説明

ナビゲーションシステム及び拠点推定方法

【課題】車両の拠点についての高精度な推定を可能としてその利便性の向上を図ることのできるナビゲーションシステム及び拠点推定方法を提供する。
【解決手段】車両100が発進した発進地点と該発進地点を出発した車両が到着した到着地点とを含む発着ポイントを記録して、同記録した発着ポイントに関する情報をセンター200の記憶装置220に漸次記憶する。また、センター200を構成する拠点推定部232は、記憶装置220に記憶された発着ポイントのうち、共通した発進地点から発散する到着地点の分布が相対的に多い発進地点を車両100の拠点として推定する。そして、拠点推定部232は、この推定した拠点の緯度経度を示す拠点情報を、センター通信機130を介して車両100に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の拠点を推定するナビゲーションシステム及び該ナビゲーションシステムを用いた拠点推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に搭載されるナビゲーションシステムでは、出発地点から目的地点までの経路案内が音声や画像等により行われている。こうしたナビゲーションシステムによる経路案内に際してはまず、目的とする地点の名称や住所、電話番号等がドライバによってナビゲーションシステムの入力装置等に入力され、この入力された地点が目的地点として設定される。そして、ナビゲーションシステムによる運転支援に際しては、車両の現在位置からこの設定された目的地点に至るまでの経路が周辺の交通情報等とともに案内される。
【0003】
一方、ナビゲーションシステムに設定される目的地点には、例えばドライバの自宅等のような車両の拠点となる地点が設定される頻度が高い。そこで従来のナビゲーションシステムには、車両の拠点となる地点をドライバによって登録可能な機能が設けられており、これによって自宅等の住所や電話番号等をその都度入力する煩雑さを回避するようにしている。
【0004】
また、例えば特許文献1に見られるように、車両の移動履歴をもとに車両の拠点を推定するナビゲーションシステムも知られている。この特許文献1に記載のナビゲーションシステムでは、車両の位置や日時、車両の到着頻度、滞在時間等に関する情報を適宜記録し、この記録した情報に基づいて車両の拠点を推定することにより、例えば到着頻度が高い地点や平均滞在時間が長い地点を車両の拠点として判定するようにしている。これにより、車両のドライバは、自宅等に関する情報を予め登録する必要もなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−036594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両の到着頻度や滞在時間とは通常、ドライバの行動パターンによって変化するものであり、到着頻度が高い地点や平均滞在時間が長い地点が必ずしもドライバの自宅等とは限らない。すなわち、例えば会社での平均滞在時間が自宅での平均滞在時間よりも長いときには、会社が車両の拠点であると判定されてしまう。またこの他、車両の移動パターンには、自宅等の拠点と滞在時間や滞在頻度が近似する地点が多く存在する傾向にあることも確認されており、単に車両の移動履歴から同車両の拠点を正確に推定することは難しい。このように、車両の拠点を登録する煩雑さが回避できたとしても、その推定精度となると、なお改良の余地を残すものとなっている。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の拠点についての高精度な推定を可能としてその利便性の向上を図ることのできるナビゲーションシステム及び拠点推定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
【0009】
請求項1に記載の発明は、運転支援の対象とする車両の拠点を推定するナビゲーションシステムにおいて、車両が発進した発進地点と該発進地点を出発した車両が到着した到着地点とを含む発着ポイントに関する情報を漸次記憶する記憶装置と、該記憶装置に記憶された発着ポイントのうち、共通した発進地点から発散する到着地点の分布が相対的に多い発進地点を前記車両の拠点として推定する拠点推定部と、を備えることを要旨とする。
【0010】
請求項8に記載の発明は、運転支援の対象とする車両の拠点を推定する拠点推定方法において、車両が発進した発進地点と該発進地点を出発した車両が到着した到着地点とを含む発着ポイントに関する情報を収集するステップと、該収集した発着ポイントのうち、共通した発進地点から発散する到着地点の分布が相対的に多い発進地点を前記車両の拠点として推定するステップと、を含むことを要旨とする。
【0011】
例えば、ある車両の移動履歴は、自宅を拠点として会社や店舗等、様々な目的地点に向かう傾向にあり、その発着ポイントは、共通する発進地点と同発進地点から様々な方向や地域に分布する到着地点とによって構成される。一方、例えば滞在時間が長期化する会社等であっても、同会社を発進地点とするときの到着地点は、自宅のように限られた地点となる傾向が強く、発進地点に対する到着地点のバリエーションは少なくなる。そこで、上記構成あるいは方法によるように、こうした発進地点及び到着地点の緯度経度情報等に関する情報が含まれる発着ポイントを適宜記憶(収集)する。そして、この記憶(収集)した発着ポイントのうち、到着地点の分布が多くなる発進地点を車両の拠点として推定する。このため、発着ポイントのバリエーションに基づいて車両の拠点を的確に推定することができるようになる。これにより、車両の拠点を高い精度のもとに推定することができるようになるとともに、同車両の拠点の推定を通じてナビゲーションシステムとしての利便性が向上されるようになる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記記憶装置には、前記発進地点に前記車両が滞在する滞在頻度もしくは滞在時間が該当する発着ポイントに関する情報とともに記憶されてなり、前記拠点推定部は、前記滞在頻度及び前記滞在時間の少なくとも1つを加味して前記車両の拠点を推定することを要旨とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の拠点推定方法において、前記収集するステップにて、前記発進地点に前記車両が滞在する滞在頻度もしくは滞在時間を該当する発着ポイントに関する情報とともに収集し、前記推定するステップにて、前記収集した前記滞在頻度及び前記滞在時間の少なくとも1つを加味して前記車両の拠点を推定することを要旨とする。
【0014】
車両がその拠点に滞在する滞在頻度は、車両が滞在する地点のなかでも相対的に高い傾向にあり、また滞在時間も車両が滞在する地点のなかでも相対的に長くなる傾向にある。そこで、上記構成あるいは方法によれば、上記到着地点の分布、滞在頻度、滞在時間といった各要素を加味して、車両の拠点を多観点から推定することができるようになり、その推定精度のさらなる向上が図られるようになる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記拠点推定部は、前記到着地点の分布に基づく拠点の推定にあたり、前記記憶装置に記憶された発着ポイントから、滞在頻度が高い上位2地点、もしくは前記滞在時間が長い上位2地点、もしくは前記滞在頻度及び前記滞在時間の合計値が大きい上位2地点を特定し、該特定した上位2地点の滞在頻度もしくは滞在時間もしくは前記滞在頻度及び前記滞在時間の合計値が近似するとき、同特定した上位2地点の発着ポイントを前記到着地点の分布に基づく拠点の推定に用いることを要旨とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の拠点推定方法において、前記推定するステップに先立つステップとして、前記収集するステップにて収集した発着ポイントから、滞在頻度が高い上位2地点、もしくは前記滞在時間が長い上位2地点、もしくは前記滞在頻度及び前記滞在時間の合計値が大きい上位2地点を特定するステップと、該特定した上位2地点の滞在頻度もしくは滞在時間もしくは前記滞在頻度及び前記滞在時間の合計値が近似するか否かを判定するステップと、をさらに含み、 前記推定するステップにて、前記判定するステップで滞在頻度もしくは滞在時間もしくは前記滞在頻度及び前記滞在時間の合計値が近似すると判定した上位2地点の発着ポイントを、前記到着地点の分布に基づく拠点の推定に用いることを要旨とする。
【0017】
車両の滞在頻度や滞在時間とは、例えば自宅や会社等のように、ある2地点で近似する傾向が強く、その2地点のいずれかに車両の拠点が含まれていることが多い。そこで、上記構成あるいは方法によるように、滞在頻度や滞在時間をもとに2つの地点を特定し、この特定した2地点に対して上記到着地点に基づく拠点の推定を行うことにより、車両の拠点が含まれている蓋然性が高いとして予め特定した発着ポイントの中から車両の拠点を推定することができるようになる。これにより、到着地点の分布を基準として2つの地点を比較するだけで車両の拠点を推定することができるようになり、その推定にかかる円滑化が図られるようになる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記記憶装置に記憶された発着ポイントのうちの前記発進地点が類似する発進地点群をグループ化して分類し、該グループ化した発進地点のうちの1つの発進地点を当該グループの代表地点として定める地点分類部をさらに備えることを要旨とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10のいずれか一項に記載の拠点推定方法において、前記収集するステップにて収集した発着ポイントのうちの前記発進地点が類似する発進地点群をグループ化して分類するステップと、該グループ化した発進地点のうちの1つの発進地点を当該グループの代表地点として定めるステップと、をさらに含むことを要旨とする。
【0020】
上記車両が滞在する地点とは、例えば自宅周辺や自宅付近に存在する駐車場等のように、本来1つの拠点であるにも拘わらず、その滞在位置が類似する範囲でばらつくことも多い。そこで、上記構成あるいは方法によれば、発進地点が類似する複数の発進地点が例えば所定距離の半径以内に存在すること条件に1つのグループにグループ化される。このため、実際には共通の地点であるにも拘わらず、本来1つの拠点に含まれるべき情報が別の地点を示す情報として不用意に細分化されることもない。これにより、共通した発進地点から発散する到着地点の分布に基づき車両の拠点を推定する上で、共通する発進地点に対する到着地点のバリエーションを顕在化することができるようになる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記地点分類部は、前記類似する発進地点群のグループ化を各発進地点間の距離に基づき実行し、該グループ化した発進地点群の重心を当該グループの前記代表地点として定めることを要旨とする。
【0022】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の拠点推定方法において、前記分類するステップにて、前記類似する発進地点群を各発進地点間の距離に基づいてグループ化し、前記代表地点を定めるステップにて、前記グループ化した発進地点群の重心を当該グループの前記代表地点として定めることを要旨とする。
【0023】
上記構成あるいは方法によれば、上記グループ化された発進地点群の重心が上記車両の拠点を示す代表地点として定められる。このため、上記発着ポイントを漸次記憶して発進地点群をグループ化する上で、その代表地点が、新規な発着ポイントが記憶されたことに伴って極端に変動することもなく、代表地点の安定化、ひいては、車両の拠点と推定する地点の安定化が図られるようになる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記車両は、当該車両の発着ポイントに関する情報を、該情報に基づき当該車両の拠点を推定するセンターに無線送信可能な通信機を備え、前記記憶装置及び前記拠点推定部が前記センターに設けられてなることを要旨とする。
【0025】
請求項13に記載の発明は、請求項8〜12のいずれか一項に記載の拠点推定方法において、前記車両として、当該車両の発着ポイントに関する情報を該情報に基づき当該車両の拠点を推定するセンターに無線送信可能な通信機を備えた車両を対象とし、前記収集するステップと前記推定するステップとを前記センターに実行させることを要旨とする。
【0026】
上記構成あるいは方法によれば、車両の発着ポイントに関する情報が上記センターで一括して管理されるとともに、この発着ポイントに基づく拠点の推定を1つのセンターで行うことができる。このため、車両は、自車両の発着ポイントに関する情報をセンターに送信するだけで、センターにて推定された自車両の拠点に関する情報を得ることができる。また、これにより、センターでの記憶装置の容量の拡大や拠点の推定に必要な各種演算装置等の高機能化が図られるようにもなる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記記憶装置及び前記拠点推定部は、前記車両に搭載されてなることを要旨とする。
【0028】
請求項14に記載の発明は、請求項8〜12のいずれか一項に記載の拠点推定方法において、前記収集するステップと前記推定するステップとを、前記車両に搭載される車両用情報端末に実行させることを要旨とする。
【0029】
上記構成あるいは方法によれば、車両は、発着ポイントに関する情報の記憶から自車両の拠点の推定までを単独で実行することができる。これにより、上記ナビゲーションシステムとしての汎用性が高められるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明にかかるナビゲーションシステム及び拠点推定方法の一実施の形態について、同ナビゲーションシステム、及び同拠点推定方法が適用されるシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】(a)〜(d)は、車両の発進地点のグループ化の一例を示す図。
【図3】(a)は、車両から収集されてグループ化された発進地点の一例を示す図。(b)及び(c)は、グループ化された代表地点から発散する到着地点の分布態様の一例を示す図。
【図4】同実施の形態の車両の拠点の推定手順の一例を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態の車両の拠点の推定態様の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明にかかるナビゲーションシステム及び拠点推定方法を具体化した一実施の形態について図1〜図5を参照して説明する。
【0032】
図1に示すように、本実施の形態のナビゲーションシステム及び拠点推定方法が適用されるシステムは、自動車等の車両100の拠点を推定するセンター200を備えて構成される。
【0033】
このうち、車両100は、同車両100の絶対位置を検出する手段として、例えばGPS110を備えている。GPS110は、車両100の絶対位置を検出するためのGPS衛星信号を受信するとともに、受信したGPS衛星信号に基づいて車両100の位置を検出する。GPS110は、車両100の位置を検出すると、同位置を示す緯度経度情報をナビゲーション装置120に出力する。
【0034】
ナビゲーション装置120は、車両100のドライバに各種運転支援を行う装置であり、例えば、ドライバにより設定された目的地点までの経路案内を行う。このナビゲーション装置120は、図示は省略するが、液晶ディスプレイによって構成される表示装置や音声装置を備えており、これら表示装置による画像案内や音声装置による音声案内を通じて目的地点までの経路案内をドライバに対して行う。
【0035】
また、本実施の形態のナビゲーション装置120には、センター200にて推定された車両100のドライバの自宅等の拠点の緯度経度等を示す拠点情報が登録されている。そして、ナビゲーション装置120は、例えば、車両100のドライバが自宅に帰宅する際には、上記登録されている拠点情報をもとに、車両100の発進した発進地点から自宅に至るまでの経路案内をドライバに対して行う。また、本実施の形態のナビゲーション装置120は、同ナビゲーション装置120が搭載される車両100が電気自動車やプラグイン・ハイブリッドカー等であるときには、車両100に搭載される蓄電池を充電可能な充電スタンドの位置情報をドライバに案内する。すなわち、ナビゲーション装置120は、上記登録されている拠点情報をもとに、ドライバの自宅付近に存在する充電スタンドに関する情報を同ドライバに提供する。また例えば、ナビゲーション装置120は、上記登録されている拠点情報をもとに、ドライバの自宅付近に存在する各種店舗や各種施設に関する情報であるPOI(Point Of Interest)情報を同ドライバに提供する。このように、本実施の形態のナビゲーション装置120は、センター200から提供される拠点情報に基づいてドライバに対する各種運転支援を実行する機能を有している。
【0036】
また、本実施の形態のナビゲーション装置120は、車両100が発進した発進地点と同発進地点を出発した車両100が到着した到着地点とを含む発着ポイントに関する情報を記録する発着ポイント記録部121を備えている。発着ポイント記録部121は、例えば、停車状態にある車両100のアクセサリーポジション(ACC)が、オフ状態からオン状態に切り替えられたときの緯度経度を示す情報をGPS110から取得する。そして、発着ポイント記録部121は、この取得した情報にて示される車両100の位置を、同車両100の発進地点として記録する。また、発着ポイント記録部121は、同発進地点から発進した車両100が目的地点に到着したことに伴い車両100が停止し、アクセサリーポジションがオン状態からオフ状態に切り替えられたときの緯度経度情報をGPS110から取得する。そして、発着ポイント記録部121は、この取得した緯度経度情報にて示される車両100の位置を、上記発進地点に対応する到着地点として記録する。そして、発着ポイント記録部121は、各々対応する発進地点と到着地点とを関連付けするとともに、この関連付けした発進地点と到着地点とを車両100の走行履歴を示す発着ポイントとして記録する。
【0037】
また、車両100は、センター200との相互通信が可能な車載通信機130を備えている。車載通信機130は、例えば、自宅等の発進地点を発進した車両100が到着地点に到着する都度、発着ポイント記録部121にて記録された発着ポイントに関する情報を、上記センター200から拠点情報を得るために必要な情報として、同センター200に送信する。
【0038】
こうした車両100では、同車両100が自宅や会社等の発進地点から各目的地点までの走行や停車に伴ってアクセサリーポジションのオン/オフの切り替えが繰り返される都度、発着ポイントに関する情報が逐次記録され、同記録された情報がセンター200に送信されるようになる。
【0039】
一方、センター200は、車両100との相互通信が可能なセンター通信機210を備えている。センター通信機210は、車両100の車載通信機130から送信された発着ポイントに関する情報を受信するとともに同受信した情報を記憶装置220に出力する。
【0040】
記憶装置220は、センター通信機210を介して車両100から取得される発着ポイントに関する情報が記憶される装置である。この記憶装置220には、車両100の走行及び停車に伴ってその発着ポイントに関する情報が車載通信機130から適宜送信されることによって、拠点の推定対象となる車両100の発着ポイントに関する情報が漸次蓄積される。また、記憶装置220には、発着ポイントに関する情報が推定対象とする車両を単位として記憶される。なお、車両毎に記憶される発着ポイントに関する情報は、例えば、車両毎に固有の車両ID等に基づいて各別に管理される。
【0041】
また、センター200は、記憶装置220に蓄積された発着ポイントに関する情報をもとに所定の演算を行う演算処理装置230を備えている。演算処理装置230は、例えば演算装置、不揮発性メモリ(ROM)、揮発性メモリ(RAM)などを有するマイクロコンピュータを中心に構成されている。
【0042】
また、本実施の形態の演算処理装置230は、記憶装置220に蓄積されている発着ポイントのうち、発進地点が類似する発進地点群をグループ化する地点分類部231を備えている。この地点分類部231は、センター200による車両100の拠点の推定に際し、拠点の推定対象とする車両100の各発着ポイントに関する情報を抽出する。そして、地点分類部231は、この抽出した情報にて示される発着ポイントのうち、類似する発進地点群をグループ化する。なお、地点分類部231は、各発進地点が類似するか否かを、例えば各発進地点間の距離が所定の距離以内であるか否かを基準として判定する。そして、地点分類部231は、このグループ化した発進地点群を代表する代表地点を定め、この定めた代表地点の緯度経度情報を、演算処理装置230による各演算結果を保存する演算データ保存部240に出力する。
【0043】
なお、こうした演算処理装置230によるグループ化、代表地点の算出は、例えば発着ポイントに関する情報が記憶装置220に新たに記憶される都度実行される。また、これに伴って、演算データ保存部240に保存される代表地点を示す緯度経度情報も適宜更新される。
【0044】
また、演算処理装置230は、車両100から取得した発着ポイントに関する情報に基づいて同車両100の拠点を推定する拠点推定部232を備えている。この拠点推定部232は、車両100から取得した発着ポイントに関する情報に基づき同車両100が各地点に滞在する頻度を求める滞在頻度演算部232aを備えている。滞在頻度演算部232aは、演算データ保存部240の参照を通じて、地点分類部231にてグループ化された発進地点群のグループを単位として、各グループ化された領域に車両100が滞在する頻度を算出する。なお、滞在頻度演算部232aは、例えば、或るグループに含まれる発進地点の数が多いほど、同グループの代表地点に車両100が滞在する頻度が高いと判定する。
【0045】
このように構成される拠点推定部232は、例えば、車両100から拠点情報の要求があると、滞在頻度演算部232aによる演算結果をもとに、演算データ保存部240に保存されている同車両100についての代表地点の中で滞在頻度が高い上位2つの代表地点を特定する。すなわち、拠点推定部232は、上記グループ化したグループに属する発進地点群の数が多い上位2つのグループを特定する。そして、拠点推定部232は、この特定した上位2つの代表地点が代表するグループに属している発進地点を含んだ発着ポイントに関する情報を、演算データ保存部240から抽出する。その後、拠点推定部232は、この抽出した各発着ポイントを参照して、上位2つの代表地点のうち、各代表地点から発散する到着地点の分布が相対的に多い地点を、車両100の拠点として推定する。そして、拠点推定部232は、センター通信機210を介して、この推定した代表地点の緯度経度情報を要求のあった車両100に配信する。こうして、車両100には、同推定された代表地点の緯度経度情報が、同車両100の拠点情報として配信されることとなる。
【0046】
そして、センター200から配信された緯度経度情報が車載通信機130を介して車両100に配信されると、この配信された緯度経度情報が同車両100の拠点情報として上記ナビゲーション装置120に登録される。こうして、ナビゲーション装置120では、この拠点情報の参照を通じて各種運転支援が行われるようになる。
【0047】
次に、本実施の形態の地点分類部231による代表地点の設定態様について図2を参照して説明する。
【0048】
図2(a)に示すように、はじめに、車両100の発進地点Sa1の緯度経度情報を含んだ発着ポイントに関する情報が車両100から取得されると、この発着ポイントに含まれる発進地点Sa1が、同発進地点Sa1を中心とした円状の領域Aの代表地点として規定される。なお、円状の領域Aの半径rは、例えば「150m程度」に設定される。すなわち、上記ナビゲーション装置120を含め一般のナビゲーション装置では通常、目的地点までの経路案内が、車両100が目的地点から「150m程度」に接近したときに終了する。よって、本実施の形態では、こうした案内が終了されたときの距離と円状の領域Aの半径rとを一致させることにより、実際の拠点と上記代表地点との間に誤差が存在したとしても、この誤差がナビゲーション装置120による経路案内に反映されないようになっている。
【0049】
次に、図2(b)に示すように、発進地点Sa2の緯度経度情報を含んだ発着ポイントに関する情報が車両100から取得されると、この発進地点Sa2の緯度経度(X、Y)が円状の領域A内に包含されていることから、同発進地点Sa2は、はじめに取得された発進地点Sa1が属するグループに分類される。すなわち、GPS110にて検出される車両100の緯度経度とは、同GPS110の検出誤差による数m〜数十m程度の誤差を含んでいることが多く、同誤差に起因して、車両100が同一の駐車位置に駐車されているにも拘わらず発進地点の緯度経度が相違する場合が生じる。また、車両100が同一の目的地に滞在していたとしても、同車両100の駐車位置が相違するときには、これに伴って発進地点の緯度経度が相違することとなる。そこで、本実施の形態の地点分類部231は、円状の領域Aに包含される発進地点については、共通する地点に滞在していた車両100から取得されたものとして取り扱う。
【0050】
また、本実施の形態では、同図2(b)に示すように、円状の領域Aに包含される発進地点Sa2を示す発着ポイントに関する情報が車両100から新たに取得されると、円状の領域Aの代表地点は、発進地点Sa1から、同発進地点Sa1と発進地点Sa2との重心Sagへと更新される。
【0051】
なお、この代表地点の更新に際しては、更新後の代表地点の緯度経度を「Xgn」、更新前の代表地点の緯度経度を「Xgo」、車両100から新たに取得される発進地点の緯度経度を「Xsn」、円状の領域(グループ)に含まれる発進地点の数を「N」とするとき、以下の式によって求められる。
【0052】

Xgn=N・Xgo+Xsn/N+1

こうして、図2(c)に示すように、新たな発進地点を含んだ発着ポイントに関する情報が車両100から取得される都度、円状の領域Aの代表地点Sagが適宜更新されるようになる。これにより、本実施の形態では、円状の領域Aに包含可能な発進地点の緯度経度を示す情報が車両100から新たに取得されると、同取得された発進地点の緯度経度が同領域Aの代表地点Sagの緯度経度に反映されるようになっている。また、このように、本実施の形態では、各グループに属する発進地点の重心を同グループの代表地点Sagとして定めることにより、車両100から適宜取得される発進地点の緯度経度を代表地点Sagの緯度経度に反映させつつも、同領域Aの代表地点Sagが極端に変動することが抑制されるようになる。
【0053】
一方、図2(d)に示すように、円状の領域Aを超える発進地点Sb1の緯度経度を示す情報が車両100から新たに取得されると、円状の領域Aとは異なるグループとして、同発進地点Sb1を代表地点Sbgとする円状の領域Bのグループが新たに規定される。
【0054】
こうして、本実施の形態では、車両100の発進地点を含んだ発着ポイントに関する情報が取得される都度、距離が類似する発進地点のグループ化、同グループ化されたグループを代表する代表地点の設定・更新が適宜行われるようになる。これにより、本実施の形態では、或るグループに包含される発進地点群に対応する到着地点群は、同グループの代表地点から発散する到着地点群、すなわち、共通する発進地点から発散する到着地点群として取り扱われることとなる。
【0055】
なお、本実施の形態では、車両100から新たに取得された発進地点が隣接する複数のグループの領域に属する場合には、同発進地点は、同発進地点との距離が最も近い代表地点が代表するグループに包含される。また、本実施の形態では、車両100から新たに取得された発進地点が上記グループ化された円状の領域内に位置していたとしても、同領域の代表地点と同発進地点との間に河川等の水域や線路等が存在するときには、同発進地点を代表地点とする新たなグループが設定される。これにより、上記グループ化及び代表地点の設定が、実際の道路環境に即して行われるようになっている。
【0056】
次に、本実施の形態の拠点推定部232による拠点の推定態様について図3を参照して説明する。
【0057】
図3(a)に示すように、上記地点分類部231により各々グループ化された車両100の発進地点群のグループG1〜Gnが演算データ保存部240に保存されていたとする。ここで、拠点推定部232はまず、この発進地点群のグループG1〜Gnの中で車両100の滞在頻度が高い上位2つのグループを特定する。ここでの例では、まず、円状の領域に包含されている発進地点の数が演算データ保存部240に保存されているグループの中で最多となるグループG1が特定される。そして、同グループG1の次に円状の領域に包含されている発進地点の数が多いグループG2が特定される。
【0058】
次いで、この特定したグループG1及びG2に各々包含されている発進地点の数の差が、微小なものであるか否かが判定される。ここでは、例えば、グループG1及びG2に各々包含されている各発進地点の数の差がグループG1に包含されている発進地点の数の一割以下であるときに、同各発進地点の数の差は微小なものであると判定される。なお、上位2つのグループG1及びG2に各々包含されている各発進地点の数の差が、グループG1に包含されている発進地点群の数の一割を超えるときには、各グループG1〜Gnの中で車両100の滞在頻度が特に高くなるグループG1に、車両100の拠点が含まれている可能性が高いことが経験的に確認されている。また同様に、上位2つのグループG1及びG2に各々包含されている各発進地点の数の差がグループG1に包含されている発進地点の数の一割以下であるときには、各グループG1及びG2のいずれにも車両100の拠点が含まれている可能性が高いことが経験的に確認されている。
【0059】
そして、拠点推定部232は、各グループG1及びG2に各々包含されている各発進地点の数の差が微小なものであるとき、それらグループG1及びG2に包含されている各発進地点から発散する到着地点の分布に基づいて、各グループG1及びG2のいずれの代表地点を車両100の拠点とするかを決定する。
【0060】
ここでの例では、図3(b)に例示するように、最も滞在頻度が高いグループG1に包含される発進地点群に対応する到着地点群G1a〜G1nの大多数は、同グループG1の代表地点Sg1から一定の方向に向かって分布する傾向にある。このため、同グループG1の代表地点Sg1から発散する到着地点群G1a〜G1nの方向や距離等のバリエーションも限られたものとなっている。
【0061】
一方、図3(c)に例示するように、グループG1の次に滞在頻度が高いグループG2に包含される発進地点群に対応する到着地点群G2a〜G2nは、同グループG2の代表地点Sg2から多方面に向かって分布する傾向にある。そして、同グループG2の代表地点Sg2から発散する到着地点群G2a〜G2nの方向や距離等のバリエーションは多様なものとなっている。このため、同代表地点Sg2から発散する到着地点群G2a〜G2nの方向や距離等のバリエーションは、上記グループG1の代表地点Sg1から発散する到着地点群G1a〜G1nの方向や距離等のバリエーションよりも多様なものとなっている。
【0062】
そこで、本実施の形態の拠点推定部232は、各グループG1及びG2の各代表地点Sg1及びSg2のうち、発散する到着地点群のバリエーションが多様なグループG2の代表地点Sg2を、車両100の拠点として決定する。すなわち、例えばグループG1に包含される発進地点群が車両100のドライバが所属する会社の駐車場等を示したものである場合には、会社を発進した車両100の到着地点は自宅のように限られた地点となる傾向が強く、発進地点に対する到着地点のバリエーションは少なくなることを示している。一方、例えばグループG2に包含される発進地点群が車両100のドライバの拠点となる自宅を示したものである場合には、自宅を発進した車両100の到着地点は会社や各店舗等のように多様な地点となる傾向が強く、発進地点に対する到着地点のバリエーションも多様になることを示している。
【0063】
本実施の形態では、このように車両100の発進地点から発散する到着地点の分布に基づき車両100の拠点を推定することにより、同分布が多様となる車両100の拠点を的確に推定することが可能となる。
【0064】
以下、図4及び図5を参照して、本実施の形態のナビゲーションシステム及び拠点推定方法の作用を説明する。
【0065】
図4に示すように、車両100の拠点の推定に際してはまず、拠点の推定対象とされる車両100の発着ポイントに関する情報が同車両100からセンター200に適宜送信されることにより、車両100の発進地点や対応する到着地点の緯度経度情報がセンター200に収集される(ステップS100)。次いで、センター200に収集された発着ポイントに関する情報が記憶装置220に漸次記憶される(ステップS101)。
【0066】
そして、車両100から拠点情報の要求があるまでは、記憶装置220に記憶された発着ポイントに含まれる情報のうち、類似する発進地点群のグループ化が実行される(ステップS102:NO、S103)。次いで、このグループ化された発進地点群の代表地点が定められるとともに、同グループ化された発進地点群のグループを単位として、車両100の滞在頻度がカウントされる(ステップS104、S105)。すなわち、ステップS105では、各グループに包含される発進地点の数がカウントされる。こうして、このカウントされた滞在頻度、各グループに属する発進地点を含んだ発着ポイントに関する情報、代表地点の緯度経度情報等が演算データ保存部240に保存、更新されることとなる(ステップS106)。
【0067】
一方、車両100から拠点情報の要求があると、先のステップS105にてカウントされた滞在頻度のうち、滞在頻度が高い上位2つのグループが特定される(ステップS110)。そして、この特定された2つのグループの滞在頻度の差が所定の閾値以内であるか否かが判定される(ステップS111)。なお、ここでの例では、同閾値として、滞在頻度が最も高いとして特定されたグループに属する発進地点の数の一割に相当する値が設定される。
【0068】
そして、滞在頻度が高い上位2つのグループの滞在頻度の差が上記閾値以内であるとき、この2つのグループのうち、同グループに含まれる発進地点から発散する到着地点の分布が多様なグループが特定される(ステップS111:YES、S112)。そして、この特定されたグループの代表地点の緯度経度情報が演算データ保存部240から抽出されるとともに、同代表地点が車両100の拠点であると推定される(ステップS113)。これにより、図5に例示するように、車両100の走行履歴が反映される発着ポイントのうち、車両100が発進した発進地点から発散する到着地点のバリエーションが多様な地点Pが車両100の拠点として推定されるようになる。こうして、図4に示すように、この推定された拠点の緯度経度情報が、要求のあった車両100に配信されることとなる(ステップS114)。
【0069】
また一方、滞在頻度が高い上位2つのグループの滞在頻度の差が所定の閾値を超えているときには、滞在頻度が高い上位2つのグループのうち、滞在頻度が高いグループの代表地点が車両100の拠点であると推定される(ステップS111:NO、S115)。そして、この推定された拠点の緯度経度を示す情報が、要求のあった車両100に配信されることとなる(ステップS114)。
【0070】
以上説明したように、本実施の形態にかかるナビゲーションシステム及び拠点推定方法によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0071】
(1)車両100が発進した発進地点と同発進地点を出発した車両100が到着した到着地点とを含む発着ポイントに関する情報を、センター200にて収集した。そして、収集した発着ポイントのうち、共通した発進地点から発散する到着地点の分布が相対的に多い発進地点を車両100の拠点として推定した。このため、車両100の発着ポイントのバリエーションに基づいて同車両100の拠点を的確に推定することができるようになる。これにより、車両100の拠点を高い精度のもとに推定することができるようになるとともに、同車両100の拠点の推定を通じてナビゲーションシステムとしての利便性が向上されるようになる。
【0072】
(2)拠点の推定対象とされる車両100が発進地点に滞在していた滞在頻度を求めるとともに、同滞在頻度を加味して車両100の拠点を推定した。これにより、上記到着地点の分布と滞在頻度といった2つ要素に基づいて車両100の拠点を推定することができるようになり、その推定精度のさらなる向上が図られるようになる。
【0073】
(3)車両100の到着地点の分布に基づく拠点の推定にあたり、車両100の発着ポイントから滞在頻度が高い上位2つのグループを特定した。そして、この特定したグループに包含される発進地点群の数が近似するとき、この特定したグループに属する発進地点から発散する到着地点の分布が態様なグループの代表地点を車両100の拠点として推定した。このため、滞在頻度が高いために車両100の拠点が含まれている蓋然性が高いとして予め特定された2つのグループの代表地点に対して、発進地点から発散する到着地点の分布態様に基づいた拠点の推定処理を実行することができるようになる。これにより、到着地点の分布を基準として2つの代表地点を比較するだけで車両100の拠点を推定することができるようになり、その推定処理にかかる円滑化が図られるようになる。
【0074】
(4)上記記憶装置220に記憶された発着ポイントのうちの発進地点が類似する発進地点群をグループ化して分類し、このグループ化した発進地点のうちの1つの発進地点を当該グループの代表地点として定めることとした。このため、本来同一の地点であるにも拘わらずGPS110の検出精度や車両100の駐車位置の相違に起因してGPS110にて検出される緯度経度が相違する場合であっても、同緯度経度によって示される地点を共通する一つの地点として取り扱うことができる。このため、実際には共通の地点であるにも拘わらず、本来1つの拠点に含まれるべき情報が別の地点を示す情報として不用意に細分化されることもない。これにより、共通した発進地点から発散する到着地点の分布に基づき車両100の拠点を推定する上で、共通する発進地点に対する到着地点のバリエーションを顕在化することができるようになる。
【0075】
(5)類似する発進地点群のグループ化を各発進地点間の距離に基づき実行し、このグループ化した発進地点群の重心を当該グループの代表地点として定めることとした。このため、上記発着ポイントを漸次記憶して発進地点群をグループ化する上で、その代表地点が、新規な発着ポイントが記憶されたことに伴って極端に変動することもなく、代表地点の安定化、ひいては、車両の拠点と推定する地点の安定化が図られるようになる。
【0076】
(6)上記地点分類部231及び拠点推定部232をセンター200に備えるとともに、同センター200と車両100との間での発着ポイントに関する情報や拠点情報の授受を無線通信にて行った。このため、車両100の発着ポイントに関する情報が上記センター200で一括して管理されるとともに、この発着ポイントに基づく拠点の推定を1つのセンター200で行うことができる。これにより、車両100は、自車両の発着ポイントに関する情報をセンター200に送信するだけで、センター200にて推定された自車両の拠点に関する情報を得ることができる。また、これにより、センター200での記憶装置220の容量の拡大や拠点の推定に必要な各種演算装置等の高機能化が図られるようにもなる。
【0077】
なお、上記実施の形態は、以下のような形態をもって実施することもできる。
【0078】
・上記拠点推定部232により推定した車両100の拠点情報を、同車両100の拠点情報としてナビゲーション装置120に自動的に登録することとした。これに限らず、例えば、センター200にて推定された拠点情報がナビゲーション装置120に入力にて取得されたとき、同取得された拠点情報によって示される地点を車両100の拠点として登録するか否かを車両100のドライバに選択可能な態様で提示するようにしてもよい。この場合には、例えば、ナビゲーション装置120を構成する液晶ディスプレイや音声装置を介した画像案内や音声案内を通じて、ドライバに対する拠点の提示が行われる。また、同提示された拠点を拠点とすることをドライバが拒んだ場合には、その旨を車両100からセンター200に対して送信させるとともに、上記拠点推定部232による拠点の推定を再度行わせるようにしてもよい。これにより、車両100の拠点を推定しつつも、推定した拠点情報をナビゲーション装置120に登録する上で同車両100のドライバの意図を拠点情報に反映させることができるようになる。
【0079】
・車両100の発進地点や到着地点の緯度経度を、上記GPS110によって取得した。これに限らず、例えば、ナビゲーション装置120に緯度経度情報を含んだ地図情報が存在するときには、同地図情報とドライバによる車両100の車両操作とに基づいて、同車両100の発進地点や到着地点の緯度経度を取得するようにしてもよい。要は、車両100の緯度経度情報を取得することができれば、同緯度経度情報を取得する手段として採用することができる。
【0080】
・上記発着ポイントの記録を、車両100のアクセサリーポジションのオン/オフの切り替えに基づいて行った。これに限らず、例えば、車両100のイグニッションキーのオン/オフの切り替えに基づいて発着ポイントの記録を行うようにしてもよい。要は、車両100の発進、目的地点への到着を認識可能なものであれば、上記発着ポイントを記録する際の手段とすることができる。
【0081】
・上記代表地点として定められた地点から「150m」を半径とした円状の領域によって、発進地点群の距離が近似する一つのグループを形成した。これに限らず、類似する発進地点群を決定する領域の範囲は任意であり、「150m」未満を半径とする円状の領域であっても、「150m」を超える円状の領域であってもよい。なおこの場合であれ、同領域を定める半径と上記ナビゲーション装置120による経路案内が終了するときの目的地点までの距離とを一致させることにより、グループの代表地点と実際の拠点との間に誤差が存在したとしても、同誤差がナビゲーション装置120による経路案内に反映されないようになる。
【0082】
・上記地点分類部231による類似する発進地点群のグループ化を、代表地点を中心とした円状の領域に基づいて行うこととした。これに限らず、同グループ化を、例えば、矩形状の領域や三角形状の領域、多角形状の領域等に基づいて行うことも可能である。なお、この場合にも、各領域の重心を各領域の代表地点として定めることができる。この場合であれ、上記(5)に準じた効果を得ることができる。
【0083】
・上記グループ化された領域の代表地点を、同領域の重心に設定した。これに限らず、各グループ化された領域の代表地点とは、同領域内に包含される地点であればよく、例えば、記憶装置220にはじめに記憶された発進地点を、同地点を中心とした所定の領域を代表する地点をして固定することも可能である。
【0084】
・上記演算処理装置230に、発進地点が類似する発進地点群をグループ化する地点分類部231を設けることとした。これに限らず、同地点分類部231を割愛する構成とし、類似する発進地点群のグループ化を行わないこととしてもよい。この場合には、記憶装置220に記憶されている発進地点の緯度経度が相違するときには、各発進地点は各別の地点を示すものとして取り扱われることとなる。またこの場合には、記憶装置220に記憶されている発進地点の緯度経度が共通するとき、同共通する発進地点の数のカウントを通じて上記車両100の滞在頻度が求められることとなる。
【0085】
・滞在頻度が高い上位2つの発進地点における車両100の滞在頻度が近似するか否かを、同2つの発進地点での車両100の滞在頻度の差が、滞在頻度が最も高い地点での車両100の滞在頻度の一割以下であるか否かに基づいて判定した。これに限らず、同判定の基準とする値は、滞在頻度が最も高い地点での車両100の滞在頻度の一割未満に相当する値や、同滞在頻度の一割を超える値であってもよい。
【0086】
・共通する発進地点から発散する到着地点の分布に基づく拠点の推定を、滞在頻度が高い上位2つの発進地点に限定して行った。これに限らず、例えば、滞在頻度が高い上位3つ以上の発進地点を予め特定し、この特定した発進地点に対して同発進地点から発散する到着地点の分布に基づく拠点の推定を行うようにしてもよい。
【0087】
・共通する発進地点から発散する到着地点の分布に基づく拠点の推定を、車両100の滞在頻度に基づいて予め限定された発進地点に基づいて行った。これに限らず、例えば、上記車両100に搭載されている発着ポイント記録部121にて、車両100が発進地点を発進したときの時刻と同発進地点を発進した車両100が到着地点に到着したときの時刻を、各地点の緯度経度情報と共に記録するようにしてもよい。そして、この時刻に関する情報を、上記発着ポイントに関する情報に含めるようにしてもよい。この場合には、センター200の記憶装置220には、車両100の発進地点や到着地点の緯度経度情報とともに該当する時刻に関する情報が蓄積される。そして、拠点推定部232は、記憶装置220に記憶されている時刻に関する情報から、同車両100が各発進地点に滞在していた滞在時間を算出し、同算出した滞在時間に関する情報を各発進地点の緯度経度情報とともに上記演算データ保存部240に保存する。また、拠点推定部232は、車両100の拠点の推定に際しては、演算データ保存部240に保存した滞在時間に関する情報に基づいて、車両100の滞在時間の合計値や平均値が相対的に長い発進地点を特定する。そして、拠点推定部232は、この特定した発進地点に対して、同発進地点から発散する到着地点の分布に基づいた拠点の推定を行う。この場合であれ、車両100の滞在時間を加味した推定を行うことにより、上記(2)、(3)に準じた効果を得ることができる。またこの他、滞在時間と滞在頻度との合計値に基づいて、発進地点から発散する到着地点の分布に基づく拠点の推定対象を予め限定するようにしてもよい。
【0088】
・上記センター200に、演算処理装置230による演算結果を保存する演算データ保存部240を設けた。これに限らず、同演算データ保存部240を割愛する構成とし、例えば、演算処理装置230による演算結果を上記記憶装置220に保存するようにしてもよい。
【0089】
・上記車両100の拠点の推定を、同車両100の発進地点での滞在頻度や滞在時間を加味して行うこととした。これに限らず、共通する発進地点から発散する到着地点の分布のみに基づいて車両100の拠点を推定してもよい。この場合であれ、上記(1)の効果を得ることは可能である。
【0090】
・上記車両100の拠点として、車両100のドライバの自宅を推定した。これに限らず、例えば、拠点の推定対象とする車両が法人に帰属する場合には、同法人の所在地等を車両の拠点とすることができる。この場合であれ、同法人の所在地から発進する車両の到着地点の分布は、到着地点のバリエーションに相関して多様なものとなることから、車両の滞在頻度や滞在時間に依存することなく車両の拠点を的確に推定することができる。
【0091】
・上記車両100の拠点の推定を、発着ポイントに関する情報が集約されるセンター200にて行うこととした。これに限らず、上記地点分類部や拠点推定部を車両に設けることとし、これら上記地点分類部や拠点推定部によって車両の拠点するようにしてもよい。この場合には、車両単体での拠点の推定が可能となり、上記ナビゲーションシステム及び拠点推定方法としての汎用性が拡大されるようになる。
【符号の説明】
【0092】
100…車両、110…GPS、120…ナビゲーション装置、121…発着ポイント記録部、130…車載通信機、200…センター、210…センター通信機、220…記憶装置、230…演算処理装置、231…地点分類部、232…拠点推定部、232a…滞在頻度演算部、240…演算データ保存部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転支援の対象とする車両の拠点を推定するナビゲーションシステムにおいて、
車両が発進した発進地点と該発進地点を出発した車両が到着した到着地点とを含む発着ポイントに関する情報を漸次記憶する記憶装置と、該記憶装置に記憶された発着ポイントのうち、共通した発進地点から発散する到着地点の分布が相対的に多い発進地点を前記車両の拠点として推定する拠点推定部と、を備える
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記記憶装置には、前記発進地点に前記車両が滞在する滞在頻度もしくは滞在時間が該当する発着ポイントに関する情報とともに記憶されてなり、
前記拠点推定部は、前記滞在頻度及び前記滞在時間の少なくとも1つを加味して前記車両の拠点を推定する
請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記拠点推定部は、前記到着地点の分布に基づく拠点の推定にあたり、前記記憶装置に記憶された発着ポイントから、滞在頻度が高い上位2地点、もしくは前記滞在時間が長い上位2地点、もしくは前記滞在頻度及び前記滞在時間の合計値が大きい上位2地点を特定し、該特定した上位2地点の滞在頻度もしくは滞在時間もしくは前記滞在頻度及び前記滞在時間の合計値が近似するとき、同特定した上位2地点の発着ポイントを前記到着地点の分布に基づく拠点の推定に用いる
請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記記憶装置に記憶された発着ポイントのうちの前記発進地点が類似する発進地点群をグループ化して分類し、該グループ化した発進地点のうちの1つの発進地点を当該グループの代表地点として定める地点分類部をさらに備える
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記地点分類部は、前記類似する発進地点群のグループ化を各発進地点間の距離に基づき実行し、該グループ化した発進地点群の重心を当該グループの前記代表地点として定める
請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記車両は、当該車両の発着ポイントに関する情報を、該情報に基づき当該車両の拠点を推定するセンターに無線送信可能な通信機を備え、
前記記憶装置及び前記拠点推定部が前記センターに設けられてなる
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーションシステムにおいて、
前記記憶装置及び前記拠点推定部は、前記車両に搭載されてなる
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項8】
運転支援の対象とする車両の拠点を推定する拠点推定方法において、
車両が発進した発進地点と該発進地点を出発した車両が到着した到着地点とを含む発着ポイントに関する情報を収集するステップと、該収集した発着ポイントのうち、共通した発進地点から発散する到着地点の分布が相対的に多い発進地点を前記車両の拠点として推定するステップと、を含む
ことを特徴とする拠点推定方法。
【請求項9】
前記収集するステップにて、前記発進地点に前記車両が滞在する滞在頻度もしくは滞在時間を該当する発着ポイントに関する情報とともに収集し、前記推定するステップにて、前記収集した前記滞在頻度及び前記滞在時間の少なくとも1つを加味して前記車両の拠点を推定する
請求項8に記載の拠点推定方法。
【請求項10】
請求項9に記載の拠点推定方法において、
前記推定するステップに先立つステップとして、前記収集するステップにて収集した発着ポイントから、滞在頻度が高い上位2地点、もしくは前記滞在時間が長い上位2地点、もしくは前記滞在頻度及び前記滞在時間の合計値が大きい上位2地点を特定するステップと、該特定した上位2地点の滞在頻度もしくは滞在時間もしくは前記滞在頻度及び前記滞在時間の合計値が近似するか否かを判定するステップと、をさらに含み、
前記推定するステップにて、前記判定するステップで滞在頻度もしくは滞在時間もしくは前記滞在頻度及び前記滞在時間の合計値が近似すると判定した上位2地点の発着ポイントを、前記到着地点の分布に基づく拠点の推定に用いる
ことを特徴とする拠点推定方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか一項に記載の拠点推定方法において、
前記収集するステップにて収集した発着ポイントのうちの前記発進地点が類似する発進地点群をグループ化して分類するステップと、該グループ化した発進地点のうちの1つの発進地点を当該グループの代表地点として定めるステップと、をさらに含む
ことを特徴とする拠点推定方法。
【請求項12】
前記分類するステップにて、前記類似する発進地点群を各発進地点間の距離に基づいてグループ化し、前記代表地点を定めるステップにて、前記グループ化した発進地点群の重心を当該グループの前記代表地点として定める
請求項11に記載の拠点推定方法。
【請求項13】
請求項8〜12のいずれか一項に記載の拠点推定方法において、
前記車両として、当該車両の発着ポイントに関する情報を該情報に基づき当該車両の拠点を推定するセンターに無線送信可能な通信機を備えた車両を対象とし、前記収集するステップと前記推定するステップとを前記センターに実行させる
ことを特徴とする拠点推定方法。
【請求項14】
請求項8〜12のいずれか一項に記載の拠点推定方法において、
前記収集するステップと前記推定するステップとを、前記車両に搭載される車両用情報端末に実行させる
ことを特徴とする拠点推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−221209(P2012−221209A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86108(P2011−86108)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】