説明

ニトロセルロース−ポリウレタン粒子に基づく水性分散体

本発明は、ニトロセルロース-ポリウレタン-ポリ尿素粒子を含んでなる水性分散体、それらの製造方法およびそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニトロセルロース-ポリウレタン-ポリ尿素粒子を含んでなる水性分散体、それらの製造方法およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ニトロセルロースまたは硝酸セルロースまたは硝酸のセルロースエステルは、その多様なプロセス関連特性および最終用途特性のために、非常に幅広い応用分野において用いられる。
【0003】
先行技術は、例えば、家具ラッカー、印刷用インクまたは重ね塗りラッカーとして、溶媒含有ニトロセルロース組成物を開示する。これらの被覆材料は、専ら有機溶媒含有系である。
【0004】
同様に、マニキュアは、しばしば、結合剤中にニトロセルロース親構造を本質的に有する。ここでも、主として有機溶媒、例えば酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどが用いられる。
【0005】
しかしながら、多くの場合、法律上の義務に基づいて、並びに労働、健康および環境の保護の考えに基づいて、同時に所望の肯定的な用途特性を完全にまたは大部分保持しつつ、溶媒含有系を水系に置換することが望まれている。
【0006】
したがって、水性媒体に基づくニトロセルロース含有被覆系を提供するための、および有機溶媒および凝集助剤の割合、または全部を排除するための、先行技術に記載された多様な試みが存在する。
【0007】
米国特許US-A 5,670,141においては、例えば、ニトロセルロース含有水性エマルジョンが最初に製造される。このため、費用がかかり、不便な乳化工程が必要とされる。さらに、それらは、溶媒または可塑剤も含有する。次いで、該エマルジョンを他のポリマーと組み合わせて水系を形成する。これは、互いに独立して製造された、一方のニトロセルロースと、他方のポリマー分散体との混合物を製造する。
【0008】
例えば国際公開WO-A 92/01817において、異なる方法が明らかになっている。その方法では、ニトロセルロースエマルジョンおよび他の水系が、被覆剤として相次いで基材(例えば革製品など)に付与され、その結果、いずれの場合も複数の操作工程が生じる。
【0009】
先行技術、例えば、特開平03-294370号公報、特開平03-247624号公報または特開昭58-83001号公報などから、ニトロセルロースおよびポリウレタンに基づく溶媒含有系は既知である。それらに記載されたニトロセルロース組成物は、磁性粉末用の分散媒体として使用される。
【0010】
特開昭和63-14735号公報は、水分散性ウレタン変性ビニルポリマーおよびニトロセルロースに基づく水性樹脂エマルジョンを開示する。ビニルポリマーは、アニオン性基およびポリウレタン側鎖を有し、およびニトロセルロース用の分散媒体として役立つ。それに記載された組成物は、被覆材料として用いられる。該樹脂エマルジョンは、ビニルポリマーおよびニトロセルロースの両方を有機溶媒中に溶解させ、次いで、水を添加し、そして、中和剤を用いて該ポリマーを分散させることによって製造される。該有機溶媒は、分散前または分散後に除去することができる。これらの系の不利な点は、蒸留によって溶媒の量が顕著に減少する場合、それらの乏しい貯蔵安定性である。
【0011】
ニトロセルロースの顕著な疎水性のために、先行技術の方法は、特性のレベルを保持しつつ、有機溶媒および凝集助剤を水で完全に置き換えることに成功していない。特に、ニトロセルロース-ポリウレタン-尿素粒子を含んでなる水性分散体の記載は存在しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、分散体に対して1重量%以下の残留有機溶媒量を有し、さらに、さらなる外部乳化剤または外部移動性可塑剤を含有しない、ポリウレタンポリマーおよびニトロセルロースに基づく安定性および非沈降性水性分散体を提供することにある。乾燥に際して、本発明の分散体から製造される被覆材料は、多様な基材のための、カバリング剤、被覆剤、サイズ剤、ラッカー、接着剤、結合剤、印刷用インク、化粧品およびパーソナルケア用品などを処方するのに使用できるように、十分にフィルム形成性であり、および(機械的に)安定性であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
今回、驚くべきことに、ポリウレタンポリマー画分ばかりでなく、ニトロセルロース画分も有し、および20 nm〜700 nmの平均粒度を有する分散体が、上記要件を満足することを見出した。これらのポリウレタン-ニトロセルロース粒子は、可塑剤、乳化剤または補助溶媒をさらに使用することなく、安定性水性分散体を製造するために使用することができる。
【0014】
したがって、本発明は、
a)有機ポリイソシアネート、
b)数平均分子量400〜8000 g/mol、好ましくは400〜6000 g/molおよびより好ましくは600〜3000 g/molおよびOH官能価1.5〜6、好ましくは1.8〜3およびより好ましくは1.9〜2.1を有するポリオール、
c)二以上のヒドロキシルおよび/またはアミノ基を有する分子量62〜400 g/mol、好ましくは62〜240 g/mol、より好ましくは88〜140 g/molの低分子量化合物、
d)ヒドロキシルまたはアミノ基を有する低分子量化合物、
e)さらにイオン性または潜在的イオン性親水性基を有するイソシアネート反応性化合物、および
f)イソシアネート反応性非イオン性親水性化合物
からなる群から選択される化合物をその合成成分として含んでなるポリウレタン画分、並びに
水不溶性ニトロセルロース画分を有し、
20〜700 nm、好ましくは30〜550 nm、より好ましくは50〜400 nmおよび非常に好ましくは100〜330 nmの粒度を有するポリウレタン-ニトロセルロース粒子を含んでなる水性分散体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
水不溶性ニトロセルロースは、ニトロセルロース固形分に基づいて、好ましくは10.0重量%〜12.8重量%の窒素画分、より好ましくは10.7重量%〜12.6重量%の窒素画分、非常に好ましくは10.7重量%〜12.3重量%の窒素画分を有する。
【0016】
また、本発明は、
a)有機ポリイソシアネート、
b)数平均分子量400〜8000 g/mol、好ましくは400〜6000 g/molおよびより好ましくは600〜3000 g/molおよびOH官能価1.5〜6、好ましくは1.8〜3およびより好ましくは1.9〜2.1を有するポリオール、
c)二以上のヒドロキシルおよび/またはアミノ基を有する、分子量62〜400 g/mol、好ましくは62〜240 g/mol、より好ましくは88〜140 g/molの低分子量化合物、
d)ヒドロキシルまたはアミノ基を有する低分子量化合物、
e)さらにイオン性または潜在的イオン性親水性基を有するイソシアネート反応性化合物、および
f)イソシアネート反応性非イオン性親水性化合物
からなる群から選択される化合物を含んでなる合成成分を、最初に、溶媒中の溶液の形態である尿素基非含有イソシアネート官能性プレポリマーを製造するように反応させ(i)(該方法は、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との物質量比が、1.05〜3.5、好ましくは1.2〜3.0、より好ましくは1.3〜2.5であることを特徴とする)、
次いで、残りのイソシアネート基を、アミノ官能的に鎖延長または鎖末端化し(ii)、および、
アセトンまたは2-ブタノン中の溶液の形態のニトロセルロースを、プレポリマーの製造(i)後または鎖延長(ii)後、かつ、分散(iii)の前または後、蒸留前に添加すること
を含むことを特徴とする、本発明のポリウレタン-ニトロセルロース粒子を含んでなる水性分散体の製造方法を提供する。
【0017】
成分a)の適当なポリイソシアネートは、当業者に既知の、好ましくは2のNCO官能価を有する芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環族ポリイソシアネートである。
【0018】
適当なポリイソシアネートの例は、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2,2,4-および/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタンまたは任意の所望の異性体含量を有するそれらの混合物、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-および/または2,6-トリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,4'-または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-および1,4-ビス(2-イソシアナトプロパ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(XDI)、(S)-アルキル2,6-ジイソシアナトヘキサノエートまたは(L)-アルキル2,6-ジイソシアナトヘキサノエートである。
【0019】
比例的に、2より大きいNCO官能価を有するポリイソシアネートを使用することもできる。これらとしては、ウレトジオン、イソシアヌレート、ウレタン、アロファネート、ビウレット、イミノオキサジアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有する変性ジイソシアネート、並びに1分子当たり2より多くのNCO基を含有する非変性ポリイソシアネート、例えば4-イソシアナトメチル-1,8-オクタンジイソシアネート(ノナントリイソシアネート)またはトリフェニルメタン4,4',4''-トリイソシアネートが挙げられる。
【0020】
上記種類のポリイソシアネートまたはポリイソシアネート混合物は、好ましくは専ら脂肪族的におよび/または脂環族的にイソシアネート基に結合し、2〜4、好ましくは2〜2.6およびより好ましくは2〜2.4の平均官能価を有するものである。
【0021】
特に好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、異性体ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0022】
化合物b)として使用し得るポリマーポリオールは、400〜8000 g/mol、好ましくは400〜6000 g/molおよびより好ましくは600〜3000 g/molの分子量Mnを有する。それらのヒドロキシル価は、22〜400 mg KOH/g、好ましくは30〜200 mg KOH/gおよびより好ましくは40〜160 mg KOH/gであり、およびそれらは、1.5〜6、好ましくは1.8〜3およびより好ましくは1.9〜2.1のOH官能価を有する。
【0023】
本発明におけるポリオールは、単独または混合物の状態の、ポリウレタン被覆技術において既知の有機ポリヒドロキシ化合物、例えば、典型的なポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリアクリレートポリオールおよびポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタンポリエステルポリオール、ポリウレタンポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオールなどである。
【0024】
好ましいポリオールは、ポリエステルポリオール、例えば、従来のジオール、並びに適切な場合、トリオールおよびテトラオールと、ジカルボキシル酸、並びに適切な場合、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸との重縮合物、またはヒドロキシカルボン酸またはラクトンの重縮合物などである。遊離ポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステルを使用して該ポリエステルを製造することもできる。
【0025】
適当なジオールの例は、エチレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、並びに1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオールおよび異性体、ネオペンチルグリコールであり、最後の3つの化合物が好ましい。ここで、さらに使用の可能性のあるポリオールは、例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、またはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートである。
【0026】
適当なジカルボン酸の例としては、以下のものが挙げられる:フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マロン酸、スベリン酸、2-メチルコハク酸並びにそれらの可能性のある無水物である。本発明の目的のために、該無水物は、結果的に、表現「酸」に包含される。該ポリオールの平均OH官能価が≧2である限り、モノカルボン酸、例えば安息香酸およびヘキサンカルボン酸も使用することができる。飽和脂肪族または芳香族酸、例えばアジピン酸またはイソフタル酸が好ましい。適切な場合、比較的少量で同様に使用し得るポリカルボン酸としては、トリメリト酸が挙げられる。
【0027】
末端ヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールを製造する場合、反応関与物として付加的に使用し得るヒドロキシカルボン酸は、例えば、ヒドロキシカプロン酸またはヒドロキシ酪酸である。適当なラクトンは、例えば、カプロラクトン、ブチロラクトンおよびその同族体である。
【0028】
特に好ましいポリエステルポリオールは、ヘキサンジオール-アジピン酸エステル、ブタンジオール-アジピン酸エステル、ヘキサンジオール-ネオペンチルグリコール-アジピン酸エステルおよびヘキサンジオール-フタル酸エステルである。
【0029】
同様に、化合物b)として好ましいものは、分子量Mn400〜6000 g/mol、好ましくは600〜3000 g/molのヒドロキシル含有ポリカーボネートである。これらは、例えば、炭酸誘導体、例えばジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネートまたはホスゲンと、ポリオール、好ましくはジオールとの反応によって得ることができる。
【0030】
適当なこのようなジオールの例としては、エチレングリコール、1,2-および1,3-プロパンジオール、1,3-および1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリブチレングリコール、ビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、並びにラクトン変性ジオールが挙げられる。ジオール成分は、好ましくは40重量%〜100重量%の1,6-ヘキサンジオールを含有する。比例的に、ヘキサンジオール誘導体、好ましくは末端OH基と共にエーテル基またはエステル基を有するもの、例えば、1 molのヘキサンジオールと、少なくとも1 mol(好ましくは1〜2 mol)のカプロラクトンとを反応させることにより、またはヘキサンジオール自身をエーテル化してジヘキシレンまたはトリヘキシレングリコールを形成することにより、得ることができる生成物を使用することも好ましい。
【0031】
同様に、ポリエーテルポリカーボネートジオールを使用することができる。ヒドロキシルポリカーボネートは、実質的に直鎖状であるべきである。しかしながら、適切な場合、それらは、多官能性成分、特に低分子量ポリオールを組み込む結果として、わずかに分枝状であり得る。
【0032】
さらなる適当なポリオール成分b)としては、ポリエーテルポリオールが挙げられ、例えば、スチレンオキシドの重付加生成物、エチレンオキシドの重付加生成物、プロピレンオキシドの重付加生成物、テトラヒドロフランの重付加生成物、ブチレンオキシドの重付加生成物、エピクロロヒドリンの重付加生成物、並びにそれらの共付加生成物およびグラフト生成物、並びに多価アルコールまたはそれらの混合物を縮合することにより得られるポリエーテルポリオールおよび多官能性アルコール、アミンおよびアミノアルコールをアルコキシル化することにより得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0033】
ポリウレタン樹脂を合成するために使用される低分子量ポリオールc)は、通常、ポリマー鎖を硬化および/または分枝する効果を有し、そして、好ましくはプレポリマー合成の間に用いられる。該分子量は、好ましくは62 g/molと400 g/molとの間、より好ましくは62 g/molと200 g/molとの間にある。適当なポリオールc)は、脂肪族、脂環族または芳香族基を含有し得る。ここで、その例としては、1分子当たり約20個までの炭素原子を有する低分子量ポリオール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素化ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、並びにトリメチロールプロパン、グリセロールまたはペンタエリスリトールおよびこれらの混合物および、適切な場合、同様に、さらなる低分子量ポリオールc)が挙げられる。好ましくは、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールおよびトリメチロールプロパンが挙げられる。
【0034】
NCO末端プレポリマーの鎖延長のために、成分c)としてジアミンまたはポリアミン並びにヒドラジドを使用することができる。その例としては、エチレンジアミン、1,2-および1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、イソホロンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンの異性体混合物、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、および4,4-ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルエチレンジアミン、ヒドラジンまたはアジピン酸ジヒドラジドが挙げられる。好ましくは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミンおよびヒドラジンが挙げられる。
【0035】
成分c)として原理上適当なものは、イソシアネート基に対して異なる反応性を有する活性水素を含有する化合物、例えば第1級アミノ基と共に第2級アミノ基も有する化合物またはアミノ基(第1級または第2級)と共にOH基も有する化合物である。その例は、第1級/第2級アミン、例えば3-アミノ-1-メチルアミノプロパン、3-アミノ-1-エチルアミノプロパン、3-アミノ-1-シクロヘキシルアミノプロパン、3-アミノ-1-メチルアミノブタン、さらにアルカノールアミン、例えばN-アミノエチルエタノールアミン、エタノールアミン、3-アミノプロパノール、ネオペンタノールアミンおよび、特に好ましくは、ジエタノールアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンである。これらは、本発明の分散体を製造する場合、鎖延長剤および/または連鎖停止剤として使用することができる。
【0036】
本発明の分散体は、適切な場合、いずれの場合も鎖末端に位置し、そして、これらの末端を封鎖し得る構成成分単位d)を含有し得る。これらの単位は、一方で、NCO基と反応性の単官能性化合物、例えばモノアミン、特にモノ第2級アミン、またはモノアルコールに由来する。好ましくは、エタノール、n-ブタノール、2-エチルヘキサノール、プロピルアミン、ブチルアミン、ステアリルアミンまたはジブチルアミンが挙げられる。
【0037】
適当なイオン性または潜在的イオン性親水性化合物e)は、少なくとも一つのイソシアネート反応性基並びに少なくとも一つの官能価、例えば-COO-Y+、-SO3-Y+、-PO(O-Y+)2(式中、Y+は、例えばH+、NH4+、金属カチオンである)を有する化合物であり、これは、水性媒体との相互作用に際して、pH依存性解離平衡に参入し、およびそのようにして、負に帯電するか、または中性であり得る。好ましいイソシアネート反応性基は、ヒドロキシルまたはアミノ基である。
【0038】
成分e)の定義にしたがう適当なアニオン性または潜在的アニオン性親水性化合物は、例えば、モノおよびジヒドロキシカルボン酸、モノおよびジアミノカルボン酸、モノおよびジヒドロキシスルホン酸、モノおよびジアミノスルホン酸並びにモノおよびジヒドロキシホスホン酸またはモノおよびジアミノホスホン酸およびそれらの塩、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ヒドロキシピバリン酸、N-(2-アミノエチル)- β-アラニン、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸、エチレンジアミンプロピルスルホン酸またはエチレンジアミンブチルスルホン酸、1,2-または1,3-プロピレンジアミン-β-エチルスルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸、グリシン、アラニン、タウリン、リシン、3,5-ジアミノ安息香酸、IPDIおよびアクリル酸の付加生成物(欧州特許出願公開EP-A 0 916 647、実施例1)およびそのアルカリ金属塩および/またはアンモニウム塩;ポリエーテルスルホネート、例えば独国特許出願公開DE-A 2 446 440(第5〜9頁、式I〜III)に記載される2-ブテンジオールおよびNaHSO3のプロポキシル化付加生成物である。さらに、成分5)の定義にしたがう化合物として、例えば、国際公開WO-A 01/88006に記載のシクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(CAPS)を使用することができる。
【0039】
好ましい化合物e)は、カルボキシルまたはカルボキシレートおよび/またはスルホネート基を有するものである。特に好ましいイオン性化合物5)は、イオン性または潜在的イオン性基として、カルボキシルおよび/またはスルホネート基を含有するもの、例えばN-(2-アミノエチル)- β-アラニンの塩、2-(2-アミノエチルアミノ)エタンスルホン酸の塩またはIPDIおよびアクリル酸の付加生成物の塩(欧州特許出願公開EP-A 0 916 647、実施例1)並びにジメチロールプロピオン酸である。
【0040】
成分f)の定義にしたがう適当な非イオン性親水性化合物は、例えば、少なくとも一つのヒドロキシルまたはアミノ基を含有するポリオキシアルキレンエーテルである。これらのポリエーテルは、エチレンオキシド由来の単位の30重量%〜100重量%の画分を含有する。
【0041】
また、非イオン性親水性化合物f)の例としては、従来の方法で適当なスターター分子をアルコキシル化することにより得ることができる種類の、1分子当たり平均5〜70個、好ましくは7〜55個のエチレンオキシド単位を含有する単官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールが挙げられる。
【0042】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、純ポリエチレンオキシドポリエーテル、または少なくとも30 mol%、好ましくは少なくとも40 mol%のアルキレンオキシド単位がエチレンオキシド単位から構成される混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルのいずれかである。特に好ましい非イオン性化合物は、少なくとも40 mol%のエチレンオキシド単位および60 mol%以下のプロピレンオキシド単位を含有する単官能性混合ポリアルキレンオキシドポリエーテルである。
【0043】
適当なスターター分子の例は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはn-ブタノールである。アルコキシル化反応に適当なアルキレンオキシドは、特に、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドであり、これらは、アルコキシル化反応において、いずれかの順序または混合物の状態で使用することができる。
【0044】
好ましくは、5重量%〜40重量%の成分a)、55重量%〜94重量%のb)、0.5重量%〜20重量%の化合物c)およびd)の合計、0.1重量%〜5重量%の成分e)、0重量%〜20重量%の成分f)を使用することが挙げられる。ここでe)およびf)の合計は0.1重量%〜25重量%であり、および全ての成分の合計は、100重量%になる。
【0045】
特に好ましくは、5重量%〜35重量%の成分a)、60重量%〜90重量%のb)、0.5重量%〜15重量%の化合物c)およびd)の合計、0.1重量%〜4重量%の成分e)、0重量%〜15重量%の成分f)を使用することが挙げられる。ここでe)およびf)の合計は0.1重量%〜19重量%であり、および全ての成分の合計は、100重量%になる。
【0046】
非常に特に好ましくは、10重量%〜30重量%の成分a)、65重量%〜85重量%のb)、0.5重量%〜14重量%の化合物c)およびd)の合計、0.1重量%〜3.5重量%の成分e)、0重量%〜10重量%の成分f)を使用することが挙げられる。ここでe)およびf)の合計は0.1重量%〜13.5重量%であり、および全ての成分の合計は、100重量%になる。
【0047】
適当なニトロセルロースは、全ての粘度レベルの水不溶性ニトロセルロースである。好適なものは、例えば、典型的なコロジオングレード(用語「コロジオン」はRoempp's Chemielexikon、Thieme Verlag、シュトゥットガルトを参照のこと)という特徴を有するニトロセルロース、すなわち、プロセス溶媒またはプロセス溶媒混合物中に溶解することができる、10重量%〜12.8重量%の窒素含量を有するセルロース-硝酸エステルである。
【0048】
特に好ましくは、10.7重量%〜12.6重量%、非常に好ましくは10.7重量%〜12.3重量%の窒素含量を有するセルロース-硝酸エステルが挙げられる。この種のセルロース-硝酸エステルの例は、10.7重量%〜11.3重量%の窒素含量を有するWalsroder(登録商標) ニトロセルロースA生成物(Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG、ボムリッツ、独国)、または11.3重量%〜11.8重量%の窒素含量を有するWalsroder(登録商標) ニトロセルロースAM生成物(Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG、ボムリッツ、独国)、または11.8重量%〜12.3重量%の窒素含量を有するWalsroder(登録商標) ニトロセルロースE生成物(Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG、ボムリッツ、独国)である。
【0049】
所定の窒素含量の上記セルロース-硝酸エステルの範囲内において、全ての粘度レベルがいずれの場合も適当である。異なる窒素含量を有する低粘度セルロース-硝酸エステルは、ISO 14446による以下の群に分類される:≧30A、≧30M、≧30E。異なる窒素含量を有する中粘度セルロース-硝酸エステルは、ISO 14446による以下の群に分類される:18 E〜29 E、18 M〜29 M、18 A〜29 A。異なる窒素含量を有する高粘度セルロース-硝酸エステルは、以下のようにISO 14446に従う:≦17 E、≦17 Mおよび≦17 A。
【0050】
また、異なるタイプの上記の適当なセルロース-硝酸エステルの混合物も使用することができる。
【0051】
ニトロセルロースは、通常、安定化形態で市販される。典型的な安定剤の例は、アルコールまたは水である。安定剤の量は、5重量%〜40重量%の間である。本発明の分散体を製造するため、アルコールまたは水を湿潤させたニトロセルロースを使用することが好ましい。特に好ましい一形態において、10重量%〜40重量%のイソプロパノール(供給形態の総量に基づく)を湿潤させたニトロセルロースが使用される。言及できる例としては、「Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E 560 イソプロパノール 30%」または「Walsroder(登録商標) ニトロセルロース A 500 イソプロパノール 30%」または「Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/水 35%」が挙げられる。
【0052】
本発明の分散体の製造方法は、一以上の段階において均質相中で、または多段階反応の場合において部分的に分散相中で、行うことができる。a)〜f)の完全または部分的重付加後、分散、乳化または溶解工程を行う。次いで、適切な場合、分散相中で、さらなる重付加または変性を行う。
【0053】
本発明の分散体を製造するため、アセトン法が使用される。これは、PU分散体の製造について先行技術から既知である。
【0054】
本発明の分散体をアセトン法により製造するため、最初の充填物中に、イソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーを製造するための、幾つかのまたは全ての構成成分b)〜f)(これらは、如何なる第1級または第2級アミノ基も含有するべきではない)およびポリイソシアネート成分a)を導入し、適切な場合、この最初の充填物を水混和性溶媒(これは、それにも関わらず、イソシアネート基に対して不活性である)で希釈し、およびそれを50〜120℃の範囲の温度で加熱することが通例である。イソシアネート付加反応を促進するため、ポリウレタン化学において既知の触媒を使用することができる。
【0055】
適当な溶媒は、水に無限に混和性であり、および大気圧下、40〜100℃の沸点を有し、および合成成分と全く反応しないか、または非常にゆっくりでのみ反応する。好適なものは、テトラヒドロフラン、および典型的な脂肪族、ケト官能性溶媒、例えばアセトン、2-ブタノンまたはテトラヒドロフランであり、例えば、これらは、製造の開始時ばかりでなく、適切な場合、同様に幾分遅く添加することができる。アセトンおよび2-ブタノンが好ましい。アセトンが特に好ましい。次いで、反応の開始時に添加されていないa)〜f)の任意の構成成分を、計量供給する。
【0056】
ポリウレタンプレポリマーの製造において、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との物質量比は、1.05〜3.5、好ましくは1.1〜3.0、より好ましくは1.1〜2.5である。
【0057】
プレポリマーを形成するための成分a)〜f)の反応は、部分的にまたは完全に、好ましくは完全に行う。このように遊離イソシアネート基を含有するポリウレタンプレポリマーは、バルク(溶媒なし)または溶液の状態で得ることができる。
【0058】
ポリウレタンプレポリマーの製造は、それが出発分子において予め行われていない場合、潜在的アニオン性分散性基の塩の部分的または完全形成を伴うか、またはこれが後に続く。潜在的アニオン性基の場合、これは、塩基、例えば第3級アミン、例えば1〜12個、好ましくは1〜6個(いずれもアルキル基中)の炭素原子を有するトリアルキルアミンを使用して行う。その例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリプロピルアミン、N-メチルモルホリン、メチルジイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミンおよびジイソプロピルエチルアミンである。該アルキル基は、ジアルキルモノアルカノールアミン、アルキルジアルカノールアミンおよびトリアルカノールアミンの場合のように、例えば、ヒドロキシル基を有し得る。また、使用し得る中和剤としては、無機塩基、例えばアンモニア水溶液または水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムが挙げられる。それらは、好ましくはアンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロピルエチルアミン、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムである。
【0059】
塩基の物質量は、中和のための酸基の物質量の50%と125%との間、好ましくは70%と100%との間である。また、中和は、中和剤を分散水中に予め存在させることによって分散と同時に行うことができる。
【0060】
次いで、さらなるプロセス工程において、それが予め行われていない場合または部分的にのみ行われている場合、得られたプレポリマーを、脂肪族ケトン、例えばアセトンまたは2-ブタノンによって溶解する。
【0061】
これに続いて、可能性のあるNH2-および/またはNH官能性成分c)〜e)と、残りのイソシアネート基との反応を行う。この鎖延長/末端化は、あるいは、分散前、分散中に溶媒中で、または分散後に水中で行うことができる。好ましくは、鎖延長は、分散前に水中で行う。
【0062】
鎖延長を、NH2またはNH基を有するe)の定義にしたがう化合物を使用して行う場合、プレポリマーは、好ましくは分散前に鎖延長される。
【0063】
鎖延長の程度、すなわち、鎖延長に使用される化合物のNCO反応性基とプレポリマーの遊離NCO基との当量比は、40%〜150%の間、好ましくは50%〜120%の間、より好ましくは60%〜120%の間である。
【0064】
アミン成分[c)、d)、f)]は、本発明の方法において、適切な場合、個々にまたは混合物で、原理上可能である任意の添加順序で、水-または溶媒-希釈形態で使用することができる。
【0065】
水または有機溶媒を希釈剤として使用する場合、希釈剤含量は、好ましくは70重量%〜95重量%である。
【0066】
プレポリマーからの本発明の分散体の製造は、鎖延長に続けて行う。この目的のため、溶解したおよび鎖延長したポリウレタンポリマーを、適切な場合、強い剪断力(例えば激しい攪拌など)を用いて、分散水中に導入し、または逆に、分散水をプレポリマー溶液中に撹拌混合する。水を溶解したプレポリマー中に導入することが好ましい。
【0067】
次いで、分散工程後、分散体中になお存在する溶媒を、典型的には、蒸留によって除去する。分散中の実際のその除去も、同様に可能である。本発明の分散体は、通常、残留溶媒を≦3重量%、好ましくは≦1重量%の含量で有する。
【0068】
ニトロセルロースは、好ましくは、プレポリマーへの添加(i)前に、ケト官能性有機溶媒、例えばアセトンまたは2-ブタノン中に溶解される。特に好ましくは、ニトロセルロースをアセトン中に溶解させる。アセトン溶液中のニトロセルロースの量は、5重量%〜95重量%、好ましくは5重量%〜70重量%およびより好ましくは5重量%〜50重量%である。
【0069】
ニトロセルロースアセトン溶液の添加は、プレポリマーの製造(i)後鎖延長前に、または分散前鎖延長(ii)後に、または蒸留前分散(iii)後に、溶解工程の間に行うことができる。
【0070】
溶解したニトロセルロースの添加は、好ましくは、プレポリマーの製造(i)後、すなわち、鎖延長工程(ii)の前または後、分散(iii)前に行う。
【0071】
特に好ましい一実施態様において、溶解したニトロセルロースの添加は、鎖延長工程(ii)後、分散(iii)前に行う。
【0072】
得られる本発明の分散体中のニトロセルロース量は、総固形分に基づいて0.5重量%〜85重量%、好ましくは5重量%〜75重量%、より好ましくは10重量%〜60重量%である。
【0073】
本発明の分散体の固形分は、10重量%〜70重量%の間、好ましくは2重量%〜65重量%の間およびより好ましくは30重量%〜63重量%の間である。
【0074】
本発明の分散体中に含まれるポリウレタン-ニトロセルロース粒子は、20 nmと700 nmとの間、好ましくは30 nmと550 nmとの間、より好ましくは50 nmと400 nmとの間および非常に好ましくは100 nmと330 nmとの間の平均粒度を有する。
【0075】
本発明の分散体は、抗酸化剤および/または光安定剤および/または助剤および補助剤、例えば、消泡剤および増粘剤などをさらに含み得る。最終的に、充填剤、非移動性可塑剤、顔料、シリカゾル、アルミニウム分散体、クレー分散体、流動調整剤またはチキソトロープ剤も存在することができる。本発明の分散体の特性および最終用途の所望のパターンに応じて、このような充填剤は、総固形分に基づいて70%まで、最終生成物中に存在することができる。
【0076】
本発明の水性分散体は、例えば、単層被覆材料または多層系のクリアコートまたはトップコート層(最上層)において、使用することができる。
【0077】
被覆物の製造は、任意の非常に広範な噴霧技術、例えば、空気圧噴霧、無気噴霧または静電噴霧技術などを用いて、一成分または、適切な場合、二成分噴霧単位を使用して行うことができる。あるいは、本発明の分散体を含んでなる被覆材料は、他の方法、例えば、刷毛塗り、回転塗り、注型、ナイフ被覆、浸し塗り、印刷または先行技術から既知の他の方法などによって付与することもできる。
【0078】
また、本発明は、本発明の分散体を含んでなる被覆材料を提供する。
本発明は、化粧品分野における生成物を製造するための、本発明の分散体の使用を提供する。
さらに、本発明は、被覆された基材を製造するための、本発明の分散体の使用を提供する。
【0079】
適当な基材の例としては、織および不織繊維製品、革製品、紙、硬質繊維、紙様材料、木材、ガラス、非常に広範な種類のプラスチック、セラミック、石材、コンクリート、瀝青、金属、ガラス繊維または炭素繊維が挙げられる。
【0080】
同様に、本発明の分散体は、サイズ剤、接着剤系または印刷用インクを製造するのに適当である。
さらに、本発明は、本発明の分散体によって被覆、接着接合または結合された一以上の層を含んでなる、基材構造物を提供する。
本発明の分散体は、安定性であり、貯蔵可能である。
【実施例】
【0081】
使用物質および略語:
・ジアミノスルホネート:NH2-CH2CH2-NH-CH2CH2-SO3Na(水中45%濃度)
・Desmophen(登録商標) 2020/C2200:ポリカーボネートポリオール、OH価56 mg KOH/g、数平均分子量2000 g/mol(Bayer MaterialScience AG、レバークーゼン、独国)
・PolyTHF(登録商標) 2000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価56 mg/KOH/g、数平均分子量2000 g/mol(BASF AG、ルートヴィヒスハーフェン、独国)
・PolyTHF(登録商標) 1000:ポリテトラメチレングリコールポリオール、OH価112 mg/KOH/g、数平均分子量1000 g/mol(BASF AG、ルートヴィヒスハーフェン、独国)
・ポリエーテル LB 25:エチレンオキシド/プロピレンオキシドに基づく単官能性ポリエーテル、数平均分子量2250 g/mol、OH価25 mg KOH/g(Bayer MaterialScience AG、レバークーゼン、独国)
・IPA:イソプロパノール
・Desmodur(登録商標) W:ビス(4,4'-イソシアナトシクロヘキシル)メタン(Bayer MaterialScience AG、レバークーゼン、独国)
・Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E330/IPA 30%:11.8%〜12.3%の間の窒素含量を有する低粘度ニトロセルロース、ISO 14446:34 E、Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG(ボムリッツ、独国)
・Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E1160/IPA 30%:11.8%〜12.3%の間の窒素含量を有する高粘度ニトロセルロース、ISO 14446:7 E、Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG(ボムリッツ、独国)
・Walsroder(登録商標) ニトロセルロース A500/IPA 30%:10.7%〜11.3%の間の窒素含量を有する高粘度ニトロセルロース、ISO 14446:27 A、Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG(ボムリッツ、独国)
・Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%:11.8%〜12.3%の間の窒素含量を有する中粘度ニトロセルロース、ISO 14446:23 E、Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG(ボムリッツ、独国)
・Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/水 30%:11.8%〜12.3%の間の窒素含量を有する中粘度ニトロセルロース、ISO 14446:E23、Wolff Cellulosics GmbH & Co. KG(ボムリッツ、独国)
【0082】
固形分は、DIN-EN ISO 3251にしたがって決定した。
他に示さない限り、NCO含量は、DIN-EN ISO 11909にしたがって容量分析的に決定した。
分散体の平均粒度は、レーザー相関分光法(Zetasizer 1000、Malvern Instruments、モールヴァン、英国)によって決定した。
OH価は、DIN 53240-2にしたがって決定した。
ニトロセルロースについて述べられた窒素含量(重量%)は、ニトロセルロース固形分に対する。
【0083】
ニトロセルロース生成物の変動:
〔実施例1:10% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E330/IPA 30%〕
310.3 gのアジピン酸およびヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールに基づく二官能性ポリエステルポリオール(平均分子量1700 g/mol、OHN=66 mg KOH/g固形分)を65℃に加熱した。次いで、65℃にて、54.9 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、503.8 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、20.6 gのジアミノスルホネート、3.2 gのエチレンジアミンおよび102.7 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、59.9 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E330/IPA 30%および145.3 gのアセトンの溶液を添加した。515.3 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分40.9%および平均粒度196 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0084】
〔実施例2:30% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E330/IPA 30%〕
233.8 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、41.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、400 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、15.6 gのジアミノスルホネート、2.4 gのエチレンジアミンおよび77.3 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、174.2 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E330/IPA 30%および422.4 gのアセトンの溶液を添加した。523.7 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分39.9%および平均粒度156 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0085】
〔実施例3:10% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E1160/IPA 30%〕
310.3 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、54.9 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、341.5 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、20.6 gのジアミノスルホネート、3.2 gのエチレンジアミンおよび102.7 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、59.9 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E1160/IPA 30および307.7 gのアセトンの溶液を添加した。515.3 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分38.0%および平均粒度314 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0086】
〔実施例4:30% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E1160/IPA 30%〕
233.8 gの実施例による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、41.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、322.9 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、20.2 gのジアミノスルホネート、2.4 gのエチレンジアミンおよび77.3 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、175.5 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E1160/IPA 30%および900.7 gのアセトンの溶液を添加した。525.6 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分38.0%および平均粒度523 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0087】
〔実施例5:10% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース A500/IPA 30%〕
310.3 gの実施例による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、54.9 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、411.4 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、20.6 gのジアミノスルホネート、3.2 gのエチレンジアミンおよび102.7 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、59.9 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース A500/IPA 30%および167.8 gのアセトンの溶液を添加した。515.3 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分42.0%および平均粒度283 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0088】
〔実施例6:30% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース A500/IPA 30%〕
233.8 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、41.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、322.9 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、20.2 gのジアミノスルホネート、2.4 gのエチレンジアミンおよび77.3 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、175.5 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース A 500/IPA 30%および491.3 gのアセトンの溶液を添加した。525.6 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分41.0%および平均粒度141 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0089】
固形分のニトロセルロース質量分率の変動
〔実施例7:20% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
276.3 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、48.9 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、381.7 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、18.4 gのジアミノスルホネート、2.4 gのエチレンジアミンおよび91.4 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、120.1 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および428.4 gのアセトンの溶液を添加した。528.9 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分40.0%および平均粒度252 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0090】
〔実施例8:30% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
233.8 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、41.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、322.9 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、20.2 gのジアミノスルホネート、2.4 gのエチレンジアミンおよび77.3 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、175.5 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30および696.0 gのアセトンの溶液を添加した。525.6 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分41.0%および平均粒度160 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0091】
〔実施例9:40% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
199.8 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、35.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、276.0 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、17.3 gのジアミノスルホネート、2.0 gのエチレンジアミンおよび66.1 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、233.2 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および925.1 gのアセトンの溶液を添加した。536.6 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分40.0%および平均粒度261 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0092】
〔実施例10:50% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
114.8 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、20.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、240.1 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、13.4 gのジアミノスルホネート、0.9 gのエチレンジアミンおよび38.0 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、202.8 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および804.4 gのアセトンの溶液を添加した。380.5 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分42.9%および平均粒度172 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0093】
〔実施例11:60% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
131.8 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、23.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、275.7 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、17.5 gのジアミノスルホネート、0.7 gのエチレンジアミンおよび43.6 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、350.7 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および1391.1 gのアセトンの溶液を添加した。560.5 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分39.0%および平均粒度222 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0094】
ニトロセルロース添加のプロセス変形:
〔実施例12:10% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%(鎖延長前のニトロセルロースの添加)〕
280.5 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、49.6 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、481.3 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、61.0 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および170.7 gのアセトンの溶液を5分間にわたって添加した。次いで、15.9 gのジアミノスルホネート、2.5 gのエチレンジアミンおよび92.8 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。473.0 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分37.0%および平均粒度269 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0095】
〔実施例13:20% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%(鎖延長前のニトロセルロースの添加)〕
276.3 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、48.9 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、381.7 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、120.1 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および428.4 gのアセトンの溶液を5分間にわたって添加した。次いで、18.4 gのジアミノスルホネート、2.4 gのエチレンジアミンおよび91.4 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。528.9 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分39.0%および平均粒度176 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0096】
〔実施例14:30% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
233.8 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、41.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、322.9 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、174.2 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および690.9 gのアセトンの溶液を5分間にわたって添加した。次いで、15.6 gのジアミノスルホネート、2.1 gのエチレンジアミンおよび77.3 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。523.7 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分39.0%および平均粒度388 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0097】
〔実施例15:10% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%(分散後のニトロセルロースの添加)〕
310.3 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、54.9 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、411.4 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、20.6 gのジアミノスルホネート、3.2 gのエチレンジアミンおよび102.7 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。515.3 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。次いで、5分間にわたって、59.9 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および297.7 gのアセトンの溶液を添加した。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分38.0%および平均粒度260 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0098】
〔実施例16:30% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E E560/IPA 30%(分散後のニトロセルロースの添加)〕
233.8 gの実施例による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、41.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、753.4 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、15.6 gのジアミノスルホネート、2.4 gのエチレンジアミンおよび77.3 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。523.7 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。次いで、5分間にわたって、174.2 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および690.9 gのアセトンの溶液を添加した。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分38.0%および平均粒度376 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0099】
本発明のOH官能性分散体:
〔実施例17:30% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
233.8 gの実施例による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、41.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、322.9 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、20.2 gのジアミノスルホネート、4.1 gのN-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよび77.3 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、176.5 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および700.2 gのアセトンの溶液を添加した。529.4 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分40.0%および平均粒度313 nmおよび樹脂固形分に対するOH含量0.16重量%を有する保存安定性PU分散体を得た。
【0100】
〔実施例18:30% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
233.8 gの実施例1による二官能性ポリエステルポリオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、41.3 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、322.9 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、20.2 gのジアミノスルホネート、5.9 gのN,N'-ビス(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンおよび77.3 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、177.6 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および704.5 gのアセトンの溶液を添加した。533.1 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分41.8%および平均粒度289 nmおよび樹脂固形分に対するOH含量0.32重量%を有する保存安定性PU分散体を得た。
【0101】
本発明の非イオン的に安定化された分散体:
〔実施例19:10% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
264.4 gのDesmophen(登録商標) C2200、31.5 gのポリエーテル LB 25および6.3 gのネオペンチルグリコールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、67.9 gのDesmodur(登録商標) Wおよび11.3 gのイソホロンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値2.43%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、434.9 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、2.4 gのジエチレントリアミン、2.5 gのヒドラジン水和物および15.3 gの水の溶液を10分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は5分であった。次いで、5分間にわたって、61.1 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および242.5 gのアセトンの溶液を添加した。625.6 gの水を15分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分40.0%および平均粒度283 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0102】
本発明の他の分散体:
〔実施例20:30% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
140.0 gのアジピン酸およびヘキサンジオールに基づく二官能性ポリエステルポリオール(平均分子量840 g/mol、OHN=106 mg KOH/g固形分)、7.7 gのトリメチロールプロパンおよび6.5 gの1,6-ヘキサンジオールを65℃に加熱した。次いで、65℃にて、5分間にわたって、99.6 gのDesmodur(登録商標) W、18.1 gのヘキサメチレンジイソシアネートおよび68.0 gのアセトンを添加し、次いで、混合物を、理論NCO値4.46%に達するまで還流温度にて撹拌した。完成したプレポリマーを、392.6 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、4.6 gのヒドラジン水和物および20.1 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は5分であった。次いで、10分間にわたって、28.4 gのジアミノスルホネートおよび78.0 gの水の溶液を添加した。その後、176.1 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および698.5 gのアセトンを添加した。500.9 gの水の溶液を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分39.0%および平均粒度192 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0103】
〔実施例21:10% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
252.0 gのDesmophen(登録商標) C2200、10.1 gのポリエーテル LB 25、3.2 gのネオペンチルグリコールおよび8.8 gのジメチロールプロピオン酸を65℃に加熱した。次いで、65℃にて、76.3 gのDesmodur(登録商標) Wおよび12.7 gのイソホロンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値2.81%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、6.5 gのトリエチルアミンおよび434.9 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、2.7 gのジエチレントリアミン、2.9 gのヒドラジン水和物および17.2 gの水の溶液を10分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は5分であった。次いで、5分間にわたって、59.4 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および235.7 gのアセトンの溶液を添加した。605.6 gの水を15分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分38.0%および平均粒度130 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0104】
〔実施例22:30% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
196.0 gのDesmophen(登録商標) C2200、7.9 gのポリエーテル LB 25、2.5 gのネオペンチルグリコールおよび8.2 gのジメチロールプロピオン酸を65℃に加熱した。次いで、65℃にて、60.7 gのDesmodur(登録商標) Wおよび11.0 gのイソホロンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値2.76%に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、6.1 gのトリエチルアミンおよび450.9 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、2.1 gのジエチレントリアミン、2.2 gのヒドラジン水和物および13.4 gの水の溶液を10分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は5分であった。次いで、5分間にわたって、181.2 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および718.8 gのアセトンの溶液を添加した。620.1 gの水を15分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分40.0%および平均粒度310 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0105】
〔実施例23:20% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%〕
292.5 gのアジピン酸および1,4-ブタンジオールに基づく二官能性ポリエステルポリオール(平均分子量2250 g/mol、OHN=50 mg KOH/g固形分)を65℃に加熱した。次いで、65℃にて、19.7 gの1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートおよび13.0 gのイソホロンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値1.18%に達するまで80℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、300.0 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、1.7 gのジエタノールアミン、8.5 gのジアミノスルホネートおよび51.0 gの水の溶液を10分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は60分であった。次いで、5分間にわたって、118.1 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/IPA 30%および468.4 gのアセトンの溶液を添加した。564.3 gの水を15分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分40.0%および平均粒度243 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。
【0106】
〔実施例24:40% Walsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/水 30%〕
212.5 gのアジピン酸およびヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコールに基づく二官能性ポリエステルポリオール(平均分子量1700 g/mol、OHN=約66 mg KOH/g固形分)を65℃に加熱した。次いで、65℃にて、37.6 gのヘキサメチレンジイソシアネートを5分間にわたって添加し、次いで、混合物を、理論NCO値3.3%以下に達するまで100℃にて撹拌した。完成したプレポリマーを、375 gのアセトンを用いて50℃にて溶解し、次いで、20.2 gのジアミノスルホネート、2.2 gのエチレンジアミンおよび90.0 gの水の溶液を5分間にわたって計量供給した。その後の撹拌時間は15分であった。次いで、5分間にわたって、268.0 gのWalsroder(登録商標) ニトロセルロース E560/H2O 30%、中粘度ニトロセルロース(窒素含量11.8%〜12.3%、ISO 14446:23E)および893.4 gのアセトンの溶液を添加し、次いで、混合物をさらに30分間撹拌した。458.4 gの水を10分間にわたって添加することによって、分散を行った。その後の蒸留工程において、溶媒を減圧下に除去して、固形分41.0%および平均粒度279 nmを有する保存安定性PU分散体を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)有機ポリイソシアネート、
b)数平均分子量400〜8000 g/molおよびOH官能価1.5〜6を有するポリオール、
c)二以上のヒドロキシルおよび/またはアミノ基を有する、分子量62〜400 g/molの低分子量化合物、
d)ヒドロキシルまたはアミノ基を有する低分子量化合物、
e)さらにイオン性または潜在的イオン性親水性基を有するイソシアネート反応性化合物、および
f)イソシアネート反応性非イオン性親水性化合物
からなる群から選択される化合物をその合成成分として含んでなるポリウレタン画分、並びに
水不溶性ニトロセルロース画分を有し、粒度20〜700 nmを有するポリウレタン-ニトロセルロース粒子を含んでなる、水性分散体。
【請求項2】
ニトロセルロースが、ニトロセルロース固形分に基づいて10.7重量%〜12.6重量%の窒素画分を有することを特徴とする、請求項1に記載の水性分散体。
【請求項3】
ポリオールb)が、分子量Mn400〜6000 g/molのポリエステルポリオールまたはヒドロキシル含有ポリカーボネートであることを特徴とする、請求項1に記載の水性分散体。
【請求項4】
ポリオールb)が、ヘキサンジオール-アジピン酸エステル、ブタンジオール-アジピン酸エステル、ヘキサンジオール-ネオペンチルグリコール-アジピン酸エステル、ブタンジオール-アジピン酸エステルおよびヘキサンジオール-フタル酸エステルであることを特徴とする、請求項1に記載の水性分散体。
【請求項5】
ニトロセルロースが、(供給形態としての総量に基づいて)10重量%〜40重量%のイソプロパノールで湿潤していることを特徴とする、請求項1に記載の水性分散体。
【請求項6】
a)有機ポリイソシアネート、
b)数平均分子量400〜8000 g/molおよびOH官能価1.5〜6を有するポリオール、
c)二以上のヒドロキシルおよび/またはアミノ基を有する、分子量62〜400 g/molの低分子量化合物、
d)ヒドロキシルまたはアミノ基を有する低分子量化合物、
e)さらにイオン性または潜在的イオン性親水性基を有するイソシアネート反応性化合物、および
f)イソシアネート反応性非イオン性親水性化合物
からなる群から選択される化合物を含んでなる合成成分を、最初に、尿素基非含有イソシアネート官能性プレポリマーを製造するように反応させ(i)(該方法は、イソシアネート基とイソシアネート反応性基との物質量比が、1.05〜3.5であることを特徴とする)、
次いで、残りのイソシアネート基を、アミノ官能的に鎖延長または鎖末端化し(ii)、および、
アセトンまたは2-ブタノン中の溶液の形態のニトロセルロースを、プレポリマーの製造(i)後または鎖延長(ii)後、かつ、分散(iii)の前または後、蒸留前に添加すること
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の水性分散体の製造方法。
【請求項7】
ニトロセルロースを、プレポリマーに添加する前に、アセトン中に溶解させることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ニトロセルロースの添加を、プレポリマーの製造(i)後または鎖延長工程(ii)後、かつ、分散(iii)前に、行うことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
溶解したニトロセルロースの添加を、鎖延長工程(ii)後、分散(iii)前に行うことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の水性分散体を含んでなる、被覆材料。
【請求項11】
被覆された基材を製造するための、請求項1に記載の水性分散体の使用。
【請求項12】
サイズ剤、接着剤系または印刷用インクを製造するための、請求項1に記載の水性分散体の使用。
【請求項13】
化粧品分野における生成物を製造するための、請求項1に記載の水性分散体の使用。
【請求項14】
請求項1に記載の水性分散体によって、被覆、接着接合または結合された一以上の層を含んでなる、基材構造物。

【公表番号】特表2009−530454(P2009−530454A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500726(P2009−500726)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001856
【国際公開番号】WO2007/107232
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】