ドット解析装置、ドット解析方法、プログラム、及び記憶媒体
【課題】被評価画像のドット特徴量とドット位置ずれを画像ノイズの影響を受けずに、また、一段と正確に安定して検出することができるドット解析手法・装置を新たに提案する。
【解決手段】被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取る画像入力手段と、物理量分布データから各ドットの重心位置を算出するドット位置算出手段と、ドット位置算出手段により算出された各ドットの重心位置を中心にしてマスクを設定するマスク設定手段と、マスク内の画像データに基づき各ドットの特徴量を算出するドット特徴量算出手段とを有し、ドット位置算出手段は、画像入力手段によって読み取られた2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出する。
【解決手段】被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取る画像入力手段と、物理量分布データから各ドットの重心位置を算出するドット位置算出手段と、ドット位置算出手段により算出された各ドットの重心位置を中心にしてマスクを設定するマスク設定手段と、マスク内の画像データに基づき各ドットの特徴量を算出するドット特徴量算出手段とを有し、ドット位置算出手段は、画像入力手段によって読み取られた2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式やインクジェット方式などの各種画像形成装置で形成された画像やCCDカメラで取り込まれた画像のドットの特徴量やドットの位置ずれを検出するドット解析装置、ドット解析方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真方式やインクジェット方式などの画像形成装置から出力される画像はその最小構成要因であるドットにより構成され、ドットサイズのばらつきや変動、ドット位置ずれなどのドット品質が、画像の粒状感(ざらつき感)や濃度むらなど画質劣化を引き起こす大きな要因となっている。そのなかでドット品質は出力画像の粒状感(ざらつき感)や濃度むらなどの画像品質と相関が高い。このドット品質を評価するドット解析法としては、例えば特許文献1に開示されている様に所定の閾値で被評価画像全体を二値化して、二値化後のデータからドットサイズやドット位置ずれを解析するのが一般的な方法である。
【0003】
特許文献2に開示の技術は、周期的にドットが配列された画像パターンからなる被評価画像を読み取り、予測される各ドットのドット位置を中心としてドットの配列周期より小さなマスクを各ドットに対して設定しその範囲内で評価する事によりノイズの影響を低減して被評価画像のドット特徴量とドット位置ずれ(ドット品質)を正確に評価可能とするものである。
【特許文献1】特開平9−9088号公報
【特許文献2】特開2001−291107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、印刷のような二値的な表現では記載の方法でドット解析を行う事が可能であるが、通常の画像出力機では通常二値的なドットではなく、この様な方法では正確なドット解析を行うことは難しい。また、二値化せずに濃度、反射率、明度等の物理量分布を用いた場合でも被評価画像に含まれるノイズや被評価画像を読み取る画像入力装置のノイズによりドット特徴量を正確に検出することは困難であり、特に電子写真方式による画像出力機の出力画像ではトナーのちりの影響が顕著となる。
【0005】
また、特許文献2に記載の技術では、記録紙などの記録媒体の膨張収縮や画像形成装置の倍率誤差やスキューと画像入力装置の倍率誤差や被評価画像の配置角度誤差などが大きい場合は、各ドットが打たれるべき予測位置と実際のドット位置のずれが許容範囲を超えてしまい、正確なドット検出を行うことが困難になる慮が皆無とは言えなかった。
【0006】
そこで、本発明は上記実情を考慮してなされたものであり、被評価画像のドット特徴量とドット位置ずれを画像ノイズの影響を受けずに、また、一段と正確に安定して検出することができるドット解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のドット解析装置は、被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取る画像入力手段と、読み取った物理量分布データから各ドットの重心位置を算出するドット位置算出手段と、ドット位置算出手段により算出された各ドットの重心位置を中心にして被評価画像のドット配列周期よりも小さなサイズのマスクを設定するマスク設定手段と、各ドットのマスク設定手段により設定されたマスク内の画像データに基づきドットの特徴量を算出するドット特徴量算出手段とを有するドット解析装置において、ドット位置算出手段は、画像入力手段によって読み取られた2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出することを特徴とする。
【0008】
また、前記ドット解析装置において、ドット特徴量算出手段は、各マスク内の物理量分布データの縦方向と横方向の1次元データの最大値と最小値に基づき設定した閾値により各ドットのドット径を算出し、各マスク内の物理量分布データの最大値と最小値から各ドットのドット強度とドット面積を算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のドット解析方法は、被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取るステップと、読み取った物理量分布データから各ドットの重心位置を算出するステップと、算出された各ドットの重心位置を中心にして被評価画像のドット配列周期よりも小さなサイズのマスクを設定するステップと、設定されたマスク内の画像データに基づきドットの特徴量を算出するステップとを有するドット解析方法において、ドットの重心位置を求める時、読み取られた2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出することを特徴とする。
【0010】
また、前記ドット解析方法において、ドットの特徴量を算出するとき、各マスク内の物理量分布データの縦方向と横方向の1次元データの最大値と最小値に基づき設定した閾値により各ドットのドット径を算出し、各マスク内の物理量分布データの最大値と最小値から各ドットのドット強度とドット面積を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被評価画像のドット特徴量とドット位置ずれを画像ノイズの影響を受けずに、また、一段と正確に安定して検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。この発明のドット解析装置は、装置全体の動作を管理するCPUと、CCDカメラやスキャナ,走査型ミクロ濃度計などで構成され、周期的に配列したドットが形成された画像パターンからなる被評価画像を2次元の物理量分布データとして読み取る画像入力部と、CPUのワークメモリとして使用するとともに入力した画像パターンや物理量分布データを格納し、解析した結果を格納するメモリと、表示部と、解析した結果をプリンタ等に出力する出力部と、マスク設定部とドット位置算出部及びドット特徴量検出部を有する。
【0013】
このドット解析装置で被評価画像のドットの特徴量を検出するとき、画像入力部で被評価画像の画像パターンを濃淡情報を表す2次元の物理量分布データとして読み取り、読み取った物理量分布データをメモリに格納する。読み取った物理量分布データがメモリに格納されるとドット位置算出部は、メモリに格納された物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出する。ドット位置算出部は各ドットの重心位置を算出すると、マスク設定部は算出した各ドットの重心位置を中心にして、ドット配列周期より小さなマスクを設定する。ドッド特徴量検出部は各ドット毎にマスクで範囲が設定された物理量分布データからドット特徴量を検出する。
【0014】
(実施形態)
図1はこの発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。図に示すように、ドット解析装置1は、装置全体の動作を管理するCPU2と、CCDカメラやスキャナ,走査型ミクロ濃度計などで構成され、周期的に配列したドットが形成された画像パターンからなる被評価画像を2次元の物理量分布データとして読み取る画像入力部3と、CPU2のワークメモリとして使用するとともに入力した画像パターンや物理量分布データを格納し、解析した結果を格納するメモリ4と、表示部5と、解析した結果をプリンタ等に出力する出力部6と、マスク設定部7とドット位置算出部8及びドット特徴量検出部9を有する。
【0015】
マスク設定部7は読み取られた物理量分布データの各ドットに対してドット配列周期より小さなマスクを設定する。ドット位置算出部8は読み取られた物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出する。ドット特徴量検出部9は各ドットの画像データに基づきドットの特徴量を検出するものであり、ドット平均分布算出部10とx方向ドット径算出部11とy方向ドット径算出部12とドット強度算出部13及びドット面積算出部14を有する。
【0016】
上記のように構成されたドット解析装置1で被評価画像のドットの特徴量を検出するときの処理を図2のフローチャートを参照して説明する。
【0017】
画像入力部3で被評価画像の画像パターンを濃淡情報を表す2次元の物理量分布データとして読み取り、読み取った物理量分布データをメモリ4に格納する(ステップS1)。この物理量分布データは電子化されたデータであり、反射率や濃度,明度などに変換されたデータでも良く、また、変換前のデータでも良い。この画像入力部3により読み取られる被評価画像は、例えば図3(a)〜(e)に模式的に示すように周期的に配列したドットが形成された画像パターン21からなる。この画像パターン21を形成するドット22は(1×1)ドットとは限らず、多値データを含むドットでも良く、また、その配列方向は縦/横方向に平行である必要もない。さらに、各ドット22は(1×1)などの同一サイズに統一されている必要もない。
【0018】
読み取った物理量分布データがメモリ4に格納されるとドット位置算出部8はメモリ4に格納された物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出する(ステップS2)。
【0019】
ちなみに、各ドットの重心位置を求めるための処理として、従来は特許文献2においても開示されているように、ドット位置算出部によって例えば図4に示すように、各ドット22が1個ずつ含まれるように物理量分布データを領域(エリア)に分割し、各分割領域での物理量分布データの重心位置23を計算したり、あるいは例えば図5に示す入力された物理量分布データ24を2値化し、図6に示すように、2値化後の各ドット22の幾何学的重心位置を算出することにより各ドット22の概略のドット位置25を算出したりしていた。
【0020】
本実施形態では、ドット位置算出部8で、画像出力装置の記録密度と画像入力装置の読み取り解像度から得られる計算上のドット配列周期が、記録紙の膨張収縮、画像形成装置および画像入力装置の倍率誤差やスキューなどにより誤差を生じないように、メモリ4に格納された物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から正確なドット配列周期とドット配列角度を算出している。例えば図5に示すような物理量分布データを離散フーリエ変換などを用いて二次元の周波数スペクトルを算出すると図7に示したような複数のピークを生じる。これらのピークの内最も原点(中心)に近い横軸近傍のピークp1と縦軸近傍のピークp2が、それぞれx方向、y方向のドット配列周期に対応している。
【0021】
より正確には、ピークp1の周波数空間における座標(fx1,fy1)とピークp2の周波数空間における座標(fx2,fy2)から図5の横方向のドット配列方向はx軸方向から微少角度tan(fy1/fx1)[ラジアン]だけずれており、その方向におけるドット配列周期は1/√(fx1^2+fy1^2)であることが判る。まったく同様に、図5の縦方向のドット配列方向はy軸方向から微少角度-tan(fx2/fy2)[ラジアン]だけずれており、その方向におけるドット配列周期は1/√(fx2^2+fy2^2)であることが判る。これらの情報に基づいて各ドットに対応したエリアを正確に設定するようにしているために各ドット22の幾何学的重心位置を正確に算出することが可能となる。
【0022】
以降の、ドット特徴量を検出する過程は、特許文献2と同様で、良い。ドット位置算出部8で各ドット22の重心位置23を算出すると、マスク設定部7は算出した各ドット22の重心位置23を中心にして、図8に示すように、ドット配列周期より小さなマスク27を設定する(ステップS3)。ドッド特徴量検出部9は各ドット22毎にマスク27で範囲が設定された物理量分布データからドット特徴量を検出する(ステップS4)。この際のドッド特徴量検出部9でドット特徴量を検出する処理を、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0023】
ドット特徴量検出部9に各ドット22毎にマスク27で範囲が設定された物理量分布データが入力すると、まず、ドット平均分布算出部10で各マスク27内の同一アドレスの値を平均化し(ステップS11)、ドット22の平均物理量分布が算出する(ステップS12)。また、x方向ドット径算出部11は各マスク27の物理量分布データをy方向に平均化してx方向の1次元分布データとし(ステップS13)、x方向の1次元分布データの最大値と最小値で閾値を設定し(ステップS14)、x方向の1次元分布データを設定した閾値で2値化してx方向のドット径を算出する(ステップS15)。同様にy方向ドット径算出部12は各マスク27の物理量分布データをx方向に平均化してy方向の1次元分布データとし(ステップS16)、y方向の1次元分布データの最大値と最小値で閾値を設定し(ステップS17)、y方向の1次元分布データを設定した閾値で2値化してx方向のドット径を算出する(ステップS18)。
【0024】
このドット径を算出するときの処理を図10を参照して説明する。図10は(i,j)番目のドット22の物理量分布31と、物理量分布31をy方向に平均化したx方向の1次元データの分布32と、物理量分布31をx方向に平均化したy方向の1次元データの分布33を示す。物理量分布31をy方向とx方向に平均化することにより、平均化後の1次元データは比較的滑らかな分布32、33を得ることができる。
【0025】
このx方向の1次元データの最大値(dxmax)ijと最小値(dxmin)ijを各ドット毎に検出し、最大値(dxmax)ijと最小値(dxmin)ijの間に閾値(thx)ijを下記(1)式で設定する。
(thx)ij=k・(dxmax)ij+(1-k)・(dxmin)ij、0.0<k<1.0 (1)
【0026】
同様にy方向の1次元データの最大値(dymax)ijと最小値(dymin)ijを各ドット毎に検出し、これらの間に閾値(thy)ijを下記(2)式で設定する。
(thy)ij=k・(dymax)ij+(1-k)・(dymin)ij、0.0<k<1.0 (2)
【0027】
このようにして設定した閾値(thx)ij,(thy)ijにより1次元データの幅(wx)ij,(wy)ijを算出し、算出した幅(wx)ijをx方向のドット径とし、幅(wy)ijをy方向のドット径とする。このように平均化処理により1次元化してドット径を算出することにより、ドットの中心を通る断面分布などによりドット径を算出する方法と比べて極めて安定したドット径を得ることができる。また、各マスク27内の1次元データの最大値と最小値とから算出した値で閾値を設定しているから、画像取り込み時の光量ムラなどの影響を受けないですむ。
【0028】
更に、ドット強度算出部13は、各マスク27内の物理量分布データの最大値(dmax)ijと最小値(dmin)ijを算出し(ステップS19)、最大値(dmax)ijと最小値(dmin)ijの差からドット強度(dpp)ijを算出する(ステップS20)。さらにドット面積算出部14はドット強度算出部13で算出した各マスク27内の物理量分布データの最大値(dmax)ijと最小値(dmin)ijから各マスク27毎に閾値を算出し(ステップS21)、算出した閾値により物理量分布データを2値化してドット面積を算出する(ステップS22)。
【0029】
このドット面積を算出する第1の方法は各マスク27の物理量分布データの最大値(dmax)ijと最小値(dmin)ijとから閾値(th1)ijを下記(3)式で設定する。
(th1)ij=k・(dmax)ij+(1-k)・(dmin)ij、0.0<k<1.0 (3)
【0030】
そして設定した閾値(th1)ijにより物理量分布データを2値化してドット面積(S1)ijを算出する。第2の方法は、各マスク27の物理量分布データの地肌部(非画像部)のデータ値の最大値(d2max)ijと最小値(d2min)ijのいずれかを用いて、各マスク27毎にシェーディング補正を施した閾値(th2)ijを設定する。例えば物理量が反射率の場合には、下記(4)式を用いて閾値(th2)ijを設定する。
(th2)ij=th0 /(d2max)ij、ここでth0は定数 (4)
【0031】
そして設定した閾値(th2)ijにより物理量分布データを2値化してドット面積(S1)ijを算出する。
【0032】
これらの方法によれば、画像取り込み時の光量ムラなどの影響を受ずにドット面積を安定して算出することができる。なお、画像内で一定の閾値th3を用いてドット面積を算出しても良い。
【0033】
このようにしてドッド特徴量検出部9において非画像部(地肌部)のノイズによる影響を低減した正確なドット特徴量を検出して表示部5に表示するとともに出力部6からプリンタ等に出力する。
【0034】
上記各実施形態においてはマスク設定部7とドット位置算出部8とドット特徴量検出部9を有するドット解析装置1やマスク設定部7とドット位置算出部8とドット特徴量検出部9とドット予測位置算出部15とドット位置ずれ算出部16を有するドット解析装置を使用して画像パターンのドットを解析した場合について説明したが、これに限らない。汎用のコンピュータ装置を用いても、同等処理を行わせることが可能である。すなわち、図11のブロック図に示すように、CPU55、RAM56、表示部57、キーボード58、マウス59、HDDインタフェース60、FDインタフェース61、プリンタ64等を有するコンピュータ53にデータ入力部63を介して画像入力装置54を接続し、前述した如きのドットの解析プログラム51をハードディスク等の外部記憶装置52に格納しておき、コンピュータ53が、外部記憶装置52に格納した解析プログラム51を読み込み、画像入力装置54から入力した画像パターンのドットを解析するようにしても良い。このようにドットの解析プログラム51をハードディスク等の外部記憶装置52に格納しておくことにより、コンピュータ53を使用して画像パターンのドットを容易に解析することができる。
【0035】
本発明の実施形態においては、以上説明したように、被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取り、読み取った物理量分布データから各ドットの重心位置を算出し、算出された各ドットの重心位置を中心にして被評価画像のドット配列周期よりも小さなサイズのマスクを設定し、設定されたマスク内の画像データに基づきドットの特徴量を算出するようにしたから、非画像部(地肌部)のノイズによる影響を低減した正確なドット特徴量を検出することができる。
【0036】
特に、各ドットの重心位置を算出する際には、画像入力手段によって読み取られた2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出しているから、正確なドット配列周期と配列角度に基づいて各ドットの重心位置を算出することができ、記録紙などの記録媒体の膨張収縮や画像形成装置の倍率誤差やスキューと画像入力装置の倍率誤差や被評価画像の配置角度誤差などの影響を受けにくくなる。
【0037】
付言すれば、特許文献2同様に、ドットの特徴量を算出するとき、各マスク内の物理量分布データの縦方向と横方向の1次元データの最大値と最小値に基づき設定した閾値により各ドットのドット径を算出し、各マスク内の物理量分布データの最大値と最小値から各ドットのドット強度とドット面積を算出しているので、非画像部(地肌部)のノイズによる影響を低減した正確なドット特徴量を検出することができるとともに、ドットの形状や濃度分布が複雑なドットに対してもドットの特徴量を精度良く検出することができる。また、CCDカメラのように光量ムラむらのある被評価画像についてもその影響を受けずに正確にドットの特徴量を検出することができている。
【0038】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態装置のドット解析処理を示すフローチャートである。
【図3】被評価画像の画像パターンを示す模式図である。
【図4】物理量分布データを分割した状態を示す模式図である。
【図5】入力された物理量分布データを示す配置図である。
【図6】2値化した物理量分布データの配置図である。
【図7】区画内での二次元周波数スペクトル算出結果の一例を示す図である。
【図8】各ドットにマスクを設定した状態を示す配置図である。
【図9】ドット特徴量を算出する処理を示すフローチャートである。
【図10】ドット物理量と1次元データの分布図である。
【図11】別な実施形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ドット解析装置
3 画像入力部
4 メモリ
7 マスク設定部
8 ドット位置算出部
9 ドット特徴量検出部
10 ドット平均分布算出部
11 x方向ドット径算出部
12 y方向ドット径算出部
13 ドット強度算出部
14 ドット面積算出部
15 ドット予測位置算出部
16 ドット位置ずれ算出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式やインクジェット方式などの各種画像形成装置で形成された画像やCCDカメラで取り込まれた画像のドットの特徴量やドットの位置ずれを検出するドット解析装置、ドット解析方法、プログラム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電子写真方式やインクジェット方式などの画像形成装置から出力される画像はその最小構成要因であるドットにより構成され、ドットサイズのばらつきや変動、ドット位置ずれなどのドット品質が、画像の粒状感(ざらつき感)や濃度むらなど画質劣化を引き起こす大きな要因となっている。そのなかでドット品質は出力画像の粒状感(ざらつき感)や濃度むらなどの画像品質と相関が高い。このドット品質を評価するドット解析法としては、例えば特許文献1に開示されている様に所定の閾値で被評価画像全体を二値化して、二値化後のデータからドットサイズやドット位置ずれを解析するのが一般的な方法である。
【0003】
特許文献2に開示の技術は、周期的にドットが配列された画像パターンからなる被評価画像を読み取り、予測される各ドットのドット位置を中心としてドットの配列周期より小さなマスクを各ドットに対して設定しその範囲内で評価する事によりノイズの影響を低減して被評価画像のドット特徴量とドット位置ずれ(ドット品質)を正確に評価可能とするものである。
【特許文献1】特開平9−9088号公報
【特許文献2】特開2001−291107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、印刷のような二値的な表現では記載の方法でドット解析を行う事が可能であるが、通常の画像出力機では通常二値的なドットではなく、この様な方法では正確なドット解析を行うことは難しい。また、二値化せずに濃度、反射率、明度等の物理量分布を用いた場合でも被評価画像に含まれるノイズや被評価画像を読み取る画像入力装置のノイズによりドット特徴量を正確に検出することは困難であり、特に電子写真方式による画像出力機の出力画像ではトナーのちりの影響が顕著となる。
【0005】
また、特許文献2に記載の技術では、記録紙などの記録媒体の膨張収縮や画像形成装置の倍率誤差やスキューと画像入力装置の倍率誤差や被評価画像の配置角度誤差などが大きい場合は、各ドットが打たれるべき予測位置と実際のドット位置のずれが許容範囲を超えてしまい、正確なドット検出を行うことが困難になる慮が皆無とは言えなかった。
【0006】
そこで、本発明は上記実情を考慮してなされたものであり、被評価画像のドット特徴量とドット位置ずれを画像ノイズの影響を受けずに、また、一段と正確に安定して検出することができるドット解析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のドット解析装置は、被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取る画像入力手段と、読み取った物理量分布データから各ドットの重心位置を算出するドット位置算出手段と、ドット位置算出手段により算出された各ドットの重心位置を中心にして被評価画像のドット配列周期よりも小さなサイズのマスクを設定するマスク設定手段と、各ドットのマスク設定手段により設定されたマスク内の画像データに基づきドットの特徴量を算出するドット特徴量算出手段とを有するドット解析装置において、ドット位置算出手段は、画像入力手段によって読み取られた2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出することを特徴とする。
【0008】
また、前記ドット解析装置において、ドット特徴量算出手段は、各マスク内の物理量分布データの縦方向と横方向の1次元データの最大値と最小値に基づき設定した閾値により各ドットのドット径を算出し、各マスク内の物理量分布データの最大値と最小値から各ドットのドット強度とドット面積を算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明のドット解析方法は、被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取るステップと、読み取った物理量分布データから各ドットの重心位置を算出するステップと、算出された各ドットの重心位置を中心にして被評価画像のドット配列周期よりも小さなサイズのマスクを設定するステップと、設定されたマスク内の画像データに基づきドットの特徴量を算出するステップとを有するドット解析方法において、ドットの重心位置を求める時、読み取られた2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出することを特徴とする。
【0010】
また、前記ドット解析方法において、ドットの特徴量を算出するとき、各マスク内の物理量分布データの縦方向と横方向の1次元データの最大値と最小値に基づき設定した閾値により各ドットのドット径を算出し、各マスク内の物理量分布データの最大値と最小値から各ドットのドット強度とドット面積を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被評価画像のドット特徴量とドット位置ずれを画像ノイズの影響を受けずに、また、一段と正確に安定して検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。この発明のドット解析装置は、装置全体の動作を管理するCPUと、CCDカメラやスキャナ,走査型ミクロ濃度計などで構成され、周期的に配列したドットが形成された画像パターンからなる被評価画像を2次元の物理量分布データとして読み取る画像入力部と、CPUのワークメモリとして使用するとともに入力した画像パターンや物理量分布データを格納し、解析した結果を格納するメモリと、表示部と、解析した結果をプリンタ等に出力する出力部と、マスク設定部とドット位置算出部及びドット特徴量検出部を有する。
【0013】
このドット解析装置で被評価画像のドットの特徴量を検出するとき、画像入力部で被評価画像の画像パターンを濃淡情報を表す2次元の物理量分布データとして読み取り、読み取った物理量分布データをメモリに格納する。読み取った物理量分布データがメモリに格納されるとドット位置算出部は、メモリに格納された物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出する。ドット位置算出部は各ドットの重心位置を算出すると、マスク設定部は算出した各ドットの重心位置を中心にして、ドット配列周期より小さなマスクを設定する。ドッド特徴量検出部は各ドット毎にマスクで範囲が設定された物理量分布データからドット特徴量を検出する。
【0014】
(実施形態)
図1はこの発明の一実施形態の構成を示すブロック図である。図に示すように、ドット解析装置1は、装置全体の動作を管理するCPU2と、CCDカメラやスキャナ,走査型ミクロ濃度計などで構成され、周期的に配列したドットが形成された画像パターンからなる被評価画像を2次元の物理量分布データとして読み取る画像入力部3と、CPU2のワークメモリとして使用するとともに入力した画像パターンや物理量分布データを格納し、解析した結果を格納するメモリ4と、表示部5と、解析した結果をプリンタ等に出力する出力部6と、マスク設定部7とドット位置算出部8及びドット特徴量検出部9を有する。
【0015】
マスク設定部7は読み取られた物理量分布データの各ドットに対してドット配列周期より小さなマスクを設定する。ドット位置算出部8は読み取られた物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出する。ドット特徴量検出部9は各ドットの画像データに基づきドットの特徴量を検出するものであり、ドット平均分布算出部10とx方向ドット径算出部11とy方向ドット径算出部12とドット強度算出部13及びドット面積算出部14を有する。
【0016】
上記のように構成されたドット解析装置1で被評価画像のドットの特徴量を検出するときの処理を図2のフローチャートを参照して説明する。
【0017】
画像入力部3で被評価画像の画像パターンを濃淡情報を表す2次元の物理量分布データとして読み取り、読み取った物理量分布データをメモリ4に格納する(ステップS1)。この物理量分布データは電子化されたデータであり、反射率や濃度,明度などに変換されたデータでも良く、また、変換前のデータでも良い。この画像入力部3により読み取られる被評価画像は、例えば図3(a)〜(e)に模式的に示すように周期的に配列したドットが形成された画像パターン21からなる。この画像パターン21を形成するドット22は(1×1)ドットとは限らず、多値データを含むドットでも良く、また、その配列方向は縦/横方向に平行である必要もない。さらに、各ドット22は(1×1)などの同一サイズに統一されている必要もない。
【0018】
読み取った物理量分布データがメモリ4に格納されるとドット位置算出部8はメモリ4に格納された物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出する(ステップS2)。
【0019】
ちなみに、各ドットの重心位置を求めるための処理として、従来は特許文献2においても開示されているように、ドット位置算出部によって例えば図4に示すように、各ドット22が1個ずつ含まれるように物理量分布データを領域(エリア)に分割し、各分割領域での物理量分布データの重心位置23を計算したり、あるいは例えば図5に示す入力された物理量分布データ24を2値化し、図6に示すように、2値化後の各ドット22の幾何学的重心位置を算出することにより各ドット22の概略のドット位置25を算出したりしていた。
【0020】
本実施形態では、ドット位置算出部8で、画像出力装置の記録密度と画像入力装置の読み取り解像度から得られる計算上のドット配列周期が、記録紙の膨張収縮、画像形成装置および画像入力装置の倍率誤差やスキューなどにより誤差を生じないように、メモリ4に格納された物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から正確なドット配列周期とドット配列角度を算出している。例えば図5に示すような物理量分布データを離散フーリエ変換などを用いて二次元の周波数スペクトルを算出すると図7に示したような複数のピークを生じる。これらのピークの内最も原点(中心)に近い横軸近傍のピークp1と縦軸近傍のピークp2が、それぞれx方向、y方向のドット配列周期に対応している。
【0021】
より正確には、ピークp1の周波数空間における座標(fx1,fy1)とピークp2の周波数空間における座標(fx2,fy2)から図5の横方向のドット配列方向はx軸方向から微少角度tan(fy1/fx1)[ラジアン]だけずれており、その方向におけるドット配列周期は1/√(fx1^2+fy1^2)であることが判る。まったく同様に、図5の縦方向のドット配列方向はy軸方向から微少角度-tan(fx2/fy2)[ラジアン]だけずれており、その方向におけるドット配列周期は1/√(fx2^2+fy2^2)であることが判る。これらの情報に基づいて各ドットに対応したエリアを正確に設定するようにしているために各ドット22の幾何学的重心位置を正確に算出することが可能となる。
【0022】
以降の、ドット特徴量を検出する過程は、特許文献2と同様で、良い。ドット位置算出部8で各ドット22の重心位置23を算出すると、マスク設定部7は算出した各ドット22の重心位置23を中心にして、図8に示すように、ドット配列周期より小さなマスク27を設定する(ステップS3)。ドッド特徴量検出部9は各ドット22毎にマスク27で範囲が設定された物理量分布データからドット特徴量を検出する(ステップS4)。この際のドッド特徴量検出部9でドット特徴量を検出する処理を、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0023】
ドット特徴量検出部9に各ドット22毎にマスク27で範囲が設定された物理量分布データが入力すると、まず、ドット平均分布算出部10で各マスク27内の同一アドレスの値を平均化し(ステップS11)、ドット22の平均物理量分布が算出する(ステップS12)。また、x方向ドット径算出部11は各マスク27の物理量分布データをy方向に平均化してx方向の1次元分布データとし(ステップS13)、x方向の1次元分布データの最大値と最小値で閾値を設定し(ステップS14)、x方向の1次元分布データを設定した閾値で2値化してx方向のドット径を算出する(ステップS15)。同様にy方向ドット径算出部12は各マスク27の物理量分布データをx方向に平均化してy方向の1次元分布データとし(ステップS16)、y方向の1次元分布データの最大値と最小値で閾値を設定し(ステップS17)、y方向の1次元分布データを設定した閾値で2値化してx方向のドット径を算出する(ステップS18)。
【0024】
このドット径を算出するときの処理を図10を参照して説明する。図10は(i,j)番目のドット22の物理量分布31と、物理量分布31をy方向に平均化したx方向の1次元データの分布32と、物理量分布31をx方向に平均化したy方向の1次元データの分布33を示す。物理量分布31をy方向とx方向に平均化することにより、平均化後の1次元データは比較的滑らかな分布32、33を得ることができる。
【0025】
このx方向の1次元データの最大値(dxmax)ijと最小値(dxmin)ijを各ドット毎に検出し、最大値(dxmax)ijと最小値(dxmin)ijの間に閾値(thx)ijを下記(1)式で設定する。
(thx)ij=k・(dxmax)ij+(1-k)・(dxmin)ij、0.0<k<1.0 (1)
【0026】
同様にy方向の1次元データの最大値(dymax)ijと最小値(dymin)ijを各ドット毎に検出し、これらの間に閾値(thy)ijを下記(2)式で設定する。
(thy)ij=k・(dymax)ij+(1-k)・(dymin)ij、0.0<k<1.0 (2)
【0027】
このようにして設定した閾値(thx)ij,(thy)ijにより1次元データの幅(wx)ij,(wy)ijを算出し、算出した幅(wx)ijをx方向のドット径とし、幅(wy)ijをy方向のドット径とする。このように平均化処理により1次元化してドット径を算出することにより、ドットの中心を通る断面分布などによりドット径を算出する方法と比べて極めて安定したドット径を得ることができる。また、各マスク27内の1次元データの最大値と最小値とから算出した値で閾値を設定しているから、画像取り込み時の光量ムラなどの影響を受けないですむ。
【0028】
更に、ドット強度算出部13は、各マスク27内の物理量分布データの最大値(dmax)ijと最小値(dmin)ijを算出し(ステップS19)、最大値(dmax)ijと最小値(dmin)ijの差からドット強度(dpp)ijを算出する(ステップS20)。さらにドット面積算出部14はドット強度算出部13で算出した各マスク27内の物理量分布データの最大値(dmax)ijと最小値(dmin)ijから各マスク27毎に閾値を算出し(ステップS21)、算出した閾値により物理量分布データを2値化してドット面積を算出する(ステップS22)。
【0029】
このドット面積を算出する第1の方法は各マスク27の物理量分布データの最大値(dmax)ijと最小値(dmin)ijとから閾値(th1)ijを下記(3)式で設定する。
(th1)ij=k・(dmax)ij+(1-k)・(dmin)ij、0.0<k<1.0 (3)
【0030】
そして設定した閾値(th1)ijにより物理量分布データを2値化してドット面積(S1)ijを算出する。第2の方法は、各マスク27の物理量分布データの地肌部(非画像部)のデータ値の最大値(d2max)ijと最小値(d2min)ijのいずれかを用いて、各マスク27毎にシェーディング補正を施した閾値(th2)ijを設定する。例えば物理量が反射率の場合には、下記(4)式を用いて閾値(th2)ijを設定する。
(th2)ij=th0 /(d2max)ij、ここでth0は定数 (4)
【0031】
そして設定した閾値(th2)ijにより物理量分布データを2値化してドット面積(S1)ijを算出する。
【0032】
これらの方法によれば、画像取り込み時の光量ムラなどの影響を受ずにドット面積を安定して算出することができる。なお、画像内で一定の閾値th3を用いてドット面積を算出しても良い。
【0033】
このようにしてドッド特徴量検出部9において非画像部(地肌部)のノイズによる影響を低減した正確なドット特徴量を検出して表示部5に表示するとともに出力部6からプリンタ等に出力する。
【0034】
上記各実施形態においてはマスク設定部7とドット位置算出部8とドット特徴量検出部9を有するドット解析装置1やマスク設定部7とドット位置算出部8とドット特徴量検出部9とドット予測位置算出部15とドット位置ずれ算出部16を有するドット解析装置を使用して画像パターンのドットを解析した場合について説明したが、これに限らない。汎用のコンピュータ装置を用いても、同等処理を行わせることが可能である。すなわち、図11のブロック図に示すように、CPU55、RAM56、表示部57、キーボード58、マウス59、HDDインタフェース60、FDインタフェース61、プリンタ64等を有するコンピュータ53にデータ入力部63を介して画像入力装置54を接続し、前述した如きのドットの解析プログラム51をハードディスク等の外部記憶装置52に格納しておき、コンピュータ53が、外部記憶装置52に格納した解析プログラム51を読み込み、画像入力装置54から入力した画像パターンのドットを解析するようにしても良い。このようにドットの解析プログラム51をハードディスク等の外部記憶装置52に格納しておくことにより、コンピュータ53を使用して画像パターンのドットを容易に解析することができる。
【0035】
本発明の実施形態においては、以上説明したように、被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取り、読み取った物理量分布データから各ドットの重心位置を算出し、算出された各ドットの重心位置を中心にして被評価画像のドット配列周期よりも小さなサイズのマスクを設定し、設定されたマスク内の画像データに基づきドットの特徴量を算出するようにしたから、非画像部(地肌部)のノイズによる影響を低減した正確なドット特徴量を検出することができる。
【0036】
特に、各ドットの重心位置を算出する際には、画像入力手段によって読み取られた2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出しているから、正確なドット配列周期と配列角度に基づいて各ドットの重心位置を算出することができ、記録紙などの記録媒体の膨張収縮や画像形成装置の倍率誤差やスキューと画像入力装置の倍率誤差や被評価画像の配置角度誤差などの影響を受けにくくなる。
【0037】
付言すれば、特許文献2同様に、ドットの特徴量を算出するとき、各マスク内の物理量分布データの縦方向と横方向の1次元データの最大値と最小値に基づき設定した閾値により各ドットのドット径を算出し、各マスク内の物理量分布データの最大値と最小値から各ドットのドット強度とドット面積を算出しているので、非画像部(地肌部)のノイズによる影響を低減した正確なドット特徴量を検出することができるとともに、ドットの形状や濃度分布が複雑なドットに対してもドットの特徴量を精度良く検出することができる。また、CCDカメラのように光量ムラむらのある被評価画像についてもその影響を受けずに正確にドットの特徴量を検出することができている。
【0038】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態装置のドット解析処理を示すフローチャートである。
【図3】被評価画像の画像パターンを示す模式図である。
【図4】物理量分布データを分割した状態を示す模式図である。
【図5】入力された物理量分布データを示す配置図である。
【図6】2値化した物理量分布データの配置図である。
【図7】区画内での二次元周波数スペクトル算出結果の一例を示す図である。
【図8】各ドットにマスクを設定した状態を示す配置図である。
【図9】ドット特徴量を算出する処理を示すフローチャートである。
【図10】ドット物理量と1次元データの分布図である。
【図11】別な実施形態の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ドット解析装置
3 画像入力部
4 メモリ
7 マスク設定部
8 ドット位置算出部
9 ドット特徴量検出部
10 ドット平均分布算出部
11 x方向ドット径算出部
12 y方向ドット径算出部
13 ドット強度算出部
14 ドット面積算出部
15 ドット予測位置算出部
16 ドット位置ずれ算出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取る画像入力手段と、
読み取った物理量分布データから各ドットの重心位置を算出するドット位置算出手段と、
前記ドット位置算出手段により算出された各ドットの重心位置を中心にして前記被評価画像のドット配列周期よりも小さなサイズのマスクを設定するマスク設定手段と、
各ドットの前記マスク設定手段により設定されたマスク内の画像データに基づき、ドットの特徴量を算出するドット特徴量算出手段とを有するドット解析装置において、
前記ドット位置算出手段は、前記画像入力手段によって読み取られた前記2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出することを特徴とするドット解析装置。
【請求項2】
前記ドット特徴量算出手段は、各マスク内の物理量分布データの縦方向と横方向の1次元データの最大値と最小値に基づき設定した閾値により各ドットのドット径を算出し、各マスク内の物理量分布データの最大値と最小値から各ドットのドット強度とドット面積を算出することを特徴とする請求項1記載のドット解析装置。
【請求項3】
被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取るステップと、
読み取った物理量分布データから各ドットの重心位置を算出するステップと、
算出された各ドットの重心位置を中心にして被評価画像のドット配列周期よりも小さなサイズのマスクを設定するステップと、
設定されたマスク内の画像データに基づきドットの特徴量を算出するステップとを有するドット解析方法において、
ドットの重心位置を求める時、読み取られた2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出することを特徴とするドット解析方法。
【請求項4】
前記ドットの特徴量を算出するとき、各マスク内の物理量分布データの縦方向と横方向の1次元データの最大値と最小値に基づき設定した閾値により各ドットのドット径を算出し、各マスク内の物理量分布データの最大値と最小値から各ドットのドット強度とドット面積を算出することを特徴とする請求項3に記載のドット解析方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載のドット解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項1】
被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取る画像入力手段と、
読み取った物理量分布データから各ドットの重心位置を算出するドット位置算出手段と、
前記ドット位置算出手段により算出された各ドットの重心位置を中心にして前記被評価画像のドット配列周期よりも小さなサイズのマスクを設定するマスク設定手段と、
各ドットの前記マスク設定手段により設定されたマスク内の画像データに基づき、ドットの特徴量を算出するドット特徴量算出手段とを有するドット解析装置において、
前記ドット位置算出手段は、前記画像入力手段によって読み取られた前記2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出することを特徴とするドット解析装置。
【請求項2】
前記ドット特徴量算出手段は、各マスク内の物理量分布データの縦方向と横方向の1次元データの最大値と最小値に基づき設定した閾値により各ドットのドット径を算出し、各マスク内の物理量分布データの最大値と最小値から各ドットのドット強度とドット面積を算出することを特徴とする請求項1記載のドット解析装置。
【請求項3】
被評価画像の画像データを2次元の物理量分布データとして読み取るステップと、
読み取った物理量分布データから各ドットの重心位置を算出するステップと、
算出された各ドットの重心位置を中心にして被評価画像のドット配列周期よりも小さなサイズのマスクを設定するステップと、
設定されたマスク内の画像データに基づきドットの特徴量を算出するステップとを有するドット解析方法において、
ドットの重心位置を求める時、読み取られた2次元の物理量分布データの周波数スペクトルのピーク位置から求められたドット配列情報に基づいて2次元の物理量分布データをドット毎に切り出して各ドットの重心位置を算出することを特徴とするドット解析方法。
【請求項4】
前記ドットの特徴量を算出するとき、各マスク内の物理量分布データの縦方向と横方向の1次元データの最大値と最小値に基づき設定した閾値により各ドットのドット径を算出し、各マスク内の物理量分布データの最大値と最小値から各ドットのドット強度とドット面積を算出することを特徴とする請求項3に記載のドット解析方法。
【請求項5】
請求項3または4に記載のドット解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−86086(P2010−86086A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251892(P2008−251892)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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