説明

ドア開閉アシスト装置

【課題】簡易な構成で、車両ドアを任意の開閉位置で保持することができ、且つ、相対的に小さな力で開閉作動させることができるドア開閉アシスト装置を提供する。
【解決手段】車両ボディに回動自在に連結されたシリンダ11と、バックドアに回動自在に連結され該バックドアの開閉作動に伴いシリンダ11を摺動する摺動部材12と、シリンダ11に収容されたコイルばね13と、シリンダ11に収容されコイルばね13に付勢されて摺動部材12に当接するとともに、振動に伴いシリンダ11及び摺動部材12間の摩擦力を減少させる圧電体14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア開閉アシスト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドア開閉アシスト装置として種々のものが提案されている(例えば特許文献1、2など)。これらのドア開閉アシスト装置では、車両ボディの後部に形成された開口部の上部に回動自在に支持された車両ドアとしてのバックドアの押し上げを、これを支持するガスステーのガス反力によってアシストしている。
【0003】
また、車両ボディの後部には、バックドアに連係されたアクチュエータが設置されており、該アクチュエータの駆動によって車両ボディに支持されたバックドアを開閉駆動している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3795325号公報
【特許文献2】特許第4149828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1、2では、バックドアの開閉駆動用のアクチュエータと、アシスト用のガスステーとの組み合せが必須となっており、部品点数の増加及び配置自由度の低下を余儀なくされている。
【0006】
本発明の目的は、簡易な構成で、車両ドアを任意の開閉位置で保持することができ、且つ、相対的に小さな力で開閉作動させることができるドア開閉アシスト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両ボディ及び車両ドアのいずれか一方に回動自在に連結されたシリンダと、前記車両ボディ及び前記車両ドアのいずれか他方に回動自在に連結され、該車両ドアの開閉作動に伴い前記シリンダを摺動する摺動部材と、前記シリンダに収容された付勢部材と、前記シリンダに収容され、前記付勢部材に付勢されて前記摺動部材に当接するとともに、振動に伴い前記シリンダ及び前記摺動部材間の摩擦力を減少させる圧電体とを備えたことを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、前記車両ドアの開閉作動に伴い前記シリンダを摺動する前記摺動部材には、前記付勢部材に付勢される前記圧電体が当接する。そして、前記車両ドアが任意の開閉位置にあるとき、前記圧電体が振動していなければ、前記シリンダ及び前記摺動部材間の摩擦力が減少されることなく大きく確保されることで、例えば当該摩擦力が前記車両ドアの自重等を支え得る十分な大きさであれば、当該開閉位置で前記車両ドアを保持することができる。一方、前記圧電体が振動していれば、前記シリンダ及び前記摺動部材間の摩擦力が減少され、且つ、前記摺動部材が前記圧電体を介して前記付勢部材に付勢されることで、相対的に小さな力で前記車両ドアの開作動又は閉作動が可能となる。このように、前記圧電体の振動・非振動を切り替えるのみの極めて簡易な構成で、前記車両ドアの開作動又は閉作動をアシストするとともに、任意の開閉位置で前記車両ドアを保持することができる。特に、従来のガスステー構造に類似する前記シリンダ及び前記摺動部材等で構成され、その配置変更のための制約が僅少又は皆無であるため、搭載性にも優れている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のドア開閉アシスト装置において、前記車両ドアが開閉作動する際の加速度を検出する検出手段と、前記検出された加速度に基づいて、前記圧電体の振動を開始又は停止する振動制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、例えば前記車両ドアの開閉作動の開始に伴う前記加速度の変化が前記検出手段により検出された際に、前記振動制御手段により前記圧電体の振動を開始することで、前記シリンダ及び前記摺動部材間の摩擦力を自動的に減少させることができる。また、前記車両ドアの開閉作動の停止に伴う前記加速度の変化が前記検出手段により検出された際に、前記振動制御手段により前記圧電体の振動を停止することで、前記シリンダ及び前記摺動部材間の摩擦力を自動的に増加させることができる。従って、前記圧電体の振動を開始又は停止させるための操作手段(操作スイッチなど)を割愛することができ、部品点数を削減することができる。また、前記車両ドアの開閉作動の開始又は停止のために前記した操作手段を操作する煩わしさを解消することができ、操作性を向上することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のドア開閉アシスト装置において、前記摺動部材の振動又は作動音を検出する検出手段と、前記検出された前記摺動部材の振動又は作動音に基づいて、前記圧電体の振動を開始又は停止する振動制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、例えば前記車両ドアの開閉作動の開始に伴う前記摺動部材の振動又は作動音(例えば摩擦音)の発生が前記検出手段により検出された際に、前記振動制御手段により前記圧電体の振動を開始することで、前記シリンダ及び前記摺動部材間の摩擦力を自動的に減少させることができる。また、前記車両ドアの開閉作動の停止に伴う前記摺動部材の振動又は作動音の消滅が前記検出手段により検出された際に、前記振動制御手段により前記圧電体の振動を停止することで、前記シリンダ及び前記摺動部材間の摩擦力を自動的に増加させることができる。従って、前記圧電体の振動を開始又は停止させるための操作手段(操作スイッチなど)を割愛することができ、部品点数を削減することができる。また、前記車両ドアの開閉作動の開始又は停止のために前記した操作手段を操作する煩わしさを解消することができ、操作性を向上することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のドア開閉アシスト装置において、前記圧電体の振動周波数を、前記検出された加速度に基づいて変更制御する周波数変更制御手段を備えたことを要旨とする。
【0014】
前記摩擦力は、前記圧電体の振動周波数が大きいほど減少して、前記車両ドアの開閉作動のために要する力を小さくできることが確認されている。同構成によれば、例えば前記車両ドアが開閉作動する際の加速度が小さいほど、前記周波数変更制御手段により前記振動周波数を大きくすることで、前記車両ドアを速やかに開閉作動させることができる。反対に、前記車両ドアが開閉作動する際の加速度が大きいほど、前記周波数変更制御手段により前記振動周波数を小さくすることで、前記車両ドアの急激な開閉作動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、簡易な構成で、車両ドアを任意の開閉位置で保持することができ、且つ、相対的に小さな力で開閉作動させることができるドア開閉アシスト装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明が適用される車両の後部を示す側面図。
【図2】本発明の一実施形態を概略的に示す断面図。
【図3】振動周波数と摩擦力との関係を示すグラフ。
【図4】同実施形態の電気的構成を示すブロック図。
【図5】加速度検出に係る検出周波数の特性を示す説明図。
【図6】同実施形態の駆動制御等の推移を示すフローチャート。
【図7】本発明の変形形態の駆動制御等の推移を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両ボディ2の後部には、その上部に設けられたドアヒンジ2aを介して車両ドアとしてのバックドア3が開閉自在に取着されている。そして、車両ボディ2及びバックドア3には、車両高さ方向に延在するドア開閉アシスト装置10が連結されている。このドア開閉アシスト装置10を構成する略有底円筒状のシリンダ11は、車両ボディ2にボール状の固定素子11aにより回転自在に連結されるとともに、シリンダ11内に摺動自在に装着された摺動部材12は、バックドア3にボール状の固定素子12aにより回転自在に連結されている。従って、バックドア3の開閉作動に伴い、シリンダ11及び摺動部材12(固定素子11a,12a)間の距離が伸長すると、シリンダ11内を摺動部材12が摺動する。
【0018】
図2に示すように、シリンダ11内には、その底面に一端が固定された付勢部材としてのコイルばね13が収容されるとともに、該コイルばね13の他端に固定された圧電体14が収容されている。一方、摺動部材12は、シリンダ11内に遊挿される連結ロッド21を有するとともに、該連結ロッド21の先端部に固着され圧電体14に当接する摺動体22を有する。なお、摺動体22は、波打った板ばねで構成されており、シリンダ11の内周面に摺接する。シリンダ11及び摺動体22間の摩擦力は、通常はバックドア3の任意の開閉位置で、その自重等を支え得る十分な大きさに設定されている。
【0019】
ここで、コイルばね13は、圧電体14を介して摺動体22(摺動部材12)に対し、シリンダ11及び摺動部材12(固定素子11a,12a)間の距離が伸長する側の付勢力を付与する。一方、圧電体14は、例えばマイコンを主体に構成された制御回路15と電気的に接続されており、該制御回路15により駆動制御されることでシリンダ11の軸線方向に振動する。この圧電体14は、振動に伴い、シリンダ11及び摺動体22間の摩擦力を減少させる。
【0020】
従って、バックドア3が任意の開閉位置にあるとき、圧電体14が振動していなければ、シリンダ11及び摺動体22(摺動部材12)間の摩擦力が減少されることなく大きく確保されることで、当該開閉位置でバックドア3が保持される。一方、圧電体14が振動していれば、シリンダ11及び摺動体22間の摩擦力が減少されることで、相対的に小さな力でバックドア3の開閉作動が可能となる。特に、バックドア3の開作動又は閉作動がコイルばね13に付勢(アシスト)される場合には、更に小さな力で当該作動が可能となる。
【0021】
次に、圧電体14の振動周波数fと、シリンダ11及び摺動体22間の摩擦力Fとの関係について説明する。図3から明らかなように、摩擦力Fは、振動周波数fが大きいほど減少することが、即ちバックドア3が開閉しやすくなることが確認される。本実施形態では、振動周波数fとして、可聴域から外れる超音波の周波数が採用されている。
【0022】
次に、本実施形態の電気的構成について説明する。図4に示すように、圧電体14は、パルス発生回路16を介して前記制御回路15に電気的に接続されており、該制御回路15により所定の振動周波数fで振動駆動される。なお、制御回路15は、電源回路17を介して車載電源(例えば12V)BATに電気的に接続されており、該車載電源BATにより電源供給されている。
【0023】
また、圧電体14は、例えば積分回路からなる加速度検出回路41を介して制御回路15に電気的に接続されている。制御回路15は、圧電体14で発生する電気信号を加速度検出回路41を介して入力し、これに基づき開閉作動するバックドア3の加速度を検出する(検出手段)。
【0024】
すなわち、加速度検出回路41は、圧電体14で発生する電気信号を平滑化するためのもので、これにより当該電気信号に含まれる圧電体14の駆動信号成分(振動周波数成分)が除去される。一方、摺動体22は、バックドア3の開閉作動時の状態に応じて特徴的な振動を発するように圧電体14に連係されている。そして、圧電体14で発生する電気信号には、図5に示すように、振動周波数fに一致する検出周波数f1よりも低い、バックドア3の開閉作動の加速度に相関する検出周波数f2の成分が含まれる。検出周波数f2は、基本的にバックドア3の加速度が大きいほど高くなるように設定されている。換言すれば、検出周波数f2が十分に低くなれば、バックドア3の加速度が零で該バックドア3が停止状態にあると見なせる。また、検出周波数f2が高くなれば、バックドア3の加速度が増加して該バックドア3が開閉作動を開始したと見なせる。本実施形態では、この検出周波数f2を利用して、バックドア3の開閉操作の意思を検出している。
【0025】
次に、圧電体14の駆動制御等の推移について説明する。図6に示すように、S(ステップ)1において、利用者によりバックドア3の全閉状態でロックが外され、あるいは手動でバックドア3が開閉操作されて、バックドア3の開閉作動の加速度が検出されると(S2)、制御回路15は圧電体14を振動させる(S3:振動制御手段)。これに伴い、利用者は、前記摩擦力Fが減少することで操作の軽くなったバックドア3を自由に開閉し(S4)、所要の開閉位置でバックドア3を停止させる(S5)。
【0026】
この停止位置で、バックドア3の開閉作動の加速度が検出されなくなると、即ちバックドア3の開閉作動の加速度が零になる又は零である状態が一致時間継続すると(S6)、制御回路15は圧電体14の振動を停止させる(S7:振動制御手段)。これにより、前記摩擦力Fが増加することで、バックドア3が当該位置で保持・半固定される。そして、次回のバックドア3等の操作に伴う加速度が検出されるまで(S1,S2)、バックドア3の保持状態が継続される。
【0027】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、バックドア3の開閉作動に伴いシリンダ11を摺動する摺動部材12には、コイルばね13に付勢される圧電体14が当接する。そして、バックドア3が任意の開閉位置にあるとき、圧電体14が振動していなければ、シリンダ11及び摺動部材12間の摩擦力が減少されることなく大きく確保されることで、当該開閉位置でバックドア3を保持することができる。一方、圧電体14が振動していれば、シリンダ11及び摺動部材12間の摩擦力が減少され、且つ、摺動部材12が圧電体14を介してコイルばね13に付勢されることで、相対的に小さな力でバックドア3の開作動又は閉作動が可能となる。このように、圧電体14の振動・非振動を切り替えるのみの極めて簡易な構成で、バックドア3の開作動又は閉作動をアシストするとともに、任意の開閉位置でバックドア3を保持することができる。特に、従来のガスステー構造に類似するシリンダ11及び摺動部材12等で構成され、その配置変更のための制約が僅少又は皆無であるため、搭載性及び意匠性にも優れている。
【0028】
(2)本実施形態では、バックドア3の開閉作動の開始に伴う加速度の変化が検出された際に、圧電体14の振動を開始することで、シリンダ11及び摺動部材12間の摩擦力を自動的に減少させることができる。また、バックドア3の開閉作動の停止に伴う加速度の変化が検出された際に、圧電体14の振動を停止することで、シリンダ11及び摺動部材12間の摩擦力を自動的に増加させることができる。従って、圧電体14の振動を開始又は停止させるための操作手段(操作スイッチなど)を割愛することができ、部品点数を削減することができる。また、バックドア3の開閉作動の開始又は停止のために前記した操作手段を操作する煩わしさを解消することができ、操作性を向上することができる。
【0029】
(3)本実施形態では、圧電体14の振動の開始等に係る加速度の検出手段として、摩擦制御に係る圧電体14を兼用することができ、例えば専用の加速度センサを別設して前記加速度を検出する場合に比べて部品点数及びコストを削減することができる。
【0030】
(4)本実施形態では、バックドア3を任意の開閉位置で保持できるため、例えば女性などの背の低い人の利便性を向上できる。
(5)本実施形態では、圧電体14を超音波で駆動することで、静音化を図ることができる。
【0031】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図7に示したように、バックドア3の開閉作動時の加速度に応じて制御回路15により圧電体14の振動周波数fを変更制御してもよい(周波数変更制御手段)。これは、振動周波数fが大きいほど摩擦力が減少する特性(図3参照)を利用して、バックドア3の開閉作動時の加速度に応じてバックドア3の動きやすさを変更するためである。
【0032】
すなわち、バックドア3の全閉位置(S31)において、該バックドア3の開閉作動時の加速度が検出されると(S32)、制御回路15は圧電体14の振動を開始する(S33)。この段階、即ちバックドア3の開け始めでは、外側の安全確保ができていない可能性があるので、該バックドア3を重くしてゆっくりと開けるべく、小さい振動周波数fで圧電体14を振動させる。
【0033】
そして、その後のバックドア3の開閉作動において加速度が大きい場合には、安全確保ができていない可能性があるので、該バックドア3を重くしてゆっくりと開けるべく、小さい振動周波数fで圧電体14を振動させる(S34)。一方、バックドア3の開閉作動において加速度が小さい場合には、安全確保ができていると見なせるので、該バックドア3を軽くして普通に開けるべく、大きい振動周波数fで圧電体14を振動させる(S35)。バックドア3の全開位置(S36)まで、この加速度に応じた振動周波数fの変更制御を継続する。
【0034】
このように、バックドア3が開閉作動する際の加速度が小さいほど、制御回路15により振動周波数fを大きくすることで、バックドア3を速やかに開閉作動させることができる。反対に、バックドア3が開閉作動する際の加速度が大きいほど、制御回路15により振動周波数fを小さくすることで、バックドア3の急激な開閉作動を抑制することができる。
【0035】
・前記実施形態において、バックドア3の開閉位置を検出できる場合、該開閉位置に応じて制御回路15により圧電体14の振動周波数fを変更制御してもよい。なお、バックドア3の開閉位置は、圧電体14の検出周波数(f2)に基づく加速度から求めてもよいし、別設の位置センサ、速度センサ又は加速度センサから求めてもよい。
【0036】
そして、例えばバックドア3が全開位置又は全閉位置近傍にあるとき、即ち該バックドア3の周囲環境に注意を要する状況下で、バックドア3を重くすべく振動周波数fを小さくすることで、該バックドア3の急激な開閉作動を抑制することができる。一方、バックドア3の開閉位置が乗降に適した所定範囲にあるとき、即ち外側の安全確保ができていると見なせる状況下で、バックドア3を軽くして普通に開けるべく振動周波数fを大きくすることで、該バックドア3を速やかに開閉作動させることができる。
【0037】
・前記実施形態において、圧電体14の駆動制御等の推移における、その振動を開始する条件(S1)として、バックドア3の開閉作動の加速度を積分したバックドア3の速度の検出を利用してもよい。また、圧電体14の駆動制御等の推移における、その振動を停止する条件(S6)として、バックドア3の開閉作動の加速度を積分したバックドア3の速度が零であること(又は零である状態が一致時間継続すること)を利用してもよい。
【0038】
いずれにせよ、バックドア3の開閉作動の速度の検出に圧電体14を流用することで、例えば専用の速度センサ又は加速度センサを別設する場合に比べて部品点数を削減することができる。
【0039】
・前記実施形態において、圧電体14で発生する電気信号に基づいて、バックドア3の開閉作動時の摺動部材12の振動又は作動音(例えば摩擦音)を検出する場合(検出手段)、圧電体14の駆動制御等の推移における、その振動を開始する条件(S1)又は停止する条件(S6)として、前述の振動又は作動音を利用してもよい。この構成によれば、例えばバックドア3の開閉作動の開始に伴う摺動部材12の振動又は作動音の発生が検出された際に、圧電体14の振動を開始することで(振動制御手段)、シリンダ11及び摺動部材12間の摩擦力を自動的に減少させることができる。また、バックドア3の開閉作動の停止に伴う摺動部材12の振動又は作動音の消滅が検出された際に、圧電体14の振動を停止することで(振動制御手段)、シリンダ11及び摺動部材12間の摩擦力を自動的に増加させることができる。従って、圧電体14の振動を開始又は停止させるための操作手段(操作スイッチなど)を割愛することができ、部品点数を削減することができる。また、バックドア3の開閉作動の開始又は停止のために前記した操作手段を操作する煩わしさを解消することができ、操作性を向上することができる。
【0040】
・前記実施形態において、バックドア3の開閉操作の意思を、例えばドアハンドルに設けられたドアハンドルスイッチや、別設の専用スイッチで検出してもよい。この場合、ドアハンドルスイッチ等の操作に伴うオン・オフの切り替わりが検出されることで、圧電体14の振動を開始し、あるいは圧電体14の振動を停止する。つまり、圧電体14の駆動制御等の推移における、その振動を開始する条件(S1)又は停止する条件(S6)として、ドアハンドルスイッチ等のオン・オフの切り替わりを利用してもよい。
【0041】
・前記実施形態において、バックドア3の開閉作動時の加速度は、別設の加速度センサから求めてもよい。
・前記実施形態において、弾性部材としてゴムや板ばねを採用してもよい。
【0042】
・前記実施形態において、シリンダ11及び摺動部材12と、各々の取着される車両ボディ2及びバックドア3の関係は逆であってもよい。
・前記実施形態において、半ドア状態にあるバックドア3を電動で全閉状態まで閉作動させるドアクローザ装置を備えていてもよい。
【0043】
・本発明は、車両ボディ2の側部に支持されたいわゆるガルウィングドアやスイングドアなどに適用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0044】
(イ)請求項2又は4に記載のドア開閉アシスト装置において、
前記検出手段は、前記車両ドアが開閉作動する際の前記圧電体の振動に基づいて前記加速度を検出することを特徴とするドア開閉アシスト装置。同構成によれば、前記検出手段として前記圧電体を兼用することができ、例えば専用の加速度センサを別設して前記加速度を検出する場合に比べて部品点数を削減することができる。
【符号の説明】
【0045】
2…車両ボディ、3…バックドア(車両ドア)、10…ドア開閉アシスト装置、11…シリンダ、12…摺動部材、13…コイルばね(付勢部材)、14…圧電体(検出手段)、15…制御回路(振動制御手段、周波数変更制御手段、検出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ボディ及び車両ドアのいずれか一方に回動自在に連結されたシリンダと、
前記車両ボディ及び前記車両ドアのいずれか他方に回動自在に連結され、該車両ドアの開閉作動に伴い前記シリンダを摺動する摺動部材と、
前記シリンダに収容された付勢部材と、
前記シリンダに収容され、前記付勢部材に付勢されて前記摺動部材に当接するとともに、振動に伴い前記シリンダ及び前記摺動部材間の摩擦力を減少させる圧電体とを備えたことを特徴とするドア開閉アシスト装置。
【請求項2】
請求項1に記載のドア開閉アシスト装置において、
前記車両ドアが開閉作動する際の加速度を検出する検出手段と、
前記検出された加速度に基づいて、前記圧電体の振動を開始又は停止する振動制御手段とを備えたことを特徴とするドア開閉アシスト装置。
【請求項3】
請求項1に記載のドア開閉アシスト装置において、
前記摺動部材の振動又は作動音を検出する検出手段と、
前記検出された前記摺動部材の振動又は作動音に基づいて、前記圧電体の振動を開始又は停止する振動制御手段とを備えたことを特徴とするドア開閉アシスト装置。
【請求項4】
請求項2に記載のドア開閉アシスト装置において、
前記圧電体の振動周波数を、前記検出された加速度に基づいて変更制御する周波数変更制御手段を備えたことを特徴とするドア開閉アシスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−87478(P2012−87478A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232798(P2010−232798)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】