説明

ナビゲーション装置及びナビゲーション方法

【課題】ユーザに煩雑な操作を行わせることなく、ユーザの意向に合致した地図データに基づいたナビゲーション処理を実行させる可能性を向上させることができるナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供する。
【解決手段】ナビ制御装置は、ナビゲーション処理を実行させるための操作履歴に基づき、特定国を判定し(ステップS20)、該判定された特定国に対応する地図データに基づきナビゲーション処理を行う(ステップS22)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データに基づいたナビゲーション処理を行うナビゲーション装置及びナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地図データに基づいたナビゲーション処理を行うナビゲーション装置として、車両に搭載されるナビゲーション装置が広く知られている。こうしたナビゲーション装置では、互いに隣接する国同士の国境付近を車両が走行する場合に、該国境周辺を含んだ地図が表示画面に表示される。
【0003】
ナビゲーション処理においてユーザが互いに隣接する国同士の国境付近に位置する場合には、両国の国境付近の地図がユーザに提供されることになる。しかしながら、互いに隣接する国同士の国境は、必ずしも両国の合意の元に特定されているとは限らない。すなわち、第1国が主張する国境線は、該第1国に隣接する第2国が主張する国境線と異なることもある。そこで、近時では、各国のうち何れの国の主張に基づいた地図をユーザに提供するのかを特定する装置として、例えば特許文献1に記載のナビゲーション装置が提案されている。
【0004】
この特許文献1には、車両の仕向け国を設定する機能を有するナビゲーション装置が記載されている。このナビゲーション装置では、ユーザ又はメーカによって車両の仕向け国に関する情報が車両出荷前等に入力される。そのため、ナビゲーション装置は、仕向け国の事情に合わせた地図を表示画面に表示させていた。
【0005】
また、特許文献1には、車両が走行している国を検出し、検出された国を車両の仕向け国と推定する技術も開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−281353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記特許文献1では、車両の仕向け国を設定するための入力操作をわざわざユーザ又はメーカに行わせる必要がある。そのため、車両の仕向け国を設定するための煩雑な入力操作をユーザに行わせることになる。
【0008】
また、上記特許文献1では、単に車両が走行している国を車両の仕向け国と推定している。そのため、車両のユーザが車両の走行国以外の国の出身である場合、ユーザの意向とは関係なく、例えば、表示画面に表示される地図には車両の走行国が主張する国境線が描かれる等、ユーザの意向に合致した地図データに基づいたナビゲーション処理が実行されないことになる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザに煩雑な操作を行わせることなく、ユーザの意向に合致した地図データに基づいたナビゲーション処理を実行させる可能性を向上させることができるナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、ナビゲーション装置にかかる請求項1に記載の発明は、地図記憶手段に記憶される複数の国に対応する地図データに基づきナビゲーション処理を行う制御手段と、前記ナビゲーション処理を実行させるための操作履歴に基づき特定国を判定する特定国判定手段と、を備え、前記制御手段は、前記特定国判定手段による判定結果に基づき前記ナビゲーション処理を行うことを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、ナビゲーション処理を実行させるためのユーザによる操作履歴に基づき特定国が判定される。そして、判定された特定国に対応する地図データに基づき、ナビゲーション処理が行われる。そのため、ユーザに煩雑な操作を行わせることなく、ユーザの意向に合致した地図データに基づいたナビゲーション処理を実行させる可能性を向上させることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、前記操作履歴として拠点の位置を記憶する拠点記憶手段をさらに備え、前記特定国判定手段は、前記拠点記憶手段に記憶された前記拠点の位置を領有する国を特定し、該特定された国を特定国とすることを要旨とする。
【0013】
拠点記憶手段に登録(記憶)された拠点は、ユーザが生活や仕事の拠点として自ら選択した場所を示すものであり、この拠点の位置を領有する国は、ユーザの拠点としての国である可能性が高い。そこで、本発明では、ユーザによって拠点の位置が操作履歴として登録された場合には、該位置に基づき、特定国が判定される。そのため、特定国を判定させるための特別な操作をユーザに行わせることなく、特定国を容易に判定させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のナビゲーション装置において、前記制御手段は、前記拠点記憶手段に記憶される前記拠点の位置の領有権を主張する国が複数存在する場合には、前記領有権を主張する各国のうち何れか一国を選択させるための選択報知制御を行い、前記特定国判定手段は、前記選択報知制御が実行されたことを契機に国が選択された際の前記操作履歴に基づき、特定国を判定することを要旨とする。
【0015】
複数の国が領有権を主張する地域に拠点が位置することがある。そこで、本発明では、複数の国が領有権を主張する地域に拠点が位置する場合には、ユーザの希望する国を選択させる。そして、国が選択された場合には、そのときのユーザによる操作履歴に基づき特定国が判定される。そのため、拠点の位置の設定に基づき特定国を設定する場合であっても、ユーザの希望に沿った特定国の設定に貢献できる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置において、前記特定国判定手段は、前記操作履歴に基づき、入力又は選択された言語を特定し、該特定された言語に基づき特定国を判定することを要旨とする。
【0017】
上記構成によれば、ナビゲーション処理を実行させるためのユーザによる操作履歴から入力又は選択された言語を特定し、該言語に基づき特定国が判定される。そのため、特定国を判定させるための特別な操作をユーザに行わせることなく、特定国を容易に判定させることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のナビゲーション装置において、複数の選択用の表示領域が表示される表示画面を有する表示手段をさらに備え、前記制御手段は、前記表示画面の前記各選択用の表示領域に、互いに異なる言語で表現される単語が表示されるように前記表示手段を制御し、前記特定国判定手段は、前記各選択用の表示領域のうち何れか一つの選択用の表示領域が選択された場合の前記操作履歴に基づき、前記選択された選択用の表示領域に表示される単語を表現する言語を特定し、該言語に基づき特定国を判定することを要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、各選択用の表示領域のうち何れか一つの選択用の表示領域がユーザによって選択された場合には、該選択された選択用の表示領域に表示される単語を表現する言語に基づき、特定国が判定される。そのため、特定国を判定させるための特別な操作をユーザに行わせることなく、特定国を容易に判定させることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のナビゲーション装置において、現在位置を取得する現在位置取得手段をさらに備え、前記制御手段は、前記各選択用の表示領域のうち何れか一つの選択用の表示領域に、前記現在位置取得手段によって取得された現在位置を領有する国で用いる言語で表現される単語が表示されるように前記表示手段を制御することを要旨とする。
【0021】
ユーザが所望する特定国は、該ユーザ(即ち、ナビゲーション装置)の位置を領有する国である可能性が高い。そこで、本発明では、各選択用の表示領域のうち何れか一つの選択用の表示領域には、取得された現在位置を領有する国で用いられる言語で表現される単語が表示される。したがって、特定国の判定精度を向上させることができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載のナビゲーション装置において、前記操作履歴に基づき、前記ナビゲーション装置における案内用の言語を選択する言語選択手段をさらに備え、前記特定国判定手段は、前記言語選択手段によって前記案内用の言語が選択された際の前記操作履歴に基づき前記特定国を判定することを要旨とする。
【0023】
ナビゲーション装置では、ユーザに対する案内用の言語が設定されることがある。そこで、本発明では、案内用の言語が選択された場合には、そのときのユーザによる操作履歴に基づき、特定国が判定される。そのため、特定国を判定させるための特別な操作をユーザに行わせることなく、特定国を容易に判定させることができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載のナビゲーション装置において、目的地が設定された場合に、現在位置から目的地までの経路を検索する検索手段をさらに備え、前記検索手段は、前記特定国内において複数の国が互いに領有権を主張し合う第1の地域とは異なる第2の地域内を通る経路を、前記第1の地域内を通る経路よりも優先的に検索し、前記制御手段は、前記検索手段によって検索された経路に基づいた前記ナビゲーション処理を行うことを要旨とする。
【0025】
上記構成によれば、第1の地域内をなるべく通らないような経路が優先的に検索される。そのため、ナビゲーション装置を用いて目的地まで行くユーザの安全性を確保できる。
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、情報端末と情報の送受信を行う通信手段をさらに備え、前記特定国判定手段は、前記情報端末で前記ナビゲーション処理を実行させるための操作がなされた場合において、該操作に基づく操作履歴に関する履歴情報が前記通信手段を介して受信されたときに、該履歴情報に基づき特定国を判定し、前記制御手段は、前記特定国判定手段によって判定された特定国に対応したナビゲーション処理を前記情報端末で実行させるべく、該特定国に対応する地図データを前記通信手段から前記情報端末に送信させることを要旨とする。
【0026】
上記構成によれば、情報端末でナビゲーション処理を実行させるためのユーザによる操作履歴に関する履歴情報に基づき、特定国が判定される。そして、判定された特定国に対応する地図データが情報端末に送信される。そのため、情報端末で、該情報端末のユーザの所望する国に対応した地図データを基づいたナビゲーション処理を実行させることができる。
【0027】
一方、ナビゲーション方法にかかる請求項10に記載の発明は、地図記憶手段に記憶される複数の国に対応する地図データに基づいたナビゲーション処理を制御装置に実行させるナビゲーション方法であって、前記ナビゲーション処理を実行させるための操作履歴に基づき、前記制御装置に特定国を判定させる特定国判定ステップと、前記特定国判定ステップで判定した特定国に対応する地図データに基づいた前記ナビゲーション処理を前記制御装置に実行させるナビゲーションステップと、を有することを要旨とする。
【0028】
上記構成によれば、上記ナビゲーション装置と同等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態のナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】ナビゲーション装置で提供可能な各国の地図を示す模式図。
【図3】情報記憶装置の概略構成を示すブロック図。
【図4】情報テーブルの一例を示す表。
【図5】第1の実施形態の特定国判定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図6】(a)は登録された自宅の位置を描いた地図が表示された様子を説明する模式図、(b)は自宅の位置の領有権を主張する各国のうち何れか一つの国を選択させる画面を説明する模式図、(c)は選択された国でよいか否かの最終判断を促す画面を説明する模式図。
【図7】(a)は特定国がA国である場合の地図を示す模式図、(b)は特定国がC国である場合の地図を示す模式図。
【図8】第1の実施形態の目的地入力時処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図9】(a)は現在位置から目的地までの経路が複数ある場合を説明する模式図、(b)は自車両の乗員によって選択された経路が描かれた地図を説明する模式図。
【図10】第1の実施形態のジャンル設定時処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図11】第2の実施形態の特定国判定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図12】(a)は自車両がA国内にある場合におけるディスプレイの表示態様を説明する模式図、(b)は自車両がC国内にある場合におけるディスプレイの表示態様を説明する模式図。
【図13】第3の実施形態の案内用言語設定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図14】案内用の言語を選択させる場合の画面を説明する模式図。
【図15】第4の実施形態の地図データ管理システムの概略構成を示すブロック図。
【図16】管理サーバで実行される地図情報送信処理ルーチン、及び情報端末で実行される地図情報取得処理ルーチンを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について、図1〜図10に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のナビゲーション装置50は、車両に搭載される装置であって、且つ複数国(本実施形態では、A国、B国、C国、D国及びE国の合計5国)分の地図を提供可能な装置である。こうしたナビゲーション装置50は、表示手段としての入出力装置51と、自車両の位置を検出するための位置検出装置52と、該位置検出装置52からの検出結果に基づき各種制御を行うナビ制御装置53とを備えている。入出力装置51は、表示画面としてのディスプレイ55と、該ディスプレイ55の前面側に配置される操作手段としてのタッチパネル56と、操作手段としての操作ボタン57とを備えている。また、入出力装置51は、自車両の乗員に対して各種の案内を音声で行うための図示しないスピーカを備えている。
【0031】
ディスプレイ55は、カラー液晶ディスプレイを用いている。こうしたディスプレイ55には、詳しくは後述するが、ナビ制御装置53から出力された情報に応じた画像(例えば、地図や目的地を入力させるための画面)が表示される。
【0032】
タッチパネル56は、ディスプレイ55の略全面に亘って重ねられた透明な接触検知用のパネルである。そして、自車両の乗員がディスプレイ55の表示に合わせて指先などをタッチパネル56に接触させた場合には、タッチパネル56のうち接触された位置(「表示領域」ともいう。)に応じた信号がナビ制御装置53に出力される。操作ボタン57は、ディスプレイ55に表示される画像を変更させる際などに操作される。例えば、ディスプレイ55に地図が表示される場合において、目的地設定用のボタン操作がなされたときには、その操作態様に応じた信号がナビ制御装置53に出力される。
【0033】
位置検出装置52は、緯度・経度情報などの自車両の絶対位置に関する情報を図示しない人工衛星から受信するGPS(Global Positioning System )受信部58と、自車両の進行方向を示す方位角情報を検出するジャイロセンサ59と、自車両の走行速度に関する車速情報を検出する車速センサ60となどを備えている。
【0034】
ナビ制御装置53は、センサ入力インターフェース61と、通信インターフェース62と、画像メモリ63と、制御部64と、画像プロセッサ65と、地図記憶手段としての情報記憶装置66とを備えている。通信インターフェース62には、入出力装置51のタッチパネル56、操作ボタン57、及び位置検出装置52のGPS受信部58からの信号が入力される。センサ入力インターフェース61には、位置検出装置52のジャイロセンサ59及び車速センサ60からのセンサ信号が入力される。
【0035】
画像メモリ63は、ディスプレイ55に地図以外の画像を表示させるための画像データが記憶されている。例えば、画像メモリ63には、自車両の図示しないイグニッションスイッチがオンになった場合にディスプレイ55に表示させる初期画面、及び目的地を入力させるための入力用画面などが記憶されている。
【0036】
制御部64は、ナビゲーション装置50を統括的に制御するものであって、図示しないCPU、ROM、RAM及び不揮発性のメモリ(例えばEEPROM)などを備えている。例えば、制御部64は、GPS受信部58からの信号に基づき自車両の絶対位置を取得した場合には、該自車両の絶対位置周辺の地図をディスプレイ55に表示させる旨の制御指令を画像プロセッサ65に出力する。また、制御部64は、タッチパネル56や操作ボタン57によって目的地が設定された場合には、自車両の現在位置(即ち、自車両の絶対位置)から目的地までの経路を検索し、該検索された経路を描いた地図をディスプレイ55に表示させる旨の制御指令を画像プロセッサ65に出力する。
【0037】
画像プロセッサ65は、制御部64から地図をディスプレイ55に表示させる旨の制御指令が入力された場合には、情報記憶装置66から地図情報を読み出し、画像処理を施してディスプレイ55に地図などを表示させる。また、画像プロセッサ65は、制御部64から目的地を入力させる旨の制御指令が入力された場合には、画像メモリ63から制御指令に応じた画像データを読み出し、画像処理を施してディスプレイ55に入力画面などを表示させる。したがって、本実施形態では、制御部64及び画像プロセッサ65により、制御手段が構成される。
【0038】
なお、本実施形態の制御手段が行うナビゲーション処理とは、ディスプレイ55に地図データに基づいた地図を表示させる処理を含んだ概念であり、単に地図をディスプレイ55に表示させる場合も含む。この地図は、自車両の現在位置を含んでもよいし、含まなくてもよい。もちろん、ナビゲーション処理は、自車両の現在位置から目的地までの経路を案内する処理も含んでいる。
【0039】
ここで、本実施形態のナビゲーション装置50で提供可能な複数国(5国)分の地図について説明する。
図2に示すように、A国は、B国、D国及びE国との間で国境線の位置が確定している一方で、C国との間では国境線の位置が確定していない。そのため、A国とC国との国境近傍には、両国が互いに領有権を主張し合う地域(以下、「第1の地域」ともいう。)23が存在する。また、B国は、E国との間で国境線の位置が確定していないため、B国とE国との国境近傍には、両国が互いに領有権を主張し合う第1の地域24が存在する。また、D国は、E国との間で国境線の位置が確定している一方で、C国との間では国境線の位置が確定していない。そのため、C国とD国との国境近傍には、両国が互いに領有権を主張し合う第1の地域25が存在する。
【0040】
次に、情報記憶装置66について説明する。
図3に示すように、情報記憶装置66は、一例としてハードディスクで構成されている。こうした情報記憶装置66は、地図情報記憶領域67と、各国情報記憶領域68とを備えている。各国情報記憶領域68には、図4に示すように、地図データを提供可能な国同士の友好関係を示す情報テーブルが格納されている。本実施形態においては、この情報テーブルは、国同士の友好関係に関する情報として、国同士の間で国境が確定しているか否かに関する情報、及び国同士の国交関係が良好であるか否かに関する情報を有している。すなわち、A国とB国との間では国境が確定していると共に、A国とB国との国交関係は非常に良好である。また、A国とC国との間では国境が確定していないと共に、A国とC国との国交関係は険悪である。また、A国とD国との間では国境が確定していると共に、A国とD国との国交関係は非常に良好である。また、A国とE国との間では国境が確定している一方で、A国とE国との国交関係はあまり良好ではない。
【0041】
B国とC国とは互いに隣接していない一方で、B国とC国との国交関係はあまり良好ではない。また、B国とD国とは互いに隣接していないと共に、B国とD国との国交関係は非常に良好である。また、B国とE国との間では国境が確定していないと共に、B国とE国との国交関係は険悪である。C国とD国との間では国境が確定していないと共に、C国とD国との国交関係は険悪である。また、C国とE国とは互いに隣接していないと共に、C国とE国との国交関係は非常に良好である。D国とE国との間では国境が確定していると共に、D国とE国との国交関係は非常に良好である。
【0042】
地図情報記憶領域67には、図3に示すように、複数の国(本実施形態では5国)の地図情報(即ち、A国用地図情報19A、B国用地図情報19B、C国用地図情報19C、D国用地図情報19D及びE国用地図情報19E)が記憶されている。A国用地図情報19Aは、A国用地図データ20と、経路データ(「経路ネットワークデータ」ともいう。)21と、POI(Point Of Interest)データ22とを有している。同様に、A国以外の他の国用の地図情報19B〜19Eは、各国用の地図データ20と、経路データ21と、POIデータ22とをそれぞれ有している。
【0043】
経路データ21は、ノードに関するノードデータとリンクに関するリンクデータとを有している。ノードは、交差点や道路の端点に設定されるものであって、ノードデータは、ノードの座標や識別子などを含んでいる。また、リンクは、各ノードの間に設定されるものであって、リンクデータは、リンクの識別子、接続ノードの識別子及び経路探索に用いられるリンクコストなどを含んでいる。POIデータ22は、特定の地点や施設(例えば、レストランやホテル)の名称及び特定の地点や施設のジャンル(種別)などのデータを有している。
【0044】
次に、本実施形態の制御部64が実行する特定国判定処理ルーチンについて、図5に示すフローチャート及び図6に示す模式図に基づき設定する。なお、車両に搭載されるナビゲーション装置50には、拠点の位置の一例としてのユーザの自宅の位置を登録する機能が、一般的に設けられている。本実施形態の特定国判定処理ルーチンは、詳しくは後述するが、ユーザにより自宅の位置が登録された場合には、この登録操作を操作履歴として情報記憶装置66に記憶された自宅の位置(ユーザの拠点の位置)を領有する国を特定し、該特定した国を特定国とするための処理である。
【0045】
さて、自車両の図示しないイグニッションスイッチがオンになると、制御部64は、特定国判定処理ルーチンを実行する。この特定国判定処理ルーチンにおいて、制御部64は、初期処理を行う(ステップS10)。具体的には、制御部64は、該制御部64のRAMを初期化する処理(所謂ラムクリアー)を行う。続いて、制御部64は、第1初期画面をディスプレイ55に表示させる旨の制御指令を画像プロセッサ65に出力する。すると、画像プロセッサ65は、予め設定された所定時間(例えば5秒)の間、ディスプレイ55に第1初期画面を表示させるべく入出力装置51を制御する。なお、第1初期画面とは、ディスプレイ55の中央に、「実際の交通規制に従って走行してください。」という旨の記載を有する表示領域が形成された画面である。なお、この第1初期画面で使用される言語は、特定国が設定済み、即ち判定済みである場合には該特定国で使用される言語である一方、特定国が未設定である場合には一例として英語である。
【0046】
初期処理が終了すると、制御部64は、該制御部64の不揮発性メモリから特定国フラグFLG1を読み出し、該特定国フラグFLG1がオフであるか否かを判定する(ステップS11)。この特定国フラグFLG1は、特定国が設定済みであるか否かを判断するためのフラグである。ステップS11の判定結果が肯定判定(FLG1=オン)である場合、制御部64は、その処理を後述するステップS21に移行する。一方、ステップS11の判定結果が否定判定(FLG1=オフ)である場合、制御部64は、拠点の一例として自宅の位置が登録されているか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、制御部64は、情報記憶装置66の所定領域に、自宅の位置に関する情報が記憶されているか否かを判定する。したがって、本実施形態では、情報記憶装置66が、拠点記憶手段としても機能する。
【0047】
ステップS12の判定結果が否定判定である場合、制御部64は、自宅の位置が未登録であるため、GPS受信部58で受信されたGPS信号に基づき、自車両の現在位置を取得する(ステップS13)。したがって、本実施形態では、GPS受信部58及び制御部64により、現在位置取得手段が構成される。続いて、制御部64は、ステップS13で取得された現在位置を領有する国(例えばA国)を推定し(ステップS14)、その処理を後述するステップS20に移行する。
【0048】
一方、ステップS12の判定結果が肯定判定である場合、制御部64は、自宅の位置が登録済みであるため、自宅の位置の領有権を主張する国を特定する(ステップS15)。一例として、図6(a)に示すように、制御部64は、A国内において第2の地域26内に自宅の位置PH(PH1)が位置する場合には、自宅の位置PH1の領有権を主張する国をA国とする。また、制御部64は、A国内において第1の地域23内に自宅の位置PH(PH2)が位置する場合には、自宅の位置PH2の領有権を主張する国をA国及びC国とする。
【0049】
図5に戻り、制御部64は、自宅の位置PHの領有権を主張する国が複数有るか否かを判定する(ステップS16)。この判定結果が否定判定である場合、制御部64は、自宅の位置PHの領有権を主張する国が一国であるため、その処理を後述するステップS20に移行する。一方、ステップS16の判定結果が肯定判定である場合、制御部64は、自宅の位置PHの領有権を主張する各国のうち何れか一つの国を選択させるために選択報知処理を行う(ステップS17)。具体的には、制御部64は、選択させる国(例えばA国とC国)に関する情報と、選択用表示画面を表示させるための制御指令とを画像プロセッサ65に出力する。すると、画像プロセッサ65は、図6(b)に示す画面をディスプレイ55に表示させるべく入出力装置51を制御する。
【0050】
具体的には、図6(b)に示すように、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55の上側に、「自宅が登録される国を選択してください。」という旨の記載を有する表示領域70を形成させる。このとき、表示領域70には、A国で使用される言語の記載と、C国で使用される言語の記載とを併記してもよい。また、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55の表示領域70の下方側に、各国に対応する複数(例えば2つ)の選択用表示領域71(71a,71b)を形成させる。
【0051】
図5に戻り、制御部64は、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作によって国が選択されたか否かを判定する(ステップS18)。この判定結果が否定判定である場合、制御部64は、各選択用表示領域71の何れか一つの選択用表示領域が選択されるまでステップS18の判定処理を繰り返し行う。一方、ステップS18の判定結果が肯定判定になった場合、制御部64は、各選択用表示領域71(71a,71b)の何れか一つの選択用表示領域が選択されたため、その処理を次のステップS19に移行する。
【0052】
ステップS19において、制御部64は、自車両の乗員によって選択された選択用表示領域71(例えば選択用表示領域71a)に対応する国を特定国としてよいか否かを判定する。すなわち、制御部64は、自車両の乗員によって選択された国に関する情報と、自宅が登録される国を最終決定してもよいか否かを判断させる旨の制御指令とを画像プロセッサ65に出力する。すると、画像プロセッサ65は、図6(c)に示す画面をディスプレイ55に表示させるべく入出力装置51を制御する。
【0053】
一例として、図6(c)に示すように、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55の上側に、「自宅は、A国(又はC国)でいいですか?」という旨の記載を有する表示領域72を形成させる。このとき、表示領域72に表示される内容は、A国(又はC国)で使用される言語で表現される。また、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55の表示領域72の下方側に、「はい(即ち、了承)」という旨の記載を有する表示領域(以下、「了承用表示領域」ともいう。)73を表示させる。
【0054】
図5に戻り、ステップS19の判定結果が否定判定である場合、制御部64は、了承用表示領域73が選択されるまでステップS19の判定処理を繰り返し行う。一方、ステップS19の判定結果が肯定判定になった場合、制御部64は、了承用表示領域73が選択されたため、その処理を次のステップS20に移行する。
【0055】
ステップS20において、制御部64は、特定国を判定する。具体的には、制御部64は、自宅の位置PHが登録されている場合において、該位置PHの領有権を主張する国が複数有るときには、ステップS18で選択された選択用表示領域71(例えば、選択用表示領域71a)に対応する国(この場合、A国)を特定国とする。また、制御部64は、自宅の位置PHが登録されている場合において、該位置PHの領有権を主張する国が一国のみであるときには、該国を特定国とする。さらに、制御部64は、自宅の位置PHが未登録である場合には、自車両の現在位置を領有する国を特定国とする。したがって、本実施形態では、制御部64が、特定国判定手段としても機能する。また、ステップS20が、特定国判定ステップに相当する。その後、制御部64は、その処理を次のステップS21に移行する。
【0056】
ステップS21において、制御部64は、特定国(例えばA国)に基づいた地図データを生成する。すなわち、制御部64は、情報記憶装置66の地図情報記憶領域67から各国の地図データを読み出すと共に、各国情報記憶領域68から情報テーブル(図4参照)を読み出す。そして、制御部64は、各国の情報に基づき各国の国境線の位置が特定された地図データを生成する。
【0057】
ここでは、特定国がA国である場合について説明する。
図7(a)に示すように、制御部64は、A国とC国との間の国境線に関して、特定国がA国であるため、A国の主張する位置にA国とC国との国境線を設定する。また、制御部64は、B国とE国との間の国境線に関して、E国とA国(特定国)との国交関係よりもB国とA国(特定国)との国交関係のほうが良好であるため、B国の主張する位置にB国とE国との国境線を設定する。さらに、制御部64は、C国とD国との間の国境線に関して、C国とA国(特定国)との国交関係よりもD国とA国(特定国)との国交関係のほうが良好であるため、D国の主張する位置にC国とD国との国境線を設定する。すなわち、制御部64は、第1の地域23をA国の領土と設定すると共に、第1の地域24をB国の領土と設定し、さらに、第1の地域25をD国の領土と設定する。
【0058】
次に、特定国がC国である場合について説明する。
図7(b)に示すように、制御部64は、A国とC国との間の国境線に関して、特定国がC国であるため、C国の主張する位置にA国とC国との国境線を設定する。また、制御部64は、B国とE国との間の国境線に関して、B国とC国(特定国)との国交関係よりもE国とC国(特定国)との国交関係のほうが良好であるため、E国の主張する位置にB国とE国との国境線を設定する。さらに、制御部64は、C国とD国との間の国境線に関して、特定国がC国であるため、C国の主張する位置にC国とD国との国境線を設定する。すなわち、制御部64は、第1の地域23,25をC国の領土と設定すると共に、第1の地域24をE国の領土と設定する。
【0059】
そして、制御部64は、生成した地図データを該制御部64のRAMに記憶させる。
図5に戻り、制御部64は、ステップS21で生成された地図データに基づくナビゲーション処理を開始させる(ステップS22)。具体的には、制御部64は、生成された地図データに基づいた地図をディスプレイ55に表示させる旨の制御指令を画像プロセッサ65に出力する。すると、画像プロセッサ65は、制御部64のRAMに記憶された地図データを読み出し、画像処理を行って該地図データに基づく地図をディスプレイ55に表示させるべく入出力装置51を制御する。このとき、画像プロセッサ65は、第1の地域(例えば第1の地域23)をディスプレイ55に表示させる場合、該第1の地域に相当する表示領域の表示態様を、他の地域(即ち、領有権を主張する国が一国のみとなる地域)に相当する表示領域の表示態様と異ならせる。一例として、画像プロセッサ65は、第1の地域に相当する表示領域の輝度を、他の地域に相当する表示領域の輝度よりも低くさせる。したがって、本実施形態では、ステップS22が、ナビゲーションステップに相当する。その後、制御部64は、特定国判定処理ルーチンを終了する。
【0060】
次に、制御部64が実行する目的地入力時処理ルーチンについて、図8に示すフローチャート及び図9に示す模式図に基づき説明する。この目的地入力時処理ルーチンは、自車両の乗員による操作ボタン57の操作によって目的地入力用の画面がディスプレイ55に表示されたことを契機に実行される。
【0061】
さて、目的地入力時処理ルーチンにおいて、制御部64は、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作による目的地の設定が完了したか否かを判定する(ステップS30)。この判定結果が否定判定である場合、制御部64は、目的地の設定が完了するまでステップS30の判定処理を繰り返し行う。一方、ステップS30の判定結果が肯定判定になった場合、制御部64は、現在位置から目的地までの経路を検索するための経路検索処理を行う(ステップS31)。したがって、本実施形態では、制御部64が、検索手段としても機能する。
【0062】
ここで、特定国がA国である場合において、A国とC国との国境付近に現在位置(「出発地」ともいう。)と目的地とが位置するときの経路検索処理について、図9(a)(b)に基づき説明する。なお、前提として、現在位置Sと目的地Gとを直線で結んだ場合、現在位置Sと目的地Gとの間には、A国とC国とが互いに領有権を主張し合う第1の地域23が存在するものとする。
【0063】
制御部64は、目的地Gが設定された場合、道路に沿って所定の箇所に設定された各ノードを連結するリンクのリンクコストに基づき、現在位置Sから目的地Gまでのリンクコストの総和が最小となるように経路を検索する。このとき、制御部64は、各道路に沿って設定された各ノードを連結するリンクのリンクコストについて地域毎に重み付けを行い、該結果に基づき経路を検索する。
【0064】
一例として、制御部64は、A国と友好度が非常に低い(即ち、国境の位置が未確定であると共に、国交関係が険悪である)C国内の道路に沿って設定される各ノードを連結するリンクのリンクコストを、以下に示すように設定する。すなわち、制御部64は、C国用地図情報19Cから読み出したリンクコストに対して所定の第1係数(1よりも大きな値であって、例えば3)を乗算し、該乗算結果を、C国内の道路に沿って設定される各ノードを連結するリンクのリンクコストとする。
【0065】
また、制御部64は、第1の地域23内の道路に沿って設定される各ノードを連結するリンクのリンクコストを、以下に示すように設定する。すなわち、制御部64は、A国用地図情報19Aから読み出したリンクコストに対して「1」よりも大きく且つ第1係数よりも小さい値に設定された第2係数(例えば1.5)を乗算し、該乗算結果を、第1の地域23内の道路に沿って設定される各ノードを連結するリンクのリンクコストとする。
【0066】
そして、制御部64は、特定国であるA国内のうち第1の地域23とは異なる第2の地域26内の道路に沿って設定される各ノードを連結するリンクのリンクコストを、以下に示すように設定する。すなわち、制御部64は、A国用地図情報19Aから読み出したリンクコストに対して、第2係数よりも小さい値に設定された第3係数(例えば0.8)を乗算し、該乗算結果を、第2の地域26内の道路に沿って設定される各ノードを連結するリンクのリンクコストとする。
【0067】
その結果、図9(a)に示すように、現在位置Sから目的地Gまでの経路の候補として3つの経路R1,R2,R3が存在する場合、制御部64は、C国内を通過する経路R1(図9(a)では破線で示す経路)よりもA国内を通る経路R2,R3を優先的に検索する。また、制御部64は、A国内を通る経路R2,R3であっても、第1の地域23内を通過する経路R2(図9(a)では実線で示す経路)よりも、A国内の第2の地域26内を通る経路R3(図9(a)では一点鎖線で示す経路)を優先的に検索する。これは、第2の地域26内のみを通る経路R3のほうが、第1の地域23内やA国外を通過する経路R1,R2よりもリンクコストの総和が小さくなったためである。
【0068】
そして、制御部64は、存在する複数の経路R1〜R3のうち最も優先度の高い経路R3を選択し、該経路R3が描かれた地図をディスプレイ55に表示させる旨の制御指令を画像プロセッサ65に出力する。すると、画像プロセッサ65は、図9(b)に示す画面をディスプレイ55に表示させるべく入出力装置51を制御する。
【0069】
図8に戻り、経路検索処理が終了すると、制御部64は、ステップS31で設定された経路(例えば経路R3)が、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作によって承認されたか否かを判定する(ステップS32)。この判定結果が否定判定である場合、即ちステップS31で設定された経路が自車両の乗員によって承認されなかった場合、制御部64は、経路再検索処理を行う(ステップS33)。すなわち、制御部64は、上記経路検索処理の結果、ディスプレイ55に表示された経路(例えば経路R3)の次にリンクコストの総和が小さい経路(例えば経路R2)を選択する。そして、制御部64は、選択した経路が描かれた地図をディスプレイ55に表示させる旨の制御指令を画像プロセッサ65に出力する。すると、画像プロセッサ65は、検索された経路(例えば経路R2)が描かれた地図をディスプレイ55に表示させるべく入出力装置51を制御する。その後、制御部64は、その処理を前述したステップS32に移行する。
【0070】
その一方で、ステップS32の判定結果が肯定判定である場合、制御部64は、ディスプレイ55に表示された経路(例えば経路R2)が乗員によって承認されたため、特定国フラグFLG1がオフであるか否かを判定する(ステップS34)。この判定結果が否定判定(FLG1=オン)である場合、制御部64は、その処理を後述するステップS42に移行する。
【0071】
一方、ステップS34の判定結果が肯定判定(FLG1=オフ)である場合、制御部64は、乗員によるタッチパネル56の操作によって入力された目的地Gを表現する言語を特定する(ステップS35)。一例として、目的地が「ミラノ」である場合、「ミラノ」は、イタリア語では「Milano」と表記される一方、英語やフランス語では「Milan」と表記され、さらに、ドイツ語では「Mailand」と表記される。このように目的地によっては、言語によって表記、即ち文字の組み合わせが異なることがある。そこで、本実施形態では、目的地を設定した際の乗員によるタッチパネル56の操作履歴に基づき、該乗員が使用する言語が特定される。
【0072】
続いて、制御部64は、ステップS35で特定された言語を使用する国を特定できたか否かを判定する(ステップS36)。すなわち、本実施形態では、目的地を設定した際の乗員によるタッチパネル56の操作履歴に基づき、該乗員が使用する言語が特定され、該特定された言語に基づき特定国が判定される。そして、制御部64は、ステップS36の判定結果が否定判定である(即ち、国を特定できない)場合にはその処理を後述するステップS42に移行する一方、判定結果が肯定判定(即ち、国を特定できた)場合にはその処理を次のステップS37に移行する。国を特定できない場合とは、ステップS35で特定された言語が複数の国で使用される場合、及びステップS35で言語を特定できなかった場合などが挙げられる。
【0073】
ステップS37において、制御部64は、ステップS36で特定された国(例えばB国)が特定国と一致するか否かを判定する。この判定結果が肯定判定(特定された国=特定国)である場合、制御部64は、その処理を後述するステップS42に移行する。一方、ステップS37の判定結果が否定判定(特定された国≠特定国)である場合、制御部64は、特定国変更処理を行う(ステップS38)。具体的には、制御部64は、ステップS36で特定された国を特定国に変更してもよいか否かを自車両の乗員に判断させるための画面をディスプレイ55に表示させる旨の制御指令を画像プロセッサ65に出力する。すると、画像プロセッサ65は、「特定国を変更してもよいですか?」という旨の記載を有する表示領域をディスプレイ55に形成させる。また、画像プロセッサ65は、「OK」という旨の記載を有する表示領域(以下、「了承用表示領域」ともいう。)と、「NG(即ち、特定国を変更しない)」という旨の記載を有する表示領域(以下、「非了承用表示領域」ともいう。)とをディスプレイ55に形成させる。
【0074】
特定国変更処理が終了すると、制御部64は、タッチパネル56から出力される操作信号に基づき、了承用表示領域が選択されたか否かを判定する(ステップS39)。この判定結果が否定判定である場合、制御部64は、非了承用表示領域が自車両の乗員によって選択されたため、その処理を後述するステップS42に移行する。一方、ステップS39の判定結果が肯定判定である場合、制御部64は、了承用表示領域が自車両の乗員によって選択されたため、特定国を変更する(ステップS40)。例えば、制御部64は、特定国をA国からB国に変更する。したがって、本実施形態では、ステップS40が、特定国判定ステップに相当する。続いて、制御部64は、上記ステップS21の処理に相当するステップS41の処理を行い、その処理を後述するステップS42に移行する。
【0075】
ステップS42において、制御部64は、上記ステップS22の処理に相当する処理を行い、その後、目的地入力時処理ルーチンを終了する。したがって、本実施形態では、ステップS42が、ナビゲーションステップに相当する。
【0076】
次に、制御部64が実行するジャンル設定時処理ルーチンについて、図10に示すフローチャートに基づき説明する。このジャンル設定時処理ルーチンは、自車両の乗員による操作ボタン57の操作によってジャンル設定用の画面がディスプレイ55に表示されたことを契機に実行される。
【0077】
さて、ジャンル設定時処理ルーチンにおいて、制御部64は、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作によってジャンル(例えばレストラン)が設定されたか否かを判定する(ステップS50)。この判定結果が否定判定である場合、制御部64は、ジャンルの設定が完了するまでステップS50の判定処理を繰り返し行う。一方、ステップS50の判定結果が肯定判定になった場合、制御部64は、設定されたジャンルに該当する施設を検索する施設検索処理を行う(ステップS51)。
【0078】
施設検索処理が終了すると、制御部64は、設定されたジャンルに該当する施設が複数有るか否かを判定する(ステップS52)。この判定結果が否定判定である場合、制御部64は、該当する施設が一つのみであるため、その処理を後述するステップS57に移行する。一方、ステップS52の判定結果が肯定判定である場合、制御部64は、該当する複数の施設の中に、特定国(例えばA国)以外の国(例えばC国)が領有権を主張する地域の施設があるか否かを判定する(ステップS53)。なお、特定国がA国である場合において第1の地域23にある施設については、A国内の施設であると判断される。
【0079】
ステップS53の判定結果が否定判定である場合、制御部64は、該当する施設が特定国外にはないため、その処理を後述するステップS55に移行する。一方、ステップS53の判定結果が肯定判定である場合、制御部64は、特定国外の施設の優先度を、特定国内の施設の優先度よりも低く設定し(ステップS54)、その処理を次のステップS55に移行する。
【0080】
ステップS55において、制御部64は、該当する複数の施設の中に、特定国(例えばA国)の第1の地域(例えば第1の地域23)内の施設があるか否かを判定する。この判定結果が否定判定である場合、制御部64は、該当する施設が第1の地域内にはないと判断し、その処理を後述するステップS57に移行する。なお、制御部64は、特定国内に第1の地域が存在しない場合も、その処理を後述するステップS57に移行する。一方、ステップS55の判定結果が肯定判定である場合、制御部64は、特定国の第1の地域内の施設の優先度を、特定国の第2の地域(特定国内において第1の地域以外の地域)内の施設の優先度よりも低く設定し(ステップS56)、その処理を次のステップS57に移行する。
【0081】
ステップS57において、制御部64は、該当する施設を、それらの優先度の高い順に並び替える。すなわち、制御部64は、基本的には、自車両の現在位置からの距離が近い施設ほど優先度が高く設定されている。しかし、上述したように、制御部64は、施設のある国や地域などによっても優先度が変更される。
【0082】
ここで、該当する施設が3つある場合について説明する。なお、前提として、第1の施設は、特定国であるA国の第2の地域26内の施設であると共に、第2の施設は、第1の地域23内の施設であり、さらに、第3の地域は、C国内の施設であるものとする。この場合、制御部64は、第3の施設の優先度を第1及び第2の施設の優先度よりも低く設定し、第2の施設の優先度を第1の施設の優先度よりも低く設定する。その結果、第1の施設の優先度が最も高く、第2の施設の優先度が2番目に高く、第3の施設の優先度が最も低くなる。
【0083】
そして、制御部64は、設定された優先度に従って施設を順番に表示させる旨の制御指令を画像プロセッサ65に出力する。すると、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55において最上位に、最も優先度の高い施設(例えば第1の施設)に対応する選択用表示領域を形成させ、該選択用表示領域の下に、2番目に優先度の高い施設(例えば第2の施設)に対応する選択用表示領域を形成させる。そして、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55の最下位に、最も優先度の低い施設(例えば第3の施設)に対応する選択用表示領域を形成させる。
【0084】
続いて、制御部64は、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作によって、選択用表示領域が選択されたか否かを判定する(ステップS58)。この判定結果が否定判定である場合、制御部64は、選択用表示領域が選択されるまでステップS58の判定処理を繰り返し行う。一方、ステップS58の判定結果が肯定判定になった場合、制御部64は、各選択用表示領域のうち何れか一つの選択用表示領域が選択されたため、上記ステップS31,S32,S33,S42の各処理に相当するステップS59,S60,S61,S62の各処理を順次行う。その後、制御部64は、ジャンル設定時処理ルーチンを終了する。
【0085】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)ナビゲーション装置50にナビゲーション処理を実行させるための自車両の乗員によるタッチパネル56の操作履歴に基づき特定国が判定される。そして、判定された特定国に対応する地図情報に基づきナビゲーション処理が行われる。そのため、例えばA国出身の乗員に対して、C国用の地図情報を基準としたナビゲーション処理が実行されることを抑制でき、該乗員に不快感を与える可能性を低下させることができる。したがって、自車両の乗員に煩雑な操作を行わせることなく、該乗員の意向に合致した地図データに基づいたナビゲーション処理をナビゲーション装置50が実行する可能性を向上させることができる。
【0086】
(2)本実施形態では、自宅の位置PHを登録した際における自車両の乗員のタッチパネル56の操作履歴に基づき、特定国が判定される。すなわち、特定国を判定させるための特別な操作を乗員に行わせることなく、特定国を容易に判定させることができ、ひいては乗員の意向に合致した地図に基づいたナビゲーション処理を行わせることができる。
【0087】
(3)複数の国が領有権を主張する地域に自宅が位置することがある。そこで、本実施形態では、複数の国が領有権を主張する第1の地域に自宅が位置PH(PH2)する場合には、該各国に対応する選択用表示領域71をディスプレイ55に形成させる。そして、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作によって選択された選択用表示領域71に対応する国が特定国とされる。そのため、自宅の位置PHの設定に基づき特定国を判定させる場合であっても、乗員の意向に合致した特定国の設定に貢献できる。
【0088】
(4)また、本実施形態では、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作履歴から、入力又は設定された言語が特定され、該特定された言語を用いる国が特定国とされる。そのため、特定国を判定させるための特別な操作を乗員に行わせることなく、特定国を容易に判定させることができる。すなわち、乗員の意向に合致したナビゲーション処理を実行させることができる。
【0089】
(5)同一の意味合いを有する単語(例えば都市名などの目的地)であっても、言語によって文字の組み合わせが異なる場合がある。そこで、本実施形態では、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作によって目的地Gが入力された場合には、該目的地Gの入力に用いられた言語が特定され、該言語を使用する国が特定される。そして、この特定された国が既に設定されている特定国と一致していない場合には、自車両の乗員に対して特定国の変更を促す旨が報知される。この報知に基づき、自車両の乗員が特定国の変更を望む旨が入力された場合には、言語に基づき特定された国が新たな特定国とされる。したがって、自車両の乗員の意向に合致した国を特定国とすることができる。
【0090】
しかも、その設定は、乗員による普段のナビゲーション装置50のタッチパネル56の操作履歴に基づき行われる。そのため、特定国を判定させるために、乗員に対して特別な操作を行わせなくてもよい。
【0091】
(6)目的地Gが設定された場合において現在位置Sから目的地Gまでの経路が複数存在するときには、自車両が特定国内のみを通る経路が優先的に検索される。すなわち、特定国外を通る経路が検索結果としてディスプレイ55に表示させる可能性を低くできる。そのため、特定国とは異なる他の国への入国が案内される可能性を低くできる。
【0092】
(7)また、特定国内であっても、他の国が領有権を主張する第1の地域が存在することがある。この場合には、特定国内において第1の地域とは異なる第2の地域のみを通る経路が、第1の地域を通過する経路よりも優先的に検索されると共に、ディスプレイ55に表示される。そのため、第2の地域のみを通る経路が自車両の乗員に承認される可能性を高くでき、ひいては自車両を第1の地域を避けるような経路で目的地Gまで案内できる。
【0093】
(8)ただし、自車両の乗員が第2の地域のみを通る経路(例えば経路R3)が非常に遠回りであって、他の経路で目的地Gまで行きたい場合には、目的地Gの経路が再検索される。この場合、第1の地域を通過する経路(例えば経路R2)がディスプレイ55に表示されることがある。そして、第1の地域を通過する経路での案内を自車両の乗員が承認した場合には、該経路に沿って自車両を目的地Gまで案内することができる。
【0094】
(9)一方、第1の地域を通過する経路(例えば経路R2)が自車両の乗員によって承認されなかった場合には、特定国以外の他の国内を通過する経路(例えば経路R1)がディスプレイ55に表示されることがある。そして、他の国内を通過する経路での案内を自車両の乗員が承認した場合には、該経路に沿って自車両を目的地Gまで案内することができる。
【0095】
(10)ジャンル(例えばレストラン)が設定された場合には、該当する施設が複数の国に存在することがある。そこで、本実施形態では、該当する施設が複数存在する場合には、特定国内にある施設の優先度が、他の国にある施設の優先度よりも高く設定される。その結果、自車両の乗員によって最も選択される可能性が高いと想像される特定国内の施設がディスプレイ55の上側に表示される。したがって、自車両の乗員に、特定国内の施設を選択させる際に、ディスプレイ55の表示をスクロールさせることを抑制でき、ひいては乗員による施設の速やかな選択に貢献できる。
【0096】
(11)また、特定国内であっても第1の地域にある施設が、自車両の乗員によって選択される可能性は低いと考えられる。そこで、本実施形態では、特定国内に複数の施設がある場合、第1の地域内の施設の優先度は、特定国内の第2の地域内の施設の優先度よりも低く設定される。その結果、自車両の乗員によって最も選択される可能性が高いと想像される第2の地域内の施設がディスプレイ55の上側に表示される。したがって、自車両の乗員に、第2の地域内の施設を選択させる際に、ディスプレイ55の表示をスクロールさせることを抑制でき、ひいては乗員による施設の速やかな選択に貢献できる。
【0097】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図11及び図12に従って説明する。なお、第2の実施形態は、特定国の判定方法が第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0098】
本実施形態の制御部64が実行する特定国判定処理ルーチンについて、図11に示すフローチャート及び図12に示す模式図に基づき説明する。
さて、自車両の図示しないイグニッションスイッチがオンになると、制御部64は、特定国判定処理ルーチンを実行する。この特定国判定処理ルーチンにおいて、制御部64は、該制御部64のRAMを初期化する初期処理を行う(ステップS70)。続いて、制御部64は、上記ステップS11の処理と同様に、特定国フラグFLG1がオフであるか否かを判定する(ステップS71)。この判定結果が否定判定(FLG1=オン)である場合、制御部64は、上記第1初期画面をディスプレイ55に表示させる(ステップS72)。そして、制御部64は、予め設定された所定時間(例えば5秒)の間、ディスプレイ55に第1初期画面を表示させた後、その処理を後述するステップS81に移行する。
【0099】
一方、ステップS71の判定結果が否定判定(FLG1=オフ)である場合、制御部64は、上記ステップS13,S14の各処理に相当するステップS73,S74の各処理を順次行う。続いて、制御部64は、第1初期画面とは異なる第2初期画面をディスプレイ55に表示させる旨の制御指令を画像プロセッサ65に出力する(ステップS75)。この制御指令は、ステップS74で推定された国及び該国で使用される言語(「公用語」ともいう。)に関する情報と、ステップS74で推定された国の周辺国(この場合、隣接国)及び該周辺国で使用される言語に関する情報とを含んでいる。すると、画像プロセッサ65は、第2初期画面をディスプレイ55に表示させるべく入出力装置51を制御する。
【0100】
ここでは、現在位置を領有する国がA国であると推定された場合におけるディスプレイ55の表示制御について説明する。
図12(a)に示すように、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55の中央に、「実際の交通規制に従って走行してください。」という旨の記載を有する表示領域75を形成させる。表示領域75で使用される言語は、ステップS74で推定された国で使用される言語である。なお、ステップS73で取得された現在位置が、複数の国が領有権を主張し合う第1の地域(例えば第1の地域23)内にある場合、表示領域70には、A国で使用される言語の記載と、C国で使用される言語の記載とを併記してもよい。
【0101】
また、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55において表示領域75の下方側に、複数(図12(a)では5つ)の選択用表示領域76(76A,76B,76C,76D,76E)を表示させる。具体的には、画像プロセッサ65は、各選択用表示領域76A〜76Eのうち最も左方側に位置する選択用表示領域76Aに、A国で使用される言語で表現された単語を表示させると共に、選択用表示領域76Aの右側に位置する選択用表示領域76Bに、B国で使用される言語で表現された単語を表示させる。また、画像プロセッサ65は、選択用表示領域76Bの右側に位置する選択用表示領域76Cに、C国で使用される言語で表現された単語を表示させると共に、選択用表示領域76Cの右側に位置する選択用表示領域76Dに、D国で使用される言語で表現された単語を表示させる。そして、画像プロセッサ65は、選択用表示領域76Dの右側に位置する選択用表示領域76Eに、E国で使用される言語で表現された単語を表示させる。すなわち、ディスプレイ55には、A国と、該A国に隣接する各国に個別対応する選択用表示領域76A〜76Eが形成される。
【0102】
なお、各選択用表示領域76A〜76Eに表示される単語は、「了承」を意味する単語である。もし仮にA国で使用される言語が日本語である場合、選択用表示領域76Aには「了承(又は了解)」が表示される。また、もし仮にB国で使用される言語が英語である場合、選択用表示領域76Bには「I Agree」が表示される。
【0103】
次に、現在位置を領有する国がC国であると推定された場合におけるディスプレイ55の表示制御について説明する。
図12(b)に示すように、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55の中央に表示領域75を形成させる。この表示領域75で使用される言語は、ステップS74で推定されたC国で使用される言語である。
【0104】
また、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55において表示領域75の下方側に、複数(図12(a)では3つ)の選択用表示領域76(76C,76A,76D)を表示させる。具体的には、画像プロセッサ65は、各選択用表示領域76C,76A,76Dのうち最も左方側に位置する選択用表示領域76Cに、C国で使用される言語で表現された単語を表示させると共に、選択用表示領域76Cの右側に位置する選択用表示領域76Aに、A国で使用される言語で表現された単語を表示させる。また、画像プロセッサ65は、選択用表示領域76Aの右側に位置する選択用表示領域76Dに、D国で使用される言語で表現された単語を表示させる。
【0105】
上述したように、選択用表示領域76が形成される数は、現在位置を領有する国に隣接する国の数によって変動する。しかし、制御部64及び画像プロセッサ65は、自車両の乗員に画面をスクロールさせることなく、全ての選択用表示領域71をディスプレイ55に表示させるべく、各選択用表示領域76の大きさや配置を調整する。
【0106】
図11に戻り、制御部64は、了承ボタンが操作されたか否かを判定する(ステップS76)。すなわち、制御部64は、タッチパネル56から出力される操作信号に基づき、ディスプレイ55に表示される各選択用表示領域76(図12(a)(b)参照)の何れか一つの選択用表示領域が選択されたか否かを判定する。そして、ステップS76の判定結果が否定判定である場合、制御部64は、ユーザによるタッチパネル56の操作によって選択用表示領域76が選択されるまでステップS76の判定処理を繰り返し行う。
【0107】
一方、ステップS76の判定結果が肯定判定になった場合、制御部64は、タッチパネル56から出力される操作信号に基づき特定国を判定する(ステップS77)。具体的には、制御部64は、タッチパネル56から出力される操作信号に基づき、ディスプレイ55に表示された各選択用表示領域76のうち選択された選択用表示領域(例えば、選択用表示領域71A)を特定する。そして、制御部64は、特定された選択用表示領域76Aに表示される単語を表現する言語(例えばA国語)を特定し、該言語を用いる国(例えばA国)を特定国とする。すなわち、本実施形態では、自車両の乗員(ユーザ)によるタッチパネル56の操作、即ち乗員がタッチパネル56を操作した際の操作履歴によって乗員が使用する言語が特定され、該言語に基づき特定国が判定される。したがって、本実施形態では、ステップS77が、特定国判定ステップに相当する。
【0108】
そして、制御部64は、特定国保持処理を行う(ステップS78)。具体的には、制御部64は、ステップS77で判定(「設定」と言い換えてもよい。)された特定国を保持してもよいか否かを自車両の乗員を判断させるための画面をディスプレイ55に表示させる旨の制御指令を画像プロセッサ65に出力する。すると、画像プロセッサ65は、「今回設定された特定国を保持してもよいですか?」という旨の記載を有する表示領域をディスプレイ55に形成させる。また、画像プロセッサ65は、「OK」という旨の記載を有する表示領域(以下、「了承用表示領域」ともいう。)と、「NG(即ち、次回以降は特定国を再設定させる)」という旨の記載を有する表示領域(以下、「非了承用表示領域」ともいう。)とをディスプレイ55に形成させる。
【0109】
特定国保持処理が終了すると、制御部64は、タッチパネル56から出力される操作信号に基づき、了承用表示領域が選択されたか否かを判定する(ステップS79)。この判定結果が肯定判定である場合、制御部64は、了承用表示領域が自車両の乗員によって選択されたため、特定国フラグFLG1をオンにセットし(ステップS80)、その処理を後述するステップS81に移行する。一方、ステップS79の判定結果が否定判定である場合、制御部64は、非了承用表示領域が自車両の乗員によって選択されたため、その処理を後述するステップS81に移行する。
【0110】
ステップS81において、制御部64は、上記ステップS21の処理に相当する処理を行う。そして、制御部64は、上記ステップS22の処理に相当するステップS82の処理を行い、その後、特定国設定処理ルーチンを終了する。
【0111】
したがって、本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)(2)(4)〜(11)の効果に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(12)本実施形態では、自車両のイグニッションスイッチがオンになると、ナビゲーション装置50のディスプレイ55には、図12(a)(b)などに示す画面が表示される。このときにディスプレイ55に表示される複数の選択用表示領域76のうち何れか一つの選択用表示領域が、乗員によるタッチパネル56の操作によって選択されると、該選択された選択用表示領域76に表示される単語を表現する言語に基づき、特定国が判定される。そのため、特定国を判定させるための特別な操作を自車両の乗員に行わせることなく、特定国を容易に判定させることができる。
【0112】
(13)自車両の乗員の意向に合致する特定国は、該乗員の現在位置を領有する国である可能性が高い。そこで、本実施形態では、図12(a)(b)などに示す画面をディスプレイ55に表示させる場合、各選択用表示領域76のうち何れか一つの選択用表示領域(この場合、最も左側に位置する選択用表示領域)には、現在位置を領有する国で用いられる言語で表現される単語が表示される。したがって、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作履歴に基づき乗員の意向に合致する特定国を設定できる可能性を高くすることができる。
【0113】
(14)乗員の現在位置を領有する国に隣接する他の国が、乗員の意向に合致する特定国である可能性は、現在位置を領有する国の次に高い。そこで、本実施形態では、最も左側に位置する選択用表示領域以外の他の選択用表示領域には、現在地を領有する国に隣接する他の国で使用される言語で表現される単語が表示される。したがって、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作履歴に基づき乗員の意向に合致する特定国を設定できる可能性をさらに高くすることができる。
【0114】
(15)さらに、選択可能な各国に対応する各選択用表示領域76は、ディスプレイ55の画面をスクロールさせることなく表示される。そのため、自車両の乗員が、該乗員の所望する言語に対応する選択用表示領域76を探す手間を省くことができる。すなわち、特定国を容易に設定することができる。
【0115】
(16)本実施形態では、自車両のイグニッションスイッチがオンになった際に特定国フラグFLG1が既にオンにセットされていた場合には、第1初期画面をディスプレイ55に表示させる。すなわち、特定国を判定させるための処理が省略される。したがって、制御部64の制御負荷の低減に貢献できる。
【0116】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図13及び図14に従って説明する。なお、第3の実施形態は、特定国の判定方法が第1及び第2の各実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1及び第2の各実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1及び第2の各実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0117】
本実施形態のナビゲーション装置50では、自車両の図示しないイグニッションスイッチがオンになった場合に、特定国フラグFLG1のオン・オフに関係なく、上記第1初期画面がディスプレイ55に表示される。そして、自車両の乗員が、地図上での表示や音声による案内に使用される案内用の言語を設定するための画面をディスプレイ55に表示させるべく操作ボタン57を操作した場合、ナビゲーション装置50の制御部64は、案内用言語設定処理ルーチンを実行する。
【0118】
そこで次に、制御部64が実行する案内用言語設定処理ルーチンについて、図13に示すフローチャート及び図14に示す模式図に基づき説明する。
さて、案内用言語設定処理ルーチンにおいて、制御部64は、ナビゲーション装置50で使用可能な案内用の言語の種類(本実施形態では5種類)を自車両の乗員に対して報知させる表示制御を行う(ステップS90)。すなわち、制御部64から制御指令が入力された画像プロセッサ65は、図14に示す画面をディスプレイ55に表示させるべく入出力装置51を制御する。
【0119】
図14に示すように、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55の上側に、「使用する言語を設定してください。」という旨の記載を有する表示領域80を形成させる。また、画像プロセッサ65は、ディスプレイ55において上記表示領域80の下側に、各言語(本実施形態では、5カ国語)に対応する選択用表示領域81(81A,81B,81C,81D,81E)を形成させる。なお、表示領域80で使用される言語は、現時点で特定国と判定(「設定」と言い換えてもよい。)された国(例えばB国)で使用される言語である。例えば、「A語」とは、A国で使用される言語を示すと共に、「B語」とは、B国で使用される言語を示している。
【0120】
図13に戻り、制御部64は、自車両の乗員によるタッチパネル56の操作によって選択用表示領域81が選択されたか否かを判定する(ステップS91)。この判定結果が否定判定である場合、制御部64は、選択用表示領域81が未だ選択されていないため、選択用表示領域81(81A〜81E)が選択されるまでステップS91の判定処理を繰り返し行う。一方、ステップS91の判定結果が肯定判定になった場合、制御部64は、選択用表示領域81(例えば選択用表示領域81B)が選択されたため、該選択された選択用表示領域81に表示される言語が用いられる国(例えばB国)を特定国に設定する(ステップS92)。すなわち、本実施形態では、案内用の言語を設定する際の自車両の乗員によるタッチパネル56の操作履歴に基づき、特定国が判定される。したがって、本実施形態では、制御部64が、言語選択手段としても機能する。また、ステップS92が、特定国判定ステップに相当する。
【0121】
その後、制御部64は、案内用言語変更処理を行う(ステップS93)。具体的には、制御部64は、図示しないスピーカを介して音声案内を行う際の案内用の言語を特定国で使用される言語に変更すると共に、ディスプレイ55に表示される単語を特定国で使用される言語で表現させる。また、制御部64は、上記ステップS21,S22に相当する各処理を順次行う。そして、案内用言語変更処理が終了すると、制御部64は、案内用言語設定処理ルーチンを終了する。
【0122】
したがって、本実施形態では、上記第1の実施形態の効果(1)(2)(9)〜(14)の効果に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(17)本実施形態のナビゲーション装置50は、自車両の乗員に対する案内報知の際に用いる案内用の言語を設定する機能を有する。そこで、本実施形態では、案内用の言語が設定される際における乗員によるタッチパネル56の操作履歴によって、特定国が判定される。そのため、特定国を判定させるための特別な操作を自車両の乗員に行わせることなく、特定国を容易に設定できる。
【0123】
(18)また、本実施形態では、案内用の言語が変更された場合には、それに応じて特定国が変更される。そのため、前回までに自車両に搭乗した乗員とは国籍の異なる乗員が自車両に搭乗した場合には、該乗員に応じた特定国を設定でき、ひいては乗員の意向に合致したナビゲーション処理を実行することができる。
【0124】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図15及び図16に従って説明する。なお、第4の実施形態は、地図情報を情報端末に適宜ダウンロードさせる点が第1〜第3の各実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1〜第3の各実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1〜第3の各実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0125】
図15に示すように、本実施形態の地図データ管理システム11は、ユーザの所望する国用の地図データを提供可能なシステムである。こうした地図データ管理システム11は、ナビゲーション装置としての管理サーバ(制御装置)12と、該管理サーバ12とネットワーク13などを介して各種情報を送受信可能な情報端末14(例えば、携帯電話などの移動体通信機器)とを備えている。
【0126】
管理サーバ12は、制御手段としてのサーバ制御部15と、通信手段としての通信部16と、地図記憶手段としての地図記憶部17と、情報記憶手段としての各国情報記憶部18とを備えている。サーバ制御部15は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを有している。そして、サーバ制御部15は、CPUがROMに記憶される各種プログラムを適宜実行することにより、各記憶部17,18に記憶される情報を読み出したり、通信部16に制御指令及び各種情報を出力したりする。
【0127】
通信部16は、サーバ制御部15から制御指令が入力された場合には、その制御指令に基づいた情報を情報端末14に送信する。また、通信部16は、情報端末14から情報を受信した場合には、該情報をサーバ制御部15に出力する。
【0128】
地図記憶部17及び各国情報記憶部18は、一例としてハードディスクでそれぞれ構成されている。地図記憶部17には、情報端末14に提供可能な全ての国(本実施形態では5国)の地図情報(即ち、A国用地図情報19A、B国用地図情報19B、C国用地図情報19C、D国用地図情報19D及びE国用地図情報19E)が記憶されている。これら各地図情報19A〜19Eは、各国用の地図データ20と、経路データ21と、POIデータ22とをそれぞれ有している。また、各国情報記憶部18は、情報テーブルが格納されている(図4参照)。
【0129】
なお、各記憶部17,18に記憶される地図情報19A〜19E及び情報テーブルは、各国の主張の変化(例えば、主張する国境線の位置が変わる)、及び各国の政治的な時事変化(例えば、同盟関係)などに伴って、最新の情報に適宜変更される。
【0130】
次に、情報端末14について説明する。
図15に示すように、情報端末14は、表示画面32を有する表示手段としての表示装置33と、ユーザによって操作される操作手段としての操作部34と、情報端末14を統括的に制御するコントローラー36とを有している。
【0131】
コントローラー36は、端末制御部37と、画像処理部38と、通信部39と、端末メモリ40と、GPS受信部90とを備えている。端末制御部37は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを有している。そして、端末制御部37は、操作部34の操作状況に応じた制御指令を通信部39や画像処理部38などに出力したり、通信部39を介して受信した情報に基づいた制御指令を画像処理部38に出力したり、情報を端末メモリ40に記憶させたりする。
【0132】
画像処理部38は、端末制御部37からの制御指令に応じた画像が表示画面32に表示されるように表示装置33を制御する。
通信部39は、端末制御部37から制御指令が入力された場合には、その制御指令に基づいた情報を管理サーバ12に送信する。また、通信部39は、管理サーバ12から送信された情報を受信する。
【0133】
次に、本実施形態の地図データ管理システム11を用いて地図情報をユーザがダウンロードする際に、管理サーバ12側で実行される地図情報送信処理ルーチン及び情報端末14側で実行される地図情報取得処理ルーチンについて、図16に示す各フローチャートに基づき説明する。
【0134】
始めに、管理サーバ12のサーバ制御部15が実行する地図情報送信処理ルーチンについて説明する。
さて、地図情報送信処理ルーチンにおいて、サーバ制御部15は、通信部16を介して情報端末14から目的地情報を受信したか否かを判定する(ステップS1−10)。この目的地情報は、情報端末14側でのユーザによる操作部34の操作によって設定された目的地に関する情報と、送信した情報端末14の識別情報とを含んでいる。この判定結果が否定判定である場合、サーバ制御部15は、目的地情報を受信するまでステップS1−10の判定処理を繰り返し行う。一方、ステップS1−10の判定結果が肯定判定になった場合、サーバ制御部15は、受信した目的地情報に含まれる目的地を表現する言語を特定する(ステップS1−11)。なお、言語の特定方法は、上記ステップS35の場合と略同等であるため、その詳細な説明を省略する。
【0135】
続いて、サーバ制御部15は、ステップS1−11で特定された言語を使用する国(例えばD国)を特定し、該国を特定国とする(ステップS1−12)。したがって、本実施形態では、ステップS1−12が、特定国判定ステップに相当する。続いて、サーバ制御部15は、情報端末14の現在位置から、設定された目的地までの経路を検索する経路検索処理を行う(ステップS1−13)。なお、経路の検索方法は、上記ステップS31の場合と略同等であるため、その詳細な説明を省略する。
【0136】
経路検索処理が終了すると、サーバ制御部15は、ステップS1−12で判定された特定国に応じた地図データを生成する(ステップS1−14)。この地図データの生成方法は、上記ステップS21,S41,S81の各処理と略同等であるため、その詳細な説明を省略する。続いて、サーバ制御部15は、情報端末14でナビゲーション処理を実行させるために、ステップS1−14で生成された地図データと、各国の経路データ21と、各国のPOIデータ22とを含む地図情報、及びステップS1−13で検索された経路に関する検索経路情報を、目的地情報を送信した情報端末14に通信部16から送信させる(ステップS1−15)。したがって、本実施形態では、ステップS1−15が、ナビゲーションステップに相当する。その後、サーバ制御部15は、地図情報送信処理ルーチンを終了する。
【0137】
次に、情報端末14の端末制御部37が実行する地図情報取得処理ルーチンについて説明する。この地図情報取得処理ルーチンは、ユーザによる操作部34の操作によって、ナビゲーション機能が起動したことを契機に実行される。
【0138】
さて、地図情報取得処理ルーチンにおいて、端末制御部37は、ユーザによる操作部34の操作によって目的地が設定されたか否かを判定する(ステップS2−10)。この判定結果が否定判定である場合、端末制御部37は、ユーザによる目的地の入力が完了していないため、目的地の入力が完了するまでステップS2−10の判定処理を繰り返し行う。一方、ステップS2−10の判定結果が肯定判定になった場合、端末制御部37は、目的地の入力が完了したため、該入力された目的地に関する目的地情報を管理サーバ12に通信部39から送信させる(ステップS2−11)。なお、目的地情報は、目的地を表現する文字列に関する情報を含んでいる。すなわち、同一目的地(例えばミラノ)であっても、「Milano」と入力された場合と「Milan」と入力された場合とでは、互いに異なる目的地情報が管理サーバ12に送信される。
【0139】
続いて、サーバ制御部15は、管理サーバ12から地図情報及び検索経路情報を受信したか否かを判定する(ステップS2−12)。この判定結果が否定判定である場合、サーバ制御部15は、地図情報及び検索経路情報の受信が完了していないため、該各情報の受信が完了するまでステップS2−12の判定処理を繰り返し行う。一方、ステップS2−12の判定結果が肯定判定である場合、サーバ制御部15は、受信した地図情報及び検索経路情報を用いて表示処理を行う(ステップS1−13)。
【0140】
したがって、本実施形態では、上記第1〜第3の各実施形態における効果(9)〜(14)に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(19)情報端末14のユーザによる操作部34の操作履歴を含む情報(本実施形態では目的地情報)が、管理サーバ12に送信される。そして、管理サーバ12では、情報端末14から受信した情報に基づき特定国が判定され、該特定国に応じた地図情報が情報端末14に送信される。そのため、ユーザには、該ユーザによる操作部34の操作履歴に基づいた特定国の地図が提供される。その結果、例えばA国出身のユーザに対して、C国用の地図が提供されることを抑制でき、該ユーザに不快感を与える可能性を低下させることができる。したがって、ユーザに煩雑な操作を行わせることなく、ユーザの意向に合致した地図データに基づいたナビゲーション処理を実行させる可能性を向上させることができる。
【0141】
(20)本実施形態において、管理サーバ12では、情報端末14のユーザによる操作部34の操作履歴から、入力又は設定された言語を特定され、該特定された言語を用いる国が特定国とされる。そのため、管理サーバ12に特定国を判定させるための特別な操作を情報端末14側でユーザに行わせることなく、特定国を容易に判定させることができる。すなわち、ユーザが所望する地図を容易に提供できる。
【0142】
(21)同一の意味合いを有する単語(例えば都市名などの目的地)であっても、言語によって文字の組み合わせが異なる場合がある。そこで、本実施形態では、情報端末14のユーザによる操作部34の操作によって単語が入力された場合には、該単語に関する情報が管理サーバ12に送信される。そして、管理サーバ12では、受信した情報に基づき単語の入力に用いられた言語が特定され、さらに、該言語を使用する国が判定される。したがって、情報端末14のユーザの希望する国を特定国とすることができる。
【0143】
しかも、その設定は、ナビゲーション処理を実行させる際におけるユーザによる普段の操作部34の操作履歴に基づき行われる。そのため、特定国の設定のために、ユーザに対して特別な操作を行わせなくてもよい。
【0144】
なお、上記各実施形態は、以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・各実施形態において、経路検索処理(ステップS13)では、複数の国が領有権を主張する第1の地域23,24,25を回避する経路を、該第1の地域23,24,25内を通過する経路よりも優先的に検索させてもよい。このように構成しても、第1の地域23,24,25内を通過する経路に沿って目的地Gまで自車両(又はユーザ)を案内する可能性を低減させることができる。
【0145】
・互いに隣接し合う国同士では、使用する文字が異なることもある。こうした地域にナビゲーション装置50を提供する場合には、第1国で使用される文字(例えばアルファベット)で目的地などを入力できる第1のモードと、第2国で使用される文字(例えばキリル文字)で目的地などを入力できる第2のモードとで選択可能となっている。この場合、ユーザによってモードの選択が行われたときにおけるユーザの操作履歴に基づき、特定国を判定してもよい。
【0146】
・第1〜第3の各実施形態において、情報記憶装置66には、A国が特定国である場合の地図データとして、図7(a)に示す地図に関するデータを記憶させてもよい。また、情報記憶装置66には、C国が特定国である場合の地図データとして、図7(b)に示す地図に関するデータを記憶させてもよい。同様に、情報記憶装置66には、B国(又はD国、E国)が特定国である場合の地図データとして、B国(又はD国、E国)の主張と、B国(又はD国、E国)と他の国との友好関係に基づいたA国〜E国の地図に対応する地図データを記憶させてもよい。このように構成すると、特定国が変更される毎に、該特定国に対応して地図データを作成する必要がなくなり、その分、制御負荷を低減させることができる。
【0147】
・第1及び第2の実施形態において、自車両のイグニッションスイッチがオンとなる毎に、特定国を判定させる処理を行ってもよい。すなわち、第1の実施形態におけるステップS11の処理と、第2の実施形態におけるステップS71,S78の各処理とを省略してもよい。
【0148】
・第1の実施形態において、目的地入力時処理ルーチンが実行される毎に、ステップS36で特定された国を記憶させてもよい。そして、特定された回数が最も多い国を、特定国としてもよい。
【0149】
・第4の実施形態において、管理サーバ12は、情報端末14の現在位置を領有する国を特定した場合には、該特定した国を特定国としてもよい。
・各実施形態では、目的地Gまでの経路を検索する際において、第1係数を、特定国との友好関係に基づき設定してもよい。例えば、特定国との友好度が低い国内の道路に沿って設定された各ノードを連結するリンクのリンクコストを設定する場合には、特定国との友好度が高い国内の道路に沿って設定された各ノードを連結するリンクのリンクコストを設定する場合と比較して大きな値に設定してもよい。このように構成すると、特定国と友好度の低い他の国内を通る経路が検索される可能性を低くできる。
【0150】
・第1の実施形態では、拠点の一例としてユーザの自宅を挙げたが、これに限らず、拠点は、ユーザが生活や仕事の拠点として自ら選択した場所であり、ユーザの拠点としての国が推定可能な場所であれば任意の拠点(例えば、ユーザの勤務先の位置)であってもよい。
【0151】
・第1〜第4の各実施形態において、情報テーブルは、国同士の友好関係に関する情報として、国同士の間で国境が確定しているか否かに関する情報、及び国同士の国交関係が良好であるか否かに関する情報の何れか一方のみを記憶するテーブルであってもよい。
【0152】
・第4の実施形態において、ユーザによる操作部34の操作履歴によって言語を特定する機能を、情報端末14に設けてもよい。この場合、情報端末14から管理サーバ12に履歴情報を送信しなくてもよい。また、情報端末14からは、特定した言語に基づき特定国を判定させ、該特定国に対応した地図データを管理サーバ12に要求してもよい。そして、情報端末14では、要求に基づき受信(ダウンロード)した地図データに基づきナビゲーション処理を行ってもよい。この場合、情報端末14が、ナビゲーション装置として機能することになる。
【符号の説明】
【0153】
12…地図データ管理装置としての管理サーバ、14…情報端末、15…制御手段としてのサーバ制御部、16…通信手段としての通信部、17…地図記憶手段としての地図記憶部、20…地図データ、23〜25…第1の地域、26…第2の地域、50…ナビゲーション装置、51…表示手段としての入出力装置、53…ナビ制御装置、55…表示画面としてのディスプレイ、58…現在位置取得手段を構成するGPS受信部、64…制御手段、現在位置取得手段を構成する制御部(特定国判定手段、言語選択手段、検索手段)、65…制御手段を構成する画像プロセッサ、66…地図記憶手段、拠点記憶手段としての情報記憶装置、76,76A〜76E…選択用表示領域、G…目的地、PH,PH1,PH2…拠点の位置としての自宅の位置、R1〜R3…経路、S…現在位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図記憶手段に記憶される複数の国に対応する地図データに基づきナビゲーション処理を行う制御手段と、
前記ナビゲーション処理を実行させるための操作履歴に基づき特定国を判定する特定国判定手段と、を備え、
前記制御手段は、前記特定国判定手段による判定結果に基づき前記ナビゲーション処理を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記操作履歴として拠点の位置を記憶する拠点記憶手段をさらに備え、
前記特定国判定手段は、前記拠点記憶手段に記憶された前記拠点の位置を領有する国を特定し、該特定された国を特定国とすることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記拠点記憶手段に記憶される前記拠点の位置の領有権を主張する国が複数存在する場合には、前記領有権を主張する各国のうち何れか一国を選択させるための選択報知制御を行い、
前記特定国判定手段は、前記選択報知制御が実行されたことを契機に国が選択された際の前記操作履歴に基づき、特定国を判定することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記特定国判定手段は、前記操作履歴に基づき、入力又は選択された言語を特定し、該特定された言語に基づき特定国を判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
複数の選択用の表示領域が表示される表示画面を有する表示手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記表示画面の前記各選択用の表示領域に、互いに異なる言語で表現される単語が表示されるように前記表示手段を制御し、
前記特定国判定手段は、前記各選択用の表示領域のうち何れか一つの選択用の表示領域が選択された場合の前記操作履歴に基づき、前記選択された選択用の表示領域に表示される単語を表現する言語を特定し、該言語に基づき特定国を判定することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
現在位置を取得する現在位置取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記各選択用の表示領域のうち何れか一つの選択用の表示領域に、前記現在位置取得手段によって取得された現在位置を領有する国で用いる言語で表現される単語が表示されるように前記表示手段を制御することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記操作履歴に基づき、前記ナビゲーション装置における案内用の言語を選択する言語選択手段をさらに備え、
前記特定国判定手段は、前記言語選択手段によって前記案内用の言語が選択された際の前記操作履歴に基づき前記特定国を判定することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
目的地が設定された場合に、現在位置から目的地までの経路を検索する検索手段をさらに備え、
前記検索手段は、前記特定国内において複数の国が互いに領有権を主張し合う第1の地域とは異なる第2の地域内を通る経路を、前記第1の地域内を通る経路よりも優先的に検索し、
前記制御手段は、前記検索手段によって検索された経路に基づいた前記ナビゲーション処理を行うことを特徴とする請求項1〜請求項7のうち何れか一項に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
情報端末と情報の送受信を行う通信手段をさらに備え、
前記特定国判定手段は、前記情報端末で前記ナビゲーション処理を実行させるための操作がなされた場合において、該操作に基づく操作履歴に関する履歴情報が前記通信手段を介して受信されたときに、該履歴情報に基づき特定国を判定し、
前記制御手段は、前記特定国判定手段によって判定された特定国に対応したナビゲーション処理を前記情報端末で実行させるべく、該特定国に対応する地図データを前記通信手段から前記情報端末に送信させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
地図記憶手段に記憶される複数の国に対応する地図データに基づいたナビゲーション処理を制御装置に実行させるナビゲーション方法であって、
前記ナビゲーション処理を実行させるための操作履歴に基づき、前記制御装置に特定国を判定させる特定国判定ステップと、
前記特定国判定ステップで判定した特定国に対応する地図データに基づいた前記ナビゲーション処理を前記制御装置に実行させるナビゲーションステップと、を有することを特徴とするナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−214902(P2011−214902A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81270(P2010−81270)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】