説明

ディーゼルパティキュレートフィルタ再生用排気弁作動システム

【課題】効果的なディーゼルパティキュレートフィルタの再生を可能にする。
【解決手段】ディーゼルパティキュレートフィルタ(24)のところでの再生を開始させる排気弁作動システム(30)がエンジン(14)と関連したエンジン制御モジュール(42)を有する。複数の排気弁(32)が複数のエンジンシリンダ(C1〜C6)に対応している。所定の大きさの背圧と温度とのうちの一方又は両方がエンジン制御モジュールに伝えられると、エンジン制御モジュールは少なくとも1つの排気弁(32)を作動させてこれが開くようにする。気体又は気体・燃料混合気が開放状態の排気弁に対応したシリンダ(C1)内で圧縮されて加熱される。少なくとも1つの排気弁は、エンジン制御モジュールによって開放されず、それにより対応のシリンダ(C2)内での燃焼が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において説明する実施形態は、排気ガスを加熱するシステム及び方法に関する。特に、本明細書において説明する実施例は、ディーゼルパティキュレートフィルタを再生させるよう排気ガスを加熱するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル車両の排気ガス後処理システムは、エンジンから放出された排気ガスを処理するためにエンジンの下流側に配置される。後処理システムは、典型的には、ディーゼルエンジン用酸化触媒(DOC)及びディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を含む。排気ガスからのパティキュレート(粒状物質)は、ディーゼルパティキュレートフィルタ上に堆積し、未チェック状態のままであれば、後処理システム及びディーゼルエンジン中に背圧を生じさせる場合がある。再生を行わない場合、DPFは、スート(すす状物質)で詰まった状態になる場合があり、エンジンは、正しく作動しない場合がある。
【0003】
再生は、通常のディーゼルエンジン作動中における後処理システム中の捕集されたパティキュレートの定期的酸化である。排気系統のディーゼルパティキュレートフィルタにパティキュレートが堆積すると、パティキュレートは、フィルタを「再生」するよう酸化される。再生は、典型的には、エンジン負荷を増大させ、排気流中へのディーゼル燃料の後噴射を作動させることによって開始される。エンジン負荷の増大と後噴射の組み合わせにより、ディーゼルパティキュレートフィルタ内の捕集されたパティキュレートを酸化するのに十分な熱が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アイドリング又は部分負荷作動条件の間、燃焼サイクル中に噴射される燃料は、DPF再生サイクルを開始させるのに十分な排気ガス温度を維持するのに十分であるとはいえない。したがって、エンジンの負荷は、ディーゼルパティキュレートフィルタのところの下流側の再生を開始するのに十分に加熱された状態の排気ガスを提供するよう増大されなければならない。しかしながら、多くの車両は、「ストップ・アンド・ドライブ(のろのろ運転)」又はしばしばアイドリング方式で作動し、その結果生じる排気ガスは、再生を生じさせるのに十分に高い温度を持つことがない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ディーゼルパティキュレートフィルタのところでの再生を開始させる排気弁作動システムは、エンジンと関連したエンジン制御モジュールを有する。複数個の排気弁が複数個のエンジンシリンダに対応している。所定の大きさの背圧又は所定の温度のうちのいずれか一方又はこれら両方がエンジン制御モジュールに伝えられると、エンジン制御モジュールは、少なくとも1つの排気弁を作動させてこれが開くようにする。開かれた状態の排気弁に対応したシリンダ内でガスを圧縮すると共に加熱する。少なくとも1つの排気弁は、エンジン制御モジュールによって開かれることはなく、それにより、対応のシリンダ内での燃焼が可能になる。
【0006】
エンジンの排気ガス後処理システムを再生する方法は、エンジンからディーゼルパティキュレートフィルタに至る流体通路を用意するステップを有する。この方法は、後処理システムの背圧若しくは後処理システムの温度又はこれら両方を検出してこれらをエンジン制御モジュールに伝えるステップを更に有する。エンジン制御モジュールは、背圧若しくは温度又は両方を所定の背圧若しくは所定の温度又はこれら両方と比較する。比較結果に基づいて、エンジン制御モジュールは、シリンダの少なくとも1つの排気弁を作動させ、排気弁は、シリンダ内のガスを圧縮するよう開かれる。シリンダからの加熱圧縮状態のガスは、流体連通によりディーゼルパティキュレートフィルタに導かれる。燃焼が残りのシリンダのところで送り続けることができるようにするために、全ての排気弁がエンジン制御モジュールによって開かれるわけではない。残りのシリンダからの加熱状態の排気も又、流体連通によりディーゼルパティキュレートフィルタに導かれる。
【0007】
ディーゼルパティキュレートフィルタのところでの再生を開始させる排気弁作動システムがエンジンと関連したエンジン制御モジュールを有する。このシステムは、後処理システムのところの温度を検出する温度センサか後処理システムのところの圧力を検出する背圧センサかのいずれか一方又はこれら両方を有する。温度若しくは背圧又は両方は、エンジン制御モジュールに伝えられる。複数個の排気弁がエンジンの複数個のシリンダに対応している。高圧油マニホルドがエンジンと関連しており、高圧油マニホルドは、噴射装置油ギャラリからの油が排気弁ギャラリに流れるのを選択的に阻止する遮断弁を有する。所定の大きさの背圧か所定の温度かのいずれか一方又は両方がエンジン制御モジュールに伝えられると、エンジン制御モジュールは、遮断弁を作動停止させる。遮断弁の作動停止により、噴射装置油ギャラリからの油が排気弁ギャラリに流れて少なくとも1つの排気弁を開くことができる。排気弁のうちの少なくとも1つは、エンジン制御モジュールによって開くように作動されることはなく、それにより対応のシリンダ内での燃焼が可能になる、排気弁作動システム。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】排気ガス後処理システムを備えたエンジンの略図であり、ディーゼルパティキュレートフィルタがエンジンの下流側に配置されている状態を示す図である。
【図2】エンジンから加熱状態のガスを提供する排気弁作動システムの略図である。
【図3A】排気弁作動システムが作動されていないときの排気弁作動システムの高圧油マニホルドの断面図である。
【図3B】排気弁作動システムが作動されていないときの排気弁作動システムの高圧油マニホルドの横断面図である。
【図4A】排気弁作動システムが作動されているときの排気弁作動システムの高圧油マニホルドの断面図である。
【図4B】排気弁作動システムが作動されているときの排気弁作動システムの高圧油マニホルドの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、車両の排気ガス後処理システムが全体を符号10で示されており、この排気ガス後処理システムは、エンジン14から出口16、例えば周囲18への出口まで延びる排気管組立体12を有している。排気管組立体12は、排気ガスFがエンジン14から周囲18に流れることができるようにする流体通路20を形成している。
【0010】
排気管組立体12の第1の部分22が、エンジン14からディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)24まで延びている。DPF24は、非常に高い温度に耐える材料で構成されたフィルタである。DPF24は、排気ガス後処理システム10中に排出された排気ガス内に同伴されているパティキュレート(粒状物質)を捕捉してこれを保持する。DPF24は、排気ガス後処理システム10の背圧の増大を制限すると共にエンジン14の効率を維持するために定期的に再生される。ディーゼルエンジン用酸化触媒(DOC)26がDPF24の上流側に配置されるのが良い。排気管組立体12の第2の部分28は、DPF24から出口16まで延びている。後処理システム10に他のコンポーネントを設けても良い。
【0011】
次に図1〜図4Bを参照すると、排気弁作動システム30がエンジン14の少なくとも1つのシリンダC1を、燃料噴射及び燃焼を止めるよう作動停止させる。シリンダC1は、作動停止されたシリンダに対応した排気弁32を開き、圧縮力を用いて作動停止されるシリンダ内のガスの温度を上げることによって、作動停止される。
【0012】
作動停止状態のシリンダC1では、シリンダシステム34が空気取り入れ口36によって受け入れられた空気を圧縮し、それにより空気の温度を高める。加熱された空気は、部分的に開かれた排気弁32を通ってシリンダC1から放出され又は抽出されて排気マニホルド38に送られ、そしてDPF24に導かれる。シリンダC1内での圧縮によって生じた高い圧力は、エンジン14のクランクシャフト(図示せず)の回転に抵抗する傾向のある制動力でもある。
【0013】
図1のエンジン14が6つのシリンダC1〜C6を備えているが、排気弁作動システム30を少なくとも2つのシリンダを備えた任意のエンジンに使用できるということに問題はない。さらに、排気弁作動システム30が少なくとも1つシリンダC1を作動停止させるが、このシステムは、作動状態のシリンダの数と同数のシリンダを作動停止させるのが良く、或いは、変形例としてこれとは等しくない数のシリンダを作動停止させることができる。以下の説明する排気弁作動システム30は、エンジン14の複数個のシリンダC1,C3,C5の排気弁32を開く。
【0014】
少なくとも1つのシリンダC2は、排気弁作動システム30によって作動停止されることはない。作動状態のままである残りのシリンダC2,C4,C6は、燃料噴射装置40のところで噴射燃料を引き続き受け入れて引き続き燃料を燃焼させてエンジン速度を維持する。燃料を燃焼させていない非作動状態のシリンダC1,C3,C5を補償すると共にエンジン14のクランクシャフトに対する非作動状態のシリンダの抵抗に打ち勝つため、作動状態のシリンダC2,C4,C6は、燃料噴射装置40のところで増量した燃料を受け入れるのが良い。作動状態のシリンダC2,C4,C6から結果として生じる排気ガスは、温度が上昇している。
【0015】
作動停止状態のシリンダC1,C3,C5からの加熱圧縮状態のガスと作動状態のシリンダC2,C4,C6からの加熱状態の排気ガスの組み合わせにより、DPF24のところでの再生を開始させるのに十分な熱が排気ガスに与えられる。排気弁作動システム30により、エンジン14は、エンジン14が低アイドリング及び低エンジン負荷条件で作動している間、作動停止状態のシリンダC1,C3,C5からの加熱圧縮状態のガスを提供すると共に作動状態のシリンダC2,C4,C6からの加熱状態の排気ガスを提供する。
【0016】
排気弁作動システム30は、高圧マニホルド46に取り付けられた排気ガス遮断弁44を制御するエンジン制御モジュール(ECM)42を有する。ブレーキ制御圧力センサ48及び噴射圧力センサ50を高圧マニホルド38に設けて排気弁ギャラリ52内の油圧及び高圧マニホルドの噴射装置油ギャラリ54内の油圧をモニタしてこれらをECM42に伝えるようにするのが良い。
【0017】
排気ガス背圧センサ56が例えば排気マニホルド38又はDPF24のところの後処理システム10内の背圧をモニタし、背圧をECM42に伝える。背圧は、後処理システム10の2つの場所、例えば、DPF24の上流側の場所と下流側の場所との間の圧力の変化分であるといえる。
【0018】
温度センサ58がDPF24、排気マニホルド38又はシリンダC1〜C6とDPFとの間のどこかの場所の温度を検出し、この温度をECM42に伝える。この温度は、後処理システム10の2つの場所、例えばDPF24の上流側の場所と下流側の場所との間の温度の変化分であるといえる。
【0019】
ECM42は、所定の背圧値、排気弁ギャラリ圧力値、噴射装置油ギャラリ圧力値及び温度値を有し、これらの値は、センサ48,50,56,58によりECMに伝えられる値と比較される。センサ58のところの後処理システム10の所定の温度値よりも低い場合又はセンサ56のところでの後処理システム10内の背圧の所定の圧力値よりも高い場合、DPF24は、スート又は他のパティキュレートで詰まっている場合があり、排気弁作動システム30を作動させるのが良い。
【0020】
図2及び図3A〜図3Bを参照すると、エンジン14の通常の作動中、高圧マニホルド46内の油は、燃料噴射装置油ギャラリ54に流れるが、排気ガス遮断弁44は、油が排気弁ギャラリ52に流入するのを選択的に阻止する。通常の作動中、シリンダC1〜C6は全て、燃料噴射装置40から燃料を受け入れ、燃焼のために作動される。
【0021】
所定の大きさの排気ガス背圧が排気ガス背圧センサ56によってモニタされた場合又は所定の温度が温度センサ58によってモニタされた場合、これらの値は、ECM42に伝えられ、ECM42は、排気弁作動システム30の作動を指令する。ECM42は、遮断弁44を作動停止させることにより排気弁作動システム30を作動させ、それにより排気弁ギャラリ52への油の流れを可能にする。
【0022】
次に図4A及び図4Bを参照すると、排気弁作動システム30を作動させると、シリンダのうちの少なくとも1つC1は、高圧油を用いて排気弁32を少なくとも部分的に開き状態にすることにより作動停止される。遮断弁44が作動停止され、それにより噴射装置油ギャラリ54からの油が排気弁ギャラリ52に流れることができ、それにより油を作動停止されるべきシリンダC1(又はシリンダC1,C3,C5)に対応したピストン組立体60に分配することができる。ピストン組立体60内の油により、ピストン62は、引っ込み位置(図3B)から配備位置(図4B)に変位し、それにより排気弁ブリッジ64を変位させる。排気弁ブリッジ64の変位により、排気弁受座とエンジンシリンダC1の排気弁32との間に開口部66が生じる。
【0023】
排気弁32が開かれている状態では、加熱圧縮状態の空気は、開口部66から流れ出て排気マニホルド38に至り、そして流体連通によりDPF24に導かれる。排気マニホルド38のところで、作動停止状態のシリンダC1,C3,C5からの加熱圧縮状態の空気は作動状態のシリンダC2,C4,C6からの加熱状態の排気ガスと組み合わされ、そして、両方の源からのガスは、流体連通によりDPF24に導かれる。
【0024】
排気弁32の開放と同時に又はその直後に、ECM42は、作動停止状態のシリンダの噴射装置40を作動停止させて作動停止状態のシリンダC1,C3,C5内への燃料噴射を阻止する。しかしながら、作動状態のシリンダC2,C4,C6内の燃料噴射装置40は、作動状態のままである。
【0025】
作動停止状態のシリンダC1,C3,C5では、排気弁作動システムの作動中にこれらシリンダのところで燃焼が起こっていない場合であっても、燃料噴射装置40は、燃料を噴射してこれを流体連通により排気マニホルド38を通ってDPF24まで下流側に導くようにするのが良い。燃料をDOC26のところで又はDOCの上流側で燃焼させることができ、その結果、再生のための追加の熱がDPFのところで得られる。
【0026】
再生が起こった後、排気ガス背圧センサ56により背圧が所定値を下回っていることがECM42に示されると、ECMは、排気弁作動システム30をオフにする。排気弁作動システム30をオフにすると、圧力逃がし弁68(図2)が開かれると共に遮断弁44が作動され、それにより噴射装置油ギャラリ54からの油が排気弁ギャラリ52に流入するのが阻止される。排気弁ギャラリ52内の油が油受け(図示せず)に抜け、排気弁32が少なくとも1つのばね70の力を受けて引っ込み位置(図3B)に引っ込められる。通常の燃料噴射は、先に作動停止状態であったシリンダC1内で再開し、このシリンダC1は、再び、燃焼のための作動状態のシリンダになる。
【0027】
後処理システム10により、エンジン速度又は負荷をそれほど増大させないでDPF24の再生が可能である。後処理システム10により、車両は、エンジン14を低速で且つ低負荷で稼働させることができ、それと同時にDPF24のところでの再生を開始させるのに十分に高い温度を排気ガスの流れFに与えることができる「ストップ・アンド・ドライブ」方式で走行することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 排気ガス後処理システム
12 排気管組立体
14 エンジン
16 出口
20 流体通路
24 ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)
26 ディーゼルエンジン用酸化触媒(DOC)
30 排気弁作動システム
32 排気弁
38 排気マニホルド
40 燃料噴射装置
42 エンジン制御モジュール(ECM)
44 遮断弁
52 排気弁ギャラリ
54 燃料噴射装置油ギャラリ
56 排気ガス背圧センサ
58 温度センサ
60 ピストン組立体
C1〜C6 シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス後処理システムのディーゼルパティキュレートフィルタのところでの再生を開始させる、複数個のシリンダを備えたエンジンの排気弁作動システムであって、前記排気弁作動システムは、
前記エンジンと関連したエンジン制御モジュールと、
前記複数個のエンジンシリンダに対応した複数個の排気弁とを有し、
所定の大きさの背圧及び所定の温度のうちの少なくとも一方が前記エンジン制御モジュールに伝えられると、前記エンジン制御モジュールは、前記複数個の排気弁のうちの少なくとも1つを、開くように作動させ、それにより対応の前記シリンダ内での気体又は気体・燃料混合気の圧縮を可能にし、
前記複数個の排気弁のうちの少なくとも1つは、開くように作動されず、それにより該排気弁に対応する前記シリンダ内での燃焼が可能になる、
ことを特徴とする排気弁作動システム。
【請求項2】
前記排気弁は、前記エンジンと関連した高圧油マニホルドからの高圧油を用いて開かれる、
請求項1記載の排気弁作動システム。
【請求項3】
前記高圧油マニホルドは、噴射装置油ギャラリ及び排気弁ギャラリを有する、
請求項2記載の排気弁作動システム。
【請求項4】
前記噴射油ギャラリから前記排気弁ギャラリへの油の流体連通を選択的に阻止したり可能にしたりするよう動作可能な遮断弁を更に有する、
請求項3記載の排気弁作動システム。
【請求項5】
油が前記排気弁ギャラリに導かれると、ピストンが引っ込み位置から伸長位置に変位する、
請求項4記載の排気弁作動システム。
【請求項6】
前記伸長位置への前記ピストンの変位により、前記排気弁が開かれる、
請求項5記載の排気弁作動システム。
【請求項7】
開いた状態の前記少なくとも1つの排気弁に対応した前記シリンダは、気体又は気体・燃料混合気を圧縮し、その結果、加熱圧縮された状態の気体又は気体・燃料混合気が生じ、前記加熱圧縮された状態の気体又は気体・燃料混合気は、流体連通により前記排気弁から送り出されて前記ディーゼルパティキュレートフィルタに送り込まれる、
請求項1記載の排気弁作動システム。
【請求項8】
開いていない前記複数個の排気弁のうちの少なくとも1つに対応した前記シリンダは、増量した燃料を受け入れ、その結果、加熱状態の排気ガスが生じ、該加熱状態の排気ガスは、流体連通により前記排気弁から送り出されて前記ディーゼルパティキュレートフィルタに送り込まれる、
請求項1記載の排気弁作動システム。
【請求項9】
前記エンジン制御モジュールは、前記少なくとも1つの排気弁を開かず、対応した前記シリンダは、燃焼のために用いられる、
請求項1記載の排気弁作動システム。
【請求項10】
前記後処理システムのところの温度を検出する温度センサ及び前記後処理システムのところの圧力を検出する背圧センサのうちの少なくとも一方を更に有し、前記温度センサ及び前記背圧センサのうちの少なくとも一方は、前記温度及び前記背圧のうちの少なくとも一方を前記エンジン制御モジュールに伝える、
請求項1記載の排気弁作動システム。
【請求項11】
ディーゼルパティキュレートフィルタを備えたエンジンの排気ガス後処理システムを再生する方法であって、
前記エンジンから前記ディーゼルパティキュレートフィルタに至る流体通路を用意するステップと、
前記後処理システムの背圧及び前記後処理システムの温度のうちの少なくとも一方を検出すると共にこれをエンジン制御モジュールに伝え、前記背圧及び前記温度のうちの少なくとも一方を所定の背圧及び所定の温度と比較するステップであって、前記比較結果に基づいて、前記エンジン制御モジュールは、シリンダの少なくとも1つの排気弁を作動させるステップと、
前記エンジン制御モジュールの指令に応じて前記少なくとも1つの排気弁を開いて前記シリンダ内の気体又は気体・燃料混合気を圧縮するステップであって、燃焼が残りのシリンダで起こり続けることができるよう前記エンジン制御モジュールによって排気弁の全てが開かれないステップと、
前記圧縮加熱状態の気体又は気体・燃料混合気を開かれた状態の前記排気弁に対応した前記シリンダから前記ディーゼルパティキュレートフィルタに流体連通させて再生を開始させるステップと、
燃焼済み排気ガスを前記残りのシリンダから前記ディーゼルパティキュレートフィルタに流体連通させて再生を開始するステップとを備えている、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記エンジン制御モジュールが遮断弁を作動停止させ、噴射装置油ギャラリからの油が排気弁ギャラリに流れることができるようにするステップを更に有する、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
油を開かれるべき排気弁を有する前記シリンダに対応したピストン組立体に分配することができるようにするステップを更に有する、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記ピストン組立体のピストンを引っ込み位置から配備位置に油圧下で変位させるステップを更に有する、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
増量した燃料を燃焼のために前記残りのシリンダ内に噴射するステップを更に有する、
請求項11記載の方法。
【請求項16】
3つのシリンダの排気弁を開き、3つのシリンダの排気弁を開かないようにするステップを更に有する、
請求項11記載の方法。
【請求項17】
開かれた状態の排気弁に対応した前記シリンダ内に燃料を噴射し、噴射された前記燃料を流体連通により前記後処理システムに導くステップを更に有する、
請求項11記載の方法。
【請求項18】
排気ガス後処理システムのディーゼルパティキュレートフィルタの再生を開始させる、複数個のシリンダを備えたエンジンの排気弁作動システムであって、
前記エンジンと関連したエンジン制御モジュールを有し、
前記後処理システムの温度を検出する温度センサ及び前記後処理システムの圧力を検出する背圧センサの少なくとも一方を有し、前記温度センサ及び前記背圧センサの少なくとも一方は、前記温度及び前記背圧の少なくとも一方を前記エンジン制御モジュールに伝え、さらに
前記エンジンの前記複数個のシリンダに対応した複数個の排気弁と、
前記エンジンと関連した高圧油マニホルドであって、噴射装置油ギャラリからの油が排気弁ギャラリに流れるのを選択的に阻止する遮断弁を有する高圧油マニホルドと、を備え、
所定の大きさの背圧及び所定の温度のうちの少なくとも一方が前記エンジン制御モジュールに伝えられると、前記エンジン制御モジュールは、前記遮断弁を作動停止させ、前記噴射装置油ギャラリからの油が前記排気弁ギャラリに流れて少なくとも1つの排気弁を開くことができるようにし、前記複数個の排気弁のうちの少なくとも1つは、前記エンジン制御モジュールによって開くように作動されることはなく、それにより対応の前記シリンダ内での燃焼が可能になる、
ことを特徴とする排気弁作動システム。
【請求項19】
前記排気弁ギャラリ内の油は、ピストンを引っ込み位置から伸長位置に変位させる、
請求項18記載の排気弁作動システム。
【請求項20】
前記伸長位置への前記変位により、前記排気弁が開かれる、
請求項19記載の排気弁作動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2011−174467(P2011−174467A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39705(P2011−39705)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(501402947)インターナショナル エンジン インテレクチュアル プロパティー カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (69)
【Fターム(参考)】