0070】
本発明の化合物は、例えば坐剤、ペッサリー又は浣腸の形態で直腸に又は経膣的に投与することができる。カカオ脂は、慣用の坐剤基剤であるが、必要に応じて種々の代替物を使用することができる。
【0071】
直腸/膣投与のための製剤は、即時放出及び/又は調節放出するように処方することができる。調節放出製剤には、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的設定及びプログラム放出が含まれる。
【0072】
また、本発明の化合物は、典型的に、pH調整された等張性の滅菌生理食塩水中の超微粉砕された懸濁液又は溶液の点滴剤の形態で眼又は耳に直接投与することができる。眼及び耳への投与に適した他の製剤には、軟膏剤、生分解性(例えば吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)及び非生分解性(例えばシリコーン)のインプラント、ウエハー、レンズ及び微粒子又は小胞系、例えばニオソーム又はリポソームが含まれる。ポリマー、例えば架橋されたポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース又はメチルセルロース、又はヘテロ多糖ポリマー、例えばゲランゴム、保存剤、例えば塩化ベンザルコニウムと共に組み込むことができる。このような製剤は、イオントフォレシスによっても送達することができる。
【0073】
眼/耳への投与のための製剤は、即時放出及び/又は調節放出するように処方することができる。調節放出製剤には、遅延−、持続−、パルス−、制御−、標的設定−又はプログラム放出が含まれる。
【0074】
本発明の化合物は、上記の投与方式のいずれかで使用する際、その溶解度、溶解速度、矯味、生物学的利用能及び/又は安定性を改善するため、可溶性の巨大分子単位、例えばシクロデキストリン及びその適切な誘導体又はポリエチレングリコールを含んでいるポリマーと組み合わせることができる。
【0075】
薬物−シクロデキストリン複合体は、例えば、ほとんどの剤形及び投与経路にとって一般に有用であることがわかっている。包接及び非包接複合体の両方を使用することができる。薬物との直接複合体形成に代わるものとして、シクロデキストリンを補助添加剤として、すなわち担体、希釈剤又は可溶化剤として使用することができる。これらの目的に最も一般に使用されるのは、アルファ−、ベータ−及びガンマ−シクロデキストリンであり、この例は、国際特許出願第WO 91/11172号、同第WO 94/02518号及び同第WO 98/55148号に見出すことができる。
【0076】
ヒト患者への投与について、本発明の化合物の総日用量は、典型的に0.001mg〜2000mgであり、当然のことながら、投与方式に左右される。例えば、経口投与では、総日用量1mg〜2000mgを必要としうるが、静脈内用量では0.01mg〜100mgが必要である。総日用量は、一回又は分割された用量で投与することができ、そして医師の裁量で、本明細書に記載された典型的な範囲外になりうる。
【0077】
これらの投与量は、体重約60kg〜70kgの平均的なヒト被験者に基づく。医師は、乳児及び高齢者といったようなその体重がこの範囲から外れる被験者の用量を容易に決定することができる。
【0078】
疑問を避けるため、本明細書における「治療」に対する言及には、治癒的な、待期的な及び予防的な処置に対する言及が含まれる。
【0079】
また、本発明の別の実施態様によれば、本発明の化合物、又はその医薬上許容しうる塩、誘導された形態若しくは組成物は、患者に併用投与する1つ又はそれ以上のさらなる治療剤と組み合わせて使用して、いくつかの特に望ましい治療成果を得ることができる。また、第2の及びよりさらなる治療剤は、当分野で知られている1つ又はそれ以上のヒスタミンH3受容体リガンドであることができる。より典型的には、第2の及びさらなる治療剤は、異なる種類の治療剤から選択される。
【0080】
本明細書に使用されるように、本発明の化合物及び1つ又はそれ以上の他の治療剤に関する「併用投与」、「併用投与する」及び「と組み合わせて」なる用語は、以下を意味するものとし、そして以下のことであり、そして以下を含む:
・本発明の化合物及び1つ又はそれ以上の治療剤のこのような組み合わせを治療の必要な患者に同時投与し、その際、このような成分は患者に対して実質的に同じ時間に成分を放出する単一剤形中に一緒に処方されている、
・本発明の化合物と1つ又はそれ以上の治療剤とのこのような組み合わせを治療の必要な患者に実質的に同時に投与し、その際、このような成分は、相互に別個の剤形に処方されており、患者によって実質的に同じ時間に服用され、その結果、実質的に同じ時間に成分が患者に放出される、
・本発明の化合物及び1つ又はそれ以上の治療剤のこのような組み合わせを治療の必要な患者に逐次投与し、その際、このような成分は、相互に個別の剤形に処方されており、それぞれの投与の間に有意な時間的間隔をあけて患者によって逐次的な時間に服用され、その結果、前記成分が実質的に異なる時間に患者に放出される;及び
・本発明の化合物と1つ又はそれ以上の治療剤とのこのような組み合わせを治療の必要な患者に逐次投与し、その際、このような成分は、制御されたやり方で成分を放出する単一の剤形に一緒になって処方されており、その結果、それらは同じ及び/又は異なる時間に患者によって又は患者に、同時に、逐次的に、及び/又は重なって投与され、ここで、それぞれの部分は、同じか又は異なる経路のいずれかによって投与することができる。
【0081】
本発明の化合物、又はその医薬上許容しうる塩、誘導された形態若しくは組成物との組み合わせに使用されうる他の治療剤の適切な例としては、以下が含まれるが、それらに制限されるわけではない:
・ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト、例えばロラチジン、デスロラチジン、フェキソフェナジン及びセチリジン、
・ヒスタミンH4受容体アンタゴニスト、
・ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、
・LTB4、LTC4、LTD4及びLTE4のアンタゴニストを含むロイコトリエンアンタゴニスト、特にモンテルカスト、
・ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばPDE4阻害剤又はPDE5阻害剤、
・神経伝達物質再取込阻害剤、例えばフルオキセチン、セトラリン、パロキセチン、ジプラシドン、
・5−リポキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤又は5−リポキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、
・うっ血除去に使用するためのα1−及びα2−アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮剤交感神経様作動薬、
・ムスカリン性M3受容体アンタゴニスト又は抗コリン作動薬、
・β2−アドレナリン受容体アゴニスト、
・テオフィリン、
・クロモグリク酸ナトリウム、
・COX−1阻害剤(NSAID)及びCOX−2選択的阻害剤、
・経口又は吸入用グルココルチコステロイド、
・内因性炎症性部分に対して活性なモノクローナル抗体、
・抗腫瘍壊死因子(抗TNF−α)剤、
・VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤、
・キニン−B1−及びB2−受容体アンタゴニスト、
・免疫抑制剤、
・マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害剤、
・タキキニンNK1、NK2及びNK3受容体アンタゴニスト、
・エラスターゼ阻害剤、
・アデノシンA2a受容体アゴニスト、
・ウロキナーゼ阻害剤、
・ドーパミン受容体に作用する化合物、例えばD2アゴニスト、
・NFκβ経路のモジュレーター、例えばIKK阻害剤、
・粘液溶解薬又は鎮咳薬として分類されうる薬剤、
・抗生物質、
・サイトカインシグナル伝達経路のモジュレーター、例えばp38 MAPキナーゼ、sykキナーゼ又はJAKキナーゼ阻害剤、
・HDAC阻害剤、
・プロスタグランジンアンタゴニスト、例えばDP1、DP2又はCRTH2アンタゴニスト、及び
・PI3キナーゼ阻害剤。
【0082】
本発明によれば、本発明の化合物とヒスタミンH1受容体アンタゴニスト(例えばロラチジン、デスロラチジン、フェキソフェナジン及びセチリジン)、ヒスタミンH4受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、LTB4、LTC4、LTD4及びLTE4のアンタゴニストを含むロイコトリエンアンタゴニスト(特にモンテルカスト)、ホスホジエステラーゼPDE4阻害剤及び神経伝達物質再取込阻害剤(例えばフルオキセチン、セトラリン、パロキセチン、ドロキセチン、ジプラシドン)との組み合わせが好ましい。本発明の別の態様によれば、本発明の化合物とヒスタミンH1受容体アンタゴニスト(例えばロラチジン、デスロラチジン、フェキソフェナジン及びセチリジン)との組み合わせが最も好ましい。
【0083】
例えば、特定の疾患又は状態を治療するために活性化合物の組み合わせを投与することは望ましい限り、少なくとも一方が本発明の化合物を含む2つ又はそれ以上の医薬組成物を、組成物を併用投与(coadministration)するのに適したキットの形態で都合よく組み合わせることができることは、本発明の範囲内にある。
【0084】
従って、本発明のキットは、少なくとも一方が本発明の化合物を含む2つ又はそれ以上の別々の医薬組成物、及び前記組成物を別々に保持するための手段、例えば容器、分割されたビン、又は分割されたホイルパケットを含んでなる。このようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用されるよく知られているブリスターパックである。
【0085】
本発明のキットは、異なる剤形、例えば経口及び非経口のものを投与するために、異なる投与間隔で個々の組成物を投与するために、又は相互に別々の組成物を漸増するために特に適している。コンプライアンスを助けるため、キットには、通常、投与の指示が含まれており、いわゆる記憶補助が準備されていることがある。
【0086】
本発明の化合物は、H3受容体と相互に作用する能力を有し、それによってさらに以下に記載されるような広範囲にわたる治療用途を有しており、それはH3受容体が全ての哺乳動物の生理において必須の役割を果たしているからである。本発明によれば、H3リガンドは、H3受容体アンタゴニスト、アゴニスト及びインバースアゴニストを含むものとする。本発明により治療される好ましい適応症について、H3アンタゴニストが、最も適切であると考えられる。
【0087】
従って、本発明のさらなる態様は、H3受容体が関与する疾患、障害及び状態の治療に使用するための本発明の化合物又はその医薬上許容しうる塩、誘導された形態若しくは組成物に関する。また、より詳しくは、本発明は、以下からなる群より選ばれる疾患、障害及び状態の治療に使用するための本発明の化合物又はその医薬上許容しうる塩、誘導された形態若しくは組成物に関する:
・中枢神経系の疾患:睡眠障害、片頭痛、ジスキネジア、ストレス誘発性の不安、精神病性の障害、てんかん、認知欠損性疾患 、例えばアルツハイマー病又は軽度認知障害、うつ病、気分障害、統合失調症、不安障害、注意欠如多動性障害(ADHD)、精神病性の障害、めまい感、眩暈、てんかん、動揺病
・摂食障害(特に、肥満関連の摂食障害)、体重の減少又は調節(例えばカロリー若しくは食物摂取における減少、及び/又は食欲抑制)、及び肥満。肥満関連の摂食障害の代表的な例としては、食べすぎ、過食症、無茶食い障害、強迫性のダイエット、夜間睡眠関連の摂食障害、異食症、プラーダー−ヴィリ症候群、及び夜間摂食症状群が含まれる
・炎症性疾患
・呼吸器疾患(成人呼吸促進症候群、急性呼吸不全症候群、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、喘息、気腫、鼻炎、慢性副鼻腔炎)、アレルギー、アレルギー誘発性気道応答、アレルギー性鼻炎、ウイルス性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、多年生及び季節性鼻炎、鼻うっ血、アレルギー性うっ血
・性的欲求低下障害、性的興奮障害、オルガスム障害及び性交疼痛障害を含む女性性機能障害
・男性欲求障害、男性勃起障害、男性オルガスム障害、例えば早漏を含む男性性機能障害
・心機能不全、例えば心筋虚血及び不整脈
・胃腸管の疾患、例えば炎症性大腸疾患、クローン病及び潰瘍性大腸炎
・癌
・低血圧
・疼痛及び
・過活動膀胱状態。
【0088】
本発明の化合物は、特にアレルギー、アレルギー誘発性気道応答、アレルギー性鼻炎、ウイルス性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、通年性及び季節性鼻炎、鼻うっ血並びにアレルギー性のうっ血の治療に適している。
【0089】
また、なおさらなる本発明の態様は、H3リガンドである薬物の製造における、本発明の化合物又はその医薬上許容しうる塩、誘導された形態若しくは組成物の使用に関する。特に、本発明は、H3が介在する疾患及び/又は状態、特に上に記載された疾患及び/又は状態を治療する薬物の製造における本発明の化合物又はその医薬上許容しうる塩、誘導された形態若しくは組成物の使用に関する。
【0090】
結果として、本発明は、有効量の本発明の化合物又はその医薬上許容しうる塩、誘導された形態若しくは組成物を用いてヒトを含む哺乳動物を治療する特に興味深い方法を提供する。より明確には、本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、H3が介在する疾患及び/又は状態、特に上に記載された疾患及び/又は状態を治療する特に興味深い方法であって、有効量の本発明の化合物、その医薬上許容しうる塩及び/又は誘導された形態を前記哺乳動物に投与することからなる前記方法を提供する。
【0091】
以下の実施例は、発明の化合物の製造を説明する。
【0092】
実施例
1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、全ての場合において提案された構造と一致した。特性化学シフト(δ)は、主要ピークの表示に慣用の略語:例えばs,一重線;d,二重線;t,三重線;q,四重線;m,多重線;br,ブロード:を用いてテトラメチルシランから低磁場のパーツ・パー・ミリオンで示した。質量スペクトル(m/z)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)又は大気圧化学イオン化(APCI)を用いて記録した。以下の略語を用いた:「アンモニア」は、比重0.88を有する水中のアンモニア濃縮溶液のことである。薄層クロマトグラフィ(TLC)を使用した場合、シリカゲル60 F254プレートを用いるシリカゲルTLCのことであり、Rfは、TLCプレート上で化合物が移動した距離を溶媒先端が移動した距離で割ったものである。
【0093】
製造例1
6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン
【化2】

230℃のジエチレングリコール(200ml)に、6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2(1H)−オキソ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸塩酸塩(40g,124.8mmol,CA 2104267)を2分かけて加え、そしてさらに8分間、230℃で混合物の撹拌を続けた。混合物を氷(1kg)上へ注ぎ、過剰の固形炭酸水素ナトリウムを加えて塩基性にした。混合物を濾過し、次いでジクロロメタン(2×400ml)で抽出した。合わせた有機相を水(2×400ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(250ml)で磨砕し、次いで濾過して真空下で乾燥し、標題化合物を収率46%、14gでオフホワイトの固形物として得た。
1HNMR(DMSO−D6, 400MHz)δ:2.53(m, 2H), 2.61(m, 2H), 3.20(s, 2H), 3.60(s, 2H), 6.08(d, 1H), 7.10(d, 1H), 7.24(m, 1H), 7.32(m, 4H), 11.40(brs, 1H) MS APCI+ m/z 241 [MH]+
【0094】
製造例2
6−ベンジル−2−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン
【化3】

6−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−2(1H)−オン(製造例1,50g,208mmol)、塩化ホスホリル(250ml)及び塩化テトラエチルアンモニウム水和物(35g,210mmol)の混合物を還流下で2時間30分加熱した。蒸留によって塩化ホスホリルを除去し、次いで残留物をさましてジクロロメタン(1000ml)で希釈した。混合物を炭酸水素ナトリウム(240g)、水(1000ml)及びジクロロメタン(600ml)の混合物に10分かけて加えて75分間撹拌した。有機層を分離し、さらに水で洗浄し、次いで真空下で濃縮した。残留物を酢酸エチル(700ml)に溶解し、そして水(100ml)、次いで飽和硫酸水素ナトリウム水溶液(50ml)で洗浄した。有機相を分離してから、シリカゲル上で酢酸エチルにより溶出するカラムクロマトグラフィによって精製して標題生成物を収率81%,43.6gで白色固形物として得た。
1HNMR(DMSO−D6, 400MHz)δ:2.81(m, 2H), 3.05(m, 2H), 3.60(s, 2H), 3.74(s, 2H), 7.05(d, 1H), 7.20−7.40(m, 6H) MS APCI+m/z 259 [MH]+
【0095】
別法として、標題化合物は以下の方法によって製造することができる:
50℃で撹拌しているトルエン(200ml)中の1−ベンジル−4−ピペリドン(40g,210mmol)及びアセトアミド(40g,678mmol)の混合物にp−トルエンスルホン酸一水和物(43g,226mmol)を1分かけて加え、次いで混合物を還流下で加熱し、Dean and Stark条件下で3時間水を除去した。混合物をさましてから、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン(300ml)と水(1000ml)中の炭酸水素ナトリウム(20g)との間で分配した。泡立ちが終わるまで、さらなる炭酸水素ナトリウム(60g)を加えた。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し真空下で濃縮した。残留物をエーテル(200ml)で磨砕し、真空下で乾燥してN−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−アセトアミドを収率50%,24.4gで橙色固形物として得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz)δ:2.02(s, 3H), 2.29(m, 2H), 2.62(m, 2H), 3.06(m, 2H), 3.58(s, 2H), 6.09(s, 1H), 6.36(s, 1H), 7.26−7.35(m, 5H)。
【0096】
ジメチルホルムアミド(7.9ml,102mmol)を、塩化ホスホリル(250ml)に氷冷しながら加え、次いで室温に昇温させて1時間撹拌した。混合物を再び氷浴中で冷却し、そしてN−(1−ベンジル−1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジン−4−イル)−アセトアミド(23.4g,101mmol)を加え、冷却しながら10分間撹拌し、次いで混合物を室温に加温させて16時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、トルエン(150ml)と共沸混合した。残留物をジクロロメタン(400ml)に溶解して氷水(100ml)を加えた。pH>10そしてさらに沈殿が形成されなくなるまで混合物に0.880アンモニア溶液及びさらなる氷を加えた。さらなるジクロロメタン(50ml)を加えた。有機抽出物を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空下で濃縮した。残留物を、シリカゲル上でジクロロメタン:酢酸エチル1:1により溶出するカラムクロマトグラフィによって精製した。適当な画分を真空下で濃縮した。残留物をジエチルエーテル(200ml)に溶解し、そして水(50ml)中の亜硫酸水素ナトリウム(800mg)の溶液、次いでさらに水(20ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空下で濃縮した。残留物をジイソプロピルエーテル(20ml)で磨砕し、次いで真空下で乾燥して収率21%,5.54gで淡黄色の固形物として標題生成物を得た。
【0097】
製造例3
1−イソプロピル−ピペリジン−4−オール
【化4】

4−ヒドロキシピペリジン(10g,0.10mol)、アセトン(21.8ml,0.30mol)、酢酸(5.7ml,0.10mol)及びテトラヒドロフラン(150ml)の混合物を氷浴中で15分間撹拌した。次いで、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(31.3g,0.15mol)を少しずつ加え、そして混合物をさらに10分間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に昇温させて10分間そして40℃で2.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させて残留物を水(50ml)に溶解した。0.88アンモニアを用いて水溶液をpH9の塩基性にし、溶液を30分間撹拌した。次いで、反応混合物をジエチルエーテル(2×200ml)で抽出し、そして合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして真空下で濃縮して黄色の油を得た。油を、シリカゲル上でジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、96:4:1〜90:10:1により溶出するカラムクロマトグラフィによって精製し、定量的収率,14.6gで黄色の油として標題生成物を得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz)δ:0.92−1.02(m, 6H), 1.41−1.57(m, 2H), 1.77−1.89(m, 2H),
2.07−2.23(m, 2H), 2.57−2.78(m, 3H), 3.43−3.85(brm, 2H) MS ES+ m/z 144 [MH]+
【0098】
製造例4
6−ベンジル−2−[(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)オキシ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン
【化5】

テトラヒドロフラン(100ml)中の1−イソプロピル−ピペリジン−4−オール(製造例3,12g,84mmol)の溶液に、窒素下で氷冷しながら10分かけてテトラヒドロフラン(100ml)中のカリウムtert−ブトキシド(9.3g,83mmol)の溶液を加え、そして溶液を15分かけて13℃に加温しながら撹拌した。混合物に6−ベンジル−2−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン(製造例2,17g,60mmol)を加えてから混合物を還流下で28時間加熱した。次いで、反応混合物を室温にさまし、減圧下で蒸発させた。残留物をジエチルエーテル(400ml)と水(100ml)との間で分配した。有機層をさらに水(2×100ml)、次いでブライン(50ml)で洗浄した。有機層を真空下で濃縮してから酢酸エチル(400ml)に再溶解し、そして水(2×100ml)、次いでブライン(50ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮して収率90%(NMRによる),24gで淡橙色の固形物として粗製標題化合物を得た。シリカゲル上でジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア、96:4:1〜 95:5:1により溶出するカラムクロマトグラフィによってさらなる精製を実施することができ、白色固形物として標題化合物を得た。
1HNMR(CD3OD, 400MHz)δ:1.02−1.15(m, 6H), 1.71−1.86(m, 2H), 1.97−2.10(m, 2H),
2.39−2.57(m, 2H), 2.71−2.94(m, 7H), 3.54(s, 2H), 3.65−3.75(m, 2H), 4.93−5.05(m, 1H), 6.52(d, 1H), 7.21−7.45(m, 6H) MS APCI+ m/z 366 [MH]+
【0099】
製造例5
2−[(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)オキシ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン
【化6】

炭素上の水酸化パラジウム(II)20%(パールマン触媒,6g)をエタノール(300ml)中の6−ベンジル−2−[(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)オキシ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン(製造例4,57.7g,157mmol)及び2M塩酸(200ml)の溶液に加え、そして混合物を水素下50psi、50℃で4時間撹拌した。次いで、Arbocel(R)を通して混合物を濾過し、エタノール(200ml)で十分に洗浄し、そして濾液を真空下で濃縮した。残留物に水(200ml)及び過剰の0.880アンモニア溶液を加えて塩基性にし、そして混合物を酢酸エチル(4×250ml)で抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮し、収率83%,36.4gで無色の油として標題生成物を得た。
1HNMR(CDCl3, 400MHz)δ:1.01−1.15(m, 6H), 1.74−1.91(m, 2H), 2.02−2.19(m, 2H),
2.40−2.58(m, 2H), 2.69−2.88(m, 5H), 3.07−3.22(m, 2H), 3.80−3.91(m, 2H), 4.95−5.10(m, 1H), 6.44(d, 1H), 7.14(m, 1H) MS APCI+ m/z 276 [MH]+
【0100】
製造例6
6−ブロモ−ニコチンアミド
【化7】

ジメチルスルホキシド(20ml)中の6−ブロモ−ニコチン酸(4.8g、23.8mmol)の溶液に、室温でカルボニルジイミダゾール(4.8g,29.6mmol)を加え、そして混合物を16時間撹拌した。氷浴中で冷却しながら、混合物に0.880アンモニア水(40ml)を滴加し、次いで混合物を1時間撹拌してから水(20ml)へ注いだ。沈殿を濾過し、水で洗浄して真空下で乾燥し、収率81%,3.9gで白色固形物として標題生成物を得た。
1HNMR(DMSO−D6, 300MHz)δ:7.66(br.s, 1H), 7.73(d, 1H), 8.09(m, 1H), 8.15(br.s, 1H), 8.78(d, 1H)。
微量分析
実測値(%);C(36.00), H(2.60), N(13.67);C6H5N2Br理論値(%);C(35.84), H(2.51), N(13.93)
【0101】
実施例1
6−[2−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−7,8−ジヒドロ−5H−[1,6]ナフチリジン−6−イル]−ニコチンアミド
【化8】

2−メチル−2−ブタノール(3ml)中の2−[(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)オキシ]−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン(製造例5,275mg,1.0mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.345ml,2.0mmol)の溶液に6−ブロモ−ニコチンアミド(製造例6,200mg,1.0mmol)を加え、そして混合物を10時間加熱した。混合物をさまして生成した沈殿を濾過し、そしてさらに2−メチル−2−ブタノール(4ml)で洗浄した。次いで、固形物を酢酸エチル(50ml)及び1N水酸化ナトリウム溶液(40ml)、及びメタノール一滴の間で分配した。有機層をブライン(2×10ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空下で濃縮した。残留物を、熱濾過で還流酢酸エチル(10ml)から再結晶させた。さました後、生成した固形物を濾過して真空下で乾燥し、標題化合物を収率27%,108mgで白色固形として得た。
1HNMR(DMSO−D6, 400MHz)δ:0.92(d, 6H), 1.54(m, 2H), 1.89(m, 2H), 2.24(m, 2H), 2.60−2.70(m, 3H), 2.79(m, 2H), 3.91(m, 2H), 4.63(s, 2H), 4.91(m, 1H), 6.57(d, 1H), 6.86(d, 1H), 7.10(br.s, 1H), 7.50(d, 1H), 7.73(br.s, 1H), 7.93(m, 1H), 8.59(m, 1H) MS APCI+ m/z 396 [MH]+
【0102】
hERGパッチクランプアッセイ
hERGチャネルを阻害する化合物の能力を測定するため、急速に不活性化する遅延整流性カリウム電流(IKr)のクローン化対応物、hERGチャネルを安定に発現するHEK293細胞を、周囲温度(26.5−28.5℃)で細胞全体のパッチクランプ電気生理学研究に使用した。HEK293細胞におけるこのチャネルの安定なトランスフェクションの方法論は、他に見出すことができる(Zhou et al 1998, Biophysical Journal, 74, pp230−241)。実験に用いる溶液は、以下の組成(mM);NaCl,137;KCl,4;CaCl2,1.8;MgCl2,1;グルコース,10;HEPES,10;NaOH/HClを用いてpH 7.4±0.05;の標準細胞外溶液及び以下の組成(mM);KCl,130;MgCl2,1;HEPES,10;EGTA,5;MgATP,5;KOHを用いてpH 7.2±0.05:の標準細胞内溶液であった。適用した電圧プロトコールは、hERGチャネルを活性化し、薬物のチャネル遮断の測定が可能であるように設計されていて、それは以下の通りである。最初に、膜電位を1秒間、保持電位−80mV〜+30mVから進めた。この後、0.5mV/msの速度で下行性の電圧傾斜で保持電位−80mVに戻し、再分極傾斜中に観察されるピークの外向き電流を測定した。このプロトコールを4秒毎に(0.25Hz)繰り返し誘起した。媒体(0.1%v/v DMSO)の存在下で安定なベースライン期間を確かめた後、次いで、応答が定常状態に達するまでか又は10分まで(最初に生じたいずれか)、試験化合物の4種の増加濃度を、順次、浴に適用した。10マイクロモル/Lのドフェチリドを各実験終了時に内部陽性対照として用い、そして最大遮断を明確にした。このアッセイから、化合物のIC50を確定した。
【0103】
H3細胞ベースの機能アッセイ
β−ラクタマーゼレポーター遺伝子活性を通してcAMPを測定する細胞ベースの機能性アッセイを用いて化合物を評価した。CRE β−ラクタマーゼレポーター遺伝子を発現するHEK−293細胞から安定な細胞系を生成し、そしてヒトヒスタミンH3受容体cDNAでトランスフェクションした。500,000細胞/mlの密度で細胞を播種し、そしてポリDリシンコートされた384穴プレート(BD Biosciences)中、1%透析FBS(Sigma)、2mMグルタミン(Sigma)、1mMピルビン酸ナトリウム(Sigma)、0.1mM非必須アミノ酸(Invitrogen)及び25mM HEPES(Sigma)を補足したMEM(Invitrogen)中で一夜成長させた。H3受容体アゴニスト、イメティット(imetit)(Tocris)は、10μMフォルスコリン(Calbiochem)刺激されたcAMP合成を用量依存的に阻害し、これはCCF4−AM色素の(Invitrogen)β−ラクタマーゼ切断によって4.5時間後に測定した。IC50を測定するため、アッセイの最終DMSO濃度0.5%で用量応答5×10-10〜5×10-5Mで、試験化合物をPBS(Sigma)及びDMSO(Sigma)中で調製した。化合物を加えて/加えないで、細胞を15分間インキュベートし、そして1nMイメティットの存在下で10μMフォルスコリン刺激されたcAMP合成を可能にする能力を上記のように測定した。実験的に測定したイメティットEC50(式中Kdとして表される)350pMに基づいてアンタゴニストとして試験した化合物のIC50、及びイメティット濃度[L]1nMからCheng−Prussoff式、ここでKi=(IC50)/(1+([L]/Kd))に従って機能Ki値を算出した。
【0104】
実施例1の化合物を上記のH3アッセイで試験し、そして2.6nMのKi値を有することがわかった。また、この化合物は、hERGパッチクランプアッセイにおいて22200nMのIC50値を有することがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物6−[2−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルオキシ)−7,8−ジヒドロ−5H−[1,6]ナフチリジン−6−イル]−ニコチンアミド又はその医薬上許容しうる塩若しくは溶媒和物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物、又はその医薬上許容しうる塩もしくは溶媒和物を、医薬上許容しうる賦形剤と共に含む医薬組成物。
【請求項3】
薬剤として使用するための請求項1に記載の化合物、又はその医薬上許容しうる塩若しくは溶媒和物。
【請求項4】
H3リガンドが示唆される疾患を治療する薬剤の製造における請求項1に記載の化合物、又はその医薬上許容しうる塩若しくは溶媒和物の使用。
【請求項5】
・睡眠障害、片頭痛、ジスキネジア、ストレス誘発性の不安、精神病性の障害、てんかん、認知欠損性疾患、例えばアルツハイマー病又は軽度認知障害、うつ病、気分障害、統合失調症、不安障害、注意欠如多動性障害(ADHD)、精神病性の障害、めまい感、眩暈、てんかん、動揺病;
・摂食障害、体重の減少又は制御及び肥満;
・炎症性疾患;
・呼吸器疾患、例えば成人呼吸促進症候群、急性呼吸不全症候群、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、喘息、気腫、鼻炎及び慢性副鼻腔炎;
・アレルギー、アレルギー−誘発性気道応答、アレルギー性鼻炎、ウイルス性の鼻炎、非アレルギー性の鼻炎、多年生及び季節性鼻炎、鼻うっ血、アレルギー性のうっ血;
・性的欲求低下障害、性的興奮障害、オルガスム障害及び性交疼痛障害を含む女性性機能障害;
・男性欲求障害、男性勃起障害、例えば早漏のような男性オルガスム障害を含む男性性機能障害;
・心機能不全、例えば心筋の虚血及び不整脈;
・胃腸管の疾患、例えば炎症性大腸疾患、クローン病及び潰瘍性大腸炎;
・癌;
・低血圧;
・疼痛、及び
・過活動膀胱状態
から選択される疾患を治療する薬剤の製造における請求項4に記載の使用
【請求項6】
H3リガンドが示唆される疾患にかかっているヒトを含む哺乳動物の治療方法であって、該哺乳動物に有効量の請求項1に記載の化合物、又はその医薬上許容しうる塩、溶媒和物若しくは組成物を投与することからなる方法。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物又はその医薬上許容しうる塩若しくは溶媒和物と、以下から選択される他の薬理活性剤との組み合わせ:
・ヒスタミンH1受容体アンタゴニスト、例えばロラチジン、デスロラチジン、フェキソフェナジン及びセチリジン、
・ヒスタミンH4受容体アンタゴニスト、
・ヒスタミンH2受容体アンタゴニスト、
・LTB4、LTC4、LTD4及びLTE4のアンタゴニストを含むロイコトリエンアンタゴニスト、特にモンテルーカスト、
・ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばPDE4阻害剤又はPDE5阻害剤、
・神経伝達物質再取込阻害剤、例えばフルオキセチン、セトラリン、パロキセチン、ジプラシドン、
・5−リポオキシゲナーゼ(5−LO)阻害剤又は5−リポオキシゲナーゼ活性化タンパク質(FLAP)アンタゴニスト、
・うっ血除去に使用するためのα1−及びα2−アドレナリン受容体アゴニスト血管収縮剤交感神経様作動薬、
・ムスカリン性M3受容体アンタゴニスト又は抗コリン作動薬、
・β2−アドレナリン受容体アゴニスト、
・テオフィリン、
・クロモグリク酸ナトリウム、
・COX−1阻害剤(NSAID)及びCOX−2選択的阻害剤、
・経口又は吸入用グルココルチコステロイド、
・内因性炎症性部分に対して活性なモノクローナル抗体、
・抗腫瘍壊死因子(抗TNF−α)剤、
・VLA−4アンタゴニストを含む接着分子阻害剤、
・キニン−B1−及びB2−受容体アンタゴニスト、
・免疫抑制剤、
・マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の阻害剤、
・タキキニンNK1、NK2及びNK3受容体アンタゴニスト、
・エラスターゼ阻害剤、
・アデノシンA2a受容体アゴニスト、
・ウロキナーゼの阻害剤、
・ドーパミン受容体に作用する化合物、例えばD2アゴニスト、
・NFκβ経路のモジュレーター、例えばIKK阻害剤、
・粘液溶解薬又は鎮咳薬として分類されうる薬剤、
・抗生物質、
・サイトカインシグナル伝達経路のモジュレーター、例えばp38 MAPキナーゼ、sykキナーゼ又はJAKキナーゼ阻害剤、
・HDAC阻害剤、
・プロスタグランジンアンタゴニスト、例えばDP1、DP2又はCRTH2アンタゴニスト、及び
・PI3キナーゼ阻害剤。

【公表番号】特表2009−514846(P2009−514846A)
【公表日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538440(P2008−538440)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003061
【国際公開番号】WO2007/052124
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】