説明

デザインピースのレーザーカット方法及び刺繍加工方法

【課題】 ベースシート上に張り付けられた第一デザインピースの近傍で、レーザー光により第二デザインピースを見栄えよく切断する。
【解決手段】 第二デザインピース23Bの素材となる柔軟シート25Bを第一デザインピース23Aに重ねてベースシートに被せる。第一デザインピース23Aの近傍で、柔軟シート25Bに縁取り縫目27Bを第二デザインピース23Bの輪郭線26Bより内側を延びるように形成し、この縫目27Bで柔軟シート25Bをベースシートに縫い付ける。レーザー光を二つのデザインピース23A,23Bの輪郭線26A,26Bの間を延びる切断線28に沿って照射し、柔軟シート25Bから粗切り部分を切り離す。その後、レーザー光を第二デザインピース23Bの輪郭線26Bに沿って照射し、粗切り部分29から第二デザインピース23Bを切り離す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースシート上に張り付けられた第一デザインピースの近傍で第二デザインピースをレーザー光により切断するレーザーカット方法、及び、ベースシート上に二つのデザインピースを互いに接近する状態で張り付ける刺繍加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツバッグ等の縫製品の外張りとして用いられるベースシート上に、文字、マーク、ロゴ等を表すデザインピースを張り付けた刺繍加工品が知られている。例えば、図8(a)に示す刺繍加工品51はベースシート52上に張り付けたデザインピース53によって文字「D」を表している。この刺繍加工品51の製作にあたり、従来は図8(b)〜(e)に示すような方法を採用していた。図8(b)〜(e)は図8(a)のX−X線端面図である。
【0003】
まず、図8(b)に示すように、デザインピース53の素材となる柔軟シート54をベースシート52の上に被せる。次に、図8(c)に示すように、柔軟シート54に縫目55を形成し、この縫目55によって柔軟シート54の所要範囲をベースシート52に縫い付ける。続いて、図8(d)に示すように、レーザー光56をデザインピース53の輪郭線57に沿って照射し、柔軟シート54からデザインピース53を切り離す。その後、図8(e)に示すように、デザインピース53をベースシート52上に残し、柔軟シート54の余剰部をベースシート52から取り除く。
【0004】
この従来方法によれば、レーザー切断装置を備えた刺繍機において、縫製データを利用し、デザインピース53の外形を正確に切断することができる。なお、特許文献1には、刺繍ミシンとレーザー切断装置とを備えた刺繍機において、レーザー光の照射位置を補正する技術が記載されている。特許文献2には、上下に重ねた二枚の柔軟シートのうち、上側のシートのみをレーザー光で切断できるように、レーザー切断装置の出力を調整する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2005−177777号公報
【特許文献2】特許第2971327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の方法によると、二つのデザインピースを互いに接近させた状態でベースシート上に張り付ける場合に、図9に示すような問題点があった。図9(a)は、文字「D」を表す第一デザインピース53Aの近傍に文字「D」の影となる第二デザインピース53Bを張り付けた刺繍加工品61を示す。この刺繍加工品61の製作にあたって従来の方法を適用すると、第二デザインピース53Bは図9(b)〜(e)に示す手順でベースシート52上に張り付けられる。図9(b)〜(e)は図9(a)のY−Y線端面図である。
【0006】
まず、図9(b)に示すように、第二デザインピース53Bの素材となる柔軟シート64を第一デザインピース53Aに重ねてベースシート52に被せる。次に、図9(c)に示すように、第一デザインピース53Aの近傍で、柔軟シート64に縫目65を形成し、この縫目65により柔軟シート64の所要範囲をベースシート52に縫い付ける。続いて、図9(d)に示すように、レーザー光56を第二デザインピース53Bの輪郭線67に沿って照射し、柔軟シート64から第二デザインピース53Bを切り離す。その後、図9(e)に示すように、第二デザインピース53Bをベースシート52上に残し、柔軟シート64の余剰部をベースシート52から取り除く。
【0007】
ところで、縫目65を第一デザインピース53Aの間近に形成すると、第一デザインピース53Aの周囲において柔軟シート64に段差部68(図9c参照)が発生し、縫目65によって段差部68が皺み、柔軟シート64の厚みが増大する。通常、レーザー切断装置の出力は柔軟シート64の自然状態の厚みに応じて一律に設定されているため、段差部68の範囲で第二デザインピース53Bの切断面に切れ残り70(図9e参照)が生じやすくなる。切れ残り70が生じないように、レーザー切断装置の出力を高めに調節すると、第一デザインピース53Aと相対しない範囲で第二デザインピース53Bの切断面に焦げ目71(図9a参照)が発生し、刺繍加工品61の見栄えが悪くなるという問題点があった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決し、ベースシート上に張り付けられた第一デザインピースの近傍で第二デザインピースを見栄えよく切断できるレーザーカット方法、及び、ベースシート上に二つのデザインピースを互いに接近する状態で見栄えよく張り付けることができる刺繍加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明のデザインピースのレーザーカット方法は、ベースシート上に張り付けられた第一デザインピースの近傍で、第二デザインピースをレーザー光により切断するにあたり、第二デザインピースの素材となる柔軟シートを第一デザインピースに重ねてベースシートに被せ、第一デザインピースの近傍で柔軟シートを第二デザインピースの輪郭線より内側の縫目でベースシートに縫い付け、レーザー光により柔軟シートを二つのデザインピースの輪郭線の間を延びる切断線に沿って切断した後に、第二デザインピースの輪郭線に沿って切断することを特徴とする。
【0010】
ここで、第一デザインピース及び第二デザインピースは、それぞれシート素材から例えば文字、マーク、ロゴ等の各種デザインを表す形状に形成されたものである。第一デザインピースをベースシート上に張り付ける方法は特に限定されない。例えば、予め所定形状に成形されたマークやアップリケ製品をベースシート上に縫い付けてもよく、接着剤で張り付けてもよい。また、第二デザインピースとは別の柔軟シートをベースシート上でレーザー光により切断して張り付けてもよい。第二デザインピースの素材となる柔軟シートには、例えば布地、人工皮革、天然皮革、フェルトなど、レーザー光によって切断可能な厚手のシート材料を使用できる。ベースシートの素材は、特に限定されず、柔軟シートと同じ素材でも、異なる素材でもよい。本発明のレーザーカット方法を実施するにあたっては、ベースシートをレーザー光から保護する部材をベースシート上に被せるのが好ましい。保護部材としては、レーザー光を反射または減衰させる性質を持つアルミ箔、光沢フィルム、ロウ紙等の薄手のシート材料又はフィルム材料を使用できる。
【0011】
本発明のデザインピースの刺繍加工方法は、ベースシート上に二つのデザインピースを互いに接近する状態で張り付けるにあたり、第一デザインピースの素材となる第一柔軟シートをベースシートに縫い付け、レーザー光により第一柔軟シートを第一デザインピースの輪郭線に沿って切断し、第二デザインピースの素材となる第二柔軟シートを第一デザインピースに重ねてベースシートに被せ、第一デザインピースの近傍で第二柔軟シートを第二デザインピースの輪郭線より内側の縫目でベースシートに縫い付け、レーザー光を二つのデザインピースの輪郭線の間を延びる切断線に沿って照射し、第二柔軟シートから粗切り部分を切り離した後に、レーザー光を第二デザインピースの輪郭線に沿って照射し、第二柔軟シートの粗切り部分から第二デザインピースを切り離すことを特徴とする。
【0012】
ここで、二つのデザインピースの間隔は、第二デザインピースの素材となる第二柔軟シートの厚さに応じて設定できる。例えば、第二柔軟シートの厚さが2〜10mmである場合、二つのデザインピースを2〜10mm程度の間隔をあけて張り付けることができる。第一柔軟シート及び第二柔軟シートには、それぞれ同じ材質、厚さ、表面色のシート材料を使用してもよく、それぞれ異なる材質、厚さ、表面色のシート材料を使用してもよい。二枚の柔軟シートをベースシートに縫い付けるための縫目は、切断後のデザインピースをベースシート上に強固に保持できる点で、デザインピースの輪郭線に沿って延びる縁取り縫目であるのが好ましい。縁取り縫目の種類は、特に限定されず、本縫い縫目、サテン縫目、ジグザグ縫目、千鳥縫目、チェーンステッチ等を例示できる。また、本発明の刺繍加工方法を実施するにあたっては、ベースシートをレーザー光から保護する部材をベースシート上に被せ、この保護部材上で二枚の柔軟シートをレーザー光で切断した後に、保護部材をベースシートから取り除くという工程を追加することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のレーザーカット方法によれば、柔軟シートを二つのデザインピースの輪郭線の間を延びる切断線に沿って切断するので、第二デザインピースを仕上げる前の工程で、予め柔軟シートから段差部を解消し、第二デザインピースの全周を同じ厚さに揃えておくことができる。従って、第一デザインピースの近傍で、第二デザインピースを通常出力のレーザー光により、切断面に切れ残りや焦げ目を生じることなく、見栄えよく切断することができる。
【0014】
本発明の刺繍加工方法によれば、二枚の柔軟シートをベースシート上に縫い付けた後にレーザー光で切断するので、二つのデザインピースを正確な位置関係でベースシート上に張り付けることができる。特に、第二デザインピースの切断にあたり、上記レーザーカット方法を採用するので、第二デザインピースの切断面から切れ残りや焦げ目をなくし、二つのデザインピースをベースシート上に見栄えよく張り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図4に示すように、この実施形態のレーザーカット方法は、ベースシート上に張り付けられた第一デザインピース23Aの近傍で、第二デザインピース23Bをレーザー光で切断するにあたり、第二デザインピース23Bの素材となる柔軟シート25Bを第一デザインピース23Aに重ねてベースシートに被せる工程と、第一デザインピース23Aの近傍で縁取り縫目27Bを第二デザインピース23Bの輪郭線26Bより内側に形成し、この縫目27Bで柔軟シート25Bをベースシートに縫い付ける工程と、レーザー光を二つのデザインピース23A,23Bの輪郭線26A,26Bの間を延びる切断線28に沿って照射し、柔軟シート25Bから粗切り部分を切り離す工程と、レーザー光を第二デザインピース23Bの輪郭線26Bに沿って照射し、柔軟シート25Bの粗切り部分から第二デザインピース23Bを切り離す工程とを備える。
【実施例1】
【0016】
次に、本発明の実施例を図1〜図8に基づいて説明する。図1は刺繍機の全体的な構成を示す。この刺繍機1は刺繍ミシン2とレーザー切断装置3とを備えている。刺繍ミシン2は複数台が機枠4の上部に並設され、機枠4の中間高さに縫製枠5を支持するテーブル6が設けられている。レーザー切断装置3は左右二本の支柱7を備え、支柱7の上端間にレール8が架設されている。レール8には走行体9が支持され、その下端にレーザーヘッド10が装着されている。そして、刺繍ミシン2のコントローラ11とレーザー切断装置3のコントローラ12とが加工データ作成装置13に接続され、該装置13で作成された加工データに従って刺繍ミシン2及びレーザー切断装置3が同期制御される。
【0017】
図2は刺繍機1によって加工される刺繍加工品の一例を示す。この刺繍加工品21は、スポーツバッグ等の縫製品の外張りとして用いられる厚さが約2mmの合成皮革製のベースシート22と、ベースシート22の表面にマーク「BDN」を表す三つのデザインピース23とを備えている。各デザインピース23は、文字「B」、「D」、「N」を表す第一デザインピース23Aと、異なる表面色で文字に影を付ける第二デザインピース23Bとで構成されている。第一デザインピース23Aは輪郭線26Aの内側を環状に延びる縁取り縫目27Aによりベースシート22に縫い付けられている。第二デザインピース23Bは輪郭線27Bの内側を環状に延びる縁取り縫目27Bによりベースシート22に縫い付けられている。そして、二つのデザインピース23A,23Bが約5mmの間隔をあけて互いに接近する状態でベースシート22上に張り付けられている。なお、第二デザインピース23Bは文字形状に応じて複数片に分割されているが、以下では、複数片を一つのデザインピースとみなして説明する。
【0018】
図3は刺繍加工品21の加工形態を示す。ベースシート22は刺繍機1の縫製枠5にクリップ14で保持される。ベースシート22の表面には、レーザー光16でベースシート22が傷つかないように保護シート24が被せられ、保護シート24上にデザインピース23の素材となる柔軟シート25が被せられる。縫目形成工程では、図3(a)に示すように、縫製枠5が刺繍ミシン2の下側で前後左右に送られ、針15により柔軟シート25に縁取り縫目27が形成される。切断工程では、図3(b)に示すように、縫製枠5が刺繍ミシン2の前方へ送られ、レーザーヘッド10が縫製枠5の上方に移動する。そして、縫製枠5が柔軟シート25の複数の加工ブロック(例えば、デザインピース23ごとの加工ブロック)をレーザーヘッド10に順次位置決めし、レーザーヘッド10がレーザー光16を柔軟シート26上で走査し、柔軟シート26からデザインピース23を切り離すようになっている。
【0019】
図4は刺繍加工品21の加工データを示す。この加工データ31は、第一デザインピース23Aの素材となる第一柔軟シート25Aを刺繍加工するための第一刺繍情報32Aと、第二デザインピース23Bの素材となる第二柔軟シート25Bを刺繍加工するための第二刺繍情報32Bとを備えている。第一刺繍情報32Aは、第一柔軟シート25Aに縁取り縫目27Aを形成するための縫目情報33Aと、第一柔軟シート25Aを第一デザインピース23Aの輪郭線26Aに沿って切断するための切断情報34とで構成されている。第二刺繍情報32Bは、第二柔軟シート25Bに縁取り縫目27Bを形成するための縫目情報33Bと、第二柔軟シート25Bを二つのデザインピース23A,23Bの輪郭線26A,26Bの中間を延びる切断線28に沿って切断する一次切断情報35と、第二柔軟シート25Bを第二デザインピース23Bの輪郭線26Bに沿って切断するための二次切断情報36とで構成されている。なお、二枚の柔軟シート25A,25Bには、共に厚さが約2mmの合成皮革シートが用いられている。
【0020】
次に、刺繍加工品21の刺繍加工方法、及びデザインピース23のレーザーカット方法を図5〜図8に基づいて説明する。図5は第一デザインピース23Aをベースシート22上に張り付ける工程を示す。図5(a)〜(d)は図5(e)のA−A線端面図である。図6〜図8は第二デザインピース23Bをベースシート22上に張り付ける工程を示す。図6(a)〜(d)は図6(e)のB−B線端面図である。
【0021】
第一デザインピース23Aの張り付けにあたり、まず、図5(a)に示すように、縫製枠5に保持されたベースシート22上に保護シート24を介して第一柔軟シート25Aを被せる。次に、図5(b)に示すように、第一刺繍情報32A中の縫目情報33Aに従い、刺繍ミシン2により縁取り縫目27Aを輪郭線26Aの内側に形成し、この縫目27Aで第一柔軟シート25Aをベースシート22に縫い付ける。続いて、図5(c)に示すように、切断情報34に従い、レーザー光16を第一デザインピース23Aの輪郭線26Aに沿って照射し、第一柔軟シート25Aから第二デザインピース23Aを切り離す。その後、図5(d),(e)に示すように、第一デザインピース23Aをベースシート22上に残し、第二柔軟シート25Aの余剰部をベースシート22から取り除く。
【0022】
第二デザインピース23Bの張り付けにあたっては、まず、図6(a)に示すように、第二柔軟シート25Bを第一デザインピース23Aに重ねてベースシート22に被せる。次に、図6(b)に示すように、第二刺繍情報32B中の縫目情報33Bに従い、第一デザインピース23Aの近傍で、刺繍ミシン2により縁取り縫目27Bを輪郭線26Bの内側に形成し、この縫目27Bで第二柔軟シート25Bをベースシート22に縫い付ける。このとき、従来と同様、第一デザインピース23Aの周囲に段差部68が生じ、縫目27Bによって段差部68が皺み、第二柔軟シート25Bの厚みが増大する。
【0023】
この実施例では、段差部68を解消するために、図6(c)に示すように、一次切断情報35に従い、レーザー光16を二つのデザインピース23A,23Bの輪郭線26A,26Bの中間を延びる切断線28に沿って照射し、第二柔軟シート25Bから粗切り部分29(第二デザインピース23Bを一回り大きくした暫定形状部)を切り離す。そして、図6(d),(e)に示すように、粗切り部分29をベースシート22上に残し、その他の部分をベースシート22から取り除く。こうすれば、粗切り部分29の切断縁が自身の弾性でベースシート22に接合するので、第二デザインピース23Bを仕上げる前の工程で、第一デザインピース23Aの周囲から予め段差部68を解消しておくことができる。なお、粗切り工程では、粗切り部分29の周縁に切れ残りが生じないように、レーザー光16の出力を仕上切り工程よりも高めに調節しておいてもよい。
【0024】
この状態で、図7(a),(b)に示すように、二次切断情報36に従い、レーザー光16を第二デザインピース23Bの輪郭線26Bに沿って照射し、粗切り部分29から第二デザインピース23Bを切り離す。この仕上切り工程では、予め粗切り部分29の全周が平坦となっているので、第二デザインピース23Bを通常出力のレーザー光16で切れ残りや焦げ目を生じることなく見栄えよく切断できる。その後、図7(c)に示すように、第二デザインピース23Bをベースシート22上に残し、第二柔軟シート25Bの残余部30(粗切り部分29の周縁部)をベースシート22から取り除く。そして、図7(d)に示すように、保護シート24を縁取り縫目27A,27Bに沿って手で破断してベースシート22から取り除き、図2に示すような刺繍加工品21を見栄えよく完成することができる。
【0025】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)図1に示す刺繍機1では、複数台の刺繍ミシン2に一台のレーザー切断装置3が組み合わされているが、刺繍ミシン2ごとにレーザー切断装置を並設した刺繍機を用いて上記方法を実施してもよい。
(2)図2に示す刺繍加工品21では、二つのデザインピース23A,23Bに同じ厚さの柔軟シート25A,25Bを使用したが、刺繍加工品21のデザインに応じて、異なる厚さの柔軟シート25A,25Bを使用してもよい。
(3)図7(d)に示す工程では、保護シート24の一部がデザインピース23A,23Bの裏面側に残るが、残っては困る刺繍加工品の場合は、この残留片をピンセット等で縫目27A,27Bの間から引き抜いて除去することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の方法を実施する装置を示す刺繍機の正面図である。
【図2】本発明の方法による刺繍加工品を例示する平面図である。
【図3】刺繍加工品の加工形態を示す平面図である。
【図4】刺繍加工品の加工データを説明する模式図である。
【図5】本発明の方法を示す第一デザインピースの張付工程図である。
【図6】本発明の方法を示す第二デザインピースの粗切り工程図である。
【図7】本発明の方法を示す第二デザインピースの仕上切り工程図である。
【図8】従来の方法を示す工程図である。
【図9】従来方法の問題点を指摘する工程図である。
【符号の説明】
【0027】
1 刺繍機
2 刺繍ミシン
3 レーザー切断装置
13 加工データ作成装置
16 レーザー光
21 刺繍加工品
22 ベースシート
23A 第一デザインピース
23B 第二デザインピース
24 保護シート
25A 第一柔軟シート
25B 第二柔軟シート
26A 第一デザインピースの輪郭線
26B 第二デザインピースの輪郭線
27 縁取り縫目
28 切断線
29 粗切り部分
31 加工データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースシート上に張り付けられた第一デザインピースの近傍で、第二デザインピースをレーザー光により切断する方法であって、第二デザインピースの素材となる柔軟シートを第一デザインピースに重ねてベースシートに被せ、第一デザインピースの近傍で柔軟シートを第二デザインピースの輪郭線より内側の縫目でベースシートに縫い付け、レーザー光により柔軟シートを二つのデザインピースの輪郭線の間を延びる切断線に沿って切断した後に、第二デザインピースの輪郭線に沿って切断することを特徴とするデザインピースのレーザーカット方法。
【請求項2】
ベースシート上に二つのデザインピースを互いに接近する状態で張り付ける方法であって、第一デザインピースの素材となる第一柔軟シートをベースシートに縫い付け、レーザー光により第一柔軟シートを第一デザインピースの輪郭線に沿って切断し、第二デザインピースの素材となる第二柔軟シートを第一デザインピースに重ねてベースシートに被せ、第一デザインピースの近傍で第二柔軟シートを第二デザインピースの輪郭線より内側の縫目でベースシートに縫い付け、レーザー光を二つのデザインピースの輪郭線の間を延びる切断線に沿って照射し、第二柔軟シートから粗切り部分を切り離した後に、レーザー光を第二デザインピースの輪郭線に沿って照射し、第二柔軟シートの粗切り部分から第二デザインピースを切り離すことを特徴とするデザインピースの刺繍加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−113780(P2008−113780A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298486(P2006−298486)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000135690)株式会社バルダン (125)
【Fターム(参考)】