説明

データ記録再生方法および記録再生装置

【課題】
デコード手段を再生装置に組み込んでおく方法では、予め決められたCODECにしか対応することができず、新しく開発されたCODECを採用することはできない。また、CODECの種類が増加すると、たくさんのデコーダを再生装置に組み込む必要があるので、コストアップの問題があり、また検証も複雑になる。
【解決手段】
符号化されたデータを所定長さのパケット形式に変換して記録媒体上に記録する際に、前記符号化されたデータをデコードするためのデコードソフトウェアを前記記録媒体上に記録しておく。再生時には、デコードソフトウェアを記録媒体上から読み出し、符号化されたデータをデコードするデコーダに前記デコードソフトウェアを組み込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化されたデータを所定長さのパケット形式に変換して記録した記録媒体および前記記録媒体を再生する再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の音声CODECに対応したDVD再生装置の例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の再生装置では、標準でないCODECに対応したデコーダボードを付加することにより拡張したCODECに対応させている。
【0003】
【特許文献1】特開平10−21648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体上に映像や音声を記録する際には、データをそのまま記録するのではなく、所定のCODEC(符号化および復号方法)によりデータ圧縮を行い、データ量の削減を行っていた。これにより記録媒体上に記録できる時間を大幅に延ばすことができる。
【0005】
これら映像や音声の圧縮方法には、様々な方式があり、今も研究開発が進められている。従来、提案されている様々なCODECを比較検討し、優れたものをいくつか選んで使用していた。記録媒体上には、所定のCODECで符号化されたデータが記録される。一方、再生装置には、使用するCODECに対応したハードウェアデコーダないしソフトウェアデコーダが組み込まれており、記録媒体から再生したデータをデコードし、映像や音声を復号していた。
【0006】
しかしながら、デコード手段を再生装置に組み込んでおく方法では、予め決められたCODECにしか対応することができず、新しく開発されたCODECを採用することはできない。また、CODECの種類が増加すると、たくさんのデコーダを再生装置に組み込む必要があるので、コストアップの問題があり、また検証も複雑になるという欠点があった。
【0007】
本発明の目的は、複数の異なるCODECに容易に対応することができ、新しいCODECが開発された場合にも、対応することが可能な再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、符号化されたデータを所定長さのパケット形式に変換して記録媒体上に記録する際に、前記符号化されたデータをデコードするためのデコードソフトウェアを前記記録媒体上に記録しておく。再生時には、デコードソフトウェアを記録媒体上から読み出し、符号化されたデータをデコードするデコーダに前記デコードソフトウェアを組み込む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、符号化されたデータを所定長さのパケット形式に変換して記録媒体上に記録する際に、前記符号化されたデータをデコードするためのデコードソフトウェアを前記記録媒体上に記録しており、再生時には、デコードソフトウェアを記録媒体上から読み出し、符号化されたデータをデコードするデコーダに前記デコードソフトウェアを組み込むので、符号化したデータのデコード方式を変更することが容易であり、様々な種類のCODECに対応することが可能である。また、新しいCODECが開発された場合にも、これらCODECに対応したデコードソフトウェアを記録媒体上に記録すれば、再生装置を変更することなく対応が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に本発明にかかる再生装置の第1の実施例を示す。図1中、101は光ディスク、102は光ディスクから信号を読み出す光ピックアップ、103は光ディスクから再生された信号に所定の復調処理を行いデータを再生する再生信号処理回路、104は再生データから所定タイミングでパケットをする出力制御部、105は光ディスクの回転速度や光ピックアップの位置制御を行うサーボ部、106はサーボ部および再生信号処理回路を制御するドライブ制御部、107は音声信号をデコードする音声デコーダ、108はデコードされた音声信号を出力する音声出力端子、109は映像信号をデコードする映像デコーダ、110はデコードされた映像信号を出力する映像出力端子、111は再生装置全体を制御するシステム制御部、112はリモコンからの信号を受信するリモコン受信部である。
【0011】
図2は、音声デコーダ部のブロック図を示す。図2中、201はパケット入力端子、202はDSP(Digital Signal Processor)、203はRAM、204は音声信号出力端子、205はプログラム入力端子である。
【0012】
DSPは、信号処理専用のプロセッサー(演算処理装置)であり、信号処理を効率的に行うことができるように構成されている。図2の例では、DSPの動作を制御するプログラムはRAM上に記録されており、DPSは、このプログラムにしたがって演算処理を行う。RAM上のプログラムは、外部のシステム制御部からプログラム入力端子を介して書き換えることができるように構成されている。
【0013】
以下、光ディスク再生時の動作を説明する。まず、ユーザーは、再生装置の電源を投入し、光ディスク101をセットする。再生装置中のシステム制御部111は、光ディスクがセットされたことを認識し、光ディスク中のファイル管理情報を読み出す。ここで、ファイル管理情報は、例えばUDF(Universal Disk Format)に代表されるファイル管理システムに準拠して、光ディスク上の所定の位置に記録されている。ファイル管理情報は、光ディスク上に記録されている各情報をファイルとして管理する。具体的には、各ファイルのファイル識別子(ファイル名)、記録開始セクター番号、ファイル長、付加情報などが記録されている。
【0014】
ファイル管理情報が読み出した後、このファイル管理情報にしたがい、システム制御部111は、光ディスクの再生に必要なファイルを読み出す。
【0015】
再生を行う光ディスク上には、図3に示すようなファイルが記録されている。図3中、301はDVRディレクトリ中のプレイリストの数やファイル名などの情報が書かれたinfo.dvrファイル、302はメニュー表示を行うプログラムを記録したmenu.javaファイル、303は映像の再生位置や順序およびマーク位置などの情報が記録されたプレイリストファイル、304はストリームファイル上の再生時刻とそのパケット位置などの情報を記録したクリップ情報ファイル、305は映像や音声などの情報パケットが記録されたストリームファイル、306はデコードソフトウェアを記録したプログラムファイルである。
【0016】
ここで、ストリームファイル305について説明する。映像情報は、画像情報圧縮技術の一つであるMPEG2方式でデータ量が削減され、トランスポートストリーム(TS)形式に変換されて記録される。MPEG2は、NTSC形式の画像やハイビジョンに代表される高画質のHD画像に対しても優れたデータ量削減を行うことが出来、原画像に対して1/10〜1/50程度にデータ量を削減することが出来る。例えば、NTSC形式の画像では6Mbps程度、HD画像でも20Mbps程度のデータ量で十分な画質を得ることが出来る。MPEG2による画像圧縮は、DVDをはじめとする画像蓄積メディアや、ディジタル放送などにも広く用いられている。
【0017】
ここでは、MPEG2形式を例にとって説明するが、もちろん他の画像圧縮方法を用いてデータを符号化しても差し支えない。
【0018】
映像と同様に、音声情報に関しても、音声圧縮技術を用いてデータ量圧縮を行なう。音声圧縮技術には、MPEG1オーディオやBSデジタル放送で用いられるAAC形式など様々な圧縮技術がある。また、音声情報は映像情報に比べてデータ量が少ないため、圧縮を行わないリニアPCM形式でデータを記録することも可能である。ここでは、MPEG1オーディオ形式で記録されているものとして説明する。
【0019】
符号化された映像情報および音声情報は、伝送や蓄積が容易なように、トランスポートストリームとして多重化し、一つのファイルとして記録する。具体的には、各情報は188バイトのパケットに変換する。その際、各パケットにはパケット識別のためのPID(パケットID)を付加する。一連の情報には単一のPIDを付加することにより、再生時に容易にパケットの分別を行うことが出来る。
【0020】
トランスポートストリームには、映像・音声のほか、字幕情報や図形情報、制御コマンドなどの各種情報パケットを多重化する事が出来る。さらに、各PIDの関係を表したPMT(program Map Table)やPAT(Program Allocation Table)、時刻情報を表すPCR(Program Clock Reference)などのパケットも多重化する。このようにして情報の多重化を行ったトランスポートストリームは、トランスポートストリームファイル305として光ディスク上に記録しておく。
【0021】
次に、クリップ情報ファイル304について説明する。前述のように、映像情報はMPEG2形式の画像圧縮を行った上で記録をしている。MPEG2形式では、連続した画像の相関性を用いてデータ量削減を行っている。具体的には、連続した画像間で変化のない部分の情報は再送せずに、直前の画像のデータをそのまま使用するような処理を行っている。そのため、変化分のみが符号化された画像データでは、そのデータから全画素の情報を復号できないという欠点がある。したがって、早送りやスキップ操作などで再生を開始できる画像は、全画素が符号化された画像のみである。
【0022】
一般的に、MPEG2形式での画像圧縮は、15枚程度の画像を組にして圧縮を行うことが多い。この画像の組をGOP(Group Of Pictures)と呼ぶ。このGOPの先頭から再生を行えば、即座に画像の再生を行うことが出来る。
【0023】
クリップ情報ファイルには、このGOP先端のパケット位置を、その画像の符号化時刻(Presentation Time Stampの値に対応)ととも記録しておく。これにより、サーチやスキップで再生を開始する位置が容易に検索できる。
【0024】
クリップ情報ファイルは、トランスポートストリームファイルと一対一に対応している。01000.m2tsというトランスポートストリームファイルに対応して、01000.clpiというクリップ情報ファイルを記録しておけば、ファイル間の対応が容易に識別できる。
【0025】
次に、プレイリストファイル303について説明する。プレイリストファイルは、トランスポートストリームファイルの再生順序を規定する情報が記録されたファイルである。プレイリストファイルには、再生を行うストリームファイルのファイル識別子、再生開始時刻、再生終了時刻などの情報の組がプレイアイテム情報として一組ないし複数組記録されている。再生時には、指定されたプレイリストファイル中のプレイアイテム情報にしたがい、ストリームファイルが順次再生を行う。
【0026】
システム制御部は、まず“info.dvr”ファイルを読み出し、ディスク上に記録されているメニュー表示プログラムのファイル名、デコードソフトウェアのファイル名、プレイリストの数や各ファイル名などの情報を得る。
【0027】
次に、上記“info.dvr”ファイルの情報に基づき、音声CODECに対応したデコードソフトウェアのダウンロードと設定を行う。具体的には、システム制御部111が、光ディスク上に記録されている“audio.dsp”ファイル306を読み出し、音声デコーダ109内のRAM203に書き込む。これにより、音声デコーダ内のDSP202に、音声CODECに対応したデコードソフトウェアが導入され、音声のデコードが可能となる。音声デコーダ部のDSP202は、RAM203上のプログラムにしたがい動作を開始し、パケットがパケット入力端子201から入力されると、入力されたパケットからデータを取り出し、CODECに応じた所定のデコード処理を行なって、音声データを復号し、204を介して音声信号出力端子110に出力する。
【0028】
次に、メニュー表示プログラム302が読み出され実行が行われる。メニュー表示プログラムは、光ディスク上に記録されているコンテンツの選択や各種設定を行うことが出来るようなメニューを表示するようにプログラムされている。ここで、メニュー表示プログラムは、図3の“menu.java”ファイルである。メニュー表示プログラムがシステム制御部111内のメモリーに読み込まれ、プログラム実行環境であるいわゆるヴァーチャルマシンによって実行が行われる。
【0029】
ユーザーは、表示されたメニューからリモコン(図示せず)を用いて所望のコンテンツを選択し、再生開始を指示する。システム制御部111は、ユーザーが再生を指示したコンテンツに対応したプレイリストファイル303を光ディスク上から読み出す。プレイリスト中には、一つないし複数のプレイアイテム情報が記録されており、プレイアイテム情報に対応したストリームファイルの読み出しが行われ、プレイアイテム情報に指定されたパケット番号のパケットから読み出しが行われる。具体的には、読み出しを行うパケットの記録されているセクターの情報を読み出すよう、システム制御部111がドライブ制御部106に指示を行う。ドライブ制御部は、指示されたセクターの読み出しが行えるように、サーボ部105を制御し、ディスク回転速度および光ピックアップ102の位置が所定の値となるように制御を行う。光ピックアップ102により、光ディスク上から記録信号が読み出されると、再生信号処理部103により、誤り訂正処理、データの並び替えなどの信号処理が行われ、セクターデータとして出力制御部104に入力される。出力制御部104は、システム制御部111により指定されたパケット番号のパケットから順番に、各パケットに付加されたタイムスタンプに応じた時刻にパケットを出力する。
【0030】
ここで、光ディスク上に記録されているパケットの記録形式を図4に示す。図4中、401はパケットヘッダー、402はMPEGパケットである。
【0031】
各MPEGパケットには、4バイト(32ビット)のパケットヘッダーを付加して記録しておく。パケットヘッダー中の30ビットは、パケットを出力するタイミングを表すタイムスタンプとして使用する。タイムスタンプは、27MHzのクロックを基準としてカウントした時刻を表している。
【0032】
MPEGパケットは188バイト長であり、先頭1バイトは同期バイトである。またパケット中にはパケットの種類を識別するための13ビットのPID(パケットID)が含まれている。
【0033】
出力制御部104は、内部に27MHzの30ビットカウンターを持ち、このカウンターによりカウントした値とを、各パケットに付加されているタイムスタンプの値とを比較し、一致した時点でパケットの出力を行うように制御する。これにより、パケットの出力タイミングを制御することが出来る。出力制御部104からパケットが出力される際には、パケットヘッダーは除去され、MPEGパケットのみが出力される。
【0034】
出力制御部104から出力されたMPEGパケットは、音声デコーダ107、映像デコーダ109に入力される。各パケットには前述のようにパケット種別を判別する13ビットのPIDが含まれており、これによりPCRパケット、音声データパケット、映像データパケットなどの種類を判別する。これにより、各デコーダは、デコードに必要なパケットのみをストリーム中から取り出して使用する。
【0035】
再生するストリームファイル内のストリームデータには、PCR(Program Clock Reference)と呼ばれる時刻情報が含まれており、この時刻情報に同期して映像および音声の出力が行われる。各デコーダは、このPCR値(時刻情報)を基準として映像および音声のデコード処理を行う。
【0036】
映像デコーダ107は、ストリーム中の映像パケットをデコードし、映像信号を映像信号出力端子108に出力する。一方、音声パケットは、音声デコーダ109に入力される。前述のように、音声デコーダ内のDSP202には、再生開始時にCODECに応じたデコードソフトウェアが予め導入されており、入力されたパケットに所定のデコード処理を行ない、音声信号を出力する。音声デコーダから出力された音声信号は、音声出力端子110を介して外部のテレビになどに接続される。
【0037】
以上のようにして、ディスク上に記録されているデコードソフトウェア306を用いて音声のデコードを行い、音声を復号することが可能となる。デコードソフトウェアは、CODECに応じたものを記録しておけばよく、異なるCODECを使用する場合には、そのCODECでエンコード(符号化)したデータとともに、そのCODECに対応したソフトウェアデコーダをディスク上に記録しておけば、任意のCODECに対応させることが可能である。もちろん、このCODECは、既存のものである必要はなく、新しいCODECが開発された場合にも、そのCODECに対応したソフトウェアデコーダを記録したディスクを作成すれば、新しいCODECに対応させることも可能となる。
【0038】
なお、上記実施例では、DSPで実行を行うソフトウェアをファイルとして記録していたが、これは各種の変形が可能である。例えば、デコードソフトウェアを汎用のソフトウェア言語であるC言語やJAVA(登録商標)言語により記載しておき、このデコードソフトウェアをシステム制御部111でコンパイルし、DSP202に転送後、実行するように制御してもよい。さらには、DSP内にコンパイラやインタープリターを用意しておけば、デコードソフトウェアを直接DSPにダウンロードして実行することで、ストリームのデコードを行うことができる。
【0039】
また、上記で説明した光ディスクでは、独立したファイルとしてCODECのデコードソフトウェアが記録されていたがこれは限定されるものではない。例えば、音声ストリーム内にユーザーデータとして音声CODECのデコードソフトウェアを入れておくことにより、音声ストリームの再生と同時にデコードソフトウェアをダウンロードできる。この方法は特にDSP内にコンパイラやインタープリターを有している場合に有効である。また、音声チャンネル毎に異なったCODECでエンコードされたストリームを有するような場合にも容易に対応することができる。
【0040】
図5に、音声ストリーム中にデコードソフトウェアを挿入する場合のストリームの一例を示す。図5中、501はPAT(Program Allocation Table)、502はPMT(Program Map Table)、503はデコードソフトウェアを含むプログラムパケット、504は音声データを含む音声パケットである。ここでは、音声パケットのみを含む形で説明するが、映像パケットが含まれていてももちろん問題はない。音声ストリームは、ディスク上にストリームファイル305として記録される。
【0041】
図6に、本発明にかかる第2の再生装置のブロック図を示す。図6中、116は第2の音声デコーダであり、その他の符号は図1と同等である。
【0042】
図7に、第2の音声デコーダのブロック図を示す。図7中、701はROM(Read Only Memory)であり、その他の符号は図2と同じである。
【0043】
ユーザーにより、図5に示したストリームが選択され、再生が行われると、図5に示したストリームが出力制御部から出力され、映像デコーダおよび音声デコーダに入力される。
【0044】
音声デコーダ内のDSPは、ROMに書き込まれているプログラムにしたがい、入力されたパケットの判別処理を開始する。音声デコーダには、まず、図5に示したストリーム中のPAT501およびPMT502が入力され、DSPのプログラムが、再生ストリーム中に含まれるプログラムパケット503および音声パケット504のPIDを判別する。ここでは、プログラムパケットのPIDを0x01FF、音声パケットのPIDを0x1200として説明する。もちろん、これは一例であり、任意のPIDを用いることが可能である。
PAT501およびPMT502に続いて、プログラムパケット503が入力される。このプログラムパケットには、DSPで実行を行うデコードソフトウェアが記録されている。DSP202は、入力されたプログラムパケット503中から、デコードソフトウェアを抽出し、RAM203上に記憶する。プログラムパケットの入力が完了すると、DSPは、RAM上に記憶したデコードソフトウェアの実行を開始する。これにより、DSPは、ストリームファイル中に記録されたデコードソフトウェアにしたがった動作を開始する。
【0045】
デコードソフトウェアが読み込まれた後、音声データとして音声パケット504が入力される。音声デコーダ中のDSPは、読み込み済みのデコードソフトウェアにしたがって、入力された音声パケットのデコード動作を行い、デコードした音声信号を出力端子204から出力する。この音声信号は、再生装置の音声出力端子112から外部のアンプ(図示せず)に出力され、音声として再生される。
【0046】
以上のようにして、ストリームに音声のデコードソフトウェアを含んだ形で、記録ないし伝送することが可能となる。
【0047】
ここで、デコードソフトウェアと音声データは、それぞれ異なるPIDを持ったパケットデータとして記録したものとして説明したが、これは各種変形が可能である。例えば、図9に示すように、デコードソフトウェアと音声データを単一のデータとして扱うことも可能である。この場合、デコードソフトウェアと音声データを分離することが可能なように、それぞれを別のシーケンスデータとして記録しておけばよい。具体的には、デコードソフトウェアの先頭にシーケンスヘッダー901を付加し、それに続いて、デコードソフトウェアを意味するシーケンス番号902、デコードソフトウェア903を記録する。その後ろには、さらに、シーケンスヘッダー901と音声データを意味するシーケンス番号904、音声データ905を続けて記録しておく。これにより、データ再生時に、データ中のシーケンスヘッダーを検出し、それに続くシーケンス番号により、後続するデータがデコードソフトウェアか、音声データかを判断することができ、単一のデータ中から、デコードソフトウェアと音声データとを分離することができる。
【0048】
デコードソフトウェアと音声データとを含んだ単一のデータストリームは、パケット形式に変換して、単一のPIDを付加して一つのストリームファイルに記録することが可能である。
【0049】
以上のように、本発明におけるデコードソフトウェアと音声データの記録方法は、単一のファイルに双方を記録するか、別々のファイルとして記録するかにかかわらず、デコードソフトウェアと音声データの分離が可能であれば実現が可能であり、データの分離方法にかかわらず、本発明の適用が可能である。
【0050】
なお、上記実施例では音声のデコードに関して説明したがこれは限定されるものではない。例えば、映像信号のデコードや字幕の表示に関しても、上記実施例と同様に、デコードソフトウエアをストリームとともにディスク上に記録しておくことにより、ディスク毎にCODECが異なっていても容易に再生を行うことができ、CODECが新しく開発されたり、改良されたような場合にも、対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】データ再生を行う再生装置のブロック図
【図2】音声デコードを行うデコーダのブロック図
【図3】光ディスク上のデータファイルの構造
【図4】パケットの構造
【図5】ストリームファイルのパケット配置
【図6】データ再生を行う再生装置の第2のブロック図
【図7】音声デコードを行うデコーダの第2のブロック図
【図8】ストリームファイルの第2のパケット配置
【図9】デコードソフトウェアと音声データの記録例
【符号の説明】
【0052】
101…光ディスク、102…光ピックアップ、103…再生信号処理回路、104…出力制御回路、105…サーボ、106…ドライブ制御部、107…映像デコーダ、108…映像信号出力端子、109…音声デコーダ、110…音声信号出力端子、111…システム制御部、112…リモコン受信部、201…ストリーム入力端子、202…デジタルシグナルプロセッサー、203…RAM、204…音声信号出力端子、205…プログラム入力端子、301…ディスク情報ファイル、302…メニューファイル、303…プレイリストファイル、304…クリップ情報ファイル、305…ストリームファイル、306…デコードソフトウェアファイル、401…タイムスタンプ、402…MPEG−TSパケット、403…パケットヘッダー、404…パケットID、405…データ記録領域、501…PAT、502…PMT、503…デコードソフトウェアパケット、504…音声データパケット、701…ROM、901…シーケンスヘッダー、902…デコードソフトウェアのシーケンス番号、903…デコードソフトウェア、904…音声データのシーケンス番号、905…音声データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化されたデータを所定長さのパケット形式に変換して記録媒体上に記録するデータ記録方法であって、
前記符号化されたデータをデコードするためのデコードソフトウェアを前記記録媒体上に記録しておくことを特徴とするデータ記録方法。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ記録方法であって、
前記デコードソフトウェアは、所定長さのパケット形式に変換して記録することを特徴とするデータ記録方法。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ記録方法であって、
前記符号化されたデータを含むパケットを識別するパケットIDと、
前記デコードソフトウェアを含むパケットを識別するパケットIDとが異なることを特徴とするデータ記録方法。
【請求項4】
請求項2に記載のデータ記録方法であって、
前記デコードソフトウェアと前記符号化されたデータとが異なるシーケンスに記録されており、
前記デコードソフトウェアを記録したシーケンスに続いて、前記符号化されたデータを記録したシーケンスを記録することを特徴とするデータ記録方法。
【請求項5】
符号化されたデータを所定長さのパケット形式に変換して記録した記録媒体であって、
前記符号化されたデータをデコードするためのデコードソフトウェアを記録することを特徴とする記録媒体。
【請求項6】
請求項5に記載の記録媒体であって、
前記デコードソフトウェアは、所定長さのパケット形式に変換して記録することを特徴とする記録媒体。
【請求項7】
請求項6に記載の記録媒体であって、
前記符号化されたデータを含むパケットを識別するパケットIDと、
前記デコードソフトウェアを含むパケットを識別するパケットIDとが異なることを特徴とする記録媒体。
【請求項8】
請求項6に記載のデータ記録方法であって、
前記デコードソフトウェアと前記符号化されたデータとが異なるシーケンスに記録されており、
前記デコードソフトウェアを記録したシーケンスに続いて、前記符号化されたデータを記録したシーケンスを記録することを特徴とする記録媒体。
【請求項9】
再生装置
符号化されたデータを所定長さのパケット形式に変換して記録し、かつ、前記符号化されたデータをデコードするためのデコードソフトウェアを記録した記録媒体からデータを再生する再生装置であって、
前記再生装置は、前記符号化されたデータをデコードするデコーダを有し、
前記デコーダは、ソフトウェアの変更によりデコード処理内容を変更が可能であり、
前記符号化されたデータの再生に先立ち、前記デコードソフトウェアを記録媒体上から読み出し、前記デコーダに前記デコードソフトウェアを組み込むことを特徴とする再生装置。
【請求項10】
請求項9に記載の再生装置であって、
前記デコードソフトウェアは、所定長さのパケット形式で記録媒体上に記録されており、
記録媒体上からデコードソフトウェアの記録されたパケット形式のデータを記録媒体上から再生し、前記パケット形式のデータからデコードソフトウェアを取り出し、前記デコーダに前記デコードソフトウェアを組み込むことを特徴とする再生装置。
【請求項11】
請求項10に記載の再生装置であって、
パケットに含まれるパケットIDによりパケットの種類を判別するパケット分離手段を有し、
前記デコードソフトウェアの記録されたパケットと前記符号化されたデータとをパケットIDにより分離し、前記デコードソフトウェアを再生データ中から分離して取り出すことを特徴とする再生装置。
【請求項12】
請求項10に記載の再生装置であって、
データのシーケンスを分離するシーケンス分離手段を有し、
前記デコードソフトウェアと前記符号化されたデータとをシーケンスにより分離し、前記デコードソフトウェアを再生データ中から分離して取り出すことを特徴とする再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−54629(P2006−54629A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234017(P2004−234017)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】