説明

ディスプレイ装置及び駆動方法

ディスプレイ制御器40は、M行の画素を有するディスプレイに行選択パルス52,54,56を供給する処理装置62を有する。行選択パルス52,54,56は、行1のパルス52から行Mのパルス56へと増大する夫々の存続期間t1,t2,t3・・・tMを有する。処理装置62は、例えば、入来データを該入来データが受信されるレートでバッファ64に書き込み、行選択パルス存続期間の増大に対応する行レートでバッファ64からデータを読み出すことによって、パルス存続期間の増大に同期するよう画像データのタイミングを変更しても良い。また、ディスプレイ制御器40を有するディスプレイ装置と、ディスプレイ制御器40を用いてディスプレイ装置を駆動する方法とが記述される。行選択パルス存続期間t1,t2,t3・・・tMの増大は、所定の精度レベルにより、行の画素の増大する充電時間に対応するよう整えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行及び列に配置された画素を有するディスプレイ装置と、このようなディスプレイ装置用のディスプレイ制御器と、このようなディスプレイ装置の駆動又はアドレス指定方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
既知のディスプレイ装置は、液晶、ポリマー発光ダイオード、有機発光ダイオード、電界発光、スイッチングミラー、電気泳動、エレクトロクロミック及びマイクロメカニカル等のディスプレイ装置を含む。このような装置は、画素の配列を有する。動作の際に、このようなディスプレイ装置は、夫々の画素に対する個々の表示設定(例えば、しばしばグレースケールレベルと呼ばれる強度レベル及び/又は色)を含むデータ(例えばビデオ)信号により駆動又はアドレス指定をなされる。このデータは、「表示データ」又は「画像データ」であり、しばしば当該技術において単に「データ」と呼ばれる。
【0003】
夫々の画素は、アドレス指定方式によってその夫々の表示設定を供給される。アドレス指定方式では、画素の行は、1つずつ駆動され、当該行に含まれる夫々の画素は、画素の夫々の列に印加される異なった表示データによりそれ自体の設定を供給される。全ての行の夫々のアドレス指定は、行の夫々のアドレス指定の間に夫々の列に対応する表示データを印加することにより、フレームを構成する。通常、フレームの間に、夫々の行は、等しい時間量でアドレス指定される。
【0004】
表示データは、例えばパーソナルコンピュータ(PC)のような外部の供給源から供給される。表示データは、所定のフレーム周波数で、フレーム毎に基づいて供給される。即ち、表示データは、表示されるべき夫々のフレームに対してリフレッシュされる。
【0005】
標準的なフレーム周波数は50Hzである。即ち、フレーム時間は0.02sである。標準的なディスプレイは、1000行の画素を有しうる。このようなディスプレイでは、夫々のフレームにおいて個々の行のアドレス指定のために利用可能な時間(以後、「行時間」と呼ばれる。)は、0.02s/1000=20μsである(現在の説明の目的のために、夫々のフレームのセットアップ時間を無視する場合。)。「行時間」は、また、「ビデオ信号ライン時間」として知られる。
【0006】
この行時間は、その夫々の列へ印加される表示データ電圧により行の夫々の画素を充電するために利用可能な時間である。しかし、実際のディスプレイでは、列は、画素の列の実効抵抗−容量(RC)時定数と、関連接続とに起因して、表示データ電圧が列へ印加される場合に、表示データ電圧の全レベルに達するようある時間量を要する。従って、行時間は、例えば画素が完全に充電される機会を有し得ないので、例えば行の数及び/又はフレーム周波数のように、少なくともこれらの要素と性能基準との間の代償として、ディスプレイに性能制限を設けることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
更に、商業的及び技術的傾向は、より大きなディスプレイ及び/又はより高い解像度を有するディスプレイと、増大したフレーム周波数を有するディスプレイとに向かっている。このようなディスプレイは、低減された行時間を有する。例えば、2000本のライン及び100Hzのフレーム周波数を有するディスプレイは、たった5μsの行時間しか有さない。従って、このようなディスプレイは、実際のディスプレイにおいて、列は、表示データ電圧が列に印加される場合に表示データ電圧の全レベルに達するためにある時間量を要するという事実に比べて、行時間の制限に基づいてより一層潜在的に遅らせられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画素の列の実効抵抗−容量(RC)と関連する接続とが、例えば、画素の所定の列に関して、表示データ電圧が印加されるところに最も近い(電気接続に関して、即ち、一直線上で全く反対側にある)画素が、その列における画素のうち最も低いRC時定数を有し、一方、表示データ電圧が印加されるところから最も離れた(先と同じく電気接続に関して、即ち、一直線上で全く反対側にある)画素が、その列における画素のうち最も高いRC時定数を有するように、画素の列に沿って分布することを実現している。(便宜上、表示データ電圧が印加されたところに最も近い画素は、「列駆動部に最も近い」又は「列の先頭にある」画素と考えられても良い。同様に、表示データ電圧が印加されるところから最も離れた画素は、「列駆動部から最も遠くにある」又は「列の最後尾にある」画素と考えられても良い。)中間の画素は、列の先頭における最低値から列の最後尾における最高値まで増大するよう変化するRC時定数を有する。本発明者は、従来のディスプレイでは等しい行時間が列の夫々の画素へ印加されるので、行時間が、最も低い画素に対して十分な充電時間を許容するために、最も高い画素の大部分に対して過大とされうることを更に実現している。即ち、ディスプレイにおいて、それらの極限で、等しい行時間は、たとえその行時間が列において最も高い画素に所望の充電程度を許容するに足るほど十分であっても、列において最も低い画素の所望の充電程度を許容するに足るほど十分に長くなくても良い。
【0009】
第1の態様では、本発明は、ディスプレイの行1からMの夫々に対して夫々の行選択パルスを供給するディスプレイ制御器を有し、前記行選択パルスは、行1に対するパルスから行Mに対するパルスへと増大する夫々の存続期間を有し、前記パルス存続期間の増大は:(a)行毎;(b)複数の連続する行を有する行のセット毎;又は(c)複数の連続する行を有する行のセット毎と行毎との混合;のうち1つに基づく。言い換えると、夫々のパルス存続期間は、表示データ電圧が印加されるべきところに(電気接続に関して)最も近い画素から、表示データ電圧印加されるべきところから(電気接続に関して)最も離れた画素までの画素の夫々の列に沿って増大する。あるいは、また更に言い換えると、夫々のパルス存続期間は、それらが、行1から行Mまで列に沿う方向に増大するように特定の行の関数として変化する。あるいは、また更に言い換えると、フレームにおいて、所定の行又は連続する行から成るセットに対する行選択パルスは、所定の行の前にある行に対する行選択パルスよりも長い。
【0010】
前記ディスプレイ制御器は、更に、前記ディスプレイに対する画像データを受信し、該画像データのタイミングを前記行選択パルス存続期間の増大と同期するよう変更するよう配置されても良い。
【0011】
前記ディスプレイ制御器は、処理装置及びデータバッファを有しても良い。前記バッファ及び前記処理装置は、該処理装置が、入来データを該入来データが受信されるレートで前記バッファに書き込み、前記行選択パルス存続期間の増大に対応する行レートで前記バッファから前記データを読み出すことによって前記データのタイミングを変更するよう、配置される。この配置は、有利に、バッファ内の比較的少量のメモリ空間しか必要としない。
【0012】
所定のセット内の行の数は、1又はそれ以上の前のセット内の行の数より少なくても良い。これは、行1から始まる行の比較的大部分に及ぶ程の数のセットを有することによってのみ処理の全量を制限する間の平衡を可能にし、更に、行Mに最も近い行に対して適度に高い精度を許容しうる。この場合に、充電時間の増大から生ずる上記で確認された問題は、最も深刻となりうる。
【0013】
前記行の全てに対する行選択パルスの全存続期間は、フレームのセットアップ時間よりも少ない前記ディスプレイのフレーム時間と実質的に等しくても良い。
【0014】
更なる態様では、本発明は、上述した態様のいずれかに従うディスプレイ制御器を有するディスプレイ装置を提供する。
【0015】
更なる態様では、本発明は、前の段落で述べた形式のディスプレイ装置の駆動方法を提供する。当該方法は、上述したディスプレイ制御器の機能性の様々な態様のうちいずれかに対応する方法で、行1から行Mへと行選択パルス存続期間を増大させながら、前記ディスプレイの行1からMまでの夫々に対して夫々の行選択パルスを供給するステップを有する。
【0016】
更なる態様では、本発明は、M行の画素を有するディスプレイに、行1に対するパルスから行Mに対するパルスへと増大する夫々の存続期間を有する行選択パルスを供給する処理装置を有するディスプレイ制御器を提供する。前記処理装置は、例えば、入来データを該入来データが受信されるレートで前記バッファに書き込み、前記行選択パルス存続期間の増大に対応する行レートで前記バッファから前記データを読み出すことによって、前記パルス存続期間の増大に同期するよう画像データのタイミングを変更しても良い。更なる態様では、本発明は、前記ディスプレイ制御器を有するディスプレイ装置と、前記ディスプレイ制御器を用いて前記ディスプレイ装置を駆動する方法とを提供する。行選択パルス存続期間の増大は、所定の精度レベルにより、行の画素の増大する充電時間に対応するよう整えられても良い。
【0017】
本発明は、画素の列に沿って生じ、然るべく増大する分布充電時間をもたらす分布実効抵抗−容量(RC)の形から生ずる問題を軽減しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施例を、一例として添付の図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施例が実施されるアクティブマトリクス液晶ディスプレイ装置の回路図である。当該ディスプレイ装置は、ビデオ画像の表示に適した装置であって、夫々の行にN個の水平に配置された画素10(1からN)を有するM行(1からM)から成る画素の行及び列の配列を有するアクティブマトリクス・アドレス指定式液晶ディスプレイ装置を有する。
【0020】
夫々の画素は、薄膜トランジスタTFT12の形をした夫々の切替え装置に結合されている。同じ行で画素に結合された全てのTFT12のゲート端子は、共通の行導電体14へ接続されている。行導電体14には、動作の際に、選択(ゲート)信号が供給される。同様に、同じ列で全ての画素に結合されたソース端子は、データ(ビデオ)信号が供給される共通の列導電体16へ接続されている。TFT12のドレイン端子は、夫々、画素の一部を形成して、範囲を定める夫々の画素電極18へ接続されている。導電体14及び16と、TFT12と、電極18とは、1つの透明なプレート上に載せられ、一方、第2の間隔を空けて置かれた透明なプレートは、通常は共通電極と呼ばれる、全ての画素に共通する電極を載せる。液晶は、プレート間に配置されている。
【0021】
表示パネルは、以下のように動作する。一方の側に配置された光源からの光は、パネルに入り、画素10の伝送特性に従って変調される。当該装置は、TFTの夫々の行をオンとするように選択(ゲート)信号により順次に行導電体14を走査し、次に、完全な表示フレーム(画像)を形成するように選択信号に同期して適切に画像表示素子の夫々の行の列導電体へデータ(ビデオ)信号を順に印加することによって、同時に1つの行を駆動される。アドレス指定時に1つの行を用いると、選択された行の全てのTFTは、データ信号が列導電体16から画素電極18へ伝送されるビデオ信号ライン時間に対応する選択信号の存続期間によって決定される期間にオンに切り替えられる。
【0022】
選択信号が終了すると、行のTFT12は、フレーム期間の残りの期間にオンとされ、それによって、画素を導電体16から分離し、画素が次のフレーム期間にアドレス指定される次の時間まで、印加された電荷が画素に蓄えられることを確実にする。
【0023】
行導電体14は、タイミングパルスを含むディスプレイ制御器40からの選択信号によって制御されるデジタルシフトレジスタを有する行駆動回路30によって、選択信号を連続的に供給される。選択信号間の間隔では、行導電体14は、行駆動回路30によって実質的に一定の基準電位を供給される。ビデオ情報信号は、本願では基本的な形で示されており、1又はそれ以上のシフトレジスタ/サンプル・アンド・ホールド回路を有する列駆動回路35から列導電体16へ供給される。列駆動回路35は、ディスプレイ制御器40からのビデオ信号をバス31により供給される。列駆動回路35は、また、ディスプレイ制御器40からのタイミングパルスをバス31により供給される。ビデオ信号及びタイミングパルスは、パネル25のアドレス指定と同時に行に適した直並列変換を供給するよう、行の走査と同期して供給される。
【0024】
選択信号のタイミングと、他のタイミング及びデータ信号の対応する付加とに関して以下で別な方法で述べられる装置を除き、液晶ディスプレイ装置の他の詳細は、如何なる従来のアクティブマトリクス液晶ディスプレイ装置のようであっても良い。この特定の実施例において、このような他の詳細は、参照することにより本書に含まれるUS5,130,829に開示される液晶ディスプレイ装置と同じであって、同じく動作する。
【0025】
図2は、液晶表示パネル25の列におけるRC負荷を表す電気回路の略図である。図1から明らかであるように、列導電体16は、列の画素P、P、P・・・Pの夫々を接続されている。この接続は、図2に示す分布RC負荷を有する。列導電体16と夫々の画素P、P、P・・・Pとの間には、夫々の実効容量C、C、C・・・Cが存在する。更に、列導電体16は、夫々の画素に対して実効累積抵抗を有する。即ち、画素Pに対する実効抵抗Rと、画素Pに対する更なる実効抵抗Rと、画素Pに対する更なる実効抵抗Rと、その他画素Pに対する更なる実効抵抗Rとが存在する。
【0026】
実効容量C、C、C・・・C及び実効抵抗R、R、R・・・Rの効果は、画素PからPへ(即ち、行1から行Mへ)列を下って増大する分布RC負荷を形成することである。
【0027】
この増大するRC負荷の効果は、画素の充電時間が画素PからPへ(即ち、行1から行Mへ)列を下って増大することである。この増大の詳細な形は、考慮中の特定の表示パネルの設計及び材質に依存し、多少複雑な関係である傾向を有しうる。しかし、図3は、定性的にこの増大する充電時間を示すノンスケールの略図である。更に具体的には、図3は、画素P及びPの電圧対時間に関して代表的な画素充電曲線40を示す。
【0028】
図2に示されるRC特性を含み、図3に示される充電時間の増大をもたらす本実施例の液晶表示パネル25の詳細は、従来技術の液晶表示パネルと共通する。しかし、従来技術の液晶表示パネルの場合と同様に、本実施例の液晶表示パネル25は、充電時間の増大から生ずる有害な影響を軽減する傾向を有する行アドレス指定方式を提供するよう構成されている。
【0029】
これは、最初に一般的な従来技術の行アドレス指定方式の以下の概要を考えることによって、最も良く理解されるであろう。従来技術の行アドレス指定方式は、図4において概略的に、即ち、ノンスケールで表される。更に具体的には、図4は、従来技術の行アドレス指定方式に関して、以下の行、即ち、行1、行M/2及び行M(行選択パルスは、実際には、行1からMの全てに印加されるが、明瞭さのために、記述される3つの例しか図4には示されない。)の夫々へ夫々印加される行選択パルス42、44、46を示す。夫々の行選択パルスの夫々の存続期間は、tが行1に対する行選択パルス42の存続期間であり、tM/2が行M/2に対する行選択パルス44の存続期間であり、tが行Mに対する行選択パルス46の存続期間であるように示されている。従来技術の行アドレス指定方式では、全ての行の行選択パルスの存続期間は等しく、即ち、図4に関しては、t=tM/2=tである。
【0030】
図5は、図4と同じ形式での本実施例の行アドレス指定方式の概略図である。図5は、本実施例の行アドレス指定方式に関して、以下の行、即ち、行1、行M/2及び行M(行選択パルスは、実際には、行1からMの全てに印加されるが、明瞭さのために、記述される3つの例しか図5には示されない。)の夫々へ夫々印加される行選択パルス52、54、56を示す。夫々の行選択パルスの夫々の存続期間は、tが行1に対する行選択パルス52の存続期間であり、tM/2が行M/2に対する行選択パルス54の存続期間であり、tが行Mに対する行選択パルス56の存続期間であるように示されている。本実施例の行アドレス指定方式では、夫々の行の行選択パルスの存続期間は、行1から行Mへと増大する。即ち、図5に関しては、t<tM/2<tである。
【0031】
夫々の行の行選択パルスの存続期間の増大は、行1と行Mとの間の夫々の行の特定の行の関数として、所望の精度レベルにより、行の画素の充電時間の増大に対応するよう整えられる。これは、より高い精度レベルを導入することが、より正確な補正と、ひいてはより多くの性能利点とをもたらしうるが、より複雑な処理を負うという代償を有する。精度レベルは、考慮中の特定のディスプレイ装置及び事情に従って、この代償を考慮して当業者によって導入されうる。例えば、簡単にするために、行の画素の充電時間の増大が行の数と共に線形に増大しない場合でさえも、行全体に亘る夫々の行の行選択パルスの存続期間の増大を線形増大として実施することが適切でありうる。
【0032】
更に、図3に関連して上述したように、行1と行Mとの間の夫々の行の特定の行の関数としての行の充電時間の増大の詳細な形は、考慮中の特定の表示パネルの設計及び材質に依存し、多少複雑な関係である傾向を有しうる。従って、これは、商業的及び/又は技術的考慮の観点から、本発明が適用されている特定の表示パネルに対して適切に選択された方法で、当業者によって、推定及び/又は計算及び/又は測定により決定される。
【0033】
また更に、夫々の行の行選択パルスの存続期間の増大は、以下の方法のいずれかで実施されても良い。
【0034】
(a)個々の行毎に基づく実施。即ち、行1から行Mまでの夫々の個々の行は、t<t<t<t・・・tM−1<tであるように、異なる(前の行に比べて増大した)存続期間を供給される。これは、最も正確な補正を与えるが、複雑な処理を必要とする代償を負う。
【0035】
(b)連続する行から成り、等しい大きさに合わせられたセット又はブロックに行を分割することによる実施。これは、例えば、1000行を有する、即ち、M=1000であるディスプレイの場合に、1セットが100行から成る10セットに行を分けることを意味する。この場合に、第1のセットは、行1から100を有し、第2のセットは、行101から200を有し、以下同様である。その場合に、行の夫々の個々のセットは、t1〜100<t101〜200<t201〜300・・・<t(M−99)〜Mであるように、異なる(前の行に比べて増大した)存続期間を供給される。これは、処理の段階を減らすが、表示パネルの行全体に亘る補正の段階を依然として提供する。等しい大きさに合わせられたブロックは、如何なる所望の大きさであっても良い。例えば、上記例において、1セットが100行から成る10セットの代わりに、1セットが10行から成る100セットが存在しても良い。一般的に、セットの数が低くなればなるほど、処理はより簡単になるが、精度はより低下するという代償を負う。
【0036】
(c)連続する行から成り、等しくない大きさに合わせられたセット又はブロックに行を分割することによる実施。これは、例えば、1000行を有する、即ち、M=1000であるディスプレイの場合に、10セットに行を分けることを意味する。この場合に、最初の4セットは、夫々200行を有し、次に、最後の10セットは、夫々20行を有する。これは、最初の800行の範囲に亘る4セットのみを有することによって処理の総量を制限する間の平衡を提供する。この場合に、例えば、充電時間は、有効なアドレス指定時間によってまあまあ良く補われ、更に、より低い行、この例では、行801から1000に対して、適度に高い精度を実現しうる。この場合に、充電時間の増大により生ずる問題は、最も深刻となりうる。この例において、セットは、等しい大きさに合わせられたセットの2つの主なグループに分割されるが、他の例では、如何なる広がりが要求に応じて使用されても良く、例えば、全てのセットが、異なる数の行を有しても良い。
【0037】
(d)上述した可能性(a)、(b)及び(c)のうちのいずれか2つ又は全てのいずれかの組合せによる実施。
【0038】
上記実施例の全てにおいて、全ての行の行選択パルスの総存続期間は、望ましくは、(夫々のフレームのセットアップ時間よりも少ない)従来のフレーム時間に等しくされる。
【0039】
図6は、図1を参照して先に説明されたディスプレイ制御器40の更なる詳細を示すブロック図である。ディスプレイ制御器40は、上記方法いずれかに従って行選択パルスの存続期間の増大を実施するための機器の一実施例を表す。
【0040】
ディスプレイ制御器40は、通常集積回路(IC)の形をしており、ランダムアクセスメモリ(RAM)バッファ64へ結合されたタイミング及びデータ処理装置62を有する。
【0041】
ディスプレイ制御器40は、例えばPCのような外部のデータ供給源へ結合するための入力部66と、行駆動回路30(図1参照。)へ結合するための出力部67と、バス31/列駆動回路35(図1参照。)へ結合するための出力部68とを更に有する。
【0042】
動作の際に、タイミング及びデータ処理装置62は、行選択信号70を作り、これを出力部67を介して行駆動回路30へ印加する。上述したように、行選択信号70は、夫々の行に対する夫々の行選択パルス(例えば、図5に示した52、54、56。)を有するタイミング信号である。該パルスは、行1に対するパルスから行Mに対するパルスへと増大する存続期間を有する。
【0043】
また、タイミング及びデータ処理装置62は、入力部66を介して従来通りにタイミングを合わせられた入力ビデオデータ72を受信する。タイミング及びデータ処理装置62は、入来データ72を入来データ72が受信される一定の行レートでRAMバッファ64に書き込み、該データを上記行選択パルスの増大した存続期間に対応する行レートで読み出すことによって、データ72のタイミング変更を制御し、タイミング変更されたデータ74を供給する。
【0044】
タイミング及びデータ処理装置62は、タイミング変更された表示データ74を出力部68を介してバス31へと、従って列駆動回路35へと出力する。
【0045】
この方法で、列駆動回路35によって列導電体16へ印加されるデータは、行駆動回路30によって行導電体14へ印加される変化する行選択信号(即ち、変化する行選択パルス存続期間)に同期する。
【0046】
しばしば、RAMバッファ64において必要とされるメモリ空間の量は、以下のように、データのフレーム全体を保存するために必要とされる量よりも著しく少ないことがある。フレームの開始時に、ディスプレイは、データが到達するよりも速くアドレス指定され、一方、フレーム時間の終了時には、データは、ディスプレイがアドレス指定されるよりも速く到達する。これは、フレームの第2の半分の間に到達するデータが、徐々にメモリを満たしていくことを暗示する。フレーム時間の第1の半分の間に、メモリは、再び、徐々に読み出される。フレーム時間全体は不変であり、ディスプレイは絶えずアドレス指定されているとすると、従って、RAMバッファ64において必要とされる全メモリは、フレーム保存よりも少なく、しばしば著しく少ない。例えば、50Hzで上記1000本ラインを有するディスプレイの場合には、公称の行時間は20μsである。これは、行1に対する16μsから行1000に対する24μsへの行選択存続期間の線形連続変化に関して、たった50行のデータのメモリ必要性しかRAMバッファ64に与えない。
【0047】
上記実施例では、特定の処理装置及びバッファの配置を有する特定のディスプレイ制御器と、特定の行及び列駆動配置とが用いられている。当然のことながら、他の実施例において、これらの要素のいずれか又は全ての詳細が、上記実施例において用いられた要素とは異なっても良い。更に、上記実施例において、存続期間の増大をもたらすためのビデオデータ信号及び/又は行選択信号の処理は、ディスプレイ装置内の要素によって実行されるが、他の実施例では、このような処理が、ディスプレイ装置から離れて実行されても良い。例えば、行選択パルス存続期間増大方式の標準化された形式が取り決められても良く、その場合に、ビデオ入力は、この方式に従って予め設定された状態で供給されても良い。
【0048】
上記実施例は、比較的大きなディスプレイにおいて実施され、実際に、本発明は、大きなディスプレイ、例えば多数の行、及び/又は高解像度を有するディスプレイ及び/又は高いフレーム周波数を有するディスプレイに対する特定の潜在的利益である。しかし、当然のことながら、本発明は、それでもなお、より小さな大きさ/解像度/フレーム周波数のディスプレイにも適用されうる。
【0049】
上記実施例は、アクティブマトリクス・アドレス指定式液晶表示パネルを有するアクティブマトリクス液晶ディスプレイ装置において実施される。しかし、他の実施例において、本発明は、例えば、プラズマ、ポリマー発光ダイオード、有機発光ダイオード、電界放出、スイッチングミラー、電気泳動、エレクトロクロミック及びマイクロメカニカル等のディスプレイ装置を含む他の形式の配列ディスプレイ装置において実施されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施例が実施されるアクティブマトリクス液晶ディスプレイ装置の回路図である。
【図2】図1の液晶ディスプレイ装置の列におけるRC負荷を表す電気回路の略図である。
【図3】液晶ディスプレイ装置の列を下って増大する画素の充電時間を示すノンスケールの略図である。
【図4】従来技術の行アドレス指定方式に関して、ディスプレイ装置の行1、M/2及びMへ夫々印加される行選択パルスを示す。
【図5】図4と同じ形式で、第1の実施例に従うディスプレイ装置の行1、M/2及びMへ夫々印加される行選択パルスを示すノンスケールの略図である。
【図6】図1の液晶ディスプレイ装置の一部であるディスプレイ制御器の更なる詳細を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
M行の画素を有するディスプレイに行選択信号を供給する処理装置を有し、
前記行選択信号は、夫々の行に対して夫々の行選択パルスを有し、
前記行選択パルスは、行1に対するパルスから行Mに対するパルスへと増大する夫々の存続期間を有し、
前記パルス存続期間の増大は:
(a)複数の連続する行を有する行のセット毎;又は
(b)複数の連続する行を有する行のセット毎と、行毎との混合;
のうち1つに基づくことを特徴とするディスプレイ制御器。
【請求項2】
前記処理装置は、更に、前記ディスプレイに対する画像データを受信し、該画像データのタイミングを前記行選択パルス存続期間の増大と同期するよう変更するために用いられる、ことを特徴とする請求項1記載のディスプレイ制御器。
【請求項3】
バッファを更に有し、
該バッファ及び前記処理装置は、該処理装置が、入来データを該入来データが受信されるレートで前記バッファに書き込み、前記行選択パルス存続期間の増大に対応する行レートで前記バッファから前記データを読み出すことによって、前記データのタイミングを変更するよう、配置されることを特徴とする請求項2記載のディスプレイ制御器。
【請求項4】
所定のセット内の行の数は、1又はそれ以上の前のセット内の行の数より少ない、ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載のディスプレイ制御器。
【請求項5】
前記行の全てに対する行選択パルスの全存続期間は、フレームのセットアップ時間よりも少ない前記ディスプレイのフレーム時間と実質的に等しい、ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のディスプレイ制御器。
【請求項6】
M行及びN列に配置された画素の配列と、行駆動回路と、ディスプレイ制御器とを有し、
該ディスプレイ制御器は、前記行駆動回路へ行選択パルスを供給するよう配置され、
前記行選択パルスは、行1に対するパルスから行Mに対するパルスへと増大する夫々の存続期間を有し、
前記パルス存続期間の増大は:
(a)複数の連続する行を有する行のセット毎;又は
(b)複数の連続する行を有する行のセット毎と、行毎との混合;
のうち1つに基づくことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項7】
処理装置は、更に、前記ディスプレイに対する画像データを受信し、該画像データのタイミングを前記行選択パルス存続期間の増大と同期するよう変更するために用いられる、ことを特徴とする請求項6記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
バッファを更に有し、
該バッファ及び前記処理装置は、該処理装置が、入来データを該入来データが受信されるレートで前記バッファに書き込み、前記行選択パルス存続期間の増大に対応する行レートで前記バッファから前記データを読み出すことによって、前記データのタイミングを変更するよう配置される、ことを特徴とする請求項7記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
所定のセット内の行の数は、1又はそれ以上の前のセット内の行の数より少ない、ことを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか一項記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記行の全てに対する行選択パルスの全存続期間は、フレームのセットアップ時間よりも少ない前記ディスプレイのフレーム時間と実質的に等しい、ことを特徴とする請求項6乃至9のうちいずれか一項記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
M行及びN列に配置された画素の配列を有するディスプレイ装置の駆動方法であって、
行1に対するパルスから行Mに対するパルスへと、
(a)複数の連続する行を有する行のセット毎;又は
(b)複数の連続する行を有する行のセット毎と、行毎との混合;
のうち1つに基づいて増大する夫々の存続期間を有する行選択パルスを夫々の行へ供給するステップを有する、ディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項12】
前記行選択パルス存続期間の増大に同期するよう画像データのタイミングを変更するステップを更に有する、請求項11記載のディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項13】
前記画像データのタイミングを変更するステップは、入来データを該入来データが受信されるレートでバッファに書き込み、前記行選択パルスの増大に対応するレートで前記バッファから前記データを読み出すステップを有する、ことを特徴とする請求項12記載のディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項14】
所定のセット内の行の数は、1又はそれ以上の前のセット内の行の数より少ない、ことを特徴とする請求項11乃至13のうちいずれか一項記載のディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項15】
前記行の全てに対する行選択パルスの全存続期間は、フレームのセットアップ時間よりも少ない前記ディスプレイのフレーム時間と実質的に等しい、ことを特徴とする請求項11乃至14のうちいずれか一項記載のディスプレイ装置の駆動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2007−521520(P2007−521520A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548491(P2006−548491)
【出願日】平成17年1月4日(2005.1.4)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050025
【国際公開番号】WO2005/069261
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】