説明

ナビゲーション装置

【課題】どのようにレーン変更を行っていくべきかを直感的に把握可能に推奨レーンを提示する「ナビゲーション装置」を提供する。
【解決手段】当該交差点で進路変更せず次交差点でも進路変更しない「AA交差点」、進路変更する「CC交差点」の直前の道路区間については、進路方向に交差点を通過するために用いることのできるレーンの全てを推奨レーンとして設定する。当該交差点で進路変更せず次交差点で進路変更する「BB交差点」の直前の道路区間については、進路方向に交差点を通過するために用いることのできるレーンのうちの、次交差点「CC交差点」の直前の道路区間の左右方向について推奨レーン側に位置するレーンを、前交差点「AA交差点」の直前の道路区間の推奨レーン数より少ない数選定し、推奨レーンに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置におけるレーン案内の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在位置から目的地までの経路を探索して誘導ルートとして設定し、設定した誘導ルートに従った走行を誘導するナビゲーション装置におけるレーン案内の技術としては、推奨レーンを提示する技術が知られている(たとえば、特許文献1、2)。この技術では、誘導ルートに沿って今後通過することとなる所定数の交差点について、各交差点を誘導ルートに沿って通過するために当該交差点手前の道路区間において走行することが推奨されるレーンを推奨レーンとして算出し、各道路区間のレーン構成を推奨レーンの識別と共に表すレーン構成図の各々を、対応する道路区間の誘導ルートに沿った通過順に独立的に離間して配置したレーン案内画像を表示する。
【0003】
また、これらの技術では、交差点手前の道路区間の推奨レーンとして、その次に通過する交差点手前の道路区間の推奨レーンに移行困難でないレーンを設定することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4165230号公報
【特許文献2】特開2003-329468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した推奨ルートを提示する技術によれば、誘導ルートに沿って走行するためにどのようにレーン変更を行っていくことが有利であるのかを、ユーザが直感的に把握し難い場合がある。すなわち、上述したレーン案内画像では、各交差点手前の道路区間のレーン構成を推奨レーンの識別と共に表すレーン構成図が、各々独立して連続性無く提示されるだけであるので、ユーザは、このようなレーン案内画像から、今後右側のレーンに順次レーン変更していくことが有利であるのか、今後左側のレーンに順次レーン変更していくことが有利であるのかを直ちに判断することができない。
【0006】
そこで、本発明は、ユーザがどのようにレーン変更を行っていくべきかを、より直感的に把握できる形態で推奨レーンを提示できるナビゲーション装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、自動車に搭載されるナビゲーション装置に、目的地へ到る経路を誘導ルートとして設定する誘導ルート設定部と、前記誘導ルートに従って走行した場合に直近に通過するn(但し、nは3以上の整数)個の交差点について、前記交差点手前のレーンのうちの、当該交差点を前記誘導ルートに従った通過方向に通行できるレーンである候補レーンの少なくとも一つのレーンを推奨レーンとして設定する推奨レーン設定手段と、前記n個の交差点について設定した推奨レーンを提示するレーン案内画像を表示するレーン案内手段とを設け、前記推奨レーン設定手段において、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向である交差点については、当該交差点の前記候補レーンの全てを推奨レーンに設定し、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向でない交差点であって、かつ、前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の次に通過する交差点の、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向でない交差点については、当該交差点の前記候補レーンの全てを推奨レーンに設定し、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向でない交差点であって、かつ、前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の次に通過する交差点の、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向である交差点については、前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の前に通過する交差点の推奨レーンの数を算定し、算定した推奨レーンの数が複数である場合には、当該交差点の前記候補レーンのうちの、左右方向について前記次に通過する交差点の前記候補レーン側に位置する、前記算定した推奨レーンの数よりも少ない数のレーンを推奨レーンに設定し、前記レーン案内手段において、前記n個の交差点を表すオブジェクトを、前記誘導ルートに従って走行する場合の通過順に下から上に向かって配置し、各交差点を表すオブジェクトの下に、当該交差点直前の道路区間の各レーンに各々対応する線図形を配置した画像を、前記レーン案内画像として表示するようにしたものである。ただし、前記レーン案内画像において、前記各線図形は、対応するレーンの左右方向の並び順に従った並び順で左右方向に並べて配置し、かつ、前記線図形のうちの前記推奨レーンに設定されているレーンを表す線図形は、他の線図形よりも強調して表す。
【0008】
このようなナビゲーション装置によれば、直進通過する交差点であって、当該交差点の次の交差点において進路変更することとなる交差点手前の推奨レーンとしては、当該交差点を直進通過できるレーンのうちの、次の交差点において走行すべきレーン側に位置する、当該交差点の前に通過する交差点の推奨レーンの数よりも少ない数のレーンが設定される。したがって、当該交差点と当該交差点の前に通過する交差点の推奨レーンを案内するレーン案内画像は、推奨レーンが当該交差点の次の交差点において走行すべきレーン側に減少していくようすを表すものとなる。よって、ユーザは、このようなレーン案内画像より、今後、どちら側のレーンにレーン変更していくことが、誘導ルートに沿った進路変更を行う上で有利であるかを直感的に把握することができるようになる。
【0009】
ここで、このようなナビゲーション装置は、前記レーン案内手段において、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向である交差点を表すオブジェクトの位置に、当該進路を変更する方向を表す矢印図形を配置した形態で前記レーン案内画像を表示するようにすることも、進路変更方向をユーザが容易に把握できるようにする上で好ましい。
【0010】
また、以上のナビゲーション装置は、前記レーン案内手段において、前記線図形の上端を、当該線図形に対応するレーンの属する道路区間が、直前の道路区間となっている交差点を表すオブジェクトの下部に連結させると共に、前記レーン案内画像に前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の前に通過する交差点を表すオブジェクトが配置されている場合には、当該線図形の下端を、当該前に通過する交差点を表すオブジェクトの上部に連結させた形態で前記レーン案内画像を表示するようにしてもよい。また、この場合には、前記レーン案内手段において、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向である交差点を表すオブジェクトについてのみは、当該オブジェクトの上部に前記線図形を連結させない形態で前記レーン案内画像を表示するように構成し、当該交差点において走行する道路が変化することを直感的にユーザが認識できるようにしてもよい。
【0011】
ここで、以上のようなナビゲーション装置において、前記交差点を表すオブジェクトは、当該交差点の名称を表すものとすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る地図データの内容を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るレーン案内処理の処理例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るレーン案内処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るレーン案内処理の処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るナビゲーションシステムの構成を示す。
ナビゲーションシステムは自動車に搭載される装置であり、図示するように、ナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置1と、操作部2と、表示装置3と、車両状態センサ4と、GPS受信機5とを備えて構成される。ここで、車両状態センサ4は、角加速度センサなどである方位センサや、車速パルスセンサなどである車速センサなどの、車両の各種状態を検出するセンサ群である。
【0014】
そして、ナビゲーション装置1は、地図を表す地図データを記憶したHDDなどの記憶装置である記憶装置11、現在状態算出部12、操作部2や表示装置3を用いたGUIをユーザに提供するGUI制御部13、ルート探索部14、メモリ15、制御部16、案内画像生成部17を備えている。
【0015】
但し、以上のナビゲーション装置1は、ハードウエア的には、マイクロプロセッサや、メモリや、その他のグラフィックプロセッサやジオメトリックプロセッサ等の周辺デバイスを有する一般的な構成を備えたCPU回路であって良く、この場合、以上に示したナビゲーション装置1の各部は、マイクロプロセッサが予め用意されたプログラムを実行することにより具現化するプロセスとして実現されるものであって良い。また、この場合、このようなプログラムは、記録媒体や適当な通信路を介して、ナビゲーション装置1に提供されるものであって良い。
【0016】
次に、図2に記憶装置11に記憶される地図データの内容を示す。
図示するように、地図データは、地図データの製作日時などを記述した管理データ、地図を表す基本地図データ等を含んで構成される。
そして、基本地図データは、道路網を表す道路ユニットと、表示地図を規定する描画ユニットとを有する。
ここで、道路ユニットでは、交差点などの道路の連結点を表すノードと、ノード間を連結するリンクの集合として道路網を定義しており、道路ユニットは、ノード毎に設けられたノードデータを含むノードテーブルと、リンク毎に設けられたリンクデータを含むリンクテーブルとを有する。
【0017】
また、各ノードデータには、対応するノードの識別子となるノード番号、対応するノードの各種属性を表すノード属性、対応するノードの位置を表すノード座標、対応するノードに接続するリンクを表す接続リンク情報、対応するノードに一本のリンクを介して接続する他のノードを表す接続ノード情報、交差点レーン情報を含む。
【0018】
交差点レーン情報は、ノードが交差点である場合に設けられるものであり、当該ノードに進入する方向を走行方向とするレーンが設けられているリンク毎に対応して設けた進入リンクデータを含む。そして、各進入リンクデータは、対応するリンクのリンク番号と、進入レーンテーブルを有し、進入レーンテーブルには、対応するリンクの当該ノードに進入する方向が走行方向となっている各レーン毎に対応して設けた進入レーンデータを含む。また、各進入レーンデータは、対応するレーンが、対応するレーンと同じ通行方向のレーンのうちで最も道路の端よりのレーンから数えて何番目のレーンであるかの順番を表すレーン番号と、進行方向別通行区分情報と、退出リンク情報とが含まれる。進行方向別通行区分情報は、対応するレーンの左折専用レーン、右折専用レーン、直進専用レーン、Uターン専用レーン、非専用レーンなどの進行方向に関する専用レーンの種別を表す。また、退出リンク情報には、対応するレーンから対応するノードである交差点を通過して次に進むことのできる各リンクのリンク番号が登録されている。
【0019】
また、各リンクデータには、対応するリンクの識別子となるリンク番号、対応するリンクの各種属性を表すリンク属性、対応するリンクの一方の端点となるノードである第1ノードのノード番号を表す第1ノード番号、対応する他方の端点となるノードである第2ノードのノード番号を表す第2ノード番号、順方向レーンテーブル、逆方向レーンテーブルが格納される。
【0020】
そして、順方向レーンテーブルには、対応するリンク上にある、第1ノードから第2ノードに向かう方向を走行方向とするレーン毎に対応して設けたレーンデータを有し、各レーンデータは、対応するレーンの前述したレーン番号と、接続レーン情報とが含まれる。そして、接続レーン情報は、対応するレーンと連続している(レーン変更することなしに進むことのできる)、対応するリンクに隣接している他のリンクのレーンを、当該他のリンクのリンク番号と当該他のリンクのレーンのレーン番号等により表している。また、逆方向レーンテーブルには、第2ノードから第1ノードに向かう方向を走行方向とするレーン毎に対応して設けたレーンデータを有し、各レーンデータの内容は、順方向レーンテーブルのレーンデータと同様である。
【0021】
そして、このような道路ユニットの構成によって、道路の接続の構造や、各道路の形状や、各道路のレーンの構成や、各レーンの接続の構造が表されている。
さて、このような構成において、ナビゲーション装置1の現在状態算出部12は、以下の処理を繰り返し行う。
すなわち、現在状態算出部12は、車両状態センサ4やGPS受信機5の出力から推定される現在位置に対して、記憶装置11から読み出した地図データの基本地図の道路ユニットが示す前回決定した現在位置の周辺の地図とのマップマッチング処理などを施して、現在位置として最も確からしい座標と、現在の進行方向として最も確からしい方向とを、それぞれ現在位置、現在進行方位として決定し、メモリ15に設定する。
【0022】
また、制御部16は、ユーザから操作部2、GUI制御部13を介して目的地の設定を受付け、これをメモリ15にセットする。
そして、制御部16は、目的地の設定を受け付けたならば、目的地に到る誘導ルートをルート探索部14に探索させる。ルート探索部14は、必要地理的範囲の道路ユニットのデータを記憶装置11から読み出し、メモリ15に設定されている現在位置から目的地までの最小コストの経路を、距離最小などの所定のコストモデルに基づいて誘導ルートとして算出し、算出した誘導ルートの経路データを、メモリ15にセットする。
【0023】
また、制御部16は、メモリ15にセットされた現在位置が目的地近傍となったならば、目的地到着と判定し、メモリ15にセットされている目的地と誘導ルートをクリアする処理も行う。
そして、案内画像生成部17は、メモリ15にセットされた現在位置と、その時点で設定されている地図の表示縮尺に従って制御部16が算定した現在位置周辺の地理的範囲である地図表示範囲の地図画像を、地図データ記録部に記憶された地図データの描画ユニットに基づいて描画する。また、地図画像上に、メモリ15にセットされている現在位置や誘導ルートや目的地を表す図形とを描画して案内画像を生成しGUI制御部13を介して表示装置3に表示する。
【0024】
また、制御部16は、誘導ルートが設定されているときには、走行を推奨するレーンである推奨レーンを案内するレーン案内画像を生成し、GUI制御部13を介して案内画像と共に表示する処理も行う。
図3bは、このように制御部16によって表示される案内画像30と、レーン案内画像40の例を示すものである。
図示するように、案内画像30は、現在位置周辺の地図画像31上に、現在位置を表す現在位置マーク32が表されたものとなっている。ここで、誘導ルートが設定されている場合には、案内画像30において、地図表示範囲内の誘導ルートを表すルート図形33が地図画像31の上に表され、さらに、目的地が設定されており、表示範囲内に目的地が含まれる場合には、目的地を表す目的地マークも地図画像31の上に表されることになる。
【0025】
一方、レーン案内画像40は、以下に示すレーン案内処理を制御部16が実行することにより生成、表示されるものである。
図4に、このレーン案内処理の手順を示す。
図示するように、この処理では、誘導ルートに沿って走行した場合に、今後1番目に通過することとなる交差点から、4番目に通過することとなる交差点までの各交差点の各々を、順次着目交差点(i番目の交差点)とし(ステップ402、418、420)、各着目交差点について以下の処理を行う。
【0026】
すなわち、まず、誘導ルートに沿って走行した場合に着目交差点で右左折等の進路変更を行うこととなるかどうかを調べ(ステップ404)、進路変更を行うこととなる場合には、着目交差点に対応するノードのノードデータの交差点レーン情報を参照して、誘導ルート上の着目交差点手前のリンクのレーンのうちの、誘導ルートに従った進路変更方向への着目交差点の通過に用いることができるレーンを算定し、算定したレーンを着目交差点直前の道路区間の推奨レーンに設定し(ステップ406)、当該着目交差点についての処理を終了する。
【0027】
一方、誘導ルートに沿って走行した場合に、着目交差点で右左折等の進路変更を行わない場合には(ステップ404)、さらに、誘導ルートに沿って走行した場合に着目交差点の一つ次に通過する交差点(i+1番目の交差点)で、誘導ルートに沿って走行した場合に左折等の進路変更を行うこととなるかどうかを調べる(ステップ408)。
【0028】
そして、着目交差点の一つ次に通過する交差点で進路変更を行うこととなる場合には、まず、誘導ルートに沿って走行した場合に着目交差点の一つ前に通過する交差点(i-1番目の交差点)直前の道路区間の推奨レーンとして当該レーン案内処理において最後に設定したレーンの数をnとする(ステップ410)。ただし、着目交差点が誘導ルート上最初の交差点である場合には、着目交差点の一つ前に通過する交差点は存在しないので、nとして固定数1を用いる。
【0029】
そして、着目交差点の一つ次に通過する交差点に対応するノードのノードデータの交差点レーン情報を参照して、誘導ルート上の着目交差点の一つ次に通過する交差点手前のリンクのレーンのうちの、着目交差点の一つ次に通過する交差点の、誘導ルートに従った進路変更方向への通過に用いることができるレーンを参照レーンとして算定する(ステップ412)。
【0030】
そして、着目交差点に対応するノードのノードデータの交差点レーン情報を参照して、誘導ルート上の着目交差点手前のリンクのレーンのうちの、直進方向への着目交差点の通過に用いることができるレーンを算定し、n/2以上の整数のうちの最小の整数をmとして、算定したレーンのうちのm個の、左右方向について参照レーンよりに位置するレーンを着目交差点直前の道路区間の推奨レーンに設定し(ステップ414)、当該着目交差点についての処理を終了する。
【0031】
すなわち、ステップ414では、着目交差点の一つ前に通過する交差点(直前の道路区間の推奨レーンのレーン数n=1であればm=1個のレーンを、レーン数n=2であればm=1個のレーンを、レーン数n=3であればm=2個のレーンを、レーン数n=4であればm=2個のレーンを、レーン数n=5であればm=3個のレーンを、レーン数n=6であればm=3個のレーンを、直進方向への着目交差点の通過に用いることができるレーンのうちから選定し推奨レーンに設定する。ただし、直進方向への着目交差点の通過に用いることができるレーンの数pが、m未満であればp個の直進方向への着目交差点の通過に用いることができるレーン全てを推奨レーンに設定することとなる。
【0032】
また、このように推奨レーンに設定されるm個のレーンは、直進方向への着目交差点の通過に用いることができるレーンのうちの、着目交差点の一つ次に通過する交差点の、誘導ルートに従った進路変更方向への通過に用いることができるレーンよりの部分となる。すなわち、着目交差点の一つ次に通過する交差点の誘導ルートに従った進路変更方向が右折であり、着目交差点の一つ次に通過する交差点手前の、当該右折方向への通過に用いることができるレーンが右端のレーンであれば、推奨レーンに設定されるm個のレーンは、直進方向への着目交差点の通過に用いることができるレーンのうちの右側のm個のレーン部分となり、着目交差点の一つ次に通過する交差点の誘導ルートに従った進路変更方向が左折であり、着目交差点の一つ次に通過する交差点手前の、当該左折方向への通過に用いることができるレーンが左端のレーンであれば、推奨レーンに設定されるm個のレーンは、直進方向への着目交差点の通過に用いることができるレーンのうちの左側のm個のレーン部分となる。
【0033】
一方、誘導ルートに沿って走行した場合に、着目交差点でも、着目交差点の一つ次に通過する交差点でも右左折等の進路変更を行わない場合には(ステップ404、408)、着目交差点に対応するノードのノードデータの交差点レーン情報を参照して、誘導ルート上の着目交差点手前のリンクのレーンのうちの、直進方向への着目交差点の通過に用いることができるレーンを算定し、算定した全てのレーンを、着目交差点直前の道路区間の推奨レーンに設定し(ステップ416)、当該着目交差点についての処理を終了する。
【0034】
そして、以上のステップ404-416の処理が、誘導ルートに沿って走行した場合に、今後1番目に通過することとなる交差点から、4番目に通過することとなる交差点までの各交差点について完了したならば、次に、誘導ルートに沿って走行した場合に、今後1番目に通過することとなる交差点から、4番目に通過することとなる交差点までの各交差点直前の道路区間の推奨レーンを案内するレーン案内画像40を生成してGUI制御部13を介して表示装置3に表示する(ステップ422)。そして、メモリ15に設定されている現在位置の交差点の通過の発生を待って(ステップ424)、ステップ402からの処理に戻る。
【0035】
ここで、ステップ422では、レーン案内画像40として図3bに示すような画像を生成、表示する。
すなわち、レーン案内画像40中には、誘導ルートに沿って走行した場合に、今後1番目から3番目に通過することとなる3つの交差点に対応する交差点名称ボックス41を、下から通過順に表示する。そして、各交差点名称ボックス41の内部に対応する交差点の交差点名称を表示する。また、各交差点名称ボックス41の下に、当該交差点名称ボックス41に対応する交差点直前の道路区間の各レーンを各々表すレーンと同数の線図形42を、当該線図形42の上端を当該交差点名称ボックス41の下辺に連結した形態で表示し、今後3番目に通過する交差点に対応する交差点名称ボックス41の上に今後4番目に通過することとなる交差点直前の道路区間の各レーンを各々表すレーンと同数の線図形42を、当該線図形42の下端を今後3番目に通過する交差点に対応する交差点名称ボックス41の上辺に連結した形態で表示する。
【0036】
ここで、今後3番目に通過することとなる交差点直前の道路区間の各レーンを各々表すレーンと同数の線図形42の下端は、今後2番目に通過する交差点に対応する交差点名称ボックス41の上辺に連結した形態で表示し、今後2番目に通過することとなる交差点直前の道路区間の各レーンを各々表すレーンと同数の線図形42の下端は、今後1番目に通過する交差点に対応する交差点名称ボックス41の上辺に連結した形態で表示する。換言すれば、今後3番目に通過することとなる交差点直前の道路区間の各レーンを各々表すレーンと同数の線図形42で、今後3番目に通過することとなる交差点に対応する交差点名称ボックス41と、今後2番目に通過する交差点に対応する交差点名称ボックス41とを上下に結び、今後2番目に通過することとなる交差点直前の道路区間の各レーンを各々表すレーンと同数の線図形42で、今後2番目に通過することとなる交差点に対応する交差点名称ボックス41と、今後1番目に通過する交差点に対応する交差点名称ボックス41とを上下に結ぶ。
【0037】
また、今後1番目から4番目に通過する交差点直前の道路区間のレーンを表す線図形42のうち、推奨レーンに設定されているレーンを表す線図形42は、他の線図形42と区別可能に強調表示する。ただし、各道路区間のレーンを表す個々の線図形42は、左右方向について同順にあるレーンを表すものとする。すなわち、右から1番目の線図形42は1番右側のレーンを表し、右から2番目の線図形42は右から2番目のレーンを表し、右から3番目の線図形42は右から3番目のレーンを表すものとする。
【0038】
また、誘導経路に従って進路変更することとなる交差点に対応する交差点名称ボックス41の位置に、当該交差点における進路変更方向を矢印で表す進路案内図形43を表示する。
ここで、図3bに示したレーン案内画像40は、図3aに示すように、今後、「AA交差点」を直進通過した後、「BB交差点」を直進通過し、そして、「CC交差点」を右折して通過する誘導ルート301が設定されており、かつ、各レーンの進行方向別通行区分が図中に矢印で示したように設定されている場合のものである。
【0039】
この場合、図3bに示すように、レーン案内画像40は、「AA交差点」を表示した交差点名称ボックス41、「BB交差点」を表示した交差点名称ボックス41、「CC交差点」を表示した交差点名称ボックス41の3つの交差点名称ボックス41が、当該順序で下から配置されたものとなる。
【0040】
そして、「AA交差点」直前の4レーンからなる道路区間の推奨レーンとしては、「AA交差点」でも次の「BB交差点」でも進路変更しないため、「AA交差点」直前の道路区間の4レーンのうち、「AA交差点」の直進通過に用いることのできるレーンすなわち左側3つのレーンの全てが推奨レーンとして設定される。そして、図3bに示すように、レーン案内画像40は、「AA交差点」を表示した交差点名称ボックス41の下に、「AA交差点」直前の道路区間の4レーンを表す4本の線図形42が表示され、そのうち、推奨レーンとして設定された左側3つのレーンを表す左側3本の線図形42が強調表示されたものとなる。
【0041】
次に、「BB交差点」直前の4レーンからなる道路区間の推奨レーンとしては、「BB交差点」では進路変更しないものの、次の「CC交差点」で右折方向に進路変更するため以下のように推奨レーンが設定される。
すなわち、「BB交差点」の一つ前の「AA交差点」直前の道路区間の推奨レーン数が3であるので、1/2以上の最小の整数である2個のレーンを、「BB交差点」直前の道路区間の推奨レーン数とする。また、「BB交差点」の一つ次の「CC交差点」の直前の道路区間のレーンのうち「CC交差点」の右折通過に用いることのできるレーンは一番右側のレーンであるので、「BB交差点」の直進通過に用いることのできる「BB交差点」直前の道路区間のレーンすなわち左側3つのレーンのうちの、右側の2つのレーンが推奨レーンとして設定される。
【0042】
そして、図3bに示すように、レーン案内画像40は、「BB交差点」を表示した交差点名称ボックス41の下に、「BB交差点」直前の道路区間の4レーンを表す4本の線図形42が表示され、そのうち、推奨レーンとして設定された左側から2番目と3番目の2つのレーンを表す左側から2番目と3番目の線図形42が強調表示されたものとなる。
【0043】
次に、「CC交差点」直前の4レーンからなる道路区間の推奨レーンとしては、「CC交差点」で右折方向に進路変更するため、「CC交差点」の直前の道路区間の4つのレーンのうち、「CC交差点」の右折通過に用いることのできる一番右側のレーンが推奨レーンに設定される。そして、図3bに示すように、レーン案内画像40は、「CC交差点」を表示した交差点名称ボックス41の下に、「CC交差点」直前の道路区間の4レーンを表す4本の線図形42が表示され、そのうち、推奨レーンとして設定された一番右側のレーンを表す、一番右側の線図形42が強調表示されたものとなる。また、「CC交差点」を表示した交差点名称ボックス41の位置に、右折を矢印で表す進路案内図形43が表示される。
【0044】
そして、「CC交差点」の次に通過する交差点直前の2レーンからなる道路区間の推奨レーンとして、当該2レーンが設定されたものとすると、図3bに示すように、レーン案内画像40は、「CC交差点」を表示した交差点名称ボックス41の上に、「CC交差点」の次に通過する交差点直前の道路区間の2レーンを表す2本の線図形42が表示され、推奨レーンとして設定された2つのレーンを表す当該2本の線図形42が強調表示されたものとなる。
【0045】
ここで、このようなレーン案内画像40によれば、ユーザは、「AA交差点」直前の道路区間における3つの推奨レーンが、「BB交差点」直前の道路区間では2つの推奨レーンに右側に減少しているようすから、今後右側のレーンに順次レーン変更していくことが、誘導ルート301に沿った進路変更を行う上で有利であることを直感的に把握することができる。
【0046】
以上、制御部16が行うレーン案内処理について説明した。
ところで、以上のレーン案内処理の、着目交差点の一つ次に通過する交差点で進路変更を行うこととなる場合に行われるステップ410-414の処理は、着目交差点から着目交差点の一つ次に通過する交差点までの距離が任意のレーンへのレーン変更を余裕を持って行うに足りるほど充分に大きな距離であるかどうかを予め定めたしきい値と、着目交差点から着目交差点の一つ次に通過する交差点までの距離とを比較することにより行い、充分に大きな距離である場合には、直進方向への着目交差点の通過に用いることができる全てのレーンを推奨レーンに設定するものとしてもよい。
【0047】
また、以上のレーン案内処理で生成、表示するレーン案内画像40は以下のようなものとしてもよい。
図5bのレーン案内画像40は、図5aに示すように、今後、「BB交差点」を直進通過し、「CC交差点」を右折通過して走行する道路(路線)を変更し、次に、「DD交差点」を直進通過する誘導ルート301が設定されており、かつ、各レーンの進行方向別通行区分が図中に矢印で示したように設定されている場合のものである。
【0048】
図示するように、図5bのレーン案内画像40では、進路変更によって、走行する道路が変化する「CC交差点」の交差点名称ボックス41の上辺への、「DD交差点」の直前の道路区間のレーンを表す線図形42の連結を断ち、当該線図形42と「CC交差点」の交差点名称ボックス41との間に隙間421を持たせることにより、当該「CC交差点」で、走行する道路が切り替わることを、ユーザが直感的に把握することができるようにしている。
【0049】
また、このレーン案内画像40では、進路変更が行われる「CC交差点」の交差点名称ボックス41の下の、「CC交差点」の直前の道路区間の推奨レーンを表す線図形42の形態を、その上部を、「CC交差点」における進路変更方向すなわち右折方向に折り曲げた形態とすることにより、「CC交差点」における進路変更方向を、ユーザが直感的に把握できるようにしている。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明した。
【符号の説明】
【0051】
1…ナビゲーション装置、2…操作部、3…表示装置、4…車両状態センサ、5…GPS受信機、11…記憶装置、12…現在状態算出部、13…GUI制御部、14…ルート探索部、15…メモリ、16…制御部、17…案内画像生成部、30…案内画像、31…地図画像、32…現在位置マーク、33…ルート図形、40…レーン案内画像、41…交差点名称ボックス、42…線図形、43…進路案内図形、301…誘導ルート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載されるナビゲーション装置であって、
目的地へ到る経路を誘導ルートとして設定する誘導ルート設定部と、
前記誘導ルートに従って走行した場合に直近に通過するn(但し、nは3以上の整数)個の交差点について、前記交差点手前のレーンのうちの、当該交差点を前記誘導ルートに従った通過方向に通行できるレーンである候補レーンの少なくとも一つのレーンを推奨レーンとして設定する推奨レーン設定手段と、
前記n個の交差点について設定した推奨レーンを提示するレーン案内画像を表示するレーン案内手段とを有し、
前記推奨レーン設定手段は、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向である交差点については、当該交差点の前記候補レーンの全てを推奨レーンに設定し、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向でない交差点であって、かつ、前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の次に通過する交差点の、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向でない交差点については、当該交差点の前記候補レーンの全てを推奨レーンに設定し、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向でない交差点であって、かつ、前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の次に通過する交差点の、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向である交差点については、前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の前に通過する交差点の推奨レーンの数を算定し、算定した推奨レーンの数が複数である場合には、当該交差点の前記候補レーンのうちの、左右方向について前記次に通過する交差点の前記候補レーン側に位置する、前記算定した推奨レーンの数よりも少ない数のレーンを推奨レーンに設定し、
前記レーン案内手段は、前記n個の交差点を表すオブジェクトを、前記誘導ルートに従って走行する場合の通過順に下から上に向かって配置し、各交差点を表すオブジェクトの下に、当該交差点直前の道路区間の各レーンに各々対応する線図形を配置した画像を、前記レーン案内画像として表示し、
前記レーン案内画像において、前記各線図形は、対応するレーンの左右方向の並び順に従った並び順で左右方向に並べて配置されており、かつ、前記線図形のうちの前記推奨レーンに設定されているレーンを表す線図形は、他の線図形よりも強調して表されていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載のナビゲーション装置であって、
前記レーン案内手段は、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向である交差点を表すオブジェクトの位置に、当該進路を変更する方向を表す矢印図形を配置した形態で前記レーン案内画像を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のナビゲーション装置であって、
前記レーン案内手段は、前記線図形の上端を、当該線図形に対応するレーンの属する道路区間が、直前の道路区間となっている交差点を表すオブジェクトの下部に連結させると共に、前記レーン案内画像に前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の前に通過する交差点を表すオブジェクトが配置されている場合には、当該線図形の下端を、当該前に通過する交差点を表すオブジェクトの上部に連結させた形態で前記レーン案内画像を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3記載のナビゲーション装置であって、
前記レーン案内手段は、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向である交差点を表すオブジェクトについては、当該オブジェクトの上部に前記線図形の下端を連結させない形態で前記レーン案内画像を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載のナビゲーション装置であって、
前記交差点を表すオブジェクトは、当該交差点の名称を表すものであることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
自動車に搭載されるコンピュータによって読みとられ実行されるコンピュータプログラムであって、
当該コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、
目的地へ到る経路を誘導ルートとして設定する誘導ルート設定部と、
前記誘導ルートに従って走行した場合に直近に通過するn(但し、nは3以上の整数)個の交差点について、前記交差点手前のレーンのうちの、当該交差点を前記誘導ルートに従った通過方向に通行できるレーンである候補レーンの少なくとも一つのレーンを推奨レーンとして設定する推奨レーン設定手段と、
前記n個の交差点について設定した推奨レーンを提示するレーン案内画像を表示するレーン案内手段として機能させ、
前記推奨レーン設定手段は、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向である交差点については、当該交差点の前記候補レーンの全てを推奨レーンに設定し、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向でない交差点であって、かつ、前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の次に通過する交差点の、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向でない交差点については、当該交差点の前記候補レーンの全てを推奨レーンに設定し、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向でない交差点であって、かつ、前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の次に通過する交差点の、前記誘導ルートに従った通過方向が進路を変更する方向である交差点については、前記誘導ルートに従って走行する場合に当該交差点の前に通過する交差点の推奨レーンの数を算定し、算定した推奨レーンの数が複数である場合には、当該交差点の前記候補レーンのうちの、左右方向について前記次に通過する交差点の前記候補レーン側に位置する、前記算定した推奨レーンの数よりも少ない数のレーンを推奨レーンに設定し、
前記レーン案内手段は、前記n個の交差点を表すオブジェクトを、前記誘導ルートに従って走行する場合の通過順に下から上に向かって配置し、各交差点を表すオブジェクトの下に、当該交差点直前の道路区間の各レーンに各々対応する線図形を配置した画像を、前記レーン案内画像として表示し、
前記レーン案内画像において、前記各線図形は、対応するレーンの左右方向の並び順に従った並び順で左右方向に並べて配置されており、かつ、前記線図形のうちの前記推奨レーンに設定されているレーンを表す線図形は、他の線図形よりも強調して表されていることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−137371(P2012−137371A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289571(P2010−289571)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】