説明

ナビゲーション装置

【課題】地図ブロック間のノードの接続情報を変換テーブルに格納することによって、地図データが更新された場合の処理負担を低減することができ、短時間で地図データを更新することができるようにする。
【解決手段】地図データを格納するデータ格納部と、前記地図データを管理するデータ管理部とを有し、前記地図データを地図ブロック毎に更新可能なナビゲーション装置であって、前記データ格納部は、ノードに関する情報を格納するデータテーブル、及び、地図ブロック間のノードの接続情報を格納する変換テーブルを格納し、前記データ管理部は、地図ブロックが更新された場合、前記データテーブルに格納されている前記更新された地図ブロックにおける更新されたノードに関する情報を書き換えるとともに、前記変換テーブルに格納されている前記更新されたノードの接続情報を書き換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に搭載されたナビゲーション装置においては、運転者等の操作者が所定の入力部を操作して目的地を設定すると、該目的地及び車両の現在位置に基づいて、該現在位置から目的地までの経路が探索され、探索された経路が案内される。この場合、前記ナビゲーション装置は、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記憶媒体に格納された探索データ、道路データ等を含む地図データに基づいて、経路を探索する。そして、前記地図データに基づいて、表示部の画面に地図を表示し、該地図上に探索された経路を表示することによって、経路案内を行うようになっている。
【0003】
しかし、前記ナビゲーション装置は、前記記憶媒体に格納された地図データに基づいて経路を探索するようになっているので、新しい道路が開通したような場合に、適切な経路を探索することができなくなってしまう。そこで、通信手段を利用して、新しいバージョンの地図データを受信して、記憶媒体に記憶された地図データを更新することができるナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この場合、例えば、日本全国の地図データを更新しようとすると、通信時間が極めて長くなってしまうので、操作者が必要とする地域等に対応する一部分の地図データだけを更新することができるようになっている。
【特許文献1】特開2002−279437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のナビゲーション装置においては、一部分の地図データを更新する場合に膨大な量のデータを書き換える必要があり、処理負担が大きく、データの書き換えを短時間で行うことができなかった。
【0006】
図2は従来のナビゲーション装置における地図データのデータテーブルを示す第1の図、図3は従来のナビゲーション装置における地図データのデータテーブルを示す第2の図である。
【0007】
ナビゲーション装置のデータ格納部に格納されているデータには、地図を描画するための描画データ等の他に、図2に示されるように、地図データに含まれる道路上のノードに関する情報を格納するデータテーブルが含まれている。ここで、前記地図データは、複数のリージョン、すなわち、領域に区分された複数の地図ブロックから構成されている。そして、図2に示される例においては、A番目の地図ブロック及び該地図ブロックに隣接するB番目の地図ブロックに含まれるノードに関する情報を格納するデータテーブルが示されている。
【0008】
図2に示される例において、(1)、(2)・・・は、各ノードに付与されたアドレスであり、(xm 、yn )は、各ノードの位置座標を示している。また、ノードが地図ブロックの境界に位置し、隣接する地図ブロックの境界に位置するノードと重なるものである場合には、ノードに関する情報中に接続情報が含まれる。例えば、A番目の地図ブロックにおけるアドレス(2)のノードに関する情報中には、前記アドレス(2)のノードが隣接するB番目の地図ブロックにおけるアドレス(3)のノードに接続されることを示す情報として「(3)に接続」という接続情報が含まれている。同様に、B番目の地図ブロックにおけるアドレス(3)のノードに関する情報中には、「(2)に接続」という接続情報が含まれている。
【0009】
ところで、地図データの更新は、新しい道路が開通したような場合に行われるが、新しい道路が開通すると、該当する地図ブロックに含まれるノードの数が変更されるので、各ノードに付与されるアドレスが更新される。該アドレスは、通常、データテーブルに含まれるそれぞれのノードに対して順番に付与されるようになっているので、ノードの数が変更されたような場合には、従来から存在したノードに付与されるアドレスも変更されることがある。例えば、新しい道路が開通したことによってA番目の地図ブロックの地図データが更新され、更新前のアドレス(2)のノードに付与されるアドレスが(7)に変更された場合、A番目の地図ブロック及びB番目の地図ブロックに含まれるノードに関する情報を格納するデータテーブルは、図3に示されるようになる。
【0010】
この場合、B番目の地図ブロックにおけるアドレス(3)のノードに関する情報中の接続情報を「(2)に接続」から「(7)に接続」へと書き換える必要がある。実際には、1つの地図ブロックの境界に位置するノードが多数存在し、かつ、1つの地図ブロックに隣接する地図ブロックも複数存在するので、更新された地図ブロック以外の多数の地図ブロックにおける多数のノードに関する情報を書き換える必要があり、演算素子等の処理負担が大きく、地図データの書き換えに時間がかかってしまう。
【0011】
本発明は、前記従来のナビゲーション装置の問題点を解決して、地図ブロック間のノードの接続情報を変換テーブルに格納することによって、地図データが更新された場合の処理負担を低減することができ、短時間で地図データを更新することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明のナビゲーション装置においては、地図データを格納するデータ格納部と、前記地図データを管理するデータ管理部とを有し、前記地図データを地図ブロック毎に更新可能なナビゲーション装置であって、前記データ格納部は、ノードに関する情報を格納するデータテーブル、及び、地図ブロック間のノードの接続情報を格納する変換テーブルを格納し、前記データ管理部は、地図ブロックが更新された場合、前記データテーブルに格納されている前記更新された地図ブロックにおける更新されたノードに関する情報を書き換えるとともに、前記変換テーブルに格納されている前記更新されたノードの接続情報を書き換える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、地図ブロック間のノードの接続情報を変換テーブルに格納するようになっている。これにより、地図データが更新された場合の処理負担を低減することができ、短時間で地図データを更新することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【0016】
図1において、14は乗用車、トラック、バス、オートバイ等の車両に搭載され、ナビゲーション装置として機能する車載装置であり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示手段、キーボード、ジョイスティック、タッチパネル、押しボタン、回転ダイヤル、リモートコントローラ等の入力手段、入出力インターフェイス等を備える一種のコンピュータである。また、車載装置14は、実際は複数であってもよいが、図1においては、説明の都合上1つだけが示され、前記車載装置14が複数の車載装置を代表するものとする。そして、前記車載装置14は、記憶媒体に格納された探索データ、道路データ等を含む地図データに基づいて、経路を探索したり、施設等を検索して、後述される表示部35の画面に地図を表示し、該地図上に探索された経路や施設等を表示することができるようになっている。なお、前記車載装置14は、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PHS(Personal Handy−Phone System)電話機、据え置き電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯情報端末、ゲーム機、デジタルテレビ等であってもよい。
【0017】
また、前記車載装置14は、所望のデータを外部記憶媒体55からアップロードすることができるようになっている。ここで、前記外部記憶媒体55は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリを備えるメモリカード、棒状メモリ等であるが、取り外し可能でデータの書き込み及び読み取りが可能な記憶媒体であれば、磁気コア、半導体メモリ、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、CD−R/RW、MD、DVD−RAM、DVD−R/RW、MO、ICカード、光カード等、いかなるものであってよい。なお、前記外部記憶媒体55に格納されたデータは、後述されるデータインターフェイス18を介して前記車載装置14にアップロードすることができる。
【0018】
さらに、該車載装置14は、ネットワーク52を介してデータセンタ51に接続して、通信することができるようになっている。ここで、該データセンタ51は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段、CRT、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ等の表示手段、キーボード、タッチパネル等の入力手段、入出力インターフェイス等を備える一種のコンピュータである。前記データセンタ51は、地図データを配信する情報提供装置であり、例えば、ウェブサーバであるが、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、分散型サーバ、汎(はん)用コンピュータ等であってもよく、いかなる種類のものであってもよい。
【0019】
また、前記ネットワーク52は、有線又は無線の公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等のいかなる種類のものであってもよいし、複数種類の通信回線網を組み合わせたものであってもよい。
【0020】
本実施の形態において、前記データセンタ51は、前記車載装置14において使用される地図データを配信するようになっている。この場合、前記車載装置14はナビゲーション装置として機能するものであり、記憶媒体に格納された探索データ、道路データ等を含む地図データに基づいて、経路を探索する。そして、前記地図データに基づいて、表示部35の画面に地図を表示し、該地図上に探索された経路を表示することによって、経路案内を行う。また、交差点等においては、音声による案内も行われる。さらに、前記車載装置14は、前記地図データに基づいて、レストラン、ホテル等の各種の施設を検索することができる。そして、検索された施設の情報が表示部35の画面に表示されるだけでなく、位置も特定されるので、前記検索された施設を目的地として設定することによって、該施設までの経路の探索も行われる。
【0021】
しかし、新しい道路が開通したような場合に、適切な経路を探索することができなくなり、また、新しい施設ができた場合には、該施設が地図データに含まれていないので検索することができない。さらに、既存の施設が廃止された場合には、現時点において存在しない施設の情報や該施設までの経路を表示して、操作者に誤った情報を与えてしまう。そこで、本実施の形態においては、前記データセンタ51が新しいバージョンの地図データを配信し、前記車載装置14の記憶媒体に記憶された地図データを更新することができるようになっている。これにより、随時、地図データを更新することができるので、新しい道路が開通したり、新しい施設ができたり、既存の施設が廃止されたような場合でも、適切な経路を探索したり、適切な施設を検索することができる。
【0022】
そして、地図データは、複数のリージョン、すなわち、領域に区分された複数の地図ブロックから構成されており、所定範囲の領域毎に地図データを更新することができるように、前記データセンタ51は、地域毎に分割された、例えば、都道府県単位に分割された、新しいバージョンの地図データを配信するようになっている。なお、前記地図データは、より狭い地域毎に分割されるようにしてもよいし、より広い地域毎に分割されるようにしてもよい。例えば、東京都の地図データを東半分と西半分に分割してもよいし、愛媛県、香川県、徳島県及び高知県をまとめて四国地域の地図データとしてもよい。
【0023】
ここで、前記データセンタ51は、車載装置14から受信した地図データの配信要求に応じ、該配信要求において指定された地域の地図データを前記車載装置14に送信する。なお、前記配信要求は、地域の指定の他に、地図データのバージョン(版)の指定を含むものであってもよい。この場合、前記データセンタ51は、指定されたバージョンの地図データを前記車載装置14に送信する。さらに、新しいバージョンの地図データが配信可能となったときに、あらかじめ指定された地域の地図データを自動的に車載装置14に送信するようにしてもよい。
【0024】
また、前記操作者は、車載装置14を操作して、ネットワーク52を介して、前記データセンタ51から受信した地図データを後述されるデータ格納部16にダウンロードする。ここで、前記地図データのデータ容量が、大きく通信時間が長くなる場合には、複数回に分割して、前記地図データをダウンロードすることができる。これにより、データ格納部16に格納された地図データがバージョンアップされる、すなわち、更新される。なお、地図データの更新は、新しいバージョンの地図データが格納された外部記憶媒体55を車載装置14にセットして、前記地図データを前記車載装置14にアップロードすることによって行うこともできる。
【0025】
次に、前記車載装置14の構成について説明する。
【0026】
図4は本発明の実施の形態における車載装置の概念図である。
【0027】
図4に示されるように、車載装置14は、現在位置を検出する現在位置検出処理部15、道路データ、探索データ等を含む地図データを格納する記憶媒体としてのデータ格納部16、入力された情報に基づいて、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、外部記憶媒体55に格納されたデータを読み込むためのデータインターフェイス18、入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38を有し、前記ナビゲーション処理部17に車速センサ39が接続される。
【0028】
そして、前記現在位置検出処理部15は、GPS(Global Positioning System)センサ21、地磁気センサ22、距離センサ23、ステアリングセンサ24、ビーコンセンサ25、ジャイロセンサ26、図示されない高度計等から成る。なお、前記GPSセンサ21、地磁気センサ22、距離センサ23、ステアリングセンサ24、ビーコンセンサ25、ジャイロセンサ26、高度計等の中のいくつかは、製造コスト等の観点から、適宜省略することもできる。
【0029】
そして、前記データ格納部16は、各種のデータファイルから成る地図データを格納する。ここで、該地図データは、表示部35の画面に地図を表示したり、マップマッチングを行ったり、経路案内を行うための地図表示データ、経路案内に使用される交差点名称等を含む経路誘導データ、経路探索を行うための経路探索データ、施設リストや建物情報等を含み、電話番号検索、五十音検索、周辺検索等を行うための検索データ、経路案内用の音声や操作指示用の音声である固定音声、及び、交差点名称や道路名称などの固有名称を含む音声データ、交差点又は経路における特徴的な写真、コマ図等を表示するための画像データ等を含むものである。なお、これらのデータの中のいくつかは、コスト等の観点から、適宜省略することもできる。さらに、本実施の形態において、前記データ格納部16は、ノードに関する情報を格納する後述されるデータテーブル65、及び、地図ブロック間のノードの接続情報を格納する後述される変換テーブル66を格納する。
【0030】
ここで、前記経路探索データには、交差点データ、ノードデータ、道路データ、交通規制データ及び経路表示データが含まれる。そして、前記交差点データには、データが格納されている交差点の数に加え、それぞれの交差点に関するデータが交差点データとして、識別するための番号を付与されて格納されている。また、前記ノードデータは、前記地図データファイルに記録された地図データにおける少なくとも道路の位置及び形状を構成するものであり、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等を含む)、ノード、及び、各ノード間を連結するリンクを示すデータから成る。さらに、前記ノードは、少なくとも道路の屈曲点の位置を示す。
【0031】
さらに、前記道路データには、データが格納されている道路の数に加え、それぞれの道路に関するデータが道路データとして、識別するための番号を付与されて格納されている。そして、それぞれの前記道路データには、道路種別、それぞれの道路の長さとしての距離、それぞれの道路を走行するのに要する時間としての旅行時間等が格納されている。さらに、前記道路種別には、国道、県道、主要地方道、一般道、高速道路等の行政道路属性が含まれる。
【0032】
また、前記ナビゲーション処理部17は、車載装置14の全体の制御を行うCPU、MPU等の演算素子31、該演算素子31が各種の演算処理を行うに当たりワーキングメモリとして、及び、制御プログラムの他、目的地までの経路の探索、経路中の走行案内、特定区間の決定、地点、施設等の検索等を行うための各種のプログラムデータが記録された記憶媒体として使用されるメモリ32から成る。なお、前記プログラムデータは、ナビゲーション処理部17又は車載装置14の全体の制御を行うためのプログラム、表示部35の画面における画面意匠のためのビットマップデータ、ビープ音等の音声データを含むものである。そして、前記ナビゲーション処理部17は、地図データの表示、経路の探索及び/又は経路の案内を行う。
【0033】
さらに、前記ナビゲーション処理部17には、前記入力部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。そして、経路の探索、経路中の走行案内、特定区間の決定、地点、施設等の検索等の各種処理を実行する。なお、前記音声入力部36、音声出力部37及び通信部38の中のいくつかは、製造コスト等の観点から、適宜省略することもできる。
【0034】
ここで、前記データ格納部16は、単数又は複数の磁気ディスクから成るハードディスク装置であるが、格納されるデータを更新することができるものであれば、いかなる種類の記憶装置であってもよい。例えば、前記データ格納部16は、磁気コア、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、磁気テープ、磁気ディスク、磁気ドラム、CD−R/RW、MD、DVD−RAM、DVD−R/RW、MO、ICカード、光カード、棒状メモリ、メモリカード等の各種の書き換え可能な記憶媒体を使用する記憶装置であってもよい。そして、前記記憶媒体や記憶装置は、車載装置14にあらかじめ据え付けられたものであってもよく、運転者等によって適宜交換可能なものであってもよい。
【0035】
本実施の形態においては、前記メモリ32に各種のプログラムが記憶され、前記データ格納部16に地図データ等の各種データが記憶されるようになっている。そして、前記外部記憶媒体55に格納された地図データをデータインターフェイス18を介して読み込むことによって、前記データ格納部16に格納されている地図データを更新することができる。
【0036】
さらに、前記通信部38は、FM送信装置、電話回線網、インターネット、携帯電話網等との間で各種のデータの送受信を行うためのものであり、例えば、渋滞等の道路情報、交通事故情報、GPSセンサ21の検出誤差を検出するD−GPS情報等の各種のデータを受信する。なお、前記通信部38は、ネットワーク52に接続可能なものであってもよい。この場合、地図データをデータセンタ51から、ネットワーク52を介して、車載装置14に直接ダウンロードすることもできる。
【0037】
そして、前記入力部34は、走行開始時の位置を修正したり、施設や目的地を入力したりするためのものであり、車載装置14の本体に配設された操作キー、押しボタン、ジョグダイヤル、十字キー等から成るものであるが、リモートコントローラであってもよい。なお、表示部35がタッチパネルである場合には、前記表示部35の画面に表示された操作キー、操作メニュー等の操作スイッチから成るものであることが望ましい。この場合、通常のタッチパネルのように前記操作スイッチに触れる(タッチする)ことによって、入力を行うことができる。
【0038】
そして、前記表示部35の画面には、操作案内、操作メニュー、操作キーの案内、地図画面、現在位置から目的地までの経路、該経路に沿った案内情報等が表示される。前記表示部35としては、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、フロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することができる。
【0039】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声情報、例えば、音声合成装置によって合成された音声から成る案内情報、変速情報等をスピーカから出力し、操作者に知らせる。
【0040】
本実施の形態において、車載装置14は、機能の観点から、データ格納部16に格納された地図データを管理するデータ管理部を有する。該データ管理部は、地図データを地図ブロック単位で管理し、データ格納部16に格納されている地図データを所定のリージョン、すなわち、領域に対応する地図ブロック毎に更新するようになっている。
【0041】
次に、前記構成の車載装置14の動作について説明する。なお、本実施の形態においては、地図データを更新する動作についてのみ説明するものとし、まず、地図データの詳細な構成について説明する。
【0042】
図5は本発明の実施の形態におけるデータセンタから配信される地図データの階層構造を示す図、図6は本発明の実施の形態における更新前の地図データの隣接する地図ブロックの接続関係を示す図、図7は本発明の実施の形態における更新前の地図データのデータテーブルを示す図、図8は本発明の実施の形態におけるノードの接続関係の概念を示す図である。
【0043】
本実施の形態において、車載装置14のデータ格納部16に格納されている地図データは、図5に示されるように、複数の階層に階層化されている。図5に示される例においては、説明の都合上、レベル1〜3から成る3層に階層化されているが、階層の数は任意に設定することができ、例えば、5層に階層化することができる。この場合、例えば、レベル1の層は2万分の1の地図に対応し、レベル2の層は8万分の1の地図に対応し、レベル3の層は32万分の1の地図に対応し、レベル4の層は128万分の1の地図に対応し、レベル5の層は512万分の1の地図に対応するように設定することができる。なお、地図データは、更に多層化することもでき、例えば、10層に階層化することもできる。さらに、地図データに含まれる各種データに応じて、階層の数を変化させることもできる。例えば、地図表示データを10層に階層化されたものとし、経路探索データを3層に階層化されたものとすることもできる。
【0044】
図5に示される例においては、最下層のレベル1における地図データは、地図が縦横に4分割されて成る16のリージョンに対応する16の地図ブロックから構成されている。なお、41はA番目の地図ブロックを示し、42は地図ブロック41と同一の階層において前記地図ブロック41に隣接する地図ブロックであるB番目の地図ブロックを示している。また、より上位の階層であるレベル2における地図データは、地図が縦横に2分割されて成る4つのリージョンに対応する4つの地図ブロックから構成されている。なお、43はC番目の地図ブロックを示している。そして、該地図ブロック43のリージョンは、前記地図ブロック41及び地図ブロック42を含むレベル1に属する4つの地図ブロックのリージョンに対応する。さらに、より上位の階層であるレベル3における地図データは、地図全体を含む単一のリージョンに対応する単一の地図ブロック、すなわち、D番目の地図ブロックから構成されている。なお、44はD番目の地図ブロックを示している。そして、該地図ブロック44のリージョンは、前記地図ブロック41及び地図ブロック42を含むレベル1に属する16つの地図ブロックのリージョンに対応し、前記地図ブロック43を含むレベル2に属する4つの地図ブロックのリージョンに対応する。
【0045】
なお、前記リージョンの大きさは任意に設定することができる。例えば、いわゆる二次メッシュをレベル1におけるリージョンとすることができる。前記二次メッシュは、「JIS X 0410−1976 地域メッシュコード」に規定される統合地域メッシュにおける10倍地域メッシュである。そして、前記二次メッシュは、1辺が10〔km〕程度の矩(く)形領域であり、財団法人日本デジタル道路地図協会によって作成された「全国デジタル道路地図データベース」では、日本全国が4713枚の二次メッシュによって構成される。
【0046】
ところで、各地図ブロックには道路データ及びノードデータが存在する。ノードは、地図データにおける少なくとも道路の位置及び形状を構成するものであり、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等を含む)や、少なくとも道路の屈曲点の位置を示す点である。そして、地図ブロックの地図データには、対応するリージョンに存在するノードに関する情報が含まれている。この場合、各ノードには、それぞれのノードを一意に識別するための符号としてのアドレスが付与されている。そして、地図データにおいて、ノードに関する情報は、地図ブロック毎に管理される。
【0047】
ここで、道路が隣接する複数のリージョンを通過する場合、あるリージョンにおいて前記道路がリージョンの境界線と交差する点に該当するノードのデータは、両方のリージョンに対応する地図ブロックにおいて管理されることとなる。そして、あるリージョン内における前記道路の端点に該当するノードのデータは、隣接するリージョン内における前記道路の端点に該当するノードのデータと接続される。
【0048】
図6には、相互に隣接する2つのリージョンに対応する地図ブロック41及び地図ブロック42が示されている。ここでは、説明の都合上、前記2つのリージョンを通過する道路61が1本だけであるものとする。また、ノードは、地図ブロック41において45で示され、地図ブロック42において46で示されているが、道路61の地図ブロック41及び地図ブロック42における端点に該当するもの以外のノードについては図示が省略されている。
【0049】
この場合、前記ノード45及びノード46のそれぞれには、アドレスとして(1)、(2)、(3)、(4)等の番号が付与されている。図6に示される例では、地図ブロック41における道路61の端点に該当するノード45に(1)及び(2)が付与され、地図ブロック42における道路61の端点に該当するノード46に(3)及び(4)が付与されている。そして、アドレス(2)のノード45とアドレス(3)のノード46とが接続されることによって、道路61が接続され、1本の道路のデータとして管理される。これは、アドレス(2)のノード45及びアドレス(3)のノード46は、前記道路61における同一のノードであるが、地図ブロック41及び地図ブロック42において、それぞれ個別に管理されているためである。
【0050】
そして、前記ノード45及びノード46のデータは、図7(a)に示されるように、地図データのデータテーブル65に格納されている。図7(a)において、65aは地図ブロック41におけるノード45のデータが格納されている区画を示し、65bは地図ブロック42におけるノード46のデータが格納されている区画を示している。なお、他の地図ブロックにおけるノードのデータについては、図示が省略されている。そして、データテーブル65において、(1)、(2)等は、各ノードに付与されたアドレスであり、(xm 、yn )は、各ノードの位置座標を示している。すなわち、各ノード毎にアドレス及び位置座標がデータテーブル65に格納されるようになっている。
【0051】
また、本実施の形態においては、図7(b)に示されるような変換テーブル66が地図データに含まれている。前記変換テーブル66は、隣接するリージョンに対応する地図ブロックにおけるノードの接続情報を格納するテーブルであり、図7(b)において、66aは地図ブロック41におけるノード45から観た地図ブロック42におけるノード46への接続情報が格納されている区画を示し、66bは地図ブロック42におけるノード46から観た地図ブロック41におけるノード45への接続情報が格納されている区画を示している。なお、他の地図ブロックにおけるノードの接続情報については、図示が省略されている。そして、変換テーブル66においては、地図ブロック41から観てアドレス(2)のノード45が地図ブロック42におけるアドレス(3)のノード46に接続されるという情報が格納され、地図ブロック42から観てアドレス(3)のノード46が地図ブロック41におけるアドレス(2)のノード45に接続されるという情報が格納されている。すなわち、変換テーブル66には、地図ブロック間におけるノードの番号変換に関する情報がノードの接続情報として格納されており、アドレス(2)のノード45とアドレス(3)のノード46とは同一のノードであり、地図ブロック41から地図ブロック42に移行する際にはアドレスの番号を(2)から(3)に変更し、地図ブロック42から地図ブロック41に移行する際にはアドレスの番号を(3)から(2)に変更することが示されている。
【0052】
なお、地図ブロック間におけるノードの番号変換は、同一の階層における隣接する地図ブロック同士の間だけでなく、図8に示されるように、同一のリージョンに対応する他の階層における地図ブロックとの間でも行われるようになっている。図8は、地図ブロック41におけるノード45を中心にして、同一の階層における隣接する地図ブロック42におけるノード46との接続関係、上位の階層における同一のリージョンに対応する地図ブロックにおけるノード47との接続関係、及び、下位の階層における同一のリージョンに対応する地図ブロックにおけるノード48との接続関係を概念的に示している。すなわち、地図ブロック41におけるノード45と上位の階層における同一のリージョンに対応する地図ブロックにおけるノード47との間でも番号変換が行われ、地図ブロック41におけるノード45と下位の階層における同一のリージョンに対応する地図ブロックにおけるノード48との間でも番号変換が行われる。そして、前記ノード47及びノード48のデータは、図7(a)に示されるデータテーブル65と同様のデータテーブルに格納され、ノード45とノード47及びノード48との接続情報は、図7(b)に示される変換テーブル66と同様の変換テーブルに格納されている。
【0053】
次に、地図データを更新する場合の動作について説明する。
【0054】
図9は本発明の実施の形態における更新後の地図データの隣接する地図ブロックの接続関係を示す図、図10は本発明の実施の形態における更新後の地図データのデータテーブルを示す図、図11は本発明の実施の形態における車載装置の地図データを更新する動作を示すフローチャートである。
【0055】
本実施の形態においては、車載装置14が、ネットワーク52を介して、データセンタ51に対して地図データの配信要求を送信する。該配信要求には、所望の地域の指定が含まれている。そして、前記配信要求を受信したデータセンタ51は、配信要求に応じ、該配信要求において指定された地域の地図データを、ネットワーク52を介して、前記車載装置14に送信する。続いて、該車載装置14は、受信した地図データをデータ格納部16に記憶する。これにより、データ格納部16に格納された地図データがバージョンアップされる、すなわち、更新される。ここでは、指定された地域の地図データが地図ブロック41であり、該地図ブロック41の新しいバージョンとして、図9に示されるような地図ブロック41が前記車載装置14に送信され、データ格納部16に格納された地図ブロック41の更新が行われる場合について説明する。
【0056】
この場合、図9に示されるように、新しく開通した道路62が地図ブロック41に追加されている。そして、道路62が追加されたことによって地図ブロック41に含まれるノードの数が変更されたために、各ノードに付与されるアドレスが更新されている。該アドレスは、通常、それぞれのノードに対して順番に付与されるようになっているので、ノードの数が変更されたような場合には、従来から存在したノードに付与されるアドレスも変更されることがある。図9に示される例においては、道路61の一方(図9における右側)の端点に該当するノード45に付与されていたアドレスが(2)から(7)に変更されている。なお、アドレス(2)は道路61と追加された道路62との交点に該当するノードに付与されている。
【0057】
そのため、データ格納部16に格納されている地図データのデータテーブル65も図10(a)に示されるようなものに変更される。この場合、地図ブロック41のみが更新されたので、地図ブロック41におけるノード45のデータが格納されている区画65aのみが変更され、地図ブロック42におけるノード46のデータが格納されている区画65bやその他の区画は変更されていない。前述のように、道路61の一方の端点に該当するノード45に付与されていたアドレスが(2)から(7)に変更されたので、図10(a)に示される例においては、アドレス(7)のノードの位置座標が、図8(a)に示される更新前のデータテーブル65におけるアドレス(2)のノードの位置座標と同一となっている。
【0058】
また、変換テーブル66は、図10(b)に示されるようなものに変更される。この場合、地図ブロック42におけるアドレス(3)のノード46に接続される地図ブロック41におけるノード45のアドレスが(2)から(7)に変更されたことによって、区画66aに格納されている接続情報が、図7(b)に示されるようなアドレス(2)のノード45がアドレス(3)のノード46に接続されるという内容から、アドレス(7)のノード45がアドレス(3)のノード46に接続されるという内容に変更されている。また、区画66bに格納されている接続情報が、図7(b)に示されるようなアドレス(3)のノード46がアドレス(2)のノード45に接続されるという内容から、アドレス(3)のノード46がアドレス(7)のノード45に接続されるという内容に変更されている。
【0059】
これにより、地図ブロック41の更新後には、アドレス(7)のノード45とアドレス(3)のノード46とは同一のノードであり、地図ブロック41から地図ブロック42に移行する際にはアドレスを(7)から(3)に変更し、地図ブロック42から地図ブロック41に移行する際にはアドレスを(3)から(7)に変更することが把握される。
【0060】
なお、地図ブロック間におけるノードの番号変換は、図8に示されるように、同一のリージョンに対応する他の階層における地図ブロックとの間でも行われるので、ノード45と他の階層における地図ブロックにおけるノード47及びノード48との接続情報を格納する変換テーブルの内容も、前記変換テーブル66と同様に変更される。
【0061】
そして、車載装置14は、地図画面を表示部35の画面に表示する際に更新されたデータテーブル65及び変換テーブル66を参照して表示を行う。これにより、更新された地図データに基づいた地図画面が表示される。また、前記車載装置14は、設定された目的地までの経路を探索する際にも更新されたデータテーブル65及び変換テーブル66を参照する。これにより、更新された地図データに基づいた経路が探索される。さらに、前記車載装置14は、探索された経路を案内する際にも更新されたデータテーブル65及び変換テーブル66を参照する。これにより、更新された地図データに基づいた経路の案内が行われる。
【0062】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 車載装置14はデータセンタ51に対して地図データの配信要求を送信する。
ステップS2 車載装置14はデータセンタ51から地図データを受信する。
ステップS3 車載装置14は受信した地図データをデータ格納部16に記憶する。
ステップS4 車載装置14はデータ格納部16に格納されている変換テーブル66を書き換える。
ステップS5 車載装置14は、更新されたデータテーブル65及び変換テーブル66を参照して、地図画面の表示、経路の探索及び経路の案内を行う。
【0063】
このように、本実施の形態においては、地図データを地図ブロック毎に更新することができる。そして、データ格納部16は、複数の地図ブロックにおけるノードに関する情報を格納するデータテーブル65と地図ブロック間におけるノードの接続情報を格納する変換テーブル66とを格納し、ある地図ブロックを更新する際に、更新された地図ブロックにおけるノードのアドレスが変更された場合、前記変換テーブル66の内容を変更してノードの接続情報を更新するようになっている。そのため、更新された地図ブロックにおけるノードのアドレスが変更されても、更新された地図ブロック以外の地図ブロックにおけるノードに関する情報を格納するデータテーブル65の内容を変更する必要がないので、地図ブロックを更新するための演算素子31の処理負担を低減することができ、短時間で更新することができる。
【0064】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図2】従来のナビゲーション装置における地図データのデータテーブルを示す第1の図である。
【図3】従来のナビゲーション装置における地図データのデータテーブルを示す第2の図である。
【図4】本発明の実施の形態における車載装置の概念図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるデータセンタから配信される地図データの階層構造を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における更新前の地図データの隣接する地図ブロックの接続関係を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における更新前の地図データのデータテーブルを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるノードの接続関係の概念を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における更新後の地図データの隣接する地図ブロックの接続関係を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態における更新後の地図データのデータテーブルを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における車載装置の地図データを更新する動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
14 車載装置
16 データ格納部
17 ナビゲーション処理部
41、42、43、44 地図ブロック
45、46、47、48 ノード
51 データセンタ
65 データテーブル
66 変換テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)地図データを格納するデータ格納部と、
(b)前記地図データを管理するデータ管理部とを有し、
(c)前記地図データを地図ブロック毎に更新可能なナビゲーション装置であって、
(d)前記データ格納部は、ノードに関する情報を格納するデータテーブル、及び、地図ブロック間のノードの接続情報を格納する変換テーブルを格納し、
(e)前記データ管理部は、地図ブロックが更新された場合、前記データテーブルに格納されている前記更新された地図ブロックにおける更新されたノードに関する情報を書き換えるとともに、前記変換テーブルに格納されている前記更新されたノードの接続情報を書き換えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地図ブロックはデータセンタから配信された地図データによって更新される請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記地図データは階層構造を備え、前記ノードの接続情報は、同一階層に属する隣接する地図ブロック間のノードの接続情報、又は、相違する階層に属する地図ブロック間のノードの接続情報である請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記データテーブル及び変換テーブルを参照して、地図データの表示、経路の探索及び/又は経路の案内を行うナビゲーション処理部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−64664(P2006−64664A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250665(P2004−250665)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】