説明

デザインシート

【課題】 本発明は、模様(主に布地)を有したデザインシートであって、ガラスへの貼着用としつつ、室内の美化を図ると共に、室内の省エネ化(冷暖房)と騒音防止とガラスの破損又は飛散防止ができ、さらには、施工性及び取扱性を優れたものにできること。
【解決手段】 印刷用フィルム1に対して透明部又は半透明部を有する図柄dを印刷したインク受容層2を覆うラミネートフィルム3と、前記印刷用フィルム1の図柄dの反対側面に接着剤層6を介して設けた剥離用フィルム5とからなる転写フィルムAとを備えていること。前記剥離用フィルム5を剥がした後の前記接着剤層6にて透明又は半透明状の板ガラスBに貼着可能としてなること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模様(主に布地)を有したデザインシートであって、板ガラスへの貼着用としつつ、室内の美化を図ると共に、室内の省エネ化(冷暖房)と騒音防止と板ガラスの破損又は飛散防止ができ、さらには、施工性及び取扱性を優れたものにできるデザインシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、スクリーンパーテーション(間仕切り用引戸など)や、家具のテーブル、建具などにおいて、板ガラスそのもので構成されている商品が存在している。また、特許文献1に示すような二重ガラス構造が存在しており、その内部構造にて目隠し機能を設けたものが存在している。これでは、依然として、二重構造が必須であった。そのような状況下において、二重ガラスの間に、布地を挟んだEVA膜Pを介在させ、前記布地Fそのものに模様の他は透明状にさせてガラス特有の特徴を出しつつ、高級感を出した、通称「布ガラス」(吊り形式の間仕切り用引戸など)が最近出回っている。
【特許文献1】特開2005−155243
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記布ガラスは、高級感を出すことは事実であるが、二重構造ゆえに、重さが重く、取扱及び施工が面倒であるばかりではなく、価格的にも高価となっている。これを解消するために、一枚の板ガラスに貼るような構成を出願人が解決している。しかるに、既存のビル及び建物では、板ガラスは装着されている。この場合には、該板ガラスに貼るシートのみで十分である。
【0004】
このため、本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、その高級感を出すことは保持しつつ、室内の美化を図ると共に、室内の省エネ化(冷暖房)と騒音防止と板ガラスの破損又は飛散防止ができ、さらには、取扱及び施工を簡易にするとともに、安価に施工できることを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、印刷用フィルムに対して図柄を印刷したインク受容層を覆うラミネートフィルムと、前記印刷用フィルムの図柄の反対側面に接着剤層を介して設けた剥離用フィルムとからなる転写フィルムとを備え、前記剥離用フィルムを剥がした後の前記接着剤層にて透明又は半透明状の板ガラスに貼着可能としてなることを特徴とするデザインシートとしたことにより、前記課題を解決した。
【0006】
請求項2の発明を、印刷用フィルムに対して透明部又は半透明部を有する図柄を印刷したインク受容層を覆うラミネートフィルムと、前記印刷用フィルムの図柄の反対側面に接着剤層を介して設けた剥離用フィルムとからなる転写フィルムとを備え、前記剥離用フィルムを剥がした後の前記接着剤層にて透明又は半透明状の板ガラスに貼着可能としてなることを特徴とするデザインシートとしたことにより、前記課題を解決した。
【0007】
請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記インク受容層と前記ラミネートフィルムとの間に副接着剤層を設けてなることを特徴とするデザインシートとしたことにより、前記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1,2又は3において、前記図柄は、布地の繊維模様としてなることを特徴とするデザインシートとしたことにより、前記課題を解決した。
【0008】
請求項5の発明を、請求項1,2又は3において、前記図柄は、花模様としてなることを特徴とするデザインシートとしたことにより、前記課題を解決した。また、請求項6の発明を、請求項1,2又は3において、前記図柄は、和紙繊維模様としてなることを特徴とするデザインシートとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明においては、1枚のガラスへの貼着用としつつ、室内の美化を図ると共に、室内の省エネ化(冷暖房)と騒音防止とガラスの破損又は飛散防止ができる利点がある。紫外線防止フィルムにもできる。さらには、従来の布ガラスと同様に高級感を出すことができ、転写フィルムによるデザインシートを既設などの板ガラスに貼るのみであり、従来のような、布付きの二重ガラスの構成とは全く異なり、取扱及び施工が極めて簡易にできる。
【0010】
さらに、布地の転写フィルムであるので、布地の費用に対して安価にできる利点がある。このようであっても、外観的には、従来と同様にできるという最大の効果を奏する。請求項2の発明は、透明部又は半透明部を有する図柄であるため、室内の明度,美観を増加させるのみならず、最低限度の密室性を保ちつつ、近代的な空間を提供できる効果があり、その他は、請求項1の発明と同様の効果を生ずる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明と同様の効果を生ずる。さらに、請求項4の発明では、繊維模様としたので、正に従来の布地と同一の効果を発揮する。請求項5の発明では、花模様としたことで、明るい感じのデザインシートを提供できる。さらに、請求項6の発明では、和紙繊維独特の模様を有するデザインシートを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明すると、図1乃至図2は本発明の実施形態である。転写フィルムAからなるデザインシートである。前記転写フィルムAは、主に、印刷用フィルム1とインク受容層2とラミネートフィルム3と剥離用フィルム5とから構成されている。
【0013】
前記転写フィルムAの構造及び製造過程について説明する。前記印刷用フィルム1が所定のドラムに巻きつけられてドラムスキャナとされ、所望の布地模様等が前記印刷用フィルム1にインク受容層2(印刷面)として転写される。そして、該インク受容層2の保護面として前記ラミネートフィルム3が、副接着剤層4を介して貼着されている[図1(A)参照]。前記印刷用フィルム1のインク受容層2に直接に前記ラミネートフィルム3がインク材質により強固に貼着されるときには、前記副接着剤層4は不要となる[図1(B)参照]。
【0014】
また、前記印刷用フィルム1のインク受容層2の反対側は、既設又は新設の板ガラスB面に貼着される側であり、当該面に接着剤層6が貼着されている[図1(A)及び(B)参照]。該接着剤層6の外側には、剥離用フィルム本体5aと剥離用接着剤層5bとからなる剥離用フィルム5が貼着されている。つまり、該剥離用フィルム5の剥離用接着剤層5bが前記接着剤層6に接着されている。このような構成の前記転写フィルムAは、一般的な転写印刷技術によって可能である。特に、本発明では、被転写体として、布地の繊維模様dや、花模様d、動物,人物,植物等の其の他模様、和紙繊維模様等の図柄dを表現したものである。
【0015】
具体的な図柄dとしては、図2(A)に示すように、木の幹状をデザイン化した集合体であって、その幹相互間は、透明又は半透明状に構成されている。図2(B)に示すように、花をデザイン化した集合体であって、その花相互間は、透明又は半透明状に構成されている。また、前記印刷用フィルム1の具体例としては、ポリエステル、ポリプロピレン、セロファン、ポリカーボネート、パラフィン紙等の薄葉紙、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、プラスティックシート等である。
【0016】
また、前記図柄dが不透明状に構成されて、印刷用フィルム1として設けられることもある。該印刷用フィルム1の厚さは、その強度及び耐熱性等が適切になるように、材料に応じて適宜変更するものであるが、その厚さは、好ましくは、約50〜約100μmである。さらに好ましくは、約60〜約80μmである。
【0017】
前記印刷用フィルム1の表面に形成するインク受容層2(印刷面層)は、任意の被転写材に受容層を転写後に、インクジェットプリンター等のノズルから吐出したインクの液滴を受容して画像等を維持するためであり、水性インクに対して膨潤性を有する水溶性樹脂、例えば、でんぷん、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリアミド、メラミン樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等の1種もしくは2種以上を混合使用できる。また、前記ラミネートフィルム3の具体例としては、その材質は、前記印刷用フィルム1と同等の材質であり、その厚さは、好ましくは、約50〜約130μmである。さらに好ましくは、約90〜約110μmである。
【0018】
前記接着剤層6又は副接着剤層4は、被着体へ接着性を有するものであれば何れでもよい。常温で粘着性を有する材料を用いてもよいが、より好ましくは、適宜な接着剤にて形成でき、被着体への簡便接着性等の点より、感圧型やホットメルト型の接着剤が好ましく用いられる。さらに、前記剥離用フィルム5としては、基本的に先の印刷用フィルム1と同様の特性を持つものであれば何れでもよいが、接着剤層6から容易に剥離できる必要がある。
【0019】
前記剥離用フィルム5の剥離用フィルム本体5aの具体例としては、ポリエステル、ポリプロピレン、セロファン、ポリカーボネート、パラフィン紙等の薄葉紙、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ナイロン、プラスティックシート等の材質である。その厚さは、好ましくは、約40〜約90μmである。さらに好ましくは、約50〜約70μmである。このようにして製造した転写フィルムAなるデザインシートは、貼着するときに、カールして張り難いことがあるので、それぞれの材質及び厚さを考慮する必要がある。このデザインシートの前記剥離用フィルム5を剥がした後〔図1(A)及び(B)の鎖線部参照〕に、転写フィルムAが前記板ガラスBに貼着される。
【0020】
本発明のデザインシートの使用形態としては、図3(A)に示すように、新設又は既設の引戸の板ガラスBに剥離用フィルム5を剥がして接着剤層6を介して貼着される。一般的には、既設の場合には、板ガラスBに対して、部屋の内側から貼着される。また、前記板ガラスBは、透明又は半透明の一般的な板ガラス(ケイ酸塩ガラス等)又は強化ガラスを指す。板厚は、約3mm乃至約6mmである。
【0021】
また、吊り形式の引戸の板ガラスBに貼着されることもある。この実施形態では、該板ガラスBの四周囲が枠材7にて囲まれ、その上辺部7aの左右側に、ロールによるガイド走行部10,10が取付片10c,10cを介して取付られている。前記ガイド走行部10,10は、天井又は天板状材などに設けられたガイドレール11に転動可能に構成されている。
【0022】
前記ガイド走行部10は、前記ガイドレール11に対応するハングローラタイプとしたものである。そのガイド走行部10は、走行本体部10aとローラ部10b,10bとから構成されている。本発明のデザインシートは、スクリーンパーテーション(吊り形式の間仕切り用引戸など)の板ガラスBなどにも応用されている。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、布地の繊維模様dや、花模様d等の図柄dを表現した転写フィルムAを利用して、既設又は新設の透明又は半透明の板ガラスBに対して良好に対応できる可能性が極めて高くできる。さらには、環境保護の見地からも、騒音防止とガラスの破損又は飛散防止などの危機管理の面からも、良好に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(A)は第1実施形態の転写フィルムの断面図、(B)は第2実施形態の転写フィルムの断面図である。
【図2】(A)は具体例とした本発明のデザインシートの一部側面詳細図、(B)は別の具体例とした本発明のデザインシートの一部側面詳細図である。
【図3】(A)は本発明を引戸に貼着した側面図、(B)は(A)のX−X矢視断面図、(C)は(B)の(ア)部拡大断面図である。
【図4】(A)は本発明を吊り形式の間仕切り用引戸に貼着した側面図、(B)は(A)のY−Y矢視断面図、(C)は(B)の(イ)部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0025】
A…転写フィルム、B…板ガラス、1…印刷用フィルム、2…インク受容層、
3…ラミネートフィルム、4…副接着剤層、5…剥離用フィルム、6…接着剤層、
d…図柄。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷用フィルムに対して図柄を印刷したインク受容層を覆うラミネートフィルムと、前記印刷用フィルムの図柄の反対側面に接着剤層を介して設けた剥離用フィルムとからなる転写フィルムとを備え、前記剥離用フィルムを剥がした後の前記接着剤層にて透明又は半透明状の板ガラスに貼着可能としてなることを特徴とするデザインシート。
【請求項2】
印刷用フィルムに対して透明部又は半透明部を有する図柄を印刷したインク受容層を覆うラミネートフィルムと、前記印刷用フィルムの図柄の反対側面に接着剤層を介して設けた剥離用フィルムとからなる転写フィルムとを備え、前記剥離用フィルムを剥がした後の前記接着剤層にて透明又は半透明状の板ガラスに貼着可能としてなることを特徴とするデザインシート。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記インク受容層と前記ラミネートフィルムとの間に副接着剤層を設けてなることを特徴とするデザインシート。
【請求項4】
請求項1,2又は3において、前記図柄は、布地の繊維模様としてなることを特徴とするデザインシート。
【請求項5】
請求項1,2又は3において、前記図柄は、花模様としてなることを特徴とするデザインシート。
【請求項6】
請求項1,2又は3において、前記図柄は、和紙繊維模様としてなることを特徴とするデザインシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−32822(P2010−32822A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−195594(P2008−195594)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(592105516)株式会社シモダイラ (32)
【Fターム(参考)】