トレイ搬送台車およびトレイ落下防止装置
【課題】積載されたトレイの倒壊や落下を効果的に防止するとともに、トレイの積み下ろし作業の効率がよいトレイ搬送台車を提供すること。
【解決手段】
本発明のトレイ搬送台車101は、物品を乗せるためのトレイ110を積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイ110を供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車101であり、前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段102と、前記接続検出手段102の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイ110を支持する支持手段106とを有する。
【解決手段】
本発明のトレイ搬送台車101は、物品を乗せるためのトレイ110を積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイ110を供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車101であり、前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段102と、前記接続検出手段102の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイ110を支持する支持手段106とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するトレイ搬送台車、特に、病院などにおいて、調剤指示に基づいて薬剤等の薬品を払い出す薬品自動払出装置に用いるトレイを搬送するトレイ搬送台車、およびトレイ落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に工場などにおいては、様々な物品をひとまとまりに仕分けするために、大小様々なトレイが用いられている。これは工場に限らず、例えば病院の薬剤処方業務において、必要な薬剤を払い出す場合にも、患者ごとにトレイを準備し、その中に処方される薬剤を載置、収納することにより、薬剤処方管理を行っている。従来はこの作業を薬剤師が手作業で行っていたが、近年、電子処方箋の普及に伴って、自動的に薬剤等の薬品を払い出す薬品自動払出装置が普及してきている。
図20は、薬品自動払出装置11の外観正面図である。薬品自動払出装置11は、未収納トレイユニット12、薬品投入ユニット13、プリンタユニット14、収納済トレイユニット15、およびこれらをつなぐトレイ搬送手段16から構成されている。未収納トレイユニット12に空のトレイ110を供給すれば、トレイ110はトレイ搬送手段16上を移動し、薬品投入ユニット13で電子処方箋に従って患者ごとに必要な薬剤を載置され、プリンタユニット14で処方箋や注射箋、施用ラベル等が載置され、収納済みトレイユニット15で順次積載されていく。薬品が載置されたトレイ110が一定数蓄積されれば、まとめてトレイ搬送台車に乗せられて患者の元や薬局に運ばれていく。
薬品自動払出装置に空のトレイを供給したり、薬品自動払出装置から払い出された薬品が載置されたトレイを運び出すには、トレイを乗せる台車やカートが用いられる。例えば、特許文献1には、トレイを収納する多数の棚を有し、トレイをこの棚に収納して所定の場所まで運ぶカートが記載されている(図4、図14等)。また特許文献2には、トレイを積載して所定の場所まで運ぶカートが記載されている(図2、図3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−51922号公報
【特許文献2】WO2005−105619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、棚を有する台車は、棚の厚み分だけ高さが増し、搭載できるトレイの数が少なくなるという問題があった。また、トレイを台車に一つ一つ収納ないし取り出す作業が必要であり、作業効率が悪くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、積載されたトレイの倒壊や落下を効果的に防止するとともに、トレイの積み下ろし作業の効率がよいトレイ搬送台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、請求項とは、出願時の特許請求の範囲に記載された請求項を指す。
請求項1記載の本発明のトレイ搬送台車は、物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車であり、前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する支持手段とを有するものである。
ここで、「本体装置」は、トレイを必要とする処理を行う装置であり、例えばトレイに所定の物品を払い出す機能を有する装置がこれに該当する。
また、「接続検出手段」は、本体装置にトレイを供給するため、あるいは本体装置からトレイを受け取るためにトレイ搬送台車が接続したことを検出する手段である。「接続」とは、必ずしも物理的に接続する必要はなく、トレイ受け渡しができる程度に近接していればよい。また、「検出」とは、本体装置と接続されているかどうか、物理的な状態や電気信号により判別できれば足りる。
さらに、「支持手段」において、「支持」とは、積載されたトレイが移動ないし落下しないように固定したり、あるいは物理的に当接しなくても移動ないし落下を防止できる位置に支持手段を構成する部材を配置することを含む。
【0007】
請求項2記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項1記載のトレイ搬送台車であって、前記支持手段は、前記トレイの載置面から突出することにより前記トレイを支持するストッパーを有し、前記ストッパーは、前記トレイの載置面方向の断面が円形であるものである。
ここで、「トレイの載置面」とは、最下段のトレイが置かれる面であるが、最下段のトレイが直接接する場合はもちろん、直接接することなく近接した状態である場合も含む。
【0008】
請求項3記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項1または2記載のトレイ搬送台車であって、前記支持手段は、前記トレイの載置面から突出することにより前記トレイを支持するストッパーを有し、前記ストッパーが通る前記トレイの載置面に円形の穴が設けられているものである。
【0009】
請求項4記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項2または3記載のトレイ搬送台車であって、前記支持手段は、高位置面および低位置面、および前記高位置面と前記低位置面とを連続的に結ぶ傾斜面とからなるとともに、前記高位置面と前記傾斜面、および前記傾斜面と前記低位置面とが滑らかな曲線で結ばれたカムと、一端に金属製のボールが設けられ、前記カムの高位置面、傾斜面、および低位置面に接するとともに、他端に前記ストッパーが設けられ、前記トレイの載置面に対して上下に移動するガイドシャフトと、を有するものである。
【0010】
請求項5記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項4記載のトレイ搬送台車であって、前記ボールの半径rが、前記曲線の半径Rよりも小さいものである。
【0011】
請求項6記載の本発明のトレイ搬送台車は、物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車であり、前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された前記トレイを支持する第1の支持手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する第2の支持手段とを有するものである。
ここで、「本体装置」は、トレイを必要とする処理を行う装置であり、例えばトレイに所定の物品を払い出す機能を有する装置がこれに該当する。
また、「接続検出手段」は、本体装置にトレイを供給するため、あるいは本体装置からトレイを受け取るためにトレイ搬送台車が接続したことを検出する手段である。「接続」とは、必ずしも物理的に接続する必要はなく、トレイ受け渡しができる程度に近接していればよい。また、「検出」とは、本体装置と接続されているかどうか、物理的な状態や電気信号により判別できれば足りる。
さらに、「第1の支持手段」および「第2の支持手段」において、「支持」とは、積載されたトレイが移動ないし落下しないように固定したり、あるいは物理的に当接しなくても移動ないし落下を防止できる位置に第1ないし第2の支持手段を構成する部材を配置することを含む。
【0012】
請求項7記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項6記載のトレイ搬送台車であって、前記接続検出手段が前記本体装置に接続したことを検出したときは、前記第1の支持手段および前記第2の支持手段は前記トレイの支持を開放する解放位置をとり、前記接続検出手段が前記本体装置から離脱したことを検出したときは、前記第1の支持手段および前記第2の支持手段は前記トレイを支持する支持位置をとるものである。
【0013】
請求項8記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項7記載のトレイ搬送台車であって、前記接続検出手段が前記本体装置から離脱していることを検出している場合にも、前記第1の支持手段は手動で前記解放位置をとることが可能であるものである。
【0014】
請求項9記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項8記載のトレイ搬送台車であって、第1の支持手段は、積載された前記トレイの側面から前記トレイを支持するロッド部材からなるものである。
ここで、「ロッド部材」とは、積載されたトレイの側面をカバーする長尺の部材であればよい。棒状ないし板状など、断面や形状は任意である。
【0015】
請求項10記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項9記載のトレイ搬送台車であって、前記第1の支持手段は、前記ロッド部材に加えて、前記ロッド部材を回転させる回転部材とからなり、前記回転部材には、前記ロッド部材を回転させるために前記ロッド部材の端部が係合するU字溝が設けられているととともに、前記ロッド部材を手動で解放位置に位置させたときに前記ロッド部材の端部が係合するV字溝が設けられているものである。
ここで、「U字溝」とは、ロッド部材の端部が係合している場合に、回転部材の回転によりロッド部材の端部が溝から出ないよう、少なくとも一方の側壁が鉛直方向に形成されている溝をいう。例えば、矩形、方形もU字溝に含む。
また、「V字溝」とは、ロッド部材の端部が係合している場合に、回転部材の回転によりロッド部材の端部が溝から排出されるよう、少なくとも一方の側壁が斜め方向に形成されている溝をいう。例えば、台形、あるいはV字ないし台形の辺が上に凸の曲線で構成される場合もこれに含む。
【0016】
請求項11記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項1または6記載のトレイ搬送台車であって、前記本体装置は、空のトレイを収容する未収納トレイユニットと、調剤指示に基づき、収納されている薬品を前記トレイに投入する薬品投入ユニットと、前記薬品が投入された前記トレイを収容する収納済トレイユニットとを有する薬品自動払出装置であり、前記接続検出手段は、前記未収納トレイユニット、または前記収納済トレイユニットとの接続を検出するものである。
【0017】
請求項12記載の本発明のトレイ落下防止装置は、物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車に設けられるトレイ落下防止装置であり、前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する支持手段とを有するものである。
【0018】
請求項13記載の本発明のトレイ落下防止装置は、物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車に設けられるトレイ落下防止装置であり、前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された前記トレイを支持する第1の支持手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する第2の支持手段とを有するものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1および12記載の発明によれば、接続検出手段の検出結果で支持手段を駆動することが可能であり、支持手段の動作を自動化することができるので、トレイの積み下ろし作業の効率を向上させることが可能である。
また、支持手段は最下段のトレイを支持しているので、最下部のトレイが足元をすくわれるようにして倒壊、落下する危険を防止することが可能である。特に、薬剤の払出の場合、払い出される患者によって薬剤の量や種類が異なり、払い出される順序を制御しなければ、重いトレイが上部に、軽いトレイが下部に集中することがある。あるいは、緊急の場合、積載されたトレイの中から目的のトレイを抜き出すことが必要になることがある。このように重量分布に不安定な状態がある場合や積載されたトレイの中から必要なトレイを抜き出す場合、特に最下部のトレイが足元をすくわれるような倒壊、落下をする危険性が高いため、本発明による効果が顕著に現れる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、ストッパーの断面が円形なので、ストッパーが上下する際にストッパーが回転しても上下の移動に対して抵抗となることがなく、ストッパーのスームーズな上下運動を実現できるものである。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、トレイの載置面の穴が円形なので、ストッパーが上下する際にストッパーが回転しても上下の移動に対して抵抗となることがなく、ストッパーのスームーズな上下運動を実現できるものである。特に、ストッパーが円形の場合は、この効果は顕著となる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、ガイドシャフトの一端に金属製のボールが設けられているので、ストッパーを有するガイドシャフトがカムに対して点で支持されており、ガイドシャフト自身が自由に回転できることにより、ストッパーのスームーズな上下運動を実現できるものである。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、ボールの半径rが、曲線の半径Rよりも小さいので、ガイドシャフトの一端がカムの高位置面から傾斜面を経て低位置面に至る場合、あるいはその逆の場合に、ガイドシャフトの一端がボールを介してスムーズに移動することができ、カムの前後運動をスムーズにストッパーの上下運動に変換することが可能である。
【0024】
請求項6および13記載の発明によれば、接続検出手段の検出結果で第1の支持手段と第2の支持手段を駆動することが可能であり、第1の支持手段および第2の支持手段の動作を自動化することができるので、トレイの積み下ろし作業の効率を向上させることが可能である。
また、2つの支持手段を有することにより、トレイの倒壊や落下の危険がより少なくなるとともに、第2の支持手段は最下段のトレイを支持しているので、最下部のトレイが足元をすくわれるようにして倒壊、落下する危険を防止することが可能である。特に、薬剤の払出の場合、払い出される患者によって薬剤の量や種類が異なり、払い出される順序を制御しなければ、重いトレイが上部に、軽いトレイが下部に集中することがある。あるいは、緊急の場合、積載されたトレイの中から目的のトレイを抜き出すことが必要になることがある。このように重量分布に不安定な状態がある場合や積載されたトレイの中から必要なトレイを抜き出す場合、特に最下部のトレイが足元をすくわれるような倒壊、落下をする危険性が高いため、本発明による効果が顕著に現れる。
【0025】
請求項7記載の発明によれば、接続検出手段の検出結果で第1の支持手段と第2の支持手段が解放位置および支持位置をとることにより第1の支持手段および第2の支持手段の開閉を自動化することができるので、トレイの積み下ろし作業の効率を向上させることが可能である。
【0026】
請求項8記載の発明によれば、手動で第1の支持手段を解放位置にすることができるので、緊急に患者に処方が必要な薬剤を乗せたトレイを簡単に取り出すことができる。また、かかる場合にも、第2の支持手段は支持位置にあるので、最下部のトレイは第2の支持手段に支持されており、必要なトレイを引き出すときに加わった力により、最下部のトレイが足元をすくわれるようにして倒壊、落下するのを防止することが可能である。
【0027】
請求項9記載の発明によれば、トレイの側面をロッド部材で支持しているので、全てのトレイの側面から支持することが可能であるとともに、外からトレイを観察することが可能である。また、ロッド部材を手で自然につかんで回転させることにより解放位置にロッド部材を移動させるように構成すれば、緊急にトレイを取り出す必要がある場合にでも容易な操作で解放位置にロッド部材を移動させることができる。
【0028】
請求項10記載の発明によれば、ロッド部材の端部がU字溝に係合している場合は、接続検出手段の出力結果に基づき、回転部材を駆動することにより、容易にロッド部材を自動で解放位置および支持位置に移動させることができる。また、手動でロッド部材を解放位置に位置させたときには、ロッド部材の端部がV字溝に係合するので、次に検出手段が接続を検出したときにも、ロッドの端部は回転部材の回転により自動的にV字溝から排出されU字溝に収まる。つまり、万一取り出し作業終了後にロッド部材を支持位置に戻すのを忘れても、自動的に定常状態に戻すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施例におけるトレイ搬送台車の外観斜視図
【図2】同台車および薬品自動払出装置の上面図
【図3】同台車の要部構成の斜視図
【図4】同台車の要部構成の説明図
【図5】同台車の要部構成の側面図
【図6】同台車の接続中の状態を示す斜視図
【図7】本発明の第2の実施例におけるトレイ搬送台車の外観斜視図
【図8】同台車の要部構成の斜視図
【図9】同台車の要部構成の上面図
【図10】同台車の要部構成部品の斜視図
【図11】同台車の要部構成部品の斜視図
【図12】同台車の離脱中の状態を示す斜視図
【図13】同台車の接続中の状態を示す斜視図
【図14】同台車の離脱中の状態を示す斜視図
【図15】本発明の第3の実施例におけるトレイ搬送台車の要部構成の外観斜視図
【図16】同台車の動作モードを示す説明図
【図17】同台車の離脱中の状態を示す斜視図
【図18】同台車の接続中の状態を示す斜視図
【図19】同台車の離脱中の状態を示す斜視図
【図20】本発明のトレイ搬送台車が接続する薬品自動払出装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態を、実施例1、実施例2、および実施例3で説明する。
【実施例1】
【0031】
図1は、本実施例のトレイ搬送台車101の外観斜視図である。また、図2は、本実施例のトレイ搬送台車101および薬品自動払出装置11の上面図である。
トレイ搬送台車101は、102から106の部材からなるトレイ落下防止装置を備えている。また、図2のように、トレイ搬送台車101は、本体装置である薬品自動払出装置11に接続するための接続装置107を備えており、薬品自動払出装置11の未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15の前面に設けられたボルト等の棒状の部材20に係合される。そして、トレイ搬送台車101は複数のローラー108a、b、c、d、e、fを有するトレイ載置面109を有し、トレイ載置面109の上にトレイ110が積載される。トレイ載置面109は、側壁111、突起112、そして、後述の上下に移動するストッパー106で囲まれた領域を有し、トレイ110がトレイ搬送台車101から落下しないように構成されている。
【0032】
薬品自動払出装置11の未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15は、トレイ送り装置21およびローラー22を備えるトレイ載置面23を有する。そして、トレイ送り装置21は図示しないモーター等で駆動され、トレイ110をトレイ搬送台車101に送り出したり、あるいはトレイ110をトレイ搬送台車から引き込んで受け取る。
なお、トレイ搬送台車101のストッパー106よりも前面外側にあるローラー108aもトレイ送り装置21と同期して駆動するようにすれば、トレイの受け渡しを完全に自動化することができる。ローラー108aは、トレイ搬送台車101に独立して設けられたモーターおよび電源で駆動してもよいが、トレイ搬送台車101にモーターのみ独立して設けて、トレイ搬送台車101が未収納トレイユニット12または収納済トレイユニット15に接続されているときに、これらから電源供給を受けてモーターを駆動してもよく、さらには、トレイ搬送台車101にはモーターおよび電源を設けず、トレイ送り装置21から直接あるいは間接的に駆動力の供給を受けてローラー108aを駆動してもよい。
【0033】
図3は、トレイ搬送台車101に備えられた本発明の要部構成であるトレイ落下防止装置の要部を示すものである。
トレイ落下防止装置は、プッシャー102、ラック103、カム104、ガイドシャフト105、ストッパー106からなる。以下、図1、および3を用いて本実施例におけるトレイ搬送台車101の構成を説明する。
【0034】
プッシャー102は、薬品自動払出装置11に接続された際、薬品自動払出装置11の側壁に押されてトレイ搬送台車101の内側方向に移動する。つまり、プッシャー102がトレイ搬送台車101の内側方向の位置にあるときは、トレイ搬送台車101が薬品自動払出装置11に接続された状態である。また、プッシャー102がトレイ搬送台車101の外側方向の位置にあるときは、トレイ搬送台車101が薬品自動払出装置11から離脱している状態である。したがって、プッシャー102は、薬品自動払出装置11と接続されているか否かを物理的な状態で検出することができ、本発明の接続検出手段に相当する。
本実施例では、プッシャー102はトレイ搬送台車101の外側方向に付勢されている。したがって、トレイ搬送台車101が薬品自動払出装置11から離脱したときは、プッシャー102は自動的に外側方向に戻るので、何ら特別な操作をすることなく、後述の支持手段によりトレイが支持され、積載したトレイの倒壊、落下を防止することが可能である。
【0035】
ラック103は、プッシャー102と連結されており、上述のプッシャー102の前後方向の運動をカム104に伝達するものである。本実施例では、ラック103とカム104は一体に成形されている。なお、本実施例では、プッシャー102の移動方向とカム104の移動方向とは同じなので、ラック103を省略するとともにプッシャー102とカム104を直接接続する構成としてもよい。もちろん、他の回転する部材を駆動するためにラック103を設け、ラックの側面と当該他の回転する部材とを噛み合わせるようにすれば、ラックを介して駆動力を当該他の回転する部材に伝達することができる。この形態の例は、後述の実施例2で説明する。
【0036】
カム104は、ラック103で伝達されたプッシャー102の前後方向の運動を利用して、ガイドシャフト105およびストッパー106を上下させる部材である。
カム104の上面には、高位置面104H、低位置面104L、および高位置面104Hと低位置面104Lを連続的に結ぶ傾斜面104Sとからなる。この構成により、カム104の前後方向の移動に伴い、カム104の上面に接して設けられるガイドシャフト105を上下させるものである。
【0037】
ガイドシャフト105は、カム104の前後運動を上下運動に変換する部材である。カム104に接するガイドシャフト105の先端は、ボールペンの先端と同様の金属製のボール105aが埋め込まれている。そして、カム104の前後運動とともに、高位置面104H、低位置面104L、および傾斜面104Sの上を滑らかに転がるように構成されている。
【0038】
図4は、カム104とガイドシャフト105の関係を表す図である。
カム104の高位置面104Hと傾斜面104S、およびカム104の傾斜面104Sと低位置面104Lとは半径Rの滑らかな曲線で結ばれている。これに対し、ガイドシャフト105の先端のボール105aの半径はrであり、R>rの関係を有している。このように構成することにより、ボール105aが斜面の境目で抵抗を受けることなく、ガイドシャフト105がカムの各面間をスムーズに移動することができ、この結果、ガイドシャフト105のスムーズな上下運動が実現される。
【0039】
カム104、およびボール105aは、焼き入れしてマルテンサイト相を析出させた炭素鋼で構成されている。つまり、ボール105aおよび高位置面104H、低位置面104L、および傾斜面103Sの硬度は高く塑性変形しにくいため、ガイドシャフト105がカム104に対して点で支持されることとなり、これもガイドシャフト105のスムーズな上下運動の実現に寄与している。
【0040】
ストッパー106は、トレイ搬送台車101に積載されたトレイ109が倒壊、落下しないよう、積載された最下段のトレイ109を支持する部材である。つまり、カム104、ガイドシャフト105と併せて支持手段に相当するものである。
ストッパー106は、ガイドシャフト105の他端に設けられ、ガイドシャフト105が上昇するとトレイ載置面109から突出し(支持位置)、ガイドシャフト105が下降するとトレイ載置面109の下に格納される(解放位置)。
【0041】
ストッパー106が支持位置にあるときのストッパー106の位置は、図5(a)のように、トレイ110に患者情報を表示した表示部110aが設けられている場合、表示部110aと干渉しないように表示部110aの位置からずらして設けることが望ましい。あるいは、図5(b)のように、ストッパー106の突出位置が表示部110aの下端よりも低い位置となるよう、ストッパー106の突出量を設定してもよい。表示部110aは、紙カードの他、熱を加えることにより表示を変更できる媒体や、電気信号で表示を変更する液晶表示装置等、情報を表示できるものであればよい。
【0042】
ストッパー106のトレイ載置面109方向の断面形状は、円形となっている。また、トレイ載置面109に設けられたストッパー106が通る穴109aも、ストッパー106よりも大きい径を有する円形となっている。ガイドシャフト105がボール105aによりカム104に対して点で支持されているので、ストッパー106および穴109aを
このような形状とすることにより、図4の矢印のように、ガイドシャフト105の上下移動に際してガイドシャフト105が自由に回転することができ、ガイドシャフト105およびストッパー106のスームーズな上下運動を実現できるものである。
【0043】
なお、ストッパー106の形状が円形の場合、穴109aはこれに干渉しない形状、例えば、一辺がストッパー106の直径以上の正方形としてもよい。あるいは狭義の穴ではなく、ストッパー106の付近にトレイ載置面を設けず、吹き抜け状にしてもよい。この場合も吹き抜け状の領域を穴109aと観念することができる。
また、穴109aが円形の場合、ストッパー106はこれに干渉しない形状、例えば、対角線の長さが穴109aの直径以下の正方形としてもよい。
すなわち、ガイドシャフト105の回転により、ストッパー106と穴109aとの間に干渉がない関係であればよい。
【0044】
なお、本実施例では、図5のようにストッパー106は、最下段のトレイ110の前側面を支持するような位置に設けられているが、トレイの底部にストッパー106の形状と同じ形の溝を設けておき、これに係合するような位置に設けてもよい。また、本実施例では、ストッパー106は、最下段のトレイ110のみ支持するような突出量となっているが、最下段から複数枚のトレイ110の前側面を支持するようにしてもよい。つまり、主に最下段のトレイ110が少なくとも支持できればよい。
【0045】
以上の構成を有するトレイ搬送台車101、つまりトレイ搬送台車に設けられたトレイ落下防止装置の動作について、以下に説明する。
【0046】
(1、薬品自動払出装置から離脱しているとき)
図1は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車101が離脱している状態を表している。
プッシャー102は、トレイ搬送台車101の外側方向に付勢されているので、プッシャー102およびこれと一体のラック103は外側方向の位置にある。
この場合、ガイドシャフト105の先端は、カム104の高位置面104Hにあるので、ストッパー106がトレイ載置面109から突出した位置、すなわち支持位置にある。
【0047】
すなわち、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車101が離脱しているときは、トレイ搬送台車101は積載されたトレイ110を搬送、運搬中であることから、積載されたトレイ110が倒壊、落下しないよう、支持手段はトレイを支持する支持位置をとっている。
【0048】
(2、薬品自動払出装置に接続するとき)
薬品自動払出装置11は、図20のように、未収納トレイユニット12、薬品投入ユニット13、プリンタユニット14、収納済トレイユニット15、およびこれらをつなぐトレイ搬送手段16から構成されている。そして、未収納トレイユニット12に空のトレイ110を供給するとき、あるいは収納済トレイユニット15から薬品が乗せられたトレイ110を運び出すときは、図2のように本実施例のトレイ搬送台車101を接続して、トレイの受け渡しを行う。
【0049】
つまり、図2において、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車101を安定的に接続するため、トレイ搬送台車101に設けられた接続装置107を、薬品自動払出装置11の未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15の前面に設けられたボルト等の棒状の部材20に係合させる。
【0050】
この動作の際、プッシャー102が、未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15の前面壁に押されてトレイ搬送台車101の内側方向に移動する。これに伴い、プッシャー102と一体であるラック103も、内側方向に移動する。この結果、カム104はトレイ搬送台車101の内側方向に移動する。
カム204が内側方向に移動すると、ガイドシャフト105の先端は高位置面104Hから傾斜面104Sを経由して低位置面104Lに至り、その高低差によりガイドシャフト105の他端に設けたストッパー106は下降する。
【0051】
この状態を表したのが、図6である。図6は、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車101が接続されている状態を表している。すなわち、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車101が接続されているときは、トレイ搬送台車101は積載されたトレイを未収納トレイユニット12に供給する必要があり、あるいは収納済トレイユニット15からトレイを受け取る必要があることから、支持手段はトレイの支持を開放する位置をとっている。
【0052】
なお、図20において、薬品自動払出装置11には、収納トレイユニット12、および収納済トレイユニット15が設けられていたが、これらの代わりに本実施例のトレイ搬送台車101を直接薬品投入ユニット13やプリンタユニット14に横付けするように配置、接続して、直接トレイの受け渡しをするように構成してもよい。その場合、本実施例のトレイ搬送台車101は、収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15としても機能することになる。
【実施例2】
【0053】
トレイ搬送台車でトレイを搬送するとき、より多くのトレイを運ぶ場合やトレイの構造が不安定な場合、トレイ搬送台車の四辺に支柱および壁を設け、トレイの倒壊を防止することも考えられる。
しかし、薬剤処方業務の場合、通常の払出を待てず、緊急に患者に薬剤を処方する必要がある場合がある。本実施例は、このような場合においても実施例1と同様に手作業によるトレイの取り出しが容易なトレイ搬送台車を提供するものである。
【0054】
本実施例では、実施例1の支持手段に加え、さらに別の支持手段を有するものである。つまり、本実施例で新たに加えた支持手段を第1の支持手段とし、実施例1の支持手段を第2の支持手段とすれば、本実施例は第1の支持手段および第2の支持手段を有することを特徴とする。
【0055】
図7は、本実施例のトレイ搬送台車201の外観斜視図である。トレイ搬送台車201は、略直方体の外枠を有するとともに、202から208の部材からなるトレイ落下防止装置を備えている。また、トレイ搬送台車201は、本体装置である薬品自動払出装置11に接続するための接続装置209を備えている。そして、トレイ搬送台車201は複数のローラーからなるトレイ載置面210を有し、トレイ載置面210の上にトレイを積載する。
【0056】
図8は、トレイ搬送台車201に備えられた本発明の要部構成であるトレイ落下防止装置の要部を示すものである。トレイ落下防止装置は、プッシャー202、ラック203、カム204、回転ローラー205、ガイドシャフト206、ストッパー207、ロッド208からなる。以下、図8を用いながら、適宜図9、4、5を用いて説明する。
【0057】
プッシャー202は、薬品自動払出装置11に接続された際、薬品自動払出装置11の側壁に押されてトレイ搬送台車201の内側方向に移動する。つまり、プッシャー202がトレイ搬送台車201の内側方向の位置にあるときは、トレイ搬送台車201が薬品自動払出装置11に接続された状態である。また、プッシャー202がトレイ搬送台車201の外側方向の位置にあるときは、トレイ搬送台車201が薬品自動払出装置11から離脱している状態である。したがって、プッシャー202は、薬品自動払出装置11と接続されているか否かを物理的な状態で検出することができ、本発明の接続検出手段に相当する。
本実施例では、プッシャー202はトレイ搬送台車201の外側方向に付勢されている。したがって、トレイ搬送台車201が薬品自動払出装置11から離脱したときは、プッシャー202は自動的に外側方向に戻るので、何ら特別な操作をすることなく、後述の第1の支持手段および第2の支持手段によりトレイが支持され、積載したトレイの倒壊、落下を防止することが可能である。
【0058】
ラック203は、プッシャー202と連結されており、プッシャー202の前後方向の運動をカム204および回転ローラー205に伝達するものである。
図9は、ラック203、カム204、回転ローラー205を上方から見た図である。本実施例では、ラック203の側面には歯が設けられている。また、カム204の下部、および回転ローラー205の下部は歯車で構成されている。したがって、ラック203が前後方向に移動すれば、ラック203と歯車を通じて係合したカム204は回転し、さらに、カム204と歯車を通じて係合した回転ローラー205も回転する。
なお、ラック203、カム204、回転ローラー205は、必ずしもラックおよび歯車で構成される必要はなく、平面および円筒面で構成され、摩擦でカム204および回転ローラー205を回転させるようにしてもよい。
【0059】
回転ローラー205は、ラック203およびカム204で伝達されたプッシャー202の前後方向の運動を回転運動に変換するとともに、ロッド208を、ロッド208の軸方向を略中心として回転させる部材である。したがって、回転ローラー205は、ロッド208を回転させる回転部材に相当するものである。
図10は、回転ローラー205の拡大図である。回転ローラー205の上面には、U字溝205U、およびV字溝205Vが設けられている。U字溝205UおよびV字溝205Vは、ロッド208の端部208aが係合するように、ロッド部材208の直径とほぼ同じ幅を有する。また、両溝は、長手方向がお互い略直角になるように配置されている。U字溝205U、V字溝205V、ロッド208の動作は後述する。
【0060】
ロッド208は、トレイ搬送台車201に積載されたトレイが倒壊、落下しないよう、トレイの側面からトレイを支持するロッド部材である。つまり、ロッド208、そして前述の回転ローラー205は、第1の支持手段に相当するものである。
ロッド208の下側の端部208aは略直角に曲げられ、回転ローラー205のU字溝205Uに係合しており、回転ローラー205の回転により、トレイ側面を支持する位置(支持位置)と、トレイ支持を開放する位置(解放位置)とが切り替わるものである。また、ロッド208は、手動でも解放位置をとることができる。これらの動作は後述する。
本実施例では、ロッド208は、図7のように全てのトレイの側面をカバーするように構成されているが、主要部分だけをカバーするようにしてもよい。例えば、下側のトレイは、後述のストッパー207により支持されているので、積載したトレイの少なくとも上半分をカバーするようにしてもよい。また、手動で支持位置と解放位置とを切り替えるために、ロッド208にグリップを設けるようにしてもよい。
【0061】
カム204は、ラック203で伝達されたプッシャー202の前後方向の運動を回転運動に変換するとともに、ガイドシャフト206およびストッパー207を上下させる部材である。
図11は、カム204の拡大図である。カム204の上面には、高位置面204H、低位置面204L,および高位置面204Hと低位置面204Lを連続的に結ぶ傾斜面204Sとからなる。この構成により、カム204の回転とともに、カム204の上面に接して設けられるガイドシャフト206を上下させるものである。各面間は滑らかな曲線で結ばれているのは、実施例1と同じである。
【0062】
ガイドシャフト206は、カム204の回転運動を上下運動に変換する部材である。ガイドシャフトの構成は、実施例1の構成と同じである。カム204に接するガイドシャフト206の先端は、ボールペンの先端と同じ金属製のボールが埋め込まれている。そして、カム204の回転とともに、高位置面204H、低位置面204L,および傾斜面204Sの上を滑らかに転がるように構成されている。
【0063】
ストッパー207は、トレイ搬送台車201に積載されたトレイが倒壊、落下しないよう、積載された最下段のトレイを支持する部材である。つまり、カム204、ガイドシャフト207と併せて第2の支持手段に相当するものである。
ストッパー207は、ガイドシャフト206の他端に設けられ、ガイドシャフト206が上昇するとトレイ載置面210から突出し(支持位置)、ガイドシャフト206が下降するとトレイ載置面210の下に格納される(解放位置)。
なお、ストッパーの突出量、一、形状は実施例1と同様であり、同様の効果を有する。
【0064】
以上の構成を有するトレイ搬送台車、つまりトレイ搬送台車に設けられたトレイ落下防止装置の動作について、以下に説明する。
【0065】
(1、薬品自動払出装置から離脱しているとき)
図12は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車201が離脱している状態を表している。
プッシャー202は、トレイ搬送台車201の外側方向に付勢されているので、プッシャー202およびこれと一体のラック203は外側方向の位置にある。
この場合、回転ローラー205のU字溝205Uに係合したロッド208は、トレイの側面をカバーして支持する位置、すなわち支持位置にある。また、ガイドシャフト206の先端は、カム204の高位置面204Hにあるので、ストッパー207がトレイ載置面210から突出した位置、すなわち支持位置にある。
【0066】
すなわち、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車201が離脱しているときは、トレイ搬送台車201は積載されたトレイを搬送、運搬中であることから、積載されたトレイが倒壊、落下しないよう、第1の支持手段および第2の支持手段はトレイを支持する支持位置をとっている。
【0067】
(2、薬品自動払出装置に接続するとき)
薬品自動払出装置11は、図20のように、未収納トレイユニット12、薬品投入ユニット13、プリンタユニット14、収納済トレイユニット15、およびこれらをつなぐトレイ搬送手段16から構成されている。そして、未収納トレイユニット12に空のトレイを供給するとき、あるいは収納済トレイユニット15から薬品が乗せられたトレイを運び出すときは、本実施例のトレイ搬送台車201を接続して、トレイの受け渡しを行う。
【0068】
図12において、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車201を安定的に接続するため、トレイ搬送台車201に設けられた接続装置209を、薬品自動払出装置11の未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15の前面に設けられたボルト等の棒状の部材に係合させる。
この動作の際、プッシャー202が、未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15の前面壁に押されてトレイ搬送台車201の内側方向に移動する。これに伴い、プッシャー202と一体であるラック203も、内側方向に移動する。この結果、カム204は左回転、回転ローラー205は右回転する。
カム204が左に回転すると、ガイドシャフト206の先端は高位置面204Hから傾斜面204Sを経由して低位置面204Lに至り、その高低差によりガイドシャフト206の他端のストッパー207は下降する。
回転ローラー205が右回転すると、回転ローラ205のU字溝205Uに係合したロッド208の先端208aも回転し、ロッド208全体がその長軸を略中心としてトレイの側面を支持する位置からトレイ側面を開放する位置へと移動する。
【0069】
この状態を表したのが、図13である。図13は、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車201が接続されている状態を表している。すなわち、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車201が接続されているときは、トレイ搬送台車201は積載されたトレイを未収納トレイユニット12に供給する必要があり、あるいは収納済トレイユニット15からトレイを受け取る必要があることから、第1の支持手段および第2の支持手段はトレイの支持を開放する位置をとっている。
【0070】
なお、図20において、薬品自動払出装置11には、収納トレイユニット12、および収納済トレイユニット15が設けられていたが、これらの代わりに本実施例のトレイ搬送台車201を直接薬品投入ユニット13やプリンタユニット14に横付けするように配置、接続して、直接トレイの受け渡しをするように構成してもよい。その場合、本実施例のトレイ搬送台車201は、収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15としても機能することになる。
【0071】
(3、薬品自動払出装置から離脱しているときに手動でロッドを解放位置にするとき)
上述の通り、図12は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車201が離脱している状態を表している。本実施例において、第1の支持手段であるロッド208は、手動で解放位置にすることができる。この様子を図12および図14を用いて説明する。図14は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車201が離脱しているときに手動でロッド208を開放位置にした状態を表している。
図12において、ロッド208の端部208aは、回転ローラー205のU字溝205Uに係合している。そして、患者の容体の急変などの緊急時において、積載されたトレイから所望のトレイを緊急に取り出したい場合、ロッド208を上方向に引き上げながら右回りに回転させると、ロッド208は解放位置をとることが可能である。この状態で、ロッド208の端部208aは、図14の通り、約90度回転してU字溝205Uから外れV字溝205Vに係合している。
この場合においても、ストッパー207は支持位置をとっている。したがって、積載されたトレイから所望のトレイを引き出すときも、最下段のトレイは第2の支持手段であるストッパー207に支持されており、積載されたトレイが足元をすくわれるように最下段から滑り落ちることを防ぐことが可能である。特に、トレイ積載面210がローラーで構成されているときは、トレイを取り出すときに加わった力の方向と、トレイが滑る落ちる方向が一致するので、このような倒壊が起きやすい。
【0072】
必要なトレイを取り出した後、再び手動でロッド208を支持位置に戻すことも当然可能である。この場合、ロッド208を上方向に引き上げながら左回りに回転させると、ロッド208は支持位置に戻る。この状態で、ロッド208の端部208aは、図12の通り、約90度回転して再びU字溝205Uに係合している。
【0073】
しかし、必要なトレイを取り出した後、手動でロッド208を支持位置に戻すことを忘れる場合がある。そのような場合でも、本実施例によれば、再び薬品自動払出装置に接続するだけで、自動的に第1の支持手段および第2の支持手段を解放位置にすることができ、さらに薬品自動払出装置から離脱させたときに、自動的に第1の支持手段および第2の支持手段を支持位置にすることが可能である。この様子を図14および図13を用いて説明する。
図14において、ロッド208の端部208aは、回転ローラー205のV字溝に係合している。この場合において、トレイ搬送台車201を薬品自動払出装置11に接続すると、プッシャー202はラック203とともにトレイ搬送台車201の内側方向に移動し、これに伴い、カム204は左に回転し、回転ローラー205は右に回転する。この場合、ロッド208の端部208aはV字溝205Vに係合しているが、V字溝は側壁が斜め方向に形成されているので、回転ローラー205の回転により端部208aが自動的に排出され、約90度回転した時点で回転ローラー205のU字溝205Uに収まる。つまり、上で説明した図13と同じ状態に戻っている。
【0074】
このように、本実施例によれば、万一取り出し作業終了後にロッド208を支持位置に戻すのを忘れても、自動的に定常状態に戻すことが可能である
【実施例3】
【0075】
図15は、本実施例のトレイ搬送台車301に備えられたトレイ落下防止装置の要部を示すのものである。本実施例のトレイ搬送台車301のトレイ落下防止装置は、接続検出手段にセンサー、第1の支持手段および第2の支持手段の駆動にモーターを使っている点で実施例2と異なる。つまり、本実施例のトレイ落下防止装置は、センサー302、制御装置303、第1のモーター304、第2のモーター305、回転ローラー306、ストッパー307、ロッド308からなる。以下、図15を用いて説明する。
【0076】
センサー302は、薬品自動払出装置11に接続された際、薬品自動払出装置11が接続されたことを検出する。例えば、センサー302に、発光素子および受光素子を備えたものを用いれば、薬品自動払出装置11が近接した場合、薬品自動払出装置11の側面で反射した発光素子の光が受光素子で検出され、薬品自動払出装置11が接続されたことを検出する。したがって、センサー302は、薬品自動払出装置11と接続されているか否かを電気信号で検出することができ、本発明の接続検出手段に相当する。
【0077】
制御装置303は、センサー302の検出結果に基づき、第1のモーター304、第2のモーター305を制御する。制御装置303は、図16に示す通り、2つのモードを持っている。すなわち、センサー302が薬品自動払出装置11の接続を検出した場合は、第1の支持手段および第2の支持手段が解放位置をとるように制御する。また、センサー302が薬品自動払出装置11の離脱を検出した場合は、第1の支持手段および第2の支持手段が支持位置をとるように制御する。なお、第1の支持手段は手動で解放位置をとることが可能であるのは実施例2と同様である。
【0078】
第1のモーター304は、制御装置303の制御に基づき、回転ローラー306を回転させる。第1のモーター304は、例えばステッピングモータを用いることができる。
回転ローラー306は、ロッド308を、ロッド308の軸方向を略中心として回転させる部材である。
ロッド308は、トレイ搬送台車201に積載されたトレイが倒壊、落下しないよう、トレイの側面からトレイを支持するロッド部材である。そして、ロッド308、そして前述の回転ローラー306、および第1のモーター304は、第1の支持手段に相当するものである。
なお、回転ローラー306は、実施例2と同様、U字溝306UおよびV字溝306Vを有している。したがって、手動で解放位置をとった場合において、万一取り出し作業終了後にロッド308を支持位置に戻すのを忘れても、自動的に定常状態に戻すことが可能である。
【0079】
第2のモーター305は、制御装置303の制御に基づき、ストッパー207を上下させる。回転運動を直線運動に変換するには、周知の技術、例えばラックとピニオン、あるいはプランジャーを用いることができる。
ストッパー307は、トレイ搬送台車301に積載されたトレイが倒壊、落下しないよう、積載された最下段のトレイを支持する部材であり、その構成は実施例2と同様である。つまり、ストッパー307、第2のモーター305は、第2の支持手段に相当するものである。
【0080】
なお、センサー302、制御装置303、第1のモーター304、第2のモーター305は、図示しない電源、例えば蓄電池から電源を供給される。蓄電池への充電は、例えばトレイ搬送台車301を薬品自動払出装置11に接続したとき、両方に設けられた充電用の端子も接続されるようにして、薬品自動払出装置11を経由して充電するようにすることが考えられる。
【0081】
以上の構成を有するトレイ搬送台車においても、実施例2と同様の動作を行わせることが可能である。以上の構成を有する実施例2のトレイ搬送台車、つまりトレイ搬送台車に設けられたトレイ落下防止装置の動作について、図17,18,19を用いて以下に説明する。図17は、トレイ搬送台車301が薬品自動払出装置11から離脱中の状態、図18は、同台車が接続中の状態、図19は、同台車が離脱中に手動で第1の支持手段を解放位置に配置した状態を示したものである。
【0082】
(1、薬品自動払出装置から離脱しているとき)
図17は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車301が離脱している状態を表している。
センサー302が薬品自動払出装置11を検出しないときは、制御装置303はロッド308、およびストッパー307を支持位置、つまりロッド308はトレイの側面をカバーして支持する位置にあり、ストッパー307はトレイ載置面210から突出した位置をとるよう制御する。
つまり、制御装置303は、第1のモーター304を駆動して回転ローラー306を左に回転させ、U字溝306Uに係合したロッド308の先端308aを左に回転させることにより、ロッド308を支持位置に配置する。また、制御装置303は、第2のモーター305を駆動してストッパー307を上昇させ、ストッパー307を支持位置に配置する。
【0083】
(2、薬品自動払出装置に接続するとき)
図17の状態で、トレイ搬送台車301が薬品自動払出装置11と接続され、センサー303が薬品自動払出装置11を検出した場合、制御装置303は、図18のように、第1のモーター304を駆動して回転ローラー306を右に90度回転させ、U字溝306Uに係合したロッド308の先端308aを右に90度回転させることにより、ロッド308を解放位置に配置する。また、制御装置303は、第2のモーター305を駆動してストッパー307を下降させ、ストッパー307を解放位置に配置する。
【0084】
(3、薬品自動払出装置から離脱しているときに手動でロッドを解放位置にするとき)
上述の通り、図17は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車201が離脱している状態を表しているが、本実施例においても実施例2と同様、第1の支持手段であるロッド308を、手動で解放位置に位置させることができる。
図17において、ロッド308の端部308aは、回転ローラー306のU字溝306Uに係合している。そして、患者の容体の急変などの緊急時において、積載されたトレイから所望のトレイを緊急に取り出したい場合、ロッド308を上方向に引き上げながら右回りに回転させると、ロッド308は解放位置をとることが可能である。この状態で、ロッド308の端部308aは、図19の通り、約90度回転してU字溝306Uから外れ、V字溝306Vに係合している。
必要なトレイを取り出した後、再び手動でロッド308を支持位置に戻すことも当然可能である。この場合、ロッド308を上方向に引き上げながら左回りに回転させると、ロッド308は支持位置に戻る。この状態で、ロッド308の端部308aは、図17の通り、約90度回転して再びU字溝306Uに係合している。
【0085】
しかし、必要なトレイを取り出した後、手動でロッド308を支持位置に戻すことを忘れる場合がある。そのような場合、本実施例でも実施例2と同様、再び薬品自動払出装置に接続するだけで、自動的に第1の支持手段および第2の支持手段を解放位置にすることができ、さらに薬品自動払出装置から離脱させたときに、自動的に第1の支持手段および第2の支持手段を支持位置にすることが可能である。
つまり、図19において、ロッド308の端部308aは、回転ローラー306のV字溝306Vに係合している。この場合において、トレイ搬送台車301を薬品自動払出装置11に接続すると、センサー303が薬品自動払出装置11を検出し、制御装置303は、図18のように、第1のモーター304を駆動して回転ローラー306を右に90度回転させることにより、ロッド308の先端308aをV字溝306Vから排出させ、U字溝306Uに係合させる。また、制御装置303は、第2のモーター305を駆動してストッパー307を下降させ、ストッパー307を解放位置に配置する。
このように、本実施例によっても、万一取り出し作業終了後にロッド308を支持位置に戻すのを忘れても、自動的に定常状態に戻すことが可能である
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、病院における薬品自動払出装置に接続して用いる場合の他に、トレイを用いるあらゆる装置に接続して用いることも可能である。
【符号の説明】
【0087】
101 201 301 トレイ搬送台車
102 202 プッシャー
103 203 ラック
104 204 カム
205 回転ローラー
205U U字溝
205V V字溝
105 206 ガイドシャフト
106 207 ストッパー
208 ロッド
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するトレイ搬送台車、特に、病院などにおいて、調剤指示に基づいて薬剤等の薬品を払い出す薬品自動払出装置に用いるトレイを搬送するトレイ搬送台車、およびトレイ落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に工場などにおいては、様々な物品をひとまとまりに仕分けするために、大小様々なトレイが用いられている。これは工場に限らず、例えば病院の薬剤処方業務において、必要な薬剤を払い出す場合にも、患者ごとにトレイを準備し、その中に処方される薬剤を載置、収納することにより、薬剤処方管理を行っている。従来はこの作業を薬剤師が手作業で行っていたが、近年、電子処方箋の普及に伴って、自動的に薬剤等の薬品を払い出す薬品自動払出装置が普及してきている。
図20は、薬品自動払出装置11の外観正面図である。薬品自動払出装置11は、未収納トレイユニット12、薬品投入ユニット13、プリンタユニット14、収納済トレイユニット15、およびこれらをつなぐトレイ搬送手段16から構成されている。未収納トレイユニット12に空のトレイ110を供給すれば、トレイ110はトレイ搬送手段16上を移動し、薬品投入ユニット13で電子処方箋に従って患者ごとに必要な薬剤を載置され、プリンタユニット14で処方箋や注射箋、施用ラベル等が載置され、収納済みトレイユニット15で順次積載されていく。薬品が載置されたトレイ110が一定数蓄積されれば、まとめてトレイ搬送台車に乗せられて患者の元や薬局に運ばれていく。
薬品自動払出装置に空のトレイを供給したり、薬品自動払出装置から払い出された薬品が載置されたトレイを運び出すには、トレイを乗せる台車やカートが用いられる。例えば、特許文献1には、トレイを収納する多数の棚を有し、トレイをこの棚に収納して所定の場所まで運ぶカートが記載されている(図4、図14等)。また特許文献2には、トレイを積載して所定の場所まで運ぶカートが記載されている(図2、図3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−51922号公報
【特許文献2】WO2005−105619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、棚を有する台車は、棚の厚み分だけ高さが増し、搭載できるトレイの数が少なくなるという問題があった。また、トレイを台車に一つ一つ収納ないし取り出す作業が必要であり、作業効率が悪くなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、積載されたトレイの倒壊や落下を効果的に防止するとともに、トレイの積み下ろし作業の効率がよいトレイ搬送台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、請求項とは、出願時の特許請求の範囲に記載された請求項を指す。
請求項1記載の本発明のトレイ搬送台車は、物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車であり、前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する支持手段とを有するものである。
ここで、「本体装置」は、トレイを必要とする処理を行う装置であり、例えばトレイに所定の物品を払い出す機能を有する装置がこれに該当する。
また、「接続検出手段」は、本体装置にトレイを供給するため、あるいは本体装置からトレイを受け取るためにトレイ搬送台車が接続したことを検出する手段である。「接続」とは、必ずしも物理的に接続する必要はなく、トレイ受け渡しができる程度に近接していればよい。また、「検出」とは、本体装置と接続されているかどうか、物理的な状態や電気信号により判別できれば足りる。
さらに、「支持手段」において、「支持」とは、積載されたトレイが移動ないし落下しないように固定したり、あるいは物理的に当接しなくても移動ないし落下を防止できる位置に支持手段を構成する部材を配置することを含む。
【0007】
請求項2記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項1記載のトレイ搬送台車であって、前記支持手段は、前記トレイの載置面から突出することにより前記トレイを支持するストッパーを有し、前記ストッパーは、前記トレイの載置面方向の断面が円形であるものである。
ここで、「トレイの載置面」とは、最下段のトレイが置かれる面であるが、最下段のトレイが直接接する場合はもちろん、直接接することなく近接した状態である場合も含む。
【0008】
請求項3記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項1または2記載のトレイ搬送台車であって、前記支持手段は、前記トレイの載置面から突出することにより前記トレイを支持するストッパーを有し、前記ストッパーが通る前記トレイの載置面に円形の穴が設けられているものである。
【0009】
請求項4記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項2または3記載のトレイ搬送台車であって、前記支持手段は、高位置面および低位置面、および前記高位置面と前記低位置面とを連続的に結ぶ傾斜面とからなるとともに、前記高位置面と前記傾斜面、および前記傾斜面と前記低位置面とが滑らかな曲線で結ばれたカムと、一端に金属製のボールが設けられ、前記カムの高位置面、傾斜面、および低位置面に接するとともに、他端に前記ストッパーが設けられ、前記トレイの載置面に対して上下に移動するガイドシャフトと、を有するものである。
【0010】
請求項5記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項4記載のトレイ搬送台車であって、前記ボールの半径rが、前記曲線の半径Rよりも小さいものである。
【0011】
請求項6記載の本発明のトレイ搬送台車は、物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車であり、前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された前記トレイを支持する第1の支持手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する第2の支持手段とを有するものである。
ここで、「本体装置」は、トレイを必要とする処理を行う装置であり、例えばトレイに所定の物品を払い出す機能を有する装置がこれに該当する。
また、「接続検出手段」は、本体装置にトレイを供給するため、あるいは本体装置からトレイを受け取るためにトレイ搬送台車が接続したことを検出する手段である。「接続」とは、必ずしも物理的に接続する必要はなく、トレイ受け渡しができる程度に近接していればよい。また、「検出」とは、本体装置と接続されているかどうか、物理的な状態や電気信号により判別できれば足りる。
さらに、「第1の支持手段」および「第2の支持手段」において、「支持」とは、積載されたトレイが移動ないし落下しないように固定したり、あるいは物理的に当接しなくても移動ないし落下を防止できる位置に第1ないし第2の支持手段を構成する部材を配置することを含む。
【0012】
請求項7記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項6記載のトレイ搬送台車であって、前記接続検出手段が前記本体装置に接続したことを検出したときは、前記第1の支持手段および前記第2の支持手段は前記トレイの支持を開放する解放位置をとり、前記接続検出手段が前記本体装置から離脱したことを検出したときは、前記第1の支持手段および前記第2の支持手段は前記トレイを支持する支持位置をとるものである。
【0013】
請求項8記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項7記載のトレイ搬送台車であって、前記接続検出手段が前記本体装置から離脱していることを検出している場合にも、前記第1の支持手段は手動で前記解放位置をとることが可能であるものである。
【0014】
請求項9記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項8記載のトレイ搬送台車であって、第1の支持手段は、積載された前記トレイの側面から前記トレイを支持するロッド部材からなるものである。
ここで、「ロッド部材」とは、積載されたトレイの側面をカバーする長尺の部材であればよい。棒状ないし板状など、断面や形状は任意である。
【0015】
請求項10記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項9記載のトレイ搬送台車であって、前記第1の支持手段は、前記ロッド部材に加えて、前記ロッド部材を回転させる回転部材とからなり、前記回転部材には、前記ロッド部材を回転させるために前記ロッド部材の端部が係合するU字溝が設けられているととともに、前記ロッド部材を手動で解放位置に位置させたときに前記ロッド部材の端部が係合するV字溝が設けられているものである。
ここで、「U字溝」とは、ロッド部材の端部が係合している場合に、回転部材の回転によりロッド部材の端部が溝から出ないよう、少なくとも一方の側壁が鉛直方向に形成されている溝をいう。例えば、矩形、方形もU字溝に含む。
また、「V字溝」とは、ロッド部材の端部が係合している場合に、回転部材の回転によりロッド部材の端部が溝から排出されるよう、少なくとも一方の側壁が斜め方向に形成されている溝をいう。例えば、台形、あるいはV字ないし台形の辺が上に凸の曲線で構成される場合もこれに含む。
【0016】
請求項11記載の本発明のトレイ搬送台車は、請求項1または6記載のトレイ搬送台車であって、前記本体装置は、空のトレイを収容する未収納トレイユニットと、調剤指示に基づき、収納されている薬品を前記トレイに投入する薬品投入ユニットと、前記薬品が投入された前記トレイを収容する収納済トレイユニットとを有する薬品自動払出装置であり、前記接続検出手段は、前記未収納トレイユニット、または前記収納済トレイユニットとの接続を検出するものである。
【0017】
請求項12記載の本発明のトレイ落下防止装置は、物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車に設けられるトレイ落下防止装置であり、前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する支持手段とを有するものである。
【0018】
請求項13記載の本発明のトレイ落下防止装置は、物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車に設けられるトレイ落下防止装置であり、前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された前記トレイを支持する第1の支持手段と、前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する第2の支持手段とを有するものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1および12記載の発明によれば、接続検出手段の検出結果で支持手段を駆動することが可能であり、支持手段の動作を自動化することができるので、トレイの積み下ろし作業の効率を向上させることが可能である。
また、支持手段は最下段のトレイを支持しているので、最下部のトレイが足元をすくわれるようにして倒壊、落下する危険を防止することが可能である。特に、薬剤の払出の場合、払い出される患者によって薬剤の量や種類が異なり、払い出される順序を制御しなければ、重いトレイが上部に、軽いトレイが下部に集中することがある。あるいは、緊急の場合、積載されたトレイの中から目的のトレイを抜き出すことが必要になることがある。このように重量分布に不安定な状態がある場合や積載されたトレイの中から必要なトレイを抜き出す場合、特に最下部のトレイが足元をすくわれるような倒壊、落下をする危険性が高いため、本発明による効果が顕著に現れる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、ストッパーの断面が円形なので、ストッパーが上下する際にストッパーが回転しても上下の移動に対して抵抗となることがなく、ストッパーのスームーズな上下運動を実現できるものである。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、トレイの載置面の穴が円形なので、ストッパーが上下する際にストッパーが回転しても上下の移動に対して抵抗となることがなく、ストッパーのスームーズな上下運動を実現できるものである。特に、ストッパーが円形の場合は、この効果は顕著となる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、ガイドシャフトの一端に金属製のボールが設けられているので、ストッパーを有するガイドシャフトがカムに対して点で支持されており、ガイドシャフト自身が自由に回転できることにより、ストッパーのスームーズな上下運動を実現できるものである。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、ボールの半径rが、曲線の半径Rよりも小さいので、ガイドシャフトの一端がカムの高位置面から傾斜面を経て低位置面に至る場合、あるいはその逆の場合に、ガイドシャフトの一端がボールを介してスムーズに移動することができ、カムの前後運動をスムーズにストッパーの上下運動に変換することが可能である。
【0024】
請求項6および13記載の発明によれば、接続検出手段の検出結果で第1の支持手段と第2の支持手段を駆動することが可能であり、第1の支持手段および第2の支持手段の動作を自動化することができるので、トレイの積み下ろし作業の効率を向上させることが可能である。
また、2つの支持手段を有することにより、トレイの倒壊や落下の危険がより少なくなるとともに、第2の支持手段は最下段のトレイを支持しているので、最下部のトレイが足元をすくわれるようにして倒壊、落下する危険を防止することが可能である。特に、薬剤の払出の場合、払い出される患者によって薬剤の量や種類が異なり、払い出される順序を制御しなければ、重いトレイが上部に、軽いトレイが下部に集中することがある。あるいは、緊急の場合、積載されたトレイの中から目的のトレイを抜き出すことが必要になることがある。このように重量分布に不安定な状態がある場合や積載されたトレイの中から必要なトレイを抜き出す場合、特に最下部のトレイが足元をすくわれるような倒壊、落下をする危険性が高いため、本発明による効果が顕著に現れる。
【0025】
請求項7記載の発明によれば、接続検出手段の検出結果で第1の支持手段と第2の支持手段が解放位置および支持位置をとることにより第1の支持手段および第2の支持手段の開閉を自動化することができるので、トレイの積み下ろし作業の効率を向上させることが可能である。
【0026】
請求項8記載の発明によれば、手動で第1の支持手段を解放位置にすることができるので、緊急に患者に処方が必要な薬剤を乗せたトレイを簡単に取り出すことができる。また、かかる場合にも、第2の支持手段は支持位置にあるので、最下部のトレイは第2の支持手段に支持されており、必要なトレイを引き出すときに加わった力により、最下部のトレイが足元をすくわれるようにして倒壊、落下するのを防止することが可能である。
【0027】
請求項9記載の発明によれば、トレイの側面をロッド部材で支持しているので、全てのトレイの側面から支持することが可能であるとともに、外からトレイを観察することが可能である。また、ロッド部材を手で自然につかんで回転させることにより解放位置にロッド部材を移動させるように構成すれば、緊急にトレイを取り出す必要がある場合にでも容易な操作で解放位置にロッド部材を移動させることができる。
【0028】
請求項10記載の発明によれば、ロッド部材の端部がU字溝に係合している場合は、接続検出手段の出力結果に基づき、回転部材を駆動することにより、容易にロッド部材を自動で解放位置および支持位置に移動させることができる。また、手動でロッド部材を解放位置に位置させたときには、ロッド部材の端部がV字溝に係合するので、次に検出手段が接続を検出したときにも、ロッドの端部は回転部材の回転により自動的にV字溝から排出されU字溝に収まる。つまり、万一取り出し作業終了後にロッド部材を支持位置に戻すのを忘れても、自動的に定常状態に戻すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施例におけるトレイ搬送台車の外観斜視図
【図2】同台車および薬品自動払出装置の上面図
【図3】同台車の要部構成の斜視図
【図4】同台車の要部構成の説明図
【図5】同台車の要部構成の側面図
【図6】同台車の接続中の状態を示す斜視図
【図7】本発明の第2の実施例におけるトレイ搬送台車の外観斜視図
【図8】同台車の要部構成の斜視図
【図9】同台車の要部構成の上面図
【図10】同台車の要部構成部品の斜視図
【図11】同台車の要部構成部品の斜視図
【図12】同台車の離脱中の状態を示す斜視図
【図13】同台車の接続中の状態を示す斜視図
【図14】同台車の離脱中の状態を示す斜視図
【図15】本発明の第3の実施例におけるトレイ搬送台車の要部構成の外観斜視図
【図16】同台車の動作モードを示す説明図
【図17】同台車の離脱中の状態を示す斜視図
【図18】同台車の接続中の状態を示す斜視図
【図19】同台車の離脱中の状態を示す斜視図
【図20】本発明のトレイ搬送台車が接続する薬品自動払出装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態を、実施例1、実施例2、および実施例3で説明する。
【実施例1】
【0031】
図1は、本実施例のトレイ搬送台車101の外観斜視図である。また、図2は、本実施例のトレイ搬送台車101および薬品自動払出装置11の上面図である。
トレイ搬送台車101は、102から106の部材からなるトレイ落下防止装置を備えている。また、図2のように、トレイ搬送台車101は、本体装置である薬品自動払出装置11に接続するための接続装置107を備えており、薬品自動払出装置11の未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15の前面に設けられたボルト等の棒状の部材20に係合される。そして、トレイ搬送台車101は複数のローラー108a、b、c、d、e、fを有するトレイ載置面109を有し、トレイ載置面109の上にトレイ110が積載される。トレイ載置面109は、側壁111、突起112、そして、後述の上下に移動するストッパー106で囲まれた領域を有し、トレイ110がトレイ搬送台車101から落下しないように構成されている。
【0032】
薬品自動払出装置11の未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15は、トレイ送り装置21およびローラー22を備えるトレイ載置面23を有する。そして、トレイ送り装置21は図示しないモーター等で駆動され、トレイ110をトレイ搬送台車101に送り出したり、あるいはトレイ110をトレイ搬送台車から引き込んで受け取る。
なお、トレイ搬送台車101のストッパー106よりも前面外側にあるローラー108aもトレイ送り装置21と同期して駆動するようにすれば、トレイの受け渡しを完全に自動化することができる。ローラー108aは、トレイ搬送台車101に独立して設けられたモーターおよび電源で駆動してもよいが、トレイ搬送台車101にモーターのみ独立して設けて、トレイ搬送台車101が未収納トレイユニット12または収納済トレイユニット15に接続されているときに、これらから電源供給を受けてモーターを駆動してもよく、さらには、トレイ搬送台車101にはモーターおよび電源を設けず、トレイ送り装置21から直接あるいは間接的に駆動力の供給を受けてローラー108aを駆動してもよい。
【0033】
図3は、トレイ搬送台車101に備えられた本発明の要部構成であるトレイ落下防止装置の要部を示すものである。
トレイ落下防止装置は、プッシャー102、ラック103、カム104、ガイドシャフト105、ストッパー106からなる。以下、図1、および3を用いて本実施例におけるトレイ搬送台車101の構成を説明する。
【0034】
プッシャー102は、薬品自動払出装置11に接続された際、薬品自動払出装置11の側壁に押されてトレイ搬送台車101の内側方向に移動する。つまり、プッシャー102がトレイ搬送台車101の内側方向の位置にあるときは、トレイ搬送台車101が薬品自動払出装置11に接続された状態である。また、プッシャー102がトレイ搬送台車101の外側方向の位置にあるときは、トレイ搬送台車101が薬品自動払出装置11から離脱している状態である。したがって、プッシャー102は、薬品自動払出装置11と接続されているか否かを物理的な状態で検出することができ、本発明の接続検出手段に相当する。
本実施例では、プッシャー102はトレイ搬送台車101の外側方向に付勢されている。したがって、トレイ搬送台車101が薬品自動払出装置11から離脱したときは、プッシャー102は自動的に外側方向に戻るので、何ら特別な操作をすることなく、後述の支持手段によりトレイが支持され、積載したトレイの倒壊、落下を防止することが可能である。
【0035】
ラック103は、プッシャー102と連結されており、上述のプッシャー102の前後方向の運動をカム104に伝達するものである。本実施例では、ラック103とカム104は一体に成形されている。なお、本実施例では、プッシャー102の移動方向とカム104の移動方向とは同じなので、ラック103を省略するとともにプッシャー102とカム104を直接接続する構成としてもよい。もちろん、他の回転する部材を駆動するためにラック103を設け、ラックの側面と当該他の回転する部材とを噛み合わせるようにすれば、ラックを介して駆動力を当該他の回転する部材に伝達することができる。この形態の例は、後述の実施例2で説明する。
【0036】
カム104は、ラック103で伝達されたプッシャー102の前後方向の運動を利用して、ガイドシャフト105およびストッパー106を上下させる部材である。
カム104の上面には、高位置面104H、低位置面104L、および高位置面104Hと低位置面104Lを連続的に結ぶ傾斜面104Sとからなる。この構成により、カム104の前後方向の移動に伴い、カム104の上面に接して設けられるガイドシャフト105を上下させるものである。
【0037】
ガイドシャフト105は、カム104の前後運動を上下運動に変換する部材である。カム104に接するガイドシャフト105の先端は、ボールペンの先端と同様の金属製のボール105aが埋め込まれている。そして、カム104の前後運動とともに、高位置面104H、低位置面104L、および傾斜面104Sの上を滑らかに転がるように構成されている。
【0038】
図4は、カム104とガイドシャフト105の関係を表す図である。
カム104の高位置面104Hと傾斜面104S、およびカム104の傾斜面104Sと低位置面104Lとは半径Rの滑らかな曲線で結ばれている。これに対し、ガイドシャフト105の先端のボール105aの半径はrであり、R>rの関係を有している。このように構成することにより、ボール105aが斜面の境目で抵抗を受けることなく、ガイドシャフト105がカムの各面間をスムーズに移動することができ、この結果、ガイドシャフト105のスムーズな上下運動が実現される。
【0039】
カム104、およびボール105aは、焼き入れしてマルテンサイト相を析出させた炭素鋼で構成されている。つまり、ボール105aおよび高位置面104H、低位置面104L、および傾斜面103Sの硬度は高く塑性変形しにくいため、ガイドシャフト105がカム104に対して点で支持されることとなり、これもガイドシャフト105のスムーズな上下運動の実現に寄与している。
【0040】
ストッパー106は、トレイ搬送台車101に積載されたトレイ109が倒壊、落下しないよう、積載された最下段のトレイ109を支持する部材である。つまり、カム104、ガイドシャフト105と併せて支持手段に相当するものである。
ストッパー106は、ガイドシャフト105の他端に設けられ、ガイドシャフト105が上昇するとトレイ載置面109から突出し(支持位置)、ガイドシャフト105が下降するとトレイ載置面109の下に格納される(解放位置)。
【0041】
ストッパー106が支持位置にあるときのストッパー106の位置は、図5(a)のように、トレイ110に患者情報を表示した表示部110aが設けられている場合、表示部110aと干渉しないように表示部110aの位置からずらして設けることが望ましい。あるいは、図5(b)のように、ストッパー106の突出位置が表示部110aの下端よりも低い位置となるよう、ストッパー106の突出量を設定してもよい。表示部110aは、紙カードの他、熱を加えることにより表示を変更できる媒体や、電気信号で表示を変更する液晶表示装置等、情報を表示できるものであればよい。
【0042】
ストッパー106のトレイ載置面109方向の断面形状は、円形となっている。また、トレイ載置面109に設けられたストッパー106が通る穴109aも、ストッパー106よりも大きい径を有する円形となっている。ガイドシャフト105がボール105aによりカム104に対して点で支持されているので、ストッパー106および穴109aを
このような形状とすることにより、図4の矢印のように、ガイドシャフト105の上下移動に際してガイドシャフト105が自由に回転することができ、ガイドシャフト105およびストッパー106のスームーズな上下運動を実現できるものである。
【0043】
なお、ストッパー106の形状が円形の場合、穴109aはこれに干渉しない形状、例えば、一辺がストッパー106の直径以上の正方形としてもよい。あるいは狭義の穴ではなく、ストッパー106の付近にトレイ載置面を設けず、吹き抜け状にしてもよい。この場合も吹き抜け状の領域を穴109aと観念することができる。
また、穴109aが円形の場合、ストッパー106はこれに干渉しない形状、例えば、対角線の長さが穴109aの直径以下の正方形としてもよい。
すなわち、ガイドシャフト105の回転により、ストッパー106と穴109aとの間に干渉がない関係であればよい。
【0044】
なお、本実施例では、図5のようにストッパー106は、最下段のトレイ110の前側面を支持するような位置に設けられているが、トレイの底部にストッパー106の形状と同じ形の溝を設けておき、これに係合するような位置に設けてもよい。また、本実施例では、ストッパー106は、最下段のトレイ110のみ支持するような突出量となっているが、最下段から複数枚のトレイ110の前側面を支持するようにしてもよい。つまり、主に最下段のトレイ110が少なくとも支持できればよい。
【0045】
以上の構成を有するトレイ搬送台車101、つまりトレイ搬送台車に設けられたトレイ落下防止装置の動作について、以下に説明する。
【0046】
(1、薬品自動払出装置から離脱しているとき)
図1は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車101が離脱している状態を表している。
プッシャー102は、トレイ搬送台車101の外側方向に付勢されているので、プッシャー102およびこれと一体のラック103は外側方向の位置にある。
この場合、ガイドシャフト105の先端は、カム104の高位置面104Hにあるので、ストッパー106がトレイ載置面109から突出した位置、すなわち支持位置にある。
【0047】
すなわち、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車101が離脱しているときは、トレイ搬送台車101は積載されたトレイ110を搬送、運搬中であることから、積載されたトレイ110が倒壊、落下しないよう、支持手段はトレイを支持する支持位置をとっている。
【0048】
(2、薬品自動払出装置に接続するとき)
薬品自動払出装置11は、図20のように、未収納トレイユニット12、薬品投入ユニット13、プリンタユニット14、収納済トレイユニット15、およびこれらをつなぐトレイ搬送手段16から構成されている。そして、未収納トレイユニット12に空のトレイ110を供給するとき、あるいは収納済トレイユニット15から薬品が乗せられたトレイ110を運び出すときは、図2のように本実施例のトレイ搬送台車101を接続して、トレイの受け渡しを行う。
【0049】
つまり、図2において、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車101を安定的に接続するため、トレイ搬送台車101に設けられた接続装置107を、薬品自動払出装置11の未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15の前面に設けられたボルト等の棒状の部材20に係合させる。
【0050】
この動作の際、プッシャー102が、未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15の前面壁に押されてトレイ搬送台車101の内側方向に移動する。これに伴い、プッシャー102と一体であるラック103も、内側方向に移動する。この結果、カム104はトレイ搬送台車101の内側方向に移動する。
カム204が内側方向に移動すると、ガイドシャフト105の先端は高位置面104Hから傾斜面104Sを経由して低位置面104Lに至り、その高低差によりガイドシャフト105の他端に設けたストッパー106は下降する。
【0051】
この状態を表したのが、図6である。図6は、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車101が接続されている状態を表している。すなわち、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車101が接続されているときは、トレイ搬送台車101は積載されたトレイを未収納トレイユニット12に供給する必要があり、あるいは収納済トレイユニット15からトレイを受け取る必要があることから、支持手段はトレイの支持を開放する位置をとっている。
【0052】
なお、図20において、薬品自動払出装置11には、収納トレイユニット12、および収納済トレイユニット15が設けられていたが、これらの代わりに本実施例のトレイ搬送台車101を直接薬品投入ユニット13やプリンタユニット14に横付けするように配置、接続して、直接トレイの受け渡しをするように構成してもよい。その場合、本実施例のトレイ搬送台車101は、収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15としても機能することになる。
【実施例2】
【0053】
トレイ搬送台車でトレイを搬送するとき、より多くのトレイを運ぶ場合やトレイの構造が不安定な場合、トレイ搬送台車の四辺に支柱および壁を設け、トレイの倒壊を防止することも考えられる。
しかし、薬剤処方業務の場合、通常の払出を待てず、緊急に患者に薬剤を処方する必要がある場合がある。本実施例は、このような場合においても実施例1と同様に手作業によるトレイの取り出しが容易なトレイ搬送台車を提供するものである。
【0054】
本実施例では、実施例1の支持手段に加え、さらに別の支持手段を有するものである。つまり、本実施例で新たに加えた支持手段を第1の支持手段とし、実施例1の支持手段を第2の支持手段とすれば、本実施例は第1の支持手段および第2の支持手段を有することを特徴とする。
【0055】
図7は、本実施例のトレイ搬送台車201の外観斜視図である。トレイ搬送台車201は、略直方体の外枠を有するとともに、202から208の部材からなるトレイ落下防止装置を備えている。また、トレイ搬送台車201は、本体装置である薬品自動払出装置11に接続するための接続装置209を備えている。そして、トレイ搬送台車201は複数のローラーからなるトレイ載置面210を有し、トレイ載置面210の上にトレイを積載する。
【0056】
図8は、トレイ搬送台車201に備えられた本発明の要部構成であるトレイ落下防止装置の要部を示すものである。トレイ落下防止装置は、プッシャー202、ラック203、カム204、回転ローラー205、ガイドシャフト206、ストッパー207、ロッド208からなる。以下、図8を用いながら、適宜図9、4、5を用いて説明する。
【0057】
プッシャー202は、薬品自動払出装置11に接続された際、薬品自動払出装置11の側壁に押されてトレイ搬送台車201の内側方向に移動する。つまり、プッシャー202がトレイ搬送台車201の内側方向の位置にあるときは、トレイ搬送台車201が薬品自動払出装置11に接続された状態である。また、プッシャー202がトレイ搬送台車201の外側方向の位置にあるときは、トレイ搬送台車201が薬品自動払出装置11から離脱している状態である。したがって、プッシャー202は、薬品自動払出装置11と接続されているか否かを物理的な状態で検出することができ、本発明の接続検出手段に相当する。
本実施例では、プッシャー202はトレイ搬送台車201の外側方向に付勢されている。したがって、トレイ搬送台車201が薬品自動払出装置11から離脱したときは、プッシャー202は自動的に外側方向に戻るので、何ら特別な操作をすることなく、後述の第1の支持手段および第2の支持手段によりトレイが支持され、積載したトレイの倒壊、落下を防止することが可能である。
【0058】
ラック203は、プッシャー202と連結されており、プッシャー202の前後方向の運動をカム204および回転ローラー205に伝達するものである。
図9は、ラック203、カム204、回転ローラー205を上方から見た図である。本実施例では、ラック203の側面には歯が設けられている。また、カム204の下部、および回転ローラー205の下部は歯車で構成されている。したがって、ラック203が前後方向に移動すれば、ラック203と歯車を通じて係合したカム204は回転し、さらに、カム204と歯車を通じて係合した回転ローラー205も回転する。
なお、ラック203、カム204、回転ローラー205は、必ずしもラックおよび歯車で構成される必要はなく、平面および円筒面で構成され、摩擦でカム204および回転ローラー205を回転させるようにしてもよい。
【0059】
回転ローラー205は、ラック203およびカム204で伝達されたプッシャー202の前後方向の運動を回転運動に変換するとともに、ロッド208を、ロッド208の軸方向を略中心として回転させる部材である。したがって、回転ローラー205は、ロッド208を回転させる回転部材に相当するものである。
図10は、回転ローラー205の拡大図である。回転ローラー205の上面には、U字溝205U、およびV字溝205Vが設けられている。U字溝205UおよびV字溝205Vは、ロッド208の端部208aが係合するように、ロッド部材208の直径とほぼ同じ幅を有する。また、両溝は、長手方向がお互い略直角になるように配置されている。U字溝205U、V字溝205V、ロッド208の動作は後述する。
【0060】
ロッド208は、トレイ搬送台車201に積載されたトレイが倒壊、落下しないよう、トレイの側面からトレイを支持するロッド部材である。つまり、ロッド208、そして前述の回転ローラー205は、第1の支持手段に相当するものである。
ロッド208の下側の端部208aは略直角に曲げられ、回転ローラー205のU字溝205Uに係合しており、回転ローラー205の回転により、トレイ側面を支持する位置(支持位置)と、トレイ支持を開放する位置(解放位置)とが切り替わるものである。また、ロッド208は、手動でも解放位置をとることができる。これらの動作は後述する。
本実施例では、ロッド208は、図7のように全てのトレイの側面をカバーするように構成されているが、主要部分だけをカバーするようにしてもよい。例えば、下側のトレイは、後述のストッパー207により支持されているので、積載したトレイの少なくとも上半分をカバーするようにしてもよい。また、手動で支持位置と解放位置とを切り替えるために、ロッド208にグリップを設けるようにしてもよい。
【0061】
カム204は、ラック203で伝達されたプッシャー202の前後方向の運動を回転運動に変換するとともに、ガイドシャフト206およびストッパー207を上下させる部材である。
図11は、カム204の拡大図である。カム204の上面には、高位置面204H、低位置面204L,および高位置面204Hと低位置面204Lを連続的に結ぶ傾斜面204Sとからなる。この構成により、カム204の回転とともに、カム204の上面に接して設けられるガイドシャフト206を上下させるものである。各面間は滑らかな曲線で結ばれているのは、実施例1と同じである。
【0062】
ガイドシャフト206は、カム204の回転運動を上下運動に変換する部材である。ガイドシャフトの構成は、実施例1の構成と同じである。カム204に接するガイドシャフト206の先端は、ボールペンの先端と同じ金属製のボールが埋め込まれている。そして、カム204の回転とともに、高位置面204H、低位置面204L,および傾斜面204Sの上を滑らかに転がるように構成されている。
【0063】
ストッパー207は、トレイ搬送台車201に積載されたトレイが倒壊、落下しないよう、積載された最下段のトレイを支持する部材である。つまり、カム204、ガイドシャフト207と併せて第2の支持手段に相当するものである。
ストッパー207は、ガイドシャフト206の他端に設けられ、ガイドシャフト206が上昇するとトレイ載置面210から突出し(支持位置)、ガイドシャフト206が下降するとトレイ載置面210の下に格納される(解放位置)。
なお、ストッパーの突出量、一、形状は実施例1と同様であり、同様の効果を有する。
【0064】
以上の構成を有するトレイ搬送台車、つまりトレイ搬送台車に設けられたトレイ落下防止装置の動作について、以下に説明する。
【0065】
(1、薬品自動払出装置から離脱しているとき)
図12は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車201が離脱している状態を表している。
プッシャー202は、トレイ搬送台車201の外側方向に付勢されているので、プッシャー202およびこれと一体のラック203は外側方向の位置にある。
この場合、回転ローラー205のU字溝205Uに係合したロッド208は、トレイの側面をカバーして支持する位置、すなわち支持位置にある。また、ガイドシャフト206の先端は、カム204の高位置面204Hにあるので、ストッパー207がトレイ載置面210から突出した位置、すなわち支持位置にある。
【0066】
すなわち、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車201が離脱しているときは、トレイ搬送台車201は積載されたトレイを搬送、運搬中であることから、積載されたトレイが倒壊、落下しないよう、第1の支持手段および第2の支持手段はトレイを支持する支持位置をとっている。
【0067】
(2、薬品自動払出装置に接続するとき)
薬品自動払出装置11は、図20のように、未収納トレイユニット12、薬品投入ユニット13、プリンタユニット14、収納済トレイユニット15、およびこれらをつなぐトレイ搬送手段16から構成されている。そして、未収納トレイユニット12に空のトレイを供給するとき、あるいは収納済トレイユニット15から薬品が乗せられたトレイを運び出すときは、本実施例のトレイ搬送台車201を接続して、トレイの受け渡しを行う。
【0068】
図12において、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車201を安定的に接続するため、トレイ搬送台車201に設けられた接続装置209を、薬品自動払出装置11の未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15の前面に設けられたボルト等の棒状の部材に係合させる。
この動作の際、プッシャー202が、未収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15の前面壁に押されてトレイ搬送台車201の内側方向に移動する。これに伴い、プッシャー202と一体であるラック203も、内側方向に移動する。この結果、カム204は左回転、回転ローラー205は右回転する。
カム204が左に回転すると、ガイドシャフト206の先端は高位置面204Hから傾斜面204Sを経由して低位置面204Lに至り、その高低差によりガイドシャフト206の他端のストッパー207は下降する。
回転ローラー205が右回転すると、回転ローラ205のU字溝205Uに係合したロッド208の先端208aも回転し、ロッド208全体がその長軸を略中心としてトレイの側面を支持する位置からトレイ側面を開放する位置へと移動する。
【0069】
この状態を表したのが、図13である。図13は、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車201が接続されている状態を表している。すなわち、薬品自動払出装置11にトレイ搬送台車201が接続されているときは、トレイ搬送台車201は積載されたトレイを未収納トレイユニット12に供給する必要があり、あるいは収納済トレイユニット15からトレイを受け取る必要があることから、第1の支持手段および第2の支持手段はトレイの支持を開放する位置をとっている。
【0070】
なお、図20において、薬品自動払出装置11には、収納トレイユニット12、および収納済トレイユニット15が設けられていたが、これらの代わりに本実施例のトレイ搬送台車201を直接薬品投入ユニット13やプリンタユニット14に横付けするように配置、接続して、直接トレイの受け渡しをするように構成してもよい。その場合、本実施例のトレイ搬送台車201は、収納トレイユニット12、または収納済トレイユニット15としても機能することになる。
【0071】
(3、薬品自動払出装置から離脱しているときに手動でロッドを解放位置にするとき)
上述の通り、図12は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車201が離脱している状態を表している。本実施例において、第1の支持手段であるロッド208は、手動で解放位置にすることができる。この様子を図12および図14を用いて説明する。図14は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車201が離脱しているときに手動でロッド208を開放位置にした状態を表している。
図12において、ロッド208の端部208aは、回転ローラー205のU字溝205Uに係合している。そして、患者の容体の急変などの緊急時において、積載されたトレイから所望のトレイを緊急に取り出したい場合、ロッド208を上方向に引き上げながら右回りに回転させると、ロッド208は解放位置をとることが可能である。この状態で、ロッド208の端部208aは、図14の通り、約90度回転してU字溝205Uから外れV字溝205Vに係合している。
この場合においても、ストッパー207は支持位置をとっている。したがって、積載されたトレイから所望のトレイを引き出すときも、最下段のトレイは第2の支持手段であるストッパー207に支持されており、積載されたトレイが足元をすくわれるように最下段から滑り落ちることを防ぐことが可能である。特に、トレイ積載面210がローラーで構成されているときは、トレイを取り出すときに加わった力の方向と、トレイが滑る落ちる方向が一致するので、このような倒壊が起きやすい。
【0072】
必要なトレイを取り出した後、再び手動でロッド208を支持位置に戻すことも当然可能である。この場合、ロッド208を上方向に引き上げながら左回りに回転させると、ロッド208は支持位置に戻る。この状態で、ロッド208の端部208aは、図12の通り、約90度回転して再びU字溝205Uに係合している。
【0073】
しかし、必要なトレイを取り出した後、手動でロッド208を支持位置に戻すことを忘れる場合がある。そのような場合でも、本実施例によれば、再び薬品自動払出装置に接続するだけで、自動的に第1の支持手段および第2の支持手段を解放位置にすることができ、さらに薬品自動払出装置から離脱させたときに、自動的に第1の支持手段および第2の支持手段を支持位置にすることが可能である。この様子を図14および図13を用いて説明する。
図14において、ロッド208の端部208aは、回転ローラー205のV字溝に係合している。この場合において、トレイ搬送台車201を薬品自動払出装置11に接続すると、プッシャー202はラック203とともにトレイ搬送台車201の内側方向に移動し、これに伴い、カム204は左に回転し、回転ローラー205は右に回転する。この場合、ロッド208の端部208aはV字溝205Vに係合しているが、V字溝は側壁が斜め方向に形成されているので、回転ローラー205の回転により端部208aが自動的に排出され、約90度回転した時点で回転ローラー205のU字溝205Uに収まる。つまり、上で説明した図13と同じ状態に戻っている。
【0074】
このように、本実施例によれば、万一取り出し作業終了後にロッド208を支持位置に戻すのを忘れても、自動的に定常状態に戻すことが可能である
【実施例3】
【0075】
図15は、本実施例のトレイ搬送台車301に備えられたトレイ落下防止装置の要部を示すのものである。本実施例のトレイ搬送台車301のトレイ落下防止装置は、接続検出手段にセンサー、第1の支持手段および第2の支持手段の駆動にモーターを使っている点で実施例2と異なる。つまり、本実施例のトレイ落下防止装置は、センサー302、制御装置303、第1のモーター304、第2のモーター305、回転ローラー306、ストッパー307、ロッド308からなる。以下、図15を用いて説明する。
【0076】
センサー302は、薬品自動払出装置11に接続された際、薬品自動払出装置11が接続されたことを検出する。例えば、センサー302に、発光素子および受光素子を備えたものを用いれば、薬品自動払出装置11が近接した場合、薬品自動払出装置11の側面で反射した発光素子の光が受光素子で検出され、薬品自動払出装置11が接続されたことを検出する。したがって、センサー302は、薬品自動払出装置11と接続されているか否かを電気信号で検出することができ、本発明の接続検出手段に相当する。
【0077】
制御装置303は、センサー302の検出結果に基づき、第1のモーター304、第2のモーター305を制御する。制御装置303は、図16に示す通り、2つのモードを持っている。すなわち、センサー302が薬品自動払出装置11の接続を検出した場合は、第1の支持手段および第2の支持手段が解放位置をとるように制御する。また、センサー302が薬品自動払出装置11の離脱を検出した場合は、第1の支持手段および第2の支持手段が支持位置をとるように制御する。なお、第1の支持手段は手動で解放位置をとることが可能であるのは実施例2と同様である。
【0078】
第1のモーター304は、制御装置303の制御に基づき、回転ローラー306を回転させる。第1のモーター304は、例えばステッピングモータを用いることができる。
回転ローラー306は、ロッド308を、ロッド308の軸方向を略中心として回転させる部材である。
ロッド308は、トレイ搬送台車201に積載されたトレイが倒壊、落下しないよう、トレイの側面からトレイを支持するロッド部材である。そして、ロッド308、そして前述の回転ローラー306、および第1のモーター304は、第1の支持手段に相当するものである。
なお、回転ローラー306は、実施例2と同様、U字溝306UおよびV字溝306Vを有している。したがって、手動で解放位置をとった場合において、万一取り出し作業終了後にロッド308を支持位置に戻すのを忘れても、自動的に定常状態に戻すことが可能である。
【0079】
第2のモーター305は、制御装置303の制御に基づき、ストッパー207を上下させる。回転運動を直線運動に変換するには、周知の技術、例えばラックとピニオン、あるいはプランジャーを用いることができる。
ストッパー307は、トレイ搬送台車301に積載されたトレイが倒壊、落下しないよう、積載された最下段のトレイを支持する部材であり、その構成は実施例2と同様である。つまり、ストッパー307、第2のモーター305は、第2の支持手段に相当するものである。
【0080】
なお、センサー302、制御装置303、第1のモーター304、第2のモーター305は、図示しない電源、例えば蓄電池から電源を供給される。蓄電池への充電は、例えばトレイ搬送台車301を薬品自動払出装置11に接続したとき、両方に設けられた充電用の端子も接続されるようにして、薬品自動払出装置11を経由して充電するようにすることが考えられる。
【0081】
以上の構成を有するトレイ搬送台車においても、実施例2と同様の動作を行わせることが可能である。以上の構成を有する実施例2のトレイ搬送台車、つまりトレイ搬送台車に設けられたトレイ落下防止装置の動作について、図17,18,19を用いて以下に説明する。図17は、トレイ搬送台車301が薬品自動払出装置11から離脱中の状態、図18は、同台車が接続中の状態、図19は、同台車が離脱中に手動で第1の支持手段を解放位置に配置した状態を示したものである。
【0082】
(1、薬品自動払出装置から離脱しているとき)
図17は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車301が離脱している状態を表している。
センサー302が薬品自動払出装置11を検出しないときは、制御装置303はロッド308、およびストッパー307を支持位置、つまりロッド308はトレイの側面をカバーして支持する位置にあり、ストッパー307はトレイ載置面210から突出した位置をとるよう制御する。
つまり、制御装置303は、第1のモーター304を駆動して回転ローラー306を左に回転させ、U字溝306Uに係合したロッド308の先端308aを左に回転させることにより、ロッド308を支持位置に配置する。また、制御装置303は、第2のモーター305を駆動してストッパー307を上昇させ、ストッパー307を支持位置に配置する。
【0083】
(2、薬品自動払出装置に接続するとき)
図17の状態で、トレイ搬送台車301が薬品自動払出装置11と接続され、センサー303が薬品自動払出装置11を検出した場合、制御装置303は、図18のように、第1のモーター304を駆動して回転ローラー306を右に90度回転させ、U字溝306Uに係合したロッド308の先端308aを右に90度回転させることにより、ロッド308を解放位置に配置する。また、制御装置303は、第2のモーター305を駆動してストッパー307を下降させ、ストッパー307を解放位置に配置する。
【0084】
(3、薬品自動払出装置から離脱しているときに手動でロッドを解放位置にするとき)
上述の通り、図17は、薬品自動払出装置11からトレイ搬送台車201が離脱している状態を表しているが、本実施例においても実施例2と同様、第1の支持手段であるロッド308を、手動で解放位置に位置させることができる。
図17において、ロッド308の端部308aは、回転ローラー306のU字溝306Uに係合している。そして、患者の容体の急変などの緊急時において、積載されたトレイから所望のトレイを緊急に取り出したい場合、ロッド308を上方向に引き上げながら右回りに回転させると、ロッド308は解放位置をとることが可能である。この状態で、ロッド308の端部308aは、図19の通り、約90度回転してU字溝306Uから外れ、V字溝306Vに係合している。
必要なトレイを取り出した後、再び手動でロッド308を支持位置に戻すことも当然可能である。この場合、ロッド308を上方向に引き上げながら左回りに回転させると、ロッド308は支持位置に戻る。この状態で、ロッド308の端部308aは、図17の通り、約90度回転して再びU字溝306Uに係合している。
【0085】
しかし、必要なトレイを取り出した後、手動でロッド308を支持位置に戻すことを忘れる場合がある。そのような場合、本実施例でも実施例2と同様、再び薬品自動払出装置に接続するだけで、自動的に第1の支持手段および第2の支持手段を解放位置にすることができ、さらに薬品自動払出装置から離脱させたときに、自動的に第1の支持手段および第2の支持手段を支持位置にすることが可能である。
つまり、図19において、ロッド308の端部308aは、回転ローラー306のV字溝306Vに係合している。この場合において、トレイ搬送台車301を薬品自動払出装置11に接続すると、センサー303が薬品自動払出装置11を検出し、制御装置303は、図18のように、第1のモーター304を駆動して回転ローラー306を右に90度回転させることにより、ロッド308の先端308aをV字溝306Vから排出させ、U字溝306Uに係合させる。また、制御装置303は、第2のモーター305を駆動してストッパー307を下降させ、ストッパー307を解放位置に配置する。
このように、本実施例によっても、万一取り出し作業終了後にロッド308を支持位置に戻すのを忘れても、自動的に定常状態に戻すことが可能である
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、病院における薬品自動払出装置に接続して用いる場合の他に、トレイを用いるあらゆる装置に接続して用いることも可能である。
【符号の説明】
【0087】
101 201 301 トレイ搬送台車
102 202 プッシャー
103 203 ラック
104 204 カム
205 回転ローラー
205U U字溝
205V V字溝
105 206 ガイドシャフト
106 207 ストッパー
208 ロッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車であり、
前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する支持手段と、
を有するトレイ搬送台車。
【請求項2】
前記支持手段は、前記トレイの載置面から突出することにより前記トレイを支持するストッパーを有し、
前記ストッパーは、前記トレイの載置面方向の断面が円形である請求項1記載のトレイ搬送台車。
【請求項3】
前記支持手段は、前記トレイの載置面から突出することにより前記トレイを支持するストッパーを有し、
前記ストッパーが通る前記トレイの載置面に円形の穴が設けられている請求項1または2記載のトレイ搬送台車。
【請求項4】
前記支持手段は、
高位置面および低位置面、および前記高位置面と前記低位置面とを連続的に結ぶ傾斜面とからなるとともに、前記高位置面と前記傾斜面、および前記傾斜面と前記低位置面とが滑らかな曲線で結ばれたカムと、
一端に金属製のボールが設けられ、前記カムの高位置面、傾斜面、および低位置面に接するとともに、他端に前記ストッパーが設けられ、前記トレイの載置面に対して上下に移動するガイドシャフトと、
を有する請求項2または3記載のトレイ搬送台車。
【請求項5】
前記ボールの半径rが、前記曲線の半径Rよりも小さい請求項4記載のトレイ搬送台車。
【請求項6】
物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車であり、
前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された前記トレイを支持する第1の支持手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する第2の支持手段と、
を有するトレイ搬送台車。
【請求項7】
前記接続検出手段が前記本体装置に接続したことを検出したときは、前記第1の支持手段および前記第2の支持手段は前記トレイの支持を開放する解放位置をとり、
前記接続検出手段が前記本体装置から離脱したことを検出したときは、前記第1の支持手段および前記第2の支持手段は前記トレイを支持する支持位置をとる請求項6記載のトレイ搬送台車。
【請求項8】
前記接続検出手段が前記本体装置から離脱していることを検出している場合にも、前記第1の支持手段は手動で前記解放位置をとることが可能である請求項7記載のトレー搬送台車。
【請求項9】
前記第1の支持手段は、積載された前記トレイの側面から前記トレイを支持するロッド部材からなる請求項8記載のトレイ搬送台車。
【請求項10】
前記第1の支持手段は、前記ロッド部材に加えて、前記ロッド部材を回転させる回転部材とからなり、
前記回転部材には、前記ロッド部材を回転させるために前記ロッド部材の端部が係合するU字溝が設けられているととともに、前記ロッド部材を手動で解放位置に位置させたときに前記ロッド部材の端部が係合するV字溝が設けられている請求項9記載のトレイ搬送台車。
【請求項11】
前記本体装置は、空のトレイを収容する未収納トレイユニットと、調剤指示に基づき、収納されている薬品を前記トレイに投入する薬品投入ユニットと、前記薬品が投入された前記トレイを収容する収納済トレイユニットとを有する薬品自動払出装置であり、
前記接続検出手段は、前記未収納トレイユニット、または前記収納済トレイユニットとの接続を検出する請求項1または6記載のトレイ搬送台車。
【請求項12】
物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車に設けられるトレイ落下防止装置であり、
前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する支持手段と、
を有するトレイ落下防止装置。
【請求項13】
物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車に設けられるトレイ落下防止装置であり、
前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された前記トレイを支持する第1の支持手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する第2の支持手段と、
を有するトレイ落下防止装置。
【請求項1】
物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車であり、
前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する支持手段と、
を有するトレイ搬送台車。
【請求項2】
前記支持手段は、前記トレイの載置面から突出することにより前記トレイを支持するストッパーを有し、
前記ストッパーは、前記トレイの載置面方向の断面が円形である請求項1記載のトレイ搬送台車。
【請求項3】
前記支持手段は、前記トレイの載置面から突出することにより前記トレイを支持するストッパーを有し、
前記ストッパーが通る前記トレイの載置面に円形の穴が設けられている請求項1または2記載のトレイ搬送台車。
【請求項4】
前記支持手段は、
高位置面および低位置面、および前記高位置面と前記低位置面とを連続的に結ぶ傾斜面とからなるとともに、前記高位置面と前記傾斜面、および前記傾斜面と前記低位置面とが滑らかな曲線で結ばれたカムと、
一端に金属製のボールが設けられ、前記カムの高位置面、傾斜面、および低位置面に接するとともに、他端に前記ストッパーが設けられ、前記トレイの載置面に対して上下に移動するガイドシャフトと、
を有する請求項2または3記載のトレイ搬送台車。
【請求項5】
前記ボールの半径rが、前記曲線の半径Rよりも小さい請求項4記載のトレイ搬送台車。
【請求項6】
物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車であり、
前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された前記トレイを支持する第1の支持手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する第2の支持手段と、
を有するトレイ搬送台車。
【請求項7】
前記接続検出手段が前記本体装置に接続したことを検出したときは、前記第1の支持手段および前記第2の支持手段は前記トレイの支持を開放する解放位置をとり、
前記接続検出手段が前記本体装置から離脱したことを検出したときは、前記第1の支持手段および前記第2の支持手段は前記トレイを支持する支持位置をとる請求項6記載のトレイ搬送台車。
【請求項8】
前記接続検出手段が前記本体装置から離脱していることを検出している場合にも、前記第1の支持手段は手動で前記解放位置をとることが可能である請求項7記載のトレー搬送台車。
【請求項9】
前記第1の支持手段は、積載された前記トレイの側面から前記トレイを支持するロッド部材からなる請求項8記載のトレイ搬送台車。
【請求項10】
前記第1の支持手段は、前記ロッド部材に加えて、前記ロッド部材を回転させる回転部材とからなり、
前記回転部材には、前記ロッド部材を回転させるために前記ロッド部材の端部が係合するU字溝が設けられているととともに、前記ロッド部材を手動で解放位置に位置させたときに前記ロッド部材の端部が係合するV字溝が設けられている請求項9記載のトレイ搬送台車。
【請求項11】
前記本体装置は、空のトレイを収容する未収納トレイユニットと、調剤指示に基づき、収納されている薬品を前記トレイに投入する薬品投入ユニットと、前記薬品が投入された前記トレイを収容する収納済トレイユニットとを有する薬品自動払出装置であり、
前記接続検出手段は、前記未収納トレイユニット、または前記収納済トレイユニットとの接続を検出する請求項1または6記載のトレイ搬送台車。
【請求項12】
物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車に設けられるトレイ落下防止装置であり、
前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する支持手段と、
を有するトレイ落下防止装置。
【請求項13】
物品を乗せるためのトレイを積載して搬送するとともに、本体装置へ前記トレイを供給しあるいは前記本体装置から前記トレーを受け取るトレイ搬送台車に設けられるトレイ落下防止装置であり、
前記本体装置に接続したことを検出する接続検出手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された前記トレイを支持する第1の支持手段と、
前記接続検出手段の検出結果に基づき、積載された最下段の前記トレイを支持する第2の支持手段と、
を有するトレイ落下防止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−246281(P2011−246281A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99357(P2011−99357)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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