説明

データ処理装置

【課題】複数のユーザに対して異なる画像を視認させつつ各ユーザによる操作を区別することができなかった。
【解決手段】HDD12には、近接センサ5で出力される検出値から求まる物体の存在方向が運転席方向であれば、物体の存在座標(x(k),y(k))に対応する処理内容として運転席用の処理内容を実行し、他方、物体の存在方向が助手席方向であれば、物体の存在座標(x(k),y(k))に対応する処理内容として助手席用の処理内容を実行する処理をCPU14に実行させるためのプログラムが記憶されている。さらに、HDD12には、運転席用の操作項目データ、助手席用の操作項目データ、運転席用の操作テーブルおよび助手席用の操作テーブルなどが記憶されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを処理するデータ処理装置に関するものであって、より詳しくは、オーディオヴィジュアル装置、ナビゲーション装置などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、1つの表示領域から複数の方向に異なる画面を同時に表示するディスプレイと、このディスプレイを回動自在に保持するネック部と、リモートコントローラの操作対象をディスプレイの姿勢に応じて切り換える制御手段とを備えるカーナビゲーションシステムが知られている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2005−91475号公報(段落0029−0031ならびに図9を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
他方、特許文献1に記載のものによれば、リモートコントローラの操作対象がディスプレイの姿勢に応じて切り換るので、運転者は、リモートコントローラで操作をするために、ディスプレイの表示領域を運転者側を向けることになる。このとき、助手席にいる同乗者は、ディスプレイの表示領域を見られない。つまり、運転者または同乗者がリモートコントローラで操作をしている間、ディスプレイに対して1つの表示領域から複数の方向に異なる画面を同時に表示させる意味がない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るデータ処理装置は、一方向および他方向に対して異なる画像を表示する表示装置と、この表示装置の表示領域上での物体の存在座標に対応する検出値を出力する座標センサとに接続されるデータ処理装置であって、前記表示領域の周囲に設けられたセンサで出力された検出値から求まる物体の存在方向が前記一方向であれば、前記座標センサで出力された検出値に応じて一の方向用の処理内容を実行し、他方、前記物体の存在方向が前記他の方向であれば、前記座標センサで出力された検出値に応じて他の方向用の処理内容を実行する制御部を備えるものである。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0005】
「一の方向および他の方向に対して異なる画像を表示する表示装置」として、いわゆる視野角制御型液晶ディスプレイ(特開平8−136909号公報や特開2002−99223号公報などを参照)などがある。
【0006】
「一の方向」と「他の方向」との関係として、「運転席の方向」と「助手席の方向」との関係や「右方向」と「左方向」との関係などがある。
【0007】
「物体」とは、広く有体物である。例えば、身体(指や腕など)、ペンやスタイラスなどがある。
【0008】
「座標センサ」とは、接触センサおよび非接触センサを含む概念である。「接触センサ」として、抵抗膜式タッチパネルや静電容量式タッチパネルなどがある。他方、「非接触センサ」として、赤外線式タッチパネルなどがある。
【0009】
「表示領域の周囲に設けられた」とは、表示領域の周囲にあれば足り、センサが表示装置に埋め込まれているか否かを問わないことを意味する。
【0010】
「センサ」とは、接触センサおよび非接触センサを含む概念である。「接触センサ」とは、接触に応じて検出値を出力するセンサであって、例えば、圧力センサなどがある。「非接触センサ」とは、検出対象に対して検出媒体を放出し、反射された検出媒体を受けて検出値を出力するセンサであって、例えば、パルスセンサや赤外線センサなどがある。
【0011】
「検出値」とは、論理値および数値を含む概念である。「論理値」とは、主に、表示装置に対する物体の接触の有無や表示装置と物体との距離が所定値であるか否かに対応する値である。「数値」とは、表示装置と物体との距離に対応する値である。
【0012】
「検出値から求まる」とは、求める主体がデータ処理装置であるか否かを問わないことを意味する。
【0013】
「求まる」とは、演算処理で求まることおよびテーブル処理で求まることを含む概念である。
【0014】
「物体の存在方向」とは、表示装置(または表示領域)が存在する位置から表示装置(または表示領域)に接近する物体が存在する位置を指す方向である。ここで、「接近」とは、物体が表示装置に接触することおよび表示装置と物体との距離が所定値以内であることを含む概念である。
【0015】
「制御部」とは、ハードウエアまたはハードウエアおよびソフトウエアの協働によって制御を実現するものである。
【0016】
「制御部」は、好ましくは、前記物体の存在方向が前記一の方向であれば、前記物体の存在座標P(k)に対応する処理内容として一の方向用の処理内容を実行し、他方、前記物体の存在方向が前記他の方向であれば、前記物体の存在座標P(k)に対応する処理内容として他の方向用の処理内容を実行するものである。
【0017】
「データ処理装置」は、車両に搭載されるか否かを問わない。特に、「データ処理装置」が車両に搭載されるものであれば、これは「車載用データ処理装置」である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、物体の存在方向が一方向であれば、座標センサで出力された検出値に応じて一の方向用の処理内容を実行し、他方、物体の存在方向が他の方向であれば、座標センサで出力された検出値に応じて他の方向用の処理内容を実行するので、一の方向にいるユーザおよび他の方向にいるユーザに対して異なる画像を視認させつつ各ユーザによる操作を区別することができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係るデータ処理装置を実施するための最良の形態は、図1ないし図13で示される。
<ナビゲーションシステム1の構成>本実施の形態に係るのナビゲーションシステム1の構成は、図1で示される。ナビゲーションシステム1は、運転席方向および助手席方向に異なる画像を表示する液晶ディスプレイ2(「表示装置」に相当する)と、液晶ディスプレイ2に接続されるナビゲーション装置3(「データ処理装置」および「車載用データ処理装置」に相当する)と、A/Dコンバータ4を介してナビゲーション装置3に接続される近接センサ5(「センサ」に相当する)とを備える。また、ナビゲーションシステム1は、現在位置に対応するデータを出力する測位センサ6、接触に応じてデータを出力するタッチパネル7(「座標センサ」に相当する)および音声を出力するスピーカ8とを備える。
<液晶ディスプレイ2の構成>液晶ディスプレイ2の構成は、図2ないし図4で示される。液晶ディスプレイ2は、第1の画素群および第2の画素群を有する。各画素群は、液晶素子およびマイクロレンズからなる画素の集合であり、異なる画像を複数の方向に表示する(特開平8−136909号公報を参照)。本実施の形態では、液晶ディスプレイ2は、異なる画像を運転席方向および助手席方向にほぼ同時に表示する(図2を参照)。
【0020】
<液晶ディスプレイ2と近接センサ5との関係>液晶ディスプレイ2は、8個の近接センサ5が表示領域2aの周囲に埋め込まれているものである。液晶ディスプレイ2の一辺には、2個の近接センサ5が埋め込まれている。そして、近接センサ5の配置順は、時計回りに第0番目ないし第7番目である(図3を参照)。また、近接センサ5は、その検出媒体(例えば、赤外線)の放出方向と表示領域2aの法線方向とが平行となる状態で設けられている(図4を参照)。また、液晶ディスプレイ2の表示領域2a上には、タッチパネル7が設けられている。液晶ディスプレイ2における表示座標とタッチパネル7における操作座標とはほぼ一致している。
<ナビゲーション装置3の構成>ナビゲーション装置3の構成は、図1で示されている。ナビゲーション装置3は、データを入出力するI/O11と、各種プログラムやデータなどを記憶するHDD12と、BIOSなどの基本プログラムを記憶するROM13と、HDD12およびROM13に記憶されたプログラムを実行するCPU14と、CPU14での処理データなどを記憶するRAM15と、音声データを処理する音声LSI16と、画像データを処理する画像LSI17と、画像LSI17での処理データを保持するVRAM18と、特定の周期で起動データを出力するタイマ19とを備え、これらのハードウエアは、バスで接続されている。
【0021】
I/O11の入力側には、近接センサ5がA/Dコンバータ4を介して接続されている。また、測位センサ6およびタッチパネル7が接続されている。他方、I/O11の出力側には、液晶ディスプレイ2およびスピーカ8が接続されている。
【0022】
HDD12には、近接センサ5で出力される検出値から求まる物体の存在方向が運転席方向であれば、物体の存在座標「P(k)=(x(k),y(k))」に対応する処理内容として運転席用の処理内容を実行し、他方、物体の存在方向が助手席方向であれば、物体の存在座標P(k)に対応する処理内容として助手席用の処理内容を実行する処理をCPU14に実行させるためのプログラムが記憶されている。また、HDD12には、液晶ディスプレイ2に対して操作項目を表示させるか否かを近接センサ5で出力された検出値に応じて制御し、近接センサ5で出力される検出値から求まる物体の存在方向が運転席方向であれば、液晶ディスプレイ2に対して運転席用の操作項目を運転席方向に表示させ、他方、物体の存在方向が助手席方向であれば、液晶ディスプレイ2に対して助手席用の操作項目を助手席方向に表示させる処理をCPU14に実行させるためのプログラムが記憶されている。さらに、HDD12には、運転席用の操作項目データ、助手席用の操作項目データ、運転席用の操作テーブルおよび助手席用の操作テーブルなどが記憶されている。
<近接センサ5の構成>近接センサ5の構成は、図5および図6で示される。近接センサ5は、検出媒体を放出する放出素子5aおよび検出媒体を検出する検出素子5bを備える。物体が近接センサ5に対向する場合、放出素子5aが検出媒体を放出すると、検出素子5bは、物体で反射された検出媒体を検出し、この検出媒体の物理量(例えば、エネルギー)に対応する検出値データ(以下、検出値という)を出力する(図5を参照)。検出される検出媒体の物理量(例えば、エネルギー)は、近接センサ5と物体との距離に対応している(図6を参照)。
<データ処理>本実施の形態におけるデータ処理は、図7ないし図13で示される。CPU14は、HDD12に記憶された各種プログラムおよびデータをRAM15に展開し、以下の処理を実行する
<格納処理>格納処理は、図7で示される。CPU14は、タイマ14で出力される起動データを割り込みとして、以下の処理を周期的に実行する。格納処理とは、所定値Vscよりも小さな検出値を「0」とみなす処理であって、I/O11のポートアドレス(n=0)から順に実行される。なぜなら、近接センサ5は、物体が存在しない場合であっても、検出値Vsnを出力しているからである。
【0023】
CPU14は、RAM15の検出値格納領域(N=0〜7)を初期化する(ステップS1)。具体的には、初期値として「0」が検出値格納領域(N=0〜7)に格納される(図8を参照)。
【0024】
ステップS1で初期化がなされると、CPU14は、検出値Vsnが所定値Vsc以上であるか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、I/O11のポートアドレス(n=0〜7)には、それぞれ、近接センサ5(第0〜7番目)で出力された検出値Vsnが入力されており(図8を参照)、各検出値Vsnと所定値Vscとが比較される。本実施の形態では、「Vsc=160mv」が用いられている。
【0025】
ステップS2で検出値Vsnが所定値Vsc以上であるとの判定がなされると(S2のYes)、CPU14は、検出値VsnをRAM15に格納する(ステップS3)。具体的には、第n番目のポートアドレスに入力された検出値Vsnは、RAM15の第N番目の検出値格納領域(N)に格納される。このとき、カウント数1がRAM15に保持された格納回数に加算される。ここで、格納回数とは、検出値VsnがRAM15の検出値格納領域(N)に格納された回数である。
【0026】
他方、ステップS21で検出値Vsnが所定値Vsc以上ではないとの判定がなされると(S2のNo)、検出値VsnはRAM15に格納されず、初期値「0」が維持される。
【0027】
ステップS2からステップS3までの処理が1つのポートアドレスに対して実行されると、CPU14は、格納処理が全てのポートアドレスに対して実行されたか否かを判定する(ステップS4)。具体的には、ステップS2からステップS3までの処理の実行数が計数され、その実行数とポートアドレスの全数とが等しいか否かが判定される。
【0028】
ステップS4で格納処理が全てのポートアドレスに対しては実行されていないとの判定がなされると(S4のNo)、CPU14は、ポートアドレスを変えて、ステップS2からステップS3までの処理を再び実行する。
【0029】
他方、ステップS3で格納処理が全てのポートアドレスに対して実行されたとの判定がなされると(S4のYes)、CPU14は、格納処理を終了する。
<操作関連処理>操作関連処理は、図9で示される。操作関連処理は、通常処理の一部であって、他の処理とともにループをなしている。
【0030】
CPU14は、ポートアドレスに入力された検出値Vsnの格納回数が1回以上であるか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、RAM15に保持された格納回数が参照され、その回数は「0」であるか否かが判定される。
【0031】
ステップS11で格納回数が1回以上ではないとの判定がなされる(S11のNo)、すなわち、格納回数が0回であるとの判定がなされると、CPU14は、操作関連処理を終了する。
【0032】
他方、ステップS11で格納回数が1回以上であるとの判定がなされる(S11のYes)、CPU14は、検出値格納領域に格納された検出値VsNの最大値VsN(max)を算出する(ステップS12)。具体的には、最大値選択法やクイックソート法などがアルゴリズムとして用いられる。
【0033】
ステップS12で最大値VsN(max)が求められると、CPU14は、最大値VsN(max)が所定値Vd以上であるか否かを判定する(ステップS13)。本実施の形態では、所定値Vdは「Vd=500mV」に設定されている。
【0034】
ステップS13で最大値VsN(max)は所定値Vd以上ではないとの判定がなされると(S13のNo)、CPU14は、操作関連処理を終了する。
【0035】
他方、ステップS6で最大値VsN(max)は所定値Vd以上であるとの判定がなされると(S13のYes)、CPU14は、検出値VsN(N=0〜3)の平均値Vsrを算出する(ステップS14)。ここで、RAM15のアドレス(N=0〜7)は、それぞれ、近接センサの番号(0〜7)に対応している(図8を参照)。したがって、例えば、RAM15のアドレス(N=0)には、第0番目の近接センサ5での検出値または初期値が格納されている。また、本実施の形態では、VsN(N=0〜3)は、運転席方向からの物体の接近を検出するための検出値である。
【0036】
ステップS14で平均値Vsrが算出されると、CPU14は、検出値VsN(N=4〜7)の平均値Vslを算出する(ステップS15)。本実施の形態では、VsN(N=4〜7)は、助手席方向からの物体の接近を検出するための検出値である。
【0037】
ステップS15で平均値Vslが算出されると、CPU14は、ステップS14で得られた平均値VsrとステップS15で得られた平均値Vslとを比較する(ステップS16)。
【0038】
ステップS16で「Vsr=Vsl」との結果が得られると(S16の「=」)、CPU14は、操作関連処理を終了する。なぜなら、「Vsr=Vsl」は、操作が行われていないことを示すからである。
【0039】
ステップS16で「Vsr>Vsl」との結果が得られると(S16の「>」)、CPU14は、液晶ディスプレイ2に対して運転席用の操作項目を運転席方向に表示するための制御データを出力する(ステップS17)。ここで、「Vsr>Vsl」は、物体の存在方向が運転席方向であることを示している。このとき、画像LSI17は、CPU14からの制御データに従って、HDD12に記憶された運転席用の操作項目データをVRAM18の運転席用の領域に展開し(図10を参照)、VRAM18に展開された運転席用の操作項目データを液晶ディスプレイ2に出力する。
【0040】
ステップS17で運転席用の操作項目が表示されると、CPU14は、運転席用の操作テーブル(図11(a)を参照)をRAM15の領域に設定する(ステップS18)。このとき、CPU14は、タッチパネル7で出力された座標値を運転席用の操作テーブルにあてはめ、処理内容を決定する。
【0041】
他方、ステップS16で「Vsr<Vsl」との結果が得られると(S16の「<」)、CPU14は、液晶ディスプレイ2に対して運転席用の操作項目を運転席方向に表示するための制御データを出力する(ステップS19)。ここで、「Vsr<Vsl」は、物体の存在方向が助手席方向であることを示している。このとき、画像LSI17は、CPU14からの制御データに従って、HDD12に記憶された助手席用の操作項目データをVRAM18の助手席用の領域に展開し(図10を参照)、VRAM18に展開された助手席用の操作項目データを液晶ディスプレイ2に出力する。
【0042】
ステップS19で助手席用の操作項目が表示されると、CPU14は、助手席用の操作テーブル(図11(b)を参照)をRAM15の領域に設定する(ステップS20)。このとき、CPU14は、タッチパネル7で出力された座標値を助手席用の操作テーブルにあてはめ、処理内容を決定する。
<表示例>本実施の形態での表示例は、図12および図13で示される。指などの物体が運転席方向から液晶ディスプレイ2に接近すれば(図12(a)を参照)、地図メニューに係る操作項目が表示される(図12(b)を参照)。他方、物体が助手席方向から液晶ディスプレイ2に接近すれば(図13(a)を参照)、テレビメニューに係る操作項目が表示される(図13(b)を参照)。
<操作例>本実施の形態での操作例は、図11ないし図13で示される。操作項目が表示されていない場合に、指などの物体が運転席方向から液晶ディスプレイ2に接近する場合(図12(a)を参照)、運転席用の操作テーブルが設定される。したがって、物体がタッチパネル7で座標(x4,y0)で接触すれば(図12(b)を参照)、周辺施設案内の表示が実行される(図11(a)を参照)。他方、物体が助手席方向から液晶ディスプレイ2に接近する場合(図13(a)を参照)、助手席用の操作テーブルが設定される。したがって、物体がタッチパネル7の座標(x4,y0)で接触すれば(図13(b)を参照)、2chの番組の表示が実行される(図11(b)を参照)。
<本実施の形態における効果>本実施の形態によれば、近接センサ5が液晶ディスプレイ2の表示領域の周囲に埋め込まれ、液晶ディスプレイ2に接近している物体の存在方向は、近接センサ5での検出値を用いて判別される。したがって、タッチパネル7の座標(x(k),y(k))での接触が運転席のユーザによるものか助手席のユーザによるものかは、液晶ディスプレイ2を回転させることなく区別され、運転席のユーザおよび助手席のユーザに対して異なる画像を視認させつつ両者による操作を区別することができる。
【0043】
本実施の形態によれば、物体が運転席方向から液晶ディスプレイ2に接近していれば、運転席用の操作項目は、物体の接近を条件として、運転席方向にのみ表示される。他方、物体が助手席方向から液晶ディスプレイ2に接近していれば、助手席用の操作項目は、物体の接近を条件として、助手席方向にのみ表示される。したがって、運転席のユーザおよび助手席のユーザに対して操作項目が含まれない画像を見せることができる。
<変形例1>本実施の形態では、タッチパネル7が用いられているが、赤外線センサなどの非接触センサが用いられても、本発明は実施可能である。
<変形例2>本実施の形態では、近接センサ5による検出媒体の放出方向と表示領域2aの法線方向とが平行であるが、近接センサ5による検出媒体の放出方向と表示領域2aの法線方向とが垂直であっても、本発明は実施可能である。
<変形例3>本実施の形態では、近接センサ5が検出値として数値を出力しているが、論理値(例えば、オンオフを示す2値)を出力するセンサが用いられても、本発明は実施可能である。物体の存在方向を判定するための処理は、次のとおりである。各センサの論理値が時系列に沿ってRAM15に保持され、物体の存在方向はオン(またはオフ)になった順序によって決定される。例えば、センサの配置が本実施の形態と同様である場合、第0番目のセンサがオンになった後に、第7番目のセンサがオンとなれば、物体の存在方向は運転席方向となる。他方、第7番目のセンサがオンになった後に、第0番目のセンサがオンとなれば、物体の存在方向は助手席方向となる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明は、複数のユーザに対して異なる画像を視認させつつ各ユーザによる操作を区別することができるという効果を有し、オーディオヴィジュアル装置やナビゲーション装置などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るデータ処理装置を実施するための最良の形態の構成を示すハードウエア構成図
【図2】液晶ディスプレイ、運転席および助手席の関係を示す図
【図3】液晶ディスプレイと近接センサとの配置関係を示す図
【図4】近接センサによる検出媒体の放出方向を示す図
【図5】近接センサの構成を示す構成図
【図6】近接センサにおける近接距離と検出値との関係を示す関係図
【図7】格納処理の流れを示すフロー図
【図8】近接センサ、ポートアドレスおよび格納領域の関係を示す関係図
【図9】操作関連処理の流れを示すフロー図
【図10】VRAMでの操作項目データの展開領域を示す図
【図11】(a)運転席用の操作テーブルの内容を示す図(b)助手席用の操作テーブルの内容を示す図
【図12】(a)物体が運転席方向から接近する様子を示す図(b)(a)の場合における操作項目の表示例を示す図
【図13】(a)物体が助手席方向から接近する様子を示す図(b)(a)の場合における操作項目の表示例を示す図
【符号の説明】
【0046】
2 液晶ディスプレイ(表示装置)
2a 表示領域
3 ナビゲーション装置(データ処理装置)
5 近接センサ(センサ)
7 タッチパネル(座標センサ)
14 CPU(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席方向および助手席方向に対して異なる画像を表示する表示装置と、この表示装置の表示領域上での物体の存在座標に対応する検出値を出力する座標センサとに接続されるデータ処理装置であって、
前記表示領域の周囲に設けられたセンサで出力された検出値から求まる物体の存在方向が前記運転席方向であれば、前記座標センサで出力された検出値に応じて運転席用の処理内容を実行し、他方、前記物体の存在方向が前記助手席方向であれば、前記座標センサで出力された検出値に応じて助手席用の処理内容を実行する制御部を備える車載用データ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記物体の存在方向が前記運転席方向であれば、前記物体の存在座標P(k)に対応する処理内容として運転席用の処理内容を実行し、他方、前記物体の存在方向が前記助手席方向であれば、前記物体の存在座標P(k)に対応する処理内容として助手席用の処理内容を実行することを特徴とする請求項1に記載の車載用データ処理装置。
【請求項3】
一方向および他方向に対して異なる画像を表示する表示装置と、この表示装置の表示領域上での物体の存在座標に対応する検出値を出力する座標センサとに接続されるデータ処理装置であって、
前記表示領域の周囲に設けられたセンサで出力された検出値から求まる物体の存在方向が前記一方向であれば、前記座標センサで出力された検出値に応じて一の方向用の処理内容を実行し、他方、前記物体の存在方向が前記他の方向であれば、前記座標センサで出力された検出値に応じて他の方向用の処理内容を実行する制御部を備えるデータ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記物体の存在方向が前記一の方向であれば、前記物体の存在座標P(k)に対応する処理内容として一の方向用の処理内容を実行し、他方、前記物体の存在方向が前記他の方向であれば、前記物体の存在座標P(k)に対応する処理内容として他の方向用の処理内容を実行することを特徴とする請求項3に記載のデータ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2007−102077(P2007−102077A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−294814(P2005−294814)
【出願日】平成17年10月7日(2005.10.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】