ノギン由来のペプチド及びその用途
本発明は、ノギン由来のペプチド及びこれを含む発毛促進用、皮膚状態改善用、抗炎症、又は骨疾患予防又は治療用組成物に関する。本発明のノギン(Noggin)由来のペプチドは、天然のヒトノギンと同一あるいは類似した機能を有し、ノギンと比較し、より優れた安定性を示し、皮膚透過度に非常に優れている。本発明によると、本発明のペプチドを有効成分として含む組成物は、成長因子関連症候、即ち、脱毛、皮膚改善、又は創傷、成長因子過発現症候の治療、予防、又は改善に非常に優れた効能を発揮する。したがって、上述の本発明のペプチドの優れた活性及び安定性は、医薬、医薬外品及び化粧品に非常に有利に適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノギン由来のペプチド及びこれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛嚢は、哺乳動物の皮膚の独特の器官であって、原始表皮の下部が成長し、より深い皮膚層に伸長された器官である。毛嚢の基部には、小嚢又は真皮乳頭細胞として知られた細胞のプラグが存在し(Stenn and Paus, Physiol. Rev., 81: 449(2002))、乳頭は、毛嚢の正常な循環(Oliver, Embryol. Exp. Morph. 15: 331(1966); Oliver, Embryol. Exp. Morph. 16: 231(1967))及び毛幹の成長に必須である。毛幹は、ケラチンフィラメントとフィラメント凝集蛋白質が固く密着されてなる、上皮細胞で製造されたトレッド形状の構造である。
【0003】
人間の毛髪は、成長期(anagen)、退行期(catagen)、休止期(telogen)の特異的な3つの周期を周期的に繰り返して、毛髪が抜けて再び生成される過程を経る。毛髪の周期の決定は、ホルモン調節や多くの成長因子などの調節を通じてなされる。一方、酷いストレスや栄養欠乏などにより、毛髪は、退行期及び休止期が促進され、酷い脱毛症状(alopecia)を誘発する(Vladimir A. Botchkarev, American Journal of Pathology, 162(3): 709−712(2003))。
【0004】
男性型ハゲにおいて、頭皮の前面及び上部の毛嚢は、アンドロゲンに対して感受性であって、該アンドロゲン感受性個体において巨大な小嚢から極小形小嚢に変形され、臨床的には脱毛として表れる。なお、20%の女性は、頭皮上部の毛髪が薄くなることを特徴とする女性型ハゲを、一生で何種類かの脱毛を経験すると推定される。年をとるにつれて、脱毛が拡散される。更に、例えば、傷跡脱毛症、火傷又は圧迫傷害に係わる傷跡形成状態のような相異なる疾患状態が顕著な脱毛を起こしてしまうようになる。原因とはかかわらず、脱毛は、最終的に自尊心の喪失と共に、顕著な精神的、社会的及び性的影響力を及ぼす結果をもたらす可能性がある。このような脱毛現象を治療するために、これまで医薬品として様々な物質が使用されてきたが、値段が高すぎるか、効能に対する個人差が大きすぎるという短所があった。
【0005】
その他、化粧品製品は、値段は安いものの、効果の低い植物抽出物などを利用し、その効果は微弱であった。このような短所を補完するために、ヒト由来の角質細胞成長因子(keratinocyte growth factor)を、大腸菌を利用して大量発酵、精製する方法を利用して値段を下げ、皮膚内に容易に浸透できるようにナノソーム技術を利用し、安価で、皮膚内浸透度が高くて大きい効果を奏する製品を開発した。また、角質細胞成長因子由来のペプチドと共に添加することにより、その効果を極大化させた。角質細胞成長因子は、毛髪が生成されて成長される時期である成長期を促進させる役割をして、様々な環境的な要因により退行期に向かっていく毛髪の周期を成長期にとどまるようにすることにより、脱毛抑制効果を示し、正常毛髪では、毛髪の成長と毛髪に栄養分を供給して、健康な毛髪に大きく影響する。脱毛の治療及び解決策は、長期間に亘って非常に変化されてきた。かつら、部分かつら及び毛髪拡大は、ハゲの部分を隠すことはできるが、新しい成長を誘発するものではない。またこれまでに知られている2つの利用可能な薬物(ミノキシジル及びフィナステリド)は、更なる脱毛を遅延させることはできるが、実際に新しい毛嚢の再生を誘導するためには、どれも利用することができなかった。また、多くの頭髪化粧品のうち、植物抽出物などを利用した脱毛防止製品が沢山市販されている。特に、クララ(sophora)、カラシ(hot pepper)、当薬、桑白皮、桑葉、人参、甘草、芍薬、アカヤジオ(foxglove)、ウイキョウ(fennel)、サンシュユ、ニンニクなどの抽出物を含有した製品、キサンチン及び成長ホルモンを含有する組成物を添加して、ジヒドロテストステロン(DHT)の過剰による細胞代謝抑制を改善すると同時に、成長ホルモンが毛髪成長を促進することにより、脱毛防止及び毛髪を再生して、毛髪成長促進効果を示す製品、発毛及び毛髪の成長を促進するために、ミネラル及びビタミン類、緑茶、ローズマリ、ヨモギ、甘草抽出液を含有した製品を開発して、頭皮と毛髪に栄養を供給し、脱毛の予防及び毛髪成長促進に効果がある発毛促進用製品、並びに、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン及び葉酸などの物質と植物抽出物を混合して、人体内の5−α還元酵素を抑制し、男性ホルモン(アンドロゲン)の代謝過程でDHTが形成されないようにして、髪の毛の新陳代謝作用を助けるような男性型脱毛製品が開発されたが、新生毛髪の生成にまで影響を及ぼす製品は探すことが難しかった。一方、日本の東京慈恵会医科大学の健康医学センター研究グループ臨床チームにより、糖尿などに効能がよいと判定されたコロソリン酸(Corosolic Acid)などを利用した製品を開発して、人体内の5−α還元酵素を抑制して、毛髪成長に卓越な機能をする製品が開発されでいる。
【0006】
毛髪の成長及び退化の過程には、非常に多い要因が連係されているが、本発明者らは、毛髪の成長の最も主要な目標を角質細胞成長因子の促進と、血管内皮成長因子の活性を促進、BMP類蛋白質の活性を抑制することにより、毛髪の生成を促進させる一連の成長因子を活用した研究を行った。特に、毛髪の周期を勧奨する様々な成長因子のうち、ヒト由来の角質細胞成長因子であるFGF−7(KGF)及びFGF−10を阻害し、毛嚢形成誘導過程で成長期時期の開始を阻害するBMP2/4に対する抑制剤として作用し、休止期から成長期への転換を誘導するノギン(Noggin)蛋白質を、大腸菌を利用して大量発酵、精製する方法を利用して成長因子が含有された化粧品として開発し、毛髪を成長させて脱毛を予防しようとした(大韓民国特許第1007968170000号明細書、毛髪と皮膚の治療のための成長因子)。しかしながら、成長因子類は、効能が非常に優れている反面、天然型の成長因子を得るためにリフォールディング(refolding)という追加工程と時間が要求され、更に、精製過程で大腸菌由来の汚染源を除去するための複雑な精製過程を必要とし、安定性及び高分子量により毛髪の保護膜を容易に越えられないという点などが、高い値段と相まって、活用度を落としてしまった。
【0007】
成長因子の発現の問題点を解決するために、成長因子の一部分のみを固相合成の方法を利用して生産し、類似機能を得ようとした試みが報告された。例えば、米国特許第5,473,054号明細書でJamesonらは、IGF−1の29番〜38番及び61番〜70番の断片をそれぞれJB2とJB1と命名し、このペプチド断片の細胞成長効果とJB1の鏡像異性体であるJB3のIGF−1阻害効果を報告した。また、Teruoらは、国際公開公報第03/048192号明細書で、IGF−1の33番〜37番断片とSubstance P由来のテトラペプチドの傷治癒における相互補完作用について報告している。その他にも、Kodamaらは、Autoimmunity 37:481−487(2004)で、IGF−1の50番〜70番断片がマウスにおいて糖尿病治療に役に立つと報告している。
【0008】
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、天然成長因子ノギン(Noggin)と同一なあるいは類似した機能又は作用をすることができながらも、天然ノギンより安定性や皮膚浸透性に優れて、天然ノギンの大きい分子量による問題点を改善することができるペプチドを製造するために、多様な種類のヒトノギン由来のペプチドを製造及びスクリーニングした。その結果、多いペプチド候補物質の中で、生理活性に優れているだけではなく、安定性及び皮膚透過率に優れたペプチドを選別することにより、本発明を完成した。
【0010】
したがって、本発明の目的は、成長因子活性を示すペプチドを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、発毛促進用組成物を提供することにある。
【0012】
本発明のまた他の目的は、皮膚状態(skin conditions)改善用組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、抗炎症組成物を提供することにある。
【0014】
本発明のまた他の目的は、骨疾患予防又は治療用組成物を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、更に明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一様態によると、本発明は、下記一般式1で表されるアミノ酸配列を含み、成長因子活性を示すペプチドを提供する。
[一般式1]
Glu−Leu−Ile−Glu−His−リンカー−Arg−Pro−Ala−Asp
【0017】
本発明の他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む発毛促進用組成物を提供する。
【0018】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む皮膚状態改善用組成物を提供する。
【0019】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む抗炎症組成物を提供する。
【0020】
本発明の他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む骨疾患予防又は治療用組成物を提供する。
【0021】
本発明者らは、天然成長因子ノギン(Noggin)と同一なあるいは類似した機能又は作用をすることができながらも、天然ノギンより安定性及び皮膚浸透性に優れて、天然ノギンの大きい分子量による問題点を改善することができるペプチドを製造するために、多様な種類のヒトノギン由来のペプチドを製造及びスクリーニングした。その結果、多いペプチド候補物質の中で、生理活性に優れているだけではなく、安定性及び皮膚透過率に優れたペプチドを選別した。
【0022】
本発明者らは、本発明のペプチドを提供するために、成長因子ノギンの複数の部位を無作為的に部分合成して、受容体蛋白質に対する結合可能部位を1次探索した後、この予測された部位のアミノ酸配列を最適化することにより、本発明のペプチド候補物質群を製造して、これらの候補ペプチドのうち、最も活性に優れたペプチドをスクリーニングすることにより、本発明のペプチドを最終的に選別した。
【0023】
本発明のペプチドは、前記一般式1で表されるアミノ酸配列を含み、好ましくは、本発明のペプチドは、前記一般式1で表されるアミノ酸配列を必須の構成とし、最も好ましくは、本発明のペプチドは、前記一般式1で表されるアミノ酸配列から構成されている。
【0024】
前記一般式1のアミノ酸配列において、ノギン由来配列がN−末端及びC−末端にそれぞれあり、その間にリンカーが介入されている。
【0025】
本発明で利用されるリンカーとしては、当業界に公知の多様なリンカーを利用することができる。前記リンカーは、本発明のペプチドの活性、即ち、ノギン活性を最大化するために特別に選択された長さ及び/又は配列を有することができる。
【0026】
好ましくは、前記リンカーは、複数のアミノ酸残基からなるリンカーである。アミノ酸配列からなるリンカーは、Huston, et al., Methods in Enzymology, 203:46−88(1991)、及びWhitlow, et al., Protein Eng., 6:989(1993)に開示されており、前記文献は、本明細書に参照として取り込まれる。本発明に適したリンカーは、主にグリシン、又はグリシン及びセリンアミノ酸から構成され、その長さは、2個〜18個のアミノ酸残基である。本発明の好ましい具現例によると、前記リンカーは、複数のアミノ酸残基からなっている。本発明のより好ましい具現例によると、前記リンカーは、2個〜10個のGly残基からなっており、更に好ましくは2個〜7個のGly残基、最も好ましくは、3個のGly残基からなっている。
【0027】
本発明のペプチドは、それ自体が天然のノギンより優れた安定性を示すが、アミノ酸の変形により、より一層安定性を向上させることができる。
【0028】
本発明の好ましい具現例によると、前記ペプチドのN−末端又はC−末端は、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基、ポリエチレングリコール(PEG)及びアミノ酸からなる群から選択される保護基が更に結合されている。
【0029】
本発明の好ましい具現例によると、前記ペプチドのC−末端は、ヒドロキシ基(−OH)又はアミノ基(−NH2)に変形されている。
【0030】
上述のアミノ酸の変形は、本発明のペプチドの安定性を大きく改善する作用をする。本明細書において用語「安定性」は、インビボ安定性だけではなく、貯蔵安定性(例えば、常温貯蔵安定性)も意味する。上述の保護基は、生体内の蛋白質切断酵素の攻撃から本発明のペプチドを保護する作用をする。
【0031】
本明細書において用語「ペプチド」は、アミノ酸残基がペプチド結合によりお互いに結合されて形成された線形の分子を意味する。本発明のペプチドは、当業界に公知された化学的合成方法、特に固相合成技術(solid−phase synthesis techniques)により製造できる(Merrifield, J. Amer. Chem. Soc., 85: 2149−54(1963); Stewart, et al., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd. ed., Pierce Chem. Co.: Rockford, 111(1984))。
【0032】
本発明のペプチドは、天然成長因子ノギンと同一な又は類似した活性を有する。
【0033】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、細胞成長促進能を有する。本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、ラミニン又はヒアルロン酸の生成を促進する。
【0034】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、骨形成タンパク質(BMP:bone morphogenetic protein)−2、BMP−4又はBMP−7と結合し、BMP−2、BMP−4又はBMP−7に対して拮抗(antagonistic)作用をする。即ち、本発明のペプチドは、BMP−2、BMP−4及び/又はBMP−7と強く結合し、これらが受容体に結合することを妨害することにより、拮抗作用を示す。
【0035】
より好ましくは、本発明のペプチドは、BMP−2、BMP−4又はBMP−7が関与する疾病、疾患又は状態に対して予防又は治療効能を示す。前記疾病、疾患又は状態は、脱毛、炎症又は骨疾患である。
【0036】
本明細書において用語「BMP−2、BMP−4又はBMP−7が関与する疾病、疾患又は状態」は、BMP−2、BMP−4又はBMP−7の過発現により招来される病的状態を意味する。
【0037】
BMP−2、BMP−4及びBMP−7が脱毛、炎症又は骨疾患のような多様な病的状態に関与していることは当業界によく公知されている(Kanami I, et al., Bone Morphogenetic Protein 2 Stimulates Osteoclast Differentiation and Survival Supported by Receptor Activator of Nuclear Factor−κB Ligand, Endocrinology, 142(8): 3656−662(2001);米国出願公開第20060276385号明細書;及び国際公開公報第99/61044号明細書)。したがって、BMP−2、BMP−4又はBMP−7に対して拮抗作用をする本発明のペプチドは、BMP−2、BMP−4又はBMP−7関与疾患の予防又は治療に有効である。
【0038】
本発明の他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む発毛促進用組成物を提供する。
【0039】
ノギンは、形質転換因子(TGF−β)ファミリーのリガンドに結合し、TGF−β信号伝達を抑制するポリペプチドである。ノギンは、コーディン(chordin)又はホリスタンチン(follistatin)のようなTGF−β抑制剤の場合のようにBMP−4(bone morphogenetic protein−4)を抑制し、特に毛嚢(hair follicle)から発現されるBMP−2、BMP−4及びBMP−7活性を抑制する(American Journal of Path., Vol 165, No. 3:729−740(2004))。
【0040】
本発明によると、本発明のペプチドは、ヒトノギン由来であって、動物実験を通じて毛髪の成長を非常に高く促進させた(図10)。
【0041】
本明細書で使用される用語「発毛促進」又は「脱毛防止」は、同一な意味で使用されて、これは、当業界で利用される用語「養毛又は育毛促進」と同一な意味を有する。
【0042】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の組成物により予防又は治療される脱毛疾患は、円形脱毛症(alopecia areata)、全頭脱毛症(alopecia totalis)、汎発性脱毛症(alopecia universalis)、男性型脱毛症(androgenic alopecia)、休止期脱毛症(telogen effluvium)、成長期脱毛症(anagen effluvium)又は化学治療−誘発脱毛症(chemotherapy−induced alopecia)を含むが、これらに限定されるものではない(Cotsarelis et al., Towards a molecular understanding of hair loss and its treatment, TRENDS in Mol. Med., 7:293−301(2001); MacDonald, N., Alopecia areata: identification and current treatment approaches, Dermatol. Nurs., 11:356−359(1999))。
【0043】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む皮膚状態改善用組成物を提供する。
【0044】
本発明の好ましい具現例によると、前記皮膚状態の改善は、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、皮膚保湿の改善、シミの除去又は創傷の治療を含む。下記の実施例から分かるように、本発明のペプチドは、角質細胞及び線維芽細胞の増殖を促進して、ラミニン及びヒアルロン酸の生成を促進し、多様な皮膚状態を改善することができる。
【0045】
本発明の他の様態によると、本発明は、BMP活性を抑制する前記ペプチドを有効成分として含むBMP−2、BMP−4又はBMP−7が関与する疾病、疾患又は状態の予防又は治療用組成物を提供する。
【0046】
本発明のペプチドは、ヒトノギン由来ペプチドであって、BMP蛋白質類、好ましくは、BMP−2及びBMP−4と結合し、BMP−2及びBMP−4に対して拮抗作用をする。
【0047】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドの拮抗作用により予防又は治療される疾病、疾患又は状態は、炎症又は骨疾患である。
【0048】
本発明により予防又は治療できる炎症疾患は多様であり、例えば、脳炎(encephalitis)、炎症性腸炎、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー、敗血症性ショック症、肺線維症、未分化型脊椎関節症、未分化型関節病症、関節炎、炎症性骨溶解、及び慢性ウイルス又はバクテリア感染による慢性炎症を含むが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本発明により予防又は治療できる骨疾患は多様であり、例えば、骨関節炎、リウマチ関節炎、癌細胞の骨転移により招来される骨の損傷、骨多孔症、骨軟化症、くる病、線維性骨炎、無形成骨疾患、代謝性骨疾患、骨溶解、白血球減少症、骨の奇形、高カルシウム血症又は神経圧迫症候群を含むが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本発明の組成物は、上述の本発明のノギン由来ペプチドを有効成分として含むため、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるためにその記載を省く。
【0051】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の薬剤学的組成物は、(a)上述の本発明のノギン由来のペプチドの薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む薬剤学的組成物である。
【0052】
本明細書において用語「薬剤学的有効量」は、上述のノギン由来のペプチドの効能又は活性を達成するに十分な量を意味する。
【0053】
本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるものであって、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石(タルク)、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを更に含むことができる。適合する薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0054】
本発明の薬剤学的組成物は、経口又は非経口で投与でき、非経口投与の場合は、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、局所投与、経皮投与などにより投与できる。
【0055】
本発明の薬剤学的組成物の適合した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因により様々である。一方、本発明の薬剤学的組成物の好ましい投与量は、1日当たり、0.0001μg〜100μgである。
【0056】
本発明の薬剤学的組成物は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造されるか、又は多用量容器内に入れて製造できる。この際、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又は乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤又はゲル剤(例えば、ハイドロゲル)の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤を更に含むことができる。
【0057】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の化粧品組成物は、(a)上述の本発明のノギン由来のペプチドの化粧品学的有効量、及び(b)化粧品学的に許容される担体を含む化粧品組成物である。
【0058】
本明細書において用語「化粧品学的有効量」は、上述の本発明の組成物の皮膚改善効能を達成するに十分な量を意味する。
【0059】
本発明の化粧品組成物は、当業界で通常的に製造されるいかなる剤形にも製造でき、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどに剤形化することができるが、これらに限定されるものではない。より詳しくは、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー又はパウダーの剤形に製造することができる。
【0060】
本発明の剤形がペースト、クリーム又はゲルである場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などが利用できる。
【0061】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーである場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、又はポリアミドパウダーが利用でき、特にスプレーの場合は、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進体を更に含むことができる。
【0062】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液である場合は、担体成分として、溶媒、溶解化剤又は乳濁化剤が利用されて、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0063】
本発明の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー又はトラガカントなどが利用できる。
【0064】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イソチオネート、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが利用できる。
【0065】
本発明の化粧品組成物に含まれる成分は、有効成分としてのペプチドと担体成分の他に、化粧品組成物に通常的に利用される成分を含むが、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常的な補助剤を含むことができる。
【発明の効果】
【0066】
本発明の特徴及び利点を要約すると、下記のようである。
(a)本発明のノギン由来のペプチドは、天然のヒトノギンと同一なあるいは類似した機能をすることができる。
(b)本発明のペプチドは、ノギンと比較し、より優れた安定性を示して、皮膚透過度に非常に優れている。
(c)本発明によると、本発明のペプチドを有効成分として含む組成物は、成長因子関連症候、即ち、脱毛、皮膚改善又は創傷、成長因子過発現症候の治療、予防又は改善に非常に優れた効能を発揮する。
(d)上述の本発明のペプチドの優れた活性及び安定性は、医薬、医薬外品及び化粧品に非常に有利に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、本発明の合成例により製造されたペプチドの高速液体クロマトグラフィー分析の結果を示すグラフである。
【図2A】図2Aは、本発明の合成例により製造されたペプチドで処理した角質細胞の細胞成長速度を示したグラフである。
【図2B】図2Bは、本発明の合成例により製造されたペプチドで処理した線維芽細胞の細胞成長速度を示したグラフである。
【図3】図3は、本発明のペプチドで処理した角質細胞及び線維芽細胞の細胞成長促進効果を顕微鏡で確認した写真である。
【図4A】図4Aは、本発明のペプチドで処理した線維芽細胞における増加されたラミニンの生成量を示したグラフである。
【図4B】図4Bは、本発明のペプチドで処理した線維芽細胞における増加されたヒアルロン酸の生成量を示したグラフである。
【図5】図5は、α−MSHで処理したB16黒色腫細胞において、本発明の実施例により製造されたペプチドで処理した後のメラニン細胞のメラニン生成効果を比較した実験である。
【図6】図6は、α−MSHで処理したB16黒色腫細胞において、本発明の実施例により製造されたペプチドで処理した後のメラニン生成効果をUVで測定した実験である。
【図7】図7は、本発明の実施例により製造されたペプチドとBMP−4蛋白質との結合力を確認するためのBiacore実験の結果である。
【図8A】図8Aは、本発明の実施例により製造されたペプチドとBMP−4蛋白質との結合力を確認するためのSDS−PAGEの結果である。溶出画分1(Elution 1)、溶出画分2(Elution 2)及び溶出画分3(Elution 3)は、0.5M NaCl、50mmoleリン酸アンモニウム(pH4.0)溶液で溶出した連続的な溶出分画を示す。SM(Size marker)の蛋白質大きさは、100kDa、70kDa、50kDa、40kDa、30kDa、20kDa及び15kDaである。
【図8B】図8Bは、本発明の実施例により製造されたペプチドとBMP−4蛋白質との結合力を確認するためのウェスタンブロッティング結果である。SM(Size marker)右側の標準蛋白質は、それぞれ図8Aの溶出分画と同一である。
【図9】図9は、本発明のペプチドの熱安定性を比較したグラフである。
【図10】図10は、本発明のペプチドを処理したマウスの背中皮膚の毛髪成長効果である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、実施例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【実施例】
【0069】
合成例:Glu−Leu−Ile−Glu−His−リンカー−Arg−Pro−Ala−Asp(配列番号1)の合成
クロロトリチルクロライドレジン(chloro trityl chloride resin;CTL resin, Nova Biochem社製、Cat No.01−64−0021)700mgを反応容器に入れて、メチレンクロライド(MC)10mlを加えて3分間攪拌した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10ml入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。反応器に10mlのジクロロメタン(DCM)溶液を入れて、Fmoc−Asp(tBu)−OH(Bachem社製、スイス)200mmole及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)400mmoleを入れた後、攪拌してよく溶かして、1時間攪拌しながら反応させた。反応後、洗浄して、メタノールとDIEA(2:1)をDCM(dichloromethane)に溶かして10分間反応した後、過量のDCM/DMF(1:1)で洗浄した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10ml入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。脱保護溶液(20%のピペリジン/DMF)10mlを反応容器に入れて、10分間常温で攪拌した後、溶液を除去した。同量の脱保護溶液を入れて、再び10分間反応を維持した後、溶液を除去し、それぞれ3分間ずつDMFで2回、MCで1回、DMFで1回洗浄して、Asp(tBu)−CTLレジンを製造した。新しい反応器に10mlのDMF溶液を入れて、Fmoc−Ala−OH(Bachem社製、スイス)200mmole、HoBt200mmole及びBop200mmoleを入れた後、攪拌してよく溶解させた。反応器に400mmoleのDIEAを分画で2回にかけて入れて、全ての固体が溶解されるまで少なくとも5分間攪拌した。溶解されたアミノ酸混合溶液を、脱保護されたレジンが入っている反応容器に入れて、1時間常温で攪拌しながら反応した。反応液を除去し、DMF溶液で5分間ずつ3回攪拌して除去した。反応レジンを少量取って、カイザーテスト(Ninhydrine test)を利用して反応程度を点検した。脱保護溶液で上記と同様に2回脱保護反応し、Ala−Asp(tBu)−CTLレジンを製造した。DMFとMCで十分洗浄し、再びカイザーテストを行った後、上記と同様に下記のアミノ酸付着実験を行った。選定されたアミノ酸配列に基づき、Fmoc−Pro、Fmoc−Arg(pbf)、リンカー(Gly、Gly−Gly、Gly−Gly−Gly、Gly(4)、アミノ酪酸、アミノ安息香酸)、Fmoc−His(trt)、Fmoc−Glu(OtBu)、Fmoc−Ile、Fmoc−Leu及びFmoc−Glu(tBu)の順に連鎖反応を行った。Fmoc−保護基を脱保護溶液で10分間ずつ2回反応した後、よく洗浄して除去した。無水酢酸とDIEA、HoBtを入れて1時間アセチル化を行った後、製造されたペプチジルレジンをDMF、MC及びメタノールでそれぞれ3回洗浄し、窒素空気を徐々に流して乾燥した後、P2O5下で真空に減圧して完全に乾燥し、脱漏溶液[トリフルオロ化酢酸(TFA)95%、蒸留水2.5%、チオアニソール2.5%]30mlを入れた後、常温で時々振りながら2時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、更に2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のGlu−Leu−Ile−Glu−His−リンカー−Arg−Pro−Ala−Aspペプチド(リンカー=Gly−Gly−Gly)を1.11g合成した(収率88.2%)。分子量測定器を利用して測定時、分子量1,250.9(理論値1,250.35)を得ることができた。
【0070】
【表1】
【0071】
試験例1:合成ペプチドを活用した細胞成長効果の確認
合成例を通じて合成された配列ペプチドに対する成長因子の類似効能及び抑制効能を分析するために、リジノらの方法(Rizzino, et al. Cancer Res., 48: 4266(1988))を参照し、HaCaT角質細胞株(韓国細胞株バンク)とNIH3T3線維芽細胞(韓国細胞株バンク)を利用したSRB(Sulforhodamine B)比色法を利用して測定した。
【0072】
HaCaT角質細胞株及びNIH3T3線維芽細胞を、それぞれ250ml容量の組織培養用フラスコを利用して、10%牛胎児血清(FBS;fetal bovine serum、Sigma社製)を含むEagle’s minimal essential media(EMEM、Gibco社製、、米国)で培養した。培養された細胞株を0.25%トリプシン溶液で培養容器の底から取り外した後、遠心分離して細胞沈殿物のみを集めた。これを、FBSが含有されていないEMEM培養液に再び懸濁した後、96ウェル組織培養用平板に、4×103細胞/ウェル(cells/well)になるように入れて、24時間37℃、7%CO2条件下で培養した。24時間後、血清を完全に排除した同一な培養液で培地を入れ替えた後、標準を取るための空試料又は合成ペプチドを、水と10%DMSOに滅菌状態で溶解した後、100ng/mlの濃度で72時間、上記の同一条件で培養した。培養終了後、培養上清液を除去して、PBSで1回洗浄した。洗浄溶液を除去した後、比色SRB溶液で処理し、PBSで十分洗浄した後、顕微鏡で細胞を観察して、生存細胞の状態を観察し、紫外線590nmで吸光度を測定して、細胞の生存状態を測定した
【0073】
図2A及び図2Bは、ペプチド処理後の角質細胞(図2A)及び線維芽細胞(図2B)の成長に対する結果を示し、図3は、細胞をペプチドで72時間処理後、細胞の生存状態を顕微鏡で観察し、角質細胞及び線維芽細胞の成長を確認した結果を示す。
【0074】
図2A及び図2Bから分かるように、本発明の配列番号1で表されるペプチドは、角質細胞と線維芽細胞の成長を増進させた。図3から、本発明の配列番号1で表されるペプチドが角質細胞及び線維芽細胞の成長を促進させるということが分かる。
【0075】
試験例2:合成ペプチドのラミニン及びヒアルロン酸生成促進効果の分析
48時間を培養したHaCaT細胞に合成例で合成したペプチドを処理して72時間経過後、皮膚シワ改善の標識であるラミニン及びヒアルロン酸の濃度を測定した。濃度測定は、Laminin ELISAキット(Takara社製、日本)及びHyaluronic acid ELISA Kit(Takara社製、日本)を利用して行った。本発明の配列番号1で表されるペプチドの場合、線維芽細胞においてラミニン生成を増加させた(図4A)。また、配列番号1で表されるペプチドは、線維芽細胞においてヒアルロン酸の生成を増加させた(図4B)。
【0076】
試験例1及び2の実験結果をまとめてみると、本発明の配列番号1で表されるペプチドは、優れた皮膚改善効能を発揮するということが分かる。
【0077】
試験例3:合成ペプチドによるメラニン色素の減少抑制
合成例で合成したペプチドのBMP−4成長因子に対する拮抗作用を確認するために、C57BL/6マウスのメラノサイト(中央実験動物、韓国)を培養し、α−MSH(α−melanocyte stimulating hormone、Sigma社製)でメラニン生成を誘発させた後、BMP−4(R&D Systems, Inc.、米国)を処理して、その後すぐに、合成したペプチドを濃度別に処理し、BMPにより抑制されたメラニン生成が再び活性化されるかを測定した。マウスのメラノサイトは、DMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s media、Sigma社製)に10%牛胎児血清(fetal bovine serum、Sigma社製)を添加した培地で、37℃、5%CO2条件で培養した。24−ウェルプレートに1×105細胞/ウェル(cells/well)の濃度で細胞を培養し、細胞の付着を確認した後、対照群には何も処理せず溶媒だけを入れて、陽性対照群は、α−MSHを200μg/ml、そしてその他のディッシュにはBMP−4蛋白質を1μg/ml濃度になるように処理した後、配列番号1で表されるペプチドを処理した。それぞれのディッシュは、試験物質を加えた後、3日間培養した。ここで試験物質は、それぞれの成分を培地溶媒に溶解させた後、プロピレングリコール:エタノール:精製水の比率が5:3:2の混合溶媒に溶解させて、試験濃度で希釈されて同一な比率で混合されたものである。遠心分離を通じて培養液を除去した後、細胞のメラニン生成量を肉眼で確認することができた。図5から確認できるように、α−MSHを入れた群ではメラニン生成が急激に高くなって、BMP−4により再び下がったメラニン濃度が、ペプチドを処理した群では、α−MSHを処理した場合と類似したメラニン生成を示したが、これは、ペプチドの処理によりBMP−4活性を適切に阻害したことを意味して、メラニンの生成を増加させた。
【0078】
より精密に実験するために、細胞をPBSで洗浄した後、1N水酸化ナトリウムで細胞を溶かして400nmで吸光度を測定し、メラニン生成抑制率をDooleyの方法で計算し(Dooley, T. P. et al., Skin Pharmacol., 7: 188−200(1994))、図6に示した。図6の結果は、図5の結果と一致する。
【0079】
試験例4:合成ペプチドのBMP4結合確認実験
本発明の実施例を通じて合成されたペプチド類とBMP蛋白質との結合状態を把握するために、薬物と受容体間の結合力を検出できるBiacore装置を利用して実験した。
【0080】
常用のCM5センサーチップ(Biacore社製、スウェーデン)にrh−BMP4蛋白質(R&D Systems, Inc.、米国)を、アミン化結合方式を利用して6000RU(response unit)固定させた。その後、HBS−EP緩衝液(Biacore社製、スウェーデン)で5μl/分間の流速で流して、CM5センサーチップにあるBMP4蛋白質を活性化させた。反応の最適化を作った後、配列番号1で表される合成ペプチドを濃度別(1,000μg/ml、500μg/ml、250μg/ml、125μg/ml、62.5μg/ml、31.3μg/ml、15.6μg/ml、7.8μg/ml、4μg/ml)に流してモニタリングした。BMP4と合成ペプチドとの間の結合力をRU値の増加で確認することができた。図7に示すように、BMP4蛋白質と合成ペプチドとは、非常に強い結合力を有することが分かった。これを利用して、BMP−4の拮抗作用に配列番号1で表されるペプチドを活用することができることが分かる。
【0081】
試験例5:合成ペプチドとBMP蛋白質の免疫結合反応実験
合成の実施例で製造したペプチドのN−末端にBiotin(Sigma社製、米国)を修飾化した。ストレプトアビジンとビオチンとの親和クロマトグラフィー(streptavidin chromatography)を行うために、ビオチンの付着されたペプチドとストレプトアビジンの付着されたレジンとをカラムに満たした後、20mMリン酸ナトリウム緩衝液で平衡化させた。その後、rh−BMP4蛋白質(R&D Systems, Inc.、米国)をカラムで流した後、200mMリン酸ナトリウム緩衝液を流し、結合しなかった蛋白質を洗浄して、0.2M NaClで溶出させ、ビオチン−ペプチドと結合した蛋白質を分取した。このように溶出された物質をSDS−PAGEで確認した後(図8A参照)、BMP4に対する抗体(Santa Cruz社製、米国)を使用してウェスタンブロッティングをした後、最終的にBMP4蛋白質とビオチン−ペプチドが結合するかどうかを確認した(図8B参照)。図8Bから、BMP4蛋白質と実施例で合成した配列番号1で表されるビオチン−ペプチドが結合したことを確認することができた。これを通じて、BMP4蛋白質と配列番号1で表されるペプチドが非常に強い結合をするということが分かった。
【0082】
試験例6:製造されたペプチドの熱安定性
合成例を通じて製造されたペプチドとNIBSC(UK)で購入した標準フォーム成長因子(Noggin、FGF−10)を0.11mg/mlの濃度のリン酸緩衝溶液で製造した。用意された溶液を1mlずつガラス製バイアルに入れた後、37℃で静置した。37℃に静置された溶液を0日目、5日目、10日目、20日目、30日目、40日目、及び70日目にサンプリングして、日付別に遠心分離し、変性されたペプチドや蛋白質を除去して、上澄み液を取って、HPLCを利用して定量した(図9)。図9から分かるように、本発明のペプチドは、既存のノギンペプチドより著しく優れた熱安定性を示した。
【0083】
実施例2:ナノ化ペプチドの製造
前記合成例で得られたペプチド50mgを正確に秤量した後、蒸留水500mlで十分攪拌して溶解した。配合体溶液を、レシチン5g、オレイン酸ナトリウム(sodium oleate)0.3ml、エタノール50ml及び少量の油相と共に混合した後、総量が1Lとなるように蒸留水で調節した後、マイクロ流動化装置(microfluidizer)を利用して高圧で乳化し、大きさ100nm程度のナノソームを製造した。製造されたナノソームは、最終濃度が約50ppmで、単独あるいは複合的に化粧品製造用として使用された。
【0084】
剤形例1:柔軟化粧水
前記実施例2で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる柔軟化粧水を、一般的な化粧水製造方法により製造した。
【表2】
【0085】
剤形例2:栄養クリーム
前記実施例2で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる栄養クリームを、一般的な栄養クリームの製造方法により製造した。
【表3】
【0086】
剤形例3:栄養化粧水
前記実施例2で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる栄養化粧水を、一般的な化粧水製造方法により製造した。
【表4】
【0087】
剤形例4:エッセンス
前記実施例2で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなるエッセンスを、一般的なエッセンス製造方法により製造した。
【表5】
【0088】
剤形例5:ヘアセラム
前記実施例2で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなるヘアセラムを、一般的なヘアセラム製造方法により製造した。
【表6】
【0089】
実施例3:ペプチドの毛髪成長促進効果の分析
実施例で合成したペプチドの毛髪成長効果を分析するために、マウス(C57BL/6、中央実験動物、韓国)の背中部位の毛を、除毛クリームを利用して除毛した後、マウスの背中の上部には1μg/μlの配列番号1で表されるペプチドを10μl、そして背中の下部には、対照群としてPBS 10μlをそれぞれ0日目、2日目及び4日目に投与あるいは皮膚に塗布した。それぞれの場合毎に約10日間の観察期間をもって毛の伸びた状態を観察した。本発明のペプチドの処理によるマウスの毛髪成長の増強効果を確認した(図10)。
【0090】
以上、本発明の望ましい具現例を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノギン由来のペプチド及びこれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛嚢は、哺乳動物の皮膚の独特の器官であって、原始表皮の下部が成長し、より深い皮膚層に伸長された器官である。毛嚢の基部には、小嚢又は真皮乳頭細胞として知られた細胞のプラグが存在し(Stenn and Paus, Physiol. Rev., 81: 449(2002))、乳頭は、毛嚢の正常な循環(Oliver, Embryol. Exp. Morph. 15: 331(1966); Oliver, Embryol. Exp. Morph. 16: 231(1967))及び毛幹の成長に必須である。毛幹は、ケラチンフィラメントとフィラメント凝集蛋白質が固く密着されてなる、上皮細胞で製造されたトレッド形状の構造である。
【0003】
人間の毛髪は、成長期(anagen)、退行期(catagen)、休止期(telogen)の特異的な3つの周期を周期的に繰り返して、毛髪が抜けて再び生成される過程を経る。毛髪の周期の決定は、ホルモン調節や多くの成長因子などの調節を通じてなされる。一方、酷いストレスや栄養欠乏などにより、毛髪は、退行期及び休止期が促進され、酷い脱毛症状(alopecia)を誘発する(Vladimir A. Botchkarev, American Journal of Pathology, 162(3): 709−712(2003))。
【0004】
男性型ハゲにおいて、頭皮の前面及び上部の毛嚢は、アンドロゲンに対して感受性であって、該アンドロゲン感受性個体において巨大な小嚢から極小形小嚢に変形され、臨床的には脱毛として表れる。なお、20%の女性は、頭皮上部の毛髪が薄くなることを特徴とする女性型ハゲを、一生で何種類かの脱毛を経験すると推定される。年をとるにつれて、脱毛が拡散される。更に、例えば、傷跡脱毛症、火傷又は圧迫傷害に係わる傷跡形成状態のような相異なる疾患状態が顕著な脱毛を起こしてしまうようになる。原因とはかかわらず、脱毛は、最終的に自尊心の喪失と共に、顕著な精神的、社会的及び性的影響力を及ぼす結果をもたらす可能性がある。このような脱毛現象を治療するために、これまで医薬品として様々な物質が使用されてきたが、値段が高すぎるか、効能に対する個人差が大きすぎるという短所があった。
【0005】
その他、化粧品製品は、値段は安いものの、効果の低い植物抽出物などを利用し、その効果は微弱であった。このような短所を補完するために、ヒト由来の角質細胞成長因子(keratinocyte growth factor)を、大腸菌を利用して大量発酵、精製する方法を利用して値段を下げ、皮膚内に容易に浸透できるようにナノソーム技術を利用し、安価で、皮膚内浸透度が高くて大きい効果を奏する製品を開発した。また、角質細胞成長因子由来のペプチドと共に添加することにより、その効果を極大化させた。角質細胞成長因子は、毛髪が生成されて成長される時期である成長期を促進させる役割をして、様々な環境的な要因により退行期に向かっていく毛髪の周期を成長期にとどまるようにすることにより、脱毛抑制効果を示し、正常毛髪では、毛髪の成長と毛髪に栄養分を供給して、健康な毛髪に大きく影響する。脱毛の治療及び解決策は、長期間に亘って非常に変化されてきた。かつら、部分かつら及び毛髪拡大は、ハゲの部分を隠すことはできるが、新しい成長を誘発するものではない。またこれまでに知られている2つの利用可能な薬物(ミノキシジル及びフィナステリド)は、更なる脱毛を遅延させることはできるが、実際に新しい毛嚢の再生を誘導するためには、どれも利用することができなかった。また、多くの頭髪化粧品のうち、植物抽出物などを利用した脱毛防止製品が沢山市販されている。特に、クララ(sophora)、カラシ(hot pepper)、当薬、桑白皮、桑葉、人参、甘草、芍薬、アカヤジオ(foxglove)、ウイキョウ(fennel)、サンシュユ、ニンニクなどの抽出物を含有した製品、キサンチン及び成長ホルモンを含有する組成物を添加して、ジヒドロテストステロン(DHT)の過剰による細胞代謝抑制を改善すると同時に、成長ホルモンが毛髪成長を促進することにより、脱毛防止及び毛髪を再生して、毛髪成長促進効果を示す製品、発毛及び毛髪の成長を促進するために、ミネラル及びビタミン類、緑茶、ローズマリ、ヨモギ、甘草抽出液を含有した製品を開発して、頭皮と毛髪に栄養を供給し、脱毛の予防及び毛髪成長促進に効果がある発毛促進用製品、並びに、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン及び葉酸などの物質と植物抽出物を混合して、人体内の5−α還元酵素を抑制し、男性ホルモン(アンドロゲン)の代謝過程でDHTが形成されないようにして、髪の毛の新陳代謝作用を助けるような男性型脱毛製品が開発されたが、新生毛髪の生成にまで影響を及ぼす製品は探すことが難しかった。一方、日本の東京慈恵会医科大学の健康医学センター研究グループ臨床チームにより、糖尿などに効能がよいと判定されたコロソリン酸(Corosolic Acid)などを利用した製品を開発して、人体内の5−α還元酵素を抑制して、毛髪成長に卓越な機能をする製品が開発されでいる。
【0006】
毛髪の成長及び退化の過程には、非常に多い要因が連係されているが、本発明者らは、毛髪の成長の最も主要な目標を角質細胞成長因子の促進と、血管内皮成長因子の活性を促進、BMP類蛋白質の活性を抑制することにより、毛髪の生成を促進させる一連の成長因子を活用した研究を行った。特に、毛髪の周期を勧奨する様々な成長因子のうち、ヒト由来の角質細胞成長因子であるFGF−7(KGF)及びFGF−10を阻害し、毛嚢形成誘導過程で成長期時期の開始を阻害するBMP2/4に対する抑制剤として作用し、休止期から成長期への転換を誘導するノギン(Noggin)蛋白質を、大腸菌を利用して大量発酵、精製する方法を利用して成長因子が含有された化粧品として開発し、毛髪を成長させて脱毛を予防しようとした(大韓民国特許第1007968170000号明細書、毛髪と皮膚の治療のための成長因子)。しかしながら、成長因子類は、効能が非常に優れている反面、天然型の成長因子を得るためにリフォールディング(refolding)という追加工程と時間が要求され、更に、精製過程で大腸菌由来の汚染源を除去するための複雑な精製過程を必要とし、安定性及び高分子量により毛髪の保護膜を容易に越えられないという点などが、高い値段と相まって、活用度を落としてしまった。
【0007】
成長因子の発現の問題点を解決するために、成長因子の一部分のみを固相合成の方法を利用して生産し、類似機能を得ようとした試みが報告された。例えば、米国特許第5,473,054号明細書でJamesonらは、IGF−1の29番〜38番及び61番〜70番の断片をそれぞれJB2とJB1と命名し、このペプチド断片の細胞成長効果とJB1の鏡像異性体であるJB3のIGF−1阻害効果を報告した。また、Teruoらは、国際公開公報第03/048192号明細書で、IGF−1の33番〜37番断片とSubstance P由来のテトラペプチドの傷治癒における相互補完作用について報告している。その他にも、Kodamaらは、Autoimmunity 37:481−487(2004)で、IGF−1の50番〜70番断片がマウスにおいて糖尿病治療に役に立つと報告している。
【0008】
本明細書全体にかけて多数の論文及び特許文献が参照され、その引用が表示されている。引用された論文及び特許文献の開示内容は、その全体が本明細書に参照として取り込まれ、本発明の属する技術分野の水準及び本発明の内容がより明確に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、天然成長因子ノギン(Noggin)と同一なあるいは類似した機能又は作用をすることができながらも、天然ノギンより安定性や皮膚浸透性に優れて、天然ノギンの大きい分子量による問題点を改善することができるペプチドを製造するために、多様な種類のヒトノギン由来のペプチドを製造及びスクリーニングした。その結果、多いペプチド候補物質の中で、生理活性に優れているだけではなく、安定性及び皮膚透過率に優れたペプチドを選別することにより、本発明を完成した。
【0010】
したがって、本発明の目的は、成長因子活性を示すペプチドを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、発毛促進用組成物を提供することにある。
【0012】
本発明のまた他の目的は、皮膚状態(skin conditions)改善用組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のまた他の目的は、抗炎症組成物を提供することにある。
【0014】
本発明のまた他の目的は、骨疾患予防又は治療用組成物を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的及び利点は、発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面により、更に明確にされる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一様態によると、本発明は、下記一般式1で表されるアミノ酸配列を含み、成長因子活性を示すペプチドを提供する。
[一般式1]
Glu−Leu−Ile−Glu−His−リンカー−Arg−Pro−Ala−Asp
【0017】
本発明の他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む発毛促進用組成物を提供する。
【0018】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む皮膚状態改善用組成物を提供する。
【0019】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む抗炎症組成物を提供する。
【0020】
本発明の他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む骨疾患予防又は治療用組成物を提供する。
【0021】
本発明者らは、天然成長因子ノギン(Noggin)と同一なあるいは類似した機能又は作用をすることができながらも、天然ノギンより安定性及び皮膚浸透性に優れて、天然ノギンの大きい分子量による問題点を改善することができるペプチドを製造するために、多様な種類のヒトノギン由来のペプチドを製造及びスクリーニングした。その結果、多いペプチド候補物質の中で、生理活性に優れているだけではなく、安定性及び皮膚透過率に優れたペプチドを選別した。
【0022】
本発明者らは、本発明のペプチドを提供するために、成長因子ノギンの複数の部位を無作為的に部分合成して、受容体蛋白質に対する結合可能部位を1次探索した後、この予測された部位のアミノ酸配列を最適化することにより、本発明のペプチド候補物質群を製造して、これらの候補ペプチドのうち、最も活性に優れたペプチドをスクリーニングすることにより、本発明のペプチドを最終的に選別した。
【0023】
本発明のペプチドは、前記一般式1で表されるアミノ酸配列を含み、好ましくは、本発明のペプチドは、前記一般式1で表されるアミノ酸配列を必須の構成とし、最も好ましくは、本発明のペプチドは、前記一般式1で表されるアミノ酸配列から構成されている。
【0024】
前記一般式1のアミノ酸配列において、ノギン由来配列がN−末端及びC−末端にそれぞれあり、その間にリンカーが介入されている。
【0025】
本発明で利用されるリンカーとしては、当業界に公知の多様なリンカーを利用することができる。前記リンカーは、本発明のペプチドの活性、即ち、ノギン活性を最大化するために特別に選択された長さ及び/又は配列を有することができる。
【0026】
好ましくは、前記リンカーは、複数のアミノ酸残基からなるリンカーである。アミノ酸配列からなるリンカーは、Huston, et al., Methods in Enzymology, 203:46−88(1991)、及びWhitlow, et al., Protein Eng., 6:989(1993)に開示されており、前記文献は、本明細書に参照として取り込まれる。本発明に適したリンカーは、主にグリシン、又はグリシン及びセリンアミノ酸から構成され、その長さは、2個〜18個のアミノ酸残基である。本発明の好ましい具現例によると、前記リンカーは、複数のアミノ酸残基からなっている。本発明のより好ましい具現例によると、前記リンカーは、2個〜10個のGly残基からなっており、更に好ましくは2個〜7個のGly残基、最も好ましくは、3個のGly残基からなっている。
【0027】
本発明のペプチドは、それ自体が天然のノギンより優れた安定性を示すが、アミノ酸の変形により、より一層安定性を向上させることができる。
【0028】
本発明の好ましい具現例によると、前記ペプチドのN−末端又はC−末端は、アセチル基、フルオレニルメトキシカルボニル基、ホルミル基、パルミトイル基、ミリスチル基、ステアリル基、ポリエチレングリコール(PEG)及びアミノ酸からなる群から選択される保護基が更に結合されている。
【0029】
本発明の好ましい具現例によると、前記ペプチドのC−末端は、ヒドロキシ基(−OH)又はアミノ基(−NH2)に変形されている。
【0030】
上述のアミノ酸の変形は、本発明のペプチドの安定性を大きく改善する作用をする。本明細書において用語「安定性」は、インビボ安定性だけではなく、貯蔵安定性(例えば、常温貯蔵安定性)も意味する。上述の保護基は、生体内の蛋白質切断酵素の攻撃から本発明のペプチドを保護する作用をする。
【0031】
本明細書において用語「ペプチド」は、アミノ酸残基がペプチド結合によりお互いに結合されて形成された線形の分子を意味する。本発明のペプチドは、当業界に公知された化学的合成方法、特に固相合成技術(solid−phase synthesis techniques)により製造できる(Merrifield, J. Amer. Chem. Soc., 85: 2149−54(1963); Stewart, et al., Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd. ed., Pierce Chem. Co.: Rockford, 111(1984))。
【0032】
本発明のペプチドは、天然成長因子ノギンと同一な又は類似した活性を有する。
【0033】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、細胞成長促進能を有する。本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、ラミニン又はヒアルロン酸の生成を促進する。
【0034】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドは、骨形成タンパク質(BMP:bone morphogenetic protein)−2、BMP−4又はBMP−7と結合し、BMP−2、BMP−4又はBMP−7に対して拮抗(antagonistic)作用をする。即ち、本発明のペプチドは、BMP−2、BMP−4及び/又はBMP−7と強く結合し、これらが受容体に結合することを妨害することにより、拮抗作用を示す。
【0035】
より好ましくは、本発明のペプチドは、BMP−2、BMP−4又はBMP−7が関与する疾病、疾患又は状態に対して予防又は治療効能を示す。前記疾病、疾患又は状態は、脱毛、炎症又は骨疾患である。
【0036】
本明細書において用語「BMP−2、BMP−4又はBMP−7が関与する疾病、疾患又は状態」は、BMP−2、BMP−4又はBMP−7の過発現により招来される病的状態を意味する。
【0037】
BMP−2、BMP−4及びBMP−7が脱毛、炎症又は骨疾患のような多様な病的状態に関与していることは当業界によく公知されている(Kanami I, et al., Bone Morphogenetic Protein 2 Stimulates Osteoclast Differentiation and Survival Supported by Receptor Activator of Nuclear Factor−κB Ligand, Endocrinology, 142(8): 3656−662(2001);米国出願公開第20060276385号明細書;及び国際公開公報第99/61044号明細書)。したがって、BMP−2、BMP−4又はBMP−7に対して拮抗作用をする本発明のペプチドは、BMP−2、BMP−4又はBMP−7関与疾患の予防又は治療に有効である。
【0038】
本発明の他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む発毛促進用組成物を提供する。
【0039】
ノギンは、形質転換因子(TGF−β)ファミリーのリガンドに結合し、TGF−β信号伝達を抑制するポリペプチドである。ノギンは、コーディン(chordin)又はホリスタンチン(follistatin)のようなTGF−β抑制剤の場合のようにBMP−4(bone morphogenetic protein−4)を抑制し、特に毛嚢(hair follicle)から発現されるBMP−2、BMP−4及びBMP−7活性を抑制する(American Journal of Path., Vol 165, No. 3:729−740(2004))。
【0040】
本発明によると、本発明のペプチドは、ヒトノギン由来であって、動物実験を通じて毛髪の成長を非常に高く促進させた(図10)。
【0041】
本明細書で使用される用語「発毛促進」又は「脱毛防止」は、同一な意味で使用されて、これは、当業界で利用される用語「養毛又は育毛促進」と同一な意味を有する。
【0042】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の組成物により予防又は治療される脱毛疾患は、円形脱毛症(alopecia areata)、全頭脱毛症(alopecia totalis)、汎発性脱毛症(alopecia universalis)、男性型脱毛症(androgenic alopecia)、休止期脱毛症(telogen effluvium)、成長期脱毛症(anagen effluvium)又は化学治療−誘発脱毛症(chemotherapy−induced alopecia)を含むが、これらに限定されるものではない(Cotsarelis et al., Towards a molecular understanding of hair loss and its treatment, TRENDS in Mol. Med., 7:293−301(2001); MacDonald, N., Alopecia areata: identification and current treatment approaches, Dermatol. Nurs., 11:356−359(1999))。
【0043】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、成長因子活性を示す前記ペプチドを有効成分として含む皮膚状態改善用組成物を提供する。
【0044】
本発明の好ましい具現例によると、前記皮膚状態の改善は、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、皮膚保湿の改善、シミの除去又は創傷の治療を含む。下記の実施例から分かるように、本発明のペプチドは、角質細胞及び線維芽細胞の増殖を促進して、ラミニン及びヒアルロン酸の生成を促進し、多様な皮膚状態を改善することができる。
【0045】
本発明の他の様態によると、本発明は、BMP活性を抑制する前記ペプチドを有効成分として含むBMP−2、BMP−4又はBMP−7が関与する疾病、疾患又は状態の予防又は治療用組成物を提供する。
【0046】
本発明のペプチドは、ヒトノギン由来ペプチドであって、BMP蛋白質類、好ましくは、BMP−2及びBMP−4と結合し、BMP−2及びBMP−4に対して拮抗作用をする。
【0047】
本発明の好ましい具現例によると、本発明のペプチドの拮抗作用により予防又は治療される疾病、疾患又は状態は、炎症又は骨疾患である。
【0048】
本発明により予防又は治療できる炎症疾患は多様であり、例えば、脳炎(encephalitis)、炎症性腸炎、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー、敗血症性ショック症、肺線維症、未分化型脊椎関節症、未分化型関節病症、関節炎、炎症性骨溶解、及び慢性ウイルス又はバクテリア感染による慢性炎症を含むが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本発明により予防又は治療できる骨疾患は多様であり、例えば、骨関節炎、リウマチ関節炎、癌細胞の骨転移により招来される骨の損傷、骨多孔症、骨軟化症、くる病、線維性骨炎、無形成骨疾患、代謝性骨疾患、骨溶解、白血球減少症、骨の奇形、高カルシウム血症又は神経圧迫症候群を含むが、これらに限定されるものではない。
【0050】
本発明の組成物は、上述の本発明のノギン由来ペプチドを有効成分として含むため、その共通する内容は、本明細書の過度なる複雑性を避けるためにその記載を省く。
【0051】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の薬剤学的組成物は、(a)上述の本発明のノギン由来のペプチドの薬剤学的有効量、及び(b)薬剤学的に許容される担体を含む薬剤学的組成物である。
【0052】
本明細書において用語「薬剤学的有効量」は、上述のノギン由来のペプチドの効能又は活性を達成するに十分な量を意味する。
【0053】
本発明の薬剤学的組成物に含まれる薬剤学的に許容される担体は、製剤時に通常的に利用されるものであって、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、滑石(タルク)、ステアリン酸マグネシウム、及びミネラルオイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。本発明の薬剤学的組成物は、前記成分の他に、潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などを更に含むことができる。適合する薬剤学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed., 1995)に詳細に記載されている。
【0054】
本発明の薬剤学的組成物は、経口又は非経口で投与でき、非経口投与の場合は、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、局所投与、経皮投与などにより投与できる。
【0055】
本発明の薬剤学的組成物の適合した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因により様々である。一方、本発明の薬剤学的組成物の好ましい投与量は、1日当たり、0.0001μg〜100μgである。
【0056】
本発明の薬剤学的組成物は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬剤学的に許容される担体及び/又は賦形剤を利用して製剤化することにより、単位容量形態に製造されるか、又は多用量容器内に入れて製造できる。この際、剤形は、オイル又は水性媒質中の溶液、懸濁液又は乳化液の形態であるか、エキス剤、粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤又はゲル剤(例えば、ハイドロゲル)の形態であってもよく、分散剤又は安定化剤を更に含むことができる。
【0057】
本発明の好ましい具現例によると、本発明の化粧品組成物は、(a)上述の本発明のノギン由来のペプチドの化粧品学的有効量、及び(b)化粧品学的に許容される担体を含む化粧品組成物である。
【0058】
本明細書において用語「化粧品学的有効量」は、上述の本発明の組成物の皮膚改善効能を達成するに十分な量を意味する。
【0059】
本発明の化粧品組成物は、当業界で通常的に製造されるいかなる剤形にも製造でき、例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション及びスプレーなどに剤形化することができるが、これらに限定されるものではない。より詳しくは、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、パック、スプレー又はパウダーの剤形に製造することができる。
【0060】
本発明の剤形がペースト、クリーム又はゲルである場合は、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、又は酸化亜鉛などが利用できる。
【0061】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーである場合は、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、又はポリアミドパウダーが利用でき、特にスプレーの場合は、クロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進体を更に含むことができる。
【0062】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液である場合は、担体成分として、溶媒、溶解化剤又は乳濁化剤が利用されて、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、又はソルビタンの脂肪酸エステルがある。
【0063】
本発明の剤形が懸濁液である場合は、担体成分として、水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー又はトラガカントなどが利用できる。
【0064】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合は、担体成分として、脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イソチオネート、イミダゾリウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが利用できる。
【0065】
本発明の化粧品組成物に含まれる成分は、有効成分としてのペプチドと担体成分の他に、化粧品組成物に通常的に利用される成分を含むが、例えば、抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料及び香料のような通常的な補助剤を含むことができる。
【発明の効果】
【0066】
本発明の特徴及び利点を要約すると、下記のようである。
(a)本発明のノギン由来のペプチドは、天然のヒトノギンと同一なあるいは類似した機能をすることができる。
(b)本発明のペプチドは、ノギンと比較し、より優れた安定性を示して、皮膚透過度に非常に優れている。
(c)本発明によると、本発明のペプチドを有効成分として含む組成物は、成長因子関連症候、即ち、脱毛、皮膚改善又は創傷、成長因子過発現症候の治療、予防又は改善に非常に優れた効能を発揮する。
(d)上述の本発明のペプチドの優れた活性及び安定性は、医薬、医薬外品及び化粧品に非常に有利に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、本発明の合成例により製造されたペプチドの高速液体クロマトグラフィー分析の結果を示すグラフである。
【図2A】図2Aは、本発明の合成例により製造されたペプチドで処理した角質細胞の細胞成長速度を示したグラフである。
【図2B】図2Bは、本発明の合成例により製造されたペプチドで処理した線維芽細胞の細胞成長速度を示したグラフである。
【図3】図3は、本発明のペプチドで処理した角質細胞及び線維芽細胞の細胞成長促進効果を顕微鏡で確認した写真である。
【図4A】図4Aは、本発明のペプチドで処理した線維芽細胞における増加されたラミニンの生成量を示したグラフである。
【図4B】図4Bは、本発明のペプチドで処理した線維芽細胞における増加されたヒアルロン酸の生成量を示したグラフである。
【図5】図5は、α−MSHで処理したB16黒色腫細胞において、本発明の実施例により製造されたペプチドで処理した後のメラニン細胞のメラニン生成効果を比較した実験である。
【図6】図6は、α−MSHで処理したB16黒色腫細胞において、本発明の実施例により製造されたペプチドで処理した後のメラニン生成効果をUVで測定した実験である。
【図7】図7は、本発明の実施例により製造されたペプチドとBMP−4蛋白質との結合力を確認するためのBiacore実験の結果である。
【図8A】図8Aは、本発明の実施例により製造されたペプチドとBMP−4蛋白質との結合力を確認するためのSDS−PAGEの結果である。溶出画分1(Elution 1)、溶出画分2(Elution 2)及び溶出画分3(Elution 3)は、0.5M NaCl、50mmoleリン酸アンモニウム(pH4.0)溶液で溶出した連続的な溶出分画を示す。SM(Size marker)の蛋白質大きさは、100kDa、70kDa、50kDa、40kDa、30kDa、20kDa及び15kDaである。
【図8B】図8Bは、本発明の実施例により製造されたペプチドとBMP−4蛋白質との結合力を確認するためのウェスタンブロッティング結果である。SM(Size marker)右側の標準蛋白質は、それぞれ図8Aの溶出分画と同一である。
【図9】図9は、本発明のペプチドの熱安定性を比較したグラフである。
【図10】図10は、本発明のペプチドを処理したマウスの背中皮膚の毛髪成長効果である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、実施例を通じて本発明を更に詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
【実施例】
【0069】
合成例:Glu−Leu−Ile−Glu−His−リンカー−Arg−Pro−Ala−Asp(配列番号1)の合成
クロロトリチルクロライドレジン(chloro trityl chloride resin;CTL resin, Nova Biochem社製、Cat No.01−64−0021)700mgを反応容器に入れて、メチレンクロライド(MC)10mlを加えて3分間攪拌した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10ml入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。反応器に10mlのジクロロメタン(DCM)溶液を入れて、Fmoc−Asp(tBu)−OH(Bachem社製、スイス)200mmole及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)400mmoleを入れた後、攪拌してよく溶かして、1時間攪拌しながら反応させた。反応後、洗浄して、メタノールとDIEA(2:1)をDCM(dichloromethane)に溶かして10分間反応した後、過量のDCM/DMF(1:1)で洗浄した。溶液を除去し、ジメチルホルムアミド(DMF)を10ml入れて3分間攪拌した後、再び溶媒を除去した。脱保護溶液(20%のピペリジン/DMF)10mlを反応容器に入れて、10分間常温で攪拌した後、溶液を除去した。同量の脱保護溶液を入れて、再び10分間反応を維持した後、溶液を除去し、それぞれ3分間ずつDMFで2回、MCで1回、DMFで1回洗浄して、Asp(tBu)−CTLレジンを製造した。新しい反応器に10mlのDMF溶液を入れて、Fmoc−Ala−OH(Bachem社製、スイス)200mmole、HoBt200mmole及びBop200mmoleを入れた後、攪拌してよく溶解させた。反応器に400mmoleのDIEAを分画で2回にかけて入れて、全ての固体が溶解されるまで少なくとも5分間攪拌した。溶解されたアミノ酸混合溶液を、脱保護されたレジンが入っている反応容器に入れて、1時間常温で攪拌しながら反応した。反応液を除去し、DMF溶液で5分間ずつ3回攪拌して除去した。反応レジンを少量取って、カイザーテスト(Ninhydrine test)を利用して反応程度を点検した。脱保護溶液で上記と同様に2回脱保護反応し、Ala−Asp(tBu)−CTLレジンを製造した。DMFとMCで十分洗浄し、再びカイザーテストを行った後、上記と同様に下記のアミノ酸付着実験を行った。選定されたアミノ酸配列に基づき、Fmoc−Pro、Fmoc−Arg(pbf)、リンカー(Gly、Gly−Gly、Gly−Gly−Gly、Gly(4)、アミノ酪酸、アミノ安息香酸)、Fmoc−His(trt)、Fmoc−Glu(OtBu)、Fmoc−Ile、Fmoc−Leu及びFmoc−Glu(tBu)の順に連鎖反応を行った。Fmoc−保護基を脱保護溶液で10分間ずつ2回反応した後、よく洗浄して除去した。無水酢酸とDIEA、HoBtを入れて1時間アセチル化を行った後、製造されたペプチジルレジンをDMF、MC及びメタノールでそれぞれ3回洗浄し、窒素空気を徐々に流して乾燥した後、P2O5下で真空に減圧して完全に乾燥し、脱漏溶液[トリフルオロ化酢酸(TFA)95%、蒸留水2.5%、チオアニソール2.5%]30mlを入れた後、常温で時々振りながら2時間反応を維持した。フィルタリングでレジンを濾過し、レジンを少量のTFA溶液で洗浄した後、母液と合わせた。減圧を利用して、全体容量が半分ぐらい残るように蒸留して、50mlの冷たいエーテルを加えて沈澱を誘導した後、遠心分離して沈澱を集め、更に2回冷たいエーテルで洗浄した。母液を除去して窒素下で十分乾燥し、精製前のGlu−Leu−Ile−Glu−His−リンカー−Arg−Pro−Ala−Aspペプチド(リンカー=Gly−Gly−Gly)を1.11g合成した(収率88.2%)。分子量測定器を利用して測定時、分子量1,250.9(理論値1,250.35)を得ることができた。
【0070】
【表1】
【0071】
試験例1:合成ペプチドを活用した細胞成長効果の確認
合成例を通じて合成された配列ペプチドに対する成長因子の類似効能及び抑制効能を分析するために、リジノらの方法(Rizzino, et al. Cancer Res., 48: 4266(1988))を参照し、HaCaT角質細胞株(韓国細胞株バンク)とNIH3T3線維芽細胞(韓国細胞株バンク)を利用したSRB(Sulforhodamine B)比色法を利用して測定した。
【0072】
HaCaT角質細胞株及びNIH3T3線維芽細胞を、それぞれ250ml容量の組織培養用フラスコを利用して、10%牛胎児血清(FBS;fetal bovine serum、Sigma社製)を含むEagle’s minimal essential media(EMEM、Gibco社製、、米国)で培養した。培養された細胞株を0.25%トリプシン溶液で培養容器の底から取り外した後、遠心分離して細胞沈殿物のみを集めた。これを、FBSが含有されていないEMEM培養液に再び懸濁した後、96ウェル組織培養用平板に、4×103細胞/ウェル(cells/well)になるように入れて、24時間37℃、7%CO2条件下で培養した。24時間後、血清を完全に排除した同一な培養液で培地を入れ替えた後、標準を取るための空試料又は合成ペプチドを、水と10%DMSOに滅菌状態で溶解した後、100ng/mlの濃度で72時間、上記の同一条件で培養した。培養終了後、培養上清液を除去して、PBSで1回洗浄した。洗浄溶液を除去した後、比色SRB溶液で処理し、PBSで十分洗浄した後、顕微鏡で細胞を観察して、生存細胞の状態を観察し、紫外線590nmで吸光度を測定して、細胞の生存状態を測定した
【0073】
図2A及び図2Bは、ペプチド処理後の角質細胞(図2A)及び線維芽細胞(図2B)の成長に対する結果を示し、図3は、細胞をペプチドで72時間処理後、細胞の生存状態を顕微鏡で観察し、角質細胞及び線維芽細胞の成長を確認した結果を示す。
【0074】
図2A及び図2Bから分かるように、本発明の配列番号1で表されるペプチドは、角質細胞と線維芽細胞の成長を増進させた。図3から、本発明の配列番号1で表されるペプチドが角質細胞及び線維芽細胞の成長を促進させるということが分かる。
【0075】
試験例2:合成ペプチドのラミニン及びヒアルロン酸生成促進効果の分析
48時間を培養したHaCaT細胞に合成例で合成したペプチドを処理して72時間経過後、皮膚シワ改善の標識であるラミニン及びヒアルロン酸の濃度を測定した。濃度測定は、Laminin ELISAキット(Takara社製、日本)及びHyaluronic acid ELISA Kit(Takara社製、日本)を利用して行った。本発明の配列番号1で表されるペプチドの場合、線維芽細胞においてラミニン生成を増加させた(図4A)。また、配列番号1で表されるペプチドは、線維芽細胞においてヒアルロン酸の生成を増加させた(図4B)。
【0076】
試験例1及び2の実験結果をまとめてみると、本発明の配列番号1で表されるペプチドは、優れた皮膚改善効能を発揮するということが分かる。
【0077】
試験例3:合成ペプチドによるメラニン色素の減少抑制
合成例で合成したペプチドのBMP−4成長因子に対する拮抗作用を確認するために、C57BL/6マウスのメラノサイト(中央実験動物、韓国)を培養し、α−MSH(α−melanocyte stimulating hormone、Sigma社製)でメラニン生成を誘発させた後、BMP−4(R&D Systems, Inc.、米国)を処理して、その後すぐに、合成したペプチドを濃度別に処理し、BMPにより抑制されたメラニン生成が再び活性化されるかを測定した。マウスのメラノサイトは、DMEM(Dulbecco’s modified Eagle’s media、Sigma社製)に10%牛胎児血清(fetal bovine serum、Sigma社製)を添加した培地で、37℃、5%CO2条件で培養した。24−ウェルプレートに1×105細胞/ウェル(cells/well)の濃度で細胞を培養し、細胞の付着を確認した後、対照群には何も処理せず溶媒だけを入れて、陽性対照群は、α−MSHを200μg/ml、そしてその他のディッシュにはBMP−4蛋白質を1μg/ml濃度になるように処理した後、配列番号1で表されるペプチドを処理した。それぞれのディッシュは、試験物質を加えた後、3日間培養した。ここで試験物質は、それぞれの成分を培地溶媒に溶解させた後、プロピレングリコール:エタノール:精製水の比率が5:3:2の混合溶媒に溶解させて、試験濃度で希釈されて同一な比率で混合されたものである。遠心分離を通じて培養液を除去した後、細胞のメラニン生成量を肉眼で確認することができた。図5から確認できるように、α−MSHを入れた群ではメラニン生成が急激に高くなって、BMP−4により再び下がったメラニン濃度が、ペプチドを処理した群では、α−MSHを処理した場合と類似したメラニン生成を示したが、これは、ペプチドの処理によりBMP−4活性を適切に阻害したことを意味して、メラニンの生成を増加させた。
【0078】
より精密に実験するために、細胞をPBSで洗浄した後、1N水酸化ナトリウムで細胞を溶かして400nmで吸光度を測定し、メラニン生成抑制率をDooleyの方法で計算し(Dooley, T. P. et al., Skin Pharmacol., 7: 188−200(1994))、図6に示した。図6の結果は、図5の結果と一致する。
【0079】
試験例4:合成ペプチドのBMP4結合確認実験
本発明の実施例を通じて合成されたペプチド類とBMP蛋白質との結合状態を把握するために、薬物と受容体間の結合力を検出できるBiacore装置を利用して実験した。
【0080】
常用のCM5センサーチップ(Biacore社製、スウェーデン)にrh−BMP4蛋白質(R&D Systems, Inc.、米国)を、アミン化結合方式を利用して6000RU(response unit)固定させた。その後、HBS−EP緩衝液(Biacore社製、スウェーデン)で5μl/分間の流速で流して、CM5センサーチップにあるBMP4蛋白質を活性化させた。反応の最適化を作った後、配列番号1で表される合成ペプチドを濃度別(1,000μg/ml、500μg/ml、250μg/ml、125μg/ml、62.5μg/ml、31.3μg/ml、15.6μg/ml、7.8μg/ml、4μg/ml)に流してモニタリングした。BMP4と合成ペプチドとの間の結合力をRU値の増加で確認することができた。図7に示すように、BMP4蛋白質と合成ペプチドとは、非常に強い結合力を有することが分かった。これを利用して、BMP−4の拮抗作用に配列番号1で表されるペプチドを活用することができることが分かる。
【0081】
試験例5:合成ペプチドとBMP蛋白質の免疫結合反応実験
合成の実施例で製造したペプチドのN−末端にBiotin(Sigma社製、米国)を修飾化した。ストレプトアビジンとビオチンとの親和クロマトグラフィー(streptavidin chromatography)を行うために、ビオチンの付着されたペプチドとストレプトアビジンの付着されたレジンとをカラムに満たした後、20mMリン酸ナトリウム緩衝液で平衡化させた。その後、rh−BMP4蛋白質(R&D Systems, Inc.、米国)をカラムで流した後、200mMリン酸ナトリウム緩衝液を流し、結合しなかった蛋白質を洗浄して、0.2M NaClで溶出させ、ビオチン−ペプチドと結合した蛋白質を分取した。このように溶出された物質をSDS−PAGEで確認した後(図8A参照)、BMP4に対する抗体(Santa Cruz社製、米国)を使用してウェスタンブロッティングをした後、最終的にBMP4蛋白質とビオチン−ペプチドが結合するかどうかを確認した(図8B参照)。図8Bから、BMP4蛋白質と実施例で合成した配列番号1で表されるビオチン−ペプチドが結合したことを確認することができた。これを通じて、BMP4蛋白質と配列番号1で表されるペプチドが非常に強い結合をするということが分かった。
【0082】
試験例6:製造されたペプチドの熱安定性
合成例を通じて製造されたペプチドとNIBSC(UK)で購入した標準フォーム成長因子(Noggin、FGF−10)を0.11mg/mlの濃度のリン酸緩衝溶液で製造した。用意された溶液を1mlずつガラス製バイアルに入れた後、37℃で静置した。37℃に静置された溶液を0日目、5日目、10日目、20日目、30日目、40日目、及び70日目にサンプリングして、日付別に遠心分離し、変性されたペプチドや蛋白質を除去して、上澄み液を取って、HPLCを利用して定量した(図9)。図9から分かるように、本発明のペプチドは、既存のノギンペプチドより著しく優れた熱安定性を示した。
【0083】
実施例2:ナノ化ペプチドの製造
前記合成例で得られたペプチド50mgを正確に秤量した後、蒸留水500mlで十分攪拌して溶解した。配合体溶液を、レシチン5g、オレイン酸ナトリウム(sodium oleate)0.3ml、エタノール50ml及び少量の油相と共に混合した後、総量が1Lとなるように蒸留水で調節した後、マイクロ流動化装置(microfluidizer)を利用して高圧で乳化し、大きさ100nm程度のナノソームを製造した。製造されたナノソームは、最終濃度が約50ppmで、単独あるいは複合的に化粧品製造用として使用された。
【0084】
剤形例1:柔軟化粧水
前記実施例2で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる柔軟化粧水を、一般的な化粧水製造方法により製造した。
【表2】
【0085】
剤形例2:栄養クリーム
前記実施例2で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる栄養クリームを、一般的な栄養クリームの製造方法により製造した。
【表3】
【0086】
剤形例3:栄養化粧水
前記実施例2で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなる栄養化粧水を、一般的な化粧水製造方法により製造した。
【表4】
【0087】
剤形例4:エッセンス
前記実施例2で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなるエッセンスを、一般的なエッセンス製造方法により製造した。
【表5】
【0088】
剤形例5:ヘアセラム
前記実施例2で製造されたペプチドナノソームを含み、下記組成からなるヘアセラムを、一般的なヘアセラム製造方法により製造した。
【表6】
【0089】
実施例3:ペプチドの毛髪成長促進効果の分析
実施例で合成したペプチドの毛髪成長効果を分析するために、マウス(C57BL/6、中央実験動物、韓国)の背中部位の毛を、除毛クリームを利用して除毛した後、マウスの背中の上部には1μg/μlの配列番号1で表されるペプチドを10μl、そして背中の下部には、対照群としてPBS 10μlをそれぞれ0日目、2日目及び4日目に投与あるいは皮膚に塗布した。それぞれの場合毎に約10日間の観察期間をもって毛の伸びた状態を観察した。本発明のペプチドの処理によるマウスの毛髪成長の増強効果を確認した(図10)。
【0090】
以上、本発明の望ましい具現例を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式1で表され、成長因子活性を示すことを特徴とするペプチド。
[一般式1]
Glu−Leu−Ile−Glu−His−リンカー−Arg−Pro−Ala−Asp
【請求項2】
リンカーが、複数のアミノ酸残基からなるリンカーである請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
リンカーが、2個〜10個のGly残基からなる請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
ペプチドが、細胞成長促進能を有する請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
ペプチドが、ラミニン又はヒアルロン酸の生成を促進する請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
ペプチドが、骨形成タンパク質(BMP)−2、BMP−4、又はBMP−7と結合し、前記BMP−2、前記BMP−4、又は前記BMP−7に対して拮抗(antagonistic)作用を有する請求項1に記載のペプチド。
【請求項7】
ペプチドが、BMP−2、BMP−4、又はBMP−7が関与する疾病、疾患、又は状態に対して予防又は治療効能を示し、前記疾病、前記疾患、又は前記状態が、脱毛、炎症、又は骨疾患である請求項6に記載のペプチド。
【請求項8】
成長因子活性を示す請求項1から6のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含むことを特徴とする発毛促進用組成物。
【請求項9】
成長因子活性を示す請求項1から6のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含む皮膚状態(skin conditions)改善用組成物。
【請求項10】
成長因子活性を示す請求項1から6のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含む抗炎症組成物。
【請求項11】
成長因子活性を示す請求項1から6のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含む骨疾患予防又は治療用組成物。
【請求項12】
皮膚状態の改善が、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、皮膚保湿の改善、シミの除去、又は創傷の治療である請求項9に記載の組成物。
【請求項1】
下記一般式1で表され、成長因子活性を示すことを特徴とするペプチド。
[一般式1]
Glu−Leu−Ile−Glu−His−リンカー−Arg−Pro−Ala−Asp
【請求項2】
リンカーが、複数のアミノ酸残基からなるリンカーである請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
リンカーが、2個〜10個のGly残基からなる請求項2に記載のペプチド。
【請求項4】
ペプチドが、細胞成長促進能を有する請求項1に記載のペプチド。
【請求項5】
ペプチドが、ラミニン又はヒアルロン酸の生成を促進する請求項1に記載のペプチド。
【請求項6】
ペプチドが、骨形成タンパク質(BMP)−2、BMP−4、又はBMP−7と結合し、前記BMP−2、前記BMP−4、又は前記BMP−7に対して拮抗(antagonistic)作用を有する請求項1に記載のペプチド。
【請求項7】
ペプチドが、BMP−2、BMP−4、又はBMP−7が関与する疾病、疾患、又は状態に対して予防又は治療効能を示し、前記疾病、前記疾患、又は前記状態が、脱毛、炎症、又は骨疾患である請求項6に記載のペプチド。
【請求項8】
成長因子活性を示す請求項1から6のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含むことを特徴とする発毛促進用組成物。
【請求項9】
成長因子活性を示す請求項1から6のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含む皮膚状態(skin conditions)改善用組成物。
【請求項10】
成長因子活性を示す請求項1から6のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含む抗炎症組成物。
【請求項11】
成長因子活性を示す請求項1から6のいずれかに記載のペプチドを有効成分として含む骨疾患予防又は治療用組成物。
【請求項12】
皮膚状態の改善が、シワの改善、皮膚弾力の改善、皮膚老化の防止、皮膚保湿の改善、シミの除去、又は創傷の治療である請求項9に記載の組成物。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−515769(P2012−515769A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547757(P2011−547757)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006930
【国際公開番号】WO2010/085039
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(510271129)ケアジェン カンパニー,リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】CAREGEN CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】690−3 Geumjeong−dong,Gunpo−si,Gyeonggi−do 435−050,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006930
【国際公開番号】WO2010/085039
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(510271129)ケアジェン カンパニー,リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】CAREGEN CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】690−3 Geumjeong−dong,Gunpo−si,Gyeonggi−do 435−050,Republic of Korea
【Fターム(参考)】
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