説明

ネットワークにおいて位置特定されるデバイスのロケーションを求めるための方法及び装置、並びにそのコンピュータプログラム

【課題】既知のロケーションを有する一群のデバイスを含むネットワークにおいて位置特定されるデバイスのロケーションを求めるための方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの送信信号の到達時刻を得るステップ、到達時刻の少なくとも一部について、各到達時刻についてのパラメータを求めるステップ、求められた各パラメータについて、2つの拡張パラメータを求めるステップ、各nタプルの拡張パラメータについて、既知のロケーションを有する少なくとも2つのデバイスの位置及びnタプルの拡張パラメータを考慮する関数から点の集合を求めるステップ、既知のロケーションを有する各デバイスの位置及びすべての拡張パラメータを含む条件を満たす、求められた点の集合のうちの点を選択するステップ、並びに選択された点から、位置特定されるデバイスのロケーションを求めるステップ、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、無線電気通信ネットワークにおけるデバイスのロケーションを求めるための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、ますます多くの専用デバイス又は移動電話のようなデバイスが、新しく設置されている無線セルラ電気通信デバイスの基地局のように、全地球測位システムの特徴又はデバイスを提供している。
【0003】
このような端末は、衛星ブロードキャスト信号を受信できない建物のようなエリア内に位置する場合がある。
【0004】
たとえ、衛星によってブロードキャストされた信号を受信できても、たとえば、デバイスが建物の何階にあるのかといったデバイスのロケーションを正確に求めることは不可能である。
【0005】
地上波機器によって送信された信号のデバイスで利用可能な到達時刻の差の観測に基づくデバイスの位置の推定は、既知の技法の一例である。
【0006】
送信信号は、ブロードキャスト信号、ユニキャスト信号、又はマルチキャスト信号とすることができる。
【0007】
たとえば、地理的に位置特定される(geo-located)デバイスが移動端末であり、且つその移動端末の地理的位置特定(geo-location)に使用される異なる既知の位置に配置されるデバイスが無線セルラ電気通信ネットワークの基地局である、一例を挙げることにする。
【0008】
このデバイスは、フェムト基地局又は無線ローカルエリアネットワークのアクセスポイントのような無線セルラ電気通信ネットワークの基地局とすることができる。
【0009】
既知の位置を有するデバイスは、専用デバイスとすることもできるし、既知の位置を有する無線ローカルエリアネットワークのアクセスノードとすることもできるし、既知の位置を有するフェムト基地局とすることもできる。
【0010】
到達時刻の差は、いくつかの機器から送信された信号の到達時刻の間の差の計算に基づく技法である。
【0011】
時刻ti0で信号を送信し、その信号が位置P(x,y,z)にある受信機によって時刻tiで受信される、位置Pi=(xi,yi,zi)にあるi番目の機器を考えるものとする。伝搬時間ti−ti0は、i番目の送信機と受信機との間の距離diに比例するものと仮定され、比例係数は、光速、すなわちc=3・108m/s(299792458m/s)であり、
【0012】
【数1】

【0013】
と記述することができる。
【0014】
i0が既知である場合には、3つの未知の座標(x,y,z)を有する系を解くには、diパラメータの3つの観測結果が必要とされ、2つの未知の座標(x,y)を有する系を解くには、diパラメータの2つの観測結果が必要とされる。
【0015】
送信機が同期している場合(これは、次世代の無線セルラ電気通信ネットワークの場合である)には、位置Pj=(xj,yj,zj)のj番目の送信機による送信の時刻tj0は、ti0に等しくすることができる。
【0016】
その場合、送信時刻ti0に対する依存関係を取り除くには、di−djを計算することで十分であり、3つの未知の座標(x,y,z)を有する系を解くにはdiパラメータの4つの観測結果が必要とされる。
【0017】
したがって、2次元の場合、ti0が未知である場合には、2つの未知の座標を有する系を解くにはdiパラメータの3つの観測結果が必要とされる。
【0018】
最初の受信信号は、たとえば、時間系(time basis)の基準として使用される。
【0019】
lを送信機と受信機との間の距離と呼ぶことにし、fi=c・(ti−tl)を、半長径(semi-major axis)(SMA)とも呼ばれる双曲線の定数と定義することにする。
【0020】
注意点として、点(x,y,z)は、以下の公式fi=c・(ti−tl)=‖Pi−P‖−‖Pl−P‖を満たし、双曲線H(Pi,fi)に属する。
【0021】
たとえば、図1は、移動端末MTが地理的に位置特定される機器であり、BS1、BS2、及びBS3が、移動端末MTに信号を送信する基地局BSである、2次元の場合を示している。
【0022】
1は基地局BS1のロケーションであり、P2は基地局BS2のロケーションであり、Pは移動端末MTのロケーションである。H2は、移動端末MTがその上に位置特定され得る双曲線:
【0023】
【数2】

【0024】
である。
【0025】
3は、基地局BS3のロケーションである。H3は、移動端末MTがその上に位置特定され得る双曲線:
【0026】
【数3】

【0027】
である。
【0028】
移動端末MTのロケーションは、H2及びH3の交点である。
【0029】
移動端末MTが変数Pi及びfiを完全に知っている場合、移動端末MTのロケーションは、2次元の場合には少なくとも3つの基地局BSの信号から完全に得ることができ、又は3次元の場合には少なくとも4つの基地局BSの信号から完全に得ることができる。しかしながら、Pi及びfiの観測結果に雑音が多い場合には、双曲線(hyperbolas)は、一つの点で交差しない。
【0030】
このような場合が図2に開示されている。
【0031】
図2では、6つの双曲線が、2次元の例で示されている。双曲線Hre2、Hre3、及びHre4は、不完全な求値(imperfect determination)のない双曲線である。双曲線Hev2、Hev3、及びHev4は、伝搬時間の雑音が多い観測結果から推測された双曲線である。
【0032】
Pは、双曲線Hre2、Hre3、及びHre4の交点であり、移動端末MTの正確なロケーションである。
【0033】
点Int23は、双曲線Hev2及びHev3の交点である。点Int24は、双曲線Hev2及びHev4の交点である。点Int34は、双曲線Hev3及びHev4の交点である。
【0034】
点Int23、Int24、及びInt34は互いに異なり、移動端末MTの正確なロケーションPとも異なっている。
【0035】
Int23、Int24、及びInt34から移動端末のロケーションを求めると、不正確な結果が提供されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0036】
【特許文献1】独国特許出願公開第10308005号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
本発明は、最先端のものよりも正確であり且つ起こり得る不正確な測定値を考慮する、無線セルラ電気通信ネットワークにおける移動端末のロケーションを求めるための方法及びデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
この目的のために、本発明は、既知のロケーションを有する一群のデバイスを含むネットワークにおいて位置特定されるデバイスのロケーションを求めるための方法であって、少なくとも1つの信号が少なくとも1つのデバイスによって送信され、
該方法は、
少なくとも1つの送信信号の到達時刻を得るステップ、
到達時刻の少なくとも一部について、該到達時刻の一部の各到達時刻についてのパラメータを求めるステップ、
求められた各パラメータについて、該求められたパラメータの不確実性を考慮するために、求められた各パラメータに対してマージンを適用することにより2つの拡張パラメータを求めるステップ、
n個の異なるパラメータの拡張パラメータから成る各nタプルの拡張パラメータについて、既知のロケーションを有する少なくとも2つのデバイスの位置及びnタプルの拡張パラメータを考慮する関数から点の集合を求めるステップ、
既知のロケーションを有する一群のデバイスのうちの既知のロケーションを有する各デバイスの位置及びすべての拡張パラメータを含む条件を満たす、求められた点の集合のうちの点を選択するステップ、並びに
選択された点から、位置特定されるデバイスのロケーションを求めるステップ、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0039】
本発明はまた、既知のロケーションを有する一群のデバイスを含むネットワークにおいて位置特定されるデバイスのロケーションを求めるための装置であって、少なくとも1つの信号が少なくとも1つのデバイスによって送信され、
該装置は、
少なくとも1つの送信信号の到達時刻を得る手段、
到達時刻の少なくとも一部について、該到達時刻の一部の各到達時刻についてのパラメータを求める手段、
求められた各パラメータについて、該求められたパラメータの不確実性を考慮するために、求められた各パラメータに対してマージンを適用することにより2つの拡張パラメータを求める手段、
n個の異なるパラメータの拡張パラメータから成る各nタプルの拡張パラメータについて、既知のロケーションを有する少なくとも2つのデバイスの位置及びnタプルの拡張パラメータを考慮する関数から点の集合を求める手段、
既知のロケーションを有する一群のデバイスのうちの既知のロケーションを有する各デバイスの位置及びすべての拡張パラメータを含む条件を満たす、求められた点の集合のうちの点を選択する手段、並びに
選択された点から、位置特定されるデバイスのロケーションを求める手段、
を備えることを特徴とする、装置にも関する。
【0040】
したがって、位置特定されるデバイスのロケーションを求めることは、特に1回の観測結果しか利用可能でないときに、最先端のものよりも正確である。
【0041】
さらに、提案される発明は、観測結果数の増加によって向上する性能を有する。
【0042】
最先端のアルゴリズムは、解に収束する線形適応型フィルタリング技法に基づいている。最先端の技法は、たとえば、デバイスが高速に移動しているときといった、位置推定に利用可能な観測結果の個数が少ないとき、又は送信機が絶えず送信していない場合に、良好な性能を示さない。
【0043】
逆に、本発明は、最先端のアルゴリズムのような長い時間期間での観測結果を必要としない。
【0044】
さらに、マージンを使用して各群の位置を拡張することにより、本発明は、少なくとも1つの送信信号の到達時刻の起こり得る不正確な測定値の統計を考慮する。
【0045】
特定の一特徴によれば、マージンは、受信された送信信号のサンプリング時間期間又は帯域幅に依存する。
【0046】
したがって、本発明はより多くの量の情報を活用し、又は換言すれば、本発明は信号帯域幅が増加するにつれてより良好な地理的位置特定の推定値を提供する。
【0047】
一特定の特徴によれば、位置特定されるデバイスのロケーションは、選択された点の線形結合を計算することによって求められる。
【0048】
したがって、本発明は、すべての利用可能な観測結果を考慮してそれらを結合することができ、これによって、本発明は非常に柔軟なものとなり、所与の状況において最良の性能が提供される。
【0049】
一特定の特徴によれば、位置特定されるデバイスのロケーションは、選択された点の重心である。
【0050】
したがって、本発明は常に、単発の観測結果で、それら観測結果から少なくとも1つの点を確実に見つける。
【0051】
第1の実現形態の特定の一特徴によれば、既知の位置を有する複数のデバイスが信号を送信し、既知の位置を有する各デバイスは、既知の位置を有する他のデバイスによって送信された信号と異なる信号を送信する。
【0052】
第1の実現形態の特定の一特徴によれば、位置特定されるデバイスは移動端末であり、既知の位置を有するデバイスは無線セルラネットワークの基地局であり、各基地局は、他の基地局によってブロードキャストされた信号と異なる信号をブロードキャストする。
【0053】
したがって、位置特定されるデバイスは、多くの観測結果を潜在的に有する。実際に、移動端末は、たとえいくつかの基地局と通信していない場合であっても、いくつかの基地局の信号を受信して検出することができる。
【0054】
第1の実現形態の特定の一特徴によれば、求められた各パラメータは、送信信号の2つの到達時刻の差に比例する。
【0055】
したがって、ネットワークが同期されている場合には、いくつかの送信機のそれぞれによる信号の送信時刻を知る必要はない。
【0056】
第1の実現形態の特定の一特徴によれば、本方法は、移動端末又は無線セルラ電気通信ネットワークの1つの基地局若しくはロケーションサーバによって実行される。
【0057】
したがって、計算の複雑さは、ネットワークの任意のロケーションに託すことができ、たとえば、無線通信ネットワークのオペレータが計算することができる。
【0058】
第2の実現形態の特定の一特徴によれば、少なくとも1つの信号を送信する少なくとも1つのデバイスが、位置特定されるデバイスである。
【0059】
第2の実現形態の特定の一特徴によれば、得られた到達時刻は、既知のロケーションを有する一群のデバイスのうちの既知のロケーションを有する各デバイスによって受信されたブロードキャストされた信号の到達時刻である。
【0060】
第2の実現形態の特定の一特徴によれば、位置特定されるデバイスは移動端末であり、既知の位置を有するデバイスは無線セルラネットワークの基地局である。
【0061】
したがって、地理的位置特定に使用される信号は、無線セルラ電気通信ネットワーク用にすでに定義された信号である可能性があり、ネットワークに地理的位置特定システムを含めることのオーバーヘッドは、非常に小さい。
【0062】
第2の実現形態の特定の一特徴によれば、本方法は、無線セルラ電気通信ネットワークの1つの基地局又はロケーションサーバによって実行される。
【0063】
したがって、移動端末の複雑度は増加しない。
【0064】
さらに別の態様によれば、本発明は、プログラマブルデバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムがプログラマブルデバイスで実行されると、本発明による方法のステップを実施するための命令又はコード部分を含む、コンピュータプログラムに関する。
【0065】
コンピュータプログラムに関する特徴及び利点は、本発明による方法及び装置に関連して上述したものと同じであるので、ここでは繰り返さないことにする。
【0066】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになるであろう。該説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明が実施される無線セルラ電気通信ネットワークを表す。
【図2】到達時刻の異なる差から移動端末によって求められる実際の双曲線及び計算された双曲線を表す図である。
【図3】本発明が実施される移動端末のアーキテクチャを表す図である。
【図4】本発明が実施されるロケーションサーバのアーキテクチャを表す図である。
【図5】本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【図6】受信信号がダウンリンク信号であるときに実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【図7】受信信号がアップリンク信号であるときに実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【図8】本発明によるパラメータ、拡張パラメータ、点の集合に対応する双曲線の一部を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1は、本発明が実施される無線セルラ電気通信ネットワークを表している。
【0069】
本発明は、一例において開示される。この一例では、移動端末を位置特定しなければならず、既知の位置を有するデバイスは、無線セルラ電気通信ネットワークの基地局である。
【0070】
図1では、一群の3つの基地局BS1、BS2、及びBS3が示されている。これらの基地局BS1、BS2、及びBS3は、移動端末MTによって受信される信号を同時に送信する。送信信号は、ユニキャスト信号又はマルチキャスト信号又はブロードキャスト信号である。基地局BSiは、本発明に従って信号を送信するi番目の基地局である。その信号は、基地局BSiの地理的位置に関する情報を含むことができるか、又は移動端末MTによって受信された信号のうちで基地局BSiを一意に認識可能にする信号である。移動端末MTは、基地局BSの位置をアプリオリに知っている。たとえば、移動端末MTが無線セルラ電気通信ネットワークへ接続した後又は移動端末MTがこれらの基地局BSを含むエリアに入った時に、基地局BSの位置のリストを移動端末MTに与えることができる。
【0071】
信号の構造によっても、移動端末MTは、各基地局BSiによって送信された信号の到達時刻を求めることが可能になるか、又は移動端末MTによって受信された最初の信号と他の基地局BSによって送信された各信号との間の各到達時刻の差を求めることが可能になる。
【0072】
図1には、簡単にするために3つの基地局BSしか示されていないが、無線セルラ電気通信ネットワークはより重要な(important)個数の基地局BSを含む。
【0073】
図1には、簡単にするために1つの移動端末MTしか示されていないが、無線セルラ電気通信ネットワークは、より重要な個数の移動端末MTを含む。
【0074】
移動端末MTは、たとえば、移動電話又は個人情報端末又はパーソナルコンピュータとすることができる。
【0075】
基地局BSによって転送される信号は、好ましくは同期されている。すなわち、同時に転送される。
【0076】
一変形では、転送される信号は同期されず、各信号はその送信時刻を表す情報を含む。
【0077】
2次元ロケーションを求めることが行われる場合に、信号の送信時刻が移動端末MTによって知られているとき、一群の基地局BSは少なくとも2つの基地局BSを含む。
【0078】
3次元ロケーションを求めることが行われる場合に、信号の送信時刻が移動端末MTによって知られているとき、一群の基地局BSは少なくとも3つの基地局BSを含む。
【0079】
2次元ロケーションを求めることが行われる場合に、信号の送信時刻が移動端末MTによって知られていないとき、一群の基地局BSは少なくとも3つの基地局BSを含む。
【0080】
3次元ロケーションを求めることが行われる場合に、信号の送信時刻が移動端末MTによって知られていないとき、一群の基地局BSは少なくとも4つの基地局BSを含む。
【0081】
移動端末MTは、基地局BS1から距離d1、基地局BS2から距離d2、及び基地局BS3から距離d3に位置特定される。
【0082】
図1の例によれば、d1は、d1、d2、及びd3の中で最短距離である。基地局BS1によって送信された信号は、移動端末MTによって受信される信号の中で最初に受信される信号である。基地局BS1は、基準基地局BS1とみなされる。
【0083】
ロケーションサーバLSが、図1に開示されている。ロケーションサーバLSは、移動端末MTにより送信されて基地局BSにより受信された信号の到達時刻を使用して、且つ/又は、基地局BSにより送信されて移動端末MTにより受信された信号の到達時刻を使用して、無線セルラ電気通信ネットワークに含まれる任意の移動端末MTのロケーションを求めることを可能にすることができる。
【0084】
本発明によれば、位置特定される移動端末MTのようなデバイスのロケーションが求められる。そのために、既知のロケーションを有する一群のデバイスを含むネットワークが使用される。このネットワークは、たとえば、無線セルラ電気通信ネットワークとすることができ、既知のロケーションを有するデバイスは、基地局BSとすることができる。
移動端末MTのロケーションは、
上記少なくとも1つの送信信号の到達時刻を得ること、
上記到達時刻の少なくとも一部について、該到達時刻の一部の各到達時刻についてのパラメータを求めること、
求められた各パラメータについて、該求められたパラメータの不確実性を考慮するために、求められた各パラメータに対してマージンを適用することにより2つの拡張パラメータを求めること、
n個の異なるパラメータの拡張パラメータから成る各nタプルの拡張パラメータについて、既知のロケーションを有する少なくとも2つのデバイスの位置及び上記nタプルの拡張パラメータを考慮する関数から点の集合を求めること、
既知のロケーションを有する上記一群のデバイスのうちの既知のロケーションを有する各デバイスの上記位置及びすべての上記拡張パラメータを含む条件を満たす、上記求められた点の集合のうちの点を選択すること、及び
上記選択された点から、上記位置特定されるデバイスの上記ロケーションを求めること
によって求められる。
【0085】
一特定の特徴によれば、パラメータは、移動端末MTによって検出された信号、すなわち、該信号を送信した基地局BSを識別するのに十分な信号強度を有する信号の、到達時刻の集合から計算される。
【0086】
一特定の特徴によれば、求められた各パラメータは、送信信号の到達時刻に比例することができる。
【0087】
一特定の特徴によれば、パラメータは、到達時刻に光速を乗算したものである。
【0088】
一特定の特徴によれば、nタプルの拡張パラメータから点を求める関数が、入力として、パラメータ計算に関与する到達時刻に関連した基地局BSの位置点を取り込み、球面(spheres)の交点にある点を返す。これらの球面の中心は、パラメータ計算に関与する到達時刻に関連した基地局BSの位置であり、球面の半径が拡張パラメータである。
【0089】
一特定の特徴によれば、求められた点の集合から点を選択する条件は、以下のように規定される。すなわち、求められた点の集合の所与の点及び到達時刻に関連した任意の基地局BSについて、この基地局BSのロケーションを中心とし且つ上記点を含む球面の半径は、上記パラメータに関連したより大きな拡張パラメータよりも小さくなければならず、且つ、上記パラメータに関連したより小さな拡張パラメータよりも大きくなければならない。
【0090】
別の特定の特徴によれば、求められた各パラメータは、送信信号の2つの到達時刻の差に比例することができる。
【0091】
一特定の特徴によれば、パラメータは、基準基地局BSに関連した最小到達時刻を含まない到達時刻の集合から最小到達時刻を減算して、それに光速を乗算したものから計算される。
【0092】
一特定の特徴によれば、nタプルの拡張パラメータから点を求める関数が、入力として、パラメータ計算に関与する到達時刻に関連した基地局の位置点を取り込み、双曲線の交点にある点を返す。これらの双曲線のSMAは、基準基地局BSと、到達時刻がパラメータ計算に関与している信号を送信する基地局BSとによって規定される。
【0093】
一特定の特徴によれば、求められた点の集合から点を選択する条件は、以下のように規定される。すなわち、求められた点の集合の所与の点及び到達時刻に関連した任意の基地局BSについて、SMAが基準基地局BSの位置及び上記基地局BSの位置の関数であり且つ上記点を含む双曲線の焦点は、上記パラメータに関連したより大きな拡張パラメータよりも小さくなければならず、且つ、上記パラメータに関連したより小さな拡張パラメータよりも大きくなければならない。
【0094】
図3は、本発明が実施される移動端末のアーキテクチャを表す図である。
【0095】
移動端末MTは、たとえば、バス301によって互いに接続された構成要素と、図6に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ300とに基づくアーキテクチャを有する。
【0096】
バス301は、プロセッサ300を、読み出し専用メモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303、及び無線インターフェース305に連結する。
【0097】
メモリ303は、変数と、図6に開示するようなプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0098】
プロセッサ300は、無線インターフェース305の動作を制御する。
【0099】
読み出し専用メモリ302は、図6に開示するようなプログラムの命令を含む。これらの命令は、移動端末MTの電源がオンされる時にランダムアクセスメモリ303へ転送される。
【0100】
無線インターフェース305は、移動端末MTが、信号若しくはメッセージを基地局BSに転送し、且つ/又は信号若しくはメッセージを基地局BSから受信することを可能にする。
【0101】
無線インターフェース305は、基地局BSによって転送された信号の到達時刻の差を測定する手段を備える。
【0102】
図4は、本発明が実施されるロケーションサーバのアーキテクチャを表す図である。
【0103】
ロケーションサーバLSは、たとえば、バス401によって互いに接続された構成要素と、図7に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ400とに基づくアーキテクチャを有する。
【0104】
バス401は、プロセッサ400を、読み出し専用メモリROM402、ランダムアクセスメモリRAM403、及びネットワークインターフェース406に連結する。
【0105】
メモリ403は、変数と、図7に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0106】
プロセッサ400は、ネットワークインターフェース406の動作を制御する。
【0107】
読み出し専用メモリ402は、図7に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、ロケーションサーバLSの電源がオンされる時にランダムアクセスメモリ403へ転送される。
【0108】
ロケーションサーバLSは、ネットワークインターフェース406を通じて、図1に図示しない電気通信ネットワークに接続され得る。たとえば、ネットワークインターフェース406は、DSL(デジタル加入者線)モデム、又はISDN(サービス総合デジタル網)インターフェース等である。このようなインターフェースを通じて、ロケーションサーバLSは、少なくとも1つの基地局BSへメッセージを転送するか又は少なくとも1つの基地局BSからメッセージを受信することができる。
【0109】
図5は、本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【0110】
基地局BSは、たとえば、バス501によって互いに接続された構成要素と、図7に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ500とに基づくアーキテクチャを有する。
【0111】
バス501は、プロセッサ500を、読み出し専用メモリROM502、ランダムアクセスメモリRAM503、無線インターフェース505、及びネットワークインターフェース506に連結する。
【0112】
メモリ503は、変数と、図7に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0113】
プロセッサ500は、ネットワークインターフェース506の動作及び無線インターフェース505の動作を制御する。
【0114】
読み出し専用メモリ502は、図7に開示するようなアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、基地局BSの電源がオンされる時にランダムアクセスメモリ503へ転送される。
【0115】
基地局BSは、ネットワークインターフェース506を通じて電気通信ネットワークに接続され得る。たとえば、ネットワークインターフェース506は、DSL(デジタル加入者線)モデム、又はISDN(サービス総合デジタル網)インターフェース等である。このようなインターフェースを通じて、基地局BSは、ロケーションサーバLS又は他の基地局BSへメッセージを転送することもできるし、他の基地局BSからメッセージを受信することもできる。
【0116】
無線インターフェース505は、少なくとも1つの端末TEへ信号を転送するダウンリンク送信モジュールを備えることができ、少なくとも1つの端末TEによって送信された信号を受信するアップリンク受信モジュールを備えることができる。
【0117】
図6は、受信信号がダウンリンク信号であるときに実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0118】
移動端末MTのプロセッサ300によって実行される時の本アルゴリズムを説明する。本アルゴリズムは、ロケーションサーバLSのプロセッサ400又は少なくとも1つの基地局BSのプロセッサ500が部分的に実行することもできる。
【0119】
ダウンリンク信号は、少なくとも1つの基地局BSによって転送される信号である。
【0120】
ステップS600において、プロセッサ300は、無線インターフェース305がI個の送信信号を受信したことを検出する。
【0121】
i=1〜I個の送信信号のそれぞれは、本発明に従って基地局BSiにより転送された信号である。基地局BSによって転送された送信信号は、他の基地局BSによって転送された送信信号とは異なる。
【0122】
各送信信号の送信時刻は、移動端末MTによって知られているか又は知られていない。
【0123】
同じステップにおいて、各送信信号の各到達時刻tiが、RAMメモリ303に記憶される。
【0124】
次のステップS601において、プロセッサ300は、変数iの値を値2に設定する。
【0125】
各送信信号の送信時刻が移動端末MTによって知られていないとき、プロセッサ300はステップS602を実行する。そのステップにおいて、プロセッサ300は、基地局BSiによって転送された信号の到達時刻と、送信信号が移動端末MTにおいて最も早く受信される基地局BS1である基準基地局BS1によって転送された信号の到達時刻との間の差Δti=ti−t1を計算する。その後、プロセッサ300は、ステップS603に移動する。
【0126】
各送信信号の送信時刻が移動端末MTによって知られているとき、プロセッサ300はステップS603に移動する。
【0127】
次のステップS603において、プロセッサ300は、記憶された到達時刻の少なくとも一部についてパラメータを求める。
【0128】
各送信信号の送信時刻が移動端末MTによって知られているとき、プロセッサ300は、到達時刻のそれぞれについてパラメータを求める。このパラメータは、受信時刻tiに光速を乗算したものである。
【0129】
そのパラメータに対応するすべてのロケーションは、球面(又は2次元の場合には円周)上にある。
【0130】
各送信信号の送信時刻が移動端末MTによって知られていないとき、プロセッサ300は、I−1個の到達時刻についてパラメータを求める。1つの受信時刻は基準として使用される。パラメータは、差Δti=ti−t1に光速を乗算したものである。
【0131】
そのパラメータに対応するすべてのロケーションは、双曲面(又は2次元の場合には曲線)上にある。
【0132】
パラメータは、以下の公式:fi=c・(ti―t1)を使用して計算された差Δtiからの双曲面の定数である。
【0133】
次のステップS604において、プロセッサ300は、求められた各パラメータについて、その求められたパラメータの不確定性を考慮するために、求められた各パラメータに対して、αと記されるマージンを適用することによって、2つの拡張パラメータを求める。
【0134】
各送信信号の送信時刻が移動端末MTによって知られているとき、拡張パラメータに対応するすべてのロケーションは球面上にある。
【0135】
各送信信号の送信時刻が移動端末MTによって知られていないとき、拡張パラメータに対応するすべてのロケーションは双曲面上にある。
【0136】
マージンαは、たとえば所定の値である。
【0137】
第3世代パートナーシッププロジェクト/長期的発展型(3GPP−LTE)のような無線セルラ電気通信ネットワークでは、移動端末MTは、移動手順(mobility procedure)に役立つ測定を行うために、いくつかの基地局BSと同期している。
【0138】
3GPP−LTE標準規格では、移動端末MTは、同期プロセスの後、基地局BSのアイデンティティを知ることができる。
【0139】
通例、同期メカニズムはかなりロバストであり、信号の基準時刻は一様な雑音によってモデル化される不確実性を有することが知られている。
【0140】
最良の場合には、不確実性の範囲は[−Te/2;Te/2]である。ここで、Teは、受信信号のサンプリング時間期間であるか又は信号帯域幅に反比例する。
【0141】
その場合、マージンαは、Te/2に等しくすることができる。
【0142】
以下では、基地局BS1から受信された信号の基準時刻に関する一様に分布した雑音の場合に焦点を当てることにする。すなわち、双曲線のSMAは、加法的白色一様雑音を受けるものと仮定する。
【0143】
焦点の観測結果ベクトルeに影響を与える雑音の確率密度関数(density probability function)が知られているものと仮定することにし、この分布をpn(x)で表すことにする。
【0144】
位置Pに関するアプリオリが利用可能でない場合、尤度p(e|Pml)を最大にする点Pmlの最適な推定は、
【0145】
【数4】

【0146】
に等しい。
【0147】
ここで、
【0148】
【数5】

【0149】
である。
【0150】
ここで、−αとαとの間で一様に分布した雑音を考える場合、尤度p(e|Pml)は、
【0151】
【数6】

【0152】
として書き直される。ここで、rectは、−αとαとの間(両端を含む)では矩形関数rect=1/(2α)であり、それ以外の場合にはヌル関数である。
【0153】
これは、p(e|P)がヌルでないような地理的ゾーン内に位置するどの点も良好な候補であることを意味する。
【0154】
これは、選択された点が、
【0155】
【数7】

【0156】
となるか、又は、
【0157】
【数8】

【0158】
となるようなゾーンの交わりに属することを暗に意味する。
【0159】
Pは、後に開示する図8に示すように、任意のiについて、双曲線H(Pi,ei+α)とH(Pi,ei−α)との間に含まれる地理的ゾーンに属する。
【0160】
次のステップS605において、プロセッサ300は、変数iがIに等しいか否かをチェックする。
【0161】
変数iがIに等しい場合、プロセッサ300は、ステップS607に移動する。そうでない場合、プロセッサ300は、ステップS606に移動し、変数iを1だけインクリメントし、ステップS602〜S605によって構成されるループを実行するためにステップS602に戻る。
【0162】
ステップS607において、プロセッサ300は、n個の異なるパラメータの拡張パラメータから成るすべての可能なnタプルの拡張パラメータについて、少なくとも2つの基地局の位置及びnタプルの拡張パラメータを考慮する関数から点の集合を求める。
【0163】
信号の送信時刻が移動端末MTによって知られているとき、2次元の位置特定が行われる場合には、n=2である。2タプルの拡張パラメータから点を求める関数は、入力として、到達時刻がパラメータ計算に関与している信号を転送した基地局BSの位置点を取り込む。関数は円周の交点にある点を返し、これらの円周の中心は、到達時刻がパラメータ計算に関与している信号を転送した基地局BSの位置であり、その半径が拡張パラメータである。
【0164】
この関数は、求められた点の集合に含まれる0個、1個、又は2個の点を返す。換言すれば、基地局BSの位置Pi及びPjに関連した2タプルの拡張パラメータfi及びfjについて、この関数は、
【0165】
【数9】

【0166】
を満たす点Pを返す。
【0167】
信号の送信時刻が移動端末MTによって知られているとき、3次元の位置特定が行われる場合には、n=3である。3タプルの拡張パラメータから点を求める関数は、入力として、到達時刻がパラメータ計算に関与している信号を転送した基地局BSの位置点を取り込み、球面の交点にある点を返す。これらの球面の中心は、到達時刻がパラメータ計算に関与している信号を転送した基地局BSの位置であり、その半径が拡張パラメータである。
【0168】
この関数は、求められた点の集合に含まれる0個、1個、又は2個の点を返す。換言すれば、基地局BSの位置Pi、Pj及びPkに関連した3タプルの拡張パラメータfi、fj及びfkについて、この関数は、
【0169】
【数10】

【0170】
を満たす点Pを返す。
【0171】
信号の送信時刻が移動端末MTによって知られていないとき、2次元の位置特定が行われる場合には、n=3である。3タプルの拡張パラメータから点を求める関数は、入力として、到達時刻がパラメータ計算に関与している信号を転送した基地局BSの位置点を取り込み、双曲線の交点にある点を返す。これらの双曲線のSMAは、基準基地局BS、及び到達時刻がパラメータ計算に関与している信号を転送した基地局BSによって規定され、その焦点が拡張パラメータである。この関数は、求められた点の集合に含まれる0個、1個、又は2個の点を返す。換言すれば、基地局BSの位置P1、Pi及びPjに関連した3タプルの拡張パラメータf1、fi及びfjについて、この関数は、
【0172】
【数11】

【0173】
を満たす点Pを返す。
【0174】
信号の送信時刻が移動端末MTによって知られていないとき、3次元の位置特定が行われる場合には、n=4である。4タプルの拡張パラメータから点を求める関数は、入力として、到達時刻がパラメータ計算に関与している信号を転送した基地局BSの位置点を取り込み、双曲線の交点にある点を返す。これらの双曲線のSMAは、基準基地局、及び到達時刻がパラメータ計算に関与している信号を転送した基地局BSによって規定され、その焦点が拡張パラメータである。この関数は、求められた点の集合に含まれる0個、1個、又は2個の点を返す。換言すれば、BSの位置P1、Pi、Pj、Pkに関連した4タプルの拡張パラメータf1、fi、fj、kについて、この関数は、
【0175】
【数12】

【0176】
を満たす点Pを返す。
【0177】
双曲線の交点を求めるための関数は、たとえば、VLSI Design, 2002 Vol 15(2) pp 507-520に掲載されたRalph Bucher及びD. Misraの「A synthesizable VHDL Model of the Exact Solution for Three-dimentional Hyperbolic Positioning System」というタイトルの論文に開示されたものである。
【0178】
図8を参照すると、図8は、本発明によるパラメータ、拡張パラメータ、点の集合に対応する双曲線の一部を表す図である。
【0179】
図8では、双曲線H(Pi,ei+α)はHyi+と記され、双曲線H(Pi,ei−α)はHyi−と記されている。
【0180】
Hy2と記された双曲線は、パラメータΔt2に対応する曲線である。
【0181】
Hy2−と記された曲線は、Δt2のパラメータのΔt2−αの拡張パラメータに対応する曲線である。
【0182】
Hy2+と記された曲線は、Δt2のパラメータのΔt2+αの拡張パラメータに対応する曲線である。
【0183】
Hy3と記された双曲線は、パラメータΔt3に対応する曲線である。
【0184】
Hy3−と記された曲線は、Δt3のパラメータのΔt3−αの拡張パラメータに対応する曲線である。
【0185】
Hy3+と記された曲線は、Δt3のパラメータのΔt3+αの拡張パラメータに対応する曲線である。
【0186】
Hy4と記された双曲線は、パラメータΔt4に対応する曲線である。
【0187】
Hy4−と記された曲線は、Δt4のパラメータのΔt4−αの拡張パラメータに対応する曲線である。
【0188】
Hy4+と記された曲線は、Δt4のパラメータのΔt4+αの拡張パラメータに対応する曲線である。
【0189】
n個の異なるパラメータの拡張パラメータから成る各nタプルの拡張パラメータについて、少なくとも2つの基地局の位置及びnタプルの拡張パラメータを考慮する関数から点の集合を求めることは、nタプルによって得られる双曲線の交点を求めることと等価である。
【0190】
点A241は、双曲線Hy2+及びHy4+の交点である。点A242は、双曲線Hy2+及びHy4−の交点である。点A231は、双曲線Hy2+及びHy3−の交点である。点A232は、双曲線Hy2+及びHy3+の交点である。点A233は、双曲線Hy2−及びHy3−の交点である。点A243は、双曲線Hy2−及びHy4+の交点である。点A234は、双曲線Hy2−及びHy3+の交点である。点A244は、双曲線Hy2−及びHy4−の交点である。点A343は、双曲線Hy3−及びHy4+の交点である。点A341は、双曲線Hy3−及びHy4−の交点である。点A344は、双曲線Hy3+及びHy4+の交点である。点A342は、双曲線Hy3+及びHy4−の交点である。
【0191】
この例では、一対の双曲線の交点として1つの点しか見つけられていないが、既に述べたように、求められる点を計算する関数の出力における点の個数は0個、1個、又は2個である。
【0192】
図8では、12個の点のそれぞれは、双曲線対(Hy2+,Hy3+)、(Hy2+,Hy3−)、(Hy2+,Hy4+)、(Hy2+,Hy4−)、(Hy2−,Hy3+)、(Hy2−,Hy3−)、(Hy2−,Hy4+)、(Hy2−,Hy4−)、(Hy3+,Hy4+)、(Hy3+,Hy4−)、(Hy3−,Hy4+)、及び(Hy3−,Hy4−)の交点の12個の計算に対して適用される関数の単一の出力である。
【0193】
次のステップS608において、プロセッサ300は、一群の基地局の各基地局の位置及びすべての拡張パラメータを含む条件を満たす、求められた点の集合のうちの点を選択する。
【0194】
一群の基地局の各基地局の位置及びすべての拡張パラメータを含む条件を満たす、求められた点の集合のうちの点の選択は、求められた交点の選択に対応する。
【0195】
図8の例によれば、プロセッサ300は、交点A343、A231、A242、A342、A234、及びA243を選択する。
【0196】
交点A241は双曲線Hy3の拡張ゾーンに属しないので、プロセッサ300は交点A241を選択しない。交点A233は双曲線Hy4の拡張ゾーンに属しないので、プロセッサ300は交点A233を選択しない。交点A344は双曲線Hy2の拡張ゾーンに属しないので、プロセッサ300は交点A344を選択しない。交点A341は双曲線Hy2の拡張ゾーンに属しないので、プロセッサ300は交点A341を選択しない。交点A233は双曲線Hy4の拡張ゾーンに属しないので、プロセッサ300は交点A233を選択しない。交点A232は双曲線Hy4の拡張ゾーンに属しないので、プロセッサ300は交点A232を選択しない。交点A244は双曲線Hy3の拡張ゾーンに属しないので、プロセッサ300は交点A244を選択しない。
【0197】
信号の送信時刻が移動端末MTによって知られているとき、交点Aが以下の規則:
【0198】
【数13】

【0199】
に従う場合に、交点は選択される。
【0200】
信号の送信時刻が移動端末MTによって知られていないとき、交点Aが次の規則:
【0201】
【数14】

【0202】
に従う場合に、交点は選択される。
【0203】
次のステップS609において、プロセッサ300は、移動端末MTのロケーションを表す情報を求める。
【0204】
移動端末MTのロケーションを表す情報は、たとえば、図8の破線エリア(the dashed area)である。
【0205】
移動端末MTのロケーションを表す情報は、たとえば、選択された交点Biの線形結合:
【0206】
【数15】

【0207】
を計算することによって求められる。
【0208】
たとえば、βi=1を選ぶことができる。これは、Cが、選択された交点の重心であることを意味する。
【0209】
本アルゴリズムが、プロセッサ400又はプロセッサ500によって部分的に実行されるとき、ステップS600は、プロセッサ300によって実行され、各tiは、基地局BSi又はロケーションサーバLSへ転送される。
【0210】
ステップS601〜S609は、プロセッサ400又はプロセッサ500によって実行され、ロケーションを表す情報は移動端末MTに転送され得る。
【0211】
図7は、受信信号がアップリンク信号であるときに実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0212】
ロケーションサーバLSのプロセッサ400によって実行されるときの本アルゴリズムを説明する。また、本アルゴリズムは、少なくとも1つの基地局BSのプロセッサ500が部分的に実行することもできる。
【0213】
ステップS700において、プロセッサ400は、移動端末MTによって転送された信号のI個の到達時刻tiを得る。到達時刻tiは、基地局BSiによって受信された信号の到達時刻である。各時刻tiは、基地局BSiによってそのそれぞれのネットワークインターフェース506を通じて転送される。
【0214】
送信信号の送信時刻は、プロセッサ400によって知られているか又は知られていない。
【0215】
同じステップにおいて、送信信号の各到達時刻tiが、RAMメモリ403に記憶される。
【0216】
次のステップS701において、プロセッサ400は、変数iの値を値2に設定する。
【0217】
各送信信号の送信時刻がプロセッサ400によって知られていないとき、プロセッサ400はステップS702を実行する。そのステップにおいて、プロセッサ400は、基地局BSiによって受信された信号の到達時刻と、移動端末MTによって送信された信号を最も早く受信した基地局BSである基地局BS1によって受信された信号の到達時刻との間の差Δti=ti−t1を計算する。
【0218】
その後、プロセッサ400はステップS703に移動する。
【0219】
送信信号の送信時刻がプロセッサ400によって知られているとき、プロセッサ400はステップS703に移動する。
【0220】
次のステップS703において、プロセッサ400は、記憶された到達時刻のうちの少なくとも一部のパラメータを求める。
【0221】
送信信号の送信時刻がプロセッサ400によって知られているとき、プロセッサ400は到達時刻のそれぞれのパラメータを求める。このパラメータは、到達時刻tiに光速を乗算したものである。
【0222】
そのパラメータに対応するすべてのロケーションは球面上にある。
【0223】
送信信号の送信時刻がプロセッサ400によって知られていないとき、プロセッサ400は、I−1個の到達時刻のパラメータを求める。1つの受信時刻は基準として使用される。パラメータは、差Δti=ti−t1に光速を乗算したものである。
【0224】
そのパラメータに対応するすべてのロケーションは、双曲面上にある。
【0225】
パラメータは、以下の公式:fi=c・(ti―t1)を使用して計算された差Δtiからの双曲面の定数である。
【0226】
次のステップS704において、プロセッサ400は、求められたパラメータの或る不確定性を考慮するために、求められた各パラメータに対してαと記されるマージンを適用することによって、求められた各パラメータについて2つの拡張パラメータを求める。
【0227】
送信信号の送信時刻がプロセッサ400によって知られているとき、拡張パラメータに対応するすべてのロケーションは球面上にある。
【0228】
送信信号の送信時刻がプロセッサ400によって知られていないとき、拡張パラメータに対応するすべてのロケーションは双曲面上にある。
【0229】
マージンαは、図6のステップS604において開示したものである。
【0230】
次のステップS705において、プロセッサ400は変数iがIに等しいか否かをチェックする。
【0231】
変数iがIに等しい場合、プロセッサ400はステップS707に移動する。変数iがIに等しくない場合、プロセッサ400は、ステップS706に移動し、変数iを1だけインクリメントし、ステップS702〜S705によって構成されるループを実行するためにステップS702に戻る。
【0232】
ステップS707において、プロセッサ400は、図6のステップS607において開示したように、n個の異なるパラメータの拡張パラメータから成る各nタプルの拡張パラメータについて、少なくとも2つの基地局の位置及びnタプルの拡張パラメータを考慮する関数から点の集合を求める。
【0233】
次のステップS708において、プロセッサ400は、図6のステップS608において開示したように、一群の基地局BSの各基地局の位置及びすべての拡張パラメータを含む条件を満たす、求められた点の集合のうちの点を選択する。
【0234】
次のステップS709において、プロセッサ400は、図6のステップS609において開示したように、移動端末MTのロケーションを表す情報を求める。
【0235】
次のステップS710において、プロセッサ400は、移動端末MTのロケーションを表す情報の移動端末MTへの転送を命令する。
【0236】
当然、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知のロケーションを有する一群のデバイスを含むネットワークにおいて位置特定されるデバイスのロケーションを求めるための方法であって、少なくとも1つの信号が少なくとも1つのデバイスによって送信され、
該方法は、
前記少なくとも1つの送信信号の到達時刻を得るステップ、
前記到達時刻の少なくとも一部について、該到達時刻の一部の各到達時刻についてのパラメータを求めるステップ、
求められた各前記パラメータについて、該求められたパラメータの不確実性を考慮するために、求められた各該パラメータに対してマージンを適用することにより2つの拡張パラメータを求めるステップ、
n個の異なるパラメータの拡張パラメータから成る各nタプルの拡張パラメータについて、既知のロケーションを有する少なくとも2つのデバイスの位置及び前記nタプルの拡張パラメータを考慮する関数から点の集合を求めるステップ、
既知のロケーションを有する前記一群のデバイスのうちの既知のロケーションを有する各デバイスの前記位置及びすべての前記拡張パラメータを含む条件を満たす、前記求められた点の集合のうちの点を選択するステップ、並びに
前記選択された点から、前記位置特定されるデバイスの前記ロケーションを求めるステップ、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記マージンは、前記受信された送信信号のサンプリング時間期間又は帯域幅に依存することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記位置特定されるデバイスの前記ロケーションは、前記選択された点の線形結合を計算することによって求められることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記位置特定されるデバイスの前記ロケーションは、前記選択された点の重心であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
既知の位置を有する複数のデバイスが信号を送信し、既知の位置を有する各デバイスは、既知の位置を有する他のデバイスによって送信された信号と異なる信号を送信することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記位置特定されるデバイスは移動端末であり、既知の位置を有する前記デバイスは無線セルラネットワークの基地局であること、及び、各前記基地局は、他の基地局によってブロードキャストされた信号と異なる信号をブロードキャストすることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
求められた各前記パラメータは、送信信号の2つの到達時刻の差に比例することを特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記移動端末又は前記無線セルラ電気通信ネットワークの1つの基地局若しくはロケーションサーバによって実行されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの信号を送信する前記少なくとも1つのデバイスは、前記位置特定されるデバイスであり、1つの信号を送信する前記移動端末であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記得られた到達時刻は、既知のロケーションを有する前記一群のデバイスのうちの既知のロケーションを有する各デバイスによって受信された前記ブロードキャストされた信号の到達時刻であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記位置特定されるデバイスは移動端末であり、既知の位置を有する前記デバイスは無線セルラネットワークの基地局であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記無線セルラ電気通信ネットワークの1つの基地局又はロケーションサーバによって実行されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
既知のロケーションを有する一群のデバイスを含むネットワークにおいて位置特定されるデバイスのロケーションを求めるための装置であって、少なくとも1つの信号が少なくとも1つのデバイスによって送信され、
該装置は、
前記少なくとも1つの送信信号の到達時刻を得る手段、
前記到達時刻の少なくとも一部について、該到達時刻の一部の各到達時刻についてのパラメータを求める手段、
求められた各前記パラメータについて、該求められたパラメータの不確実性を考慮するために、求められた各該パラメータに対してマージンを適用することにより2つの拡張パラメータを求める手段、
n個の異なるパラメータの拡張パラメータから成る各nタプルの拡張パラメータについて、既知のロケーションを有する少なくとも2つのデバイスの位置及び前記nタプルの拡張パラメータを考慮する関数から点の集合を求める手段、
既知のロケーションを有する前記一群のデバイスのうちの既知のロケーションを有する各デバイスの前記位置及びすべての前記拡張パラメータを含む条件を満たす、前記求められた点の集合のうちの点を選択する手段、
前記選択された点から、前記位置特定されるデバイスの前記ロケーションを求める手段、並びに
前記選択された点から、前記移動端末の前記ロケーションを求める手段、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項14】
前記デバイスは、前記移動端末又は前記無線セルラ電気通信ネットワークの基地局又は前記無線セルラ電気通信ネットワークのロケーションサーバに含まれることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
プログラマブルデバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムがプログラマブルデバイスで実行されると、請求項1〜10に記載の方法のステップを実施するための命令又はコード部分を含む、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−57171(P2010−57171A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−181987(P2009−181987)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】