説明

テールパイプ照明装置

【課題】排気ガスの熱を熱電変換する熱電変換モジュールを電源として用いて、電気配線を不要とするとともに簡単な構造で熱発電効率に優れ、かつ耐久性に優れたテールパイプ照明装置を提供する。
【解決手段】本発明のテールパイプ照明装置10は、テールパイプ20からの排気ガスが流入して吸熱用ヒートシンク12に導出されるダクト部11と、ダクト部11内に流入した排気ガスの熱を吸熱する吸熱フィン12bを有する吸熱用ヒートシンク12と、吸熱用ヒートシンク12に対向するように配置された放熱用ヒートシンク13と、これらのヒートシンク12,13との間に挟持された熱電変換モジュール14と、熱電変換モジュール14にて生成された電圧を変換するDC/DCコンバータや保護回路を有する電気回路部16と、電気回路部16からの出力により点灯するLEDを有する照明部17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車やオートバイなどの車両やボートなどの船舶等に用いられるエンジンからの排気ガスを排出するテールパイプをLEDで電飾するテールパイプ照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車やオートバイなどの車両あるいはボートなどの船舶において、明るい昼間や悪天候時に当該車両(あるいは船舶)が存在することを後方に位置する車両(あるいは船舶)に認識させたり、あるいは当該車両(あるいは船舶)を装飾するためにLEDで電飾することが行われるようになった。例えば、特許文献1(実開平6−20145号公報)においては、自動車の排気ガスの排出口の所在と、その排出口からの排気ガスの放出を周囲にアピールするために、イルミネーション付きテールパイプフィニッシャーを設けることが提案されるようになった。この場合、テールパイプフィニッシャーの外周面に筒状の透光性素材を嵌合させ、その透光性素材の一端に発光ダイオードなどの光源を付設してイルミネーション機能を奏するようにしたものである。
【0003】
また、マフラーの排気管外周に空間部を形成すべく直接または間接的に排気管に装着させ、排気管の自由端側後方から見たとき排気管の排気口外周を発光させるとともに、排気ガスを照明する発光体を空間部に内蔵させた筒体を備えるようにしたものが、特許文献2(特開2000−159005号公報)にて提案されるようになった。この特許文献2にて提案された排気口照明装置においては、昼間時はむろんのこと、夜間においても視覚感を高め、歩行者や後方に位置する車両にも十分アピールするファッション性を高めることが可能となる。
【0004】
この場合、上述した特許文献1にて示されるようなイルミネーション付きテールパイプフィニッシャーや、特許文献2にて示されるような排気口照明装置においては、光源用の電源は内蔵されていない。このため、車両本体に配設されたバッテリーに接続ケーブルを分岐して上述した照明装置などに電気配線する必要がある。そして、このような電気配線を設けることにおいては、電気配線作業が面倒であるとともに、電気配線が車外に露出するため、電気配線が切れやすく、故障の原因にもなるという新たな問題が生じた。
【0005】
一方、排気ガスの熱を熱電変換モジュールで電気エネルギーに変換する排熱発電装置は、例えば、特許文献3(特許第3637365号公報)にて提案されている。そこで、上述した特許文献1にて示されるようなイルミネーション付きテールパイプフィニッシャーや、特許文献2にて示されるような排気口照明装置の電源として、特許文献3にて提案された排熱発電装置を適用すれば、車両本体に配設されたバッテリーに接続ケーブルを配線する配線作業が必要でなくなるとともに、電気配線が車外に露出しないために電気配線が切れて故障が生じるという問題も解消できるようになる。
【特許文献1】実開平6−20145号公報
【特許文献2】特開2000−159005号公報
【特許文献3】特許第3637365号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献3にて示されるような排熱発電装置40にあっては、図8(a)(b)(なお、図8(b)は図8(a)のA−A断面を示している)に示すように、高温熱媒体としてのエンジンからの排気ガスを通す内管41と、この内管41を取り囲む外殻42と、この外殻42に保持される放熱部材(放熱ヒートシンク)43と、放熱ヒートシンク43と内管41とに挾持される熱電変換モジュール44などを備えている。ここで、放熱ヒートシンク43は、熱電変換モジュール44の低温源の役割をなすものであり、上下方向に突出する複数の冷却フィン43aと、これら冷却フィン43aの付け根部において水平方向に延在する扁平部43bと、この扁平部43bの外周部において縁取り形成された段差部43cとから構成されている。
【0007】
この場合、上述した特許文献3にて示されるような排熱発電装置40にあっては、放熱ヒートシンク43の冷却フィン43aは車両の進行方向と平行になる方向に向いている。このため、車両の走行中に放熱ヒートシンク43の冷却フィン43aが受ける外気は冷却フィン43aの配置方向に平行な方向となって、冷却フィン43aの配置方向に垂直に外気が吹き付けられる場合よりも放熱能力は小さくなるという問題が生じた。また、熱電変換モジュール44の高温側に走行中の外気が吹き付けて熱が放散されるのを防止するために、防風カバー(図示せず)を設ける必要があって、構造が複雑になるという問題も生じた。また、排気ガスの温度を考慮することなく、排気ガスの熱を吸熱する構造であるため、排気ガスが高温になった場合に熱電変換モジュール44が破壊される恐れも生じた。
【0008】
そこで、本発明は上記の如き問題点を解決するためになされたものであって、テールパイプを電飾するLEDの電源として排気ガスの熱を熱電変換モジュールで電気エネルギーに変換された電力を用いるようにして、電気配線を不要にするとともに簡単な構造で熱電変換効率に優れ、かつ耐久性に優れたテールパイプ照明装置が提供できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、排気ガスを排出するテールパイプをLEDで電飾するテールパイプ照明装置であって、テールパイプからの排気ガスが流入するとともに流入した排気ガスが吸熱用ヒートシンクに導出されるように形成されたダクト部と、ダクト部内に配設されて当該ダクト部内に流入した排気ガスの熱を吸熱する吸熱フィンを有する吸熱用ヒートシンクと、吸熱用ヒートシンクに対向するように配置された放熱フィンを有する放熱用ヒートシンクと、吸熱用ヒートシンクと放熱用ヒートシンクとの間に挟持された熱電変換モジュールと、熱電変換モジュールにて生成された電圧を変換するDC/DCコンバータや保護回路を有する電気回路部と、電気回路部からの出力により点灯するLEDを有する照明部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
このような構成により、熱電変換モジュールにて生成された電圧は電気回路部で変換されて、その出力によりLEDは点灯されることとなるので、電気配線が困難なテールパイプを簡単かつ容易にLEDで電飾することが可能となる。この場合、ダクト部内に配置された吸熱用ヒートシンクからの吸熱および放熱用ヒートシンクからの放熱により熱電変換モジュールは効率よく電力を生成することが可能となる。そして、生成された電力を用いてLEDを点灯さるため、車両などに付属したバッテリーに接続されたケーブルを分岐して電力を取り出す必要がなくなる。
これにより、複雑な電気配線を行うことなく後付(新車の購入時ばかりでなく、購入後)であっても、テールパイプをLEDで簡単かつ容易に電飾することが可能となる。また、車両などに付属したバッテリーの電力消費を減少させることができるようになるため、エコエネルギー化も達成できるようになる。
【0011】
この場合、ダクト部から所定の間隔を隔てて当該ダクト部を覆うカバーが配置されていると、ダクト部に手などが直接接触することが防止でき、火傷などの発生を未然に防止することができるようになる。また、カバーとダクト部との間に空間部を生じることとなるので、生じた空間部に電気回路部などを配置することが可能となる。さらに、カバーとダクト部との間に生じた空間部(空気層)による断熱効果により、ダクト部外に放散する熱をさらに減少させることが可能となるので、さらに効率よく熱電変換を行うことができるようになる。
【0012】
また、ダクト部は金属部材で形成されてその内側あるいは外側の少なくとも一方が高耐熱性樹脂シートで被覆されているか、あるいはその全部が高耐熱性樹脂シートで形成されていると、排気ガスの熱をダクト部の外に逃すことなく吸熱フィンに吹き付けることができるようになる。これにより、効率よく熱電変換を行うことができるようになる。また、電気回路部は高耐熱性樹脂シートで被覆されていると、高温から電気回路部を保護することができるようになる。
【0013】
この場合、高耐熱性樹脂シートとしては、ポリイミドシート、ポリエーテルイミドシート、ポリエーテルサルホンシートのいずれから選択して用いるのが望ましい。
また、ダクト部内にバイメタルあるいは形状記憶合金からなる流量切替機構を設けるようにすると、この流量切替機構により排気ガスが高温(例えば、300℃以上)になると、この高温の排気ガスをダクト部外に排出できるようになり、熱電変換モジュールが高温になって破壊されることが防止できるようになる。
【0014】
ここで、ダクト部はテールパイプから排出された排気ガスが流入する開口部と、該排気ガスが進行方向に対して垂直となるように形成された流通路とを備え、吸熱フィンに対して排気ガスが垂直に当たるように流通路内に当該吸熱フィンが配置され、放熱フィンに対して外気が平行に当たるように当該放熱フィンが配置されているとともに、吸熱フィンが進行方向に対して後方となり、放熱フィンが進行方向に対して前方となるように配置されているのが望ましい。これにより、放熱用ヒートシンクが進行方向の前方からくる外気の防風壁となるので、熱電変換モジュールの吸熱側(高温側)に外気が当たって熱が逃げることがなくなり、効率よく熱電変換を行わせることが可能となる。また、進行方向の前方からくる外気が放熱用ヒートシンクのベースプレート(図1(a)(c)参照)に垂直に吹き付けられることとなるので、高い放熱能力が得られることとなる。
【0015】
また、ダクト部はテールパイプから排出された排気ガスが流入する第1流通路と、外気が流入する第2流通路とを備え、第1流通路内に排気ガスが吸熱フィンに対して垂直に当たるように当該吸熱フィンが配置されており、第2流通路内に外気が放熱フィンに対して垂直に当たるように当該放熱フィンが配置されているとともに、吸熱フィンと放熱フィンとが進行方向に対して同位置となるように配置されるようにしてもよい。この場合は、外気が放熱フィンに対して垂直に当たるように第2流通路内に放熱フィンが配置されているので、放熱能力が低下して、熱電変換効率も若干低下することとなるが、構造が簡単なために、製造が容易によって、安価なテールパイプ照明装置が得られる。
【0016】
なお、電気回路部からの出力を外部ディバイスに供給するためのコネクタを備えるようにすると、このようなコネクタに照明付きナンバープレートフレームやサブバッテリーなどの外部ディバイスに接続されたケーブルを接続することにより、熱電変換モジュールを照明付きナンバープレートフレームやサブバッテリーなどの外部ディバイスの電源として用いることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のテールパイプ照明装置においては、熱電変換モジュールで排気ガスの熱を熱電変換して得られる電力を照明装置に供給するため、バッテリーに接続されたケーブルを分岐して電力を取り出す必要がなくなる。このため、熱電変換モジュール部と照明部とを一体型にするだけで、即ち、テールパイプに本体を取り付けるだけで電気配線を外部に露出することなく照明装置を点灯することが可能となる。これにより、意匠性に優れ、かつ周囲からの視認性が高って事故防止に役立つテールパイプ照明装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明のテールパイプ照明装置を自動車のテールパイプに適用する一実施の形態について説明するが、本発明はこの実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の目的を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。なお、図1は実施例1のテールパイプ照明装置を模式的に示す図であり、図1(a)はテールパイプ照明装置の横断面を模式的に示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面(縦断面)を模式的に示す断面図であり、図1(c)は、図1(a)のB−B断面(縦断面)を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す熱電変換モジュールの要部を模式的に示す断面図である。図3は、図1に示す実施例1のテールパイプ照明装置をテールパイプ側から見た側面および一部破断の側面を示す側面図である。図4は、図1に示す実施例1のテールパイプ照明装置に流量切替機構を設けた状態を模式的に示す断面図である。
【0019】
1.実施例1
本実施例1のテールパイプ照明装置10は、テールパイプ20に取り付けられるダクト部11と、このダクト部11内に配設された吸熱用ヒートシンク12と、吸熱用ヒートシンク12に対向するように配置された放熱用ヒートシンク13と、吸熱用ヒートシンク12と放熱用ヒートシンク13との間に挟持された熱電変換モジュール14と、ダクト部11を囲うように配設されたカバー15とを備えている。また、ダクト部11とカバー15との間の空間部には、熱電変換モジュール14にて生成された電圧を変換するDC/DCコンバータや保護回路を有する電気回路部16と、電気回路部16からの出力により点灯するLEDを有する照明部17とを備えている。
【0020】
ここで、ダクト部11は、テールパイプ20から排出された排気ガスが流入する開口部11aと、この排気ガスの進行方向が自動車の進行方向に対して垂直方向となるような流通路11bとを備えている。そして、吸熱用ヒートシンク12の吸熱フィン12bが排気ガスの進行方向に対して垂直方向となるように、ダクト部11内に吸熱用ヒートシンク12が配設されている。なお、ダクト部11はポリイミドシートなどの高耐熱性樹脂シートで形成されているので、排気ガスの熱をダクト部11の外に逃すことなく吸熱用ヒートシンク12の吸熱フィン12bに吹き付けることができるようになされている。
【0021】
この場合、図4に示すように、排気ガスが高温(例えば、300℃以上)になるとダクト部材の一部に開口11dが形成されるように、ダクト部11内の一部のダクト部材にはバイメタルあるいは形状記憶合金からなる流量切替機構11cが配設されている。また、この流量切替機構11cに対向する位置に配置されたカバー15の一部には多数の排気口15aが配設されている。このような流量切替機構11cを設けることにより、排気ガスが高温(例えば、300℃以上)になると、この高温の排気ガスにより流量切替機構11cとなるバイメタルあるいは形状記憶合金が変形して開口11dが形成され、ダクト部15に形成された排気口15aを通して高温の排気ガスが外部に排出されることとなる。これにより、熱電変換モジュール14が高温になって破壊されることが防止できるようになる。
【0022】
なお、高耐熱性樹脂シートとしては上述したポリイミドシートに限られず、ポリイミドシートに代えてポリエーテルイミドシートあるいはポリエーテルサルホンシートを用いるようにしてもよい。また、高耐熱性樹脂シートに代えて、鉄やステンレスなどの金属部材でダクト部11を形成し、これらの金属部材の内側や外側をポリイミドシート、ポリエーテルイミドシート、ポリエーテルサルホンシートなどの高耐熱性樹脂シートで被覆して用いるようにしてもよい。
【0023】
吸熱用ヒートシンク12は、吸熱ヒートシンク用ベースプレート12aと、この吸熱ヒートシンク用ベースプレート12aより垂直方向に立設された多数の吸熱フィン12bとからなる。そして、吸熱フィン12bが排気ガスの進行方向に対して垂直となるように、吸熱用ヒートシンク12がダクト部11内に配設されているとともに、吸熱ヒートシンク用ベースプレート12aは熱電変換モジュール14の吸熱側に接合されている。この場合、吸熱ヒートシンク用ベースプレート12aが放熱用ヒートシンク13に対して後方(自動車の進行方向に対して後方)となるように配置されている。これにより、放熱用ヒートシンク13が自動車の進行方向の前方からくる外気の防風壁となる。この結果、熱電変換モジュール14の吸熱側(高温側)に外気が当たって熱が逃げることがなくなるので、効率よく熱電変換を行わせることが可能となる。
【0024】
一方、放熱用ヒートシンク13は、放熱ヒートシンク用ベースプレート13aと、この放熱ヒートシンク用ベースプレート13aより垂直方向に立設された多数の放熱フィン13bとからなる。そして、放熱ヒートシンク用ベースプレート13aが熱電変換モジュール14の放熱側に接合されている。この場合、放熱用ヒートシンク13が吸熱用ヒートシンク12に対して前方(自動車の進行方向に対して前方)となるように配置されていて、多数の放熱フィン13bが立設されている。なお、放熱用ヒートシンク13は多数の放熱フィン13bが自動車の進行方向と平行な方向になるように配置されている。これにより、自動車の走行時に自動車の進行方向の前方からくる外気が放熱用ヒートシンク13の放熱ヒートシンク用ベースプレート13aに垂直に吹き付けられることとなるので、高い放熱能力が得られることとなる。
【0025】
熱電変換モジュール14は、図2に示すように、セラミックスなどからなる上基板14aと、同じくセラミックスなどからなる下基板14bと、これらの基板14a,14bに形成された銅膜などからなる電極14c,14dと、これらの電極14c,14dに接合されたp型半導体化合物素子(熱電素子)14eと、n型半導体化合物素子(熱電素子)14fとからなる。そして、これらの2種類の熱電素子14e,14fの複数個が、電極14c,14dによって電気的には交互に直列接続されるように配置され、形成されている。
【0026】
この場合、P型半導体化合物素子は、例えば、Bi−Sb−Teの3元素からなる材料(具体的には、例えば、Bi0.5Sb1.5Te3と表される組成のもの)を用い、1mm×1mm×1mmのサイズになるようにホットプレス焼結法により形成されている。一方、N型半導体化合物素子は、例えば、Bi−Sb−Te−Seの4元素からなる材料(具体的には、例えば、Bi1.9Sb0.1Te2.6Se0.4と表される組成のもの)を用い、1mm×1mm×1mmのサイズになるようにホットプレス焼結法により形成されている。そして、これらの2種類の熱電素子14e,14fを200個ずつ用い、40mm×40mm×4mmの大きさになるように形成されている。
【0027】
カバー15はダクト部11を所定の間隔を隔てて囲うようにして配置されていて、ダクト部11に手などが直接接触することを防止するようにして、火傷などの発生を未然に防止するようにしている。また、カバー15を設けることにより、カバー15とダクト部11との間に空間部を生じることとなるので、生じた空間部に電気回路部16などを配置することが可能となる。さらに、カバー15とダクト部11との間に生じた空間部(空気層)による断熱効果により、ダクト部11外に放散する熱をさらに減少させることが可能となるので、さらに効率よく熱電変換を行うことができるようになる。
【0028】
電気回路部16は、熱電変換モジュール14にて生成された電圧を変換するDC/DCコンバータや保護回路など(図示せず)を備えていて、電気回路部16からの出力により照明部17に設けられたLEDを点灯することとなる。この場合、電気回路部16は、ポリイミドシート、ポリエーテルイミドシート、ポリエーテルサルホンシートなどからなる高耐熱性樹脂シート16aで被覆されていて、高温から電気回路部16を保護するようになされている。そして、ケーブル16bにより電気回路部16と熱電変換モジュール14とが接続されるようになされている。
【0029】
なお、電気回路部16の周囲のカバー15の一部には、電気回路部16からの出力を外部ディバイスに供給するためのコネクタ(図示せず)を備えるようにしている。このようなコネクタを設けて、該コネクタに照明付きナンバープレートフレームやサブバッテリーなどの外部ディバイスに接続されたリード線を接続することにより、熱電変換モジュール14を照明付きナンバープレートフレームやサブバッテリー(この場合は、アウトドア用に用いられるバッテリーを意味する)などの外部ディバイスの電源として用いることが可能となる。
【0030】
照明部17は、電気回路部16の後方(自動車の進行方向に対する)部に配置されていて、電気回路部16からの出力により点灯するLEDを備えているとともに、このLEDに対向するカバー15の一部に灯光用窓部17aが設けられている。そして、電気回路部16に接続された電気配線がLEDに接続されている。これにより、電気配線が外部に露出することなくLEDに接続することができるようになる。なお、灯光用窓部17aはLEDからの出射光がカバー15の外部に出射されるように透明な窓部とされている。そして、この灯光用窓部17aにレンズを設けるようにしてもよい。この場合、照明部17の取付位置はカバー15のどの位置でもよいが、後続車からの視認のためには自動車の後方(自動車の進行方向に対する)となる位置に設ける必要がある。
【0031】
〈テールパイプ照明装置のテールパイプへの取付〉
ついで、上述したような実施例1のテールパイプ照明装置10を自動車のテールパイプ20に取り付ける例について、図5および図6に基づいて以下に説明する。なお、図5は一例の取付具を用いて実施例1のテールパイプ照明装置10を自動車のテールパイプ20に取り付けた状態を模式的に示す断面図である。また、図6は他例の取付具およびその取付具を用いた状態を示しており、図6(a)はこの取付具を用いて実施例1のテールパイプ照明装置10をテールパイプ20に取り付けた状態を模式的に示す断面図であり、図6(b)はこの取付具を模式的に示す正面図である。
【0032】
図5に示す取付具18は差込型取付具であって、平面視で長方形状に形成された固定部18aと、固定部18aより端部側に断面形状がコ字状になる嵌合溝18cが形成されたアタッチメント部18bと、アタッチメント部18bに形成されたねじ孔に挿入されてアタッチメント部18bをテールパイプ20に固定するボルト18dとから構成される。この場合、アタッチメント部18bの断面形状がコ字状の嵌合溝18cにテールパイプ20の先端部が嵌合するようになされている。
【0033】
そして、この取付具18の一端をテールパイプ照明装置10のダクト部11の開口11aに装着(なお、図示していないが開口11aには取付具装着用の部材が設けられている)してボルトあるいは溶接により固定した後、他端に形成したアタッチメント部18bの嵌合溝18cにテールパイプ20を嵌合させる。この後、アタッチメント部18bに形成されたねじ孔にボルト18dを螺合させることにより、テールパイプ20にテールパイプ照明装置10を固定して取り付けることができるようになる。このような取付具18を用いることにより、ダクト部11の開口11aの内径(あるいは外径)とテールパイプ20の外径(あるいは内径)とが完全に一致していなくても、テールパイプ照明装置10をテールパイプ20に取り付けることが可能となる。
【0034】
一方、図6に示す取付具19はホースバンド型取付具であって、テールパイプ照明装置10のダクト部11の開口11aに取付固定される本体部19aと、締付けバンド19bとから構成される。ここで、本体部19aの先端部にはハウジング19cが形成されていて、このハウジング19c内に、締付けバンド19bの先端部に適宜間隔で多数形成された係止溝に係止する爪を下面に突設した係止駒19dが収容されている。この場合、締付けバンド19bの内径がテールパイプ20の外径より大きくなるように形成されている。
【0035】
そして、この取付具19の本体部19aの一端をテールパイプ照明装置10のダクト部11の開口11aに装着(なお、図示していないが開口11aには取付具装着用の部材が設けられている)してボルトあるいは溶接により固定した後、他端に形成した締付けバンド19bをテールパイプ20に嵌入させる。この後、係止駒19dを回動させて締付けバンド19bを縮径させることにより、テールパイプ20にテールパイプ照明装置10を固定して取り付けることができるようになる。このような取付具19を用いることにより、ダクト部11の開口11aの内径(あるいは外径)とテールパイプ20の外径(あるいは内径)とが完全に一致していなくても、テールパイプ照明装置10をテールパイプ20に取り付けることが可能となる。
【0036】
なお、上述した実施例1においては、テールパイプ20を中心とするダクト部11の両側にそれぞれ吸熱用ヒートシンク12と、放熱用ヒートシンク13と、熱電変換モジュール14とを設ける例について説明したが、これらの吸熱用ヒートシンク12、放熱用ヒートシンク13、熱電変換モジュール14はダクト部11の片方のみに配置するようにしてもよい。
【0037】
2.実施例2
ついで、実施例2のテールパイプ照明装置を図7に基づいて説明する。なお、図7は実施例2のテールパイプ照明装置を模式的に示す図であり、図7(a)はテールパイプ照明装置の横断面を模式的に示す断面図であり、図7(b)は、図7(a)のA−A断面(縦断面)を模式的に示す断面図である。そして、本実施例2のテールパイプ照明装置30はダクト部31を備えている。ここで、ダクト部31は、自動車のテールパイプ20から排出された排気ガスが流入する第1流通路31aと、外気が流入する第2流通路31bとを備え、吸熱用ヒートシンク32と放熱用ヒートシンク33との間に挟持されるように熱電変換モジュール34が配置されている。なお、ダクト部31の第2流通路31bの出口部を囲うようにしてカバー35が配設されている。
【0038】
ここで、第1流通路31a内に吸熱用ヒートシンク32が配設されている。そして、この吸熱用ヒートシンク32の吸熱ヒートシンク用ベースプレート32aから立設して形成された吸熱フィン32bに対して排気ガスが垂直に当たるように吸熱用ヒートシンク32が配置されている。一方、第2流通路31b内に放熱用ヒートシンク33が配設されている。そして、この放熱用ヒートシンク33の放熱ヒートシンク用ベースプレート33aから立設して形成された放熱フィン33bに対して外気が垂直に当たるように放熱用ヒートシンク33が配置されている。
【0039】
この場合、上述した実施例1と同様に、吸熱ヒートシンク用ベースプレート32aは熱電変換モジュール34の吸熱側に接合され、放熱ヒートシンク用ベースプレート13aが熱電変換モジュール14の放熱側に接合されように、吸熱用ヒートシンク32と放熱用ヒートシンク33との間に熱電変換モジュール34が挟持されている。なお、放熱用ヒートシンク33の後方(この場合の後方は自動車の進行方向に対して後方を意味する)には、熱電変換モジュール34にて生成された電圧を変換するDC/DCコンバータや保護回路を有する電気回路部36と、電気回路部36からの出力により点灯するLEDを有する照明部37とを備えている。
【0040】
ダクト部31はポリイミドシートなどの高耐熱性樹脂シートで形成されているので、排気ガスの熱をダクト部31の外に逃すことなく吸熱用ヒートシンク32の吸熱フィン12bに吹き付けることができるようになされている。ところがこの場合は、外気が放熱フィン33bに対して垂直に当たるように第2流通路31b内に放熱フィン33bが配置されているので、放熱能力が若干低下して、熱電変換効率も若干低下することとなるが、構造が簡単なために、製造が容易によって、安価なテールパイプ照明装置30が得られる。
【0041】
そして、本実施例2においても上述した実施例1と同様に、高耐熱性樹脂シートとしては上述したポリイミドシートに限られず、ポリイミドシートに代えてポリエーテルイミドシートあるいはポリエーテルサルホンシートを用いるようにしてもよい。また、高耐熱性樹脂シートに代えて、鉄やステンレスなどの金属部材でダクト部31を形成し、これらの金属部材の内側や外側をポリイミドシート、ポリエーテルイミドシート、ポリエーテルサルホンシートなどの高耐熱性樹脂シートで被覆して用いるようにしてもよい。
【0042】
なお、第1流通路31a内の一部には、排気ガスが高温になるとダクト部材の一部に開口31dが形成されるようにバイメタルあるいは形状記憶合金からなる流量切替機構31cが配設されている。このような流量切替機構31cを設けることにより、排気ガスが高温(例えば、300℃以上)になると、この高温の排気ガスにより流量切替機構31cとなるバイメタルあるいは形状記憶合金が変形して開口31dが形成され、高温の排気ガスが外部に排出されることとなる。これにより、熱電変換モジュール34が高温になって破壊されることが防止できるようになる。
【0043】
また、上述した実施例1と同様に、電気回路部36は、熱電変換モジュール34にて生成された電圧を変換するDC/DCコンバータや保護回路など(図示せず)を備えていて、電気回路部36からの出力により照明部37に設けられたLEDを点灯することとなる。そして、電気回路部36は、ポリイミドシート、ポリエーテルイミドシート、ポリエーテルサルホンシートなどからなる高耐熱性樹脂シート36aで被覆されていて、高温から電気回路部36を保護するようになされている。そして、ケーブル36bにより電気回路部36と熱電変換モジュール34とが接続されている。また、上述した実施例1と同様に、照明部37は電気回路部36からの出力により点灯するLEDを備えているとともに、このLEDに対向するカバー35の一部に灯光用窓部37aが設けられており、電気回路部36に接続されたケーブル36bがLEDに接続されて、電気配線が外部に露出することはないようになされている。
【0044】
上述したように、本発明のテールパイプ照明装置10,30においては、熱電変換モジュール14,34で排気ガスの熱を熱電変換して得られる電力を照明部17,37のLEDに印加するため、バッテリーに接続されたケーブルを分岐して電力を取り出す必要がなくなる。このため、本発明のテールパイプ照明装置10,30をテールパイプ20に取り付けるだけで電気配線を外部に露出することなくLEDを点灯することが可能となる。これにより、意匠性に優れ、かつ周囲からの視認性が高って事故防止に役立つテールパイプ照明装置を提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
なお、上述した実施の形態においては、本発明のテールパイプ照明装置を自動車に装着した例について説明したが、本発明のテールパイプ照明装置は自動車に限らず、オートバイなどの車両やボートなどの船舶等に用いられるエンジンからの排気ガスを排出するテールパイプに適用できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例1のテールパイプ照明装置を模式的に示す図であり、図1(a)はテールパイプ照明装置の横断面を模式的に示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面(縦断面)を模式的に示す断面図であり、図1(c)は、図1(a)のB−B断面(縦断面)を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す熱電変換モジュールの要部を模式的に示す断面図である。
【図3】図1に示す実施例1のテールパイプ照明装置をテールパイプ側から見た側面および一部破断の側面を示す側面図である。
【図4】図1に示す実施例1のテールパイプ照明装置に流量切替機構を設けた状態を模式的に示す断面図である。
【図5】一例の取付具を用いて実施例1のテールパイプ照明装置10をテールパイプ20に取り付けた状態を模式的に示す断面図である。
【図6】他例の取付具およびその取付具を用いた状態を示しており、図6(a)はこの取付具を用いて実施例1のテールパイプ照明装置10をテールパイプ20に取り付けた状態を模式的に示す断面図であり、図6(b)はこの取付具を模式的に示す断面図である。
【図7】実施例2のテールパイプ照明装置を模式的に示す図であり、図7(a)はテールパイプ照明装置の横断面を模式的に示す断面図であり、図7(b)は、図7(a)のA−A断面(縦断面)を模式的に示す断面図である。
【図8】従来例の排熱発電装置を模式的に示す図であって、図8(a)は排熱発電装置を模式的に示す斜視図であり、図8(b)は、図8(a)のA−A断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10…テールパイプ照明装置、11…ダクト部、11a…開口部、11b…流通路、11c…流量切替機構、11d…開口、12…吸熱用ヒートシンク、12a…吸熱ヒートシンク用ベースプレート、12b…放熱フィン、13…放熱用ヒートシンク、13a…放熱ヒートシンク用ベースプレート、13b…放熱フィン、14…熱電変換モジュール、14a…上基板、14b…下基板、14c…電極、14e…熱電素子、14f…熱電素子、15…カバー、15a…排気口、16…電気回路部、16a…高耐熱性樹脂シート、16b…ケーブル、17…照明部、17a…灯光用窓部、18…取付具、18a…固定部、18b…アタッチメント部、18c…嵌合溝、18d…ボルト、19…取付具、19a…本体部、19b…バンド、19c…ハウジング、19d…係止駒、20…テールパイプ、30…テールパイプ照明装置、31…ダクト部、31a…第1流通路、31b…第2流通路、31c…流量切替機構、31d…開口、32…吸熱用ヒートシンク、32a…吸熱ヒートシンク用ベースプレート、32b…吸熱フィン、33…放熱用ヒートシンク、33a…放熱ヒートシンク用ベースプレート、33b…放熱フィン、34…熱電変換モジュール、35…カバー、36…電気回路部、36a…高耐熱性樹脂シート、36b…ケーブル、37…照明部、37a…灯光用窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを排出するテールパイプをLEDで電飾するテールパイプ照明装置であって、
前記テールパイプからの排気ガスが流入するとともに流入した排気ガスが吸熱用ヒートシンクに導出されるように形成されたダクト部と、
前記ダクト部内に配設されて当該ダクト部内に流入した排気ガスの熱を吸熱する吸熱フィンを有する吸熱用ヒートシンクと、
前記吸熱用ヒートシンクに対向するように配置された放熱フィンを有する放熱用ヒートシンクと、
前記吸熱用ヒートシンクと前記放熱用ヒートシンクとの間に挟持された熱電変換モジュールと、
前記熱電変換モジュールにて生成された電圧を変換するDC/DCコンバータや保護回路を有する電気回路部と、
前記電気回路部からの出力により点灯するLEDを有する照明部とを備えたことを特徴とするテールパイプ照明装置。
【請求項2】
前記ダクト部から所定の間隔を隔てて当該ダクト部を覆うカバーが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のテールパイプ照明装置。
【請求項3】
前記ダクト部は金属部材で形成されてその内側あるいは外側の少なくとも一方が高耐熱性樹脂シートで被覆されているか、あるいはその全部が高耐熱性樹脂シートで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテールパイプ照明装置。
【請求項4】
前記電気回路部は高耐熱性樹脂シートで被覆されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のテールパイプ照明装置。
【請求項5】
前記高耐熱性樹脂シートは、ポリイミドシート、ポリエーテルイミドシート、ポリエーテルサルホンシートのいずれかであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のテールパイプ照明装置。
【請求項6】
前記ダクト部内にバイメタルあるいは形状記憶合金からなる流量切替機構が配設されていて、該流量切替機構により前記排気ガスが所定の温度より高温になると当該高温の排気ガスを前記ダクト部外に排出するようになされていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のテールパイプ照明装置。
【請求項7】
前記ダクト部は前記テールパイプから排出された前記排気ガスが流入する開口部と、該排気ガスが進行方向に対して垂直となるように形成された流通路とを備え、
前記吸熱フィンに対して前記排気ガスが垂直に当たるように前記流通路内に当該吸熱フィンが配置され、
前記放熱フィンに対して外気が平行に当たるように当該放熱フィンが配置されているとともに、
前記吸熱フィンが進行方向に対して後方となり、前記放熱フィンが進行方向に対して前方となるように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のテールパイプ照明装置。
【請求項8】
前記ダクト部は前記テールパイプから排出された前記排気ガスが流入する第1流通路と、外気が流入する第2流通路とを備え、
前記第1流通路内に前記排気ガスが前記吸熱フィンに対して垂直に当たるように当該吸熱フィンが配置されており、
前記第2流通路内に外気が前記放熱フィンに対して垂直に当たるように当該放熱フィンが配置されているとともに、
前記吸熱フィンと前記放熱フィンとが進行方向に対して同位置となるように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のテールパイプ照明装置。
【請求項9】
前記電気回路部からの出力を外部ディバイスに供給するためのコネクタを備えるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載のテールパイプ照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−133259(P2009−133259A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310256(P2007−310256)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】