説明

テーパーロールの製造方法、及びその製造装置

【課題】形状の異なるテーパーロールを容易に製造する。
【解決手段】テーパーロール製造装置10は、ゴムシート型11と、成型台30を備える。ゴムシート型11は、内周面が下端11Dに向かうに従って小径となるように形成された筒状シート体である。成型台30は、複数の互いに孔径の異なる第1〜第4の孔36A〜36Dを有する第1〜第4の支持プレート33A〜33Dを備える。第1〜第4の支持プレート33A〜33Dは、各孔が同心的にかつ下方に向かうに従って径が小さくなるように、軸方向に配列される。ゴムシート型11は、第1〜第4の支持プレート33A〜33Dの各孔内に挿通し、これら第1〜第4の支持プレート33A〜33Dに支持される。第1〜第4の支持プレート33A〜33Dは上下方向にスライド変位可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーブコンベヤ等に使用されるテーパーロールの製造方法、及びテーパーロール製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送ラインにおいて、搬送物をスムーズかつ正確に方向転換するためにカーブコンベヤが使用されている。カーブコンベヤは、一般的に、1対のテーパーロールにカーブ状にコンベヤベルトが掛け回され、そのカーブ状に掛け回されたコンベヤベルトの面上に搬送物が載置され搬送される。
【0003】
従来、テーパーロールは、例えば、内周面がテーパー面に形成された筒状の金型の内部に、芯体が配置されると共に未加硫ゴムが充填され、プレス成型により加圧成形されて製造されることが知られている。また、内周面がテーパー面に形成された筒状の金型内部に、芯体が配置されると共に成型樹脂が注入され、成型樹脂が硬化されてテーパーロールが製造される方法も知られている。
【0004】
さらには、円筒状ローラが研磨加工され、外周面がテーパー面にされ、テーパーロールが製造される方法も知られている。この場合、円筒状ローラは、例えば金属芯金シャフトに1枚以上の未加硫ゴムシートを巻き付けた後、表面に布テープを巻き付けて締め付け、蒸気窯内で蒸気により加熱し、加硫反応させて製造される。また、例えば特許文献1に記載されるように、内部に芯体が配設された筒状金型内部に成型樹脂が注入され硬化されて製造される場合もある。
【特許文献1】特開2000−326358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カーブコンベヤ用のテーパーロールは、カーブコンベヤのカーブ半径により、テーパーロールのテーパー角度が決定されると共に、ベルト幅によりテーパーロールの軸長さが決定される。カーブコンベヤは、搬送物の大きさや設置場所等により、カーブ半径やベルト幅が多岐にわたるので、テーパーロールのテーパー角度及び軸長さも多岐にわたることとなる。
【0006】
従来の製造方法のように、内周面にテーパー面が形成された金型を用いて多種のテーパーロールを生産すれば、各テーパーロールに応じて多数の金型が必要とされる。しかし、各金型の製造には多大な時間とコストを要するので、多数の種類のテーパーロールを少量生産すると、製造が非効率的になる。また、研磨加工により、テーパーロールを製造すれば、材料ロスが多くなるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、テーパー角度や軸長さ等のサイズや形状の異なるテーパーロールが効率的に製造することが可能なテーパーロールの製造方法、及びテーパーロール製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るテーパーロールの製造方法は、内周面が一端に向かうに従って小径となるように形成された筒形シート状のゴムシート型の内部に、ゴムシート型の軸方向に沿うようにロールシャフトを配置させると共に硬化型樹脂を注入し、硬化させてテーパーロールを得ることを特徴とする。
【0009】
このとき、互いに孔径の異なる孔を有する複数の支持プレートを、複数の孔が同心的にかつ一端側に向かうに従って径が小さくなるように、軸方向に配列させ、複数の支持プレートの各孔内にゴムシート型を挿通し、ゴムシート型を複数の支持プレートに支持させることが好ましい。また、さらに好ましくは、各支持プレートは軸方向に沿って変位可能である。
【0010】
また、例えばゴムシート型の一端は、ロールシャフトが挿通する孔が設けられた遮蔽部材によって遮蔽されると共に、硬化型樹脂はゴムシート型の他端から注入される。
【0011】
本発明に係るテーパーロール製造装置は、内周面が一端に向かうに従って小径となるように形成された筒状シート状のゴムシート型と、ゴムシート型内部にロールシャフトを配置させると共に、ゴムシート型内部に硬化型樹脂を注入可能なようにゴムシート型を支持する支持機構とを備えることを特徴とする。
【0012】
支持機構は、複数の互いに孔径の異なる孔を有する支持プレートを備えることが好ましい。そして、複数の支持プレートは、孔が同心的にかつ一端側に向かうに従って径が小さくなるように、軸方向に配列され、ゴムシート型は、複数の支持プレートの各孔内に挿通され、これら支持プレートに支持される。また、さらに好ましくは各支持プレートは軸方向に沿って変位可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、テーパーロールがゴムシート型によって成型されるので、サイズや形状の異なるテーパーロールが効率的に製造することができる。また、ゴムシート型は、軸方向に変位可能であって、互いに孔径の異なる孔を有する複数の支持プレートによって支持されることにより、サイズや形状が異なっても安定的に支持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下本発明について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るテーパーロール製造装置を示す図である。図2は本発明の一実施形態における成型台を示す図である。
【0015】
テーパーロール製造装置10は、テーパーロールを成型するためのゴムシート型11と、ゴムシート型11及びロールシャフト20を保持するための成型台(支持機構)30を備える。ロールシャフト20はテーパーロールの芯体となる部材である。
【0016】
成型台30は、上部基板31A及び下部基板31Bと、これら基板31A、31Bを接続する第1〜第4の支柱32A〜32Dと、これら第1〜第4の支柱32A〜32Dに保持される第1〜第4の支持プレート33A〜33D、遮蔽プレート(遮蔽部材)38、上部プレート37A、及び下部プレート37Bとを備える。
【0017】
上部基板31Aは、成型台30を立設させるための基台となり、上部基板31Aの下面及び下部基板31Bの上面それぞれは略方形に形成される。第1〜第4の支柱32A〜32Dそれぞれは、下部基板31Bの上面の4隅に固定するとともに、そこから上方に向けて延び、上部基板31Aの下面の4隅に接続される。
【0018】
第1、第2、第3、及び第4の支持プレート33A、33B、33C、33Dは、上方からこの順に第1〜第4の支柱32A〜32Dに支持されている。第1の支持プレート33Aは、対向して設けられる第1及び第2の保持板34A、34Bと、これらの上に固定される接続板34Cを備える。第1及び第2の保持板34A、34B並びに接続板34Cは金属から形成されると共に、矩形板状を呈し、上下方向(鉛直方向)Vに対して垂直に配置される。
【0019】
第1の保持板34Aには、長手方向における両端部近傍それぞれに孔42、42が設けられ、これら孔42、42には、互いに隣接する第1及び第2の支柱32A、32Bが挿通される。第2の保持板34Bにも同様に2つの孔42、42が設けられ、これら孔42、42には、互いに隣接する第3及び第4の支柱32C、32Dが挿通される。第1及び第2の保持板34A、34Bの上面には、これらを跨るように接続板34Cが載せられており、接続板34Cの長手方向における両端部は、それぞれ第1及び第2の保持板34A、34Bの上面に固定されている。接続板34Cの略中央部には、円形を呈する第1の孔36Aが形成されている。
【0020】
第2〜第4の支持プレート33B〜33Dも、第1の支持プレート33Aと同様の構成を有し、接続板34Cの略中央部には、それぞれ円形を呈する第2、第3、第4の孔36B、36C、36Dが形成されている。但し、各孔36A、36B、36C、36Dの孔径は、互いに異なり、下側に向かうに従って小さくなる。すなわち、第1の孔36Aの孔径が最も大きくなり、第4の孔36Dの孔径が最も小さくなる。
【0021】
第4の支持プレート33Dの下側には遮蔽プレート38が配置される。遮蔽プレート38は、第1の支持プレート33Aと同様に、第1及び第2の保持板34A、34Bと、これらの上に固定される接続板34Cから成り、接続板34Cの略中央部には、円形を呈する第5の孔36Eが形成されている。第5の孔36Eの孔径は、第4の孔36Dの孔径よりさらに小さい。第1〜第5の孔36A〜36Eは、同心的に上下方向Vに沿って配置され、上方から見ると、各孔の中心が一致している。
【0022】
遮蔽プレート38の上には、注入成型時のゴムシート型11の下端11Dを遮蔽するとき、そのシール性を向上するために、孔が形成されたシールパッキン41が配置される。シールパッキン41は、例えば、厚さ3〜5mm程度のシート形状を呈し、軟質の弾性物質で形成されることが好ましく、軟質の弾性物質としては軟質ゴム、軟質ゴムスポンジ、軟質シールフォーム、軟質エラストマー等が使用される。シールパッキン41の孔は、その孔内部に配置されるロールシャフト20(下部細径部20F)の外周の径と同一の孔径を有し、第5の孔36Eの上に重なるように配置される。
【0023】
上部プレート37Aは、第1の支持プレート33Aのさらに上側において、対角線上に設けられる第1の支柱32Aから第4の支柱32Dまで延設される。上部プレート37Aの長手方向における両端部近傍それぞれには、孔44、44が設けられ、各孔44、44それぞれには第1及び第4の支柱32A、32Dが挿通されている。下部プレート37Bは、遮蔽プレート38のさらに下側において、対角線上に設けられる第1の支柱32Aから第4の支柱32Dまで延設される。下部プレート37Bの長手方向における両端部それぞれには、孔45、45が設けられ、各孔45、45それぞれには第1及び第4の支柱32A、32Dが挿通されている。
【0024】
第1〜第4の支持プレート33A〜33D、及び遮蔽プレート38それぞれは、これらプレートに設けられた4つの孔42の内部に挿通された第1〜第4の支柱32A〜32Dに沿って、上下方向にスライド変位可能である。また、各プレート33A〜33D、38における、第1及び第2の保持板34A、34Bそれぞれには、第1及び第4の支柱32A、32Dを内部に挿通する管状のストッパー39(図2においては不図示)が設けられ、第1及び第2の保持板34A、34B(すなわち、各プレート33A〜33D、38)はストッパー39によって第1及び第4の支柱32A、32Dに固定可能である。
【0025】
同様に、上部プレート37A及び下部プレート37Bそれぞれは、これらプレートに設けられた2つの孔44(又は45)の内部に挿通された第1及び第4の支柱32A,32Dに沿ってスライド変位可能である。上部プレート37A及び下部プレート37Bそれぞれにも、第1及び第4の支柱32A、32Dに挿通する管状のストッパー39(図2においては不図示)が設けられ、これらはストッパー39によって第1及び第4の支柱32A、32Dに固定可能である。
【0026】
上部プレート37Aの下面の中央部には、上部コックピン43Aが設けられると共に、下部プレート37Bの上面の中央部には、下部コックピン43Bが固定されている。これらコックピン43A、43Bは上方(又は下方)から見ると、第1〜第5の孔36A〜36Eの中心に一致するように配置される。
【0027】
ロールシャフト20は、相対的に径が大きい太径部20Aと、その太径部20Aより径が小さく、太径部20Aの上方端面20B、下方端面20Cそれぞれに接続された上部細径部20E、下部細径部20Fから成る。各細径部20E、20Fの上端面20U及び下端面20Dそれぞれの中心には、上部コックピン43A、下部コックピン43Bが嵌入されるための穴(不図示)が設けられている。太径部20Aの外周面は、後述する液状硬化型樹脂が接着されやすいように適宜前処理が施されている。
【0028】
ゴムシート型11は、内周面12が下端11Dに向かうに従って小径となるようにテーパー面に形成された筒形シート形状を呈し、中空円錐台形に形成される。ゴムシート型11の下端11Dの径は、ロールシャフト20の太径部20Aの径より大きく形成される。ゴムシート型11は、中空円錐台形の展開形状に裁断された軟質ゴムシートの両端部が突き合わし接合されて形成される。ゴムシート型11は、後述するようにテーパーロール26が容易に離型できるように、その厚さが例えば2〜3mmであると共に、そのゴム硬さが例えばHA50〜70°(JIS K 6253)である。
【0029】
次に、成型台30へのゴムシート型11の取付方法について説明する。ロールシャフト20及びゴムシート型11が取り付けられるとき、まず、上部プレート37Aが上方にスライド変位される。次いで、第1〜第4の支持プレート33A〜33D並びに遮蔽プレート38は、適宜上下にスライド変位された後、第1の支持プレート33A及び遮蔽プレート38は、これらの離間距離が、ゴムシート型11の軸X方向の長さより短くなる位置で、第1及び第4の支柱32A、32Dに固定される。また、第2〜第4の支持プレート33B〜33Dも互いに適宜間隔が開けられた位置で固定されている。
【0030】
次に、ゴムシート型11は第1〜第4の孔36A〜36Dの内部をこの順で挿通して、成型台30内部に配置される。その後、第1〜第4の支持プレート33A〜33Dは下方向にスライド変位され、ゴムシート型11は、その外周が第1〜第4の孔36A〜36Dの内周に係合支持されず、前後左右に移動可能な状態にされる。このとき、ゴムシート型11の下端11Dは遮蔽プレート38の接続板34Cの上面に載せられている。
【0031】
次いで、第1の支持プレート34Aは、上方向にスライド変位され、第1の孔36Aの内周が、その孔36Aの内側に配置されたゴムシート型11の外周に係合させられる。そして、その係合した位置で、第1の支持プレート34Aは第1及び第4の支柱32A,32Dに固定される。第2〜第4の支持プレート34B〜34Dも、同様にスライド変位され、その内周がゴムシート型11の外周に係合する位置で、第1及び第4の支柱32A,32Dに固定される。すなわち、各支持プレート34A〜34Dは、各孔36A〜36Dの孔径が、各孔の内側に配置されたゴムシート型11の外周の径と略一致する位置で固定され、これによりゴムシート型11は前後左右に実質的に移動することができない。
【0032】
このように、各第1〜第4の孔36A〜36Dの内周がゴムシート型11の外周に係合することにより、ゴムシート型11は第1〜第4の支持プレート34A〜34Dによって支持される。なお、第1〜第4の支持プレート34A〜34Dは、第1〜第4の孔36A〜36Dが同心的に並べられるように上下方向Vに配列されるので、孔36A〜36Dの内周面に係合されるゴムシート型11は、その軸X方向が上下方向Vに延びる。
【0033】
次いで、遮蔽プレート38は、上方向にスライド変位され、ゴムシート型11の下端11Dが遮蔽プレート38の接続板34Cの上面に、シールパッキン41を介して密着させられる。そして、その密着された状態で、遮蔽プレート38は、第1及び第4の支柱32A、32Dに固定される。
【0034】
なおゴムシート型11が、孔36A〜36Dの内周に係合支持され、かつ下端11Dが遮蔽プレート38に密着されるならば、上記方法と異なる方法で、第1〜第4の支持プレート34A〜34D、及び遮蔽プレート38の固定位置が調整されても良い。
【0035】
次に、ゴムシート型11内部へのロールシャフト20の配置方法について説明する。ロールシャフト20は、ゴムシート型11の上端11Uから、ゴムシート型11の内部に挿入される。このとき、ロールシャフト20の上端部(すなわち、上部細径部20E)は、上端11Uより上側に突出している。また、下部細径部20Fは下端11Dの内側及び遮蔽プレート38の第5の孔36Eを挿通し、ゴムシート型11の下側に突出する。そして、ロールシャフト20(下部細径部20F)の下端面20Dに設けられた穴が、下部コックピン43Bに嵌入される。このとき、下部プレート37Bは適宜上下にスライド変位され、固定位置が調整されても良い。
【0036】
その後、上部プレート37Aは下方向にスライド変位され、上部プレート37Aに設けられた上部コックピン43Aは、ロールシャフト20(上部細径部20E)の上端面20Uに設けられた穴に嵌入される。これにより、ロールシャフト20は、上部コックピン43A及び下部コックピン43Bによって固定支持される。
【0037】
上部コックピン43A、下部コックピン43Bは上方から見ると、重ねられて設けられる。したがって、上部コックピン43A、下部コックピン43Bに両端が固定支持されるロールシャフト20の軸X’方向は上下方向Vに延びる。また、上部コックピン43A、下部コックピン43Bの中心は、上述したように上方又は下方から見ると、各孔35A〜35Eの中心に一致している。したがって、ロールシャフト20の軸X’は、ゴムシート型11の軸Xに一致する。
【0038】
なお、このとき、ロールシャフト20の太径部20Aの下方端面20Cは遮蔽プレート38の上面にシールパッキン41を介して密着されていると共に、下部細径部20Fの外周にシールパッキン41の孔の内周が密着されている。また、上述したように、ゴムシート型11(下端11D)は、遮蔽プレート38に密着されている。すなわち、ゴムシート型11の下端11D側は、遮蔽プレート38で遮蔽されると共に、シールパッキン41によりシールされている。
【0039】
ロールシャフト20が取り付けられた後、液体硬化型樹脂25がゴムシート型11の内部に上端11Uから注入され、液体硬化型樹脂25はゴムシート型11の下端11Dから上端11Uの近傍まで充填される。なお、ゴムシート型11の下端11D側は、シールパッキン41によりシールされており、注入された液体硬化型樹脂25は下端11D側から漏れることはない。
【0040】
液体硬化型樹脂としては、例えばウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和ビニール樹脂、エポキシ樹脂等であって、常温で反応硬化する樹脂、又は加熱して反応硬化する樹脂が使用可能であるが、常温で反応硬化する樹脂が好適に使用される。液体硬化型樹脂がウレタン樹脂である場合、1液反応型、2液反応型いずれも使用することが可能であるが、2液反応型であることが好ましく、例えばウレア反応発泡系の樹脂が使用される。
【0041】
充填された液体硬化型樹脂25は、常温で、又は場合によっては加熱されることにより硬化される。液体硬化型樹脂25は硬化され、外周面がテーパー面に形成された筒状の樹脂硬化物25’と成り、その内周側に挿入されたロールシャフト20に接着して一体化され、テーパーロール26(図3参照)として成型される。
【0042】
その後、上部プレート37は上方向にスライド変位された後、テーパーロール26は、ゴムシート型11と共に、第1〜第5の孔36A〜36Eから抜き取られ、成型台30から取り外される。
【0043】
図3に示すように、成型台30から取り外されたテーパーロール26は、ゴムシート型11から離型される。具体的には、ゴムシート型11は、その上端11Uの全周が外側に折り曲げ捲られ、下方に引き下ろされ、これによりテーパーロール26がゴムシート型11から離型される。離型後、テーパーロール26は、所定温度で所定時間加熱されることにより2次反応が行われ、その後適宜外周が研磨される。なお、ゴムシート型11は離型後、表裏が反対にされているが、次回成型時、表裏が反対にされたまま使用することもできる。また、ゴムシート型11は薄厚であるので、テーパーロール26はゴムシート型11から容易に離型することができる。
【0044】
研磨後、テーパーロール26の外周面には、その全体又は一部に、シート状の表面材が適宜被覆されていても良いし、又は合成樹脂層が表面材として被膜されていても良い。表面材がシート状である場合、例えば表面材シートがテーパーロールの外周面に沿った展開形状に裁断され、その裁断された表面材シートがテーパーロールの外周に接着剤等によって接着される。また、表面材が合成樹脂層である場合、合成樹脂が塗布されて1層以上の合成樹脂層が被膜される。なお、表面材シート又は合成樹脂層が被覆又は被膜される前には、プライマーが塗布されていたほうが良い。
【0045】
以上のように本実施形態では、テーパーロールが金型に比べて製造が容易でかつ繰り返し使用可能なゴムシート型11によって成型されるので、サイズ及び形状の異なるテーパーロールを簡単に製造することができる。また、各支持プレート33A〜33Dは、ゴムシート型11の軸X方向(上下方向)にスライド変位可能であるので、成型台30はサイズ及び形状の異なる複数種類のゴムシート型11を安定的に支持することができる。
【0046】
本実施形態では、ゴムシート型11の軸X及びロールシャフト20の軸X’は上下方向(鉛直方向)Vに一致するが、上下方向に対して傾いていても良い。また、本実施形態では、支持プレートは4枚設けられたが、その枚数は限定されるわけではなく、2枚以上あれば良い。
【0047】
また、本実施形態では、ロールシャフト20は、相対的に径が太い太径部と相対的に径が細い細径部から成るが、ロールシャフト20の径は一端から多端にわたって一定であってもよい。この場合も、ロールシャフトの端部の周りにはシールパッキン41に密着されるので、ゴムシート型11の下端11Dにおいて、ロールシャフト20の外周面と遮蔽プレート38の間から液体硬化型樹脂25が漏れることはない。
【実施例】
【0048】
以下、本発明について実施例を用いて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるわけではない。
【0049】
[実施例1]
実施例1では、ゴム厚み2mm、ゴム硬さHA60°(JIS K 6253)のEPDMゴムシートを、中空円錐台形の展開形状に裁断した後、両端を接着することにより、中空円錐台形のゴムシート型を得た。ゴムシート型は、最大内径109.7mm、最小内径51.80mm、軸方向における高さ542mm、テーパー角度3.06°であった。なお、テーパー角度とは、ゴムシート型の軸に沿った縦断面における、軸に対する内周面の傾きをいう。
【0050】
成型台には、支持プレートが5枚設けられ、各プレートに設けられた孔の孔径は105、94、85、73、54mmであった。また、遮蔽部材としては遮蔽プレートが使用され、そのプレートに形成された孔の孔径は25.8mmであった。遮蔽プレートの上には、シールパッキンとして厚さ3mm、硬さC15°(JIS S 6050)の軟質ゴムスポンジシートが貼り付けられていた。
【0051】
ロールシャフトは、一端から他端まで同一の径を有するシャフトであって、シャフト外径は25mm、シャフト長は668mmであった。シャフト表面は、研磨清掃処理後に脱脂された後、プライマーとしてシランカップリング剤が塗布され80℃で20分間熱乾燥された。その後シャフト表面にはウレタン接着剤が塗布され乾燥された。
【0052】
上述した実施形態の方法に倣い、ゴムシート型及びロールシャフトが成型台に取り付けられた後、ゴムシート型の内部に、液体硬化型樹脂が充填された。液体硬化型樹脂としては、2液型のウレタン樹脂が使用され、ポリメリックMDIを主成分とするイソシアネートと、PEG(ポリエチレングリコール)を主成分とするポリオールが使用された。この樹脂はウレア反応発泡系であって、その硬化物は、発泡倍率2.1、密度0.47g/cm3、硬さC78°(JIS S 6050)であった。液体硬化型樹脂の充填においては、イソシアネートとポリオールが混合され、この混合物100gがゴムシート型の内部に注入充填され、20℃で30分間初期硬化された。その後、同様にイソシアネートとポリオールが混合され、その混合物1045gがゴムシート型の内部に注入充填され、20℃で60分間硬化された。これら硬化により、ゴムシート型の内部には、ロールシャフトと樹脂硬化物とが一体して成型されたテーパーロールが得られた。
【0053】
硬化終了後、上部プレートが上方にスライド移動されると共に、テーパーロールがゴムシート型と共に、成型台から取り外された。テーパーロールは、ゴムシート型の上端全周が外側に折り曲げられて捲られることにより、ゴムシート型から離型され、その後テーパーロールは80℃で3時間加熱され、二次反応が行われた。二次反応後のテーパーロールは最大径が105.5mm、最小径が51.0mmであり、樹脂硬化物の軸方向における高さは487mmであった。
【0054】
二次反応後、テーパーロールの外周は研磨され、テーパーロールは最大径が99.9mm、最小径が47.8mmとされ、樹脂硬化物の軸方向における高さは487mmであった。テーパーロールは、カーブコンベヤのテーパープーリとして試験運転させたが、問題が発生しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態におけるテーパーロール製造装置を示す側面図であって、ゴムシート型及びその内部を断面的に示した図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるテーパーロール製造装置の成型台を示す斜視図である。
【図3】テーパーロールの離型方法を示すための断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 テーパーロール製造装置
11 ゴムシート型
20 ロールシャフト
25 液体硬化型樹脂
26 テーパーロール
30 成型台
33A〜33D 第1〜第4の支持プレート
36A〜36D 第1〜第4の孔
38 遮光プレート(遮光部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周面が一端に向かうに従って小径となるように形成された筒形シート状のゴムシート型の内部に、前記ゴムシート型の軸方向に沿うようにロールシャフトを配置させると共に硬化型樹脂を注入し、硬化させてテーパーロールを得るテーパーロールの製造方法。
【請求項2】
互いに孔径の異なる孔を有する複数の支持プレートを、前記複数の孔が同心的にかつ前記一端側に向かうに従って径が小さくなるように、前記軸方向に配列させ、前記複数の支持プレートの各孔内に前記ゴムシート型を挿通し、前記ゴムシート型を前記複数の支持プレートに支持させることを特徴とする請求項1に記載のテーパーロールの製造方法。
【請求項3】
前記各支持プレートは前記軸方向に沿って変位可能であることを特徴とする請求項2に記載のテーパーロールの製造方法。
【請求項4】
前記ゴムシート型の一端は、前記ロールシャフトが挿通する孔が設けられた遮蔽部材によって遮蔽されると共に、前記硬化型樹脂は前記ゴムシート型の他端から注入されることを特徴とする請求項1に記載のテーパーロールの製造方法。
【請求項5】
内周面が一端に向かうに従って小径となるように形成された筒状シート状のゴムシート型と、
前記ゴムシート型内部にロールシャフトを配置させると共に、前記ゴムシート型内部に硬化型樹脂を注入可能なように前記ゴムシート型を支持する支持機構と
を備えることを特徴とするテーパーロール製造装置。
【請求項6】
前記支持機構は、複数の互いに孔径の異なる孔を有する支持プレートを備え、
前記複数の支持プレートは、前記孔が同心的にかつ前記一端側に向かうに従って径が小さくなるように、前記軸方向に配列され、
前記ゴムシート型は、前記複数の支持プレートの各孔内に挿通され、これら支持プレートに支持されることを特徴とする請求項5に記載のテーパーロール製造装置。
【請求項7】
前記各支持プレートは前記軸方向に沿って変位可能であることを特徴とする請求項6に記載のテーパーロール製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−80671(P2008−80671A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263798(P2006−263798)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【出願人】(393024603)旭化工株式会社 (12)
【Fターム(参考)】