説明

データ通信システム、端末、カタログサーバ、データ通信方法、および通信プログラム

【課題】端末における処理量を増大させずに、メッセージのデータ量の削減を実現するデータ通信システムを提供する。
【解決手段】本発明に係るデータ通信システム1は、複数の端末2がネットワーク4を通じて相互に通信するデータ通信システムであって、端末は、ネットワークを通じて他の端末と通信する送受信部11と、カタログ識別子31と関連づけた共通パラメータ32を記憶するカタログ格納部16と、通信データに含まれる共通パラメータをカタログ識別子によって置換して他の端末に送信する14メッセージ生成部とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを用いたデータ通信システムに関し、特に通信開始時に端末間でやり取りするメッセージデータ量を削減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユビキタス技術における大きな研究テーマの一つに、いわゆるセンサネットワークがある。センサネットワークとは、センサ(たとえば温度、湿度、振動、加速度、位置、音声など)を備える複数の端末(以下センサ端末という)を無線ネットワーク化して、各々のセンサからの情報をもとに特定範囲の状況を総合的に判断しようという技術である。様々な分野で、センサネットワークの応用が期待されている。
【0003】
センサ端末は、無線ネットワークに参加できるよう、センサと共にプロセッサ、メモリ、無線モジュールなどのような、ごく簡単なコンピュータ資源(以後リソースという)を備える。センサネットワークを導入するには、膨大な数のセンサ端末を設置してネットワーク化する必要があるため、業務及び生活支援システムを構築する上ではセンサ端末のコストが全体のコストに対し大きな割合を占めることとなる。したがってセンサ端末は、コストを低減するために、搭載されるリソースを可能な限り削減する必要がある。
【0004】
一方、センサ端末がデータ通信を行うためには、センサ端末間、もしくはセンサ端末とホストコンピュータなどとの間でシグナリングを実施し、特定の通信プロトコルにおいて要求される通信パラメータを交換する必要がある。しかしながら、SIP(Session Initiation Protocol)などのような既存の通信プロトコルは、リソースを潤沢に備える高性能な端末、たとえばパーソナルコンピュータやワークステーションなどを前提として開発されている。
【0005】
このため、従来のセンサ端末においては、既存の通信プロトコルによって通信を行うことに堪えられるリソースを確保する必要があったので、リソースを削減してコストを削減することには限界があった。センサ端末のコストを削減するには、リソースを削減された端末においても処理できるように、シグナリングにおいてデータ量および処理量を削減する必要がある。
【0006】
一方、シグナリングにおいて端末が交換するメッセージのデータ量を削減する技術が、以下に示す非特許文献1および2、特許文献1および2で開示されている。
【0007】
非特許文献1では、メッセージのヘッダ圧縮技術であるROHC(Robust Header Compression)アルゴリズムについて記載されている。ROHCアルゴリズムでは、メッセージ内のデータを、通常変化しない部分(静的部分)、変化する部分(動的部分)、さらには動的部分の中でも前後のメッセージでシーケンシャルに増加するといった規則性を持って変化する部分に分け、送信メッセージにはひとつ前のメッセージとの差分情報をデータとして持たせる。次に受信側では前記受信したメッセージとひとつ前のメッセージを参照し、メッセージの伸長処理を実施する。上記を基本アプローチとしてヘッダサイズを圧縮することによりメッセージのデータ量を削減する。
【0008】
非特許文献2では、SIP(Session Initiation Protocol)等のテキストベースのシグナリングプロトコルによって生成されたヘッダ及びペイロードを含むメッセージ全体を圧縮するSigComp(Signaling Compression)アルゴリズムについて記載されている。SigCompアルゴリズムでは、テキスト形式のプロトコルを、送信側がバイナリ形式に圧縮する。次に受信側で、圧縮されたバイナリ形式のメッセージをテキスト形式に復元する。このようにメッセージサイズを圧縮することによってメッセージのデータ量を削減する。
【0009】
特許文献1では、センサネットワークにおけるセンサ端末から業務サーバに対して送信するデータ量を削減する方法について記載されている。センサ端末が複数の数値データを送信する場合、該複数の数値データから基本データを抽出する。次に、抽出した基本データとそれぞれの数値データとの差分値を計算する。そして、計算した差分値を業務サーバに送信する。これによって、業務サーバが受信するデータ量を削減する。
【0010】
特許文献2では、トラフィック全体におけるヘッダ領域の占める割合を低減しメッセージデータ量を削減する方法について記載されている。送信側は複数データをまとめて送信できる場合には、ヘッダを共通化して送信することにより、ヘッダ付与回数が減って、トラフィック内のオーバヘッドサイズを低減する。
【0011】
【非特許文献1】Lars-Erik Jonsson、「RFC 4163: RObust Header Compression (ROHC): Requirements on TCP/IP Header Compression」、[online]、平成17年8月、IETF、[平成19年9月11日検索]、インターネット<URL:http://www.ietf.org/rfc/rfc4163.txt>
【非特許文献2】M. Garcia-Martin他、「RFC 3485: The Session Initiation Protocol (SIP) and Session Description Protocol (SDP) Static Dictionary for Signaling Compression (SigComp)」、[online]、平成15年2月、IETF、[平成19年9月11日検索]、インターネット<URL:http://www.ietf.org/rfc/rfc3485.txt>
【特許文献1】特開2004−32176号公報
【特許文献2】特開平11−187068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
非特許文献1および2、特許文献1および2で示される方法では、いずれもメッセージのデータを圧縮することによって、シグナリングにおいて端末が交換するメッセージのデータ量を削減している。しかし、シグナリングを行う端末においては、通常のシグナリング処理に加えて、メッセージの圧縮および解凍の処理が必要となるので、処理量はかえって増大する。前述のセンサ端末にこれらの技術を適用しても、データ量は削減しても処理量が増大しているので、リソースを削減することができない。
【0013】
そこで本発明の目的は、端末における処理量をほとんど増大させずに、メッセージのデータ量の削減を実現する、データ通信システム、端末、カタログサーバ、データ通信方法、および通信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係るデータ通信システムは、複数の端末がネットワークを通じて相互に通信するデータ通信システムであって、端末は、ネットワークを通じて他の端末と通信する第1の送受信部と、カタログ識別子と関連づけた共通パラメータを記憶する第1のカタログ格納部と、通信データに含まれる共通パラメータをカタログ識別子によって置換して他の端末に送信する第1のメッセージ生成部とを有することを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る端末は、他の端末とネットワークを通じて相互に通信可能な端末であって、ネットワークを通じて他の端末と通信する送受信部と、カタログ識別子と関連づけた共通パラメータを記憶するカタログ格納部と、通信データに含まれる共通パラメータをカタログ識別子によって置換して他の端末に送信するメッセージ生成部とを有することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係るカタログサーバは、複数の端末および単数もしくは複数のカタログサーバがネットワークを通じて相互に通信するデータ通信システムにあって使用されるカタログサーバであって、ネットワークを通じて他の端末と通信し、端末が共通パラメータとして扱う通信パラメータのリストである共通パラメータリストを受信する送受信部と、共通パラメータリストに対してカタログ識別子を発行するメッセージ処理部と、共通パラメータリストに記載された共通パラメータをカタログ識別子に対応づけて格納するカタログ格納部と、カタログ識別子を端末に返信するメッセージ生成部とを有することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係るデータ通信方法は、第1のカタログ格納部を有する複数の端末がネットワークを通じて相互に通信するデータ通信システムにあってデータ通信を行う方法であって、端末が他の端末に送信する通信データを生成するデータ生成工程と、端末がカタログ識別子と関連づけた共通パラメータを第1のカタログ格納部から検索するカタログ検索工程と、端末が通信データに含まれる共通パラメータをカタログ識別子によって置換する第1の置換工程と、端末が置換された通信データを他の端末に送信する送信工程とを有することを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明に係る通信プログラムは、他の端末とネットワークを通じて相互に通信可能で第1のカタログ格納部を有する端末にあって、端末が備えるコンピュータに、他の端末に送信する通信データを生成する機能と、カタログ識別子と関連づけた共通パラメータを第1のカタログ格納部から検索する機能と、通信データに含まれる共通パラメータをカタログ識別子によって置換する機能と、置換された通信データを他の端末に送信する機能とを実行させることを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するため、本発明に係る他の通信プログラムは、複数の端末および単数もしくは複数のカタログサーバとネットワークを通じて相互に通信可能で第2のカタログ格納部を有するカタログサーバにあって、カタログサーバが備えるコンピュータに、端末から共通パラメータリストを受信する機能と、共通パラメータリストに対してカタログ識別子を発行する機能と、共通パラメータリストに記載された共通パラメータをカタログ識別子に対応づけて第2のカタログ格納部に格納する機能と、カタログ識別子を端末に返信する機能とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上記したように通信データに含まれる共通パラメータをカタログ識別子によって置換して他の端末に送信するように構成したので、単純な置換処理によってデータ量を削減することができる。これによって、端末における処理量を増大させずに、メッセージのデータ量の削減を実現する、従来にない優れたデータ通信システム、端末、カタログサーバ、データ通信方法、および通信プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係るデータ通信システム1のネットワーク構成を示す概念図である。データ通信システム1は、端末2aとカタログサーバ3a、端末2bとカタログサーバ3bとがそれぞれ接続され、カタログサーバ3aとカタログサーバ3bとがネットワーク4を介して接続されている。ここで、端末2aと端末2bは同一の構成を有するので、これらを総称して端末2という。同様に、カタログサーバ3aとカタログサーバ3bも同一の構成を有するので、これらを総称してカタログサーバ3という。
【0022】
図1は、本発明の概念をわかりやすくするために、2台ずつの端末2とカタログサーバ3とを記載したに過ぎない。端末2とカタログサーバ3は1対1で接続される必要はなく、たとえば複数の端末2に1台のカタログサーバ3が接続されていてもよい。また一つのネットワーク4の中にカタログサーバ3は2台に限定されることはなく、1台以上であれば何台あってもよい。端末2とカタログサーバ3との間の接続は、無線であっても有線であってもよい。
【0023】
図2は、図1で開示した端末2の構成を示すブロック図である。端末2は、ごく簡単なリソースを備えた低コストなものとすることができる。また、端末2が交換する対象となる情報を検知するセンサなどのハードウェアについては、それ自体が本発明の対象には含まれず、またセンサ端末に用途が限定されるものでもないので、記載を省略している。
【0024】
端末2は、主制御部10と、共通パラメータリスト格納部15と、カタログ格納部16と、通信モジュール17とを有する。主制御部10はCPU、RAM、およびOSなどで構成されたコンピュータの主要部であり、その上で動作するプログラムとして構成された送受信部11、メッセージ解析部12、メッセージ処理部13、およびメッセージ生成部14を実行することができる。
【0025】
送受信部11は、通信モジュール17を制御して、ネットワーク4を介してメッセージを送受信する。送受信部11は、ネットワーク4から到着した自端末宛のメッセージを受信しメッセージ解析部12へ転送し、またメッセージ生成部14において生成したメッセージをネットワーク4へ送信する。通信モジュール17は、無線通信であっても有線通信であってもよい。
【0026】
メッセージ解析部12は、送受信部11が受信したメッセージを構文解析して、メッセージ種別を識別し、通信パラメータを取得する。受信したメッセージに後述するカタログ識別子が含まれている場合は、カタログ格納部16から該カタログ識別子に対応する通信パラメータを取得する。次に取得したメッセージ種別と通信パラメータとをメッセージ処理部13へ通知する。
【0027】
メッセージ処理部13は、メッセージ解析部12が取得したメッセージ種別と通信パラメータに基づいてシグナリング処理を行う。シグナリング処理の結果、応答メッセージあるいは新たなメッセージを送信する必要がある場合、メッセージ生成部14へ送信メッセージのメッセージ種別と通信パラメータとを通知する。その際、通信パラメータについては、共通パラメータリスト格納部15とカタログ格納部16を参照して、後述するようにカタログ化できる通信パラメータを対応するカタログ識別子に置き換えて通知する。
【0028】
メッセージ生成部14は、メッセージ処理部13から通知されたメッセージ種別と通信パラメータに従ってメッセージを生成し、生成されたメッセージを送受信部11へ通知して送信させる。
【0029】
共通パラメータリスト格納部15は、共通パラメータとして扱う通信パラメータのリストを格納する。カタログ格納部16は、カタログ識別子と該カタログ識別子に対応する通信パラメータとを格納する。共通パラメータリスト格納部15およびカタログ格納部16が格納する情報の内容については後述する。
【0030】
図3は、図1で開示したカタログサーバ3の構成を示すブロック図である。カタログサーバ3は、端末2と違って、潤沢なリソースを備えた高性能のものとすることができる。ただし、カタログサーバ3の内部構成は、端末2のそれと同一であり、ただ各部分の性能に違いがあるというだけである。従って、同一の部分には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0031】
図4は、図2〜3で開示した端末2およびカタログサーバ3内部の共通パラメータリスト格納部15が格納するデータの構成を示す概念図である。共通パラメータリスト格納部15は、異なる端末に対しても常に同じ値を使用できる通信パラメータのリストである共通パラメータリスト21と、特定のセッションあるいはダイアログなどのような限られた期間内でのみ同じ値を使用できる通信パラメータのリストである一時共通パラメータリスト22とを格納する。
【0032】
図5は、図2〜3で開示した端末2およびカタログサーバ3内部のカタログ格納部16が格納するデータの構成を示す概念図である。カタログ格納部16は、カタログ識別子31と、カタログ識別子31が示すカタログにおいて使用される共通パラメータ32と一時共通パラメータ33とを格納する。これらの内容および動作については後述する。
【0033】
図6は、図1で開示したデータ通信システム1における通信の手順を示すシーケンス図である。図7は図2で開示した端末2における処理の内容を示すフローチャートである。図8は図3で開示したカタログサーバ3における処理の内容を示すフローチャートである。
【0034】
図6で、端末2aはカタログサーバ3aに接続されると、まずカタログサーバ3aに共通パラメータを登録するためのカタログ登録要求101aを送信する。これを受けたカタログサーバ3aは、端末2aにカタログ登録要求応答102aを返信する。同様に端末2bとカタログサーバ3bの間でも、端末2bがカタログサーバ3bにカタログ登録要求101bを送信し、これを受けたカタログサーバ3bは端末2bにカタログ登録要求応答102bを返信する。
【0035】
図7(a)は、図6にS1として示される、端末2内部におけるカタログ登録要求101aおよびカタログ登録要求応答102aにまつわる処理を示す。起動すると(S201)、メッセージ生成部14が共通パラメータリスト格納部15に保持される共通パラメータリスト21を参照して、カタログ登録要求101aを作成し(S202)、送受信部11がカタログ登録要求101aをカタログサーバ3に送信する(S203)。
【0036】
続いて送受信部11がカタログサーバ3からのカタログ登録要求応答102aを待ち(S204)、カタログ登録要求応答102aを受信すれば、メッセージ解析部12がカタログ登録要求応答102aに記述されたカタログ識別子31と共通パラメータ32を抽出し、メッセージ処理部13が抽出されたカタログ識別子31と共通パラメータ32をカタログ格納部16に格納して(S205)、処理を終了する(S206)。
【0037】
図8(a)は、図6にS2として示される、カタログサーバ3内部におけるカタログ登録要求101aおよびカタログ登録要求応答102aにまつわる処理を示す。起動すると(S301)、送受信部11がカタログ登録要求101aを受信し(S302)、メッセージ処理部13がシステム内で一意となるカタログ識別子31を発行し(S303)、発行されたカタログ識別子31と、メッセージ解析部12によって抽出されたカタログ登録要求101aに記述される共通パラメータ32を、カタログ格納部16に格納する(S304)。
【0038】
続いてメッセージ生成部14が、カタログ識別子31と共通パラメータ32を含むカタログ登録要求応答102aを生成して、送受信部11を介して端末2に送信させ(S305)、処理を終了する(S306)。
【0039】
なお、S303で新規にカタログ識別子31を発行したカタログサーバ3は、カタログ識別子31とそれに対応する共通パラメータ32および一時共通パラメータ33を含んだ新規カタログ情報103を他のカタログサーバ3へ通知する。これによって、カタログサーバ間の情報の同期を取ることができ、端末2aがカタログ登録要求101aに含めた共通パラメータ32がすべてのカタログサーバ3に登録されたことになる。これを、カタログ登録が完了したという。これ以降のメッセージのやり取りでは、すべての端末2は共通パラメータ32をカタログ識別子31に置き換えて通信することができる。
【0040】
続いて、端末2aが端末2bに対してセッションの確立を要求し、これによって端末2aと端末2bとの間でセッションを確立してデータ通信が可能な状態になるまでの処理について説明する。図6で、端末2aは端末2bに向けてのセッション確立要求104を発行する。端末2aから送信されたセッション確立要求104は、まずカタログサーバ3aが受ける。
【0041】
図8(b)は、図6にS4として示される、カタログサーバ3a内部におけるセッション確立要求104にまつわる処理を示す。起動すると(S311)、送受信部11がセッション確立要求104を受信し(S312)、セッション確立要求104がカタログ識別子31を使ったメッセージであるか否かをメッセージ解析部12が判断する(S313)。カタログ識別子31を使ったメッセージであれば、メッセージ解析部12は、共通パラメータリスト格納部15に保持された一時共通パラメータリスト22に一致する一時共通パラメータ33をカタログ格納部16に格納して(S314)、S315に進む。この一時共通パラメータ33は、カタログ識別子31に対応した一時共通パラメータ33として格納される。
【0042】
S313でセッション確立要求104がカタログ識別子を使ったメッセージでなければ、そのままS315に進む。そしてメッセージ生成部14は、受け取ったセッション確立要求104を、そのまま送受信部11を介して端末2bに転送し(S315)、処理を終了する(S316)。転送されたセッション確立要求104は、カタログサーバ3bにおいて特に何もされず、そのまま端末2bに送られる。
【0043】
図7(b)は、図6にS3として示される、端末2b内部におけるセッション確立要求104にまつわる処理を示す。起動すると(S211)、送受信部11がセッション確立要求104を受信し(S212)、セッション確立要求104がカタログ識別子31を使ったメッセージであるか否かをメッセージ解析部12が判断する(S213)。カタログ識別子31を使ったメッセージでなければ、後述のS219に進む。
【0044】
S213で、セッション確立要求104がカタログ識別子31を使ったメッセージであれば、カタログ識別子31に対応する共通パラメータ32および一時共通パラメータ33の情報(以後カタログ情報という)がカタログ格納部16に存在するか否かをメッセージ解析部12が判断する(S214)。カタログ識別子31に該当するカタログ情報が存在していれば、後述のS218に進む。
【0045】
S214で、カタログ識別子31に該当するカタログ情報が存在していなければ、メッセージ生成部14がカタログ問合わせ要求105を生成し、送受信部11を介してカタログサーバ3bに送信する(S215)。送受信部11はカタログサーバ3bからのカタログ問合わせ要求応答106を待つ(S216)。カタログ問合わせ要求応答106があれば、メッセージ解析部12によって抽出されたカタログ問合わせ要求応答106に記述されるカタログ情報を、カタログ格納部16に格納して(S217)、S218に進む。
【0046】
S218で、メッセージ処理部13は、カタログ格納部16でカタログ識別子31に対応するカタログ情報に含まれる通信パラメータを取得する。そして、取得した通信パラメータによって、シグナリング処理を実施する(S219)。なおS219で、前述のS213でカタログ識別子31を使ったメッセージでなければ、カタログ格納部16から通信パラメータを取得しなくてもよいので、そのままシグナリング処理を実施する。
【0047】
続いてメッセージ生成部14がセッション確立要求応答107を生成して送受信部11を介して端末2aに送信し(S220)、生成したセッション確立要求応答107から、共通パラメータリスト格納部15に保持された一時共通パラメータリスト22に一致する一時共通パラメータ33を、メッセージ解析部12はカタログ識別子31に対応した一時共通パラメータ33としてカタログ格納部16に格納して(S221)、処理を終了する(S221)。
【0048】
図8(c)は、図6にS5として示される、カタログサーバ3b内部におけるカタログ問合わせ要求105にまつわる処理を示す。起動すると(S321)、送受信部11がカタログ問合わせ要求105を受信し(S322)、メッセージ解析部12がカタログ問合わせ要求105からカタログ識別子31を抽出し、メッセージ処理部13が抽出されたカタログ識別子31に対応するカタログ情報をカタログ格納手段26から取得する(S323)。そしてメッセージ生成部14が、取得されたカタログ情報を含んだカタログ問合わせ要求応答106を作成して送受信部11を介して端末2bに送信し(S324)、処理を終了する(S325)。
【0049】
端末2bがセッション確立要求104に対するシグナリング処理を完了すると、セッション確立要求応答107を端末2a宛に返信する。このセッション確立要求応答107は、カタログサーバ3bを介してカタログサーバ3aに送られる。カタログサーバ3aでは、このセッション確立要求応答107に対しても、図8の(b)として示したものと同一の処理を行い、一時共通パラメータ33を取得してカタログ格納部16へ登録する。ここでは、端末2bによって新たに追加された通信パラメータに対して一時共通パラメータ33の登録処理を行う。この処理は図6にS6として示されているが、処理の内容は図8の(b)と同一であるので説明を省略する。この処理が終了したら、カタログサーバ3aはセッション確立要求応答107をそのまま端末2aに転送する。
【0050】
図7(c)は、図6にS7として示される、端末2aにおけるセッション確立要求応答107にまつわる処理を示す。起動すると(S231)、送受信部11がセッション確立要求応答107を受信し(S232)、メッセージ解析部12がセッション確立要求応答107から抽出した通信パラメータの中で、共通パラメータリスト格納部15において保持される一時共通パラメータリスト22に記載された通信パラメータを、メッセージ処理部13が一時共通パラメータ33としてカタログ格納部16に格納する(S233)。そしてセッション確立要求応答107に対して通常のシグナリング処理を行い、確認応答メッセージ108を端末2bに返信し(S234)、処理を終了する(S235)。
【0051】
確認応答メッセージ108は、カタログサーバ3aおよびカタログサーバ3bを介して、そのまま端末2bに送られる。以上で端末2aと端末2bとの間でのセッション確立が完了する。セッション確立の完了により、一時共通パラメータはカタログ情報としてカタログサーバ3aおよびカタログサーバ3bに登録される。同一セッションあるいはダイアログ内における以降のメッセージのやり取りでは、共通パラメータに加えて一時共通パラメータについてもカタログ識別子に置き換えて通信できる。
【0052】
図9は、図6で開示した通信の手順を、具体的なプロトコルにおいて実施する例を示すシーケンス図である。ここでは、SIP(Session Initiation Protocol)に本発明を適用した場合について説明する。SIPはIETF(Internet Engineering Task Force)において標準化されている(RFC3261)シグナリングプロトコルの1つであり、主なアプリケーションの1つとしてVoIP(Voice over Internet Protocol)がある。システムの構成および処理手順は、ここまでで説明したものと同一である。カタログサーバ3は、SIPにおけるプロキシサーバと同一装置に実装してもよい。
【0053】
図10は、図9において端末2aがカタログサーバ3aに送信するカタログ登録要求101aおよびカタログサーバ3aが端末2aに返信するカタログ登録要求応答102aの例である。端末2aは、カタログ登録要求101aとして、図10(a)に示すREGISTERメッセージ400をカタログサーバ3aに送信する。
【0054】
REGISTERメッセージ400は、SIPにおける通常のリクエストと同様に、リクエスト401とヘッダ402の後に、1行の空行をおいてボディ403という形式で構成される。リクエスト401は、リクエストの種類(メソッド)を示す「REGISTER」と、リクエストの宛先となるカタログサーバ3aを示す「sip:LS1.aaa.net」、そしてSIPのバージョンを示す「SIP/x.0」とからなる。ヘッダ402は、SIPにおける通常のリクエストと同様に、Via、Max-Forwards、From、To、Call-ID、CSeq、Contact、Content-Type、Content-Lengthといった各行が示されている。これらについての詳しい説明は、当業者には公知であるので省略する。
【0055】
ボディ403には、端末2aがカタログ登録しようとしている共通パラメータ32が記述される。ここで記述されるのは、ヘッダの中で共通して使われる情報、およびSDP(Session Description Protocol)を用いてSIPボディ部分に記述されるセッション情報の一部である。ここで記載された各々のパラメータを共通パラメータ32として扱うかどうかは、カタログサーバ3a側の共通パラメータリスト格納部15に格納される共通パラメータリスト21を参照して決定する。
【0056】
また、1行に複数通信パラメータが含まれ、該当行に含まれる通信パラメータの一部が共通パラメータでない場合には、「*」などの略記号に置き換え非共通パラメータ部分であることを明示する。図10(a)の例では、セッションを識別するための情報を示すタイプであるo=行404に、非共通パラメータ部分を示す「*」が含まれる。略記号に置き換えられた通信パラメータについては、メッセージ送信の度に値が記述される。
【0057】
ヘッダの中で使われるVia行406、From行407、およびContact行408も、非共通パラメータ部分を示す「*」を含むが、共通パラメータリスト21に含まれるので、ここでは共通パラメータ32として登録される。
【0058】
セッションの開始および終了の時刻を示すタイプであるt=行405は、共通パラメータリスト21に含まれないので、共通パラメータ32として登録されない。その他のパラメータを示すv=行、s=行、c=行、m=行、a=行は、共通パラメータリスト21に含まれるので、共通パラメータ32として登録される。
【0059】
REGISTERメッセージ400を受信したカタログサーバ3aは、メッセージ処理部13において、ボディ403に記述された共通パラメータ32に対してカタログ識別子31を発行し、図8の(a)(図6および図9のS2)として示した処理を実行する。ここでは「xxx@aaa.net」というカタログ識別子31が発行されている。次にカタログサーバ3aは、端末2aに対して、カタログ登録要求応答102aとして、図10(b)に示す200 OKレスポンス(以後、単にOKレスポンスという)410を返信する。OKレスポンス410は、SIPにおける通常のレスポンスと同様に、ステータス411とヘッダ412という形式で構成される。ここではボディは無い。
【0060】
ステータス411は、SIPのバージョンを示す「SIP/x.0」と、ステータスを表す「200 OK」とからなる。ヘッダ412は、SIPにおける通常のリクエストと同様のVia、From、To、Call-ID、CSeq、Contact、Expires、Content-Lengthといった各行に加えて(やはりこれらも、当業者には公知であるので詳しい説明は省略する)に加えて、発行されたカタログ識別子31を示すCatalog-ID行413が含まれる。
【0061】
OKレスポンス410を受信した端末2aは、図7の(a)(図6および図9のS1)として示した処理によって、カタログ識別子31とそれに対応するカタログ情報をカタログ格納部16へ格納する。以上で、カタログ登録が完了する。
【0062】
図11は、図9において端末2aが端末2bに送信するセッション確立要求104および端末2bが端末2aに返信するセッション確立要求応答107の例である。端末2aは、セッション確立要求104として、図11(a)に示すINVITEメッセージ420を端末2bに送信する。
【0063】
INVITEメッセージ420は、SIPにおける通常のリクエストと同様に、リクエスト421とヘッダ422の後に、1行の空行をおいてボディ423という形式で構成される。リクエスト421は、リクエストの種類(メソッド)を示す「INVITE」と、リクエストの宛先となるURIを示す「sip:UserB@bbb.net」、そしてSIPのバージョンを示す「SIP/x.0」とからなる。ヘッダ422は、REGISTERメッセージ400のヘッダ402と同様の各行に加えて、前述のカタログ識別子31を示すCatalog-ID行424が含まれる。
【0064】
ここで、端末2aがメッセージを生成する際、メッセージ生成部14は共通パラメータリスト格納部15に保持される共通パラメータリスト21を参照し、共通パラメータ32に関して行ごと省略するか、もしくは「&」などのような略記号に置き換えて、ボディ423に記述する。
【0065】
特に「*」などの略記号に置き換えられた非共通パラメータ部分を含む共通パラメータ32については、「*」に該当する部分について数値などを記述し、それ以外の部分は「&」などのような略記号に置き換える。
【0066】
図11(a)の例では、ボディ423のo=行425に、非共通パラメータ部分を示す「*」が2個含まれて共通パラメータ32として登録されているので、ここでは*に該当する数値2つと、それ以外の部分を示す略記号「&」を記述する。t=行426は、共通パラメータリスト21に含まれないので、そのまま記述する。ボディ423において、これ以外のパラメータ(v=行、s=行、c=行、m=行、a=行)は、すべて共通パラメータリスト21に含まれ、かつ非共通パラメータ部分もないので、行ごと省略する。
【0067】
また、ヘッダ422においても、Via行406およびFrom行407が非共通パラメータ部分を示す「*」を含む共通パラメータ32として既に登録されているので、ここではVia行427およびFrom行428は、共通パラメータ32の*に該当する部分のみを記述し、それ以外の部分は略記号「&」で記述するようにする。Contact行408は丸ごと共通パラメータ32として既に登録されているので、ヘッダ422においては省略する。ちなみにMax-Forward行429は、そのまま記載する(共通パラメータ32にはMax-Forwards行409が登録されているが、Max-Forward行429は共通パラメータ32に該当しないので)。
【0068】
INVITEメッセージ420を受信したカタログサーバ3aは、図8(b)(図6および図9のS4)に示した処理によって、INVITEメッセージ420に含まれる一時共通パラメータ33を抽出してカタログ格納部16に格納し、受信したINVITEメッセージ420自体には特に何もせずに端末2bに転送する。一時共通パラメータ33の例としては、ヘッダ422のFrom行428内部のtag、およびCall-ID行のように同一ダイアログ内で同じ値が複数メッセージにおいて使用される通信パラメータが挙げられる。
【0069】
カタログサーバ3bを経由してINVITEメッセージ420を受信した端末2bは、図7(b)(図6および図9のS3)に示した処理を行い、端末2aにセッション確立要求応答107として図11(b)に示すOKレスポンス430を返信する。OKレスポンス430は、図10(b)に示したOKレスポンス410と同様のステータス431とヘッダ432に加えて、1行の空行をおいてボディ433という形式で構成される。ヘッダにはCatalog-ID行434が、OKレスポンス410と同様に含まれる。ボディ433は、端末2aと端末2bとの間で確立された通信条件を示すSDPによって記述されるセッション情報である。これらも、当業者には公知であるので詳しい説明は省略する。
【0070】
図12は、図9において端末2bがカタログサーバ3bに送信するカタログ問合わせ要求105およびカタログサーバ3bが端末2bに返信するカタログ問合わせ要求応答106の例である。端末2bは、カタログ問合わせ要求105として、図12(a)に示すOPTIONSメッセージ440をカタログサーバ3bに送信する。
【0071】
OPTIONSメッセージ440は、SIPにおける通常のリクエストと同様に、リクエスト441とヘッダ442とで構成されるが、ここではボディは無い。リクエスト441は、リクエストの種類(メソッド)を示す「OPTIONS」と、リクエストの宛先となるURIを示す「sip:ls1@bbb.net」、そしてSIPのバージョンを示す「SIP/x.0」とからなる。ヘッダ442は、INVITEメッセージ420のヘッダ422と同様の各行で構成される。ヘッダ442には、カタログ情報問い合わせの対象となるカタログ識別子31を含むRequest-Catalog-ID行444が含まれる。
【0072】
なお、端末2bはカタログサーバ3bに対して、あらかじめ図10(a)で示したものと同様のREGISTERコマンドを送信して自らのカタログ情報を登録している。そのため、OPTIONSメッセージ440のヘッダ442には、端末2bが登録したカタログ情報に対応するカタログ識別子を含むCatalog-ID行443が含まれ、また前述のINVITEメッセージ420と同様に、自らの登録したカタログ情報に基づいてヘッダ442の一部を省略している。
【0073】
OPTIONSメッセージ440を受信したカタログサーバ3bは、図8(c)(図6および図9のS5)に示した処理を行い、端末2bにカタログ問合わせ要求応答106として図12(b)に示すOKレスポンス450を返信する。OKレスポンス450は、図10(b)に示したOKレスポンス410と同様のステータス451とヘッダ452に加えて、1行の空行をおいてボディ453という形式で構成される。ヘッダにはCatalog-ID行454とRequest-Catalog-ID行455とが、OKレスポンス410と同様に含まれる。ボディ453は、OPTIONSメッセージ440のRequest-Catalog-ID行444に含まれるカタログ識別子31に対応するカタログ情報が、REGISTERメッセージ400のボディ403と同様の形で記述されている。
【0074】
端末2bは、カタログサーバ3bにOPTIONSメッセージ440を送信してカタログ情報を得ることにより、Request-Catalog-ID行455に含まれるカタログ識別子31に対応するカタログ情報を取得して、カタログ格納部16に格納することができる。これにより、端末2aの共通パラメータ32についての情報を得ることができるので、データ量が大幅に削減されたINVITEメッセージ420に対しても通信パラメータを解釈して、通常のINVITEメッセージと同様にシグナリング処理を行うことができる。
【0075】
OKレスポンス430(セッション確立要求応答107)を受けた端末2aは、図7(c)(図6および図9のS7)に示した処理を行い、確認応答メッセージ108としてACKリクエスト460を端末2b宛に送信する。ACKリクエスト460、およびS7以後の処理は当業者には公知であるので、詳しい説明は省略する。
【0076】
図13は、本実施の形態によらない従来の通信システムにおいて、端末が発信する従来のINVITEメッセージ520の例である。従来のINVITEメッセージ520は、リクエスト521とヘッダ522の後に、1行の空行をおいてボディ523という形式で構成される。
【0077】
従来のINVITEメッセージ520と、図11(a)に示した本実施の形態のINVITEメッセージ420とを比較すると、従来のINVITEメッセージ520ではボディ523に少なくとも7行(図13では11行)のパラメータを記述するのに対して、本実施の形態のボディ423では2行を記述するだけで済み、1行あたりの記述も少なくなっていることがわかる。また、本実施の形態のヘッダ422は、従来のヘッダ522と比べてCatalog-ID行424が1行加わるが、Via行427およびFrom行428の一部、さらにContact行の全部が省略されている。従って、従来のINVITEメッセージ520と比べて、本実施の形態のINVITEメッセージ420のデータ量が大幅に削減されていることは一目瞭然である。
【0078】
本実施の形態によって、カタログ情報として登録された共通パラメータ32を適用することにより、ヘッダおよびボディにおいて共通して使われるパラメータを、データサイズの小さなカタログ識別子に置き換えて通信を行うことができる。このため、INVITEメッセージ以外においても、図6〜12で示したセッション確立の処理が完了すれば、端末が送受信するすべてのメッセージにおいて、これと同じ方法によってデータ量を削減することができる。
【0079】
また、端末がメッセージを送受信する際の処理は、単純な置換処理によって行うことができるので、複雑なデータの圧縮/伸長処理を必要とはしない。従って、本実施の形態を適用することによる端末における処理量の増大は、ごく僅かである。
【0080】
以上のように、本実施の形態によって、端末における処理量をほとんど増大させずに、メッセージのデータ量の削減を実現することが可能である。従って、リソースを削減された安価な端末であっても、本実施の形態を容易に実施することができるので、そのような端末のコストダウンに好適な構成を備えていると言える。
【0081】
なお、図9以降で示したSIPは、一般的によく使用されるプロトコルの一つとして例示したに過ぎない。本発明はこれ以外のプロトコルにおいても利用可能である。また、本発明はリソースを削減された安価な端末での利用に適しているが、端末の種類はセンサネットワークにおけるセンサ端末などに限定されるものではない。たとえば、いわゆるIP電話など、SIPのアプリケーションの1つであるVoIPによって音声通信を行う端末においても利用できる。
【0082】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることは言うまでもないことである。
【産業上の利用可能性】
【0083】
データ通信を行う端末によって構成されるネットワークにおいて利用可能である。プロトコルの種類、および端末やデータの種類は特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態に係るデータ通信システムのネットワーク構成を示す概念図である。
【図2】図1で開示した端末の構成を示すブロック図である。
【図3】図1で開示したカタログサーバの構成を示すブロック図である。
【図4】図2〜3で開示した端末およびカタログサーバ内部の共通パラメータリスト格納部が格納するデータの構成を示す概念図である。
【図5】図2〜3で開示した端末およびカタログサーバ内部のカタログ格納部が格納するデータの構成を示す概念図である。
【図6】図1で開示したデータ通信システムにおける通信の手順を示すシーケンス図である。
【図7】図2で開示した端末における処理の内容を示すフローチャートである。
【図8】図3で開示したカタログサーバにおける処理の内容を示すフローチャートである。
【図9】図6で開示した通信の手順を、具体的なプロトコルにおいて実施する例を示すシーケンス図である。
【図10】図9において端末がカタログサーバに送信するカタログ登録要求およびカタログサーバが端末に返信するカタログ登録要求応答の例である。
【図11】図9において端末が他の端末に送信するセッション確立要求およびセッション確立要求応答の例である。
【図12】図9において端末がカタログサーバに送信するカタログ問合わせ要求およびカタログサーバが端末に返信するカタログ問合わせ要求応答の例である。
【図13】従来の通信システムにおいて、端末が発信する従来のINVITEメッセージの例である。
【符号の説明】
【0085】
1 データ通信システム
2、2a、2b 端末
3、3a、3b カタログサーバ
4 ネットワーク
10 主制御部
12 メッセージ解析部
13 メッセージ処理部
14 メッセージ生成部
15 共通パラメータリスト格納部
16 カタログ格納部
21 共通パラメータリスト
22 一時共通パラメータリスト
31 カタログ識別子
32 共通パラメータ
33 一時共通パラメータ
101a、101b カタログ登録要求
102a、102b カタログ登録要求応答
103 新規カタログ情報
104 セッション確立要求
105 カタログ問合わせ要求
106 カタログ問合わせ要求応答
107 セッション確立要求応答
108 確認応答メッセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末がネットワークを通じて相互に通信するデータ通信システムであって、
前記端末は、
前記ネットワークを通じて他の端末と通信する第1の送受信部と、
カタログ識別子と関連づけた共通パラメータを記憶する第1のカタログ格納部と、
通信データに含まれる前記共通パラメータを前記カタログ識別子によって置換して前記他の端末に送信する第1のメッセージ生成部と
を有することを特徴とするデータ通信システム。
【請求項2】
前記端末は、
他の端末から受信した通信データにカタログ識別子が含まれるか否かを解析する第1のメッセージ解析部と、
前記受信した通信データに前記カタログ識別子が含まれていれば、前記カタログ識別子を前記共通パラメータに置換する第1のメッセージ処理部と
を有することを特徴とする、請求項1に記載のデータ通信システム。
【請求項3】
前記ネットワークは前記端末と通信が可能なカタログサーバを有し、
前記端末は、
前記第1のメッセージ生成部が前記共通パラメータとして扱う通信パラメータのリストである共通パラメータリストを前記カタログサーバに送信し、
前記カタログサーバは、
前記ネットワークを通じて他の端末およびカタログサーバと通信する第2の送受信部と、
前記共通パラメータリストに対して前記カタログ識別子を発行する第2のメッセージ処理部と、
前記共通パラメータリストに記載された共通パラメータを前記カタログ識別子に対応づけて格納する第2のカタログ格納部と、
前記カタログ識別子を前記端末に返信する第2のメッセージ生成部と
を有することを特徴とする、請求項2に記載のデータ通信システム。
【請求項4】
前記端末において、
前記第1のメッセージ解析部は、前記他の端末から受信した通信データにカタログ識別子が含まれており、かつ前記カタログ識別子が前記第1のカタログ格納部に含まれているか否かを解析し、
前記第1のメッセージ処理部は、前記カタログ識別子が前記第1のカタログ格納部に含まれていなければ、前記カタログサーバに前記カタログ識別子に対応する前記共通パラメータを照会する
ことを特徴とする、請求項3に記載のデータ通信システム。
【請求項5】
前記カタログサーバにおいて、
前記端末から前記共通パラメータの照会を受けたことに反応して、前記第2のメッセージ処理部は、前記カタログ識別子に対応する前記共通パラメータを前記第2のカタログ格納部から検索し、
前記第2のメッセージ生成部は、前記検索された共通パラメータを前記端末に送信する
ことを特徴とする、請求項4に記載のデータ通信システム。
【請求項6】
前記共通パラメータは、特定の期間においてのみ使用できる一時共通パラメータを含むことを特徴とする、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載のデータ通信システム。
【請求項7】
他の端末とネットワークを通じて相互に通信可能な端末であって、
前記ネットワークを通じて他の端末と通信する送受信部と、
カタログ識別子と関連づけた共通パラメータを記憶するカタログ格納部と、
通信データに含まれる前記共通パラメータを前記カタログ識別子によって置換して前記他の端末に送信するメッセージ生成部と
を有することを特徴とする端末。
【請求項8】
他の端末から受信した通信データにカタログ識別子が含まれるか否かを解析するメッセージ解析部と、
前記受信した通信データに前記カタログ識別子が含まれていれば、前記カタログ識別子を前記共通パラメータに置換するメッセージ処理部と
を有することを特徴とする、請求項7に記載の端末。
【請求項9】
前記メッセージ生成部が前記共通パラメータとして扱う通信パラメータのリストである共通パラメータリストを前記ネットワークに接続されたカタログサーバに送信し、
前記カタログ格納部が前記カタログサーバから受信したカタログ識別子を前記共通パラメータリストと関連づけて記憶することを特徴とする、請求項8に記載の端末。
【請求項10】
前記メッセージ解析部は、前記他の端末から受信した通信データにカタログ識別子が含まれており、かつ前記カタログ識別子が前記カタログ格納部に含まれているか否かを解析し、
前記メッセージ処理部は、前記カタログ識別子が前記カタログ格納部に含まれていなければ、前記カタログサーバに前記カタログ識別子に対応する前記共通パラメータを照会する
ことを特徴とする、請求項9に記載の端末。
【請求項11】
前記照会に対応して前記カタログサーバから返送されてきた前記カタログ識別子に対応する前記共通パラメータを、前記カタログ格納部が前記カタログ識別子と関連づけて記憶することを特徴とする、請求項10に記載の端末。
【請求項12】
前記共通パラメータは、特定の期間においてのみ使用できる一時共通パラメータを含むことを特徴とする、請求項7ないし11のうちいずれか1項に記載の端末。
【請求項13】
複数の端末および単数もしくは複数のカタログサーバがネットワークを通じて相互に通信するデータ通信システムにおいて使用されるカタログサーバであって、
前記ネットワークを通じて他の端末と通信し、前記端末が共通パラメータとして扱う通信パラメータのリストである共通パラメータリストを受信する送受信部と、
前記共通パラメータリストに対してカタログ識別子を発行するメッセージ処理部と、
前記共通パラメータリストに記載された共通パラメータを前記カタログ識別子に対応づけて格納するカタログ格納部と、
前記カタログ識別子を前記端末に返信するメッセージ生成部と
を有することを特徴とするカタログサーバ。
【請求項14】
前記端末から前記共通パラメータの照会を受けたことに反応して、前記メッセージ処理部は、前記カタログ識別子に対応する前記共通パラメータを前記カタログ格納部から検索し、
前記メッセージ生成部は、前記検索された共通パラメータを前記端末に送信する
ことを特徴とする、請求項13に記載のカタログサーバ。
【請求項15】
第1のカタログ格納部を有する複数の端末がネットワークを通じて相互に通信するデータ通信システムにおいてデータ通信を行う方法であって、
前記端末が他の端末に送信する通信データを生成するデータ生成工程と、
前記端末がカタログ識別子と関連づけた共通パラメータを前記第1のカタログ格納部から検索するカタログ検索工程と、
前記端末が前記通信データに含まれる前記共通パラメータを前記カタログ識別子によって置換する第1の置換工程と、
前記端末が前記置換された通信データを前記他の端末に送信する送信工程と
を有することを特徴とするデータ通信方法。
【請求項16】
前記端末が他の端末から通信データを受信する受信工程と、
前記端末が前記受信工程で受信された通信データにカタログ識別子が含まれるか否かを解析するメッセージ解析工程と、
前記受信した通信データに前記カタログ識別子が含まれていれば、前記端末が前記カタログ識別子を前記共通パラメータに置換する第2の置換工程と
を有することを特徴とする、請求項15に記載のデータ通信方法。
【請求項17】
前記ネットワークは前記端末と通信が可能で第2のカタログ格納部を有するカタログサーバを有し、
前記端末が前記共通パラメータとして扱う通信パラメータのリストである共通パラメータリストを前記カタログサーバに送信するカタログ送信工程と、
前記カタログサーバが前記共通パラメータリストを受信するカタログ受信工程と、
前記カタログサーバが前記共通パラメータリストに対して前記カタログ識別子を発行する識別子発行工程と、
前記カタログサーバが前記共通パラメータリストに記載された共通パラメータを前記カタログ識別子に対応づけて前記第2のカタログ格納部に格納するカタログ格納工程と、
前記カタログサーバが前記カタログ識別子を前記端末に返信する識別子送信工程と
を有することを特徴とする、請求項16に記載のデータ通信方法。
【請求項18】
他の端末とネットワークを通じて相互に通信可能で第1のカタログ格納部を有する端末において、前記端末が備えるコンピュータに、
他の端末に送信する通信データを生成する機能と、
カタログ識別子と関連づけた共通パラメータを前記第1のカタログ格納部から検索する機能と、
前記通信データに含まれる前記共通パラメータを前記カタログ識別子によって置換する機能と、
前記置換された通信データを前記他の端末に送信する機能と
を実行させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項19】
前記端末が備えるコンピュータに、
他の端末から通信データを受信する機能と、
前記受信工程で受信された通信データにカタログ識別子が含まれるか否かを解析する機能と、
前記受信した通信データに前記カタログ識別子が含まれていれば、前記カタログ識別子を前記共通パラメータに置換する機能と
を実行させることを特徴とする、請求項18に記載の通信プログラム。
【請求項20】
複数の端末および単数もしくは複数のカタログサーバとネットワークを通じて相互に通信可能で第2のカタログ格納部を有するカタログサーバにおいて、前記カタログサーバが備えるコンピュータに、
前記端末から前記共通パラメータリストを受信する機能と、
前記共通パラメータリストに対して前記カタログ識別子を発行する機能と、
前記共通パラメータリストに記載された共通パラメータを前記カタログ識別子に対応づけて前記第2のカタログ格納部に格納する機能と、
前記カタログ識別子を前記端末に返信する機能と
を実行させることを特徴とする通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−77141(P2009−77141A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244033(P2007−244033)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成18年度、独立行政法人情報通信研究機構、高度通信・放送研究開発における委託研究)は産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】