説明

トナーとトナーの製造方法及び画像形成方法

【課題】 長期にわたって安定した画像を形成することができ、カブリなどの画像欠陥の発生の無い、高解像で高精細な画像を形成するトナーを提供する。
【解決手段】 少なくとも樹脂と着色剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、該トナーの下記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに下記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【数1】

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ等に用いられる静電荷像現像用トナー、トナーの製造方法および画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子写真法としては種々の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用して、種々の手段により感光体上に静電的潜像を形成し、次いで該潜像とは逆の帯電を有するトナー(現像剤)で現像を行って顕像化し、得られたトナー像は必要に応じて紙等の転写材に転写したのち、熱・圧力等により転写材上にトナー画像として定着し複写物を得るものである。
【0003】電子写真法における現像方式は、主として、一成分系現像方式と二成分系現像方式に分けられる。また、一成分系現像方式には、更に磁性と非磁性とがあり、磁性はトナー中に磁性材料が包含されるものであり、非磁性は磁性材料を包含しないものであり、最近は非磁性一成分系現像方式が主流となって来ている。
【0004】非磁性一成分系現像方式は、二成分系現像方式で必要とするキャリア粒子が不要で、現像装置も小型化・軽量化でき、最近では一成分トナーを用いた現像装置が多く用いられるようになってきている。
【0005】又、二成分系現像方式はトナーとキャリアとの混合体である現像剤中のトナー濃度を一定に保つ必要が有るため、トナー濃度を検知し必要量のトナーを補給する装置が必要で、現像装置が大きくなり、重くなる。これに対し一成分系現像方式ではこれらのトナー濃度調整機構が不要であり、簡便な方法として好まれている。
【0006】しかしながら、二成分系現像方式ではその帯電付与の機能が分離されていることにより、材料の設計や使用条件の許容範囲が広く、装置設計上有利であり、未だ広く使用されている。
【0007】また、最近のプリンター装置は、LEDやLBを光源としたものが主流で、技術の方向としてより高解像度化、即ち、300dpi(dpiは2.54cm当りのドット数を表す)〜400dpiのものから最近では600〜12000dpiとなってきており、現像方式も更なる高精細化が要求されてきている。
【0008】この流れは複写機においても同様で、デジタル化の方向に進んでおり、静電潜像をレーザーで形成する方式が主となり、高解像、高精細の現像方式が要求されてきている。
【0009】このため、例えば、特開平1−112253号、同2−284158号に見られるように、粒径の小さいトナーが提案されており、トナー粒径は更に小さい方向へと進みつつある。
【0010】又、新しいトナーとして、特開昭61−279864号に、形状係数SF−1及びSF−2を規定した球形トナーの提案があるが、これらの公報に記載された実施例に基づいて検討を行った結果ではクリーニング特性に問題があることが判った。
【0011】即ち、現像工程で感光体上に形成されたトナー像は転写工程で転写材に転写されるが、感光体上に残った転写残トナーは、クリーニング工程でクリーニングされ、廃トナー容器に蓄えられる。このクリーニング工程では、従来から、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラクリーニング等のクリーニング手段が用いられている。
【0012】また、最近は環境への対応から、廃トナーの発生しない、残トナーを再び現像に共するトナーリサイクル方式が一般的に行われるようになってきている。
【0013】しかし、これら画像形成方式にて小粒径化されたトナーを使用すると、現像器中でのストレス(非磁性一成分でのトナーの搬送系における薄層形成時のストレス、トナーリサイクル方式におけるクリーニング時及び搬送系でのズリ応力等のストレス、二成分現像剤でのキャリアへの汚染)等の影響を受けやすく、長期にわたる現像の安定化を達成することができないのが現状である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、長期にわたって安定した画像を形成することができ、カブリなどの画像欠陥の発生の無い、高解像で高精細な画像を形成するトナーを提供すること及びそのトナーを用いた非磁性一成分画像形成方法、トナーリサイクル画像形成方法、二成分画像形成方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討した結果、トナーの劣化のメカニズムを解析し、本発明を完成するに至ったものである。
【0016】即ち、本発明は画像形成に用いられるトナーに関し、トナー粒子がその形状係数において特定の範囲の値を有すると共に、更に特定の関係を有し、特定範囲内の小粒径の粒子を特定割合以下含有するものである。
【0017】(1)少なくとも樹脂と着色剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、該トナーの前記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに前記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0018】(2)少なくとも樹脂粒子を水系媒体中で融着させてなるトナーの製造方法において、該トナーの前記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに前記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
【0019】(3)感光体上に形成された静電潜像を、現像剤搬送部材上に形成された一成分静電荷像現像用トナーからなる現像剤層に接触状態で対向させ、少なくとも樹脂と着色剤とからなる着色粒子と外添剤を含有する静電荷像現像用トナーにより顕像化する現像工程を含む画像形成方法において、該トナーの前記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに前記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とする画像形成方法。
【0020】(4)感光体上に形成された静電潜像を少なくとも樹脂と着色剤とからなる着色粒子と外添剤とからなる静電荷像現像用トナーにより顕像化する現像工程と画像形成支持体に前記トナーを転写する工程と感光体上に残留した未転写トナーをクリーニング機構により感光体より除去する工程と感光体より除去されたトナーを回収し現像部へ戻す工程を含む画像形成方法において、該着色粒子の前記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに前記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とする画像形成方法。
【0021】(5)感光体上に形成された静電潜像をキャリアとトナーからなる二成分現像剤により顕像化する現像工程を含む画像形成方法において、該トナー中の着色粒子の前記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに前記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とする画像形成方法。
【0022】即ち、トナー中に存在する微粒子はその粒子径が小さいことにより静電的な付着力に加えてファンデルワールス力による付着力が大きく、付着した場合にはなかなかはずすことが困難である。このため、このような微粒子の存在しているトナーをトナーリサイクル方式や非磁性一成分方式等の様にストレスの大きな画像形成方法に使用した場合、キャリアや現像剤搬送部材に融着しやすく、その結果帯電性を大きく低下させてしまう問題があることが判明した。
【0023】このファンデルワールス力が大きくなる粒子の大きさについて検討した結果、1μm以下の粒子が存在した場合に特にその影響がでることが判明し、これらの粒径をできる限り減少させたトナー及びそれらのトナーを製造する方法により本発明を完成するに至ったものである。
【0024】また、トナー自体の形状に関しても検討した結果、特定の形状とすることにより、感光体や現像剤搬送部材、キャリアなどへの付着力を低減することができ、小粒径成分の付着を抑制することができることも見いだした。この理由については明確ではないが、ある程度の不定形化によりファンデルワールス力を低下することができ、小粒径化されたトナーの付着性を抑制することができるものと考えられる。
【0025】(形状係数の求め方)本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を前記式にて測定したものである。
【0026】トナーの前記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに前記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下である。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。
【0027】SF−1が125未満であると形状が球形化するためファンデルワースル力が増大するために付着性が強くなり課題を解決することができず、170を越えると異形度が高くなるため接触点が増大し、ファンデルワースル力低減の効果がかえって小さくなり、付着性が大きくなってしまう。SF−1は好ましくは130〜165、さらに好ましくは135〜160である。
【0028】また、SF−1とSF−2の比が1.10未満の場合にはファンデルワースル力が増大するために付着性が強くなり課題を解決することができず、1.52を越えると異形度が高くなるため接触点が増大し、ファンデルワースル力低減の効果がかえって小さくなり、付着性が大きくなってしまう。1.10〜1.52のものが95個数%以上、さらに好ましくは1.20〜1.35のものが60個数%以上である。
【0029】さらに、フロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることが必要で、5.0個数%を越えると現像剤搬送部材や感光体やキャリアに対して微粒子が付着する問題を解決することができない。
【0030】(単量体)重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋剤を使用することができる。また、以下の酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
【0031】(1)ラジカル重合性単量体ラジカル重合性単量体成分としては、特に限定されるものではなく従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0032】具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0033】芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0034】(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸γ−アミノプロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0035】ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0036】ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0037】モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0038】ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0039】ハロゲン化オレフィン系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等が挙げられる。
【0040】(2)架橋剤架橋剤としては、トナーの特性を改良するためにラジカル重合性架橋剤を添加しても良い。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0041】(3)酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、例えば、カルボキシル基含有単量体、スルホン酸基含有単量体、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等のアミン系の化合物を用いることができる。
【0042】酸性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボン酸基含有単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル等が挙げられる。
【0043】スルホン酸基含有単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル等が挙げられる。
【0044】これらは、ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩あるいはカルシウムなどのアルカリ土類金属塩の構造であってもよい。
【0045】塩基性基を有するラジカル重合性単量体としては、アミン系の化合物があげられ、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、および上記4化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルピロリドン;ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0046】本発明に用いられるラジカル重合性単量体としては、酸性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性基を有するラジカル重合性単量体が単量体全体の0.1〜15質量%使用することが好ましく、ラジカル重合性架橋剤はその特性にもよるが、全ラジカル重合性単量体に対して0.1〜10質量%の範囲で使用することが好ましい。
【0047】〔連鎖移動剤〕分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。
【0048】連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、四臭化炭素およびスチレンダイマー等が使用される。
【0049】〔重合開始剤〕本発明に用いられるラジカル重合開始剤は水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス−4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
【0050】更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いる事で、重合活性が上昇し重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が期待できる。
【0051】重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0052】〔界面活性剤〕前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することのできる界面活性剤としては特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
【0053】イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0054】また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0055】本発明において、これらは、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
【0056】〔着色剤〕着色剤としては無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。
【0057】無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0058】黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0059】これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0060】磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%添加することが好ましい。
【0061】有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0062】マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0063】オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、等が挙げられる。
【0064】グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0065】また、染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。
【0066】これらの有機顔料及び染料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0067】着色剤は表面改質して使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が好ましく用いることができる。
【0068】〔離型剤〕本発明に用いられる離型剤としては特に限定されない。ポリプロピレン、ポリエチレンなどの低分子量ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、エステルワックス等が使用できる。好適には、下記一般式で示されるエステルワックスである。
【0069】R1−(OCO−R2n式中、n=1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4を表す。
【0070】R1、R2は各々置換基を有しても良い炭化水素基を表し、R1は好ましくは炭素数1〜40であり、さらに好ましくは1〜20、特に好ましくは2〜5であり、R2は好ましくは炭素数=1〜40、さらに好ましくは16〜30、特に好ましくは18〜26である。
【0071】以下に本発明に好ましく用いられる離型剤の具体的化合物例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
【化1】


【0073】
【化2】


【0074】これら離型剤の添加量はトナー全体に1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0075】本発明のトナーは、モノマー中に離型剤を溶解させたものを水中に分散し、重合させ、樹脂粒子中に離型剤を内包させた粒子を形成させ、着色剤粒子とともに塩析/融着することでトナーとすることが好ましい。
【0076】《製造工程》本発明の重合トナーの好ましい製造工程は、離型剤を溶解したモノマー溶液を水系媒体中に分散し、ついで重合法により離型剤を内包した樹脂粒子を調製する工程、前記樹脂粒子分散液を用いて水系媒体中で樹脂粒子を塩析融着させる工程、得られた粒子を水系媒体中より濾過し界面活性剤などを除去する洗浄工程、得られた粒子を乾燥させる工程、さらに乾燥させて得られた粒子に外添剤などを添加する外添剤添加工程などから構成されるものである。ここで樹脂粒子としては着色された粒子であってもよい。また、非着色粒子を樹脂粒子として使用することもできる。この場合には、樹脂粒子の分散液に着色剤粒子分散液などを添加した後に水系媒体中で融着させることで着色粒子とすることができる。
【0077】特に、融着の方法としては、重合工程によって生成された樹脂粒子を用いて塩析/融着する方法が好ましい。また、非着色の樹脂粒子を使用した場合には、樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中で塩析/融着させることができる。
【0078】また、着色剤や離型剤に限らず、トナーの構成要素である荷電制御剤等も本工程で粒子として添加することができる。
【0079】なお、ここで水系媒体とは主成分として水からなるもので、水の含有量が50質量%以上であるものを示す。水以外の溶剤としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどをあげることができる。好ましくは樹脂を溶解しない有機溶媒であり、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0080】本発明での好ましい重合法としては、モノマー中に離型剤を溶解したモノマー溶液を臨界ミセル濃度以下の界面活性剤を溶解させた水系媒体中に機械的エネルギーによって油滴分散させた分散液に、水溶性重合開始剤を加え、ラジカル重合させる方法をあげることができる。この場合、モノマー中に油溶性の重合開始剤を加えて使用してもよい。
【0081】この油滴分散を行うための分散機としては特に限定されるものでは無いが、例えばクレアミックス、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等をあげることができる。
【0082】着色剤自体は表面改質して使用してもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散し、その中に表面改質剤を添加した後昇温し反応を行う。反応終了後、ろ過し同一の溶媒で洗浄ろ過を繰り返し乾燥させ表面改質剤で処理された顔料を得る。
【0083】着色剤粒子は着色剤を水系媒体中に分散して調製する方法がある。この分散は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。
【0084】顔料分散時の分散機は特に限定されないが、好ましくはクレアミックス、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0085】ここで使用される界面活性剤は、前述の界面活性剤を使用することができる。塩析/融着を行う工程は、樹脂粒子及び着色剤粒子とが存在している水中にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、ついで樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。
【0086】ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。また塩を構成するものとしては、塩素塩、臭素塩、沃素塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
【0087】本発明の融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間をできるだけ短くすることが好ましい。この理由として明確では無いが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。この塩析剤を添加する温度は特に限定されない。
【0088】また、本発明では、樹脂粒子の分散液をできるだけ速やかに昇温し、樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱する方法を使用することが好ましい。この昇温までの時間としては30分未満、好ましくは10分未満である。さらに、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、1℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確では無いが、急速な塩析/融着の進行により粗大粒子の発生を抑制する観点で、15℃/分以下が好ましい。特に好ましい形態としては、塩析/融着をガラス転移温度以上になった時点でも継続して進行させる方法をあげることができる。この方法とすることで、粒子の成長とともに融着が効果的に進行させることができ、最終的なトナーとしての耐久性を向上することができる。
【0089】トナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を加えてもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
【0090】荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0091】樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させる重合法トナーでは、融着段階での反応容器内の媒体の流れおよび温度分布を制御することで、さらには融着後の形状制御工程において加熱温度、攪拌速度、時間を制御することで、トナー全体の形状分布および形状を任意に変化させることができる。
【0092】すなわち、樹脂粒子を会合あるいは融着させる重合法トナーでは、反応装置内の流れを層流とし、内部の温度分布を均一化することができる攪拌翼および攪拌槽を使用して、融着工程および形状制御工程での温度、回転数、時間を制御することにより、本発明の形状係数および均一な形状分布を有するトナーを形成することができる。この理由は、層流を形成させた場で融着させると、凝集および融着が進行している粒子(会合あるいは凝集粒子)に強いストレスが加わらず、かつ流れが加速された層流においては攪拌槽内の温度分布が均一である結果、融着粒子の形状分布が均一になると推定される。さらに、その後の形状制御工程での加熱、攪拌により融着粒子は徐々に球形化し、トナー粒子の形状を任意に制御できる。
【0093】本発明の形状に制御するためには、塩析と融着を同時進行させることが好ましい。凝集粒子を形成した後に加熱する方法ではその形状に分布を生じやすく、さらに微粒子の発生を抑制することができない。すなわち、凝集粒子を水系媒体中で攪拌しながら加熱するために凝集粒子の再分断が発生し、小粒径の成分が発生しやすいものと推定される。
【0094】〈外添剤〉本発明のトナーには、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0095】無機微粒子としては、従来公知のものを使用することができる。具体的には、シリカ、チタン、アルミナ微粒子等が好ましく用いることができる。これら無機微粒子としては疎水性のものが好ましい。具体的には、シリカ微粒子として、例えば日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0096】チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0097】アルミナ微粒子としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0098】また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。このものとしては、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
【0099】滑剤には、例えばステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩等の高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。
【0100】これら外添剤の添加量は、トナーに対して0.1〜5質量%が好ましい。外添剤の添加方法としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用することができる。
【0101】〈現像剤〉キャリアと混合して二成分現像剤として用いる場合にはキャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0102】キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0103】キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0104】(非磁性一成分の例)
《画像形成方法》本発明の画像形成装置は、トナー搬送部材、トナー層規制部材及びトナー補給補助部材を備え、且つトナー補給補助部材とトナー搬送部材、及びトナー層規制部材とトナー搬送部材がそれぞれ当接している装置である。その装置を使用して薄層化させた非磁性トナーを静電潜像形成体表面に供給して潜像を現像する方式である。
【0105】トナー搬送部材は非磁性トナーを静電潜像形成体に供給するものである。このものは弾性を有する部材であることが、静電潜像形成体に接触させた状態でその弾性によって充分な現像領域を確保するために好ましい。
【0106】本発明において、トナー搬送部材にはウレタンゴム、シリコーンゴムのローラーや、導電性の無端ベルト状部材(具体的にはニッケルやPETベース表面に導電性材料をコーティングしたもの等)の内部にスポンジローラーを内包したもの等を使用することができる。
【0107】トナー層規制部材はトナー搬送部材に対してトナーを均一に塗布するとともに摩擦帯電を付与する機能を有するものである。このものは、ウレタンゴム、金属板等の弾性体が用いられ、これをトナー搬送部材に当接してトナーの薄層をトナー搬送部材上に形成する。薄層化された層とは現像領域にてトナーが最大で10層、好ましくは5層以下重なって形成される層である。なお、トナー層規制部材はトナー搬送部材に対して100mN/cmから5N/cmの圧力で当接されていることが好ましい。さらに好ましくは200mN/cmから4N/cmである。この圧力が100mN/cm未満の場合にはトナー搬送が不均一となり、搬送ムラを発生しやすくなり、画像に白スジがでる問題を発生しやすい。また、トナー搬送部材は10〜50mmφの径を有するものが好ましい。
【0108】トナー補給補助部材はトナー搬送部材に対してトナーを安定に供給するためのユニットである。このものとしては、撹拌羽根の付いた水車状のローラーあるいはスポンジ状のローラーを使用することができる。このものはトナー搬送部材に対して直径が0.2倍から1.5倍の範囲のものが好ましい。この径が小さすぎるとトナーの供給が不十分となり、また大きすぎる場合には供給過多となりいずれもトナー供給が安定化せず、スジ状の画像不良を引き起こしやすい。
【0109】又、静電潜像形成体とは代表的には電子写真感光体(以下単に感光体ともいう)である。具体的にはセレンや砒素セレンなどの無機感光体や、アモルファスシリコン感光体、有機感光体をあげることができる。特に好ましいものは、有機感光体であり電荷輸送層と電荷発生層を積層構造としたものが好ましい。
【0110】即ち、本発明に係わるトナーは前述した特定の形状、粒径及びこれらの特定の分布を有するものであり、これらを使用することでトナー搬送部材からのトナーの入れ替え性を向上することができることを見出し本発明が完成された。
【0111】図1は、本発明の静電潜像現像用のトナーが適用できるトナーリサイクル機構の一例を示す概略断面図である。
【0112】図中、1は現像器、2は現像剤搬送スリーブ、3は現像剤搬送スクリュー、4は感光体、5はクリーナー部、6はクリーニング部材(弾性ブレード)、7はリサイクルトナー回収スクリュー、8はリサイクルトナー搬送スクリューを示す。
【0113】図1において、クリーニング部材6により掻き取られた転写残トナーは、リサイクルトナー回収スクリュー7によりクリーナー部より搬送され、リサイクルトナー搬送スクリュー8より再び現像器1に供給される。
【0114】なお本発明で用いられるトナーリサイクル機構は図1のものに限定されないことは勿論である。
【0115】回収されたトナーは現像器に直接戻しても良く、更には新規補給トナーとリサイクル回収トナーとを中間タンクなどで事前に混合してから現像器に供給する方式などをあげることができる。
【0116】
【実施例】(ラテックス調製例1)撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を付けた5000mlのセパラブルフラスコに予めアニオン系活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水(2760g)に溶解させた溶液を添加する。窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しつつ、内温を80℃に昇温させた。一方で例示化合物(19)72.0gをスチレン115.1g、n−ブチルアクリレート42.0g、メタクリル酸10.9gからなるモノマーに加え、80℃に加温し溶解させ、モノマー溶液を作製した。ここで循環経路を有する機械式分散機により上記の加熱溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子を作製した。ついで、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84gをイオン交換水200gに溶解させた溶液を添加し80℃にて3時間加熱、撹拌することでラテックス粒子を作製した。引き続いて更に重合開始剤(KPS)7.73gをイオン交換水240mlに溶解させた溶液を添加し、15分後、80℃でスチレン383.6g、n−ブチルアクリレート140.0g、メタクリル酸36.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル14.0gの混合液を120分かけて滴下した。滴下終了後60分加熱撹拌させた後40℃まで冷却しラテックス粒子を得た。
【0117】このラテックス粒子をラテックス1とする。
(トナー調製例)
着色粒子1Bkの製造n−ドデシル硫酸ナトリウム9.2gをイオン交換水160mlに撹拌溶解する。この液に、撹拌下、リーガル330R(キャボット社製カーボンブラック)20gを徐々に加え、ついで、クレアミックスを用いて分散した。大塚電子社製の電気泳動光散乱光度計ELS−800を用いて、上記分散液の粒径を測定した結果、重量平均径で112nmであった。この分散液を「着色剤分散液1」とする。
【0118】前述の「ラテックス1」1250gとイオン交換水2000ml及び「着色剤分散液1」を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を付けた5リットルの四つ口フラスコに入れ撹拌する。30℃に調整した後、この溶液に5Mの水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10.0に調整した。ついで、塩化マグネシウム6水和物52.6gをイオン交換水72mlに溶解した水溶液を攪拌下、40℃にて5分間で添加した。その後、2分間放置した後に、昇温を開始し、液温度90℃まで5分で昇温する(昇温速度=10℃/分)。その状態で粒径をコールターカウンターTAIIにて測定し、体積平均粒径が6.5μmになった時点で塩化ナトリウム115gをイオン交換水700mlに溶解した水溶液を添加し粒子成長を停止させ、さらに継続して液温度90℃±2℃にて、6時間加熱撹拌し、塩析/融着させる。その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加し、pHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した着色粒子を下記条件で濾過/洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥し、着色粒子を得た。このものを「着色粒子1Bk」とする。
【0119】着色粒子1Yの製造着色剤1Bkにおいてカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントイエロー185を使用した他は同様にして着色粒子を得た。これを「着色粒子1Y」とする。
【0120】着色粒子1Mの製造着色剤1Bkにおいてカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントレッド122を使用した他は同様にして着色粒子を得た。これを「着色粒子1M」とする。
【0121】着色粒子1Cの製造着色剤1Bkにおいてカーボンブラックの代わりにC.I.ピグメントブルー15:3を使用した他は同様にして着色粒子を得た。これを「着色粒子1C」とする。
【0122】さらに以下の表1の条件に変更して各着色粒子を得た。得られた各着色粒子の体積平均粒径、形状係数、形状係数の比、各粒子径範囲における個数%を表2に示した。
【0123】
【表1】


【0124】
【表2】


【0125】ついで上記「着色粒子1Bk」〜「着色粒子12Bk」にそれぞれ疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)添加し、ヘンシェルミキサーにより混合してトナーを得た。これらを「トナー1Bk」〜「トナー12Bk」とする。
【0126】なお、形状及び粒径等の物性に関しては着色粒子とトナー間ではいずれも差異は無かった。
【0127】コニカ製デジタル複写機Konica7033を改造し、図2に示す現像装置を用いて画像形成した。
【0128】図2は、非磁性一成分系現像方式に用いられる現像装置の概要断面図である。図2においてトナータンク17に内蔵された非磁性一成分トナー16は、撹拌羽根15により撹拌され、トナー補給補助部材14上に強制的に搬送供給される。このようにして組込まれたトナーはこのトナー補給補助部材14の矢印方向の回転によりトナー搬送部材12上に搬送され、摩擦によりその表面に静電的、且つ物理的に吸着される。一方、こうしてトナー搬送部材12上に付着したトナーはトナー層厚規制部材13により均一に薄層化されると共に摩擦帯電する。次にトナー搬送部材12上のトナー薄層は感光体11の表面と接触または近接により潜像が現像される。
【0129】現像装置の、トナー搬送部材12は25mmのシリコンゴムローラーからなるものを使用し、トナー補給補助部材14は直径は20mmのウレタンスポンジローラーとした。また、トナー層厚規制部材13としてはウレタンゴムからなるものを使用し、その当接圧力は600mN/cmとした。コピー速度をA4、20枚/分(ppm)に改造して実写評価を実施した。感光体としては積層型有機感光体を使用した。又、感光体に残留する未転写トナーはブレードクリーニング方式でクリーニングする方法を採用した。使用する記録材としては連量が55kgの用紙を使用し、縦方向に画像を形成した。
【0130】また、画像形成条件としては高温高湿環境(30℃、85%RH)にて画素率が5%の線画を使用し、50000枚の印字を1枚間欠方式の印字方法で実施した。初期と50000枚後の画像を評価した。画像は、べた黒、ハーフトーン画像、ベタ白画像を印字し、画像濃度、カブリ濃度、ハーフトーン画像のムラの有無を評価した。画像濃度はマクベス社製RD918を使用し、絶対反射濃度を測定した。カブリ濃度は紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定を行った。また、ハーフトーンの均一性は目視にて判断し、ハーフトーン画像の均一性を評価した。ランクを下記として評価した。
【0131】
ランクA:ムラの無い均一な画像ランクB:スジ状の薄いムラが存在ランクC:スジ状の薄いムラが数本存在ランクD:スジ状のはっきりしたムラが数本以上存在定着器としては圧接方式の加熱定着器を採用した。構成は下記である。
【0132】表面をテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体で被覆した直径30mmのヒーターを中央部に内蔵した円柱状の鉄からなる上ローラーを有し、表面が同様にテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルエーテル共重合体で被覆したシリコーンゴムで構成された直径30mmの下ローラーを有している。線圧は8.0N/cmに設定され、ニップの幅は4.3mmとした。この定着器を使用して、印字の線速を250mm/secに設定した。定着の温度は上ロールの表面温度で制御し、185℃の設定温度とした。なお、定着装置のクリーニング機構としてポリジフェニルシリコーン(20℃の粘度が10Pa・sのもの)を含浸したウェッブ方式の供給方式を使用した。
【0133】
【表3】


【0134】上記トナーの各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤を調製した。これらを各トナーに対応して、「現像剤1Bk」〜「現像剤12Bk」とする。
【0135】黒現像剤(現像剤Bk)についてトナーリサイクル方式を有するコニカ製デジタル複写機7030を使用し、実写での評価を実施した。トナーリサイクルの方式としては、転写残のトナーをブレード方式によるクリーニング装置で除去し、搬送機構を経由して現像器へ戻す構成である(図1参照)。
【0136】定着方式としては圧接方式の加熱定着装置を用いた。具体的構成は下記の如くである。
【0137】表面をPFA(テトラフロオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)のチューブで被覆した(厚み:120μm)内径30mmで全幅が310mmの、ヒーターを中央部に内蔵した円柱状の厚み0.8mmのアルミ合金を加熱ローラー(上ローラー)として有し、表面が同様にスポンジ状シリコーンゴム(アスカーC硬度=48:厚み2mm)で構成された内径30mmの肉厚1.0mmの鉄芯金を有する加圧ローラー(下ローラー)を有している。ニップ幅は3.8mmとした。この定着装置を使用して、印字の線速を180mm/secに設定した。
【0138】定着の温度は上ロールの表面温度で制御し、180℃の設定温度とした。評価は、5%画素率の原稿を30℃/80%RH環境の高温高湿環境にて1枚間欠印字にて1万枚印字した後に4昼夜同一環境下に放置し、再度ベタ黒、ベタ白画像を印字し4昼夜放置前後での画像濃度及びカブリ濃度、さらに帯電量を測定した。なお、画像濃度はベタ黒画像を使用し、その反射濃度をマクベス社製RD−918を使用し、絶対濃度で評価した。カブリ濃度はベタ白画像を使用し、マクベス社製RD−918を使用し、紙の反射濃度を「0」とした相対濃度で評価した。結果を下記に示す。
【0139】
【表4】


【0140】さらに、上記現像剤群と同様にして、各Y/M/C現像剤群を調製し、中間転写体を有するカラー複写機を使用して評価を実施した。Y/M/C/Bkの現像器を積層型感光体の周囲に配置し、各色をそれぞれ感光体上に現像した後に中間転写体上に各色ずつ転写し、中間転写体上にフルカラー画像を形成した後に画像形成支持体である紙に転写する中間転写体を有する構成のものを使用した。なお、感光体のクリーニングはブレードクリーニング方式を採用した。
【0141】定着方式としては圧接方式の加熱定着装置を用いた。評価は、1枚間欠印字にて25%のフルカラー画素率の原稿を30℃/80%RH環境の高温高湿環境にて1万枚印字し、4昼夜その環境で放置し、その放置前後でのクロマの差を色差で評価した。色差は下記手法で評価を行った。
【0142】すなわち、放置前後での形成画像各々における二次色(レッド、ブルー、グリーン)のソリッド画像部の色を「Macbeth Color−Eye7000」により測定し、CMC(2:1)色差式を用いて色差を算出した。
【0143】CMC(2:1)色差式で求められた色差が5以下であれば、形成された画像の色味の変化が許容できるレベルである。
【0144】
【表5】


【0145】
【発明の効果】トナーの形状係数SF−1の算術平均値を120〜170とし、形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)を1.10〜1.52とし、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子を5.0個数%以下とすることにより、非磁性一成分系現像方式、二成分系現像方式、カラー電子写真方式においても、長期ランニングにおいても優れた画像特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナーリサイクル機構の一例を示す概略断面図である。
【図2】非磁性一成分系現像方式に用いられる現像装置の概要断面図である。
【符号の説明】
1 現像器
2 現像剤搬送スリーブ
3 現像剤搬送スクリュー
4,11 感光体
5 クリーナー部
6 クリーニング部材(弾性ブレード)
7 リサイクルトナー回収スクリュー
8 リサイクルトナー搬送スクリュー
12 トナー搬送部材
13 トナー層厚規制部材
14 トナー補給補助部材
15 撹拌羽根
16 非磁性一成分トナー
17 トナータンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも樹脂と着色剤を含有する静電荷像現像用トナーにおいて、該トナーの下記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに下記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【数1】


【請求項2】 少なくとも樹脂粒子を水系媒体中で融着させてなるトナーの製造方法において、該トナーの前記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに前記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とするトナーの製造方法。
【請求項3】 感光体上に形成された静電潜像を、現像剤搬送部材上に形成された一成分静電荷像現像用トナーからなる現像剤層に接触状態で対向させ、少なくとも樹脂と着色剤とからなる着色粒子と外添剤を含有する静電荷像現像用トナーにより顕像化する現像工程を含む画像形成方法において、該トナーの前記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに前記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項4】 感光体上に形成された静電潜像を少なくとも樹脂と着色剤とからなる着色粒子と外添剤とからなる静電荷像現像用トナーにより顕像化する現像工程と画像形成支持体に前記トナーを転写する工程と感光体上に残留した未転写トナーをクリーニング機構により感光体より除去する工程と感光体より除去されたトナーを回収し現像部へ戻す工程を含む画像形成方法において、該着色粒子の前記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに前記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】 感光体上に形成された静電潜像をキャリアとトナーからなる二成分現像剤により顕像化する現像工程を含む画像形成方法において、該トナー中の着色粒子の前記式(1)で示される形状係数SF−1の算術平均値が125〜170であり、さらに前記式(2)で示される形状係数SF−2との算術平均値の比(SF−1/SF−2)が1.10〜1.52であり、且つフロー式粒子像分析装置により測定された0.60以上1.00μm未満の円相当径の範囲に存在する粒子が5.0個数%以下であることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2002−221826(P2002−221826A)
【公開日】平成14年8月9日(2002.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−19638(P2001−19638)
【出願日】平成13年1月29日(2001.1.29)
【出願人】(000001270)コニカ株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】