説明

ナビゲーション装置、およびナビゲーション装置における地図の表示方法

【課題】 車内に設置された複数のモニタにそれぞれ異なる表示形態の地図を表示すること。
【解決手段】 地図データを各レイヤごとに異なるチャネルに割り当ててIEEE1394インターフェース108を介してアイソクロナス転送により前席用モニタ109、および後席用モニタ110に転送する。前席用モニタ109、および後席用モニタ110は、入力装置109a、および110aで設定された地図の表示形態に基づいて、必要なチャネルのデータのみを取り出して地図を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されたナビゲーション装置、およびナビゲーション装置における地図の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者用表示装置と同乗者用表示装置のそれぞれに異なる地点の地図を表示することができるナビゲーション装置が特許文献1によって知られている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−248482号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のナビゲーション装置においては、運転者用表示装置と同乗者用表示装置とに地図を表示する場合に、道路地図とともに表示する補助情報を、それぞれの表示装置で同一のものしか表示できないという問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、レイヤ構造を有する地図データを各レイヤごとに複数の表示モニタへ転送し、複数の表示モニタは、転送された各レイヤごとのデータから、個別に設定された地図の表示形態に対応したレイヤのデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とする。本発明はまた、レイヤ構造を有する地図データを各レイヤごとに車両の前部座席に設置した第1の表示手段、および車両の後部座席に設置した第2の第2の表示手段へ転送し、第1の表示手段、および第2の表示手段は、転送された各レイヤごとのデータから、個別に設定された地図の表示形態に対応したレイヤのデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、設置された複数のモニタは、個別に設定された地図の表示形態に対応したレイヤのデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することができるため、それぞれのモニタに異なる補助情報を表示した地図を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
―第1の実施の形態―
図1は、第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は車両に搭載され、自車両の車速を検出する車速センサ101と、GPS衛星からのGPS信号を受信して自車両の現在地を検出するGPSユニット102と、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロ103と、渋滞報などの交通情報を含むVICS情報を受信するVICS情報受信装置104と、地図データを格納する地図ディスク105aを読み取るディスク読取装置105と、制御装置106と、スピーカー107とを備えている。
【0008】
ナビゲーション装置100はまた、IEEE1394インターフェース108を備えており、車両の前部座席(前席)に設置されて後述する地図情報を表示する前席用モニタ109と、後部座席(後席)に設置される後席用モニタ110とが、IEEE1394ケーブルで接続されている。前席用モニタ109、および後席用モニタ110は、それぞれ使用者によって操作可能な入力装置109a、および入力装置110aを有しており、またそれぞれが個別にCPU109b、およびCPU110bを有している。
【0009】
入力装置109a、および入力装置110aは、図2に示すようにジョイスティック2a、モード切替ボタン2b、広域ボタン2c、および詳細ボタン2dとを備えている。使用者は、モード切替ボタン2bを操作することにより後述する地図の表示モードを切り替えることができ、これによって前席用モニタ109および後席用モニタ110にそれぞれが独立した表示形態で地図を表示することができる。すなわち、前席用モニタ109と後席用モニタ110とに表示する地図において、道路地図とともに表示する施設情報や交通情報などの補助情報の種類をそれぞれ異なるものにすることができる。また、広域ボタン2c、および詳細ボタン2dを操作することによって地図の縮尺を切り替えることができる。
【0010】
ジョイスティック2aは、上下方向、および左右方向の4方向に傾けて操作することができる。ジョイスティック2aの操作方向には、図7で後述するように、モード切替ボタン2bによって切り替え可能な地図の表示モードの1つが対応付けられており、使用者がジョイスティック2aを傾けると、その傾けた操作方向に対応する表示モードによる地図表示に変更することができる。
【0011】
制御装置106は、GPSユニット102によって検出された自車両現在位置の周辺の所定範囲、例えば周囲2kmの地図をディスク読取装置105を介して地図ディスク105aから読み込み、読み込んだ地図上に自車位置マークを描画して表示用データを生成する。その表示用データは、前席用モニタ109および後席用モニタ110に転送される。このとき、あらかじめ設定された所定の縮尺の地図が、振動ジャイロ103で検出した自車両の進行方向を画面上部にして表示される。
【0012】
地図ディスク105aに格納されている地図データは、レイヤ構造を有しており、本実施の形態においては、例えば、道路データで構成される地図情報と、駐車場やコンビニエンスストアなどの施設データで構成される施設情報とが別ファイルで格納されている。なお、本実施の形態では、VICS情報受信装置104で受信した交通情報も別ファイルで管理し、この交通情報は、地図情報および施設情報とともに地図データとしてレイヤを構成する。制御装置106は、これら別ファイルで管理されている各レイヤ、すなわち地図情報、施設情報、および交通情報を重ね合わせて表示用地図データを生成し、前席用モニタ109、および後席用モニタ110にそれぞれ道路地図を表示するためのデータを転送する。
【0013】
図3は、第1の実施の形態における地図データのデータ構造を模式的に示した図である。地図ディスク105aには、図3(a)に示すように地図情報と図3(c)に示す施設情報とが格納されており、VICS情報受信装置104は図3(b)に示す交通情報を受信する。これらのデータは、地図情報を第1階層、交通情報を第2階層、および施設情報を第3階層とする階層構造(レイヤ構造)を構成し、後述するように各階層を任意に重ね合わせることによって地図を生成する。
【0014】
本実施の形態においては、ディスク読取装置105で読み取られた地図情報、施設情報、およびVICS情報受信装置104で受信した交通情報は、制御装置106の制御の下に、IEEE1394インターフェース108を介して、IEEE1394の標準仕様として提供されているアイソクロナス転送により前席用モニタ109と後席用モニタ110とに同期転送され、個別に設定された表示モードに応じた内容が各モニタに表示される。すなわち、あらかじめ設定された一定時間を1サイクルとし、サイクルパケット(Cycle Start Packet)により区切られた1サイクルの間に、各レイヤごとに割り当てたチャネル単位のデータを順番に転送する。
【0015】
図4は、各レイヤの情報、すなわち地図情報、施設情報、および交通情報をIEEE1394インターフェース108を介してアイソクロナス転送により同期転送する場合の具体例を模式的に示した図である。サイクルパケット4aに続けてチャネル0(CH0)に割り当てた地図情報、チャネル1(CH1)に割り当てた施設情報、およびチャネル2(CH2)に割り当てた交通情報が順番に前席用モニタ109、および後席用モニタ110に転送される。
【0016】
前席用モニタ109、および後席用モニタ110は、初期状態では第1階層の地図情報のみを表示し、使用者からの表示モード変更指示に基づいて、第2階層の施設情報や第3階層の交通情報を重ね合わせて表示する。すなわち、前席用モニタ109、および後席用モニタ110は、初期状態では、制御装置106を介して転送されてくるチャネル0〜チャネル2のうち、チャネル0のデータのみを取り出して表示する。そして、使用者によって入力装置109a、および入力装置110aが操作され、地図の表示モードの変更指示がなされると、以下に説明するように地図の表示モードを変更して、前席用モニタ109、および後席用モニタ110にそれぞれが独立した表示形態、すなわち表示モードで地図を表示する。
【0017】
本実施の形態において、前席用モニタ109、および後席用モニタ110に表示する地図の表示モードは、図5に示すA〜Dの4つのモードがある。以下、各モードについて説明する。
【0018】
(1)表示モードA
表示モードAは、チャネル0のデータのみを取り出して、第1階層の地図情報のみを表示するモード、すなわち上述した初期状態に該当するモードである。
(2)表示モードB
表示モードBは、チャネル0のデータとチャネル2のデータとを取り出して、第1階層の地図情報に第3階層の交通情報を重ね合わせた地図を表示するモードである。
(3)表示モードC
表示モードCは、チャネル0のデータとチャネル1のデータとを取り出して、第1階層の地図情報に第2階層の施設情報を重ね合わせた地図を表示するモードである。
(4)表示モードD
表示モードDは、チャネル0〜チャネル2の全てのデータを取り出して、第1階層の地図情報に第2階層の施設情報、および第3階層の交通情報を重ね合わせた地図を表示するモードである。
【0019】
上述したA〜Dの表示モードは、入力装置109a、および入力装置110aの各モード切替ボタン2bを押下することによって切り替えることができる。図6は、モード切替ボタン2bを押下したときの、表示モードの遷移を示した図である。使用者によって、モード切替ボタン2bが1回押下されるごとに、表示モードがA〜Dの順番に遷移し、Dの次は再びAに戻って遷移を繰り返す。
【0020】
また、上述したように、ジョイスティック2aによっても表示モードの切替が可能となっており、ジョイスティック2aの操作方向と表示モードとは、図7に示すように対応付けられている。すなわち、使用者がジョイスティック2aを上側に傾けて操作した場合は表示モードAが選択され、下側に傾けて操作した場合には操作モードCが選択される。また、ジョイスティック2aを右側に傾けて操作した場合は表示モードBが選択され、左側に傾けて操作した場合には表示モードDが選択される。
【0021】
以上により、例えば、使用者によって後席モニタ用入力装置110aが操作され、後席用モニタ110には地図情報とともに交通情報も表示するよう指示された場合、すなわち初期状態の表示モードAが表示されている状態からモード切替ボタン2bが1回押下され、表示モードBへの切り替えが指示された場合には、図8に示すように表示モードを切り替える。前席用モニタ109は、チャネル0のデータを取り出して第1階層の地図情報のみの地図8aを表示する。そして、後席用モニタ110は、チャネル0のデータおよびチャネル2のデータを取り出して地図情報と交通情報とを重ね合わせた地図8bを表示する。
【0022】
図9は、第1の実施の形態において制御装置106によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。図9に示す処理は、不図示のイグニションスイッチがオンされると起動するプログラムとして実行される。ステップS500では、アイソクロナス転送による同期転送における1サイクルの開始を示すサイクルパケットを転送する。
【0023】
その後、ステップS501において、地図情報をチャネル0で転送し、ステップS502で施設情報をチャネル1で転送し、ステップS503で交通情報をチャネル2で転送する。その後、ステップS504へ進み、不図示のイグニションスイッチがオフされたか否かを判断し、オフされたと判断した場合には処理を終了する。オフされないと判断した場合には、ステップS500へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0024】
図10は、第1の実施の形態において前席用モニタ109、および後席用モニタ110の動作を示すフローチャートである。図10に示す処理は、不図示のイグニションスイッチがオンされると起動するプログラムとしてCPU109b、およびCPU110bのそれぞれによって独立して実行される。ステップS601において、IEEE1394インターフェース108を介してアイソクロナス転送により同期転送された各チャネルのデータの中から、チャネル0のデータを取り出す。
【0025】
その後、ステップS602へ進み、施設情報の表示が必要か、すなわち選択されている表示モードが、表示モードC、および表示モードDのいずれか一方であるか否かを判断する。施設情報の表示が必要でないと判断した場合には、後述するステップS604へ進む。一方、施設情報の表示が必要であると判断した場合には、ステップS603へ進む。ステップS603では、チャネル1のデータを取り出してステップS604へ進む。
【0026】
ステップS604では、交通情報の表示が必要か、すなわち選択されている表示モードが、表示モードB、および表示モードDのいずれか一方であるか否かを判断する。交通情報の表示が必要ないと判断した場合には、後述するステップS606へ進む。一方、交通情報の表示が必要であると判断した場合には、ステップS605へ進む。ステップS605では、チャネル2のデータを取り出してステップS606へ進む。
【0027】
ステップS606では、取り出した各チャネルのデータに基づいて、データの重ね合わせを行い、前席用モニタ109、および後席用モニタ110に表示する。その後、ステップS607へ進み、不図示のイグニションスイッチがオフされたか否かを判断し、オフされたと判断した場合には処理を終了する。オフされないと判断した場合には、ステップS601へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0028】
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)地図情報、施設情報、および交通情報をアイソクロナス転送により同期転送するにあたって、各レイヤを個別のチャネルに割り当てて順番に送信し、前席用モニタ109、および後席用モニタ110は、指定された表示モードに基づいて、必要なチャネルのデータのみを取り出して表示することとした。これによって、同時刻、同地点の地図を前席用モニタ109と後席用モニタ110とで異なった表示形態で表示することができる。
【0029】
(2)前席用モニタ109と後席用モニタ110のそれぞれに設けた入力装置109aおよび入力装置110aによって、前席用モニタ109と後席用モニタ110に表示する表示モードを適宜変更できるようにした。これによって、前席の乗員と後席の乗員は、それぞれが必要なときに必要な表示モードで地図を表示することができる。
【0030】
―第2の実施の形態―
第2の実施の形態では、前席用モニタ109と後席用モニタ110とに表示する地図の縮尺を独立して変化させる。すなわち、前席用モニタ109および後席用モニタ110ともにあらかじめ設定された所定の縮尺で地図情報を初期表示し、その後、使用者の縮尺変更指示に基づいて前席用モニタ109と後席用モニタ110とに表示する地図情報の縮尺を個別に変更することによって、地図の表示形態を変更する。なお、図1に示したナビゲーション装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図、および図2に示した入力装置109a、および入力装置110aの構成図については、第1の実施の形態と同様のため、説明を省略する。
【0031】
第2の実施の形態におけるナビゲーション装置100においては、地図ディスク105aに格納されている地図データは、その縮尺ごとに別ファイルで格納され、レイヤを構成している。そして、アイソクロナス転送により同期転送するにあたって、各レイヤ、すなわち異なる縮尺の地図情報を個別のチャネルに割り当てて順番に送信し、前席用モニタ109、および後席用モニタ110は使用者によって指定された縮尺の地図情報が割り当てられたチャネルのデータのみを取り出して表示する。
【0032】
使用者は、入力装置109a、および入力装置110aの広域ボタン2c、および詳細ボタン2dを操作してモニタに表示する地図情報の縮尺を変更することができる。すなわち、広域ボタン2cを押下するごとに、現在表示されている縮尺よりも所定の縮小率で縮小した広域地図を表示する。換言すると、現在の縮尺率より小さい縮尺率の広域地図を表示する。また、詳細ボタン2d押下するごとに、現在表示されている縮尺よりも所定の拡大率で拡大した詳細地図を表示する。換言すると、現在の縮尺率より大きい縮尺率の詳細地図を表示する。
【0033】
したがって、例えば、所定の縮尺の地図情報が、あらかじめ設定された初期表示用のチャネル番号、例えばチャネル0(CH0)で転送され、前席用モニタ109、および後席用モニタ110に初期表示された状態において、使用者によって後席モニタ用入力装置110aの詳細ボタン2dが押下されると、制御装置106は、初期表示用のチャネル0以外のチャネル、例えばチャネル3(CH3)に詳細地図を割り当て前席用モニタ109、および後席用モニタ110に転送する。そして、前席用モニタ109は、そのままチャネル0のデータを取り出して広域地図を表示し、後席用モニタ110は、あらかじめ通知された縮尺変更後のチャネル番号、例えばチャネル3のデータを取り出して詳細地図を表示する。
【0034】
図11は、異なる縮尺の地図情報をIEEE1394インターフェース108を介してアイソクロナス転送により同期転送する場合の具体例を模式的に示した図である。サイクルパケット4aに続けてチャネル3に割り当てた詳細地図、およびチャネル0に割り当てた広域地図が順番に前席用モニタ109、および後席用モニタ110に転送される。そして、前席用モニタ109は、チャネル0のデータを取り出して広域地図11aを表示し、後席用モニタ110は、チャネル3のデータを取り出して詳細地図11bを表示する。
【0035】
図12は、第2の実施の形態において制御装置106によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。図12に示す処理は、不図示のイグニションスイッチがオンされると起動するプログラムとして実行される。ステップS1100では、アイソクロナス転送による同期転送における1サイクルの開始を示すサイクルパケットを転送する。その後、ステップS1101において、地図情報をチャネル0で転送する。
【0036】
その後、ステップS1102へ進み、入力装置109aまたは入力装置110aから地図の縮尺変更要求があったか否かを判断する。地図の縮尺変更要求がないと判断した場合には、後述するステップS1105へ進む。一方、地図の縮尺変更要求があったと判断した場合には、ステップS1103へ進む。ステップS1103では、地図の縮尺変更要求があった方のモニタへ、縮尺変更後の地図情報を転送するチャネル番号を通知する。その後、ステップS1104へ進み、要求された縮尺の地図情報を通知したチャネル番号に割り当てて転送する。
【0037】
その後、ステップS1105へ進み、不図示のイグニションスイッチがオフされたか否かを判断し、オフされたと判断した場合には処理を終了する。オフされないと判断した場合には、ステップS500へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0038】
図13は、第2の実施の形態において前席用モニタ109、および後席用モニタ110の動作を示すフローチャートである。図13に示す処理は、不図示のイグニションスイッチがオンされると起動するプログラムとしてCPU109b、およびCPU110bのそれぞれによって独立して実行される。ステップS1201において、地図情報を取得するチャネル番号を初期表示用の地図情報を取得するためのチャネル番号、例えばチャネル0に設定する。その後、ステップS1202へ進む。
【0039】
ステップS1202では、使用者によって入力装置109aまたは入力装置110aが操作され、地図の縮尺変更指示がなされたか否かを判断する。地図の縮尺変更が指示されないと判断した場合には、後述するステップS1206へ進む。一方、地図の縮尺変更が指示されたと判断した場合には、ステップS1203へ進む。ステップS1203では、制御装置106に対して、地図の縮尺変更要求を出す。その後、ステップS1204へ進み、制御装置106から縮尺変更後の地図情報を転送するチャネル番号、例えばチャネル3を取得して、取得したチャネル番号を地図情報を取得するチャネル番号として設定する。その後、ステップS1205へ進む。
【0040】
ステップS1205では、前席用モニタ109、および席用モニタ110は、地図情報を取得するチャネル番号に割り当てられた転送データを取得して、地図を表示する。その後、ステップS1207へ進み、不図示のイグニションスイッチがオフされたか否かを判断し、オフされたと判断した場合には処理を終了する。オフされないと判断した場合には、ステップS1202へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0041】
以上説明した第2の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)異なる縮尺の地図情報を個別のチャネルに割り当ててアイソクロナス転送により同期転送し、前席用モニタ109、および後席用モニタ110は指定された縮尺の地図情報が割り当てられたチャネルのデータのみを取り出して表示することとした。これによって、前席用モニタ109と後席用モニタ110とで異なった縮尺の地図で表示することができる。
【0042】
(2)前席用モニタ109と後席用モニタ110のそれぞれに設けた入力装置109aおよび入力装置110aによって、地図の縮尺変更を適宜行えるようにした。これによって、前席の乗員と後席の乗員は、それぞれが必要なときに必要な縮尺で地図を表示することができる。
【0043】
―変形例―
(1)上述した第1の実施の形態と第2の実施の形態を組み合わせてもよい。すなわち、使用者は地図の表示モードと縮尺とを同時に変更可能とし、使用者からの変更指示に基づいて、設定された縮尺で、地図情報、施設情報、および交通情報を重ね合わせて表示してもよい。
【0044】
(2)上述した第1および第2の実施の形態では、前席用モニタ109、および後席用モニタ110へIEEE1394接続によりアイソクロナス転送する例について説明したが、USB接続によりアイソクロナス転送してもよい。また、その他のアイソクロナス転送が可能なインターフェースを介してデータ転送を行ってもよい。
【0045】
(3)上述した第1の実施の形態では、地図情報、施設情報、および交通情報によってレイヤを構成することとした。しかし、地図ディスク105aに格納されている地図情報および施設情報のみでレイヤを構成してもよく、地図情報、施設情報、および交通情報以外の情報を加えてレイヤを構成してもよい。また、地図情報を第1階層、交通情報を第2階層、および施設情報を第3階層とする階層構造として、各階層を重ね合わせて地図を表示することとしたが、施設情報を第2階層、交通情報を第3階層としてもよい。
【0046】
(4)上述した第1および第2の実施の形態では、地図ディスク105aから読み込んだ地図情報を前席用モニタ109、および後席用モニタ110へ表示する例について説明したが、これに限定されず、以下のように変形してもよい。すなわち、ディスク読取装置105に映画のDVDを挿入し、前席用モニタ109、および後席用モニタ110に映画の映像を表示してもよい。そして、映画のDVDに複数言語の字幕が格納されており、複数言語の字幕の中から任意の一言語を選択して映像を表示できる場合に、前席用モニタ109、および後席用モニタ110に異なる言語の字幕を表示できるようにする。なお、本変形例における映画のDVDは、日本語字幕、英語字幕、および字幕なしの中から任意の1つを選ぶことができ、初期字幕として日本語字幕が設定されているものとする。
【0047】
この場合、図14に示すように入力装置109a、および入力装置110aは字幕ボタン14aを備えており、使用者によって字幕ボタン14aが1回押下されるごとに、初期字幕である日本語字幕から英語字幕、字幕なしの順に字幕モードが遷移する。したがって、使用者によって入力装置109a、または入力装置110aの字幕ボタンが押下され、前席用モニタ109、または後席用モニタ110に表示する字幕が変更された場合には、以下に説明するように字幕の切り替えを行う。
【0048】
例えば、使用者によって入力装置109aの字幕ボタンが1回押下され、前席用モニタ109に表示する字幕が英語字幕に変更された場合には、図15に示すようにアイソクロナス転送により画像と字幕とを前席用モニタ109、および後席用モニタ110に転送して、字幕の切り替えを行う。すなわち、サイクルパケット4aに続けてチャネル4(CH4)に割り当てた画像データ、チャネル5(CH5)に割り当てた日本語字幕データ、およびチャネル6(CH6)に割り当てた英語字幕データが順番に前席用モニタ109、および後席用モニタ110に転送される。
【0049】
前席用モニタ109は、制御装置106から転送されてくるチャネル4のデータ、およびチャネル6のデータを取り出して、映像とともに変更後の字幕である英語字幕を表示した画面15aを表示する。そして、後席用モニタ110は、チャネル4のデータ、およびチャネル5のデータを取り出して、映像とともに初期字幕である日本語字幕を表示した画面15bを表示する。
【0050】
これによって、ナビゲーション装置100を使用して映画を見る場合に、1枚のDVDで提供される同じ映画を、前席用モニタ109と後席用モニタ110とで異なる言語の字幕を表示することができる。
【0051】
(5)上述した第1の実施の形態、第2の実施の形態、および変形例(1)〜(4)では、ナビゲーション装置100は前席用モニタ109と後席用モニタ110との2台のモニタを備える例について説明したが、3台以上のモニタを備えてもよい。この場合、設置される複数のモニタはそれぞれが個別の入力装置を有している。
【0052】
(6)上述した第1の実施の形態、第2の実施の形態、および変形例(1)〜(5)では、ナビゲーション装置100を車両に搭載する例について説明したが、これに限定されず、例えば電車や航空機等の他の移動体に搭載してもよい。
【0053】
特許請求の範囲の構成要素と実施の形態との対応関係について説明する。前席用モニタ109は第1の表示手段に、後席用モニタ110は第2の表示手段に相当する。IEEE1394インターフェース108はデータ転送手段に、入力装置109a、および入力装置110aは設定手段に相当する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の実施の形態におけるナビゲーション装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図2】入力装置109a、および入力装置110aの構成例を示す図である。
【図3】地図データのデータ構造を示した図である。
【図4】地図情報、施設情報、および交通情報をIEEE1394インターフェース108を介してアイソクロナス転送により同期転送する場合の具体例を模式的に示した図である。
【図5】第1の実施の形態でモニタに表示する地図の表示モード一覧を示した図である。
【図6】モード切替ボタン2bを押下したときの、表示モードの遷移を示した図である。
【図7】ジョイスティック2aの操作方向と表示モードとの対応付けを示した図である、
【図8】表示モードの切り替え例を具体的に示した図である。
【図9】第1の実施の形態において制御装置106によって実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
【図10】第1の実施の形態において前席用モニタ109、および後席用モニタ110の動作を示すフローチャート図である。
【図11】異なる縮尺の地図情報をIEEE1394インターフェース108を介してアイソクロナス転送により同期転送する場合の具体例を模式的に示した図である。
【図12】第2の実施の形態において制御装置106によって実行される処理の流れを示すフローチャート図である。
【図13】第2の実施の形態において前席用モニタ109、および後席用モニタ110の動作を示すフローチャート図である。
【図14】変形例(1)における入力装置109a、および入力装置110aの構成例を示す図である。
【図15】字幕モードの切り替え例を具体的に示した図である。
【符号の説明】
【0055】
100 ナビゲーション装置
101 車速センサ
102 GPSユニット
103 振動ジャイロ
104 VICS情報受信装置
105 ディスク読取装置
105a 地図ディスク
106 制御装置
107 スピーカー
108 IEEE1394インターフェース
109 前席用モニタ
109a、110a 入力装置
110 後席用モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示手段と、
レイヤ構造を有する地図データを各レイヤごとに前記複数の表示手段へ転送するデータ転送手段とを備え、
前記複数の表示手段は、前記データ転送手段から転送された各レイヤごとのデータから、個別に設定された地図の表示形態に対応したレイヤのデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記各レイヤのそれぞれは、地図情報、施設情報、および交通情報で構成され、
前記複数の表示手段は、個別に設定された地図の表示形態に基づいて、転送データの中から前記地図情報と、前記施設情報および前記交通情報のうち少なくともいずれか1つとを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記各レイヤのそれぞれは、複数の異なる縮尺の地図情報で構成され、
前記複数の表示手段は、個別に設定された地図の表示形態に基づいて、転送データの中から設定された縮尺のデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記複数の表示手段のそれぞれは、表示する地図の表示形態を設定する設定手段をさらに有し、
前記複数の表示手段は、前記データ転送手段から転送された各レイヤごとのデータから、前記設定手段で個別に設定された表示形態に応じたデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
車両の前部座席に設置した第1の表示手段と、
車両の後部座席に設置した第2の表示手段と、
レイヤ構造を有する地図データを各レイヤごとに前記第1の表示手段、および前記第2の表示手段へ転送するデータ転送手段とを備え、
前記第1の表示手段、および前記第2の表示手段は、前記データ転送手段から転送された各レイヤごとのデータから、個別に設定された地図の表示形態に対応したレイヤのデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記各レイヤのそれぞれは、地図情報、施設情報、および交通情報で構成され、
前記第1の表示手段、および前記第2の表示手段は、個別に設定された地図の表示形態に基づいて、転送データの中から前記地図情報と、前記施設情報および前記交通情報のうち少なくともいずれか1つとを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記各レイヤのそれぞれは、複数の異なる縮尺の地図情報で構成され、
前記第1の表示手段、および前記第2の表示手段は、個別に設定された地図の表示形態に基づいて、転送データの中から設定された縮尺のデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記第1の表示手段、および前記第2の表示手段のそれぞれは、表示する地図の表示形態を設定する設定手段をさらに有し、
前記第1の表示手段、および前記第2の表示手段は、前記データ転送手段から転送された各レイヤごとのデータから、前記設定手段で個別に設定された表示形態に応じたデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項9】
レイヤ構造を有する地図データを各レイヤごとに複数の表示モニタへ転送し、
前記複数の表示モニタは、転送された各レイヤごとのデータから、個別に設定された地図の表示形態に対応したレイヤのデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置における地図の表示方法。
【請求項10】
レイヤ構造を有する地図データを各レイヤごとに車両の前部座席に設置した第1の表示モニタ、および車両の後部座席に設置した第2の第2の表示モニタへ転送し、
前記第1の表示モニタ、および前記第2の表示モニタは、転送された各レイヤごとのデータから、個別に設定された地図の表示形態に対応したレイヤのデータを取得して、それぞれが独立した表示形態で地図を表示することを特徴とするナビゲーション装置における地図の表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−38907(P2006−38907A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214131(P2004−214131)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】