説明

ネットワーク再構成方法およびルータ

【課題】外部ネットワークとの接続口となるルータは冗長化されていてもネットワーク内の通信リンクが冗長化されていないネットワーク構成では、ネットワーク内の中継装置間の通信リンク断によりネットワークが分断された場合、ネットワーク外のルータが分断されたネットワークを認識できないケースが発生し、その認識されなかった分断後のネットワーク内の端末は外部のルータとのパケット通信ができない。
【解決手段】ネットワーク内の中継装置間の通信リンク断によりネットワークが分断された場合に、冗長化構成を取っているルータが分断された部分ネットワークを複数の新たなサブネットとして再構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク再構成方法に関するものであり、特に、ネットワーク内の中継装置間の通信リンク断によりネットワークが分断された場合に冗長化構成を取っているルータが分断されたネットワークを複数の新たなサブネットとして再構成するネットワーク再構成方法およびルータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ITの普及に伴い、SOHOなどの小規模なネットワークの構築が増えている。
小規模ネットワーク構築においては、安価に、しかし信頼性は確保したネットワークを構築する必要がある。このため、WANとの接続ポイントにルータを配置し、それ以外はLayer2ネットワークで構築することで安価にし、一方、信頼性確保を確保するために、ルータやネットワーク構成を冗長化することが行われている。
【0003】
図1は、従来のネットワーク構成例である。
ネットワーク900がWAN400を介してセンター側ルータ500と接続する。この際、信頼性確保のためネットワーク900とWAN400との間のパケット中継を行うルーティング機能を有するルータを二重化し、マスターのルータ910とバックアップ用のルータ920を設ける。また、小規模ネットワークにおいては低コストを図るため、ネットワーク900内のパケット中継を行う中継装置としては、例えば、Layer2中継装置であるL2−SW91、92を用いて構成する。
さらに、図1の点線で示した通信リンク34、35を用意してネットワークを冗長化することにより、例えば、通信リンク33が断となった場合でも通信リンク33をバックアップすることができる。
【0004】
しかしながら、上記のネットワークを冗長化できる機能を備えたLayer2の中継装置(例えばブリッジ)、は冗長化機能を有さない中継装置(例えばハブ)より機器コストが高くなるため、小規模ネットワークの構築の際は、WAN400との中継点となるルータのみ二重化し、ネットワーク900内のその他の中継装置はネットワーク冗長化機能を持たない中継装置(ハブ等)で構成することが望ましい。
【0005】
上記の冗長化されたルータを制御する技術としては、例えば、IETF(The Internet Engineering Task Force)が規定するVRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)があり、このVRRPを用いたネットワークの構成例については、特許文献1に示されている。
また、冗長化されたネットワークを制御する技術として、例えば、STP(Spanning Tree Protocol)が知られている。
【0006】
図2は、従来のネットワークを冗長化しないネットワーク構成例である。
ここでは、外部ネットワークとのパケット中継を行うルーティング機能を有するルータのみ冗長化し、ネットワーク900内のパケット中継を行う中継装置91、92としてネットワーク冗長化機能を有しないハブを用いた例を示している。この場合は、前記図1の破線の通信リンク34、35のようにハブ91、92間の通信リンク33が断となった場合にバックアップができないため、例えば、以下の(1)−(5)示す動作シーケンスが発生する 。
(1)ルータ910がマスターモード、ルータ920がバックアップモードで動作中に、ハブ10とハブ20の間の通信リンク33でネットワーク障害41が発生し、ネットワーク900が通信リンク33において分断される。
(2)バックアップモードのルータ920は、マスターモードのルータ910から定周期で送信されてくるネットワーク診断用パケットの受信を時間監視しており、診断用パケットの受信が途絶えたことから、ネットワーク障害41が発生したことを検出する。そして、ルータ920が持っている対装置障害機能(例えば、VRRP)によりマスターモードへ移行する。
(3)ルータ910、920は共にマスターモードとなるため、それぞれがルーティング情報をWAN400を介して例えばセンター側ルータ500へ広報する。
(4)センター側ルータ500は、広報されたルーティング情報を基に、ルータ910またはルータ920のいずれかをNextHopとして選択する。ルータ910またはルータ920のいずれを選択するかは、ケースバイケースで不定となる。ここでは、ルータ910がNextHopとして選択されたとすると、ルータ910配下の端末11、12、13ではWAN400を介してセンタルータ500との間のパケット転送が正常に行われる。
(5)一方、センター側ルータ500により選択されなかったルータ920配下の端末21、22では、WAN400を介したセンター側ルータ500との間のパケット転送を行うことができない状態となる。
【0007】
上記のように、ネットワーク900内のルータ以外の中継装置をネットワーク冗長化機能を持たない装置(例えばハブ)で構成した場合は、ネットワーク障害の発生によりネットワーク900が複数の部分ネットワークに分断された場合は、ネットワーク900外のルータ(例えばセンター側ルータ500)が分断された部分ネットワークを認識できないケースが発生し、その認識されなかった分断後の部分ネットワーク内の端末はネットワーク外のルータとのパケット通信ができないという問題が発生する。
【特許文献1】特開2002−232463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、外部ネットワークに対するパケット中継を行うルータは冗長化されていてもネットワーク内のパケット中継を行う中継装置間の通信リンクが冗長化されていないネットワーク構成では、ネットワーク内の中継装置間の通信リンク断によりネットワークが分断された場合、ネットワーク外のルータが分断されたネットワークを認識できないケースが発生し、その認識されなかった分断後のネットワーク内の端末はネットワーク外のルータとのパケット通信ができない。
【0009】
本発明は、ネットワーク内の中継装置間の通信リンク断によりネットワークが分断された場合に冗長化構成を取っているルータが分断された部分ネットワークを複数の新たなサブネットとして再構成するネットワーク再構成方法およびルータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、冗長構成されたルータの配下にあるネットワークを前記ルータを介して他のネットワークに接続し、前記ネットワーク内でパケットの伝送を行う複数の中継装置間の通信リンク断などにより前記ネットワークが前記冗長化されたルータの少なくとも1つ含む部分ネットワークに分断された場合は、前記分断された部分ネットワークを新たなサブネットとして構成する、ように構成される。
これにより、対ネットワーク障害機能を持たない中継装置(例えばハブ等)により構築されたネットワークに於いても、ネットワーク障害時にパケット通信を継続することが可能となる。
【0011】
また本発明では、分断された前記部分ネットワークに含まれるルータは、ネットワークをサブネット化するための定義情報であるIPアドレスブロックを再定義し、前記再定義されたIPアドレスブロックを基に前記部分ネットワーク内のIPアドレスの再割り当てを行って前記部分ネットワークを新たなサブネットとして構成する、ように構成することができる。
これによれば、分断された各部分ネットワークに対して再定義されたIPアドレスブロックを通知することにより、分断された各部分ネットワークが連携しながら新たなサブネットを再構成することができる。
【0012】
さらに本発明では、前記IPアドレスブロックの再定義は、前記分断された部分ネットワークが使用するIPアドレスの数を検出し、前記検出したIPアドレス数の中の最大IPアドレス数を基にサブネット内のIPアドレスの相対的な位置を示すホストアドレス部のビット長を求めて新たなIPアドレスを構成することにより行う、ように構成することもできる。
これにより、分断された各部分ネットワークをサブネット化するための新たなIPアドレスの構成を効率的に行うことができる。
【0013】
また本発明では、前記ホストアドレス部のビット長は、前記最大IPアドレス数分のIPアドレスを収容できる最小のホストアドレス部のビット長として求める、ように構成してもよい。
これにより、分断される部分ネットワークの数を最大限許容できる収容効率のよいIPアドレスブロックの再定義を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
ネットワーク内のパケット中継を行う中継装置間の通信リンク断などのネットワーク障害によりネットワークが分断された場合に、冗長化構成を取っている外部ネットワークとのパケット中継を行うルータが分断されたネットワークを複数の新たなサブネットとして再構成することにより、対ネットワーク障害機能を持たない中継装置(例えばハブ等)により構築されたネットワークに於いても、ネットワーク障害時にパケット通信を継続することが可能となる。これにより、ネットワーク構成を冗長化せずに機器コストを抑えながら信頼度の高いネットワークを構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図3は、本発明によるネットワークの再構成方法の概要である。
ここでは、ハブ10、20間の通信リンク33に対するネットワーク障害41の発生により、ネットワーク300が2つの部分ネットワーク310、320に分断され、部分ネットワーク310、320の配下に、それぞれ、m台の端末1−1、・・・、1−m、および、n台の端末1−1、・・・、1−nがあるケースを考える。
この場合、本発明のルータ100およびルータ200は分断された部分ネットワーク310及び320のそれぞれに対して新たなサブネットを再構成し、センター側ルータ500に対してこの新たに再構成したサブネットのルーティング情報を広報する。これにより、センター側ルータ500は広報された新たなサブネットのルーティング情報を基にパケットを転送するため、ネットワーク310および320のいずれに属する端末に対しても正常にパケットを転送することができるようになる。
【0016】
上記図3では、説明の便宜上ネットワーク300が2つの部分ネットワーク310、320に分断される場合を例に示し、また以降の記述においても、説明の便宜上2個の部分ネットワークに分断される場合を代表例にして示すが、冗長化構成のルータが3台以上あり、ネットワーク300が3個以上の部分ネットワークに同時に分断される場合についても、本発明は同様に適用できる。例えば、冗長化構成のルータが3台あり、3台目のルータに接続される3台目のハブが上記ハブ20に接続されている構成で、ハブ10とハブ20の間の通信リンク断と同時に3台目のハブとハブ20との間の通信リンク断が発生した場合は、ネットワーク300は部分ネットワーク310、320、および、3台目のルータとハブを含む部分ネットワークの3つの部分ネットワークに分割され、それぞれの部分ネットワークが新たなサブネットとして再構成される。
【0017】
図4は、本発明で用いるIPアドレス構成の概要を説明している。
ここでは、IPアドレスが32ビットで構成される場合を例に説明する。
IPアドレス600はネットワークアドレス部601、サブネットアドレス部602、ホストアドレス部603より構成される。ネットワークアドレス部601とサブネットアドレス部602を合わせたビット情報をサブネット識別情報604とすると、このサブネット識別情報604はIPネットワーク内でIPアドレス600が属するサブネットを一意的に識別する情報となる。
【0018】
また、上記のサブネット識別情報604の全てのビットに“1”を立て、ホストアドレス部603の全てのビットを“0”に設定したビット情報をサブネットマスクといい、このサブネットマスクとIPアドレス600の論理積を取ることにより、サブネットアドレス情報604に設定されているビット情報と、オール“0”のビット値が設定されたホストアドレス部603のビット情報を合わせた32ビット長のビット情報が抽出される。この抽出されたビット情報がIPアドレス600が属するサブネットの識別情報、つまり、サブネットアドレスとなる。
【0019】
IPネットワークのサブネットは、上記のサブネットアドレス情報とサブネットマスク情報により定義することができ、このサブネットマスクによる分割されたアドレスの集合体個々をアドレスブロックという。32ビット長のサブネットアドレスを”AA.BB.CC.DD”と表記し、サブネットマスクのビット長を“z”とした場合、サブネットを定義するIPアドレスブロックを、“AA.BB.CC.DD/z”と表記する。この表記方法をプレフィックス表記ともいう。
IPネットワークにおけるサブネットの概念は既知であり、その詳細についてはここでは省略する。
【0020】
図5は、本発明のIPアドレスブロックの再定義方法の概要で、サブネットを定義するためのIPアドレスブロックの定義を、前記図3に示したネットワーク300の分断前と分断後に対比して示している。
610は、分断前のネットワーク300のサブネットで使用するIPアドレス構成であり、610aは分断後の部分ネットワーク310、320のサブネットで使用するIPアドレス構成である。ここでは、分断前のIPアドレス構成610と分断後のIPアドレス構成610aのビット構成を対応付けて示している。
【0021】
613は分断前のIPアドレス構成610のホストアドレス部でありそのビット数をXと表記する。614は分断前のIPアドレス構成610のサブネットマスク対応部分、つまり、サブネットマスク内のビット値が“1”に対応するビット領域である。前記図3に示したネットワーク構成例では、ネットワーク300に含まれる端末1−1、・・・、1−m、端末2−1、・・・、2−nは、このホストアドレス部613により一意的に識別される。
【0022】
613aは分断後のIPアドレス構成610aのホストアドレス部であり、そのビット数をXaで表記する。614aは分断後のIPアドレス構成610aのサブネットマスク対応部分である。前記図3に示したネットワーク構成例では、分断後の部分ネットワーク310に含まれる端末1−1、・・・、1−m、および、分断後の部分ネットワーク320に含まれる端末2−1、・・・、2−nは、このホストアドレス部613aによりそれぞれの部分ネットワーク内で一意的に識別される。
【0023】
615は、分断前のIPアドレス構成610のホストアドレス部613のビット数Xと、分割後のIPアドレス構成610aのホストアドレス部613aのビット数Xaとの差分ビットで、その差分ビット数をyで表すと、y=X−Xaの関係にある。本発明では、この差分ビット615により分断された部分ネットワークを識別するようにIPアドレスを再構成する。そして、分断前のIPアドレス構成610のサブネットマスク対応部分614と上記の差分ビット615をホストアドレス部613aとを合わせたビット情報を新たなサブネットマスク対応部分614aとして、新たなサブネットマスクを定義する。このようにして求めた新たなIPアドレス構成とサブネットマスクによりアドレスブロックを再定義することにより、分断された各部分ネットワークに対して前記図4のIPアドレス構成で説明したサブネットアドレスを割り当ててサブネットとして再構成できる。
【0024】
前記図3に示したネットワーク構成例の場合を考えると、分断された部分ネットワーク310、320の2つの部分ネットワークを、この差分ビット615で識別できるか否かを判定する。このケースでは分断された部分ネットワークの数は2個であるため、差分ビット615が1ビット以上確保できれば分断された各部分ネットワークを識別できることが分かる。しかし、分断後の1つの部分ネットワークに多数の端末が収容されている場合、例えば、部分ネットワーク310の端末台数mが大きい値で分断後のホストアドレス部613aのビット数Xaが分断前のホストアドレス部613のビット数Xと同じにせざるを得ないようなケースでは、この差分ビット613のビット数yはゼロとなり、分断後の部分ネットワークを識別するための差分ビット615を確保することができないため、IPアドレスの再構成は不可能となり、従って、IPアドレスブロックの再定義はできないことになる。
【0025】
図6は、本発明のIPアドレスブロック再定義の方法で、前記図5に示したIPアドレスブロックの構成例を基にIPアドレスブロックの再定義手順を示している。
【0026】
S01. 分断前のネットワーク300に含まれるIPアドレス数N、および、ホストアドレス部のビット長Xを獲得する。このIPアドレス数N、ホストアドレス部のビット長Xは、分断前のネットワーク300をサブネット化した時点に求めたIPアドレス数、および、IPアドレスブロックを保持しておき、その保持されているIPアドレス数、IPアドレスブロックを読み出して獲得するように構成できる。
【0027】
IPアドレス数N、ホストアドレス部のビット長Xは、次のようにして求めることができる。
まず、IPアドレス数Nについては、
N=(ネットワーク内の端末数)+(ルータのLAN側IF数)+(特殊アドレス数)
として求める。ここで、(ルータのLAN側IF数)はルータが保持する自ネットワーク向けの(WAN側向けではなく)インターフェースの数で、前記図3のネットワーク構成例のネットワーク300では“2”となる。また、(特殊アドレス数)は固定で、ブロードキャストアドレスとオールゼロアドレスの2個である。従って、前記図3のネットワーク構成例のネットワーク300の場合は、(ネットワーク内の端末数)=m+nであることから、
N=m+n+4
となる。
【0028】
次に、ホストアドレス部613のビット長Xについては、上記のようにして求めたIPアドレス数N分のIPアドレスを収容するのに十分なビット長に定義すればよい。つまり、IPアドレスブロック610のホストアドレス部613のビット長Xは
X ≧ m+n+4
の条件を満たすように定義される。
【0029】
S02. 分断後の各部分ネットワークのIPアドレス数を求め、その求めた複数のIPアドレス数の中の最大値Na、つまり、最大IPアドレス数Naを求める。各部分ネットワーク内でのIPアドレス数の求め方は、上記ステップS01と同様である。
【0030】
例えば、前記図3に示したネットワーク構成例では、分断後の部分ネットワーク310、320のIPアドレス数をそれぞれN1、N2で表すと、上記ステップS01と同様にして、
N1=m+3
N2=n+3
となる。従って、N1とN2の中の最大値を求めればよい。例えば、m>nの場合は、
Na=N1
となる。
【0031】
S03. 上記ステップS02で求めたNaを基に、分断後のIPアドレスブロックのホストアドレス部613aのビット長Xaを求める。
【0032】
ホストアドレス部613aのビット長Xaは、ホストアドレス部613aが最大IPアドレス数Na分のIPアドレスを識別するのに十分なビット長とすればよい。つまり、
Xa≧Na
の条件を満たすXaを求める。
【0033】
この際、IPアドレスブロックのビットを効率よく使用するために、上記の条件を満たす最小のXaを最終的なXaとすることができる。
【0034】
S04. 分断前と分断後のホストアドレス部の差分ビット615のビット長
y=X−Xa
を求める。この差分ビット615は、分断された部分ネットワークを一意的に識別するための識別情報として用いる。
【0035】
S05. 2y ≧(分断ネットワーク数)が成り立つか否かを判定し、成り立つ場合は(YES)次のステップS06へ移行し、成り立たない場合は(NO)ステップS07へ移行する。
【0036】
S06. IPアドレスブロックを再定義して処理を終了する。
IPアドレスブロックの再定義としては、ホストアドレス部613aのビット長を上記ステップS03で求めたXaとし、分断前のIPアドレスブロック610のサブネットマスク対応部614と上記ステップS04で求めた差分ビット615を合わせたビットを新たなサブネットマスク対応部614aとして新たなサブネットマスクを求める。また、上記ステップS05で求めた差分ビット615の値を各部分サブネットの割り当て、分断された各部分ネットワークを一意的に識別できるようにする。
【0037】
S07. この場合は、分断された部分ネットワーク数を識別できるのに足りるだけの差分ビット615を確保できないため、IPアドレスブロックの再定義はできないと判定し、例えば、ネットワークの運用者にその旨通知するなどの処理を行って処理を終了する。
【0038】
上記のようにして、分断された部分ネットワークのそれぞれに対してIPアドレスブロックを再定義し、その再定義したIPアドレスブロックを基に新たなサブネットを再構成する。これにより、ネットワークの冗長化機能を持たない中継装置(ハブ等)を用いて、ネットワーク障害に対応できるネットワークを低コストで構築することが可能となる
図7は、本発明のネットワーク再構成方法を実現するための制御パケット構成例の概要である。
本発明の制御パケット700はIPパケットとして構成することができ、IPヘッダ701、TCPヘッダ702、種別コード部703、制御情報部704を含んでいる。
【0039】
IPヘッダ701、TCPヘッダ702についてはIPプロトコルとして既知の技術であり、その詳細な説明はここでは省略する。
【0040】
本発明の制御パケットとそれ以外のIPパケットを識別するためは、TCPヘッダ702に設定されるポート番号を用いることができる。つまり、所定の値のポート番号を本発明の制御パケット用に予め割り当てておき、受信したIPパケットのTCPヘッダ702内に設定されているポート番号を判定することにより、本発明の制御パケットか否かを判定することができる。
【0041】
種別コード部703には、本発明の制御パケットの種別を識別するコード情報が設定される。例えば、後述するように、種別コード部703の値“0”、“1”、“2”、“3”に対応して、それぞれ、IPアドレス数調査依頼パケット、IPアドレス数通知パケット、IPアドレスブロック変更通知パケット、再構成結果通知パケットが対応するように構成することができる。
【0042】
制御情報部704は、制御内容の詳細情報が設定される領域で、上記の制御パケットの種別に応じて異なったサイズの領域が設けられる。これについては、図8から図11にて後述する。本発明では、上記の制御パケットを冗長化されたルータ間で受け渡しながら、ネットワークの再構成を行う。
【0043】
図8は、本発明の制御パケットの構成例(1)で、IPアドレス数調査依頼パケット700aの構成例を示している。
IPヘッダ701、TCPヘッダ702は前記図7と同様である。
種別コード部703aにはIPアドレス数調査依頼パケットであることを示す種別コード“0”が設定される。
本IPアドレス数調査依頼パケットの場合は、制御情報部704を含まない。
本パケットを受信したルータは、そのルータ配下にあってIPアドレスを割り当てられた機器の数を調査する。つまり、配下の端末の数、ルータのLAN側インターフェースのIPアドレスの数、および、特殊アドレスの合計値を調査する。
【0044】
図9は、本発明の制御パケット構成例(2)でIPアドレス数通知パケット700bの構成例を示している。
IPヘッダ701、TCPヘッダ702は前記図7と同様である。
種別コード部703bにはIPアドレス数通知パケットであることを示す種別コード“1”が設定される。
【0045】
制御情報部704bには、前記図8に示したIPアドレス数調査依頼パケットの指示に基づいて調査した結果のIPアドレス数が設定される。
【0046】
本IPアドレス数通知パケット700bは、前記図8のIPアドレス数調査依頼パケットに対する応答として、IPアドレス数調査依頼パケットの送信元ルータに返送される。
【0047】
図10は、本発明の制御パケット構成例(3)でIPアドレスブロック変更通知パケット700cの構成例を示している。
IPヘッダ701、TCPヘッダ702は前記図7と同様である。
種別コード部703cにはIPアドレスブロック変更通知パケットであることを示す種別コード“2”が設定される。
制御情報部704cにはIPアドレスブロックが設定される。本IPアドレスブロック変更通知パケットを受信したルータは、制御情報部704cに設定されている再定義されたIPアドレスブロックを基に配下の端末のIPアドレスを再割り当てすることにより、通知されたIPアドレスブロックに適合したサブネットを再構成する。
【0048】
ネットワーク障害を検出してバックアップモードからマスターモードへ移行したルータが、前記IPアドレス数調査依頼パケット700a、IPアドレス数通知パケット700bを用いて分断された各部分ネットワークのIPアドレス数を収集した後に、IPアドレスブロックの再定義を行う。本IPアドレスブロック変更通知パケット700cは、このIPアドレスブロックの再定義を行ったルータが分断された各部分ネットワークのルータに対して、その再定義したIPアドレレスブロックを通知するためのものである。
【0049】
図11は、本発明の制御パケット構成例(4)で再構成可否通知パケット700dの構成例を示している。
IPヘッダ701、TCPヘッダ702は前記図7と同様である。
種別コード部703dには再構成結果通知パケットであることを示す種別コード“3”が設定される。
制御情報部704dには、サブネットの再構成が成功したか不可能かを示す識別情報が設定される。例えば、“0”のときは、サブネットの再構成に成功したことを意味し、“1”のときはサブネットの再構成は不可能を意味するように構成できる。
【0050】
ネットワーク障害を検出してバックアップモードからマスターモードへ移行したルータが、前記IPアドレス数調査依頼パケット700a、IPアドレス数通知パケット700bを用いて分断された各部分ネットワークのIPアドレス数を収集した後に、IPアドレスブロックの再定義を行う際に、IPアドレスブロックの再定義ができなかった場合に、運用端末を監視している運用者にその旨通知する場合に用いることができる。
【0051】
また、IPアドレスブロック変更通知パケット700cを受信したルータが、制御情報部704cに設定されている再定義されたIPアドレスブロックを基に配下の端末のIPアドレスを再割り当てに成功してサブネットの再構成が完了した際に、ルータから運用端末を監視しているネットワークの運用者に対してサブネットの再構成に成功した旨を通知する場合に用いることができる。
【0052】
図12は、本発明のネットワーク再構成を実現するための処理シーケンス例(1)で、サブネットの再構成が成功した時の処理シーケンス例を前記図3に示したネットワーク構成例に対応付けて示している。
前記図3のネットワーク構成例においては、ルータ100がその主機能を実行するマスターモードとして動作し、ルータ200はバックアップモードとして動作する装置冗長化構成をとっている。
ここでは、分断前のネットワーク300はIPアドレスブロック”AA.BB.CC.0/24”によりサブネット化されており、ネットワーク300がネットワーク障害41により分断され、IPアドレスブロック”AA.BB.CC.0/26”および”AA.BB.CC.64/26”によりそれぞれサブネット化された2つの部分ネットワーク320、310に再構成される場合を示している。
【0053】
本ケースでは、部分ネットワーク310には端末1−1から端末1−30までの30台の端末があり、部分ネットワーク320には端末2−1から端末2−60までの60台の端末があるものとし、分断前のネットワーク300では各端末はDHCPにより”AA.BB.CC.01-254”の範囲のIPアドレス中の一つのIPアドレスを割り当てられる。また以下の説明の便宜上、これらの端末の中で、端末1−1にはIPアドレス”AA.BB.CC.5”が割り当てられ、端末2−1にはIPアドレス“AA.BB.CC.211”が割り当てられていると仮定する。
【0054】
また、ルータについては、下記のようにIPアドレスが割当られているものとする。
・ルータ100のWAN側:IPアドレス”AA.BB.DD.1”
・ルータ100のLAN側:IPアドレス”AA.BB.CC.10”
・ルータ200のWAN側:IPアドレス”AA.BB.EE.1”
・ルータ200のLAN側:IPアドレス”AA.BB.CC.10”
また説明の便宜のために、本処理シーケンス(1)で用いる制御パケット内の主なフィールドの値をパケット識別記号P101からP105に対応づけて図13に示す。
【0055】
本発明のネットワーク再構成を実現するための処理シーケンス例(1)は以下の通り。
【0056】
S101. ルータ100がマスターモードで、ルータ200がバックアップモードで動作中に、ネットワーク300を分断する障害、例えば、ハブ10、20の間の通信リンク33のネットワーク障害41が発生する。
【0057】
S102. VRRPなどのルータの冗長化制御技術により、バックアップバックモードのルータ200はハブ10、20の間の通信リンク33の断を検出すると、マスターモードへ移行する。VRRPでは、マスターモードのルータ100からバックアップモードのルータ200へ常時、定周期で診断用のパケットが送出されており、バックアップモードのルータ200はこの診断用パケットの受信を監視し、所定の時間内にこの診断用パケットが受信できなかった場合に、ハブ10、20の間の通信リンク33が断になったと見なす。
【0058】
S103. マスターモードに移行したルータ200は、冗長化構成をとる他のルータ100に対してWAN側400を介してIPアドレス数調査依頼パケット700a(図12のP101)を送信する。なお各ルータは、冗長化構成を取る他のルータ(図3のネットワーク構成例では、ルータ200にとってはルータ100、 ルータ100にとってはルータ200)のWAN側のIPアドレスを予め保持している。
【0059】
S104. IPアドレス数調査依頼パケット700aを送信したルータ200、およびそれを受信したルータ100は、分断後のネットワーク310、320に属する全IPアドレスに対して、例えば既知の技術であるproxyARPを発行することにより、配下の端末のIPアドレスを収集する。ここでは、ルータ100配下に端末1−1から端末1−30までの30台、ルータ200配下に端末2−1から端末2−60までの60台の端末があり、それぞれのIPアドレス数を認識できる。ルータ100、200はLAN側インターフェース用として、それぞれ、1つのIPアドレスおよび特殊アドレス2個を有する。つまり、ルータ100、200は、それぞれ、配下に33個、63個のIPアドレスが割り当てられていることを認識する。
【0060】
S105. ルータ100は、IPアドレス数調査依頼パケット700aの送信元であるルータ200に対して、上記ステップS104で求めたルータ100配下のIPアドレス数 (=33)をIPアドレス数通知パケット700b(図12のP102)により回答する
S106. ルータ200はルータ100からのIPアドレス数通知パケット700bを受信する。ここで、図12では、冗長化構成のルータは2台の場合を例に示しているが、3台以上の場合も同様で、その場合はルータ200は複数のルータからIPアドレス数通知パケット700bを受信することになり、複数のIPアドレス数が通知される。
【0061】
ルータ200は、IPアドレス数通知パケット700bで報告された1以上のIPアドレス数と自ネットワーク320配下のIPアドレス数の内の最大値を求めて最大IPアドレス数Naとする。そして、前記図5、図6に示した方法で、この最大IPアドレス数Na分のIPアドレスをサブネットに収容し、かつ冗長化対象のルータ数分、即ち、分断された部分ネットワーク数分のサブネットを収容できるようにIPアドレスブロックを再定義する。
【0062】
つまり、最大IPアドレス数Na分を収容できるホストアドレス部のビット長Xaを求め、て、分断前のホストアドレス部のビット長Xとの差分yを求め、求めたビット長yの差分ビット615で分断された複数の部分ネットワークを識別できるか否かを判定する。
【0063】
本ケースでは、ルータ200配下の63個が最大IPアドレス数Naとなり、63個のIPアドレスを収容できる最小のホストアドレス部613aのビット長Xaは“6”となる。従って、分断前の8ビット長のホストアドレス部613のビット長X=6と分断後のホストアドレス部613aのビット長Xa=6との差分は“2”であり、この2ビットを用いれば分断された2つの分断された部分ネットワークを識別することができる。例えば、ルータ200配下の部分ネットワーク320については2ビット表示”00”で識別し、ルータ100配下の部分ネットワーク310については2ビット表示”01”で識別するようにIPアドレスブロックを定義する。この結果、ルータ100配下の部分ネットワーク310のIPアドレスブロックは”AA.BB.CC.64/26”に、またルータ200配下の部分ネットワーク320のIPアドレスブロックは”AA.BB.CC.00/26”と再定義できる。
【0064】
S107. ルータ200は、IPアドレスブロック変更通知パケット700c(図12のP103)により、再定義後の部分ネットワーク310のIPアドレスブロック”AA.BB.CC.64/26”をルータ100に通知する
S108. ルータ100、200は、それぞれ、自身のDHCP機能が割り当てるIPアドレスの範囲を上記ステップS106、S107で決定し通知されたIPアドレスブロックが示す範囲に変更する。そして、上記ステップS104で収集した各ルータ配下の端末に割り当てられているIPアドレスの中で、新しいIPアドレスブロックの定義の範囲外のものを抽出する。例えば、ルータ100の新しいIPアドレスブロックは”AA.BB.CC.64/26”であることから、IPアドレスの範囲は“AA.BB.CC.64〜127”となり、端末1−1(IPアドレス”AA.BB.CC.5”) が範囲外のIPアドレスを有する端末となる。また、ルータ200の新しいIPアドレスブロックは”AA.BB.CC.00/26”であることから、IPアドレスの範囲はAA.BB.CC.00〜63”となり、端末2−1(IPアドレス”AA.BB.CC.211”)が範囲外のIPアドレスを有する端末となる。
【0065】
S109. 上記ステップS108で抽出した範囲外のアドレスを有する端末に対して、例えば、既知の技術であるDHCPのRENEWメッセージ を送信する。これにより、DHCPの処理に則ってIPアドレスの再割り当てが実施される
S110. ルータ100、200は、上記ステップS109のIPアドレスの再割り当てが完了したら、サブネットの再構成に成功した旨を、再構成結果通知パケット700dにより管理者端末に通知する
S111. ルータ100,200はそれぞれWAN400を介してセンター側ルータ500に対して、再構成した各部分ネットワーク310、320のサブネットに関する経路情報を広報する
上記の処理シーケンス(1)により、ネットワーク障害により分断された各部分ネットワーク310、320がWAN400を介した外部に位置するセンター側ルータ500にも認識され、以後、分断された各部分ネットワーク310,320とセンター側ルータ500との間で正常にパケットの転送を行うことができる。
【0066】
図13は、制御パケットの使用例(1)で、前記図12に示した処理シーケンス(1)の説明の便宜にために、前記図12に示した処理シーケンス(1)で用いた制御パケットの主要なフィールド値を図12に記載したパケット識別記号P101からP105に対応づけて示したものである。
【0067】
図14は、本発明のネットワーク再構成を実現するための処理シーケンス例(2)で、サブネット再構成が不可能な場合の処理シーケンス例を前記図3に示したネットワーク構成例に対応付けて示している。
前記図3のネットワーク構成例においては、ルータ100がその主機能を実行するマスターモードとして動作し、ルータ200はバックアップモードとして動作する装置冗長化構成をとっている。
本ケースでは、説明の便宜上、部分ネットワーク310には端末1−1から端末1−30までの30台の端末があり、部分ネットワーク320には端末2−1から端末2−170までの170台の端末があるものとして説明する。また、ルータのIPアドレスは前記図12の場合と同様とする。
また、説明の便宜のために、本処理シーケンス(2)で用いる制御パケット内の主なフィールドの値をパケット識別記号P201からP203に対応づけて図15に示す。
【0068】
本発明のネットワーク再構成を実現するための処理シーケンス例(2)は以下の通り。
【0069】
S201−S205. 前記図12に示したサブネットの再構成が成功した時の処理シーケンス例のS101−S105と同様なため(S101−S105が、それぞれ、S201−205に対応し、P101がP201に対応する)、ここでは説明を省略する.
S206. ルータ200はルータ100からのIPアドレス数通知パケット700b(図14のP202)を受信する。ここで、図14では、冗長化構成のルータは2台の場合を例に示しているが、3台以上の場合も同様で、その場合は複数のルータからのIPアドレス数通知パケット700bを受信することになり、複数IPアドレス数が通知される。
【0070】
ルータ200は、IPアドレス数通知パケット700bで報告された1以上のIPアドレス数と自ネットワーク320配下のIPアドレス数の内の最大値を求めて最大IPアドレス数Naとする。そして、前記図5、図6に示した方法で、この最大IPアドレス数Na分のIPアドレスをサブネットに収容し、かつ冗長化対象のルータ数分、即ち、分断された部分ネットワーク数分のサブネットを収容できるようにIPアドレスブロックを再定義できるか否かを判定する。
【0071】
つまり、最大IPアドレス数Na分を収容できるホストアドレス部のビット長Xaを求め、て、分断前のホストアドレス部のビット長Xとの差分yを求め、求めたビット長yの差分ビット615で分断された複数の部分ネットワークを識別できるか否かを判定する。
【0072】
本ケースでは、ルータ200配下の173個が最大IPアドレス数Naとなり、173個のIPアドレスを収容できる最小のホストアドレス部613aのビット長Xaは“8”となる。従って、分断前のホストアドレス部613のビット長X(=8)と分断後のホストアドレス部613aのビット長Xa(=8)との差分yは“0”であり、前記図5のステップS05に示した判定条件は成立しないためIPアドレスブロックの再定義はできず、従ってサブネットの再構成もできないことが分かる。
【0073】
S207. ルータ200は、サブネットの再構成再構成ができない旨を、再構成結果通知パケット700d(図14のP203)により管理者端末に通知する。
【0074】
上記の様にして、ネットワーク障害によりネットワーク300が分断されたが、分断された部分ネットワーク310、320のサブネット化ができない場合は、その旨が運用端末に通知される。これにより、ネットワークの運用者が適切な判断を行えるようになる。
【0075】
図15は、制御パケットの使用例(2)で、前記図14に示した処理シーケンス(2)の説明の便宜のために、前記図14に示した処理シーケンス(2)で用いた制御パケットの主要なフィールド値を図14に記載したパケット識別記号P201からP203に対応づけて示したものである。
【0076】
図16は、本発明のネットワーク再構成を実現するためのルータの構成例である。
通信部101は、ルータとネットワークの間のパケットの送受信処理を行う。
パケット種別判定部102は、受信したパケットが本発明の制御パケット700か否かを判断し、本発明の制御パケット700であればその中の種別コード部703の値を判定して、各制御パケットに対応して設けられる処理部へ受信したパケットを渡す。
つまり、種別コード703がIPアドレス数調査依頼パケット700aを示している場合はIPアドレス数調査部150へ、IPアドレス数通知パケット700bの場合はIPアドレス数書き込み部120へ、IPアドレスブロック変更通知パケット700cの場合はIPアドレスブロック再定義部130へ、それぞれ、受信したパケットを渡す。
また、受信パケットが装置の冗長化構成の制御に関するパケット(例えばVRRPの制御に関するパケット)であれば装置冗長管理部110へ渡し、本発明の制御パケットでも冗長化構成の制御に関するパケットでもない場合は、従来処理部170へ受信したパケットを渡す
装置冗長管理部110は、VRRPなどの既知の技術に基づいてルータの冗長化構成の制御を行う。バックアップモードからマスターモードへの遷移した時に、モード遷移があったことをIPアドレス数調査部依頼部111へ通知すると同時に、IPアドレス数調査部150を呼び出して、自ルータ配下のIPアドレス数を調査し、その結果を、ルータ管理情報保持部191内の自ルータに対応するレコードのIPアドレス数フィールド1912に設定する。
【0077】
IPアドレス数調査部111は装置冗長管理部110から起動され、IPアドレス数調査依頼パケット700aを生成して冗長化構成の各ルータへ送信する。
【0078】
IPアドレス数書き込み部120はIPアドレス数通知パケット700b受信時に起動され、IPアドレス数通知パケット700bに格納されているIPアドレス数を、図17で後述するルータ管理情報保持部191内の対応するレコードのIPアドレス数フィールド1912に書き込む。このとき、冗長化対象となる全てのルータのIPアドレス数フィールド1912にIPアドレス数が書き込まれているか否かをチェックする。つまり、分断された部分ネットワークの全てにおいてその配下のIPアドレス数の調査が完了したかを判断する。未完了の場合はここで一旦処理を終了し、完了時はIPアドレスブロック再定義部130を起動する。
【0079】
IPアドレスブロック再定義部130は、ルータ管理情報保持部191内の各レコードに保持されている分断された各ネットワーク配下のIPアドレス数の中の最大値を最大IPアドレス数Naとして抽出し、前記図5、図6に示した方法で新しいホストアドレス部613aのビット長Xaを決定する。
そして、分断前のホストアドレス部ビット長Xと新しいホストアドレス部ビット長Xaとの差yを求めて、2yが分断された部分ネットワーク数以上か否かを判定する。
【0080】
yが分断された部分ネットワーク数以上の場合は、新しいアドレスブロックを再定義することができ、従って、分断された部分ネットワークを、再定義したIPアドレスブロックに基づいてサブネット化することができることを意味する。このときは、IPアドレスブロックを再定義し、この再定義されたIPアドレスブロックを各ルータにIPアドレスブロック変更通知パケット700cで通知した後、IPアドレス再割当部140を起動する。一方、IPアドレスブロック変更通知パケット700cを受信した各ルータは再定義されたIPアドレスブロックを基に各部分ネットワーク内のIPアドレスの再割当を行うことにより、各部分ネットワークをサブネット化する。
【0081】
また、2yが分断された部分ネットワーク数より小の場合は、新しいアドレスブロック610aを再定義することができないことを意味するため、再構成結果通知部180を起動してサブネットの再構成が不可能である旨の情報を含んだ再構成結果通知パケット700dを運用者端末に送信する。
【0082】
IPアドレス再割当部140は、図18で後述する配下端末IPアドレス保持部192に格納されているIPアドレスのなかから、図17で後述するルータ管理情報保持部191内の対応するレコードのIPアドレスブロックフィールド1913に設定されているアドレスブロックの定義範囲外のIPアドレスを抽出する。そして、抽出されたIPアドレスに対して、IPアドレスブロック情報1913の内容に適合するようにIPアドレスを変更するようDHCP処理部104に指示してIPアドレスの再割り当てを行う。そして、IPアドレスの再割り当てが完了した時点で、再構成結果通知部160にサブネットの再構成が成功した旨を管理者端末に通知するよう指示する
再構成結果通知部180は、再構成結果通知パケット700dを作成し、通信部101を介して管理者端末へ送信する。IPアドレス再割当部140から起動された場合はIPアドレスの再割り当てが完了した場合であるため、再構成結果通知パケット700dの制御情報部704dに再構成結果情報として再構成に成功した旨を示す値(例えば”0”)を設定して、管理者端末へ送信すると同時に、経路情報広報部160を介して再構成後のサブネットのルーティング情報を外部ネットワーク(WANなど)へ広報する。また、IPアドレスブロック再定義部130から起動された場合はアドレスブロックの再定義が不可能な場合であるため、制御情報部704dに再構成結果情報としてサブネットの再構成不可を意味する値(例えば”1”)を設定して管理者端末へ送信する。
【0083】
DHCP機能部104は、IPアドレスの割り当てを既知のDHCP技術に基づいて行う。例えば既知のDHCPのRENEWメッセージを送信してIPアドレスの再割当を行う。
【0084】
IPアドレス数調査部150はIPアドレス数調査依頼パケット700a受信時にパケット種別判定部102から、または、装置冗長管理部110から起動され、既知のProxyARPなどを用いて自ルータ配下の端末のIPアドレスを獲得し、獲得したIPアドレスを後述する配下端末IPアドレス保持部192に書き込む。
また、獲得した配下のIPアドレスの数に、自ルータのLAN側のインターフェースに割り当てられているIPアドレスの数(通常は一つ)、および、特殊アドレス数の2を足した値をIPアドレス数として求める。
【0085】
そして、IPアドレス数調査依頼パケット700a受信によりパケット種別判定部102から起動された場合は、求めたIPアドレス数を設定したIPアドレス数通知パケット700bをIPアドレス調査依頼パケット700aの送信元へ通信部101を介して送信し、装置冗長管理部110から起動された場合は、求めたIPアドレス数を装置冗長管理部110へ通知する。
【0086】
経路情報広告部160は再構成結果通知部180により起動され、図17で後述するルータ管理情報保持部191内に保持されている対応するルータのIPアドレスブロックで定義されるサブネットに関する経路情報をWAN側ネットワークに広告する。
【0087】
従来処理170は、上記の本発明の制御パケットに関する処理または装置冗長制御処理以外の従来のパケットに関する処理を行う。
【0088】
図17は、本発明のルータのルータ管理情報保持部の構成例である。
ルータ管理情報保持部191は、冗長化された各ルータに関する管理情報を保持する1以上のレコードで構成される。ここで、fは冗長化ルータの数を示している。
各レコードは冗長化された各ルータに対応して設けられ、ルータアドレスフィールド1911、IPアドレス数フィールド1912、IPアドレスブロックフィールド1913を含んでいる。
【0089】
ルータアドレス1911は、冗長化対象ルータに割り当てられたWAN側のIPアドレスを格納している。例えば、前記図12に示した処理シーケンス(1)の場合は、ルータ100では”AA.BB.DD.1”が、ルータ200では”AA.BB.EE.1”が格納される。
【0090】
IPアドレス数フィールド1912は、分断された各部分ネットワーク配下のLAN側のIPアドレス数を保持する。他のルータから受信したIPアドレス数通知パケット700bのIPアドレス数フィールドに格納されている他のルータ配下の部分ネットワークのIPアドレス数、および自ルータのIPアドレス数調査部150がProxyARPなどにより得た自ルータ配下の部分ネットワークのIPアドレス数を保持する。例えば、前記図12に示した処理シーケンス例(1)のケースでは、ルータ200は、ルータ100から受信したIPアドレス数通知パケット700bのIPアドレス数フィールド704bに格納されている値(“33”)と、自ルータ200配下のIPアドレス数 (“63”)を格納する。
【0091】
このIPアドレス数フィールド1912には、例えば、ネットワーク分断前の状態では所定の同じ初期値を全てのレコードについて設定しておくことにより、ネットワーク分断後に分断された部分ネットワークでのIPアドレス数調査が完了した順に対応するレコードのIPアドレス数フィールド1912にその調査完了したIPアドレス数が設定されるため、IPアドレス数フィールド1912が全てのレコードについて初期値のままか否かを判定することにより、全ての分断された部分ネットワークの調査が完了したか否かを判定することができる。
【0092】
IPアドレスブロックフィールド1913は、各ルータ配下の部分ネットワークを定義するIPアドレスブロックを保持する。
【0093】
このIPアドレスブロックフィールド1913には、例えば、ネットワーク分断前の状態では全てのルータに対応するレコードに分断前のネットワークのサブネットを定義するIPアドレスブロックを設定しておくことにより、ネットワーク分断後にバックアップモードからマスターモードへ移行したルータがIPアドレスブロックを再定義する際に利用することができる。前記図12に示した処理シーケンス例(1)のケースでは、障害発生前はルータ100、200ともに”AA.BB.CC.00/24”を、IPアドレスブロック再定義後は、ルータ100では”AA.BB.CC.64/26”を、ルータ200では”AA.BB.CC.0/26”をIPアドレスブロックフィールド1913に保持する。
【0094】
図18は、本発明のルータの配下端末IPアドレス保持部の構成例である。
本発明のルータの配下端末IPアドレス保持部192は、IPアドレス数調査部150が、例えば既知のProxyARPなどにより得た自ルータ配下の端末の全てのIPアドレスを保持しておく。図18のgはIPアドレスの個数を示している。
【0095】
図19は、本発明のルータの管理者端末IPアドレス保持部の構成例である。
管理者端末IPアドレス保持部193は、ネットワークの運用者が操作する1以上の管理者端末のIPアドレスを保持している。本発明のネットワークの再構成が成功したか否かを示す再構成結果パケット700dを管理者端末に送信する際に使用する。図19において、hは管理者端末の数を示している。
【0096】
以上に説明した本発明の構成例では、説明の便宜上冗長化されたルータが2台で、ネットワーク障害が1箇所で発生した場合を代表例として示したが、冗長化されたルータが3台以上で複数のネットワーク障害が同時に発生し、ネットワークが同時に3つ以上の部分ネットワークに分断される場合も本発明の本質は同様に適用でき、その場合は3以上の部分ネットワークをサブネットとして再構成できることは容易に推察できる。
(付記1)冗長構成されたルータの配下にあるネットワークを前記ルータを介して他のネットワークに接続し、
前記ネットワーク内でパケットの伝送を行う複数の中継装置間の通信リンク断により前記ネットワークが前記冗長化されたルータの少なくとも1つ含む部分ネットワークに分断された場合は、前記分断された各部分ネットワークを新たなサブネットとして構成する
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
(付記2)付記1に記載のネットワーク再構成方法において、
分断された前記部分ネットワークに含まれるルータは、ネットワークをサブネット化するための定義情報であるIPアドレスブロックを再定義し、前記再定義されたIPアドレスブロックを基に前記部分ネットワーク内のIPアドレスの再割り当てを行って前記部分ネットワークを新たなサブネットとして構成する
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
(付記3)付記2に記載のネットワーク再構成方法において、
前記IPアドレスブロックの再定義は、前記分断された各部分ネットワークが使用するIPアドレスの数を検出し、前記検出したIPアドレス数の中の最大IPアドレス数を基にサブネット内のIPアドレスの相対的な位置を示すホストアドレス部のビット長を求めて新たなIPアドレスを構成することにより行う
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
(付記4)付記3に記載のネットワーク再構成方法において、
前記ホストアドレス部のビット長は、前記最大IPアドレス数分のIPアドレスを収容できる最小のホストアドレス部のビット長として求める
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
(付記5)付記2に記載のネットワーク再構成方法において、
前記IPアドレスの再割り当ては、前記再定義されたIPアドレスブロックで定義される範囲外のIPアドレスを検出し、前記範囲外のIPアドレスを前記再定義されたIPアドレスブロックで定義される範囲内のIPアドレスに変更して行う
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
(付記6)付記3に記載のネットワーク再構成方法において、
前記部分ネットワークが使用するIPアドレスの数の検出は、前記部分ネットワークに含まれる端末のIPアドレス、前記ルータの前記部分ネットワーク側との通信インターフェースのIPアドレス、および、所定の特殊目的のIPアドレスの合計値として求める
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
(付記7)付記1に記載のネットワーク再構成方法において、
前記分断された部分ネットワークのサブネットの再構成が成功したか否かを示す情報をネットワークの管理者端末に通知する
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
(付記8)付記3に記載のネットワーク再構成方法において、
前記IPアドレス数の検出は、前記ネットワーク内の前記中継装置間の通信リンク断を検出した第1のルータが前記第1のルータ以外の冗長化されたルータである第2ルータに対してIPアドレス数の調査を依頼するIPアドレス調査依頼パケットを送信し、前記IPアドレス数調査依頼パケットを受信した第2のルータは、配下のIPアドレス数を調査した結果を前記第1のルータへ通知することにより行う、
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
(付記9)付記2に記載のネットワーク再構成方法において、
前記IPアドレスブロックの再定義は、前記ネットワーク内の前記中継装置間の通信リンク断を検出した第1のルータにより行われ、前記第1のルータは、前記第1のルータ以外の冗長化されたルータである第2のルータに対して前記再定義したIPアドレスブロックを通知し、前記第2のルータは受信した前記再定義したIPアドレスブロックを基に配下のIPアドレスの再割り当てを行う
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
(付記10)ネットワークを配下に収める冗長構成されたルータにおいて、
前記ネットワーク内でパケットの伝送を行う複数の中継装置間の通信リンク断を検出する装置冗長管理部と、
前記ネットワーク内の前記中継装置間の通信リンク断により前記ネットワークが前記冗長化されたルータの少なくとも1つ含む部分ネットワークに分断された場合に、前記分断された部分ネットワークを新たなサブネットとして構成するサブネット再構成手段を備える
ことを特徴とするルータ。
(付記11)付記10に記載のルータにおいて
前記サブネット再構成手段は、ネットワークをサブネット化するための定義情報であるIPアドレスブロックを再定義するIPアドレスブロック再定義部と、IPアドレスの再割り当てを行うIPアドレス再割当部を含み、
前記IPアドレスブロック再定義部により新たに定義されたIPアドレスブロックを基に前記IPアドレス再割当部が前記部分ネットワーク内のIPアドレスの再割り当てを行うことにより前記部分ネットワークを新たなサブネットとして構成する
ことを特徴とするルータ。
(付記12)付記11に記載のルータにおいて
前記ルータは配下のネットワークに含まれるIPアドレスを収集して使用中のIPアドレス数を求めるIPアドレス数調査部を含み、
前記IPアドレス数調査部は分断された部分ネットワークが使用しているIPアドレスの数を検出し、
前記IPアドレスブロック再定義部は、前記IPアドレス数調査部が検出した部分ネットワークのIPアドレス数の中の最大IPアドレス数を基にサブネット内のIPアドレスの相対的な位置を示すホストアドレス部のビット長を求め、前記求めたホストアドレス部のビット長を基に新たなIPアドレスを構成することによりIPアドレスブロックを再定義する
ことを特徴とするルータ。
(付記13)付記12に記載のルータにおいて、
前記ホストアドレス部のビット長は、前記最大IPアドレス数分のIPアドレスを収容できる最小のホストアドレス部のビット長として求める
ことを特徴とするルータ。
(付記14)付記11に記載のルータにおいて、
前記IPアドレス再割当部は、前記再定義されたIPアドレスブロックで定義される範囲外のIPアドレスを検出し、前記範囲外のIPアドレスを前記再定義されたIPアドレスブロックで定義される範囲内のIPアドレスに変更する
ことを特徴とするルータ。
(付記15)付記12に記載のルータにおいて、
前記IPアドレス数調査部は、前記部分ネットワークが使用するIPアドレスの数を、前記部分ネットワークに含まれる端末のIPアドレス、前記ルータの前記部分ネットワーク側との通信インターフェースのIPアドレス、および、所定の特殊目的のIPアドレスの合計値として求める
ことを特徴とするルータ。
(付記16)付記10に記載のルータにおいて、
前記分断された部分ネットワークのサブネットの再構成が成功したか否かを示す情報をネットワークの管理者端末に通知する
ことを特徴とするルータ。
(付記17)付記12に記載のルータにおいて、
前記IPアドレス数の検出は、前記ネットワーク内の前記中継装置間の通信リンク断を検出した第1のルータが前記第1のルータ以外の冗長化されたルータである第2ルータに対してIPアドレス数の調査を依頼するIPアドレス調査依頼パケットを送信し、前記IPアドレス数調査依頼パケットを受信した第2のルータは、配下のIPアドレス数を調査した結果を前記第1のルータへ通知することにより行う、
ことを特徴とするルータ。
(付記18)付記11に記載のルータにおいて、
前記IPアドレスブロックの再定義は、前記ネットワーク内の前記中継装置間の通信リンク断を検出した第1のルータにより行われ、前記第1のルータは、前記第1のルータ以外の冗長化されたルータである第2のルータに対して前記再定義したIPアドレスブロックを通知し、前記第2のルータは受信した前記再定義したIPアドレスブロックを基に配下のIPアドレスの再割り当てを行う
ことを特徴とするルータ。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】従来のネットワーク構成例である。
【図2】従来のネットワークを冗長化しないネットワーク構成例である。
【図3】本発明によるネットワークの再構成方法の概要である。
【図4】本発明で用いるIPアドレス構成の概要である。
【図5】本発明のIPアドレスブロックの再定義方法の概要である。
【図6】本発明のIPアドレスブロック再定義の方法である。
【図7】本発明の制御パケット構成例の概要である。
【図8】本発明の制御パケットの構成例(1)である。
【図9】本発明の制御パケット構成例(2)である。
【図10】本発明の制御パケット構成例(3)である。
【図11】本発明の制御パケット構成例(4)である。
【図12】本発明の処理シーケンス例(1)である。
【図13】本発明の制御パケットの使用例(1)である。
【図14】本発明の処理シーケンス例(2)である。
【図15】本発明の制御パケットの使用例(2)である。
【図16】本発明のルータの構成例である。
【図17】本発明のルータのルータ管理情報保持部の構成例である。
【図18】本発明のルータの配下端末IPアドレス保持部の構成例である。
【図19】本発明のルータの管理者用端末IPアドレス保持部の構成例である。
【符号の説明】
【0098】
1−1、1−m、2−1、2−n 端末
10、20 ハブ
11,12,13、21、22、23 端末
31、32、33、34、35 通信リンク
91、92 中継装置(L2−SW、ハブ)
100、200 ルータ
101 通信部
102 パケット種別判定部
104 DHCP処理部
110 装置冗長管理部
111 IPアドレス数調査依頼部
120 IPアドレス書き込み部
130 IPアドレスブロック再定義部
140 IPアドレス再割当部
150 IPアドレス数調査部
160 経路情報広報部
170 従来処理
180 再構成結果通知部
191 ルータ管理情報保持部
1911 ルータアドレス
1912 IPアドレス数
1913 IPアドレスブロック
192 配下端末IPアドレス保持部
193 管理者端末IPアドレス保持部
300、900 ネットワーク
310、320 部分ネットワーク
400 WAN
500 センター側ルータ
600、610、610a IPアドレス構成
601 ネットワークアドレス部
602 サブネットアドレス部
603、613、613a ホストアドレス部
604、614、614a サブネットマスク対応部
615 差分ビット
700 制御パケット
700a IPアドレス数調査依頼パケット
700b IPアドレス数通知パケット
700c IPアドレスブロック変更通知パケット
700d 再構成結果通知パケット
701 IPヘッダ
702 TCPヘッダ
703、703a、703b、703c、703d 種別コード
704、704b,704c、704d 制御情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冗長構成されたルータの配下にあるネットワークを前記ルータを介して他のネットワークに接続し、
前記ルータ配下のネットワーク内でパケットの伝送を行う複数の中継装置間の通信リンク断により、前記ネットワークが前記冗長化されたルータの少なくとも1つ含む部分ネットワークに分断された場合は、前記分断された部分ネットワークを新たなサブネットとして構成する
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
【請求項2】
請求項1に記載のネットワーク再構成方法において、
分断された前記部分ネットワークに含まれるルータは、ネットワークをサブネット化するための定義情報であるIPアドレスブロックを再定義し、前記再定義されたIPアドレスブロックを基に前記部分ネットワーク内のIPアドレスの再割り当てを行って前記部分ネットワークを新たなサブネットとして構成する
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
【請求項3】
請求項2に記載のネットワーク再構成方法において、
前記IPアドレスブロックの再定義は、前記分断された部分ネットワークが使用するIPアドレスの数を検出し、前記検出したIPアドレス数の中の最大IPアドレス数を基にサブネット内のIPアドレスの相対的な位置を示すホストアドレス部のビット長を求めて新たなIPアドレスを構成することにより行う
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
【請求項4】
請求項3に記載のネットワーク再構成方法において、
前記ホストアドレス部のビット長は、前記最大IPアドレス数分のIPアドレスを収容できる最小のホストアドレス部のビット長として求める
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
【請求項5】
請求項2に記載のネットワーク再構成方法において、
前記IPアドレスの再割り当ては、前記再定義されたIPアドレスブロックで定義される範囲外のIPアドレスを検出し、前記範囲外のIPアドレスを前記再定義されたIPアドレスブロックで定義される範囲内のIPアドレスに変更して行う
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
【請求項6】
請求項3に記載のネットワーク再構成方法において、
前記部分ネットワークが使用するIPアドレスの数の検出は、前記部分ネットワークに含まれる端末のIPアドレス、前記ルータの前記部分ネットワーク側との通信インターフェースのIPアドレス、および、所定の特殊目的のIPアドレスの合計値として求める
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
【請求項7】
請求項1に記載のネットワーク再構成方法において、
前記分断された部分ネットワークのサブネットの再構成が成功したか否かを示す情報をネットワークの管理者端末に通知する
ことを特徴とするネットワーク再構成方法。
【請求項8】
ネットワークを配下に収める冗長構成されたルータにおいて、
前記ネットワーク内でパケットの伝送を行う複数の中継装置間の通信リンク断を検出する装置冗長管理部と、
前記ネットワーク内の前記中継装置間の通信リンク断により前記ネットワークが前記冗長化されたルータの少なくとも1つ含む部分ネットワークに分断された場合に、前記分断された部分ネットワークを新たなサブネットとして構成するサブネット再構成手段を備える
ことを特徴とするルータ。
【請求項9】
請求項8に記載のルータにおいて
前記サブネット再構成手段は、ネットワークをサブネット化するための定義情報であるIPアドレスブロックを再定義するIPアドレスブロック再定義部と、IPアドレスの再割り当てを行うIPアドレス再割当部を含み、
前記IPアドレスブロック再定義部により新たに定義されたIPアドレスブロックを基に前記IPアドレス再割当部が前記部分ネットワーク内のIPアドレスの再割り当てを行うことにより前記部分ネットワークを新たなサブネットとして構成する
ことを特徴とするルータ。
【請求項10】
請求項9に記載のルータにおいて
前記ルータは配下のネットワークに含まれるIPアドレスを収集して使用中のIPアドレス数を求めるIPアドレス数調査部を含み、
前記IPアドレス数調査部は分断された部分ネットワークが使用しているIPアドレスの数を検出し、
前記IPアドレスブロック再定義部は、前記IPアドレス数調査部が検出した部分ネットワークのIPアドレス数の中の最大IPアドレス数を基にサブネット内のIPアドレスの相対的な位置を示すホストアドレス部のビット長を求め、前記求めたホストアドレス部のビット長を基に新たなIPアドレスを構成することによりIPアドレスブロックを再定義する
ことを特徴とするルータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−199546(P2008−199546A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35461(P2007−35461)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】