説明

データ保管システム

【課題】 十分な省エネルギー対策を講じる。
【解決手段】 各ユーザについての識別コード,パスワード,所属グループを登録したユーザ登録テーブル121と、各グループについての利用時間帯を設定したスケジュールテーブル123とを予め設定し、当該設定内容に基づいて、どのグループにどのデータ格納ユニットS001〜S004を割り当てるかを示す割当テーブル122を作成する。ユーザからのアクセスは、アクセス認証部115によって認証され、割当テーブル122によって指定された特定の格納ユニットへのファイルの預け入れが行われ、必要なときには、ファイルの取り出しも行われる。各格納ユニットS001〜S004は、切り替え処理部114によって、割当対象グループについて設定されている利用時間帯には動作モード、それ以外の時間帯には消費電力が小さな待機モードに切り替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ保管システムに関し、特に、複数のユーザからデータファイルを預かり、個々のユーザからの要求に応じて、預かったデータファイルを適宜提供する機能をもったデータ保管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な事業の業務用データから、個人個人の私的データに至るまで、コンピュータで作成したデータファイルを安全に保管しておきたい、という需要は、今後も益々増大するばかりである。このような需要に応えるため、多数のユーザからデータファイルを預かり、保管するサービスも普及し始めている。このようなサービスを提供するためには、預かったデータを決して損なうことなく、また、漏洩することなく、安全に保管することが可能なデータ保管システムが不可欠である。
【0003】
一般的なデータ保管システムでは、データファイルの物理的な格納ユニットとして、ハードディスク装置が利用されている。ところが、ハードディスク装置をはじめとする物理的な格納ユニットには必ず装置の寿命があり、故障による保管データの滅失というリスクを回避することはできない。そのため、通常は、RAIDシステムなどを利用した冗長性をもたせた運用が行われており、これに関連した様々な技術が開発されている。たとえば、下記の特許文献1には、故障発生時には、予備のハードディスク装置にデータを自動的に退避させる機能をもったハードディスク冗長管理装置が開示されている。
【0004】
また、安全なデータ保管システムを実現するためには、セキュリティの確保も重要な要素になる。このセキュリティの確保という面においても、従来から、様々な技術が提案されており、たとえば、下記の特許文献2には、ロック機能付きのハードディスク装置の技術が開示されている。また、下記の特許文献3には、1つのデータファイルを分割し、ネットワークで接続されている複数のハードディスク装置に分散して保管することによりセキュリティを向上させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2007−193711号公報
【特許文献2】特開2007−35136号公報
【特許文献3】国際公開第WO01/046808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、地球温暖化を防止するための二酸化炭素の削減政策、石油資源等の価格高騰による省エネルギー政策などが世界的規模で推進され、電子機器を用いたシステムにおいても、その節電対策が急務となりつつある。このため、パソコンをはじめとする様々な電子機器では、省エネルギー対策が講じられている。たとえば、現在普及している一般的なパソコンには、ユーザが利用していない時間帯に、通常の動作モードよりも消費電力が少ない待機モード(一般に、休止状態、スタンバイ状態、スリープ状態などと呼ばれている)に移行させる機能が備わっており、具体的には、ハードディスク装置の磁気記録ディスクの回転を停止状態にするような措置がとられている。
【0006】
しかしながら、複数のユーザからデータファイルを預かり、個々のユーザからの要求に応じて、預かったデータファイルを適宜提供する機能をもったデータ保管システムの場合、どのユーザがいつアクセスを行い、データファイルの預け入れや取り出しを行うかを予測することができないので、従来の一般的な手法による省エネルギー対策をそのまま適用することは困難である。このため、この種のデータ保管システムでは、十分な省エネルギー対策が講じられていないのが現状である。
【0007】
そこで本発明は、複数のユーザからデータファイルを預かり、個々のユーザからの要求に応じて、預かったデータファイルを適宜提供する機能をもったデータ保管システムにおいて、十分な省エネルギー対策を講じることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明の第1の態様は、ユーザから預かったデータファイルを保管するデータ保管システムを、
ユーザ用コンピュータからのアクセスを受ける管理用コンピュータと、
管理用コンピュータからのアクセスを受ける管理データ格納ユニットと、
管理用コンピュータからのアクセスを受ける複数のユーザデータ格納ユニットと、
によって構成し、
各ユーザデータ格納ユニットは、管理用コンピュータからのアクセスに応じてデータファイルの書き込みおよび読み出しを行うことが可能な動作モードと、動作モードよりも消費電力が少なく、管理用コンピュータからの指示に応じて動作モードへと移行可能な状態を維持する待機モードと、の2通りのモードで動作し、かつ、管理用コンピュータからのモード切り替え指示に基づき、ユニットごとにそれぞれ独立して動作モードと待機モードとの切り替えが可能となるようにし、
管理用コンピュータには、
ユーザ用コンピュータから与えられる登録要求に基づいて、個々のユーザの「認証に必要な情報」および「所属グループ」を登録するユーザ登録テーブルを作成し、このユーザ登録テーブルを管理データ格納ユニットに格納するユーザ登録テーブル作成部と、
ユーザ用コンピュータから与えられる設定要求に基づいて、個々のユーザが所属するグループに特定のユーザデータ格納ユニットを割り当て、個々のグループと、当該グループに割り当てられたユーザデータ格納ユニットと、の対応関係を示す割当テーブルを作成し、この割当テーブルを管理データ格納ユニットに格納する割当テーブル作成部と、
ユーザ用コンピュータから与えられる設定要求に基づいて、個々のユーザが所属するグループと、当該グループに設定された利用時間帯と、の対応関係を示すスケジュールテーブルを作成し、このスケジュールテーブルを管理データ格納ユニットに格納するスケジュールテーブル作成部と、
ユーザ用コンピュータからアクセスがあったときに、ユーザ登録テーブルを参照して、当該アクセスが正規のアクセスであることを認証するアクセス認証部と、
ユーザ用コンピュータからの正規のアクセスにより、保管対象ファイルを預け入れる指示を受けたときに、当該アクセスを行っているユーザが所属するグループを認識し、割当テーブルを参照して、認識したグループに割り当てられているユーザデータ格納ユニットを選択するユニット選択部と、
保管対象ファイルをユニット選択部が選択したユーザデータ格納ユニット内の所定の格納場所に格納し、当該格納場所を管理データ格納ユニット内のファイル格納場所テーブルに記録する預け入れ処理部と、
ユーザ用コンピュータからの正規のアクセスにより、指定ファイルを取り出す指示を受けたときに、ファイル格納場所テーブルを参照して指定ファイルの格納場所を認識し、当該格納場所から指定ファイルを読み出し、これをアクセスのあったユーザ用コンピュータに提供する取り出し処理部と、
各ユーザデータ格納ユニットが、それぞれ割当対象となるグループについて設定された利用時間帯もしくはこの利用時間帯を包含する所定の稼働時間帯に動作モードとなり、それ以外の時間帯に待機モードとなるように、割当テーブルおよびスケジュールテーブルに基づいて、各ユーザデータ格納ユニットに対してモード切り替え指示を与える切り替え処理部と、
を設けるようにしたものである。
【0009】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係るデータ保管システムにおいて、
切り替え処理部が、利用時間帯の始期より所定の余裕時間だけ前の時点から、利用時間帯の終期より所定の余裕時間だけ後の時点までを稼働時間帯に設定し、稼働時間帯の始期に、動作モードへ移行するためのモード切り替え指示を与え、稼働時間帯の終期に、待機モードへ移行するためのモード切り替え指示を与えるようにしたものである。
【0010】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係るデータ保管システムにおいて、
ユーザデータ格納ユニットの一部もしくは全部が、光もしくは磁気記録式のディスクを内蔵し、動作モードではディスクを回転状態に維持し、待機モードではディスクを停止状態に維持する装置によって構成されているようにしたものである。
【0011】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1〜第3の態様に係るデータ保管システムにおいて、
ユーザ登録テーブル作成部が、ユーザ用コンピュータから所定のユーザについての登録要求を入力し、当該所定のユーザについて、ユーザ識別コードと、アクセス用パスワードと、所属グループと、をユーザ登録テーブルに登録する処理を行うようにしたものである。
【0012】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係るデータ保管システムにおいて、
アクセス認証部が、ユーザ用コンピュータからアクセスがあったときに、当該ユーザ用コンピュータから与えられたユーザ識別コードおよびアクセス用パスワードが、ユーザ登録テーブルに登録されているユーザ識別コードおよびアクセス用パスワードに一致した場合に、当該アクセスを正規のアクセスであると認証するようにしたものである。
【0013】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係るデータ保管システムにおいて、
ユニット選択部が、ユーザ登録テーブルを参照することにより、アクセスを行っているユーザが所属するグループを認識するようにしたものである。
【0014】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第3の態様に係るデータ保管システムにおいて、
ユーザ登録テーブル作成部が、ユーザ用コンピュータから所定のユーザについての登録要求を入力し、当該所定のユーザについて、グループ識別子を含むユーザ識別コードと、アクセス用パスワードと、をユーザ登録テーブルに登録する処理を行い、
ユニット選択部が、アクセスを行っているユーザのユーザ識別コードに含まれるグループ識別子に基づいて、当該ユーザが所属するグループを認識するようにしたものである。
【0015】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1〜第7の態様に係るデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、各グループについて、最大利用容量を示す情報を含む設定要求を入力し、個々のグループについて要求された最大利用容量を確保するのに必要な1つもしくは複数のユーザデータ格納ユニットを、当該所定のグループに割り当てる処理を行うようにしたものである。
【0016】
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第8の態様に係るデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、各グループについての最大利用容量を示す情報を割当テーブルに記録し、
ユニット選択部が、所定のグループのユーザからの預け入れ指示に基づいてユーザデータ格納ユニットの選択を行うたびに、当該グループについての保管データの総容量を累積してカウントする機能を有し、新たな預け入れ指示が与えられたときに、当該指示を実行すると累積した総容量が最大利用容量を超える場合には、当該指示を拒絶するようにしたものである。
【0017】
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第8または第9の態様に係るデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、同一のユーザデータ格納ユニットを、その部分部分を構成する所定の割当容量ごとに、複数のグループに割り当てるようにしたものである。
【0018】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第10の態様に係るデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、同一のユーザデータ格納ユニットを複数のグループに割り当てる際に、スケジュールテーブルに設定された利用時間帯を考慮して、利用時間帯の重複期間がより長いグループ同士を優先的に割り当てるようにしたものである。
【0019】
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第10または第11の態様に係るデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、各グループについて、自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可するか否かを示す「共用可」もしくは「共用不可」の情報を含む設定要求を入力し、「共用不可」の情報を含む設定要求が与えられたグループについては、ユーザデータ格納ユニットを排他的に割り当てる処理を行うようにしたものである。
【0020】
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第1〜第12の態様に係るデータ保管システムにおいて、
スケジュールテーブル作成部が、月、日、曜日、平日、休日、もしくは開始時刻〜終了時刻の単位で指定された利用時間帯を含む設定要求を入力してスケジュールテーブルを作成する処理を行うようにしたものである。
【0021】
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第1〜第13の態様に係るデータ保管システムにおいて、
預け入れ処理部および取り出し処理部が、スケジュールテーブルに設定されている利用時間帯以外の時間帯にアクセスを受けたときには、当該アクセスを拒絶するようにしたものである。
【0022】
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第1〜第13の態様に係るデータ保管システムにおいて、
預け入れ処理部および取り出し処理部が、アクセスを受けたときに、処理対象となるユーザデータ格納ユニットが待機モードになっていた場合に、処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、待機モードから動作モードに移行する指示を与えて、ファイルの預け入れもしくは取り出し処理を実行し、処理が完了した後、動作モードへと移行すべき時間になっていない限り、処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、動作モードから待機モードに移行する指示を与えるようにしたものである。
【0023】
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第1〜第13の態様に係るデータ保管システムにおいて、
管理用コンピュータが、ユーザに対して請求する利用料を計上する課金テーブルを作成して管理データ格納ユニットに格納する課金処理部を更に有し、
この課金処理部が、各グループから与えられる設定要求に応じて利用料を算出するようにしたものである。
【0024】
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第16の態様に係るデータ保管システムにおいて、
管理用コンピュータが、各グループから与えられる設定要求として、「最大利用容量」、「利用時間帯」、および自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可するか否かを示す「共用可」もしくは「共用不可」の情報を含む設定要求を受け付ける機能を有し、
課金処理部が、「最大利用容量」が大きければ大きいほど高額となり、「利用時間帯」が長ければ長いほど高額となり、「共用不可」の方が「共用可」よりも高額となるように、利用料の算出を行うようにしたものである。
【0025】
(18) 本発明の第18の態様は、上述の第16または第17の態様に係るデータ保管システムにおいて、
預け入れ処理部および取り出し処理部が、アクセスを受けたときに、処理対象となるユーザデータ格納ユニットが待機モードになっていた場合に、処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、待機モードから動作モードに移行する指示を与えて、ファイルの預け入れもしくは取り出し処理を実行し、処理が完了した後、動作モードへと移行すべき時間になっていない限り、処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、動作モードから待機モードに移行する指示を与える機能を有し、
課金処理部が、利用時間帯以外の時間帯にアクセスを受けたときに、課金テーブルに、時間外付加料金を計上するようにしたものである。
【0026】
(19) 本発明の第19の態様は、上述の第1〜第18の態様に係るデータ保管システムにおいて、
管理用コンピュータが、割当更新部を更に有し、
この割当更新部が、割当テーブルの内容を所定のアルゴリズムに基づいて変更する割当変更処理と、変更後の割当内容に適合するように、ユーザデータ格納ユニット間でファイルを転送するファイル転送処理と、を行うようにしたものである。
【0027】
(20) 本発明の第20の態様は、上述の第19の態様に係るデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、各グループについて、最大利用容量を示す情報を含む設定要求を入力し、当該情報を割当テーブルに記録する処理を行い、
割当更新部が、「記憶容量Xを有する第1のユーザデータ格納ユニットが存在し、第1のユーザデータ格納ユニットについての割当総容量がYであり、第2のユーザデータ格納ユニットが存在し、第2のユーザデータ格納ユニットについての割当総容量がZであり、X−Y≧Zである、という条件が満足される場合に、第2のユーザデータ格納ユニットの代わりに第1のユーザデータ格納ユニットを割り当てなおす」というアルゴリズムに基づいて、割当テーブルの内容を変更するようにしたものである。
【0028】
(21) 本発明の第21の態様は、上述の第20の態様に係るデータ保管システムにおいて、
条件を満足する第2のユーザデータ格納ユニットの候補が複数存在する場合には、スケジュールテーブルに設定された利用時間帯を考慮して、第1のユーザデータ格納ユニットについての利用時間帯と第2のユーザデータ格納ユニットについての利用時間帯との重複期間が最も長くなる候補を選択して、割当内容の変更を行うようにしたものである。
【0029】
(22) 本発明の第22の態様は、上述の第20または第21の態様に係るデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、各グループについて、自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可するか否かを示す「共用可」もしくは「共用不可」の情報を含む設定要求を入力し、当該情報を割当テーブルに記録し、
第1のユーザデータ格納ユニットもしくは第2のユーザデータ格納ユニットが割り当てられているグループの中に、「共用不可」が記録されているグループが存在した場合には、割当内容の変更を行わないようにしたものである。
【0030】
(23) 本発明の第23の態様は、上述の第19の態様に係るデータ保管システムにおいて、
割当更新部が、「導入時から現時点までの期間において、動作モードとなった時間の積算値が所定の限界時間を越した、という条件を満足するユーザデータ格納ユニットが存在する場合に、当該ユーザデータ格納ユニットの代わりに別なユーザデータ格納ユニットを割り当てなおす」というアルゴリズムに基づいて、割当テーブルの内容を変更するようにしたものである。
【0031】
(24) 本発明の第24の態様は、上述の第19〜第23の態様に係るデータ保管システムにおいて、
割当更新部が、2つのユーザデータ格納ユニット間でのファイル転送処理を、当該2つのユーザデータ格納ユニットが待機モードにある時間帯を優先的に選択して実行するようにしたものである。
【0032】
(25) 本発明の第25の態様は、上述の第1〜第24の態様に係るデータ保管システムにおいて、
管理用コンピュータが、バックアップ処理部を更に有し、
このバックアップ処理部が、所定のユーザデータ格納ユニットをバックアップ用ユニットとして選択する選択処理と、管理データ格納ユニットに格納されている一部もしくは全部のデータを、選択されたバックアップ用ユニットにコピーするコピー処理と、を行うようにしたものである。
【0033】
(26) 本発明の第26の態様は、上述の第25の態様に係るデータ保管システムにおいて、
バックアップ処理部が、「割当対象となるグループについて設定されている利用時間帯の合計時間が短いユニット」という条件を、バックアップ用ユニットを選択する一条件として用いた選択処理を行うようにしたものである。
【0034】
(27) 本発明の第27の態様は、上述の第25または第26の態様に係るデータ保管システムにおいて、
バックアップ処理部が、「導入時から現時点までの期間において、動作モードとなった時間の積算値が小さいユニット」という条件を、バックアップ用ユニットを選択する一条件として用いた選択処理を行うようにしたものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係るデータ保管システムは、複数のユーザからデータファイルを預かり、個々のユーザからの要求に応じて、預かったデータファイルを適宜提供する機能を有している。しかも、予めユーザグループごとに利用時間帯の設定を行い、かつ、ユーザグループごとにデータファイルを格納するユーザデータ格納ユニットを割当てておくようにしたため、個々のユーザデータ格納ユニットごとに、設定された利用時間帯に応じた時間帯だけ動作モードにしておき、それ以外の時間帯を待機モードにしておくことができるようになる。このため、十分な省エネルギー対策を講じることが可能になる。また、ハードディスク装置などをユーザデータ格納ユニットとして利用した場合、待機モードでは、磁気記録ディスクなどの回転を停止させておくことができるので、装置自体の寿命を延ばすメリットも得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0037】
<<< §1.本発明の基本的概念 >>>
図1は、本発明に係るデータ保管システム100の具体的な運用形態の一例を示すブロック図である。図の中段部分に一点鎖線で囲って示す部分が、このデータ保管システム100の構成要素である。このシステムは、ユーザから預かったデータファイルを保管するためのシステムであり、図示のとおり、管理用コンピュータ110,管理データ格納ユニット120,そして複数のユーザデータ格納ユニット130(破線で囲って示すユーザデータ格納ユニットの群)によって構成されている。
【0038】
管理用コンピュータ110は、サーバ用コンピュータによって構成されており、後述するように、ネットワークを介して接続された個々のユーザ用コンピュータ11〜16(クライアントコンピュータ)からのアクセスを受ける。一方、管理データ格納ユニット120およびユーザデータ格納ユニット130は、いずれも管理用コンピュータ110からのアクセスを受ける記憶装置であり、具体的には、ここに示す実施形態の場合、ハードディスクドライブ装置によって構成されている。ただ、管理データ格納ユニット120には、後述する管理データが格納されるのに対して、ユーザデータ格納ユニット130には、個々のユーザから預かったデータファイルが格納されることになる。
【0039】
本発明に係るシステムでは、複数のユーザデータ格納ユニットを用いることが前提となる。図1の例では、破線で囲って示したユーザデータ格納ユニット130は、4台のユニットから構成されている。ここで重要な点は、各ユーザデータ格納ユニットは、管理用コンピュータ110からのアクセスに応じてデータファイルの書き込みおよび読み出しを行うことが可能な動作モードと、この動作モードよりも消費電力が少なく、管理用コンピュータ110からの指示に応じて動作モードへと移行可能な状態を維持する待機モードと、の2通りのモードで動作し、かつ、管理用コンピュータ110からのモード切り替え指示に基づき、ユニットごとにそれぞれ独立して動作モードと待機モードとの切り替えが可能な点である。
【0040】
たとえば、一般的なハードディスクドライブ装置は、磁気記録式のディスクを内蔵しており、この磁気記録式のディスクを回転させながら、磁気記録ヘッドを所定位置へ移動させ、データの書き込みや読み出しを行うことになる。光記録式のディスクを内蔵する情報記録装置の場合は、光ディスクを回転させながら、光記録ヘッドを所定位置へ移動させ、データの書き込みや読み出しを行うことになる。いずれの場合も、ディスクを高速回転させるために、かなりの電力供給が必要になる。したがって、最近のコンピュータには、接続されているディスク内蔵型の記憶装置に対して、アクセスが不要なときには、ディスクの回転を停止させて電力消費を節約する工夫が施されているものも少なくない。
【0041】
一般に、ユーザデータ格納ユニットとして、光もしくは磁気記録式のディスクを内蔵した記憶装置を用いた場合、動作モードでは内蔵ディスクを回転状態に維持させ、待機モードでは内蔵ディスクを停止状態に維持させる制御を行うことが可能である。もちろん、管理用コンピュータ110からのアクセスに応じて、データファイルの書き込みもしくは読み出しを行うためには、内蔵ディスクを回転させる必要があるので、待機モード中にアクセスがあると、まず、待機モードから動作モードへと移行させ、内蔵ディスクが安定して回転する状態になるまで待ち、その後で、書き込みや読み出しの作業を行うことになる。
【0042】
結局、動作モードには、即座にデータファイルの書き込みもしくは読み出し作業が可能になるため、応答性が高いという利点があるものの、消費電力が大きいという欠点がある。逆に、待機モードには、即座にデータファイルの書き込みもしくは読み出し作業を行うことができないため、応答性が低いという欠点があるものの、消費電力が小さいという利点がある。したがって、パソコンなど、個々のユーザが利用するコンピュータに専用のハードディスク装置の場合、当該ユーザの利用形態に応じて、動作モードにしたり、待機モードにしたり、ユーザ自身が適宜切り替えられるようにしておけば十分である。
【0043】
しかしながら、図1に示すシステムのように、多数のユーザからデータファイルを預かり、個々のユーザからの要求に応じて、預かったデータファイルを適宜提供する機能をもったデータ保管システム100の場合、ユーザデータ格納ユニット130を動作モードにするか待機モードにするかを、何らかの合理的な判断プロセスに委ねて決定する必要がある。特に、このデータ保管システム100を用いて、顧客からのデータファイルを有償にて預かるような事業を展開する場合、データファイルの出し入れについての応答性の低下は、顧客に対するサービスの低下に直結することになるので、ユーザデータ格納ユニット130を待機モードにする運用には躊躇せざるを得ないのが実情である。このような事情から、有償によるデータ保管事業に利用される従来のデータ保管システムでは、十分な省エネルギー対策が講じられていなかった。
【0044】
本発明の特徴は、このようなデータ保管システム100において、ユーザデータ格納ユニット130を動作モードにするか待機モードにするかについての合理的な判断プロセスを導入することにより、十分な省エネルギー対策が講じられるようにしたものである。その基本的な方針は、個々のユーザをそれぞれグループに分類し、各グループごとに特定のユーザデータ格納ユニットを割り当てるようにし、かつ、各グループごとにそれぞれ希望する利用時間帯を予め設定させ、個々のユーザデータ格納ユニットを、その割当対象となるグループについて設定された利用時間帯には動作モードとし、それ以外の時間帯には待機モードとする、というものである。
【0045】
このような基本方針に基づいて、個々のユーザデータ格納ユニットのモード切り替えを行うようにすれば、ユーザが利用する予定のない時間帯には待機モードにして省エネルギーを実現することが可能になる。また、各ユーザが利用時間帯にデータファイルの出し入れを行う限りは、当該ユーザが利用するユーザデータ格納ユニットは動作モードとなっているため、十分な応答性を確保することができる。
【0046】
図1には、グループAに所属する3名のユーザA1,A2,A3が、それぞれユーザ用コンピュータ11,12,13を用いて管理用コンピュータ110にアクセスし、グループBに所属する2名のユーザB1,B2が、それぞれユーザ用コンピュータ14,15を用いて管理用コンピュータ110にアクセスし、グループCに所属する1名のユーザC1が、ユーザ用コンピュータ16を用いて管理用コンピュータ110にアクセスする例が示されている。もちろん、実用上は、より多数のユーザ、より多数のグループに対して、このデータ保管システム100を用いたデータ保管事業を運営することが可能であるが、以下、この図1に示す単純な例について、当該システムの構成および動作を説明する。
【0047】
<<< §2.本発明に係るデータ保管システムの構成および動作 >>>
図2は、図1に示すデータ保管システム100の基本的な構成例を示すブロック図である。前述したとおり、このシステム100は、管理用コンピュータ110,管理データ格納ユニット120,複数のユーザデータ格納ユニット130によって構成されており、図2に示すブロック110,120,130は、図1に示すブロック110,120,130に対応するものである。なお、図2に示すユーザ用コンピュータ10は、図1に示すユーザ用コンピュータ11〜16のいずれかに対応するものである。
【0048】
管理用コンピュータ110には、図示のとおり、ユーザ登録テーブル作成部111,割当テーブル作成部112,スケジュールテーブル作成部113,切り替え処理部114,アクセス認証部115,ユニット選択部116,預け入れ処理部117,取り出し処理部118が設けられている。もっとも、実用上は、この管理用コンピュータ110は、ネットワークを介してユーザ用コンピュータ10からのアクセスを受けるサーバコンピュータによって構成されており、上記各構成要素は、いずれもこのサーバコンピュータに専用のプログラムを組み込むことにより実現できる。
【0049】
一方、管理データ格納ユニット120は、管理用コンピュータ110によって作成された様々な管理データを格納する機能を有する。具体的には、図2に示されているように、ユーザ登録テーブル121,割当テーブル122,スケジュールテーブル123,ファイル格納場所テーブル124が、管理データとして格納されている。ここで、ユーザ登録テーブル121は、ユーザ登録テーブル作成部111によって作成されたテーブルであり、割当テーブル122は、割当テーブル作成部112によって作成されたテーブルであり、スケジュールテーブル123は、スケジュールテーブル作成部113によって作成されたテーブルであり、ファイル格納場所テーブル124は、預け入れ処理部117によって作成されたテーブルである。なお、図では管理データ格納ユニット120を単一のブロックとして示しているが、実用上は、必要に応じて、この管理データ格納ユニット120を複数台の記憶装置の集合体によって構成してもかまわない。もちろん、これら複数台の記憶装置は、ネットワークを介して分散配置されているものであってもよい。
【0050】
また、ユーザデータ格納ユニット130は、§1で述べたとおり、実際には、4台の独立したユニット(たとえば、ハードディスクドライブ装置)から構成されており、管理用コンピュータ110からのモード切り替え指示に基づき、ユニットごとにそれぞれ独立して動作モードと待機モードとの切り替えが可能である。ここでは、説明の便宜上、この4台のユーザデータ格納ユニットを、S001,S002,S003,S004と呼ぶことにする。
【0051】
ユーザ登録テーブル作成部111は、ユーザ用コンピュータ10から与えられる登録要求に基づいて、個々のユーザの「認証に必要な情報」および「所属グループ」を登録するためのユーザ登録テーブル121を作成し、このユーザ登録テーブル121を管理データ格納ユニット120に格納する処理を行う構成要素である。
【0052】
図示されているユーザ登録テーブル121では、個々のユーザの「認証に必要な情報」として、ユーザ識別コードおよびアクセス用パスワードが登録されている。この図2に例示されているユーザ識別コードU(A1),U(A2),U(A3)等は、図1に「ID」と記された各ユーザごとに付与されたコードである。なお、本願の図では、各ユーザのアクセス用パスワードを、便宜上「XXXXXX」と記載しているが、実際には、それぞれユーザごとに固有のパスワードが設定されている。
【0053】
割当テーブル作成部112は、ユーザ用コンピュータ10から与えられる設定要求に基づいて、個々のユーザが所属するグループに特定のユーザデータ格納ユニットを割り当て、個々のグループと、当該グループに割り当てられたユーザデータ格納ユニットと、の対応関係を示す割当テーブル122を作成し、この割当テーブル122を管理データ格納ユニット120に格納する処理を行う構成要素である。
【0054】
たとえば、図示の割当テーブル122によれば、グループAに対してユニットS001が割り当てられ、グループBに対してユニットS002,S003が割り当てられ、グループCに対してユニットS004が割り当てられている。これは、グループAに所属するユーザから預かったデータファイルはユニットS001に保存され、グループBに所属するユーザから預かったデータファイルはユニットS002もしくはS003に保存され、グループCに所属するユーザから預かったデータファイルはユニットS004に保存されることを示している。割当テーブル作成部112による割り当て処理の詳細は、§3で述べることにする。
【0055】
スケジュールテーブル作成部113は、ユーザ用コンピュータ10から与えられる設定要求に基づいて、個々のユーザが所属するグループと、当該グループに設定された利用時間帯と、の対応関係を示すスケジュールテーブル123を作成し、このスケジュールテーブル123を管理データ格納ユニット120に格納する処理を行う構成要素である。
【0056】
図示の例では、グループAについて「毎月5日,15日,25日」なる利用時間帯が設定され、グループBについて「平日23:00〜23:30」なる利用時間帯が設定され、グループCについて「土曜,日曜,休日」なる利用時間帯が設定されている。後述するように、このような利用時間帯の設定は、各グループの管理者からの設定要求に基づいて行われる。これらの利用時間帯は、各グループについて、それぞれ自己申告された時間帯であり、このデータ保管システムを利用して、データファイルの預け入れや取り出しを行う予定となる時間帯を示している。原則として、各ユーザは、自分が所属するグループについて設定された利用時間帯に、データファイルの預け入れや取り出しを行うことが前提となる(利用時間帯以外の利用については後述する)。
【0057】
切り替え処理部114は、「十分な省エネルギー対策を講じる」という本発明の目的を達成するための中枢をなす構成要素であり、各ユーザデータ格納ユニットS001〜S004に対して、動作モードから待機モードへの切り替え指示および待機モードから動作モードへの切り替え指示を与える機能を果たす。ユーザデータ格納ユニットS001〜S004は、これらの指示に基づいて、それぞれ別個独立して指定されたモードへ移行する。
【0058】
ここで、切り替え処理部114は、割当テーブル122およびスケジュールテーブル123を参照することにより、ユーザデータ格納ユニットS001〜S004が、それぞれ割当対象となるグループについて設定された利用時間帯に動作モードとなり、それ以外の時間帯に待機モードとなるように、切り替え指示を与える処理を行うことになる。
【0059】
たとえば、図示の例の場合、ユーザデータ格納ユニットS001についての切り替え指示は、次のような処理に基づいてなされる。まず、割当テーブル122を参照すると、ユニットS001の割当対象となるグループはグループAであることが認識できる。そこで、スケジュールテーブル123を用いてグループAの利用時間帯を参照すると、「毎月5日,15日,25日」であることが認識できる。したがって、切り替え処理部114は、ユニットS001に対して、「毎月5日,15日,25日」は動作モードとなり、それ以外の時間帯は待機モードとなるように、切り替え指示を与える処理を行う。
【0060】
具体的には、毎月5日の午前0時に、動作モードへ移行する旨の切り替え指示を与え、毎月6日の午前0時に、待機モードへ移行する旨の切り替え指示を与え、毎月15日の午前0時に、動作モードへ移行する旨の切り替え指示を与え、毎月16日の午前0時に、待機モードへ移行する旨の切り替え指示を与え、毎月25日の午前0時に、動作モードへ移行する旨の切り替え指示を与え、毎月26日の午前0時に、待機モードへ移行する旨の切り替え指示を与える、という具合である。
【0061】
同様に、ユーザデータ格納ユニットS002およびS003についての切り替え指示は、次のような処理に基づいてなされる。まず、割当テーブル122を参照すると、ユニットS002,S003の割当対象となるグループはグループBであることが認識できる。そこで、スケジュールテーブル123を用いてグループBの利用時間帯を参照すると、「平日23:00〜23:30」であることが認識できる。したがって、切り替え処理部114は、ユニットS002およびS003に対して、「平日23:00〜23:30」は動作モードとなり、それ以外の時間帯は待機モードとなるように、切り替え指示を与える処理を行う。具体的には、平日の23:00に動作モードへ移行する旨の切り替え指示を与え、平日の23:30に待機モードへ移行する旨の切り替え指示を与えることになる。土曜、日曜、休日は、終日、待機モードのままとなる。
【0062】
また、ユーザデータ格納ユニットS004についての切り替え指示は、次のような処理に基づいてなされる。まず、割当テーブル122を参照すると、ユニットS004の割当対象となるグループはグループCであることが認識できる。そこで、スケジュールテーブル123を用いてグループCの利用時間帯を参照すると、「土曜,日曜,休日」であることが認識できる。したがって、切り替え処理部114は、ユニットS004に対して、「土曜,日曜,休日」は動作モードとなり、それ以外の時間帯は待機モードとなるように、切り替え指示を与える処理を行う。具体的には、休日が連続しない週末の場合であれば、土曜の午前0時に、動作モードへ移行する旨の切り替え指示を与え、月曜の午前0時に、待機モードへ移行する旨の切り替え指示を与えるようにすればよい。
【0063】
このように、切り替え処理部114の働きにより、ユーザデータ格納ユニットS001〜S004は、割当対象となるグループについて設定された利用時間帯以外は待機モードとなるので、「省エネルギー対策を講じる」という本発明の目的が達成されることになる。
【0064】
続いて、アクセス認証部115の機能を説明する。このアクセス認証部115は、ユーザ用コンピュータ10からアクセスがあったときに、ユーザ登録テーブル121を参照して、当該アクセスが正規のアクセスであることを認証する機能を果たす。ここに示す例の場合、ユーザ用コンピュータ10は、管理用コンピュータ110に対するアクセスを行う際に、ユーザ識別コードとアクセス用パスワードとを入力することが要求される。アクセス認証部115は、ユーザ用コンピュータ10からアクセスがあったときに、当該ユーザ用コンピュータ10から与えられたユーザ識別コードおよびアクセス用パスワードが、ユーザ登録テーブル121に登録されているユーザ識別コードおよびアクセス用パスワードに一致した場合に、当該アクセスを正規のアクセスであると認証する。
【0065】
ここで、アクセス認証部115によって、正規のアクセスであると認証された場合には、データファイルの預け入れもしくは取り出しが可能になる。正規のアクセスであるとの認証がなされなかった場合には、所定のエラーメッセージがユーザ用コンピュータ10に返されることになる。
【0066】
ユーザ用コンピュータ10から、保管対象ファイルの預け入れを要求する正規のアクセスがあった場合、当該要求は、まず、ユニット選択部116に与えらる。ユニット選択部116は、こうしてユーザ用コンピュータ10からの正規のアクセスにより、保管対象ファイルを預け入れる指示を受けたときに、当該アクセスを行っているユーザが所属するグループを認識し、割当テーブル122を参照して、認識したグループに割り当てられているユーザデータ格納ユニットを選択する処理を行う。
【0067】
一方、預け入れ処理部117は、当該保管対象ファイルを、ユニット選択部116が選択したユーザデータ格納ユニット内の所定の格納場所に格納し、当該格納場所を管理データ格納ユニット120内のファイル格納場所テーブル124に記録する処理を行う。
【0068】
たとえば、図1に示すユーザA1が、所定のデータファイル「aaa101」を保管対象ファイルとして、預け入れを要求するアクセスを行った場合を考える。この場合、まず、アクセス認証部115には、ユーザA1のユーザ識別コード「U(A1)」とアクセス用パスワード「XXXXXX」とが与えられる。アクセス認証部115は、ユーザ登録テーブル121を参照して、ユーザ識別コード「U(A1)」とアクセス用パスワード「XXXXXX」の一致を確認して、当該アクセスを正規のアクセスと認証する。そして、当該預け入れ要求は、ユニット選択部116へと引き渡される。ユニット選択部116は、ユーザ登録テーブル121を参照して、ユーザ識別コード「U(A1)」をもつユーザが「グループA」に所属していることを認識し、割当テーブル122を参照して、認識した「グループA」に割り当てられているユーザデータ格納ユニット「S001」を選択する処理を行う。かくして、預け入れ処理部117は、当該保管対象ファイル「aaa101」を、ユニット選択部116が選択したユニット「S001」内の所定の格納場所に格納し、当該格納場所を管理データ格納ユニット120内のファイル格納場所テーブル124に記録する処理を行う。
【0069】
図2に示すファイル格納場所テーブル124の1行目のデータは、このような処理によって記録されたデータであり、保管対象ファイル「aaa101」の格納場所が、「S001/P01/T13/S43」であることを示している。ここで、「S001」は、ユーザデータ格納ユニット「S001」を示すコードであり、「P01」は、このユニットS001を構成するハードディスクドライブ装置のプラッタ番号、「T13」はトラック番号、「S43」はセクター番号である。結局、保管対象ファイル「aaa101」は、ユニット「S001」内のプラッタ「P01」内のトラック「T13」内のセクター「S43」に格納されたことになる(実際には、より複雑な形式でファイル格納場所が示されるが、ここでは便宜上、図示のような単純な例を示す。)。
【0070】
なお、特定の保管対象ファイル「aaa101」を、選択されたユーザデータ格納ユニットS001内の空いている所定の格納場所を見つけて格納する処理や、当該格納場所を示すデータをファイル格納場所テーブル124に記録する処理は、一般的なハードディスクドライブ装置に対するデータファイルの格納処理として公知の技術であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
【0071】
また、図2に示す例において、グループBに所属するユーザが預け入れ要求を行った場合、ユニット選択部116によって、「グループB」に割り当てられているユーザデータ格納ユニットとして、「S002」,「S003」の2つが選択されることになるが、この場合も、預け入れ処理部117は、保管対象ファイルを、ユニットS002もしくはS003の中の所定の格納場所を見つけて格納する処理を行えばよい(たとえば、まずユニットS002内の割当領域を探し、保管対象ファイルを格納するのに十分な格納場所が見つからなければ、ユニットS003内の割当領域を探す処理を行えばよい)。
【0072】
図2に示すファイル格納場所テーブル124は、こうした預け入れ処理117による処理によって作成されたものである。具体的には、ファイル「aaa101」,「aaa102」,「aaa103」は、ユーザA1による預け入れ要求によって格納されたファイルであり、ファイル「aaa204」,「aaa205」は、ユーザA2による預け入れ要求によって格納されたファイルであり、ファイル「aaa306」は、ユーザA3による預け入れ要求によって格納されたファイルである。これらのファイルは、いずれもグループAに所属するユーザからの要求で格納されたファイルであるため、格納場所はユニットS001となっている。これに対して、グループBに所属するユーザB1からの要求で格納されたファイル「bbb407」およびユーザB2からの要求で格納されたファイル「bbb508」の格納場所はユニットS002となっており、グループCに所属するユーザC1からの要求で格納されたファイル「ccc609」の格納場所はユニットS004となっている。これは、ユニット選択部116が、図示の割当テーブル122に基づく選択を行ったためである。
【0073】
一方、ユーザ用コンピュータ10からのアクセスが正規のアクセスであり、当該アクセスが保管対象ファイルの取り出しを要求するアクセスであった場合、当該要求は、取り出し処理部118によって処理される。すなわち、取り出し処理部118は、ユーザ用コンピュータ10からの正規のアクセスにより、特定のファイルを指定して、当該指定ファイルを取り出す指示を受けたときに、ファイル格納場所テーブル124を参照して指定ファイルの格納場所を認識し、当該格納場所から指定ファイルを読み出し、これをアクセスのあったユーザ用コンピュータ10に提供する処理を行う。
【0074】
たとえば、ユーザA1から、ファイル「aaa101」を指定した取り出し要求があった場合、取り出し処理部118は、ファイル格納場所テーブル124を参照することにより、指定ファイル「aaa101」の格納場所が「S001/P01/T13/S43」であることを認識し、ユニット「S001」内のプラッタ「P01」内のトラック「T13」内のセクター「S43」に格納されている指定ファイル「aaa101」を読み出し、これをユーザ用コンピュータ10に提供する。
【0075】
ユーザが、預け入れ要求や取り出し要求のアクセスを行う時間帯が、所属グループの利用時間帯である限り、預け入れ処理部117や取り出し処理部118の処理対象となるユーザデータ格納ユニットは、常に動作モードに切り替えられている状態なので、当該ユニットに対する書き込みや読み出し作業は即座に行うことができる。したがって、ユーザが所属グループの利用時間帯に利用する限りにおいて、応答性が低下する問題は生じない。
【0076】
なお、実用上は、預け入れを行ったデータファイルのうち、不要になったデータファイルについては、必要に応じて消去できるようにしておくのが好ましい。この場合、管理用コンピュータ110内に、更に、消去処理部を設けておくようにし、ユーザから消去要求を受けたデータファイルについては、ファイル格納場所テーブル124内の記録を削除し、ユーザデータ格納ユニット内の当該消去要求ファイルの格納場所であった領域を解放する取り扱いを行うようにすればよい。このようなデータファイルの消去処理も、公知の技術であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
【0077】
<<< §3.本発明に係るデータ保管システムの具体的な運用手順 >>>
続いて、図2に示すデータ保管システムの具体的な運用手順を述べておく。このシステムを用いて、実際にデータ保管事業を行う場合、まず、グループ単位で利用者を募ってユーザ登録テーブルの作成を行い、グループごとにスケジュールテーブルの設定を行い、グループごとに割当テーブルの設定を行い、これらの準備が整った後、各ユーザデータ格納ユニットに対するモードの切り替えと、各ユーザからの要求に応じたデータファイルの出し入れを行うことになる。以下、これらの手順を具体的な事例に基づいて順に説明する。
【0078】
(1)ユーザ登録テーブルの作成
既に述べたとおり、図2に示すユーザ登録テーブル作成部111は、ユーザ用コンピュータ10から所定のユーザについての登録要求を入力し、当該所定のユーザについて、ユーザ識別コードと、アクセス用パスワードと、所属グループと、をユーザ登録テーブル121に登録する処理を行う。
【0079】
ここに示す実施形態では、個々のグループにそれぞれ管理者を設定しておき、この管理者からの登録要求に基づいてユーザ登録を行うようにしている。もちろん、管理者も自分自身を1ユーザとして登録しておくことにより、このシステムに対してデータファイルの出し入れが可能になる。ここでは、説明の便宜上、図1に示す例において、ユーザA1がグループAの管理者、ユーザB1がグループBの管理者、ユーザC1がグループCの管理者であるものとしよう。
【0080】
なお、図2には示されていないが、実用上は、このような管理者に関する情報を管理するための管理者登録テーブルを別途設けておき、管理データ格納ユニット120内に格納しておくのが好ましい。この管理者登録テーブルには、各管理者の管理者識別コード、アクセス用パスワード、グループが登録されることになる。この管理者登録テーブルに登録すべき事項は、たとえば、各管理者から提出を受ける利用申込書に記載してもらい、このシステムの運営会社のスタッフが、管理データ格納ユニット120に対して手作業で入力すればよい。
【0081】
図2において、ユーザ用コンピュータ10と管理用コンピュータ110との間には、2本の矢印が描かれているが、左側の矢印は、管理者としてのアクセス経路を示しており、右側の矢印は一般ユーザとしてのアクセス経路を示している。管理者としてのアクセス経路(左側の矢印)では、図に破線で囲った構成要素、すなわち、各テーブル作成部111,112,113に対してアクセスが可能であり、当該アクセスは、登録要求もしくは設定要求を行うためのアクセスになる。これに対して、一般ユーザとしてのアクセス経路(右側の矢印)は、アクセス認証部115を経由して、データファイルの預け入れ要求もしくは取り出し要求を行うためのアクセスになる。なお、管理者としてのアクセスがあった場合には、前述した管理者登録テーブルを参照して、管理者識別コードおよびパスワードの認証が行われる(当該認証を行うための管理者用アクセス認証部は、図2では図示を省略している)。
【0082】
図3は、図2に示すデータ保管システム100に対して、各ユーザグループの管理者から与えられた登録要求の一例を示す図である。ユーザ登録テーブル作成部111は、このような登録要求に基づき、ユーザ登録テーブル121を作成する。図3(a) は、グループAの管理者(ユーザA1)から与えられた登録要求の一例であり、グループAに所属する3名のユーザA1(管理者自身),A2,A3についてのユーザ識別コードとアクセス用パスワードを示す情報を含んでいる。ユーザ登録テーブル作成部111は、このような登録要求に基づいて、図2に示すユーザ登録テーブル121の1行目〜3行目までを構成するテーブルを作成し、これを管理データ格納部120内に格納する。
【0083】
同様に、図3(b) は、グループBの管理者(ユーザB1)から与えられた登録要求の一例であり、グループBに所属する2名のユーザB1(管理者自身),B2についてのユーザ識別コードとアクセス用パスワードを示す情報を含んでいる。ユーザ登録テーブル作成部111は、このような登録要求に基づいて、図2に示すユーザ登録テーブル121の4行目〜5行目までを構成するテーブルを作成し、これを管理データ格納部120内に格納する(既存の1行目〜3行目のテーブルに、4行目〜5行目のテーブルを付加する)。
【0084】
更に、図3(c) は、グループCの管理者(ユーザC1)から与えられた登録要求の一例であり、グループCに所属する1名のユーザC1(管理者自身)についてのユーザ識別コードとアクセス用パスワードを示す情報を含んでいる。ユーザ登録テーブル作成部111は、このような登録要求に基づいて、図2に示すユーザ登録テーブル121の6行目を構成するテーブルを作成し、これを管理データ格納部120内に格納する(既存の1行目〜5行目のテーブルに、6行目のテーブルを付加する)。
【0085】
なお、このグループCの例のように、本発明における「グループ」は、所属するユーザが1名であってもかまわない。本発明に係るデータ保管システムを用いてデータ保管サービスの事業を展開する場合、顧客としては、法人ユーザもあれば、個人ユーザもあろう。通常、法人ユーザであれば、当該法人の従業者全体をメンバーとしたグループ登録や、事業所単位でのグループ登録が行われるので、1グループが複数のユーザで構成されるのが一般的である。これに対して、個人ユーザの場合、グループCの例のように、1ユーザによって1グループが構成されるケースも少なくないであろう。もちろん、家族単位でグループ登録を行えば、数名のユーザによって1グループが構成されることになろう。
【0086】
図2に示すユーザ登録テーブル121は、このようにしてユーザ登録テーブル作成部111によって登録されたテーブルである。ここで、識別コードおよびパスワードの欄の情報は、図3に示す各登録要求に含まれていた情報であり、グループの欄の情報は、各登録要求を行った管理者が所属するグループを示す情報である。もちろん、各グループの管理者は、適宜、新メンバーを追加する登録要求を与えることができ、ユーザ登録テーブル121はその都度更新されることになる。また、必要に応じて、既登録メンバーの削除を求める登録要求を与えることも可能であり、その場合、削除指示を受けたメンバーに該当する行の情報は、ユーザ登録テーブル121から抹消される。
【0087】
こうして登録されたユーザ登録テーブル121内の情報は、前述したとおり、アクセス認証部115による認証に利用されるとともに、ユニット選択部116によるグループ認識に利用される。すなわち、ユニット選択部116が、ユーザ登録テーブル121を参照することにより、アクセスを行っているユーザが所属するグループを認識することができる。たとえば、ユーザ識別コードU(B1)によるアクセスがあった場合、ユーザ登録テーブル121を参照することにより、当該アクセスが、グループBに所属するユーザからのアクセスであることが認識できる。
【0088】
なお、図2に示すユーザ登録テーブル121には、識別コード欄、パスワード欄、グループ欄の3つの欄が設けられているが、ユーザ識別コード自体から当該ユーザが所属するグループを認識することができるのであれば、グループ欄は必ずしも設ける必要はない。たとえば、ユーザ登録テーブル作成部111が、ユーザ用コンピュータ10から所定のユーザについての登録要求を入力し、当該所定のユーザについて、グループ識別子を含むユーザ識別コードと、アクセス用パスワードと、をユーザ登録テーブル121に登録する処理を行うようにすれば、ユニット選択部116は、アクセスを行っているユーザのユーザ識別コードに含まれるグループ識別子に基づいて、当該ユーザが所属するグループを認識することができるので、ユーザ登録テーブル121に、グループ欄を設ける必要はない。
【0089】
具体的には、たとえば、ユーザA1についてのユーザ識別コード「U(A1)」の中の記号「A」を当該ユーザのグループ識別子として利用できるのであれば、ユーザ識別コード「U(A1)」はグループ識別子「A」を含んでいるので、ユーザ識別コード「U(A1)」自体から、当該ユーザがグループ「A」に所属することを把握することができる。同様に、ユーザ識別コード「U(B2)」をもつユーザの所属はグループ「B」であり、ユーザ識別コード「U(C1)」をもつユーザの所属はグループ「C」であることが把握できるので、図2に示すユーザ登録テーブル121において、グループ欄は設けなくても支障はない。
【0090】
(2)スケジュールテーブルの設定
続いて、スケジュールテーブル作成部113の機能を具体的事例に即して説明する。このスケジュールテーブル作成部113は、特定のグループの管理者が操作するユーザ用コンピュータ10から与えられる設定要求に基づいて、当該グループと、当該グループについて設定された利用時間帯と、の対応関係を示すスケジュールテーブル123を作成し、このスケジュールテーブル123を管理データ格納ユニット120に格納する機能を果たす。
【0091】
図4は、図2に示す割当テーブル作成部112およびスケジュールテーブル作成部113に対して、各ユーザグループの管理者から与えられた設定要求の一例を示す図である。スケジュールテーブル作成部113は、このような設定要求に含まれている利用時間帯の情報に基づき、スケジュールテーブル123を作成する。たとえば、図4(a) は、グループAの管理者(ユーザA1)から与えられた設定要求の一例である。
【0092】
この設定要求は、グループAがデータ保管システムを利用するにあたっての諸条件の設定を求めるものであり、最大利用容量、利用時間帯、共用可否という3つの条件に関する情報が含まれている。最大利用容量は、グループAに所属するユーザが預け入れに利用できる最大のデータ容量を示すものであり、図示の例では、1500GBという容量値が示されている。したがって、ここに示す例の場合、3人のユーザA1,A2,A3によって預け入れるデータファイルの総容量は、最大で1500GBということになる。この最大利用容量の情報は、後述するように、割当テーブルを作成する際に参照される。
【0093】
一方、利用時間帯は、グループAに所属するユーザが、データファイルの預け入れもしくは取り出しを行う時間帯を示すものであり、図示の例では、毎月5日,15日,25日という時間帯が指定されている。これは、毎月、5日の0時〜24時、15日の0時〜24時、25日の0時〜24時という時間帯を示すものであり、グループAに所属する3人のユーザA1,A2,A3は、原則として、これらの時間帯にこのデータ保管システムを利用することになる。
【0094】
また、共用可否の情報は、自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可するか否かを示す情報である。「共用可」の設定が行われているグループに対しては、他のグループと同一のユーザデータ格納ユニットが割り当てられる可能性があるのに対して、「共用不可」の設定が行われているグループに対しては、他のグループと同一のユーザデータ格納ユニットが割り当てられることはない。図4(a) に示す例の場合、グループAは「共用可」の設定要求を出しているので、グループAについては、他のグループと同一のユーザデータ格納ユニットが割り当てられる可能性がある。この共用可否に応じたユニット割当については、§4で詳述する。
【0095】
同様に、図4(b) は、グループBの管理者(ユーザB1)から与えられた設定要求であり、最大利用容量「3000GB」、利用時間帯「平日23:00〜23:30」、「共用不可」なる条件設定がなされている。また、図4(c) は、グループCの管理者(ユーザC1)から与えられた設定要求であり、最大利用容量「600GB」、利用時間帯「土曜,日曜,休日」、「共用可」なる条件設定がなされている。
【0096】
スケジュールテーブル作成部113は、このような設定要求のうちの利用時間帯の情報に基づいて、スケジュールテーブル123を作成し、管理データ格納ユニット120に格納する機能を果たす。図2に例示されているスケジュールテーブル123の内容は、図4に示す各グループの設定要求内の利用時間帯に対応したものである。
【0097】
なお、本発明における「利用時間帯」は、時間軸上の有限な期間を示すことができれば、どのような方法で設定してもかまわない。たとえば、上述の例の場合、グループAは「日付単位」での設定を行っており、グループBは「開始時刻〜終了時刻の単位」での指定に「平日」という付加条件を課した設定を行っており、グループCは「曜日」および「休日」を指定した設定を行っている。このように、スケジュールテーブル作成部113は、たとえば、月、日、曜日、平日、休日、もしくは開始時刻〜終了時刻の単位で指定された利用時間帯を含む設定要求を入力してスケジュールテーブル123を作成する処理を行うことができればよい。
【0098】
もちろん、各グループの管理者は、必要に応じて、新たな設定要求を管理用コンピュータ110に与えることにより、スケジュールテーブル123の設定内容を変更することも可能である。スケジュールテーブル作成部113は、新たな設定要求があった場合には、スケジュールテーブル123の設定内容を変更する処理を行う。
【0099】
(3)割当テーブルの設定
次に、割当テーブル作成部112の機能を具体的事例に即して説明する。割当テーブル作成部112は、特定のグループの管理者が操作するユーザ用コンピュータ10から与えられる設定要求に基づいて、当該グループに特定のユーザデータ格納ユニットを割り当て、当該グループと、当該グループに割り当てられたユーザデータ格納ユニットと、の対応関係を示す割当テーブル122を作成し、この割当テーブル122を管理データ格納ユニット120に格納する機能を果たす。
【0100】
既に述べたとおり、各グループの管理者からは、図4に示すような設定要求が与えられる。割当テーブル作成部112は、これら設定要求内の最大利用容量および共用可否の情報を参照して、各グループに特定のユーザデータ格納ユニットを割り当てる処理を行う。ただ、ユニットの共用割当については、§4で詳述するので、ここでは、1台のユーザデータ格納ユニットを1グループに対してのみ割り当てる場合の基本的な割当処理を以下に説明する。
【0101】
割当テーブル作成部112が行う基本的な割当処理は、各グループについて、最大利用容量を示す情報を含む設定要求を入力し、個々のグループについて要求された最大利用容量を確保するのに必要な1つもしくは複数のユーザデータ格納ユニットを、当該所定のグループに割り当てることによって行われる。
【0102】
ここでは、説明の便宜上、図2に示す4台のユーザデータ格納ユニットS001〜S004が、それぞれ2000GBの記憶容量をもったハードディスクドライブ装置によって構成されている場合を考えよう。この場合、最大利用容量が2000GB以下のグループに対しては1台のユニットを割り当て、最大利用容量が2000GBを超え4000GB以下のグループに対しては2台のユニットを割り当て、最大利用容量が4000GBを超え6000GB以下のグループに対しては3台のユニットを割り当て、…というような割当処理を行えばよい。
【0103】
図5は、図4に示す設定要求に基づいて、各ユーザデータ格納ユニットS001〜S004に対して行われた具体的なグループ割り当ての一例を示す図である。この例では、割当テーブル作成部112は、まず、図4(a) に示す設定要求に基づいて、グループA(最大利用容量1500GB)に対して1台のユニットS001を割り当て、続いて、図4(b) に示す設定要求に基づいて、グループB(最大利用容量3000GB)に対して2台のユニットS002,S003を割り当て、更に、図4(c) に示す設定要求に基づいて、グループC(最大利用容量600GB)に対して1台のユニットS004を割り当てている。
【0104】
この図5に示す例では、共用割当は行われていないので、1台のユーザデータ格納ユニットは、1グループに対してのみ割り当てられている。図にハッチングを施した部分が、実際に割り当てが行われた領域であり、その余の部分は、割り当てのない空き領域(非割当領域)ということになる。
【0105】
図2に例示されている割当テーブル122の内容は、この図5に示す割当結果を示すものである。なお、実用上は、各グループの設定要求に含まれている最大利用容量および共用可否の情報も、割当テーブル122内に併せて記録しておくのが好ましい。その場合は、図2に例示されている割当テーブル122の代わりに、図6に示す割当テーブルを管理データ格納ユニット120内に格納すればよい。この図6に示す割当テーブルを参照すれば、各グループについて割り当てられているユニットとともに、各グループに設定されている最大利用容量および共用可否の情報を即座に認識することができる。
【0106】
(4)ユニットのモード切り替え
さて、上述したように、(1)ユーザ登録テーブルの作成、(2)スケジュールテーブルの設定、(3)割当テーブルの設定、が完了すれば、このデータ保管システムを実際に運用することが可能になる。本発明の目的は、この運用時における省エネルギーを促進することであり、当該目的は、切り替え処理部114によるモード切り替え指示によって達成される。
【0107】
各ユーザデータ格納ユニットS001〜S004は、預け入れ処理部117から預け入れ要求があった場合に、対象となるデータファイルを即座に書き込むことができ、また、取り出し処理部118から取り出し要求があった場合に、対象となるデータファイルを即座に読み出すことが可能な動作モードと、この動作モードよりも消費電力が少なく、上記預け入れ要求や上記取り出し要求があった場合に、動作モードへと移行可能な状態を維持する待機モードと、の2通りのモードで動作することができる(待機モード中に与えられた預け入れ要求や取り出し要求は、動作モードへの切り替え指示を兼ねることになる。)。
【0108】
具体的には、既に述べたとおり、光もしくは磁気記録式のディスクを内蔵したユーザデータ格納ユニットの場合、動作モードではディスクを回転状態に維持し、待機モードではディスクを停止状態に維持するようにすればよい。
【0109】
もっとも、動作モード/待機モードの相違は、必ずしもディスクの回転状態/停止状態の相違に限定されるものではない。たとえば、切り替え処理部114からの切り替え指示に基づいて、主電源のON/OFFを行う機能をもったユニットであれば、動作モードでは主電源をON状態に維持し、待機モードでは主電源をOFF状態に維持するようにしてもかまわない。この場合、待機モードでは、ディスクが停止状態になるだけでなく、データの書き込みや読み出し処理を実行する電子回路を含めた主たる機能が停止状態になる。この待機モードでは、管理用コンピュータからの要求があったときに、主電源をON状態に切り替えて動作モードへ移行する機能だけは働き続けていることになる。
【0110】
切り替え処理部114は、割当テーブル122およびスケジュールテーブル123に基づいて、個々のユニットに対して、それぞれモード切り替え指示を与える。具体的には、既に述べたとおり、各ユーザデータ格納ユニットS001〜S004が、それぞれ割当対象となるグループについて設定された利用時間帯に動作モードとなり、それ以外の時間帯に待機モードとなるような切り替え指示を与えるようにすればよい(もちろん、割当が全くなされていないユニットについては、割当がなされるまで、常時、待機モードにしておけばよい)。但し、待機モードへ移行するための切り替え指示が与えられた場合でも、ユーザデータ格納ユニットが、現に、データファイルの書き込み処理もしくは読み出し処理を実行中の場合には、これらの処理が完了した後に、待機モードへの移行が行われるようにする。
【0111】
また、実用上は、スケジュールテーブル123に設定された利用時間帯の始期および終期にモード切り替え指示を与える代わりに、この利用時間帯を包含する所定の稼働時間帯を設定し、この稼働時間帯の始期および終期にモード切り替え指示を与えるようにするのが好ましい。すなわち、各ユーザデータ格納ユニットが、それぞれ割当対象となるグループについて設定された利用時間帯を包含する所定の稼働時間帯に動作モードとなり、それ以外の時間帯に待機モードとなるように、モード切り替え指示を与えるようにすればよい。
【0112】
図7は、この利用時間帯と稼働時間帯との関係を示す図である。図示のとおり、利用時間帯は、始期t1〜終期t2までの期間として設定される時間帯であり、既に述べたとおり、各グループの管理者から与えられる設定要求に基づいて定められる時間帯である。これに対して、稼働時間帯は、始期t3〜終期t4までの期間として設定される時間帯であり、利用時間帯を包含する時間帯になる。ここで、稼働時間帯の始期t3は、利用時間帯の始期t1より所定の余裕時間αだけ前の時点に設定されており、稼働時間帯の終期t4は、利用時間帯の終期t2より所定の余裕時間βだけ後の時点に設定されている。
【0113】
利用時間帯に代えて、稼働時間帯を用いたモード切り替えを行う場合、切り替え処理部114は、利用時間帯の始期t1より所定の余裕時間αだけ前の時点t3から、利用時間帯の終期t2より所定の余裕時間βだけ後の時点t4までを稼働時間帯に設定し、この稼働時間帯の始期t3に、動作モードへ移行するためのモード切り替え指示を与え、稼働時間帯の終期t4に、待機モードへ移行するためのモード切り替え指示を与えるようにすればよい。
【0114】
余裕時間α,βは、システムの運用上適当と思われる任意の時間に設定することができ、また、個々のグループごとに異なる余裕時間を設定することもできる。あるいは、たとえば、利用時間帯の長さの5%を余裕時間αとし、利用時間帯の長さの3%を余裕時間βとする、という設定も可能である。もちろん、α,βのいずれか一方を0にする設定を行ってもかまわない。
【0115】
このように、利用時間帯を包含する稼働時間帯を設定してモード切り替え指示を与える第1の理由は、ユーザデータ格納ユニットに不可避な物理的遅延特性に対処するためである。たとえば、ハードディスクドライブ装置などでは、動作モードへ移行するためのモード切り替え指示を与えたとしても、直ちに書き込みや読み出しが可能になるわけではない。動作モードへの移行指示が与えられると、ハードディスクドライブ装置は、内蔵ディスクを回転駆動することになるが、ディスクの回転が安定するまでには、それなりの時間が必要である。したがって、余裕時間αを、このディスクの回転が安定するのに必要な時間に設定しておけば、利用時間帯の始期t1には、ディスクの回転は安定した状態になっており、データの書き込みや読み出しを安全に行うのに適した環境が用意されていることになる。
【0116】
また、ユーザがデータの書き込みや読み出し要求を行った後、実際にデータの書き込みや読み出し処理が完了するまでには、ある程度の時間が必要である。したがって、ユーザが利用時間帯の終期t2の間際にデータの書き込みや読み出し要求を行うケースを考慮すると、当該終期t2に待機モードへ移行するためのモード切り替え指示を与えるのは好ましくない。余裕時間βを設定しておけば、ユーザが利用時間帯の終期t2の間際にデータの書き込みや読み出し要求を行ったとしても、待機モードへ移行するまでに、データの書き込みや読み出し処理を無事に完了することができる。
【0117】
利用時間帯を包含する稼働時間帯を設定してモード切り替え指示を与える第2の理由は、ユーザが指定した利用時間帯に若干の余裕をもたせ、ユーザに対するサービス向上を図るためである。たとえば、図4(b) に示す設定要求によれば、グループBについては、「平日23:00〜23:30」という利用時間帯が設定されている。このような利用時間帯の設定は、毎日の業務の終了時に、データのバックアップ作業を行うような場合に好都合であるが、毎晩、わずか30分の利用時間しかないので、モード切り替えの運用をあまり厳格に行うと、ユーザの利便性が損なわれる。たとえば、業務が早めに終了したため、22:55にバックアップ作業を済ませてしまいたいと考える場合もあろうし、業務が遅れて、バックアップ作業が23:35にずれてしまうこともあろう。また、ユーザの時計が若干遅れていたり進んでいたりした場合、ユーザとしては正しい利用時間帯に利用しているつもりでも、実際にはそれ以外の時間帯であったというケースもある。
【0118】
ユーザが指定した利用時間帯に若干の余裕をもたせた稼働時間帯を設定しておき、この稼働時間帯を基準としてモード切り替え指示を与えれば、上述のようなケースでも、ユーザは利用時間帯に利用したのと同じ利便性が得られることになる。
【0119】
(5)データファイルの出し入れ
ユーザ登録テーブル121に登録がなされたユーザは、ユーザ識別コードとパスワードによる認証を行うことにより、所望のデータファイルの預け入れや、その取り出しを行うことができる。すなわち、ユーザからの預け入れ要求があれば、ユニット選択部116により、当該ユーザが所属するグループに割り当てられているユニットが選択され、預け入れ処理部117によって、選択されたユーザデータ格納ユニット内の所定の格納場所に保管対象ファイルが格納される。また、格納場所を示す情報が、管理データ格納ユニット120内のファイル格納場所テーブル124に記録される。一方、ユーザからの取り出し要求があれば、取り出し処理部118が、ファイル格納場所テーブル124を参照して、指定されたファイルの格納場所を認識し、当該格納場所から指定されたファイルを読み出し、これをアクセスのあったユーザ用コンピュータに提供する処理を行うことになる。
【0120】
なお、ユーザデータ格納ユニットの各グループへの割り当ては、図5に例示するように、各設定要求で指定された最大利用容量に基づいて行われており、この最大利用容量を超えた預け入れを行うことはできない。そこで、実用上は、最大利用容量を超えるような預け入れ指示は拒絶するような仕組を設けておくのが好ましい。ここに示す実施形態の場合、割当テーブル作成部112が、各グループについての最大利用容量を示す情報を割当テーブル122に記録する機能を有しているので(図6の割当テーブルを参照)、この最大利用容量を超えないようなチェックを行うようにすればよい。
【0121】
具体的には、たとえば、ユニット選択部116が、所定のグループのユーザからの預け入れ指示に基づいてユーザデータ格納ユニットの選択を行うたびに、当該グループについての保管データの総容量を累積してカウントするようにし、新たな預け入れ指示が与えられたときに、当該指示を実行すると累積した総容量が最大利用容量を超える場合には、当該指示を拒絶するようにすればよい。もちろん、預け入れたデータファイルの削除処理が行われた場合には、保管データの累積値を減じるようにする。
【0122】
ところで、本発明に係るシステムでは、ユーザからデータファイルの預け入れや取り出しのためのアクセスがあった場合に留意すべき固有の問題が存在する。それは、スケジュールテーブルに設定されている利用時間帯以外の時間帯にアクセスがあった場合の取り扱いである。これまでも述べてきたとおり、各ユーザは、原則として、自分が所属するグループについて設定されている利用時間帯に、データファイルの預け入れや取り出しを行うことが前提となっている。しかしながら、何らかの事情で、設定された利用時間帯以外の時間帯にデータファイルの預け入れや取り出しを行う必要が生じる場合もあろう。
【0123】
このような時間外のアクセスに対する最も単純な取り扱いは、原則どおり、アクセスを拒絶するという取り扱いである。この場合、預け入れ処理部117および取り出し処理部118は、ユーザからのアクセスを受けるたびに、管理データ格納部120内の必要なテーブルを参照して、当該アクセスが当該ユーザの利用時間帯内のアクセスであるか否かを判定する処理を行うようにする。そして、スケジュールテーブル123に設定されている利用時間帯以外の時間帯にアクセスを受けたときには、当該アクセスを拒絶する処理を行えばよい。
【0124】
このように、利用時間帯以外のアクセスは一切拒絶するという厳格な運用を行えば、スケジュールテーブルの設定どおりに各ユニットを待機モードに移行させることができるので、十分な省エネルギー効果を奏することができる。しかしながら、ユーザの立場から見ると、かなり利便性が低下することになる。
【0125】
ユーザに対する利便性を向上させるためには、利用時間帯以外のアクセスもそのまま受け入れるという取り扱いを行えばよい。すなわち、預け入れ処理部117および取り出し処理部118は、ユーザからデータファイルの預け入れや取り出しを要求するアクセスがあった場合、当該アクセスが利用時間帯内のアクセスか否かにかかわらず、当該要求に応じた処理を実行すればよい。
【0126】
ただ、利用時間帯以外のアクセスがあった場合、処理対象となるユニットが待機モードになっている可能性が高く、待機モードのままでは、データの書き込みや読み出しを行うことはできない。そこで、預け入れ処理部117および取り出し処理部118は、アクセスを受けたときに、処理対象となるユーザデータ格納ユニットが待機モードになっていた場合には、当該処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、待機モードから動作モードに移行する指示を与えて、ファイルの預け入れもしくは取り出し処理を実行し、処理が完了した後、動作モードへと移行すべき時間になっていない限り、当該処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、動作モードから待機モードに移行する指示を与える処理を行うようにすればよい。
【0127】
たとえば、図2に示す例の場合、スケジュールテーブル123に設定されているグループAの利用時間帯は「毎月5日,15日,25日」となっている。このような設定において、ユーザA1が、13日にデータファイル「aaa101」を取り出すために管理用コンピュータ110へアクセスして取り出し要求を与えたとしよう。取り出し処理部118は、この要求に応じて、ファイル格納場所テーブル124を参照して、データファイル「aaa101」の格納場所が「S001/P01/T13/S43」であることを認識し、ユニットS001に対して読み出し指示を与えることになる。ところが、13日は利用時間帯以外であるので、ユニットS001は待機モードとなっており、そのままではファイルの読み出しを行うことはできない。
【0128】
そこで、ユニットS001に対しては、待機モード中に書き込み指示や読み出し指示が与えられた場合には、自発的に待機モードから動作モードへ移行した後に、与えられた書き込み指示や読み出し指示を実行するような設定を行っておく。そうすれば、預け入れ処理部117から与えられる書き込み指示や、取り出し処理部118から与えられる読み出し指示は、待機モードから動作モードに移行する指示を兼ねることになり、切り替え処理部114からの切り替え指示がなくても、自動的に動作モードへの切り替えがなされることになる。
【0129】
上例の場合、ユニットS001は、データファイル「aaa101」の読み出し指示を受けることにより、自発的に待機モードから動作モードへ移行し、読み出したデータファイル「aaa101」を取り出し処理部118へ提供する処理を行うことになる。かくして、ユーザA1は、本来予定されている「毎月5日,15日,25日」という利用時間帯以外の時間帯であっても、所望のデータファイル「aaa101」を取り出すことができる。ただ、上述のように、ユニットS001が待機モード中であった場合には、これを動作モードへ移行させた後に読み出し作業が行われるので、利用時間帯内に行う通常の取り出しのような迅速な処理は必ずしも期待できない。ユーザA1から見ると、取り出し要求を与えてから、実際に取り出し作業が完了するまで、タイムラグが生じているように感じられるであろう。しかし、利用時間帯以外における臨時の利用であることを考えれば、その程度の不便さについては、ユーザの理解も得られよう。
【0130】
このように、預け入れ処理部117や取り出し処理部118は、処理対象となるユニットが待機モードになっていたとしても、当該ユニットに対して書き込みや読み出し指示を与えることにより、動作モードへ移行させて目的の処理を実行させることができる。しかしながら、本来は待機モードにあるべき時間帯であるのに、無理やり動作モードへ移行させたことになるので、目的の処理が完了した後は、当該ユニットを再び待機モードへ戻しておくべきである。そこで、預け入れ処理部117や取り出し処理部118は、目的の処理が完了した後に、当該処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、動作モードから待機モードに戻す指示を与える機能を有している。
【0131】
上例の場合、ユニットS001からデータファイル「aaa101」が取り出し処理部118へ提供されたら、取り出し処理部118からユニットS001に対して、動作モードから待機モードに戻す指示が与えられることになる。かくして、ユニットS001は、再び待機モードに戻ることになる。
【0132】
ただ、目的の処理が完了した時点において、既に動作モードへと移行すべき時間になっていた場合には、切り替え処理部114から動作モードへ移行すべきモード切り替え指示が与えられているので、預け入れ処理部117や取り出し処理部118から、待機モードへ戻す指示を与える必要はない。
【0133】
<<< §4.ユーザデータ格納ユニットの共用割当 >>>
前述した§3(3)では、1台のユーザデータ格納ユニットを1グループに対してのみ割り当てることを前提とした基本的な割当処理を説明した。しかしながら、このような基本的な割当処理では、図5に示す例のように、各ユニット内に割り当てが行われていない無駄な領域(図5において、ハッチングが施されていない領域)が発生してしまうため、記憶装置というハードウエア資源の利用効率が低下することは否めない。したがって、実用上は、割当テーブル作成部112が、必要に応じて、同一のユーザデータ格納ユニットを、その部分部分を構成する所定の割当容量ごとに、複数のグループに割り当てるようにし、1台のユーザデータ格納ユニットが、複数のグループに共用されることを許す運用を行うのが好ましい。
【0134】
たとえば、図5に示す例の場合、グループCからの設定要求に応じて、600GBがユニットS004に割り当てられている。この場合、もし共用割当を許す運用を行うようにすれば、グループBに対して割当済みのユニットS003には、1000GBの未割当領域が存在するので、グループCに対してユニットS003の未割当領域を割り当てることも可能である。この場合、ユニットS003は、その全記憶容量2000GBのうちの1000GB分がグループBに割り当てられ、600GB分がグループCに割り当てられ、400GB分が未割当領域となり、ユニットS004は完全に空いた状態になる。したがって、ユーザデータ格納ユニットの利用効率は向上する。
【0135】
ただ、ユーザによっては、同一のユニットを別なグループと共用するのを避けたいと考える場合もあろう。たとえば、データの出し入れを頻繁に行うような別なグループのユーザと同一のユニットをたまたま共用することになった場合、当該ユニットの寿命は、自己の利用頻度とは全く無関係に短縮する可能性が高い。したがって、データファイルの出し入れに支障が生じるようなトラブルを極力回避したいと考えるユーザは、別なグループとの共用割当には消極的になるであろう。
【0136】
そこで、この実施形態では、ユーザ側のこのような事情を考慮するため、図4に示す例のように、各グループの設定要求に、共用可否の情報を含ませるようにしている。この情報は、自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可するか否かを示す情報であり、図6に示すように、割当テーブルにも当該情報の記録が行われることになる。
【0137】
結局、割当テーブル作成部112は、各グループについて、自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可するか否かを示す「共用可」もしくは「共用不可」の情報を含む設定要求を入力するようにし、必要に応じて、同一のユーザデータ格納ユニットを複数のグループに共通して割り当てることを原則としつつ、「共用不可」の情報を含む設定要求が与えられたグループについては、ユーザデータ格納ユニットを排他的に割り当てる処理を行うようにすればよい。
【0138】
別なグループとの共用割当に消極的なユーザは、自分のグループについての設定要求において「共用不可」の設定を行えばよい。そうすれば、自分のグループに割り当てられるユニットは自分のグループ専用の装置となり、他のグループに利用されることはなくなる。
【0139】
図4(a)〜(c)に示す例の場合、グループAおよびCは「共用可」の設定要求を出しているので、グループA,Cを同一のユニットに共用割当することは可能であるが、グループBは「共用不可」の設定要求を出しているので、グループBに割り当てたユニットはグループB専属のものになる。したがって、ユニットの共用割当を行う運用を採った場合でも、図4(a)〜(c)に示す各設定要求に基づいて割り当て処理を行えば、結局、図5に示すような割当結果が得られることになる(グループCに割り当てるべき600GBは、ユニットS001の未割当領域では不足するし、グループBと共用割当することもできないので、結局、ユニットS004に割り当てざるを得ない)。
【0140】
ここでは、このような共用割当の具体例を示すために、図5に示すような割当状態において、更に、図8に示すように、新たなグループD,E,Fの管理者から、各グループについての設定要求があった場合の具体的な割当処理を考えてみよう。このような設定要求に対して、ユニットの割り当てを行う方針は様々であるが、ここでは、一例として、「共用が可能な場合には、できるだけ共用割当を行う」という方針に従って割り当てを行う例を以下に説明する。
【0141】
まず、図8(a) に示すような設定要求が、グループDの管理者から与えられたとしよう。この設定要求は、グループDのために、最大利用容量300GBを「共用可」という条件で設定することを示すものである。このように、「共用可」の設定要求がきた場合、割当テーブル作成部112は、「共用可」のグループに対して既に割当済みのユニットの中から、300GBの未割当容量をもつユニットを探す処理を行う。
【0142】
具体的には、図6に示す割当テーブルを参照すれば、ユニットS001,S004が「共用可」となっており、いずれも2000GBの容量をもつ記憶装置であるから、いずれも300GB以上の空き容量(未割当容量)をもつユニットであることが把握できる。そこで、割当テーブル作成部112は、グループDに対して、ユニットS001およびS004のいずれかを割り当てる処理を行う。ここでは、説明の便宜上、ユニットS004が割り当てられたものとしよう。その結果、ユニットS004は、600GB分がグループCに割り当てられ、300GB分がグループDに割り当てられ、残りの1100GB分が空きの状態となる。
【0143】
続いて、図8(b) に示すような設定要求が、グループEの管理者から与えられたとしよう。この設定要求は、グループEのために、最大利用容量500GBを「共用不可」という条件で設定することを示すものである。このように、「共用不可」の設定要求がきた場合、割当テーブル作成部112は、当該グループに対して新たなユニットを割り当てる処理を行えばよい。ここでは、新たなユニットS005の500GB分が、グループEに対して割り当てられることになる。
【0144】
ここで、ユニットS005が2000GBの容量をもつ記憶装置である場合、残りの1500GBが空き領域となる。しかも、この1500GB分は、他のグループへ割り当てられることもないので、その分の記憶容量が資源として無駄になるが、ユニットS005というハードウエアは、グループE専属の装置になり、他のグループの利用に起因して寿命が短くなるという弊害は生じない。もちろん、後に、グループEが最大利用容量を増加させる設定修正を行った場合、増加分には、上記1500GBの空き容量を充てることができる。
【0145】
更に、図8(c) に示すような設定要求が、グループFの管理者から与えられたとしよう。この設定要求は、グループFのために、最大利用容量400GBを「共用可」という条件で設定することを示すものである。この場合、割当テーブル作成部112は、「共用可」のグループに対して既に割当済みのユニットの中から、400GBの空き容量をもつユニットを探すことになる。その結果、ユニットS001,S004が割当候補になることが認識できるので、そのいずれかをグループFに割り当てる処理が行われる。ここでは、説明の便宜上、ユニットS004が割り当てられたものとしよう。その結果、ユニットS004は、600GB分がグループCに、300GB分がグループDに、400GB分がグループFに、それぞれ割り当てられ、残りの700GB分が空きの状態となる。
【0146】
図9は、このようなプロセスを経て、5台のユニットS001〜S005に対して行われた6つのグループA〜Fの割り当てを示す図である。ユニットS004には、3つのグループC,D,Fが共用割当されている。このような割当処理を行うことにより、管理データ格納ユニット120内には、図10に示すような割当テーブル122が格納されることになる。ここで、グループA〜Cについてのテーブルは、図6に示すテーブルと全く同じであり、グループD〜Fの部分が、図8に示す設定要求に基づいて新たに追加されたテーブルということになる。なお、実用上は、この割当テーブル122には、個々のユニットとその割当対象となったグループ名との対応関係を記録しておくだけでなく、各グループごとの割当容量を記録しておくのが好ましい。たとえば、図9に示すユニットS004については、「C:600GB,D:300GB,F:400GB」のような割当情報を記録しておくようにする。更に「全容量:2000GB」という情報も記録しておくようにすれば、未割当容量が700GBであることを直ちに算出することができる。
【0147】
もちろん、図8に示す各設定要求には、個々のグループの利用時間帯の情報も含まれているので、スケジュールテーブル作成部113は、グループD〜Fについての利用時間帯を、スケジュールテーブル123に追加する処理を実行する。すなわち、グループDについては「日曜12:00〜24:00」なる利用時間帯が設定され、グループEについては「月曜,水曜,金曜」なる利用時間帯が設定され、グループFについては「金曜,土曜,日曜」なる利用時間帯が設定されることになる。図11は、図8に示す設定要求に基づいて内容が追加されたスケジュールテーブルを示す図である。
【0148】
なお、切り替え処理部114は、このスケジュールテーブルに基づいて、各ユーザデータ格納ユニットに対してモード切り替え指示を与える処理を行うわけであるが、割当対象となるグループが複数存在するユニットについては、これら複数のグループのいずれかの利用時間帯(もしくはこの利用時間帯を包含する所定の稼働時間帯)には動作モードとなり、それ以外の時間帯には待機モードとなるような切り替えを行えばよい。別言すれば、割当対象となるグループが複数存在するユニットについては、当該複数のグループについての各利用時間帯(もしくはこの利用時間帯を包含する所定の稼働時間帯)の論理和に相当する時間帯には動作モードとなり、それ以外の時間帯には待機モードとなるような切り替えを行えばよい。
【0149】
たとえば、図9に示す例の場合、ユニットS004には3つのグループC,D,Fが共用割当されている。したがって、図11のスケジュールテーブルから、これら3つのグループそれぞれの利用時間帯もしくは稼働時間帯を把握し、その論理和に相当する時間帯には動作モードとなり、それ以外の時間帯には待機モードとなるような切り替えを行えばよい。具体的には、もし利用時間帯の論理和に基づく切り替えを行うのであれば、「土曜,日曜,休日」なる時間帯と、「日曜12:00〜24:00」なる時間帯と、「金曜,土曜,日曜」なる時間帯との論理和に相当する時間帯に動作モードとなるような切り替え制御を行えばよい。この場合、論理和に相当する時間帯は、結局、「金曜,土曜,日曜,休日」ということになるので、たとえば、休日がない月の場合は、ユニットS004は、金曜の午前0時に動作モードに切り替えられ、月曜の午前0時に待機モードに切り替えられることになる。
【0150】
このように、1台のユニットに複数のグループを共用割当した場合、当該ユニットは、各グループの利用時間帯もしくは稼働時間帯の論理和に相当する時間帯にわたって動作モードになるので、省エネルギーの観点からは、できるだけ利用時間帯が類似するグループ同士に、同一のユニットを共用割当した方が好ましい。したがって、実用上、割当テーブル作成部112が、同一のユーザデータ格納ユニットを複数のグループに割り当てる際には、スケジュールテーブルに設定された利用時間帯を考慮して、利用時間帯の重複期間がより長いグループ同士を優先的に割り当てるようにするのが好ましい。
【0151】
実は、前述した図9に示す割当結果は、このような優先的割当を行った例になっている。すなわち、図5に示す状態において、グループDについての図8(a) に示す設定要求が与えられた場合、前述したように、ユニットS001およびS004の2つが共用割当の候補となるが、「利用時間帯の重複期間がより長いグループ同士を優先的に割り当てる」という方針を採れば、ユニットS004が優先的に割り当てられることになる。なぜなら、ユニットS001に割り当てられているグループAの利用時間帯は「毎月5日,15日,25日」であるのに対して、ユニットS004に割り当てられているグループCの利用時間帯は「土曜,日曜,休日」であるから、グループDの利用時間帯「日曜12:00〜24:00」との重複期間がより長くなる可能性は、グループCの利用時間帯「土曜,日曜,休日」の方が高くなるからである。
【0152】
より具体的に説明すれば、グループCの利用時間帯とグループDの利用時間帯との重複期間は、「日曜12:00〜24:00」であり、毎週確実に12時間だけ重複する。これに対して、グループAの利用時間帯とグループDの利用時間帯との重複期間は、日付と曜日との関係が定まらないと正確には定義できないが、たとえ5日,15日,25日のいずれかが日曜であったとしても、重複期間は1ヶ月に12時間しかない。したがって、1台のユニットをグループAとDとで共用するよりも、グループCとDとで共用した方が、省エネルギーの効果は高くなる。
【0153】
グループFについての図8(c) に示す設定要求が与えられた場合に、ユニットS001ではなく、ユニットS004を優先して共用割当しているのも同様の理由によるものである。すなわち、グループFについての設定要求を処理する時点では、既に、ユニットS004には、グループC,Dが共用割当されており、利用時間帯の論理和は、「土曜,日曜,休日」となっている。そこで、この時点で、「利用時間帯の重複期間がより長いグループ同士を優先的に割り当てる」という方針を採ると、やはりユニットS001よりもユニットS004の方が優先的に割り当てられることになる。
【0154】
なお、利用時間帯の重複期間を実際に計算する上では、日付と曜日の関係や、休日の日取りが定義されている必要があるので、実用上は、割当処理を行う時点を起点とした実際のカレンダー上の所定期間(たとえば、1ヶ月間)について重複期間の計算を行い、重複期間がより長いグループ同士が同一ユニットに優先的に割り当てられるような選択を行えばよい。
【0155】
<<< §5.課金処理機能の付加 >>>
本発明に係るデータ保管システムを用いて、顧客からのデータファイルを有償にて預かるような事業を展開する場合、各顧客に対して、利用料などの名目で費用請求を行う必要がある。ここでは、このような費用請求を行うための便宜として、課金処理機能を付加した実施形態を述べておく。
【0156】
図12は、この課金処理機能を付加した本発明の変形例に係るデータ保管システムを示すブロック図である。図1に示す基本的実施形態との大きな相違点は、管理用コンピュータ110内に、更に、課金処理部141を設けた点である。この課金処理部141は、ユーザに対して請求する利用料を計上する課金テーブル125を作成して管理データ格納ユニット120に格納する機能を有する。
【0157】
ここに示す実施形態の場合、課金処理部141は、各グループから与えられる設定要求に応じて、課金テーブル125に計上する利用料を自動算出する機能を有している。具体的な利用料の算出式は、このシステムを運営する際に適宜決めるべき事項であるが、基本的には、次のようなアルゴリズムで利用料の自動算出がなされるようにするのが好ましい。
【0158】
既に述べたとおり、ここで述べる実施形態の場合、管理用コンピュータ110は、「最大利用容量」、「利用時間帯」、「共用可否」の情報を含む設定要求(図4および図8参照)を受け付ける機能を有している。そこで、課金処理部141は、「最大利用容量」が大きければ大きいほど高額となり、「利用時間帯」が長ければ長いほど高額となり、「共用不可」の方が「共用可」よりも高額となるように、利用料の算出を行うようにすればよい。
【0159】
これは、「最大利用容量」が大きければ大きいほど、ユーザデータ格納ユニットというハードウエア資源をより多く利用することになり、それだけ余分なコストが必要になると考えられ、「利用時間帯」が長ければ長いほど、ユーザデータ格納ユニットを動作モードに維持しておく時間が長くなり、それだけ余分なコストが必要になると考えられ、また、「共用不可」の設定では、ユーザデータ格納ユニットというハードウエア資源の効率的な利用を阻むことになり、それだけ余分なコストが必要になると考えられるからである。このようなアルゴリズムで利用料の算出を行うようにすれば、ユーザは、コストパフォーマンスを考慮して、自分に最適と思われる設定要求を行うことになろう。
【0160】
実用上は、個々のユーザ単位ではなく、個々のグループ単位で利用料を算出し、たとえば、1ヶ月単位等での利用料を自動算出する機能を設けておけばよい。料金体系の一例を挙げれば、たとえば、次のようになる。
<基本利用料>
1グループにつき、300円/1ヶ月
但し、最大利用容量は、300GBまで、1ヶ月間の利用時間帯は積算10時間まで
<利用容量割増>
最大利用容量が300GBを超える場合、100GBごとに20円加算
<利用時間割増>
1ヶ月間の利用時間帯の積算値が10時間を超える場合、1時間ごとに5円加算
<共用不可割増>
自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可しない場合、200円加算
【0161】
課金処理部141に、上記料金体系に基づいて、各グループについての月ごとの利用料を自動算出する機能をもたせておけば、毎月、各グループに対する請求額が自動算出されることになる。たとえば、図4(a) に示す設定要求を行ったグループAについての1ヶ月の利用料は、300円(基本利用料)+240円(利用容量割増:20円×(1500GB−300GB)/100)+310円(利用時間割増:5円×(24時間×3−10時間))+0円(共用不可割増なし)=850円となる。また、図4(b) に示す設定要求を行ったグループBについての1ヶ月の利用料は、当月の平日が22日間であったとすると、300円(基本利用料)+540円(利用容量割増:20円×(3000GB−300GB)/100)+5円(利用時間割増:5円×(0.5時間×22−10時間))+200円(共用不可割増)=1045円となる。同様に、図4(c) に示す設定要求を行ったグループCについての1ヶ月の利用料は、当月の土曜,日曜,休日が8日間であったとすると、300円(基本利用料)+60円(利用容量割増:20円×(600GB−300GB)/100)+910円(利用時間割増:5円×(24時間×8−10時間))+0円(共用不可割増なし)=1270円となる。
【0162】
もちろん、この他にも様々な料金体系を設定することが可能である。たとえば、1グループとして登録できるユーザの基本人数を定めておき、基本人数を超えるユーザ登録を行う場合には、人数割増を加算するようにしてもよい。あるいは、預け入れ処理部117および取り出し処理部118において、グループごとのデータファイルの出し入れ回数をカウントするようにすれば、出し入れの回数に応じた割増料金を加算することも可能である。
【0163】
なお、§3(5)では、ユーザが予め設定した利用時間帯以外の時間帯にアクセスしてきた場合にも、データファイルの預け入れや取り出し作業を可能にする運用形態を述べた。具体的には、預け入れ処理部117および取り出し処理部118が、アクセスを受けたときに、処理対象となるユーザデータ格納ユニットが待機モードになっていた場合に、当該処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、待機モードから動作モードに移行する指示を与えて、ファイルの預け入れもしくは取り出し処理を実行し、処理が完了した後、動作モードへと移行すべき時間になっていない限り、当該ユニットに対して、動作モードから待機モードに移行する指示を与えるようにすればよい。
【0164】
このように、ユーザが、予め設定しておいた利用時間帯以外の時間帯にデータファイルの預け入れや取り出しを要求した場合、これに応じるためには、本来は待機モード中であるべきユニットを、一時的に動作モードへ移行させる必要がある。そのため、システムの運営者の立場から見れば、予定外の電力消費を強いられることになる。したがって、このように利用時間帯以外の時間帯にアクセスを受けたときには、課金処理部141が、課金テーブル125に、時間外付加料金を計上する処理を行うようにしておくのが好ましい。
【0165】
たとえば、預け入れ処理部117および取り出し処理部118が、預け入れ要求や取り出し要求を受けたときに、スケジュールテーブル123を参照することにより、当該要求が利用時間帯内に与えられたものであるか否かを判断し、利用時間帯以外の時間帯であった場合には、その旨を課金処理部141に報告するような機能を設けておけばよい。課金処理部141は、このような時間外利用の報告を受けるたびに、時間外利用の回数、時間外利用によって出し入れしたファイルの容量、時間外利用によってユニットを一時的に動作モードへ移行させた時間、などの事項に応じて算出した時間外付加料金を、当該時間外利用者が所属するグループ用の課金テーブル125に計上する処理を行えばよい。
【0166】
<<< §6.割当更新機能の付加 >>>
図13は、図1に示すデータ保管システムに、割当更新機能を付加した変形例を示すブロック図である。図1に示す基本的実施形態との相違点は、管理用コンピュータ110内に、更に、割当更新部142を設けた点である。この割当更新部142は、割当テーブル122の内容を所定のアルゴリズムに基づいて変更する割当変更処理と、変更後の割当内容に適合するように、ユーザデータ格納ユニット間でファイルを転送するファイル転送処理と、を行う機能を有する。
【0167】
既に述べたように、各グループについてのユーザデータ格納ユニットの割当処理は、各グループの管理者から与えられる設定要求に基づいて、割当テーブル作成部112が行うことになる。そして、その結果は、割当テーブル122として、管理データ格納ユニット120内に格納される。割当更新部142は、この割当テーブル122の内容を検討し、所定のアルゴリズムに基づいて、変更が必要であるとの判断結果が得られた場合には、割当の変更を行う機能を有している。
【0168】
割当テーブル作成部112は、§4で例示したとおり、新たなグループについての設定要求があれば、できるだけ効率的な割当処理を実行する機能を有しており、また、最大利用容量や共用可否などの条件について、各グループの管理者からの設定変更の要求があれば、当該要求に応じて、割当テーブル122の内容を変更する機能も有している。そして、このような変更を繰り返してゆくと、個々の時点における割当結果は、必ずしも効率的なものにはならない可能性がある。
【0169】
たとえば、図4に示すように、3つのグループA,B,Cから設定要求があった場合、割当テーブル作成部112により、図5に示すような割当が行われることは既に述べたとおりである。この図5に示す割当は、図4に示す設定要求に基づく割当としては、効率的なものになっている。ところが、その後、グループAの管理者から、最大利用容量を1200GBまで減らす要求があったとしよう。この場合、ユニットS001のグループAに対する割当は、1200GBとなり、残りの800GBは空き領域となる。そこで、このユニットS001の空き領域である800GBの部分に、ユニットS004に割り当てられているグループCについての600GBを振り替えるようにすれば、ユニットS004は完全に空いた状態になるので、常時、待機モードにすることができる。
【0170】
割当更新部142は、所定のタイミングで(たとえば、週に1回)、割当テーブル122の内容をチェックし、所定のアルゴリズムに基づいて、より効率的な割当を行うことができないかを判断する機能を有している。上例の場合、グループCについての600GBの割当を、ユニットS004からユニットS001へ変更すべきである、との判断がなされることになる。このような判断に基づき、割当更新部142は、割当テーブル122の内容を変更する処理を行うことになるが、それだけではなく、変更後の割当内容に適合するように、ユーザデータ格納ユニット間でファイルを転送するファイル転送処理を行う。上例の場合、割当テーブル122のグループCについてのユニット欄をS004からS001に書き換えるとともに、ユニットS001内にグループCについて600GBの割当領域を確保し、ユニットS004内に既に格納されているデータファイル(最大限で600GB)を、ユニットS001内の新たな割当領域へ転送するファイル転送処理が行われる。このファイル転送処理には、ファイル格納場所テーブル124の格納場所を書き換える処理も含まれる。
【0171】
割当更新部142が、割当テーブル122の内容をチェックして、割当変更をすべきと判断するアルゴリズムとしては、次のような基本的なアルゴリズムを採用することができる。まず、図14に示すように、記憶容量Xを有する第1のユーザデータ格納ユニットS100(振替先)が存在し、この第1のユーザデータ格納ユニットS100についての割当総容量がYであるとする(複数のグループに割り当てられていてもよい)。一方、第2のユーザデータ格納ユニットS200(振替元)が存在し、この第2のユーザデータ格納ユニットS200についての割当総容量がZであるとする(こちらも、複数のグループに割り当てられていてもよい)。この場合、もし、X−Y≧Zという条件が満足される場合には、第2のユーザデータ格納ユニットS200の代わりに第1のユーザデータ格納ユニットS100を割り当てなおせばよい。
【0172】
この場合、第2のユーザデータ格納ユニットS200に格納されていたデータファイルを、第1のユーザデータ格納ユニットS100の新たな割当領域に転送するファイル転送処理が行われる。その結果、第2のユーザデータ格納ユニットS200への割当はなくなるので、このユニットS200については、新たな割当が行われるまで、常時、待機モードに維持することができ、大きな省エネルギー効果が得られることになる。
【0173】
なお、上記アルゴリズムにおいて、条件を満足する第2のユーザデータ格納ユニットS200となるべき候補が複数存在する場合には、スケジュールテーブルに設定された利用時間帯を考慮して、第1のユーザデータ格納ユニットS100についての利用時間帯と第2のユーザデータ格納ユニットS200についての利用時間帯との重複期間が最も長くなる候補を選択して、割当内容の変更を行うようにするのが好ましい。これは、§4で述べたとおり、できるだけ利用時間帯が類似するグループ同士を同一のユニットに共用割当した方が、より高い省エネルギー効果が得られるためである。
【0174】
また、これまで述べてきた実施形態のように、各グループについて、自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可するか否かを示す「共用可」もしくは「共用不可」の情報を含む設定要求を入力させるようにしている場合は、たとえば、図10に示す例のように、割当テーブル上で各グループについて、共用可否の情報が記録されているので、上記アルゴリズムに基づく判断を行う際に、第1のユーザデータ格納ユニットS100もしくは第2のユーザデータ格納ユニットS200が割り当てられているグループの中に、「共用不可」が記録されているグループが存在した場合には、当該ユニット間では割当内容の変更を行わないようにする必要がある。
【0175】
結局、上述したアルゴリズムに基づいて割当更新処理を行うには、割当更新部142に、図15に示す手順を定期的に実行させればよい。
【0176】
まず、ステップS1において、複数台のユーザデータ格納ユニットのうちの1つに着目する。たとえば、n台のユニットがあった場合、第1番目のユニットから順に着目してゆけばよい。そして、ステップS2において、この着目ユニットが共用可か否かを調べる。具体的には、図10に示すような割当テーブルを参照して、当該着目ユニットの割当対象となっているグループを認識し、そのグループの共用可否の設定を調べればよい。ここで、共用不可の場合には、当該着目ユニットについては、割当変更する余地がないので、ステップS1へ戻り、次のユニットを着目ユニットとする。
【0177】
一方、共用可であった場合には、ステップS2からステップS3へと進み、当該着目ユニットについての空き容量(X−Y)の算出を行う。そして、ステップS4へ進み、現時点での割当総容量Zが上記着目ユニットについての空き容量(X−Y)以下であり、かつ、共用可となっている別なユニットを候補として抽出する。更にステップS5へ進み、抽出した候補の中で、着目ユニットに対する利用時間帯の重複期間が最も長くなる候補を選択し、選択した候補に対する割当を着目ユニットに対する割当に変更する割当変更を行う。
【0178】
最後に、ステップS6へと進み、全ユニットについての着目が完了するまで、ステップS1からの処理を繰り返し実行する。こうして、全ユニットに着目して、上記処理を実行すれば、割当更新部142による割当変更処理は完了である。
【0179】
以上、省エネルギーの観点から割当変更を行う例を述べたが、このデータ保管システムを長期間にわたって運用することを考えると、ユーザデータ格納ユニットの装置寿命の観点からの割当変更も併せて行うようにするのが好ましい。一般に、ハードディスクドライブ装置をはじめとする様々な記憶装置は、使用時間が長くなればなるほど、故障する確率が高くなってくる。特に、ハードディスクドライブ装置などでは、新品として導入された後、動作モードを維持した累計時間が所定の限界時間を超えると、故障確率が極めて高くなることが知られている。したがって、実用上は、動作モードとなった時間の積算値が所定の限界時間を越したユニットが存在する場合には、当該ユニットの利用を速やかに終了し、当該ユニットの代わりに別なユニットを割り当てるのが好ましい。
【0180】
そのためには、割当更新部142が、「導入時から現時点までの期間において、動作モードとなった時間の積算値が所定の限界時間を越した、という条件を満足するユーザデータ格納ユニットが存在する場合に、当該ユーザデータ格納ユニットの代わりに別なユーザデータ格納ユニットを割り当てなおす」というアルゴリズムに基づいて、割当テーブルの内容を変更する処理を行うようにすればよい。もちろん、この場合、各ユーザデータ格納ユニットには、動作モードとなった時間を積算する機能をもたせておく必要がある。
【0181】
なお、既に述べたとおり、割当更新部142は、割当テーブル122の内容を変更する割当変更処理を行うとともに、変更後の割当内容に適合するように、ユーザデータ格納ユニット間でファイルを転送するファイル転送処理を行う必要があるが、2つのユーザデータ格納ユニット間でのファイル転送処理を行う際には、できるだけ当該2つのユーザデータ格納ユニットが待機モードにある時間帯に実行するようにするのが好ましい。これは、動作モード中は、ユーザからのアクセスを受ける可能性が高く、ファイル転送処理中にユーザからのアクセスがあると、トラブルが生じるリスクがあるためである。
【0182】
<<< §7.管理データのバックアップ機能の付加 >>>
図16は、図1に示すデータ保管システムに、管理データのバックアップ機能を付加した変形例を示すブロック図である。図1に示す基本的実施形態との相違点は、管理用コンピュータ110内に、更に、バックアップ処理部143を設けた点である。このバックアップ処理部143は、所定のユーザデータ格納ユニットをバックアップ用ユニットとして選択する選択処理と、管理データ格納ユニット120に格納されている一部もしくは全部のデータを、選択されたバックアップ用ユニットにコピーするコピー処理と、を行う機能を有している。
【0183】
既に述べたとおり、管理データ格納ユニット120およびユーザデータ格納ユニット130は、いずれも管理用コンピュータ110からのアクセスを受ける記憶装置であり、具体的には、いずれもハードディスクドライブ装置などによって構成されることになる。ただ、管理データ格納ユニット120には、図16に示すように、ユーザ登録テーブル121,割当テーブル122,スケジュールテーブル123,ファイル格納場所テーブル124といったテーブルを構成するデータ(ここでは、管理データと呼ぶ)が格納されることになる。この管理データは、データ保管システムを動作させる上で必須のデータであり、万一、損傷を受けると、システムの運用上、重大な支障を生じることになる。
【0184】
そこで、バックアップ処理部143は、所定のタイミングで、管理データの全部もしくは一部を、いずれかのユーザデータ格納ユニットの未割当領域に自動的にバックアップする機能を有している。そのために、バックアップ処理部143は、まず、いずれかのユーザデータ格納ユニットをバックアップ用ユニットとして選択する選択処理を行い、続いて、管理データ格納ユニット120に格納されている一部もしくは全部のデータ(予め、バックアップ対象として指定されているデータ)を、選択されたバックアップ用ユニットにコピーするコピー処理を実行する。
【0185】
バックアップ用ユニットとしての選択条件は、まず第1に、バックアップ対象となる管理データを格納するだけの未割当容量が存在することである。もちろん、必要に応じて、複数のユニットをバックアップ用ユニットとして選択してもかまわない。
【0186】
ここに示す実施形態の場合、バックアップ処理部143は、更に、「割当対象となるグループについて設定されている利用時間帯の合計時間が短いユニット」という条件を、バックアップ用ユニットを選択する一条件として用いた選択処理を行う機能を有している。
【0187】
たとえば、図5に示すような割当が行われている4台のユニットの中の1台をバックアップ用ユニットとして選択する場合を考えてみる。ここで、バックアップ対象となる管理データの容量が100GBであったとすると、ユニットS001,S003,S004には、いずれも管理データを格納するだけの空き容量(未割当領域)が存在する。そこで、更に、「割当対象となるグループについて設定されている利用時間帯の合計時間が短いユニット」という条件を用いて絞り込みを行うため、1ヶ月単位での利用時間帯の合計時間を集計してみる。ここで、該当月は、平日が22日、土曜,日曜,休日が8日であったとすると、ユニットS001の場合は、割当対象となるグループAについての利用時間帯の合計は72時間、ユニットS003の場合は、割当対象となるグループBについての利用時間帯の合計は11時間、ユニットS004の場合は、割当対象となるグループCについての利用時間帯の合計は192時間であるので、最も短いユニットは、ユニットS003ということになる。したがって、上記条件に基づいて選択されるバックアップ用ユニットは、ユニットS003ということになる。
【0188】
このように、「割当対象となるグループについて設定されている利用時間帯の合計時間が短いユニット」という条件を用いてバックアップ用ユニットを選択すれば、できるだけユーザが利用しないと期待されるユニットをバックアップ用ユニットとして用いることができるので、より安全なバックアップ先を確保することが可能になる。
【0189】
なお、「共用不可」の設定を行ったグループに割り当てられているユニットは、バックアップ用ユニットとして選択しない、という運用を採る場合は、上例でユニットS003を選択することはできないので(図4(b) に示すように、グループBは「共用不可」の設定となっている)、利用時間帯の合計時間がその次に短いユニットとして、ユニットS001が選択されることになる。
【0190】
また、バックアップ処理部143は、「導入時から現時点までの期間において、動作モードとなった時間の積算値が小さいユニット」という条件を、バックアップ用ユニットを選択する一条件として用いた選択処理を行うことも可能である。これは、ユーザデータ格納ユニットの装置寿命を選択条件のひとつに加えたものである。
【0191】
§6でも述べたとおり、ハードディスクドライブ装置をはじめとする様々な記憶装置は、使用時間が長くなればなるほど、故障する確率が高くなってくる。そこで、各ユーザデータ格納ユニットに、動作モードとなった時間を積算する機能をもたせておくようにすれば、「導入時から現時点までの期間において、動作モードとなった時間の積算値」を各ユニットごとに確認することができるので、この積算値がなるべく小さいユニットをバックアップ用ユニットとして選択するようにすれば、管理データのバックアップ先として、より信頼性の高いユニットを選択することができる。
【0192】
前述したとおり、管理データは、このデータ保管システムを動作させる上で不可欠のデータであるから、ユーザから預かったデータファイルよりも更に重要なデータである、と考えることができる。このような考えに従えば、管理データをユーザデータよりも優先して、より信頼性の高いユニットにバックアップする、という方針は理にかなったものである。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】本発明に係るデータ保管システム100の具体的な運用形態の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るデータ保管システム100の基本的な構成例を示すブロック図である。
【図3】図2に示すデータ保管システム100に対して、各ユーザグループの管理者から与えられた登録要求の一例を示す図である。
【図4】図2に示すデータ保管システム100に対して、各ユーザグループの管理者から与えられた設定要求の一例を示す図である。
【図5】図4に示す設定要求に基づいて、各ユーザデータ格納ユニットS001〜S004に対して行われた具体的なグループ割り当ての一例を示す図である。
【図6】図4に示す設定要求に基づいて作成された具体的な割当テーブルの一例を示す図である。
【図7】本発明における利用時間帯と稼働時間帯との関係を示す図である。
【図8】図2に示すデータ保管システム100に対して、新たなユーザグループの管理者から与えられた設定要求の一例を示す図である。
【図9】図8に示す設定要求に基づいて内容が追加されたグループ割り当ての一例を示す図である。
【図10】図8に示す設定要求に基づいて内容が追加された具体的な割当テーブルの一例を示す図である。
【図11】図8に示す設定要求に基づいて内容が追加された具体的なスケジュールテーブルの一例を示す図である。
【図12】課金処理機能を付加した本発明の変形例に係るデータ保管システムを示すブロック図である。
【図13】割当更新機能を付加した本発明の変形例に係るデータ保管システムを示すブロック図である。
【図14】割当更新を行う基本的なアルゴリズムを示す図である。
【図15】図14に示す基本的なアルゴリズムに基づく割当更新処理の手順を示す流れ図である。
【図16】バックアップ処理機能を付加した本発明の変形例に係るデータ保管システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0194】
11〜16:ユーザ用コンピュータ(クライアント)
100:データ保管システム
110:管理用コンピュータ(サーバ)
111:ユーザ登録テーブル作成部
112:割当テーブル作成部
113:スケジュールテーブル作成部
114:切り替え処理部
115:アクセス認証部
116:ユニット選択部
117:預け入れ処理部
118:取り出し処理部
120:管理データ格納ユニット
121:ユーザ登録テーブル
122:割当テーブル
123:スケジュールテーブル
124:ファイル格納場所テーブル
130:ユーザデータ格納ユニット
141:課金処理部
142:割当更新部
143:バックアップ処理部
A〜F:ユーザグループ
A1〜A3:グループAに所属するユーザ
B1,B2:グループBに所属するユーザ
C1:グループCに所属するユーザ
S1〜S6:流れ図の各ステップ
S001〜S005:個々のユーザデータ格納ユニット
S100,S200:個々のユーザデータ格納ユニット
t1〜t4:時間軸上の1時点
U(A1)〜U(C1):ユーザ識別コード
X,Y,Z:データ容量
α,β:余裕時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから預かったデータファイルを保管するデータ保管システムであって、
ユーザ用コンピュータからのアクセスを受ける管理用コンピュータと、
前記管理用コンピュータからのアクセスを受ける管理データ格納ユニットと、
前記管理用コンピュータからのアクセスを受ける複数のユーザデータ格納ユニットと、
を備え、
前記各ユーザデータ格納ユニットは、前記管理用コンピュータからのアクセスに応じてデータファイルの書き込みおよび読み出しを行うことが可能な動作モードと、前記動作モードよりも消費電力が少なく、前記管理用コンピュータからの指示に応じて前記動作モードへと移行可能な状態を維持する待機モードと、の2通りのモードで動作し、かつ、前記管理用コンピュータからのモード切り替え指示に基づき、ユニットごとにそれぞれ独立して前記動作モードと前記待機モードとの切り替えが可能であり、
前記管理用コンピュータは、
ユーザ用コンピュータから与えられる登録要求に基づいて、個々のユーザの「認証に必要な情報」および「所属グループ」を登録するユーザ登録テーブルを作成し、このユーザ登録テーブルを前記管理データ格納ユニットに格納するユーザ登録テーブル作成部と、
ユーザ用コンピュータから与えられる設定要求に基づいて、個々のユーザが所属するグループに特定のユーザデータ格納ユニットを割り当て、個々のグループと、当該グループに割り当てられたユーザデータ格納ユニットと、の対応関係を示す割当テーブルを作成し、この割当テーブルを前記管理データ格納ユニットに格納する割当テーブル作成部と、
ユーザ用コンピュータから与えられる設定要求に基づいて、個々のユーザが所属するグループと、当該グループに設定された利用時間帯と、の対応関係を示すスケジュールテーブルを作成し、このスケジュールテーブルを前記管理データ格納ユニットに格納するスケジュールテーブル作成部と、
ユーザ用コンピュータからアクセスがあったときに、前記ユーザ登録テーブルを参照して、当該アクセスが正規のアクセスであることを認証するアクセス認証部と、
ユーザ用コンピュータからの正規のアクセスにより、保管対象ファイルを預け入れる指示を受けたときに、当該アクセスを行っているユーザが所属するグループを認識し、前記割当テーブルを参照して、認識したグループに割り当てられているユーザデータ格納ユニットを選択するユニット選択部と、
前記保管対象ファイルを前記ユニット選択部が選択したユーザデータ格納ユニット内の所定の格納場所に格納し、当該格納場所を前記管理データ格納ユニット内のファイル格納場所テーブルに記録する預け入れ処理部と、
ユーザ用コンピュータからの正規のアクセスにより、指定ファイルを取り出す指示を受けたときに、前記ファイル格納場所テーブルを参照して前記指定ファイルの格納場所を認識し、当該格納場所から前記指定ファイルを読み出し、これをアクセスのあったユーザ用コンピュータに提供する取り出し処理部と、
前記各ユーザデータ格納ユニットが、それぞれ割当対象となるグループについて設定された利用時間帯もしくはこの利用時間帯を包含する所定の稼働時間帯に前記動作モードとなり、それ以外の時間帯に前記待機モードとなるように、前記割当テーブルおよび前記スケジュールテーブルに基づいて、前記各ユーザデータ格納ユニットに対してモード切り替え指示を与える切り替え処理部と、
を有することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ保管システムにおいて、
切り替え処理部が、利用時間帯の始期より所定の余裕時間だけ前の時点から、利用時間帯の終期より所定の余裕時間だけ後の時点までを稼働時間帯に設定し、前記稼働時間帯の始期に、動作モードへ移行するためのモード切り替え指示を与え、前記稼働時間帯の終期に、待機モードへ移行するためのモード切り替え指示を与えることを特徴とするデータ保管システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のデータ保管システムにおいて、
ユーザデータ格納ユニットの一部もしくは全部が、光もしくは磁気記録式のディスクを内蔵し、動作モードでは前記ディスクを回転状態に維持し、待機モードでは前記ディスクを停止状態に維持する装置によって構成されていることを特徴とするデータ保管システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のデータ保管システムにおいて、
ユーザ登録テーブル作成部が、ユーザ用コンピュータから所定のユーザについての登録要求を入力し、当該所定のユーザについて、ユーザ識別コードと、アクセス用パスワードと、所属グループと、をユーザ登録テーブルに登録する処理を行うことを特徴とするデータ保管システム。
【請求項5】
請求項4に記載のデータ保管システムにおいて、
アクセス認証部が、ユーザ用コンピュータからアクセスがあったときに、当該ユーザ用コンピュータから与えられたユーザ識別コードおよびアクセス用パスワードが、前記ユーザ登録テーブルに登録されているユーザ識別コードおよびアクセス用パスワードに一致した場合に、当該アクセスを正規のアクセスであると認証することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項6】
請求項5に記載のデータ保管システムにおいて、
ユニット選択部が、ユーザ登録テーブルを参照することにより、アクセスを行っているユーザが所属するグループを認識することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれかに記載のデータ保管システムにおいて、
ユーザ登録テーブル作成部が、ユーザ用コンピュータから所定のユーザについての登録要求を入力し、当該所定のユーザについて、グループ識別子を含むユーザ識別コードと、アクセス用パスワードと、をユーザ登録テーブルに登録する処理を行い、
ユニット選択部が、アクセスを行っているユーザのユーザ識別コードに含まれるグループ識別子に基づいて、当該ユーザが所属するグループを認識することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、各グループについて、最大利用容量を示す情報を含む設定要求を入力し、個々のグループについて要求された最大利用容量を確保するのに必要な1つもしくは複数のユーザデータ格納ユニットを、当該所定のグループに割り当てる処理を行うことを特徴とするデータ保管システム。
【請求項9】
請求項8に記載のデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、各グループについての最大利用容量を示す情報を割当テーブルに記録し、
ユニット選択部が、所定のグループのユーザからの預け入れ指示に基づいてユーザデータ格納ユニットの選択を行うたびに、当該グループについての保管データの総容量を累積してカウントする機能を有し、新たな預け入れ指示が与えられたときに、当該指示を実行すると累積した総容量が最大利用容量を超える場合には、当該指示を拒絶することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項10】
請求項8または9に記載のデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、同一のユーザデータ格納ユニットを、その部分部分を構成する所定の割当容量ごとに、複数のグループに割り当てることを特徴とするデータ保管システム。
【請求項11】
請求項10に記載のデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、同一のユーザデータ格納ユニットを複数のグループに割り当てる際に、スケジュールテーブルに設定された利用時間帯を考慮して、利用時間帯の重複期間がより長いグループ同士を優先的に割り当てることを特徴とするデータ保管システム。
【請求項12】
請求項10または11に記載のデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、各グループについて、自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可するか否かを示す「共用可」もしくは「共用不可」の情報を含む設定要求を入力し、「共用不可」の情報を含む設定要求が与えられたグループについては、ユーザデータ格納ユニットを排他的に割り当てる処理を行うことを特徴とするデータ保管システム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載のデータ保管システムにおいて、
スケジュールテーブル作成部が、月、日、曜日、平日、休日、もしくは開始時刻〜終了時刻の単位で指定された利用時間帯を含む設定要求を入力してスケジュールテーブルを作成する処理を行うことを特徴とするデータ保管システム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のデータ保管システムにおいて、
預け入れ処理部および取り出し処理部が、スケジュールテーブルに設定されている利用時間帯以外の時間帯にアクセスを受けたときには、当該アクセスを拒絶することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれかに記載のデータ保管システムにおいて、
預け入れ処理部および取り出し処理部が、アクセスを受けたときに、処理対象となるユーザデータ格納ユニットが待機モードになっていた場合に、前記処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、待機モードから動作モードに移行する指示を与えて、ファイルの預け入れもしくは取り出し処理を実行し、処理が完了した後、動作モードへと移行すべき時間になっていない限り、前記処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、動作モードから待機モードに移行する指示を与えることを特徴とするデータ保管システム。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれかに記載のデータ保管システムにおいて、
管理用コンピュータが、ユーザに対して請求する利用料を計上する課金テーブルを作成して管理データ格納ユニットに格納する課金処理部を更に有し、
前記課金処理部が、各グループから与えられる設定要求に応じて利用料を算出することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項17】
請求項16に記載のデータ保管システムにおいて、
管理用コンピュータが、各グループから与えられる設定要求として、「最大利用容量」、「利用時間帯」、および自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可するか否かを示す「共用可」もしくは「共用不可」の情報を含む設定要求を受け付ける機能を有し、
課金処理部が、「最大利用容量」が大きければ大きいほど高額となり、「利用時間帯」が長ければ長いほど高額となり、「共用不可」の方が「共用可」よりも高額となるように、利用料の算出を行うことを特徴とするデータ保管システム。
【請求項18】
請求項16または17に記載のデータ保管システムにおいて、
預け入れ処理部および取り出し処理部が、アクセスを受けたときに、処理対象となるユーザデータ格納ユニットが待機モードになっていた場合に、前記処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、待機モードから動作モードに移行する指示を与えて、ファイルの預け入れもしくは取り出し処理を実行し、処理が完了した後、動作モードへと移行すべき時間になっていない限り、前記処理対象となるユーザデータ格納ユニットに対して、動作モードから待機モードに移行する指示を与える機能を有し、
課金処理部が、利用時間帯以外の時間帯にアクセスを受けたときに、課金テーブルに、時間外付加料金を計上することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかに記載のデータ保管システムにおいて、
管理用コンピュータが、割当更新部を更に有し、
前記割当更新部は、割当テーブルの内容を所定のアルゴリズムに基づいて変更する割当変更処理と、変更後の割当内容に適合するように、ユーザデータ格納ユニット間でファイルを転送するファイル転送処理と、を行うことを特徴とするデータ保管システム。
【請求項20】
請求項19に記載のデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、各グループについて、最大利用容量を示す情報を含む設定要求を入力し、当該情報を割当テーブルに記録する処理を行い、
割当更新部が、「記憶容量Xを有する第1のユーザデータ格納ユニットが存在し、前記第1のユーザデータ格納ユニットについての割当総容量がYであり、第2のユーザデータ格納ユニットが存在し、前記第2のユーザデータ格納ユニットについての割当総容量がZであり、X−Y≧Zである、という条件が満足される場合に、前記第2のユーザデータ格納ユニットの代わりに前記第1のユーザデータ格納ユニットを割り当てなおす」というアルゴリズムに基づいて、割当テーブルの内容を変更することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項21】
請求項20に記載のデータ保管システムにおいて、
条件を満足する第2のユーザデータ格納ユニットの候補が複数存在する場合には、スケジュールテーブルに設定された利用時間帯を考慮して、第1のユーザデータ格納ユニットについての利用時間帯と第2のユーザデータ格納ユニットについての利用時間帯との重複期間が最も長くなる候補を選択して、割当内容の変更を行うことを特徴とするデータ保管システム。
【請求項22】
請求項20または21に記載のデータ保管システムにおいて、
割当テーブル作成部が、各グループについて、自己が利用するユーザデータ格納ユニットを他のグループと共用することを許可するか否かを示す「共用可」もしくは「共用不可」の情報を含む設定要求を入力し、当該情報を割当テーブルに記録し、
第1のユーザデータ格納ユニットもしくは第2のユーザデータ格納ユニットが割り当てられているグループの中に、「共用不可」が記録されているグループが存在した場合には、割当内容の変更を行わないことを特徴とするデータ保管システム。
【請求項23】
請求項19に記載のデータ保管システムにおいて、
割当更新部が、「導入時から現時点までの期間において、動作モードとなった時間の積算値が所定の限界時間を越した、という条件を満足するユーザデータ格納ユニットが存在する場合に、当該ユーザデータ格納ユニットの代わりに別なユーザデータ格納ユニットを割り当てなおす」というアルゴリズムに基づいて、割当テーブルの内容を変更することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項24】
請求項19〜23のいずれかに記載のデータ保管システムにおいて、
割当更新部が、2つのユーザデータ格納ユニット間でのファイル転送処理を、当該2つのユーザデータ格納ユニットが待機モードにある時間帯を優先的に選択して実行することを特徴とするデータ保管システム。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれかに記載のデータ保管システムにおいて、
管理用コンピュータが、バックアップ処理部を更に有し、
前記バックアップ処理部は、所定のユーザデータ格納ユニットをバックアップ用ユニットとして選択する選択処理と、管理データ格納ユニットに格納されている一部もしくは全部のデータを、選択された前記バックアップ用ユニットにコピーするコピー処理と、を行うことを特徴とするデータ保管システム。
【請求項26】
請求項25に記載のデータ保管システムにおいて、
バックアップ処理部が、「割当対象となるグループについて設定されている利用時間帯の合計時間が短いユニット」という条件を、バックアップ用ユニットを選択する一条件として用いた選択処理を行うことを特徴とするデータ保管システム。
【請求項27】
請求項25または26に記載のデータ保管システムにおいて、
バックアップ処理部が、「導入時から現時点までの期間において、動作モードとなった時間の積算値が小さいユニット」という条件を、バックアップ用ユニットを選択する一条件として用いた選択処理を行うことを特徴とするデータ保管システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−122849(P2010−122849A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295117(P2008−295117)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】