説明

ディスプレイ装置の取付構造

【課題】ディスプレイ装置の車体側部材への取付け部が意匠パネルにて隠れる部分に設けられる場合であっても、従来に比べてディスプレイ装置の車体側部材からの取り外しを容易に行なうことができる、ディスプレイ装置の取付構造の提供。
【解決手段】車両用ディスプレイ装置10を車体または該車体に固定される部材である車体側部材20に取付ける、ディスプレイ装置の取付構造である。ディスプレイ装置10は、ディスプレイ装置10から取外し可能なブラケット20を用いて、車体側部材20に取付けられている。ブラケット40と車体側部材20との取付け部50は、車両の内装部材である意匠パネル30にて隠れる部分に設けられている。ディスプレイ装置10とブラケット40との取付け部51は、意匠パネル30から露出した部分に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ディスプレイ装置を車体または車体に固定される部材である車体側部材に取付ける、ディスプレイ装置の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるような従来のビルトインタイプのディスプレイ装置は、インストルメントパネル等の意匠パネルを車体側部材に取付ける前に、ビスやボルト等の締結部材を用いて車体側部材に取付けられる。そして、ディスプレイ装置の故障時やメンテナンス時など、ディスプレイ装置を車体側部材から取外す必要がある場合には、レジスタ等の他部品の配設場所として使用される意匠パネルの開口部を利用して締結部材を外すことで、意匠パネルを車体側部材から取外すことなくディスプレイ装置を車体側部材から取外すことができるようになっている。
【0003】
しかし、従来のディスプレイ装置の取付構造には、つぎの問題点がある。
ディスプレイ装置の車体側部材への取付け部が、意匠パネルにて隠れる部分(意匠パネルを取外さなければ意匠パネルによって取付け部に締結部材を外すための手や工具等が届かない部分)に設けられる場合がある。この場合、ディスプレイ装置を車体側部材から取外すには意匠パネルを車体側部材から取外さなければならず、ディスプレイ装置の取外し作業が煩雑になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−211441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ディスプレイ装置の車体側部材への取付け部が意匠パネルにて隠れる部分に設けられる場合であっても、従来に比べてディスプレイ装置の車体側部材からの取り外しを容易に行なうことができる、ディスプレイ装置の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 車両用ディスプレイ装置を車体または該車体に固定される部材である車体側部材に取付ける、ディスプレイ装置の取付構造であって、
前記ディスプレイ装置は、該ディスプレイ装置から取外し可能なブラケットを用いて、前記車体側部材に取付けられており、
前記ブラケットと前記車体側部材との取付け部は、車両の内装部材である意匠パネルにて隠れる部分に設けられており、
前記ディスプレイ装置と前記ブラケットとの取付け部は、前記意匠パネルから露出した部分に設けられている、ディスプレイ装置の取付構造。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)のディスプレイ装置の取付構造によれば、ブラケットと車体側部材との取付け部が車両の内装部材である意匠パネルに隠れる部分に設けられていても、ディスプレイ装置とブラケットとの取付け部が意匠パネルから露出した部分に設けられているため、意匠パネルの露出部分を利用してディスプレイ装置をブラケットから取外すことで、ディスプレイ装置を車体側部材から取外すことができる。よって、ディスプレイ装置の車体側部材への取付け部が意匠パネルにて隠れる部分に設けられる場合であっても、従来に比べてディスプレイ装置の車体側部材からの取り外しを容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明実施例のディスプレイ装置の取付構造の、取付け状態の斜視図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】本発明実施例のディスプレイ装置の取付構造の、ディスプレイ装置と意匠パネルを車室側部材に取付けるときの、分解斜視図である。
【図4】本発明実施例のディスプレイ装置の取付構造の、ディスプレイ装置を車室側部材から取外すときの、分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明実施例のディスプレイ装置の取付構造を、図1〜図4を参照して説明する。
本発明実施例のディスプレイ装置の取付構造(以下、単に取付構造ともいう)は、図1に示すようなビルトインタイプであり後付けタイプではない車両用ディスプレイ装置10を、図2〜図4に示す車体側部材20に取付ける構造である。
【0010】
まず、ディスプレイ装置10が取付けられる車体側部材20について説明する。
【0011】
車体側部材20は、図3に示すように、車体(車両ボデー)または該車体に固定される部材であり、車両の内装部材を構成する意匠パネル30が車室側に配置されて取付けられる部材である。車体側部材20は、たとえば、意匠パネル30がインストルメントパネルである場合、インストルメントパネルの反車室側で車幅方向に延びるインパネリインホースメント20a、樹脂製および/または金属製でありインストルメントパネルの反車室側でインパネリインホースメント20aに直接固定して取付けられる骨組み部材20b、等である。
【0012】
車室側部材20の車室側に配置される意匠パネル30は、車体側部材20を車室側から覆うようにして車室側部材20に取付けられている。意匠パネル30は、たとえば、意匠パネル30と車体側部材20の一方に爪を設け、意匠パネル30と車体側部材20の他方に爪受けを設け、該爪と爪受けとを係合させることにより、車体側部材20に取付けられている。ただし、意匠パネル30の車体側部材20への取付けは、爪と爪受けとの係合に限定されるものではなく、ビス、ボルト等を用いて行なわれていてもよい。
【0013】
意匠パネル30には、ディスプレイ装置10の配設場所として使用される開口部31が設けられている。開口部31は、意匠パネル30を板厚方向に貫通して設けられている。開口部31の縁部とディスプレイ装置10との間の隙間を隠してディスプレイ装置10の周囲の意匠性を向上させるために、枠部材(ベゼル)70が設けられていることが望ましい。枠部材70は、ディスプレイ装置10の固定部材11に爪係合等により比較的容易に着脱可能に取付けられる。
【0014】
つぎに、ディスプレイ装置10について説明する。
【0015】
ディスプレイ装置10は、車体側部材20に取付けられる固定部材11と、表示面(画面)12aを備え固定部材11に取付けられて支持される表示部材12と、を備える。
【0016】
表示部材12は、固定部材11に固定して取付けられていてもよく、固定部材11にたとえば回動等可能(可動)に取り付けられていてもよい。表示部材12が固定部材11に可動に取付けられている場合、表示部材12は、たとえば、固定部材11に設けられる凹部11aに全体または略全体が受け入れられており表示面12aが車室乗員から視認不能な閉位置と、凹部11aから一部または全体が突出しており表示面12aが車室内側を向いており車室乗員から視認可能な開位置とに、可動とされている。なお、表示部材12が固定部材11に可動に取付けられている場合、表示部材12の固定部材11に対する移動は、ディスプレイ装置10の使用性を向上させるとともに高級感を高めるために図示略のアクチュエータを用いて行なわれていることが望ましい。
【0017】
ディスプレイ装置10は、ブラケット40を介して(用いて)、車体側部材20に取付けられる。
【0018】
ブラケット40は、たとえば金属製である。ブラケット40は、ディスプレイ装置10の幅方向(ディスプレイ装置10がインストルメントパネル部位に配置される場合、車両左右方向)に延びる長尺状の平板形状またはほぼ平板形状とされている。
【0019】
ブラケット40は、図2に示すように、ビス、ボルト等の締結部材41を用いて、長尺方向の両端部で車体側部材20に取付けられる。そのため、ブラケット40が長尺方向の一端部のみで車体側部材20に取付けられる場合に比べて、ブラケット40を安定して車体側部材20にて保持することができ、ひいては、ブラケット40を介して車体側部材20に取付けられるディスプレイ装置10を安定して車体側部材20にて保持することができる。
【0020】
ブラケット40と車体側部材20との取付け部(以下、第1の取付け部という)50は、意匠パネル30にて隠れる部分に設けられている。なお、「隠れる部分」とは、意匠パネル30の開口部31以外の部分によって覆われて隠れる部分であり、意匠パネル30によって第1の取付け部50に手や工具等が届かず意匠パネル30を車体側部材20から取外さなければブラケット40を車体側部材20から取外すことができない部分である。
【0021】
ブラケット40は、ビス、ボルト等の締結部材42を用いて、長尺方向の中間部で(両端部以外の部分で)、ディスプレイ装置10の固定部材11に取付けられる。ブラケット40は、締結部材42を外すことで、ディスプレイ装置10の固定部材11から取外し可能とされている。締結部材42は、少なくとも1個設けられていればよいが、ブラケット40と固定部材11との相対回転を防止するために、ブラケット40の長尺方向に間隔をおいて複数(たとえば2個)設けられていることが望ましい。
【0022】
ブラケット40とディスプレイ装置10との取付け部(以下、第2の取付け部という)51は、意匠パネル30によって隠れていない露出した部分に設けられている。なお、「露出した部分」とは、意匠パネル30の開口部31以外の部分によって覆われておらず開口部31を通して車室側から視認可能な部分であり、意匠パネル30を車体側部材20から取外さなくても第2の取付け部51に手や工具等が届きディスプレイ装置10をブラケット40から取外すことができる部分である。
【0023】
第2の取付け部51が車室乗員から見えてしまうことを抑制してディスプレイ装置10の見栄えを向上させるために、第2の取付け部51は、ディスプレイ装置10および/またはブラケット40に爪係合等により比較的容易に着脱可能な蓋部材(オープニングカバー)60によって覆われていることが望ましい。
【0024】
ここで、本発明実施例の(a)取付構造の取付け方法、および、(b)ディスプレイ装置10を車体側部材20から取外す際の取外し方法を説明する。
【0025】
(a)取付構造の取付け方法は、図3に示すように、
まず、ディスプレイ装置10とブラケット40とが互いに取付けられ、さらに蓋部材60がディスプレイ装置10および/またはブラケット40に取付けられた状態で(ディスプレイ装置10とブラケット40と蓋部材60をアッセンブリ化した状態で)、このアッセンブリを車両の組立ラインに搬送し、該組立ラインにて車体側部材20に取付ける第1の工程と、
ついで、意匠パネル30を車体側部材20に取付ける第2の工程と、
ついで、枠部材70を意匠パネル30の開口部31の周縁部に一部が被さるようにしてディスプレイ装置10に取付ける第3の工程と、
を有する。
【0026】
(b)ディスプレイ装置10を車体側部材20から取外す際の取外し方法は、図4に示すように、
まず、枠部材70をディスプレイ装置10から外す第1の工程と、
ついで、意匠パネル30が車体側部材20に取付けられた状態のままで、蓋部材60を外して第2の取付け部51を露出させ、ディスプレイ装置10を車体側部材20に取付けられた状態にあるブラケット40から取外す第2の工程と、
を有する。
【0027】
つぎに、本発明実施例の作用を説明する。
本発明実施例では、ブラケット40と車体側部材20との取付け部(第1の取付け部)50が意匠パネル30にて隠れる部分に設けられていても、ディスプレイ装置10とブラケット40との取付け部(第2の取付け部)51が意匠パネル30から露出した部分に設けられているため、意匠パネル30の露出部分を利用してディスプレイ装置10をブラケット40から取外すことで、ディスプレイ装置10を車体側部材20から取外すことができる。よって、ディスプレイ装置10の車体側部材20への取付け部50が意匠パネル30にて隠れる部分に設けられる場合であっても、従来に比べてディスプレイ装置10の車体側部材20からの取り外しを容易に行なうことができる。
【0028】
ディスプレイ装置10とブラケット40とが互いに取付けられ、さらに蓋部材60がディスプレイ装置10および/またはブラケット40に取付けられた状態で、このアッセンブリを車両の組立ラインに搬送し該組立ラインにて車体側部材20に取付けるため、ディスプレイ装置10とブラケット40と蓋部材60をアッセンブリ化させずにばらばらの状態で車両の組立ラインに搬送する場合に比べて、物流費を抑えることができる。また、車両の組立ラインにおける作業者の手間を省くことができ、コスト上有利である。
【符号の説明】
【0029】
10 ディスプレイ装置
11 固定部材
11a 凹部
12 表示部材
12a 表示面
20 車体側部材
20a インパネリインホースメント
20b 骨組み部材
30 意匠パネル
31 開口部
40 ブラケット
41、42 締結部材
50 第1の取付け部
51 第2の取付け部
60 蓋部材
70 枠部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ディスプレイ装置を車体または該車体に固定される部材である車体側部材に取付ける、ディスプレイ装置の取付構造であって、
前記ディスプレイ装置は、該ディスプレイ装置から取外し可能なブラケットを用いて、前記車体側部材に取付けられており、
前記ブラケットと前記車体側部材との取付け部は、車両の内装部材である意匠パネルにて隠れる部分に設けられており、
前記ディスプレイ装置と前記ブラケットとの取付け部は、前記意匠パネルから露出した部分に設けられている、ディスプレイ装置の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−116263(P2012−116263A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266318(P2010−266318)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】