説明

ネットワーク帯域制御方式

【課題】本発明は、要求帯域より少ない帯域が使用可能であれば、帯域要求のノードにその少ない帯域を割り当てデータ伝送を可能とするネットワーク帯域制御方式を提供することを目的とする。
【解決手段】データを受信する受信ノードを管理する帯域制御ノードはネットワークのトラフィックを制御する管理ノードに使用可能な帯域の確認の通知をし、さらに前記管理ノードはデータを送信する送信ノードを管理する帯域制御ノードに使用可能な帯域の確認の通知をして、管理ノードは送信ノードを管理する帯域制御ノードからの使用可能な帯域とネットワークの現在の使用帯域の情報から決定した使用帯域を前記各々の帯域制御ノードへ通知して、前記決定した使用可能な帯域でデータの送受信を行うようにして帯域制御を行うようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ネットワーク帯域制御方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術のネットワーク帯域制御方式として、特開平11―163867がある。
【0003】この従来の技術は、ファイバチャネルを用いたスイッチ形LAN(Local Area Network)において一部リンクを共用して、複数ノードがクラス1通信を同時に行う場合の各ノードの帯域を確保するものである。その帯域制御方式は次のようになる。
【0004】ネットワークには、複数のノードの通信の帯域を管理する帯域管理サーバーが設けられる。帯域管理サーバーにより、帯域が管理される被管理ノード毎に帯域管理クライアント部が設けられ、被管理ノードは通信に先立ち帯域管理クライアント部を介して帯域管理サーバーに対し通信宛先と要求帯域を含む帯域要求を行う。帯域管理サーバーは、帯域管理クライアント部からの帯域要求を入力すると通信宛先により定められるリンク上での各被管理ノードによる通信の競合の有無を検出する。そして、帯域管理サーバは、この検出結果と帯域要求に含まれる要求帯域の値に基づきリンクに対するコネクションの開設・削除を帯域管理クライアント部へ指示して帯域の分配制御を行う。また、帯域管理サーバーは、被管理ノードから要求帯域を入力すると、被管理ノードのクラス1コネクションの最大継続時間を算出して、クラス1コネクション開設の許可及び算出した最大継続時間を帯域管理クライアント部へ通知する。この通知を受信した帯域管理クライアント部は、被管理ノードへコネクション開設を指示するとともに、指示した最大継続時間以内にコネクションを削除するように制御する。
【0005】また、帯域管理サーバーは、被管理ノードから帯域要求を受信すると、この受信情報に基づきコネクション経路上で最も競合が発生するリンクを検出する検出手段を有する。さらに、帯域管理サーバーは、被管理ノードの最大継続時間Tmaxを、予めネットワークの動作定数として与えられた最大遅延時間Tdと、被管理ノードからの要求帯域Mnと、検出手段により検出されたリンクに対する要求帯域の合計値SMとを用いて、Tmax=Td×Mn/SMの計算により算出する。また、帯域管理サーバーは、各被管理ノードに対しコネクション開設許可を与える毎に最大継続時間Tmaxを計算し、求めた値を各被管理ノードへ通知する。
【0006】また、ネットワークに各被管理ノードの通信を交換制御するスイッチファブリックを設け、帯域管理サーバーはスイッチファブリックに接続されている。また、帯域管理サーバーは、スイッチファブリックのポートからコネクションの削除検出を示すイベント情報を取り込むと、競合する他の被管理ノードへラウンドロビン形式でコネクション開設の許可を与える。新たな帯域要求の発生により、リンクの要求帯域の合計値SMが該リンクの帯域容量を超過する場合は、帯域管理サーバーは新たな帯域要求を拒否し、該帯域要求のノードに対して待機を強いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では、新たな要求帯域によって、現在のリンクの要求の合計値がリンクの帯域容量を超えると、要求帯域より少ない帯域が使用可能であったとしても当該の新たな帯域要求を行ったノードの通信は待たされてしまうという問題がある。
【0008】したがって、本発明は、新たな要求帯域がリンクの帯域の合計を超過したとしても、新たな要求帯域より少ない帯域が使用可能であれば、当該新たな帯域要求のノードにその帯域を割り当てってデータ伝送を可能とするネットワーク帯域制御方式の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成するために、データの送受信を行う複数のクライアントノードと、該複数のクライアントノードのトラフィックを管理する複数の帯域制御ノードと、前記クライアントノード間のトラフィックを制御する管理ノードとが接続されたネットワークにおけるネットワーク帯域制御方式において、一方の前記帯域制御ノード下でデータを送信するクライアントノードである送信ノードから他方の前記帯域制御ノード下でデータを受信するクライアントノードである受信ノードへのコネクション要求に応答して、前記受信ノードを管理する帯域制御ノードは前記管理ノードに使用可能な帯域の確認の通知をし、さらに前記管理ノードは前記送信ノードを管理する帯域制御ノードに使用可能な帯域の確認の通知をして、前記管理ノードは前記送信ノードを管理する帯域制御ノードからの使用可能な帯域と前記ネットワークの現在の使用帯域の情報から決定した使用帯域を前記各々の帯域制御ノードへ通知して、前記決定した使用可能な帯域でデータの送受信を行うネットワーク帯域制御を行うようにしたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】図2は、本発明の実施例を示すネットワークシステムの構成図である。同図は、一つの管理ノード101と、二つの帯域制御ノード102、103と、帯域制御ノード102の制御下に接続されている二つのクライアントノード104、105と、帯域制御ノード103の制御下に接続されている二つのクライアントノード106、107で構成されたネットワークである。クライアント104〜107は、TCPプロトコルのフロー制御に基づいてデータの送受信を行う。帯域制御ノード102、103は、自ノード下に接続されているクライアントノードのトラフィック量を制御する。各クライアントノードが他の帯域制御ノード下のクライアントノードにデータを伝送する場合は、管理ノード101へ使用可能な帯域を確認した後、データ伝送を行う。管理ノード101は、帯域制御ノード102、103に使用可能な帯域の確認と通知をすると共に、またネットワーク108の帯域使用量の把握を行う。さらに、帯域制御ノード102、103は、他の帯域制御ノード下のクライアントノードとのデータ送受信において行われる、TCPプロトコルのフロー制御に基づくACKデータのウインドウサイズを書き換えて、新たなウインドウサイズを設定したACKデータを送信側のクライアントノードに送信する機能を有している。この機能は、受信側の帯域制御ノードで行われる。ウインドウサイズは、TCPプロトコルにおける受信確認応答ACKデータに含められる受信側の受信可能なデータ量を送信側に告知するデータサイズである。
【0011】本発明の帯域制御の動作を図1のシーケンス図で説明する。同図は、クライアントノード104からクライアントノード107へデータを伝送する場合のシーケンスを示している。クライアントノード104がクライアントノード107へデータ伝送を開始するに当たっては、クライアントノード107へコネクション要求データ300を送信する。クライアントノード107は、自ノードの受信可能なデータサイズをウインドウサイズとして6000バイトを設定した受信確認応答ACKデータ206を帯域制御ノード103へ送信する。帯域制御ノード103は、REQコマンド207により使用可能な帯域を管理ノード101へ問い合わせる。これに対して、管理ノード101はデータを送信するクライアントノード104を制御している帯域制御ノード102に空き帯域幅をREQコマンド208で問い合わせをする。帯域制御ノード102は、RESコマンド209を返信し現在の空きの帯域を管理ノード101に通知する。管理ノード101は、受信したRESコマンド209の空きの帯域の情報とネットワーク上に流れる現在のトラフィック量を元にクライアント104とクライアントノード107の送受信の使用帯域を決定する。使用帯域を確保するために、管理ノード101は、決定した使用帯域の情報をALCコマンド210で帯域制御ノード102に通知する。帯域制御ノード102は、前記決定された使用帯域が確保できたたことをRALCコマンド211で管理ノード101へ通知する。管理ノード101は、前記決定した帯域を使用可能帯域としてRESコマンド212で帯域制御ノード103へ送信する。帯域制御ノード103は、使用可能帯域を元にクライアントノード107から受信したACKコマンド206のウインドウサイズの6000バイトを2000バイトに変更し、クライアントノード104へACKコマンド213を送信する。クライアント104は、ACKコマンド213を受信すると、ACKコマンド213に設定されているウインドウサイズの2000バイトのデータ218をクライアント107へ送信する。
【0012】また、帯域制御ノード103は、遅延時間216をもって次のウインドウサイズの2000バイトを設定したACKデータ214を送信して、送信側のクライアント104に次の2000バイトのデータを送信することを促す。以下、上述の一連の動作を繰り返して、受信側のクライアント107が最後の2000バイトのデータ220を受信すると、クライアント107は自ノードの受信可能なデータサイズを含めた次の受信確認応答ACKデータ221を送信してTCPプロトコルのフロー制御によるデータ送受信の動作を継続する。あるいは、送信側のクライアント104からコネクション削除データを送信して送受信間のデータの送受信を終了する。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、要求帯域より少ない帯域が使用可能であれば、帯域要求のノードにその少ない帯域を割り当てってデータ伝送を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例における帯域制御されたシーケンス図
【図2】 本発明の一実施例におけるネットワークシステムの構成を示す図
【符号の説明】
101:管理ノード、102:帯域制御ノード、103:帯域制御ノード、104〜107:クライアントノード、108:ネットワーク、206:受信確認応答ACKデータ、207、208:REQコマンド、209:RESコマンド、210:ALCコマンド、211:RALCコマンド、212:RESコマンド、213〜215:ACKデータ、216、217:遅延時間、218〜220:データ、221:受信確認応答ACKデータ、300:コネクション要求データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】データの送受信を行う複数のクライアントノードと、該複数のクライアントノードのトラフィックを管理する複数の帯域制御ノードと、前記クライアントノード間のトラフィックを制御する管理ノードとが接続されたネットワークにおけるネットワーク帯域制御方式において、一方の前記帯域制御ノード下でデータを送信するクライアントノードである送信ノードから他方の前記帯域制御ノード下でデータを受信するクライアントノードである受信ノードへのコネクション要求に応答して、前記受信ノードを管理する帯域制御ノードは前記管理ノードに使用可能な帯域の確認の通知をし、さらに前記管理ノードは前記送信ノードを管理する帯域制御ノードに使用可能な帯域の確認の通知をして、前記管理ノードは前記送信ノードを管理する帯域制御ノードからの使用可能な帯域と前記ネットワークの現在の使用帯域の情報から決定した使用帯域を前記各々の帯域制御ノードへ通知して、前記決定した使用可能な帯域でデータの送受信を行うようにしたこを特徴とするネットワーク帯域制御方式。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2002−261765(P2002−261765A)
【公開日】平成14年9月13日(2002.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−61782(P2001−61782)
【出願日】平成13年3月6日(2001.3.6)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】