説明

ノシセプチンレセプタORL−1用の優れたリガンドとしてのヘテロアリール誘導体

【課題】ノシセプチンレセプタORL−1用の優れたリガンドを提供すること。
【解決手段】式(I)の新規化合物(ここで、必要に応じて置換したヘテロアリールまたは(a)である;Rは、HまたはC〜Cアルキルである;そしてRおよびRは、−CH、−OCHまたはハロである);またはそれらの薬学的に受容可能な塩または溶媒和物、および痛み、不安、咳、喘息、鬱病、またはアルコール乱用を処置する際の該化合物の使用が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
本発明は、ノシセプチンレセプタORL−1アゴニストである8−(ビス−(ハロフェニル)メチル)−3−ヘテロアリール−8−アザビシクロ−[3.2.1]オクタン−3−オールおよびそれらの誘導体に関し、これらは、咳、痛み、不安、喘息、アルコール乱用または鬱病を処置する際に有用である。これらの化合物を含有する製薬組成物、および請求化合物と、咳、アレルギーまたは喘息の症状を処置する他の薬剤との組合せを含有する製薬組成物もまた、開示されている。
【0002】
8−(ビス−(ハロフェニル)メチル)−3−ヘテロアリール−8−アザビシクロ−[3.2.1]オクタン−3−オールは、一般に、具体的ではないが、米国特許第6,262,066 B1号およびWO 01/07050にて、咳、痛み、不安、喘息、アルコール乱用または鬱病を処置する際に有用であるとして開示されている。本発明の化合物は、特許文献1および特許文献2の選択発明に相当する。
【特許文献1】米国特許第6,262,066号明細書
【特許文献2】国際公開第01/07050号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
本発明の化合物は、式Iにより表わされるか、それらの薬学的に受容可能な塩である:
【0004】
【化5】

ここで、
Rは、R−ヘテロアリールまたは
【0005】
【化6】

である;
は、HまたはC〜Cアルキルである;
およびRは、別個に、−CH、−OCH、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択される;
は、1個〜4個の置換基であり、該置換基は、別個に、H、ハロ、(C〜C)アルキル、−CN、−CF、−OCF、−(CH−OR、−(CH−NR、−(CH−NHSO、−(CH−NH(CHNR、−(CH−NHC(O)NR、−(CH−NH(CHORおよび1−ピペラジニルからなる群から選択される;
nは、0、1、2または3である;
およびRは、別個に、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択される;そして
は、H、C〜Cアルキルまたはアミノ(C〜C)アルキルである。
【0006】
他の局面では、本発明は、式Iの少なくとも1種の化合物および薬学的に受容可能な担体を含有する製薬組成物に関する。
【0007】
本発明の化合物は、このORL−1レセプタのアゴニストであり、従って、他の局面では、本発明は、痛み、不安、咳、喘息、アルコール乱用または鬱病を処置する方法に関し、該方法は、このような処置を必要とする哺乳動物に、有効量の式Iの少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する。
【0008】
他の局面では、本発明は、咳を処置する方法に関し、該方法は、このような処置を必要とする哺乳動物に、以下を投与する工程を包含する:(a)式1の少なくとも1種の化合物;および(b)咳、アレルギーまたは喘息の症状を処置する有効量の1種またはそれ以上の追加薬剤であって、該追加薬剤は、以下からなる群から選択される:抗ヒスタミン剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、H阻害剤、β−アドレナリン受容体アゴニスト、キサンチン誘導体、α−アドレナリン受容体アゴニスト、肥満細胞安定化剤、鎮咳薬、去痰薬、NK、NKおよびNKタキキニン受容体アンタゴニストおよびGABAアゴニスト。
【0009】
さらに他の局面では、式1の少なくとも1種の化合物および1種またはそれ以上の追加薬剤を含有する製薬組成物に関し、該追加薬剤は、以下からなる群から選択される:抗ヒスタミン剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、H阻害剤、β−アドレナリン受容体アゴニスト、キサンチン誘導体、α−アドレナリン受容体アゴニスト、肥満細胞安定化剤、鎮咳薬、去痰薬、NK、NKおよびNKタキキニン受容体アンタゴニストおよびGABAアゴニスト。
【0010】
本発明は、以下を提供する。
(項目1)
次式により表わされる化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化1】


ここで、
Rは、R−ヘテロアリールまたは
【化2】


である;
は、HまたはC〜Cアルキルである;
およびRは、別個に、−CH、−OCH、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択される;
は、1個〜4個の置換基であり、該置換基は、別個に、H、ハロ、(C〜C)アルキル、−CN、−CF、−OCF、−(CH−OR、−(CH−NR、−(CH−NHSO、−(CH−NH(CHNR、−(CH−NHC(O)NR、−(CH−NH(CHORおよび1−ピペラジニルからなる群から選択される;
nは、0、1、2または3である;
およびRは、別個に、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択される;そして
は、H、C〜Cアルキルまたはアミノ(C〜C)アルキルである、
化合物。
(項目2)
Rが、2−ピリミジニル、5−エチル−2−ピリミジニル、4−(1−ピペラジニル)−2−ピリミジニル、2−ピリジルまたは6−メトキシ−2−ピリジルである、項目1に記載の化合物。
(項目3)
が、Hまたは−CHである、項目1に記載の化合物。
(項目4)
が、2−クロロであり、そしてRが、2−クロロである、項目1に記載の化合物。
(項目5)
以下からなる群から選択される、項目1に記載の化合物:
【化3】



(項目6)
次式により表わされる、化合物:
【化4】



(項目7)
薬学的に受容可能な担体と組み合わせて、治療有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物を含有する、製薬組成物。
(項目8)
以下を含有する、製薬組成物:治療有効量の項目1に記載の少なくとも1種の化合物;治療有効量の1種またはそれ以上の追加薬剤;および薬学的に受容可能な担体であって、ここで、該追加薬剤は、以下からなる群から選択される:抗ヒスタミン剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、H阻害剤、β−アドレナリン受容体アゴニスト、キサンチン誘導体、α−アドレナリン受容体アゴニスト、肥満細胞安定化剤、鎮咳薬、去痰薬、NK、NKおよびNKタキキニン受容体アンタゴニストおよびGABAアゴニスト。
(項目9)
咳、痛み、不安、喘息、鬱病またはアルコール乱用を処置するための、項目1に記載の化合物の使用。
(項目10)
咳、アレルギーまたは喘息の症状を処置するために、1〜3種の追加薬剤をさらに包含し、該追加薬剤が、抗ヒスタミン剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、H阻害剤、β−アドレナリン受容体アゴニスト、キサンチン誘導体、α−アドレナリン受容体アゴニスト、肥満細胞安定化剤、鎮咳薬、去痰薬、NK、NKおよびNKタキキニン受容体アンタゴニストおよびGABAアゴニストからなる群から選択される、項目9に記載の使用。
【0011】
(発明の詳細な説明)
上記式1を参照すると、本発明の好ましい化合物は、RおよびRがフェニル環の2位置にあるものである。また、RおよびRの各々について同じハロ原子が選択される化合物も好ましい。Rがクロロであり、そしてRがクロロである化合物は、さらに好ましく、Rが2−クロロであり、そしてRが2−クロロである化合物は、最も好ましい。
【0012】
また、RがR−ヘテロアリールである化合物も好ましく、ここで、このヘテロアリールは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、イミダゾリル、ピラゾリルまたはインドリルであり、特に、2−ピリジルまたは2−ピリミジニルである。Rの好ましい定義には、水素、(C〜C)アルキル、−ORおよび1−ピペラジニルがある。Rのさらに好ましい定義には、2−ピリミジニル、5−エチル−2−ピリミジニル、4−(1−ピペラジニル)−2−ピリミジニル、2−ピリジルおよび6−メトキシ−2−ピリジルがある。
【0013】
は、好ましくは、Hまたは−CHであり、Hは、さらに好ましい。
【0014】
以下の個々の化合物は、特に好ましい:
【0015】
【化7】


【0016】
式Iの化合物に好ましい適用は、咳の処置である。
【0017】
本明細書中で使用する以下の用語は、特に明記しない限り、以下で定義したとおりである:
ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0018】
ヘテロアリールとは、5個または6個の原子の環式芳香族基または9個〜10個の原子の二環式基を意味し、これらは、1個、2個または3個のヘテロ原子を有し、これは、別個に、O、SまたはNから選択され、該ヘテロ原子は、炭素環構造を遮断し、そして芳香族特性を与えるのに十分な数の非局在化パイ電子を有するが、但し、この環は、隣接酸素および/またはイオウ原子を含有しない。窒素原子は、N−オキシドを形成できる。全てのレギオ異性体(regioisomer)が考慮され、例えば、2−ピリジル、3−ピリジルおよび4−ピリジルがある。典型的な六員環ヘテロアリール基には、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニルおよびそれらのN−オキシドがある。典型的な五員環ヘテロアリール環には、フリル、チエニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリルおよびイソキサゾリルがある。二環式基は、典型的には、ベンゾ融合環系であり、これは、上で命名したヘテロアリール基から誘導され、例えば、キノリル、フタラジニル、キナゾリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルおよびインドリルがある。このへテロアリール基は、1個〜4個のR基で置換でき、ここで、該ヘテロアリール基内で利用できる置換可能な炭素原子または窒素原子のいずれかは、必要に応じて、別個に、置換され得る。
【0019】
本発明のある種の化合物は、異なる立体異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびアトロプ異性体)形態で存在し得る。本発明は、純粋形状および混合物(ラセミ混合物を含めて)の両方で、これらの立体異性体の全てを考慮する。
【0020】
ある種の化合物は、事実上酸性であり、例えば、カルボキシル基またはフェノール性水酸基を有する化合物がある。これらの化合物は、薬学的に受容可能な塩を形成し得る。このような塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、金塩および銀塩が挙げられる。また、薬学的に受容可能なアミン(例えば、アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、N−メチルグルカミンなど)を使って形成された塩もまた、考慮される。
【0021】
ある種の塩基性化合物もまた、薬学的に受容可能な塩(例えば、酸付加塩)を形成する。例えば、そのピリド−窒素原子は、強酸を備えた塩を形成し得るのに対して、塩基性置換基(例えば、アミノ基)を有する化合物はまた、弱酸を備えた塩を形成する。塩形成に適当な酸の例には、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、および当業者に周知の他の鉱酸およびカルボン酸がある。これらの塩は、通常の様式で、その遊離塩基形状を、塩を生成するのに十分な量の所望の酸と接触することにより、調製される。この遊離塩基形状は、この塩を適当な希釈塩基水溶液(例えば、希釈NaOH水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、アンモニア水および重炭酸ナトリウム水溶液)で処理することにより、再生され得る。この遊離塩基形状は、ある程度、ある種の物理的特性(例えば、極性溶媒中での溶解性)について、それらの各個の塩形状とは異なるが、これらの酸および塩基の塩は、それ以外は、本発明の目的のために、それらの各個の遊離塩基形状と同等である。
【0022】
このような酸および塩基の全ての塩は、本発明の範囲内において、薬学的に受容可能な塩であると解釈され、全ての酸および塩基の塩は、本発明の目的のために、対応する化合物の遊離形状と同等であると考えられる。
【0023】
本発明の化合物は、当該技術分野で公知の出発物質または当該技術分野で公知の方法により調製される出発物質のいずれかから、公知方法により調製できる。
【0024】
式Ia(ここで、Rは、Hである)の化合物を調製する典型的な方法は、式IIの8−[ビス−(ハロフェニル)メチル]−8−アザビシクロ−[3.2.1]オクタン−3−オンをヘテロアリールのリチウム誘導体と反応させる工程を包含する:
【0025】
【化8】


【0026】
式IIの出発物質は、以下の反応図式に従って、調製できる:
【0027】
【化9】


式IIの化合物は、塩基(例えば、KCO)の存在下にて、溶媒(例えば、CHCN)中で、80℃で、ピペリジン誘導体IIIをジフェニル−ブロモメタン誘導体IVでアルキル化することにより、調製できる。式IIIおよびIVの化合物は、公知であるか、公知方法により調製できる。
【0028】
例示される本発明の化合物およびそれらの調製出発物質は、開示範囲を限定すると解釈すべきではない。
【0029】
以下の溶媒および試薬は、本明細書中にて、以下で表示する略語で呼ばれる:テトラヒドロフラン(THF);エタノール(EtOH);メタノール(MeOH);酢酸エチル(EtOAc);リチウムジイソプロピルアミド(LDA);トリエチルアミン(EtN)およびN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)。室温は、RTと略す。
【実施例】
【0030】
(調製例1)
(8−アザビシクロ−[3.2.1]オクタン−3−オン塩酸塩)
【0031】
【化10】

トロピノン(10g、71.84mmol)のジクロロエタン(200ml)溶液に、0℃で、クロロギ酸α−クロロエチル(15.4g、108mmol)を滴下する。その反応系を、2時間にわたって、還流状態まで加熱する。溶媒を蒸発させて、褐色残留物を得る。この残留物をMeOH(200ml)に溶解し、それを、2時間にわたって、還流状態まで加熱する。このMeOHを蒸発させ、その固形物をEtOAc中で攪拌し、濾過し、そして固形物を集めて、エーテルで洗浄して、その生成物(7g)を得る。粗生成物を、さらに精製することなく、使用した。
【0032】
【化11】

(調製例2)
(ビス(2−クロロフェニル)−ブロモメタン)
【0033】
【化12】

工程1:
2,2’−ジクロロベンゾフェノン(5g、19.9mmol)のMeOH(40ml)溶液に、RTで、NaBH(1.5g、39.82mmol)を加え、そして2時間攪拌する。その反応をHOでクエンチし、1N HClで中和し、そのMeOHを除去する。その残留物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、そして濃縮して、白色固形物として、所望化合物(5g)を得、これを、さらに精製することなく、次の工程の反応で使用した。
【0034】
【化13−1】

工程2:
工程1の生成物(20.36g、80.47mmol)を、CHCl中にて、0℃で、SOBr(30.11g、144.85mmol)で処理し、それを、RTで、一晩攪拌する。その反応を氷およびNaHCO(水溶液)でクエンチし、CHClで抽出し、乾燥し、そして濾過する。溶媒を除去して、所望臭化物(23.6g)を得る。
【0035】
【化13−2】

(調製例3)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オン)
【0036】
【化14】

無水CHCN(410mL)中の調製例1から得た生成物(26g、161mmol)および調製例2から得た生成物(53g、168mmol)およびKCO(110g、796mmol)の混合物を、80時間にわたって、80℃まで加熱する。その反応混合物をRTまで冷却し、そして濾過する。溶媒を蒸発させ、その固形物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(4%、7%のEtOAc/ヘキサン)で精製して、所望化合物を得る。
【0037】
【化15】

(実施例1)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(2−ピリミジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0038】
【化16】

工程1:2−トリブチルスタニルピリミジン
Sandoshamら、Tetrahedron(1994)、50、275〜284)で記述された手順に従って、この化合物を調製する。THF(230ml)中のジイソプロピルアミン(25ml、178mmol)およびn−BuLi(2.5M、70ml、175mmol)から、LDAを調製する。このLDA溶液を、0℃で、水素化トリブチルスズ(142ml、156mmol)のTHF(30mL)溶液に滴下し、そして添加が完了した後、さらに15分間攪拌する。その反応混合物を−78℃まで冷却し、2−クロロピリジン(15g、131mmol)のTHF(100ml)溶液を滴下し、この反応混合物を、−78℃で、3時間攪拌し、次いで、この反応混合物を、30分間にわたって、0℃まで暖める。この反応混合物を飽和NHClに注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、淡黄色オイルとして、所望生成物を得る。
【0039】
【化17】

工程2:
工程1の生成物(15g、40.6mmol)のTHF(80ml)溶液に、−78℃で、n−BuLi(ヘキサン中で2.5M、16.5ml、41.2mmol)を加え、その反応物を、この温度で、45分間維持する。この溶液に、工程3の生成物(6g、16.7mmol)のTHF(30ml)溶液を滴下し、その反応混合物を、−78℃で、さらに3時間攪拌する。この反応混合物を、1.5時間にわたって、RTまで暖める。この反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、淡白色固形物として、表題化合物を得る。
【0040】
【化18】

(実施例2)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(5−エチル−2−ピリミジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0041】
【化19】

工程1:5−エチル−2−トリブチルスタニルピリミジン
実施例1、工程1で記述した手順を使用して、LDA、水素化トリブチルスズ(23.8g、81.78mmol)および2−クロロ−5−エチルピリミジン(10g、70mmol)を使用し、所望化合物(6g)を得る。
【0042】
【化20】

工程2:
工程1の生成物(5.9g、14.85mmol)のTHF溶液に、−78℃で、n−BuLi(2.5M、6.5ml、16.33mmol)を加え、その反応物を、−78℃で、30分間維持する。これに、調製例3の生成物(5.34g、14.85mmol)を加える。その反応混合物を、ゆっくりとRTまで暖め、そしてRTで、一晩攪拌する。この反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、白色固形物として、表題化合物を得る。
【0043】
【化21】

(実施例3)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(4−(1−ピペラジニル)−2−ピリミジニル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0044】
【化22】

工程1:4−クロロ−2−トリブチルスタニルピリミジン
実施例1、工程1で記述した手順を使用して、LDA、水素化トリブチルスズ(10.8g、37.2mmol)および2,4−ジクロロピリミジン(5.2g、34.9mmol)を使用し、所望化合物(6.3g)を得る。
【0045】
【化23】

工程2:8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(4−クロロ−2−ピリミジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール
工程1の生成物(6.3g、16.2mmol)のTHF(30ml)溶液に、−78℃で、n−BuLi(ヘキサン中で2.5M、8.0ml、20.0mmol)を加え、その反応物を、この温度で、30分間維持する。これに、調製例3の生成物(4.0g、11.1mmol)を加える。その反応混合物を、ゆっくりとRTまで暖め、そしてRTで、一晩攪拌する。この反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、淡褐色発泡体として、表題化合物を得る。
【0046】
【化24】

工程3:
工程2の生成物(25mg、0.05mmol)のEtOH(4ml)溶液に、RTで、ピペラジン(20mg、0.23mmol)を加える。その反応混合物を、80℃で、一晩攪拌する。抽出し精製して、表題化合物(20mg)を得る。
【0047】
【化25】

(実施例4)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(2−ピリジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0048】
【化26】

2−ブロモピリジン(0.50g、3.10mmol)のTHF(1ml)溶液に、−78℃で、n−BuLi(ヘキサン中で2.5M、1.5ml、3.8mmol)を加え、そして1時間攪拌する。これに、調製例3(0.5g、1.4mmol)のTHF(1.5ml)溶液を滴下し、その反応混合物を、−78℃で、さらに3.5時間攪拌する。この反応混合物を、1時間にわたって、0℃まで暖め、その反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、淡褐色固形物(400mg)として、表題化合物を得る。
【0049】
【化27】

(実施例5)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(6−メトキシ−2−ピリジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0050】
【化28】

2−ブロモ−6−メトキシピリジン(700mg、3.7mmol)のTHF(2ml)溶液に、−78℃で、n−BuLi(ヘキサン中で2.5M、1.5ml、3.8mmol)を加え、そして0.5時間攪拌する。これに、調製例3(600mg、1.7mmol)のTHF(3ml)溶液を滴下し、その反応混合物を、−78℃で、さらに1時間攪拌する。この反応混合物を、2.5時間にわたって、0℃まで暖める。その反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(0.5g)を得る。
【0051】
【化29】

(実施例6)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−メトキシ−3−(2−ピリミジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン)
【0052】
【化30】

THF(3ml)およびDMF(1ml)中の実施例1の生成物(300mg、0.68mmol)を、0℃で、30分間にわたって、NaH(30mg、0.75mmol)で処理する。CHIを加え、その反応混合物をRTまで暖める。一晩攪拌した後、その反応混合物をHOでクエンチし、EtOAcで抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥し、そして濃縮する。得られた残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(0.25g)を得る。
【0053】
【化31】

(実施例7)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(1H−ピラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0054】
【化32】

水(4ml)中のピラゾール(0.68g、10mmol)に、RTで、ホルムアルデヒド(37重量%、1.5ml、50mmol)を加え、RTで、一晩攪拌する。CHClで抽出し、乾燥し(NaSO)、そして濃縮して、1−ヒドロキシメチルピラゾールを得る。1−ヒドロキシメチルピラゾール(129mg、1.31mmol)のTHF(2mL)溶液に、−78℃で、THF中で新たに調製したLDA(2.63mmol)を加え、−20℃で、40分間攪拌し、そして−78℃まで冷却する。これに、調製例3から得た生成物(236mg、0.65mmol)のTHF(3ml)溶液を滴下し、その反応混合物を、−78℃で、さらに2時間攪拌する。この反応混合物をRTまで暖め、そして一晩攪拌する。その反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ、そしてエーテルで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、濾過し、そして濃縮する。その残留物を分取薄層クロマトグラフィーおよびHPLCで精製して、表題化合物(25mg)を得る。
【0055】
【化33】

(実施例8)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(1−メチル−ピラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0056】
【化34】

実施例8(70mg、0.164mmol)のTHF溶液に、0℃で、NaH(9.84mg、0.246mmol)を加え、そして30分間攪拌する。CHI(34.89mg、0.246mmol)を加え、RTまで暖め、そして一晩攪拌する。その反応を飽和NHClでクエンチし、EtOAcで抽出し、乾燥し(NaSO)、濾過し、そして濃縮する。その残留物を分取薄層クロマトグラフィーで精製して、表題化合物(51mg)を得る。
【0057】
【化35】

(実施例9)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(1−メチル−1H−インドール−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0058】
【化36】

1−メチルインドール(67mg、0.51mmol)のTHF(2ml)溶液に、−20℃で、n−BuLi(ヘキサン中で1.6M、0.32ml、0.51mmol)を加え、RTまで暖め、3.5時間攪拌し、そして−78℃まで冷却する。これに、調製例3から得た生成物(92mg、0.26mmol)のTHF(2ml)溶液を加える。その反応混合物をRTまで暖め、そして1.5時間攪拌する。この反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(5mg)を得る。
【0059】
【化37】

(実施例10)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0060】
【化38】

1−メチルイミダゾール(0.15g、1.88mmol)のTHF(2ml)溶液に、−78℃で、n−BuLi(ヘキサン中で2.5M、0.60ml、1.50mmol)を加え、そして1.5時間攪拌する。これに、調製例3の生成物(0.20g、0.55mmol)のTHF(2ml)溶液を滴下し、その反応混合物を、−78℃で、さらに2時間攪拌する。この反応混合物を、一晩にわたって、室温まで暖め、その反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、淡黄色固形物(80mg)として、表題化合物を得る。
【0061】
【化39】

(実施例11)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(3−ピリダジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0062】
【化40】

2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(1.67g、11.9mmol)のTHF(40ml)溶液に、−78℃で、n−BuLi(ヘキサン中で2.5M、4.8ml、12.0mmol)を加え、そして0.5時間攪拌する。その反応混合物を、0.5時間にわたって、0℃まで暖める。この反応混合物を−78℃まで冷却し、ピリダジン(0.94g、11.7mmol)のTHF(5ml)溶液を滴下し、その反応混合物を、−78℃で、15分間攪拌する。これに、調製例3の生成物(1.0g、2.8mmol)のTHF(5ml)溶液を滴下し、その反応混合物を、−78℃で、さらに1時間攪拌する。この反応混合物を、一晩わたって、室温まで暖める。その反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(300mg)を得る。
【0063】
【化41】

(実施例12)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(2−ピラジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0064】
【化42】

ヨードピリジン(1.0g、4.9mmol)のジエチルエーテル(20ml)溶液に、−50℃で、t−BuLi(ペンタン中で1.7M、6.0ml、10.2mmol)を加え、そして0.5時間攪拌する。これに、調製例3の生成物(1.0g、2.8mmol)のTHF(4ml)溶液を滴下し、その反応混合物を、−50℃で、さらに1.5時間攪拌する。この反応混合物を、一晩にわたって、室温まで暖める。その反応混合物を飽和NHCl水溶液に注ぎ、そしてEtOAcで抽出する。有機層を合わせ、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(400mg)を得る。
【0065】
【化43】

(実施例13)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(4−ピリミジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0066】
【化44】

工程1:8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(5−ブロモ−4−ピリミジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール
5−ブロモピリジン(450mg、2.77mmol)および調製例3の生成物(1g、2.77mmol)のTHF(5ml)溶液に、THF(5ml)中で予め冷却し(ドライアイス)新たに調製したLDA(2.77mmol)を滴下し、そしてRTで、一晩攪拌する。その反応を氷HOでクエンチし、EtOAcで抽出し、乾燥し、濾過し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、所望化合物(187mg)を得る。
【0067】
工程2:
工程1の生成物(22mg)を、CHOH−EtOAc(1:1、10mL)およびNH/CHOH(7N、1mL)中で、リンドラー触媒の存在下にて、1atmで、2時間水素化し、濾過し、そして濃縮して、表題化合物を得る。
【0068】
【化45】

(実施例14)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(5−ブロモ−2−ピリジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール)
【0069】
【化46】

トルエン(13ml)中の2,5−ジブロモピリジン(501mg、2.12mmol)に、−78℃で、BuLi(ヘキサン中で1.6M、1.59ml、2.54mmol)を加え、そして2時間攪拌する。−78℃で、トルエン(2ml)中の調製例3の生成物(501mg、2.12mmol)を加え、そして3時間攪拌する。RTまで暖め、飽和NHCl水溶液でクエンチし、CHClで抽出し、乾燥し、そして濃縮する。その残留物を分取薄層クロマトグラフィーおよびHPLCで精製して、表題化合物を得る。
【0070】
【化47】

(実施例15)
(1,1−ジメチルエチル[2−[[[[6−[8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−ヒドロキシ−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−イル]−2−ピリジニル]メチル]アミノ]カルボニル]アミノ]エチル]カーバメート)
【0071】
【化48】

工程1:2−ブロモ−6−ヒドロキシメチルピリジン
CHOH中の6−ブロモ−2−ピリジンカルボキシルアルデヒド(5.32g、28.58mmol)に、0℃で、NaBH(1.46g、38.58mmol)を加え、そして0℃で、1時間攪拌し、CHCl(60mL)で抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮して、所望化合物を得る。
【0072】
工程2:2−ブロモ−6−(t−ブチルジメチルシロキシメチル)ピリジン
工程1の生成物(5.54g、29.46mmol)およびt−ブチルジメチルシリルクロライド(4.97g、32.99mmol)のCHCl(60mL)溶液に、RTで、イミダゾール(3.01g、44.19mmol)を加え、そして一晩攪拌する。反応混合物をろ過し、ろ液を濃縮する。その残留物をクロマトグラフィーで精製して、所望化合物を得る。
【0073】
工程3:8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(6−(t−ブチルジメチルシロキシメチル)−2−ピリジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール
THF(5ml)中の工程2の生成物(3.29g、10.88mmol)に、−78℃で、n−BuLi(ヘキサン中で1.6M、7.2ml、11.49mmol)を加え、そして1時間攪拌する。−78℃で、THF(14ml)中の調製例3の生成物(1.84g、5.11mmol)を加え、そして0℃までゆっくりと暖める(約2時間)。その反応混合物を飽和NHCl水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出し、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、所望化合物を得る。
【0074】
工程4:8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(6−ヒドロキシメチル)−2−ピリジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール
工程3の生成物(2.34g、4.01mmol)のTHF(30ml)溶液に、RTで、フッ化テトラブチルアンモニウム(2.1g、8.04mmol)を加え、そして一晩攪拌する。その反応混合物を飽和NaHCO水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、所望化合物を得る。
【0075】
工程5:3−[6−(アジドメチル)−2−ピリジニル]−8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール
工程4の生成物(404mg、0.86mmol)に、0℃で、ジフェニルホスホリルアジド(272mg、0.99mmol)および1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]ウンデク−7−エン(150mg、0.99mmol)を加え、20分間攪拌し、RTまで暖め、次いで、50℃で、1時間攪拌する。RTまで冷却し、そして一晩攪拌する。その反応をHOおよび飽和NHClでクエンチし、CHClで抽出し、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製すると、所望化合物が得られる。
【0076】
工程6:3−[6−(アミノメチル)−2−ピリジニル]−8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール
CHOH(1ml)中の7N NHの存在下にて、EtOAcおよびCHOHの混合物中の工程5の生成物(279mg)の懸濁液に、リンドラー触媒(44mg)を加える。その混合物を、1atmで、1.5時間水素化し、セリットで濾過し、NH/CHOH(3.5N)で洗浄し、そして濃縮して、所望化合物を得る。
【0077】
工程7:
工程7の生成物(157mg、0.335mmol)のトルエン(10ml)溶液に、RTで、アルゴン下にて、トリホスゲン(34.8mg、0.117mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(222mg、1.675mmol)を加える。120℃まで加熱し、そして2.5時間攪拌する。RTまで冷却し、N−Boc−エチレンジアミン(65mg、0.42mmol)を加え、そして一晩攪拌する。その反応を飽和NHCl水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮する。その残留物を分取薄層クロマトグラフィーで精製すると、所望化合物が得られる。
【0078】
【化49】

(実施例16)
(N−(2−(アミノエチル)−N’−[[6−[8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−ヒドロキシ−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−イル]−2−ピリジニル]メチル]尿素)
【0079】
【化50】

実施例15(53mg)のCHClおよびCHOH溶液に、RTで、HCl(エーテル中で1N、1.0ml)を加え、そしてLC−MSにより、実施例15が完全に消費されるまで攪拌して、その塩酸塩として、表題化合物を得る。ESI−MS 554.1(100,M)。
【0080】
(実施例17)
(3−[3−(アミノエチル)−2−ピリジニル]−8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−オール)
【0081】
【化51】

工程1:2−ブロモ−3−ヒドロキシメチルピリジン
2−ブロモ−3−ピリジンカルボン酸(5.63g、27.89mmol)およびEtN(2.96g、29.28mmol)のトルエン(150ml)溶液に、RTで、クロロギ酸エチル(3.17g、29.28mmol)を加え、そして1時間攪拌し、濾過し、そして濃縮する。その残留物をTHF(93ml)に溶解し、−78℃で、LiAlH(1.11g、29.28mmol)のTHF(37mmol)懸濁液に滴下し、そして30分間攪拌する。その反応を飽和NHClでクエンチし、RTで、1時間攪拌し、セリットで濾過し、EtOAcで抽出し、NaSOで乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、所望化合物を得る。
【0082】
工程2:2−ブロモ−3−(t−ブチルジメチルシロキシメチル)ピリジン
実施例15の工程2の手順に従って、2−ブロモ−3−ヒドロキシ−メチルピリジン(3.66g、19.48mmol)、t−ブチルジメチルシリルクロライド(5.87g、38.97mmol)およびイミダゾール(3.31g、48.71mmol)を加えて、所望化合物(6.38g)を得る。
【0083】
工程3:8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(3−(t−ブチルジメチルシロキシメチル)−2−ピリジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−オール
実施例15の工程3の手順に従って、工程2の生成物(6.38g、21.1mmol)、n−BuLi(ヘキサン中で1.6M、14.5mL、21.1mmol)および調製例3の生成物(7.60g、21.1mmol)を使用して、所望生成物を得る。
【0084】
工程4:8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(3−ヒドロキシメチル)−2−ピリジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−オール
実施例15の工程4の手順に従って、工程3の生成物(12.3g、21.1mmol)およびフッ化テトラブチルアンモニウム(11g、42.2mmol)を使用して、所望生成物を得る。
【0085】
工程5:3−[3−(アジドメチル)−2−ピリジニル]−8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−オール
実施例15の工程5の手順に従って、工程4の生成物(95.2mg、0.213mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(67.4mg、0.245mmol)および1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]ウンデク−7−エン(52.96mg、0.32mmol)を使用して、少ない方の生成物として、所望生成物を得る。
【0086】
工程6:
実施例15の工程6の手順に従って、工程5の生成物(69mg)およびリンドラー触媒(7mg)を使用して、表題化合物を得る。
【0087】
【化52】

(実施例18)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−[4−(メチルアミノ)−2−ピリジニル]−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−オール)
【0088】
【化53】

工程1:2−ブロモ−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ピリジン
CHCl(20ml)中の4−アミノ−2−ブロモピリジン(1.00g、5.79mmol)、EtN(1.75g、17.37mmol)およびジ−tert−ブチルジカーボネート(1.90g、8.69mmol)を、RTで、一晩攪拌する。CHCl(10ml)で希釈し、飽和NaHCO水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製すると、所望化合物が得られる。
【0089】
工程2:ジメチルエチル[2−[8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−ヒドロキシ−8−アザビシクロ−3.2.1]−オクト−3−イル]−4−ピリジニル]カーバメート
THF(2.7ml)中の工程1の生成物(237mg、0.87mmol)に、−78℃で、n−BuLi(ヘキサン中で1.6M、1.12ml、1.81mmol)を加え、そして2時間攪拌する。−78℃で、THF(1ml)中の調製例3の生成物(337mg、0.94mmol)を加え、そして3時間攪拌し、RTまで暖め、そして一晩攪拌する。飽和NHCl水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出し、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、所望生成物を得る。
【0090】
工程3:
工程2の生成物(48.4mg、0.087mmol)のジオキサン(0.5ml)溶液に、RTで、LiAlH(エーテル中で1M、0.26ml、0.26mmol)を加え、そして還流状態で、一晩攪拌する。室温まで冷却し、LiAlH(エーテル中で1.0M、0.2ml)を加え、そして還流状態で、5時間攪拌する。その反応をHO(0.05ml)、NaOH水溶液(15%、0.1ml)およびHO(0.05ml)でクエンチする。EtOAcで希釈し、濾過し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を得る。
【0091】
【化54】

(実施例19)
(3−[6−[(2−アミノエチル)アミノ]−2−ピリジニル]−8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−オール
【0092】
【化55】

工程1:8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(6−ブロモ−2−ピリジル)−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−オール
THF(150ml)中の2,6−ジブロモピリジン(12.2g、51.5mmol)に、−78℃で、n−BuLi(ヘキサン中で1.6M、26.8ml、42.92mmol)を加え、そして2時間攪拌する。−78℃で、THF(50ml)中の調製例3の生成物(9.28g、25.75mmol)を加え、そして3時間攪拌し、RTまで暖め、そして一晩攪拌する。飽和NHCl水溶液でクエンチし、EtOAcで抽出し、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、所望生成物を得る。
【0093】
工程2:1,1−ジメチルエチル[2−[6−[8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−ヒドロキシ−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−イル]−2−ピリジニル]アミノエチル]カーバメート
110℃で、封管中にて、3.5時間にわたって、工程1の生成物(64.5mg、0.128mmol)、N−Boc−エチレンジアミン(123mg、0.77mmol)およびピリジン(12mg、0.154mmol)を攪拌する。RTまで冷却し、N−Boc−エチレンジアミン(0.3ml)を加え、そして140℃で、一晩加熱する。RTまで冷却し、その反応をHOでクエンチし、EtOAcで抽出し、乾燥し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、所望生成物を得る。
【0094】
工程3:
工程2の生成物(11mg、0.018mmol)のCHCl溶液に、RTで、24時間にわたって、(エーテル中で1N、0.36ml)を加える。HCl(エーテル中で1N、0.36ml)を加え、RTで、1時間攪拌する。他のHCl(エーテル中で1N、0.36ml)を加え、そして30℃で、24時間攪拌する。濃縮し、エーテルで処理し、そして濾過して、白色固形物として、表題化合物を得る。ESI−MS497.1(100、M)。
【0095】
(実施例20)
(8−[ビス(2−クロロフェニル)メチル]−3−(1,4,5,6−テトラヒドロ−2−ピリジニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]−オクト−3−オール
【0096】
【化56】

実施例1(160mg)のエタノール(10ml)溶液に、RTで、ラネーニッケルを加える。80℃まで加熱し、そして20時間攪拌し、濾過し、そして濃縮する。その残留物をカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を得る。
【0097】
【化57】

式Iの化合物は、古典的なオピオイドレセプタの50倍を超える選択性を示す。このORL−1レセプタは、古典的なオピオイドレセプタ(すなわち、μ、κおよびδ)と高い程度の相同性を共有しているが、このORL−1レセプタは、内生オピオイドで活性化されず、内生オピオイドは、このORL−1レセプタを活性化しない。鎮咳剤として使用されるコデインおよび他のオピオイドは、mu−オピオイドを活性化することが知られており、副作用(例えば、呼吸抑制、便秘、耐性および身体的依存)を引き起こす。ORL−1レセプタアゴニストは、このmu−オピオイドを活性化せず、従って、オピオイドと比較して、優れた安全性プロフィールを生じると予想される。
【0098】
式Iの化合物のORL−1レセプタアゴニスト活性およびそれらの咳および呼吸に対する効果は、以下の試験により測定される。
【0099】
(ノシセプチン結合アッセイ)
ORL−1レセプタを発現するCHOレセプタ細胞膜調製物(2mg)を、緩衝液(これは、50mM HEPES(pH7.4)、10mM NaCl、1mM MgCl、2.5 mM CaCl、1mg/mlウシ血清アルブミンおよび0.025%バシトラシンを含有する)中にて、[125I][Tyr14]ノシセプチンの濃度を変えて(3〜500pM)、インキュベートした。多数の研究にて、緩衝液(50mMトリス−HCl(pH7.4)、1mg/mlウシ血清アルブミンおよび0.025%バシトラシン)にて、アッセイを実行した。試料を、室温(22℃)で、1時間インキュベートした。この膜に結合した放射標識リガンドを、Brandellセルハーベスターを使用して、GF/Bフィルター(これは、0.1%ポリエチレンイミンに予浸した)で収穫し、そして5mlの冷蒸留水で、5回洗浄した。1μMノシセプチンの存在下で実行した類似のアッセイにより、平行して、非特異的結合を決定した。全てのアッセイ点は、全結合および非特異的結合を2回実行した。
【0100】
の計算は、当業者に周知の方法を使用して、行った。
【0101】
本発明の化合物について、K値は、0.6〜30nMの範囲であることが判明したが、10nM未満のK値を有する化合物が好ましい。
【0102】
いくつかの代表的な化合物のK値を、以下の表で示す:
【0103】
【表1】

European Journal of Pharmacology、336(1997),p.233−242で記述された手順を使用して、本発明の化合物のアゴニスト活性を決定した。これらの化合物のアゴニスト活性(EC50)は、20〜200nMの範囲であると測定された。
【0104】
(咳研究)
ノシセプチンアゴニストの効果は、Bolserら、British Journal
of Pharmacology(1995)114,735〜738の方法に従って、モルモット(guinea pig)において、カプサイチンで誘発した咳で評価する(また、McLeodら、British Journal of Pharmacology(2001)132,1175〜1178を参照)。このモデルは、潜在的な鎮咳薬の活性を評価する広く使用されている方法である。一晩絶食したオスHartleyモルモット(350〜450g,Charles River,Bloomington,MA,USA)を12”×14”の透明チャンバに入れる。これらの動物をエアロゾル化カプサイチン(300μm、4分間)(これは、ジェット噴霧器で製造した)(Puritan Bennett,Lenexa,KS,USA)に晒して、咳の反射を誘発させた。各モルモットを、カプサイチンに1回だけ晒した。このチャンバ内に置いたマイクロフォンにより、咳の回数を検出し、訓練を受けた監視員が検証した。このマイクロフォンからの信号を、咳の回数を記録するポリグラフに中継した。ビヒクル(メチルセルロース1mg/kg、p.o.)または試験化合物のいずれかを、エアロゾル化カプサイチンの2時間前に与えた。陽性コントロールとして、バクロフェン(3mg/kg、p.o.)の鎮咳活性もまた、試験した。
【0105】
(呼吸測定)
体重450〜550gのHartleyモルモットについて、研究を実行した。これらの動物を、水とリチウムを与えたこと以外は、一晩絶食した。これらのモルモットを全身ヘッドアウトプレチスモグラフに置き、動物の頭にゴム製カラーを付けて、モルモットとプレチスモグラフとの間の気密にした。このプレチスモグラフの壁にある1インチの穴を覆うワイヤメッシュスクリーンを横切る差圧として、気流を測定した。プリアンプ回路および肺機能コンピュータ(Buxco Electronics,Sharon,CT.,モデルXA)を使用して、この気流の信号を、容量に比例した信号に統合した。このプレチスモグラフにへッドチャンバを装着し、研究の持続期間にわたって、このヘッドチャンバを通って、加圧気体源(21%のO、残りはN)からの空気を循環させた。モルモットが循環空気を吸っている間、全ての呼吸測定を行った。
【0106】
各動物からの容量信号をデータ受信/分析システム(Buxco Electronics,モデルXA)に送り、これは、呼吸ごとの一回換気量および呼吸数を計算した。これらの信号を、モニターで視覚的に表示した。一回換気量および呼吸数は、毎分の平均値として、記録した。
【0107】
これらのモルモットを、このプレチスモグラフにて、30分間平衡させた。この30分間の最後に、ベースライン測定値を得た。次いで、これらのモルモットをプレチスモグラフから取り出し、試験化合物(10mg/kg、p.o.)、バクロフェン(3mg/kg、p.o.)またはメチルセルロースビヒクル偽薬(2mL/kg、p.o.)を経口投薬した。投薬直後、これらのモルモットをプレチスモグラフに入れ、そのヘッドチャンバと循環空気とを再連結し、処置の30分後、60分後、90分後および120分後に、呼吸変数(一回換気量(V)、呼吸数(f)および毎分換気量(MV=V×f))を測定した。この研究は、ACUCプロトコル#960103の下で、実行した。
【0108】
式Iの3種の化合物のうちの1種は、本発明の方法(好ましくは、1方法)で投与できる。
【0109】
本発明の化合物は、鎮咳活性を示し、それにより、これらは、哺乳動物の咳を抑制するのに有用となる。咳を処置する哺乳動物には、咳、アレルギーまたは喘息の症状を処置するために、1種またはそれ以上の追加薬剤と共に、式Iの少なくとも1種のノシセプチンレセプタORL−1アゴニストが投与され得、この追加薬剤は、抗ヒスタミン剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、H阻害剤、β−アドレナリン受容体アゴニスト、キサンチン誘導体、α−アドレナリン受容体アゴニスト、肥満細胞安定化剤、鎮咳薬、去痰薬、NK、NKおよびNKタキキニン受容体アンタゴニストおよびGABAアゴニストからなる群から選択される。好ましくは、本発明の組合せは、式Iの1種の化合物と、1〜3種の追加薬剤、好ましくは、1〜2種の追加薬剤、さらに好ましくは、1種の追加薬剤を含有する。
【0110】
抗ヒスタミン薬の非限定的な例には、以下が挙げられる:アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロムフェニラミン、セルチリジン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン(これはまた、SCH−34117としても、知られている)、ドキシラミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、エクイタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、ピキュマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジンおよびトリプロリジン。
【0111】
ヒスタミンHレセプタアンタゴニストの非限定的な例には、以下が挙げられる:チオペラミド、イムプロミジン、ブリマミド、クロベンプロピット、イムペンタミン、ミフェチジン、S−ソプロミジン、R−ソプロミジン、SKF−91486、GR−175737、GT−2016、UCL−1199およびクロザピン。他の化合物は、公知方法により、Hレセプタでの活性を容易に評価できるが、これらの方法には、モルモット脳膜アッセイおよびモルモット神経回腸収縮アッセイが挙げられ、これらの両方は、米国特許第5,352,707号で記述されている。他の有用なアッセイは、ラットの脳膜を利用するが、Westら、「Identification of Two−H−Histamine Receptor Subtypes」、Molecular Pharmacology,Vol.38,pages 610〜613(1990)で記述されている。
【0112】
「ロイコトリエン阻害剤」との用語は、ロイコトリエンの作用または活性を阻害し、制限し、遅延させるか、そうでなければ、相互作用する任意の薬剤または化合物を含む。ロイコトリエン阻害剤の非限定的な例には、以下が挙げられる:モンテルカスト[R−(E)]−1[[[1−[3−[2−(7−クロロ−2−キノリニル)−エテニル]フェニル]−3[2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]プロピル]チオ]−メチル]シクロプロパン酢酸およびそのナトリウム塩(これは、EP 0 480 717で記述されている);1−(((R)−(3−(2−(6,7−ジフルオロ−2−キノリニル)エテニル)フェニル)−3−(2−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)−フェニル)チオ)メチルシクロプロパン酢酸およびそのナトリウム塩(これは、WO 97/28797および米国特許第5,270,324号で記述されている);1−(((1(R)−3(3−(2−(2,3−ジクロロチエノ[3,2−b]−ピリジン−5−イル)−(E)−エテニル)フェニル)−3−(2−(1−ヒドロキシ−l−メチルエチル)フェニル)プロピル)チオ)メチル)シクロプロパン酢酸およびそのナトリウム塩(これは、WO
97/28797および米国特許第5、472、964号で記述されている);プランルカスト、N−[4−オキソ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−4H−1−ベンゾピラン−8−イル]−p−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミド)(これは、WO 97/28797およびEP 173,516で記述されている);ザフィルルカスト、(シクロペンチル−3−[2−メトキシ−4−[(o−トリルスルホニル)カルバモイル]ベンジル]−1−メチル−インドール−5−カーバメート)(これは、WO97/28797およびEP 199,543で記述されている);および[2−[[2(4−tert−ブチル−2−チアゾリル)−5−ベンゾフラニル]オキシメチル]フェニル]酢酸(これは、米国特許第5,296,495号および日本特許JP08325265 Aで記述されている)。
【0113】
「5−リポキシゲナーゼ阻害剤」との用語は、5−リポキシゲナーゼの酵素作用を阻害し、制限し、遅延させるか、そうでなければ、相互作用する任意の薬剤または化合物を含む。5−リポキシゲナーゼ阻害剤の非限定的な例には、ジロイトン、ドセベノン、ピリポスト、ICI−D2318およびABT 761が挙げられる。
【0114】
β−アドレナリン受容体アゴニストの非限定的な例には、以下が挙げられる:アルブテロール、ビトルテロール、イソエタリン、メタプロテレノール、ペルブテロール、サルメテロール、テルブタリン、イソプロテレノール、エフェドリンおよびエピネフリン。
【0115】
キサンチン誘導体の非限定的な例には、テオフィリンがある。
【0116】
α−アドレナリン受容体アゴニストの非限定的な例には、アリールアルキルアミン(例えば、フェニルプロパノールアミンおよび擬似エフェドリン)、イミダゾール(例えば、ナファゾリン、オキシメタゾリン、テトラヒドロゾリンおよびキシロメタゾリン)、およびシクロアルキルアミン(例えば、プロピルヘキセドリン)が挙げられる。
【0117】
肥満細胞安定剤の非限定的な例には、ネドクロミルナトリウムがある。
【0118】
鎮咳薬の非限定的な例には、コデイン、デキストロメトルファン、ベンゾナテート、クロフェジアノールおよびノスカピンが挙げられる。
【0119】
去痰薬の非限定的な例には、グアイフェネシンがある。
【0120】
NK、NKおよびNKタキキニン受容体アンタゴニストの非限定的な例には、CP−99,994およびSR48968が挙げられる。
【0121】
GABAアゴニストの非限定的な例には、バクロフェンおよび3−アミノプロピル−ホスフィン酸が挙げられる。
【0122】
本発明で記述した化合物から製薬組成物を調製するためには、不活性で薬学的に受容可能な担体は、固体または液体のいずれかであり得る。固形製剤には、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシュ剤および座剤が挙げられる。これらの粉末および錠剤は、約5%〜約70%の活性成分から構成され得る。適当な固体担体は、当該技術分野で公知であり、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖、ラクトースがある。錠剤、粉末、カシュ剤およびカプセル剤は、経口投与に適当な固体投薬形状として使用できる。
【0123】
座剤を調製するためには、低溶融性ワックス(例えば、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物)が、まず、溶融され、その活性成分は、攪拌により、その中で均一に分散される。溶融した均一混合物は、次いで、好都合な大きさにした鋳型に鋳込まれ、冷却され、それにより、固化する。
【0124】
液状製剤には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。一例としては、非経口注入用に、水または水−プロピレングリコール溶液が言及され得る。
【0125】
液状製剤には、また、鼻腔内投与用の溶液が挙げられ得る。
【0126】
吸入に適当なエアロゾル製剤には、溶液および粉末形状固体が挙げられ得、これは、薬学的に受容可能な担体(例えば、不活性圧縮気体)と組み合わせられ得る。
【0127】
また、使用直前に、経口投与または非経口投与のいずれか用の液状製剤に転化するように向けられた固形製剤も含まれる。このような液体形状には、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。
【0128】
本発明の化合物はまた、経皮的に送達可能であり得る。これらの経皮組成物は、クリーム、ローション、エアロゾルおよび/または乳濁液の形状をとり得、この目的のために当該技術分野で通常のマトリックス型またはレザバ型の経皮パッチに含まれ得る。
【0129】
好ましくは、本発明の化合物は、経口投与される。
【0130】
好ましくは、この製薬製剤は、単位剤形である。このような形状では、この製剤は、適当な量(例えば、所望の目的を達成する有効量)の各活性成分を含有する単位用量に細分される。
【0131】
単位用量の製剤中での式Iの活性化合物の量は、特定の用途に従って、約0.1mg〜1000mg、さらに好ましくは、約1mg〜300mgで、変えられ得るかまたは調節され得る。
【0132】
使用する実際の投薬量は、患者の要件および処置する病気の重症度に依存して、変えられ得る。特定の状況に適当な投薬レジメンの決定は、当該技術の範囲内である。一般に、処置は、この化合物の最適用量未満であるさらに少ない投薬量で、開始される。その後、この投薬量は、その状況で最適な効果に達するまで、少しずつ増やされる。便宜上、全毎日投薬量は、もし望ましいなら、その日に、分割して少しずつ投与され得る。
【0133】
本発明の化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩を投与する量および頻度は、患者の年齢、状態および体格だけでなく処置する症状の重症度のような因子を考慮して、担当医の判断に従って、調節される。経口投与に典型的な推奨1日投薬レジメンは、痛み、不安、鬱病、喘息またはアルコール乱用を軽減するために、2回〜4回に分割した用量で、10mg/日〜2000mg/日の範囲、好ましくは、10mg/日〜1000mg/日の範囲であり得る。これらの化合物は、この投薬量範囲内で投与するとき、非毒性である。
【0134】
式IのノシセプチンレセプタORL−1アゴニストを1種またはそれ以上の追加薬剤と組み合わせて投与するとき、式Iの化合物および追加薬剤は、別々に投与できるものの、好ましくは、組合せ剤形(例えば、単一錠剤)で投与される。これらの追加薬剤は、咳、アレルギーまたは喘息の症状を軽減するのに有効な量、好ましくは、単位用量あたり、約0.1mg〜1000mg、さらに好ましくは、約1mg〜300mgで、投与される。典型的な推奨投薬レジメンは、2回〜4回の分割用量で、1mg〜2000mg/日、好ましくは、1〜1000mg/日である。他の薬剤の典型的な投薬量は、文献、例えば、The Physicians’s Desk Referenceから決定され得る。
【0135】
以下は、本発明の化合物を含有する製薬剤形の例である。当業者は、このような剤形が1種またはそれ以上の追加活性成分を含有するするように容易に変形できることを認識している。本発明の範囲は、その製薬組成物局面にて、提示された実施例には限定されない。
【0136】
(製薬剤形実施例)
(実施例A−錠剤)
【0137】
【表2】

(製造方法)
適当な混合機にて、品目番号1および2を、10〜15分間混合する。この混合物を品目番号3と共に顆粒化する。湿らした顆粒を、必要なら、粗いふるい(例えば、1/4”、0.63cm)に通して粉砕する。乾燥した顆粒を、必要なら、ふるい分けし、そして品目番号4と混合し、10〜15分間混合する。品目番号5を加え、1〜3分間混合する。その混合物を適当な大きさまで圧縮して、適当な錠剤機で秤量する。
【0138】
(実施例B−カプセル)
【0139】
【表3】

(製造方法)
適当な配合機にて、品目番号1、2および3を、10〜15分間混合する。品目番号4を加え、1〜3分間混合する。その混合物を、適当なカプセル化機械にて、適当なツーピース硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0140】
本発明は、上で述べた特定の実施態様に関連して記述されているものの、その多くの代替、改良および変更は、当業者に明らかである。このような全ての代替、改良および変更は、本発明の精神および範囲内に入ると解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に受容可能な担体と組み合わせて、治療有効量の少なくとも1種の化合物を含有する、製薬組成物であって、該化合物が、次式:
【化1】


により表わされる化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩であり、ここで、
Rは、R−ヘテロアリールまたは
【化2】


であり、ヘテロアリールは、5個または6個の原子の環式芳香族基または9個または10個の原子の二環式基を意味し、これらは、1個、2個または3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、別個に、O、SまたはNから選択される;
は、HまたはC〜Cアルキルである;
およびRは、別個に、−CH、−OCH、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードからなる群から選択される;
は、1個〜4個の置換基であり、該置換基は、別個に、H、ハロ、(C〜C)アルキル、−CN、−CF、−OCF、−(CH−OR、−(CH−NR、−(CH−NHSO、−(CH−NH(CHNR、−(CH−NHC(O)NR、−(CH−NH(CHORおよび1−ピペラジニルからなる群から選択される;
nは、0、1、2または3である;
およびRは、別個に、HおよびC〜Cアルキルからなる群から選択される;そして
は、H、C〜Cアルキルまたはアミノ(C〜C)アルキルである、
製薬組成物。
【請求項2】
以下を含有する、請求項1に記載の製薬組成物:治療有効量の1種またはそれ以上の追加薬剤、ここで、該追加薬剤は、以下からなる群から選択される:抗ヒスタミン剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、H阻害剤、β−アドレナリン受容体アゴニスト、キサンチン誘導体、α−アドレナリン受容体アゴニスト、肥満細胞安定化剤、鎮咳薬、去痰薬、NK、NKおよびNKタキキニン受容体アンタゴニストおよびGABAアゴニスト。
【請求項3】
咳、痛み、不安、喘息、鬱病またはアルコール乱用を処置するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
咳、アレルギーまたは喘息の症状を処置するために、1〜3種の追加薬剤をさらに包含し、該追加薬剤が、抗ヒスタミン剤、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、H阻害剤、β−アドレナリン受容体アゴニスト、キサンチン誘導体、α−アドレナリン受容体アゴニスト、肥満細胞安定化剤、鎮咳薬、去痰薬、NK、NKおよびNKタキキニン受容体アンタゴニストおよびGABAアゴニストからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。

【公開番号】特開2009−35556(P2009−35556A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209104(P2008−209104)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【分割の表示】特願2003−541761(P2003−541761)の分割
【原出願日】平成14年11月6日(2002.11.6)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】