説明

ディスクドライブ装置、及びディスクドライブ装置においてキャリブレーションのタイミングをとる方法

光ディスク等の記憶媒体(2)に情報を書込むまたは記憶媒体(2)から情報を読取るためのディスクドライブ装置が述べられる。スタートアップ後、複数の再キャリブレーションプロセスが実行され、前記再キャリブレーションプロセスは、内側ディスク半径に近い領域(62)において書込むまたは読取る場合よりも外側ディスク半径に近い領域(64)において書込むまたは読取る場合により多く実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、光記憶ディスク等の記憶装置の技術に関する。とりわけ、本発明は、概して、光記憶ディスクに情報を書込む及び光記憶ディスクから情報を読取るためのディスクドライブ装置に関する。以下では、斯かるディスクドライブ装置は、「光ディスクドライブ」とも称される。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、光記憶ディスクは、情報がデータパターンの形態で記憶され得る記憶空間の連続的な螺旋の形態または複数の同心円の形態の少なくとも1つのトラックを有する。光ディスクは、情報が製造中に記録され、該情報はユーザによって読取りのみ可能とされる、読取り専用の形式のものであってもよい。光記憶ディスクはまた、情報がユーザによって記憶され得る、書込み可能な形式のものでもよい。光記憶ディスクの記憶空間から情報を読取る及び光記憶ディスクの記憶空間に情報を書込むために、光ディスクドライブは、一方においては、光ディスクを受け入れ、回転させるための回転手段を有し、他方においては、光ビーム、典型的には、レーザビームを生成し、該レーザビームでもって記憶トラックを走査するための光学手段を有する。情報を光ディスクに記憶することができる、及び光データを光ディスクから読取ることができる光ディスクの技術は該して一般によく知られているので、ここでこの技術についてより詳細に述べる必要はない。
【0003】
ディスクドライブにおいて、幾つかの動作パラメータがキャリブレーションされる、すなわち、最適性能のための最適値に設定される必要がある。例えば、光学レンズの傾き角度がキャリブレーションされる、光ピックアップユニットのフォーカスオフセットがキャリブレーションされる、半径誤差の振幅がキャリブレーションされる、等である。とりわけ、書込み動作の場合、光書込み出力がキャリブレーションされる。これらパラメータは、キャリブレーションのための要件と同様に、当業者によく知られている。更に、上述した及びその他のパラメータのためのキャリブレーションプロシージャは、それ自体としては既知であり、本発明を実施する際に用いらてもよい。それゆえ、キャリブレーションプロシージャのより詳細な説明は、ここでは必要ない。
【0004】
実際のところ、スタートアッププロシージャまたは起動プロシージャの一部として、すなわち、新しいディスクがディスクドライブに導入される際、及び/または新しい読取り/書込みコマンドがドライブに既にあるディスクについて与えられる際にキャリブレーションプロシージャを実行することがすでに知られている。しかしながら、スタートアップキャリブレーション中に設定されたパラメータは、読取り/書込みプロセスの後段においてもはや最適値ではないかもしれない。これは、例えば、温度の変化等の環境の変化、ディスク上の読取り/書込みロケーションの変化等に起因するかもしれない。それゆえ、書込みプロセスまたは読取りプロセスの進行中、後段においてキャリブレーションプロシージャを実行することも望ましいかもしれない。斯かるキャリブレーションプロシージャは、スタートアップフェーズ中のキャリブレーションと区別するために「再キャリブレーション」という用語により示される。
【0005】
再キャリブレーションの重要な側面は、そのタイミングである。一方において、より頻繁な再キャリブレーションプロシージャは信号品質を向上するかもしれないが、データスループットの低下を伴う。他方において、再キャリブレーションプロシージャが十分多く実行されない場合、エラーが発生するかもしれない。さらに、再キャリブレーションプロシージャは、進行中の書込み/読取りプロセスを中断し、それゆえ、適切なデータ転送に悪影響を及ぼしうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、とりわけ、再キャリブレーションのタイミングに関する。
【0007】
本発明の概括的な目的は、最適な信号品質ができる限り維持されるディスクドライブ装置を提供することにある。
【0008】
本発明の概括的な目的はまた、実行される再キャリブレーションプロシージャの数ができる限り少ないディスクドライブ装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の概括的な目的は、再キャリブレーションプロシージャができる限り効率よく実行される、すなわち、あるパラメータのための再キャリブレーションプロシージャのタイミングが、このパラメータが実際に再キャリブレーションされることが必要な機会に対して決定されるディスクドライブ装置を提供することにある。
【0010】
本発明の特定の目的は、ディスクのロケーションに依存するパラメータのための再キャリブレーションプロシージャの効率のよいタイミングを与える再キャリブレーション管理ファシリティを備えるディスクドライブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
幾つかのパラメータは、書込み/読取り動作が行われるディスク上のロケーション、すなわち、現在のトラックの径方向座標に依存する。斯かるパラメータの例は、例えば、傾き及び半径誤差の振幅である。斯かるパラメータがあるキャリブレーションロケーションでキャリブレーションされる場合、該キャリブレーションは、このキャリブレーションロケーション近辺における書込み/読取りプロセスに適しているかもしれないが、このキャリブレーションロケーションから距離が離れるにつれ、上記キャリブレーションがもはや適当ではない機会が増加する。
【0012】
本発明の重要な態様によれば、ディスクが、種々の隣接する径方向ゾーンに細分され、各ゾーンは、内側ゾーン半径及び外側ゾーン半径により特徴付けられる。内側ゾーン半径及び外側ゾーン半径の間の径方向距離は、ゾーンのサイズとして示される。次のゾーンの内側ゾーン半径は、隣接した前のゾーンの外側ゾーン半径と一致する。再キャリブレーションプロシージャは、新しいゾーンに入ると実行される。
【0013】
光ディスクの製造プロセスにおいて、ディスク表面上でほぼ一定の特性を持つディスクを作る目的がある。この目的に成功することは、ディスクの外縁部の領域において、ディスクの中間領域または内側領域よりも実質的に困難である。この問題のための1つの重要な理由は、スピンコーティングプロセスにおいて、流体膜(fluid film)が、(ディスクが連続する面である)ディスクの中央領域または内側領域と比較して、(ディスクが終端する)ディスクの外側縁部において異なった振舞いを呈するからである。その結果として、ディスク特性が逸脱する機会が、ディスクの外側縁部の領域に近づくに連れ相対的に高くなる。さらに、最適書込み出力が影響をうける。
【0014】
この理解に基づき、本発明は、ディスクの外側縁部の領域に近くなるに連れ書込みまたは読取りの際の再キャリブレーション動作をより多くすることを提案する。または、ディスクの外側縁部の領域により近いゾーンは、ディスクの中央領域または内側領域におけるゾーンより小さなサイズを持つ。
【0015】
再キャリブレーションは、新しいゾーンに入ると直ちに、または再キャリブレーション許可条件の充足後開始してもよい。
【0016】
特定の実施例において、ディスクドライブ装置は、データエンジンシステム及びデータ処理システムを有する。データエンジンシステムは、ディスクドライブ及びディスク間の全ての入力及び出力通信を扱うように、ディスクドライブ装置及びディスク間のインターフェースを提供する。データ処理システムは、ディスクからの入力信号及びディスクへの出力信号に存するデータを処理し、PC等のホストシステムへの通信のためデータ及びホストシステムからの通信のためデータを処理する。データエンジンシステムは、新しいゾーンに入った瞬間、すなわち、再キャリブレーションが望ましい時点を決定する。実際の再キャリブレーションが再キャリブレーション許可条件の充足まで延期される場合、斯かる条件のためのチェックがデータ処理システムによって行われてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のこれらの及びその他の態様、特徴及び利点が、図面を参照して本発明の好ましい実施例の以下の記載によりさらに説明される。図面において、同様の参照数字は、同一または類似の部分を示す。
【0018】
図1は、ディスク2を扱うことができる、ディスクドライブ装置1の幾つかの部分を図的に示す。例えば、ディスク2は、CD、DVD等の光(光磁気を含む)ディスクである。ディスクドライブ1は、ディスク2を回転させるためのモータ4及び光ビーム6でもってディスク2のトラック(図示せず)を走査するための光ピックアップユニット5を有する。
【0019】
ディスクドライブ1はさらに、モータ4を制御するための第1の出力部11及び光ピックアップユニット5を制御するための第2の出力部12を持つ制御回路10を有する。制御回路10ははさらに、データ入力ポート13及びデータ出力ポート14を有する。読取りモードにおいて、データ入力ポート13は、光ピックアップユニット5からデータ読取り信号Sを受ける。書込みモードにおいて、制御回路10は、自身のデータ出力ポート14においてデータ書込み信号Sを供給する。制御回路10はさらに、概してHで示されるホストシステムとのデータ通信用のデータ通信ポート15を持つ。ホストシステムHは、例えば、PC等であってもよい。ディスクドライブ1は、ホスト1と別体で、長距離通信パスを介して通信を行うようにしてもよい。また、ディスクドライブ1は、ホストHに組み込まれてもよい。
【0020】
図3は、ディスク2の記憶領域を図的に示す。水平軸は、ディスク2の回転軸7からの半径Rとして表される、記憶ロケーション、すなわち、トラックの位置を表す。
【0021】
ディスクドライブ1が始動される場合、例えば、新しいディスク2が該ドライブに導入される場合、スタートアッププロシージャが実行される。スタートアッププロシージャは、あるパラメータについてのキャリブレーションプロシージャを含み、それ自体は既知である。このキャリブレーションプロシージャは、あるキャリブレーションロケーションで実行され、このロケーションは固定ロケーションであってもよく、一例として図3においてLrecで示されている。いくつかのキャリブレーションされるパラメータは、ロケーション、すなわち、半径Rに依存する。ロケーションに依存するパラメータの例は、傾き及び半径誤差である。
【0022】
斯くして、読取り動作または書込み動作の開始後しばらくして、上記キャリブレーションロケーションと現在の読取り/書込みロケーションとの距離が増加した場合、ロケーションに依存するパラメータ、またはロケーションに依存するパラメータのグループに属する少なくとも1つのパラメータの再キャリブレーションを実施することが望ましい。斯かる読取り動作または書込み動作の継続時間が長引く場合、斯かる再キャリブレーションプロシージャが規則的に繰り返されることが望ましい。
【0023】
本発明の重要な態様によれば、ディスク2が、ゾーン60に細分される。2つの隣接するゾーン60間の境界線は、ゾーン境界線61として示される。以下では、個々のゾーン60及び境界線61は、添字iによって区別される。
【0024】
図3において、順次のゾーン境界線61は、半径R1、R2、R3等で示される。各ゾーンは、外側半径及び内側半径を有する。すなわち、図3において、ゾーン60(2)は、半径R2における内側ゾーン境界線61(2)を持ち、次のゾーン60(3)に対する内側ゾーン境界線でもある、半径R3における外側ゾーン境界線61(3)を持つ。各ゾーン60(i)は、自身の外側ゾーン境界線61(i+1)の半径R(i+1)及び自身の内側ゾーン境界線61(i)の半径R(i)間の径方向距離として規定される径方向サイズΔRi、すなわち、ΔRi=R(i+1)−R(i)を持つ。
【0025】
ゾーンへの分割は物理的な分割でないことに注意されたい。典型的には、制御回路10は、ディスクゾーン60に関する情報を含むゾーンメモリ16を備える。好都合には、ゾーンメモリ16は、全てのゾーン境界線61(i)の半径R(i)のリストを含んでもよい。
【0026】
ディスクドライブ1の制御回路10は、ゾーンへの分割、すなわち、ゾーンメモリ16のコンテンツを、新しいディスクが入れられる度に、または読取り/書込みコマンドを受ける度に、すなわち、スタートアッププロシージャの一部として規定するように構成されてもよい。しかしながら、ディスクドライブ製造者が予め規定されたディスクゾーンを持つ、すなわち、ゾーンメモリ16のコンテンツが固定であることも可能である。
【0027】
他方では、全てのゾーン境界線61(i)の半径R(i)のリスト等のディスクゾーンの規定に関する情報が、記憶ディスク2の所定部分に記憶され、ディスクドライブが、この情報を用いるように、すなわち、新しいディスクが入れられた場合この情報を自身のゾーンメモリ16にコピーするように構成されることも可能である。
【0028】
上述のように、再キャリブレーションプロセスは、それ自体としては既知であり、本発明は、再キャリブレーションプロセスそれ自体を改善することを対象とはしていない。実際、それ自体既知の再キャリブレーションプロセスが、本発明を実施する際に適用されてもよい。それゆえ、再キャリブレーションプロセスそれ自体は、さらに詳細にここでは説明されない。本発明は、とりわけ、再キャリブレーションプロセスのタイミングに関する。本発明の重要な態様によれば、再キャリブレーションプロセスが、新しいゾーンに到達すると起動される。通常、書込みプロセスまたは読取りプロセスがトラックを内側から外側に追従する場合、新しいゾーンに到達するということは、現在のゾーンの外側ゾーン半径を横切ることと等価である。斯くして、書込みプロセスまたは読取りプロセスがゾーン60(2)において現在行われていると仮定すると、再キャリブレーションプロセスは、半径R3が横切られ次のゾーン60(3)に到達すると起動されるであろう。しかしながら、ゾーン60(2)のある場所からゾーン60(3)のある場所へ(または他のいかなるゾーンへ)のジャンプが再キャリブレーションプロセスを起動するであろうことにも注意されたい。斯くして、新しいゾーンへの到達、すなわち、書込み/読取りが現在行われているゾーン外の位置への到達が、再キャリブレーションプロセスを実行することが望ましいとの指示であると見なされる。
【0029】
製造工程の典型的な態様を鑑みると、ディスクの内側領域においては、ディスクの外側領域と比較してより少ない再キャリブレーションプロセスで十分であることが予測される。それゆえ、本発明の他の重要な態様によれば、ディスクの内側領域におけるゾーンの径方向サイズΔRは、ディスクの外側領域におけるゾーンの径方向サイズΔRより大きい。
【0030】
図3において、ディスク2は、全てのゾーン60が、相対的に大きい、互いに実質的に同じ径方向サイズΔR(62)を持つ内側ディスク領域62を持つ。ディスク2はさらに、全てのゾーン60が、相対的に小さい、互いに実質的に同じ径方向サイズΔR(64)を持つ外側ディスク領域64を持つ。とりわけ、外側ディスク領域64におけるゾーン60の径方向サイズΔR(64)は、内側ディスク領域62におけるゾーン60の径方向サイズΔR(62)より小さい。
【0031】
2つの領域しかないという必然性はないことに注意されたい。図3において、ディスク2は、内側ディスク領域62と外側ディスク領域64との間に中間領域63を持つ。中間領域63において、全てのゾーン60は、内側ディスク領域62におけるゾーン60の径方向サイズΔR(62)より小さいが、外側ディスク領域64におけるゾーン60の径方向サイズΔR(64)より大きい、互いに実質的に同じ径方向サイズΔR(63)を持つ。
【0032】
1つのディスク領域内の全てのゾーンが同じサイズを持つことは必然ではないことにさらに注意されたい。例えば、ディスクは、第1のゾーンの径方向サイズが、第1のゾーンの内側で第1のゾーンと隣り合う第2のゾーンの径方向サイズより常に小さくなるような領域を持ってもよい。
【0033】
本発明の一実施例においては、再キャリブレーションプロセスが、再キャリブレーション時宜(due time)において直ちに始まる。斯かる場合、新しいゾーンに到達する瞬間は、再キャリブレーションプロセスの開始時間と同一である。この実施例の一例が、図4を参照して説明される。
【0034】
図4は、本発明による再キャリブレーションタイミングを決定する1つの方法を図的に示すフロー図である。スタートアップ(ステップ101)後、ディスクゾーン60が、例えば、順次のゾーン間の境界線トラックについて値R1、R2、R3等のテーブルを規定することにより規定される(ステップ102)。これらゾーンは予め規定されてもよい、すなわち、ディスクドライブは図示されないメモリに記憶された斯かる値のテーブルを持ち、故に、ステップ102はスタートアップ前に実行されていると見なされてもよいことに注意されたい。
【0035】
読取りコマンドまたは書込みコマンドを時間t0で受けた(ステップ110)場合、読取り/書込みプロシージャが開始される(ステップ112)。読取り/書込みプロシージャの間、読取り/書込みプロシージャが新しいディスクゾーンに入ったかどうかチェックされる(ステップ113)。もしそうならば、再キャリブレーションプロセスが実行される(ステップ120)。
【0036】
再キャリブレーションプロセスの終了後、読取り/書込みプロシージャが継続し、当該プロセスが、ステップ112へのジャンプバックとして示されるように、繰り返される。
【0037】
本発明の他の実施例においては、再キャリブレーションプロセスが、必ずしも新しいゾーンに到達した瞬間に直ちに開始されるというわけではない。先ず、読取り/書込みプロセスが続けられるべきかどうか、及び再キャリブレーションプロセスがより適切な時点まで延期されるべきかどうかチェックされる。斯かる場合、新しいゾーンに到達した瞬間は、再キャリブレーション許可条件についてのチェックの開始の印であり、一方、実際の再キャリブレーションプロセスは、全ての再キャリブレーション許可条件が満たされる場合にのみ開始される。少なくとも1つの再キャリブレーション許可条件が満たされないために、実際の再キャリブレーションプロセスが全く開始されないことさえあるかもしれない。
【0038】
再キャリブレーション許可条件の一例として、ディスクドライブが(書込みモードにおいて)現在データをデータバッファから書込んでいて、データの流れがバッファが空になるまで妨げられないであろうということが条件であってもよい。または、読取りモードにおいて、ディスクドライブが、略々空であり、ホストへのデータの妨げられないフローを確実にするために先ずは再び満たされるべきであるバッファからホストにデータを出力していることが条件であってもよい。
【0039】
この実施例の一例が、図5を参照して説明される。
【0040】
図5は、本発明による再キャリブレーションタイミングを決定する1つの方法を図的に示すフロー図である。スタートアップ(ステップ201)後、ディスクゾーン60が、例えば、順次のゾーン間の境界線トラックについて値R1、R2、R3等のテーブルを規定することにより規定される(ステップ202)。先に注釈したように、これらゾーンは予め規定されてもよく、故に、ステップ202はスタートアップ前に実行されていると見なされてもよい。
【0041】
読取りコマンドまたは書込みコマンドを時間t0で受けた(ステップ210)場合、読取り/書込みプロシージャが開始される(ステップ212)。読取り/書込みプロシージャの間、読取り/書込みプロシージャが新しいディスクゾーンに入ったかどうかチェックされる(ステップ213)。もしそうならば、再キャリブレーション起動プロシージャが実行される(ステップ220)。
【0042】
この再キャリブレーション起動プロシージャの後、書込み/読取りプロシージャが継続し(ステップ241)、その間に再キャリブレーション許可条件がチェックされる(ステップ242)。全ての再キャリブレーション許可条件が満たされる場合のみ、再キャリブレーションプロセスが実行される(ステップ250)。斯くして、再キャリブレーションプロセスの実際の始まりは、新しいディスクゾーンに入る瞬間より遅い。
【0043】
再キャリブレーションプロセスの終了後、読取り/書込みプロシージャが継続し、当該プロセスが、ステップ212へのジャンプバックとして示されるように、繰り返される。
【0044】
前述の再キャリブレーションプロセス、すなわち、上記の例のステップ120または250において、少なくとも1つのロケーションに依存するパラメータがキャリブレーションされる。実際には、各個別のロケーションに依存するパラメータについて、個別のタイミングのプロシージャが実行されることが可能である。しかしながら、再キャリブレーションプロセスにおいて、全てのロケーションに依存するパラメータがキャリブレーションされることが好ましい。まして、再キャリブレーションプロセスにおいて、全てのキャリブレーション可能な(calibratable)パラメータがキャリブレーションされる、すなわち、スタートアッププロシージャ中と同じキャリブレーションが実施されることがより好ましい。
【0045】
図2は、制御回路10の可能な実施例をある程度詳細に図示する図である。とりわけ、この実施例において、制御回路10は、データエンジンシステム20及びデータ処理システム30を有する。以下では簡単に「エンジン」として示されるデータエンジンシステム20は、ディスクドライブ1及びディスク2間の全ての入力及び出力通信を扱うように、ディスクドライブ装置及びディスク間のインターフェースを提供する。
【0046】
以下では簡単に「プロセッサ」として示されるデータ処理システム30は、ディスクからの入力信号S及びディスクへの出力信号Sに存するデータを処理し、PC等のホストシステムへの及びホストシステムからの通信のためデータを処理する。
【0047】
斯かる設計において、再キャリブレーション起動プロシージャ(すなわち、上記の例のステップ220)及び再キャリブレーションプロセス(すなわち、上記の例のステップ120または250)はデータエンジンシステム20によって実行されてもよいが、再キャリブレーション許可条件はプロセッサ30によって扱われる。再キャリブレーション起動プロシージャは、エンジン20がプロセッサ30に再キャリブレーション要求信号を送るステップを有してもよい。プロセッサ30は、全ての再キャリブレーション許可条件が満たされていることが分かると、エンジン20に再キャリブレーション許可信号を送リ、エンジン20が、この再キャリブレーション許可信号を受信すると、キャリブレーションモード(すなわち、上記の例のステップ120または250)に入るようにしてもよい。
【0048】
本発明は上述の例示的な実施例に限定されず、種々の変形及び修正が添付請求項に規定される本発明の保護範囲内で可能であることが当業者にとって明らかであろう。
【0049】
例えば、本発明は、光記憶ディスクとの関連で説明されている。しかしながら、本発明の要旨は、光記憶ディスクに制限されず、記憶装置一般に広く適用可能である。
【0050】
上記において、本発明は、本発明による装置の機能ブロックを図示するブロック図を参照して説明されている。1つ以上のこれら機能ブロックは、斯かる機能ブロックの機能が個別のハードウェア要素によって実行されるハードウェアで実施されてもよいが、ソフトウェアで実施され、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等のプログラム可能な装置またはコンピュータプログラムの1つ以上のプログラムラインによっても実行されることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、ディスクドライブ装置の要部を示すブロック図を図的に示す。
【図2】図2は、制御回路の要部を示すブロック図を図的に示す。
【図3】図3は、ディスクゾーンを図的に示す。
【図4】図4は、本発明による再キャリブレーション開始時間を決定する第1の方法を図的に示すフロー図である。
【図5】図5は、本発明による再キャリブレーション開始時間を決定する第2の方法を図的に示すフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体に情報を書込むまたは記憶媒体から情報を読取る場合に記憶書込み/読取り装置において複数の再キャリブレーションプロセスのタイミングをとる方法であって、前記再キャリブレーションプロセスは、内側ディスク半径に近い領域において書込むまたは読取る場合よりも外側ディスク半径に近い領域において書込むまたは読取る場合により多く実行されることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つのロケーションに依存するパラメータが、再キャリブレーションプロセスにおいて再キャリブレーションされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
幾つかのパラメータが、スタートアップフェーズ中にキャリブレーションされ、同一のパラメータがまた、再キャリブレーションプロセスにおいて再キャリブレーションされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
当該方法は、各々径方向サイズを持つディスクゾーンを規定するステップを有し、外側ディスク半径に近い領域におけるディスクゾーンの径方向サイズは、ディスクの中心に近い領域におけるディスクゾーンの径方向サイズより小さく、当該方法はさらに、読取りプロシージャまたは書込みプロシージャが新しいディスクゾーンに入ったかどうかチェックするステップを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
再キャリブレーションプロセスが、新しいディスクゾーンに入ると実質的に直ちに開始されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
新しいディスクゾーンに入ると、所定の再キャリブレーション許可条件に関するチェックがなされ、実際の再キャリブレーションプロセスの開始が、全ての前記所定の再キャリブレーション許可条件が満たされる時まで延期されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項7】
書込み動作または読取り動作が実際の再キャリブレーションの開始まで継続されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
記憶媒体に情報を書込むまたは記憶媒体から情報を読取るための記憶書込み/読取り装置であって、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される記憶書込み/読取り装置。
【請求項9】
当該記憶書込み/読取り装置は、記憶ディスク、例えば、光記憶ディスクに情報を書込むまたは記憶ディスクから情報を読取るためのディスクドライブ装置であることを特徴とする請求項8に記載の記憶書込み/読取り装置。
【請求項10】
当該記憶書込み/読取り装置は、ディスクゾーンの規定に関する情報を含むゾーンメモリを有することを特徴とする請求項8に記載の記憶書込み/読取り装置。
【請求項11】
前記ゾーンメモリは、ゾーン境界線の半径のリストを含むことを特徴とする請求項10に記載の記憶書込み/読取り装置。
【請求項12】
前記ゾーンメモリ内の情報により規定される各ディスクゾーンは径方向サイズを持ち、外側ディスク半径に近い領域におけるディスクゾーンの径方向サイズは、ディスクの中心に近い領域におけるディスクゾーンの径方向サイズより小さいことを特徴とする請求項10に記載の記憶書込み/読取り装置。
【請求項13】
当該記憶書込み/読取り装置は、書込みプロセスまたは読取りプロセス中に複数の再キャリブレーションプロセスを実行するように構成される制御回路を有し、
前記制御回路は、読取りプロシージャまたは書込みプロシージャが新しいディスクゾーンに入ったかどうかをチェックするステップを実行する場合に前記ゾーンメモリを参照するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の記憶書込み/読取り装置。
【請求項14】
記憶空間の所定部分においてディスクゾーンの規定に関する情報を含む記憶媒体であって、
前記記憶空間の所定部分内の情報により規定される各ディスクゾーンは径方向サイズを持ち、外側ディスク半径に近い領域におけるディスクゾーンの径方向サイズは、ディスクの中心に近い領域におけるディスクゾーンの径方向サイズより小さいことを特徴とする記憶媒体。
【請求項15】
請求項14に記載の記憶媒体に情報を書込むまたは記憶媒体から情報を読取るための記憶書込み/読取り装置であって、当該記憶書込み/読取り装置は、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法実行するように構成され、
当該記憶書込み/読取り装置は、書込みプロセスまたは読取りプロセス中に複数の再キャリブレーションプロセスを実行するように構成される制御回路を有し、
前記制御回路は、読取りプロシージャまたは書込みプロシージャが新しいディスクゾーンに入ったかどうかをチェックするステップを実行する場合に前記記憶媒体からの前記情報を参照するように構成されることを特徴とする記憶書込み/読取り装置。
【請求項16】
当該記憶書込み/読取り装置は、ディスクゾーンの規定に関する情報を含むためのゾーンメモリを有し、
前記制御回路は、前記記憶媒体から前記情報を読取り、前記ゾーンメモリに該情報を記憶するように構成されることを特徴とする請求項15に記載の記憶書込み/読取り装置。
【請求項17】
記憶媒体に情報を書込むまたは記憶媒体から情報を読取るための記憶書込み/読取り装置であって、当該記憶書込み/読取り装置は、請求項6に記載の方法を実行するように構成され、当該記憶書込み/読取り装置は、書込みプロセスまたは読取りプロセス中に複数の再キャリブレーションプロセスを実行するように構成される制御回路を有し、
当該記憶書込み/読取り装置はさらに、互いにデータ通信を行うデータエンジンシステム及びデータ処理システムを有し、
前記データエンジンシステムは、読取りモードにおいて、読取り信号を受け、該読取り信号からデータ信号を獲得し、該データ信号を前記データ処理システムに通信し、書込みモードにおいて、前記データ処理システムからデータ信号を受け、書込み信号を生成するように構成され、
前記データ処理システムは、読取りモードにおいて、前記データエンジンシステムからデータ信号を受け、ホストシステムへの通信のためデータを処理し、書込みモードにおいて、ホストシステムと通信し、前記ホストシステムから受けた通信信号におけるデータ信号を処理し、データ信号を前記データエンジンシステムに通信するように構成され、
前記データエンジンシステムは、読取りプロシージャまたは書込みプロシージャが新しいディスクゾーンに入ったかどうかチェックするように構成され、前記データ処理システムは、再キャリブレーション許可条件を決定するように構成されることを特徴とする記憶書込み/読取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−503674(P2007−503674A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530817(P2006−530817)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050659
【国際公開番号】WO2004/102557
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】