説明

ナビゲーション装置、方法及びプログラム

【課題】目的地を設定した後、所定の条件を満たした目的地のみを記憶する、ナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】利用者によって、入力部13を通じて目的地が設定され、目的地までの誘導が開始されると、制御部11は、予め設定されたタイミングで、記憶部12の目的地の位置情報を記憶する目的地履歴テーブル21に、目的地の位置情報を記憶する。記憶した位置情報は、利用者が目的地を設定する際に表示部14に表示され、利用者は表示された位置情報から、選択して目的地を設定することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置及びナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が設定した目的地を記憶しておき、別の機会に目的地を設定する際に、過去に記憶した目的地の情報を利用することができるナビゲーション装置で、目的地を設定する毎に、設定した目的地へガイド誘導をしなくとも、目的地の座標がメモリに記憶される技術(例えば、特許文献1)が知られている。この技術において、記憶させることができる目的地の座標の数は予め決まっており、その最大値を超えると、最も古い目的地の座標から順次上書きされていく。
【特許文献1】特許第2891794号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示されている技術において、目的地の座標は、目的地の設定をするだけで履歴に記憶される。このため、目的地の設定だけして誘導はしなかった等、利用者にとって履歴に残す必要性の少ない目的地まで履歴に記憶される。
【0004】
また、特許文献1に開示されている技術では、特に、多くの目的地を設定しながら目的地までの経路を決定する利用者の目的地の履歴は、すぐ一杯になってしまう。結果として、古い目的地の座標は上書きされ、目的地の履歴は、直近のものしか残らず、同じ場所に何度も行く利用者以外、目的地の履歴を使う機会がほとんどない等、使い勝手が悪いという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、使い勝手のよいナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、利用者にとって有用な目的地を記憶して再利用できるナビゲーション装置と方法を提供することを他の目的とする。
また、本発明は、誘導を実際に行った目的地等、利用者にとって履歴として残す必要性がある目的地の位置情報を記憶させることができるナビゲーション装置と方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るナビゲーション装置は、
現在地から、設定された目的地までの誘導を行うナビゲーション装置であって、
目的地を設定するための目的地設定手段と、
設定された目的地の位置情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記目的地設定手段によって目的地が設定され、誘導が開始されると、予め設定されたタイミングで、前記履歴記憶手段に目的地の位置情報を記憶する記憶制御手段と、
前記履歴記憶手段に記憶された前記位置情報を表示する表示手段と、
表示された前記位置情報から目的地を選択するための目的地選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
前記予め設定されたタイミングは、例えば、設定された目的地への誘導が開始されたタイミング、自車位置が目的地までの経路上の所定の地点に達したタイミング、誘導を開始してから所定の時間が経過したタイミングである。この場合、前記履歴記憶手段は、各タイミングになったことを判別し、前記履歴記憶手段に、設定された目的地の位置情報を記憶する。
【0008】
前記予め設定されたタイミングを、複数のタイミングのうちから利用者の指示に従って選択可能としてもよい。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るナビゲーション方法は、
目的地を設定するための目的地設定ステップと、
前記目的地設定ステップで、目的地が設定され、誘導が開始されると、予め設定されたタイミングで、設定された目的地の位置情報を記憶する履歴記憶領域に、目的地の位置情報を記憶する記憶制御ステップと、
前記履歴記憶手段に記憶された前記位置情報を表示する表示ステップと、
表示された前記位置情報から目的地を選択するための目的地選択ステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
目的地を設定するための目的地設定手段と、
設定された目的地の位置情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記目的地設定手段によって、目的地が設定され、誘導が開始されると、予め設定されたタイミングで、前記履歴記憶手段に、目的地の位置情報を記憶する記憶制御手段と、
前記履歴記憶手段に記憶された前記位置情報を表示する表示手段と、
表示された前記位置情報から目的地を選択するための目的地選択手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、設定した目的地のうち、単に設定しただけのものは記録されず、実際に誘導を開始して予め設定されたタイミングに達したもののみが記憶される。従って、利用者に有用な目的地のみが登録され、再利用に供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置1について、図を用いて説明する。本実施の形態では、特にカーナビゲーション装置を例に挙げて説明する。
【0013】
本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置1は、図1に示すように、制御部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、位置検出部15と、記憶媒体読取部16とを備える。
【0014】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、ナビゲーション装置1全体を制御する。また、制御部11は、記憶部12に予め記憶されているプログラム等を読み出して実行することによって、例えば、現在地から目的地までの経路の計算や現在位置と経路とに基づいたナビゲーション動作等を行う。
【0015】
記憶部12は、例えば、ハードディスク装置、DVD−RAM等から構成される。記憶部12は、制御部11が実行するための動作プログラム、処理に必要な各種データ、目的地履歴テーブル21等を記憶する。
【0016】
目的地履歴テーブル21は、図2に示すように、目的地の位置情報と、その目的地が登録された日時等の情報、最終使用日などの情報が対応付けて記憶されている。目的地履歴テーブル21に記憶される目的地の位置情報の数は、予め決まっており、所定の数を超えると、古い情報から順次上書きされていく。
【0017】
目的地履歴テーブル21に記憶されている情報は、制御部11によって記憶部12から読み出され、図3に示すように表示部14に表示される。この際、位置情報は、制御部11によって地図上の地名、施設名などに変換された上で、目的地が設定された日時と対応付けて表示される。利用者は、目的地を設定する際、地図上の地点を指示したり、施設名検索により検索した施設を目的地として設定できると共に、図3に示す目的地の履歴情報上から任意のものを、入力部13を通じて選択し、目的地として設定することも可能である。
【0018】
入力部13は、例えば、キーボード等の入力装置から構成され、入力データを制御部11に送信する。入力部13は、タッチパネルから構成されても良く、この場合、入力部13と、表示部14とは重なった構造となる。
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ装置等の表示装置から構成され、制御部11からの指示に従って情報を表示する。
【0019】
位置検出部15は、GPS(Ground Positioning System)、地磁気センサ等から構成され、現在地の位置を判別し、現在地の位置情報、例えば、緯度・経度情報を制御部11に送信する。制御部11は、位置情報を記憶部12に記憶する。
【0020】
記憶媒体読取部16は、CD(Compact Disc)ドライブ装置、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ装置等から構成され、例えばCD、DVD等の記憶媒体に予め記憶された地図情報を読み取る。記憶媒体読取部16は、読み取った情報を制御部11に送信する。
この記憶媒体読取部16から、読み取られた地図情報と、位置検出部15から得られた現在地の位置情報等に基づき、制御部11は、表示部14に利用者の現在地を表示したり、コース案内を行ったりする。
【0021】
次に、上記構成のナビゲーション装置1の動作を説明する。
まず、ユーザによる入力部13の操作などにより、ナビゲーション装置1の目的地の設定が指示されると、制御部11は、図4に示すナビゲーション処理を開始する。
この処理を開始すると、制御部11は、まず、利用者による目的地の指示を受け付け、記憶部12に登録する(ステップS1)。
目的地を指定する手法としては、1)表示部14に表示された地図上で利用者が位置を指定する、2)施設名や電話番号で候補を検索して、表示部14にリストを表示し、リストのうちから利用者が選択する、等の手法を採用可能である。また、記憶部12内の目的地履歴テーブル21に記憶されている目的地の履歴情報を読み出して、緯度・経度情報(X,Y)を一般的な地域名称などに変換して、図3に示すように、日時(最終使用日)と対応付けて表示部14に表示させ、この目的地の履歴の中から選択するようにしてもよい。図3に示す履歴情報を用いる場合は、入力部13を通じて画面上のカーソル(色の付いた部分)を動かして目的地を選択し、図示せぬ決定ボタンを押すこと等により選択・設定がなされる。
【0022】
目的地が設定されると、制御部11は、記憶部12に記憶されている現在地から目的地までの経路を計算するための経路探索プログラムを実行し、位置検出部16から供給される現在位置の位置情報と、指定された目的地の位置情報と、記録媒体読み取り部16に格納されているナビゲーション用の地図情報とを用いて、目的地までの1又は複数のルート(経路)を計算する(ステップS2)。
【0023】
次に、制御部11は、計算したルートのうちから、利用者が指定するものを選択する(ステップS3)。例えば、制御部11は、計算した複数のルートに関し、距離・時間・費用などの観点からランク付けして、複数の上位候補を表示部14に表示し、いずれかの候補を選択させる。そして、利用者が入力部13を操作して選択したルートを誘導ルートとして採用し、その情報を記憶部12に登録する。
【0024】
続いて、制御部11は、入力部13を通じて、利用者からルート案内開始の指示がなされまで待機する(ステップS4)。
制御部11は、入力部13を通じて、利用者からルート案内開始の指示がなされると(ステップS4:Yes)、目的地履歴テーブル21を記憶部12から読み出す(ステップS5)。
【0025】
続いて、今回設定した目的地が目的地履歴テーブル21に格納済みであるか否かを判別する(ステップS6)。登録済みであれば(ステップS6:Yes)、該当するエントリの最終使用日の情報を誘導を開始した日に更新し(ステップS7)、処理を終了する。
登録されていないと判別された場合には(ステップS6:No)、制御部11は、読み出した目的地履歴テーブル21に空きがあるかを判別する(ステップS8)。
【0026】
目的地履歴テーブル21に空きがある場合(ステップS8:Yes)、ステップS1で指示された目的地の位置情報(X,Y)を、図3に示すように、目的地履歴テーブル21に記憶する(ステップS9)。この際、登録日と最終使用日とは、誘導を開始した年月日とする。
【0027】
一方、目的地履歴テーブル21に、空きがない場合(ステップS8:No)、制御部11は、目的地履歴テーブル21に記憶されている情報のうち、最終使用日が最も古いものを判別する。次に、制御部11は、最も古いと判別した情報の上に、今回の目的地の位置情報と年月日の情報とを上書きする(ステップS10)。
【0028】
一方、ステップS4で、利用者によって目的地への誘導の指示がなされなかった場合(ステップS4:No)、制御部11は、目的地の位置情報を記憶せず、処理を終了する。
【0029】
以上の構成を採ることによって、実際に誘導を行った目的地の位置情報のみを目的地履歴テーブル21に記憶させることができ、記憶した位置情報を目的地の設定に再利用可能な、ナビゲーション装置が実現される。
【0030】
上述の説明では、目的地の情報を目的地履歴テーブル21に記憶させる条件として、目的地への誘導を開始したことを挙げたが、この構成に限られない。例えば自車位置が目的地までの経路上の所定の地点、例えば経路の中間点等に達した時点でに記憶させる構成を採用することもできる。この場合、制御部11は、誘導を開始した時点で、選択した経路の中間点の位置情報を算定する。次に、制御部11は、位置検出部15から得られた自車の位置情報と、予め算出しておいた中間点の位置情報とが一致したと判別した場合、記憶部12の目的地履歴テーブル21に、設定された目的地の位置情報を記憶する。
【0031】
また、誘導を開始して一定時間が経過した場合に、目的地の位置情報を記憶部12の目的地履歴テーブル21に記憶するという構成を採ることも可能である。この場合、制御部11は、誘導を開始した時点の時刻を記憶し(又は計時を開始し)、一定時間が経過したことを判別した時点で、目的地履歴テーブル21に、今回の目的地の位置情報を記憶する。
【0032】
上記の目的地の位置情報を目的地履歴テーブル21に記憶させる条件は、予め一つに定める必要はなく、条件をいくつか提示し、利用者に選択させるという構成を採ることもできる。この構成を採ると、さらに利用者にとって必要な目的地の履歴のみを記憶させることが可能となる。
【0033】
目的地履歴テーブル21は、図2に示す構成に限定されない。例えば、図5に示すように、履歴が記憶された日時と、位置情報とを対応付けて記憶するだけでなく、位置情報が記憶された後、何回利用されたかを示す情報を対応付けて記憶してもよい。この場合、目的地の履歴を利用して、再度目的地を設定した場合は、利用回数を示す回数が+1更新される。また、履歴情報を消去する場合は、回数の少ない順に消去するという構成を採用することも可能である。
【0034】
上記説明において、地図に関する情報は、記憶媒体に記憶されているとして記述したが、この構成に限られず、記憶部12に記憶されていても良い。また、入力部は、キーボード、タッチパネル等に限られず、音声入力を併用することもできる。この場合、ナビゲーション装置1は、入力部13の他に、マイク等から構成される音声入力部と、音声入力部を通じて得られた音声を解析して、認証する音声認証部とを有する音声認証装置を更に備える。
【0035】
本発明は上述した実施の形態に限られず、様々な変形、応用が可能である。例えば、本発明は、カーナビゲーション装置に限られず、PDA(Personal Digital Assistance)や携帯電話に搭載されているナビゲーション装置等、ナビゲーション装置一般に応用することが可能である。
【0036】
さらに、この発明は専用機に限らず、GPS機能などを備える一般のコンピュータを用いて実現可能である。例えば、コンピュータに、図4に示す処理(特にステップS4〜S10の処理)の全部又は一部を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。同様に、プログラムを通信ネットワークを介して配信・ダウンロード可能なものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ナビゲーション装置の構成例を示す図である。
【図2】目的地履歴テーブルの例を示す図である。
【図3】目的地の履歴から利用者が目的地を選択する際の表示部の例を示す図である。
【図4】ナビゲーション処理を示すフローチャートである。
【図5】目的地の履歴の利用された回数が対応付けられた目的地履歴テーブルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 ナビゲーション装置
11 制御部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 位置検出部
16 記憶媒体読取部
21 目的地履歴テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地から、設定された目的地までの誘導を行うナビゲーション装置であって、
目的地を設定するための目的地設定手段と、
設定された目的地の位置情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記目的地設定手段によって目的地が設定され、誘導が開始されると、予め設定されたタイミングで、前記履歴記憶手段に目的地の位置情報を記憶する記憶制御手段と、
前記履歴記憶手段に記憶された前記位置情報を表示する表示手段と、
表示された前記位置情報から目的地を選択するための目的地選択手段と、を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記予め設定されたタイミングは、設定された目的地への誘導の開始時点であり、前記履歴記憶手段は、設定された目的地への誘導を開始したことを判別し、前記履歴記憶手段に、設定された目的地の位置情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記予め設定されたタイミングは、自車位置が目的地までの経路上の所定の地点に達したことであり、前記記憶制御手段は、前記所定の地点に達したことを判別し、前記履歴記憶手段に、設定された目的地の位置情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記予め設定されたタイミングは、設定された目的地への誘導が開始されてから所定の時間が経過したことであり、前記履歴記憶手段は、所定の時間が経過したことを判別し、前記履歴記憶手段に、設定された目的地の位置情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記記憶制御手段は、前記予め設定された複数のタイミングのうちから利用者の指示に応答していずれかのタイミングを選択し、選択したタイミングで、前記履歴記憶手段に目的地の位置情報を記憶する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
現在地から、設定された目的地までの誘導を行うナビゲーション方法であって、
目的地を設定するための目的地設定ステップと、
前記目的地設定ステップで目的地が設定され、誘導が開始されると、予め設定されたタイミングで、設定された目的地の位置情報を記憶する履歴記憶領域に、目的地の位置情報を記憶する記憶制御ステップと、
前記履歴記憶手段に記憶された前記位置情報を表示する表示ステップと、
表示された前記位置情報から目的地を選択するための目的地選択ステップと、を備えることを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項7】
コンピュータを、
目的地を設定するための目的地設定手段と、
設定された目的地の位置情報を記憶する履歴記憶手段と、
前記目的地設定手段によって目的地が設定され、誘導が開始されると、予め設定されたタイミングで、前記履歴記憶手段に、目的地の位置情報を記憶する記憶制御手段と、
前記履歴記憶手段に記憶された前記位置情報を表示する表示手段と、
表示された前記位置情報から目的地を選択するための目的地選択手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−153728(P2006−153728A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346671(P2004−346671)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】