説明

ネットワーク装置におけるトラフィック制御及びその方法

【課題】プロセスキャッシュのパケットの到着順序に依存するヒット率の低下を防ぎ、ネットワーク装置の性能低下を防ぐ技術を提供する。
【解決手段】トラフィック管理部として、プロセスキャッシュの前段にプロセスキャッシュのタグを収めるプロセスキャッシュタグと、前記タグの各エントリに対応するFIFOキューを持つ機能ブロックを設ける。トラフィック管理部では、同一フローと判断したパケット群を到着順に同一のFIFOキューに積む。各FIFOキューは対応するプロセスキャッシュの登録状況を記録しており、プロセスキャッシュに未登録状態のエントリのFIFOキューにパケットが到着すると、先頭のパケットのみをプロセスキャッシュミス処理を実施する機能ブロックへ渡し、プロセスキャッシュに登録されるのを待つ。以降のパケットはプロセスキャッシュへの登録が完了した時点でFIFOキューからプロセスキャッシュへのアクセスを実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大容量パケットの低遅延交換システム向けのルータやスイッチ等のネットワーク装置構成方法にかかわる技術である。特に、ネットワーク装置の構成要素として、キャッシュを利用してIP(Internet Protocol)パケットやMAC(Media Access Control)フレームの処理を実施するネットワークプロセッサやASIC(Application Specific Integrated Circuit)のためのトラフィック制御に効果的な技術である。
【背景技術】
【0002】
通信分野においては、複数のネットワーク間を接続するためにルータやスイッチ等のネットワーク装置が用いられる。ネットワーク装置は、レイヤ3のIPに基づくパケット、レイヤ2のMACに基づくフレームと呼ばれるデータを送受信することにより通信を行う。以下では、ひとつのデータ単位をパケットと呼び議論を進める。ネットワーク装置は、受信したパケットの宛先アドレスを調べてパケットの転送先を決定し、所定の転送先にパケットを転送することを繰り返し、目的の宛先へパケットを届ける。世界のネットワークで送受信されるパケットの総量は増大する一方であり、ネットワーク装置のパケット転送性能も、トラフィック量の増大に伴って向上させていく必要がある。また、パケットを単に転送するだけではなく、所定のルールを定めて該ルールに適合するものだけを転送(フィルタリング)したり、該ルールに従い単位時間あたりのパケット送出量を規定以下に制限(シェイピング)したり、該ルールに従いパケット間に優先順位を設けて転送したり、該ルールに従いパケットの情報を修正する等の処理も行う。
【0003】
安価なネットワーク媒体としてイーサネットが利用されている。イーサネットのスピードは1990年代半ばまでは10Mbps(Megabit per second)から100Mbpsと比較的低速であったため、パケット処理は汎用プロセッサを用いたソフトウェア処理でも十分な余裕があった。しかしながら、1990年代後半よりイーサネットのスピードは1Gbps(Gigabit per second)から10Gbpsと高速化が進んでおり、この速度でパケット処理を実施するために、ネットワーク装置にはパケット処理専用に設計されたネットワークプロセッサやASICが用いられるようになっている。
【0004】
ネットワークインタフェースの速度が上がるにつれ、パケットひとつあたりにかけられる処理時間は短くなっていく。ネットワークプロセッサでは、内部に複数のプロセッサ(パケット処理エンジン)を組み込み、パケットを並列処理することにより、パケットあたりの処理時間を確保しスループット向上を果たしている。しかしながら、ネットワークプロセッサのスループットを向上させ、より高速なネットワークインタフェースに対応させるために、ネットワークプロセッサ内部のパケット処理エンジンの数を増加させる手法は、ネットワークプロセッサの巨大化と消費電力の増加を引き起こす。
【0005】
そこで、内部パケット処理エンジンの数を増加させる代わりに、キャッシュメモリを追加し、該パケット処理エンジン群での処理結果をプロセスキャッシュと呼ぶキャッシュに記録し、同一処理で済むパケットは前記プロセスキャッシュの内容を利用するネットワークプロセッサアーキテクチャが特願2003−048730号公報にて提案されている。前記ネットワークプロセッサアーキテクチャ、もしくはそれに順ずるアーキテクチャを以降ではキャッシュ型パケット処理部と呼ぶ。ネットワークを流れるパケット流(トラフィック)には、同一のヘッダ情報、例えば送信元と宛先のペアが一緒といった情報を持つパケットが短時間の間に多数出現しやすい性質(時間的局所性)があるため、パケット流の混ざり合いの度合いが濃くないネットワークの末端近くのエッジ網やアクセス網、及びネットワーク中心から末端の間に位置するミドルマイル網ではキャッシュ型パケット処理部は比較的有効に働くと考えられる。
【0006】
前記のキャッシュ型ネットワークプロセッサによりネットワーク装置を構成する場合、パケットの到着順序によってはキャッシュのヒット率が低下し、ひいてはネットワーク装置全体のスループットが低下する恐れがある。具体的には、同一のヘッダを持つパケット群が短時間に大量に到着し、最初のパケットのキャッシュ登録がそれ以降のパケットの到着に間に合わないケースである。
【0007】
前記状況で発生する問題を解決するためには、パケットのスケジューリングが必要である。スケジューリング手法には、有用な多くの公知例が存在する。例えば、複数のセッション(フロー)をクラス毎に分類した第1レベルのスケジューリングを実施した後、それらのいくつかの出力に対し第2レベルのスケジューリングを行い、残りの第1レベルの出力と第2レベルの出力に対して優先順位付けを行う第3レベルのスケジューリングを行う方法が特表2001−519120にて公開されている。また、優先度付きのキューと出力キューを縦列に接続し、前段の優先度キューは低優先度のパケットを滞留させマークを付け、後段の出力キューで輻輳検出を行い輻輳発生時にはマーク付けされているパケットを廃棄することにより優先度毎のトラフィック量の変動と無関係に一定の帯域を確保し、保証帯域を有効利用するスケジューリング技術が特開2002−185501にて公開されている。
また、パケットを格納する複数本のキューを備え、各キューの先頭パケットに転送終了予定時刻の早い順に転送順序の重み付けを行い、転送帯域制御を実施するスケジューラに関して特開2000−101637にて公開されている。ただし、事実上、比較的少数のキューしかハードウェアへの実装が困難とし、特開2003−324471で、事実上実装可能なキューの数を増加させ、帯域制御を高精度化させるために複数個の演算器を並列且つ時分割で動作させ前記のスケジューリングを実施する手法に関して公開している。
しかしながら、いずれのスケジューリングも、本発明が解決しようとする課題、プロセスキャッシュのヒット率の低下を防ぐためのスケジューリングを実施することができない。
本願発明者が出願した特願2003−346519では、プロセスキャッシュにミスしたパケットを処理する機能ブロックにおいて、キャッシュミスしたフローの先頭パケットのみプロセッサで処理させ、該フローの二つ目以降はキャッシュミスを扱う前記機能ブロックで保持しておく手法が開示されている。しかし、プロセスキャッシュにアクセスする以前にパケットをスケジューリングする手法に関しては言及していない。
【0008】
【特許文献1】特願2003−048730号
【0009】
【特許文献2】特表2001−519120号公報
【特許文献3】特開2000−101637号公報
【特許文献4】特開2002−185501号公報
【特許文献5】特開2003−324471号公報
【特許文献6】特願2003−346519号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、ネットワークまたはスイッチファブリックからの入力トラフィックを管理し、パケット転送処理を高速化するためにパケット処理結果を保持するプロセスキャッシュと呼ばれるキャッシュのパケットの到着順序に依存するヒット率の低下を防ぎ、結果としてプロセスキャッシュ技術を利用したネットワーク装置の性能低下を防ぐ技術を提供することにある。
また、可能な限りプロセスキャッシュにヒットする状態を作り出すことで、プロセスキャッシュミス時に利用するパケット処理プロセッサの稼働率を低下させ、消費電力を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ネットワークプロセッサの巨大化を避けつつ、パケット転送処理を高速化するためのプロセスキャッシュと呼ばれる技術を補助し、ネットワークトラフィックを管理することで、プロセスキャッシュのヒット率低下を防ぐための技術である。プロセスキャッシュ技術では、受信パケットに対する処理結果を記録するためのキャッシュがキャッシュ型パケット処理部に設けられる。プロセスキャッシュ技術では、パケット群を利用者が定めたルールに従い分類し、分類したパケット群の中で最初のパケットのみをキャッシュ型パケット処理部の内部に組み込むプロセッサにおいて処理する。前記処理結果をプロセスキャッシュに記録して、以後同一フローと判断するパケットにはプロセスキャッシュに記録してある結果を即座に受信パケットに適用する。この操作により、ネットワークプロセッサに内蔵された組み込みプロセッサでの処理を削減し、ネットワーク装置のパケット処理速度を向上する。
【0012】
本発明では、ネットワークトラフィックを管理するためのトラフィック管理部として、プロセスキャッシュの前段にプロセスキャッシュのタグを収めるプロセスキャッシュタグと、前記タグの各エントリに対応するFIFO(First In First Out)キューを持つ機能ブロックを設ける。トラフィック管理部では、同一フローと判断したパケット群を到着順に同一のFIFOキューに積む。各FIFOキューは対応するプロセスキャッシュの登録状況を記録しており、プロセスキャッシュに未登録状態のエントリのFIFOキューにパケットが到着すると、先頭のパケットのみをプロセスキャッシュミス処理を実施する機能ブロックへ渡し、プロセスキャッシュに登録されるのを待つ。二つ目以降のパケットはプロセスキャッシュへの登録が完了した時点でFIFOキューからプロセスキャッシュへのアクセスを実施する。前記操作により、フローの先頭以外のパケットのプロセスキャッシュアクセスは必ずキャッシュヒットとすることが可能となる。
【0013】
前記の手段により、パケットの到着順序に依存するキャッシュヒット率の低下を防ぐ。尚、二つ目以降のパケットを保持している間、同一フローではないと判断したパケット群の先頭のパケットもプロセスキャッシュミス処理を実施する機能ブロックへ渡すことを可能とする。前記操作により、異なるフローに属するパケットの並列処理を実施することで組み込みプロセッサ資源の有効利用も図る。
【0014】
本発明のパケット処理方法は、より詳細には、キャッシュメモリを用い、先行するパケットに関する処理結果をキャッシュメモリに記録し、先行するパケットと同一処理を行う後続のパケットの処理は該キャッシュメモリの内容を利用する、キャッシュ型のパケット処理方法であって、パケットを受信するステップと、受信したパケットをフロー毎に分類するステップと、フロー毎に分類したパケットを、パケットの到着順序を維持してFIFO型のキューにフロー毎に記録するステップと、キュー内のフローの所定パケットがキャッシュに未登録である場合、所定パケットを処理して処理結果をキャッシュメモリに格納するとともに、同一キュー内の所定パケット以降のパケットは、キューに待機させておくステップと、所定パケットに関する処理結果のキャッシュメモリへの格納の完了の後に、上記キューに待機させておいたパケットの処理を行うステップと、を有する。
各フローの先頭パケットは、他のフローで待機中のパケットを追い越して処理されるようにすることで、全体のスループットを向上させることができる。
【0015】
また、さらに、具体的には、各キューは対応するキャッシュを有しており、各キューが対応するキャッシュの登録情報を記録するステップと、キャッシュに未登録状態のキューにパケットが到着すると、先頭のパケットのみを処理し、処理結果が上記キャッシュに登録されるのを待つステップと、二つ目以降のパケットは上記キャッシュへの登録が完了した時点で処理が開始されるように構成することができる。
【0016】
本発明のネットワーク装置は、パケットを受信する入力インタフェースと、受信したパケットを解析および分類して、種類毎にフローを生成するパケット解析部と、生成されたフローを、種類毎にパケットの受信順序を保持して管理するトラフィック管理部と、パケットを処理するパケット処理部と、パケット処理部の処理結果をフロー毎に登録するプロセスキャッシュとを有するネットワーク装置であって、該ネットワーク装置は、
(1)上記プロセスキャッシュに処理結果が未登録な第1のフローの第1のパケットを、上記パケット処理部で処理し、
(2)上記第1のフローの第1のパケットに後続するパケットは、上記第1のパケットの処理結果が上記プロセスキャッシュに登録されるまで待機させ、登録の後、上記プロセスキャッシュの情報を用いて処理を行い、
(3)上記第1のフローの第1のパケットに後続するパケットを待機させている間に、第2のフローのパケットが該待機中のパケットより先に処理されるように、
フローを制御することを特徴とする。
具体的には、トラフィック管理部は、生成されたフローに対応する内部処理情報列を、フローの種類毎にパケットの受信順序を保持して格納するキューを有し、キューに格納される内部処理情報列は、対応するパケットの処理結果がプロセスキャッシュに登録されているか否かを示す登録済み情報を含む。この登録済み情報を用いてパケットを処理部へおくる順番を制御し、フローの制御を行う。
【0017】
パケット処理部の前段には、登録済み情報に基づいて、パケットをパケット処理部で処理するか、プロセスキャッシュを参照して処理するかを選択する解析部を有することが望ましい。
解析部の選択により、パケットがパケット処理部で処理された場合、当該処理結果がプロセスキャッシュに登録完了されたことをトラフィック管理部に通知するキャッシュミス処理部を設けることが可能である。トラフィック管理部は、キャッシュミス処理部からの通知に基づいて、内部処理情報列に登録済み情報を付加することができる。このようにすると、トラフィック管理部は、内部処理情報列に負荷された登録済み情報を参照してフローを制御することができる。
第1のフローの第1のパケットは、第1のフローの先頭パケットであってもよい。また、第2のフローのパケットは、プロセスキャッシュに処理結果が未登録な先頭パケットまたは、プロセスキャッシュに処理結果が登録済みの後続パケットであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明のトラフィック管理部を利用すると、キャッシュ型ネットワークプロセッサなどのキャッシュを利用するパケット処理部を持つネットワーク装置において、パケットの到着順序に依存するキャッシュヒット率の低下を防ぎ、結果としてネットワーク装置のスループット低下を回避する効果がある。
また、本発明のトラフィック管理部を利用すると、前記キャッシュヒット率の低下抑止によりプロセスキャッシュミス時に利用するパケット処理を実施するプロセッサの稼働率を低下させ、消費電力を低減する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、より詳細な内容を実施例で示す。
【実施例1】
【0020】
図1には、本実施例におけるネットワーク装置の構成例を示す。
本実施例では、ネットワーク装置は、ネットワークからパケットを送受信するためのネットワークインタフェース部101、ネットワークトラフィックを制御するためのキャッシュ用トラフィック制御部102、キャッシュ型パケット処理部103、前記101、102、103を含むネットワークインタフェースカード10、複数のネットワークインタフェースカード10を結合しパケットを交換するスイッチファブリック11等で構成される。この他に複数のネットワークインタフェースカード10の間の経路情報等の集中管理を行うホストプロセッサやホストプロセッサへのインタフェース等もある。
【0021】
本実施例におけるパケット処理動作と効果に関して、まず全体の概要を説明する。ネットワークインタフェース部101よりパケットを受信し、キャッシュ用トラフィック制御部102が、パケットをフローと呼ぶグループに分類し、パケットの到着順序を維持するためにFIFO型のキューにフロー毎記録する。そして、まず、キャッシュ型パケット処理部103のキャッシュに未登録である各フローの先頭パケットのみをキャッシュ型パケット処理部103へ渡し、各フローの二つ目以降のパケットは、FIFO型のキューに保持しておく。各フローの先頭パケットは、他のフローの二つ目以降のパケットを追い越して、キャッシュ型パケット処理部103へ渡すことを可能とする。前記二つ目以降のパケットは、キャッシュ型パケット処理部103においてキャッシュ登録完了通知を受けてからキャッシュ型パケット処理部103へ渡す。
前記動作により、キャッシュ型パケット処理部103では、フローの先頭のパケット以外は全てキャッシュヒットさせることができる。即ち、パケットの到着順序に依存するキャッシュヒット率の低下を防ぎ、結果としてネットワーク装置のスループット低下を回避する効果がある。
【0022】
キャッシュ型パケット処理部103は、一つ以上のプロセッサと、前記プロセッサでのプログラム処理結果を格納するためのプロセスキャッシュと呼ぶキャッシュメモリを持つ。前記フローの先頭のパケットはプロセッサを利用して、パケットの宛先情報を得るために経路検索を実施し、必要であればその他の操作、例えばパケットを通過させるか否かを決定するためのフィルタリング情報取得や、MPLS(Multiprotocol Label Switching)やVLAN(Virtual Local Area Network)等のヘッダ情報の取得等を実施する。前記実施の結果を専用ハードウェア、もしくは簡易プロセッサでビット列操作だけでパケットに適用できる情報列にしてプロセスキャッシュへ登録し、後段の処理を実施する部分へパケットを渡す。前記フローの二つ目以降のパケットは、プロセスキャッシュにヒットするため、プロセスキャッシュの内容を利用してプロセッサでの処理をバイパスし、後段の処理を実施する部分へパケットを渡す。前記後段の部分は、専用のビット列操作用のハードウェア等によりパケットに必要な処理を施しパケットをスイッチファブリック11へ渡し、当該パケットに対する処理を終了する。一般にプロセッサの稼働率が高くなるほど、消費電力は上昇する。キャッシュ型パケット処理部103はパケット処理のために一つ以上のプロセッサを含むが、前記プロセッサは前記プロセスキャッシュにミスする先頭のパケットのみを処理すれば良いため、本発明によるキャッシヒット率の低下抑止により消費電力を低減することが可能となる。本発明のキャッシュ用トラフィック制御部102の分の消費電力は増加するが、以降に述べるトラフィックマネージャの替わりに用いることを考慮すると、キャッシュ用トラフィック制御部102の分の消費電力はトラフィックマネージャ相当と見做し、無視することができる。
【0023】
スイッチファブリック11は、各ネットワークインタフェースカード10から受信したパケットを指定された宛先のネットワークインタフェースカード10に向けて送信する。スイッチファブリック側からネットワークインタフェースカード10へ渡されるパケットは、キャッシュ用トラフィック制御部102、キャッシュ型パケット処理部103を同様に通過してネットワークへ送信される。
【0024】
本発明によるキャッシュ用トラフィック制御部102は、ネットワークトラフィックの管理を行う点で従来のネットワーク装置で利用されるトラフィックマネージャと呼ばれるデバイスに類似するが、実施する制御で決定的に異なる点を持つ。
まず、トラフィックマネージャについて説明する。トラフィックマネージャとは、規定帯域以上の入力がないか監視し、規定帯域以上の場合には入力を廃棄するポリシングや、規定帯域以上の出力を規定以下に制限するためのシェイピング、フローの順序を優先順位に応じて調整するスケジューリング等を実施するデバイスである。トラフィックマネージャを利用したネットワーク装置は、例えば図2に示すように、ネットワークからパケットを送受信するためのネットワークインタフェース部101、パケット処理部としてのネットワークプロセッサ(もしくはそれに順ずるASIC)110、トラフィック制御部としてのトラフィックマネージャ(もしくはそれに順ずるASIC)111、前記101、110、111を含むネットワークインタフェースカード10、複数のネットワークインタフェースカード10を結合しパケットを交換するスイッチファブリック11等で構成される。この他に複数のネットワークインタフェースカード10の間の経路情報等の集中管理を行うホストプロセッサやホストプロセッサへのインタフェース等もある。
【0025】
次に、本発明のキャッシュ用トラフィック制御部102が従来のトラフィックマネージャと決定的に異なる点について説明する。キャッシュ用トラフィック制御部102は、フローの先頭以外のパケットがプロセスキャッシュにヒットするアクセスになるように入力トラフィックを制御する点で、従来のトラフィックマネージャと異なる。また、ネットワーク装置構成時のネットワーク入力からスイッチファブリックへ向かう側での設置位置が異なる。通常、トラフィックマネージャは、ネットワークプロセッサやASIC等のパケット処理部の後段に設置されるが、本発明によるキャッシュ用トラフィック制御部は、キャッシュ型ネットワークプロセッサやASIC等の前段に設置する。本実施例では、ネットワークからの入力側で、キャッシュ用トラフィック制御部102がパケット処理部である103より前段にある。これは、パケット流の制御をキャッシュアクセスより前に行うためである。
【0026】
次に、キャッシュ用トラフィック制御部102とキャッシュ型パケット処理部103の内部構成例の詳細を図3に示し、パケット処理動作について説明する。キャッシュ用トラフィック制御部102とキャッシュ型パケット処理部103は、同一チップ上に集積できるならば、単一のチップとして実装しても良いし、それぞれを別のチップとして実装しても良い。図3では、キャッシュ用トラフィック制御部102とキャッシュ型パケット処理部103が別々のチップに実装するケースを想定している。
キャッシュ用トラフィック制御部102は、一実施例として、入力インタフェース201、パケット解析部202、トラフィック管理部203、出力データ生成部204、出力インタフェース205、プロセスキャッシュ登録信号208、パケットメモリ210より構成される。前記のキャッシュ用トラフィック制御部102の構成要素は、低レイテンシかつ高速なパケット処理を実現するには単一のチップ上に実装するのが望ましい。パケットメモリ210についても、例えば、混載DRAM(Dynamic Random Access Memory)技術や1T−SRAM(1Transistor Static Random Access Memory)技術等の高密度実装可能な高速オンチップメモリを利用してキャッシュ用トラフィック制御部102の他の構成要素と同一チップ上に実装するのが望ましいが、パケットメモリ210の一部もしくは全てをチップ外部に実装する選択肢もある。
【0027】
キャッシュ用トラフィック制御部102は、パケットを入力インタフェース201により受信後、パケット解析部202によりパケットの解析を行い、内部処理専用の情報列を生成する。ここでは、前記内部処理専用情報列をトークンと呼ぶ。元のパケットは、パケットメモリ210に格納する。図4に前記トークン400の構成を示す。前記トークン400は、固有情報401、解析情報402、抽出情報403により構成する。
固有情報401は、各トークンを区別するために用いるパケット毎の固有の情報である。例えば、パケットメモリ210へのパケット格納アドレスが挙げられ、パケット格納アドレスにより各トークンを区別可能になる。また、パケット処理に利用するために、実装によっては、パケットのサイズ、パケットのフラグメント情報、パケットを解析した結果判明したエラー情報、TCPの制御情報等を含めてもよい。例えば、パケットサイズは、複数のフローがキャッシュ用トラフィック制御部102から発行可能になった時に、後述するQoS(Quarity of Service)制御の一環としてパケットサイズを利用しながら出力するフローを選択するのに利用できる。また、TCPの制御ビットでは、例えばFIN及びRSTビットを利用しフローの最終パケットのトークンであることを示し、当該トークン通過後、対応するプロセスキャッシュのエントリ、FIFOキューのエントリをクリアするのに利用できる。
【0028】
解析情報402は、パケットの各ネットワークレイヤで利用されているプロトコルや転送に関する情報である。レイヤ2、レイヤ3、レイヤ4、レイヤ5〜7における利用プロトコル(例えば、レイヤ2でMPLSを利用、VLANを利用、レイヤ3でIPv4を利用、IPv6を利用、レイヤ4でTCPを利用、レイヤ7でHTTPを利用等)や、レイヤ2におけるパケット転送情報(ユニキャスト、ブロードキャスト、または、マルチキャスト)を示す。利用プロトコル種の解析情報402中での表記形式は、実際のパケットのヘッダに含まれる形式(例えば、レイヤ2のタイプフィールドそのもの)でも良いし、必要と判断した数種類(例えば16種類程度)に限定し、それをエンコードした形式(例えば16種類なら4ビットにエンコードが可能)でも良い。どのレイヤまで解析するかは、解析情報402を生成するためにパケット解析部202が持つ命令メモリに格納するプログラムにより規定することを可能とする。このため、利用形態によりレイヤ2スイッチ用、レイヤ3スイッチ用、レイヤ4スイッチ用、レイヤ7スイッチ用等への柔軟な対応が可能である。
【0029】
抽出情報403は、パケットから抽出したヘッダ情報の一部である。例えば、レイヤ3の抽出情報としてIPv4の宛先IPアドレスと送信元IPアドレスを抽出することができる。また別の例では、前記のレイヤ3抽出情報に加えレイヤ4のTCP宛先ポート番号とTCP送信元ポート番号を抽出できる。抽出内容は、解析情報402と同様に、パケット解析部202が持つ命令メモリに格納するプログラムを書き換えることにより変更可能である。
【0030】
ある二つのパケットが同一フローに属するか、異なるフローに属するかを判断するために、トークン400の解析情報402と抽出情報403を利用する。ある二つのパケットを比較したとき、それぞれの解析情報402および抽出情報403の組が同一であれば、二つのパケットは同一フローに属すとみなすことができる。一方で、ある二つのパケットを比較したとき、それぞれの解析情報402および抽出情報403の組が異なれば、二つのパケットは異なるフローに属すとみなすことができる。
【0031】
パケット解析部202により生成したトークン400は、フロー毎に分類可能な状態にあるため、トラフィック管理部203において分類及び管理を行う。トラフィック管理部203の内部構成例を図5に示す。トラフィック管理部203は、ハッシュ部501、タグ部502、FIFOキュー505、比較器503、書込制御部504、読出制御部506、待機バッファ507により構成される。
【0032】
トラフィック管理部203は、フローの二つ目以降のパケットがプロセスキャッシュにミスしないようにするために、プロセスキャッシュの状態、即ち当該トークンがプロセスキャッシュに登録されている状態(ヒット状態)か、登録されていない状態(ミス状態)か知る必要がある。そこで、プロセスキャッシュの状態を知るために、トラフィック管理部203は、プロセスキャッシュのタグに相当するタグ部502を具備している。タグ部502は、トークンの解析情報402と抽出情報403を保持する。タグを参照するためのアクセスキーは、ハッシュ部501を利用してトークンの解析情報402と抽出情報403全体に対してハッシュをかけて生成する。ハッシュ部501は、キャッシュ型パケット処理部103のプロセスキャッシュ303の具備するハッシュ部511と同一のアルゴリズムを利用する。ハッシュには様々な手法があるが、例えばCRC(Cyclic Redundancy Check)演算等の攪拌能力に優れたものを利用する方法が、キャッシュのエントリ競合を起こしにくくなりヒット率向上に繋がるため望ましい。比較器503を利用してタグ502を参照後に出力されるタグ内容と、アクセスを行ったトークンの解析情報402と抽出情報403を比較することにより、当該トークンがプロセスキャッシュにヒットするか否かを判断可能である。
【0033】
トラフィック管理部203は、キャッシュ型パケット処理部103へのパケットフローを制御するために、トークンをフローごとに到着順に管理するFIFOキュー505をタグ502のエントリ毎に具備している。タグ502への登録形式の例を図4の420に、FIFOキュー505への登録例を図4の430に示す。
【0034】
タグ登録情報420は、エントリが利用されていることを示す有効ビット421、トークンの解析情報402、抽出情報403をプロセスキャッシュのタグ相当の情報として持つ。また、タグ502及びFIFOキュー505への読書き制御のために、対応するFIFOキュー505のエントリのトークンが入っていないことを示すFIFOキューエンプティビット422、プロセスキャッシュに現在登録要求を出していることを示すプロセスキャッシュ登録中ビット424、プロセスキャッシュに登録が完了したことを示すプロセスキャッシュ登録済みビット423を持つ。また、フロー毎にQoS制御を実施する場合には、当該フローの優先順位を示す優先順位情報425、当該フローに許される利用帯域幅を示す帯域情報426を持つ。
【0035】
FIFOキュー登録情報430は、エントリが利用されていることを示す有効ビット431とトークンの固有情報401等により構成される。
FIFOキュー505は、プロセスキャッシュのエントリ数Kと同じだけの本数を具備する。例えば、4000エントリのプロセスキャッシュを利用する場合、4000本のFIFOキューを具備する。各FIFOキュー505は独立したメモリで実現してもよいし、複数本または全体をひとまとめにしたメモリで実現してもよい。
まず、タグ502及びFIFOキュー505への書込み制御に関して説明する。トークンは、前記の方法でハッシュ部501によりタグ502を参照し、プロセスキャッシュのヒット判定を行い書き込み制御部504へ通知する。ヒットしていれば、書込み制御部504は、対応するFIFOキューにトークンの固有情報401を書き込み、FIFOキューエンプティビット422を空ではないことを示す値(例えば0)にする。
プロセスキャッシュにミスしていれば、当該トークンの解析情報402と抽出情報403を対応するエントリのタグ502へ、当該トークンの固有情報401を対応するFIFOキュー505に登録する。また、プロセスキャッシュ登録中ビット424に登録中を示す値(例えば1)をセットする。
【0036】
次に、タグ502及びFIFOキュー505への読出し制御に関して説明する。読出し制御部506は、タグ502の各FIFOキューのプロセスキャッシュ登録済みビット423とプロセスキャッシュ登録中ビット424及び、FIFOキューエンプティビット422を監視する。FIFOキュー505から読み出しが行われるのは、次の二つの場合がある。
(1)フローの先頭、即ちプロセスキャッシュに未登録のパケットである場合。この場合、プロセスキャッシュ登録済みビット423は未登録を示す値(例えば0)、プロセスキャッシュ登録中ビット424は登録中で無いことを示す値(例えば0)、FIFOキューエンプティビット422は空ではない値(例えば0)を示している。
(2)フローの二つ目以降、即ちプロセスキャッシュに登録済みのパケットである場合。この場合、プロセスキャッシュ登録済みビット423は登録済を示す値(例えば1)、プロセスキャッシュ登録中ビット424の値は無視し、FIFOキューエンプティビット422は空ではない値(例えば0)を示している。
前記(1)、(2)いずれかの状況になったエントリがあれば、対応するFIFOキュー505に登録されている固有情報401と、タグ502の解析情報402、抽出情報403を読出して結合してトークンに戻し、登録FIFOキュー番号451(タグ502のエントリ番号にも対応している)と一緒に出力データ生成部204へ渡す。尚、あるフローの(2)の状態のパケットを、異なるフローの(1)もしくは(2)の状態のパケットは追い越しを行うことができる。基本的には、(1)の状態のエントリのトークンを優先的に出力データ生成部204へ渡すことで、プロセスキャッシュになるべく早期にエントリ登録を実現する。
尚、FIFOキュー505は、メモリ容量が許すのであれば固有情報401だけでなく解析情報402と抽出情報403を記録しておいてもよい。また、読出しを行ったFIFOキュー505が空になる場合、対応するFIFOキュー情報430を消し、タグ登録情報420のFIFOキューエンプティビット422に空を示す値(例えば1)を設定する。
【0037】
図5の複数のFIFOキュー505にトークンが溜まり、複数のFIFOキュー505からトークン送信可能な状況について説明する。前記状況が発生した時、プロセスキャッシュ登録済みビット423が登録済みを示す値(例えば1)になった順に該当するFIFOキュー505からトークンを取り出すFIFO出力方式や、取り出し順番をトークン毎もしくは複数のトークン毎に順番に変えていくRR(Round Robin)方式が簡易であるが、タグ登録情報420の優先順位情報425を利用し、従来から用いられる様々な出力方式をとることで優先度の高いフロー及び優先度の低いフローの間でサービスに差をつけることが可能となる。例えば、優先順位情報425にK種類(例えば、High・Middle・Normal・Lowの4種類)の優先順位情報を加えることでPQ(Priority Queuing)が実現できる。取り出し時にトークンの元となるパケットサイズをトークンの固有情報401から判定し、例えば閾値として設定するサイクルの中で出力候補となったFIFOキュー505からの出力パケットサイズの和が公平となるように重み付けを行うWFQ(Weighted Fair Queuing)方式等を適用することが可能である。
【0038】
同様に、図4タグ登録情報420の帯域情報426とトークンの固有情報401に含まれるパケットサイズを利用し、送信可能なFIFOキューから、設定された帯域までの間でFIFOキュー505から送信を行うことが可能である。例えば、ATM(Asynchronous Transfer Mode)におけるCBR(Constant Bit Rate)サービスクラスに対応するためには、当該FIFOキュー505が出力可能になったときに、帯域情報426で指定された値に相当する期間だけ、当該FIFOキュー505にキャッシュ型パケット処理部103への出力パスを占有させ、期間終了後に次のFIFOキュー505へ前記出力パスを渡す。また、ATMにおけるrt−VBR(Real Time Variable Bit Rate)サービスクラスに対応するためには、当該FIFOキュー505が出力可能になったときに、帯域情報426で指定された値に相当する期間が終了しても当該FIFOキュー505にトークンがあれば、続けてキャッシュ型パケット処理部103への出力パスを占有させる。また、ATMにおけるnrt−VBR(Non Real Time Variable Bit Rate)サービスクラスに対応するためには、当該FIFOキュー505が出力可能になったときに、帯域情報426で指定された値に相当する期間が終了しても当該FIFOキュー505にトークンがあれば、帯域情報426に追加で指定される値までの追加期間分、前記FIFOキュー505からの出力を可能とする。その他のサービスクラスにも対応可能である。
【0039】
図5のハッシュ部501は、無数にあるパケットフローをプロセスキャッシュのエントリ数まで縮約するため、トークンにハッシュをかけた結果、異なるフローが同一のプロセスキャッシュのエントリに割り当てられる状況が発生する。図5の構成は、ハッシュして得られた値によるタグ502の割り当て位置が一意に決まるダイレクトマップ方式の構成である。ダイレクトマップ方式は実装が容易であり、データの読出しに不要な選択論理が入らないため高速であるメリットがあるが、異なるフローに属するトークンが同一エントリに割り当てられる状況が発生しやすくキャッシュのヒット率の向上の点からは不利である。
そこで、同一エントリの割り当てが発生してもキャッシュヒットにできるように、タグ及びFIFOキュー部分をN個持たせる(Nウェイ・)セット・アソシアティブ方式をとることも可能である。(Nウェイ・)セット・アソシアティブ方式では、図11に示すように、ハッシュして得られた値による割り当て位置をN個まで増加させることができる。(Nウェイ・)セット・アソシアティブ方式のタグ及びFIFOキューを用いた場合、トークンにハッシュをかけた結果、未登録のウェイがあれば、前記未登録ウェイへトークンを登録する。N箇所全ての割り当て箇所が既登録であれば、任意のウェイを選択して上書きする。尚、キャッシュに登録されている情報が可能な限り有効に利用されるよう、前記任意ウェイを選択するためには、通常のプロセッサで利用されるキャッシュ同様、最も利用されていないエントリを選択するLRU(Least Recently Used)アルゴリズムや一番古いエントリを選択するためのFIFO(First In First Out)アルゴリズム等を実装する。LRUアルゴリズムを正確に実装するためには一エントリあたりN!(Nの階乗)ビット、FIFOアルゴリズムを正確に実装するためには一エントリあたりLog2Nビットの情報が必要になる。
【0040】
ダイレクトマップ方式でも、(Nウェイ・)セット・アソシアティブ方式の場合でも、異なるフローが同一エントリを要求し、尚且つ対応するエントリが全て利用中であるケースが発生する。前記状況が発生した場合、当該エントリのタグ登録情報420のFIFOキューエンプティビット422、プロセスキャッシュ登録済みビット423、プロセスキャッシュ登録中ビット424を利用してトークンの登録を制御する。
当該エントリを後発のトークンにより上書きしても構わないのは、第一の場合として、タグ502の対応するエントリが空いている場合である。第二の場合として、タグ502の対応するエントリにフローが登録されているが、対応するFIFOキューに処理すべきトークンが全く無い場合である。即ち、第一の場合とは、「タグ502の当該エントリのプロセスキャッシュ登録済みビット423が未登録を示す値(例えば0)であり、尚且つプロセスキャッシュ登録中ビット424が登録中でないことを示す値(例えば0)である場合」である。また、第二の場合とは、「タグ502の当該エントリのプロセスキャッシュ登録済みビット423が登録済みを示す値(例えば1)であり、尚且つ、FIFOキューエンプティビット422が、FIFOキューが空であることを示す値(例えば1)の場合」である。
【0041】
当該エントリを後発のトークンにより上書きしてはならないのは、第一の場合として、タグ502の対応するエントリにフローが登録されており、尚且つ対応するFIFOキューに処理すべきトークンが溜まっている状態である。第二の場合として、タグ502の対応するエントリにフローの先頭のパケットのみが登録されており、前記先頭のパケットの処理をキャッシュ型パケット処理部103に要求している状態である。即ち、第一の場合とは、「タグ502の当該エントリのプロセスキャッシュ登録済みビット423が登録済みを示す値(例えば1)であり、尚且つ、FIFOキューエンプティビット422が、FIFOキューが空でないことを示す値(例えば0)の場合」である。また、第二の場合とは、「タグ502の当該エントリのプロセスキャッシュ登録中ビット424が登録中を示す値(例えば1)の場合」である。
【0042】
当該エントリのタグ502が利用中で上書きできない場合、上書きできなかったトークン以降のタグ502で競合を起こすトークンだけを登録する。登録する内容は図4の440に示すように、トークンの固有情報401、解析情報402、抽出情報403とエントリが有効であることを示す有効ビット441である。この方法は、上書きできる別のフローのトークンのタグ502へのアクセスを停止させないため、トークンの処理効率が低下しないことを期待できる。尚、待機バッファ507は、競合を起こしたエントリを監視し、上書きできる状態になったらパケット解析部202からタグ502へのトークン供給を停止させ、待機バッファ507から優先して先頭のトークンをタグ502へアクセスさせる。
【0043】
前記の待機バッファ507の実装が困難な場合、トークンの処理効率は低下するが、別の実施例として、上書きできなかったトークン及び、それ以降のトークンは全て待機バッファ507に登録する方法がある。待機バッファ507は、競合を起こしたエントリを監視し、上書きできる状態になったらパケット解析202からのトークン供給を停止し、待機バッファ507から優先して先頭のトークンをタグ502参照に利用する。
【0044】
トークンを受け取った出力データ生成部204は、受信したトークン400に、登録FIFOキュー番号451、プロセスキャッシュに登録が完了したことを示すプロセスキャッシュ登録済みビット423、後述のプロセスキャッシュをセット・アソシアティブ方式にする場合のウェイ番号の情報453、前記トークンに対応する元のパケット454を付加して図4の450の形式にして出力インタフェース205に渡し、キャッシュ型パケット処理部103へ送信する。プロセスキャッシュ登録済みビット423は、プロセスキャッシュにフローが未登録の状態であれば、キャッシュ未登録状態を示す値(例えば0)を、フローが既に登録されていれば、キャッシュ登録済み状態を示す値(例えば1)が書き込まれている。
【0045】
以後、キャッシュ用トラフィック制御部102は、当該トークンのプロセスキャッシュ登録完了通知を待機する。前記待機状態時にも、異なるフローの先頭トークンや、プロセスキャッシュに登録済みのトークンはキャッシュ用トラフィック制御部102からキャッシュ型パケット処理部103へ送信される。登録完了通知は信号208により行い、プロセスキャッシュ登録が完了していれば、対応するタグ502のエントリのプロセスキャッシュ登録中ビット424を登録中ではないことを示す値(例えば0)に設定し、プロセスキャッシュ登録済みビット423を登録が完了したことを示す値(例えば1)に設定し、当該FIFOキューの二つ目以降のトークンを発行可能にする。また、プロセスキャッシュ登録がなんらかの理由によりできなかった場合、前記プロセスキャッシュ登録済みビット423は登録がされていない状態のまま(例えば0)であり、当該FIFOキューの二つ目のトークンが再び先頭のトークンと同様に扱われる。
【0046】
次に図3のキャッシュ型パケット処理部103の実施例について、構成とパケット処理動作について説明する。キャッシュ型パケット処理部103は、一実施例として、入力インタフェース301、解析部302、プロセスキャッシュ303、キャッシュミス処理部304、パケット処理部305、後処理部306、出力インタフェース307、パケットメモリ310、テーブルメモリ320から構成される。前記のキャッシュ型パケット処理部103の構成要素は、低レイテンシかつ高速なパケット処理を実現するには単一のチップ上に実装するのが望ましい。パケットメモリ310とテーブルメモリ320についても、例えば、混載DRAM技術や1T−SRAM技術等の高密度実装可能な高速オンチップメモリを利用してキャッシュ型パケット処理部103の他の構成要素と同一チップ上に実装するのが望ましいが、パケットメモリ310とテーブルメモリ320の一部もしくは全てをチップ外部に実装する選択肢もある。
【0047】
入力インタフェース301は、図4の450の形式でトークンとパケットを受信する。次に解析部302を利用し、受信したトークン及びパケット450のプロセスキャッシュ登録済みビット423を参照し、前記ビット423が登録済みを示す値(例えば1)であれば、プロセスキャッシュにトークン及びパケットを渡す。前記プロセスキャッシュ登録済みビット423が未登録を示す値(例えば0)であれば、キャッシュミス処理部へトークンとパケットを渡す。
まず、キャッシュ登録済みのトークンの処理に関して説明する。キャッシュ登録済みのトークンは、パケット処理部305で処理する必要が無いため、プロセスキャッシュ303に渡される。プロセスキャッシュ303は一実施例として図7に示すように、ハッシュ部511、プロセスキャッシュデータ部512、結合部513により構成される。本実施例では、プロセスキャッシュのタグ部分はキャッシュ用トラフィック制御部102に配置するため、キャッシュ型パケット処理部103のプロセスキャッシュ303はデータ部分のみを持つだけでよい。ハッシュ部511は、キャッシュ用トラフィック制御部102のタグ502へのトークン振分を行うハッシュ部501と同一のハッシュを利用する。プロセスキャッシュデータ部512には、プロセッサで処理後のパケット抽出情報α411と処理情報412により構成される置換トークン情報(図4の470)が格納される。
【0048】
抽出情報α411は、パケットが利用するアドレスの書換えや新規追加ヘッダ等の情報であり、元の抽出情報403を上書きする形で生成される。変更が無ければ抽出情報403のままである。尚、新規追加ヘッダには、例えば、MPLSのシムヘッダ、VLANのヘッダ、IPv4やIPv6等のカプセリング用のヘッダ等がある。
処理情報412は、トークン410を元のパケットに対してどのように適用するかを示す情報である。例えば、抽出情報α411に入っている情報のサイズと前記情報をパケットのどの位置にどのように、即ち挿入するのか置換するのか、または削除するのかを示し、またパケットの廃棄指示を出したり、アドレス変換操作を支持したり、QoS情報やスイッチファブリック11やネットワークインタフェース101の出力ポートを指定したりするのに利用する。
プロセスキャッシュデータ512を参照するトークンは既にヒットすることが判明している状態であり、本参照により得た置換トークン情報470と、参照に利用したトークンの固有情報401、解析情報402により、パケット処理用トークン(図4の410)を結合器513により生成し、後処理部306へ渡す。
【0049】
図7のプロセスキャッシュはダイレクトマップ方式であるが、キャッシュ用トラフィック制御部102のトラフィック管理部203が(Nウェイ・)セット・アソシアティブ方式を採用する場合には、図8に示すようにキャッシュ方パケット処理部のプロセスキャッシュのデータ部303も(Nウェイ・)セット・アソシアティブ構成をとる。
【0050】
次に、キャッシュ未登録のトークンの処理に関して説明する。キャッシュ未登録のトークンは、パケット処理部305で必要な処理を実施する必要がある。このため、キャッシュミス処理部304に渡される。キャッシュミス処理部304は一実施例として図9に示すように、キャッシュミス管理テーブル701、処理情報管理テーブル703、結合器704で構成される。初期ミステーブル701は、受信したトークンの固有情報401、解析情報402、抽出情報403、登録FIFOキュー番号451、キャッシュウェイ情報453を記録し、パケット処理部305へ、前記トークンとそれに付随するパケットを渡す。
【0051】
パケット処理部305は、必要であれば、受信したトークン及びパケットをパケットメモリ310へ記録する。パケット処理部305の構成方法には様々な手法があるが、代表的なものとして、複数のプロセッサを集積しており、トークン及びパケットを次々に受信しても、複数のプロセッサで並列処理することにより高いスループットを維持することが可能である。パケット処理部305が実施する処理は、比較的レイテンシの長いメモリ参照を伴うものである。具体的には、テーブルメモリ320に格納される変換テーブルを参照して当該パケットの転送先を決定するための経路検索や、パケットを通過させるか否か決定するためのフィルタリング処理、転送先のネットワーク装置が処理可能なパケットフォーマットに変換するためのカプセリング処理、MPLSのヘッダ追加・置換・削除処理、VLAN用ヘッダ追加・置換・削除処理、アドレス変換処理等である。メモリ参照の結果が返ってくるまでプロセッサの演算器は利用されない状態であり、プロセッサの利用効率は低下しがちである。そこで、プロセッサをマルチスレッド化して複数のアーキテクチャレジスタを具備させ、あるパケットを処理するスレッドがメモリ参照にいったら、別のパケットを処理するスレッドに切替え、演算器が有効利用可能な手法も可能である。いずれにしても、パケットに対して必要な処理を終了すると、その結果をトークンの抽出情報α411と処理情報412として生成し、キャッシュミス処理部304へ返す。
尚、パケット処理部で扱うには処理時間があまりに長すぎる、複雑すぎる、またはネットワーク装置の転送系ではなく制御系の処理であると判断される処理は、外部に設置するホストプロセッサ等へ要求をあげることができる。例えば、経路情報を更新・維持するためのRIP(Routing Information Protocol)やOSPF(Open Shortest Path First)等のプロトコル処理等があげられる。
【0052】
キャッシュミス処理部304は、パケット処理部305から処理済のトークン470を受信すると、処理情報テーブル703に登録する。そして、キャッシュミス管理テーブル701から、対応するトークンの登録FIFOキュー番号451、キャッシュウェイ情報453を読出し、対応するプロセスキャッシュデータのエントリを決定し、処理情報テーブル703の抽出情報α411と処理情報412をプロセスキャッシュデータ512へ登録する。また、プロセスキャッシュに当該トークンの登録が完了したことをキャッシュ用トラフィック制御部102へ通知するための情報として信号208により、登録FIFOキュー番号451とキャッシュ可能ビット461、更に、オプションとして当該フローの優先順位を示す優先順位情報425、当該フローに許される利用帯域幅を示す帯域情報426により構成されるデータ(図4の460)を信号208によりキャッシュ用トラフィック制御部102へ渡す。ここで、キャッシュ可能ビット461は、パケット処理部で処理した結果、プロセスキャッシュに登録可能なトークンであったことを示す場合(例えば1)と何らかの理由により登録できないトークンであったことを示す場合(例えば0)で値が異なる。通常は、プロセスキャッシュに登録可能であることを想定しているが、元のパケットに対してハードウェアで対応困難な、複雑なソフトウェア処理を施す必要ある場合等にはプロセスキャッシュには登録せず、全てパケット処理部で処理する。
また、パケット処理部で処理したトークンは、キャッシュミス管理テーブル701から、対応するトークンの固有情報401及び解析情報402、処理情報テーブル703から抽出情報α411と処理情報412を読出し、結合器704にて結合して後処理部306へ渡す。
【0053】
以上のように、後処理部306は、プロセスキャッシュ303もしくはキャッシュミス処理部304から処理済トークン410を受信する。両方から同時に処理済トークン410を受信する場合は、同一フローの中でのパケットの順番を変えないためにキャッシュミス処理部304からの受信を優先する。
後処理部306は、受信したトークンの解析情報402、処理情報412を参照し、当該トークンを生成する元になったパケット454に対して必要な処理を実施する。パケットに対して新規に追加するヘッダ、もしくはヘッダの中に置換すべき情報がある場合、当該トークンの抽出情報α411に対応する情報があるため、解析情報402及び処理情報412にある情報を元にパケットヘッダの修正を実施する。
【0054】
最後に、出力インタフェース部307において、パケットを送出できる形式に変換して出力する。このときネットワークプロセッサアクセラレータの先にスイッチファブリックが繋がっているならば、スイッチファブリック用のヘッダ情報をパケットに付加する。例えば、スイッチファブリックのポート番号等が含まれるが、これは、トークンの中の抽出情報α411、または処理情報412に含まれているので、それを利用すればよい。ネットワークインタフェースが繋がっているならば、そのネットワークインタフェースがサポートするレイヤ2、もしくはレイヤ3の形式にパケットを変換して出力する。尚、出力先ネットワークインタフェースが
複数の出口を持つ場合には、やはりトークンに含まれているポート番号を利用して出口のネットワークインタフェースを決定する。
【0055】
以上、キャッシュ用トラフィック制御部102とキャッシュ型パケット処理部103を別チップに実装する例を示したが、両部分を図10に示すように単一のチップ上に実装してもよい。この場合、キャッシュ用トラフィック制御部とキャッシュ型パケット処理部の間に専用インタフェースが不要になる。
【実施例2】
【0056】
キャッシュを利用する場合、異なる複数のデータによりキャッシュメモリ上の同一エントリばかりが集中的に利用され、互いのデータがキャッシュエントリを書き潰しあうスラッシングと呼ばれる状況が発生し、キャッシュエントリの入れ替えが頻繁に発生する結果、キャッシュの利用効率が低下することがある。実施例1で述べた(Nウェイ・)セット・アソシアティブ方式のプロセスキャッシュ及びそれに対応するトラフィック管理部のFIFOキューは、スラッシングを低減するための仕組みであるが、特定のエントリに対しては実装可能な小さめのNの値ではスラッシング抑止に不十分である可能性がある。
そこで、本発明のキャッシュ用トラフィック制御部の第二の実施の形態として、前記のスラッシングによる性能低下を防ぐために、小容量のフル・アソシアティブ・プロセスキャッシュと前記小容量フル・アソシアティブ・プロセスキャッシュに対応するタグ及びFIFOキューを具備するキャッシュ用トラフィック制御部の実施例を示す。
【0057】
フル・アソシアティブ・プロセスキャッシュとは、エントリ総数がM個ある場合、登録するエントリをM箇所のうちのどこへでも対応付けることができるプロセスキャッシュのことを指す。フル・アソシアティブ方式はダイレクトマップ方式及び(Nウェイ・)セット・アソシアティブ方式と比較して最も柔軟なキャッシュエントリ関連付けの方式であり、キャッシュのヒット率を最も高くすることができる。しかし、エントリの登録場所が一意に決まらないために、高速動作させるためには全エントリを同時に比較するために全エントリ数分の比較器を持つ必要があるため、実装のコストが高い。前記理由により(Nウェイ・)セット・アソシアティブ方式のキャッシュをサポートするために小規模のフル・アソシアティブ方式のキャッシュを実装するのが現実的である。
【0058】
本実施例2では、図3においてトラフィック管理部203の内部構成として図6で示した(Nウェイ・)セット・アソシアティブのタグ502及びFIFOキュー505に加え、フル・アソシアティブの連想タグ601及び対応するFIFOキュー602を持つ図11で示す構成をとる。連想タグ601は各エントリが内部に比較器を持ち、各エントリが独立してヒットチェックが可能である。連想タグ601の実現には、CAM(Content Addressable Memory)の利用が適切である。また、対応する図3のプロセスキャッシュ303も内部構成として図8で示した(Nウェイ・)セット・アソシアティブのデータ512に加え、前記フル・アソシアティブの連想タグ601に対応する連想データ610を持つ図12で示す構成をとる。
【0059】
本実施例2におけるトラフィック管理部203の動作について説明する。パケット解析部202よりトークンを受信すると、ハッシュ部501によりハッシュをかけたトークンでセット・アソシアティブ方式のタグ502、同時にハッシュをかけない元のままのトークンで連想タグ601を参照する。本実施例2では、状況に応じた、次の二種類の管理方法がトークンに適用される。
(1)セット・アソシアティブ方式のタグ502でヒットする場合、もしくはミスするがセット・アソシアティブ方式のタグ502に利用されていないウェイがある場合は、実施例1と同様にセット・アソシアティブ方式のタグ502及びそれに付随するFIFOキュー505でトークンの管理を行う。
(2)セット・アソシアティブ方式のタグ502でミスして、尚且つ利用できるエントリがない場合は、連想タグ601の利用されていないエントリを利用してトークンの管理を行う。
【0060】
フル・アソシアティブ・プロセスキャッシュへのエントリ格納位置を指定するために、図4のキャッシュ用トラフィック制御部からキャッシュ型パケット処理部への伝達情報450に、「フル・アソシアティブ・プロセスキャッシュ・エントリ情報」が付加される。前記フル・アソシアティブ・プロセスキャッシュ・エントリ情報は、キャッシュ型パケット処理部が持つプロセスキャッシュデータのデータ格納エントリを決定するために利用する。
本実施例2では、実施例1と比較して、短時間の間にプロセスキャッシュの同一エントリばかりが異なるフロー群のパケットで集中的に利用されるケースで有利となる。
【実施例3】
【0061】
実施例1、及び実施例2では実装効率を重視し、プロセスキャッシュメモリのタグ部分をキャッシュ型パケット処理部から分離してキャッシュ用トラフィック制御部に配置する例を示した。図1のキャッシュ型パケット処理部103は、プロセスキャッシュメモリのタグ部分とデータ部分を完全に備える形式であってもよい。そこで、図13に実施例3として、キャッシュ型パケット処理部103のプロセスキャッシュメモリがデータ部分だけではなく、タグ部分も併せ持つ構成を示す。
本実施例3において、キャッシュ用トラフィック制御部102の構成は、実施例1もしくは実施例2と同一であるが、出力データ生成部204は、キャッシュ型パケット処理部103へ情報を渡す時、図4の450から固有情報401、解析情報402、抽出情報403を取り除いた形式で渡す。
【0062】
本実施例3において、キャッシュ型パケット処理部103は、キャッシュ用トラフィック制御部102のパケット解析部202と同等の機能を持つパケット解析部302を具備する。前記解析部302において、キャッシュ用トラフィック制御部102からの受信パケットを解析し、図4に示すトークン400を生成する。また、タグ部分とデータ部分を持つプロセスキャッシュ303を具備する。前記プロセスキャッシュ303の構成をダイレクトマップ方式の場合を例にとり図14に示す。プロセスキャッシュ303は、タグ部502及びデータ部512両方を具備し、トークンからアクセスキーを生成するためのハッシュ部501、比較器503、結合器513を具備する。
【0063】
前記プロセスキャッシュ303は、トークン400を受信するとトークンの解析情報402と抽出情報403の組全体に対してハッシュ部501によりハッシュをかけ、プロセスキャッシュのタグ部502及びデータ部512へのアクセスキーを生成し、タグ部502を参照する。そして、タグ部502より出力される解析情報402と抽出情報403の組と、アクセスキー生成に利用した前記トークンの解析情報402と抽出情報403の組を比較器503により一致検査を行い、一致すればプロセスキャッシュにヒット、一致しなければプロセスキャッシュにミスとして扱う。プロセスキャッシュヒット時には、データ部512からの出力である抽出情報α411及び処理情報412とアクセスキー生成に利用した前記トークンの固有情報401及び解析情報402を結合器513により結合し、後処理部306へ渡す。プロセスキャッシュミス時には、トークンをキャッシュミス処理部304へ渡し、パケット処理部305で処理後、プロセスキャッシュ303に処理結果のトークン470を登録する。そして、実施例1、実施例2と同様に図4の460に示す形式でキャッシュ登録完了通知を信号208により伝える。
【実施例4】
【0064】
実施例4として、実施例3からプロセスキャッシュ登録完了通知208を取り除いた構成例を挙げる。この場合、キャッシュ用トラフィック制御部102は、フローの二つ目以降のパケットの正確な発行タイミングがわからないため、図15に示すように、トラフィック管理部203の各エントリにタイマ520を設け、タイマが閾値を超えたら、キャッシュ型パケット処理部103のプロセスキャッシュ303に登録されている可能性が高いとして発行を開始する。
【0065】
本実施例4では、プロセスキャッシュへフローの先頭パケットの処理結果が登録されたことを保証できないため、本来の目的である同一フローのパケットが連続到着した時にプロセスキャッシュのヒット率低下を完全に抑止することはできない。
【0066】
しかしながら、本実施例4を用いると、キャッシュ型パケット処理部103が、キャッシュ用トラフィック制御部102の存在を意識しない構成をとることができる。このため、キャッシュ型パケット処理部103だけを搭載したネットワーク装置に、本発明のキャッシュ用トラフィック制御部102の機能を含むデバイスを追加搭載して前記ネットワーク装置のアップグレード(キャッシュヒット率低下の抑止)を図ることが可能になる。
【実施例5】
【0067】
プロセスキャッシュにミスするパケットは全てパケット処理部で処理される。一実施例としては、パケット処理部の負荷も高くなることを想定し、よりスループットの高い(処理速度の速い)キャッシュ型パケット処理部のパケット処理部が必要になることがある。この場合、図10からパケット処理部を305、パケットメモリ310、テーブルメモリ320を図16に示すように別チップとして実装する方式がある。この場合、パケット処理部を複数のキャッシュ型パケット処理部で共有してもよい。トラフィック管理部203の方式は、実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4いずれでも構わない。
尚、図16においてキャッシュ用トラフィック制御部とキャッシュ型パケット処理部を更に分割して実装してもよい。
【0068】
以上、本発明によるネットワークプロセッサアクセラレータを利用したネットワーク装置および、ネットワークプロセッサアクセラレータそのものの一実施例を説明した。本説明はあくまで一実施例の説明であり、本発明の範囲を限定するものではなく、様々な変形例に対して適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のキャッシュ用トラフィック制御部は、ネットワーク上を流れるパケットやフレーム等のデータを転送処理するためにキャッシュ型のパケット処理部を持つネットワーク装置への利用が可能である。本発明のキャッシュ用トラフィック制御部をキャッシュ型パケット処理部とあわせて用いることにより、ネットワーク装置へのネットワークトラフィックの到着順序により発生するキャッシュミス、および前記キャッシュミスによるネットワーク装置の処理速度低下を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1における、キャッシュ用トラフィック制御部とキャッシュ型パケット処理部を持つネットワーク装置のブロック図である。
【図2】従来のトラフィック制御部とパケット処理部を持つネットワーク装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1における、キャッシュ用トラフィック制御部とキャッシュ型パケット処理部の内部ブロック図である。
【図4】キャッシュ用トラフィック制御部及びキャッシュ型パケット処理部の内部で用いるデータフォーマット一覧である。
【図5】ダイレクトマップ方式のキャッシュ用トラフィック制御部のトラフィック管理部部分のブロック図である。
【図6】Nウェイ・セット・アソシアティブ方式のキャッシュ用トラフィック制御部のトラフィック管理部部分のブロック図である。
【図7】ダイレクトマップ方式のキャッシュ型パケット処理部のプロセスキャッシュのデータ構造例である。
【図8】Nウェイ・セット・アソシアティブ方式のキャッシュ型パケット処理部のプロセスキャッシュのデータ構造例である。
【図9】キャッシュ型パケット処理部のキャッシュミス処理部のブロック図である。
【図10】キャッシュ用トラフィック制御部とキャッシュ型パケット処理部を一体化した場合のブロック図である。
【図11】Nウェイ・セット・アソシアティブ方式のキャッシュ用トラフィック制御部のタグ及びFIFOキュー部分にMエントリのフル・アソシアティブ方式のキャッシュ用トラフィック制御部のタグ及びFIFOキュー部分を追加した場合のブロック図である。
【図12】Nウェイ・セット・アソシアティブ方式のキャッシュ型パケット処理部のプロセスキャッシュのデータ部分にMエントリのフル・アソシアティブ方式のキャッシュ型パケット処理部のプロセスキャッシュのデータ部分を追加した場合のブロック図である。
【図13】キャッシュ型パケット処理部のプロセスキャッシュがタグ部分も持つ場合のキャッシュ用トラフィック制御部及びキャッシュ型パケット処理部のブロック図である。
【図14】タグ部及びデータ部を具備するダイレクトマップ方式のプロセスキャッシュのブロック図である。
【図15】図14におけるキャッシュ用トラフィック制御部のトラフィック管理部部分のブロック図である。
【図16】図10において、キャッシュ型パケット処理部のパケット処理部分をキャッシュ型パケット処理部から分離した場合のブロック図である。
【符号の説明】
【0071】
10:ネットワークインタフェースカード
11:スイッチファブリック
101:ネットワークインタフェース部
102:キャッシュ用トラフィック制御部
103:キャッシュ型パケット処理部
110:パケット処理部(ネットワークプロセッサ)
111:トラフィック制御部(トラフィックマネージャ)
201:キャッシュ用トラフィック制御部のパケット入力インタフェース
202:キャッシュ用トラフィック制御部のパケット解析部
203:キャッシュ用トラフィック制御部のトラフィック管理部
204:キャッシュ用トラフィック制御部の出力データ生成部
205:キャッシュ用トラフィック制御部のパケット出力インタフェース
208:キャッシュ型パケット処理部からキャッシュ用トラフィック制御部へのプロセスキャッシュ登録通知信号
210:キャッシュ用トラフィック制御部のパケットメモリ
301:キャッシュ型パケット処理部のパケット入力インタフェース
302:キャッシュ型パケット処理部のパケットの解析部
303:キャッシュ型パケット処理部のプロセスキャッシュ
304:キャッシュ型パケット処理部のキャッシュミス処理部
305:キャッシュ型パケット処理部のパケット処理部
306:キャッシュ型パケット処理部の後処理部
307:キャッシュ型パケット処理部のパケット出力インタフェース
310:キャッシュ型パケット処理部のパケットメモリ
320:キャッシュ型パケット処理部のテーブルメモリ
400:キャッシュ用トラフィック制御部のパケット解析部で生成するトークン
401:トークンの固有情報
402:トークンの解析情報
403:トークンの抽出情報
410:キャッシュ型パケット処理部の後処理部で利用されるトークン
411:パケット処理部で修正されたトークンの抽出情報である抽出情報α
412:パケット処理部で生成されたトークンの処理情報
420:キャッシュ用トラフィック制御部のタグ
421:420の有効ビット
422:420のFIFOキューエンプティビット
423:プロセスキャッシュ登録済みビット
424:420のプロセスキャッシュ登録中ビット
425:420の優先順位制御情報
426:420の帯域制御情報
430:キャッシュ用トラフィック制御部のFIFOキューの登録内容
431:430の有効ビット
440:キャッシュ用トラフィック制御部の待機バッファの登録内容
441:440の有効ビット
450:キャッシュ用トラフィック制御部からキャッシュ型パケット処理部へ転送する情報
451:450の登録FIFOキュー番号
453:450のウェイ情報
454:450のオリジナルパケット
460:キャッシュ型パケット処理部からキャッシュ用トラフィック制御部へ転送する情報
461:460のキャッシュ可能ビット
470:キャッシュ型パケット処理部のプロセスキャッシュのデータ部分に登録するトークン
501:キャッシュ用トラフィック制御部のアクセスキーを生成するハッシュ部
502:キャッシュ用トラフィック制御部のタグ(プロセスキャッシュのタグ)
503:キャッシュ用トラフィック制御部のタグ比較器
504:キャッシュ用トラフィック制御部のタグ及びFIFOキューの書込制御部
505:キャッシュ用トラフィック制御部のFIFOキュー
506:キャッシュ用トラフィック制御部のタグ及びFIFOキューの読出制御部
507:キャッシュ用トラフィック制御部の待機バッファ
511:キャッシュ用トラフィック制御部のアクセスキーを生成するハッシュ部
512:キャッシュ型パケット処理部のプロセスキャッシュのデータ部
513:キャッシュ型パケット処理部のプロセスキャッシュの結合器
520:キャッシュ用トラフィック制御部のFIFOキューのタイマ
601:キャッシュ用トラフィック制御部のフル・アソシアティブ方式のタグ
602:キャッシュ用トラフィック制御部のフル・アソシアティブ方式のFIFOキュー
610:キャッシュ型パケット処理部のフル・アソシアティブ方式のプロセスキャッシュのデータ部
701:キャッシュ型パケット処理部のキャッシュミス処理部のキャッシュミス管理テーブル
703:キャッシュ型パケット処理部のキャッシュミス処理部の処理情報管理テーブル
704:キャッシュ型パケット処理部のキャッシュミス処理部の結合器
900:一体化したキャッシュ用トラフィック制御部とキャッシュ型パケット処理部
902:キャッシュ型パケット処理部の外部へのパケット処理部へのインタフェース
903:パケット処理部
904:パケットメモリ
905:テーブルメモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されたパケットを分類しフローとして扱うための解析部と、
前記パケットに対して実施した処理をフロー毎に記録するための複数のエントリを有するキャッシュと、
前記キャッシュの前段に配置され、前記キャッシュのエントリと1対1に対応し、対応するエントリに割り当てられたフローに属するパケットを保持するフロー管理用のキュー群と、制御部を有し、該制御部は、
まず、前記キャッシュに未登録のフローの先頭のパケットの処理要求を出し、
次に、前記先頭パケットの処理結果が前記キャッシュに登録されたことの通知を受信した後
対応する前記キューに保持されているパケットを前記キャッシュにアクセスさせ、
更に、あるフローのパケットを保持している間に、他のフローの先頭パケットがあれば保持中の前記キャッシュ未登録フローを追い越して処理要求を出し、
あるフローの前記キャッシュ登録済みパケットがあれば、保持中の前記キャッシュ未登録フローを追い越して前記キャッシュにアクセスさせるように制御を行うことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
ネットワーク上で転送されるパケットをフローとして扱うためにパケットから内部処理情報列を生成し、
前記内部処理情報列が、
パケットと内部処理情報列を1対1に対応付ける情報、及びパケット毎に異なる情報を合わせた第一の情報と
前記パケットのネットワーク上での各階層におけるプロトコル種類を識別するための第二の情報と
前記パケットのネットワーク上での各階層に対応するヘッダから抽出した第三の情報と
で構成され、
前記第二の情報と前記第三の情報によりパケットをフロー分類し、
前記パケットに対して実施した処理を第四の情報として生成し、必要に応じて第三の情報を書換え、
前記第三、第四の情報をデータとしてフロー毎に記録し同一のフローに適用するためのキャッシュと、
前記キャッシュの前段に前記キャッシュのエントリと1対1に対応するフロー管理用のキュー群とを用いて、
前記キュー群は、割り当てられたフローに属するパケットを保持し、
まず、前記キャッシュに未登録のフローの先頭のパケットの処理要求を出し、
次に、前記先頭パケットの処理結果が前記キャッシュに登録されたことの通知を受信した後
対応する前記キューに保持されているパケットを前記キャッシュにアクセスさせ、
更に、あるフローのパケットを保持している間に、他のフローの先頭パケットがあれば保持中の前記キャッシュ未登録フローを追い越して処理要求を出し、
前記あるフローの前記キャッシュ登録済みパケットがあれば、保持中の前記キャッシュ未登録フローを追い越して前記キャッシュにアクセスさせることを特徴とするネットワーク装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
ハッシュ関数によりフロー分類した情報を割り当てるパケット処理を記録するキャッシュのタグ部分と
パケット処理を記録するキャッシュのデータ部分と
前記キャッシュのタグ部分及びデータ部分の各エントリに対応するフロー管理用のキューの
情報割り当て位置が複数(N)箇所ある(Nウェイ・)セット・アソシアティブ形式であることを特徴とするネットワーク装置。
【請求項4】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
フロー分類した情報を割り当てるフロー管理用のキューが利用中である場合に、
前記フロー管理用キューが解放されるまで前記フロー分類した情報及び、
それ以降の全てのフローを待機させるために
前記全てのフローを一時的に保持するためのバッファを具備することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項5】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
フロー分類した情報を割り当てるフロー管理用のキューが利用中である場合に、
前記フロー管理用キューが解放されるまで前記フロー分類した情報及び、
それ以降の同一フローを待機させるために
前記同一フローを一時的に保持するためのバッファを具備することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項6】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
フロー分類した情報を管理するフロー管理用のキューのうち、
複数本の前記フロー管理キューからの情報取り出しが可能になった時、
情報に記載されている優先順位情報を参照して情報を取り出すフロー管理キューを選択可能であることを特徴とするネットワーク装置。
【請求項7】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
フロー分類した情報を管理するフロー管理用のキューのうち、
複数本の前記フロー管理キューからの情報取り出しが可能になった時、
情報に記載されている帯域制御情報と情報のサイズを参照して
情報を出力する前記前記フロー管理キューからの出力量を制限することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項8】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
パケット処理を記録するキャッシュのタグ部分と
フロー分類した情報を管理するフロー管理用のキューを含む部位と
を単一のデバイス上へ実装し、
パケット処理を記録するキャッシュのデータ部分を前記のデバイスとは異なるデバイス上へ実装することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項9】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
パケット処理を記録するキャッシュのタグ部分と
フロー分類した情報を管理するフロー管理用のキューを含む部位と、
パケット処理を記録するキャッシュのデータ部分と
を単一のデバイス上へ実装することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項10】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
ハッシュ関数によりフロー分類した情報を割り当てる
パケット処理を記録するキャッシュのタグ部分と
パケット処理を記録するキャッシュのデータ部分と
前記キャッシュのタグ部分及びデータ部分の各エントリに対応するフロー管理用のキューの
情報割り当て位置が一つ以上あり、
更に、前記フロー分類後の割り当て位置が利用中であった場合に
自由に割り当て可能なフル・アソシアティブ方式の小容量の
前記キャッシュのタグ部分と
前記キャッシュのデータ部分と
前記フロー管理用のキューと
を具備することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項11】
請求項8に記載のネットワーク装置において、
パケット処理を記録するキャッシュのタグ部分に相当する機能を具備する部位が
フロー管理用のキューを具備するデバイス上に実装されており、
パケット処理を記録するキャッシュのデータ部分を具備するデバイス上には実装されていないことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項12】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
パケット処理を記録するキャッシュのタグ部分に相当する機能を具備する部位が
フロー管理用のキューを具備するデバイス上に実装されており、
尚且つ、前記タグ部分がパケット処理を記録するキャッシュのデータ部分を具備するデバイス上にも実装されていることを特徴とするネットワーク装置。
【請求項13】
請求項12に記載のネットワーク装置において、
パケット処理を記録するキャッシュに、パケット処理結果が登録されても、
フロー管理用のキューへキャッシュ登録通知信号を渡さず、
前記フロー管理用キューは、各キューがタイマを持ち、
前記フロー管理用キューの先頭のパケットをパケット処理部へ送信した後、
前記タイマをスタートさせ、設定された閾値を越えた時点で
前記フロー管理用キューに残っているパケットを前記キャッシュへアクセスさせることを特徴とするネットワーク装置。
【請求項14】
請求項1に記載のネットワーク装置において、
パケット処理を記録するキャッシュに渡すパケット処理結果を生成するパケット処理部が前記キャッシュと異なるデバイス上に実装されていることを特徴とするネットワーク装置。
【請求項15】
キャッシュメモリを用い、先行するパケットに関する処理結果をキャッシュメモリに記録し、先行するパケットと同一処理を行う後続のパケットの処理は該キャッシュメモリの内容を利用する、キャッシュ型のパケット処理方法であって、
パケットを受信するステップと、
該受信したパケットをフロー毎に分類するステップと、
該フロー毎に分類したパケットを、パケットの到着順序を維持してFIFO型のキューにフロー毎に記録するステップと、
上記キュー内のフローの所定パケットがキャッシュに未登録である場合、該所定パケットを処理して処理結果をキャッシュメモリに格納するとともに、同一キュー内の所定パケット以降のパケットは、キューに待機させておくステップと、
上記所定パケットに関する処理結果のキャッシュメモリへの格納の完了の後に、上記キューに待機させておいたパケットの処理を行うステップと、
を有するパケット処理方法。
【請求項16】
処理結果が該キャッシュメモリ未登録である各フローの先頭パケットは、他のフローで待機中のパケットを追い越して処理されることを特徴とする請求項15記載のパケット処理方法。
【請求項17】
各キューは対応するキャッシュを有しており、
各キューが対応するキャッシュの登録情報を記録するステップと、
キャッシュに未登録状態のキューにパケットが到着すると、先頭のパケットのみを処理し、処理結果が上記キャッシュに登録されるのを待つステップと、
二つ目以降のパケットは上記キャッシュへの登録が完了した時点で処理が開始されることを特徴とする請求項15記載のパケット処理方法。
【請求項18】
パケットを受信する入力インタフェースと、
受信したパケットを解析および分類して、種類毎にフローを生成するパケット解析部と、
上記生成されたフローを、種類毎にパケットの受信順序を保持して管理するトラフィック管理部と、
上記パケットを処理するパケット処理部と、
上記パケット処理部の処理結果を上記フロー毎に登録するプロセスキャッシュと、
を有するネットワーク装置であって、該ネットワーク装置は、
(1)上記プロセスキャッシュに処理結果が未登録な第1のフローの第1のパケットを、上記パケット処理部で処理し、
(2)上記第1のフローの第1のパケットに後続するパケットは、上記第1のパケットの処理結果が上記プロセスキャッシュに登録されるまで待機させ、登録の後、上記プロセスキャッシュの情報を用いて処理を行い、
(3)上記第1のフローの第1のパケットに後続するパケットを待機させている間に、第2のフローのパケットが該待機中のパケットより先に処理されるように、
フローを制御することを特徴とするネットワーク装置。
【請求項19】
上記トラフィック管理部は、上記生成されたフローに対応する内部処理情報列を、フローの種類毎にパケットの受信順序を保持して格納するキューを有し、
該キューに格納される内部処理情報列は、対応するパケットの処理結果が上記プロセスキャッシュに登録されているか否かを示す登録済み情報を含むことを特徴とする請求項18記載のネットワーク装置。
【請求項20】
上記パケット処理部の前段に、
上記登録済み情報に基づいて、パケットを上記パケット処理部で処理するか、上記プロセスキャッシュを参照して処理するかを選択する解析部を有する請求項19記載のネットワーク装置。
【請求項21】
上記パケット処理部の選択により、パケットが上記パケット処理部で処理された場合、当該処理結果が上記プロセスキャッシュに登録完了されたことを上記トラフィック管理部に通知するキャッシュミス処理部を有する請求項20記載のネットワーク装置。
【請求項22】
上記トラフィック管理部は、上記キャッシュミス処理部からの通知に基づいて、上記内部処理情報列に登録済み情報を付加することを特徴とする請求項21記載のネットワーク装置。
【請求項23】
上記トラフィック管理部は、上記登録済み情報を参照してフローを制御することを特徴とする請求項22記載のネットワーク装置。
【請求項24】
上記第1のフローの第1のパケットは、処理結果が該プロセスキャッシュ未登録である第1のフローの先頭パケットであることを特徴とする請求項18記載のネットワーク装置。
【請求項25】
上記第2のフローのパケットは、上記プロセスキャッシュに処理結果が未登録な先頭パケットまたは、プロセスキャッシュに処理結果が登録済みの後続パケットであることを特徴とする請求項18記載のネットワーク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−135572(P2006−135572A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321458(P2004−321458)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】