説明

デジタル一眼レフカメラ

【課題】カメラブレや被写体ブレによる画質劣化を軽減し、良好な画質の画像を容易に撮影することのできるデジタル一眼レフカメラを提供すること。
【解決手段】カメラシステム1のボディーマイコン12は、検出された被写体の動きに基づいて被写体速度を算出し、被写体速度が所定の閾値A以上か否かを判別し、被写体速度が閾値Aより小さい場合には、交換レンズ2内の交換レンズ用カメラブレ補正装置82、あるいはカメラ本体内のカメラ本体用カメラブレ補正装置75を制御してカメラブレ補正を動作させ、被写体速度が閾値A以上の場合には、デジタル信号ゲイン設定部111のゲインを高くしてISO感度をアップし、シャッター速度を速くして露出時間を短くするとともに、異なる露出条件により複数枚の画像を連続撮影する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル一眼レフカメラに関し、より詳細には、カメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを備えるレンズ交換式のデジタル一眼レフカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
被写体の光学的な像を電気的な画像信号に変換して出力可能な、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像装置(以下単に「デジタルカメラ」という)が、急速に普及している。特に、近年では、デジタルカメラの小型・軽量化及び光学ズームの高倍率化が進み、撮影者(ユーザ)に対する使い勝手は格段に向上してきている。
【0003】
また、近年、レンズ交換可能なデジタル一眼レフカメラが急速に普及している。このデジタル一眼レフカメラでは、撮影者による、ファインダを用いた被写体観察時には、撮影レンズに入射した光(つまり、被写体像)を、レンズの後の撮影用光路上に配置した反射ミラーにより反射することによって光路を変更し、ペンタプリズムなどを通して正像にして光学ファインダに導く。これにより、撮影者は、レンズを通した被写体像を光学ファインダから見ることができる。したがって、通常は、ファインダ用光路を形成する位置が反射ミラーの定位置となっている。
【0004】
一方、レンズを撮影用として使用する場合は、反射ミラーが瞬時に位置を変え、撮影用光路から待避することによって、ファインダ用光路を撮影用光路に切り替える。反射ミラーは、撮影が終了すると、定位置に瞬時に戻る。この方式は、一眼レフ方式であれば、従来の銀塩カメラでも、デジタルカメラでも同様である。
【0005】
デジタルカメラの特徴の一つとして、撮影時に表示装置(例えば、液晶モニタ)を見ながら撮影し、撮影後すぐに撮影画像を確認できることが挙げられる。しかし、これまでのデジタル一眼レフカメラの反射ミラーの方式を用いると、撮影時に、液晶モニタを使用できないという課題があった。したがって、これまでのデジタル一眼レフカメラでは、このように液晶モニタを用いて撮影できないことにより、ファインダを覗いて撮影することになるため、とりわけ、デジタルカメラの撮影に不慣れな初心者にとっては、非常に使いにくくなっていた。したがって、特許文献1に示すように、撮影時にも液晶モニタを用いて撮影できる機能が求められている。
【0006】
しかし、デジタル一眼レフカメラに限らず、デジタルカメラの小型・軽量化及び光学ズームの高倍率化に伴い、特に初心者がデジタルカメラを使用する場合には、撮影した画像に「ブレ」が生じ、画質が劣化する場合がある。
【0007】
特許文献2には、撮影時に後述するカメラブレなどが生じても画像への影響を軽減することができる振れ補正光学系を備えたデジタルカメラが開示されている。特許文献2に記載のデジタルカメラは、撮影時の像ブレに応じて補正レンズを光軸と垂直な上下左右方向に移動させ、画像の乱れを補正する。これにより、小型・軽量化されたデジタルカメラであっても、像ブレを軽減した画像を撮影することができる。また、特許文献2に記載のデジタルカメラは、像ブレを防ぐためにストロボを発光させて撮影する必要がないので、自然の色に近い条件下で雰囲気のある写真を撮影することができるとされている。
【0008】
一方、撮影画像の画質を劣化させる原因としては、手ブレなどのようにカメラ本体に加わる振動に起因する「カメラブレ」以外にも、撮影対象となる被写体が動くことによって生じる「被写体ブレ」がある。このような被写体ブレは、露光時間を短くして高速のシャッタースピードで撮影することによって防ぐことができる。シャッタースピードは、例えば、撮影感度を高くしたり、ストロボ発光を行うことによって速くすることができる。以下、本明細書では、撮像面における被写体の光学像のブレに関して、上記のように、カメラ本体に加わる振動に起因するものを「カメラブレ」といい、被写体の動きに起因するものを「被写体ブレ」といい、カメラブレと被写体ブレを総称して、「撮像面に対する像ブレ」という。
【0009】
特許文献3には、被写体の動きを推測する動き推測手段を備え、被写体が動く可能性が高い場合には、シャッタースピードなどの撮影条件を変更する撮影装置及び方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−125173号公報
【特許文献2】特開2000−13671号公報
【特許文献3】特開2006−157428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
一般に、撮影感度を高くすると、撮像センサからの出力信号は増幅されるので、撮像センサから発生するノイズも増幅されることになる。そのため、高感度で撮影した画像にはノイズが多く含まれる。このように、必要以上に撮影感度を高くすることは画質劣化の原因ともなる。したがって、周囲の明るさが不十分なために振れ補正光学系により補正を行ってもなお像ブレが発生する場合や、動きの速い被写体を撮影する場合などに限って撮影感度を高くすることが望ましい。
【0012】
しかしながら、このような従来のデジタルカメラにあっては、撮影者は、被写体がどの程度の速さで動けば被写体ブレが生じるのかを判断することは困難である。そのため、例えば、今の速さのままでも被写体ブレのない撮影が可能であるにもかかわらず、被写体の動きを観察した撮影者は誤って被写体ブレが発生すると認識してしまう場合がある。その結果、撮影者は撮影感度を高感度に変更してしまい、不必要にノイズを多く含む画像が撮影されるという問題があった。また、動きの速い被写体を撮影するためには、撮影直前に撮影者は撮影感度を変更しなければならず、この変更が遅れた場合には折角のシャッターチャンスを逃してしまうという問題があった。
【0013】
すなわち、一般の撮影者は、被写体の動き速度がどの程度であれば被写体ブレが生じ又は生じないという判断を行うことができない。そのため、被写体速度が速い場合にカメラブレ補正機能を使用すれば、被写体ブレが生じた画像を撮影することになり、逆に、被写体速度が遅い場合に撮影感度をアップさせると、ノイズが多い画像を撮影することになり、いずれの場合にも良好な映像を得ることができない。
【0014】
また、特許文献2に記載された振れ補正光学系を備えたデジタルカメラにあっては、カメラブレによる画質劣化は軽減することができるものの、被写体ブレによる画質劣化を軽減することについては提案されていない。
【0015】
さらに、特許文献3に記載されたデジタルカメラにあっては、被写体の動きを予測するだけであり、被写体がどの程度の速さで動けば被写体ブレが生じるのかを判断するものではないので、被写体速度に合わせた最適なシャッタースピードで撮影できるとは限らない。
【0016】
本発明の目的は、カメラブレ又は被写体ブレによる画質劣化を軽減し、良好な画質の画像を容易に撮影することができるデジタル一眼レフカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のデジタル一眼レフカメラは、リターンミラーを有するデジタル一眼レフカメラにおいて、被写体の光学像を形成する撮像光学系と、前記形成された光学像を受光して電気的な画像信号に変換して出力する撮像センサと、前記画像信号に基づいて前記被写体の顔を検出する顔検出部と、前記撮像センサを用いて合焦検出を行う合焦手段と、カメラ本体又は交換レンズの少なくともいずれか一つに搭載され、カメラ本体の動きに起因する光学像のブレを補正するカメラブレ補正部と、前記被写体の顔の位置を合焦位置として検出する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記リターンミラーを光軸から退避させ、かつ、前記カメラブレ補正部を動作させた状態で実行状態となる、構成を採る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、デジタル一眼レフカメラにおいても、カメラブレ又は被写体ブレによる画質劣化を軽減し、良好な画質の画像を容易に撮影することができる。
【0019】
例えば、被写体速度が所定値(閾値)以上の場合には、ISO感度をアップさせ、又は、シャッター速度を速く設定して、被写体ブレのない画像を、複数の露出条件により連続撮影することができる。複数の露出条件により連続撮影することで、被写体の動き速度が、撮影中に急激に変わることがあっても、複数の露出条件により連続撮影した複数の画像のいずれかには良好な画質の画像が含まれる可能性が高くなる。一方、被写体速度が所定値(閾値)よりも小さい場合には、カメラブレ補正機能を動作させることにより、像ブレのない良好な画像を撮影することができる。その結果、撮影者は被写体の動きによらず、良好な画質の画像を容易に撮影することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラの全体構成を示すブロック図
【図2】図1に示すカメラ本体の構成のうち主に制御系の構成の一例を示すブロック図
【図3】図1に示すカメラ本体の構成のうち主に操作系の構成の一例を示すブロック図
【図4】図1に示すカメラ本体の外観の構成の一例を示す概略図であり、図4Aは、上面図、図4Bは、平面図
【図5】図2に示す動き検出部の構成の一例を示すブロック図
【図6】図1に示す交換レンズの構成のうち主に制御系の構成の一例を示すブロック図
【図7】図1に示す交換レンズに含まれるカメラブレ補正装置の制御システムの一例を示すブロック図
【図8】本実施の形態におけるファインダ撮影モードを説明するための概念図
【図9】本実施の形態におけるモニタ撮影モードを説明するための概念図
【図10】図1に示すデジタル一眼レフカメラの一変更例を示すブロック図
【図11】本実施の形態における、カメラブレ補正装置の選択動作に関するシーケンスを示すフローチャート
【図12】本実施の形態における、表示部に表示された撮影モード選択画面の一表示例を示す図
【図13】本実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラの撮影処理の一手順を示すフローチャート
【図14】本実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラのカメラブレ補正モードにより撮影された撮影画像を表示部に表示した一表示例を示す図
【図15】本実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラの交換レンズ内及びカメラ本体内のカメラブレ補正装置の組み合わせと閾値との関係を説明するための図
【図16】本実施の形態における、閾値Aによる被写体の動き速度Vhと撮影時の撮影感度Sとの切り替えを説明するための図
【図17】本実施の形態における、被写体の動き速度Vhと撮影時の撮影感度Sとの関係を説明するための図
【図18】本実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラの撮影感度アップモード設定後の、感度アップありの撮影画像と感度アップなしの撮影画像とを表示部に同時に表示した際の一表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラの全体構成を示すブロック図、図2は、図1に示すカメラ本体の構成のうち主に制御系の構成の一例を示すブロック図、図3は、図1に示すカメラ本体の構成のうち主に操作系の構成の一例を示すブロック図である。また、図4は、図1に示すカメラ本体の外観の構成の一例を示す概略図であり、特に、図4Aは、上面図、図4Bは、背面図である。
【0023】
本実施の形態は、本発明を、カメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを備えるデジタル一眼レフカメラに適用した場合である。なお、以下の説明において、被写体の動き速度(以下「被写体速度」ともいう)とは、カメラブレと被写体ブレとの双方又は一方に起因する、撮像面における被写体の光学像の移動速度を意味する。
【0024】
(デジタル一眼レフカメラ1の全体構成)
図1において、デジタル一眼レフカメラ1は、交換レンズ式のデジタル一眼レフカメラであり、大別して、デジタル一眼レフカメラ1の主要な機能を有するカメラ本体3と、カメラ本体3に取り外し可能に装着された交換レンズ2とで構成されている。交換レンズ2は、最後部に設けられたレンズマウント80を介して、カメラ本体3の前面に設けられたボディーマウント81に装着されている。
【0025】
〔カメラ本体3の構成〕
図1乃至図3において、カメラ本体3は、主に、被写体を撮像する撮像部71(例えば、撮像センサ11や撮像センサ制御部13などを含む)と、撮像部71などの各部の動作を制御する、本体制御部としてのボディーマイコン12と、撮影された画像及び各種情報を表示する画像表示部72(例えば、画像表示制御部15や表示部16などを含む)と、画像データを格納する画像格納部73(例えば、画像記録制御部17や画像読み出し/記録部18などを含む)と、被写体像を視認するファインダ光学系19とで構成されている。さらに、カメラ本体3は、特に図2によく示すように、撮像部71からの電気信号を処理する動き検出部100(詳細は後述する図5参照)と、デジタル信号増幅部110と、デジタル信号ゲイン設定部111とを備えている。
【0026】
撮像部71は、主に、入射光をファインダ光学系19及び焦点検出ユニット5に導くクイックリターンミラー4と、光電変換を行うCCD(Charge Coupled Device)などの撮像センサ11と、撮像センサ11の露光状態を調節するシャッターユニット10と、ボディーマイコン12からの制御信号に基づいてシャッターユニット10の駆動を制御するシャッター制御部14と、撮像センサ11の動作を制御する撮像センサ制御部13と、デジタル一眼レフカメラ1のブレにより生じるカメラブレを補正するカメラ本体用カメラブレ補正装置75(特に図2参照)と、焦点(被写体像の合焦状態)を検出する焦点検出ユニット5とで構成されている。焦点検出ユニット5は、例えば、一般的な位相差検出方式によって焦点検出を行う。なお、焦点検出については、デジタル一眼レフカメラ1の使用状況により、上記の焦点検出ユニット5を使用する場合と、後述する撮像センサ11の画像出力に基づくコントラスト検出方式のいずれかを用いる。例えば、後述するように、ファインダ撮影モードでは、従来通り、焦点検出手段として、焦点検出ユニット5を使用するが、モニタ撮影モードでは、クイックリターンミラー4が退避しているため、焦点検出ユニット5は使用せず、撮像センサ11を用いてコントラスト検出を行う。
【0027】
撮像センサ11は、交換レンズ2内の撮像光学系Lにより形成される光学的な像を電気的な信号に変換する機能を有し、例えば、CCDセンサである。撮像センサ11は、撮像センサ制御部13により駆動制御される。なお、撮像センサ11は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサでもよい。
【0028】
ボディーマイコン12は、カメラ本体3の中枢を司る制御装置であり、各種シーケンスをコントロールする。具体的には、ボディーマイコン12には、例えば、CPU、ROM、及びRAMが搭載されており(いずれも図示せず)、ボディーマイコン12は、ROMに格納されたプログラムをCPUが読み込むことによって、様々な機能を実現することができる。例えば、ボディーマイコン12は、交換レンズ2がカメラ本体3に装着されたことを検知する機能や、交換レンズ2とカメラ本体3のいずれのカメラブレ補正装置82、75によりカメラブレ補正を行うかを選択する機能、カメラブレ補正装置82、75を動作可能状態及び動作不能状態に設定する機能などを有している。図1乃至図3に示すように、ボディーマイコン12は、カメラ本体3に設けられた各部と接続されている。
【0029】
また、ボディーマイコン12は、被写体の動きに応じてカメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを制御する撮影制御処理を実行する。ボディーマイコン12は、被写体速度が閾値よりも小さい場合には、カメラブレ補正装置(交換レンズ2内の交換レンズ用カメラブレ補正装置82又はカメラ本体3内のカメラ本体用カメラブレ補正装置75)を制御してカメラブレ補正を実行させ、また、被写体速度が閾値以上の場合には、被写体速度が閾値よりも小さい場合よりも撮影感度変更機能のゲインを高くしたり露出時間を短くしたりし、かつ、異なる露出条件により複数枚の画像を連続撮影させる。ここで、撮影感度変更機能のゲインを高くするか露出時間を短くするかは、いずれか一方でもよいし、両方でもよい。撮影制御処理の詳細については、図13のフローチャートを用いて後述する。また、ボディーマイコン12は、図3にそれぞれ示す、電源スイッチ52、シャッター操作部53、撮影/再生切換操作部54、十字操作キー55、MENU設定操作部56、及びSET操作部57の信号を、それぞれ受信可能である。ボディーマイコン12は、本発明の制御手段の一例である。
【0030】
さらに、図3に示すように、ボディーマイコン12内のメモリ部12aには、カメラ本体3に関する各種情報(本体情報)が格納されている。この本体情報には、例えば、(1)カメラ本体3のメーカー名、製造年月日、型番、ボディーマイコン12にインストールされているソフトのバージョン、及びファームアップに関する情報などの、カメラ本体3を特定するための型式に関する情報(カメラ特定情報)、(2)カメラ本体3がカメラブレ補正装置75を搭載しているか否かに関する情報、(3)カメラ本体3がカメラブレ補正装置75を搭載している場合は、後述する本体用ブレ検出部30の型番や感度などの検出性能に関する情報(本体側検出性能情報)、(4)後述する本体用カメラブレ補正部76の型番及び最大補正可能角度などの補正性能に関する情報(本体側補正性能情報)、(5)カメラブレ補正を行うためのソフトのバージョン、などが含まれている。さらに、本体情報には、本体用カメラブレ補正部76の駆動に必要な消費電力に関する情報(本体側消費電力情報)及び本体用カメラブレ補正部76の駆動方式に関する情報(本体側駆動方式情報)も含まれている。なお、メモリ部12aは、レンズマイコン20から送信された情報を格納可能である。
【0031】
図4において、カメラ本体3の筐体3aは、被写体を撮影する際に撮影者によって支持される。筐体3aの背面には、表示部16、電源スイッチ52、撮影/再生切換操作部54、十字操作キー55、MENU設定操作部56、SET操作部57、及び撮影モード切り替えボタン58が設けられている。
【0032】
電源スイッチ52は、デジタル一眼レフカメラ1又はカメラ本体3の電源の入切を行うための操作部材である。電源スイッチ52により電源がON状態になると、カメラ本体3及び交換レンズ2の各部に電源が供給される。撮影/再生切換操作部54は、撮影モード又は再生モードに切り替えるための操作部材であり、撮影者は、レバーを回動させてその切り替え操作を行うことができる。MENU設定操作部56は、デジタル一眼レフカメラ1の各種動作を設定するための操作部材である。十字操作キー55は、撮影者が上下左右の部位を押圧して、表示部16に表示された各種メニュー画面から所望のメニューを選択するための操作部材である。SET操作部57は、各種メニューの実行を確定するための操作部材である。撮影モード切り替えボタン58は、後述する2つの撮影モード(ファインダ撮影モードとモニタ撮影モード)を切り替えるための操作部材である。
【0033】
図4において、筐体3aの上面には、シャッター操作部53が設けられる。シャッター操作部53は、撮影の際に撮影者によって操作され、例えば、レリーズボタンである。シャッター操作部53が操作されると、タイミング信号がボディーマイコン12に出力される。シャッター操作部53は、半押し操作と全押し操作が可能な2段式の押下スイッチである。撮影者が半押し操作を行うと、後述する被写体の動き検出、測光処理、及び測距処理が開始される。また、上記半押し操作により、ボディーマイコン12及びレンズマイコン20をはじめとする各部に電力が供給される。続いて、撮影者が全押し操作を行うと、タイミング信号が出力される。シャッター制御部14は、そのタイミング信号を受信したボディーマイコン12から出力される制御信号に従って、シャッター駆動モータ(図示せず)を駆動し、シャッターユニット10を動作させる。
【0034】
再び図2に戻り、カメラ本体3の構成の説明を続ける。図2中、ストロボ制御部43は、ストロボ44の動作を制御する。ボディーマイコン12は、シャッター操作部53の操作によって出力されたタイミング信号を受信すると、ストロボ制御部43に制御信号を出力する。そして、ストロボ制御部43は、その制御信号に基づいてストロボ44を発光させる。ストロボ44は、撮像センサ11が受光する光量に応じて制御される。すなわち、ストロボ制御部43は、撮像センサ11からの画像信号の出力が一定値以下の場合には、シャッター動作と連動して自動的にストロボ44を発光させる。一方、ストロボ制御部43は、撮像センサ11からの画像信号の出力が一定値以上の場合には、ストロボ44を発光させない制御を行う。
【0035】
ストロボ入/切操作部59は、上記した撮像センサ11の出力に関係なくストロボ44の動作を設定するための操作部である。すなわち、ストロボ制御部43は、ストロボ入/切操作部59が「入」の場合にはストロボ44を発光させ、「切」の場合にはストロボ44を発光させない。
【0036】
撮像センサ11から出力された画像信号は、アナログ信号処理部66から、A/D変換部67、デジタル信号処理部68、顔検出部120、デジタル信号増幅部110、バッファメモリ69、及び画像圧縮部70へと、順次送られて処理される。アナログ信号処理部66は、撮像センサ11から出力された画像信号にガンマ処理などのアナログ信号処理を施す。A/D変換部67は、アナログ信号処理部66から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。デジタル信号処理部68は、A/D変換部67によりデジタル信号に変換された画像信号に対してノイズ除去や輪郭強調などのデジタル信号処理を施し、処理後の信号を、顔検出部120を通して動き検出部100及びデジタル信号増幅部110に出力する。バッファメモリ69は、例えば、RAMであり、画像信号を一旦記憶する。
【0037】
デジタル信号ゲイン設定部111は、デジタル信号処理された画像信号の増幅ゲインを設定する。デジタル信号増幅部110は、設定された増幅ゲインで画像信号を増幅し、バッファメモリ69に出力する。なお、増幅ゲインの設定は撮影感度の設定に対応する。本実施の形態では、撮影感度は、ISO感度に相当する値として表され、例えば、ISO80、100、200、400、800、1600、3200相当の撮影感度に設定可能である。なお、設定可能な撮影感度は、これに限定されない。また、撮影感度は、ISO感度相当以外の値で表されてもよい。
【0038】
また、画像信号を増幅する処理は、デジタル信号増幅部110において行われる場合に限定されず、アナログ信号処理部66においてアナログ信号に対して行ってもよい。また、増幅処理は、撮像センサ11内において行われてもよい。
【0039】
バッファメモリ69に記憶された画像信号は、画像圧縮部70から画像読み出し/記録部18へと、順次送られて処理される。バッファメモリ69に記憶された画像信号は、画像記録制御部17の指令により読み出されて、画像圧縮部70に送信される。画像圧縮部70に送信された画像信号のデータは、画像記録制御部17の指令に従って圧縮処理される。画像信号は、この圧縮処理により、元のデータよりも小さなデータサイズになる。かかる圧縮方法としては、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式が用いられる。その後、圧縮された画像信号は、画像記録制御部17により画像読み出し/記録部18に記録される。
【0040】
画像読み出し/記録部18は、画像記録制御部17の指令に基づいて、画像信号と記録すべき所定の情報とを関連付けて記録する機能を有し、例えば、内部メモリや着脱可能なリムーバブルメモリなどである。なお、画像信号とともに記録すべき所定の情報には、例えば、画像を撮影した日時や、焦点距離情報、シャッタースピード情報、絞り値情報、撮影モード情報などが含まれる。これらの情報は、例えば、Exif(登録商標)形式又はExif(登録商標)形式に類する画像形式に含まれるものである。
【0041】
表示部16は、例えば、液晶モニタであり、画像表示制御部15からの指令に基づいて、画像読み出し/記録部18又はバッファメモリ69に記録された画像信号を可視画像として表示する。ここで、表示部16の表示形態としては、画像信号のみを可視画像として表示する表示形態と、画像信号と撮影時の情報とを可視画像として表示する表示形態とがある。なお、表示部16は、カメラ本体3の筐体3aに対して、自由に角度を変更できる角度可変型のモニタであってもよい。
【0042】
動き検出部100は、デジタル信号に変換された画像信号に基づいて、フレーム間の画像の水平・垂直方向の位置ずれ量を示すベクトル(以下「動きベクトル」という)をフレーム毎に検出する。以下、動き検出部100について詳細に説明する。
【0043】
図5は、動き検出部100の構成の一例を示すブロック図である。図5において、動き検出部100は、代表点記憶部101、相関演算部102、及び動きベクトル検出部103で構成されている。
【0044】
代表点記憶部101は、A/D変換部67、デジタル信号処理部68、及び顔検出部120を経て入力される現フレームの画像信号を複数の領域に分割し、各領域に含まれる特定の代表点に対応する画像信号を代表点信号として記憶する。また、代表点記憶部101は、既に記憶されている現フレームよりも1フレーム前の代表点信号を読み出して相関演算部102に出力する。
【0045】
相関演算部102は、1フレーム前の代表点信号と現フレームの代表点信号との間の相関演算を行い、代表点信号間の差を比較する。相関演算結果は、動きベクトル検出部103に出力される。
【0046】
動きベクトル検出部103は、相関演算部102による相関演算結果から1フレーム前と現フレームとの間の画像の動きベクトルを1画素単位で検出する。検出された動きベクトルは、ボディーマイコン12に出力される。ボディーマイコン12は、動きベクトルに対するゲインや位相などを調整し、画像信号上の被写体の単位時間あたりの動き速度及び方向を算出する。
【0047】
被写体の動きを検出する処理は、例えば、撮影者がシャッター操作部53を半押し操作することによって開始される。なお、処理の開始は、撮影者が電源スイッチ52をONにした後、撮影/再生切換操作部54を操作して撮影モードに切り替える動作と連動させてもよい。
【0048】
図1に戻り、クイックリターンミラー4は、入射光を反射及び透過可能なメインミラー4aと、メインミラー4aの背面側に設けられメインミラー4aからの透過光を反射するサブミラー4bとで構成されている。クイックリターンミラー4は、図3に示すクイックリターンミラー駆動制御部60により光軸AZ外に跳ね上げが可能である。入射光は、メインミラー4aにより反射光束と透過光束の2つの光束に分割される。このうち、反射光束は、ファインダ光学系19に導かれる。一方、透過光束は、サブミラー4bで反射されて、焦点検出ユニット5のAF用光束として利用される。通常の撮影時には、クイックリターンミラー駆動制御部60により、クイックリターンミラー4が光軸AZ外に跳ね上げられ、かつ、シャッターユニット10が開かれて撮像センサ11の撮像面上に被写体像が結像される。また、非撮影時には、クイックリターンミラー4は、図3に示すように、光軸AZ上に配置され、かつ、シャッターユニット10は、閉状態に設定される。
【0049】
ファインダ光学系19は、被写体像が結像されるファインダスクリーン6と、被写体像を正立像に変換するペンタプリズム7と、被写体の正立像をファインダ接眼窓9に導く接眼レンズ8と、撮影者が被写体像を観察するファインダ接眼窓9とで構成されている。
【0050】
〔交換レンズ2の構成〕
図6は、図1に示す交換レンズの構成のうち主に制御系の構成の一例を示すブロック図、図7は、図1に示す交換レンズに含まれるカメラブレ補正装置の制御システムの一例を示すブロック図である。
【0051】
図1、図6、及び図7において、交換レンズ2は、デジタル一眼レフカメラ1内の撮像センサ11に被写体像を結ぶための撮像光学系Lを構成している。交換レンズ2は、フォーカスを調節するフォーカスレンズ群24と、フォーカスレンズ群24の動作を制御するフォーカスレンズ群駆動制御部25と、絞り又は開放を調節する絞り部26と、絞り部26の動作を制御する絞り駆動制御部27と、光路を調節することによりカメラブレを補正する交換レンズ用カメラブレ補正装置82(特に図7参照)と、交換レンズ2の動作を制御する、レンズ制御部としてのレンズマイコン20とで構成されている。交換レンズ用カメラブレ補正装置82の構成については、後で詳述する。
【0052】
レンズマイコン20は、交換レンズ2の中枢を司る制御装置であり、交換レンズ2に搭載された各部に接続されている。具体的には、レンズマイコン20には、例えば、CPU、ROM、及びRAMが搭載されており(いずれも図示せず)、レンズマイコン20は、ROMに格納されたプログラムをCPUが読み込むことによって、様々な機能を実現することができる。例えば、レンズマイコン20は、ボディーマイコン12からの信号に基づいて交換レンズ用カメラブレ補正装置82を動作可能状態又は動作不能状態に設定する機能を有している。また、レンズマイコン20及びボディーマイコン12は、レンズマウント80及びボディーマウント81にそれぞれ設けられた電気切片(図示せず)を介して電気的に接続されており、互いに情報の送受信が可能となっている。
【0053】
また、レンズマイコン20内のメモリ部20aには、交換レンズ2に関する各種情報(レンズ情報)が格納されている。このレンズ情報には、例えば、(1)交換レンズ2のメーカー名、製造年月日、型番、レンズマイコン20にインストールされているソフトのバージョン、及びファームアップに関する情報などの、交換レンズ2を特定するための型式に関する情報(レンズ特定情報)、(2)交換レンズ2がカメラブレ補正装置82を搭載しているか否かに関する情報、(3)交換レンズ2がカメラブレ補正装置82を搭載している場合は、後述するレンズ用ブレ検出部21の型番や感度などの検出性能に関する情報(レンズ側検出性能情報)、(4)後述する交換レンズ用カメラブレ補正部83の型番及び最大補正可能角度などの補正性能に関する情報(レンズ側補正性能情報)、(5)カメラブレ補正を行うためのソフトのバージョン、などが含まれている。さらに、レンズ情報には、交換レンズ用カメラブレ補正部83の駆動に必要な消費電力に関する情報(レンズ側消費電力情報)及び交換レンズ用カメラブレ補正部83の駆動方式に関する情報(レンズ側駆動方式情報)も含まれている。なお、メモリ部20aは、ボディーマイコン12から送信された情報を格納可能である。
【0054】
〔カメラブレ補正装置の構成〕
カメラ本体3は、カメラ本体用カメラブレ補正装置75を搭載し(図2参照)、交換レンズ2は、交換レンズ用カメラブレ補正装置82を搭載している(図7参照)。
【0055】
図2は、カメラ本体用カメラブレ補正装置75のハードウェア構成の一例を示し、図7は、交換レンズ用カメラブレ補正装置82のハードウェア構成の一例を示している。
【0056】
まず、カメラ本体用カメラブレ補正装置75について説明する。
【0057】
図2に示すように、カメラ本体用カメラブレ補正装置75は、撮像センサシフト式のカメラブレ補正装置であり、デジタル一眼レフカメラ1のブレを検出する本体用ブレ検出部30と、本体用ブレ検出部30により検出されたデジタル一眼レフカメラ1のブレ量に応じてカメラブレを補正する本体用カメラブレ補正部76とで構成されている。
【0058】
本体用ブレ検出部30は、撮像光学系Lを含むデジタル一眼レフカメラ1自体の動きを検出する角速度センサ85と、角速度センサ85の出力に含まれる不要帯域成分中の直流ドリフト成分を除去する高域通過フィルタ(HPF)86と、角速度センサ85の出力に含まれる不要帯域成分中のセンサの共振周波数成分及びノイズ成分を除去する低域通過フィルタ(LPF)87と、角速度センサ85の出力信号レベルの調整を行うアンプ88と、アンプ88の出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換部89とで構成されている。
【0059】
角速度センサ85は、デジタル一眼レフカメラ1が静止している状態での出力を基準に、デジタル一眼レフカメラ1の動きの方向により正負両方の角速度信号を出力する。角速度センサ85は、例えば、光軸AZと直交するヨーイング方向の動きを検出するセンサである。角速度センサ85としては、例えば、ジャイロセンサなどが挙げられる。図2では、1方向のみの角速度センサ85が示されており、ピッチング方向のブレ検出部は省略されている。
【0060】
このように本体用ブレ検出部30に内蔵される角速度センサ85は、手ブレその他の振動によるデジタル一眼レフカメラ1の動きを検出する機能を有している。
【0061】
本体用カメラブレ補正部76は、撮像部71の一部としての撮像センサ11と、撮像光学系Lの光軸AZに直交する平面内において撮像センサ11を上下左右に移動させる撮像センサ駆動部35と、撮像センサ駆動部35の駆動を制御するカメラブレ補正制御部31とで構成されている。カメラブレ補正制御部31は、撮像センサ駆動部35における撮像センサ11の実際の移動量を検出する移動量検出部37と、移動量検出部37により検出された移動量がボディーマイコン12から出力される制御信号に示される駆動制御量になるよう、撮像センサ駆動部35の動作を制御するシフト制御部31aと、ボディーマイコン12から出力される制御信号をアナログ信号に変換するD/A変換部36とで構成されている。シフト制御部31a及び移動量検出部37により、本体用カメラブレ補正部76の内部において、撮像センサ駆動部35を駆動制御するための帰還制御ループが形成されている。
【0062】
また、ボディーマイコン12は、A/D変換部89を介して取り込んだ角速度センサ85の出力信号に対し、フィルタリングや積分処理、位相補償、ゲイン調整、クリップ処理などを施し、カメラブレ補正に必要な撮像センサ駆動部35の駆動制御量を求めて制御信号として出力する制御信号発生部12bを有している。ここで発生した制御信号は、カメラブレ補正制御部31のD/A変換部36を介してシフト制御部31aに出力される。シフト制御部31aは、この制御信号に基づいて撮像センサ駆動部35の駆動を制御する。
【0063】
このような構成により、撮像センサ11は、撮像センサ駆動部35によって、本体用ブレ検出部30により検出されたブレ量が相殺されるようにシフトされる。これにより、デジタル一眼レフカメラ1のブレにより生じるカメラブレをカメラ本体3側で補正することができ、撮影者の手ブレなどの影響を抑制することができ、良好な撮影画像を得ることができる。
【0064】
なお、ボディーマイコン12内のメモリ部12aには、カメラ本体3の駆動を制御するための各種プログラムに加えて、カメラブレ補正時に用いる、交換レンズ2の焦点距離に応じた撮像センサ11の光軸AZ中心からのシフト量のデータなどが記憶されている。一般的に、撮像センサを用いたカメラブレ補正装置の補正範囲については、取り付けられた交換レンズの焦点距離と一定の関係がある。すなわち、交換レンズ2の焦点距離をf〔m〕、振動により所定時間内(露光時間内)にデジタル一眼レフカメラ1が揺れる角度をθ〔rad〕とすると、撮像センサ11上で像が移動する量ΔY〔m〕は、次の式(1)で表される。
ΔY=f×tanθ …(1)
【0065】
したがって、カメラブレ補正時には、逆に撮像センサ11を駆動し、この像の移動量ΔYをキャンセルすることによりカメラブレ補正が可能となる。言い換えると、カメラブレ補正できる最大補正可能角度θは、個々のカメラ本体用カメラブレ補正装置75の可動範囲により定められている。
【0066】
次に、交換レンズ用カメラブレ補正装置82について説明する。
【0067】
図6及び図7に示すように、交換レンズ用カメラブレ補正装置82は、光学式のカメラブレ補正装置であり、デジタル一眼レフカメラ1のブレを検出するレンズ用ブレ検出部21と、レンズ用ブレ検出部21により検出されたブレ量に応じてカメラブレを補正するレンズ用カメラブレ補正部83とで構成されている。
【0068】
レンズ用ブレ検出部21は、撮像光学系Lを含むデジタル一眼レフカメラ1自体の動きを検出する角速度センサ91と、角速度センサ91の出力に含まれる不要帯域成分中の直流ドリフト成分を除去する高域通過フィルタ(HPF)92と、角速度センサ91の出力に含まれる不要帯域成分中のセンサの共振周波数成分及びノイズ成分を除去する低域通過フィルタ(LPF)93と、角速度センサ91の出力信号レベルの調整を行うアンプ94と、アンプ94の出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換部95とで構成されている。角速度センサ91としては、例えば、ジャイロセンサなどが挙げられる。
【0069】
レンズ用カメラブレ補正部83は、撮像光学系Lの一部を構成するブレ補正レンズ群22と、撮像光学系Lの光軸AZに直交する平面内においてブレ補正レンズ群22を移動させる補正レンズ駆動部28と、ブレ検出部21により検出されたブレ量に応じて補正レンズ駆動部28の動作を制御するカメラブレ補正制御部23とで構成されている。なお、撮像光学系Lは、上記の光学系の構成に限るものではない。
【0070】
カメラブレ補正制御部23は、補正レンズ駆動部28におけるブレ補正レンズ群22の実際の移動量を検出する移動量検出部40と、移動量検出部40により検出された移動量がレンズマイコン20から出力される制御信号に示される駆動制御量になるよう、補正レンズ駆動部28の動作を制御するシフト制御部23aと、レンズマイコン20から出力される制御信号をアナログ信号に変換するD/A変換部46とで構成されている。シフト制御部23a及び移動量検出部40により、交換レンズ用カメラブレ補正装置82の内部において、補正レンズ駆動部28を駆動制御するための帰還制御ループが形成されている。
【0071】
このような構成により、ブレ補正レンズ群22は、補正レンズ駆動部28によって、レンズ用ブレ検出部21により検出されたブレ量が相殺されるようにシフトされるので、カメラブレを補正することができる。
【0072】
レンズマイコン20は、A/D変換部95を介して取り込んだ角速度センサ91の出力信号に対し、フィルタリングや積分処理、位相補償、ゲイン調整、クリップ処理などを施し、ブレ補正に必要な補正レンズ駆動部28の駆動制御量を求めて制御信号として出力する制御信号発生部20bを有している。ここで発生した制御信号は、D/A変換部46を介してシフト制御部23aに出力される。カメラブレ補正制御部23は、この制御信号に基づいて補正レンズ駆動部28の駆動を制御する。これにより、デジタル一眼レフカメラ1のブレにより生じるカメラブレを交換レンズ2側で光学的に補正することができ、撮影者の手ブレなどの影響を抑制することができ、良好な撮影画像を得ることができる。
【0073】
また、レンズマイコン20内のメモリ部20aには、交換レンズ2の駆動を制御するための各種プログラムに加えて、焦点距離及び被写体までの距離とフォーカスレンズ群24の移動量との関係をそれぞれ示すデータや、焦点距離に応じたブレ補正レンズ群22の光軸AZ中心からのシフト量のデータなどが記憶されている。このブレ補正レンズ群22のシフト量については、上記の式(1)で示される像の移動量ΔYに基づいて、交換レンズ2によって補正できる最大補正可能角度θについての情報がメモリ部20aに記憶されている。さらに、このメモリ部20aには、カメラブレ補正時のブレ補正レンズ群22の駆動に必要な消費電力などについての情報も記憶されている。
【0074】
上述したように、本実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラ1は、カメラブレ補正機能付きのモニタ撮影モードを有するデジタル一眼レフカメラであり、カメラ本体3と、カメラ本体3に取り外し可能に装着された交換レンズ2とで構成されている。構成の特徴は、まとめると、以下の通りである。なお、モニタ撮影モードについては後述する。
【0075】
カメラ本体3は、撮像センサ11と、クイックリターンミラー4と、撮像センサ11を用いてコントラスト方式による合焦検出を行う合焦手段と、撮像センサ11上の画像により被写体速度の検出を行う動き検出部100と、動き検出部100により検出された被写体速度に応じて、カメラブレ補正を実行させる制御手段とを有し、合焦手段と動き検出部100と制御手段とは、クイックリターンミラー4が光軸から退避した状態で動作状態となる。上記制御手段は、カメラブレの補正を実行させる制御手段であれば、どのような手段でもよい。また、ここで、カメラブレ補正には、撮像光学系Lの一部のレンズ又は撮像センサ11を振らして光学的にブレを補正する場合は勿論のこと、信号処理によりカメラブレを補正する場合も含まれ、さらにこれらの組み合わせも含まれる。デジタル一眼レフカメラ1では、かかる制御手段と合焦手段と動き検出部100とが、クイックリターンミラー4が光軸から退避した状態で動作状態となる。なお、合焦手段は、後述するAF評価値などを算出するボディーマイコン12によって実現されている。
【0076】
さらに、デジタル一眼レフカメラ1は、カメラ本体3又は交換レンズ2の少なくともいずれか一つに搭載され、カメラ本体3の動きに起因する光学像のブレを補正するカメラブレ補正部を有する。具体的には、デジタル一眼レフカメラ1は、カメラ本体3側にカメラ本体用カメラブレ補正装置75を、交換レンズ2側に交換レンズ用カメラブレ補正装置82をそれぞれ有する。そして、上記制御手段は、動き検出部100により検出された被写体速度が閾値以上の場合には、画像の増幅率を上げ又は露出時間を短くする一方、動き検出部100により検出された被写体速度が閾値よりも小さい場合には、カメラ本体用カメラブレ補正装置75又は交換レンズ用カメラブレ補正装置82を制御して光学的にカメラブレ補正を実行させる。なお、画像の増幅率を上げるか露出時間を短くするかは、一方でもよいし、両方でもよい。
【0077】
以下、上記のように構成されたデジタル一眼レフカメラ1の動作を説明する。
【0078】
まず、デジタル一眼レフカメラ1の撮影動作について説明する。
【0079】
図8及び図9は、デジタル一眼レフカメラ1の撮像時の概念図であり、特に、図8は、ファインダ撮影モードを説明するための概念図、図9は、モニタ撮影モードを説明するための概念図である。
【0080】
〔撮像前の動作〕
図8及び図9に示すように、被写体(図示せず)からの光は、交換レンズ2を透過し、クイックリターンミラー4の半透過ミラーであるメインミラー4aに入射する。メインミラー4aに入射した光の一部は反射してファインダスクリーン6に入射し、残りの光は透過してサブミラー4b(図示せず)に入射する。ファインダスクリーン6に入射した光は、被写体像として結像する。この被写体像は、ペンタプリズム7によって正立像に変換され、接眼レンズ8に入射する。これにより、撮影者は、ファインダ接眼窓9を介して被写体の正立像を観察することができる。また、サブミラー4b(図示せず)に入射した光は、ここで反射されて焦点検出ユニット5(図示略)に入射する。
【0081】
〔ファインダ撮影モードとモニタ撮影モード〕
このデジタル一眼レフカメラ1は、被写体の確認方法が異なる2つの撮影モード、つまり、ファインダ撮影モードとモニタ撮影モードを有する。ここで、「ファインダ撮影モード」とは、撮影者がファインダ接眼窓9から被写体を観察しながら撮影する撮影モードであり、従来の一眼レフカメラにおける通常の撮影モードである。また、「モニタ撮影モード」とは、撮影者が被写体を表示部16の撮影画像として見ながら撮影する撮影モードであり、本実施の形態の特徴の一つである。
【0082】
ファインダ撮影モードにおいては、図8に示すように、クイックリターンミラー4は、光軸AZ内の所定位置に配置されており、被写体光は、ファインダ光学系19に導かれるので、撮影者は、ファインダ接眼窓9から被写体像を観察することができる。実際の撮影時には、クイックリターンミラー4が光軸AZ外に跳ね上げられ、かつ、シャッターユニット10が開かれて、撮像センサ11の撮像面上に被写体像が結像される。
【0083】
一方、モニタ撮影モードにおいては、図9に示すように、クイックリターンミラー4を光軸AZ内から退避させる。よって、表示部16には、撮像センサ11を介して被写体の画像、つまり、いわゆるスルー画像が表示される。
【0084】
〔ファインダ撮影モードの動作〕
次に、デジタル一眼レフカメラ1の撮影動作について説明する。まず、図1〜図4及び図8を用いて、撮影者がファインダ接眼窓9を覗いて撮影するファインダ撮影モードにおける駆動シーケンスについて説明する。
【0085】
ファインダ撮影モードにおいて撮影する場合、撮影者は、筐体3aの背面に設けられた撮影モード切り替えボタン58を操作して、ファインダ撮影モードを設定する。
【0086】
その後、撮影者のシャッター操作部53の半押し動作により、デジタル一眼レフカメラ1内のボディーマイコン12及び各種ユニットに電源が供給される。電源供給により起動したデジタル一眼レフカメラ1内のボディーマイコン12は、同じく電源供給により起動した交換レンズ2内のレンズマイコン20から、レンズマウント80及びボディーマウント81を介して、各種レンズデータを受け取り、内蔵するメモリ部12aに保存する。次に、ボディーマイコン12は、焦点検出ユニット5から、焦点ずれ量(以下「Df量」という)を取得し、そのDf量分だけフォーカスレンズ群24を駆動するようにレンズマイコン20に指示する。そして、レンズマイコン20は、フォーカスレンズ群駆動制御部25をコントロールして、Df量分だけフォーカスレンズ群24を動作させる。このように焦点検出とフォーカスレンズ群24の駆動とを繰り返すことにより、Df量は小さくなる。そして、ボディーマイコン12は、Df量が所定量以下になったときに合焦と判断し、フォーカスレンズ群24の駆動を停止させる。
【0087】
その後、ボディーマイコン12は、撮影者によりシャッター操作部53が全押しされると、レンズマイコン20に対して、絞り値を図示しない測光センサからの出力に基づいて計算された絞り値にするように指示する。そして、レンズマイコン20は、絞り駆動制御部27をコントロールして、指示された絞り値まで絞り部26の絞りを絞り込む。このような絞り値の指示と同時に、ボディーマイコン12は、クイックリターンミラー制御部60により、クイックリターンミラー4を光軸AZ内から退避させる。クイックリターンミラー4の退避完了後、撮像センサ制御部13は、撮像センサ11の駆動を指示し、シャッター制御部14は、シャッターユニット10の動作を指示する。なお、シャッター制御部14は、上記測光センサからの出力に基づいて計算されたシャッタースピードの時間だけ、撮像センサ11を露光させる。
【0088】
そして、露光完了後、撮像センサ制御部13により撮像センサ11から読み出された画像データは、所定の画像処理が施された後、表示部16に撮影画像として表示される。また、撮像センサ11から読み出され所定の画像処理が施された画像データは、画像読み出し/記録部18に画像データとして書き込まれる。また、露光終了後、クイックリターンミラー4及びシャッターユニット10は、初期位置にリセットされる。また、ボディーマイコン12は、レンズマイコン20に対して、絞り部26の絞りを開放位置にリセットするように指示し、レンズマイコン20は、各ユニットに対してリセット命令を行う。リセット完了後、レンズマイコン20は、ボディーマイコン12にリセット完了を伝える。ボディーマイコン12は、レンズマイコン20からのリセット完了情報と露光後の一連の処理の完了とを待ち、その後、シャッター操作部53の状態が、押し込みされていない状態であることを確認して、駆動シーケンスを終了する。
【0089】
〔モニタ撮影モードの動作〕
次に、図1〜図4及び図9を用いて、撮影者が表示部16を用いて撮影するモニタ撮影モードにおける駆動シーケンスについて説明する。
【0090】
表示部16を用いて撮影する場合、撮影者は、撮影モード切り替えボタン58を操作して、モニタ撮影モードを設定する。モニタ撮影モードが設定されると、ボディーマイコン12は、クイックリターンミラー4を光軸AZ内から退避させる。これにより、被写体からの光が撮像センサ11に達するので、撮像センサ11は、撮像センサ11上に結像される被写体からの光を画像データに変換して、被写体像を画像データとして取得し、出力することができる。撮像センサ制御部13により撮像センサ11から読み出された画像データは、所定の画像処理が施された後、表示部16に撮影画像として表示される。このように、撮影画像を表示部16に表示させることにより、撮影者は、ファインダ接眼窓9を覗くことなく、被写体を追いかけることが可能となる。
【0091】
このモニタ撮影モードにおいては、その合焦方法として、焦点検出ユニット5を用いた位相差検出方式に替わり、撮像センサ11により生成された画像データに基づいて、コントラスト方式のオートフォーカスを用いる。表示部16を用いたモニタ撮影モードにおけるオートフォーカス動作の方式としては、コントラスト方式を用いることにより、デジタル一眼レフカメラとして、精度の良いフォーカス動作を実現することができる。このモニタ撮影モードでは、定常的に、撮像センサ11により画像データを生成しているので、その画像データを用いたコントラスト方式のオートフォーカス動作をするのが容易だからである。
【0092】
次に、コントラスト方式を用いたオートフォーカス動作について説明する。
【0093】
コントラスト方式のオートフォーカス動作を行う際には、ボディーマイコン12は、レンズマイコン20に対して、コントラストAF用データを要求する。コントラストAF用データは、コントラスト方式のオートフォーカス動作の際に必要なデータであり、例えば、フォーカス駆動速度やフォーカスシフト量、像倍率、コントラストAF可否情報などが含まれる。
【0094】
ボディーマイコン12は、垂直同期信号を定期的に生成する。また、ボディーマイコン12は、これと並行して、垂直同期信号に基づいて、露光同期信号を生成する。このようにボディーマイコン12が垂直同期信号に基づいて露光同期信号を生成できるのは、ボディーマイコン12が、垂直同期信号を基準にして、露光開始タイミングと露光終了タイミングとを予め把握しているためである。ボディーマイコン12は、垂直同期信号をタイミング発生器(図示せず)に出力し、露光同期信号をレンズマイコン20に出力する。レンズマイコン20は、露光同期信号に同期して、フォーカスレンズ群駆動制御部25を介してフォーカスレンズ群24の位置情報を取得する。
【0095】
撮像センサ制御部13は、垂直同期信号に基づいて、撮像センサ11の読み出し信号と電子シャッター駆動信号とを定期的に生成する。撮像センサ制御部13は、読み出し信号及び電子シャッター駆動信号に基づいて、撮像センサ11を駆動する。すなわち、撮像センサ11は、読み出し信号に応じて、撮像センサ11内に多数存在する光電変換素子(図示せず)によって生成された画素データを垂直転送部(図示せず)に読み出す。
【0096】
次に、撮影者のシャッター操作部53の半押し動作により、デジタル一眼レフカメラ1のボディーマイコン12は、交換レンズ2内のレンズマイコン20から、レンズマウント80及びボディーマウント81を介して、各種レンズデータを受け取り、内蔵するメモリ部12aに保存する。また、ボディーマイコン12は、レンズマイコン20に対して、オートフォーカス開始コマンドを発信する。シャッター操作部53が半押しされた場合のオートフォーカス開始コマンドは、コントラスト方式のオートフォーカス動作を開始すべき旨を示すコマンドである。これを受けて、レンズマイコン20は、フォーカスレンズ群24を光軸AZと平行な方向に駆動制御する。また、ボディーマイコン12は、受信した画像データに基づいて、オートフォーカス動作用の評価値(以下「AF評価値」という)を算出する。具体的には、AF評価値の算出方法として、例えば、撮像センサ11により生成された画像データから輝度信号を求め、輝度信号の画面内における高周波成分を積算して、AF評価値を求める方法が知られている。この算出されたAF評価値は、露光同期信号と関連付けた状態で、メモリ部12aを構成する、例えば、DRAM(図示せず)に保存される。そして、レンズマイコン20から取得したレンズ位置情報も、露光同期信号と関連付けられている。そのため、ボディーマイコン12は、AF評価値をレンズ位置情報と関連付けて保存することができる。
【0097】
次に、ボディーマイコン12は、上記DRAMに保存されたAF評価値に基づいて、コントラストピークを求め、合焦点を抽出できたか否かを監視する。具体的には、ボディーマイコン12は、AF評価値が極大値となるフォーカスレンズ群24の位置を合焦点として抽出する。このレンズ駆動の方式としては、一般的には、山登り方式が知られている。
【0098】
また、この状態において、デジタル一眼レフカメラ1は、撮像センサ11により生成された画像データが示す画像をスルー画像として表示部16に表示する。このスルー画像が動画として表示部16に表示されるので、撮影者は、表示部16を見ながら、静止画像又は動画像を撮像するための構図を決めることができる。
【0099】
その後、ボディーマイコン12は、撮影者によりシャッター操作部53が全押しされると、レンズマイコン20に対して、絞り値を撮像センサ11の出力に基づいて計算された絞り値にするように指示する。そして、レンズマイコン20は、絞り駆動制御部27をコントロールして、指示された絞り値まで、絞り部26の絞りを絞り込む。また、撮像センサ制御部13は、撮像センサ11の駆動を指示し、シャッター制御部14は、シャッターユニット10の動作を指示する。なお、シャッター制御部14は、撮像センサ11の出力に基づいて計算されたシャッタースピードの時間だけ、撮像センサ11を露光させる。
【0100】
そして、露光完了後、撮像センサ制御部13により撮像センサ11から読み出された画像データは、所定の画像処理が施された後、表示部16に撮影画像として表示される。また、撮像センサ11から読み出され所定の画像処理が施された画像データは、画像読み出し/記録部18に画像データとして書き込まれる。また、露光終了後、クイックリターンミラー4は、光軸AZ内から退避した状態に位置しているので、引き続き、撮影者は、モニタ撮影モードにより、被写体を表示部16上の撮影画像として見ることができる。
【0101】
また、モニタ撮影モードを解除する場合、撮影者は、撮影モード切り替えボタン58を操作して、ファインダ接眼窓9を覗いて撮影するファインダ撮影モードに切り替える。ファインダ撮影モードに切り替えられた場合、クイックリターンミラー4は、光軸AZ内の所定位置に戻される。また、デジタル一眼レフカメラ1又はカメラ本体3の電源が切断された場合にも、クイックリターンミラー4は、光軸AZ内の所定位置に戻される。
【0102】
〔カメラ本体の第2の構成〕
図10は、図1に示すデジタル一眼レフカメラの一変更例を示すブロック図である。なお、図10において、図1と同一の構成部分には同一の符号を付している。
【0103】
図10において、デジタル一眼レフカメラ1aは、交換レンズ式のデジタル一眼レフカメラであり、大別して、デジタル一眼レフカメラ1aの主要な機能を有するカメラ本体3aと、カメラ本体3aに取り外し可能に装着された交換レンズ2とで構成されている。交換レンズ2は、最後部に設けられたレンズマウント80を介して、カメラ本体3aの前面に設けられたボディーマウント81に装着されている。
【0104】
図10に示すカメラ本体3aの、図1に示すカメラ本体3に対する変更点は、撮像部71aから、図1に示すカメラ本体3において入射光をファインダ光学系19及び焦点検出ユニット5に導くクイックリターンミラー4を除去し、その替わりに、液晶ファインダなどの電子ファインダ部90を設けたことである。この電子ファインダ部90に、表示部16と同様に、画像表示制御部15からの指令に基づいて、画像読み出し/記録部18又はバッファメモリ69に記録された画像信号を可視画像として表示することにより、撮影者は、ファインダ接眼窓9を通して被写体像を観察することが可能となる。
【0105】
カメラ本体3aは、ファインダ光学系19及びクイックリターンミラー4を除去することにより、カメラ本体3aの薄型化を図ることができる。さらには、交換レンズ2の一番後ろにあるレンズから撮像センサ11までの距離であるレンズバックを短くできるため、交換レンズ2の小型化を図ることが可能となる。
【0106】
また、図10のカメラ本体3aにおいては、その焦点検出方法として、常に、撮像センサ11により生成された画像データに基づくコントラスト方式を用いることにより、精度の良いフォーカス動作を実現することができる。さらには、クイックリターンミラー4の開閉動作が不必要となるため、フォーカス動作の高速化や静音化などを図ることができ、従来の静止画撮影のみならず、動画撮影にも対応することが可能となる。
【0107】
以下の説明は、図1に示すデジタル一眼レフカメラ1と図10に示すデジタル一眼レフカメラ1aのいずれにも適用される動作説明である。そこで、以下では、図1に示すデジタル一眼レフカメラ1の動作を代表として例にとって説明する。
【0108】
〔交換レンズがカメラ本体に装着された時の選択動作〕
次に、交換レンズ2がカメラ本体3に装着された時のカメラブレ補正装置選択の具体的な動作について説明する。
【0109】
図11は、本実施の形態における、カメラブレ補正装置の選択動作に関するシーケンスを示すフローチャートである。
【0110】
本実施の形態では、交換レンズ2とカメラ本体3のいずれにもカメラブレ補正装置が搭載されている場合、交換レンズ2側の交換レンズ用カメラブレ補正装置82を優先的に選択することとする。交換レンズ用カメラブレ補正装置82によるカメラブレ補正は、下記の理由により、カメラ本体用カメラブレ補正装置75によるカメラブレ補正よりも有利とされているからである。すなわち、これは、(1)ブレ発生源である交換レンズ2側でブレ補正を行う方がより有効にブレ補正を行うことができること(特に望遠レンズ)、(2)汎用使用が前提のカメラ本体3に対して、交換レンズ2は専用使用が前提であるので、専用の交換レンズ2側のブレ補正は、ブレ補正のための最適化設計が可能であること、といった理由に基づく。但し、カメラ本体3側のカメラブレ補正(一般にはCCDをブレ方向と反対に振る補正)と、交換レンズ2側のカメラブレ補正との優劣は、設計仕様などによって変わるため、一概に決められるものではない。また、交換レンズ2とカメラ本体3のいずれかにカメラブレ補正装置が搭載されている場合には、カメラブレ補正装置が搭載されている側のカメラブレ補正装置を使用することを前提に説明を行う。
【0111】
まず、ステップS1では、ボディーマイコン12は、交換レンズ2が取り付けられたか否かを判断する。カメラ本体3に交換レンズ2が装着されると、カメラ本体3のボディーマイコン12によって、交換レンズ2が装着されたことが検知される。
【0112】
そして、ステップS2では、ボディーマイコン12は、交換レンズ2内のデータを取得する。
【0113】
そして、ステップS3では、ボディーマイコン12は、装着された交換レンズ2内にカメラブレ補正装置82が搭載されているか否かを判断する。ボディーマイコン12は、交換レンズ2が装着された後、交換レンズ2内に交換レンズ用カメラブレ補正装置82が搭載されているか否かの情報を、交換レンズ2内のレンズマイコン20のメモリ部20aから取得する。この情報には、カメラブレ補正装置が搭載されているか否かに関する情報が含まれており、この情報に基づいて、ボディーマイコン12は、交換レンズ2内に交換レンズ用カメラブレ補正装置82が搭載されているか否かの判断を行う。
【0114】
この判断の結果として、交換レンズ2内に交換レンズ用カメラブレ補正装置82が搭載されている場合は、ステップS4に進み、一方、交換レンズ2内に交換レンズ用カメラブレ補正装置82が搭載されていない場合は、ステップS6に進む。
【0115】
ステップS4では、ボディーマイコン12は、カメラ本体3内のカメラ本体用カメラブレ補正装置75を停止させる。これは、上記のように、交換レンズ2内にカメラブレ補正装置82が搭載されている場合には交換レンズ用カメラブレ補正装置82を優先するため、カメラ本体3側におけるカメラ本体用カメラブレ補正装置75の駆動を停止させるものである。
【0116】
そして、ステップS5では、ボディーマイコン12は、交換レンズ用カメラブレ補正装置82の駆動を開始させて、本シーケンスを終了する。これにより、デジタル一眼レフカメラ1は、撮影可能状態となる。
【0117】
一方、ステップS3の判断の結果として交換レンズ2内に交換レンズ用カメラブレ補正装置82が搭載されていない場合に進むステップS6では、ボディーマイコン12は、カメラ本体3内にカメラ本体用カメラブレ補正装置75が搭載されているか否かを判断する。
【0118】
この判断の結果として、カメラ本体3内にカメラ本体用カメラブレ補正装置75が搭載されている場合は、ステップS7に進み、一方、カメラ本体3内にカメラ本体用カメラブレ補正装置75が搭載されていない場合は、ステップS8に進む。
【0119】
ステップS7では、ボディーマイコン12は、カメラ本体用カメラブレ補正装置75の駆動を開始させて、本シーケンスを終了し、デジタル一眼レフカメラ1は、撮影可能状態となる。
【0120】
一方、ステップS6の判断の結果としてカメラ本体3内にカメラ本体用カメラブレ補正装置75が搭載されていない場合に進むステップS8では、ボディーマイコン12は、内蔵するメモリ部12aに、交換レンズ2及びカメラ本体3の両方ともカメラブレ補正装置が搭載されていない状態であることを記憶し、デジタル一眼レフカメラ1は、撮影可能状態へ移行する。
【0121】
以上のように、このデジタル一眼レフカメラ1では、交換レンズ2とカメラ本体3のいずれか一方、あるいはその両方にカメラブレ補正装置が搭載されているか否かを自動的に判断し、予め設定された交換レンズ2内のカメラブレ補正装置82が優先的に駆動され、誤動作をすることなくカメラブレ補正装置を正常に作動させることができる。なお、交換レンズ2内のカメラブレ補正装置82、カメラ本体3内のカメラブレ補正装置75のいずれを使用するかについては、撮影者により選択可能としてもよい。
【0122】
〔撮影時の動作〕
次に、上記カメラブレ補正機能と撮影感度変更機能とを備えるデジタル一眼レフカメラ1の動作を説明する。
【0123】
まず、デジタル一眼レフカメラ1において選択可能な撮影モードについて説明する。撮影モードには、例えば、0.3秒間隔でシャッターユニット10を動作させて2回又は3回以上の複数回の連続撮影を行う「連写モード」や、それぞれ後述する「感度アップ&カメラブレ補正自動選択モード」、「感度アップモード」、「カメラブレ補正モード」などが含まれ、撮影者は、所望の撮影モードを選択可能である。撮影モードが選択されると、ボディーマイコン12は、各撮影モードに応じて各種制御部を制御する。
【0124】
図12は、表示部16に表示された撮影モード選択画面の一表示例を示す図である。撮影モード選択画面は、撮影者がMENU設定操作部56及び十字操作キー55を操作することにより、表示部16に表示させることができる。図12に示すように、撮影モードは、感度アップ&カメラブレ補正自動選択モード、感度アップモード、カメラブレ補正モード、及びモードOFFからなり、撮影者は、それぞれ対応するアイコン190、191、192、193を選択することにより、所望の撮影モードを設定することができる。なお、図12には、本実施の形態において特徴的な撮影モード選択アイコンのみが表示されているが、これに限定されず、上記の連写モードなど、他の撮影モード選択アイコンをさらに表示してもよい。
【0125】
感度アップモード選択アイコン191が選択されると、通常の撮影よりも高感度の撮影感度に変更される(「感度アップモード」)。すなわち、デジタル信号増幅部110は、ボディーマイコン12からの指令により、画像信号を所定のゲインで増幅する。これにより、露光時間を短くし、速いシャッタースピードで撮影することができるので、カメラブレの影響を小さくすることができる。
【0126】
カメラブレ補正モード選択アイコン192が選択されると、カメラブレ補正機能が動作する(「カメラブレ補正モード」)。すなわち、デジタル一眼レフカメラ1は、カメラ本体3内のカメラ本体用カメラブレ補正装置75又は交換レンズ2内の交換レンズ用カメラブレ補正装置82のいずれかを、ボディーマイコン12からの指令により駆動して、撮像センサ11又はブレ補正レンズ群22を光軸AZと直交する平面内の2方向(上下左右)に移動させて、カメラブレを軽減する。
【0127】
感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードアイコン190が選択されると、ボディーマイコン12は、撮影モードを、被写体が動く速度に応じて、感度アップモード又はカメラブレ補正モードのいずれかに自動的に切り替える。これにより、被写体が被写体ブレを発生させるような速い速度で動く場合には、撮影感度が高感度に設定され、一方、被写体が被写体ブレを発生させないような遅い速度で移動する場合には、カメラブレを軽減するカメラブレ補正機能が動作する。なお、本実施の形態では、感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードアイコン190が選択されると、本実施の形態の特徴であるモニタ撮影モードへ自動的に移行する。すなわち、ボディーマイコン12は、クイックリターンミラー4を光軸AZ内から退避させ、かつ、焦点検出方式を撮像センサ11により生成された画像データに基づくコントラスト方式へ自動的に変更する。また、フォーカスの方式として、被写体の顔に優先して合焦させる顔優先フォーカスモードを設け、撮影者により顔優先フォーカスモードが選択された場合には、感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードへ移行し、感度アップモード又はカメラブレ補正モードのいずれかに自動的に切り替えるようにしてもよい。
【0128】
モードOFF選択アイコン193が選択されると、上記の撮影感度アップ機能及びカメラブレ補正機能は動作せず、通常モードにおいて通常の撮影が可能である。
【0129】
次に、感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードが選択された場合の撮影処理について、図13のフローチャートを用いて説明する。
【0130】
図13は、デジタル一眼レフカメラ1の撮影処理の一手順を示すフローチャートであり、ボディーマイコン12により実行される。本フローチャートは、例えば、デジタル一眼レフカメラ1の電源スイッチ52がON側に操作されると開始する。
【0131】
ステップS11では、ボディーマイコン12は、撮影者によりカメラ本体3の筐体3aの背面側に設けられたMENU設定操作部56が操作されると、表示部16に撮影モードの一覧をアイコンで表示させる。表示部16に表示された撮影モード選択アイコンのうち、撮影者により感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードアイコン190が選択されると、処理はステップS12に進み、カメラブレ補正モードが始まる。
【0132】
そして、ステップS12では、ボディーマイコン12は、撮影モードをカメラブレ補正モードに切り替え、カメラ本体3内のカメラブレ補正装置75又は交換レンズ2内のカメラブレ補正装置82のいずれかを動作させる。なお、いずれのカメラブレ補正装置を使用するかは、図11のフローチャートに示す判断方法に基づいて決定される。
【0133】
そして、ステップS13では、撮影者によりシャッター操作部53が半押し操作されると、ボディーマイコン12は、シャッター操作部53が半押し操作されたことを認識して、処理をステップS14へ移行させる。
【0134】
そして、ステップS14では、被写体の顔検出を行う。顔検出処理は、顔検出部120によって行われる。顔検出方法としては、撮影画像から輪郭情報を検出し、検出された輪郭内に特徴点(目や鼻、口など)が存在するか否かを検出する方法がある。顔検出部120は、検出された輪郭内に特徴点が存在する場合、顔と判断する。
【0135】
図14は、デジタル一眼レフカメラ1のカメラブレ補正モードにより撮影された撮影画像を表示部16に表示した一表示例を示す図である。
【0136】
顔検出を行う場合には、図14に示すように、被写体の人物Aに対して顔検出処理を行う撮影画面上の所定位置に、AFエリア枠Faが設定される。なお、被写体については、複数の被写体から特定の被写体が優先的に設定されるようにしてもよい。また、被写体として顔を検出できなかった場合には、感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードを抜けて、通常のカメラブレ補正モードで撮影を継続する。
【0137】
そして、ステップS15では、被写体の顔の動きを検出する。顔の動き検出処理では、動き検出部100が、撮影対象となる被写体の動きを、撮影画像の代表点を追跡することによって検出し、動きベクトルを出力する。また、動き検出処理と同時に、例えば、測光処理及び測距処理を行う。測光処理では、デジタル信号処理部68が、撮像センサ11から出力された画像信号に基づいて、露光値を演算する。ボディーマイコン12は、演算された露光値に基づいて、適切なシャッタースピードを自動設定する。また、測距処理では、フォーカスレンズ群駆動制御部25が、画像信号のコントラスト値がピークとなるようにフォーカスレンズ群24を光軸AZ方向に移動させ、合焦調整を行う。
【0138】
また、被写体の顔の動きを検出する際には、カメラブレ補正を行っているため、カメラブレの影響を少なくした状態において動き検出を行うことができるので、動き検出の精度を高めることができる。すなわち、撮像センサ11における像の動きが、被写体の動きによるものであるか、撮影者の手ブレなどによるカメラ本体の動きの影響であるのかを区別することができる。なお、被写体の動きについては、被写体の顔のみに限らず、被写体の体全体の動きから判断するようにしてもよい。
【0139】
そして、ステップS16では、ボディーマイコン12は、動き検出部100により検出された動きベクトルから、単位時間あたりの被写体の顔の動き速度Vhを算出する。
【0140】
そして、ステップS17では、動き速度Vhの判定処理を行う。具体的には、デジタル一眼レフカメラ1には予め閾値Aが設定されており、ボディーマイコン12は、動き速度Vhと閾値Aとを比較する。ここで、閾値Aは、被写体ブレが生じる基準となる値であり、デジタル一眼レフカメラ1に固有の値であってもよいし、撮影者により任意に設定されてもよい。例えば、ストロボを使用する場合には、シャッタースピードを速くすることができるので、閾値を大きくすることにより、むやみに撮影感度が上がることはない。逆に、被写体として、被写体速度算出後撮影時までに突然動くことが多い子供やペットなどを撮影する場合には、デジタル一眼レフカメラ1に、別途子供撮影モードやペット撮影モードなどを設けることにより、撮影者がそのモードを選択したときには、閾値を小さくして、撮影感度をアップさせることを優先するような方法であってもよい。さらには、夜景又は薄暗い室内での撮影の場合や、被写体までの距離が遠くてストロボ光が届かない場合などにも、閾値を小さくして、撮影感度を優先させるようにしてもよい。また、撮影する際に設定する画質に応じて、閾値を変更できるようにしてもよい。例えば、RAWファイル(非圧縮)などの最高画質で撮影する場合には、撮影感度アップによる画質劣化を避けるために閾値を大きくし、また、標準画質で撮影する場合には、閾値を小さくして撮影感度をアップさせることを優先させるようにしてもよい。
【0141】
本実施の形態は、上記閾値Aが一定値ではなく、複数の閾値A1、A2、…を有し、交換レンズ2とカメラ本体3とが有するカメラブレ補正装置の組み合わせに応じて、閾値A1、A2、…を適応的に設定(選択)することを特徴とする。ここでは、上記閾値Aは、通常撮影モード用の閾値A1と高感度優先撮影モード用の閾値A2(A1>A2)の2つの値を有する。そして、このステップS17では、交換レンズ2とカメラ本体3とが有するカメラブレ補正装置の組み合わせに応じて、例えば、高感度優先撮影モードの組み合わせの場合には、通常撮影モード用の閾値A1を、より閾値が低い高感度優先撮影モード用の閾値A2に切り替えることにより、早めに感度アップモードへ移行するようにしている(後述する図15参照)。
【0142】
通常、カメラ本体用カメラブレ補正装置75は、上記式(1)で示す撮像センサ11上で像が移動する量ΔYが大きくなると、つまり、交換レンズ2の焦点距離fが大きくなる、又は、デジタル一眼レフカメラ1が揺れる角度θが大きくなると、交換レンズ2に搭載されたカメラブレ補正装置82の性能に比べて、次に示すような欠点(1)、(2)がある。
【0143】
(1)撮像センサ11上で像が移動する量ΔYが、例えば、1mmを超えるようになると、撮像センサ11を駆動する撮像センサ駆動部35の駆動量が大きくなるので、本体用カメラブレ補正部76自体が大きくなり、カメラ本体3の大型化につながる。
【0144】
(2)撮像センサ11の移動量が大きくなると、周辺光量比低下など、撮像センサ11の周辺部における被写体像の光学性能劣化につながる。
【0145】
したがって、交換レンズ2の焦点距離fが大きい場合には、長焦点距離用に合わせて最適設計された交換レンズ2用のカメラブレ補正装置82を使用することが望ましい。また、デジタル一眼レフカメラ1が揺れる角度θが大きい場合にも、周辺光量比低下などを考慮して最適設計された交換レンズ2用のカメラブレ補正装置82を使用することが望ましい。
【0146】
そこで、本実施の形態では、交換レンズ2へのカメラブレ補正装置82の搭載の有無、及び、使用する交換レンズ2の焦点距離fに応じて、閾値Aを変えるシステム構成を採用している。
【0147】
図15は、デジタル一眼レフカメラ1の交換レンズ内及びカメラ本体内のカメラブレ補正装置の組み合わせと閾値Aとの関係を説明するための図である。
【0148】
本実施の形態のデジタル一眼レフカメラ1は、カメラ本体3又は組み合わせて使用する交換レンズ2内の少なくともいずれかにカメラブレ補正装置を有する。そこで、カメラ本体側と交換レンズ側のそれぞれにおけるカメラブレ補正装置の有無に応じて、次の3つの撮影モード、つまり、(1)通常撮影モード、(2)高感度優先撮影モード、及び(3)感度アップモード、を設定する。また、交換レンズ側にカメラブレ補正装置がない場合は、上記した理由によって、交換レンズ2の焦点距離に応じて撮影モードの閾値Aを変える。ここでは、交換レンズ2の焦点距離が300mm未満か300mm以上かによって、通常撮影モード(閾値A1)と高感度優先撮影モード(閾値A2)(但し、A1>A2)とを設定する。なお、これは単なる一例であり、交換レンズ2の焦点距離設定値又は焦点距離に応じて2以上の閾値を持つものでもよい。
【0149】
図15に示すように、カメラ本体側と交換レンズ側の両方ともカメラブレ補正装置がない場合は、交換レンズ2の焦点距離が300mm未満か300mm以上かにかかわらず、感度アップモードを設定する(図15中の(a)及び(b)参照)。カメラ本体側と交換レンズ側のいずれにもカメラブレ補正装置がない場合は、撮影感度を高感度に設定することにより、露光時間を短くし、速いシャッタースピードで撮影して、カメラブレの影響を小さくすることができる。
【0150】
また、カメラ本体側と交換レンズ側のいずれかにカメラブレ補正装置がある場合は、基本的には通常撮影モード(閾値A1)を設定する(図15中の(c)、(d)、及び(f)参照)。詳細には、交換レンズ側にカメラブレ補正装置82がある場合には、カメラ本体側のカメラブレ補正装置75の有無にかかわらず、通常撮影モード(閾値A1)を設定する(図15中の(c)及び(f)参照)。カメラ本体側にカメラブレ補正装置75がある場合には、交換レンズ側のカメラブレ補正装置82の有無により通常撮影モード(閾値A1)と高感度優先撮影モード(閾値A2)とのいずれかを設定する。具体的には、カメラ本体側にカメラブレ補正装置75がある場合において、交換レンズ側のカメラブレ補正装置82がある場合(図15中の(f)参照)と、交換レンズ側のカメラブレ補正装置82がない場合であっても、交換レンズ2の焦点距離が300mm未満の場合(図15中の(d)参照)とには、通常撮影モード(閾値A1)を設定する。なお、図15中の(c)、(d)、及び(f)の通常撮影モード(閾値A1)において、同じ通常撮影モード(閾値A1)であっても、図15中の(c)及び(f)の通常撮影モードは交換レンズ側であり、図15中の(d)の通常撮影モードはカメラ本体側であることに注意すべきである。通常撮影モードでは、カメラブレを有効に防ぎつつ、むやみに撮影感度を上げることがないため、高画質の撮影が可能になる。
【0151】
また、カメラ本体側にカメラブレ補正装置75がある場合において、交換レンズ側のカメラブレ補正装置82がない場合で、かつ、交換レンズ2の焦点距離が300mm以上の場合には(図15中の(e)参照)、高感度優先撮影モード(閾値A2)を設定する。高感度優先撮影モードでは、通常撮影モードの場合よりも早めに感度アップモードへ移行させて、カメラブレの影響をより小さくすることができる。
【0152】
ここで、カメラ本体側と交換レンズ側の両方にカメラブレ補正装置がある場合には、上記した図11のフローチャートに示したように、ボディーマイコン12は、交換レンズ用カメラブレ補正装置82を優先するため、カメラ本体側のカメラブレ補正装置75の駆動を停止させる。これは、図15中の(f)の通常撮影モード(閾値A1)の場合である。また、カメラ本体側にカメラブレ補正装置75があり、かつ、交換レンズ側にカメラブレ補正装置82がない場合には、カメラ本体側のカメラブレ補正装置75において、交換レンズ2の焦点距離が300mm未満か300mm以上かで、それぞれ通常撮影モード(閾値A1)又は高感度優先撮影モード(閾値A2)が設定される。
【0153】
図16は、閾値Aによる被写体の動き速度Vhと撮影時の撮影感度Sとの切り替えを説明するための図である。閾値Aは、A1とA2の2種類である。
【0154】
(1)通常撮影モードの場合(閾値A1)には、被写体速度がV2を超えると、被写体速度に応じて段階的に感度をアップさせる。
【0155】
このとき、交換レンズ2とカメラ本体3とのカメラブレ補正装置の有無の組み合わせは、カメラ本体3へのカメラブレ補正装置75の搭載の有無にかかわらず、交換レンズ2がカメラブレ補正装置82を搭載している場合(図15中の(c)及び(f)参照)と、交換レンズ2がカメラブレ補正装置82を搭載しておらず、かつ、焦点距離fが300mm未満であり、かつ、カメラ本体3がカメラブレ補正装置75を搭載している場合(図15中の(d)参照)とである。
【0156】
(2)高感度優先撮影モードの場合(閾値A2)には、被写体速度がV1を超えると、被写体速度に応じて段階的に感度をアップさせる。
【0157】
このとき、交換レンズ2とカメラ本体3とのカメラブレ補正装置の有無の組み合わせは、交換レンズ2がカメラブレ補正装置82を搭載しておらず、かつ、焦点距離fが300mm以上であり、かつ、カメラ本体3がカメラブレ補正装置75を搭載している場合(図15中の(e)参照)である。
【0158】
(3)感度アップモード(図12に示す感度アップモード選択アイコン191)の場合 このとき、交換レンズ2とカメラ本体3とのカメラブレ補正装置の有無の組み合わせは、交換レンズ2とカメラ本体3の両方とも、カメラブレ補正装置を搭載していない場合(図15中の(a)及び(b)参照)である。
【0159】
これら3つのモードは、撮影者がデジタル一眼レフカメラ1のMENU設定操作部56により選択可能である。しかし、感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードにおいては、交換レンズ2とカメラ本体3との組み合わせにより、被写体が動きの速い被写体である場合には、通常撮影モード用の閾値A1が、より閾値が低い高感度優先撮影モード用の閾値A2に切り替えられる。すなわち、通常撮影モード用の閾値A1を用いる場合には、被写体速度がV2の時点で初めて撮影感度はS3となるが、高感度優先撮影モード用の閾値A2を用いる場合には、被写体速度がV1の時点で撮影感度はS2となり、被写体速度がV2の時点で撮影感度はS3となる。
【0160】
このように、本実施の形態では、交換レンズ2とカメラ本体3との組み合わせにより、カメラブレが発生しやすい使用状況で撮影する場合には、カメラブレの影響を極力なくすために、感度アップモードへの移行閾値を下げることにより、画質を犠牲にしてでも早めに感度アップさせるようにしている。
【0161】
なお、本実施の形態では、閾値の切り替え条件としての焦点距離fについて、図15に示すように焦点距離fが300mmの場合を例にとって説明したが、この数値に限定されるものではない。また、閾値Aについては、交換レンズ2の焦点距離fに限らず、例えば、開放F値など、他の情報により変更してもよい。特に、開放F値が小さい場合(例えば、F2など)には、カメラブレの影響が小さいので、閾値Aを大きくし、開放F値が大きい場合(例えば、F8など)には、カメラブレの影響が大きいので、閾値Aを小さくすればなおよい。
【0162】
図13のフローチャートに戻って、ステップS17おける比較の結果として、動き速度Vhが閾値A以上の場合には、ボディーマイコン12は、被写体が被写体ブレを発生させる速度で動いていると判断し、処理をステップS22へ移行させる。これに対し、動き速度Vhが閾値Aよりも小さい場合には、ボディーマイコン12は、被写体ブレは発生しないと判断して、処理をステップS18へ移行させる。被写体ブレが発生しない状況においては、例えば、撮影感度であるISO感度を64相当とし、シャッタースピードを1/30秒などに設定する。
【0163】
ステップS18では、ボディーマイコン12は、撮影モードとしてカメラブレ補正モードを継続し、カメラ本体3内のカメラ本体用カメラブレ補正装置75又は交換レンズ2内の交換レンズ用カメラブレ補正装置82のいずれかを動作させる。
【0164】
そして、ステップS19では、ボディーマイコン12は、撮影者がシャッター操作部53を全押し操作したことを認識すると、処理をステップ20へ移行させる。そして、このステップS20では、撮影処理を行う。すなわち、ステップS20では、撮像センサ11上に被写体像が形成されて画像信号が出力される。出力された画像信号は、表示部16に表示される。このとき、表示部16には、撮影画像に加えて撮影感度であるISO感度が表示される。
【0165】
そして、ステップS21では、ステップS20で得られた画像信号を画像読み出し/記録部18に記録して、撮影処理を終了する。また、画像信号を記録する際には、撮影画像全体に対するAFエリアFaの位置も同時に記録する。なお、撮影については、1枚の撮影に限らず、連続撮影を行ってもよい。
【0166】
このように、被写体の顔の動き速度Vhが閾値Aよりも小さい場合には、撮影感度は変更されずに、カメラブレ補正機能が動作する。これにより、手ブレなどのカメラブレを軽減して、良好な画質の画像を撮影することができる。
【0167】
一方、ステップS17における比較の結果として、動き速度Vhが閾値A以上の場合には、ボディーマイコン12は、処理をステップS22へ移行させる。このステップS22では、ボディーマイコン12は、撮影モードを感度アップモードに切り替える。すなわち、デジタル信号ゲイン設定部111は、高感度の撮影感度となるようにゲインを設定する。ここで、ボディーマイコン12は、被写体の顔の動き速度に応じて撮影感度を設定する。具体的には、ボディーマイコン12は、被写体の顔の動き速度Vhから、被写体ブレが生じないシャッタースピードを算出し、算出したシャッタースピードで撮影可能な撮影感度を設定する。例えば、屋外の環境下において、歩く速度でゆっくりと移動する被写体を撮影する場合には、ISO感度100相当の撮影感度が設定され、また、走る速度で移動する被写体を撮影する場合には、ISO感度400相当の撮影感度が設定されるなど、被写体の顔の動き速度に応じて撮影感度が設定される。なお、撮影感度については、撮影画質の劣化を抑えるために、上限を設定できるようにしてもよい。すなわち、感度アップモードの場合には、ISO感度の上限が自動的にISO感度1600相当となるようにし、通常の撮影時ではISO感度3200相当まで設定できることに比べて、上限が低くなるようにしてもよい。また、手動で上限を設定する場合には、通常の撮影時よりも低くしか設定できないようにしてもよい。
【0168】
そして、ステップS23では、ボディーマイコン12は、撮影者がシャッター操作部53を全押し操作したことを認識すると、処理をステップS24へ移行させる。そして、このステップS24では、撮影処理を行う。すなわち、ステップS24では、被写体の光学的な像が撮像センサ11上に形成され、撮像センサ11は画像信号を出力する。そして、デジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部68から出力された画像信号を、ステップS12において設定されたゲインで増幅する。
【0169】
このように、感度アップモードでは、高感度での撮影、つまり、通常モード又はカメラブレ補正モードに比べて高いISO感度での撮影が行われる。また、この場合には、露出値が実質的に同一となるように、露出時間が短く設定される。
【0170】
そして、ステップS25では、ステップS24において増幅された画像信号を画像読み出し/記録部18に記録して、撮影処理を終了する。また、画像信号を記録する際には、撮影画像全体に対するAFエリアFaの位置も同時に記録する。なお、撮影については、1枚の撮影に限らず、連続撮影を行ってもよい。また、撮影感度アップモードにおいては、カメラブレ補正装置を動作させても又は動作させなくてもいずれであってもよい。
【0171】
ここで、ステップS21及びステップS25において、連続撮影を行う場合には、次のような処理が行われる。連続撮影においては、連続撮影処理を行うことそれ自体に意味があるのではなく、異なる露出条件で複数枚(ここでは、例えば、4枚)連続撮影することに特徴がある。すなわち、ここでは、1回のシャッター操作部53の操作により、1秒間に4枚の連続撮影を行う。さらには、撮影毎に、撮影感度を上げていく。この理由としては、被写体の動き速度Vhが、撮影中に速くなっていくことを想定している。例えば、デジタル信号ゲイン設定部111は、撮影感度をISO感度200相当から上げていくようにゲインを設定する。
【0172】
例えば、4枚の連続撮影を行う場合、まず、1枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ11上に形成され、撮像センサ11は画像信号を出力する。そして、デジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部68から出力された画像信号を、ISO感度200相当に設定されたゲインで増幅する。このとき、シャッタースピードは、1/60秒に設定される。次に、2枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ11上に形成され、撮像センサ11は画像信号を出力する。そして、デジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部68から出力された画像信号を、ISO感度400相当に設定されたゲインで増幅する。このとき、シャッタースピードは、1/125秒に設定される。次に、3枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ11上に形成され、撮像センサ11は画像信号を出力する。そして、デジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部68から出力された画像信号を、ISO感度800相当に設定されたゲインで増幅する。このとき、シャッタースピードは、1/250秒に設定される。最後に、4枚目の撮影においては、被写体の光学的な像が撮像センサ11上に形成され、撮像センサ11は画像信号を出力する。そして、デジタル信号増幅部110は、デジタル信号処理部68から出力された画像信号を、ISO感度1600相当に設定されたゲインで増幅する。このとき、シャッタースピードは、1/500秒に設定される。
【0173】
このように、連続撮影する感度アップモードでは、高感度での撮影、つまり、通常モード又はカメラブレ補正モードに比べて高いISO感度での撮影が行われる。また、この場合には、露出値が実質的に同一となるように、露出時間が短く設定される。
【0174】
この連続撮影された4枚の撮影画像は、露出値を一定に保つように、ISO感度とシャッタースピードとを変化させたものであり、撮影後に、この連続撮影された4枚の撮影画像を表示部16にサムネイル表示させてもよい。この場合には、サムネイル表示番号1−4と、各ISO感度とが表示部16に表示される。
【0175】
また、連続撮影された4枚の撮影画像については、自動的に4枚記録してもよいし、撮影者が任意の画像を選択して保存するようにしてもよい。
【0176】
このように、被写体の顔の動き速度Vhが閾値Aよりも大きい場合には、撮影感度が高感度に設定される。これにより、露光時間を短くすることができ、速いシャッタースピードでの撮影が可能となるので、被写体ブレを防ぐことができる。なお、撮影感度アップモードにおいては、カメラブレ補正装置を動作させても又は動作させなくてもいずれであってもよい。
【0177】
以上のように、本実施の形態によれば、デジタル一眼レフカメラ1において、撮影モードを感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードに変更すると、クイックリターンミラー4を自動的にアップさせ、フォーカスの検出方式を位相差検出方式からコントラスト検出方式に変更する。さらに、ライブビュー画像を表示部16に表示させ、表示部16を用いた撮影を可能にする。
【0178】
また、コントラスト検出により動きベクトルを検出し、被写体速度が閾値A以上の場合には、撮影感度をアップさせる。逆に、被写体速度が閾値Aよりも小さい場合には、カメラブレ補正を動作させて、撮影者による手ブレの影響を抑える。
【0179】
また、カメラ本体3は、交換レンズ2の焦点距離や開放F値などの情報を読み取り、この情報に基づいて、個々の交換レンズ2に最適な閾値を設定する。
【0180】
また、交換レンズ2にカメラブレ補正装置82が搭載されている場合には、撮影モードを感度アップ&カメラブレ補正モードへ自動的に移行させる。また、交換レンズ2にカメラブレ補正装置82が搭載されていない場合には、撮影モードを感度アップモードへ自動的に移行させる。
【0181】
以上により、デジタル一眼レフカメラ1においても、カメラブレ及び被写体ブレのない良好な画像を撮影することができる。また、交換レンズ2の情報をカメラ本体3が読み取ることにより、交換レンズ2に合わせた撮影条件及び撮影モードを設定することができる。
【0182】
本実施の形態は、カメラ本体3と、カメラ本体3に取り外し可能に装着された交換レンズ2とからなるデジタル一眼レフカメラ1である。一般に、コンパクトデジタルカメラは、撮像センサと、撮像センサを用いてコントラスト方式による合焦検出を行う合焦手段と、撮像センサ上の画像により被写体速度の検出を行う動き検出手段と、動き検出手段により検出された被写体速度に応じて、カメラブレ補正を行うカメラブレ補正手段とを有する。また、一眼レフカメラは、レンズを撮影用として使用する場合は、リターンミラーが瞬時に位置を変えて、撮影用光路から待避することによって、ファインダ用光路を撮影用光路に切り替え、撮影が終了するとリターンミラーは定位置に瞬時に戻る。しかしながら、従来は、可動のリターンミラーを有するデジタル一眼レフカメラにおいて、コンパクトデジタルカメラにおいて実現されているようなカメラブレ補正を行うシステムはなかった。本実施の形態は、カメラブレ補正機能付きのモニタ撮影モードを有するデジタル一眼レフカメラを提供するものである。
【0183】
また、従来、光学像のブレを補正するカメラブレ補正装置を有する交換レンズも既に多数存在している。本実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラは、カメラブレ補正装置を有するこれら交換レンズの資産を有効に活かす観点から非常に有用である。
【0184】
また、本実施の形態では、検出された被写体の動きに基づいて被写体速度を算出し、被写体速度が閾値A以上か否かを判断し、被写体速度が閾値Aよりも小さい場合には、カメラ本体3内のカメラ本体用カメラブレ補正装置75又は交換レンズ2内の交換レンズ用カメラブレ補正装置82のいずれかを動作させ、また、被写体速度が閾値A以上の場合には、デジタル信号ゲイン設定部111のゲインを高くしてISO感度をアップし、シャッター速度を速くして露出時間を短くし、かつ、1回のシャッター操作により異なる露出条件で複数枚の画像を連続撮影するので、カメラブレ及び被写体ブレによる画質劣化を軽減することができ、良好な画質の画像を容易に撮影することができる。
【0185】
具体的には、被写体の動きが速い場合には、高感度の撮影感度に変更し、露光時間を短くして高速のシャッタースピードで撮影する。これにより、被写体ブレによる画質劣化を防ぐことができる。また、被写体の動きが遅い場合には、カメラ本体3内のカメラ本体用カメラブレ補正装置75又は交換レンズ2内の交換レンズ用カメラブレ補正装置82のいずれかを動作させるので、手ブレなどによるカメラブレを防ぎ、画質劣化を軽減することができる。したがって、撮影者は、被写体の動きによらず、簡単に撮影することが可能となる。
【0186】
また、被写体の動きが速い場合には、自動的に高感度の撮影感度に変更するので、撮影者は、被写体の動きを観察して被写体ブレが発生するか否かを判断する必要がなく、利便性が高い。
【0187】
また、本実施の形態では、検出した被写体速度が閾値A以上の場合に高感度の撮影感度に変更する。これにより、被写体が被写体ブレを発生させない速度で動いているにもかかわらず、撮影者が誤って高感度の撮影感度を設定することがない。
【0188】
特に、本実施の形態では、感度アップモードへの変更後のシャッター全押し動作時には、1回のシャッター操作により、複数の露出条件で連続撮影を行うので、撮影者は、複数の露出条件における撮影を1度に行うことができる。この場合、撮影毎に撮影感度及びシャッター速度を上げていくことにより、被写体の動き速度Vhが、撮影中に速くなっていく際にも対応することができる。例えば、子供を撮影するときなど、被写体の動き速度が、撮影者がシャッター操作部53を全押し操作した瞬間に急激に変わってしまったような状況にも、連続撮影の際にシャッタースピードを上げて撮影することにより、十分に対応することが可能となる。このように、被写体を複数の露出条件で連続撮影し、記録しておくことにより、被写体の動き速度が撮影中に急激に変わることがあっても、複数の露出条件で連続撮影した複数の画像のいずれかには良好な画質の画像が含まれる可能性が高く、被写体ブレのない画像が記録されることになる。したがって、撮影者は、例えば、異なる露出条件で4枚連続撮影されて画像が記録されたバッファメモリ69から、サムネイル表示番号を選択して、被写体ブレのない最良の画像を保存することができる。
【0189】
また、被写体の動き全体を検出するのではなく、被写体の動きの中でも被写体の顔の動きに着目し、被写体の顔の動きが遅い場合には、カメラ本体3内のカメラブレ補正装置75又は交換レンズ2内のカメラブレ補正装置82のいずれかを動作させ、被写体の顔の動きが速い場合には、高感度の撮影感度に変更するので、撮影者が最も良好に撮影したいと考えられる被写体の顔の動きに合わせて、カメラブレ補正制御から高感度の撮影感度制御に切り替えることができる。したがって、検出した被写体の一部又は全部の動き速度が閾値A以上であっても、被写体の顔の動きが閾値Aよりも小さければ、カメラブレ補正モードを継続し、感度アップモードに変更しない。すなわち、被写体の顔の動きが閾値A以上になるまでは、カメラブレ補正モードをできるだけ継続して、被写体の顔の動きが閾値A以上になって初めて感度アップモードへ移行する。例えば、被写体が人であり、その人が手を振っている場合など、被写体の顔の動きがそれ程ないような状況下では、感度アップモードへ移行せず、むやみに撮影感度を上げることが防止される。これにより、被写体速度が遅い場合にISO感度をアップさせた場合に発生する画質の劣化を防ぐことができる。撮影者は、顔が撮れれば一番良いと想定されるので、顔が動かなければISO感度をアップさせない。なお、被写体の動き検出については、被写体の顔について優先的に行ったが、被写体全体の動きによって判断できるように、撮影者が任意に設定できるシステムであってもよい。また、被写体の動き検出については、特に被写体の目の動きを検出することにより、例えば、まばたきして目をつぶった場合には、被写体が動いたと判断して、ISO感度をアップさせるようにしてもよい。
【0190】
本実施の形態の撮像制御が威力を発揮するのは、運動会での望遠撮影時などであり、本実施の形態は、このような状況下での使用に特に有効である。被写体の顔の動きを検出して撮影感度を決めることにより、例えば、被写体の手や足などが動いても、むやみに撮影感度を上げる必要がなくなるので、撮影感度を上げることによる画質の劣化を防ぐことができる。
【0191】
ここで、シャッター半押し動作からシャッター全押し動作を経て撮影に至るまでの間における被写体の速度変化と撮影感度との関係について説明する。
【0192】
図17は、被写体の動き速度Vhと撮影時の撮影感度Sとの関係を説明するための図である。図17中、T1はシャッター半押し動作、T2はシャッター全押し動作、T3は撮影の各タイミングである。また、S1〜S4は撮影時の撮影感度、Aは閾値である。被写体速度Vhが閾値A以上か否かを判断し、被写体速度が閾値Aよりも小さい場合には、カメラ本体3内のカメラブレ補正装置75又は交換レンズ2内のカメラブレ補正装置82のいずれかを動作させ、また、被写体速度Vhが閾値A以上の場合には、ISO感度をアップしたりシャッター速度を速くしたりする(一方でもよいし両方でもよい)。但し、本実施の形態では、通常撮影モード用の閾値A1と高感度優先撮影モード用の閾値A2(但し、A1>A2)の、2つの値を有しているが、ここでは、閾値Aとして説明する。
【0193】
本実施の形態では、シャッター半押し動作と連動して、被写体の動きベクトル検出を開始する(図13のステップS15)。そして、シャッター全押し動作の直前まで(図13のステップS18及びステップS22)、一定期間毎に動きベクトル検出を行い、シャッター全押し動作時の被写体速度を、最終の被写体速度Vhとする。このとき、図17において、(1)は被写体に動きがない場合、(2)は被写体が等速で移動している場合、(3)は被写体が一定割合で加速している場合、(4)は被写体が一定割合で減速している場合であるとすると、被写体の速度変化と1枚目の撮影時の撮影感度との関係は、次のようになる。
【0194】
(1)シャッター半押し動作中の被写体速度Vhが閾値Aよりも低く一定の場合
この場合には、被写体速度Vhが閾値Aよりも低いので、撮影感度アップは行わず、感度を通常撮影モードの撮影感度S1に設定する。
【0195】
(2)シャッター半押し動作中の被写体速度Vhが閾値Aよりも高く一定の場合
この場合には、シャッター全押し動作時の被写体速度Vhに応じて、撮影感度アップを行う。ここでは、感度を撮影感度S2に設定する。
【0196】
(3)シャッター半押し動作中の被写体速度Vhが、閾値Aを超え、徐々に速くなる場合
この場合には、徐々に被写体速度Vhが速くなるので、加速度を計算し、シャッター全押し動作時から実際の撮影時までのタイムラグの時間分のみ、速度が速くなる分を予測して、感度を撮影感度S3(S2<S3)に設定する。また、このとき、2枚目以降の連続撮影において、撮影毎に撮影感度及びシャッター速度を上げていくことが好ましい。
【0197】
(4)シャッター半押し動作中の被写体速度Vhが、閾値Aを超え、徐々に遅くなる場合
上記(3)の場合とは逆に、このように被写体速度Vhが徐々に遅くなる場合には、速度が遅くなる分を予測して、感度を撮影感度S4(S4<S2)に設定する。また、このとき、2枚目以降の連続撮影において、撮影毎に撮影感度及びシャッター速度を下げていくことが好ましい。
【0198】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。
【0199】
本発明の特徴は、撮像装置を有する電子機器であれば、どのような装置にも適用可能である。例えば、デジタルカメラ及びビデオカメラは勿論のこと、カメラ付き携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯情報端末、及び、撮像装置を備えるパソコンなどの情報処理装置にも適用可能である。
【0200】
また、連続撮影する際には、異なる露出条件で複数枚連続撮影すればよく、例えば、高感度で連続4枚撮影する前に、通常モードの撮影感度であるISO感度100相当で1枚撮影するようにし、1回のシャッター操作により、通常撮影及び高感度撮影により合計5枚撮影するようにしてもよい。
【0201】
また、カメラブレ補正モードにおいても、1回のシャッター操作により、複数の露出条件で連続撮影を行うようにしてもよい。これにより、撮影者は、複数の露出条件における撮影を1度に行うことができる。この場合、1枚目の撮影感度は、通常時と同じISO感度となる。2枚目以降は、撮影毎に撮影感度及びシャッター速度を上げていくことにより、被写体の動き速度Vhが撮影中に速くなっていく場合にも対応することができる。例えば、子供を撮影するときなど、被写体の動き速度が、撮影者がシャッター操作部53を全押し操作した瞬間に急激に変わってしまったような状況にも、連続撮影の際にシャッタースピードを上げて撮影することにより、十分に対応することが可能となる。また、上記のように、シャッター半押し動作中の被写体速度Vhの変化に応じて撮影感度及びシャッター速度を変えるようにしてもよい。
【0202】
図18は、本実施の形態に係るデジタル一眼レフカメラの撮影感度アップモード設定後の、感度アップありの撮影画像と感度アップなしの撮影画像とを表示部16に表示した際の一表示例を示す図である。図18に示すように、1回のシャッター操作により連写して、感度アップありの画像と、感度アップなしの画像とを異なる撮影感度で撮影することにより、撮影後すぐに又は再生時に、簡単に2つのモードの撮影画像と画質を比較することができるようにしてもよい。さらには、AFエリアFaを中心に画像を自動的に又は十字操作キー55などによって手動で拡大表示することにより、併せて4枚の撮影画像を表示部16に同時に表示させるようにしてもよい。
【0203】
また、セルフタイマーを用いた撮影時などでは、シャッター操作部53を全押し操作した後、撮影が開始されるまでの数秒前から、被写体の光学像の動きを検出できるようにしてもよい。なお、動きを検出している際には、被写体側から認識できるように、デジタルカメラ1の前面に設けられたLEDなどによって、点滅させるようにすればなおさらよい。
【0204】
また、本実施の形態における撮像光学系及びカメラブレ補正部の構成は、上記の構成に限定されない。交換レンズ用カメラブレ補正装置82は、例えば、交換レンズ2の被写体側前面に取り付けられたプリズムの角度を変える構成であってもよく、カメラブレ補正が可能であれば、その構成はこれらに限定されない。また、カメラ本体用カメラブレ補正装置75は、撮像センサ11内での画像の切り出し位置を変えて補正したり、あるいは、同一の被写体を短いシャッタースピードで複数枚撮影した後に1枚の画像に合成したりするなどの電子式のカメラブレ補正方式であってもよく、その方式が限定されないことは明らかである。
【0205】
また、本実施の形態では、シャッターを動作させることにより撮像センサへの露光時間を制御しているが、これに限定されず、電子シャッターなどにより撮像センサの露光時間を制御するようにしてもよい。
【0206】
また、本実施の形態では、シャッター操作部53を1回操作すると連続して複数枚の画像が撮影できる場合を例にとって説明したが、シャッター操作部53を操作している(例えば、押している)期間のみ、撮影可能なシステムとしてもよい。
【0207】
また、本実施の形態では、デジタル一眼レフカメラという名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、撮影装置やデジタルカメラ、撮像方法などであってもよいことは勿論である。
【0208】
さらに、上記デジタル一眼レフカメラを構成する各構成部、例えば、撮像光学系の種類やその駆動部、取付け方法など、さらには、動き検出部の種類などは、上記した実施の形態に限定されない。
【0209】
また、以上説明したデジタル一眼レフカメラは、このデジタル一眼レフカメラの撮影制御方法を機能させるためのプログラムによっても実現することができる。このプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
【0210】
2007年7月9日出願の特願2007−180318の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0211】
本発明に係るデジタル一眼レフカメラは、良好な画質の画像が要望されるデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ、カメラ部を備えた携帯電話、PDAなどに好適である。
【符号の説明】
【0212】
1,1A カメラシステム
2 交換レンズ
3,3A カメラ本体
3a 筐体
4 クイックリターンミラー
5 焦点検出ユニット
10 シャッターユニット
11 撮像センサ
12 ボディーマイコン
13 撮像センサ制御部
14 シャッター制御部
15 画像表示制御部
16 表示部
17 画像記録制御部
18 画像読み出し/記録部
19 ファインダ光学系
20 レンズマイコン
21 レンズ用ブレ検出部
23 カメラブレ補正制御部
24 フォーカスレンズ群
25 フォーカスレンズ群駆動制御部
26 絞り部
27 絞り駆動制御部
29 レンズマイコン
30 本体用ブレ検出部
31 ブレ補正制御部
43 ストロボ制御部
44 ストロボ
52 電源スイッチ
53 シャッター操作部
54 撮影/再生切換操作部
55 十字操作キー
56 MENU設定操作部
57 SET操作部
58 撮影モード切り替えボタン
59 ストロボ入/切操作部
71 撮像部
72 画像表示部
73 画像格納部
75 カメラ本体用カメラブレ補正装置
76 カメラブレ補正部
80 レンズマウント
81 ボディーマウント
85,91 角速度センサ
82 交換レンズ用カメラブレ補正装置
83 レンズ用カメラブレ補正部
190 感度アップ&カメラブレ補正自動選択モードアイコン
191 感度アップモード選択アイコン
192 カメラブレ補正モード選択アイコン
193 モードOFF選択アイコン
100 動き検出部
101 代表点記憶部
102 相関演算部
103 動きベクトル検出部
110 デジタル信号増幅部
111 デジタル信号ゲイン設定部
AZ 光軸
Fa 測距エリア
L 撮像光学系


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リターンミラーを有するデジタル一眼レフカメラにおいて、
被写体の光学像を形成する撮像光学系と、
前記形成された光学像を受光して電気的な画像信号に変換して出力する撮像センサと、
前記画像信号に基づいて前記被写体の顔を検出する顔検出部と、
前記撮像センサを用いて合焦検出を行う合焦手段と、
カメラ本体又は交換レンズの少なくともいずれか一つに搭載され、カメラ本体の動きに起因する光学像のブレを補正するカメラブレ補正部と、
前記被写体の顔の位置を合焦位置として検出する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記リターンミラーを光軸から退避させ、かつ、前記カメラブレ補正部を動作させた状態で実行状態となる、
デジタル一眼レフカメラ。
【請求項2】
前記合焦手段は、
コントラスト方式である、
請求項1記載のデジタル一眼レフカメラ。
【請求項3】
前記顔検出部により複数の顔が検出された場合、前記複数の顔の中から特定の顔を選択する顔選択部をさらに備える、
請求項1記載のデジタル一眼レフカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−253795(P2012−253795A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172715(P2012−172715)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2009−522522(P2009−522522)の分割
【原出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】