デッキプレート用取着体
【課題】本体に一体に組み付けられたシール体が、挟持部とデッキプレートとの間で挟持される前に変形してしまうことを防止すること。
【解決手段】インサート本体11の下部側には、デッキプレート下面の貫通孔周りに掛止される第1掛止片12c及び第2掛止片12dが設けられている。また、インサート本体11における第1掛止片12cよりも上方の外周面周りにはコイルスプリング31が配設されるとともに、インサート本体11において、第1掛止片12cよりも上方であり、且つコイルスプリング31よりも下方の位置には圧接リング32が設けられている。さらに、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側には一対の支持片19が突設されるとともに、この一対の支持片19上にシール体18が支持される。
【解決手段】インサート本体11の下部側には、デッキプレート下面の貫通孔周りに掛止される第1掛止片12c及び第2掛止片12dが設けられている。また、インサート本体11における第1掛止片12cよりも上方の外周面周りにはコイルスプリング31が配設されるとともに、インサート本体11において、第1掛止片12cよりも上方であり、且つコイルスプリング31よりも下方の位置には圧接リング32が設けられている。さらに、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側には一対の支持片19が突設されるとともに、この一対の支持片19上にシール体18が支持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートスラブから吊ボルト又は配線・配管材を支持する被吊下体を吊り下げるためのデッキプレート用取着体に関する。
【背景技術】
【0002】
デッキプレート上にコンクリートを打設してなるコンクリートスラブの下方で、配線(ケーブル等)・配管材(排気管等)や空調機器・天井下地材等を吊り下げるため、コンクリートスラブからは吊ボルトが吊り下げられている。この吊ボルトは、その上部がコンクリートスラブに埋設されたデッキプレート用取着体としてのインサートに螺合されることでコンクリートスラブから吊り下げられる。インサートは、デッキプレートを上下方向に貫通して穿設された貫通孔を用いてデッキプレートに固定されるが、コンクリートスラブでは、デッキプレートに打設されたコンクリートノロが貫通孔を通過してデッキプレートの下方へ漏れ出ないようにすることが必要である。
【0003】
コンクリートノロの漏出を防止可能としたインサートとしては、特許文献1のデッキインサートが挙げられる。このデッキインサートは、上端に鍔を有する筒状体(本体)を備えるとともに、この筒状体の外周にはバネ(付勢部)が配設されている。バネの一端は鍔の下面に当接しているとともに、他端はデッキプレートの上面を圧接する可動盤(挟持部)の上面に当接している。また、筒状体の下部には張出し片(掛止部)が設けられている。この張出し片は外力が加えられると縮径又は近接するとともに、外力が解除されると自身の弾性により原形状に復元する弾性変形可能になっている。
【0004】
そして、デッキインサートは、筒状体における張出し片の上面と、可動盤の下面とでデッキプレートを挟持することによりデッキプレートに固定される。このとき、可動盤の下面がバネの付勢力によりデッキプレートの上面に圧接することにより、可動盤の下面とデッキプレートの上面との間にコンクリートノロが侵入することが防止され、貫通孔内を通ってデッキプレート下方へコンクリートノロが漏れ出ることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−317030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のデッキインサートにおいては、コンクリートノロの漏出を防止するために可動盤の下面をデッキプレートの上面に圧接させなければならない。しかし、貫通孔をドリルで穿設する際に発生するドリル屑やバリが貫通孔の周りに残っていたり、貫通孔の周りが変形したりして、貫通孔の周りが凹凸状になっていることがある。貫通孔の周りが凹凸状になっていると、可動盤の下面全体がデッキプレート上面に圧接せず、可動盤の下面とデッキプレート上面との間に隙間が形成されてしまい、その隙間からコンクリートノロが漏れ出てしまう。
【0007】
そこで、特許文献1のデッキインサートにおいて、可動盤の下面とデッキプレート上面との間にシール体を介在させて、可動盤の下面とデッキプレート上面との間をシールすることが考えられる。この場合、シール体をデッキインサートに一体に組み付けておくのが好ましく、シール体の落下を抑制するためにシール体を張出し片と可動盤との間に配設しておくのがより好ましい。しかし、デッキインサートの保管時等において、バネの付勢力により、シール体が、可動盤の下面と張出し片との間で挟持されてしまうことが考えられる。シール体が、可動盤の下面と張出し片との間に挟持されると、シール体が不必要に変形してしまい、可動盤の下面とデッキプレート上面との間をシールできなくなる虞がある。
【0008】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、本体に一体に組み付けられたシール体が、挟持部とデッキプレートとの間で挟持される前に変形してしまうことを防止することができるデッキプレート用取着体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、デッキプレートに穿設された貫通孔を利用して前記デッキプレートに固定されるとともにコンクリートスラブに埋設され、前記コンクリートスラブから吊ボルト又は配線・配管材を支持する被吊下体を吊り下げるために用いられるデッキプレート用取着体であって、本体の下部側は前記貫通孔を貫通可能に形成されるとともに、前記本体の下部側には、前記デッキプレート下面の前記貫通孔周りに掛止される掛止部が設けられており、前記本体における前記掛止部よりも上側の外面周りには付勢部が設けられ、前記付勢部により前記掛止部に向けて付勢されて前記掛止部と共に前記デッキプレートを挟持する挟持部が設けられており、前記掛止部と前記挟持部とにより前記デッキプレートを挟持させた際に、前記挟持部と前記デッキプレートとの間に配設されるとともに厚み方向に圧縮可能な環状のシール体が前記本体に外装されており、前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレートとの間で挟持される前の状態では、前記シール体は、前記本体において、前記掛止部における前記デッキプレートへの掛止面よりも下側に一体に組み付けられていることを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記シール体は、前記本体における前記掛止部全体よりも下側に一体に組み付けられていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記本体における前記掛止面よりも下側には、前記シール体を支持する支持部が設けられていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記支持部は、前記本体の外面から突設される支持片であることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記支持部は、前記本体に組み付けられるとともに支持片を備えた支持具であることを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレートとの間で挟持される前の状態では、前記挟持部は、前記本体における前記掛止面よりも下側に一体に組み付けられていることを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記付勢部はコイルスプリングよりなるとともに、前記コイルスプリングの前記挟持部側端部が前記掛止部の前記掛止面に当接することにより、前記挟持部が前記コイルスプリングの付勢力を受けないようになっていることを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記挟持部は、前記シール体に当接して前記シール体を前記デッキプレート上面に圧接させる圧接面を有するとともに、前記圧接面からの突出長さが圧縮される前の前記シール体の厚みよりも短く、且つ前記デッキプレート上面に当接可能な当接凸部を備えていることを要旨とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の発明において、前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレート上面との間で圧縮された圧縮位置では、前記シール体の前記本体に対する接触部位が、前記シール体が前記本体を取り囲む囲繞方向に沿って間断なく密接することを要旨とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の発明において、前記シール体の内縁によって囲まれた空間形状は、前記圧縮位置での本体における上下方向と直交する幅方向の断面形状よりも小さくなっているとともに、前記シール体の内側に前記本体が強制的に挿入されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、本体に一体に組み付けられたシール体が、挟持部とデッキプレートとの間で挟持される前に変形してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態におけるインサートをデッキプレートに固定した状態を示す断面図。
【図2】インサートを示す側面図。
【図3】インサート本体の下部側を貫通孔に挿入した状態を示す縦断面図。
【図4】第1掛止片がインサート本体内に向けて傾動している状態を示す縦断面図。
【図5】第1掛止片が貫通孔を通過した状態を示す縦断面図。
【図6】第2の実施形態におけるインサートを示す側面図。
【図7】第3の実施形態におけるインサートを示す縦断面図。
【図8】支持具を示す斜視図。
【図9】第4の実施形態におけるインサートを示す側面図。
【図10】インサートを示す分解斜視図。
【図11】別の実施形態におけるインサートを示す縦断面図。
【図12】別の実施形態におけるインサートを示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明をコンクリートスラブから吊ボルトを吊り下げるために用いられるインサートに具体化した第1の実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
【0020】
図1に示すように、デッキプレート用取着体としてのインサート10は、コンクリートスラブTから吊ボルトBを吊り下げるためにコンクリートスラブTに埋設されるものである。コンクリートスラブTは、金属板製のデッキプレートDの上面にコンクリートを打設して構築されるとともに、デッキプレートDと、コンクリートが硬化してなるコンクリート層Cとからなる。デッキプレートDには円孔状の貫通孔Dcが上下方向に貫通するように穿設されている。そして、この貫通孔Dcを用いてインサート10がデッキプレートDに固定されている。
【0021】
インサート10は、本体として、合成樹脂からなる円筒状のインサート本体11を有する。このインサート本体11は、上下両端が開口する円筒状の本体部12と、本体部12の上部に一体的に組み付けられる金属材料製のヘッダー部13とを備えるとともに、ヘッダー部13により上端が閉塞されている。本体部12は、ヘッダー部13側の大径部12aと、大径部12aの外径よりも小径をなす小径部12bとを有している。
【0022】
また、ヘッダー部13は、本体部12の大径部12a内側に組み付けられた円筒状の筒部14と、この筒部14の上部に設けられるとともに本体部12の上端開口を閉塞するフランジ部15とからなる。筒部14の内周面には雌ねじ14aが形成されている。そして、インサート本体11の下端からインサート本体11内に挿入された吊ボルトBは、その上端の螺子部Baを雌ねじ14aに螺合可能になっている。
【0023】
インサート本体11の下部側には、掛止部としての一対の第1掛止片12cが、本体部12の径方向に対向する位置から突設されている。各第1掛止片12cは、下端のみが本体部12に連結されるとともに、下端縁を傾動中心として傾動可能に形成されている。また、各第1掛止片12cは、本体部12の下から上に向かうにつれて、本体部12における外周面からの突出量が徐々に多くなるように形成されるとともに、第1掛止片12cの上面12eが、デッキプレートDの下面における貫通孔Dc周りに当接して掛止可能な大きさに形成されている。よって、第1掛止片12cの上面12eは、デッキプレートDの下面に掛止可能な掛止面として機能する。
【0024】
そして、第1掛止片12cに対して外方から力が作用すると、第1掛止片12cは本体部12(インサート本体11)内に向けて傾動し、本体部12内に没入される。このとき、第1掛止片12cは、本体部12の外周面から突出しなくなるまで、本体部12内に没入させることができる。
【0025】
一方、第1掛止片12cに対する外方からの力が解除されると、第1掛止片12cは、没入位置から原形状に復帰するとともに、本体部12の外周面から突出するようになっている。そして、インサート本体11の下部側は、一対の第1掛止片12cを没入させることにより貫通孔Dcを貫通可能になっている。
【0026】
また、図2に示すように、インサート本体11の下部側において、本体部12の周方向における一対の第1掛止片12c同士の間それぞれには、掛止部としての第2掛止片12dが、本体部12の径方向に対向する位置から突設されている。この第2掛止片12dは、本体部12の下から上に向かうにつれて、本体部12における外周面からの突出量が徐々に多くなるように形成されるとともに、第2掛止片12dの上面12fが、デッキプレートDの下面における貫通孔Dc周りに当接して掛止可能になっている。よって、第2掛止片12dの上面12fは、デッキプレートDの下面に掛止可能な掛止面として機能する。
【0027】
インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側には、支持部としての一対の支持片19が、本体部12の径方向に対向する位置からインサート本体11に一体的に突設されている。そして、各支持片19は、本体部12の下から上に向かうにつれて、本体部12における外周面からの突出量が徐々に大きくなるように形成されるとともに、支持片19は貫通孔Dcの内側を通過可能になっている。また、インサート本体11において、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fよりも下側であり、第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側には、シール体18がインサート本体11に外装された状態で組み付けられている。
【0028】
シール体18は、多孔質の合成樹脂材料によって板状に形成されるとともに、その厚み方向へ圧縮可能になっており、圧縮されると原形状へ戻ろうとする復帰力を発生するようになっている。また、シール体18の内径は、インサート本体11における小径部12bの外径よりも僅かに小さくなっている。すなわち、シール体18の内縁によって囲まれた空間形状は、インサート本体11における小径部12bの径方向(上下方向と直交する幅方向)の断面形状よりも小さくなっている。シール体18の内側には、インサート本体11が強制的に挿入されるようになっている。
【0029】
図1に示すように、インサート10は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも上方の外周面周りに配設される付勢部としてのコイルスプリング31を備えている。また、インサート本体11において、第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも上方であり、且つコイルスプリング31よりも下方の位置には、挟持部としての圧接リング32がインサート本体11の外周面周りに設けられている。
【0030】
コイルスプリング31の一端はフランジ部15に当接するとともに、他端は圧接リング32の上面に支持されており、圧接リング32は、コイルスプリング31の付勢力により第1掛止片12c及び第2掛止片12d側へ付勢されている。また、圧接リング32の内径は、本体部12の大径部12aの外径よりも僅かに大きくなっているとともに、圧接リング32は、その内側にインサート本体11が貫挿された状態で、インサート本体11を回転中心として回転可能になっている。
【0031】
インサート10をデッキプレートDに固定する際には、圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間でシール体18が挟持されるとともに、シール体18は、圧接リング32の下面32aによってデッキプレートD上面に圧接されるようになっている。よって、圧接リング32の下面32aは、シール体18に当接してシール体18をデッキプレートD上面に圧接させる圧接面として機能する。
【0032】
一方、図2に示すように、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に外嵌されている。そして、シール体18の下面が支持片19の上面に当接するとともに、シール体18が一対の支持片19上に支持されている。その結果、シール体18は、インサート本体11から抜け落ちることなく、インサート本体11の下部に一体に組み付けられている。
【0033】
次に、インサート10をデッキプレートDに固定するとともに、インサート10によってケーブル(図示せず)をコンクリートスラブTから吊り下げる方法、及び吊ボルトBの吊り下げ構造について説明する。
【0034】
まず、図3に示すように、デッキプレートDにコンクリートが打設される前において、デッキプレートDに貫通孔Dcを穿設する。次に、シール体18がインサート本体11の下部に組み付けられた状態において、デッキプレートDの上方から貫通孔Dcにインサート本体11の下部側を挿通させる。このとき、インサート本体11におけるフランジ部15を叩くことにより、第2掛止片12dを貫通孔Dcに対して通過させる。
【0035】
すると、シール体18の下面がデッキプレートDの上面に載置されるとともに、さらに、インサート本体11を貫通孔Dcに挿通させることで、図4に示すように、貫通孔Dcの内面に対して第1掛止片12cが摺動する。この摺動により、第1掛止片12cに外方から力が作用するとともに、第1掛止片12cがインサート本体11(本体部12)内に向けて没入(傾動)する。
【0036】
そして、第1掛止片12cが貫通孔Dcを通過すると、第1掛止片12cに対する外方からの力が解除されるとともに、第1掛止片12cは原形状へ復帰し、インサート本体11(本体部12)の外周面から突出する。そして、図5に示すように、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fが、デッキプレートD下面に当接するとともに、第1掛止片12c及び第2掛止片12dが貫通孔Dc周りに掛止される。同時に、デッキプレートDの厚み分だけコイルスプリング31が圧縮されるとともに、コイルスプリング31の付勢力により、圧接リング32がデッキプレートD側へ付勢され、シール体18が圧接リング32の下面32aにより厚み方向へ圧縮される。そして、圧接リング32の下面32aと第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にシール体18を介してデッキプレートDが挟持されるとともに、インサート10がデッキプレートDに固定される。このとき、シール体18は、デッキプレートDの上面と圧接リング32の下面32aとの間の圧縮位置に配設される。
【0037】
その後、図1に示すように、デッキプレートD上にコンクリートを打設してコンクリート層Cを成形するとコンクリートスラブTが構築されるとともに、コンクリートスラブTにインサート10の上部側が埋設される。
【0038】
また、圧接リング32の下面32aと、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fとの間に、デッキプレートDとシール体18とが挟持されている。このとき、シール体18が厚み方向に圧縮されるとともに原形状へ戻ろうとする復帰力により、シール体18の上面が圧接リング32の下面32aに圧接するとともに、シール体18の下面が、デッキプレートDの上面における貫通孔Dcに周縁部に圧接している。
【0039】
また、シール体18は、厚み方向へ自在に変形可能であるため、貫通孔Dc周りの一部に上方に向けた変形部Ddや、バリDeが残っていたりしても、シール体18は、変形部DdやバリDeに沿うように変形しながら圧接している。このため、シール体18により、圧接リング32の下面32aとデッキプレートDの上面との間に隙間が形成されることが防止される。よって、シール体18により圧接リング32の下面32aとデッキプレートDの上面との間がシールされ、コンクリートノロが貫通孔Dcへ侵入することが防止され、コンクリートノロが貫通孔DcからデッキプレートDの下方へ漏れ出ることが防止される。
【0040】
さらに、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で圧縮された圧縮位置では、シール体18の内周面におけるインサート本体11に対する接触部位が、シール体18がインサート本体11を取り囲む囲繞方向に沿って間断なく密接している。このため、シール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間がシールされ、コンクリートノロがシール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間へ侵入することが防止される。
【0041】
その後、インサート本体11内に吊ボルトBを挿入するとともに、吊ボルトBの螺子部Baを雌ねじ14aに螺合して、コンクリートスラブTから吊ボルトBを吊り下げる。すると、コンクリートスラブTに吊ボルトBの吊り下げ構造が形成されるとともに、吊ボルトBを利用してケーブルを吊り下げ支持させることができる。
【0042】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側には一対の支持片19が突設されている。そして、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態では、シール体18は、支持片19に支持された状態でインサート本体11に一体に組み付けられている。よって、インサート10の保管時や運搬時には、コイルスプリング31の付勢力によりシール体18が圧接リング32の下面32aと第1掛止片12cの上面12eとの間で挟持されることが無く、シール体18が圧接リング32の下面32aと第1掛止片12cとの間で変形してしまうことを防止することができる。その結果、インサート10をデッキプレートDに固定する際に、変形していないシール体18を圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間に配設することができるため、圧接リング32とデッキプレートD上面との間でシール体18が挟持されてシール性能を十分に確保することができる。
【0043】
(2)インサート10は、圧接リング32の下面32aとデッキプレートDの上面との間に配設されるシール体18を備えるとともに、このシール体18は厚み方向に圧縮変形可能であり、且つ圧縮後は原形状へ戻ろうとする復帰力を発生する。このため、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fと圧接リング32の下面32aとの間にデッキプレートDを挟持したとき、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面の変形部DdやバリDeの形状に沿うように変形しつつ圧接する。よって、貫通孔Dcの周りが凹凸状になっていても、シール体18の下面全体がデッキプレートDに圧接し、シール体18とデッキプレートD上面との間に隙間が形成されることを防止することができる。したがって、バリDeを除去したり、貫通孔Dcの周りを平坦面状に均したりするといった準備作業を必要とせず、インサート10をデッキプレートDに容易に固定することができる。その結果として、シール体18によって圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間がシールされるため、貫通孔Dcからコンクリートノロが漏れ出ることを防止することができる。
【0044】
(3)インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側に一対の支持片19を設けた。よって、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態において、シール体18は支持片19に支持されているため、シール体18がインサート本体11から抜け落ちてしまうことを防止することができる。
【0045】
(4)シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で圧縮されている状態において、シール体18の内周面におけるインサート本体11の外周面に対する接触部位が、シール体18がインサート本体11を取り囲む囲繞方向に沿って間断なく密接している。よって、シール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間がシールされ、コンクリートノロがシール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間を介して、貫通孔DcからデッキプレートDの下方へ漏れ出ることを防止することができる。
【0046】
(5)シール体18の内径は、インサート本体11における小径部12bの外径よりも小さくなっているとともに、シール体18の内側にインサート本体11が強制的に挿入されている。よって、シール体18の内周面を全周に亘ってインサート本体11の外周面に確実に密着させることができる。その結果、シール体18の内径がインサート本体11における小径部12bの外径と同じ径である場合と比べて、シール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間のシール性を向上させることができる。
【0047】
(6)圧接リング32は、コイルスプリング31により常に第1掛止片12c及び第2掛止片12d側へ付勢されている。よって、圧接リング32の下面32aと、第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にシール体18を介してデッキプレートDが挟持された状態において、圧接リング32の下面32aによりシール体18を常にデッキプレートDの上面に圧接させることができる。
【0048】
(7)実施形態では、コイルスプリング31の付勢力により、圧接リング32がデッキプレートD側へ付勢され、シール体18が圧接リング32の下面32aにより厚み方向に圧縮される。このため、シール体18は、回転することなくデッキプレートD上面の変形部DdやバリDeの形状に沿うように変形しつつ圧接する。よって、シール体18が回転しながらデッキプレートD上面の変形部DdやバリDeの形状に沿うように変形しつつ圧接することにより、シール体18の下面が損傷してしまうといったことがなく、シール体18をデッキプレートD上面に圧接させることができる。
【0049】
(8)実施形態では、コイルスプリング31の付勢力により、圧接リング32がデッキプレートD側へ付勢され、シール体18が圧接リング32の下面32aにより厚み方向に圧縮される。よって、例えば、デッキプレートDの上面が下側に凹むように変形されていたとしても、シール体18が圧縮されることで、シール体18がデッキプレートDにおける下側に凹んだ部位(変形部)に入り込み、シール体18とデッキプレートD上面との間に隙間が形成されることを防止することができる。
【0050】
(9)シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態では、シール体18は、支持片19に支持された状態でインサート本体11に一体に組み付けられている。このため、貫通孔Dcにインサート本体11を下部側から挿入すると、シール体18がデッキプレートD上面に配設される。よって、圧接リング32の下面32aと、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fとの間でデッキプレートDを挟持する際に、シール体18を圧接リング32とデッキプレートDとの間に配設し忘れることがない。
【0051】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図6にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0052】
図6に示すように、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18及び圧接リング32は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に外嵌されて、インサート本体11に一体に組み付けられている。そして、シール体18が一対の支持片19上に支持されるとともに、このシール体18上に圧接リング32が支持されている。その結果、シール体18及び圧接リング32は、インサート本体11から抜け落ちることなく、インサート本体11の下部に一体に組み付けられている。
【0053】
また、コイルスプリング31の一端はフランジ部15に当接するとともに、他端(圧接リング32側端部)は第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12f(掛止面)上に当接している。よって、圧接リング32がコイルスプリング31の付勢力を受けないようになっている。
【0054】
このインサート10をデッキプレートDに固定する際、シール体18及び圧接リング32がインサート本体11の下部に組み付けられた状態において、デッキプレートDの上方から貫通孔Dcにインサート本体11の下部側を挿通させる。すると、シール体18の下面がデッキプレートDの上面に載置されるとともに、さらに、インサート本体11を貫通孔Dcに挿通させることで、圧接リング32の内周面に第1掛止片12cが摺動する。この摺動により、第1掛止片12cに外方から力が作用するとともに、第1掛止片12cがインサート本体11(本体部12)内に向けて没入(傾動)する。
【0055】
また、第1掛止片12cは、圧接リング32の内周面との摺動によりインサート本体11内に向けて没入された状態で、シール体18の内側を通過するとともに、さらに、貫通孔Dcの内側を通過する。そして、第1掛止片12cが貫通孔Dcを通過すると、第1掛止片12cに対する外方からの力が解除されるとともに、第1掛止片12cは原形状へ復帰し、インサート本体11(本体部12)の外周面から突出する。
【0056】
そして、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fが、デッキプレートD下面に当接するとともに、第1掛止片12c及び第2掛止片12dが貫通孔Dc周りに掛止される。その結果、圧接リング32の下面32aと第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にシール体18を介してデッキプレートDが挟持されるとともに、インサート10がデッキプレートDに固定される。
【0057】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(9)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(10)シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18及び圧接リング32は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に外嵌されている。よって、デッキプレートDの上方から貫通孔Dcにインサート本体11の下部側を挿通させると、圧接リング32の内周面に第1掛止片12cが摺動して第1掛止片12cがインサート本体11内に向けて没入するとともに、第1掛止片12cは、この没入状態でシール体18の内側を通過する。したがって、第1掛止片12cがシール体18の内側を通過する際に、第1掛止片12cによりシール体18の内周面を撓ませてしまうことがなく、シール体18の内側が変形してしまうことを抑制することができる。
【0058】
(11)シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、圧接リング32は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側でシール体18上に支持されている。よって、例えば、一つの袋に複数のインサート10を入れて運搬する場合、シール体18上面が圧接リング32によって保護されているため、インサート10同士が接触してシール体18上面が変形してしまうことを抑制することができる。
【0059】
(12)シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、コイルスプリング31の一端はフランジ部15に当接するとともに、他端(圧接リング32側端部)は第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12f上に当接している。よって、圧接リング32がコイルスプリング31の付勢力を受けないため、圧接リング32がシール体18の上面に支持されていても、圧接リング32によりシール体18を圧縮してしまうことがない。
【0060】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図7及び図8にしたがって説明する。なお、第1及び第2の実施形態で説明したインサート10においては、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側に一対の支持片19が突設されていたが、第3の実施形態で説明するインサート10には、一対の支持片19が設けられていない。
【0061】
図7に示すように、インサート本体11の下端には支持部としての支持具41が装着されている。図8に示すように、支持具41は円環状をなす本体部42と、本体部42の上部外周面から径方向外側へ延びる四つの支持片43とを有している。本体部42には、インサート本体11の下端部を挿入可能とする円環状の装着溝42aが本体部42と同心円状に形成されている。
【0062】
四つの支持片43は、本体部42の周方向に沿って等間隔おきに配置されるとともに、各支持片43は、その基端部を基点に弾性変形可能に形成されている。そして、各支持片43は、貫通孔Dc内側を通過する際に、基端部を基点に撓むことで支持片43がデッキプレートDに引っ掛かることなく貫通孔Dcの内側を通過することができるようになっている。また、各支持片43の上面は、シール体18の下面に当接してシール体18を支持可能な大きさに形成されている。
【0063】
図7に示すように、インサート本体11の下端に支持具41が装着されるとともに、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18はインサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に外装されている。そして、シール体18の下面が支持片43の上面に当接するとともに、シール体18が四つの支持片43上に支持されている。その結果、シール体18は、インサート本体11から抜け落ちることなく、インサート本体11の下部に一体に組み付けられている。
【0064】
したがって、第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(9)と同様の効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
以下、本発明を具体化した第4の実施形態を図9及び図10にしたがって説明する。
【0065】
図9及び図10に示すように、圧接リング32の下面32aにおける外周縁部には、4つの当接凸部51が圧接リング32の周方向に沿って等間隔おきに設けられている。当接凸部51の先端は平坦面状に形成されている。当接凸部51における圧接リング32の下面32aからの突出長さ、すなわち、当接凸部51における上下方向の長さは、シール体18の厚さよりも短くなっている。すなわち、当接凸部51の突出長さは、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間に挟持される前の厚みよりも短くなっている。
【0066】
また、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側には、支持部としての一対の突起部53が、本体部12の径方向に対向する位置から一体的に突設されるとともに、突起部53は貫通孔Dcの内側を通過可能になっている。
【0067】
シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に組み付けられている。そして、シール体18は、一対の突起部53に支持されることで、インサート本体11から抜け落ちることなく、インサート本体11の下部に一体に組み付けられている。
【0068】
圧接リング32の下面32aと第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にシール体18を介してデッキプレートDが挟持された状態では、シール体18の上端一部が当接凸部51よりも内側に形成される空間に収納される。さらに、コイルスプリング31の付勢力により、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で厚み方向に圧縮されるとともに、当接凸部51の先端がデッキプレートDの上面と面接触する。そして、当接凸部51と第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にデッキプレートDが挟持されるとともに、インサート10がデッキプレートDに固定される。
【0069】
したがって、第4の実施形態によれば以下に示す効果を得ることができる。
(13)第4の実施形態では、圧接リング32の下面32aによりシール体18を圧縮させてシール体18をデッキプレートD上面に圧接させつつ、当接凸部51をデッキプレートD上面に当接させて、当接凸部51と第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にデッキプレートDを挟持して、インサート10をデッキプレートDに固定した。よって、当接凸部51がデッキプレートD上面に当接するため、当接凸部51の先端とデッキプレートD上面との間にシール体18が介在されておらず、デッキプレートDが圧接リング32と第1掛止片12c及び第2掛止片12dとによって直接挟持される箇所を形成することができる。その結果、圧接リング32の下面32aに当接凸部51が形成されておらず、圧接リング32の下面32a全体にシール体18が配設されており、圧接リング32がデッキプレートDに対して当接していない場合に比べて、インサート10をデッキプレートDに対して強固に固定することができる。
【0070】
(14)当接凸部51における圧接リング32の下面32aからの突出長さ、すなわち、当接凸部51における上下方向の長さは、シール体18の厚さよりも短くなっており、インサート10をデッキプレートDに固定する際には、当接凸部51がデッキプレートD上面に当接するようになっている。よって、圧接リング32の下面32aとデッキプレートDの上面との間にシール体18が挟持されてから、当接凸部51がデッキプレートD上面に当接するまでの間、シール体18が圧縮されるため、シール体18において一定の圧縮量を得ることができる。
【0071】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 図11に示す実施形態では、第1掛止片12cにおける下端縁と上面12eとの略中間に位置する部位に、支持部としての装着凹部35がインサート本体11の周方向全周に亘って形成されている。装着凹部35にはシール体18が装着可能になっている。そして、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18は装着凹部35に装着されるとともに、装着凹部35の内面に支持されてインサート本体11に一体に組み付けられている。よって、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態では、シール体18は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に組み付けられていなくてもよく、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fよりも下側に組み付けられていればよい。また、第1掛止片12cにおける下端縁と上面12eとの略中間に位置する部位に、シール体18及び圧接リング32を装着可能な装着凹部を形成して、シール体18及び圧接リング32が装着凹部に装着されてインサート本体11に一体に組み付けられていてもよい。
【0072】
○ 図12に示す実施形態では、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側には、支持部としての一対の支持片71が、本体部12の径方向に対向する位置から突設されている。各支持片71は、下端のみが本体部12に連結されるとともに、下端縁を傾動中心として傾動可能に形成されている。そして、各支持片71は、本体部12の下から上に向かうにつれて、本体部12における外周面からの突出量が徐々に大きくなるように形成されるとともに、支持片71上にシール体18を支持可能になっている。このように、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態において、シール体18を、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側で支持させるための支持片71を傾動可能に構成してもよい。
【0073】
○ シール体18の内径を、インサート本体11の下部における外径よりも僅かに小さくして、シール体18の内周面がインサート本体11における下部の外周面に圧接するようにし、この圧接により、シール体18がインサート本体11の下部に一体に組み付けられるようにしてもよい。これによれば、シール体18をインサート本体11の下部に一体に組み付けるための別の部材などを用いることなく、既存の部品のみでシール体18をインサート本体11の下部に一体に組み付けることができ、インサート10自体の構成を簡素化することができる。
【0074】
○ 第2の実施形態において、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18及び圧接リング32は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に外嵌されていたが、これに限らない。例えば、第1掛止片12cにおける下端縁と上面12eとの略中間に位置する部位に装着凹部をインサート本体11の周方向全周に亘って形成して、この装着凹部に圧接リング32を装着するとともに装着凹部の内面に圧接リング32を支持させてもよい。この場合、コイルスプリング31の他端(圧接リング32側端部)は、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12f上に当接しておらず、コイルスプリング31の内側が第1掛止片12c及び第2掛止片12dを通過して、圧接リング32の上面に当接していてもよい。
【0075】
○ 第4の実施形態において、当接凸部51は、圧接リング32の下面32aにおける外周縁部に圧接リング32の周方向に沿って等間隔おきに4つ設けられていたが、これに限らず、所定の間隔をおいて2つ又は3つ、5つ以上設けられていてもよい。また、当接凸部51は、圧接リング32の下面32aにおける外周縁部に圧接リング32の周方向全周に亘って連続して設けられていてもよい。
【0076】
○ 第1,第2及び第4の実施形態において、インサート本体11の外周面に支持片19又は突起部53を周方向に所定の間隔をおいて3つ以上設けてもよい。また、インサート本体11の外周面に支持片19又は突起部53を1つ設けてもよいし、例えば、インサート本体11の外周面に沿って延びる平面視円弧状の支持片をインサート本体11の外周面に1つ設けてもよい。
【0077】
○ 第1,第2及び第4の実施形態において、支持片19又は突起部53は、インサート本体11に一体的に突設されていたが、これに限らず、インサート本体11と別体に形成された支持片又は突起部をインサート本体11に取り付けるようにしてもよい。
【0078】
○ 上記各実施形態において、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で圧縮されている状態において、シール体18の内周面が全周に亘ってインサート本体11の外周面に密接しておらず、シール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間に隙間が形成されていてもよい。
【0079】
○ 上記各実施形態において、インサート本体11の下部側に第2掛止片12dを設けたが、これに限らず、第2掛止片12dを削除してもよい。
○ 上記各実施形態において、コイルスプリング31と圧接リング32とはそれぞれ別体であったが、これに限らず、例えば、コイルスプリング31の他端に圧接リング32が一体的に設けられていてもよい。
【0080】
○ 上記各実施形態において、第1掛止片12cはインサート本体11内に向けて没入するようになっていたが、これに限らず、例えば、第1掛止片12cはインサート本体11内に完全に没入せずに、インサート本体11内に向けて傾動して貫通孔Dcを通過可能とするものであってもよい。
【0081】
○ 上記各実施形態において、第1掛止片12cはインサート本体11内に向けて没入するようになっていたが、これに限らず、例えば、第1掛止片12cを薄板状に形成するとともに、下端縁のみをインサート本体11の外周面に連結し、第1掛止片12cをインサート本体11の外周面よりも外側で傾動可能な構成にしてもよい。
【0082】
○ 上記各実施形態において、第1掛止片12cは、下端縁を傾動中心として傾動可能に形成されていなくてもよく、単に、本体部12の径方向へ膨出するように形成されていてもよい。この場合、インサート本体11の下部側を貫通孔Dcに挿通させる際には、本体部12を強制的に径方向内側へ撓ませることで、第1掛止片12cを貫通孔Dcに対して通過させるようにする。
【0083】
○ 上記各実施形態において、掛止部として、本体部12の下から上に向かうにつれて、本体部12における外周面からの突出量が徐々に多くなるように形成される第1掛止片12c及び第2掛止片12dを設けたが、これに限らず、掛止部の形状は特に限定されるものではない。
【0084】
○ 上記各実施形態において、本体部12は、大径部12a及び小径部12bを有し、上下方向に外径が異なる構成であったが、これに限らず、本体部12の外径は上下方向に沿って同一径であってもよい。また、本体部12は、ヘッダー部13側の部位が小径部12bよりも小径をなしていてもよい。
【0085】
○ 上記各実施形態において、インサート本体11は円筒状に形成されていたが、これに限らず、例えば四角筒状であってもよい。この場合、シール体18は四角状の孔を有するとともに環状に形成されている必要がある。そして、シール体18の内縁によって囲まれた空間形状は、シール体18の圧縮位置でのインサート本体11における上下方向と直交する幅方向の断面形状よりも小さくする。これにより、シール体18の内面全体を、インサート本体11を取り囲む囲繞方向に沿って間断なくインサート本体11の外面に密接させることができる。なお、インサート本体11の形状、及びシール体の孔の形状は特に限定されるものではない。
【0086】
○ 上記各実施形態において、シール体18は円環状であったが、これに限らず、例えば、四角環状や六角環状であってもよく、シール体18の形状は特に限定されるものではない。
【0087】
○ 上記各実施形態において、シール体18は、多孔質の合成樹脂材料によって形成されていたが、これに限らず、例えば、ゴム材料によって形成されていたり、スポンジによって形成されていたりしてもよい。
【0088】
○ 上記各実施形態では、付勢部としてコイルスプリング31を用いたが、これに限らず、例えば板バネを用いてもよい。
○ 本発明を、コンクリートスラブから吊ボルトBを吊り下げるために用いられるインサート10に具体化したが、これに限らず、例えば、配線・配管材を支持する被吊下体を吊り下げるために用いられるデッキプレート用取着体や、吊ボルトB又は配線・配管材を支持する被吊下体が予め一体化されたデッキプレート用取着体に具体化してもよい。
【0089】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記掛止部は、前記貫通孔の内面に摺接する際には前記本体内に向けて傾動するとともに、前記貫通孔通過後には原形状へ復帰するように傾動可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【0090】
(ロ)前記掛止部は、前記本体に一体形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項10、及び前記技術的思想(イ)のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【符号の説明】
【0091】
B…吊ボルト、D…デッキプレート、Dc…貫通孔、T…コンクリートスラブ、10…インサート、11…本体としてのインサート本体、12c…掛止部としての第1掛止片、12d…掛止部としての第2掛止片、12e,12f…掛止面として機能する上面、18…シール体、19…支持部としての支持片、31…付勢部としてのコイルスプリング、32…挟持部としての圧接リング、32a…圧接面として機能する下面、35…支持部としての装着凹部、41…支持部としての支持具、43…支持片、51…当接凸部、53…支持部としての突起部、71…支持部としての支持片。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートスラブから吊ボルト又は配線・配管材を支持する被吊下体を吊り下げるためのデッキプレート用取着体に関する。
【背景技術】
【0002】
デッキプレート上にコンクリートを打設してなるコンクリートスラブの下方で、配線(ケーブル等)・配管材(排気管等)や空調機器・天井下地材等を吊り下げるため、コンクリートスラブからは吊ボルトが吊り下げられている。この吊ボルトは、その上部がコンクリートスラブに埋設されたデッキプレート用取着体としてのインサートに螺合されることでコンクリートスラブから吊り下げられる。インサートは、デッキプレートを上下方向に貫通して穿設された貫通孔を用いてデッキプレートに固定されるが、コンクリートスラブでは、デッキプレートに打設されたコンクリートノロが貫通孔を通過してデッキプレートの下方へ漏れ出ないようにすることが必要である。
【0003】
コンクリートノロの漏出を防止可能としたインサートとしては、特許文献1のデッキインサートが挙げられる。このデッキインサートは、上端に鍔を有する筒状体(本体)を備えるとともに、この筒状体の外周にはバネ(付勢部)が配設されている。バネの一端は鍔の下面に当接しているとともに、他端はデッキプレートの上面を圧接する可動盤(挟持部)の上面に当接している。また、筒状体の下部には張出し片(掛止部)が設けられている。この張出し片は外力が加えられると縮径又は近接するとともに、外力が解除されると自身の弾性により原形状に復元する弾性変形可能になっている。
【0004】
そして、デッキインサートは、筒状体における張出し片の上面と、可動盤の下面とでデッキプレートを挟持することによりデッキプレートに固定される。このとき、可動盤の下面がバネの付勢力によりデッキプレートの上面に圧接することにより、可動盤の下面とデッキプレートの上面との間にコンクリートノロが侵入することが防止され、貫通孔内を通ってデッキプレート下方へコンクリートノロが漏れ出ることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−317030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のデッキインサートにおいては、コンクリートノロの漏出を防止するために可動盤の下面をデッキプレートの上面に圧接させなければならない。しかし、貫通孔をドリルで穿設する際に発生するドリル屑やバリが貫通孔の周りに残っていたり、貫通孔の周りが変形したりして、貫通孔の周りが凹凸状になっていることがある。貫通孔の周りが凹凸状になっていると、可動盤の下面全体がデッキプレート上面に圧接せず、可動盤の下面とデッキプレート上面との間に隙間が形成されてしまい、その隙間からコンクリートノロが漏れ出てしまう。
【0007】
そこで、特許文献1のデッキインサートにおいて、可動盤の下面とデッキプレート上面との間にシール体を介在させて、可動盤の下面とデッキプレート上面との間をシールすることが考えられる。この場合、シール体をデッキインサートに一体に組み付けておくのが好ましく、シール体の落下を抑制するためにシール体を張出し片と可動盤との間に配設しておくのがより好ましい。しかし、デッキインサートの保管時等において、バネの付勢力により、シール体が、可動盤の下面と張出し片との間で挟持されてしまうことが考えられる。シール体が、可動盤の下面と張出し片との間に挟持されると、シール体が不必要に変形してしまい、可動盤の下面とデッキプレート上面との間をシールできなくなる虞がある。
【0008】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、本体に一体に組み付けられたシール体が、挟持部とデッキプレートとの間で挟持される前に変形してしまうことを防止することができるデッキプレート用取着体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、デッキプレートに穿設された貫通孔を利用して前記デッキプレートに固定されるとともにコンクリートスラブに埋設され、前記コンクリートスラブから吊ボルト又は配線・配管材を支持する被吊下体を吊り下げるために用いられるデッキプレート用取着体であって、本体の下部側は前記貫通孔を貫通可能に形成されるとともに、前記本体の下部側には、前記デッキプレート下面の前記貫通孔周りに掛止される掛止部が設けられており、前記本体における前記掛止部よりも上側の外面周りには付勢部が設けられ、前記付勢部により前記掛止部に向けて付勢されて前記掛止部と共に前記デッキプレートを挟持する挟持部が設けられており、前記掛止部と前記挟持部とにより前記デッキプレートを挟持させた際に、前記挟持部と前記デッキプレートとの間に配設されるとともに厚み方向に圧縮可能な環状のシール体が前記本体に外装されており、前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレートとの間で挟持される前の状態では、前記シール体は、前記本体において、前記掛止部における前記デッキプレートへの掛止面よりも下側に一体に組み付けられていることを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記シール体は、前記本体における前記掛止部全体よりも下側に一体に組み付けられていることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記本体における前記掛止面よりも下側には、前記シール体を支持する支持部が設けられていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記支持部は、前記本体の外面から突設される支持片であることを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記支持部は、前記本体に組み付けられるとともに支持片を備えた支持具であることを要旨とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレートとの間で挟持される前の状態では、前記挟持部は、前記本体における前記掛止面よりも下側に一体に組み付けられていることを要旨とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記付勢部はコイルスプリングよりなるとともに、前記コイルスプリングの前記挟持部側端部が前記掛止部の前記掛止面に当接することにより、前記挟持部が前記コイルスプリングの付勢力を受けないようになっていることを要旨とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発明において、前記挟持部は、前記シール体に当接して前記シール体を前記デッキプレート上面に圧接させる圧接面を有するとともに、前記圧接面からの突出長さが圧縮される前の前記シール体の厚みよりも短く、且つ前記デッキプレート上面に当接可能な当接凸部を備えていることを要旨とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の発明において、前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレート上面との間で圧縮された圧縮位置では、前記シール体の前記本体に対する接触部位が、前記シール体が前記本体を取り囲む囲繞方向に沿って間断なく密接することを要旨とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の発明において、前記シール体の内縁によって囲まれた空間形状は、前記圧縮位置での本体における上下方向と直交する幅方向の断面形状よりも小さくなっているとともに、前記シール体の内側に前記本体が強制的に挿入されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、本体に一体に組み付けられたシール体が、挟持部とデッキプレートとの間で挟持される前に変形してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態におけるインサートをデッキプレートに固定した状態を示す断面図。
【図2】インサートを示す側面図。
【図3】インサート本体の下部側を貫通孔に挿入した状態を示す縦断面図。
【図4】第1掛止片がインサート本体内に向けて傾動している状態を示す縦断面図。
【図5】第1掛止片が貫通孔を通過した状態を示す縦断面図。
【図6】第2の実施形態におけるインサートを示す側面図。
【図7】第3の実施形態におけるインサートを示す縦断面図。
【図8】支持具を示す斜視図。
【図9】第4の実施形態におけるインサートを示す側面図。
【図10】インサートを示す分解斜視図。
【図11】別の実施形態におけるインサートを示す縦断面図。
【図12】別の実施形態におけるインサートを示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、本発明をコンクリートスラブから吊ボルトを吊り下げるために用いられるインサートに具体化した第1の実施形態を図1〜図5にしたがって説明する。
【0020】
図1に示すように、デッキプレート用取着体としてのインサート10は、コンクリートスラブTから吊ボルトBを吊り下げるためにコンクリートスラブTに埋設されるものである。コンクリートスラブTは、金属板製のデッキプレートDの上面にコンクリートを打設して構築されるとともに、デッキプレートDと、コンクリートが硬化してなるコンクリート層Cとからなる。デッキプレートDには円孔状の貫通孔Dcが上下方向に貫通するように穿設されている。そして、この貫通孔Dcを用いてインサート10がデッキプレートDに固定されている。
【0021】
インサート10は、本体として、合成樹脂からなる円筒状のインサート本体11を有する。このインサート本体11は、上下両端が開口する円筒状の本体部12と、本体部12の上部に一体的に組み付けられる金属材料製のヘッダー部13とを備えるとともに、ヘッダー部13により上端が閉塞されている。本体部12は、ヘッダー部13側の大径部12aと、大径部12aの外径よりも小径をなす小径部12bとを有している。
【0022】
また、ヘッダー部13は、本体部12の大径部12a内側に組み付けられた円筒状の筒部14と、この筒部14の上部に設けられるとともに本体部12の上端開口を閉塞するフランジ部15とからなる。筒部14の内周面には雌ねじ14aが形成されている。そして、インサート本体11の下端からインサート本体11内に挿入された吊ボルトBは、その上端の螺子部Baを雌ねじ14aに螺合可能になっている。
【0023】
インサート本体11の下部側には、掛止部としての一対の第1掛止片12cが、本体部12の径方向に対向する位置から突設されている。各第1掛止片12cは、下端のみが本体部12に連結されるとともに、下端縁を傾動中心として傾動可能に形成されている。また、各第1掛止片12cは、本体部12の下から上に向かうにつれて、本体部12における外周面からの突出量が徐々に多くなるように形成されるとともに、第1掛止片12cの上面12eが、デッキプレートDの下面における貫通孔Dc周りに当接して掛止可能な大きさに形成されている。よって、第1掛止片12cの上面12eは、デッキプレートDの下面に掛止可能な掛止面として機能する。
【0024】
そして、第1掛止片12cに対して外方から力が作用すると、第1掛止片12cは本体部12(インサート本体11)内に向けて傾動し、本体部12内に没入される。このとき、第1掛止片12cは、本体部12の外周面から突出しなくなるまで、本体部12内に没入させることができる。
【0025】
一方、第1掛止片12cに対する外方からの力が解除されると、第1掛止片12cは、没入位置から原形状に復帰するとともに、本体部12の外周面から突出するようになっている。そして、インサート本体11の下部側は、一対の第1掛止片12cを没入させることにより貫通孔Dcを貫通可能になっている。
【0026】
また、図2に示すように、インサート本体11の下部側において、本体部12の周方向における一対の第1掛止片12c同士の間それぞれには、掛止部としての第2掛止片12dが、本体部12の径方向に対向する位置から突設されている。この第2掛止片12dは、本体部12の下から上に向かうにつれて、本体部12における外周面からの突出量が徐々に多くなるように形成されるとともに、第2掛止片12dの上面12fが、デッキプレートDの下面における貫通孔Dc周りに当接して掛止可能になっている。よって、第2掛止片12dの上面12fは、デッキプレートDの下面に掛止可能な掛止面として機能する。
【0027】
インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側には、支持部としての一対の支持片19が、本体部12の径方向に対向する位置からインサート本体11に一体的に突設されている。そして、各支持片19は、本体部12の下から上に向かうにつれて、本体部12における外周面からの突出量が徐々に大きくなるように形成されるとともに、支持片19は貫通孔Dcの内側を通過可能になっている。また、インサート本体11において、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fよりも下側であり、第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側には、シール体18がインサート本体11に外装された状態で組み付けられている。
【0028】
シール体18は、多孔質の合成樹脂材料によって板状に形成されるとともに、その厚み方向へ圧縮可能になっており、圧縮されると原形状へ戻ろうとする復帰力を発生するようになっている。また、シール体18の内径は、インサート本体11における小径部12bの外径よりも僅かに小さくなっている。すなわち、シール体18の内縁によって囲まれた空間形状は、インサート本体11における小径部12bの径方向(上下方向と直交する幅方向)の断面形状よりも小さくなっている。シール体18の内側には、インサート本体11が強制的に挿入されるようになっている。
【0029】
図1に示すように、インサート10は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも上方の外周面周りに配設される付勢部としてのコイルスプリング31を備えている。また、インサート本体11において、第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも上方であり、且つコイルスプリング31よりも下方の位置には、挟持部としての圧接リング32がインサート本体11の外周面周りに設けられている。
【0030】
コイルスプリング31の一端はフランジ部15に当接するとともに、他端は圧接リング32の上面に支持されており、圧接リング32は、コイルスプリング31の付勢力により第1掛止片12c及び第2掛止片12d側へ付勢されている。また、圧接リング32の内径は、本体部12の大径部12aの外径よりも僅かに大きくなっているとともに、圧接リング32は、その内側にインサート本体11が貫挿された状態で、インサート本体11を回転中心として回転可能になっている。
【0031】
インサート10をデッキプレートDに固定する際には、圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間でシール体18が挟持されるとともに、シール体18は、圧接リング32の下面32aによってデッキプレートD上面に圧接されるようになっている。よって、圧接リング32の下面32aは、シール体18に当接してシール体18をデッキプレートD上面に圧接させる圧接面として機能する。
【0032】
一方、図2に示すように、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に外嵌されている。そして、シール体18の下面が支持片19の上面に当接するとともに、シール体18が一対の支持片19上に支持されている。その結果、シール体18は、インサート本体11から抜け落ちることなく、インサート本体11の下部に一体に組み付けられている。
【0033】
次に、インサート10をデッキプレートDに固定するとともに、インサート10によってケーブル(図示せず)をコンクリートスラブTから吊り下げる方法、及び吊ボルトBの吊り下げ構造について説明する。
【0034】
まず、図3に示すように、デッキプレートDにコンクリートが打設される前において、デッキプレートDに貫通孔Dcを穿設する。次に、シール体18がインサート本体11の下部に組み付けられた状態において、デッキプレートDの上方から貫通孔Dcにインサート本体11の下部側を挿通させる。このとき、インサート本体11におけるフランジ部15を叩くことにより、第2掛止片12dを貫通孔Dcに対して通過させる。
【0035】
すると、シール体18の下面がデッキプレートDの上面に載置されるとともに、さらに、インサート本体11を貫通孔Dcに挿通させることで、図4に示すように、貫通孔Dcの内面に対して第1掛止片12cが摺動する。この摺動により、第1掛止片12cに外方から力が作用するとともに、第1掛止片12cがインサート本体11(本体部12)内に向けて没入(傾動)する。
【0036】
そして、第1掛止片12cが貫通孔Dcを通過すると、第1掛止片12cに対する外方からの力が解除されるとともに、第1掛止片12cは原形状へ復帰し、インサート本体11(本体部12)の外周面から突出する。そして、図5に示すように、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fが、デッキプレートD下面に当接するとともに、第1掛止片12c及び第2掛止片12dが貫通孔Dc周りに掛止される。同時に、デッキプレートDの厚み分だけコイルスプリング31が圧縮されるとともに、コイルスプリング31の付勢力により、圧接リング32がデッキプレートD側へ付勢され、シール体18が圧接リング32の下面32aにより厚み方向へ圧縮される。そして、圧接リング32の下面32aと第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にシール体18を介してデッキプレートDが挟持されるとともに、インサート10がデッキプレートDに固定される。このとき、シール体18は、デッキプレートDの上面と圧接リング32の下面32aとの間の圧縮位置に配設される。
【0037】
その後、図1に示すように、デッキプレートD上にコンクリートを打設してコンクリート層Cを成形するとコンクリートスラブTが構築されるとともに、コンクリートスラブTにインサート10の上部側が埋設される。
【0038】
また、圧接リング32の下面32aと、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fとの間に、デッキプレートDとシール体18とが挟持されている。このとき、シール体18が厚み方向に圧縮されるとともに原形状へ戻ろうとする復帰力により、シール体18の上面が圧接リング32の下面32aに圧接するとともに、シール体18の下面が、デッキプレートDの上面における貫通孔Dcに周縁部に圧接している。
【0039】
また、シール体18は、厚み方向へ自在に変形可能であるため、貫通孔Dc周りの一部に上方に向けた変形部Ddや、バリDeが残っていたりしても、シール体18は、変形部DdやバリDeに沿うように変形しながら圧接している。このため、シール体18により、圧接リング32の下面32aとデッキプレートDの上面との間に隙間が形成されることが防止される。よって、シール体18により圧接リング32の下面32aとデッキプレートDの上面との間がシールされ、コンクリートノロが貫通孔Dcへ侵入することが防止され、コンクリートノロが貫通孔DcからデッキプレートDの下方へ漏れ出ることが防止される。
【0040】
さらに、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で圧縮された圧縮位置では、シール体18の内周面におけるインサート本体11に対する接触部位が、シール体18がインサート本体11を取り囲む囲繞方向に沿って間断なく密接している。このため、シール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間がシールされ、コンクリートノロがシール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間へ侵入することが防止される。
【0041】
その後、インサート本体11内に吊ボルトBを挿入するとともに、吊ボルトBの螺子部Baを雌ねじ14aに螺合して、コンクリートスラブTから吊ボルトBを吊り下げる。すると、コンクリートスラブTに吊ボルトBの吊り下げ構造が形成されるとともに、吊ボルトBを利用してケーブルを吊り下げ支持させることができる。
【0042】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側には一対の支持片19が突設されている。そして、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態では、シール体18は、支持片19に支持された状態でインサート本体11に一体に組み付けられている。よって、インサート10の保管時や運搬時には、コイルスプリング31の付勢力によりシール体18が圧接リング32の下面32aと第1掛止片12cの上面12eとの間で挟持されることが無く、シール体18が圧接リング32の下面32aと第1掛止片12cとの間で変形してしまうことを防止することができる。その結果、インサート10をデッキプレートDに固定する際に、変形していないシール体18を圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間に配設することができるため、圧接リング32とデッキプレートD上面との間でシール体18が挟持されてシール性能を十分に確保することができる。
【0043】
(2)インサート10は、圧接リング32の下面32aとデッキプレートDの上面との間に配設されるシール体18を備えるとともに、このシール体18は厚み方向に圧縮変形可能であり、且つ圧縮後は原形状へ戻ろうとする復帰力を発生する。このため、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fと圧接リング32の下面32aとの間にデッキプレートDを挟持したとき、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面の変形部DdやバリDeの形状に沿うように変形しつつ圧接する。よって、貫通孔Dcの周りが凹凸状になっていても、シール体18の下面全体がデッキプレートDに圧接し、シール体18とデッキプレートD上面との間に隙間が形成されることを防止することができる。したがって、バリDeを除去したり、貫通孔Dcの周りを平坦面状に均したりするといった準備作業を必要とせず、インサート10をデッキプレートDに容易に固定することができる。その結果として、シール体18によって圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間がシールされるため、貫通孔Dcからコンクリートノロが漏れ出ることを防止することができる。
【0044】
(3)インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側に一対の支持片19を設けた。よって、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態において、シール体18は支持片19に支持されているため、シール体18がインサート本体11から抜け落ちてしまうことを防止することができる。
【0045】
(4)シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で圧縮されている状態において、シール体18の内周面におけるインサート本体11の外周面に対する接触部位が、シール体18がインサート本体11を取り囲む囲繞方向に沿って間断なく密接している。よって、シール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間がシールされ、コンクリートノロがシール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間を介して、貫通孔DcからデッキプレートDの下方へ漏れ出ることを防止することができる。
【0046】
(5)シール体18の内径は、インサート本体11における小径部12bの外径よりも小さくなっているとともに、シール体18の内側にインサート本体11が強制的に挿入されている。よって、シール体18の内周面を全周に亘ってインサート本体11の外周面に確実に密着させることができる。その結果、シール体18の内径がインサート本体11における小径部12bの外径と同じ径である場合と比べて、シール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間のシール性を向上させることができる。
【0047】
(6)圧接リング32は、コイルスプリング31により常に第1掛止片12c及び第2掛止片12d側へ付勢されている。よって、圧接リング32の下面32aと、第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にシール体18を介してデッキプレートDが挟持された状態において、圧接リング32の下面32aによりシール体18を常にデッキプレートDの上面に圧接させることができる。
【0048】
(7)実施形態では、コイルスプリング31の付勢力により、圧接リング32がデッキプレートD側へ付勢され、シール体18が圧接リング32の下面32aにより厚み方向に圧縮される。このため、シール体18は、回転することなくデッキプレートD上面の変形部DdやバリDeの形状に沿うように変形しつつ圧接する。よって、シール体18が回転しながらデッキプレートD上面の変形部DdやバリDeの形状に沿うように変形しつつ圧接することにより、シール体18の下面が損傷してしまうといったことがなく、シール体18をデッキプレートD上面に圧接させることができる。
【0049】
(8)実施形態では、コイルスプリング31の付勢力により、圧接リング32がデッキプレートD側へ付勢され、シール体18が圧接リング32の下面32aにより厚み方向に圧縮される。よって、例えば、デッキプレートDの上面が下側に凹むように変形されていたとしても、シール体18が圧縮されることで、シール体18がデッキプレートDにおける下側に凹んだ部位(変形部)に入り込み、シール体18とデッキプレートD上面との間に隙間が形成されることを防止することができる。
【0050】
(9)シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態では、シール体18は、支持片19に支持された状態でインサート本体11に一体に組み付けられている。このため、貫通孔Dcにインサート本体11を下部側から挿入すると、シール体18がデッキプレートD上面に配設される。よって、圧接リング32の下面32aと、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fとの間でデッキプレートDを挟持する際に、シール体18を圧接リング32とデッキプレートDとの間に配設し忘れることがない。
【0051】
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図6にしたがって説明する。なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した第1の実施形態と同一構成について同一符号を付すなどして、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0052】
図6に示すように、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18及び圧接リング32は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に外嵌されて、インサート本体11に一体に組み付けられている。そして、シール体18が一対の支持片19上に支持されるとともに、このシール体18上に圧接リング32が支持されている。その結果、シール体18及び圧接リング32は、インサート本体11から抜け落ちることなく、インサート本体11の下部に一体に組み付けられている。
【0053】
また、コイルスプリング31の一端はフランジ部15に当接するとともに、他端(圧接リング32側端部)は第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12f(掛止面)上に当接している。よって、圧接リング32がコイルスプリング31の付勢力を受けないようになっている。
【0054】
このインサート10をデッキプレートDに固定する際、シール体18及び圧接リング32がインサート本体11の下部に組み付けられた状態において、デッキプレートDの上方から貫通孔Dcにインサート本体11の下部側を挿通させる。すると、シール体18の下面がデッキプレートDの上面に載置されるとともに、さらに、インサート本体11を貫通孔Dcに挿通させることで、圧接リング32の内周面に第1掛止片12cが摺動する。この摺動により、第1掛止片12cに外方から力が作用するとともに、第1掛止片12cがインサート本体11(本体部12)内に向けて没入(傾動)する。
【0055】
また、第1掛止片12cは、圧接リング32の内周面との摺動によりインサート本体11内に向けて没入された状態で、シール体18の内側を通過するとともに、さらに、貫通孔Dcの内側を通過する。そして、第1掛止片12cが貫通孔Dcを通過すると、第1掛止片12cに対する外方からの力が解除されるとともに、第1掛止片12cは原形状へ復帰し、インサート本体11(本体部12)の外周面から突出する。
【0056】
そして、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fが、デッキプレートD下面に当接するとともに、第1掛止片12c及び第2掛止片12dが貫通孔Dc周りに掛止される。その結果、圧接リング32の下面32aと第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にシール体18を介してデッキプレートDが挟持されるとともに、インサート10がデッキプレートDに固定される。
【0057】
したがって、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(9)と同様の効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
(10)シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18及び圧接リング32は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に外嵌されている。よって、デッキプレートDの上方から貫通孔Dcにインサート本体11の下部側を挿通させると、圧接リング32の内周面に第1掛止片12cが摺動して第1掛止片12cがインサート本体11内に向けて没入するとともに、第1掛止片12cは、この没入状態でシール体18の内側を通過する。したがって、第1掛止片12cがシール体18の内側を通過する際に、第1掛止片12cによりシール体18の内周面を撓ませてしまうことがなく、シール体18の内側が変形してしまうことを抑制することができる。
【0058】
(11)シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、圧接リング32は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側でシール体18上に支持されている。よって、例えば、一つの袋に複数のインサート10を入れて運搬する場合、シール体18上面が圧接リング32によって保護されているため、インサート10同士が接触してシール体18上面が変形してしまうことを抑制することができる。
【0059】
(12)シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、コイルスプリング31の一端はフランジ部15に当接するとともに、他端(圧接リング32側端部)は第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12f上に当接している。よって、圧接リング32がコイルスプリング31の付勢力を受けないため、圧接リング32がシール体18の上面に支持されていても、圧接リング32によりシール体18を圧縮してしまうことがない。
【0060】
(第3の実施形態)
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図7及び図8にしたがって説明する。なお、第1及び第2の実施形態で説明したインサート10においては、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側に一対の支持片19が突設されていたが、第3の実施形態で説明するインサート10には、一対の支持片19が設けられていない。
【0061】
図7に示すように、インサート本体11の下端には支持部としての支持具41が装着されている。図8に示すように、支持具41は円環状をなす本体部42と、本体部42の上部外周面から径方向外側へ延びる四つの支持片43とを有している。本体部42には、インサート本体11の下端部を挿入可能とする円環状の装着溝42aが本体部42と同心円状に形成されている。
【0062】
四つの支持片43は、本体部42の周方向に沿って等間隔おきに配置されるとともに、各支持片43は、その基端部を基点に弾性変形可能に形成されている。そして、各支持片43は、貫通孔Dc内側を通過する際に、基端部を基点に撓むことで支持片43がデッキプレートDに引っ掛かることなく貫通孔Dcの内側を通過することができるようになっている。また、各支持片43の上面は、シール体18の下面に当接してシール体18を支持可能な大きさに形成されている。
【0063】
図7に示すように、インサート本体11の下端に支持具41が装着されるとともに、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18はインサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に外装されている。そして、シール体18の下面が支持片43の上面に当接するとともに、シール体18が四つの支持片43上に支持されている。その結果、シール体18は、インサート本体11から抜け落ちることなく、インサート本体11の下部に一体に組み付けられている。
【0064】
したがって、第3の実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(9)と同様の効果を得ることができる。
(第4の実施形態)
以下、本発明を具体化した第4の実施形態を図9及び図10にしたがって説明する。
【0065】
図9及び図10に示すように、圧接リング32の下面32aにおける外周縁部には、4つの当接凸部51が圧接リング32の周方向に沿って等間隔おきに設けられている。当接凸部51の先端は平坦面状に形成されている。当接凸部51における圧接リング32の下面32aからの突出長さ、すなわち、当接凸部51における上下方向の長さは、シール体18の厚さよりも短くなっている。すなわち、当接凸部51の突出長さは、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間に挟持される前の厚みよりも短くなっている。
【0066】
また、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側には、支持部としての一対の突起部53が、本体部12の径方向に対向する位置から一体的に突設されるとともに、突起部53は貫通孔Dcの内側を通過可能になっている。
【0067】
シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に組み付けられている。そして、シール体18は、一対の突起部53に支持されることで、インサート本体11から抜け落ちることなく、インサート本体11の下部に一体に組み付けられている。
【0068】
圧接リング32の下面32aと第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にシール体18を介してデッキプレートDが挟持された状態では、シール体18の上端一部が当接凸部51よりも内側に形成される空間に収納される。さらに、コイルスプリング31の付勢力により、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で厚み方向に圧縮されるとともに、当接凸部51の先端がデッキプレートDの上面と面接触する。そして、当接凸部51と第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にデッキプレートDが挟持されるとともに、インサート10がデッキプレートDに固定される。
【0069】
したがって、第4の実施形態によれば以下に示す効果を得ることができる。
(13)第4の実施形態では、圧接リング32の下面32aによりシール体18を圧縮させてシール体18をデッキプレートD上面に圧接させつつ、当接凸部51をデッキプレートD上面に当接させて、当接凸部51と第1掛止片12c及び第2掛止片12dとの間にデッキプレートDを挟持して、インサート10をデッキプレートDに固定した。よって、当接凸部51がデッキプレートD上面に当接するため、当接凸部51の先端とデッキプレートD上面との間にシール体18が介在されておらず、デッキプレートDが圧接リング32と第1掛止片12c及び第2掛止片12dとによって直接挟持される箇所を形成することができる。その結果、圧接リング32の下面32aに当接凸部51が形成されておらず、圧接リング32の下面32a全体にシール体18が配設されており、圧接リング32がデッキプレートDに対して当接していない場合に比べて、インサート10をデッキプレートDに対して強固に固定することができる。
【0070】
(14)当接凸部51における圧接リング32の下面32aからの突出長さ、すなわち、当接凸部51における上下方向の長さは、シール体18の厚さよりも短くなっており、インサート10をデッキプレートDに固定する際には、当接凸部51がデッキプレートD上面に当接するようになっている。よって、圧接リング32の下面32aとデッキプレートDの上面との間にシール体18が挟持されてから、当接凸部51がデッキプレートD上面に当接するまでの間、シール体18が圧縮されるため、シール体18において一定の圧縮量を得ることができる。
【0071】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 図11に示す実施形態では、第1掛止片12cにおける下端縁と上面12eとの略中間に位置する部位に、支持部としての装着凹部35がインサート本体11の周方向全周に亘って形成されている。装着凹部35にはシール体18が装着可能になっている。そして、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18は装着凹部35に装着されるとともに、装着凹部35の内面に支持されてインサート本体11に一体に組み付けられている。よって、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態では、シール体18は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に組み付けられていなくてもよく、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12fよりも下側に組み付けられていればよい。また、第1掛止片12cにおける下端縁と上面12eとの略中間に位置する部位に、シール体18及び圧接リング32を装着可能な装着凹部を形成して、シール体18及び圧接リング32が装着凹部に装着されてインサート本体11に一体に組み付けられていてもよい。
【0072】
○ 図12に示す実施形態では、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12dよりも下側には、支持部としての一対の支持片71が、本体部12の径方向に対向する位置から突設されている。各支持片71は、下端のみが本体部12に連結されるとともに、下端縁を傾動中心として傾動可能に形成されている。そして、各支持片71は、本体部12の下から上に向かうにつれて、本体部12における外周面からの突出量が徐々に大きくなるように形成されるとともに、支持片71上にシール体18を支持可能になっている。このように、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態において、シール体18を、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側で支持させるための支持片71を傾動可能に構成してもよい。
【0073】
○ シール体18の内径を、インサート本体11の下部における外径よりも僅かに小さくして、シール体18の内周面がインサート本体11における下部の外周面に圧接するようにし、この圧接により、シール体18がインサート本体11の下部に一体に組み付けられるようにしてもよい。これによれば、シール体18をインサート本体11の下部に一体に組み付けるための別の部材などを用いることなく、既存の部品のみでシール体18をインサート本体11の下部に一体に組み付けることができ、インサート10自体の構成を簡素化することができる。
【0074】
○ 第2の実施形態において、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で挟持される前の状態(例えば、保管時)では、シール体18及び圧接リング32は、インサート本体11における第1掛止片12c及び第2掛止片12d全体よりも下側に外嵌されていたが、これに限らない。例えば、第1掛止片12cにおける下端縁と上面12eとの略中間に位置する部位に装着凹部をインサート本体11の周方向全周に亘って形成して、この装着凹部に圧接リング32を装着するとともに装着凹部の内面に圧接リング32を支持させてもよい。この場合、コイルスプリング31の他端(圧接リング32側端部)は、第1掛止片12c及び第2掛止片12dの上面12e,12f上に当接しておらず、コイルスプリング31の内側が第1掛止片12c及び第2掛止片12dを通過して、圧接リング32の上面に当接していてもよい。
【0075】
○ 第4の実施形態において、当接凸部51は、圧接リング32の下面32aにおける外周縁部に圧接リング32の周方向に沿って等間隔おきに4つ設けられていたが、これに限らず、所定の間隔をおいて2つ又は3つ、5つ以上設けられていてもよい。また、当接凸部51は、圧接リング32の下面32aにおける外周縁部に圧接リング32の周方向全周に亘って連続して設けられていてもよい。
【0076】
○ 第1,第2及び第4の実施形態において、インサート本体11の外周面に支持片19又は突起部53を周方向に所定の間隔をおいて3つ以上設けてもよい。また、インサート本体11の外周面に支持片19又は突起部53を1つ設けてもよいし、例えば、インサート本体11の外周面に沿って延びる平面視円弧状の支持片をインサート本体11の外周面に1つ設けてもよい。
【0077】
○ 第1,第2及び第4の実施形態において、支持片19又は突起部53は、インサート本体11に一体的に突設されていたが、これに限らず、インサート本体11と別体に形成された支持片又は突起部をインサート本体11に取り付けるようにしてもよい。
【0078】
○ 上記各実施形態において、シール体18が圧接リング32の下面32aとデッキプレートD上面との間で圧縮されている状態において、シール体18の内周面が全周に亘ってインサート本体11の外周面に密接しておらず、シール体18の内周面とインサート本体11の外周面との間に隙間が形成されていてもよい。
【0079】
○ 上記各実施形態において、インサート本体11の下部側に第2掛止片12dを設けたが、これに限らず、第2掛止片12dを削除してもよい。
○ 上記各実施形態において、コイルスプリング31と圧接リング32とはそれぞれ別体であったが、これに限らず、例えば、コイルスプリング31の他端に圧接リング32が一体的に設けられていてもよい。
【0080】
○ 上記各実施形態において、第1掛止片12cはインサート本体11内に向けて没入するようになっていたが、これに限らず、例えば、第1掛止片12cはインサート本体11内に完全に没入せずに、インサート本体11内に向けて傾動して貫通孔Dcを通過可能とするものであってもよい。
【0081】
○ 上記各実施形態において、第1掛止片12cはインサート本体11内に向けて没入するようになっていたが、これに限らず、例えば、第1掛止片12cを薄板状に形成するとともに、下端縁のみをインサート本体11の外周面に連結し、第1掛止片12cをインサート本体11の外周面よりも外側で傾動可能な構成にしてもよい。
【0082】
○ 上記各実施形態において、第1掛止片12cは、下端縁を傾動中心として傾動可能に形成されていなくてもよく、単に、本体部12の径方向へ膨出するように形成されていてもよい。この場合、インサート本体11の下部側を貫通孔Dcに挿通させる際には、本体部12を強制的に径方向内側へ撓ませることで、第1掛止片12cを貫通孔Dcに対して通過させるようにする。
【0083】
○ 上記各実施形態において、掛止部として、本体部12の下から上に向かうにつれて、本体部12における外周面からの突出量が徐々に多くなるように形成される第1掛止片12c及び第2掛止片12dを設けたが、これに限らず、掛止部の形状は特に限定されるものではない。
【0084】
○ 上記各実施形態において、本体部12は、大径部12a及び小径部12bを有し、上下方向に外径が異なる構成であったが、これに限らず、本体部12の外径は上下方向に沿って同一径であってもよい。また、本体部12は、ヘッダー部13側の部位が小径部12bよりも小径をなしていてもよい。
【0085】
○ 上記各実施形態において、インサート本体11は円筒状に形成されていたが、これに限らず、例えば四角筒状であってもよい。この場合、シール体18は四角状の孔を有するとともに環状に形成されている必要がある。そして、シール体18の内縁によって囲まれた空間形状は、シール体18の圧縮位置でのインサート本体11における上下方向と直交する幅方向の断面形状よりも小さくする。これにより、シール体18の内面全体を、インサート本体11を取り囲む囲繞方向に沿って間断なくインサート本体11の外面に密接させることができる。なお、インサート本体11の形状、及びシール体の孔の形状は特に限定されるものではない。
【0086】
○ 上記各実施形態において、シール体18は円環状であったが、これに限らず、例えば、四角環状や六角環状であってもよく、シール体18の形状は特に限定されるものではない。
【0087】
○ 上記各実施形態において、シール体18は、多孔質の合成樹脂材料によって形成されていたが、これに限らず、例えば、ゴム材料によって形成されていたり、スポンジによって形成されていたりしてもよい。
【0088】
○ 上記各実施形態では、付勢部としてコイルスプリング31を用いたが、これに限らず、例えば板バネを用いてもよい。
○ 本発明を、コンクリートスラブから吊ボルトBを吊り下げるために用いられるインサート10に具体化したが、これに限らず、例えば、配線・配管材を支持する被吊下体を吊り下げるために用いられるデッキプレート用取着体や、吊ボルトB又は配線・配管材を支持する被吊下体が予め一体化されたデッキプレート用取着体に具体化してもよい。
【0089】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記掛止部は、前記貫通孔の内面に摺接する際には前記本体内に向けて傾動するとともに、前記貫通孔通過後には原形状へ復帰するように傾動可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【0090】
(ロ)前記掛止部は、前記本体に一体形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項10、及び前記技術的思想(イ)のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【符号の説明】
【0091】
B…吊ボルト、D…デッキプレート、Dc…貫通孔、T…コンクリートスラブ、10…インサート、11…本体としてのインサート本体、12c…掛止部としての第1掛止片、12d…掛止部としての第2掛止片、12e,12f…掛止面として機能する上面、18…シール体、19…支持部としての支持片、31…付勢部としてのコイルスプリング、32…挟持部としての圧接リング、32a…圧接面として機能する下面、35…支持部としての装着凹部、41…支持部としての支持具、43…支持片、51…当接凸部、53…支持部としての突起部、71…支持部としての支持片。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキプレートに穿設された貫通孔を利用して前記デッキプレートに固定されるとともにコンクリートスラブに埋設され、前記コンクリートスラブから吊ボルト又は配線・配管材を支持する被吊下体を吊り下げるために用いられるデッキプレート用取着体であって、
本体の下部側は前記貫通孔を貫通可能に形成されるとともに、前記本体の下部側には、前記デッキプレート下面の前記貫通孔周りに掛止される掛止部が設けられており、前記本体における前記掛止部よりも上側の外面周りには付勢部が設けられ、前記付勢部により前記掛止部に向けて付勢されて前記掛止部と共に前記デッキプレートを挟持する挟持部が設けられており、
前記掛止部と前記挟持部とにより前記デッキプレートを挟持させた際に、前記挟持部と前記デッキプレートとの間に配設されるとともに厚み方向に圧縮可能な環状のシール体が前記本体に外装されており、
前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレートとの間で挟持される前の状態では、前記シール体は、前記本体において、前記掛止部における前記デッキプレートへの掛止面よりも下側に一体に組み付けられていることを特徴とするデッキプレート用取着体。
【請求項2】
前記シール体は、前記本体における前記掛止部全体よりも下側に一体に組み付けられていることを特徴とする請求項1に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項3】
前記本体における前記掛止面よりも下側には、前記シール体を支持する支持部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項4】
前記支持部は、前記本体の外面から突設される支持片であることを特徴とする請求項3に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項5】
前記支持部は、前記本体に組み付けられるとともに支持片を備えた支持具であることを特徴とする請求項3に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項6】
前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレートとの間で挟持される前の状態では、前記挟持部は、前記本体における前記掛止面よりも下側に一体に組み付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項7】
前記付勢部はコイルスプリングよりなるとともに、前記コイルスプリングの前記挟持部側端部が前記掛止部の前記掛止面に当接することにより、前記挟持部が前記コイルスプリングの付勢力を受けないようになっていることを特徴とする請求項6に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項8】
前記挟持部は、前記シール体に当接して前記シール体を前記デッキプレート上面に圧接させる圧接面を有するとともに、前記圧接面からの突出長さが圧縮される前の前記シール体の厚みよりも短く、且つ前記デッキプレート上面に当接可能な当接凸部を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項9】
前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレート上面との間で圧縮された圧縮位置では、前記シール体の前記本体に対する接触部位が、前記シール体が前記本体を取り囲む囲繞方向に沿って間断なく密接することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項10】
前記シール体の内縁によって囲まれた空間形状は、前記圧縮位置での本体における上下方向と直交する幅方向の断面形状よりも小さくなっているとともに、前記シール体の内側に前記本体が強制的に挿入されることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項1】
デッキプレートに穿設された貫通孔を利用して前記デッキプレートに固定されるとともにコンクリートスラブに埋設され、前記コンクリートスラブから吊ボルト又は配線・配管材を支持する被吊下体を吊り下げるために用いられるデッキプレート用取着体であって、
本体の下部側は前記貫通孔を貫通可能に形成されるとともに、前記本体の下部側には、前記デッキプレート下面の前記貫通孔周りに掛止される掛止部が設けられており、前記本体における前記掛止部よりも上側の外面周りには付勢部が設けられ、前記付勢部により前記掛止部に向けて付勢されて前記掛止部と共に前記デッキプレートを挟持する挟持部が設けられており、
前記掛止部と前記挟持部とにより前記デッキプレートを挟持させた際に、前記挟持部と前記デッキプレートとの間に配設されるとともに厚み方向に圧縮可能な環状のシール体が前記本体に外装されており、
前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレートとの間で挟持される前の状態では、前記シール体は、前記本体において、前記掛止部における前記デッキプレートへの掛止面よりも下側に一体に組み付けられていることを特徴とするデッキプレート用取着体。
【請求項2】
前記シール体は、前記本体における前記掛止部全体よりも下側に一体に組み付けられていることを特徴とする請求項1に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項3】
前記本体における前記掛止面よりも下側には、前記シール体を支持する支持部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項4】
前記支持部は、前記本体の外面から突設される支持片であることを特徴とする請求項3に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項5】
前記支持部は、前記本体に組み付けられるとともに支持片を備えた支持具であることを特徴とする請求項3に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項6】
前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレートとの間で挟持される前の状態では、前記挟持部は、前記本体における前記掛止面よりも下側に一体に組み付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項7】
前記付勢部はコイルスプリングよりなるとともに、前記コイルスプリングの前記挟持部側端部が前記掛止部の前記掛止面に当接することにより、前記挟持部が前記コイルスプリングの付勢力を受けないようになっていることを特徴とする請求項6に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項8】
前記挟持部は、前記シール体に当接して前記シール体を前記デッキプレート上面に圧接させる圧接面を有するとともに、前記圧接面からの突出長さが圧縮される前の前記シール体の厚みよりも短く、且つ前記デッキプレート上面に当接可能な当接凸部を備えていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項9】
前記シール体が前記挟持部と前記デッキプレート上面との間で圧縮された圧縮位置では、前記シール体の前記本体に対する接触部位が、前記シール体が前記本体を取り囲む囲繞方向に沿って間断なく密接することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【請求項10】
前記シール体の内縁によって囲まれた空間形状は、前記圧縮位置での本体における上下方向と直交する幅方向の断面形状よりも小さくなっているとともに、前記シール体の内側に前記本体が強制的に挿入されることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のデッキプレート用取着体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−231564(P2011−231564A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104757(P2010−104757)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】
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