説明

デュアルヘッドディスペンサを組み込んだダイボンダ

【課題】設置面積の小さいデュアルヘッドディスペンスシステムを提供する。
【解決手段】第一の軸に沿った接合パッドの行と第一の軸に垂直な第二の軸に沿った列とを含んでいる基板上に、ダイボンディング用の接着剤がディスペンスされる。第一ノズル20を組み込んでいる第一ディスペンスヘッド12と、第二ノズル22を組み込んでいる第二ディスペンスヘッド14とが設けられ、光学システム18を用いて接合パッドのパターン認識を行い、第一ノズル20及び第二ノズル22を同時に駆動して基板の同一の列状セクションにおけるディスペンス目標位置上へ、接着剤をディスペンスする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子デバイスのためのダイボンダ、とりわけ基板上への一つ以上の接着剤の同時ディスペンスのためのデュアルディスペンスヘッドを組み込んだダイボンダに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ダイ(dice)又はチップの製造中に、多くの半導体ダイが単一のウエハ上に一緒に形成される。次いで、ウエハを切断して、個々のダイに分離する。これら半導体ダイそれぞれは次いで、さらなるプロセスのために、ダイボンディングプロセスを利用することによって支持表面上へ個々に取り付けられるべきである。その後、電気的接続がダイ及び外部デバイス間に生成され、ダイは後にプラスチックコンパウンドを用いて封止されて、これらダイは環境から保護される。
【0003】
従来技術のダイボンダでは、ダイボンディングプロセスは、個々のダイを接合アームを用いてウエハから取り上げるステップを含んでいる。次いで、ダイを、接合場所にディスペンスされた接着剤を有する基板上への接合のために接合場所へ搬送して、ダイを基板上へ取り付ける。通常、シングルヘッドディスペンスシステムが配備され、これにより基板上へ接着材料をディスペンスする。工程の処理能力を増加させるために、デュアルヘッドを有するディスペンスシステムを用いることができる。
【0004】
図1は、エポキシのような接着剤をディスペンスするためのデュアルヘッドディスペンスシステムを組み込んだ従来のダイボンダ100の前面図である。デュアルヘッドディスペンスシステムは、分離したXYZ動作テーブルに取り付けられた第一及び第二エポキシディスペンスヘッド102、104を備えている。第一及び第二ディスペンスヘッド102、104は、エポキシをディスペンスする前の基板位置のパターン認識のための光学システムをそれぞれ備えている。2つのディスペンスヘッド102、104は、第一及び第二ディスペンスノズル105、107から接着剤をディスペンスするために、離間しているとともに、2つの分離した作業台又はコンベア機構上において独立して動作可能である。作業台それぞれは、吸引孔106のセットを備え、これら吸引孔106は真空吸引を提供するために列状に配列することができ、これにより基板をアンビルブロック上に堅固に保持する。図2は、互いに隣接して位置合わせされた吸引孔106からなる2つの列を有するアンビルブロック108の上面図である。
【0005】
図3は、基板又はリードフレーム110の上面図を示しており、この基板又はリードフレーム110は、アンビルブロック108の吸引孔106を通じて提供される真空吸引によって、図2のアンビルブロック108上に保持されている。第一及び第二ディスペンスヘッド102、104の位置は、吸引孔106の2つの列の配置に対応している。言い換えると、吸引孔106の2つの列は、列ピッチ114によって決定されるギャップ112によって隔てられ、この列ピッチ114はリードフレーム110上のダイパッド116の2つの列を隔てている。通常、列ピッチ114は2mm〜70mmに及ぶ。達成可能な最も小さいギャップ112は、第一及び第二ディスペンスヘッド102、104の幾何学的配置によって制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、第一及び第二ディスペンスヘッド102、104の配置は、リードフレーム110の構成によって制約される。列ピッチ114の全範囲を考慮に入れるために、且つ異なるリードフレーム110のサイズに対応するために、X方向における長い移動軌道を有するディスペンステーブルと、長いアンビルブロック108とが必要とされる。従って、複数のディスペンスヘッド及び関連する作業台に対応するために必要とされる空間は大きく、空間の制約がある場合に深刻な制限となる。さらに、長いアンビルブロック108を全体的に平坦に維持して、これにより真空漏れを避けることを保証することが難しい。そのため、真空漏れの恐れが原因で、ねじが無い設計は不可能である。従って、上述した従来技術と比較してより小さい設置面積しか占有しなくてもよいデュアルヘッドディスペンスシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、1つ以上の接着剤をディスペンスするための、少なくとも2つのディスペンスヘッドを有しているダイボンダを提供しようとすることが、本発明の1つの目的であり、このダイボンダは、上述された従来技術と比較してより少ない空間しか占有しなくてもよい。
【0008】
本発明の第一の態様によると、基板上へのダイボンディングを行うために接着剤をディスペンスする方法が提供され、この基板は、ディスペンス目標位置が配置されている、第一の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの行と、第一の軸に垂直な第二の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの列と、を含み、この方法は、第一ノズルを組み込んでいる第一ディスペンスヘッドと、第二ノズルを組み込んでいる第二ディスペンスヘッドと、を設けるステップと、第一ディスペンスヘッド及び第二ディスペンスヘッドが配置された位置へ、第一の軸に沿って基板を供給するステップと、光学システムを用いて、この光学システムを基板に対して第二の軸に沿って移動させることによって、1つ以上の連続した接合パッドの列を備えている基板の列状セクションのパターン認識を行うステップと、その後に、パターン認識が行われた基板の同じ列状セクションにおけるディスペンス目標位置上に、第一ノズル及び第二ノズルから同時に接着剤をディスペンスするように、第一ノズル及び第二ノズルを駆動させるステップと、を備えている。
【0009】
本発明の第二の態様によると、基板上へのダイボンディングを行うために接着剤をディスペンスする方法が提供され、この基板は、ディスペンス目標位置が配置されている、第一の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの行と、第一の軸に垂直な第二の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの列と、を含み、この方法は、第一ノズルを組み込んでいる第一ディスペンスヘッドと、第二ノズルを組み込んでいる第二ディスペンスヘッドと、を設けるステップと、第一の軸に沿って、第一ディスペンスヘッド及び第二ディスペンスヘッドが配置された位置へ基板を供給するステップと、連続した1つ以上のディスペンス目標位置の列を接合パッド上に備えている基板の第一列状セクション上に、第一ノズル及び第二ノズルから同時に接着剤をディスペンスするように、第一ノズル及び第二ノズルを駆動させるステップと、その後に、連続した1つ以上のディスペンス目標位置の列を第一列状セクションに隣接した接合パッド上に備えている基板の第二列状セクション上に、第一ノズル及び第二ノズルから同時に接着剤をディスペンスするように、第一ノズル及び第二ノズルを駆動させるステップと、を備えている。
【0010】
本発明の第三の態様によると、ディスペンス目標位置が配置されている、第一の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの行と第一の軸に垂直な第二の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの列と、を含んでいる基板上にダイボンディングを行うためのダイボンダ用の接着剤ディスペンサーが提供され、この接着剤ディスペンサーは、第一ノズルを組み込んでいる第一ディスペンスヘッド及び第二ノズルを組み込んでいる第二ディスペンスヘッドと、第一ディスペンスヘッド及び第二ディスペンスヘッドが配置されている位置へ、第一の軸に沿って基板を供給するためのコンベアと、連続した1つ以上の接合パッドの列を備えている基板の列状セクションのパターン認識を、第二の軸に沿った光学システム及び基板間の相対移動によって行うように作動可能な光学システムと、を備え、第一ノズル及び第二ノズルは、光学システムによってパターン認識が行われた基板の、同じ列状セクションにおけるディスペンス目標位置上に、同時に接着剤をディスペンスするように、構成されるとともに作動可能であることを特徴とする。
【0011】
添付の図面を参照することにより、以下に本発明をより詳細に記載することが都合がよい。図面の特殊性及び関連する記載が、請求項によって規定されている本発明の広範な識別の一般性に優先していると理解されるべきではない。
【0012】
本発明は、添付の図面を用いて検討される際に、本発明の1つの好ましい実施形態の詳細な記載を参照することによって容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】エポキシのような接着剤をディスペンスするためのデュアルヘッドディスペンスシステムを組み込んだ従来のダイボンダの前面図である。
【図2】互いに隣接して位置合わせされた吸引孔からなる2つの列を有するアンビルブロックの上面図である。
【図3】図2のアンビルブロック上に、アンビルブロックの吸引孔を通じて提供される真空吸引によって保持されているリードフレームの上面図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態による、デュアルヘッドディスペンスシステムを組み込んだダイボンダの等角図である。
【図5】図4のダイボンダの前面図である。
【図6】エポキシのディスペンスのための、リードフレーム支持用の吸引孔の単一の列を有して構成されたアンビルブロックの上面図である。
【図7】アンビルブロックの吸引孔の単一の列を通じて提供される真空吸引によって、アンビルブロック上に保持されるリードフレームの上面図である。
【図8】リードフレームのパターン認識、及び接合パッドの単一の列に対する接着剤ディスペンスの逐次ステップを図示している、リードフレームの上面概略図である。
【図9A】接合パッドの複数の列に対する接着剤ディスペンスの逐次ステップを図示する、リードフレームの上面概略図である。
【図9B】接合パッドの複数の列に対する接着剤ディスペンスの逐次ステップを図示する、リードフレームの上面概略図である。
【図9C】接合パッドの複数の列に対する接着剤ディスペンスの逐次ステップを図示する、リードフレームの上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい実施形態は、添付の図面を参照しながら本明細書にて説明される。
【0015】
図4は、本発明の好ましい実施形態による、デュアルヘッドディスペンスシステムを組み込んだダイボンダ10の等角図である。デュアルヘッドディスペンスシステムは、基板上へダイボンディングを行うためのエポキシのような接着剤をディスペンスする、第一及び第二ディスペンスヘッド12、14を備えている。一方のディスペンスヘッド12は、XYZテーブル16のような第一位置決めテーブルに取り付けられ、他方のディスペンスヘッド14はXYZテーブル17のような第二位置決めテーブルに取り付けられている。
【0016】
また、これら第一及び第二ディスペンスヘッド12、14は共通のXテーブルに取り付けることができ、これによって第一及び第二XYテーブル16、17は単一のX案内経路を共有するとともにX軸に沿って単一のモジュールとして作動する。その結果、一定の分離距離が、X軸に沿った第一及び第二ディスペンスヘッド12、14間に保持される。あるいは、第一及び第二XYテーブル16、17は、別々のモジュールであって、完全に独立して作動することができる。
【0017】
ディスペンスシステムは、単一の光学システム18をさらに含み、この光学システムは第一XYZテーブル16又は第二XYZテーブル17のいずれか一方に取り付けられている。あるいは、光学システム18は可動テーブルに取り付けることができ、この可動テーブルは、第一及び第二XYZテーブル16、17とは独立して動作可能である。位置合わせのためのパターン認識が必要とされない場合、光学システム18はディスペンスシステムから完全に除外することができる。
【0018】
第一及び第二ディスペンスヘッド12、14の一端には、それぞれ第一及び第二ノズル20、22がある。ディスペンスヘッド12、14は、これらノズル20、22がそれぞれ基板の面に対して、所定の強いられた角度に傾けられるように傾斜している。傾けられた第一及び第二ノズル20、22によって、ノズル20、22を、幅約12mmの重複するディスペンス領域A(図6を参照)における、同じエポキシディスペンス経路に沿って位置合わせすることが可能となる。第一及び第二ノズル20、22の両方は、この重複ディスペンス領域A内に同時に接着剤をディスペンスするように作動する。従って、ただ一つの作業台が接着剤の塗布のために必要とされ、この作業台の配置はリードフレーム24の列ピッチとは無関係である。
【0019】
また、作業台のX方向の軌道は大幅に縮小され、基板の支持のために、アンビルブロックのような比較的短い支持表面しか必要とされず、この基板は、リードフレーム24の形をとることができる。従って、より小さい装置設置面積しか必要としない、より小さいディスペンスシステムを用いることができる。あるいは、単一の作業台を用いるデュアルディスペンスは、2つの単一ヘッドディスペンスシステムをカスケーディング(cascading)することによっても同様に達成することができる。
【0020】
図5は、図4のダイボンダの前面図である。第一及び第二ディスペンスヘッド12、14は、リードフレーム24に備えられている接合パッド25上の1つ以上のディスペンス目標位置を備えている、リードフレーム24の同じ列状セクションに沿った重複ディスペンス領域A(図6参照)に、接着剤又はエポキシをディスペンスするように作動可能である。この例においては、列状セクションは、アンビルブロック26上に支持されたリードフレームの上の接合パッドからなる単一の列を備えている。これら接合パッド25それぞれは、複数のディスペンス目標位置を備えることができる。図6は、アンビルブロック26に設けられた吸引孔からなる単一の列のみを有する、アンビルブロック26の上面図であり、このアンビルブロック26は、エポキシディスペンスの間に真空吸引によってリードフレーム24を固定するように構成されている。ディスペンスヘッド12、14が、ディスペンスの間、接合パッド25の同じ列におけるディスペンス目標位置上にディスペンスするので、アンビルブロック26にはただ1列の吸引孔28しか必要とされない。
【0021】
図7は、リードフレーム24の上面図を図示しており、このリードフレーム24は、アンビルブロック26の吸引孔28からなる単一の列を通じて提供される真空吸引によって、アンビルブロック26上に保持されている。基板又はリードフレーム24は、X軸に沿って位置合わせされた接合パッド25上のディスペンス目標位置からなる行と、X軸に対して垂直なY軸に沿って位置合わせされた接合パッド25上のディスペンス目標位置からなる列とを有する。リードフレーム24はX軸に沿ってアンビルブロック26に供給され、このアンビルブロックには第一及び第二ディスペンスヘッド12、14が配置されるとともに、リードフレーム24がアンビルブロック26に固定された後に接着剤のディスペンスが実施される。
【0022】
アンビルブロック26は、上述された従来のダイボンダ100において用いられているアンビルブロックよりも比較的短い。何故なら、接合パッド25の複数の列を吸引孔28の複数の列に位置合わせするために、リードフレーム24の列ピッチを考慮に入れる必要がないからである。従来技術と比較してより単純な、ねじを必要としないアンビルブロック26の設計を達成することができる。また、作業台のX方向の軌道が、処理能力に影響することなく縮小される。
【0023】
図8A〜8Iは、リードフレーム24のパターン認識、及び接合パッド25の単一の列に対する接着剤ディスペンスの逐次ステップを図示している、リードフレーム24の上面概略図である。第一ディスペンスヘッド12は、スキャンされる選択された接合パッド25の列に隣接して、待機状態となっている。光学システム18は、リードフレーム24の予備ディスペンスパターン認識を実行する。パターン認識は、光学システム18を用いて、接合パッド25の列の後方から前方へ、作業者に向かう方向へ開始される。図8A及び8Bに示されるように、第二ディスペンスヘッド14は、光学システム18とともに、パターン認識経路に沿って、リードフレーム24の前方へ移動する。
【0024】
図8Cに示されているように、第一ディスペンスヘッド12は、光学システム18がリードフレーム24の中央を観察して通過した後に、リードフレーム24の前記中央に近い接合パッド25を越えて移動する。図8Dに示されているように、第一ディスペンスヘッド12は、リードフレーム24の中央から、接合パッド25のディスペンス目標位置上へエポキシのディスペンスを開始し、光学システム18がリードフレーム24の予備ディスペンスパターン認識を前方へ向かって継続している間、リードフレーム24の後方へ向かってリードフレームの略半分上におけるディスペンスを継続する。図8Eに示されているように、第二ディスペンスヘッド14は、光学システム18が前記接合パッド25の列の予備ディスペンスパターン認識を完了するとすぐに、リードフレーム24の別の半分に備えられている残りの接合パッド25のディスペンス目標位置へのディスペンスを、前方から後方へ向かって開始する。
【0025】
その後、第一ディスペンスヘッド12は、この第一ディスペンスヘッド12がリードフレーム24の後半分でのエポキシディスペンスを完了した後に、図8Fに示されているように接合パッド25の列から離れ、列の中央へ向かって移動して待機位置へ戻る。同時に、第二ディスペンスヘッド14は、接合パッドの列全体がエポキシを受けるまで、接合パッドの中央に向かって接合パッド25の列の残りに対する、エポキシディスペンスを完了する。リードフレーム24は、光学システム18がリードフレーム24の後部へ戻り、パターン認識の別のサイクルの開始を準備する間に、パターン認識とエポキシディスペンスとのために隣接した接合パッドの列を配置するように、対応してインデックス化されている。また、第二ディスペンスヘッド14は、図8H及び図8Iに示されているように、光学システム18とともに、リードフレームの後方へ向かって移動する。第一及び第二ディスペンスヘッド12、14は通常、接合パッド25の次の列での、新しいパターン認識と接着剤ディスペンスとのサイクルのために、図8Aに図示されている位置と同じ位置をとる。
【0026】
図9A〜図9Cは、接合パッド25の複数の列上の複数のディスペンス目標位置に対する接着剤ディスペンスの逐次ステップを図示する、リードフレーム24の上面概略図である。この別の好ましい実施形態においては、第一及び第二ディスペンスヘッド12、14が同時に接着剤をディスペンスする列状セクションは、接合パッド25からなる複数の連続した列を備える。第一又は第二ディスペンスヘッド12、14は、連続した接合パッドからなる複数の列を組み込んでいる接着経路32のパターン認識が完了した後に、図9Aにおける接合パッド25の複数の列の中央の行に沿って、ディスペンス目標位置のいくつかの列を横切るエポキシディスペンスを開始する。
【0027】
また、一旦パターン認識が完了している後方の行からエポキシをディスペンスするために位置決めされた、別のディスペンスヘッドが図9Bに示されている。第一及び第二ディスペンスヘッド12、14は同時に作動する。一方のディスペンスヘッド12はリードフレーム24の略前半において作動し、他方のディスペンスヘッド14はリードフレーム24の略後半において作動する。これらディスペンスヘッドは、図8A〜図8Iに示されたように接合パッドの単一の列上への代わりに、複数の接合パッドの列へ行ごとにエポキシをそれぞれディスペンスしている。繰り返される、パターン認識とエポキシのディスペンスとのシーケンスに続いて、接合パッドの複数の列はディスペンスされたエポキシをより迅速に受け取ることができ、これにより処理能力を著しく向上させることができる。接合パッドの前方行から後方行への、幾つかの連続した列を横切っている、リードフレーム24に対する第一及び第二ディスペンスヘッド12、14の移動経路が、図9Cに示されており、この図9Cはディスペンスの最終結果をも図示している。
【0028】
本発明の好ましい実施形態によるデュアルディスペンスシステムを組み込んでいるダイボンダ10は、処理能力が増加した状態で接着剤のディスペンスを達成することが、理解されるべきである。第一及び第二ディスペンスヘッド12、14を同時に用いた接着剤のディスペンスのための重複した場所は、より短いX軌道経路と、吸引孔28の単一の行と、1つの光学システム18とを必要とする。従って、ただ1つの作業台と、単純且つ短いアンビルブロックの設計を有する縮小された機械設置面積を利用することが可能となる。また、機械の総費用が削減される。
【0029】
本明細書にて説明された発明は、具体的に記載されたもの以外の変形、修正及び/又は追加を許容することができ、且つ本発明は上述の説明の精神及び範囲内に該当するこのような変形、修正及び/又は追加の全てを含むことが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0030】
10 ダイボンダ
12 第一ディスペンスヘッド
14 第二ディスペンスヘッド
16 第1XYZテーブル
17 第2XYZテーブル
18 光学システム
20 第1ノズル
22 第2ノズル
24 リードフレーム
25 接合パッド
26 アンビルブロック
28 吸引孔
32 接着経路
100 ダイボンダ
102 第一ディスペンスヘッド
104 第二ディスペンスヘッド
105 第一ディスペンスノズル
106 吸引孔
107 第二ディスペンスノズル
108 アンビルブロック
110 リードフレーム
112 ギャップ
114 列ピッチ
116 ダイパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上へのダイボンディングを行うために接着剤をディスペンスする方法であって、前記基板は、ディスペンス目標位置が配置されている、第一の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの行と、前記第一の軸に垂直な第二の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの列と、を含み、前記方法は、
第一ノズルを組み込んでいる第一ディスペンスヘッドと、第二ノズルを組み込んでいる第二ディスペンスヘッドと、を設けるステップと、
前記第一ディスペンスヘッド及び前記第二ディスペンスヘッドが配置された位置へ、前記第一の軸に沿って前記基板を供給するステップと、
光学システムを用いて、前記光学システムを前記基板に対して前記第二の軸に沿って移動させることによって、1つ以上の連続した接合パッドの列を備えている基板の列状セクションのパターン認識を行うステップと、その後に
パターン認識が行われた前記基板の同じ前記列状セクションにおける前記ディスペンス目標位置上に、前記第一ノズル及び前記第二ノズルから同時に接着剤をディスペンスするように、前記第一ノズル及び前記第二ノズルを駆動させるステップと、
を備えている方法。
【請求項2】
前記第一ノズル及び前記第二ノズルは、隣接している接合パッドの列上へ接着剤をディスペンスする前に、接合パッドの単一の列上におけるディスペンス目標位置の複数の行上へ、同時に接着剤をディスペンスすることを特徴とする請求項1に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項3】
前記第一ノズル及び前記第二ノズルは、前記第一の軸に沿って移動せず、前記第二の軸に沿ってのみ移動しつつ、前記接合パッドの単一の列上におけるディスペンス目標位置の上へ同時に接着剤をディスペンスすることを特徴とする請求項2に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項4】
前記第一ディスペンスヘッド及び前記第二ディスペンスヘッドは、前記第一ディスペンスヘッド及び前記第二ディスペンスヘッドを前記第一の軸に沿って駆動させるための共通の位置決めテーブルに取り付けられ、前記共通の位置決めテーブルは、前記第一ノズル及び前記第二ノズルが前記第二の軸に沿って駆動して接着剤をディスペンスしている間、前記第一の軸に沿った前記第一ディスペンスヘッドと前記第二ディスペンスヘッドとの間に一定の分離距離を維持することを特徴とする請求項1に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項5】
前記光学システムは位置決めテーブルに取り付けられ、前記位置決めテーブルには前記第一ディスペンスヘッドが取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項6】
前記第一ノズルは、前記基板の面に対して、所定の傾斜角度に傾けられることを特徴とする請求項1に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項7】
前記第二ノズルもまた、前記基板の面に対して、所定の傾斜角度に傾けられることを特徴とする請求項6に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項8】
前記第一ノズル及び前記第二ノズルが同時に接着剤をディスペンスしている間、前記第一ノズルが接着剤をディスペンスするように作動可能なディスペンス領域が、前記第二ノズルが接着剤をディスペンスするように作動可能なディスペンス領域と重複していることを特徴とする請求項1に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項9】
支持表面に、前記支持表面に設けられた吸引孔からなる単一の列を設けることによって、前記接着剤をディスペンスするステップの間、真空吸引によって前記基板を前記支持表面に固定するステップをさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項10】
前記第一ノズル及び前記第二ノズルから、前記接合パッドの列状セクションにおける目標位置上へ同時に接着剤をディスペンスするステップの間に、前記第一ノズルは、複数の連続した接合パッドの行を備える前記列状セクションの略半分に接着剤をディスペンスし、前記第二ノズルは、複数の連続した接合パッドの行を備える前記列状セクションの残部に接着剤をディスペンスすることを特徴とする請求項1に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項11】
前記パターン認識及び接着剤ディスペンスのステップが、
前記光学システムを用いて、前記接合パッドの列状セクションの一端から他端までスキャンすることによりパターン認識を行うステップと、
前記光学システムがパターン認識を完了した前記列状セクションの略半分におけるディスペンス目標位置への接着剤のディスペンスを開始するために、前記第一ノズルを用いるステップと、その後に
前記列状セクション全体のパターン認識が完了した後に、前記第一ノズルからの接着剤を受け入れていない前記列状セクションの残りの前記接合パッドにおけるディスペンス目標位置への接着剤のディスペンスを開始するために、前記第二ノズルを用いるステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項12】
前記接合パッドの列状セクションの略半分におけるディスペンス目標位置へ前記第一ノズルが接着剤をディスペンスした後で、前記列状セクションにおける前記ディスペンス目標位置の残部へのディスペンスが前記第二ノズルによって完了するのを待機する間に、前記第一ノズルを待機位置へ移動させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項13】
基板上へのダイボンディングを行うために接着剤をディスペンスする方法であって、前記基板は、ディスペンス目標位置が配置されている、第一の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの行と前記第一の軸に垂直な第二の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの列とを含み、前記方法が
第一ノズルを組み込んでいる第一ディスペンスヘッドと、第二ノズルを組み込んでいる第二ディスペンスヘッドと、を設けるステップと、
前記第一の軸に沿って、前記第一ディスペンスヘッド及び前記第二ディスペンスヘッドが配置された位置へ前記基板を供給するステップと、
連続した1つ以上のディスペンス目標位置の列を前記接合パッド上に備えている前記基板の第一列状セクション上に、前記第一ノズル及び前記第二ノズルから同時に接着剤をディスペンスするように、前記第一ノズル及び前記第二ノズルを駆動させるステップと、その後に
連続した1つ以上のディスペンス目標位置の列を前記第一列状セクションに隣接した前記接合パッド上に備えている前記基板の第二列状セクション上に、前記第一ノズル及び前記第二ノズルから同時に接着剤をディスペンスするように、前記第一ノズル及び前記第二ノズルを駆動させるステップと、
を備えている方法。
【請求項14】
前記第一ノズル及び前記第二ノズルを用いて前記列状セクション上へ同時に接着剤をディスペンスする前に、光学システムを用いて、前記光学システムを前記第二の軸に沿って前記基板に対して動かすことにより、列状セクションそれぞれのパターン認識を行うステップをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の接着剤をディスペンスする方法。
【請求項15】
ディスペンス目標位置が配置されている、第一の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの行と前記第一の軸に垂直な第二の軸に沿って位置合わせされた接合パッドの列と、を含んでいる基板上にダイボンディングを行うためのダイボンダ用の接着剤ディスペンサーであって、前記接着剤ディスペンサーは
第一ノズルを組み込んでいる第一ディスペンスヘッド及び第二ノズルを組み込んでいる第二ディスペンスヘッドと、
前記第一ディスペンスヘッド及び前記第二ディスペンスヘッドが配置されている位置へ、前記第一の軸に沿って前記基板を供給するためのコンベアと、
連続した1つ以上の接合パッドの列を備えている前記基板の列状セクションのパターン認識を、前記第二の軸に沿った前記光学システム及び前記基板間の相対移動によって行うように作動可能な光学システムと、
を備え、
前記第一ノズル及び前記第二ノズルは、前記光学システムによってパターン認識が行われた前記基板の、同じ前記列状セクションにおける前記ディスペンス目標位置上に、同時に接着剤をディスペンスするように、構成されるとともに作動可能であることを特徴とする接着剤ディスペンサー。
【請求項16】
前記第一ディスペンスヘッド及び前記第二ディスペンスヘッドは共通の位置決めテーブルに取り付けられ、前記共通の位置決めテーブルは、前記第一ディスペンスヘッド及び前記第二ディスペンスヘッドを前記第一の軸に沿って駆動するように作動可能であり、且つ前記共通の位置決めテーブルは、前記ディスペンス目標位置上へ接着剤をディスペンスするために前記第一ノズル及び前記第二ノズルが前記第二の軸に沿って駆動している間に、前記第一の軸に沿った前記第一ディスペンスヘッドと前記第二ディスペンスヘッドとの間に一定の分離距離を維持することを特徴とする請求項15に記載の接着剤ディスペンサー。
【請求項17】
前記光学システムは位置決めテーブルに取り付けられ、前記位置決めテーブルに前記第一ディスペンスヘッドが取り付けられることを特徴とする請求項15に記載の接着剤ディスペンサー。
【請求項18】
支持表面であって、前記支持表面に設けられた吸引孔からなる単一の列を有している支持表面をさらに備え、前記吸引孔からなる単一の列は、接着剤のディスペンスの間、真空吸引によって前記支持表面に前記基板を固定するように作動可能である請求項15に記載の接着剤ディスペンサー。
【請求項19】
前記第一ノズルは、垂直方向に対して所定の角度で傾けられていることを特徴とする請求項15に記載の接着剤ディスペンサー。
【請求項20】
前記第二ノズルは、前記垂直方向に対して所定の角度で傾けられていることを特徴とする請求項19に記載の接着剤ディスペンサー。

【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−104828(P2012−104828A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−243597(P2011−243597)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(500309355)エーエスエム・アセンブリー・オートメーション・リミテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】ASM Assembly Automation Ltd.
【Fターム(参考)】