説明

ディスプレイ・キーパッドアセンブリおよび前記アセンブリを含む携帯電話

片手で使用される機器に適用するのに適したケーシング(2)を含むアセンブリであって、ディスプレイ(3)が前記ケーシング(2)の上側面(2a)に装着され、キーパッド(4)がケーシングの下側面(2b)に装着され、前記キーパッド(4)は、それぞれが複数の文字(5)を入力するように複数の方向で作動できる少なくとも3つのキー(4a)を含んでいることを特徴とするアセンブリ、および、請求項に記載されたキーパッド(4)・ディスプレイ(3)アセンブリを含む携帯電話。それにより、キーパッドを見る必要なく、ディスプレイ上で文字を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片手で使用される機器での適用に適し、特に携帯電話に適するディスプレイ・キーパッドアセンブリ、および、前記ディスプレイ・キーパッドアセンブリを含む携帯電話に関する。
【背景技術】
【0002】
そのケーシングの前側に装着されたキーパッドおよびディスプレイを含む携帯電話であって、キーパッドが前記前側の表面の下側半分を占める一方でディスプレイが同じ側の上側半分を占めるようになっている携帯電話は知られている。
【0003】
そのような携帯電話のケーシングの寸法は、便利で持ち運び易いコンパクトな機器を提供するためにかなり減少されてきた。それにもかかわらず、そのような携帯電話が実行する機能の数の絶え間ない増大により、大型のディスプレイが求められており、これがキーパッドのサイズにマイナスに跳ね返って、当該サイズがこれまで小さくなってきている。そのため、文字が見難くなるとともに、大部分のユーザにとって、特に年配の人々にとって機器の実際の使用が更に困難になっている。
【0004】
そのような携帯電話のキーパッドは、1つの方向で作動でき且つ「0」から「9」までの数字およびアルファベット文字が刻み込まれている少なくとも10個のキーを有している。数字を入力するためには、前記10個のキーのうちの任意のキーを1回だけ押さなければならず、一方、文字を入力するためには、キーを1〜4回連続的に押さなければならず、各キー押圧間の時間間隔は所定の値よりも短くなっている。
【0005】
前記キーパッドは、文字を入力するために幾つかのキーを連続的に押さなければならないことから書き込みが非常に遅くなるため、特にテキストメッセージを書き込む場合に実用的に使用できないという欠点を有しており、そのため、表示される文字が選択された文字となるようにするため且つエラーを避けるためにディスプレイをひっきりなしに見る必要がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の目的は、以下に記載される利点を有するディスプレイ・キーパッドアセンブリを開発することにより前述した不都合を解決することである。
【0007】
この目的によれば、この発明の第1の態様は、片手で使用される機器に適用するのに適したケーシングを含むディスプレイ・キーパッドアセンブリであって、ディスプレイが前記ケーシングの上側面に装着され、キーパッドがケーシングの下側面に装着され、前記キーパッドが、それぞれが複数の文字を入力するように複数の方向で作動できる少なくとも3つのキーを含んでいることを特徴とするディスプレイ・キーパッドアセンブリを提供するものである。
【0008】
これらの特徴により、この発明のディスプレイ・キーパッドアセンブリは以下の利点を与える。
・前記キーパッドが従来技術のそれよりもはるかに少ない数のキーを有しているという事実によりこれらのキー上に刻み込まれる文字の位置および意味の両方をユーザが容易に覚えられるため、キーパッドを見ることなくキーパッドを使用することができる。また、キーのサイズを大きくすることもでき、それにより、キーパッドを見なくても、キーを容易に見つけて使用できる。
・ディスプレイの寸法が隣接するキーパッドの存在によって制約されず、また、前記ディスプレイがケーシングの上側面の領域全体を占めることができ、それにより、全ての種類の文字および画像をディスプレイ上に表示することが容易になる。
・キーが複数の方向で作動されるという事実により前記キーの1回の動作で多くの文字を入力できるため、キーパッドを非常に容易に素早く使用できる。また、前述したように、キー上に刻み込まれた文字を容易に認識できるように、前記キーのサイズを大きくすることができる。
【0009】
前記キーパッドは、多方向作動を伴う6つのキーを含んでいることが好ましい。この数は、従来技術のアセンブリにおいて見出されるキーの数よりも依然としてはるかに少ないままであるという利点を有していると同時に、キーのそれぞれの1つにおける特定の空間的レイアウトを殆どの文字に割り当てることができ、それにより、適切な方向での1回のキー押圧またはキー作動で文字を入力することができる。これにより、キーパッドの全てを覚えることが容易になるとともに、キーパッドの全ての使用が更に実用的で且つ便利になる。
【0010】
また、前記6つのキーが1つの行列を形成する行および列へと順序正しい態様で配置され、前記キーのそれぞれには文字のグループが刻み込まれ、それらの文字を前記機器のユーザが容易に覚えられるように、前記文字が前記キーのそれぞれに空間的に配置されるとともに前記グループが行列単位で配置されることが好ましい。
【0011】
前記行列が2つの行および3つの列を与え、前記グループが少なくとも1つの数字とアルファベット順の少なくとも4つの文字とを含でいると有益である。
【0012】
マトリクス形態、特に2行3列の6つのキーのレイアウトは、キーパッド上に刻み込まれた文字の位置および意味をそれらを見なくてもユーザが迅速に認識するのを容易にする最適なレイアウトである。これは、行および列で配置された6つの要素の行列のイメージを前記ユーザが形成することが非常に容易だからである。
【0013】
また、従来技術のキーパッドにおいて一般的な2つ又は3つの文字から成る9個以上のグループではなく、4つの主要文字から成る6つのグループのみが存在するため、また、それらがアルファベット順で空間的に配置されているため、ユーザは、各キーおよびキーパッド全体における前記文字のそれぞれの位置を覚えることが非常に容易となる。したがって、書き込みが軽快で素早く、また、キーパッドを見ずに都合良く書き込みを実行できる。
【0014】
前記アセンブリは、地面/床と略平行な軸に対してケーシングを回転させることにより前記行列の行のキー上に刻み込まれた文字の空間的配置を反転させるための手段を含んでいると有益である。したがって、ユーザがキーパッドを見ることなくアセンブリを使用する際のディスプレイ上のキーパッドの仮想画像は、ユーザがディスプレイを見るときに持つ画像と同じであり、そのため、アセンブリがどんな姿勢で使用されようとも、キーパッド文字の位置および意味を思い出すのが常に非常に容易である。
【0015】
好ましくは、前記アセンブリは、前記キーのうちの少なくとも2つの同時押圧に対して特定の意味を割り当てるための手段、前記キーのうちの少なくとも1つにおける少なくとも2つの連続的押圧に対して特定の意味を与えるための手段を含み、前記2つの押圧間の時間間隔は所定の値よりも短い。
【0016】
前記アセンブリは、前記キーのうちの少なくとも1つにおける持続的押圧に対して特定の意味を割り当てるための手段を含むことが有益であり、前記押圧が実行されている間の時間間隔は所定の値よりも長い。
【0017】
前記キーパッドを用いて異なる文字および機能を都合良く簡単に入力できる可能性がかなり高められる。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、請求項に記載のキーパッド・ディスプレイアセンブリを含む携帯電話が提供される。
【0019】
これらの特徴により、電話ケーシングの寸法を非常に小さくすることができる一方で、それにもかかわらず、ディスプレイおよびキーパッドキーのサイズを従来技術の携帯電話において見出されるサイズよりも十分に大きくすることができる。同時に、前述したキーパッドのタイプはそれを見ることなく容易に使用できるため、電話を使用するのが非常に便利で容易である。更に、ディスプレイサイズが大きいため、従来の携帯電話を用いると扱いにくくスロータスクとなるインターネットブラウザおよび電子メールのプログラム並びに画像等を表示して編集するためのプログラムの使用が容易となる。
【0020】
概説してきたことを更に良く理解できるように、実施形態の実用的ケースを概略的に且つ単なる非限定的な実施例として示す幾つかの図面が添付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は携帯電話に適用できるこの発明のディスプレイ・キーパッドアセンブリ1の一実施形態を示しており、ディスプレイ・キーパッドアセンブリ1は小さい寸法のケーシング2を含んでおり、ケーシング2は、ディスプレイ3を有する上側面2aと、キーパッド4を有する下側面2bとを有している。
【0022】
図5が示すように、前記ケーシング2は、例えばその縁部を親指、小指、薬指で握ることにより、片手で保持することができる。したがって、人差し指および中指は、前記ケーシング2の下側面2bと対向したままになっており、1つのキーまたは2つのキー4aを同時に押して広範囲の異なる文字5を入力することにより前記下側面上に装着されたキーパッド4を自由に使用することができる。
【0023】
図2はその上にアセンブリ1のディスプレイ3が装着されている前記ケーシング2の上側面2aの正面図を示しており、この場合、ディスプレイ3はその面2aの表面積全体を占めている。
【0024】
図3は、6つの円形断面キー4aを有するキーパッド4が装着されている同じケーシング2の下側面2bの正面図を示しており、6つの円形断面キー4aは、2つの行および3つの列から成る行列を形成するように配置されている。
【0025】
それぞれのキー4aは、当該キーを上方、下方、右方、左方、内側へスライドさせることにより5つの方向で作動させることができ、それにより、いずれの場合にも、1つの異なる文字5を、対応するキー4aを1回押し或いは作動させることにより与えることができる。
【0026】
図3に示されるように、前記キー4aのそれぞれには4つの主要文字5が4つの異なる方向で刻み込まれており、これらの文字は、極めて直感的に理解できる態様で上から下へとアルファベット順に配置されている。
【0027】
したがって、キーパッド4は、4つの主要文字5から成るグループを6つ有し、合計で24個の文字になっており、これは、前記説明で述べたように、行列を形成するように配置された6つの要素または要素のグループのイメージをユーザが容易に形成できるため、ユーザが非常に覚え易い。
【0028】
6つのグループは、以下の主要文字5、すなわち、文字「A」、「B」、「C」、「D」を有する第1のグループと、文字「E」、「F」、「G」、「H」を有する第2のグループと、文字「I」、「J」、「K」、「L」を有する第3のグループと、文字「M」、「N」、「O」、「P」を有する第4のグループと、文字「Q」、「R」、「S」、「T」を有する第5のグループと、最後に、文字「U」、「V」、「W」、「Y」を有する第6のグループとから成っている。
【0029】
しかしながら、アルファベットの26個の文字5を全て揃えるため、行列の第2行、第3列に対応する主要文字5の第6のグループを含むキーパッド4のキー4aは、主要文字「Y」の脇に位置された使用頻度の低い2つの更なる文字、すなわち、「X」および「Z」も与えるように形成されている。この場合、前記文字5「X」および「Z」を得るために、ユーザは、対応するキー4aを文字「Y」の方向で2回および3回連続して押さなければならない。
【0030】
また、図3が示すように、前述した実施形態において、文字5は、第1の行の3つのキー4aの先頭に母音文字「A」、「E」および「I」がそれぞれきて、第2の行の3つのキー4aの先頭に文字「M」、「Q」および「U」がそれぞれくるように、キーパッド4を構成する行列単位で上下にアルファベット順に配置されている。この空間的配置は、ユーザがキーパッド4上の文字5を容易に見つけられると考えられるため選択された。
【0031】
図4は数字5「1」、「2」、「3」、「4」、「5」および「6」を示しており、これらの数字は、前記図4に示される順序で6つのキー4aを1回それぞれ押すことにより得られる。数字「7」、「8」、「9」および「0」も、図4に示される順序でキーパッド4の2つのキー4aを同時に押すことにより得られる。選択された数字5の空間的配置およびそれらを得る方法は、非常に合理的であると同時に分かり易く、したがって、ユーザが非常に簡単に記憶できる。
【0032】
前述した実施形態において、ディスプレイ3・キーパッド4アセンブリ1は重力センサを含んでおり、この重力センサにより、行列の行のキー4aに刻み込まれた文字5の空間的配列を、地面/床に対してケーシング2を回転させることにより反転させることができる。したがって、本発明の説明で述べたように、ユーザが前記キーパッド4を見ることなくアセンブリを使用する場合、ディスプレイ3上のキーパッド4の仮想画像は、ユーザがディスプレイを見るときに持つ仮想画像と同じである。
【0033】
前述したディスプレイ3・キーパッド4アセンブリ1は、携帯電話、および、電子手帳などの片手で一般に使用される任意の他のタイプの小型機器の両方に適用できる。
【0034】
図示しないが、数字「7」、「8」、「9」および「0」を得るための図示の組み合わせに加えて、例えば前述したタイプの携帯電話により必要とされる更なる文字5または特定の機能を得るために同時に押されると使用できる2つのキー4aの11個の組み合わせ及び更に同じ数だけの3つ以上のキー4aの組み合わせが存在する。また、全てのキー4aを複数の方向で作動できるため、前記キー4aのうちの1つの持続的な押圧に対して特定の意味を割り当てることにより、それらのキーの一部を例えばカーソルとして使用するためにプログラムすることができる。
【0035】
驚くべきことに、前述したアセンブリ1は、従来技術の他のアセンブリに対して、キーパッド4を何ら見る必要なく文字5をディスプレイ3上で得ることができるという利点を有する一方で、キー4aのサイズおよびディスプレイ3のサイズの両方が、片手で使用されることが好ましい既知のディスプレイ・キーパッドアセンブリにおける場合よりも非常に大きいため、使用するのが非常に便利で容易である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】携帯電話に適用できるこの発明のディスプレイ・キーパッドアセンブリのケーシングの好ましい実施形態の側面図である。
【図2】アセンブリのディスプレイを示す、図1のケーシングの上側面の図である。
【図3】5つの方向で作動でき且つその上にアルファベットの文字が刻み込まれている6つのキーを有するアセンブリのキーパッドを示す、図1のケーシングの下側面の図である。
【図4】6つのキーのキーパッドであって、前記キーを作動させることにより得られる「0」から「9」までの数字がキー上に刻み込まれているキーパッドを示す、図1のケーシングの下側部分の図である。
【図5】図1のケーシングを保持する好ましい方法を示すグラフィック表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手で使用される機器に適用するのに適した、ケーシング(2)を含むディスプレイ(3)・キーパッド(4)アセンブリであって、ディスプレイ(3)が前記ケーシング(2)の上側面(2a)に装着され、キーパッド(4)がケーシングの下側面(2b)に装着され、前記キーパッド(4)は、それぞれが複数の文字(5)を入力するように複数の方向で作動できる少なくとも3つのキー(4a)を含んでいることを特徴とする、ディスプレイ(3)・キーパッド(4)アセンブリ。
【請求項2】
前記キーパッドが6つのキー(4a)を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記キー(4a)が1つの行列を形成する行および列へと順序正しい態様で配置され、前記キー(4a)のそれぞれには文字(5)のグループが刻み込まれ、それらの文字を前記機器のユーザが容易に覚えられるように、前記文字(5)が前記キー(4a)のそれぞれに空間的に配置されるとともに前記グループが行列単位で配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
地面/床と略平行な軸に対してケーシング(2)を回転させることにより前記行列の行の文字(5)の空間的配置を反転させるための手段を含んでいることを特徴とする、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記方向のうちの任意の方向での前記キー(4a)のうちの少なくとも2つの同時押圧に対して特定の意味を割り当てるための手段を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記キー(4a)のうちの少なくとも1つにおける少なくとも2つの連続的押圧に対して特定の意味を割り当てるための手段を含み、前記2つの押圧間の時間間隔が所定の値よりも短いことを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記キー(4a)のうちの少なくとも1つにおける持続的押圧に対して特定の意味を割り当てるための手段を含み、前記押圧が実行されている間の時間間隔が所定の値よりも長いことを特徴とする、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のキーパッド(4)・ディスプレイ(3)アセンブリを含む携帯電話。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−527486(P2008−527486A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548916(P2007−548916)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/IB2005/003984
【国際公開番号】WO2006/070283
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507223638)
【氏名又は名称原語表記】JORDI BADIA I FARRE
【Fターム(参考)】