説明

ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラム

【課題】過去の評価結果と今回の評価結果とを同一の評価区間で比較できる、ナビゲーションシステムを提供すること。
【解決手段】ナビゲーションシステム1は、運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得部11と、評価情報に基づき所定距離の評価区間毎に運転操作を評価する評価部12と、過去及び今回の走行における評価結果を、地図上の各評価区間に対応する位置に、過去と今回との走行とで異なる態様で表示させる表示制御部13とを備え、今回の走行において、過去の走行における評価区間の終点に過去の走行時と同じ進行方向で車両が到達した場合、評価部12は、今回の走行における走行軌跡に沿って当該終点に至る所定距離の今回評価区間について運転操作を評価し、表示制御部13は、今回評価区間についての評価結果を、当該今回評価区間に対応する位置であって過去の走行における評価結果が表示されている位置に重畳表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行経路を案内するナビゲーションシステムが用いられている。近年では、燃料費節約や環境保全の観点から省燃費走行への要求が高まっており、車両の走行における燃費低減を目的とした案内を行うナビゲーションシステムも提案されている。
【0003】
例えば、燃費改善のために注意して運転すべき区間をユーザが具体的に把握できるようにするため、自車の走行軌跡において基準燃料消費量を上回る燃料を自車が消費したリンクを識別できるように、当該リンクを地図上で強調表示するナビゲーション装置が提案されている。このナビゲーション装置では、過去の走行における燃料消費量に基づき基準燃料消費量を算出し、今回の走行において当該基準燃料消費量を上回る燃料を自車が消費したリンクを地図上で強調表示する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−33447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の如き従来の装置では、過去の走行における燃料消費量と今回の走行における燃料消費量との比較結果を地図上に表示するが、運転者による運転操作が燃費低減にどの程度適しているのかを評価した結果を、過去の走行と今回の走行とのそれぞれについて画面に表示することで、ユーザ自身が各評価結果を対比できるようにすることも考えられる。例えば、車両が走行した所定距離の評価区間毎に、運転者による運転操作が燃費低減にどの程度適しているのかを評価し、その評価結果を、地図上の各評価区間に対応する位置に、過去の走行と今回の走行とで異なる態様で表示することが考えられる。しかしながら、過去の走行と今回の走行とで同じ道路を走行している場合であっても、運転者による運転操作の評価が行われた評価区間の位置がずれているために、過去の評価結果と今回の評価結果とを同一の評価区間で比較できない場合があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、過去の評価結果と今回の評価結果とを同一の評価区間で比較できる、ナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載のナビゲーションシステムは、車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得手段と、前記評価情報取得手段により取得された評価情報に基づき、前記車両が走行した所定距離の評価区間毎に、前記運転者による運転操作を評価する評価手段と、過去の走行及び今回の走行における前記評価手段による評価結果を、表示手段に表示されている地図上の前記各評価区間に対応する位置に、当該過去の走行と当該今回の走行とで異なる態様で表示するための制御を行う表示制御手段と、を備え、前記今回の走行において、前記過去の走行における前記評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で前記車両が到達した場合、前記評価手段は、当該今回の走行における走行軌跡に沿って当該終点に至る前記所定距離の今回評価区間について、当該運転者による運転操作を評価し、前記表示制御手段は、当該今回評価区間についての評価結果を、当該今回評価区間に対応する位置であって、当該過去の走行における評価結果が表示されている位置に重畳表示するための制御を行う。
【0008】
また、請求項2に記載のナビゲーションシステムは、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記評価区間を特定する評価区間情報と、当該評価区間における前記評価結果を特定する評価結果情報とを、相互に関連付けて格納する評価結果情報格納手段を備え、前記表示制御手段は、終点が共通する複数の前記評価区間に対応する前記評価区間情報及び前記評価結果情報が前記評価結果情報格納手段に格納されている場合、前記車両の今回の走行経路に含まれる前記評価区間に対応する前記評価結果情報を当該評価結果情報格納手段から取得し、当該取得した評価結果情報に対応する評価結果を、過去の走行における評価結果として、当該評価区間に対応する位置に表示するための制御を行う。
【0009】
また、請求項3に記載のナビゲーション方法は、車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得ステップと、前記評価情報取得ステップで取得された評価情報に基づき、前記車両が走行した所定距離の評価区間毎に、前記運転者による運転操作を評価する評価ステップと、過去の走行及び今回の走行における前記評価ステップにおける評価結果を、表示手段に表示されている地図上の前記各評価区間に対応する位置に、当該過去の走行と当該今回の走行とで異なる態様で表示するための制御を行う表示制御ステップと、を含み、前記今回の走行において、前記過去の走行における前記評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で前記車両が到達した場合、前記評価ステップで、当該今回の走行における走行軌跡に沿って当該終点に至る前記所定距離の今回評価区間について、当該運転者による運転操作を評価し、前記表示制御ステップで、当該今回評価区間についての評価結果を、当該今回評価区間に対応する位置であって、当該過去の走行における評価結果が表示されている位置に重畳表示するための制御を行う。
【0010】
また、請求項4に記載のナビゲーションプログラムは、請求項3に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載のナビゲーションシステム、請求項3に記載のナビゲーション方法、及び請求項4に記載のナビゲーションプログラムによれば、今回の走行において、過去の走行における評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で車両が到達した場合、評価手段は、今回の走行における走行軌跡に沿って当該終点に至る所定距離の今回評価区間について、運転者による運転操作を評価し、表示制御手段は、今回評価区間についての評価結果を、今回評価区間に対応する位置であって、過去の走行における評価結果が表示されている位置に重畳表示するための制御を行うので、今回の走行において、過去の走行における評価区間と同一の区間で評価を行うことができ、過去の走行における評価結果と今回の走行における評価結果とを同一の評価区間で容易に比較することができる。
【0012】
また、請求項2に記載のナビゲーションシステムによれば、表示制御手段は、終点が共通する複数の評価区間に対応する評価区間情報及び評価結果情報が評価結果情報格納手段に格納されている場合、車両の今回の走行経路に含まれる評価区間に対応する評価結果情報を評価結果情報格納手段から取得し、当該取得した評価結果情報に対応する評価結果を、過去の走行における評価結果として、当該評価区間に対応する位置に表示するための制御を行うので、今回の走行において、過去の走行における評価区間と同一の区間で評価を行うことができ、過去の走行における評価結果と今回の走行における評価結果とを同一の評価区間で容易に比較することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態に係るナビゲーションシステムを例示するブロック図である。
【図2】評価結果DBに格納されている情報を例示した表である。
【図3】ナビゲーション処理のフローチャートである。
【図4】車両の走行経路と評価区間との関係を例示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るナビゲーションシステム、ナビゲーション方法、及びナビゲーションプログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(構成)
最初に、ナビゲーションシステムの構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るナビゲーションシステムを例示するブロック図である。ナビゲーションシステム1は例えば車両に搭載されており、図1に示すように、ECU2(Electronic Control Unit)、現在位置検出処理部3、操作部4、ディスプレイ5、及びスピーカ6に接続されている。
【0016】
(構成−ECU)
ECU2は、車両の各部の状態を各種センサを介して監視し、車両のエンジンやモータジェネレータ等の動力系、トランスミッション、駆動系、制動系等(いずれも図示省略)の車両の各部を制御する。例えば、車軸の回転数に比例する車速パルス信号を車速センサから取得してトランスミッションを制御したり、O2センサから取得した排気ガス中の酸素濃度等に基づいて燃料噴射装置(図示省略)を制御する。このECU2から、車速パルス信号や燃料噴射量等の各種情報がナビゲーションシステム1に入力される。
【0017】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部3は、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部3は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の車両の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0018】
(構成−操作部)
操作部4は、ユーザによる操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部4の具体的な構成は任意であり、例えば、ディスプレイ5の前面に設けたタッチパネル、押しボタン、リモートコントローラの如き遠隔操作手段、あるいは、音声入力を受け付けるマイクの如き音声認識手段を用いて操作部4を構成することができる。
【0019】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ5は、ナビゲーションシステム1の制御に基づいて各種情報の表示出力を行う出力手段である。なお、このディスプレイ5の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0020】
(構成−スピーカ)
スピーカ6は、ナビゲーションシステム1の制御に基づいて各種の音声を出力する出力手段である。スピーカ6より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0021】
(構成−ナビゲーションシステム)
ナビゲーションシステム1は、制御部10、及びデータ記録部20を備えている。
【0022】
(構成−ナビゲーションシステム−制御部)
制御部10は、ナビゲーションシステム1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係るナビゲーションプログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介してナビゲーションシステム1にインストールされることで、制御部10の各部を実質的に構成する。
【0023】
この制御部10は、機能概念的に、評価情報取得部11、評価部12、及び表示制御部13を備えている。評価情報取得部11は、車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得手段である。評価部12は、車両が走行した所定距離(例えば100m)の評価区間毎に、運転者による運転操作を評価する評価手段である。表示制御部13は、評価部12による評価結果を、ディスプレイ5に表示されている地図上の各評価区間に対応する位置に表示するための制御を行う表示制御手段である。これらの制御部10の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0024】
(構成−ナビゲーションシステム−データ記録部)
データ記録部20は、ナビゲーションシステム1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0025】
このデータ記録部20は、地図情報データベース21(以下、データベースをDBと略記する)、及び評価結果DB22を備えている。
【0026】
地図情報DB21は、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイ5に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0027】
評価結果DB22は、評価区間を特定する評価区間情報と、当該評価区間における評価結果を特定する評価結果情報とを、相互に関連付けて格納する評価結果情報格納手段である。図2は、評価結果DB22に格納されている情報を例示した表である。この図2に示すように、評価結果DB22には、項目「ID」「日時」「評価区間」及び「結果」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。この内、項目「ID」に対応して格納される情報は、評価結果を一意に識別するための識別情報である(図2では「0001」等)。項目「日時」に対応して格納される情報は、各評価区間において車両の運転者による運転操作の評価が行われた日時を特定する情報である(図2では、2011年7月25日18時29分33秒を特定する情報として「2011/7/25 18:29:33」等)。項目「評価区間」に対応して格納される情報は、評価区間を特定する評価区間情報である。この評価区間情報としては、小項目「リンク」「進行方向」「始点」及び「終点」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。小項目「リンク」に対応して格納される情報は、評価区間の終点が含まれるリンクを特定する情報であり、例えばリンクの両端に位置するノードのノード番号を組み合わせたリンク番号が格納される(図2では「AB」)。小項目「進行方向」に対応して格納される情報は、各評価区間の終点に車両が到達した際の進行方向を特定する情報であり、例えば評価区間の終点が含まれるリンクの両端に位置するノードの内、車両の進行方向前方に存在したノードのノード番号が格納される(図2では「B」)。小項目「始点」及び「終点」に対応して格納される情報は、評価区間の始点及び終点を特定する情報であり、例えば評価区間の始点及び終点の位置座標が格納される(図2では(x1、y1)等)。項目「結果」に対応して格納される情報は、評価結果を特定する評価結果情報である。図2では、運転者による運転操作が燃費向上に適したものである旨を示す「良」、又は、運転者による運転操作が燃費向上に適したものではない旨を示す「不良」が格納されている。なお、この評価結果DB22に各情報が格納されるタイミング等については後述する。
【0028】
(処理−ナビゲーション処理)
次に、このように構成されたナビゲーションシステム1によって実行されるナビゲーション処理について説明する。図3はナビゲーション処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。このナビゲーション処理は、例えば、ナビゲーションシステム1に電源が投入され、操作部4を介した操作入力により車両の走行の目的地が設定された場合に開始される。ここで、「目的地の設定」とは、操作部4を介した操作入力により最終目的地が設定される場合の他、既に設定されている複数の目的地が操作部4を介した操作入力により並べ替えられ、異なる目的地が最終目的地として設定される場合、あるいは、既に設定されている最終目的地が消去され、他の目的地が最終目的地として設定される場合等も含む。
【0029】
ナビゲーション処理が開始されると、表示制御部13は、出発地(例えば現在位置検出処理部3により検出された現在位置)から目的地までの経路案内が開始されるまで待機する(SA1、No)。なお、出発地から目的地までの経路探索や、当該探索結果に基づく経路案内の具体的な内容については、公知の経路探索方法や経路案内方法を用いることができるため、詳細な説明を省略する。
【0030】
出発地から目的地までの経路案内が開始されると(SA1、Yes)、表示制御部13は、車両の今回の走行経路に含まれる評価区間に対応する評価結果情報を評価結果DB22から取得する(SA2)。例えば表示制御部13は、今回の走行経路を構成するリンクのリンク番号と、今回の走行経路における車両の進行方向とに関連付けて評価結果DB22に格納されている評価結果情報を取得する。但し、今回の走行経路を構成するリンクのリンク番号と、今回の走行経路における車両の進行方向とに対応する評価結果情報として、終点が共通する複数の評価区間に対応する評価結果情報が評価結果DB22に格納されている場合、すなわち、小項目「終点」に対応して格納されている評価区間の終点の位置座標が同一の複数の評価結果情報が評価結果DB22に格納されている場合には、小項目「始点」に対応して格納されている評価区間の始点の位置座標が車両の今回の走行経路上である評価結果情報(すなわち車両の今回の走行経路に含まれる評価区間に対応する評価結果情報)を取得する。
【0031】
図4は、車両の走行経路と評価区間との関係を例示した平面図である。この図4において、黒丸は過去の走行における評価区間の始点及び/又は終点となった地点を表している。車両の今回の走行経路が図4において1点鎖線矢印で表される経路である場合、今回の走行経路を構成するリンクのリンク番号「AB」と、今回の走行経路における車両の進行方向「B」(図4では右に向かう向き)とに対応する評価結果情報として、ID「0001」「0002」及び「0003」に対応する評価結果情報が図2の評価結果DB22に格納されている。この内、ID「0001」及び「0003」に対応する評価結果情報は、いずれも評価区間の終点の位置座標が(x2、y2)で共通している。そこで表示制御部13は、ID「0001」及び「0003」に対応する評価結果情報の内、ID「0001」に対応する評価区間の始点の位置座標(x1、y1)が車両の今回の走行経路上であることから、当該ID「0001」に対応する評価結果情報を取得する。すなわち、図4において1点鎖線矢印で表された走行経路に含まれる評価区間に対応する評価結果情報として、表示制御部13は、ID「0001」及び「0002」に対応する評価結果情報を評価結果DB22から取得する。
【0032】
また、車両の今回の走行経路が図4において点線矢印で表される経路である場合、今回の走行経路を構成するリンクのリンク番号「AB」と、今回の走行経路における車両の進行方向(図4では右に向かう向き)とに対応する評価結果情報として、ID「0001」「0002」及び「0003」に対応する評価結果情報が図2の評価結果DB22に格納されている。この内、ID「0001」及び「0003」に対応する評価結果情報は、いずれも評価区間の終点の位置座標が(x2、y2)で共通している。そこで表示制御部13は、ID「0001」及び「0003」に対応する評価結果情報の内、ID「0003」に対応する評価区間の始点の位置座標(x4、y4)が車両の今回の走行経路上であることから、当該ID「0003」に対応する評価結果情報を取得する。すなわち、図4において1点鎖線矢印で表された走行経路に含まれる評価区間に対応する評価結果情報として、表示制御部13は、ID「0002」及び「0003」に対応する評価結果情報を評価結果DB22から取得する。
【0033】
また、車両の今回の走行経路が図4において実線矢印で表される経路である場合、今回の走行経路を構成するリンクのリンク番号「AB」と、今回の走行経路における車両の進行方向(図4では右に向かう向き)とに対応する評価結果情報として、ID「0001」「0002」及び「0003」に対応する評価結果情報が図2の評価結果DB22に格納されている。この内、ID「0001」及び「0003」に対応する評価結果情報は、いずれも評価区間の終点の位置座標が(x2、y2)で共通している。しかし、これらのID「0001」及び「0003」に対応する評価区間の始点の位置座標(x1、y1)及び(x4、y4)は、いずれも車両の今回の走行経路上ではない。この場合、表示制御部13は、例えばより新しい評価結果情報(図2の例ではID「0003」に対応する評価結果情報」)を取得する。すなわち、図4において実線矢印で表された走行経路に含まれる評価区間に対応する評価結果情報として、表示制御部13は、ID「0002」及び「0003」に対応する評価結果情報を評価結果DB22から取得する。
【0034】
図3に戻り、SA2の処理の後、表示制御部13は、SA2で取得した評価結果情報に対応する評価結果を、過去の走行における評価結果として、ディスプレイ5に表示されている地図上の各評価区間に対応する位置に表示するための制御を行う(SA3)。ここで「評価区間に対応する位置」としては、例えば評価区間の終点の位置、評価区間の始点の位置、あるいは評価区間の始点と終点との中間地点の位置等を用いることができる。なお、評価結果の表示態様は任意で、例えば表示制御部13は、過去の走行における評価結果であることを示すために、半透明のマーカを地図上の評価区間に対応する位置に表示させる。また、評価結果が「良」である場合には緑色のマーカを表示させ、評価結果が「不良」である場合には茶色のマーカを表示させる。
【0035】
次に、評価情報取得部11は、車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する(SA4)。例えば、運転者による運転操作が燃費向上に適したものであるか否かを示すエコランプが車両のメーターパネル(図示省略)内に表示される場合において、評価情報取得部11は、ECU2等からエコランプの点消灯状態を特定するための情報を評価情報として取得し、RAM等の記憶手段(図示省略)に記録する。
【0036】
続いて評価部12は、今回の走行において、過去の走行における評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で車両が到達したか否かを判定する(SA5)。すなわち評価部12は、現在位置検出処理部3により検出された現在位置に基づき、SA2で取得した評価結果情報に対応する評価区間の終点に、当該評価結果情報に対応する進行方向で車両が到達したか否かを判定する。
【0037】
その結果、今回の走行において、過去の走行における評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で車両が到達した場合(SA5、Yes)、評価部12は、今回の走行における走行軌跡に沿って当該過去の走行における評価区間の終点に至る所定距離の今回評価区間について、運転者による運転操作を評価する(SA6)。具体的には、評価部12は、SA5で車両が到達した過去の走行における評価区間の終点を今回評価区間の終点とし、当該終点から今回の走行における走行軌跡にそって所定距離さかのぼった地点を今回評価区間の始点とする。これにより、過去の走行における評価区間と同一の区間を今回評価区間とすることができる。例えば評価部12は、このように設定した今回評価区間において評価情報取得部11により取得された評価情報に基づき、今回評価区間においてエコランプが点灯した状態で車両が走行した合計距離を算出する。そして、当該算出した距離を、今回評価区間の距離で除した値(すなわち、今回評価区間において運転者による運転操作が燃費向上に適していた際の車両の走行距離が占める割合)が所定の評価基準(例えば90%)以上の場合に、当該今回評価区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していると評価し、所定の評価基準未満の場合に、当該今回評価区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していないと評価する。
【0038】
例えば図4において、車両の今回の走行経路が1点鎖線矢印で表される経路であり、過去の走行における評価区間の終点(x2、y2)に、当該過去の走行時と同じ進行方向(図4では右に向かう向き)で車両が到達した場合(SA5、Yes)、評価部12は、車両が到達した過去の走行における評価区間の終点(x2、y2)を今回評価区間の終点とし、当該終点から今回の走行における走行軌跡にそって所定距離さかのぼった地点(x1、y1)を今回評価区間の始点とする。そして評価部12は、このように設定した今回評価区間において評価情報取得部11により取得された評価情報に基づき、当該今回評価区間における運転者による運転操作を評価する(SA6)。
【0039】
また、図4において、車両の今回の走行経路が点線矢印で表される経路であり、過去の走行における評価区間の終点(x2、y2)に、当該過去の走行時と同じ進行方向(図4では右に向かう向き)で車両が到達した場合(SA5、Yes)、評価部12は、車両が到達した過去の走行における評価区間の終点(x2、y2)を今回評価区間の終点とし、当該終点から今回の走行における走行軌跡にそって所定距離さかのぼった地点(x4、y4)を今回評価区間の始点とする。そして評価部12は、このように設定した今回評価区間において評価情報取得部11により取得された評価情報に基づき、当該今回評価区間における運転者による運転操作を評価する(SA6)。
【0040】
また、図4において、車両の今回の走行経路が実線矢印で表される経路であり、過去の走行における評価区間の終点(x2、y2)に、当該過去の走行時と同じ進行方向(図4では右に向かう向き)で車両が到達した場合(SA5、Yes)、評価部12は、車両が到達した過去の走行における評価区間の終点(x2、y2)を今回評価区間の終点とし、当該終点から今回の走行における走行軌跡にそって所定距離さかのぼった地点(x5、y5)(図4において白丸で示した地点)を今回評価区間の始点とする。そして評価部12は、このように設定した今回評価区間において評価情報取得部11により取得された評価情報に基づき、当該今回評価区間における運転者による運転操作を評価する(SA6)。
【0041】
図3に戻り、SA5において、今回の走行において、過去の走行における評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で車両が到達していない場合(SA5、No)、評価部12は、現在位置検出処理部3により検出された現在位置に基づき、今回の走行において最後に運転者による運転操作の評価を行った評価区間(以下、必要に応じて「前回評価区間」)の終点から所定距離を車両が走行したか否かを判定する(SA7)。
【0042】
その結果、前回評価区間の終点から所定距離を車両が走行していない場合(SA7、No)、SA4に戻る。以降、過去の走行における評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で車両が到達するか(SA5、Yes)、又は前回評価区間の終点から所定距離を車両が走行する(SA7、Yes)まで、SA4、SA5、SA7の処理を繰り返す。
【0043】
一方、前回評価区間の終点から所定距離を車両が走行した場合(SA7、Yes)、評価部12は、車両が走行した当該所定距離の今回評価区間について、運転者による運転操作を評価する(SA8)。具体的には、評価部12は、前回評価区間の終点を今回評価区間の始点とし、前回評価区間の終点から今回の走行における走行軌跡にそって所定距離進んだ地点を今回評価区間の終点とする。例えば評価部12は、このように設定した今回評価区間において評価情報取得部11により取得された評価情報に基づき、今回評価区間においてエコランプが点灯した状態で車両が走行した合計距離を算出する。そして、当該算出した距離を、今回評価区間の距離で除した値(すなわち、今回評価区間において運転者による運転操作が燃費向上に適していた際の車両の走行距離が占める割合)が所定の評価基準以上の場合に、当該今回評価区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していると評価し、所定の評価基準未満の場合に、当該今回評価区間における運転者による運転操作が燃費向上に適していないと評価する。
【0044】
SA6又はSA8の処理の後、表示制御部13は、SA6又はSA8における今回評価区間についての評価結果を、過去の走行における評価結果とは異なる態様で今回評価区間に対応する位置(例えば今回評価区間の終点等)に表示するための制御を行うと共に、評価部12は、SA6又はSA8における今回評価区間についての評価結果を特定する評価結果情報と、当該今回評価区間を特定する評価区間情報(例えば、今回評価区間の終点が含まれるリンク、今回評価区間の終点に車両が到達した際の進行方向、並びに、今回評価区間の始点及び終点を特定する情報)とを、評価結果DB22に格納する(SA9)。
【0045】
特に、今回の走行において、過去の走行における評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で車両が到達し(SA5、Yes)、当該今回の走行における走行軌跡に沿って過去の走行における評価区間の終点に至る所定距離の今回評価区間について、運転者による運転操作を評価した場合(SA6)、表示制御部13は、SA6における今回評価区間についての評価結果を、ディスプレイ5に表示されている地図上の今回評価区間に対応する位置であって、過去の走行における評価結果が表示されている位置に重畳表示するための制御を行う。すなわち、SA6において、過去の走行における評価区間と今回評価区間とを同一の区間としていることから、ディスプレイ5に表示されている地図上の今回評価区間に対応する位置と、過去の走行における評価結果が表示されている位置とは同位置となる。これにより、今回の走行において所定距離の評価区間を走行する毎に順次評価結果が過去の評価結果の上に重畳表示されていくので、過去の走行における評価結果と今回の走行における評価結果とを同一の評価区間で容易に比較することができる。なお表示制御部13は、今回の走行における評価結果であることを示すために、過去の走行における評価結果とは異なる表示態様として、不透明のマーカを地図上の評価区間に対応する位置に表示させる。
【0046】
SA9の処理の後、評価情報取得部11は、現在位置検出処理部3により検出された車両の現在位置に基づき、車両が目的地に到着したか否かを判定する(SA10)。その結果、車両が目的地に到着していない場合(SA10、No)、SA4に戻る。以降、車両が目的地に到着するまで、SA4からSA10の処理を繰り返す。これにより、今回の走行の各評価区間における運転者による運転操作の評価結果が、過去の走行における評価結果が表示されている位置に順次重畳表示されていく。
【0047】
一方、車両が目的地に到着した場合(SA10、Yes)、制御部10はナビゲーション処理を終了する。
【0048】
(効果)
このように本実施の形態によれば、今回の走行において、過去の走行における評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で車両が到達した場合、評価部12は、今回の走行における走行軌跡に沿って当該終点に至る所定距離の今回評価区間について、運転者による運転操作を評価し、表示制御部13は、今回評価区間についての評価結果を、今回評価区間に対応する位置であって、過去の走行における評価結果が表示されている位置に重畳表示するための制御を行うので、今回の走行において、過去の走行における評価区間と同一の区間で評価を行うことができ、過去の走行における評価結果と今回の走行における評価結果とを同一の評価区間で容易に比較することができる。
【0049】
また、表示制御部13は、終点が共通する複数の評価区間に対応する評価区間情報及び評価結果情報が評価結果DB22に格納されている場合、車両の今回の走行経路に含まれる評価区間に対応する評価結果情報を評価結果DB22から取得し、当該取得した評価結果情報に対応する評価結果を、過去の走行における評価結果として、当該評価区間に対応する位置に表示するための制御を行うので、今回の走行において、過去の走行における評価区間と同一の区間で評価を行うことができ、過去の走行における評価結果と今回の走行における評価結果とを同一の評価区間で容易に比較することができる。
【0050】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0051】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0052】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、ナビゲーションシステム1を一体の装置として車両に搭載してもよく、あるいは、ナビゲーションシステム1の一部又は全部(例えば、制御部10における評価部12や、データ記録部20における評価結果DB22等)を、ネットワークを介して車両と通信可能に接続されたセンター装置に設けることとしてもよい。
【0053】
(評価情報取得部について)
上述の実施の形態では、評価情報取得部11は、ECU2等からエコランプの点消灯状態を特定するための情報を取得する場合を例として説明したが、アクセル開度、ブレーキ踏力、動力源の使用状況等を特定するための情報をECU2から直接取得し、当該取得した情報に基づき、運転者による運転操作が燃費向上に適したものであるか否かを当該評価情報取得部11が逐次判定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 ナビゲーションシステム
2 ECU
3 現在位置検出処理部
4 操作部
5 ディスプレイ
6 スピーカ
10 制御部
11 評価情報取得部
12 評価部
13 表示制御部
20 データ記録部
21 地図情報DB
22 評価結果DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得手段と、
前記評価情報取得手段により取得された評価情報に基づき、前記車両が走行した所定距離の評価区間毎に、前記運転者による運転操作を評価する評価手段と、
過去の走行及び今回の走行における前記評価手段による評価結果を、表示手段に表示されている地図上の前記各評価区間に対応する位置に、当該過去の走行と当該今回の走行とで異なる態様で表示するための制御を行う表示制御手段と、を備え、
前記今回の走行において、前記過去の走行における前記評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で前記車両が到達した場合、
前記評価手段は、当該今回の走行における走行軌跡に沿って当該終点に至る前記所定距離の今回評価区間について、当該運転者による運転操作を評価し、
前記表示制御手段は、当該今回評価区間についての評価結果を、当該今回評価区間に対応する位置であって、当該過去の走行における評価結果が表示されている位置に重畳表示するための制御を行う、
ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記評価区間を特定する評価区間情報と、当該評価区間における前記評価結果を特定する評価結果情報とを、相互に関連付けて格納する評価結果情報格納手段を備え、
前記表示制御手段は、終点が共通する複数の前記評価区間に対応する前記評価区間情報及び前記評価結果情報が前記評価結果情報格納手段に格納されている場合、前記車両の今回の走行経路に含まれる前記評価区間に対応する前記評価結果情報を当該評価結果情報格納手段から取得し、当該取得した評価結果情報に対応する評価結果を、過去の走行における評価結果として、当該評価区間に対応する位置に表示するための制御を行う、
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
車両の運転者による運転操作を評価する際の指標となる評価情報を取得する評価情報取得ステップと、
前記評価情報取得ステップで取得された評価情報に基づき、前記車両が走行した所定距離の評価区間毎に、前記運転者による運転操作を評価する評価ステップと、
過去の走行及び今回の走行における前記評価ステップにおける評価結果を、表示手段に表示されている地図上の前記各評価区間に対応する位置に、当該過去の走行と当該今回の走行とで異なる態様で表示するための制御を行う表示制御ステップと、を含み、
前記今回の走行において、前記過去の走行における前記評価区間の終点に、当該過去の走行時と同じ進行方向で前記車両が到達した場合、
前記評価ステップで、当該今回の走行における走行軌跡に沿って当該終点に至る前記所定距離の今回評価区間について、当該運転者による運転操作を評価し、
前記表示制御ステップで、当該今回評価区間についての評価結果を、当該今回評価区間に対応する位置であって、当該過去の走行における評価結果が表示されている位置に重畳表示するための制御を行う、
ナビゲーション方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法をコンピュータに実行させるナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−36801(P2013−36801A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171682(P2011−171682)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】