説明

デュアルクラッチ式自動変速機の制御装置

【課題】変速時のクラッチ制御の特性を運転者が任意に切換可能とし、もって運転者の好みに対応する車両特性を実現できるデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】プリセレクト後に両クラッチC1,C2の断接状態を逆転させる変速中において、運転者がモード切換スイッチ30により指定した走行性能優先、ノーマル、乗り心地優先の3つのモードに対応してクラッチトルクの変化率を選択する。選択した変化率に基づき切断側のクラッチの伝達トルクを連続的に低下させると共に、接続側のクラッチの伝達トルクを連続的に増加させてクラッチ断接状態の逆転を完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置に係り、詳しくはプリセレクト後に両クラッチの断接状態を逆転させるときのクラッチ制御特性を任意に切換可能な制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばトラックやバスなどに用いられる所謂平行軸式の変速機には、運転操作の簡略化を目的として変速操作及びクラッチ断接操作をアクチュエータにより自動化したものがある。この種の自動変速機はトルクコンバータを備えないことから大きな駆動力の伝達に適するという特徴がある反面、変速時にクラッチ遮断により動力伝達が一時的に中断されるため変速フィーリングの点で改善の余地があった。
このような並行軸式の自動変速機の不具合を解決すべく、所謂デュアルクラッチ式自動変速機が実用化されている。このデュアルクラッチ式自動変速機は、エンジンなどの走行動力源に対して、第1クラッチを介して複数の奇数変速段からなる第1歯車機構を連結すると共に、第2クラッチを介して複数の偶数変速段からなる第2歯車機構を連結し、これらの2系統の駆動経路を選択的に介してエンジンからの駆動力を駆動輪側に伝達し得るように構成されている。
【0003】
例えば、第1クラッチの接続により第1歯車機構の何れかの奇数変速段を介してエンジンからの駆動力を駆動輪側に伝達しているときには、車両の加減速状況などから何れかの偶数変速段を次変速段として予測して、第2歯車機構を次変速段に切り換えている(以下、この変速段の切換をプリセレクトという)。そして、次変速段への変速タイミングに至った時点で両クラッチの断接状態を逆転させることにより、動力伝達を中断することなく次変速段への変速を完了している(このときが実際の変速時に相当するため、以下、変速という)。
このような変速時のクラッチ断接状態の逆転は、一方のクラッチを切断側に操作しながら他方のクラッチを接続側に操作することで行われる。両クラッチが伝達するのはエンジンから入力されるトルク(以下、入力トルクという)であり、エンジンがエンジン制御側で運転者の要求トルクに基づき制御されていることを鑑みて、変速中には要求トルクに基づき両クラッチの伝達トルク(以下、クラッチトルクという)を制御している。例えば変速中にアクセルが踏み増しされると、要求トルクの増加に応じて両クラッチトルクが共に増加側に制御されてクラッチ滑りの抑制が図られる。双方のクラッチ操作は適切に連携させる必要があり、連携が不適切な場合には、それぞれのクラッチトルクが適切に制御されずに、ショック発生やトルク抜けなどの変速フィーリングを悪化させる要因になる。
【0004】
変速時のクラッチ制御に関する技術として、特許文献1に記載されたものが提案されている。当該特許文献1の技術では、クラッチトルクをエンジン回転速度に基づき制御しているが、コーストダウン時の変速中にアクセル踏み増しが行われると、エンジン回転速度の上昇に呼応してクラッチトルクが増加側に制御されるため、クラッチが急接されて変速ショックを生じてしまう。そこで、コーストダウン変速中にアクセル踏み増しがなされたときには、アクセル踏み増し無しの場合よりも解放側クラッチ容量の減少勾配を小さく設定してエンジン回転速度の上昇、ひいてはクラッチの急接を抑制して変速ショックの防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−127792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両のサスペンション特性やエンジン特性、変速特性などは、車両が発揮する走行性能や乗り心地など(以下、車両特性と総称する)に影響し、上記した変速時のクラッチ制御も車両特性に影響を及ぼす要因の一つである。即ち、変速時にクラッチ断接状態を速やかに逆転させれば、変速期間が短縮化される一方でショックが発生することから走行性能優先の特性になり、一方、クラッチ断接状態を緩やかに逆転させれば、変速期間が延長化される一方でショックが抑制されることから乗り心地優先の特性になる。
【0007】
車両特性は運転者の嗜好に応じて好みが分かれると共に、同一運転者であってもその日の気分、或いは渋滞や高速走行などの交通状況によって要望される車両特性が相違する。従って、上記変速時のクラッチ制御についても、要望される車両特性に応じて走行性能優先の特性としたり乗り心地優先の特性としたりすることが望ましい。しかしながら、上記特許文献1の技術では、変速中のアクセル踏み増しによるショック抑制しか想定していないため要望に応じることができず、今一つ改良の余地があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、変速時のクラッチ制御の特性を運転者が任意に切換可能とし、もって運転者の好みに対応する車両特性を実現することができるデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、複数の変速段からなる一対の歯車機構をそれぞれクラッチを介して走行動力源側と接続し、一方のクラッチを接続して対応する一方の歯車機構の変速段を介した動力伝達中に他方の歯車機構を予め次変速段に切り換えるプリセレクトを実行し、プリセレクト後に両クラッチの断接状態を逆転させて次変速段への切換を完了するデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置において、両クラッチの断接状態を逆転させる変速中のクラッチ切換速度に関わる複数のクラッチ制御モードを任意に指定可能な入力手段と、両クラッチの断接状態を逆転させる変速中に、入力手段により指定されたクラッチ制御モードに対応して予め設定されたクラッチ切換速度を選択し、クラッチ切換速度に基づき切断側のクラッチの伝達トルクを連続的に低下させると共に、接続側のクラッチの伝達トルクを連続的に増加させる変速中クラッチ制御手段とを備えたものである。
【0009】
請求項2の発明は、複数の変速段からなる一対の歯車機構をそれぞれクラッチを介して走行動力源側と接続し、一方のクラッチを接続して対応する一方の歯車機構の変速段を介した動力伝達中に他方の歯車機構を予め次変速段に切り換えるプリセレクトを実行し、プリセレクト後に両クラッチの断接状態を逆転させて次変速段への切換を完了するデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置において、クラッチの断接状態を逆転させる変速中に、走行動力源の制御に適用される要求トルクが運転者のアクセル踏み増しにより増加したとき、クラッチ滑りを防止すべく要求トルクの増加に応じて両クラッチの伝達トルクを増加方向に制御する変速中クラッチ制御手段と、アクセル踏み増しに応じた伝達トルクの増加時のクラッチ制御特性を決定するための複数のクラッチ制御モードを任意に指定可能な入力手段と、入力手段により指定されたクラッチ制御モードに対応して要求トルクをなまし処理するフィルタ手段とを備え、変速中クラッチ制御手段が、フィルタ手段によるなまし処理後の要求トルクに基づき、変速中のアクセル踏み増し時に両クラッチの伝達トルクを増加方向に制御するものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1において、入力手段が、クラッチ制御モードとして少なくとも走行性能優先モードの操作位置と乗り心地優先モードの操作位置とを有するモード切換スイッチであり、変速中クラッチ制御手段が、モード切換スイッチが走行性能優先モードの操作位置に切り換えられているときには、乗り心地優先モードの操作位置の場合に比較して高いクラッチ切換速度に基づき両クラッチの伝達トルクを低下及び増加させるものである。
請求項4の発明は、請求項2において、入力手段が、クラッチ制御モードとして少なくとも走行性能優先モードの操作位置と乗り心地優先モードの操作位置とを有するモード切換スイッチであり、フィルタ手段が、モード切換スイッチが走行性能優先モードの操作位置に切り換えられているときには、乗り心地優先モードの操作位置の場合に比較して要求トルクに対するなまし処理の効力を弱めるものである。
請求項5の発明は、請求項3または4において、入力手段が、車両の走行特性を少なくとも2段階に切り換えるための既存のモード切換スイッチであり、2段階の操作位置が走行性能優先モードの操作位置及び乗り心地優先モードの操作位置として機能するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように請求項1の発明のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置によれば、プリセレクト後の両クラッチの断接状態を逆転させる変速中に、入力手段により指定されたクラッチ制御モードに対応するクラッチ切換速度を選択し、このクラッチ切換速度に基づき両クラッチの断接状態を逆転させるクラッチ制御を実行するようにした。従って、入力手段により任意にクラッチ制御モードを指定するだけで変速時のクラッチ切換速度を切り換えて、自身の好みに応じた走行性能優先や乗り心地優先などのクラッチ制御を実行でき、ひいては好みに対応する車両特性を実現することができる。
請求項2の発明のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置によれば、プリセレクト後の両クラッチの断接状態を逆転させる変速中において運転者のアクセル踏み増しにより要求トルクが増加したとき、入力手段により指定されたクラッチ制御モードに対応して運転者の要求トルクをなまし処理し、なまし処理後の要求トルクに基づき、クラッチ滑りを防止すべく両クラッチの伝達トルクを増加方向に制御するようにした。従って、クラッチ制御モードに応じてなまし処理後の要求トルクの増加特性が相違し、それに応じて両クラッチの伝達トルクの増加特性も相違する。よって、入力手段により任意にクラッチ制御モードを指定するだけで、変速中にアクセル踏み増しがなされたときの両クラッチの伝達トルクの増加特性を切り換えて、自身の好みに応じた走行性能優先や乗り心地優先などのクラッチ制御を実行でき、ひいては好みに対応する車両特性を実現することができる。
【0012】
請求項3の発明のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置によれば、請求項1に加えて、走行性能優先モードでは乗り心地優先モードに比較して高いクラッチ切換速度に基づき両クラッチの伝達トルクを低下及び増加させるようにした。従って、走行性能優先モードでは変速期間を短縮化して車両の走行性能を向上でき、乗り心地優先モードでは変速期間を延長化してショックの抑制により良好な乗り心地を実現でき、このようにモード切換スイッチを操作するだけで性能優先のクラッチ制御特性と乗り心地優先のクラッチ制御特性とを任意に選択することができる。
請求項4の発明のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置によれば、請求項2に加えて、走行性能優先モードでは乗り心地優先モードに比較して要求トルクに対するなまし処理の効力を小さくした。アクセル踏み増し時の要求トルクの増加に対してなまし処理後の要求トルクは遅れをもって追従して増加し、なまし処理の効力が大きいほど要求トルクの増加が緩やかになり、要求トルクに基づき制御される両クラッチの伝達トルクも緩やかに増加する。よって、走行性能優先モードでは変速期間を短縮化して車両の走行性能を向上でき、乗り心地優先モードでは変速期間を延長化してショックの抑制により良好な乗り心地を実現でき、このようにモード切換スイッチを操作するだけで性能優先のクラッチ制御特性と乗り心地優先のクラッチ制御特性とを任意に選択することができる。
請求項5の発明のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置によれば、請求項3または4に加えて、車両の走行特性を切り換えるための既存のモード切換スイッチにより走行性能優先モードと乗り心地優先モードとを切換可能とした。従って、スイッチの共通化により製造コストを低減できると共に、単一の操作により車両の走行性能とクラッチ制御特性とを共に切換可能となるため、運転者が操作するときの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置を示す全体構成図である。
【図2】第1実施形態の変速中における両クラッチトルクの制御状態を示すタイムチャートである。
【図3】第2実施形態のT/M−ECUへの実エンジントルク及び要求トルクの入力状況を示す制御ブロック図である。
【図4】第2実施形態の変速中にアクセル踏み増しがなされたときの両クラッチトルクの制御状態を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化したデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置の第1実施形態を説明する。
図1は本実施形態のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置を示す全体構成図である。車両には走行動力源としてディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1が搭載されている。エンジン1は、加圧ポンプによりコモンレールに蓄圧した高圧燃料を各気筒の燃料噴射弁に供給し、各燃料噴射弁の開弁に伴って筒内に噴射する所謂コモンレール式機関として構成されている。
【0015】
エンジン1の出力軸1aは車両後方(図の右方)に突出し、自動変速機(以下、単に変速機という)2の入力軸2aに接続されている。変速機2は前進6段(1速段〜6速段)及び後退1段を備えており、エンジン1の動力は入力軸2aを介して変速機2に入力された後に、変速段に応じて変速されて出力軸2bから図示しない駆動輪側に伝達されるようになっている。
言うまでもないが、変速機2の変速段は上記に限ることなく任意に変更可能である。
【0016】
変速機2は、所謂デュアルクラッチ式変速機として構成されている。当該デュアルクラッチ式変速機の詳細は、例えば特開2009−035168号公報などに記載されているため、本実施形態では概略説明にとどめる。このため、図1では変速機2を実際の機構とは異なる模式的な表現で示しており、以下の説明でも変速機2の構成及び作動状態を概念的に述べる。
周知のようにデュアルクラッチ式変速機は、奇数変速段と偶数変速段とを相互に独立した動力伝達系として設け、何れか一方で動力伝達しているときに他方を次に予測される次変速段に予め切り換えておくことで、動力伝達を中断することなく次変速段への切換を完了するシステムである。
【0017】
即ち、図1に示すように、変速機2の入力軸2aにはクラッチC1を介して奇数変速段(1,3,5速段)からなる歯車機構G1が接続されると共に、同じくクラッチC2を介して偶数変速段(2,4,6速段)からなる歯車機構G2が接続され、これらの歯車機構G1,G2の出力側は上記した共通の出力軸2bに連結されている。
これにより変速機2は、相互に独立したクラッチC1及び歯車機構G1からなる動力伝達系とクラッチC2及び歯車機構G2からなる動力伝達系とを備えている。
【0018】
ここで、変速機2内のスペース効率化のために両クラッチC1,C2は、奇数変速段側のクラッチC1を内周側とし、偶数変速段側のクラッチC2を外周側とした内外2重に配設されている。そこで、以下の説明では、奇数変速段側のクラッチC1をインナクラッチと称し、偶数変速段側のクラッチC2をアウタクラッチと称する。
インナクラッチC1及びアウタクラッチC2にはそれぞれ油圧シリンダ3が接続され、両油圧シリンダ3は電磁弁4が介装された油路5を介して油圧供給源6に接続されている。電磁弁4の開弁時には油圧供給源6から油路5を介して油圧シリンダ3に作動油が供給され、油圧シリンダ3が作動して対応するクラッチC1,C2が接続状態から切断状態に切り換えられる。一方、電磁弁4が閉弁すると、作動油の供給中止により油圧シリンダ3が作動しなくなることから、クラッチC1,C2は図示しないプレッシャスプリングにより切断状態から接続状態に切り換えられる。
【0019】
なお、クラッチC1,C2の駆動方式はこれに限ることはなく、例えば油圧駆動に代えてエア駆動を採用してもよい。
また、変速機2の奇数変速段の歯車機構G1及び偶数変速段の歯車機構G2にはそれぞれギヤシフトユニット7が設けられている。図示はしないがギヤシフトユニット7は、歯車機構G1,G2内の各変速段に対応するシフトフォークを作動させる複数の油圧シリンダ、及び各油圧シリンダを作動させる複数の電磁弁を内蔵している。ギヤシフトユニット7は油路8を介して上記した油圧供給源6と接続されており、各電磁弁の開閉に応じて油圧供給源6からの作動油が対応する油圧シリンダに供給され、その油圧シリンダが作動してシフトフォークを切換操作すると、切換操作に応じて対応する歯車機構G1,G2の変速段が切り換えられる。
【0020】
本実施形態の車両はトラックであるため2速発進を前提としており、車両の加減速時には2速段以上で各変速段がシフトアップ側或いはシフトダウン側に順次切り換えられる。この変速時において、基本的にインナクラッチC1及びアウタクラッチC2の断接状態は常に逆方向に切り換えられる。このため、一方のクラッチC1,C2の接続により対応する歯車機構G1,G2の何れかの変速段が達成されて動力伝達されているときには、他方のクラッチC1,C2が切断されることで対応する歯車機構G1,G2では何れの変速段も動力伝達していない状態にある。よって、他方の歯車機構G1,G2では、事前に次変速段(現在の変速段に隣接する高ギヤ側または低ギヤ側の変速段)に切り換えるプリセレクトが可能になり、その後に変速タイミングに至ると、インナクラッチC1及びアウタクラッチC2の断接状態を逆転させることにより動力伝達を中断することなく変速が完了する。
【0021】
一方、車室内には、エンジン1の制御を司るE/G―ECU11及びクラッチ制御を含めた変速機2の制御を司るT/M−ECU12が設置され、それぞれ図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAMなど)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタなどを備えている。
E/G―ECU11の入力側には、エンジン1の回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ22、アクセルペダル26の操作量θaccを検出するアクセルセンサ27、車速Vを検出する車速センサ28、及び運転席に設けられた後述するモード切換スイッチ30などのセンサ類が接続されている。E/G―ECU11の出力側には、図示はしないが、エンジン1に付設されたコモンレール蓄圧用の加圧ポンプや各気筒の燃料噴射弁などのデバイス類が接続されている。
【0022】
また、T/M−ECU12の入力側には、上記エンジン回転速度センサ22、車速センサ28が接続されると共に、インナクラッチC1及びアウタクラッチC2の出力側の回転速度Ncl, Nc2を検出するクラッチ回転速度センサ23、運転席に設けられたチェンジレバー9の切換位置を検出するレバー位置センサ24、及び歯車機構G1,G2の変速段を検出するギヤ位置センサ25などのセンサ類が接続されている。T/M−ECU12の出力側には、クラッチC1,C2の電磁弁4、ギヤシフトユニット7の各電磁弁などのデバイス類が接続されている。
なお、このようにエンジン1側と変速機2側とに個別にECU11,12を設けることなく、共通のECUによりエンジン1及び変速機2を共に制御するようにしてもよい。
【0023】
例えばE/G―ECU11は、アクセルセンサ27により検出されたアクセル操作量θaccやエンジン回転速度センサ22により検出されたエンジン回転速度Neなどに基づき運転者の要求トルクを算出し、この要求トルクに基づいてコモンレールのレール圧や各気筒への燃料噴射量及び燃料噴射時期を算出する。そして、これらの算出値に基づき加圧ポンプを駆動制御すると共に、各気筒の燃料噴射弁を駆動制御して上記要求トルクを達成させながらエンジン1を運転させる。以下に述べるように運転者の要求トルクは、実エンジントルクと共にT/M−ECU12側で変速制御やクラッチ制御を実行するための指標として用いられる。そのためにE/G―ECU11は、エンジン回転速度Neや燃料噴射量などから実エンジントルクを算出し、これらの実エンジントルク及び要求トルクをT/M−ECU12側に出力する。
また、T/M−ECU12は、例えばレバー位置センサ24によりチェンジレバー9のDレンジ(ドライブレンジ)への切換が検出されているときには自動変速モードを選択し、アクセル操作量θacc及び車速センサ28により検出された車速Vに基づき、図示しないシフトマップから決定した目標変速段を達成すべく変速制御を実行すると共に、目標変速段への変速に先だって車両の加減速などから予測した次変速段へのプリセレクトを行う。
【0024】
例えば車両加速時には、現変速段に隣接する高ギヤ側の変速段を次変速段として予測し、動力伝達を中断している歯車機構G1,G2の所定の電磁弁を開閉して油圧シリンダを作動させることで次変速段をプリセレクトする。その後、車両加速に伴って上昇中のエンジン回転速度Neが上記シフトマップ上の次変速段へのシフトアップ線を横切ると、油圧シリンダ3により目標変速段を有する側の歯車機構G1,G2のクラッチC1,C2を接続すると共に、他方のクラッチC1,C2を切断して目標変速段への変速を完了する。
このような変速時のクラッチ断接状態の逆転は、切断側のクラッチトルクを入力トルクから0まで連続的に低下させると共に、接続側のクラッチトルクを0から入力トルクまで連続的に増加させることで行われる。これと並行して変速中のクラッチトルクは上記E/G―ECU11から入力される要求トルクに基づき制御され、例えば変速中にアクセルが踏み増しされると、要求トルクの増加に応じて双方のクラッチトルクが増加側に制御されてクラッチ滑りの抑制が図られる(変速中クラッチ制御手段)。
【0025】
従って、アクセル踏み増しなどによる要求トルクの増減がない場合には、両クラッチトルクが増加側及び低下側に制御されて双方のクラッチC1,C2の断接状態が逆転される。このときのクラッチC1,C2の切換速度に応じてクラッチ断接状態の逆転によるショックの大きさや変速期間の長さが変化し、それに伴って走行性能や乗り心地などの車両特性が変化する。そこで、本実施形態では、クラッチC1,C2の断接状態を逆転するときのクラッチトルクの単位時間当たりの変化率(クラッチ切換速度)を運転者が任意に切換可能とした対策を講じており、以下、当該対策について詳述する。
【0026】
クラッチトルクの変化率の切換のために、運転席にはモード切換スイッチ30が設けられて運転者が任意に操作し得るようになっている。モード切換スイッチ30は、クラッチ制御モードとしてノーマルモード、走行性能優先モード、乗り心地優先モードの3つの操作位置を有し、その操作位置が上記T/M−ECU12に入力される。
なお、クラッチ制御モードはこれらの3種に限るものではなく、任意に内容を変更したり、モード数を増減させたりすることができる。また、本実施形態では、図1に示すようにダイヤル式のモード切換スイッチ30を採用しているが、これに限ることはなく種々の形式のスイッチに変更可能である。
T/M−ECU12には、モード切換スイッチ30により指定された各クラッチ制御モードにそれぞれ対応して、変速時に両クラッチC1,C2の断接状態を逆転するときのクラッチトルクの変化率が予め設定されている。各クラッチ制御モードのクラッチトルクの変化率としては、走行性能優先モードの変化率が最も高く、乗り心地優先モードの変化率が最も低く、ノーマモードの変化率はそれらの中間に設定されている。
【0027】
図2は変速中に両クラッチトルクを各クラッチ制御モードの変化率で制御した場合を比較したタイムチャートであり、アクセル踏み増しなどによる要求トルクの増減がない場合を示している。上記のように変速中には切断側のクラッチトルクが入力トルクから0まで連続的に低下し、接続側のクラッチトルクが0から入力トルクまで連続的に増加するように制御が実行される。このときのT/M−ECU12はモード切換スイッチ30により指定されたクラッチ制御モードと対応する変化率を選択し、選択した変化率に従ってクラッチトルクを増減させる(変速中クラッチ制御手段)。
従って、走行性能優先モードが指定されたときには、図2中に破線で示すように、高い変化率の適用により他の2つのモードに比較してクラッチトルクが最も速やかに増減する。このため変速期間が短縮化され、早期にクラッチ断接状態の逆転が完了して次変速段による走行が迅速に開始されることからキビキビした走行感が得られると共に、車両の走行性能を向上することができる。また、この場合には変速期間の短縮化と引き替えに多少のショックが発生する場合もあるが、ショック発生に基づき変速段の切換を把握する習慣がある運転者も存在し、このような運転者にとっては寧ろ変速時のショックは運転操作を行うために望ましいものとなる。
【0028】
一方、乗り心地優先モードが指定されたときには、図2中に一点鎖線で示すように、低い変化率の適用により他の2つのモードに比較してクラッチトルクが最も緩やかに増減する。このため変速期間が延長化されてクラッチ断接状態の逆転によるショックが抑制され、最も良好な乗り心地を実現することができる。
勿論、図2中に実線で示すノーマルモードでは、走行性能優先モードと乗り心地優先モードとの中間の特性が得られ、走行性能と乗り心地とのバランスが図られる。
以上のように本実施形態のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置によれば、モード切換スイッチ30の操作位置に応じてクラッチ制御モードを切り換え、そのクラッチ制御モードと対応する変化率に基づきクラッチ断接状態を逆転するためのクラッチ制御を実行するように構成した。従って、運転者がモード切換スイッチ30により任意にクラッチ制御モードを指定するだけで、自身の好みに対応する走行性能優先や乗り心地優先などのクラッチ制御を実行でき、ひいては好みに対応する車両特性を実現することができる。
【0029】
ところで、上記したように変速中にアクセル踏み増しがなされたときには、要求トルクの増加に応じて両クラッチトルクが共に増加側に制御されてクラッチ滑りの抑制が図られる。ところが、エンジン制御の応答性に起因して要求トルクに対して実エンジントルクは追従遅れを生じることから、過渡的にエンジン1からの入力トルクが低いにも拘わらず、それよりも高い要求トルクに基づきクラッチトルクが制御される状況が発生することになる。本発明者は、このような立ち上がり特性を有する要求トルクをフィルタ回路29(フィルタ手段)でなまし処理してクラッチ制御に適用すれば、アクセル踏み増しに応じてクラッチトルクが増加するときの特性を任意に設定し得ることを見出した。
即ち、第1実施形態では、アクセル踏み増し無しの変速中を想定し、両クラッチC1,C2の断接状態の逆転のために逆方向に制御されているときのクラッチトルクの変化率を切り換えた。これとは別に本発明者は、変速中にアクセルが踏み増しされたときを想定し、踏み増しに応じてクラッチトルクが共に増加方向に制御されているときの増加特性を切り換えた場合でも、車両特性を任意に切換可能なことを見出した。以下、この知見に基づく対策について第2実施形態として詳述する。
【0030】
[第2実施形態]
本実施形態のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置の構成は、図1に基づき述べた第1実施形態のものと同様であり、相違点は、アクセル踏み増しによる要求トルクの増加特性を切り換えるためのフィルタ回路29を追加している点にある。そこで、共通する構成の箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点であるフィルタ回路29の機能について詳述する。
図3はT/M−ECU12への実エンジントルク及び要求トルクの入力状況を示す制御ブロック図である。上記のようにT/M−ECU12にはE/G―ECU11側から情報として実エンジントルクと運転者の要求トルクとが入力されている。E/G―ECU11から入力される要求トルクはフィルタ回路29により処理され、処理後の要求トルク(以下、フィルタ後の要求トルクと称してフィルタ前の要求トルクと区別する)がクラッチトルクの制御に適用される。
【0031】
フィルタ回路29は予めクラッチ制御モードにそれぞれ対応して3種の異なる時定数が設定されており、上記モード切換スイッチ30により指定されたクラッチ制御モードに対応する時定数がT/M−ECU12により選択され、その時定数に基づきフィルタ回路29によりなまし処理が実行される(フィルタ手段)。各クラッチ制御モードの時定数としては、走行性能優先モードの時定数が最も小さく(なまし処理の効力が小)、乗り心地優先モードの時定数が最も大きく(なまし処理の効力が大)、ノーマモードの時定数はそれらの中間に設定されている。
【0032】
図4は変速中にアクセル踏み増しがなされたときの両クラッチトルクの制御状態を示すタイムチャートである。E/G―ECU11側では、運転者の要求トルクを達成するようにレール圧制御や燃料噴射制御を実行しているが、これらのエンジン制御の応答性に起因し、要求トルクに対して実エンジントルクは遅れをもって追従している。このため変速中のアクセル踏み増しに応じて、図4中に二点鎖線で示すようにフィルタ前要求トルクがステップ的に立ち上がるのに対し、図示はしないが実エンジントルクは追従せずに遅れをもって緩やかに立ち上がる(例えば、以下に述べるフィルタ後要求トルクの何れかと同様の立ち上がり特性)。
そして、上記フィルタ回路29の各時定数に基づくなまし処理により、何れの時定数を適用したときのフィルタ後要求トルクも、実エンジントルクと同様にフィルタ前要求トルクに対して遅れをもって追従して増加する。各クラッチ制御モードでのフィルタ後要求トルクを比較すると、図4中に破線で示す走行性能優先モードが最も迅速に、一点鎖線で示す乗り心地優先モードが最も緩やかに、実線で示すノーマルモードは中間の速さで増加する。このようなフィルタ後要求トルクに基づき、クラッチ滑り抑制を抑制すべく両クラッチトルクはアクセル踏み増しに応じて共に増加方向に制御され、その後にアクセル踏み増し前と同じく切断側が低下し、接続側が増加して両クラッチC1,C2の逆転が完了する(変速中クラッチ制御手段)。
但し、フィルタ回路29のなまし処理は時定数の設定に基づくものに限ることはなく、任意に変更可能である。例えば、時定数に代えて移動平均や単位時間当たりの増加量を限定するなど手法で対応してもよい。
【0033】
従って、走行性能優先モードが指定されたときには、図4中に破線で示すように、迅速に増加するフィルタ後要求トルクに基づき他の2つのモードに比較して両クラッチトルクが最も速やかに増加方向に制御される。このため両クラッチC1,C2の逆転完了までの変速期間が短縮化され、早期にクラッチ断接状態の逆転が完了して次変速段による走行が迅速に開始されることから、車両の走行性能を向上することができる。
一方、乗り心地優先モードが指定されたときには、図4中に一点鎖線で示すように、緩やかに増加するフィルタ後要求トルクに基づき他の2つのモードに比較して両クラッチトルクが最も緩やかに増加方向に制御される。このため変速期間が延長化されてクラッチ断接状態の逆転によるショックが抑制され、最も良好な乗り心地を実現することができる。
勿論、図5中に実線で示すノーマルモードでは、走行性能優先モードと乗り心地優先モードとの中間の特性が得られる。
【0034】
以上のように本実施形態のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置によれば、モード切換スイッチ30の操作位置に応じてクラッチ制御モードを切り換え、変速中にアクセル踏み増しがなされたときに、クラッチ制御モードと対応するフィルタ回路29の時定数により要求トルクをなまし処理し、処理後の要求トルクをクラッチ滑り抑制のためのクラッチトルクの制御に適用するように構成した。従って、運転者がモード切換スイッチ30により任意にクラッチ制御モードを指定するだけで、自身の好みに対応する走行性能優先や乗り心地優先などのクラッチ制御を実行でき、ひいては好みに対応する車両特性を実現することができる。
【0035】
ところで、車両には車両特性(走行性能や乗り心地など)を切り換えるための既存のモード切換スイッチが装備されている場合がある。例えば、変速機2の変速特性を切り換えるべく、ノーマルモードに比較して燃費向上を目的として変速タイミングを高ギヤ側に変更したエコモードを実行可能な車両では、図1に示すように、ノーマルモードとエコモードとの2つの操作位置を備えたモード切換スイッチ31が装備されている。また、車両のサスペンション特性を切り換えるべく、ノーマルモードに比較して走行性能の向上を目的としてショックアブソーバの減衰力を増加させたスポーツモードを実行可能な車両では、同じく図1に示すように、ノーマルモードとスポーツモードとの2つの操作位置を備えたモード切換スイッチ32が装備されている。
これらの変速特性やサスペンション特性と上記各実施形態で述べた各クラッチ制御モードとの間に相関関係が成立するのであれば、上記モード切換スイッチ30を省略した上で、既存のモード切換スイッチ31,31の操作位置に応じてクラッチ制御モードを切り換えるようにしてもよい。
【0036】
具体的には、燃費向上を目的とした変速制御を行うエコモードでは、変速時のクラッチ制御に関しては可能な限り変速期間を短縮化すべきであり、そのためにはクラッチ制御としてノーマルモードよりも走行性能優先モードを実行するのが望ましい。そこで、既存のモード切換スイッチ31の操作位置がノーマルモードのときに、クラッチ制御としてノーマルモード或いは乗り心地優先モードを実行させる一方、操作位置がエコモードのときには、クラッチ制御として走行性能優先モードを実行させるようにしてもよい。
また、走行性能向上を目的としたサスペンション制御を行うスポーツモードでも、変速時のクラッチ制御に関して可能な限り変速期間を短縮化すべきであり、走行性能優先モードを実行するのが望ましい。そこで、既存のモード切換スイッチ32の操作位置がノーマルモードのときに、クラッチ制御としてノーマルモード或いは乗り心地優先モードを実行させる一方、スポーツモードのときには、クラッチ制御として走行性能優先モードを実行させるようにしてもよい。
以上のように構成すれば、変速特性やサスペンション特性を切り換えるためのモード切換スイッチ31,32と変速時のクラッチ制御特性を切り換えるためのモード切換スイッチ30とを共通化して製造コストを低減できるだけでなく、単一のスイッチ操作により変速特性やサスペンション特性とクラッチ制御特性とを共に切換可能となるため、運転者が操作するときの負担を軽減できるという効果も得られる。
【0037】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、走行動力源としてディーゼルエンジン1を車両に搭載したが、走行動力源はこれに限ることはなく任意に変更可能であり、例えばガソリンエンジンや電動モータに変更してもよい。
また、上記第1実施形態では、変速中のクラッチトルクの変化率をクラッチ制御モードに応じて切り換え、第2実施形態では、変速中のアクセル踏み増し時の要求トルクをなまし処理するための時定数をクラッチ制御モードに応じて切り換えたが、これらの処理を組み合わせて同時に実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 エンジン(走行動力源)
12 T/M−ECU(変速中クラッチ制御手段)
29 フィルタ回路(フィルタ手段)
30〜32 モード切換スイッチ(入力手段)
C1,C2 クラッチ
G1,G2 歯車機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の変速段からなる一対の歯車機構をそれぞれクラッチを介して走行動力源側と接続し、一方のクラッチを接続して対応する一方の歯車機構の変速段を介した動力伝達中に他方の歯車機構を予め次変速段に切り換えるプリセレクトを実行し、該プリセレクト後に上記両クラッチの断接状態を逆転させて上記次変速段への切換を完了するデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置において、
上記両クラッチの断接状態を逆転させる変速中のクラッチ切換速度に関わる複数のクラッチ制御モードを任意に指定可能な入力手段と、
上記両クラッチの断接状態を逆転させる変速中に、上記入力手段により指定されたクラッチ制御モードに対応して予め設定されたクラッチ切換速度を選択し、該クラッチ切換速度に基づき切断側のクラッチの伝達トルクを連続的に低下させると共に、接続側のクラッチの伝達トルクを連続的に増加させる変速中クラッチ制御手段と
を備えたことを特徴とするデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置。
【請求項2】
複数の変速段からなる一対の歯車機構をそれぞれクラッチを介して走行動力源側と接続し、一方のクラッチを接続して対応する一方の歯車機構の変速段を介した動力伝達中に他方の歯車機構を予め次変速段に切り換えるプリセレクトを実行し、該プリセレクト後に上記両クラッチの断接状態を逆転させて上記次変速段への切換を完了するデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置において、
上記クラッチの断接状態を逆転させる変速中に、上記走行動力源の制御に適用される要求トルクが運転者のアクセル踏み増しにより増加したとき、クラッチ滑りを防止すべく上記要求トルクの増加に応じて上記両クラッチの伝達トルクを増加方向に制御する変速中クラッチ制御手段と、
上記アクセル踏み増しに応じた伝達トルクの増加時のクラッチ制御特性を決定するための複数のクラッチ制御モードを任意に指定可能な入力手段と、
上記入力手段により指定されたクラッチ制御モードに対応して上記要求トルクをなまし処理するフィルタ手段と
を備え、
上記変速中クラッチ制御手段は、上記フィルタ手段によるなまし処理後の要求トルクに基づき、上記変速中のアクセル踏み増し時に上記両クラッチの伝達トルクを増加方向に制御することを特徴とするデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置。
【請求項3】
上記入力手段は、上記クラッチ制御モードとして少なくとも走行性能優先モードの操作位置と乗り心地優先モードの操作位置とを有するモード切換スイッチであり、
上記変速中クラッチ制御手段は、上記モード切換スイッチが走行性能優先モードの操作位置に切り換えられているときには、上記乗り心地優先モードの操作位置の場合に比較して高いクラッチ切換速度に基づき上記両クラッチの伝達トルクを低下及び増加させることを特徴とする請求項1記載のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置。
【請求項4】
上記入力手段は、上記クラッチ制御モードとして少なくとも走行性能優先モードの操作位置と乗り心地優先モードの操作位置とを有するモード切換スイッチであり、
上記フィルタ手段は、上記モード切換スイッチが走行性能優先モードの操作位置に切り換えられているときには、上記乗り心地優先モードの操作位置の場合に比較して上記要求トルクに対するなまし処理の効力を小さくすることを特徴とする請求項2記載のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置。
【請求項5】
上記入力手段は、車両の走行特性を少なくとも2段階に切り換えるための既存のモード切換スイッチであり、該2段階の操作位置が上記走行性能優先モードの操作位置及び乗り心地優先モードの操作位置として機能することを特徴とする請求項3または4記載のデュアルクラッチ式自動変速機の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−57375(P2013−57375A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196409(P2011−196409)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】