説明

テープ残量検知装置

【課題】 煩雑な調整作業などを要することなく、供給側リールのテープ終端位置を正確に検知できるようにする。
【解決手段】 供給側リール101に巻回されている電気絶縁性テープSのテープ残量を検知するテープ残量検知装置において、供給側リール101の巻芯101aの少なくとも外周面を導電性とするとともに、供給側リール101の巻芯101a上に存在する電気絶縁性テープSに対して電流検知器104から所定の電圧が印加される検査電極103を接触させ、電気絶縁性テープSの終端Seが検査電極103から外れて、検査電極103が上記巻芯101に接触し、その間に電流が流れることをもって電気絶縁性テープSの終端Seを検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給側リールからテープを送り出して使用する際に、その供給側リールのテープ残量を検知するテープ残量検知装置に関し、さらに詳しく言えば、供給側リールのテープ終端を正確に検知できるテープ残量検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの場合、長尺のテープはリールに巻回された状態で取り扱われるが、1リールあたりのテープ長は有限であるため、供給側リールからテープを自動的に送り出すテープ自動供給装置などにおいては、供給側リールの交換時期を知るうえでそのテープ残量を自動的に検知するようにしている。
【0003】
その一例として、図5に液晶パネルの端子部に異方性導電フィルム(ACF;Anisotropic Conductive tape)を介してフレキシブル基板を接続するACF接続装置に採用されているテープ自動供給装置を模式的に示す。
【0004】
ACF接続装置では、液晶パネルPの端子部P1上に異方性導電フィルムAを介して液晶駆動用フレキシブル基板FKを重ねて、その上からヒーターバーと呼ばれる加熱圧着ヘッドHを押し当てることにより、端子部P1とフレキシブル基板FKとを電気的・機械的に接続するが、その場合、接続部を熱破壊や機械的摩擦から保護するとともに圧力の均一化を図るため、加熱圧着ヘッドHのヘッド面に例えばシリコーンゴムを主材とする緩衝テープSを配置するようにしている。
【0005】
緩衝テープSは加熱・加圧が繰り返されると初期の緩衝特性が失われるため、あらかじめ設定された使用回数ごとに交換する必要がある。これを自動的に行うため、上記ACF接続装置では、テープ自動供給装置1によって緩衝テープSを所定量ずつ加熱圧着ヘッドHのヘッド面に繰り出すようにしている。
【0006】
そのため、このテープ自動供給装置1は、加熱圧着ヘッドHを挟んでその両側に配置される供給側リール2と巻取側リール3とを備え、供給側リール2に巻回されている緩衝テープSが加熱圧着ヘッドHのヘッド面の下方を通って巻取側リール3に掛け渡され、加熱圧着ヘッドHが何回か使用されるたびに所定量ずつ巻取側リール3に巻き取られる。
【0007】
この巻き取りは、図示しない駆動モータにて巻取側リール3を回転させることにより行われ、これに伴って供給側リール2のテープ残量が減っていく。この供給側リール2のテープ残量を検知するため、従来では、例えば特許文献1に記載されている赤外線距離センサの技術を利用してテープ残量を自動的に検知するようにしている。
【0008】
すなわち、供給側リール2の近傍に発光素子と受光素子とを含む赤外線距離センサ4を配置し、その発光素子から供給側リール2に向けて赤外線を照射し、その反射光を受光素子で受光して照射から受光までの時間を計測することにより、供給側リール2に巻回されている緩衝テープSの巻径を監視し、その巻径が所定値以下となった時点で例えばブザーなどの報知手段によって供給側リール2の交換を促すようにしている。
【0009】
【特許文献1】特開平10−24604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、テープの残量検知を赤外線距離センサ4によって行う場合、赤外線距離センサ4の取付位置などの調整に難がある。すなわち、供給側リール2の巻芯の径が異なる場合には、供給側リール2を交換するたびに、赤外線距離センサ4の取付位置を調整するか、残量判定基準の閾値時間などを再設定する必要がある。
【0011】
また、非接触検知であるため誤差が生じやすく、供給側リール2に緩衝テープSが例えば1〜2巻分残っている状態で交換警報が出されることがある。その場合、作業者は緩衝テープSが供給側リール2から完全になくなるまで待たなければならず、その待ち時間が作業効率の低下を招くことになる。
【0012】
したがって、本発明の課題は、供給側リールから自動的にテープを送り出す際に、供給側リールのテープ終端位置を正確に検知することができるテープ残量検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、供給側リールに巻回されている電気絶縁性テープのテープ残量を検知するテープ残量検知装置において、上記供給側リールの巻芯の少なくとも外周面を導電性とするとともに、上記供給側リールの上記巻芯上に存在する上記電気絶縁性テープに対して接触し、上記電気絶縁性テープの終端から外れた時点で上記巻芯の外周面に接触する検査電極と、上記巻芯の外周面と上記検査電極との電気的導通状態を検出してリール交換信号を出力する検知器とを備えていることを特徴としている。
【0014】
また、上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、供給側リールに巻回されている導電性テープのテープ残量を検知するテープ残量検知装置において、上記供給側リールの巻芯の少なくとも外周面を電気絶縁性とするとともに、上記導電性テープに接触する第1および第2の検査電極と、上記各検査電極間の非導通状態を検出してリール交換信号を出力する検知器とを備え、上記第1および第2の検査電極のうちの少なくとも一方の検査電極が、上記供給側リールの上記巻芯上に存在する上記導電性テープに接触するように配置され、上記導電性テープの終端から外れた時点で上記巻芯の外周面に接触することを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明は、上記請求項2において、上記第1および第2の検査電極がともに、上記供給側リールの上記巻芯上に存在する上記導電性テープに接触するように配置され、上記導電性テープの終端から外れた時点で上記巻芯の外周面に接触することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、検知対象のテープが電気絶縁性テープであるため、供給側リールにテープが残っている場合には、検査電極と巻芯の外周面とは電気的に絶縁されているが、テープ残量が少なくなって検査電極がそのテープ終端から外れた時点で検査電極と巻芯の外周面とが電気的に導通し、検知器よりリール交換信号が出力されるため、供給側リールのテープ終端位置を正確に検知することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、検知対象のテープが導電性テープであるため、供給側リールにテープが残っている場合には、その導電性テープを介して第1および第2の検査電極間が導通状態に保たれるが、テープ残量が少なくなって少なくとも一方の検査電極がそのテープ終端から外れた時点でその検査電極が巻芯の外周面に接触して第1および第2の検査電極間が非導通状態となり、検知器よりリール交換信号が出力されるため、上記請求項1と同じく供給側リールのテープ終端位置を正確に検知することができる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、第1および第2の検査電極をともに供給側リールの巻芯上に存在する導電性テープに接触するように配置したことにより、導電性テープ,巻芯のいずれに対しても安定した接触状態が得られ、また、各検査電極のセッティングも容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、図1ないし図4により本発明の実施形態について説明する。このうち、図1,図2は請求項1に対応する第1実施形態の説明図で、図3,図4は請求項2に対応する第2実施形態の説明図である。
【0020】
まず、図1,図2により第1実施形態について説明するが、図1には上記従来例と同様に液晶パネルの端子部とフレキシブル基板との接続に用いられるACF接続装置に組み込まれるテープ残量検知装置とした場合の例が示されている。
【0021】
このテープ残量検知装置100は、加熱圧着ヘッドHの両側に配置される供給側リール101と巻取側リール102とを備え、供給側リール101の巻芯101aには、電気絶縁性の緩衝テープSが巻回されている。
【0022】
この緩衝テープSは、上記従来例と同様に、液晶パネルPの端子部P1とフレキシブル基板FKとが異方性導電フィルムAを介して接続される際に、圧着ヘッドHとフレキシブル基板FKとの間に配置され、その所定量ずつが供給側リール101から繰り出さるとともに巻取側リール102に巻き取られる。
【0023】
この第1実施形態において、供給側リール101の巻芯101aの少なくとも外周面は導電性とされる。そのため、この例では巻芯101aはその全体が金属材により形成されているが、例えば合成樹脂製の円筒体もしくは円柱体に金属箔などを巻き付けて、その外周面を導電性としてもよい。
【0024】
また、供給側リール101に巻回されている緩衝テープS上に接触するように検査電極103が設けられる。検査電極103は板バネ材であって、適度な押圧力をもって緩衝テープSに接触することが好ましい。
【0025】
図2に示すように、検査電極103は電流検知器104に接続され、電流検知器104より所定の電圧が印加される。印加電圧は直流,交流のいずれであってもよい。これに対して、供給側リール101の巻芯101aはグランド(接地)105に接続される。
【0026】
この構成によれば、供給側リール101の巻芯101aに緩衝テープSが残されているときには、検査電極103と巻芯101aは緩衝テープSにより電気的に絶縁され、その間に電流は流れない。
【0027】
これに対して、緩衝テープSの残量が少なくなって、図2に示すように、緩衝テープSの終端Seが検査電極103から外れると、検査電極103が導電性の巻芯101aに接触し、その間に電流が流れる。
【0028】
電流検知器104は、この導通状態を検知してフザーBZを駆動して緩衝テープSがなくなったことを意味する交換警報を出す。なお、フザーBZに代えて警報ランプを点灯させてもよく、その報知手段は任意に選択されてよい。
【0029】
次に、図3,図4により請求項2に対応する第2実施形態について説明する。この第2実施形態に係るテープ残量検知装置200おいて、残量検知の対象となるテープは導電性テープCである。
【0030】
この例で導電性テープCは、例えば液晶パネルの端子部(例えば図1参照)に形成されているリード電極間を導通し、パネル内の透明電極に帯電している静電気を放電するために、上記端子部に貼着されるテープである。
【0031】
通常、この種の導電性テープCは片面粘着テープで、その粘着面には剥離紙が添着されており、巻取側リールには剥離紙のみが巻き取られるが、本発明において巻取側リールは要部でないため、図3,図4には供給側リール201のみを示す。
【0032】
この第2実施形態において、供給側リール201の巻芯201aの少なくとも外周面は上記第1実施形態とは逆に電気絶縁性とされる。そのため、この例では巻芯201aはその全体が合成樹脂などの電気絶縁材により形成されているが、例えば金属製の円筒体もしくは円柱体に合成樹脂からなる熱収縮性のチューブを被せて、その外周面を電気絶縁性としてもよい。
【0033】
この供給側リール201の巻芯201aに導電性テープCが巻回されるが、その残量検知のため、2つの検査電極202,203が用いられる。検査電極202,203は、上記第1実施形態における検査電極103と同じくは板バネ材であって、適度な押圧力をもって導電性テープCに接触することが好ましい。
【0034】
この第2実施形態において、少なくとも一方の検査電極は供給側リール201に巻回されている導電性テープC上に接触するように配置され、他方の検査電極については例えば供給側リール201から引き出されている導電性テープCに接触するように配置されてよいが、接触の確実性と検査電極のセッティングの容易性の観点から、図3,図4に示すように、検査電極202,203はともに、供給側リール201に巻回されている導電性テープC上に接触するように配置されることが好ましい。
【0035】
検査電極202,203は電流検出器204に接続され、その間に所定の電圧が印加される。この例においても、印加電圧は直流,交流のいずれであってもよい。供給側リール201に導電性テープCが残されている図3の状態では、検査電極202,203は導電性テープCにて導通しているため、その間に電流が流れる。
【0036】
これに対して、図示しない送り出しローラにて供給側リール201から導電性テープCが液晶パネルの端子部に供給され導電性テープCの残量が少なくなって、図4に示すように、導電性テープCの終端Ceが検査電極202,203の少なくともいずれか一方から外れた時点で、検査電極202,203間が非導通となり電流が遮断される。電流検知器204は、この非導通状態を検知してフザーBZを駆動して交換警報を出す。
【0037】
上記各実施形態の説明から明らかなように、本発明によれば、上記従来例の赤外線距離センサによるテープ残量検知装置のような複雑な調整作業を必要とすることなく、供給側リール上においてテープ終端を確実に検知することができるため、誤報知による作業中断など作業の煩雑さが回避され、作業効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上、残量検知の対象であるテープとして、液晶パネルの製造工程で用いられる電気絶縁性の緩衝テープSと導電性テープCを例にして本発明を説明したが、本発明はこれらのテープに限定されるものではなく、例えばコンデンサ用の電極箔やセパレータ紙などの残量検知にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態に係るテープ残量検知装置を示す模式図。
【図2】上記第1実施形態の検出回路の構成を示す模式図。
【図3】本発明の第2実施形態に係るテープ残量検知装置の要部を示す模式図。
【図4】上記第2実施形態でテープ終端の検知状態を示す模式図。
【図5】従来例を模式的に示す説明図。
【符号の説明】
【0040】
100,200 テープ残量検知装置
101,201 供給側リール
101a,201a 巻芯
102 巻取側リール
103,202,203 検査電極
104,204 電流検知器
S 緩衝テープ
C 導電性テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給側リールに巻回されている電気絶縁性テープのテープ残量を検知するテープ残量検知装置において、
上記供給側リールの巻芯の少なくとも外周面を導電性とするとともに、上記供給側リールの上記巻芯上に存在する上記電気絶縁性テープに対して接触し、上記電気絶縁性テープの終端から外れた時点で上記巻芯の外周面に接触する検査電極と、上記巻芯の外周面と上記検査電極との電気的導通状態を検出してリール交換信号を出力する検知器とを備えていることを特徴とするテープ残量検知装置。
【請求項2】
供給側リールに巻回されている導電性テープのテープ残量を検知するテープ残量検知装置において、
上記供給側リールの巻芯の少なくとも外周面を電気絶縁性とするとともに、上記導電性テープに接触する第1および第2の検査電極と、上記各検査電極間の非導通状態を検出してリール交換信号を出力する検知器とを備え、上記第1および第2の検査電極のうちの少なくとも一方の検査電極が、上記供給側リールの上記巻芯上に存在する上記導電性テープに接触するように配置され、上記導電性テープの終端から外れた時点で上記巻芯の外周面に接触することを特徴とするテープ残量検知装置。
【請求項3】
上記第1および第2の検査電極がともに、上記供給側リールの上記巻芯上に存在する上記導電性テープに接触するように配置され、上記導電性テープの終端から外れた時点で上記巻芯の外周面に接触することを特徴とする請求項2に記載のテープ残量検知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−98273(P2006−98273A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286011(P2004−286011)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】