説明

トナー補給装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】トナー補給装置の部品点数を削減できるトナー補給装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置(4)の装置本体(10)内に着脱可能に構成され、現像装置(21)にトナーを補給するトナー補給装置(70)であって、略直方体形状に構成されており、その長手方向に沿って装置本体内に挿入され、現像装置に連通するトナー収納部(87)、及びこの挿入の際に装置本体側からの付勢力を受けて下方向に移動する胴体部(80)をそれぞれ有した容器本体(72)と、挿入方向でみて胴体部の後方に配置されており、この胴体部の下方向への移動に伴って装置本体側に受容され、トナー補給装置を装置本体内に固定するロック部(94)を有した取手部材(90)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリ等に代表される画像形成装置に用いられるトナー補給装置及びこれを搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置ではトナーを用いた画像の形成が行われており、感光体ドラムにトナーが現像装置から供給されてトナー画像を形成し、このトナー画像が用紙に転写及び定着される。
ここで、消費したトナーは別途補給する必要があり、このトナーの補給にはカートリッジ式のトナー補給装置を利用する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、使用済みのトナー補給装置はユーザ等によって画像形成装置の装置本体から取り出され、新たなトナー補給装置が装置本体に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−275944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、消耗品であるトナー補給装置の部品点数を削減できないという問題がある。
すなわち、上述したトナー補給装置には、トナー補給装置を装置本体内に固定するために、回動するロック用のレバー部材や樹脂の弾性力を利用したロック機構を必要としているからである。また、樹脂の弾性力を利用したロック機構の場合には、変形や破損の懸念もある。
【0006】
このように、トナー補給装置は消耗品である点を鑑みれば、その製造コストを低減するためにトナー補給装置の構成はシンプルにし、装置本体内への固定に必要な構成は装置本体側に設置することが望ましいが、レバー部材等を備えた上記従来の技術ではこの点については格別な配慮がなされていない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、トナー補給装置の部品点数を削減できるトナー補給装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1の発明は、画像形成装置の装置本体内に着脱可能に構成され、現像装置にトナーを補給するトナー補給装置であって、略直方体形状に構成されており、その長手方向に沿って装置本体内に挿入され、現像装置に連通するトナー収納部、及びこの挿入の際に装置本体側からの付勢力を受けて下方向に移動する胴体部をそれぞれ有した容器本体と、挿入方向でみて胴体部の後方に配置されており、この胴体部の下方向への移動に伴って装置本体側に受容され、トナー補給装置を装置本体内に固定するロック部を有した取手部材とを具備する。
【0008】
第1の発明によれば、トナー補給装置は、装置本体の奥側から手前側までに亘って延びる長さを利用して、トナー補給装置自身をロックレバーのように使用できる。
詳しくは、トナー補給装置は容器本体及び取手部材を備えており、容器本体は、略直方体形状に構成され、その長手方向に沿って装置本体内に挿入される。また、この容器本体はトナー収納部や胴体部を有し、その挿入に伴い、トナー収納部が現像装置に連通する。胴体部は装置本体側からの付勢力を受けて下方向に移動する。
【0009】
一方、取手部材は、装置本体側に受容されるロック部を有しており、胴体部の下方向への移動に伴って装置本体側に受容されると、トナー補給装置を装置本体内に固定できる。
このように、トナー補給装置は、その先端側が容器本体の長手方向に沿って進み、その後端側である取手部材が容器本体とともに下方向に沈むと、装置本体内に固定される。よって、消耗品であるトナー補給装置には、装置本体側に受容されるロック部を取手部材に設けるだけで済み、従来の如くのロック用のレバー部材や樹脂の弾性力を利用したロック機構が不要になり、部品点数を削減できるし、また、ロック部は装置本体側に受容されるのみであり、変形や破損の懸念もない。
【0010】
第2の発明は、第1の発明のトナー補給装置を搭載した画像形成装置であり、トナー補給装置は、長手方向に延びた案内腕を有する容器本体の開口部を覆うリッドをさらに有し、装置本体は、この案内腕の上面及び下面を案内するように形成された支持レールを有し、この支持レールは、挿入方向でみて、装置本体の奥側では上面から下面までの高さで形成されるのに対し、装置本体の手前側では上面から下面までの高さよりも大きく形成されることを特徴とする。
【0011】
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、装置本体は支持レールを有し、この支持レールは、挿入方向でみて、装置本体の奥側ではその幅がリッドの案内腕の上面から下面までの高さで形成されるので、容器本体と装置本体側とをガタツキなく連結できる。これに対し、支持レールは、装置本体の手前側ではその幅がリッドの案内腕の上面から下面までの高さよりも大きく形成されており、リッド及び胴体部の下方向への移動を許容でき、ロック操作を行える。この結果、トナー補給装置のガタツキ防止と操作性とを両立できる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明の構成において、装置本体は、支持レールの上側にて、案内腕の上面を含むリッドを下方向に付勢する付勢部材と、ロック部を構成する凸状部分を受容してトナー補給装置を装置本体内に固定させる係合凹部とを有することを特徴とする。
第3の発明によれば、第2の発明の作用に加えてさらに、装置本体は付勢部材及び係合凹部を有し、この付勢部材がリッド及び胴体部を下方向に確実に移動させる。また、リッド及び胴体部の下方向への移動に伴い、係合凹部は取手部材の凸状部分を受容してトナー補給装置を装置本体内に確実に固定する。このように、トナー補給装置の固定に必要な部材は装置本体側に設けられるため、消耗品であるトナー補給装置の部品点数はより確実に削減できる。
【0013】
第4の発明は、第2や第3の発明の構成において、装置本体は、取手部材の上方向への移動に伴い、トナー補給装置を挿入方向とは反対側に向けて押し出す交換促進機構を有することを特徴とする。
第4の発明によれば、第2や第3の発明の作用に加えてさらに、装置本体は交換促進機構を有し、ユーザの操作を促すことができる。詳しくは、交換促進機構は、取手部材の上方向への移動に伴い、トナー補給装置を挿入方向とは反対側に向けて押し出している。トナー補給装置が装置本体から飛び出す結果、ユーザはトナー補給装置を抜き取り易くなり、トナー補給装置を容易に交換可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トナー補給装置をその長さを利用してロックレバーのように使用しており、構成の簡素化を図りつつ、装置本体内に固定できるトナー補給装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例の複合機の外観斜視図である。
【図2】コントローラを含めた図1の複合機の構成図である。
【図3】図1の複合機からフロントカバーを外した状態の斜視図である。
【図4】図3のトナーコンテナ周辺を拡大した斜視図である。
【図5】図4のトナーコンテナ周辺の断面図である。
【図6】図4のトナーコンテナの外観斜視図である。
【図7】図4のトナーコンテナの外観斜視図である。
【図8】図4のレール部材の説明図である。
【図9】図8のレール部材の側面図である。
【図10】図8のレール部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。
図1には、画像形成装置の一例であるデジタル複合機、いわゆる多機能周辺機器(Multiple Function Peripheral、以下、MFPと称する)4が右前上方から示されている。同図では、ユーザに相対するMFP4の正面と、このMFP4の右側面とが見えている。このMFP4は胴内排紙型の装置本体10を備え、この装置本体10のフロントカバー12の上側には排紙トレイ15が形成されている。
【0017】
排紙トレイ15の上側には光学式のスキャナ部22が設けられる。図1では省略するが、本実施例のスキャナ部22の上方には原稿押さえ23が搭載されており(図3)、スキャナ部22に載置して原稿押さえ23で押さえられた原稿はスキャナ部22で光学的に読み取られる。なお、この原稿押さえ23に替えて自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder)も搭載可能である。
【0018】
スキャナ部22の手前側には操作パネル28が設置される。この操作パネル28には、ユーザの各種操作に供される複数の操作キーや、各種情報を表示する表示画面が設けられている。これらの操作内容は図2のコントローラ18に通知される。
一方、装置本体10においてフロントカバー12の下方には用紙供給装置11が配置される。本実施例の用紙供給装置11は図1の手前側に引き出し可能、図1の奥側に向けて押し込み可能であり、その内部には枚葉の用紙がその厚み方向に積層して収納されている。この用紙は用紙供給装置11から図1の右方に向けて1枚ずつ送出され、MFP4の右側面に沿って上方に搬送される。
【0019】
図2はMFP4のコントローラ18を含めた概略構成図である。当該MFP4は、ネットワークインターフェース(IF)26を介してネットワークに接続され、さらに、公衆回線にも接続されている。そして、MFP4はプログラムの命令にしたがって各種動作を実行する。
このMFP4は、例えば、印刷機能(Copy機能)、送信機能(Send機能)及び保存機能(Box機能)を有する。
【0020】
具体的には、HDD32はボックス領域34を備え、クライアントPCから送信された印刷ジョブ、スキャナ部22で読み込まれたスキャンジョブ、FAX通信部24にて受信したファクシミリジョブ等の種々のデータを逐次保存しており、Box機能を有している。
さらに、MFP4はメモリ30を備えている。このメモリ30はROMやRAM等を有し、各種処理動作のプログラム等が格納されている。
【0021】
上述のFAX通信部24はSend機能も有し、HDD32に保存されたファクシミリジョブを相手先に向けて送信する。
また、プリントエンジン20は、上記スキャナ部22や用紙供給装置11の他、露光装置21rの照射光による静電潜像を形成するドラムユニット21d、トナー画像を現像する現像装置21g、このトナー画像を用紙に転写する転写ベルト21b等に接続され、HDD32に保存された印刷ジョブなどを用紙に出力して排紙トレイ15に送出しており、Copy機能を有している。
【0022】
本実施例のプリントエンジン20はカラー印刷可能であり、ドラムユニット21dには例えば4個の感光体ドラムが並設される。これら各感光体ドラムでは、イエロー用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用の静電潜像がそれぞれ形成される。このため、図1のフロントカバー12を取り外した図3に示されるように、装置本体10の内部には4個のトナーコンテナ(トナー補給装置)70が配設されている。
【0023】
詳しくは、この図3には、左側から順に、イエロー用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用の各トナーをそれぞれ補給するトナーコンテナ70が示されている。各色のトナーは現像装置21gを介してドラムユニット21dに供給され、対応色のトナー画像がそれぞれ現像される。これら各トナー画像は、転写ベルト21bに1次転写された後、MFP4の右側面にて上方搬送された用紙に2次転写される。次いで、この用紙のトナー画像は図2の定着装置21tで定着されて排紙トレイ15に送出される。
【0024】
ところで、これら4個のトナーコンテナ70は、装置本体10に対して着脱でき、図3で云えば、その手前側と奥側とを結んだ方向に沿って押し込み・引き出し可能に構成されている。
具体的には、図4に示されるように、装置本体10の内部にはレール部材40,50が立設されている。レール部材40は複合機4の正面からみて各トナーコンテナ70の左側に、レール部材50は各トナーコンテナ70の右側にそれぞれ配置され、1組のレール部材40,50の間に押し込み・引き出しされるトナーコンテナ70の移動を案内する。これらレール部材40,50の詳細は図8〜10で後述する。
【0025】
この図4には、最も右側に位置するブラック用のトナーコンテナ70及びその左側に位置するシアン用のトナーコンテナ70がレール部材40,50の間に配置され、さらにその左側に位置するマゼンタ用のトナーコンテナ70や最も左側に位置するイエロー用のトナーコンテナ70の移動を案内するレール部材40,50の間には、装置本体10の先端対峙面60やコンテナ載置面64がそれぞれ示されている。
【0026】
各先端対峙面60は、装置本体10の奥側にて上下方向に延びており、図5のトナーコンテナ70の挿入先端部74に対峙する、また、先端対峙面60には装置本体側の駆動カップリング62が設けられる。
各コンテナ載置面64は、装置本体10の奥側から手前側に亘って水平方向に延び、トナーコンテナ70の下側を支持しており、装置本体10の奥側の適宜位置には後述のトナーコンテナ70のシャッター76を開閉するシャッター開き部65や、このシャッター開き部65の手前側に位置するシャッター閉じ部66が形成される。
【0027】
図4でみてこれらシャッター開き部65やシャッター閉じ部66の左側には溝部67が形成されており、この溝部67は図7で後述する非互換の鍵形部86に係合する。
また、各コンテナ載置面64において装置本体10の手前側には、係合凹部68が形成されている(図5)。係合凹部68は下方に向けて窪んで形成され、装置本体10に対するトナーコンテナ70の固定に利用される。
【0028】
本実施例のトナーコンテナ70は、上述の用紙供給装置11の押し込み方向と同じ方向に装置本体10に挿入される。
具体的には、図6,7にも示されるように、トナーコンテナ70は略直方体形状に構成された容器本体72を備え、容器本体72は、その挿入方向でみて順に挿入先端部74、胴体部80、及びこの胴体部80の後方の取手係合部89(図5)を有している。
【0029】
より詳しくは、挿入先端部74は、縦長の容器本体72の先端に位置し、突出した容器本体側の駆動カップリング75を有する(図5,7)。この駆動カップリング75がトナーコンテナ70の装着時に装置本体側の駆動カップリング62に連結する。また、この駆動カップリング75の下方にはトナー補給口77が設けられ、トナー補給口77はシャッター76で開閉される。
【0030】
つまり、トナーコンテナ70を装置本体10の奥側に向けて水平方向に押し込むと、シャッター76が、シャッター開き部65に接触してトナーコンテナ70の挿入方向とは反対方向(トナーコンテナ70の引き出し方向)に移動する。これにより、図5,7に示される如くトナー補給口77が開かれ、容器本体72内のトナー収納部87と現像装置21gとが連通する。
【0031】
一方、トナーコンテナ70を装置本体10の手前側に向けて水平方向に引き出すと、シャッター76は、シャッター閉じ部66に接触してトナーコンテナ70の引き出し方向とは反対方向(トナーコンテナ70の押し込み方向)に移動するため、トナー補給口77が閉じられる。なお、挿入先端部74においてトナー補給口77の近傍にはトナー充填口78が形成されている(図7)。
【0032】
次に、胴体部80は、容器本体72の最も縦長の部分を構成し、その内部が空洞に形成され、その上面側は平板状のリッド81で覆われている(図6)。このリッド81は、その左右側にて容器本体72の長手方向に沿って延びた案内腕82,82をそれぞれ備えており、各案内腕82は、上面83から下面84に至るまでの高さを有し、当該高さは容器本体72の奥側から手前側に亘って一定である。なお、この上面83のうち容器本体72の手前側は、後述の受圧部85として機能する。
【0033】
また、胴体部80の有底部分をなす下側外周面には非互換の鍵形部86が設けられ(図7)、上述した溝部67に係合することにより、駆動カップリング62,75が連結可能になる。
容器本体72の内部にはトナー収納部87が形成されており(図5)、このトナー収納部87に現像装置21gに補給されるトナーが収納される。トナー収納部87にはスクリュー部材88が配設されている。
【0034】
このスクリュー部材88は、容器本体72の長手方向に延びて回転する軸部88aと、この軸部88aの周囲に形成された螺旋状の羽根部88bとから構成される。トナーコンテナ70の挿入方向でみて軸部88aの後端側は、取手係合部89の内面に回転自在に支持されるのに対し、軸部88aの先端側が容器本体側の駆動カップリング75に連結されている。
【0035】
そして、仮にコントローラ18において現像装置21g内のトナー量の減少が検出されると、駆動カップリング62,75からの動力で軸部88aが回転する。この軸部88aの回転に伴って羽根部88bが回転すると、羽根部88b周辺のトナーがトナー補給口77に向けて集められる。
また、本実施例のトナーコンテナ70は、容器本体72の他、取手部材90を備えている。
【0036】
取手部材90はカップ状に形成された被覆部92を備え、被覆部92はその開口部分から水平方向に延びた周壁やこの周壁の端部の有底部分からなる。当該周壁の内周面が取手係合部89の外周面に係合し、取手部材90を容器本体72に固定できる。また、当該周壁の下側の外周面には、下方に向けて突出したロック部94が形成され(図5,7)、ロック部94が、上述の同じく下方に向けて窪んだ係合凹部68に受容される。
【0037】
なお、被覆部92の上記有底部分の外周面には、把持部96が装置本体10の手前側に向けて突出しており、ユーザに掴まれてトナーコンテナ70の着脱に利用される。
このように、各トナーコンテナ70は、装置本体10に固定するために必要な部品は突起状のロック部94のみであり、このロック部94も縦長の容器本体72とは別の取手部材90に形成され、トナーコンテナ70、特に容器本体72の構造は簡略化されている。
【0038】
それは、上述したコンテナ載置面64の係合凹部68の他、装置本体10のレール部材40,50がトナーコンテナ70の固定に必要な部品を備えているからである。
詳しくは、右側のレール部材50は、図8,9に示されるように、トナーコンテナ70の長手方向に沿って装置本体10の奥側から手前側に向けて延びており、対応のトナーコンテナ70に向いた表面51を有する。
【0039】
この表面51のうちトナーコンテナ70の案内腕82に対向する位置には、支持レール54が形成される。支持レール54は、断面コ字状に形成され、その上面54aが案内腕82の上面83を、その下面54bが案内腕82の下面84をそれぞれ案内可能に構成されている。
ここで、上述の如く案内腕82の上面83から下面84までの高さは均一であるが、本実施例の支持レール54は、トナーコンテナ70の挿入方向でみると、上面54aから下面54bまでの幅は均一ではない。
【0040】
具体的には、図9に示される如く、上面54aから下面54bまでの幅は、装置本体10の奥側では案内腕82の上面83から下面84までの高さで形成されるのに対し、装置本体10の手前側では案内腕82の上面83から下面84までの高さよりも大きく形成され、この手前側から奥側に進むに連れて次第に狭くされている。
【0041】
また、支持レール54の上側において、この支持レール54の入口から装置本体10の奥側にやや入った位置には下方向付勢部材(付勢部材)53が設置され、案内腕82の上面83を受圧部85として下方向に付勢することができる。なお、下方向付勢部材53は案内腕82の内側のリッド81を下方向に付勢可能な位置に設けても良い。
なお、これら支持レール54や下方向付勢部材53を有した表面51の反対側には裏面55が形成され(図8)、この裏面55は隣りのトナーコンテナ70に関する左側のレール部材40の裏面45に対峙する。
【0042】
一方、当該左側のレール部材40の表面41は、レール部材50の表面51と同様に、断面コ字状の支持レール44を有し、その上面44aから下面44bまでの幅は、装置本体10の手前側から奥側に進むに連れて次第に狭くされており、装置本体10の奥側では案内腕82の上面83から下面84までの高さで形成され、装置本体10の手前側では案内腕82の上面83から下面84までの高さよりも大きく形成されている(図10(a))。
【0043】
また、支持レール44の入口から装置本体10の奥側にやや入った位置にも下方向付勢部材(付勢部材)43が設置されており、案内腕82の上面83を受圧部85として下方向に付勢する。
ここで、この図10(a)に示される如く、本実施例のレール部材40の表面41からは押圧部材(交換促進機構)42が見える。
【0044】
この押圧部材42は、対応するレール部材50の表面51に向けて折れ曲がったL字状に形成され、トナーコンテナ70の挿入先端部74に当接可能に構成されている。本実施例の押圧部材42は、レール部材40の裏面45にて操作補助部(交換促進機構)47に一体形成されており(図10(b))、操作補助部47は、裏面45に固定された水平方向付勢部材(交換促進機構)46に連結している。
【0045】
以上のように、本実施例によれば、トナーコンテナ70は、装置本体10の奥側から手前側までに至る長さを利用して、トナーコンテナ70自身をロックレバーのように使用できる。
詳しくは、トナーコンテナ70は容器本体72及び取手部材90を備えており、容器本体72は、略直方体形状に構成され、その長手方向に沿って装置本体10内に水平挿入される。
【0046】
また、この容器本体72はトナー収納部87や胴体部80を有し、トナーコンテナ70の装置本体10への挿入に伴い、挿入先端部74が押圧部材42に当接し、水平方向付勢部材46の付勢力に抗してこの挿入方向に挿入すると、駆動カップリング62,75が連結するとともに、トナー収納部87がトナー補給口77を介して現像装置21gに連通する。
【0047】
同時に、胴体部80の案内腕82は下方向付勢部材43,53からの付勢力を受けて下方向に沈む。
一方、取手部材90は、装置本体10の係合凹部68に受容されるロック部94を有しており、上記胴体部80の下方向への移動に伴って係合凹部68に受容されて係止されると、トナーコンテナ70を装置本体10に固定できる。
【0048】
このように、トナーコンテナ70は、その挿入先端部74が容器本体72の長手方向に沿って進み、その後端側である取手部材90が容器本体72とともに下方向に沈むと、装置本体10に固定される。よって、消耗品であるトナーコンテナ70には、係合凹部68に受容される突起状のロック部94を取手部材90に設けるだけで済み、従来の如くのロック用のレバー部材や樹脂の弾性力を利用したロック機構が不要になり、部品点数を削減できるし、また、ロック部94は係合凹部68に受容されるのみであり、変形や破損の懸念もない。
【0049】
また、装置本体10は支持レール44,54を有し、支持レール44,54は、トナーコンテナ70の挿入方向でみて、装置本体10の奥側ではその幅が案内腕82の上面83から下面84までの高さで形成されるので、駆動カップリング62,75をガタツキなく連結でき、また、シャッター76及びシャッター開き部65もガタツキなく接触できる。これに対し、装置本体の奥側では僅かなクリアランスでも、支持レール44,54は、装置本体10の手前側ではその幅が案内腕82の上面83から下面84までの高さよりも大きく形成されており、装置本体の手前側では縦長のトナーコンテナ70による上下方向に移動する角度幅が広がるので、ロック操作を行える。この結果、トナーコンテナ70のガタツキ防止と操作性とを両立できる。
【0050】
さらに、装置本体10は下方向付勢部材43,53及び係合凹部68を有し、下方向付勢部材43,53が胴体部80を下方向に確実に移動させる。また、この胴体部80の下方向への移動に伴い、係合凹部68はロック部94を受容してトナーコンテナ70を装置本体10に確実に固定する。このように、トナーコンテナ70の固定に必要な部材は装置本体10に設けられるため、消耗品であるトナーコンテナ70の部品点数はより確実に削減できる。
【0051】
さらにまた、被覆部92には上向きの矢印が刻設されている(図3,4,6等)。ユーザがこの矢印方向への力を把持部96に加え、下方向付勢部材43,53の付勢力に抗して取手部材90を上方向に移動すると、係合凹部68とロック部94との係止が解除される。
ここで、装置本体10は交換促進機構を有し、ユーザの操作を促すことができる。
【0052】
詳しくは、交換促進機構は押圧部材42、水平方向付勢部材46や操作補助部47を有し、係合凹部68とロック部94との係止解除に伴い、トナーコンテナ70を挿入方向とは反対側に向けて押し出すことができる。
より具体的には、押圧部材42及び操作補助部47が水平方向付勢部材46の付勢力によって挿入先端部74を装置本体10の手前側に向けて押し出すため、トナーコンテナ70、特に取手部材90が装置本体10の内部から数cmほどユーザに向けて飛び出す。
【0053】
この結果、ユーザにとってはトナーコンテナ70を抜き取り易くなることから、ユーザは当該トナーコンテナ70を装置本体10から容易に引き出して交換できる。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
【0054】
例えば、上記実施例では、凸形状のロック部94と凹形状の係合凹部68との例で説明しているが、トナーコンテナ70が唯一備えるロック部94の変形や破損を防止できる構成としては、凹形状のロック部と凸形状の装置本体側との組み合わせであっても良い。
また、上述したMFP4は画像形成装置の一例であり、本発明は複写機、プリンタやファクシミリ等にも当然に適用可能である。
【0055】
そして、これらいずれの場合にも上述と同様に、トナー補給装置の部品点数を削減できるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0056】
4 複合機(画像形成装置)
10 装置本体
21g 現像装置
44,54 支持レール
43,53 下方向付勢部材(付勢部材)
68 係合凹部
42 押圧部材(交換促進機構)
46 水平方向付勢部材(交換促進機構)
47 操作補助部(交換促進機構)
70 トナーコンテナ(トナー補給装置)
72 容器本体
80 胴体部
81 リッド
82 案内腕
83 上面
84 下面
87 トナー収納部
90 取手部材
94 ロック部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体内に着脱可能に構成され、現像装置にトナーを補給するトナー補給装置であって、
略直方体形状に構成されており、その長手方向に沿って前記装置本体内に挿入され、前記現像装置に連通するトナー収納部、及びこの挿入の際に前記装置本体側からの付勢力を受けて下方向に移動する胴体部をそれぞれ有した容器本体と、
前記挿入方向でみて前記胴体部の後方に配置されており、この胴体部の下方向への移動に伴って前記装置本体側に受容され、前記トナー補給装置を前記装置本体内に固定するロック部を有した取手部材と
を具備することを特徴とするトナー補給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のトナー補給装置を搭載した画像形成装置であって、
前記トナー補給装置は、前記長手方向に延びた案内腕を有する容器本体の開口部を覆うリッドをさらに有し、
前記装置本体は、この案内腕の上面及び下面を案内するように形成された支持レールを有し、この支持レールは、前記挿入方向でみて、前記装置本体の奥側では前記上面から前記下面までの高さで形成されるのに対し、前記装置本体の手前側では前記上面から前記下面までの高さよりも大きく形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記装置本体は、前記支持レールの上側にて、前記案内腕の上面を含むリッドを下方向に付勢する付勢部材と、前記ロック部を構成する凸状部分を受容して前記トナー補給装置を前記装置本体内に固定させる係合凹部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の画像形成装置であって、
前記装置本体は、前記取手部材の上方向への移動に伴い、前記トナー補給装置を前記挿入方向とは反対側に向けて押し出す交換促進機構を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−203441(P2011−203441A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69987(P2010−69987)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】