説明

トランスジェニック動物の乳汁中での融合タンパク質の産生方法

所望の融合タンパク質をトランスジェニック動物の乳汁中で産生させて前記乳汁から精製することができる。これらのペプチドは、ヒトα−フェトプロテインなどの適合する融合パートナーを含む融合タンパク質として作製される。前記融合パートナータンパク質は、分子全体の半減期を促進および増加させるように機能し、それ自体が処置作用を有する。前記融合タンパク質は、典型的にはトランスジェニック動物を使用することにより産生され、その後にアフィニティ精製法によってそのような動物の乳汁もしくはその他の体液から精製することができる。この経路を介してペプチドを産生させることの特別な長所は、高収率および生物適合性などの明白な長所に加えて、例えばカルボキシ末端アミド化などの特異的な翻訳後修飾を乳腺内で実施できることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、生物学的に活性であって製薬学的に使用され得る二機能性融合タンパク質の生成に関する。詳細には、本発明は、トランスジェニック動物、特に非ヒト胎盤哺乳動物の乳汁中での組換えヒトα−フェトプロテイン配列に連結されたβ−インターフェロンおよびα−フェトプロテインの融合タンパク質配列の生成を提供し、そして処置用途もしくは疾患状態におけるそのような融合タンパク質の使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
上述したように、本発明は一般に、トランスジェニック動物の乳汁中での融合タンパク質の遺伝子導入による産生の分野に関する。より詳細には、本発明は、様々な当該融合タンパク質を生成することのできる、様々な種のトランスジェニック非ヒト哺乳動物を発生させるための改良された方法に関する。
【0003】
現在は、1つ以上の潜在的処置活性を有するが、製薬学的に活用できない極めて多数のポリペプチド、高分子および/またはタンパク質(「当該タンパク質」)が存在する。活用できない原因には、インビボでの低い安定性、非真核細胞由来のタンパク質中で見いだされるグリコシル化パターンの変化、不適正な翻訳プロセッシング、三次構造、脆弱構造、免疫原性、産業上容認される規模でそれらを産生させることの困難さなどの様々な理由が考えられる。さらに、一部の処置上興味深いタンパク質は、それらの精製方法、投与または薬物動態に関連する問題のためにインビボにおいて期待通りの結果が生じない。
【0004】
本発明は、これらの短所を克服することを可能にする。本発明は、当該タンパク質の生理的特性または作用の活用を可能にする新規の融合分子を提供する。本発明は、特に、生物活性タンパク質由来の生理活性のある配列を、ヒトα−フェトプロテインの生理活性を保持しているタンパク質配列からなる別の組換えタンパク質構造へ融合させて、α−フェトプロテインもしくはその第2タンパク質成分のいずれかの生物学的特性も減ずることなく二機能性融合タンパク質を誘導することが可能であるという証明を結果として生じた。本発明はまた、本発明の組換えヒトα−フェトプロテインタンパク質配列(「AFP」)は本発明の融合タンパク質の半減期を改善することができ、そして同様に相乗的な処置有効性を付け加えることができるという証明が発明者らによりなされた。
【0005】
AFPの生理的作用は、様々な細胞タイプへの刺激性および阻害性の両方の作用を含むことが先行技術において証明されている。これらの作用の大部分は、標的細胞のタイプ、AFPの相対濃度、ならびに他のサイトカインおよび成長因子の存在によって決定される。例えば、AFPは多数のタイプの腫瘍細胞の増殖を阻害することができ、そして詳細には、エストロゲン刺激性またはエストロゲン感受性の細胞増殖を阻害する。これとは逆に、AFPは正常な胚線維芽細胞の増殖を刺激する。AFPはまた、免疫抑制性および免疫増殖性の両方の作用を有することも証明されている。このため、AFP融合タンパク質の治療的有効性は、特に二官能性分子を用いて、様々な疾患状態に対する処置の薬理学的有効性を最大化する方法で利用し得る。
【0006】
本発明による融合タンパク質は、動物の身体内において、長期間にわたり所望の生物活性を維持することを可能にする。本発明による当該タンパク質は、また細胞培養製造施設にあるような組換え生物またはトランスジェニック哺乳動物によって、それらの商業的活用を許容するレベルで、発現かつ分泌させ得る。この手法に沿うと、トランスジェニック哺乳動物は、本発明の融合タンパク質のための好ましい製造および発現用ビヒクルである。
【0007】
例えば、増加した体重、乳汁含有量、乳汁生産量、乳汁分泌間隔の長さおよび疾患抵抗性などの所定の望ましい形質もしくは特性を有する哺乳動物が長年に渡り所望されてきた。伝統的な繁殖工程は、特別に所望の形質を含む動物を生産することができるが、これらの形質にはしばしば多数の望ましくない特性が付随し、開発には余りに長期間が浪費され、高額の費用を要し、確実性ではないことが多い。さらに、これらの工程は、特定動物系が例えば問題となる種の遺伝的に補完的なものから完全に欠如している所望のタンパク質治療薬などの遺伝子産物(すなわち、有蹄動物乳汁中のヒトもしくはヒト化血漿タンパク質または他の分子)を産生することを可能にするのは完全に不可能である。トランスジェニック動物を発生させることのできる技術の開発は、特異的形質を有するように操作されるか、あるいは治療的、特異的もしくは商業的価値のある、所定のタンパク質または他の新規の分子化合物を発現するように設計された動物を生産する際に格別な精確さを備えた手段を提供する。すなわち、トランスジェニック動物は、初期発生段階において現在ある体細胞および/または生殖細胞株へ意図的に導入されている1つ以上の当該遺伝子を有する動物である。動物が発生かつ成長するにつれて、動物において人工的に作り出されたタンパク質産物もしくは特異的発生の変化が発現し、その時点にはその動物およびその子孫の遺伝的に補完的なものの中に存在する。
【0008】
好ましい実施形態では、本発明は、トランスジェニック動物の乳汁中における当該二機能性融合タンパク質のバルク生成を提供する。乳汁中での当該融合タンパク質の生成は、公知の酪農技術を用いて極めて大量の乳汁を製造、収集および精製できるので、バルク工程として理想的である。トランスジェニック哺乳動物の工程を用いる第2の長所は、例えばカルボキシ末端アミド化などのヒトにおける生物活性のために不可欠である一部の反応が、現在利用できる化学的手段では、または細菌もしくはその他のインビトロの状況では、良好な収率で実施するのが困難なことにある。例えば、カルボキシ末端アミド化は、当該の融合タンパク質またはカルボキシ末端にグリシン残基を含むタンパク質を認識して修飾する特定酵素によって触媒される。このため、本発明の適切に設計された融合タンパク質は、トランスジェニック動物の乳汁中へ分泌される前に特異的にアミド化させ得る。これは、乳腺内の生合成経路によって実施でき、そして潜在的に特定融合タンパク質の合成のために利用できる一連の翻訳後修飾の1つの例に過ぎない。所望の翻訳後修飾の他の例としては、ジスルフィド架橋形成、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化ならびにOおよびN結合グリコシル化の付加が挙げられる。
【0009】
AFPの生理活性フラグメントに関しては、組換えAFPの非グリコシル化形が正常なグリコシル化形状に類似する生物学的特性を示し、グリコシル化変動性が欠如するために標準化された一定の産物を提供することにも留意されたい。これはまた、インビトロもしくはトランスジェニック系においてより容易に産生させることができる。このため、非グリコシル化AFPは商業的生産のための好ましい形態である。
【0010】
先行技術によると、当該組換えタンパク質を産生することのできる動物の発生は、公知である。しかし、本発明のために必要な水準の遺伝子操作、利用できる様々な融合タンパク質の改変された配列、二官能性分子の相乗作用およびそれらが有用である疾患状態もしくは病状は、本発明より以前には知られていないままであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、治療用組成物を生成するための改良された方法が必要である。本発明の方法は、核移植の状況において、それらの乳汁中での当該組換え二機能性融合タンパク質の産生において有用であるトランスジェニック動物を発生させるために、典型的には一次体細胞に適用される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
手短に述べると、本発明は、好ましくはトランスジェニック動物を使用することによって、当該二機能性融合タンパク質を生成させるための方法を提供する。本方法は、所定のトランスジェニック構築物を用いて非ヒト哺乳動物細胞株をトランスフェクトする工程を含み、前記構築物は、当該個別タンパク質の生物活性を保持している、各々の所望の第1所望ペプチドフラグメントおよび第2所望ペプチドフラグメントをコードする少なくとも1つの組換えコード配列を含有する。この工程は、DNA構築物を開発する工程と;所望の組換え配列がその細胞もしくは細胞株のゲノム内に挿入されている1つ以上の細胞株を選択する工程と;所望の融合タンパク質についてヘテロ接合型であるトランスジェニック動物を発生させるための核移植方法を実施する工程とを含む。その後、二機能性融合タンパク質を発現する融合タンパク質は、トランスジェニック動物の乳汁もしくは他の体液から収集され、精製して治療薬として使用され得る。
【0013】
本発明によって実施され得る追加の工程は、ヘテロ接合型トランスジェニック動物を生検する工程である。その後、本発明によると、細胞株は、より短期間に複数のトランスジェニック動物を発生させるために使用されるヘテロ接合型動物から入手された生検された細胞株を用いてインビトロで拡張させることができる。
【0014】
あるいは、またはさらに、研究、連続クローニング、またはその他のインビトロ使用のために有用である多くのトランスジェニック細胞を生成するために核移植方法を実施できる。本発明の好ましい実施形態では、生残細胞は、数種の知られている分子生物学方法(FISH、サザンブロット、もしくはPCRが挙げられるがこれらに限定されない)の1つによって特性付けられる。上記に提供した方法は、1つ以上の所望の導入遺伝子にとってホモ接合型である動物のトランスジェニック群の加速された生成およびそれによる所望の生物薬剤のより効率的な生産を可能にするであろう。この方法で、本発明は、当該の二機能性融合タンパク質を発現する遺伝的に所望の家畜類または非ヒト哺乳動物自体の生成を可能にする。
【0015】
さらに、本発明の方法は、潜在的に以前の方法よりはるかに迅速に所望のタンパク質の群収率を増加させることにより、特別に有益もしくは高価値の融合タンパク質を有する1つ以上のホモ接合型動物の開発も可能にするであろう。同様に、本発明の方法はさらに疾患もしくはそれらの寿命によって失われた特異的トランスジェニック動物の代替も提供するであろう。それらはさらに、所望の生物医薬組成物を製造するための生産高を最高化して費用を下げることができるように様々なDNA構築物を用いて構築されるトランスジェニック動物の生成を容易にして促進するであろう。
【0016】
このため、本発明の1つの実施形態によると、当該の融合タンパク質にとってホモ接合型であるトランスジェニック動物を作製するのが有益なことがある。この実施形態では、当該の導入遺伝子およびヘテロ接合型トランスジェニック動物の遺伝子組成を特性付けるのが好ましい。その後所望の導入遺伝子についてホモ接合型である細胞は、マーカー物質の使用と;知られている分子生物学方法を用いて生残細胞を特性付ける工程と;第2ラウンドの核移植もしくは胚移植において使用するための生残細胞もしくは細胞コロニーを選定する工程と;および所望の融合タンパク質のためにホモ接合型である動物を発生させる工程と、を通して選択される。
【0017】
このため本発明の1つの対象は、ヒトα−フェトプロテイン、または別個の、そして一部の場合には相乗作用を有するヒトα−フェトプロテインの変異体に結合した、治療活性を有するペプチドフラグメントに由来する活性部分を含有する二機能性融合タンパク質を発現に関する。
【0018】
本発明のまた別の対象は、上述したキメラ分子を調製するための工程に関する。より詳細には、本工程は、真核もしくは原核細胞宿主が所望の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を発現することを誘発する工程と、そしてその後に前記融合タンパク質産物を採取する工程と、から構成される。
【0019】
したがって、本発明の目的は、重症筋無力症を処置できる薬剤を提供することである。
【0020】
本発明のさらにまた別の目的は、癌細胞の増殖を阻害する、および/または腫瘍に血液供給できる血管へ発達する可能性がある内皮細胞にとって抗血管新生性である薬剤を提供することである。
【0021】
本発明のさらにまた別の目的は、慢性関節リウマチに罹患している患者を処置するための方法を提供することである。
【0022】
本発明のさらにまた別の目的は、上述した薬剤を使用する工程によって癌を処置する方法を提供することである。
【0023】
本発明のまた別の目的は、本発明による二機能性タンパク質を適用する工程によって皮膚の状態または損傷した皮膚を処置する方法を提供することである。
【0024】
以下の開示を読むことでより容易に明白になるこれらの目的およびその他の目的は、本発明によって達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(詳細な説明)
以下の略語は、本明細書において規定した意味を有する:
略語の意味:
体細胞核移植(SCNT)
嚢胞性線維症膜透過性調節因子(CFTR)
核移植(NT)
合成卵管液(SOF)
ウシ胎仔血清(FBS)
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
ウシ血清アルブミン(BSA)
用語の説明:
AFP分泌シグナルもしくは「AFPシグナルペプチド」もしくは「AFPリーダー」もしくは「AFPシグナル配列」 − Genbankアクセッション番号V01514(ヌクレオチド45−98によってコードされている)に記載されたアミノ酸1−18と実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチド。このタンパク質分泌シグナルは、プロセッシング中もしくは成熟プロセス中にAFPから切除される。
【0026】
ウシ(bovine) − 様々な種のウシ(cow)の同義語もしくは関連語。
【0027】
生物活性/生理活性 − 広範囲に解釈することが意図されている。インターフェロン様タンパク質の場合は、ヒトIFN−αもしくはヒトIFN−βに特異的かまたは、その両方に共通の特性(例えば、それらの抗ウイルス活性および主要組織適合複合体(MHC)の抗原を調節する能力など)を含むすべての公知の(または今後見いだされる)特性が含まれる。
【0028】
生物液 − 生物(例えば、哺乳動物、鳥類、両生類もしくは爬虫類など)によって生成される水溶液であって、この水溶液中に浸けられた細胞によって分泌されるタンパク質を含有する。例としては:乳汁、尿、唾液、精液、膣分泌液、滑液、リンパ液、羊水、血液、汗および涙液;ならびに、例えば滲出液や溢液、木部、師部、樹脂、および花蜜を含む、植物が産生する水溶液が挙げられる。
【0029】
生物液産生細胞 − 生物液に浸けられて、その生物液中にタンパク質を分泌する細胞。
【0030】
生物薬剤 − その起源、合成、もしくは製造に微生物、組換え動物(キメラ動物もしくはトランスジェニック動物を含むがこれらに限定されない)、核移植法、微量注入法または細胞培養技術の使用を含む、任意の医薬品、処置薬、ワクチンまたは任意の医学的に有用な組成物を意味する。
【0031】
ヤギ(Caprine)−様々な種のヤギ(goat)の同義語もしくは関連語。
【0032】
コード− 一般に、通常はプロモーター(例、β−カゼインプロモーターもしくはβ−ラクトグロブリンプロモーター)へ作動可能に連結されている、翻訳可能な形状で存在する配列情報を意味する。配列は、作動可能プロモーターがその配列の転写または発現を促進する場合、プロモーターへ作動可能に連結される。アンチセンス鎖は、特にセンス鎖の発現を促進する配列へ作動可能に連結されている場合は、同じ内容の情報が容易に入手可能な形状で存在するので、その配列をコードするとも考えられる。情報は、標準的かまたは改変された遺伝コードを用いて変換することができる。
【0033】
発現ベクター − 例えば、バクテリオファージ、アデノウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルスもしくは人工染色体に由来する、遺伝学的に操作されたプラスミドもしくはウイルスであって、それらはコードされた組換えAFP融合タンパク質が宿主細胞内で発現するようにプロモーターへ作動可能に連結されたAFP融合タンパク質のコード配列を宿主細胞内へ導入するために使用される。
【0034】
機能性タンパク質 − 内因的に産生された場合に見られるタンパク質に類似する、生物活性もしくは他の活性または用途を有するタンパク質。
【0035】
融合スライド − 一定間隔をあけて配置された平行電極のためのスライドガラス。対の細胞が、融合および活性化のための電流を受けるために電極間に配置される。
【0036】
相同配列 − 比較したときに、類似性を示す遺伝的配列を意味する。核酸における相同性についての基準は、当分野において一般に使用される相同性またはハイブリダイゼーション条件についてのいずれかの基準である。核酸の状況における実質的相同性は、セグメントもしくはそれらの相補鎖が、適切なヌクレオチドの挿入もしくは欠失によって最適にアライメントされ、比較されたときに、少なくとも約60%の残基、通常は少なくとも約70%、より通常は少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%およびより好ましくは少なくとも約95から98%のヌクレオチドにおいて同一であることを意味する。あるいは、実質的相同性は、このセグメントが選択的ハイブリダイゼーション条件下で鎖もしくはその相補体へハイブリダイズする場合に存在する。ハイブリダイゼーションの選択性は、特異性が完全に欠如する場合よりも選択的であるハイブリダイゼーションが起きる場合に存在する。典型的には、選択的ハイブリダイゼーションは、少なくとも約14ヌクレオチドの配列にわたり少なくとも約55%、好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約75%、そして最も好ましくは少なくとも約90%の相同性が存在する場合に起こるだろう。
【0037】
ヒトα−フェトプロテインもしくは「AFP」もしくは「rAFP」 − Genbankアクセッション番号V01514に記載の成熟α−フェトプロテイン(アミノ酸19−609)(配列番号4)と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、Genbankアクセッション番号V01514に記載のcDNA配列のヌクレオチド99−1874(配列番号3)によってコードされ、そしてMorinaga et al.(PROC. NATL. ACAD. SCI. USA 80:4604−4608,(1983)の中で報告されているペプチドである。
【0038】
ヒトα−フェトプロテイン前駆体 − Genbankアクセッション番号V01514に記載のアミノ酸1−609(配列番号2)と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、そしてGenbankアクセッション番号V01514に記載されたcDNA配列のヌクレオチド45−1874(配列番号1)によってコードされるペプチドである。
【0039】
リーダー配列もしくは「シグナル配列」 − タンパク質分泌シグナルをコードする核酸配列であって、そしてAFP融合タンパク質をコードする核酸分子の下流に作動可能に連結された場合にAFP分泌を指令する核酸配列。このリーダー配列は、天然ヒトAFPリーダー、人工的に得られたリーダーであり得るか、またはAFPコード配列の転写を指令するために使用されるプロモーターと同一遺伝子からか、または正常に細胞から分泌される別のタンパク質から入手され得る。
【0040】
乳汁産生細胞 − 乳汁中へタンパク質を分泌する細胞(例、乳腺上皮細胞)。
【0041】
乳汁特異的プロモーター − 乳汁中にタンパク質を分泌する細胞(例、乳腺上皮細胞)中で遺伝子の発現を天然に指令するプロモーターであり、例としては、α−カゼインプロモーター(例、αS1−カゼインプロモーターおよびαS2−カゼインプロモーター)、β−カゼインプロモーター(例、ヤギβ−カゼイン遺伝子プロモーター(DiTullio, BIOTECHNOLOGY 10:74−77, 1992)、γ−カゼインプロモーターおよびκ−カゼインプロモーターなどのカゼインプロモーター;乳清酸性タンパク質(WAP)プロモーター(Gorton et al., BIOTECHNOLOGY 5:1183−1187, 1987);β−ラクトグロブリンプロモーター(Clark et al., BIOTECHNOLOGY 7:487−492, 1989);およびα−ラクトアルブミンプロモーター(Soulier et al., FEBS LETTS. 297:13, 1992)が挙げられる。乳腺組織中で特異的に活性化されるため本発明にとって有用である、例えば、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)の長い末端反復配列(LTR)プロモーターなどのプロモーターもまた含まれる。
【0042】
非グリコシル化ヒトAFP − 配列番号4のアミノ酸位置233でのアスパラギン残基からグルタミン残基(配列番号6に記載)への突然変異を含み、それによって単一グリコシル化部位が排除されていること以外は、上記の成熟ヒトα−フェトプロテインと実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチド。非グリコシル化ヒトα−フェトプロテイン前駆体の核酸配列には、配列番号5に記載の配列のヌクレオチド45から1874が含まれる。
【0043】
核移植 − ドナー細胞由来の核が除核卵母細胞内へ移植されるクローニング法を意味する。
【0044】
作動可能に連結された − 適当な分子(例、転写活性化因子タンパク質)が調節配列へ結合すると遺伝子発現が可能になるような方法で、1つの遺伝子および1つ以上の調節配列が結合されている。
【0045】
ヒツジ(Ovine) − ヒツジ(sheep)の同義語、関連語または類似語。
【0046】
単為生殖性 − 精子が進入せずに生じる卵母細胞からの胚の発生。
【0047】
製薬学的に純粋 − 明確な生物学的試験ならびにヒト患者の処置を実施するために適切な投与に対して適当な融合タンパク質を意味する。実質的に製薬学的に純粋とは、少なくとも約90%純粋であることを意味する。
【0048】
ブタ(Porcine) − ブタ(pigもしくはswine)の同義語もしくは、類似語。
【0049】
プロモーター − 転写を指令するために十分である最小配列。本発明においては、細胞タイプ特異的、組織特異的、時期特異的に調節可能か、または外部のシグナルもしくは薬剤によって誘導可能なプロモーター依存性遺伝子発現をするのに十分なプロモーターエレメントがさらに含まれる;そのようなエレメントは、天然の遺伝子の5’領域もしくは3’領域またはイントロン配列領域内に位置してよい。
【0050】
タンパク質 − 本明細書で使用する場合、糖タンパク質ならびに他の付加を有するタンパク質を含むことが意図される。これには、さらに生理的機能を保持するフラグメント状もしくは短縮形のポリペプチドが含まれる。
【0051】
組換え体 − 天然に発生しない核酸配列または配列が別な方法で2つに分離されたセグメントを人工的に組み合わせることよって作り出された核酸配列を意味する。この人工的組み合わせは、化学合成手法かまたは核酸の単離されたセグメントの人工的操作(例えば遺伝子組換え技術)のいずれかによって遂行されることが多い。そのような技術は、通常は、典型的には配列認識部位を導入または除去しながら、コドンを同一アミノ酸もしくは保存的アミノ酸をコードする冗長コドンに置換するために実施される。あるいは、一般に天然の形状では見いだされない所望の機能の組み合わせを含む単一の遺伝子実体を生成するために、所望の機能性ポリペプチド配列の核酸セグメントを結合するために実施される。制限酵素認識部位がこのような人工的操作の標的となることが多いが、他の部位特異的標的(例えば、プロモーター、DNA反復部位、調節配列、制御配列またはその他の有用な特徴)が設計によって組み込まれてよい。例えば本発明による二機能性融合タンパク質などの組換え体に対して類似の考え方が企図されている。
【0052】
処置有効量 − 患者に投与したときに、その分子によって調節される生物活性を阻害する、または刺激する処置分子もしくはそのフラグメントの量。
【0053】
形質転換、「トランスフェクション」または「形質導入」 − 外来性分子を細胞に導入するための方法。リポフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、微量注入法、核移植(例えば、Campbell et al. BIOL. REPROD. 49:933−942, 1993;Campbell et al., NATURE 385:810−813, 1996を参照)、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈降法、形質導入(例、バクテリオファージ、アデノウイルス、レトロウイルスもしくは他のウイルス送達)、エレクトロポレーションおよび遺伝子銃形質転換は、当業者に公知の、使用され得る方法の少数の例に過ぎない。
【0054】
形質転換細胞またはトランスフェクトされた細胞 − AFPをコードする核酸分子が組換えDNA技術によって導入されている細胞(もしくは細胞の子孫)。この核酸分子は、宿主染色体内に安定性に組み込まれ得るか、またはエピソームによって維持され得る。
【0055】
導入遺伝子 − 細胞またはその祖先の中に技術的に挿入され、そしてその細胞から発生する動物のゲノムの一部になる核酸分子の任意の小片。そのような導入遺伝子は、トランスジェニック動物にとって部分的もしくは完全に外因性(すなわち、外来性)である遺伝子を含み得るか、またはその動物の内在性遺伝子との同一性を有する遺伝子を表し得る。
【0056】
トランスジェニック − 細胞またはその祖先の中に技術的に挿入され、そしてその細胞から発生する動物のゲノムの一部になる核酸分子を含む任意の細胞。
【0057】
トランスジェニック生物 − 別の生物からの遺伝物質を実験的に導入される生物であって、導入された結果、この宿主は、それの遺伝的に補完的なものとしてすでにあるものに加えて、それの染色体内に導入された遺伝子の遺伝情報を獲得する。
【0058】
有蹄動物 − 有蹄の、典型的な草食性の四肢動物(ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシおよびウマが挙げられるがこれらに限定されない)の同義語もしくは関連語。
【0059】
ベクター − 本明細書中で使用されるとき、(1)宿主細胞中で複製し得、(2)宿主細胞を形質転換し得、そして(3)形質転換細胞を同定するために適当なマーカーを含有する、プラスミド、ファージDNAもしくは他のDNA配列を意味する。
【0060】
本発明によると、当該の融合タンパク質を産生させるための方法であって、工程がトランスジェニック非ヒト胎盤哺乳動物の乳汁中で、当該の第2ポリペプチドへ連結した当該の第1ポリペプチドを含む融合タンパク質を発現させる工程を含み、そのどちらもが独立した生理的作用を有する方法が提供される。
【0061】
本発明の二官能性分子において使用するための当該のタンパク質ファミリーの1つは、タンパク質のインターフェロンファミリーである。インターフェロンタンパク質(「IFN’s」)は、抗ウイルス性、抗腫瘍性および免疫調節性挙動を示すことが知られている一群の天然に存在するタンパク質を構成する。このクラスのサイトカイン類は、免疫刺激/調節活性を有する。インターフェロンタンパク質は、主としてウイルス感染に反応する細胞、そしてさらに合成誘発因子もしくは生物学的誘発因子に反応する細胞によってインビボで産生および分泌されたおよそ15,000から28,000ダルトン(15〜28kDa)の分子量を含む小さなタンパク質および糖タンパク質の1ファミリーである。インターフェロンタンパク質を説明して命名するために使用される命名協定は複雑である。この原因は、主として様々なインターフェロンタンパク質が同一細胞タイプによって産生することを証明してきた進歩し続ける知識およびテクノロジー、様々な種および形態のインターフェロンの発見、ならびに一部の形態が以前に報告された他の形態と同一であることの発見にある。ヒト天然インターフェロンは長年にわたり抽出するために高額の費用がかかっていたので、ヒトインターフェロンの組換え体の形状を調製するための技術が開発されてきた。
【0062】
インターフェロンタンパク質は、細胞表面上の特異的膜受容体へ結合することによってそれらの細胞活性を発揮する。インターフェロンタンパク質は、細胞膜へ結合すると、所定の他のサイトカインのアップレギュレーション、所定の酵素の誘導、細胞増殖の抑制、マクロファージの食作用活性の増強および標的細胞に対するリンパ球の特異的細胞毒性(例、細胞性免疫)の増強などの免疫調節活性、ならびにウイルス感染細胞中でのウイルス複製の阻害を含む一連の複雑な細胞内事象を開始する。
【0063】
ある範囲の生物活性は、抗ウイルス性、抗増殖性および免疫調節性活性を含むIFNと関連している。処置的使用としては、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病、低悪性度非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫カルチノイド腫瘍、腎細胞癌、頭頸部の扁平上皮腫瘍、多発性骨髄腫、および悪性黒色腫の処置が挙げられる。ウイルス疾患に関して、IFN−αは、B型もしくはC型肝炎ウイルスのいずれかによって惹起される慢性活動性肝炎の処置に役立つことが見いだされている。
【0064】
1993年に、米国食品医薬品局(FDA)は、多発性硬化症(MS)に対する療法としてβ−インターフェロン(IFN−β)を承認した。β−インターフェロンの投与は、米国内で約350,000人が罹患している、慢性で日常生活に支障を来すことが多いこの神経疾患の進行を緩徐化する。薬剤の利用可能性は、しばしばコルチコステロイドおよびその他の治療法からはわずかな利益しか得られないMS患者にとって画期的なできごとである。
【0065】
MSは、身体の防御システムが、絶縁体が電線を被覆するのとほぼ同様に脳および脊髄の神経線維を保護する脂肪物質であるミエリン鞘を攻撃する自己免疫疾患である。脳への、そして脳からの電気インパルスの伝達は、MS病変がミエリン鞘内で破断を作り出すにつれて中断させられる。その結果として、MSを含む人々は、衰弱、疲労、失禁、視覚障害、不明瞭な発語、またはときには麻痺を含む症状を経験する。β−インターフェロンは、先行技術において多発性硬化症の処置に正の作用を及ぼすことが証明されている。高用量のβ−インターフェロンを摂取した再発寛解型MSを有する通院患者はプラセボを摂取した人々に比較して発作回数が約30%少なくなり、そして重篤な発作を有したのは半数であった。その結果、本発明の方法を通して作製される当該分子は、MSに対して治療的に使用したときに有益な相乗作用を含む、AFP−IFN−β二機能性融合タンパク質である。すなわち、β−IFNの治療的作用は、MSに対する有益な有効性を有する機能性α−フェトプロテインの存在によって相乗作用により高められる。
【0066】
原核もしくは真核細胞インビトロ産生のために適合する可能性のある宿主生物としては:E. coli.(大腸菌)、Pseudomonas(シュードモナス属)、Bacillus subtilis(枯草菌)、Bacillus thuringiensis(バチルス・チューリンゲンシス)、様々な酵母株、Bacillus thermophilus(バチルス・サーモフィラス)、例えばマウス、ラットもしくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの動物細胞、植物細胞、動物および植物宿主などが挙げられる。精選された宿主がベクターを用いて形質転換される場合は、タンパク質配列を発現させるために適切なプロモーター−オペレーター配列もまた導入されることが認識されなければならない。宿主は、原核生物であっても真核生物であってもよく、E. coli.およびCHO細胞がインビトロ系にとって好ましい宿主である。本発明によって発現する融合タンパク質は、本発明による遺伝子組換え配列のタンパク質およびDNA配列を産生させるために使用される宿主生物において発生するグリコシル化に依存してグリコシル化されていてもグリコシル化されていなくてもよい。所望であれば、E. coli.もしくはBacillus(バチルス属)が宿主生物である場合に入手された非グリコシル化発現タンパク質は、化学的、酵素的および当技術分野において知られている他のタイプの修飾によって任意でインビトロでグリコシル化されてよい。
【0067】
本発明の方法によると、トランスジェニック動物についての体細胞核移植のために適合するトランスジェニック一次細胞株(ヤギ、ウシ、ヒツジ、ブタもしくはその他の任意の非ヒト脊椎動物起源に由来)は、当該の融合タンパク質核酸構築物(例えば、ヒトα−フェトプロテイン−乳腺に対するβ−インターフェロン融合タンパク質の発現を標的とする1つ以上の乳腺特異的導入遺伝子)のトランスフェクションによって作製される。導入遺伝子構築物は、選択マーカー(例えば、ネオマイシン、カナマイシン、テトラサイクリン、ピューロマイシン、ゼオシン、ハイグロマイシンもしくは他の任意の選択可能なマーカー)を含有していてよい、または細胞培養中で選択マーカーを発現させることのできるカセットを用いてコトランスフェクトされてよい。
【0068】
本発明は、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結した、本明細書に記載した核酸配列を含有する発現ベクターを提供する。多数のそのようなベクターは市販で入手でき、そして当業者であればその他の適当なベクターを容易に作製することができる。「作動可能に連結した」もしくは「作動的に連結した」は、核酸分子が、宿主生物によって核酸配列の発現を可能にする方法で調節配列に連結していることを意味することが意図されている。調節配列は当技術分野において認識されており、コードされたポリペプチドもしくはタンパク質を産生させるために選択される。したがって、用語「調節配列」には、Goeddel, GENE EXPRESSION TECHNOLOGY:METHODS IN ENZYMOLOGY 185, (Academic Press, San Diego, Calif.(1990))に記載されているプロモーター、エンハンサー、およびその他の発現調節エレメントが含まれる。例えば、天然調節配列もしくは形質転換された宿主細胞にとって天然である調節配列を使用できる。
【0069】
発現ベクターの設計は、形質転換されるべき宿主細胞の選択および/または発現させたいタンパク質のタイプなどの要素に依存する可能性があることを理解されたい。例えば、本発明のポリペプチドは、クローン化遺伝子、もしくはその一部分を原核細胞、真核細胞のいずれかもしくはその両方において発現させるために適合するベクター内へライゲーションする工程によって産生させることができる。(A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., ed. Sambrook et al.(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989) Chapters 16 and 17))。
【0070】
所望の核酸構築物に対する組換え体であるコロニーの選択後に、細胞は、当技術分野において公知の方法によって、単離、増殖し、そして長期間保管するためにその一部を冷凍する。選択されたトランスジェニック細胞株は、標準的な分子生物学方法(PCR、サザンブロッティング、FISH)を用いて特性付けることができる。適切なコピー数の、一般に単一統合部位を含む当該の二機能性融合タンパク質の核酸構築物を有する細胞株は(同一の技術が多数の統合部位を有する場合にも使用できるが)、その後に当技術分野において知られている体細胞核移植プロトコールにおいて核体ドナーとして使用できる。核移植、およびレシピエント動物への胚移植、ならびに妊娠の後に、生きている遺伝子導入子孫が得られる。典型的には、この遺伝子導入子孫は、特異的染色体上で1つの導入遺伝子統合しか有しておらず、他方の同種染色体は同一部位において統合を有していない。そこで、遺伝子導入子孫は、その導入遺伝子にとってヘテロ接合型であり、ホモ接合型トランスジェニック動物を発生させるためには少なくとも2回の連続繁殖周期に対する必要が残っている。
【実施例】
【0071】
(実施例1)
(AFP−β−インターフェロン)
本発明のまた別の特徴は、本発明の二機能性融合タンパク質を必要とする患者を処置する方法であって、前記患者に、トランスジェニック非ヒト生物(例、哺乳動物(例、マウス、ヤギ、ヒツジ、ラクダ、ウシ、ブタ、ウサギ、ウマ、オックス、またはラマ)、鳥類、爬虫類、両生類、または植物から入手される本発明の二機能性融合タンパク質を含む処置有効量の生物液(例、乳汁、尿、唾液、精液もしくは膣分泌液、滑液、リンパ液、羊水、卵黄嚢、漿膜、もしくは卵の尿嚢内の液体、血液、汗、および涙液;または例えば、滲液もしくは溢液、木部、師部、樹脂、および花蜜)、またはその抽出液を投与する工程による方法である。所望の実施形態では、本発明の二機能性タンパク質は、配列番号4、10および24の組み合わせに記載した配列を有する。また別の実施形態では、生物液は乳汁である。さらにまた別の実施形態では、本発明の二機能性融合タンパク質は、トランスジェニック非ヒト生物の生物液(例、哺乳動物の乳汁、尿、血液もしくはリンパ液から精製された本発明の二機能性融合タンパク質)から精製される。様々な所望の実施形態では、本方法は、例えばヒト免疫不全性ウイルス(HIV)による感染症、癌細胞増殖などの免疫障害を阻害もしくは処置するため、(例えば、骨髄移植後、または化学療法もしくは放射線療法などの骨髄毒性療法の適用後の)骨髄細胞増殖を誘導するために使用され得るか、または(例えば、自己応答性免疫細胞増殖を阻害するための、移植された臓器の拒絶(例、移植片対宿主疾患)を阻害するための、自己免疫障害(例えば、慢性関節リウマチ、筋ジストロフィー、全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、多発性硬化症、インスリン依存型糖尿病または乾癬)を阻害または処置するための)免疫抑制剤として使用され得る。ヒトAFP遺伝子(GenBankアクセッション番号M16110)。
【0072】
(実施例2)
(当該の融合タンパク質の配列)
(A. α−フェトプロテイン)
配列番号1 Genbankアクセッション番号V01514に記載された全cDNA配列。
配列番号2 Genbankアクセッション番号V01514 (アミノ酸1−609)。
配列番号3 Genbankアクセッション番号V01514 配列番号1のcDNAからの(核酸99−1874)。
配列番号4 Genbankアクセッション番号V01514 (アミノ酸19−609)。
配列番号5 Genbankアクセッション番号V01514 (核酸45−1874についての非グリコシル化ヒトα−フェトプロテイン前駆体の核酸配列)。
配列番号6 Genbankアクセッション番号V01514 AFPでの単一グリコシル化部位を除去するためにアスパラギン残基からグルタミン残基への配列番号4のアミノ酸位置233で突然変異を含むことを除く(アミノ酸19−609)。
配列番号7 Genbankアクセッション番号V01514 (アミノ酸1−18)AFP分泌シグナル。
配列番号8 Genbankアクセッション番号V01514 (AFP分泌シグナルのヌクレオチド45−98、DNA配列)。
配列番号9 ヒトAFP遺伝子 (GenBankアクセッション番号M16110)。
【0073】
(B. 当該のパートナータンパク質の配列)
配列番号10 全米バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)からのGenbank/EMBL/DDBJアクセッション番号AAC41702 − ヒトβ−インターフェロン変異体1(1−187アミノ酸残基)。
配列番号11 全米バイオテクノロジー情報センターからのGenbank/EMBL/DDBJアクセッション番号CAA00839 − ヒトα−インターフェロン変異体2A(1−212アミノ酸残基)。
配列番号12 全米バイオテクノロジー情報センターからのGenbank/EMBL/DDBJアクセッション番号AAP20099 − ヒトα−インターフェロン変異体2B(1−166アミノ酸残基)。
配列番号13 全米バイオテクノロジー情報センターからのProtein Sequence Record Genbankアクセッション番号NP_795372−ヒトτ−インターフェロン (1−189アミノ酸残基)。
配列番号14 全米バイオテクノロジー情報センターからのProtein Sequence Record Genbankアクセッション番号NP_76918 − ヒトα−インターフェロン変異体1(1−189アミノ酸残基)。
配列番号15 全米バイオテクノロジー情報センターからのProtein Sequence Record Genbankアクセッション番号NP_000610 − ヒトγ−インターフェロン(1−166アミノ酸残基)。
配列番号16 全米バイオテクノロジー情報センターからのGenbank/EMBL/DDBJアクセッション番号AAH18990 − 軽鎖ヒトフェリチン(1−175アミノ酸残基)。
配列番号17 全米バイオテクノロジー情報センターからのGenbank/EMBL/DDBJアクセッション番号AAH16857 − 重鎖ヒトフェリチン(1−183アミノ酸残基)。
配列番号18 全米バイオテクノロジー情報センターからのGenbank/EMBL/DDBJアクセッション番号AAH05322 − ヒトデコリン(1−359アミノ酸残基)。
配列番号19 Genbankアクセッション番号113936 − ヒトアンチトロンビン(1−464アミノ酸残基)。
配列番号20 Genbankアクセッション番号113936 − アルギニン残基393およびセリン残基394の間でのアンチトロンビンの酵素開裂によって生成される「開裂された」ヒトアンチトロンビン(1−464アミノ酸残基)。
配列番号21 全米バイオテクノロジー情報センターからのProtein Sequence Record Genbankアクセッション番号NP_002611 − ヒト血小板第4因子(1−104アミノ酸残基)。
配列番号22 全米バイオテクノロジー情報センターからのProtein Sequence Record Genbankアクセッション番号NP_000939 − ヒトプロラクチン(1−227アミノ酸残基)。
配列番号23 全米バイオテクノロジー情報センターからのGenbank/EMBL/DDBJアクセッション番号CAA26189−ヒトカルシトニン (1−93アミノ酸残基)。
配列番号24 全米バイオテクノロジー情報センターからのGenbank/EMBL/DDBJアクセッション番号AAE57231 − IRESリンカー配列変異体1(1−236アミノ酸残基)。
配列番号25 全米バイオテクノロジー情報センターからのGenbank/EMBL/DDBJアクセッション番号AAH08915 − α1−アンチトリプシン(1−406アミノ酸残基)。
【0074】
(C. 最適化されたコドン)
宿主生物および最も詳細にはトランスジェニック生物中におけるタンパク質の発現は、DNA構築物の開始コドンが宿主生物の最適な(もしくはコンセンサス)開始部位といかに良好に適合するのか、mRNAのコドン使用頻度が宿主生物の「コドンバイアス」といかに良好に適合するのか、潜在イントロンスプライス部位(潜在的に短縮タンパク質もしくはナンセンスタンパク質を生じさせる)の存在および当該タンパク質中における安定化シグナルもしくは不安定化シグナル(すなわち、PEST分解シグナル)の存在に一部、依存する可能性がある。
【0075】
宿主生物とは高度に相違する核酸プロファイルを有する生物由来の当該タンパク質は、結果としてそれらが所定のアミノ酸に対して「好ましい」もしくは共通核酸コドンとより厳密に適合するように主要アミノ酸のコドンを最適化できるようにcDNAを再遺伝子組換えする工程から利益を得られる可能性がある。例えば、高A−T含量生物由来の当該タンパク質(例えば、Dictyostelium discoideumもしくはPlasmodium falciparum)は、アミノ酸配列を未変化のまま残しながら、コドンをG−C重鎖コドンに対して最適化させる工程によってより容易に発現させることができるであろう。
【0076】
トランスジェニック動物産生系では、治療的に実施可能にするために利用できる十分な化合物を作製するためには、大量の当該タンパク質を産生させるための最適化発現系の使用が必要になることがある。このために、本発明によって提供される二機能性融合タンパク質の全部に対して最適化コドンを利用して合成遺伝子を再遺伝子組換えすることが可能である。
材料および方法
トランスジェニックヤギおよびトランスジェニックウシ
本試験のために、細胞および細胞株ドナーとして使用した純系種および雑種の、スクラピー(海綿状脳症)を有していないAlpine、SaanenおよびToggenburg種の酪農ヤギの群は適正農業規範(GAP)ガイドラインを遵守して、飼養した。同様に、使用するウシも、適正農業規範(GAP)を遵守して飼養し、スクラピーおよびウシ脳症を有していない群由来であることが証明されなければならない。
ヤギ胎仔体細胞株の単離
核体ドナーとして使用する一次ヤギ胎仔線維芽細胞株は、35日齢および40日齢胎仔に由来した。胎仔を外科的に取り出し、平衡化リン酸緩衝食塩液(PBS、CA++/Mg++無含有)中に入れた。単細胞懸濁液は、38℃で10分間にわたり0.025%トリプシン、0.5mM EDTAへ曝露させた胎仔組織を細かく切り刻むことによって調製した。細胞は、胎仔細胞媒質[ヌクレオシド、0.1mM 2−メルカプトエタノール、2mM L−グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシン(各10,000I.U./mL)]を補給した10%ウシ胎仔血清(FBS)を含む平衡化Medium−199(M199, Gibco)を用いて洗浄し、25cmフラスコ内で培養した。4日間のインキュベーション後のトリプシン処理によって一次胎仔細胞のコンフルエントな単層を採取し、次に培養して維持するか、冷凍保存した。
均質な融合タンパク質
本明細書で使用する用語の実質的に純粋および均質は、天然にはそれに付随する成分から分離されているタンパク質もしくはポリペプチドを説明する。典型的には、モノマータンパク質は、サンプルの少なくとも約60から75%が一本鎖ポリペプチド主鎖を示す場合に実質的に純粋である。小さな変異体もしくは化学的修飾は、典型的には同一ポリペプチド配列を共有する。実質的に純粋なタンパク質は、典型的には約85から90%のタンパク質サンプルを含み、より通例には少なくとも約95%を含み、そして好ましくは約99%を超えて純粋であろう。通常は、純度は、染色する工程によって決定される均質性とともに、ポリアクリルアミドゲルについて測定される。所定の目的には、高分解能が使用され、HPLCもしくは精製のための類似の手段が利用されるであろう。大多数の目的には、単純なクロマトグラフィーカラムもしくはポリアクリルアミドゲルを使用して純度が決定されるであろう。
【0077】
タンパク質は、それが天然状態においてはそれに付随する天然汚染物質から分離されている場合は天然に関連する成分を実質的に含んでいない。そこで、化学合成される、もしくはそれから天然に由来する細胞とは相違する細胞株中で合成されるタンパク質は、その天然に関連する成分を実質的に含んでいないであろう。この用語は、ヘテロ接合型哺乳動物細胞もしくは植物細胞、E. coli.およびその他の原核細胞中で合成されているポリペプチドおよび核酸を説明するために使用される。本発明は、処置使用のための実質的に純粋な調製物を提供する。生物学的材料からそれらを単離するための様々な方法は、本明細書に含有されている構造的および機能的説明に一部は基づいて、工夫することができる。
【0078】
(「AFP−パートナーポリペプチド」融合タンパク質の構築)
本発明によると、用語「融合タンパク質」は、リンカー配列アミノ酸配列によって融合された2つの当該ポリペプチドを含む融合タンパク質を説明することが意図されている。本発明によると、二機能性融合タンパク質の生成は、特定疾患状態のための強化された処置選択肢を提供する際の有用なツールである。このため、必要とされる融合技術の開発が、ますます重要になってきている。構造生物学では、組換え融合タンパク質の構築は、可溶性タンパク質の発現を増加させるための手段およびタンパク質精製を促進するための手段として頻回に使用されてきている。この技術は、インビトロアッセイにおいてタンパク質の機能的活性を試験するため、そしてインビボ産生のために使用されてきた。近年、バイオテクノロジーの分野において遺伝子融合技術の広範囲の適用が報告されている。これらの用途には、抗体の選択および産生ならびに二機能性酵素の遺伝子組換えが含まれる。
【0079】
融合タンパク質の構築は、リンカー配列によって2つの高分子を連結することが含まれている。本発明によると、当該の高分子には、タンパク質もしくはタンパク質の球状ドメインが含まれる。リンカー配列の選択は、機能的融合タンパク質の構築において特に重要である。適切なアミノ酸組成物の必要性に加えて、リンカー配列の全体的な折畳みを考慮に入れなければならない。実際に、ヘリックスもしくは鎖構造は融合タンパク質の柔軟性を制限して結果としてその機能的活性に影響を及ぼし得るので、これらを形成する高い傾向を有するリンカー配列を有することは、不都合であることが多い。このため、リンカー配列の設計は、しばしばそのような二次構造エレメントを回避するための注意深い考察を必要とする。以下には、X線結晶学およびNMRによって決定される伸長した立体配座を採用することが知られている1組のサンプルリンカー配列を提供する:
サンプルリンカー配列:
【0080】
【化1】

これらは、アミノ酸配列および疎水性残基である。
【0081】
本発明のために有用なリンカー配列は、少なくとも1個以上のアミノ酸残基を備えており、上記に提供したリンカー配列の長さは12アミノ酸残基である。当該の第1および第2ポリペプチド(例:各々AFPおよびβ−インターフェロンフラグメント)の方向付けは、便宜上、リンカーに融合しているAFPのN末端配列および当該の第2ポリペプチドのC末端を用いて変化させることができ、逆もまた同様である。2つの生物活性分子は融合すると高められた処置機能を提供する、ならびに分子半減期を促進する。担体タンパク質の選択は、構築された融合タンパク質の適用によって規定されることが多い。本発明では、AFPは、固有の治療的作用を維持しながら、そして相乗作用による活性の改善を提供しながら、担体タンパク質ポリペプチドとして機能する。
【0082】
導入遺伝子をコードする様々なゲノムもしくはcDNAフラグメントの結合は、ライゲーションのための平滑末端もしくは付着末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じた付着端の充填、所望ではない結合を回避するためのアルカリおよびホスファターゼ処理、ならびに適切なリガーゼを用いたライゲーションを使用する、従来型技術によって実施される。遺伝子構築物は、融合タンパク質の効率的発現を可能にするために任意でリーダー配列をコードすることができる。
【0083】
ヒトAFPのDNA構築物は、当該のリンカー配列および第2ポリヌクレオチド配列へ融合させられる。ヌクレオチド配列全体は、発現を促進するため、および/または選択された発現プラットフォーム(例:トランスジェニック哺乳動物、原核細胞培養、哺乳動物細胞培養など)とより適合性であるように最適化されたそのコドンを有していてよい。当該の融合タンパク質のグリコシル化は真核生物系に特徴的であるので、治療的用途のために有用である二機能性組換えタンパク質配列は、好ましくは真核細胞もしくはトランスジェニック哺乳動物において産生する。これらの産生プラットフォームでは、当該の融合タンパク質を増幅させるために選択され、当該の二機能性のcDNA構築物に対してトランスジェニックにされたプラスミドは、精選の遺伝子増幅系内にサブクローニングすることができる。その後、DNA構築物が切り取られて標的核のゲノム内にトランスフェクトされる。
【0084】
本発明による生物学的機能性タンパク質の産生を保証するためには、タンパク質の分泌の成功を保証する天然リーダー配列の存在、適切な折畳み因子の存在および翻訳後修飾に対する能力などの要素があるために、哺乳動物細胞中での所望の融合タンパク質の発現が好ましい。さらに、哺乳動物細胞中での二機能性融合タンパク質の発現は、生物薬剤の製造において使用するために不可欠である。
【0085】
本発明は、特別に所望の配列を有するペプチドの産生方法および前記方法を実施するために必要なタンパク質および核酸中間体に関する。産生すべき二機能性融合タンパク質配列は、所望の最終生成物(当該ペプチド)と同一であってよい、または当該ペプチドの1つ以上のタンデムコピーを含有していてよい、および/または選択的に切除可能な結合に関連する配列を含有していてよい。最も好ましくは、本発明の方法は以下の:
a)当該の第1ポリペプチド、ペプチドリンカー配列および当該の第2ポリペプチドを有する融合タンパク質をコードするcDNAもしくはゲノムDNA構築物を提供する工程であって、その遺伝子が第1遺伝子座制御領域および第1プロモーターへ作動可能に連結している工程;
b)そのゲノム内に組み込まれた作動可能に結合した融合遺伝子を有するトランスジェニック動物を作製する工程であって、それにより前記融合タンパク質が発現して、乳汁分泌もしくはホルモン誘導による乳汁分泌によりトランスジェニック動物の乳汁中に取り込まれる工程;および
c)前記トランスジェニック動物の乳汁から前記融合タンパク質を単離する工程を含む。
【0086】
細胞培養では、宿主細胞と適合性である種に由来するレプリコンおよび制御配列を含有する導入遺伝子ベクターの産生が宿主と結び付けて使用される。ベクターは通常はレプリコン部位、ならびに形質転換細胞中で表現型選択を提供できる特異的遺伝子を有する。融合タンパク質の発現は、さらにまたその未形質転換状態において前記生物と同種であってよい他の調節配列を用いた制御下に置くこともできる。例えば、トランスジェニックヤギでは、乳汁分泌が開始されると当該の導入遺伝子の発現を活性化するだろうヤギβ−カゼインプロモーターを使用できる。その他のプロモーター/オペレーター系もしくはそれらの部分も同様に使用できる。例えば、乳清酸性プロモーター、β−ラクトグロビン、アルカリホスファターゼなどを使用できる。
【0087】
哺乳動物宿主に対しては、初回発現のために可能性のある数種のベクター系を利用できる。1つのクラスのベクターとしては、例えばウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(RSV、MMTVもしくはMOMLV)、またはSV40ウイルスに由来するDNAエレメントを利用する。DNAをそれらの染色体内へ安定性で組み込んでいる細胞は、トランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能にする1つ以上のマーカーを導入する工程によって選択することができる。このマーカーは、栄養要求性宿主に対するプロトトロピー、抗生物質抵抗性、または銅などの重金属に対する抵抗性を提供することができる。選択可能なマーカー遺伝子は、発現させるべきDNA配列へ直接連結させることができるか、または共形質転換によって同一細胞中へ導入することができる。mRNAの最適合成のために、追加のエレメントが必要になることもある。これらの要素は、スプライスシグナル、ならびに転写プロモーター、エンハンサー、および終結シグナルを含んでいてよい。
胚再構築のためのドナー細胞の調製
トランスフェクトした胎仔体細胞を、胎仔細胞培地を含む4ウエルプレート内に播種し、培養して維持した(5% CO、39℃)。48時間後に、培地を新鮮低血清(0.5% FBS)胎仔細胞培地と取り替えた。細胞培地は低血清培地に取り替えた後の2〜7日間にわたり48から72時間毎に低血清胎仔細胞培地と取り替え、(核体ドナーとして使用される)体細胞をトリプシン処理によって採取した。細胞は、除核卵母細胞へ融合させる前の少なくとも6時間にわたり、2mM L−グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(各10,000I.U./mL)を補給した10% FBSを含む平衡化M199中に再懸濁させた。所望のトランスジェニック動物を発生させるための本実験は、好ましくはヤギまたはマウスを生成するために各々ヤギ細胞またはマウス細胞を用いて実施されるが、しかし本発明によると、所望のいずれかの哺乳動物細胞株を用いて実施することもできよう。
【0088】
(卵母細胞の収集)
卵母細胞ドナー雌は、以前に記載されたように同調させて過剰排卵させ(Ongeri, et al., 2001)、48時間にわたり精管切除した雄と交配させた。収集した後、卵母細胞は2mM L−グルタミンおよび1%ペニシリン/ストレプトマイシン(各10,000I.U./mL)を補給した10% FBSを含む平衡化M199中で培養した。
【0089】
(細胞質体の調製および除核)
全卵母細胞は、除核前の15から30分間にわたりサイトカラシンB(cytocholasin B)(Sigma、10% FBSを含むSOF中で5μg/mL)を用いて処理した。減数第二分裂中期卵母細胞は、25から30μmガラスピペットを用いて、分裂中期赤道面を取り除くために第1極体および前記極体(細胞質の約30%)を取り囲む隣接細胞質を吸引する工程によって除核した。除核後、全卵母細胞が直ちに再構築された。
【0090】
(核移植および再構築)
ドナー細胞注入は、卵母細胞の除核に使用した培地と同一培地中で実施した。1個のドナー細胞は、ガラスピペットを用いて、透明帯と卵細胞質膜との間に配置した。細胞―卵母細胞の対は、電気融合法および活性化法を実施する前の30から60分間にわたりSOF中でインキュベートした。再構築した卵母細胞は、2分間にわたり融合バッファー(300mM マンニトール、0.05mM CaCl、0.1mM MgSO、1mM KHPO、0.1mM グルタチオン、0.1mg/mL BSA)中で平衡化させた。電気融合法および活性化法は、融合培地を充填した「融合スライド」(500μmギャップ;BTX−Genetronics、カリフォルニア州サンディエゴ)中へ構築した2個のステンレススチール電極を含む、融合チャンバ内において室温で実施した。
【0091】
融合は、融合スライドを用いて実施した。融合スライドを融合皿の内側に挿入し、そして融合スライドの電極を被覆するために十分な量の融合バッファーにこの皿を浸した。これらの対を培養インキュベータから取り出し、融合バッファーに通して洗浄した。双眼実体顕微鏡を用いて、核体/細胞質体接合部が電極へ平行になるように、これらの対を電極間に等距離で配置した。活性化および融合を促進するためにこれらの対に印加される電圧範囲は1.0kV/cmから10.0kV/cmであってよい。しかし好ましくは、初期単一同時融合および活性化電気パルスは、好ましくは少なくとも20μ秒間にわたり、2.0から3.0kV/cmの電圧範囲を有するが、最も好ましいのは2.5kV/cmである。これは、BTX ECM 2001 Electrocell Manipulatorを用いて細胞対へ印加される。マイクロパルスの持続時間は、10から80μ秒で変動してよい。この工程後、処理された対は、典型的には1滴の新鮮融合バッファーへ移される。融合処理対は、平衡化SOF/FBSを通して洗浄され、次にサイトカラシンBを含む、または含んでいない平衡化SOF/FBSへ移される。サイトカラシンBを使用する場合は、その濃度は1から15μg/mLで変動してよい、最も好ましくは5μg/mLであってよい。これらの対は、空気中におよそ5% COを含有する37〜39℃の加湿ガスチャンバ内でインキュベートした。本開示に提供した任意のロトコールを通してサイトカラシンBの代わりにマンニトールを使用できることに留意されたい(Ca+2およびBSAを含むHEPES緩衝マンニトール(0.3mm)をベースとする培地)。
【0092】
(核移植胚培養およびレシピエントへの移植)
体細胞を利用したヒツジにおける成功についての最初の報告(Wilmut et al., 1997)以降に、核移植における有意義な進歩がもたらされてきた。その後その他の多数の種が体細胞からクローン化されてきたが(Baguisi et al., 1999 and Cibelli et al., 1998)、成功の程度は様々である。極めて多数の他の胎仔および成熟体細胞組織タイプ(Zou et al., 2001 and Wells et al., 1999)、ならびに胚細胞組織タイプ(Meng et al., 1997)についても報告されている。核体が再構築の時点にある細胞周期の段階も様々な実験方法において極めて重要であると証明されている(Kasinathan et al., BIOL. REPROD. 2001;Yong et al., 1998;and Kasinathan et al., NATURE BIOTECH. 2001)。
【0093】
本発明の全核移植胚は、ミネラルオイルを被せた10%FBSを含む50μL液滴のSOF中で培養した。胚培養は、レシピエント雌へ胚を移植する前の48時間にわたり5% COを含む39℃の加湿インキュベータ内に保持した。レシピエント胚移植は、以前に説明されたとおりに実施した(Baguisi et al., 1999)。
【0094】
核移植プログラムの成功にとって最優先事項は、核体と除核細胞質とを適切に融合させる工程である。しかし同等に重要であるのは、その再構築された胚(核体および細胞質)が正常胚として挙動し、分裂して生育可能な胎仔そして最終的には生きている子孫へ発達することである。上記に詳述した実験の結果は、融合および分裂の両方が、個別に、もしくは組み合わせて、核移植方法にとってどの細胞株が好都合であるかを、満足できる有意義な方法で予測できる能力を有することを証明している。各パラメータは単独でどの細胞株を利用できるかを事前に選択する際に役立たせることができるが、組み合わせると、細胞株の選択の結果が強化される。
【0095】
(妊娠および周産期ケア)
ヤギについては、妊娠は継続的発情期の第1日から第25日に開始した超音波検査によって判定した。妊娠第75日までは週1回、その後は月1回、胎仔生存能力を査定するために雌を評価した。妊娠が152日間を越えて持続された場合は、5mgのPGF2μ(Lutalyse、Upjohn)を用いて分娩を誘発した。分娩は、処置後24時間以内に発生した。出生直後に子ヤギを雌親から離し、分娩後1時間以内に熱処理初乳を摂取させた。他の有蹄類(例、ウシ)についての妊娠および周産期ケアに関する適切な時間枠は当技術分野において知られている。
【0096】
(クローン動物の遺伝子タイピング)
生後間もなく、血液サンプルおよび耳皮膚生検材料をクローン動物(例、ヤギもしくはウシ)およびゲノムDNA単離のための代理雌親から入手した。本発明によって、各サンプルは最初に特異的トランスジェニック標的タンパク質に対するプライマーを用いるPCRによって分析し、その後にその特異的標的タンパク質に対してのcDNAを用いてサザンブロット分析した。各サンプルについて、EcoRI(New England Biolabs、マサチューセッツ州ベバリー)を用いて5μgのゲノムDNAを消化し、0.7%アガロースゲル(SeaKem(登録商標)、ME)中で電気泳動にかけ、そして当技術分野において公知の標準的な方法にしたがってキャピラリートランスファーによってナイロン膜(MagnaGraph、MSI、マサチューセッツ州ウェストバロ)上に固定した。膜は、Prime−It(登録商標)キット(Stratagene、カリフォルニア州ラ・ホーヤ)を用いて32P dCTP標識した1.5kbのXhoIからSalI hAT cDNAフラグメントをプローブとして用いた。ハイブリダイゼーションは65℃で一晩かけて実施した。ブロット膜は0.2×SSC、0.1% SDSを用いて洗浄し、48時間にわたりX−OMATTMARフィルムへ露光した。
【0097】
本発明は、所望の遺伝子を、分化哺乳動物細胞もしくは細胞核を除核卵母細胞中へ挿入する前に分化哺乳動物の細胞もしくは細胞核内への挿入、除去、もしくは改変された、遺伝学的に操作された哺乳動物もしくはトランスジェニック哺乳動物をクローニングする方法をさらに含んでいる。
【0098】
本発明によって、上記の方法によって入手される哺乳動物、およびそれらの哺乳動物の子孫もまたさらに提供される。本発明は、好ましくはヤギもしくはウシをクローニングするために使用されるが、あらゆる哺乳動物種とともに使用することができよう。本発明は、細胞、組織および器官の移植の領域における核移植胎仔ならびに核移植およびキメラ子孫の使用についてもさらに提供する。
【0099】
卵母細胞にとって適切な哺乳動物起源には、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウサギ、モルモット、マウス、ハムスター、ラット、霊長類などが含まれる。好ましくは、卵母細胞は有蹄類から、そして最も好ましくはヤギもしくはウシから入手されるであろう。卵母細胞の単離方法は、当技術分野においてよく知られている。本質的には、これは哺乳動物、例えばヤギの卵巣もしくは生殖器管から卵母細胞を単離する工程を含むであろう。容易に入手できる有蹄類卵母細胞の起源は、ホルモン誘発された雌性動物からである。
【0100】
遺伝子組換え、核移植およびクローニングなどの技術の使用に成功するためには、卵母細胞は、好ましくはこれらの細胞を核移植のためのレシピエント細胞として使用する前に、またはそれらを胚に発達させるために精細胞によって受精できる前に、インビボで成熟してよい。インビボで成熟する分裂中期卵母細胞は、核移植技術において使用されて成功を得ている。本質的には、成熟分裂中期卵母細胞は、発情期開始の、またはヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)もしくは類似のホルモンの注射の数時間後に非過剰排卵もしくは過剰排卵動物のいずれかから外科的に採取される。
【0101】
さらに、遺伝子導入テクノロジーを通して動物ゲノムを修飾する能力は組換えタンパク質を製造するための新規代替法を提供することに留意されたい。トランスジェニック家畜の乳汁中でのヒト組換え医薬品の生成は、微生物バイオリアクター(例、翻訳後修飾の欠如、適正なタンパク質折畳み、高額の精製費用)または動物細胞バイオリアクター(例、高い資本経費、高額の培養培地、低収率)に関連する多くの問題を解決する。本発明は、所望の遺伝子に対してホモ接合型であるトランスジェニック動物の乳汁もしくは他の体液(すなわち、尿もしくは血液)中での生物薬剤、融合タンパク質、血漿タンパク質、およびその他の当該分子のトランスジェニック産生の使用を可能にする。本発明の方法を通して産生させることのできる融合タンパク質には、α−フェトプロテインポリペプチド、ならびにアンチトロンビンIII、短縮型ATIII、ラクトフェリン、ウロキナーゼ、血小板第4因子(「PF4」)、α−フェトプロテイン、α−1−アンチトリプシン、C−1エステラーゼインヒビター、デコリン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、フェリチン、プロラクチン、CFTR、血液凝固第X因子、血液凝固第VIII因子、ならびにエリスロポエチン(erthyropoietin)を含む融合タンパク質パートナーを含有する融合タンパク質が含まれる。
【0102】
本発明の1つの実施形態によると、2つ以上の形質についてホモ接合型である細胞もしくは細胞株を生成するために複数もしくは連続ラウンドの遺伝子導入選択が利用された場合は、所定の細胞株がインビトロ培養において抵抗できる通過回数を延長させるための組成物を用いてそのような細胞もしくは細胞株を処理することができる。テロメラーゼは、そのような化合物の中で特にそのように利用できる化合物であろう。
【0103】
生成工程としての生きている生物の使用は、生成される物質のすべてが天然生成物と化学的に同一であることを意味する。塩基性アミノ酸構造に関しては、これは生成物中に天然立体構造を有するL−光学異性体だけが存在することを意味する。さらに、カップリング反応の相対的非効率が必ず欠陥のある配列を生成するだろう化学的経路と比較して生物学的合成の忠実度が高いために、間違った配列の数はほんのわずかであろう。副反応の欠如もまた、カルボキシ末端アミド化などのいっそうの修飾反応についての重要な検討材料である。同様に、インビボで機能する酵素は、高度の忠実度および化学的方法によっては適合させることのできない立体特異性を生じさせる。最後に、生物液中の当該の融合タンパク質の生成は、最終生成物中に残留している低レベル汚染物質が化学的リアクターに由来する汚染物質よりはるかに低毒性であると思われることを意味する。
【0104】
本発明の実施において最も重要な検討材料の1つは、それを用いて融合タンパク質を作製する融合パートナーの選択である。融合パートナーは、天然タンパク質もしくはその生理活性なフラグメントであってよい。通常はそうであることが好ましいが、そうである必要はない。α1−アンチトリプシンなどの、乳汁中において高収率で生成できるタンパク質は、本発明における有用な融合パートナーである可能性が高い。所望のタンパク質のリストとしては:アンチトロンビンIII、短縮型ATIII、ラクトフェリン、ウロキナーゼ、血小板第4因子(「PF4」)、α−フェトプロテイン、α1−アンチトリプシン、C−1エステラーゼインヒビター、デコリン、α−インターフェロン、β−インターフェロン、フェリチン、プロラクチン、CFTR、血液凝固第X因子、血液凝固第VIII因子、ならびにエリスロポエチンが挙げられる。好ましくは、融合パートナーはさらに、乳汁中で天然に産生するタンパク質であってよい。なぜなら、正常に乳汁中に分泌され、そして高レベルで生成できるタンパク質は、別の機能性ポリペプチドがそのカルボキシ末端へ融合した後でもそのように分泌および生成され続けるであると推測することが合理的であるからである。乳汁中での当該の融合タンパク質の生成にとって特に好ましい融合タンパク質は、ヒトα−フェトプロテインである。
【0105】
本発明によると、天然配列由来の融合パートナータンパク質の配列においていくつかの変異があってよい。通常はヒトα−フェトプロテインもしくはその他の融合パートナーの天然の野生型配列(および対立遺伝子変異体の場合にはコンセンサス配列)が好ましいが、天然配列からの一部の変異は適合させることができる、または一部の場合には、融合パートナーの特性が許容できない程度まで脆弱化されないことを条件に、少なくとも所望である。通常は少なくとも90もしくは95%のアミノ酸相同性が適切であろう、そして一般には2つもしくは3つ以上のアミノ酸変化は好ましくないであろう。
【0106】
以前に言及したように、ヒツジの乳汁1リットルに付き3gの発現レベルは現行トランスジェニック動物テクノロジーの範囲内に明確に含まれている。そのようなレベルは、さらにまた非毒性内在性タンパク質であるヒトα−フェトプロテイン融合タンパク質についても達成可能なはずである。さらに、そのようなレベルを他の動物種の乳汁中では実現可能ではないと考える理由はない。必要とされるリンカー配列は、以下の2つの機能性成分の分離を可能にするために必要な絶対最小配列以上を含有していてよい:
1)例えば、IRESリンカー配列変異体1、配列番号24。
【0107】
2)上述した例えばヒトα−フェトプロテイン伸長などの第1融合パートナーへのいずれかのC末端伸長もまた、リンカーの一部であると見なすことができる。
【0108】
本発明の実施において、二機能性融合タンパク質がトランスジェニック動物の乳汁中で産生される。ヒトα−フェトプロテインコード配列は、精選された動物(ウシもしくはマウスなど)に由来するゲノム物質もしくは逆翻訳されたメッセンジャーRNAのライブラリーをスクリーニングする工程によって入手できる。これらの配列は次に、融合パートナータンパク質の所望のポリペプチド配列と一緒に、適切なプラスミドベクター内にクローニングされ、適切な宿主生物、通常はE. coli.中で増幅させられる。精選ペプチドをコードするDNA配列は、次に、重複してアニーリングされたオリゴヌクレオチドの混合物のポリメラーゼ連鎖反応増幅によって構築することができる。
【0109】
ベクターの増幅後、DNA構築物は適切な5’および3’制御配列を用いて切り取られ、ベクターの残りから精製され、そして所望の二機能性融合タンパク質をそれらのゲノム内に組み込んでいるトランスジェニック動物を発生させるために使用されるであろう。これとは逆に、酵母人工染色体(YAC)などの一部のベクターを用いると、ベクターから組み立てられた構築物を取り除くことは不要である;そのような場合には、増幅されたベクターを使用してトランスジェニック動物を直接的に作製することができる。この場合には二機能性はその生物活性を保持するために十分なタンパク質配列核酸配列によってコードされた第1ポリペプチドの存在を意味しており、この第1ポリペプチドは次にさらにその生理的活性を保持するために十分なタンパク質のポリペプチド配列も含有する第2ポリペプチドに対するコーディング配列へ結合させられる。制御配列へ作動可能に連結されているコーディング配列は、コーディング配列がトランスジェニック非ヒト胎盤哺乳動物の乳汁中で発現するのを可能にする。
【0110】
トランスジェニック動物の乳汁へ産生を指示するために適したDNA配列は、天然由来乳汁タンパク質由来の5’プロモーター領域を有しており、その結果としてホルモンおよび組織特異的因子の制御下にある。このためそのようなプロモーターは、乳汁分泌性乳腺組織中で最も活性であるはずである。本発明によると、そのように利用されるプロモーターには、乳腺上皮を通って乳汁中への融合タンパク質の分泌を指示するだろうタンパク質リーダー配列の産生を指示するDNA配列が続いてよい。融合タンパク質構築物の他方の端では、mRNAの安定性を向上させるために好ましくは天然に分泌される乳汁タンパク質由来である適切な3’配列を付加することができる。トランスジェニック動物の乳汁中でタンパク質を産生させるために適切な制御配列の例は、ヤギβ−カゼインプロモーター由来の制御配列である。
【0111】
トランスジェニック動物の生成は、現在では様々な方法を用いて実施することができる。本発明によって好ましい方法は、核移植である。
融合タンパク質の配列
以下では、本発明の好ましい融合タンパク質を下記の実施例によって例示する。本発明の好ましい実施形態は、そのカルボキシ末端でβ−インターフェロンポリペプチド(IFN−β)へ単一メチオニンを介して結合されたヒトα−フェトプロテインポリペプチドから作製された融合タンパク質である。本発明のこの融合タンパク質の別の実施例では、IFN−βポリペプチドは、α−アミド化酵素に対する基質として機能するためにカルボキシ末端で付加的グリシンを有し得る。本発明のこの好ましい実施形態の配列を下記に提供する:
本発明の好ましい実施形態では、この構築物をコードするDNA配列は、5’−β−カゼインプロモーター領域、コーディングエキソンの全部を含む全ヒトα−フェトプロテインコード配列、リンカーおよびその後ヒトIFN−βコーディング配列を有し得る。融合タンパク質は、上記に提供したものと同一の融合パートナーを有するが、相違するリンカー配列を使用する。これは、融合タンパク質がヒトα−フェトプロテインのカルボキシ末端とIFN−βとの間でアミノ酸リンカー配列を有することを必要とする。
【0112】
これは、DNAコーディング領域内で適切な変化を作製することによって産生されなければならないであろう。融合タンパク質は、上述したように、しかしβ−ラクトグロブリンもしくは乳汁タンパク質の発現を制御するのに関わる他の任意の適当なプロモーターのいずれか由来のヒトもしくはウシ5’−および3’−制御配列の制御下で調製され得る。
【0113】
当該の様々な融合タンパク質に対応する極めて多数のDNA配列が提示かつ同定されている。本発明の融合タンパク質は、様々な第2ポリペプチド融合パートナーへ連結した第1ドメインとしての生理活性のあるα−フェトプロテインポリペプチドの使用について提供する。本発明は、α−フェトプロテインドメインの潜在的融合パートナーとして全てのインターフェロンの天然型タンパク質、未処理型タンパク質、改変型タンパク質、もしくは組換えDNAインターフェロン様タンパク質を企図しており、それらを含んでいる。これらのインターフェロンタンパク質およびその他の公知のタンパク質すべては当技術分野に存在するか、または知られていて本発明の中に企図されている。本発明は、基本的には様々な修飾融合タンパク質またはα−フェトプロテインドメインへ融合したαおよびβ−インターフェロンのポリペプチドに関する。グリコシル化インターフェロンタンパク質は、動物細胞中または酵母中でタンパク質を発現させることによって入手されると報告されている。
【0114】
改変に最も適した分子の位置の選択は、特定タンパク質に依存する。したがって、本発明によると天然生理活性を保持している所望の配列の認識は、そのような活性が望まれるところで挿入された配列が生物活性に有害な影響を及ぼさないときは、天然型タンパク質配列内のあらゆる点に挿入できる。本発明によると、所望の生物活性のための部位を含有するか、もしくはその部位であるアミノ酸コンセンサス配列の多くが組み込まれることだけが必要とされる。
【0115】
以下では、具体的であるが、限定的ではない特定の実施形態について記載する。
【0116】
(好ましいヒト二機能性AFP融合タンパク質)
AFP−β−インターフェロン
AFP−α−インターフェロン
AFP−τ−インターフェロン
AFP−アンチトロンビンIII
AFP−デコリン
AFP−プロラクチン
AFP−γ−インターフェロン
AFP−PF4
AFP−カルシトニン
AFP−α1−アンチトリプシン
アンチトロンビンIII−α−フェトプロテイン融合タンパク質の構築
アンチトロンビンもしくはアンチトロンビンIII(ATIII)は、凝固プロセスに関係する一本鎖糖タンパク質である。これは小胞体を経由する細胞内輸送のために必要とされる32アミノ酸のシグナルペプチドとともに主として肝臓内で合成される;このペプチドは、続いて分泌する前に切除される。Mourey et al., BIOCHME 72:599−608(1990)。
【0117】
ATIIIは、セルピンタンパク質ファミリーのメンバーであり、凝固カスケードに関係するトロンビンおよびその他の酵素のインヒビターとして機能する。本明細書で使用するATIIIの活性な天然完全形は、S(被ストレス)形(S−ATIII)である。S−ATIIIはトロンビン(ヘパリンの存在によって顕著に増強する)およびその他の酵素(すべてのセルピン類がヘパリン親和性を有しているわけではない)との緊密な結合複合体を形成する。
【0118】
S−ATIIIは、トロンビンを含む様々な酵素によって立体構造が緩んだ(R)−立体配座(R−ATIII)へ開裂させることができる。ATIIIは、本質的にタンパク質を産生する任意の生物由来であってよい。特定の実施形態では、生物はウシもしくはヒトである。ウシATIIIのアミノ酸配列はGenBankアクセッション番号1168462から入手することができ、ヒトATIIIのアミノ酸配列はGenBankアクセッション番号113936から入手することができる。
【0119】
本発明の対象であるATIIIもしくはその生物学的同等物の特定部分および立体配座は、インビボの酵素(例、エラスターゼ)の使用によっても生成することができる。例えば、酵素は、内皮細胞増殖、血管新生および/または腫瘍増殖を阻害するATIIIのフラグメント、立体配座、生物学的同等物もしくは誘導体を産生させるために、追加の基質として機能する、血漿もしくは天然ATIIIを含むか、または含まずに、インビボで使用できる。ATIIIの所定の立体配座が血管新生、内皮細胞増殖、および腫瘍増殖を減少させることは確定されている。(本明細書で使用する場合、内皮細胞増殖には、内皮細胞移動および管腔形成も含む)。本明細書で使用するATIIIおよび/またはフラグメント、立体配座、生物学的同等物、もしくは誘導体は、精製、遺伝子導入および組換え方法を含むがそれらに限定されない、当技術分野において知られている極めて多数の方法によって作製もしくは単離することができる。
【0120】
しかし、ヌクレオチド配列の挿入は、好ましくは、そのような生物活性が極めて重要である場合に、結果として生じる組換えタンパク質の生物活性に望ましくない作用を最小限に抑えるために、IFN−βをコードするヌクレオチド配列内の部位で行われる。
乳汁特異的プロモーター。
【0121】
本発明を実施する際に有用である転写プロモーターは、カゼイン、β−ラクトグロブリン(Clark et al.,(1989)BIO/TECHNOLOGY 7:487−492)、乳清酸性タンパク質(Gorton et al.(1987)BIO/TECHNOLOGY 5:1183−1187)、およびラクトアルブミン(Soulier et al.,(1992)FEBS LETTS. 297:13)などの乳汁タンパク質をコードする遺伝子を制御するプロモーターを含む、乳腺上皮細胞中で優先的に活性化されるプロモーターである。カゼインプロモーターは、いずれかの哺乳動物種のα、β、γもしくはκ−カゼイン遺伝子由来であってよい;好ましいプロモーターはヤギβ−カゼイン遺伝子由来である(DiTullio, (1992)BIO/TECHNOLOGY 10:74−77)。哺乳動物組織中で特異的に活性化される1種以上の乳汁特異的タンパク質プロモーターは、cDNAもしくはゲノム配列いずれか由来であってよい。好ましくは、それらの起源はゲノムである。
【0122】
DNA配列情報は、少なくとも1種、および多くは数種の生物において、上記に列挙した乳腺特異的遺伝子の全部について入手できる。例えば、Richards et al., J. BIOL. CHEM. 256, 526−532(1981)(ラットα−ラクトアルブミン);Campbell et al., NUCLEIC ACIDS RES. 12, 8685−8697(1984)(ラットWAP);Jones et al., J. BIOL. CHEM. 260, 7042−7050(1985)(ラットβ−カゼイン);Yu−Lee & Rosen, J. BIOL. CHEM. 258, 10794−10804(1983)(ラットγ−カゼイン);Hall, BIOCHEM. J. 242, 735−742(1987)(ヒトα−ラクトアルブミン);Stewart, NUCLEIC ACIDS RES. 12, 389(1984)(ウシαs1およびκ−カゼインcDNA);Gorodetsky et al., GENE 66, 87−96(1988)(ウシβ−カゼイン);Alexander et al., BUR. J. BIOCHEM. 178, 395−401(1988)(ウシκ−カゼイン);Brignon et al., FEBS LETT. 188, 48−55(1977)(ウシαS2−カゼイン);Jamieson et al., GENE 61, 85−90(1987), Ivanov et al., Biol. Chem. Hoppe−Seyler 369, 425−429(1988), Alexander et al., NUCLEIC ACIDS RES. 17, 6739(1989)(ウシβ−ラクトグロブリン);Vilotte et al., BIOCHIMIE 69,609−620(1987)(ウシα−ラクトアルブミン)を参照されたい。様々な乳汁タンパク質遺伝子の構造および機能は、Mercier & Vilotte, J. DAIRY SCL 76, 3079−3098(1993)によって概説されている(あらゆる目的でその全部が参照して本明細書中において参考として援用される)。追加の配列データが必要とされる程度まで、既に入手された領域を両側から挟む配列は、プローブとして現存配列を用いて容易にクローニングできよう。様々な生物からの乳腺特異的調節配列は、プローブとして同様に知られている同起源ヌクレオチド配列、または同起源タンパク質に対する抗体を用いて、そのような生物由来のライブラリーをスクリーニングすることによって入手される。
シグナル配列
本発明によって有用である主要なシグナル配列は、乳汁特異的シグナル配列または真核細胞もしくは原核細胞のタンパク質の分泌を生じさせる他のシグナル配列である。好ましくは、シグナル配列は乳汁特異的シグナル配列から選択される、すなわち乳汁中に分泌される生成物をコードする遺伝子由来である。最も好ましくは、乳汁特異的シグナル配列は、本発明の発現系において使用される乳汁特異的プロモーターに関連している。シグナル配列のサイズは、本発明にとって決定的に重要ではない。必要とされるのは、例えば乳腺組織中の所望の組換えタンパク質の分泌を実行するために十分なサイズの配列だけである。例えば、本発明においては、α、β、γもしくはκ−カゼインなどのカゼイン、β−ラクトグロブリン、乳清酸性タンパク質、およびラクトアルブミンをコードする遺伝子由来のシグナル配列が有用である。好ましいシグナル配列はヤギβ−カゼインシグナル配列である。
【0123】
他の分泌されたタンパク質、例えば肝臓細胞、腎臓細胞、もしくは膵臓細胞によって分泌されたタンパク質由来のシグナル配列もまた使用できる。
分泌タンパク質のアミノ末端領域
非分泌タンパク質が分泌される有効性は、通常は分泌されるタンパク質のコード配列の全部もしくは一部を非分泌タンパク質中に包含させることによって増強することができる。そのタンパク質の配列内に通常は分泌されるタンパク質の全配列が含まれず、むしろ通常は分泌されるタンパク質のアミノ末端の一部分だけが含まれるのが好ましい。例えば、通常は分泌されないタンパク質は、通常は分泌されるタンパク質のアミノ末端部分へ(通常はそのアミノ末端で)融合される。
【0124】
好ましくは、通常は分泌されるタンパク質は、通常は乳汁中へ分泌されるタンパク質である。そのようなタンパク質としては、乳腺上皮細胞によって分泌されるタンパク質、例えばカゼイン、β−ラクトグロブリン、乳清酸性タンパク質およびラクトアルブミンなどの乳汁タンパク質が挙げられる。カゼインタンパク質としては、いずれかの哺乳動物種のα、β、γもしくはκ−カゼイン遺伝子が挙げられる。好ましいタンパク質は、β−カゼイン、例えばヤギβ−カゼインである。分泌タンパク質をコードする配列は、cDNAもしくはゲノム配列のいずれか由来であってよい。好ましくは、それらの起源はゲノム配列であり、1つ以上のイントロンを含む。
DNA構築物
本明細書に記載した発現系もしくは構築物は、さらに非分泌タンパク質をコードするDNA配列の下流で3’非翻訳領域を含み得る。この領域は、発現系のRNA転写物を明らかに安定化させ、したがって発現系からの所望のタンパク質の収率を増加させる。本発明の構築物において有用な主要な3’非翻訳領域は、ポリAシグナルを提供する配列である。そのような配列は、例えばSV40スモールt抗原由来の当技術分野においてよく知られている、カゼイン3’非翻訳領域もしくは他の3’非翻訳配列由来であってよい。好ましくは、3’非翻訳領域は乳汁特異的タンパク質に由来する。3’非翻訳領域の長さは決定的に重要ではないが、ポリA転写産物の安定化作用は発現配列のRNAを安定化させる際に重要であると思われる。
【0125】
任意で、発現系もしくは構築物は、プロモーターとシグナル配列をコードするDNA配列との間に5’非翻訳領域を含んでいる。そのような非翻訳領域は、プロモーターが得られる同一制御領域由来であってもよいし、または異なる遺伝子由来であってよく、例えばそれらは他の合成、半合成もしくは天然の起源由来であってよい。同様にそれらの特異的な長さは決定的に重要ではないが、しかしそれらは発現レベルを向上させる際に有用であると思われる。
【0126】
構築物は、さらにまた乳腺上皮細胞中で優先的に発現した遺伝子の約10%、20%、30%、もしくはそれ以上のN末端コード領域を含んでいてよい。例えば、N末端コーディング領域は、使用されるプロモーター、例えばヤギβ−カゼインN末端コーディング領域に対応してよい。
【0127】
上述した発現系は、当技術分野においてよく知られている方法を用いて調製できる。例えば、従来型リンカー、制限部位などを使用する様々なライゲーション技術を使用すると良好な結果を得ることができる。好ましくは、本発明の発現系は、より大きなプラスミドの一部として調製される。そのような調製は、同様に当技術分野においてよく知られている効率的な方法で正確な構造のクローニングおよび選択を可能にする。最も好ましくは、本発明の発現系はプラスミド上で便宜的には制限部位間に位置するので、その結果としてそれらは残りのプラスミド配列から容易に単離して所望の哺乳動物に組み込むことができる。
【0128】
先行技術の方法はしばしば、トランスジェニック動物内に構築物を挿入する前に構築物を作製する工程と、それが培養細胞中で産物を生成する能力について試験する工程とを含んでいる。驚くべきことに、本発明者らは、例えばトランスジェニック動物の乳汁中において通常は分泌されないタンパク質を分泌させることができるかどうかを決定する際にそのようなプロトコールは予測値を有していない可能性があることを見いだした。このため、CHO細胞中で分泌させることのできない一部の構築物がトランスジェニック動物の乳汁中へ分泌させられるので、トランスジェニック動物、例えばトランスジェニックマウスにおいて直接的に構築物を試験することが望ましいことがある。
【0129】
(トランスジェニック哺乳動物)
好ましくは、本発明のDNA構築物は哺乳動物の生殖細胞株内に導入される。例えば、本構築物の1つもしくは数個のコピーを当技術分野において知られている標準的遺伝子導入技術によって哺乳動物胚のゲノム内に組み込むことができる。
【0130】
本発明では、任意の非ヒト哺乳動物を有用に使用できる。哺乳動物は、本明細書では、乳腺を有していて乳汁を産生する、ヒトを除く全動物であると規定される。好ましくは、多量の乳汁を生成し、長期の乳汁分泌期間を有する哺乳動物が好ましい。好ましい哺乳動物は、乳牛、ヒツジ、ヤギ、マウス、雄牛、ラクダおよびブタである。当然ながら、これらの哺乳動物各々は、本発明の所定の発現配列のいずれかに関しては他の哺乳動物と同様に有効ではない可能性がある。例えば、特定の乳汁特異的プロモーターもしくはシグナル配列は、他の動物より1種の哺乳動物においてより有効である可能性がある。しかし、当業者は本発明の教示に従うことによってそのような選択を容易に行うことができよう。
【0131】
トランスジェニック哺乳動物の同腹子は、その子孫のゲノム内への構築物の組み込みについて出生後にアッセイされ得る。好ましくは、このアッセイは、所望の組換えタンパク質産物をコードするDNA配列もしくはそのセグメントに対応するプローブを子孫由来の染色体物質上へハイブリダイズする工程によって遂行される。それらのゲノム内に構築物の少なくとも1つのコピーを含有することが見いだされたそれらの哺乳動物子孫は成熟するまで生長させられる。これらの子孫の雌性種は、それらの乳汁中へ、またはそれらの乳汁とともに所望のタンパク質を産生するであろう。あるいは、トランスジェニック哺乳動物は、それらの乳汁中で所望のタンパク質を産生させる際に有用である他のトランスジェニック子孫を生成させるために飼育されてよい。
【0132】
トランスジェニック雌性動物は、当技術分野において標準であるいずれかのアッセイ技術(例、ウェスタンブロットもしくは酵素アッセイ)を用いて、乳汁中へのタンパク質分泌について試験することができる。
【0133】
(その他の発現系)
修飾されたインターフェロン−α−フェトプロテインの組み合わせを発現させるため、様々なヌクレオチド配列を作製するため、そして特定宿主を形質転換させるために現在好ましい方法について例示してきたが、本発明はこれらの例示によって決して限定されないことは明白である。真核宿主細胞および原核宿主細胞の両方を使用できる。細菌細胞および異種細胞中で遺伝子を単離させてインターフェロンタンパク質を発現させるための数種の方法は、本発明の改変されたインターフェロンタンパク質を産生させるために極めて良好に適合する。
【0134】
同様に、改変されたインターフェロンタンパク質は、脊椎動物の細胞培養から生成することができる。例えば、適切な発現ベクターを用いて改変されたインターフェロンタンパク質を産生させるための宿主としてサル腎線維芽細胞のCOS−7細胞系を使用できる。真核細胞発現ベクターの他の多数の実施例については記載されており、当技術分野において知られている。
【0135】
形質転換宿主細胞中で複製させるために本発明において有用なベクターは、機能的複製起源(レプリコン)を含有するDNAセグメントを有する。プラスミドおよびファージDNAは本質的に、宿主細胞中に複製を促進するレプリコンを含有している。ベクターは、非形質転換細胞から形質転換細胞を選択するために有用な特性を形質転換可能な宿主細胞へ運ぶDNAセグメントを有するであろう。選択のためには、広範囲の特性のいずれかを使用できる。最も一般的に使用される特性の1つは、抗生物質耐性、例えばネオマイシン耐性もしくはテトラサイクリン耐性である。
【0136】
(生物液由来のAFP−融合タンパク質の精製)
本発明のAFP融合タンパク質は、例えばアフィニティクロマトグラフィー(例えば、Ausubel et al., CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY, John Wiley & Sons, New York, NY, 1998を参照されたい;さらにまたLubon et al., 米国特許第5,831,141号を参照されたい)またはタンパク質精製の当業者に知られている他の方法を含む標準タンパク質精製技術を用いて、トランスジェニック生物の生体液から精製することができる。単離されると、AFP−融合タンパク質は、所望であれば、例えば高性能液体クロマトグラフィー(HPLC;例えば、Fisher, LABORATORY TECHNIQUES IN BIOCHEMISTRY AND MOLECULAR BIOLOGY, eds. Work and Burdon, Elsevier, 1980を参照されたい)、および/またはタンジェンシャル・フロー・フィルトレーションによってさらに精製できる。精製後、AFP融合タンパク質は、少なくとも80%純粋、好ましくは90%純粋、より好ましくは95%純粋、および最も好ましくは99%純粋である。
【0137】
(動物プロモーター)
哺乳動物組織中においてAFPを発現させるために有用なプロモーターには、乳汁タンパク質などの乳腺特異的ポリペプチドの発現を天然に駆動するプロモーターが含まれるが、乳汁中へのAFPの分泌を可能にするあらゆるプロモーターを使用できる。これらには、例えば乳清産生タンパク質(WAP)、αS1−カゼイン、αS2−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン、β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン(例えば、Drohan et al.、米国特許第5,589,604号;Meade et al.、米国特許第4,873,316号;およびKaratzas et al.、米国特許第5,780,009号を参照)および米国特許第5,750,172号に記載された他のタンパク質の発現を天然に指令するプロモーターが含まれる。齧歯類における主要な乳清タンパク質である乳清酸性タンパク質(WAP;Genbankアクセッション番号X01153)は、妊娠後期および授乳期中に乳腺内にてもっぱら高レベルで発現する(Hobbs et al., J. BIOL. CHEM. 257:3598−3605, 1982)。所望の乳腺特異的プロモーターに関する追加の情報については、例えば、Richards et al., J. BIOL. CHEM. 256:526−532, 1981(ラットα−ラクトアルブミン);Campbell et al., NUCLEIC ACIDS RES. 12:8685−8697, 1984(ラットWAP);Jones et al., J. BIOL. CHEM. 260:7042−7050, 1985(ラットβ−カゼイン);Yu−Lee & Rosen, J. BIOL. CHEM. 258:10794−10804, 1983(ラットγ−カゼイン);Hall, BIOCHEM. J. 242:735−742, 1987(ヒトα−ラクトアルブミン);Stewart, NUCLEIC ACIDS RES. 12:3895−3907, 1984(ウシαs1およびκ−カゼインcDNA);Gorodetsky et al., GENE 66:87−96, 1988(ウシβ−カゼイン);Alexander et al., EUR. J. BIOCHEM. 178:395−401, 1988(ウシκ−カゼイン);Brignon et al., FEBS LETT. 188:48−55, 1977(ウシαS2−カゼイン);Jamieson et al., GENE 61:85−90, 1987, Ivanov et al., BIOL. CHEM. Hoppe−Seyler 369:425−429, 1988, and Alexander et al., NUCLEIC ACIDS RES. 17:6739, 1989(ウシβ−ラクトグロブリン);and Vilotte et al., BIOCHIMIE 69:609−620, 1987(ウシα−ラクトアルブミン)を参照されたい。様々な乳汁タンパク質遺伝子の構造および機能は、Mercier & Vilotte, J. DAIRY SCL 76:3079−3098(1993)によって概説されている。発現を最適化する際に追加のフランキング配列が有用である場合は、そのような配列は現存配列を用いてプローブとしてクローニングすることができる。様々な生物由来の乳腺特異的調節配列は、プローブとして同様に知られている同起源ヌクレオチド配列、または同起源タンパク質に対する抗体を用いて、そのような生物由来のライブラリーをスクリーニングすることによって入手できる。
【0138】
乳汁中へAFPを発現および分泌させるために有用なシグナル配列は、乳汁特異的シグナル配列である。望ましくは、シグナル配列は乳汁特異的シグナル配列、すなわち乳汁中に分泌される産物をコードする遺伝子から選択される。最も望ましくは、乳汁特異的シグナル配列は、上述した乳汁特異的プロモーターに関連する。シグナル配列のサイズは、本発明にとって決定的に重要ではない。必要とされるのは、例えば乳腺組織中のAFPの分泌を実行するために十分なサイズの配列だけである。例えば、本発明においては、α、β、γもしくはκ−カゼインなどのカゼイン、β−ラクトグロブリン、乳清酸性タンパク質、およびラクトアルブミンをコードする遺伝子由来のシグナル配列が有用である。他の分泌されたタンパク質、例えば肝臓細胞、腎臓細胞、もしくは膵臓細胞によって分泌されたタンパク質由来のシグナル配列もまた使用できる。
【0139】
泌尿組織中で組換えポリペプチド導入遺伝子を発現させるために有用なプロモーターはウロプラキンおよびウロモジュリンプロモーターであるが(Kerr et al., NAT. BIOTECHNOL. 16:75−79, 1998;Zbikowska, et al., BIOCHEM. J. 365:7−11, 2002;and Zbikowski et al., TRANSGENIC RES. 11:425−435, 2002)、尿中への導入遺伝子産物の分泌を可能にする任意のプロモーターを使用できる。
【0140】
血液産生もしくは血清産生細胞(例、肝臓上皮細胞)によって血液中へAFPを発現および分泌させるために有用なプロモーターは、アルブミンプロモーターであるが(例、Shen et al., DNA 8:101−108, 1989;Tan et al., DEV. BIOL. 146:24−37, 1991;McGrane et al., TIBS 17:40−44, 1992;Jones et al., J. BIOL. CHEM. 265:14684−14690, 1990;and Shimada et al., FEBS LETTERS 279:198−200, 1991を参照されたい)、血液中への導入遺伝子産物の分泌を可能にする任意のプロモーターを使用できる。天然α−フェトプロテインプロモーターもまた使用できる(例えば、Genbankアクセッション番号:AB053574;AB053573;AB053572;AB053571;AB053570;およびAB053569を参照されたい)。精液中でAFPを発現させるために有用なプロモーターは、米国特許第6,201,167号に記載されている。有用な鳥類特異的プロモーターは、オボアルブミンプロモーターおよびアポBプロモーターである。その他の鳥類特異的プロモーターは、当技術分野において知られている。オボアルブミンプロモーターを使用すると、その後に卵の卵白内に沈着するAFPの発現を指令することができる。アポBプロモーターはまた、肝臓内において組換えポリペプチドの発現を指令するために使用されることができ、このポリペプチドは、最終的には卵黄内に沈着するであろう。鳥類の卵は、下記の理由のために大量の組換えポリペプチドを発現させるための最適なビヒクルである:(1)大量のタンパク質が各卵の中に詰め込まれる、(2)卵は、非侵襲性で容易に採取することができ、そして長期間にわたって保存できる、および(3)卵は無菌であり、そして乳汁とは相違して、細菌汚染物を含有していない。詳細には、各卵について、鳥は輸卵管中で3gのアルブミンを生成することができ、それらのうちの50%以上がオボアルブミンである。また別の3gは肝臓内で産生し(血清リポタンパク質)、卵黄中に沈着する。さらに、鳥は典型的には哺乳動物からの進化距離のために免疫学的に哺乳動物タンパク質を認識しないので、鳥におけるAFPの発現はその鳥の生育性および健康へ何らかの有害な作用を有する可能性は低いと思われる。
【0141】
本発明の方法において有用であるその他のプロモーターには誘導性プロモーターが含まれる。一般に、組換えタンパク質は大多数の真核細胞発現系において構成的方法で発現する。誘導性プロモーターもしくはエンハンサーエレメントの付加は、AFPの発現に対する時間的もしくは空間的制御を提供し、そして代替発現機構を提供する。誘導性プロモーターとしては、熱ショックタンパク質、メタロチオネイン、およびMMTV−LTRが挙げられ、誘導性エンハンサーエレメントとしては、エクジソン、ムリステロンA、およびテトラサイクリン/ドキシサイクリンに対するエンハンサーエレメントが挙げられる。
【0142】
Tet−OnおよびTet−Off遺伝子発現系(Clontech)は、本発明の方法において有用である誘導系の1つの例である。この系は、テトラサイクリン(Tc)応答エレメントを使用して、オン(構成的にはオフであり、Tcを用いて誘導する)またはオフ(構成的にはオンであり、Tcもしくはドキシサイクリンを用いて抑制する)様式のいずれかでAFP発現を維持する。形質転換されている細胞を容易に同定するためには、選択可能なマーカーをAFP導入遺伝子に組み込むこともできる。選択可能なマーカーは、一般に劣性および優性の二機能性カテゴリーに分類される。劣性マーカーは、通常は宿主細胞(「マーカー」産物もしくは機能が欠けている細胞)中で産生しない産物をコードする遺伝子である。チミジンキナーゼ(TK)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)、およびヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT)に対するマーカー遺伝子は、このカテゴリーに含まれる。優性マーカーには、増殖抑制性化合物(抗生物質、薬物)に対する耐性を付与する、および/または代謝的に限定された環境における宿主細胞の増殖を可能にする産物をコードする遺伝子が含まれる。このカテゴリー内に含まれる一般に使用されるマーカーには、メトトレキサートに対する耐性を付与する変異体DHFR遺伝子;ミコフェノール酸/培地を含有するキサンチン中での宿主細胞増殖を可能にする、キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼに対するgpt遺伝子;およびG418、ゲンタマイシン、カナマイシン、およびネオマイシンに対する耐性を付与できる、アミノ配糖体3’−ホスホトランスフェラーゼに対するneo遺伝子、が含まれる。
【0143】
(核酸ベクター)
所定の実施形態では、本発明は、上述したいずれかの核酸分子を含むベクター、もしくは組換え発現ベクターに関する。本明細書では、ベクターはDNAもしくはRNAをコードする融合タンパク質を増幅させるため、および/またはSSTR−融合タンパク質をコードするDNAを発現させるために使用される。ベクターとしては、プラスミド、ファージ、コスミド、エピソーム、ウイルス粒子もしくはウイルスおよび組み込み可能なDNAフラグメント(すなわち、相同性組換えによって宿主ゲノム内に組み込み可能なフラグメント)が挙げられるが、それらに限定されない。ウイルス粒子としては、アデノウイルス、バキュロウイルス、パルボウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、アデノ関連ウイルス、セムリキ森林ウイルス、ワクシニアウイルス、レトロウイルス、微粒子および裸のDNAが挙げられるが、それらに限定されない。様々な実施形態では、発現は標的リガンドによって特定細胞タイプもしくは細胞集団を標的としてよい。発現ベクターとしては、pcDNA3(Invitrogen)およびpSVL(Pharmacia Biotech)が挙げられるが、それらに限定されない。その他の発現ベクターとしては、SPORTTMベクター、pGEMTMベクター(Promega)、pPROEXベクターTM(LTI、メリーランド州ベテスダ)、BluescriptTMベクター(Stratagene)、pQE.TMベクター(Qiagen)、pSE420TM(Invitrogen)、およびpYES2TM(Invitrogen)が挙げられるが、それらに限定されない。発現構築物は、内因性もしくは外因性発現制御DNA配列および転写終結因子へ作動可能に連結したポリヌクレオチドをコードする融合タンパク質を含んでいてよい。多数のベクター内に核酸を挿入するための間隙は限定されているため、より小さなレポーターもしくはレポーター融合構築物を挿入するのが望ましい可能性がある。例えば、ソマトスタチン受容体カルボキシ末端の全部もしくは一部の欠失を使用できる。発現制御DNA配列には、一般にプロモーター、エンハンサー、オペレーターおよび調節エレメント結合部位が含まれ、典型的にはその中で発現構築物が利用される発現系に基づいて選択される。
【0144】
プロモーターおよびエンハンサー配列は一般に遺伝子発現を促進させる能力について選択されるが、オペレーター配列は一般に遺伝子発現を調節する能力について選択される。本発明の発現構築物は、前記構築物を有する宿主細胞の同定を可能にする1種以上の選択可能なマーカーをコードする配列もさらに含んでいてよい。発現構築物は、宿主細胞中での相同性組換えを促進する配列もまた含んでいてよい。様々な実施形態では、構築物は宿主細胞中での複製のために必要な配列をさらに含んでいてよい。
【0145】
本明細書には様々な組織特異的プロモーターを列挙している(Pearse and Takor, 1979;Nylen and Becker, 1995)。完全なリストではないが、これらのプロモーターは、本発明の所定実施形態において使用できるプロモーターおよびエンハンサーのタイプの典型である。本発明において有用な追加のプロモーターは、当業者には容易に知られているであろう。
【0146】
誘導性プロモーターとしては、MT II、MMTV(マウス乳腺腫瘍ウイルス)、c−jun、コラゲナーゼ、ストロメリシン、マウスMX遺伝子、GRP78遺伝子、α2−マクログロブリン、ビメンチン、MHCクラスI遺伝子H−2 kB、HSP70、プロリフェリン、腫瘍壊死因子および甲状腺刺激ホルモン−αが挙げられるが、それらに限定されない。細胞特異的発言もしくは組織特異的発現は、細胞特異的エンハンサーおよび/またはプロモーターを用いることによって達成できる。(一般に、Huber et al., ADV. DRUG DELIVERY REVIEWS 17:279−292, 1995を参照されたい)。
【0147】
発現構築物はコードされたタンパク質を産生させるために利用できるが、さらにまたポリヌクレオチド配列をコードするSSTR−融合タンパク質を増幅させるために単純に利用することもできる。一部の実施形態では、ベクターはポリヌクレオチドが発現制御配列を含むポリヌクレオチドへ作動可能に連結している発現ベクターである。所定の実施形態では、ポリヌクレオチドを組み込んでいる、プラスミドおよびウイルスDNAベクターなどの自己複製組換え発現構築物。発現ベクターは、SSTR−融合タンパク質をコードするDNA配列が適当な宿主におけるSSTR−融合タンパク質の発言を実施させることのできる適切な制御配列へ作動可能に連結もしくは結合している複製可能なDNA構築物であってよい。DNA領域は、それらが相互に機能的に関連している場合に作動可能に連結もしくは結合している。例えば、プロモーターは、それが配列の転写を制御する場合は、コーディング配列へ作動可能に連結もしくは結合している。増幅ベクターは発現制御ドメインを必要としないが、しかしむしろ、通常は複製起源によって付与される宿主内で複製する能力および形質転換体の認識を促進するための選択遺伝子だけを必要とする。発現ベクターにおける制御配列に対する必要性は、選択された宿主および選択された形質転換方法に依存して変化するだろう。一般に、制御配列には、転写プロモーター、転写を制御するための任意のオペレーター配列、適切なmRNリボソーム結合をコードする配列ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列が含まれる。
【0148】
様々な実施形態では、ベクターは宿主生物によって認識されるプロモーターを含有していてよい。プロモーター配列は、原核細胞、真核細胞、合成もしくはウイルス性であってよい。適切な原核細胞配列の例としては、バクテリオファージラムダのプロモーターが挙げられる(THE BACTERIOPHAGE LAMBDA, Hershey, A.D., Ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(1973);LAMBDAII, Hendrix, R. W., Ed., Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(1980);and Benoist et al., The trp, recA, heat shock, and lacZ promoters of E. coli. and the SV40 early promote, NATURE, 290:304−310,(1981))。追加のプロモーターとしては、マウス乳腺腫瘍ウイルス、ヒト免疫不全症ウイルスの長い末端反復配列、マロネーウイルス、サイトメガロウイルス前初期プロモーター、エプスタインバーウイルス、ラウス肉腫ウイルス、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋肉クレアチン、およびヒトメタロチオネインが挙げられるが、それらに限定されない。
【0149】
追加の調節配列もまたベクター内に含まれてよい。適切な調節配列の例は、ファージMS−2のレプリカーゼ遺伝子およびバクテリオファージラムダの遺伝子cIIのシャイン−ダルガノ(Shine−Dalgarno)配列によって表される。シャイン−ダルガノ配列のすぐ後にはSSTR−融合タンパク質をコードするDNAが続いてよく、そして成熟SSTR−融合タンパク質の発現を生じさせることができる。
【0150】
さらに、適切な発現ベクターは、形質転換宿主細胞のスクリーニングを可能にする適切なマーカーを含むことができる。選択された宿主の形質転換は、当業者にはよく知られていて上記のSambrook et al.に記載されている様々な技術のいずれか1つを用いて実施される。
【0151】
複製起源は、外因性起源を含むベクターの構築によって提供されてよい、または宿主細胞染色体複製機構によって提供されてもよい。ベクターが宿主細胞染色体中に組み込まれる場合は、後者に十分な可能性がある。あるいは、ウイルス複製起源を含有するベクターを用いるよりはむしろ、当業者であれば選択可能なマーカーおよびDNAをコードするSSTR−融合タンパク質を用いた同時形質転換方法によって哺乳動物細胞を形質転換させることができる。適切なマーカーの例は、ジヒドロ葉酸還元酵素もしくはチミジンキナーゼである(例えば、米国特許第4,399,216号を参照されたい)。
【0152】
SSTR2−融合タンパク質などのレポータータンパク質融合をコードするヌクレオチド配列は、ライゲーションのための平滑末端もしくは付着末端、適切な末端を提供するための制限酵素消化、必要に応じた付着端の充填、所望ではない結合を回避するためのアルカリおよびホスファターゼ処理、ならびに適切なリガーゼを用いたライゲーションを使用する、従来型技術にしたがってベクターDNAを用いて組み換えることができる。そのような遺伝子操作のための技術は、上記のSambrook et al.に記載されており、当技術分野においてよく知られている。哺乳動物発現ベクターの構築方法は、例えばOkayama et al., MOL. CELL. BIOL., 3:280,(1983);Cosman et al., MOL. IMMUNOL., 23:935,(1986);and, Cosman et al., NATURE, 312:768,(1984)に開示されている。
【0153】
導入遺伝子構築物は、好ましくはプロモーターの下流でリーダー配列を含んでいる。リーダー配列は、タンパク質分泌シグナルをコードし、そして本発明のAFP融合タンパク質をコードする下流核酸分子に作動可能に連結した場合にはAFP分泌を指令する核酸配列である。リーダー配列は、AFP(例えば、乳汁特異的タンパク質をコードする遺伝子)をコードする核酸分子の転写を指令するために使用されるプロモーターと同一遺伝子から入手できる。あるいは、天然ヒトAFPタンパク質分泌シグナルをコードするリーダー配列(Genbankアクセッション番号V01514のアミノ酸1−19)が使用されてもよい。
【0154】
(治療的用途)
本明細書に記載の組み合わせは、好ましくはこれらの組織培養を処理する際にインビトロで使用するために使用される。しかしこの組み合わせは、インビボ適用のためにも有効である。インビボでの企図された投与様式に依存して、使用される組成物は、例えば錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、ゲル剤、軟膏剤、液剤、懸濁剤などの固形、半固形もしくは液体の剤形であってよい。好ましくは、組成物は、正確な用量の単回投与のために適した単位剤形で投与される。組成物は、所望の調製物に依存して、動物もしくはヒトへ投与するための医薬組成物を調製するために一般に使用される水性ビヒクルであると規定されている医薬上許容される担体もしくは希釈剤をさらにまた含んでいてよい。希釈剤は、ヒトα−フェトプロテインの生物活性に作用を及ぼさないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、生理食塩液、リンガー液、デキストロース液、およびハンクス溶液である。同一希釈剤を使用して凍結乾燥ヒトα−フェトプロテインを再形成することができる。さらに、医薬組成物は他の薬用物質、薬剤物質、担体、アジュバント、非毒性安定剤、非治療的安定剤、非免疫原性安定剤などもさらに含んでいてよい。そのような希釈剤もしくは担体の有効量は、成分の溶解度、生物活性などに関して医薬上許容される調製物を入手するために有効な量であろう。
【0155】
本明細書の組成物は、経口投与、非経口投与もしくは局所的投与およびさもなければ抗黒色腫および抗乳癌処置のための全身性形態を介してヒト患者へ投与することができる。
融合タンパク質:複数の機能的ドメイン。
【0156】
本発明によると、重症筋無力症、慢性関節リウマチ、骨粗鬆症(Osteoporsis)、癌、局所的療法、および多発性硬化症に及ぼす固有の二重治療的作用を有する二機能性融合タンパク質が企図されている。他の有効性の領域には、抗ウイルス活性、免疫調節活性および抗血管新生活性(切除したATIII融合−AFPタンパク質)が含まれる。
【0157】
本発明による保存的変異体は、一般にはタンパク質ドメインの分子構造全体を保存している。開示されたタンパク質産物を含む個別アミノ酸の特性を前提にすると、一部の合理的置換は明白であろう。アミノ酸置換、すなわち「保存的置換」は、含まれる残基の例えば極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性における類似性に基づいて、作製されてよい。
【0158】
例えば:(a)非極性(疎水性)アミノ酸にはアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンが含まれる;(b)極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンが含まれる;(c)正電荷(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リシンおよびヒスチジンが含まれる;そして(d)負電荷(酸性)アミノ酸にはアスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。置換は、典型的には(a)〜(d)群内で行われてよい。さらに、グリシンおよびプロリンは、それらがα−ヘリックスを崩壊させる能力に基づいて相互に置換されてよい。同様に、例えばアラニン、システイン、ロイシン、メチオニン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジンおよびリシンなどの所定のアミノ酸はa−ヘリックス内でより一般に見いだされるが、他方バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファンおよびトレオニンは、β−プリーツシート内でより一般的に見いだされる。グリシン、セリン、アスパラギン酸、アスパラギン、およびプロリンは、一般に順に見いだされる。一部の好ましい置換は、特に次の群において行われてよい:(i)SおよびT;(ii)PおよびG;ならびに(iii)A、V、LおよびI。知られている遺伝コード、ならびに組換え技術および合成DNA技術を前提にすると、当業者であれば保存的アミノ酸変異体をコードするDNAを容易に構築することができる。
【0159】
(二官能性分子を調製する工程)
本発明によって企図された二機能性タンパク質は、以前に言及したドメイン各々を含有するタンパク質であり、そのように融合すると、両方のドメインは実質的にそれらに関連する特性を保持しており、重症筋無力症もしくは慢性関節リウマチなどの所定の治療的適用に相乗作用を及ぼすことができる。典型的には融合タンパク質として生成されるが、これらのドメインは例えば多官能性架橋剤を用いて、従来型化学的手段によって融合されてよい。融合タンパク質が作製されると、ドメインは他方に対するC末端もしくはN末端へ配置されてよい。融合タンパク質を作製するための適当な方法は、所望の融合タンパク質の2種のポリペプチドのいずれかの生物活性を実質的に変化させない方法でなければならない。
【0160】
本発明は、本明細書で企図した所望の融合タンパク質を産生させるいかなる特定方法に限定されない。しかし企図された組換え生成方法によると、本発明は、本発明に記載されたドメインの1つ以上のヌクレオチド配列を含む組換えDNA構築物を提供する。本発明の組換え構築物は、その中に典型的にはオープンリーディングフレームを有するDNAもしくはDNAフラグメントがいずれかの方向へ挿入されるプラスミドもしくはウイルスベクターなどのベクターを含む。本発明は、これらのベクターを含有する細胞をさらに企図している。
【0161】
(細菌発現)
細菌を使用するために有用な発現ベクターは、機能的プロモーターを用いて作動可能な読取り段階において適切な翻訳開始シグナルおよび終結シグナルと一緒に所望のタンパク質をコードする構造的DNA配列を挿入することによって構築される。ベクターは、1つ以上の表現型選択可能マーカーおよびベクターの維持を保証するための複製起源、ならびに所望であれば、宿主内での増幅を提供するための複製起源を含むであろう。形質転換に適した原核細胞宿主には、E. coli.(大腸菌)、Bacillus subtilis(枯草菌)、Salmonella typhimurium(ネズミチフス菌)、ならびにPseudomonas(シュードモナス)属、Streptomyces(ストレプトミセス)属、およびStaphylococcus(スタフィロコッカス)属内の様々な種が含まれるが、その他もまた選択として使用できる可能性がある。好ましい実施形態では、原核細胞宿主はE. coli.である。
【0162】
細菌ベクターは、例えばバクテリオファージベクター、プラスミドベクターもしくはコスミドベクターであってよい。これらのベクターは、選択可能なマーカーおよび典型的にはよく知られているクローニングベクターpBR322(ATCC37017)のエレメントを含有する市販で入手できるプラスミド由来の細菌複製起源を含んでいてよい。そのような市販のベクターとしては、例えばGEM1(Promega Biotec、米国ウィスコンシン州マディソン)、pBs、phagescript、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene);pTrc99A、pKK223−3、pKK233−3、pKK232−8、pDR540、およびpRIT5(Pharmacia)がられる。本発明による好ましいベクターは、THEPt7I発現ベクターである。
【0163】
これらの「主鎖」部分は、適切なプロモーターおよび発現させるべき構造的配列と組み合わされる。細菌プロモーターには、lac、T3、T7、ラムダPRもしくはPL、trp、およびaraが含まれる。T7は、好ましい細菌プロモーターである。
【0164】
適切な宿主菌株の形質転換および適切な細胞密度への宿主菌株の増殖に続いて、選択されたプロモーターは適切な手段(例、温度シフトもしくは化学誘導)によって活性化/誘導され、細胞は追加の期間に渡って培養される。細胞は、典型的には遠心によって採取され、物理的もしくは化学的な手段によって分離され、結果として生じる粗抽出物はその後の精製のために保持される。
【0165】
(真核細胞発現)
組換えタンパク質を発現させるために、様々な哺乳動物細胞培養系もまた使用できる。哺乳動物発現系の例としては、チミジンキナーゼ陰性(TK)細胞およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ陰性(APRT)細胞などの選択されたマウスL細胞が挙げられる。その他の例としては、Gluzman, Cell 23:175(1981)によって記載されたサル腎臓線維芽細胞のCOS−7系、および適合するベクターを発現することのできる他の細胞株、例えば、C127細胞株、3T3細胞株、CHO細胞株、HeLa細胞株およびBHK細胞株が挙げられる。詳細には、酵母に関しては、サッカロミセス(Saccharomyces)属、クリベロミセス(Kluyveromyces)属、ピチア(Pichia)属、シュワニオミセス(Schwanniomyces)属、もしくはハンゼヌラ(Hansenula)属の酵母を挙げることができる。本発明において使用できる主要な真菌としては、より詳細にはアスペルギルス(Aspergillus)亜種、もしくはトリコデルマ(Trichoderma)亜種を挙げることができる。
【0166】
哺乳動物発現ベクターは、複製起源、適切なプロモーターおよびエンハンサー、ならびにさらに必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、スプライスドナーおよび受容体部位、転写終結配列、ならびに5’フランキング非転写配列を備えているであろう。例えば、SV40起源、初期プロモーター、エンハンサー、スプライスおよびポリアデニル化部位などのSV40ウイルスゲノム由来のDNA配列を使用すると、必要とされる非転写遺伝要素を提供することができる。
【0167】
哺乳動物プロモーターとしては、β−カゼイン、β−ラクトグロブリン、乳清酸性プロモーターが挙げられ、その他としては:HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルスおよびマウスメタロチオネイン−1由来のLTRが挙げられる。代表的な哺乳動物ベクターとしては、pWLneo、pSV2cat、pOG44、XTl、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL(Pharmacia)が挙げられる。好ましい実施形態では、哺乳動物発現ベクターはpUCIG−METである。選択可能なマーカーには、CAT(クロラムフェニコールトランスフェラーゼ)が含まれる。
【0168】
本発明のフレームワーク内で使用できるヌクレオチド配列は、様々な方法で調製できる。一般に、それらは読取り段階において、前記ポリペプチドの機能的部分の各々をコードする配列を組み立てることによって入手される。後者は、当業者の技術によって、例えば細胞メッセンジャーRNA(mRNA)から直接的に、もしくは相補的DNA(cDNA)ライブラリーから再クローニングすることによって単離でき、またはそれらは完全な合成ヌクレオチド配列であってよい。さらに、ヌクレオチド配列は、前記配列の誘導体もしくは変異体を得るために、例えば遺伝子組換え技術によって引き続いて改変されることができると理解されたい。
【0169】
(蛍光インサイチュ−ハイブリダイゼーション(FISH)分析)
標準的な培養および調製方法を使用して、所望の導入遺伝子を有する動物由来の培養細胞由来の分裂中期および間期の核を入手する。核をスライド上に配置し、そして当該の二機能性タンパク質に対する8kbのゲノム配列を含有する構築物由来のジゴキシゲニン標識プローブを用いてハイブリダイズさせた。西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化抗体を用いて結合プローブを増幅させ、チラミド結合体化フルオレセインイソチオシアネート(FITC、緑色蛍光色素)を用いて検出した。核は、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI、青色色素)を用いて対比染色した。FISH画像は、MetaMorphソフトウエアを用いて入手した。
【0170】
(治療的組成物)
本発明のタンパク質は、医薬上有用な組成物を調製するために知られている方法によって調製することができ、それにより本発明の分子もしくはそれらの機能的誘導体が医薬上許容される担体ビヒクルと混合物中で結合される。有効な投与に適した医薬上許容される組成物を形成するために、他のヒトタンパク質、例えばヒト血清アルブミンを含む適切なビヒクルおよびそれらの調製物が記載されており、そのような組成物は、適当な量の担体ビヒクルとともに、有効量の、本発明の1種以上のタンパク質を含有している。
【0171】
本発明による用途のための医薬組成物は、1種以上の生理的に許容される担体もしくは賦形剤を使用して従来型方法で調製することができる。そこで、二官能性分子およびそれらの生理的に許容される塩および溶媒和物は、吸入もしくは通気(口腔もしくは鼻腔のいずれかを通して)による投与のために、または経口、経口腔、非経口もしくは経直腸の投与について調製することができる。
【0172】
経口投与については、医薬組成物は、例えば、結合剤(例、α化コーンスターチ、ポリビニルピロリドンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例、ラクトース、微結晶性セルロースもしくはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);錠剤分解物質(例、ジャガイモデンプンもしくはグリコール酸デンプンナトリウム);または湿潤剤(例、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬上許容される賦形剤を用いる従来型手段によって調製された錠剤もしくはカプセル剤の形状を取ってよい。錠剤は、当技術分野においてよく知られている方法によってコーティングされてよい。経口投与のための液状調製物は、例えば液剤、シロップ剤もしくは懸濁剤の形態を取ってよい、またはそれらは水もしくはその他の適切なビヒクルを用いて使用前に組成するための乾燥生成物として提示されてもよい。そのような液状調製物は、懸濁化剤(例、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体もしくは水素化食用脂肪);乳化剤(例、レシチンもしくはアカシア);非水性ビヒクル(例、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールもしくは精留植物油);および保存料(例、p−オキシ安息香酸メチルもしくはプロピルもしくはソルビン酸)などの医薬上許容される添加物を用いて従来型手段によって調製することができる。調製物は、さらにまた緩衝塩、フレーバー剤、着色料および甘味料を適切に含有してよい。
【0173】
経口投与用の調製物は、活性化合物の制御放出を生じさせるために適切に調製することができる。経口腔投与のためには、組成物は従来型方法で調製された錠剤もしくはトローチ剤の形状を取ってよい。
【0174】
吸入による投与のためには、本発明により使用するための二官能性分子は、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素もしくはその他の適切なガスなどの適切な噴射剤を使用して便宜的に加圧パックもしくは噴霧器からエアロゾルスプレー剤の形状で送達される。加圧エアロゾルの場合は、用量単位は、計量された量を送達するための弁を提供することによって決定することができる。吸入器もしくは注入器において使用するためには、化合物の粉末混合物およびラクトースもしくはデンプンなどの適切な粉末基剤を含有する、例えばゼラチンのカプセル剤およびカートリッジを調製できる。
【0175】
本発明の二機能性融合タンパク質は、注射(例えばボーラス注射もしくは持続注入)による非経口投与のために調製できる。注射用調製物は、単位剤形で、例えば添加された保存料を含むアンプルもしくは複数回投与容器に入れて提示されてよい。これらの組成物は、油性もしくは水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤もしくは乳剤などの形態を取ってよい、そして懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの調製剤を含有していてよい。あるいは、有効成分は、適切なビヒクル、例えば無菌発熱物質無含有水を用いて使用前に組成するために粉末形であってよい。
【0176】
これらの化合物は、例えばカカオバターもしくはその他のグリセリドなどの従来型坐剤用基剤を含有する、坐剤もしくは停留浣腸剤などの直腸用組成物に調製することもできる。
【0177】
上述した調製物に加えて、二官能性分子はさらにまた徐放性製剤として調製することもできる。そのような持効性調製物は、(例えば、皮下もしくは筋肉内)埋植または筋肉内注射によって投与することができる。そこで、例えば、これらの化合物は適切な高分子物質もしくは疎水性物質(例えば、許容される油中での乳剤として)もしくはイオン交換樹脂を用いてか、またはやや溶けにくい誘導体(例えばやや溶けにくい塩として)として調製することができる。
【0178】
組成物は、所望であれば、有効成分を含有する1種以上の単位製剤を含有していてよいパックもしくはディスペンサー器具で提示されてよい。パックは、例えばブリスター包装などの金属もしくはプラスチック箔を含んでいてよい。パックもしくはディスペンサー器具には、投与についての添付文書が添えられていてよい。
【0179】
本発明の一部の融合タンパク質組成物は、癌処置において治療的に有用な可能性がある。このため、それらは従来型の化学療法薬と一緒に調製されてよい。従来型化学療法薬としては、アルキル化薬、代謝拮抗薬、様々な天然産物(例、ビンカアルカロイド類、エピポドフィロトキシン、抗生物質、およびアミノ酸枯渇酵素)、ホルモン類およびホルモン拮抗薬が挙げられる。特定クラスの薬剤としては、ナイトロジェンマスタード、スルホン酸アルキル、ニトロソ尿素類、トリアゼン、葉酸アナログ、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、白金錯体、副腎皮質抑制剤、副腎皮質ステロイド、プロゲスチン類、エストロゲン類、抗エストロゲン類およびアンドロゲン類が挙げられる。一部の代表的化合物としては、シクロホスファミド、クロラムブシル、メトトレキサート、フルオロウラシル、シタラビン、チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン,ドキソルビシン、ダウノルビシン、マイトマイシン、シスプラチン、ヒドロキシ尿素、プレドニゾン、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、ジエチルスチルベストロール、エチニルエストラジオール、タモキシフェン、プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロンが挙げられる。乳癌を処置する際には、例えばタモキシフェンが好ましい。
【0180】
(処置方法)
本発明による革新的処置方法は、一般に上記に同定した二機能性タンパク質を利用する。融合タンパク質のドメインは、特異的組織を特別に標的とし、そして/または標的組織に対する免疫反応を増強する能力を共有している。したがって、典型的な方法は、融合タンパク質の受容体拮抗ドメインに標的細胞の受容体が結合する工程および/またはT細胞依存性免疫応答を刺激する工程を含んでいる。
【0181】
処置方法は、処置を必要とする被験者に治療的有効量の融合タンパク質を投与する工程を含んでいる。「治療的に有効」は、本明細書では疾患状態を阻害もしくは逆転させる(例えば、癌の増殖を減少もしくは阻害する)ために十分な量である融合タンパク質の量を意味するために使用される。一部の方法は、例えば化学療法(好ましくは上記に列挙した種類の化合物を用いる)などの知られている抗癌剤もしくは抗癌療法または放射線療法との併用療法を企図している。患者は、ヒトもしくは非ヒト動物であってよい。患者は、典型的には癌の維持もしくは増殖を促進する上昇したレベルの受容体を特徴とする癌に罹患している場合に処置を必要とするであろう。
【0182】
インビボ処置中の投与は、非経口および経口を含む多数の経路によるものであってもよいが、好ましくは非経口であってよい。嚢内、静脈内、クモ膜下内、および腹腔内の投与経路を使用できるが、一般に静脈内が好ましい。当業者であれば、投与経路が処置されるべき障害に依存して変動するであろうことを認識するであろう。
【0183】
治療的有効量を決定する工程は、詳細にはその医薬品の毒性および有効性などの要素に依存するであろう。毒性は、当技術分野においてよく知られていて上記の参考文献の中に見いだされる方法を用いて決定されてよい。有効性は、以下の実施例に記載する方法と併せて同一指針を利用して決定することができる。このため、医薬有効量は、毒物学的忍容されるがそれでもまだ有効であると医師が見なした量である。有効性は、例えば標的組織でのTリンパ球細胞毒性の誘導もしくは実質的誘導または標的組織の質量の減少によって測定できる。適切な用量は、約1mg/kgから10mg/kgであってよい。
融合タンパク質の生物活性を決定するためのスクリーニングアッセイ
本発明は、所定の本発明の融合タンパク質のポリペプチドドメイン各々の生物活性を比較するために使用できる細胞に基づいたアッセイ系もまた提供する。このために、各々の融合タンパク質の融合ドメインが、それが融合しない(すなわち、融合タンパク質の一部ではない)場合に天然タンパク質に類似する生物学的機能を保持することを保証するために細胞増殖アッセイが使用される。
【0184】
1つの実施形態では、融合タンパク質の生物活性は、2つの個別タイプのインビボ細胞系へ前記タンパク質を導入することによって決定されるであろう:各細胞株が特異的ドメインの活性を決定する。例えば、そのドメインの作用を試験するためには、第1ポリペプチドドメインの生物活性の確実な指標である細胞株が、使用されなければならず、他方では他のドメインの活性を監視するためには、第2ポリペプチドドメインの生物学的作用を表示できる細胞株が使用されなければならない。これは、これら2つの機能的融合タンパク質ドメインの相乗作用および付加的作用を決定するためにも役立つであろう。以下の実施例は例示であり、限定的と見なしてはならない。AFP−融合導入遺伝子構築物は、環状プラスミド、コスミドベクター、もしくは例えばウイルス由来ベクターなどの他のベクター内に保持されてよい。ベクターは、原核細胞および真核細胞内での増殖を促進する、例えば薬物選択性マーカー(例えば、E. coli.におけるアンピシリン耐性、または哺乳動物細胞中でのG−418耐性について)および複製起源(例えば、原核細胞中での複製についてのcolE1、および哺乳動物細胞中での複製のためのoriP)などの追加の配列を含有していてよい。
【0185】
(実施例3)
(融合タンパク質の精製)
融合タンパク質の収率を上昇させるために、当技術分野においてよく知られている方法によると、最初にそれらを精製することが望ましい。これらの工程には以下が含まれる:トランスジェニック動物から乳汁を採取する工程もしくは遠心分離の後、沈降法、タンジェンシャル・フロー・フィルトレーションならびにクロマトグラフィー法(例えば、低圧SECおよび分取RP−HPLCクロマトグラフィー)によって培養物から細胞を除去する工程。これらの工程には、緩衝液の交換、発熱物質の除去および凍結乾燥法が続く。
【0186】
上記は、本発明の局面または実施形態の全てを同定することも、決して本発明を限定することも企図していない。援用されかつ本願明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示しており、その記載とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0187】
本明細書に言及したすべての刊行物および特許出願は、刊行物また特許出願の個々各々が具体的に参考として援用される場合と同様の程度をもって本明細書中にて参考として援用される。
【0188】
本発明をその具体的な実施形態と結び付けて記載してきたが、さらに改変が可能であり、かつ、本願が、一般的に、本発明の原理に従いかつ当該分野における公知の実施または慣用的な実施の範囲にある現在開示されている内容から逸脱したものを含み、かつ上述した本質的特徴に該当し得る、変形、使用、または適応にも及ぶことが理解される。
【0189】
【表1】

【0190】
【表2】

【0191】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明を実施する際に含まれる方法のフローチャートを示している。
【図2】核移植によってクローン動物を作製する工程を一般化した図で示している。
【図3】β−インターフェロンのアミノ酸配列の図を示している。
【図4】当該融合タンパク質を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の生物活性を有する第1ポリペプチドドメインおよび所望の生物活性を有する第2ポリペプチドドメインを含み、一緒に融合タンパク質を含む導入遺伝子DNA構築物によってコードされる二機能性融合タンパク質であって、このとき該第1ポリペプチドドメインおよび該第2ポリペプチドドメインの各々がそれらの所望の生物活性を保持しており、該第1ポリペプチドドメインのコードされるポリペプチドがヒトα−フェトプロテインまたはヒトα−フェトプロテインの生物活性を有する、そのフラグメントである、二機能性融合タンパク質。
【請求項2】
前記融合タンパク質がDNAの隣接コード配列の産物である、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項3】
前記第2ポリペプチドドメインのコードされた哺乳動物ポリペプチドが、ヒトIFN−βまたはIFN−βの生物活性を有するそのフラグメントである、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記第2ポリペプチドドメインが:アンチトロンビンIII、ラクトフェリン、フェリチン、カルシトニン、ウロキナーゼ、血小板第4因子、α−フェトプロテイン、α1−アンチトリプシン、C1−エステラーゼインヒビター、デコリン、プロラクチン、τ−インターフェロン、α−インターフェロン、フェリチン、プロラクチン、CFTR、ミューラー管抑制物質、血液凝固第X因子、血液凝固第VIII因子、短縮型ATIII、およびエリスロポエチンからなる群から選択される、請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項5】
グルタチオンSトランスフェラーゼポリペプチド配列をさらに含む、請求項1に記載の融合タンパク質。
【請求項6】
配列番号10に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号11に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項8】
配列番号12に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号13に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項10】
配列番号14に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号15に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項12】
配列番号16に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項13】
配列番号17に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項14】
配列番号18に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項15】
配列番号19に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項16】
配列番号20に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項17】
配列番号21に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項18】
配列番号22に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項19】
配列番号23に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項20】
配列番号24に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項21】
配列番号25に連結した配列番号4に示したアミノ酸配列をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項22】
請求項1に記載の融合タンパク質の核酸配列を含む組換えDNAベクター。
【請求項23】
請求項22に記載の前記組換えDNAベクターを用いて形質転換された宿主細胞。
【請求項24】
請求項1に記載の融合タンパク質の核酸配列を含む組換えDNAベクターであって、該ベクターが請求項1に記載の融合タンパク質へ作動可能に連結されたプロモーターを含む発現ベクターである、組換えDNAベクター。
【請求項25】
所望の融合タンパク質をコードする前記DNA構築物が少なくとも1つのβ−カゼインプロモーターによって作動される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
(a)細胞によって請求項1に記載の融合タンパク質を発現させる工程;および
(b)該タンパク質を回収する工程
を包含する方法によって産生される、融合タンパク質。
【請求項27】
前記融合タンパク質がN末端メチオニンをさらに含む、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項28】
有効量の融合タンパク質を投与する工程を包含する、疾患状態を処置する方法であって、
該融合タンパク質は、所望の生物活性を有する第1ポリペプチドドメイン、および所望の生物活性を有する第2ポリペプチドドメインを含み、一緒に該融合タンパク質を含む導入遺伝子DNA構築物によってコードされ、このとき該第1ポリペプチドドメインおよび第2ポリペプチドドメインの各々が所望の生物活性を保持しており、該第1ポリペプチドドメインのコードされたポリペプチドがヒトα−フェトプロテインもしくはヒトα−フェトプロテインの生物活性を有するそのフラグメントである、方法。
【請求項29】
前記疾患状態がウイルス感染症である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ウイルス感染症がヒト免疫不全症ウイルスによって引き起こされる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2ポリペプチドドメインのコードされたポリペプチドが、ヒトIFN−βまたはヒトIFN−βの生物活性を有するそのフラグメントである、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記疾患状態が癌である、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記疾患状態が慢性関節リウマチである、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患状態が多発性硬化症である、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記疾患状態が骨粗鬆症である、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記疾患状態が乾癬である、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記疾患状態が重症筋無力症である、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記疾患状態が癌であり、該疾患状態の処置が、有効量の第2組成物を用いた処置をさらに含み、前記第2組成物が:ドキソルビシン;メトトレキセート;タモキシフェン;シスプラチン;ビンブラスチン;もしくはビンクリスチンからなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記融合タンパク質が原核細胞によって発現される、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項40】
前記融合タンパク質が細菌によって発現される、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項41】
前記融合タンパク質が真核細胞によって発現される、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項42】
前記融合タンパク質が動物細胞によって発現される、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項43】
前記動物タンパク質がCHO細胞である、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項44】
前記動物細胞がCOS細胞である、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項45】
前記融合タンパク質が酵母によって発現される、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項46】
前記酵母がサッカロミセスである、請求項26に記載の融合タンパク質。
【請求項47】
(a)トランスジェニック動物によって請求項1に記載の融合タンパク質を発現させる工程;および
(b)該タンパク質を回収する工程
を包含する方法によって産生される、融合タンパク質。
【請求項48】
目的の融合タンパク質を産生し得るトランスジェニック動物を産生するための方法であって、該方法は、以下の工程:
第1タンパク質ポリペプチドドメインおよび第2タンパク質ポリペプチドドメインをコードする導入遺伝子DNA構築物を用いて非ヒト哺乳動物細胞株をトランスフェクトする工程;
該導入遺伝子DNA構築物がその細胞もしくは細胞株のゲノム内に挿入されている1つ以上の細胞株を選択する工程;および
所望の遺伝子に対してヘテロ接合型である第1のトランスジェニック動物を発生させるために第1の核移植方法を実施する工程、
を包含する方法。
【請求項49】
以下の工程:
前記第1のヘテロ接合型トランスジェニック動物の遺伝子組成物を特徴付ける工程;
選択的因子の使用を通して前記所望の導入遺伝子DNA構築物に対してホモ接合型である細胞を選択する工程;
公知の分子生物学的方法を用いて生残細胞を特徴付ける工程;および
核移植もしくは胚移植の第2ラウンドにおいて使用するために生残細胞もしくは細胞コロニーを選定する工程;および
該所望の導入遺伝子DNA構築物に対してホモ接合型である第2のトランスジェニック動物を発生させる工程、
をさらに包含する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記生残細胞が、FISH、サザンブロットまたはPCRが挙げられるがこれらに限定されない数種の公知の分子生物学方法の1つによって特徴付けられる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ドナー核もしくはドナー細胞核の起源として使用される前記非ヒト哺乳動物細胞株が有蹄類由来である、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
ドナー細胞もしくはドナー細胞核として使用される前記非ヒト哺乳動物細胞株が、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギおよびスイギュウからなる群から選択される有蹄類由来である、請求項48または51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
ドナー核もしくはドナー細胞核の起源として使用される前記非ヒト哺乳動物細胞株が、成熟非ヒト哺乳動物体細胞由来の分化哺乳動物細胞である、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記第1のトランスジェニック動物が齧歯類である、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記第1のトランスジェニック動物が有蹄類である、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記第1のトランスジェニック動物が、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギおよびスイギュウからなる群から選択される有蹄類由来である、請求項48に記載の方法。
【請求項57】
請求項48または49に記載の方法の結果として生じる子孫。
【請求項58】
サイトカラシンBが前記核移植プロトコールにおいて使用される、請求項48に記載の方法。
【請求項59】
サイトカラシンBが前記核移植プロトコールにおいて使用されない、請求項48に記載の方法。
【請求項60】
使用された前記技術がホモ接合型細胞株を生成する、請求項48または48に記載の方法。
【請求項61】
前記第1および第2タンパク質ポリペプチドドメイン核酸配列が連結され、単一のアミノ酸配列として翻訳される、請求項48または49に記載の方法。
【請求項62】
前記導入遺伝子DNA構築物が、前記導入遺伝子DNA構築物の二機能性融合タンパク質産物がトランスジェニック非ヒト胎盤哺乳動物の乳汁中へ産生するのを可能にする乳房組織特異的プロモーターへ作動可能に連結されている、請求項48に記載の方法。
【請求項63】
前記導入遺伝子DNA構築物が、前記導入遺伝子DNA構築物の二機能性融合タンパク質産物がトランスジェニック非ヒト胎盤哺乳動物の乳汁中へ産生するのを可能にする乳房組織特異的プロモーターへ作動可能に連結されている、請求項49に記載の方法。
【請求項64】
前記プロモーターがβ−ラクトグロブリンプロモーターである、請求項62または63に記載のトランスジェニック哺乳動物。
【請求項65】
前記プロモーターがβ−カゼインプロモーターである、請求項62または63に記載のトランスジェニック哺乳動物。
【請求項66】
前記第1タンパク質ポリペプチドドメインが、ヒトα−フェトプロテインをコードし、前記第2タンパク質ポリペプチドドメインが:アンチトロンビンIII、ラクトフェリン、ウロキナーゼ、血小板第4因子、α−フェトプロテイン、α1−アンチトリプシン、C1エステラーゼインヒビター、デコリン、β−インターフェロン、α−インターフェロン、フェリチン、プロラクチン、CFTR、ミューラー管抑制物質、プロラクチン、血液凝固第X因子、血液凝固第VIII因子、短縮型ATIII、およびエリスロポエチンからなる群から選択される生物医薬タンパク質産物についての所望の遺伝子コードをコードする、請求項48に記載の方法。
【請求項67】
請求項48または49に記載の方法の子孫由来の結果として生じる乳汁。
【請求項68】
融合タンパク質を含有する重要な組成物を用いてヒトの癌または腫瘍細胞を処置するプロセスであって、
該融合タンパク質は、所望の生物活性を有する第1ポリペプチドドメインおよび所望の生物活性を有する第2ポリペプチドドメインを含み、一緒に該融合タンパク質を含む導入遺伝子DNA構築物によってコードされ、このとき該第1ポリペプチドドメインおよび第2ポリペプチドドメインの各々が所望の生物活性を保持しており、該第1ポリペプチドドメインが、ヒトα−フェトプロテインの活性を有し、
改善は、有効量の5−フルオロウラシルとともに該融合タンパク質の実質的に医薬上純粋な組成物を用いて患者を処置する工程を含む、プロセス。
【請求項69】
前記ヒトα−フェトプロテインまたはヒトα−フェトプロテイン変異体が、高い血漿半減期を有する、請求項3に記載の融合タンパク質。
【請求項70】
前記ヒトα−フェトプロテイン変異体が1つ以上の残基の突然変異を有する、請求項69に記載の融合タンパク質。
【請求項71】
前記ヒトα−フェトプロテイン変異体が1つ以上の残基の欠失を有する、請求項69に記載の融合タンパク質。
【請求項72】
前記ヒトα−フェトプロテイン変異体が1つ以上の残基の突然変異および欠失を有する、請求項68に記載の融合タンパク質。
【請求項73】
前記ヒトα−フェトプロテイン変異体が1つ以上の残基の付加を有する、請求項69に記載の融合タンパク質。
【請求項74】
前記融合タンパク質がペプチドリンカーをさらに含む、請求項69に記載の融合タンパク質。
【請求項75】
前記融合タンパク質が分泌シグナル配列を含む、請求項69に記載の融合タンパク質。
【請求項76】
前記ヒトIFN−βが前記ヒトα−フェトプロテインまたはヒトα−フェトプロテイン変異体のN末端へ融合している、請求項69に記載の融合タンパク質。
【請求項77】
前記ヒトIFN−βが前記ヒトα−フェトプロテインもしくはヒトα−フェトプロテイン変異体のC末端へ融合している、請求項69に記載の融合タンパク質。
【請求項78】
配列番号1に示した単離核酸配列。
【請求項79】
アミノ酸結合配列をさらに含む、請求項6から21に示した単離核酸配列。
【請求項80】
融合タンパク質を含有する重要な組成物を用いてヒト癌または腫瘍細胞を処置するための方法であって、
該融合タンパク質は、第1タンパク質ポリペプチドドメインおよび共有結合した第2タンパク質ポリペプチドドメインを含み、該第1タンパク質ポリペプチドドメインがヒトα−フェトプロテインアミノ酸配列をコードし、そしてこのとき前記第2タンパク質ポリペプチドドメインがアンチトロンビンIII、ラクトフェリン、ウロキナーゼ、血小板第4因子、α−フェトプロテイン、α1−アンチトリプシン、C1エステラーゼインヒビター、デコリン、β−インターフェロン、α−インターフェロン、フェリチン、プロラクチン、CFTR、ミュラー管抑制物質、プロラクチン、血液凝固第X因子、血液凝固第VIII因子、短縮型ATIII、およびエリスロポエチンからなる群から選択される所望のタンパク質の生理活性を有する生物医薬的タンパク質産物をコードし、そしてこのとき該第2タンパク質ポリペプチドが該所望のタンパク質の天然の配列と85%を超えて相同性である、方法。
【請求項81】
融合タンパク質を含有する重要な組成物を用いてヒト皮膚疾患または傷害を処置するための方法であって、該融合タンパク質は、第1タンパク質ポリペプチドドメインおよび共有結合した第2タンパク質ポリペプチドドメインを含み、該第1タンパク質ポリペプチドドメインは、ヒトα−フェトプロテインアミノ酸配列をコードし、そしてこのとき該第2タンパク質ポリペプチドドメインは、アンチトロンビンIII、α−1−アンチトリプシンおよびデコリンからなる群から選択される所望のタンパク質の生理活性を有する生物医薬的タンパク質産物をコードし、そしてこのとき該第2タンパク質ポリペプチドが該所望のタンパク質の天然の配列と85%を超える相同性である、方法。
【請求項82】
前記ヒト皮膚疾患または傷害が:光加齢損傷、鼻炎、日焼け、皮膚炎および熱傷からなる群から選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記疾患状態が筋ジストロフィーである、請求項28に記載の方法。
【請求項84】
前記疾患状態がインスリン依存型糖尿病である、請求項28に記載の方法。
【請求項85】
前記疾患状態が乾癬である、請求項28に記載の方法。
【請求項86】
前記疾患状態が全身性紅斑性狼瘡である、請求項28に記載の方法。
【請求項87】
前記疾患状態がヘアリーセル白血病である、請求項28に記載の方法。
【請求項88】
前記疾患状態が慢性骨髄性白血病である、請求項28に記載の方法。
【請求項89】
前記疾患状態が皮膚T細胞リンパ球性カルチノイド腫瘍である、請求項28に記載の方法。
【請求項90】
前記疾患状態が腎細胞癌である、請求項28に記載の方法。
【請求項91】
前記疾患状態が頭頚部の扁平上皮腫瘍である、請求項28に記載の方法。
【請求項92】
前記疾患状態が多発性骨髄腫である、請求項28に記載の方法。
【請求項93】
前記疾患状態が悪性黒色腫である、請求項28に記載の方法。
【請求項94】
前記疾患状態がB型肝炎である、請求項28に記載の方法。
【請求項95】
前記疾患状態がC型肝炎である、請求項28に記載の方法。
【請求項96】
前記疾患状態が低悪性度非ホジキンリンパ腫である、請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503838(P2007−503838A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525523(P2006−525523)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/029128
【国際公開番号】WO2005/024044
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(506065921)ジーティーシー バイオセラピューティクス, インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】