説明

ネットワークプリンタ

【課題】インターネット上のアクセスするべきURLをユーザがキーボードなどで打ち込むことなく可搬性のあるメモリから読み出し、その情報に基づいてアクセスすることで目的の画像を印刷すること及び、記録媒体に格納されているアクセス先情報などを一旦プリンタ内に格納して保持し、いつでもプリンタを操作して目的の画像を印刷することが可能なネットワークプリンタを提供することを目的とする。
【解決手段】プリンタ2は、メモリカード5に保存されているアクセス先情報を読み込み、RAM103に転送して保存させる。印刷する場合は、RAM103に保存されているアクセス先情報に基づきネットワークにアクセスし、目的の画像データをダウンロードする。ダウンロードしたデータを画像メモリ127に転送し、記憶させる。画像メモリ127に記憶されたデータは、表示部108に表示し、印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)プロトコルに基づいたネットワークに直接接続され、ネットワーク上にある画像ファイルにアクセスしそれを印刷するネットワークプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上に画像をアップロードして自由に閲覧できるアルバムサービスが提供されている。アップロードされた画像をユーザがPC(Personal Computer)を起動しブラウザーを立ち上げ、URL(Uniform Resource Location)をブラウザーに打ち込み、さらにID(IDentification)を打ち込み閲覧する。閲覧した中で気に入った画像があれば、それをダウンロードしてプリンタの電源を入れ、画像ビューワでダウンロードした画像のファイルを開き印刷ボタンを押し、印刷設定を行い印字されるのを待つ。しかし、この一連の操作は高齢者などのコンピュータに不慣れなユーザにとっては負担が大きく、困難である場合が多い。
【0003】
まず、インターネット環境は、各プロバイダが申し込み時に設定サービスを行っているので、そのサービスを利用すれば、簡単に構築することが可能である。しかし、インターネット上のどの場所(URL)に目的の写真等があるのか、あるいはどのようにパソコンやプリンタを操作及び設定すればその目的の写真の場所までたどり着けるのか、といった点に関しては、プロバイダ側で設定するべきものではなく、基本的にユーザが操作及び設定しなくてはならない。
【0004】
また、メールで写真等を送る方法も考えられるが、メールソフトを立ち上げ、添付された写真を保存し、画像ビューワを立ち上げて印刷をするという一連の操作が必要となる。この操作も上記操作及び設定と同様に、高齢者などのコンピュータに不慣れなユーザにとっては負担が大きく、困難である場合が多い。
【0005】
そこで、操作を容易にするために、PCを使用せずに単体でインターネットにアクセスし、インターネット上のサイトから印刷データをダウンロードし、印刷することのできるプリンタについての技術が提案されている(例えば特許文献1、2、3)。
【0006】
また、特許文献4では、IC(Integrated Circuit)カードに記憶されたネットワークアドレスにアクセスして印刷データを読み取ることにより、どこからでも容易な操作で目的の画像データを印刷することのできるプリンタについての技術が提案されている。
【特許文献1】特開2007−276340号公報
【特許文献2】特開2006−69224号公報
【特許文献3】特開平10−16354号公報
【特許文献4】特開2002−91856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1から3に記載のプリンタでは、インターネット上のどの場所(URL)に目的の画像があるのかをユーザが指示しなくてはならず、高齢者などのユーザには未だ操作が困難であるという問題があった。また、特許文献4記載のプリンタは、ICカードを常時プリンタに挿入しておかなくてはならず、ICカードの利便性に欠けるという問題があった。
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、URL等の情報を記録したSD(Secure Digital)メモリカード等の可搬性のあるメモリを読み書きできるインターフェース(I/F)を備え、インターネット上のアクセスするべきURLはユーザがキーボードなどで打ち込むことなくその可搬性のあるメモリから読み出し、その情報に基づいてアクセスすることで目的の画像を印刷すること、及び記録媒体に格納されているネットワークアドレスなどの情報を一旦プリンタ内に格納して保持し、いつでもプリンタを操作して目的の画像を印刷することが可能なネットワークプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、記録媒体に記録された情報を読出す記録媒体情報読出し手段と、記録媒体が紙である場合には、一体型に備えるスキャナ部により紙をスキャンして情報を読出す紙情報読出し手段と、記録媒体読出し手段により読出されたアクセス先情報と紙情報読出し手段により読出された情報をプリンタ内部に保持する情報保持手段と、所定の通信プロトコルにしたがってネットワーク通信を行うネットワーク通信手段と、パソコン端末に接続するインターフェースを備え、パソコン端末からの印刷命令を受け付けるパソコン印刷手段と、データを表示部に表示するデータ表示手段と、を備えるネットワークプリンタであって、情報保持手段により保持された情報を基にネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードしたデータを表示するダウンロードデータ表示手段と、情報保持手段により保持された情報を基にネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードしたデータを印刷するダウンロードデータ印刷手段と、情報保持手段により保持された情報を基にネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードしたデータを保存するダウンロードデータ保存手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のネットワークプリンタであって、印刷したデータの情報を保存する印刷データ保存手段と、ダウンロードデータ表示手段により表示部に表示されたデータの情報を保存する表示データ保存手段と、ダウンロードデータ表示手段により表示部に表示されたデータを印刷するか否かをユーザに選択させる表示データ印刷選択手段と、ダウンロードデータ表示手段により表示部に表示されたデータが目的のデータでない場合に、データを変更するために次のデータを要求するコマンドを接続先に送信する要求コマンド送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のネットワークプリンタであって、ダウンロードしたデータを縮小処理した後にプリンタ内部に保存するデータ縮小処理手段と、ダウンロードしたデータをデータ圧縮した後にプリンタ内部に保存するデータ圧縮手段と、ダウンロードしたデータを縮小処理とデータ圧縮した後にプリンタ内部に保存するデータ縮小圧縮手段と、ダウンロードしたデータのサイズが、ネットワークプリンタの使用できる最大の紙以上のサイズの場合には、使用できる最大の紙のサイズに縮小処理して保存するサイズ縮小手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のネットワークプリンタであって、記録媒体が挿入されたことを検知してアクセス先情報を読み出した場合に、情報保持手段によりプリンタ内部に保持されているアクセス先情報に上書きを行うアクセス先情報上書き手段と、記録媒体が挿入されたことを検知してアクセス先情報を読み出した場合に、情報保持手段によりプリンタ内部に保持されているアクセス先情報に上書きするか否かをユーザに選択させるアクセス先情報上書き選択手段と、記録媒体が挿入されたことを検知してアクセス先情報を読み出した場合に、情報保持手段によりプリンタ内部に保持されているアクセス先情報に追加するアクセス先情報追加手段と、記録媒体が挿入されたことを検知してアクセス先情報を読み出した場合に、情報保持手段によりプリンタ内部に保持されているアクセス先情報に追加するか否かをユーザに選択させるアクセス先情報追加選択手段と、を備えるネットワークプリンタであって、記録媒体に画像データが保存されていた場合には、保存されている画像データを印刷するか、記録媒体内部に保持されているアクセス先情報に基づいてネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードしたデータを印刷するかをユーザに選択させる印刷メモリ選択手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1又は3記載のネットワークプリンタであって、情報保持手段により保持された情報を基にネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードしたデータを複数保存する複数ダウンロードデータ保存手段と、複数ダウンロードデータ保存手段により保存された複数のデータを選択する複数ダウンロードデータ選択手段と、複数ダウンロードデータ保存手段により保存された複数のデータを表示部に表示する複数ダウンロードデータ表示手段と、複数ダウンロードデータ保存手段により保存された複数のデータを個別に印刷する個別印刷手段と、情報保持手段により保持された情報を基にネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードしたデータをサムネイル化し、複数のダウンロードデータを一枚の紙上に表示するサムネイル出力手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、URLなどをユーザが指示することなく、可搬性のあるメモリから読み出してアクセスすることで目的の画像を印刷するため、インターネット上にアップロードされた画像を容易に印刷することが可能となる。また、記録媒体に格納されたネットワークアドレスなどの情報を一旦プリンタ内に格納するため、記録媒体をネットワークプリンタから抜き去ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ2のブロック図である。図示するように、プリンタ2はCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read-Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、RMAバックアップ装置104、操作パネル105、ネットワークコントローラ106、ネットワーク・インターフェース(ネットワークI/F)107、表示部108、USB(Universal Serial Bus)デバイスコントローラ120、USBデバイスコネクタ121、USBホストコントローラ122、USBホストコネクタ123、メモリカードコントローラ124、メモリカードリーダ125、スキャナ部126、画像メモリ127、画像メモリバックアップ装置128、プリンタエンジン通信部129、画像縮小部130、プリンタエンジン131を備える。
【0016】
また、プリンタ2はイントラネット、インターネットなどのネットワークにはネットワークI/F107を通じて接続され、その先には各種サーバ1が接続される。サーバ1には画像が保持されておりネットワークを通じてアクセス可能である。PC4にはUSBデバイスコネクタ121を通じて接続され、USBメモリ3にはUSBホストコネクタ123を通じて接続される。メモリカード5には、メモリカードリーダ125を通じて接続される。
【0017】
CPU101は、各装置の制御を行う集中演算装置である。ROM102は、CPU101が実行するソフトが記憶されているメモリである。フラッシュロム、EP(Erasable and Programmable)ロムなどが一般に使用されている。RAM103は、CPU101の作業領域として使用されるメモリであり、プリンタ2の電源がOFFとなった場合でも保持できるようバックアップ装置104にてバックアップされている。もちろん、不揮発性のメモリを使用しても問題は無い。
【0018】
操作パネル105は、ユーザが操作するためのパネルである。ネットワークコントローラ106、ネットワークI/F107はネットワークに接続し、ネットワークに接続するサーバ1とデータの送受信を行う。もちろん、これらは有線にこだわらず、無線LAN(Local Area Network)等でもかまわない。表示部108は操作パネル105からの入力を助けるための情報や、ダウンロードした画像を表示するためのものである。
【0019】
USBデバイスコントローラ120、USBデバイスコネクタ121はこのプリンタ2を通常のプリンタとして使用する場合に必要であり、PC4と接続され、PC4からの主に印刷データを受信する。USBホストコントローラ122、USBホストコネクタ123はUSBメモリ3などのUSBデバイスと接続される。
【0020】
メモリカードコントローラ124とメモリカードリーダ125は、メモリカード5と接続される。スキャナ部126は紙などに印刷されたものを読取ることができる。画像メモリ127は、PC4、USBメモリ3、メモリカード5、またはネットワークからダウンロードされた画像データを保存する。また、この画像メモリ127は画像メモリバックアップ装置128によってバックアップされ、プリンタ2の電源がOFFとなった場合でも内容は保持される。画像縮小部130は画像メモリ127に一旦蓄積(バッファリング)された画像データを読み出し、縮小処理をする。印刷を行うプリンタエンジン131はプリンタエンジン通信部129を介し接続される。プリンタエンジン131には電子写真方式、インクジェット方式、ジェルジェット方式等が存在する。
【0021】
(実施形態1)
図2は、メモリカード5に記録された情報からインターネットにアクセスし、画像を印刷する処理の流れを示したフローチャートである。本実施形態では、メモリカード5に記録された情報からインターネットにアクセスし、画像を処理する流れの一例について図2に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0022】
メモリカード5がメモリカードリーダ125に挿入されているか否かを、CPU101により判定する(ステップS201)。メモリカード5が挿入されている場合(ステップS201/YES)、CPU101はメモリカード5内に保存されているアクセス先情報、例えばURL・認証コードを読み込み、RMAバックアップ装置104にてバックアップされているRAM103に転送し、保存する(ステップS202)。アクセス先を読み込ませた後に、ユーザから操作パネル105にて印刷の要求がある場合(ステップS203/YES)は、ネットワークプリンタ2はRAM103に保存されているアクセス先情報、たとえばURLと認証コードに基づきネットワークにアクセスする(ステップS204)。
【0023】
次に、目的のデータファイルをダウンロードして画像メモリ127に転送し、記憶させる(ステップS205)。一旦、画像メモリ127に蓄積されたデータは、表示部108に表示され(ステップS206)、かつ、プリンタエンジン通信部129を介してプリンタエンジン131に送信され印刷・排出される(ステップS207)。この際に、操作パネル105に、印刷要求を指示する専用ボタンを設ければ、ユーザはメモリカード5をプリンタ2に挿入して操作パネル105上の専用ボタンをワンタッチするだけで目的の画像データを印刷することが可能となる。
【0024】
また、上記メモリカード5はSDメモリカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリスティック等各種存在する。メモリカードではなくデータを保存できるUSBデバイス3、例えばUSBメモリにアクセス先情報が記憶されている場合にも同様にアクセス先情報がRAM103に転送される。
【0025】
さらに、一旦、メモリカード5内のアクセス先情報が読み込まれRAM103に書き込まれれば、その後、そのメモリカード5は常に挿入されている必要は無く、抜き去ることができるので、他の用途で使用することが可能となる。また、RAMバックアップ装置104にてバックアップされているので、装置の電源をOFFにすることも可能である。つまり一度アクセス先情報を読み込ませれば、常にそのアクセス先にアクセスすることが可能となる。
【0026】
また、画像メモリ127には複数のデータを保存することが可能であり、保存した複数のデータから目的の画像を選択・表示すること、及び必要に応じて個別に印刷することが可能である。
【0027】
本実施形態により、アクセス先の情報をRAM103などの内部メモリに取り込むため、一度接続した記録媒体から情報を内部メモリに保持することにより、何度も記録媒体を接続させる必要がなくなる。そのため、破損・汚濁・紛失しやすい記録媒体であっても何度も使用することなく、一度読み込めばネットワークにいつでも接続することが可能となる。また、ダウンロードしたデータを記憶することにより、ネットワークにアクセス終了後であっても、プリンタ2上でそのデータを閲覧、印刷することが可能となる。
【0028】
(実施形態2)
図3は、ダウンロードしたデータファイルが過去に印刷されたデータファイルでない場合の処理の流れを示したフローチャートである。本実施形態では、過去に印刷されたことのないデータファイルをダウンロードした場合の処理の一例について、図3に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0029】
メモリカード5がメモリカードリーダ125に挿入されているか否かを、CPU101により判定する(ステップS301)。メモリカード5が挿入されている場合(ステップS301/YES)、CPU101はメモリカード5内に保存されているアクセス先情報、例えばURL・認証コードを読み込み、RMAバックアップ装置104にてバックアップされているRAM103に転送し、保存する(ステップS302)。アクセス先を読み込ませた後に、ユーザから操作パネル105にて印刷の要求がある場合(ステップS303/YES)は、ネットワークプリンタ2はRAM103に保存されているアクセス先情報、たとえばURLと認証コードに基づきネットワークにアクセスする(ステップS304)。
【0030】
次に、目的のデータファイルをダウンロードし、さらに画像メモリ127に転送し、記憶させる(ステップS305)。上記ステップS305でダウンロードしたデータファイルが過去に印刷したことがないか否かを、RAM103に記録されたデータファイルのファイル名を基にCPU101が判断する(ステップS306)。過去に印刷したことがある場合(ステップS306/NO)は、印刷を行わずに処理を終了する。過去に印刷したことがない場合(ステップS306/YES)には、画像表示部108にデータを表示し(ステップS307)、プリンタエンジン通信部129を介してプリンタエンジン131にデータを送信し、印刷を行う(ステップS308)。
【0031】
最後に、RAM103に印刷したデータファイルのファイル名を記憶する(ステップS309)。
【0032】
本実施形態により、一度印刷したデータの情報をプリンタ2に保持するため、ネットワークにアクセスする度に同じデータを印刷することを避けることが可能となる。
【0033】
尚、RAM103にはファイル名を記憶しているため、アクセス時にアクセス先のファイル名とRAM103に記憶されたファイル名を比較し、一致する場合はダウンロードしないということも可能である。
【0034】
(実施形態3)
図4は、ダウンロードしたデータファイルが過去に画像表示部108に表示されたことのないデータファイルである場合の処理の流れを示したフローチャートである。本実施形態では、ダウンロードしたデータファイルが過去に画像表示部108に表示されたことのないデータファイルである場合の処理の一例について、図4に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0035】
メモリカード5がメモリカードリーダ125に挿入されているか否かを、CPU101により判定する(ステップS401)。メモリカード5が挿入されている場合(ステップS401/YES)、CPU101はメモリカード5内に保存されているアクセス先情報、例えばURL・認証コードを読み込み、RMAバックアップ装置104にてバックアップされているRAM103に転送し、保存する(ステップS402)。アクセス先を読み込ませた後に、ユーザから操作パネル105にて印刷の要求がある場合(ステップS403/YES)は、ネットワークプリンタ2はRAM103に保存されているアクセス先情報、たとえばURLと認証コードに基づきネットワークにアクセスする(ステップS404)。
【0036】
次に、目的のデータファイルをダウンロードし、さらに画像メモリ127に転送し、記憶させる(ステップS405)。上記ステップS405でダウンロードしたデータファイルが過去に表示部108に表示されたか否かを、RAM103に記憶された過去に表示されたファイルと比較することにより、CPU101が判断する(ステップS406)。過去に表示したことがある場合(ステップS406/NO)は、印刷を行わずに処理を終了する。
【0037】
過去に表示部108に表示したことがない場合(ステップS406/YES)には、ダウンロードしたデータを画像表示部108に表示する(ステップS407)。上記ステップS407で表示されたデータを基に、ユーザから操作パネル105にて印刷の要求がある場合(ステップS408/YES)は、プリンタエンジン通信部129を介してプリンタエンジン131にデータを送信し、印刷を行う(ステップS409)。
【0038】
最後に上記ステップS407で表示部108に表示したデータのファイル名をRAM103に記憶する(ステップS410)。
【0039】
また、記録媒体からアクセス先情報を読み込み、RAM103に記録する方法として複数の方法が考えられる。上述したメモリカード5を挿す方法、USBホストコネクタ123にUSBメモリ3やその他のUSBデバイスを挿入しそのデバイスから保存すべきデータを読み込む方法、及び図1に示すように具備されているスキャナ部126に、アクセス先を記入した紙を読み取らせROM102に記憶されているパターンとマッチングさせることにより文字を認識、テキスト化しRAM103に書き込む方法などである。もちろん、一般的なバーコードやQRコードなどを使用しても読み取り保存することが可能である。
【0040】
本実施形態により、ダウンロードしたデータを表示することにより、ユーザに印刷するか否かの選択を容易に判断させることが可能となり、不要なデータの印刷を避けることも可能となる。また、一度表示されたデータであって、ユーザにより印刷するか否かを判断されたデータを、繰り返しユーザに判断させることを避けることが可能となる。
【0041】
また、スキャナ部126を用いることにより、安価な紙やフィルムなどを記録媒体として使用することが可能となる。紙を使用できることにより、はがきやファックスで記録媒体を転送することも可能となる。
【0042】
上記実施形態1から3においては、一度印刷もしくは表示したデータのファイル名をRAM103に記憶することとしているが、データサイズやデータ自身の一部を保存して比較することも可能である。
【0043】
(実施形態4)
本実施形態に係るネットワークプリンタ2は、メモリカード5乃至はUSBデバイス3が挿される、乃至は上述したスキャナ部126からの入力がある、又は、操作パネル105を通しプリンタ2側で印刷の要求がある、又は、プリンタ2に接続されているPC4からの印刷の要求があるまで待機している。
【0044】
図5は、待機状態にあるネットワークプリンタ2にメモリカード5が挿入された場合の処理の流れを示すフローチャートである。図6は、待機状態にあるネットワークプリンタ2にプリンタ2側から印刷の要求がある場合の処理の流れを示したフローチャートである。図7は、待機状態にあるネットワークプリンタ2にPC4からの印刷要求がある場合の処理の流れを示したフローチャートである。本実施形態では、待機状態にあるネットワークプリンタ2の動作の一例について、図5、図6、図7に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。ここで、図5、図6、図7に示すフローチャートでは、ネットワークプリンタ2が待機状態であることを「A」と省略している。
【0045】
図5に示すように、待機状態(A)にあるネットワークプリンタ2にメモリカード5が挿入される(ステップS501/YES)と、プリンタ2は接続先の情報の追加・変更を行う。まず、挿入したメモリカード5内の情報を現在RAM103に保存されている情報に追加するか否かの指示をユーザから操作パネル105を介して受ける(ステップS502)。追加指示があった場合(ステップS502/YES)は、RAM103にURLなどの情報を追加する(ステップS503)。追加指示がない場合(ステップS502/NO)は、操作パネル105を通し上書きを行うか否かの指示をユーザから受ける(ステップS504)。上書きを行う指示があった場合(ステップS504/YES)は、RAM103の情報に上書きを行う(ステップS505)。上書き指示がない場合(ステップS504/NO)は、待機状態(A)に戻る。
【0046】
図6に示すように、待機状態(A)であるネットワークプリンタ2に、ユーザから操作パネル105を通しプリンタ2側の印刷要求(ステップS601/YES)があると、ネットワークでの印刷かメモリからの印刷かの指示をユーザから操作パネル105を通じて受ける(ステップS602)。
【0047】
ネットワークからの印刷が選択されると(ステップS602/ネットワーク)、まずアクセス先のURLが登録されているか否かをCPU101が判断する(ステップS603)。URLが登録されていない場合(ステップS603/NO)は、待機状態(A)へと戻る。URLが登録されている場合(ステップS603/YES)は、RAM103に保存されているURLのうち操作パネル105を介してユーザにどのURLからデータをダウンロードするかを選択させ(ステップS604)、選択されたURLにアクセスする(ステップS605)。
【0048】
上記ステップ605でアクセスしたデータをダウンロードし、画像メモリ127に転送する(ステップS606)。画像メモリ127に保存されたデータは、一旦読み出された後に画像縮小部130にてプリンタ2が使用できる最大サイズの記録紙のサイズまで縮小及び/又は圧縮され、再度画像メモリ127に転送して、保存される(ステップS607)。
【0049】
縮小されたデータを読み出し、画像表示部108に表示する(ステップS608)。ユーザにこのデータが目的のデータであるか否かを選択させ(ステップS609)、目的のデータでない場合(ステップS609/NO)は、接続先に対して次のデータの要求コマンドを送信し(ステップS612)、上記ステップS606の処理に戻り、次のデータのダウンロードを行う。目的のデータが表示されたとユーザが入力する(ステップS609/YES)と、次にこの表示されたデータを印刷するか否かをユーザに選択させる(ステップS610)。印刷を行わない場合(ステップS610/NO)は、待機状態(A)へと戻る。印刷を行う場合(ステップS610/YES)は、プリンタエンジン通信部129を介してプリンタエンジン131に画像メモリ127の画像を送信し、印刷を行う(ステップS611)。
【0050】
一方、上記ステップS602における印刷要求が、メモリからの印刷である場合(ステップS602/メモリ)には、プリンタ2内部の画像メモリ127からの印刷であるのか、メモリカード5やUSBデバイス3などの外部メモリからの印刷であるのかをユーザに操作パネル105を通じ選択させる(ステップS613)。
【0051】
内部画像メモリ127からの印刷が選択された場合(ステップS613/内部画像メモリ)は、画像メモリ127内の画像のうちの希望するもの、もしくは記憶されているデータすべてをサムネイルにて印字させるかをユーザに選択させる(ステップS614)。次に、選択された画像を表示部108に表示する(ステップS615)。表示されている画像が目的のデータであるか否かをユーザに判断させ(ステップS616)、目的のデータでない場合(ステップS616/NO)は、目的のデータが表示されるまで上記ステップS614、S615、S616の処理を繰り返し行う。
【0052】
目的のデータが表示されたと入力された場合(ステップS616/YES)は、印刷を行うか否かを選択させる(ステップS617)。印刷を行う場合(ステップS617/YES)は、プリンタエンジン通信部129を介してプリンタエンジン131に画像メモリ127の画像を送信し、印刷を行う(ステップS611)。印刷を行わない場合(ステップS617/NO)には、待機状態(A)に戻る。
【0053】
一方、外部メモリからの印刷が選択された場合(ステップS613/外部メモリ)は、プリンタ2の外部に接続されたメモリカード5又はUSBデバイス3などの外部メモリ内に保存されている画像データのうち希望するもの、あるいは記憶されているデータすべてをサムネイルにて印字させるかをユーザに選択させる(ステップS618)。次に、選択された画像を表示部108に表示する(ステップS619)。表示されている画像が目的のデータであるか否かをユーザに判断させ(ステップS620)、目的のデータでない場合(ステップS620/NO)は、目的のデータが表示される上記ステップS618、S619、S620の処理を繰り返し行う。
【0054】
目的のデータが表示されたと入力された場合(ステップS620/YES)は、印刷を行うか否かをユーザに選択させる(ステップS621)。印刷を行う場合(ステップS621/YES)は、プリンタエンジン通信部129を介してプリンタエンジン131に画像メモリ127の画像を送信し、印刷を行う(ステップS611)。印刷を行わない場合(ステップS621/NO)には、待機状態(A)に戻る。
【0055】
図7に示すように、待機状態(A)にあるネットワークプリンタ2に、このプリンタ2に接続されているPC4からの印刷要求があった場合(ステップS701)は、PC4からの印刷を実行する(ステップS702)。
【0056】
本実施形態により、アクセス先情報をRAM103に自動的に上書きすることができるので、常に新しい接続先を保持することが可能となる。一方、消去をしたくないアクセス先情報がある場合には、ユーザに上書きをするか否か選択させることにより、アクセス先情報を上書きすることを避けることが可能となる。
【0057】
また、アクセス先情報をRAM103に上書きでするのではなく追加することにより、複数のアクセス先にアクセスすることが可能となる。また、アクセス先情報を追加するか否かをユーザに選択させることにより、アクセス先が冗長になることを防ぐことが可能となる。
【0058】
また、ダウンロードしたデータを縮小処理またはデータ圧縮して画像メモリ127に保存することにより、画像メモリ127を有効に活用することが可能となる。さらに、データの大きさを、必要最小限のデータサイズであるプリンタ2に使用できる最大の記録紙のサイズまで縮小させて画像メモリ127に保存することによって、データを縮小することによる印刷への悪影響を防ぐことが可能となり、さらに画像メモリ127も有効に活用することが可能となる。
【0059】
また、アクセス先に次のデータの送信を支持するコマンドを送信することが可能なため、複数のデータを選択することが可能となる。
【0060】
また、記録媒体に記録されたアクセスに必要なURLや認証データを読出してその情報を基にデータにアクセスするだけでなく、画像データが保存された記録媒体が接続された場合には、その記録媒体内に記録された画像データを印刷することが可能となる。
【0061】
また、通常表示部108はコスト高となるため、現在流通しているプリンタと比較してあまりにも大きいものを備えることはできないため、サムネイル化して表示部108に表示したとしても多くのサムネイルを一度に表示することは不可能である。複数のサムネイルを紙上に表示することが可能となるため、ユーザに目的データの選択を容易に行わせることが可能となる。
【0062】
また、PC4に接続されているため、PC4からの印刷の要求も受けることが可能となり、複合化することが可能となる。
【0063】
尚、各図のフローチャートに示す処理をCPU101が実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録する記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることが可能である。
【0064】
以上好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した実施形態に係るネットワークプリンタに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるといことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタ2のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプリンタ2において、メモリカード5に記録された情報からインターネットにアクセスし、画像を印刷する処理の流れを示したフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係るプリンタ2において、ダウンロードしたデータファイルが過去に印刷されたデータファイルでない場合の処理の流れを示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係るプリンタ2において、ダウンロードしたデータファイルが過去に表示されたデータファイルでない場合の処理の流れを示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るプリンタ2において、待機状態(A)にあるプリンタ2にメモリカード5が挿入された場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るプリンタ2において、待機状態(A)にあるプリンタ2にプリンタ2側から印刷の要求があった場合の処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係るプリンタ2において、待機状態(A)にあるプリンタ2にPC4からの印刷要求があった場合の処理の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
1 サーバ
2 プリンタ
3 USBメモリ
4 PC
5 メモリカード
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 RAMバックアップ装置
105 操作パネル
106 表示部
107 ネットワークI/F
108 ネットワークコントローラ
120 USBデバイスコントローラ
121 USBデバイスコネクタ
122 USBホストコントローラ
123 USBホストコネクタ
124 メモリカードコントローラ
125 メモリカードリーダ
126 スキャナ部
127 画像メモリ
128 画像メモリバックアップ装置
129 プリンタエンジン通信部
130 画像縮小部
131 プリンタエンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録された情報を読出す記録媒体情報読出し手段と、
前記記録媒体が紙である場合には、一体型に備えるスキャナ部により前記紙をスキャンして情報を読出す紙情報読出し手段と、
前記記録媒体読出し手段により読出されたアクセス先情報と前記紙情報読出し手段により読出された情報をプリンタ内部に保持する情報保持手段と、
所定の通信プロトコルにしたがってネットワーク通信を行うネットワーク通信手段と、
パソコン端末に接続するインターフェースを備え、パソコン端末からの印刷命令を受け付けるパソコン印刷手段と、
データを表示部に表示するデータ表示手段と、を備えるネットワークプリンタであって、
前記情報保持手段により保持された情報を基にネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードしたデータを表示するダウンロードデータ表示手段と、
前記情報保持手段により保持された情報を基にネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードした前記データを印刷するダウンロードデータ印刷手段と、
前記情報保持手段により保持された情報を基にネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードした前記データを保存するダウンロードデータ保存手段と、を備えることを特徴とするネットワークプリンタ。
【請求項2】
印刷したデータの情報を保存する印刷データ保存手段と、
前記ダウンロードデータ表示手段により前記表示部に表示された前記データの情報を保存する表示データ保存手段と、
前記ダウンロードデータ表示手段により前記表示部に表示された前記データを印刷するか否かをユーザに選択させる表示データ印刷選択手段と、
前記ダウンロードデータ表示手段により前記表示部に表示された前記データが目的のデータでない場合に、前記データを変更するために次のデータを要求するコマンドを接続先に送信する要求コマンド送信手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載のネットワークプリンタ。
【請求項3】
ダウンロードした前記データを縮小処理した後にプリンタ内部に保存するデータ縮小処理手段と、
ダウンロードした前記データをデータ圧縮した後にプリンタ内部に保存するデータ圧縮手段と、
ダウンロードした前記データを縮小処理とデータ圧縮した後にプリンタ内部に保存するデータ縮小圧縮手段と、
ダウンロードした前記データのサイズが、前記ネットワークプリンタの使用できる最大の紙以上のサイズの場合には、使用できる最大の紙のサイズに縮小処理して保存するサイズ縮小手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のネットワークプリンタ。
【請求項4】
前記記録媒体が挿入されたことを検知して前記アクセス先情報を読み出した場合に、前記情報保持手段によりプリンタ内部に保持されている前記アクセス先情報に上書きを行うアクセス先情報上書き手段と、
前記記録媒体が挿入されたことを検知して前記アクセス先情報を読み出した場合に、前記情報保持手段によりプリンタ内部に保持されている前記アクセス先情報に上書きするか否かをユーザに選択させるアクセス先情報上書き選択手段と、
前記記録媒体が挿入されたことを検知して前記アクセス先情報を読み出した場合に、前記情報保持手段によりプリンタ内部に保持されている前記アクセス先情報に追加するアクセス先情報追加手段と、
前記記録媒体が挿入されたことを検知して前記アクセス先情報を読み出した場合に、前記情報保持手段によりプリンタ内部に保持されている前記アクセス先情報に追加するか否かをユーザに選択させるアクセス先情報追加選択手段と、を備えるネットワークプリンタであって、
前記記録媒体に画像データが保存されていた場合には、保存されている前記画像データを印刷するか、前記記録媒体内部に保持されているアクセス先情報に基づいてネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードしたデータを印刷するかをユーザに選択させる印刷メモリ選択手段を備えることを特徴とする請求項1記載のネットワークプリンタ。
【請求項5】
前記情報保持手段により保持された情報を基にネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードした前記データを複数保存する複数ダウンロードデータ保存手段と、
前記複数ダウンロードデータ保存手段により保存された複数のデータを選択する複数ダウンロードデータ選択手段と、
前記複数ダウンロードデータ保存手段により保存された複数のデータを表示部に表示する複数ダウンロードデータ表示手段と、
前記複数ダウンロードデータ保存手段により保存された複数のデータを個別に印刷する個別印刷手段と、
前記情報保持手段により保持された情報を基にネットワークにアクセスし、そのアクセス先からダウンロードしたデータをサムネイル化し、複数のダウンロードデータを一枚の紙上に表示するサムネイル出力手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は3記載のネットワークプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−178999(P2009−178999A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21851(P2008−21851)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】